被相続人の記帳本を交換 私はコピー相手方は原本でした。【Q&A №601】

2018/02/20


【質問の要旨】

被相続人の記帳本の原本を相手方に渡さなければならないか?

記載内容  証拠 交換 原本


【ご質問内容】

 証拠になりうる記帳本を、相続人が半分ずつ交換しました。こちらはコピー、相手は原本をもってきて交換したのですが、最初からお互い確認していなかったので、双方が原本、双方がコピーの交換とはいきませんでした。
 もし、こちらが原本を渡してしまえば、すでにコピーを渡してしまっているので、手元に何もなくなります。実は、相手にすごく不信感を抱いております。
 調停委員の方も、そこまでは確認してくださっていなかったので、慌てて相手方の代理人に聞いて下さったところ、「後日いついつまでに原本の日記を送って下さい」、と言われました。
 次回からは、遠いため電話の調停になる予定です。

 何もかもが初めてなので、宜しくお願いいたします。

(マロン)



 ※敬称略とさせていただきます

【本来は原本を交換する必要はない】
 調停で当事者双方が証拠を出し合うことはよくあります。
 その際、コピーを提出するのが原則であり、原本を交換しあうというのは(少なくとも弁護士がついている場合では)まれなケースです。
 もちろん、コピーが正しいかどうか疑問がある、あるいはコピーが不鮮明な場合などは、原本を提示(見せてもらう)ことでコピーに問題があるかどうかを確認します。

【今回の質問では原本を見せなければいけないか?】
 今回のケースでは、あなたは相手方から原本を預かったが、あなたの方はコピーを渡したということのようです。
 調停であれば調停委員がついているはずであり、コピーの交付をし、原本は確認するだけでよかったのではないかと思います。
 ただ、原本の分量が多量であり、その場では時間的に確認できないということで原本を渡すということになったのかもしれません。
 このように原本を交付する方法には疑問がありますが、この点はこれ以上深く触れないこととしましょう。
 さて、次回からは電話で調停ということになれば、相手方の弁護士としては、あなたからはコピーをもらっただけで原本を確認できなかったわけですので、原本確認の方法としてその送付を求めることはやむをえないことでしょう。
 あなたとしては自分は原本の交付を受けながら、自分の持っている分については、相手方に原本の確認をする機会を与えないということは不公平でしょう。
 そのため、あなたは、相手方代理人に原本を見せる必要があります。

【返還に不安があるのなら】
 もし、返還について不安があるのなら、遠方であってもあなたが相手方弁護士の事務所に行き、その弁護士が原本を確認できる機会を与える必要があります。
 もし、遠隔地でそのような訪問もできないというのなら、相手方弁護士に原本を送付するのはやむを得ないでしょう。
返還してくれるかどうか不安なら、相手方弁護士から原本を返還するという文書(返還期限も記載してもらうことも考えましょう)を取り付けることです。
 又、原本を送ればコピーがないということであれば、原本を送る前にコピーを取る手配をされるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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12:01 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

後妻による定期預金解約について【Q&A №600】

2018/02/19


【質問の要旨】

口座名義人の委任状があれば定期預金の中途解約はできるのか?

記載内容  定期預金解約 解約伝票 価格賠償


【ご質問内容】

質問①

 定期預金の中途解約についてご相談いたします。
 よろしくお願い致します。概略を記します。

 昨年、父が他界し相続が発生しました。相続人は4名(後妻+先妻の子3名)です。
 父は6年間ほど要介護度5(寝返りできない、痰の吸引が2時間毎に必要)で介護は後妻さんがしていました。後妻さんは定期預金(1,500万円)の中途解約を父の了解を得て行ったと言っています。
 銀行に口座名義人確認の方法を尋ねましたらキャッシュカードと暗証番号との説明でした。
 解約伝票の署名は口座名義人(父)の筆跡のようであり、預金の使途を後妻さんに聞いたら適宜使用と答えました。

 同銀行のお客様相談センターに問い合わせたころ支店の対応に任せているとの事でした。
 同銀行他支店に定期預金の中途解約について尋ねたら、口座名義人の委任状があっても解約は認めない、口座名義人が窓口に来れない場合は、何かしら他の方法で確認をとる、又は相続人全員の了承をとるとの事でした。銀行のダブルスタンダードといえる対応に対しどのように考え行動したらよいのでしょうか。ご教示お願い致します。

