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混同により損害賠償請求権や遺留分は消滅するのか?【Q&A №614】

2018/08/27


【質問の要旨】

不正出金の責任も遺言で消滅するのか

記載内容  不正出金 混同 損害賠償

【ご質問内容】

原告(長男)は母に遺言書を書かせ相続し、被告側(三男)が生前母の治療保険金を不正費消したと損害賠償請求を起こしました。

被告側は全て治療費など母の費用に使用した主張。

被告は原告が母の生前多額の預金を不法に取得している事を反論し、原告の不法行為が認められ各相続人が損害賠償請求権があり、被告の遺留分を侵害していて、原告の訴えは全て棄却されましたが控訴してきました。

原告は控訴理由書にて不法行為でも損害賠償請求権は各相続人は取得するが、遺言書において母は全財産を長男に渡すと書いてあり、また混同で消滅するので、母が他の相続人に贈与する事を希望していないので遺留分も無いと主張してきました。

お聞きしたい事は

1、不法行為で損害賠償請求権を各相続人は取得すると思いますが、遺言書において母は全財産を原告に渡す(他の相続人を排除する事や目録含め具体的な事は書いていない)と書いてあり、原告分は混同で消滅すると思いますが、他の相続人に相続する
事を希望していない事と同様なので、混同によって他の相続人の損害賠償請求権や遺留分も消滅すると主張していますがそのような事は考えられるのでしょうか?

2、母が長男の事業の為に渡したと生前に言っている証拠がある場合、損害賠償請求権は無くなって、生前贈与となり特別受益と考えられますか?

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【他の相続人が取得するはずの損害賠償請求権が消滅するのか】
まず、本件では相続人が長男・二男・三男の3人とし、3分の1ずつ相続する場合を想定して回答します。
まず、《混同》とは、権利を持っているものが、義務を負う場合、権利と義務が同一の人に帰属するため、権利と義務がなくなるというものです。
義務が負う者が、権利を取得する場合にも同様に《混同》により権利義務がなくなります。
さて、今回の質問は、遺言があるので少しややこしいケースです。
(1)遺言がない場合と(2)遺言がある場合に分けて、混同で権利義務が消滅するかどうか、説明していきます。

(1) 遺言がない場合の混同について
遺言がない場合に不正出金による損害賠償請求権がどう相続されるのかを述べておきます。

①長男が母の預金の不正取得をしたのなら、母は長男に対し損害賠償請求権をもつ。
長男は母に対して損害賠償支払い義務を負う。
②母の死亡により相続開始すると、母が長男に対して有していた損害賠償請求権は、全相続人がその相続割合に応じて、分割相続する。
③上記②の分割相続の結果、・長男(相続分3分の1)は、母の損害賠償請求権の3分の1を取得する。
④長男は、損害賠償請求権全額の支払義務者でもあるので、相続した請求権(3分の1)の限度で、長男の損害賠償請求権は消滅する。
⑤しかし、残りの3分の2の損害賠償義務は消滅せず、他の相続人が請求をしてきた場合、その支払いに応じなければならない。

(2) 遺言がある場合の混同
①相続財産を全て長男に相続させる」という遺言がある場合、
母の有する損害賠償請求権はすべて長男に相続されます。
②長男は損害賠償全部の支払義務がありますが、①の結果、その請求権の全部を取得しますので、権利と義務の全てを取得するので、損害賠償請求権の全部が混同で消滅します。

【遺留分減殺請求権行使した後の混同について】
ところで長男以外の人が遺留分減殺請求権を行使した場合、このケースなら二男と三男がその遺留分(各6分の1。2人合計で3分の1)の限度で、損害賠償請求権を取得します。
そのため、長男としては、遺留分減殺の対象とならない3分の2の請求権を相続し、その限度で損害賠償請求権は混同で消滅します。
しかし、二男と三男が遺留分減殺で取得した3分の1については混同はせず、二男と三男に支払いをする必要があります。

【長男に対する生前贈与の扱い】
母が生前にその意思で長男に贈与した財産があれば、原則として特別受益になります。
長男の事業のために贈与したということなら、生計の資本としての贈与であり、特別受益になります。
法定相続人に対する特別受益であれば、遺留分を計算する際の計算の基礎となる相続財産に持ち戻されます。
なお、特別受益の場合、相続開始の1年以上前であっても、遺産に持ち戻されます。
その結果、二男・三男の遺留分が増えます。
 
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12:06 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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