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相続問題Q&A : 記事一覧
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生命保険金の特別受益について【Q&A №642】

2019/03/18


【質問の要旨】

生命保険が遺産に含まれる場合

記載内容  生命保険 みなし相続財産

【ご質問内容】

父が他界して相続が発生しました。
相続人は後妻さんと私(先妻の子)の2名です(養子縁組なし)。公正証書遺言があり預金500万円は後妻さんと私で折半、マンション1部屋(時価2,000万円)とその他一切の財産は、後妻さん相続となっています。
その他に生命保険金1,500万円(受取人名義は後妻さん)があります。
あと後妻さんが父の銀行口座からATMで引き出した500万円(葬儀費用等)と税金等の債務100万円ほどです。
このままですと私の相続額は遺留分600万円(後妻さんが引き出した500万円は含まない)、後妻さんは1,800万円です(後妻さんには遺留分減殺通知済み)。

生命保険金1,500万円(受取人名義は後妻さん)についての質問です。
生命保険金が遺産に占める割合が5割を超えると特別受益として持戻しの対象になる可能性があるとネットで見ました。
特別受益や債務等を含めた「みなし遺産」を遺産と考えて、生命保険金の割合を算出するのでしょうか。
それとも遺産とは父死亡時の父名義の遺産のみを遺産と考えて、生命保険金の割合を算出するのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

642


(ピエタ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【みなし相続財産には特別受益や債務も含む】
まず、遺留分を算出する大前提となる「みなし相続財産」は次の式で計算されます。
《現存する遺産+生前贈与額-負債=みなし相続財産》
その前提で考えると、遺留分は600万円ではなく、さらに生前贈与分(生前の引出分)の4分の1の額が加算されることになります(この点は後述します)。
生命保険は相続税の計算に際して加算されますが、これは税務のことです。
原則として、相続(民法)では遺産としては扱われません。

【裁判例における生命保険の扱い】
ただ、例外的に生命保険がいわゆる特別受益と扱われる場合があります。
裁判例では、遺産総額の約6割に匹敵する生命保険金の存在を理由に、生命保険を遺産に持ち戻すことを認めた裁判例があります(名古屋高等裁判所平成18年3月7日決定)。
この裁判例では、(生命保険金を除く)遺産総額が約8423万円で、これとは別に生命保険金額が約5154万円あった事案について、裁判所は遺産総額の約61%にも占める生命保険(5154万円÷8423万円=約61%)という事情の下で生命保険は遺産に持ち戻すことを認めました。
つまり、この裁判例では遺産総額を計算する際、生命保険以外の遺産総額を算出し、この遺産総額と生命保険額とを比べて遺産に持ち戻すべきか否かを判断したことになります。
(なお、この裁判例は家事審判という手続の性質上、被相続人の債務が考慮されていないことに注意が必要です。)
もちろん、遺産総額に対する割合だけで特別受益と決定されるわけではなく、生命保険金額がそもそも多額かどうか、生命保険を受け取った相続人と被相続人との関係など他の事情も考慮して遺産への持ち戻しを判断していることには注意が必要です。
(なお、当ブログNO.298でも同様の論点を取り扱っております。参考までに)

【本件にこの裁判例を当てはめた場合】
  (遺産総額)※生命保険以外 
    不動産     2000万円
    預貯金     500万円
    生前の出金  500万円(生前贈与と仮定)
    合計       3000万円

ここから負債(今回の案件では相続税の課税がないと思われるので、おそらく生前の未払税等)を100万円差し引くと
    みなし遺産額2900万円
と計算されます。
 ※なお、葬儀費用は(争いがありますが)遺留分から控除しない見解が一般的ですので、この計算では控除しておりません。

他方で、生命保険が1500万円ですので、生命保険が総遺産額に占める割合は 
    保険(1500万円)÷遺産(2900万円)=約51%
と計算されます。

前記の裁判例の割合(61%)と比べるとやや低めの割合であり、持ち戻しを認めてもらうには少し厳しい状況といえるでしょう。
ただ、あなたの計算では遺留分は600万円のようですが、遺産2900万円として遺留分(4分の1)を計算すると725万円程度になります。
参考になれば幸いです。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
16:22 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続人名義の通帳が遺産分割対象であることを主張したい【Q&A №641】