質問②

 相続で話し合いの最中なのですが、相手方が遺留分対象のマンションを売却しています。
 遺産額も決まらないのに相手方弁護士は、価格賠償を主張しています。
 どのような対応を考えたらいいのでしょうか?(マンションの仮差押えは、供託金の用意ができません。)



(雪男)



 ※敬称略とさせていただきます

質問①定期預金の解約の件と質問②マンションの売却の件の2件の質問をいただいていますので、2件まとめて回答いたします。

【質問①について…当該解約時の状況を確認するべき】
 被相続人の定期預金が後妻さんによって無断で解約されたのであれば、後妻の不法行為(ないし不当利得)ということになり、あなたが父の相続人として、返還請求をすることができます。
 無断であるかどうかの判断資料としては、誰が窓口で手続きをしたのかを確認する必要があると思われます。

【引き出しを勝手にしたかどうかの判断】
 銀行は、口座名義人の委任状があっても解約は認めず、口座名義人が窓口に来られない場合はほかの方法で意思確認するという対応だったようです。
 さて、上記銀行の対応と解約伝票の筆跡からすれば、父が書いた解約伝票を後妻が窓口に持っていき、後妻がキャッシュカードを持参し、又、暗証番号も答えたことから、銀行としては本人の意思を確認できたとして解約したと理解できます。
 銀行の対応に若干、疑問があるようにも思えるものの、父が委任状の意味を理解して署名捺印したのであれば、後妻が父の意思に反して勝手に解約したとは言えませんが、反面、父が6年程、要介護5の状態(身体的な面か、意思能力にも問題があったのかが明らかではありませんが)であれば、場合によれば、委任状を記載していても父には意思能力(判断能力)がなく、解約は不法行為に該当する可能性もあります。
 いずれにせよ、預金の引き出し時点の父の状態をカルテなどで確認する必要があります。

【父の意思能力がない場合】
 もし、父に意思能力がないというのであれば、後妻が勝手に引き出したものと主張できるでしょう。
 ただ、このような場合でも、後妻が解約したお金を父の介護のために使ったことを立証すれば、その分については後妻が取得したものとはいえず、返還を求めることはできないでしょう。

【父の意思で解約していたとしても、後妻が贈与を受けていれば特別受益になる】
 仮に父の意思で解約がなされたことが明らかになったとしても、それを後妻に贈与したのであれば、今度は特別受益の問題になります。
 特別受益だとすれば、1500万円を父の遺産に持ち戻して遺産分割をすることになりますので、あなたが取得する遺産額が増えます。

【質問②について…売却される前にマンションに登記をする】
 以下は、あなたがすでに遺留分減殺請求をしているとの前提でお答えいたします。
 遺留分減殺請求をした時点で、あなたと相手方とはマンションを共有する関係になります。
 しかし、第三者から見れば、この共有関係は明らかではありません。
 そのため、第三者に対して、あなたが遺留分権者としてマンションの共有持分権を持っていることを主張するためには、あなたが遺留分で所有権を取得したことの登記が必要です。
 この登記があれば、あなたは対外的にもマンションの共有者の一人ということになり、相手方はマンション(の全部)を勝手に売却できなくなります。
 現在、まだ、あなたへの遺留分登記がなされておらず、既に買受人である第三者に対する所有権移転登記が完了しているのであれば、あなたはこの第三者に所有権取得を主張することができません。
 売買契約はしたが、買受人の移転登記前であれば、早急に買受人に登記が移転されないように《仮処分》という手続きをする必要があります。
 既に買受人が移転登記を完了しているのであれば、あなたとしては相手方に遺留分相当額の価格賠償を求めることしかできず、相手方弁護士と交渉するしかないと思われます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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14:07 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益にあたりますか?【Q&A №599】

2018/02/08


【質問の要旨】

祖父からの生前贈与を母の遺産分割時に証明する必要があるのか?

記載内容  祖父から 生前贈与

【ご質問内容】

 昨年母が亡くなり相続が開始致しました。
 父は既に他界しております。
 私は25年前父方の祖父から1200万円の生前贈与を受けました。両親も承知のことです。
 その後一人息子だった父が祖父から相続を受け他界、母がまた全てを相続し昨年他界致しました。
 現在兄姉私の3人が相続人です。遺産分割の話し合いの際弁護士をつけた姉は1200万円は特別受益だと主張、違うのであれば祖父から受けた生前贈与を証明せよと言われておりますが25年前のことですので証明できずにおります。
 調停員からは裁判になる可能性が高いといわれました。
 途方に暮れております。


(ゆり)



