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【相続判例散策】供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)

2018/06/26
供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?

名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)

【ケース】

被相続人が所有していた株式に関し発生した配当金等につき、債権者不確知(債権者が確定せず、誰に支払ってよいのかわからないこと)を理由に供託された。
この供託金について、一部の相続人が各相続分に応じて供託金の払渡請求(還付請求)をした。
その理由は、配当金債権等は分割債権であり、相続人は自己の相続分に応じてその権利を確定的に取得しているかというものである。
これに対して、法務局はこの払渡請求を却下した。
払渡請求を拒否された相続人が法務局の扱いに不服申立てし、その取消しを求めた。

【裁判所の判断の概略】

相続人が数人あるときは、遺産は、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するから、遺産である株式も共同相続人が(準)共有することになる。
しかし、相続開始後に発生した株式配当金は、遺産である株式から派生しているが、それとは別個の具体化した財産である。
この配当金請求権は、金銭債権であり、各共同相続人が、その相続分に応じて分割債権として確定的に取得する(平成16年(受)第1222号同17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁〔以下「平成17年判決」という。〕参照)ものであるから、法務局は支払い請求を認めなければならない。

【弁護士のコメント】

被相続人が所有していた株式は遺産であり、遺産分割の対象になります。
相続発生後にも、当然、株式の配当がなされます。
当該株式や不動産を誰が相続するか、遺産分割協議等によって確定していればその人に配当金を支払いすればいいのですが、相続する者が確定していない場合、配当金や賃料を支払う側としては、誰に支払えばよいのかわからない状況になり、法務局に供託するということがあります。
(同様のことは、賃貸不動産の賃料についても生じます)。
このような株式配当金について、遺産分割ができる前の段階で、各相続人がその相続分に応じた配当金を受け取れるのかどうかが問題になります。
今回、紹介した裁判例は、供託された配当金のうち、自らの相続分に相当する金額を請求したところ、法務局がこれを拒否したという事例ですが、裁判所は法務局の扱いは間違いであり、請求を認めるべきであるとの判断をしました。
なお、参考までに言えば、遺産中の賃貸不動産の賃料の扱いについても同様の問題が発生します。

※賃料に関する参考判例:
不動産自体は遺産ですが、それが賃貸されている場合に発生する賃料については同様の問題が発生します。
結論を簡単に言えば、株式配当金と同じく、賃貸不動産の賃料も独自の具体化した金銭債権であり、各相続人がその相続分に応じて請求ができるということになります(参考判例:最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁)。

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