2019/03/07


【質問の要旨】

他人名義の投信が遺産であると立証する方法

記載内容  投資信託 名義 管理 

【ご質問内容】

現在遺産分割の話し合い中です。
銀行口座Aは相続人1の名義ですが、実際には被相続人が管理し被相続人自身の金銭を振り込んで投資信託を運用していました。
相続人1は上記を否定し自身が管理していたと主張しています。また相続人1は被相続人の家から口座Aの最新の通帳を持ち出してしまいました。
被相続人の家には口座Aの通帳のうち繰越済みのものが残されていますが、被相続人の筆跡で書き込みがありました。
口座Aは被相続人が運用していたもので、預金や投資信託利益が相続対象であると考えましたが、この主張は可能でしょうか?
また、上記主張をするのに
・被相続人の家で保管している
・被相続人の筆跡で多くの書き込みがある
・投資信託購入の履歴がある
だけで足りるでしょうか?必要なものがわかれば教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。

641


(アメリカンショートヘア)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産と言いたい場合、誰が何を証明するのか?】
相続人名義の投資信託していた場合、被相続人の遺産だと主張するためにはどのようにすればいいのかという質問です。
相続人名義ですが、それは被相続人の遺産だというのであれば、その点は、遺産だと主張する人が証明する必要があります。

【どのような事実を証明する必要があるのか?】
裁判では投資信託にかかわるあらゆる事情(諸般の事情)が考慮されますが、特に重視されるのは次の2点です。
① その投資信託の購入資金は誰が出したのか、また、その解約して払い戻しした金銭は誰が取得したのか?
② その投資信託の管理運営(買付、売却の指示)は誰がしていたのか。
上記①を証明するためには被相続人の口座の履歴と投資信託の入出金履歴を対比して検討する必要があります。
また、相続人には投資信託を買うような経済的余裕はなかったという点の調査も必要不可欠でしょう。
また、前記②を証明するには、証券会社から来る報告書がどこ宛に送付されてきたのかなども調べる必要があります。

【具体的な検討をすると・・】
前記①の原資を出したり利益を得たりした人が被相続人であれば、その投資信託は遺産になる可能性が高いです。
特に証券会社への買付等の指示を被相続人がしていた、また、報告書も被相続人の手元に送られていたというのであれば、遺産である可能性はさらに高くなります。
逆に前記①で原資を出したり利益を得たりした人が相続人であれば、その投資信託は遺産でなくなる可能性が高いということになります。
今回の質問では《通帳》は被相続人が管理していたはずなのに、現在は相続人が管理していたということのようです。
そのため、あなたのとるべき対策としては
① 原資の点:投資信託の原資を出し、利益を受けたのが被相続人であることを調査する。
② 管理の点:口座の管理については、繰越前の通帳があることで、被相続人が管理していたことがある程度推測されます。
現在の通帳は相続人が管理しているようですが、証券会社などが被相続人宛に報告書を送付していたのなら、被相続人が管理をしている証拠として使えると思いますので、その点の手配もするといいでしょう。

【証明する場合に注意すべき事項】
裁判所は事実を重視します。
事実とは、銀行や証券会社の取引履歴などは客観的な資料であり、これを前提として、証明を展開していくといいでしょう。
このような客観的事実を無視して、《あの人がこう言った、ああ言った》という点は、裁判所はあまり重視しませんので、その点は十分に理解しておくと言いでしょう。
なお、参考例として私が担当した事件(解決例:控訴審から受任し、原審の12倍の6000万円を獲得した大逆転事件)をご覧ください。
ある程度共通するところがあり、参考になると思います。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:03 遺産分割のトラブル | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

実際の審理方法について教えて下さい【Q&A №639】

2019/03/04


【質問の要旨】

不正出金についての訴訟における裁判所の判断

記載内容  使い込み 引出しを依頼 メモ 

【ご質問内容】

相続時の使い込み訴訟の審理方法を教えて下さい。
問題の引出しは100回あるのですが、被告は「引出した事は認めるが、全額渡した。」と抗弁しました。

この場合、1回1回の引出しについて抗弁事由を立証していく訳ですが、100回のうち40回分だけ被相続人が引出しを依頼したメモなどがあったとします。
そうすると裁判官は以下のどちらの審理方法をとるのでしょうか?