 ※敬称略とさせていただきます

【一般に祖父からの贈与は無関係】
 今回の遺産分割は母の遺産です。
 そのため、特別受益で検討すべきなのはあくまで「母からの生前贈与の有無」に限定されます。
 もし父や祖父からの生前贈与があったとしても特別受益にはあたりません。あなたとしては「祖父からの贈与の有無は本件に関係ない。」と回答すればされで済みます。

【例外的に特別受益とされる場合がある】
 ただ、事情によっては例外的に祖父からの贈与が実質的には母の贈与と同視できる場合があります。
 たとえば、親が娘の子(孫)に学費を贈与した場合、直接贈与を受けたのは孫(祖父から孫の口座に直接振り込み)であっても、本来は娘が負担するべき学費であることを考慮し、実質的には娘に対する贈与だと扱われることがあります。
 ご相談ではそのような例外的事情はなさそうですが、参考までに紹介しておきます。

【姉の側で立証する必要がある】
 他方で、あなたは姉の側から「祖父からの生前贈与を証明せよ」と言われているようですが、そのような照明をする必要はありません。
 母からの贈与であり、母の遺産の特別受益というのであれば、その証明は姉の側でするべきことであり、あなたが祖父からもらった証拠など示す必要はありません。
 
【調停は互譲で解決を図るもの】
 以上のとおり、あなたとしては、特別受益の証明は姉側でするべきであると述べるといいでしょう。
調停はあくまで話し合いですので、あなたがどれだけ正しい主張を述べても、姉が解決案を了解しなければ裁判になってしまうことはやむをえません。
 もし、あなたが裁判を望まないというあれば、どこかで妥協点を見つけるしかありません。
 その場合でも、あなたとしては、まず正しい言い分をしっかりと主張した上で、妥協できる点を探るという立場で対応されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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14:37 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生命保険 故人 父親が他界【Q&A №598】

2018/02/07


【質問の要旨】

母が受取人となっている父の生命保険を貰う権利はあるのか?

記載内容  生命保険 受取人 財産分与

【ご質問内容】

  父親が他界しました。生命保険 受け取り人 母親ですが、 これは、財産分与 
私にも 貰える権利ありませんか?


(e.gaku)



 ※敬称略とさせていただきます

【原則として、生命保険金は遺産分割の対象ではない】
 保険金受取人として特定の相続人を指定した場合、生命保険金は遺産分割の対象の財産にならないとするのが裁判所の判例です(Q&A №298参照)。
 その理由は、生命保険金の支払いは、生命保険契約に基づいて支払われるものであり、被保険者の死亡と同時に指定された相続人の財産になるという性格を持っており、そのため、相続財産にはならないと考えられているからです。
 したがって、生命保険金の受取人が母になっていた場合には、保険金は母が単独で取得し、あなたがもらう権利はないですし、又、相続財産の中にも入らず、遺産分割の対象になりません。

【但し、著しい不公平な事情があれば、相続財産として扱われることもある】
 ただ、遺産総額と対比した場合、保険金を受け取る相続人と他の相続人間で著しく不公平となるような場合があります。
そのような場合には、特段の事情があるとして、例外的に生命保険を遺産の中に入れて遺産分割をすることになります。
この特段の事情としては、
① 保険金額と遺産総額とを比較して、生命保険金の金額があまりに多額である。
② 保険金の受取人が多額の保険金を受けるべき理由(同居していたか、介護等の貢献をしたかなど)がない。
というようなことが考えられます。
このような事情がある場合には、特段の事情として、生命保険金を遺産に持戻すということが認められる場合があります。

【著しく不公平かどうかの基準】
 過去の裁判例では、生命保険金の額が・・・万円であるのに、その他の相続財産が     万円であったケースで、生命保険金額が約59%(計算式:生命保険金額÷⦅生命保険金額+その他の相続財産額)を占めていたということで、生命保険金を相続財産にいれたものがあります。
 なお、単なる生命保険の割合だけで特段の事情の有無が判断されるのではなく、婚姻期間や同居の有無、介護等の貢献をしたかという事情も考慮して判断されますので、この点も注意が必要です。

【今回の質問の場合】
 本件では、生命保険金の受取人は母(被相続人の妻)ということですので、遺産総額と比較して生命保険額があまりに多額であり、かつ、父母の婚姻期間が短いとか、あなたが父と同居して介護をしてきたというような特段の事情があれば、生命保険金を相続財産にいれることもありえます。
それらの点を考慮して、判断されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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10:34 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続 調停から審判【Q&A №596】