①40回のメモがあるのだから、残り60回は「メモが残っていないけど、依頼があったと考える。」
つまり、一部の立証で、残りも立証できる。

②40回のメモがあったけど、残り60回は「その分は勝手に引き出したのではないか。」
つまり、一部を立証できたからといって、残りの部分も立証できたことにはしない。

639


(ララップ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【裁判官がどのように考え、判決をするかはケースバイケースだが】
裁判官がどのような過程で判決の結論に至るかについては、それぞれの裁判官により異なります。
また、問題となる案件の事情、証明の程度によっても異なります。
そのことをわかっていただいたうえで、通常はこのようになるのではという、私(弁護士大澤)の個人的な見解を説明します。

【私が裁判官ならこう考える】
100回の出金のうち、40回については、指示についてのメモがあったということですが、それだけでは、裁判官が残りの60回についてどのように考えるかを判断するのは難しいです。
判決などお読みになると、《諸般の事情を考慮して》というような記載にお気づきになるでしょう。
これは、1つや2つの事実だけではなく、その他にも多くの事情を考慮していますということを裁判官が言っていると理解していいでしょう。
ただ、関連事実の中には《結果に重大な影響を与える事実》もあれば、それほどでもない事実もあります。

【問題点から見た重要な事実は何か?】
今回は《無断で引き出した》ということが問題になっていますので、そのような案件の問題点を整理しておきましょう。
 ① 無断で引き出したか?
 ② どういう使途に使われたか?
 ③ 引き出し額はいくらであったのか?
 ④ 被相続人に渡したという点をどう考えるか?
これらが、裁判官が注目するであろう事実です。
ところで、上記①と②、③、④はそれぞれが相互に微妙に関連します。
例えば、仮に無断で引き出したとしても、その払い戻し金の使途が被相続人のためであれば、それは被相続人の暗黙の了解があったと判断される可能性が高いでしょう。
しかし、他の40回にメモがあるのに、メモのない60回の出金が多額であるとすると無断出金の可能性が高いということになるでしょう。
また、被告は、被相続人に渡したという主張のようですが、もし、その渡したという点が証明されるなら、それは被相続人の暗黙の了解があったという風に判断される可能性が高くなります。

【その他の事情も関連する】
上記①~④が今回のような案件で重要な事実ですが、しかし、仮に被相続人が認知症ということになると、認知症の程度が重要な事実になってきます。
そのため、メモの回数だけでは、裁判官の判断はどちらにも行く可能性があるというしかありません。

【事実関係は複雑に絡み合う】
前項に述べたように、事実関係は複雑に絡み合っています。
そのため、どの点を重要な事実と見、また、その事実をどのように組み合わせて結論に至るのかは裁判官が独自に判断することです。
また、有利な事実や不利の事実が入り混じる中で、どのような事実を選択し、どのように組み合わせて説得力のある主張を展開するか、それが弁護士の能力です。
今回の件、相続に詳しい弁護士にいろんな事実を説明したうえで、意見(現在、弁護士がついているのならセカンドオピニオンになりますが)をお聞きになるといいでしょう。
そうすると回数だけでは結論がでるものではないということがお分かりになると思います。
大澤龍司法律事務所
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14:45 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言書で遺贈を記した銀行口座について【Q&A №638】

2019/02/19


【質問の要旨】

遺贈された口座にお金を移した場合

記載内容  預金口座 遺贈 不正出金 

【ご質問内容】

被相続人Aが、遺言書で相続人Bに遺贈を記したA名義の銀行口座があります。
Aが生前中に、Bが当該口座にA名義のの別口座からお金を移していた口座記録が有ります。
(Aが逝去後、遺贈を受ける銀行口座の相続金額を増やそうとしていたと推定されます)
このような場合は、他の相続人がBの不法行為として損害賠償請求するのは可能でしょうか?
ご教示お願い致します。

638


(天の声)



 ※敬称略とさせていただきます。

【不法行為は成立しない可能性が高い】
不法行為は損害を受けた時に、その被害者が加害者に損害の賠償を求めるものです。
今回の、被相続人Aの口座間の金銭の移動の場合について考えます。
この場合、被害者がAだとすると、Aは、自分の口座間で財産の移動があったことは間違いないのですが、それだけで、金銭的な損害を受けていません。
そのため、損害がなく、不法行為にはならない可能性が高いでしょう。
次に、他の相続人(例えば、あなた)の立場に立てば、Bの行為であなたがもらう額は減少するかもしれません。
しかし、その行為の時点では、あなたは将来、相続を受ける立場(推定相続人)ではあっても、未だ、具体的な相続権は発生しておらず、損害はないといわざるをえません。
そのため、あなたに対する不法行為も成立はしないと判断されます。

【あなたはどういう方針で対処するべきか】
あなたがこの問題に関与できるのは、Aが死亡した後です。
その時点では、あなたは相続人になっていますし、Bの行為によりあなたのもらう額が減額されているとしましょう。
このような場合のあなたの対処方針ですが、《Bのした口座間移動はAの意思に基づかないものであり、無効である》という点で、Bを攻めるといいでしょう。
口座間移動が無効とした場合、Bはその口座間移動で移った増額分を取得できないはずです。
その法的構成をどうするかは、やや難しい面があるので、相続に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。
ただ、口座間の金銭の移動の手続きをBがしたという証拠も必要です。
口座の送金の依頼書がBの筆跡なのか、また、その際、BがAの意思に反してそのような行動をしたという証拠があるのか、それらもきっちりと押さえておくといいでしょう。
いずれにせよ、弁護士に相談され、法的構成、立証方法等を綿密に協議されるがいい案件だと思います。
大澤龍司法律事務所
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17:41 相続財産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父の遺産遺留分について【Q&A №637】

2019/02/19


【質問の要旨】

夫が借りたお金が遺留分に影響するか

記載内容  遺留分 自己破産 借りた 

【ご質問内容】

実父が生前に夫が父に自己破産時に借りたお金は私の遺留分から引かれるのでしょうか?

637


(ナナ)



 ※敬称略とさせていただきます。


【父が夫に貸した金銭の扱い】
被相続人があなたの夫に貸した金銭は、父の夫に対する貸金であり、貸金債権として遺産に含まれます。
そのため、当然、遺留分減殺請求をする際の基礎財産に含まれます。

【遺留分減殺との関係について】

今回の質問では、遺留分が問題となっていますので、遺言書等で特定の人に多額の財産がいくようなケースなのでしょう。
もし、あなたが遺留分減殺請求をする側であれば、父から夫への債権も含んだうえで、遺留分額を計算するといいでしょう。

【あなたが遺留分請求するとき、夫の借金で相殺されることはない】
他の相続人(例えば兄とします)が父からの遺産を全部相続するケースで言えば、あなたは遺留分額を兄からもらうことができます。
この際、権利関係を整理すると次のようになります。
 ・あなたは兄に対して遺留分を請求できます。
 ・兄は夫へ貸金請求ができます。
夫とあなたとは夫婦という関係であっても、借金などの債権関係では、まったく別人として扱われます。
夫が借金をしていても、法的にはあなたがその借金を支払う義務はありません。
そのため、兄が、夫への貸金があることを理由にあなたへの遺留分を減額しようとするなら、《その貸金は夫に請求するべきものであって、遺留分の減額事由にはならないし、相殺もできない》といって、遺留分全額をもらうといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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16:33 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