2018/01/15


【質問の要旨】

姉名義だが、父と姉が債務を負っている住宅の残ローンの半分は相続しなければならないのか。

記載内容  住宅ローン 光熱費

【ご質問内容】

 審判をするか悩んでおります。現在調停をしており先日担当裁判官と直接話をしましたが納得が行くものではありません。
 弁護士を入れて進めていますが、同じ結果になったとしても調停と審判では違うと審判を勧められています。
 ※特別受益と住宅ローン:家は姉名義で住宅ローンは二人で払っていたのでそれは特別受益ではないかと主張した。

 ボーナス払年二回11万ずつ現金で渡し、月々支払は光熱費と相殺していた。
 2世帯住宅だがメーターはひとつで父の口座から引落しで支払をしていた。
 裁判官の見解:ボーナス払いの現金を渡してたと言う証拠がない、光熱費が父の口座から引落としされてるのは明確だが姉が現金を渡してたかも知れないし相殺してたとは認められない従って特別受益は認められない。
 住宅ローンの債務についても半分の300万を負担する事、相続の分配に含んで行う。
 ※定期預金引出:生前父から電話があり、障害を持つ弟が入所している施設に寄付しないと居られなくなると言われ定期を渡した。

 姉に確認したら父に対して制裁だと話し返すよう話したが弟の保険に入ったと嘘を言い返済しなかった。
 裁判官の見解:定期解約をしたのは金融機関の書類で姉なのは事実だが、その後どうなったかは明白でない為、戻せとは言えず本件とは別に返還請求を別途するようにと。


(なつ)



 ※敬称略とさせていただきます

【父の支払を示す証拠が大前提】
 まず、今回は姉の単独名義で取得した自宅の住宅ローンについて、そのローン代金について父と姉がそれぞれ別個に、分割して借り入れをしたケースです。
 ところで質問では、ローンの返済は姉の口座から引き落されていたということであれば、父が姉の口座にお金を入れていなければ父は実質的に1円も負担していないことになります。そうすると、父が支払った証拠がない本件では、調停や審判の場ではなによりも証拠が重視されるため、特別受益とは認められないものと思われます。

【親子間では光熱費の無償使用もありうる(ローンとの相殺)】
 次に、あなたは、父と姉との間に「父が姉に渡す(父名義部分の)ローンの支払資金と姉が父に支払うべき光熱費を相殺する」という約束があったことを主張されているようです。
 しかし、今回は父が姉にお金を渡した証拠がないため、第三者の立場から見れば「父は姉の家に無償で住ませてもらっていた」という状況に見えてしまいます。そのため、父はそもそも姉に光熱費を請求するつもりがなかったと裁判所は考えるしかない状況かもしれません。
 ここはあなたの側で父と姉との間に相殺の約束があったことを立証する必要があるでしょう。
 要するに、結局のところポイントは「父が姉にお金を渡していた証拠をいかに見つけ出すか」という点にあります。
 この証拠が見つけられないためにあなたの主張が通らないという事態が生じているのです。

【父名義のローン残債務は分担】
 父名義の住宅ローン残債務については、父の金融機関に対する債務ですので、相続人であるあなたと姉が相続分に応じて分割された債務を支払いする義務があることは間違いなく、対金融機関の関係で返済せざるを得ないでしょう。

【姉の家は遺産分割の対象にならない】
 そうすると、父の遺産分割の結果、姉はローンを分割してあなたに半分負担させることができるが、姉は自宅を丸ごと自分のものにできるという利益を受けることになります。これはたしかに不公平感があることでしょう。
 この点の解決方法としては、父の債務である住宅ローンで融資された金銭はその全額が、売買代金の決済の時点で姉の代金の支払いに充てられているはずであり、この分は贈与として特別受益に該当する可能性があります。
 裁判所はその点の立証ができていないといっているのであれば、その点を立証するよう全力を尽くされるといいでしょう。
 現在、弁護士に依頼されているようですので、その立証方法としてどのようなものがあるかどうか、その弁護士と協議されるといいでしょう。

【不正な預金解約は調停・審判で判断しにくい】
 最後に別途訴訟提起が必要と言われている点ですが、調停や審判は遺産であることが明らかな(ほぼ争いのない)遺産だけを取り扱う手続です。そのため、不正な預金解約(損害賠償請求)のように事実関係に大きな争いがあるものは調停で判断ができないのが通常です。その場合、別途訴訟を提起して遺産であることを確認することが必要であり、この点は裁判所の見解が一般的といえるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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14:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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