委任状無しに多額の払い戻しをするのでしょうか【Q&A №636】

2019/01/17


【質問の要旨】

委任状なしに払い戻した銀行の姿勢

記載内容  委任状 払戻 不正出金 

【ご質問内容】

父の相続に際し、多額の使途不明金問題が発生しました。
相続人は、兄、私、妹の3人です。母はすでに亡くなっています。
父は生前、軽度の認知症がありましたが、兄一家と同居していました。
父の取引履歴を取り寄せたところ、一度に300万、400万、500万、600万という高額な払戻し(現金で持ち帰り)があり、全て一つの銀行です。
銀行に伝票をとりよせたら全てが兄嫁の筆跡でした。
そこで銀行に、父が引出しの際に同席したかどうかを確認すると「同席はしていないが、同居のお嫁さんだから問題ない。父には電話確認した。」と回答されました。
さらに引出しの際の委任状も開示を求めましたが、「同居のお嫁さんだから委任状の必要はない」と回答がありました。
私としては、数百万もの大金をたとえ同居人であっても口座名義人でない人に渡す銀行の対応に驚いているのですが問題ないのでしょうか?

636


(みい)



 ※敬称略とさせていただきます。

【基本は通帳と印鑑の一致で確認】

最近の金融機関は本人確認が厳格になってきているため、大口の金額を窓口出金する場合、本人確認や委任状を要求することが一般的になってきています。
 他方で、未だに同居の親族の出金について、本人の体調不良などを申し出れば、委任状がなくとも親族の本人確認証(免許証等)を確認して出金に応じるようなケースも相続案件で見られます。
 しかし、銀行が通帳と届出印鑑の一致を確認していたのであれば、よほど無権限であることを疑わせる特殊な事情がない限り、引き出しについて銀行の責任を認められることはありません。
もちろん、なにか疑わしい事情があれば裁判所も銀行の責任を認めることはあるでしょうが、やはり例外的と考えざるを得ません。
それくらい通帳と届出印鑑を持参した、という事実は重いのです。

【委任状ではなく「父の意思確認」の有無が重要】

しかも、銀行は「父には電話確認した」と一応の本人確認手続を行った事情があるようですので、本人の意思確認もしているようですから、これらの立証を崩さない限り、銀行の出金手続が違法であるとは言いにくいと思われます。
 厳密に言えば、重要なのは委任状の有無ではなく、「父の意思確認」の有無なのです。
本人の意思確認ができたのであれば、委任状でも、電話確認でも、あるいは本人同席の下で伝票記載を兄嫁が代行しても構いません。
 本件で銀行に対する責任追及、というのは難しいでしょう。

【問題は本人の意思が反映されたか否か】
 
仮に銀行の手続に問題があったとしても、結局のところ本人の意思が反映された出金であれば問題ありません。たとえば、父が兄嫁に対し「全額引き出して構わない。」とか「贈与する」などという意思を伝えていれば出金は権限に基づく適法なものということになります(実際上このような事態は考えにくいかもしれませんが)。
 そのため、今回は銀行に対する責任よりも、兄嫁(ないしその夫である兄)に対して引き出した預金をどこに移動させたのか、どのような使途に使ったのか、という点を問い質していくことが現実的な方策といえるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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相手の説明の変更について裁判への影響【Q&A №635】

2019/01/10


【質問の要旨】

不正出金を追求する方法

記載内容  遺産分割 引出し 頼まれた 

【ご質問内容】

昨年86歳で亡くなった母の遺産分割で、母と同居していた弟夫婦から相続放棄を求められています。
理由は「母の財産はほとんど無いから」との事です。
(父は他界しており、母の遺産の相続人は私と弟の二人だけです。)
そこで、弟夫婦に対して母の財産管理について確認すると「私達は母の通帳を管理していない。母が亡くなって初めて母の通帳を見たら残額が無くなっていた。」や「預金については母が自分で引出しをしていた。私達夫婦は関わっていない。」とメールで回答が来ました。
私としては、母が父から3000万円もの預金を相続したのに、わずか2年で使い切るなど考えられませんでしたし、母には比較的多額の年金収入もあり預金を崩す事も考え難いので、母の取引履歴と引出し伝票を取り寄せました。すると引出しのほとんどが弟の勤務先近くのATMで月に数十万円も引き出されており、ATMで引き出せない額については弟の筆跡のある伝票が出てきました。
それを弟夫婦に伝えたところ、「全ての引出しは母の頼まれたからです。」とメールで回答が来ました。
今回教えて頂きたいのは、2点あります。
(1)これだけの証拠で裁判で戦えるのでしょうか?
私が証明できるのは、①母の預金を弟が引き出した事、②それが多額過ぎる事(不自然だというとこ)だけです。
(2)上記の通り、取引履歴を取る前と後で弟夫婦の回答が変わっています。これは裁判で使える事なのでしょうか?

【補足】

ご質問させて頂いた内容について、お伺いしたい内容が明確でなかったかと思い、補足させて頂きたく投稿致しました。

真にお伺いしたい事は、取引履歴の取得前と後で、相手の説明が変更となることについて裁判にどう影響するかどうかです。(まだ裁判はしていませんが)

〈取得前の弟の説明〉
母の財産管理については「関わっていない。残高も知らない。引出しも行っていない」という説明

〈取得後の弟の説明〉
「全て母に頼まれた。引き出したお金も全部母に手渡した」という説明
に変わりました。
この変化について裁判に影響はありますでしょうか?

635


(はって2344)



 ※敬称略とさせていただきます。

【弟が出金したことについては、ある程度証拠がそろっている】
出金状況については、すでにだいたい調査をされ、弟の勤務先近くのATMや、弟の筆跡の出金伝票でもって出金されたことが明らかになっているようであり、弟も自身が出金したことをメールで認めているようです。
他に母の有していた口座はないか、追加の調査が必要となる可能性はありますが、それを除けば、「弟が出金した」という事実については、証拠がある程度そろっているといえます。

【ただ、出金した金員を弟が取得したことの証拠は不十分】
ただ、使途不明金の返還を求めるためには、弟が母の預金を出金したという事実だけでは足りません。
現在、弟は「母に頼まれて出金した」という主張をしているようであり、「出金した金員は母に渡したから何に使ったかは知らない」といわれてしまえば、出金した金員を弟が取得した事実については、あなたが立証しなければなりません。
この立証はなかなか難しく、
① 出金金額が多額であるか(一般に月に十数万円程度なら生活費相当額と判断されやすい)
② 母が金員を必要とする理由があったか
③ それまでの母の出金態様と弟が出金を始めてからの出金態様に変化があるか
等の事実をうまく利用して、母が使ったとの弟の証言が不自然であることを主張していくことになります。
また、当時母に意思能力がなければ、弟に対して出金を依頼するということも不可能ですので、もしもその可能性があるのであれば、当時の母のカルテや診療記録を取り寄せして確認することが必要になります。

【弟の説明が変わっていることも不自然さの証拠の一つにはなる】
最後に、あなたによる調査前と調査後で弟側の説明が変わった点ですが、事実を隠蔽しようとしている節が見受けられ、発言に信用性がないということで、他の証拠と合わせて、弟が出金した金員を取得したことの証拠の一つにはなりえます。
ただ、発言の変遷だけで、弟が取得したことの立証ができたとはいえませんので、あくまでも上記に述べたとおりの他の事実と合わせて、効果を発揮するものといえるでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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亡き父の養父母との養子縁組離縁無効を主張したい【Q&A №634】

2018/12/25


【質問の要旨】

離縁された養子の子(孫)は祖父の相続人か

記載内容  養子 離縁 代襲相続 

【ご質問内容】

私の父は養父母と養子縁組をしておりました。
その後私の母と結婚して私が生まれたのですが、私が3歳になる前に離婚をし会わな
いまま父は15年前に他界しておりました。
わたしが34歳になる現在亡き父の事を知りたく戸籍を辿ってみました
そこで初めて父と養父母との養子縁組は私が生後10ヶ月の頃に離縁されていたので
す!
父と母は私が2歳の頃まで養父母と同居しており
母も養父母との離縁など知らなかったのです。
父も養父母と離縁しているなら同居はしなかったと考えております!
そして10年ちょっと前に養母が亡くなった頃は多少行き来してましたが離縁の事は何
も言ってませんでした!父の事を息子と言い私は孫だと養母が言っていました。
1年ちょっと前に養父が亡くなったのを最近知りました。
そこでおそらく養父が離縁を勝手に行なっていた為私には離縁がなされていなければ
養子の子として代襲相続があるはずのものが離縁により失われていると思われます!
そこで父の離縁を無効だと私が請求する事は可能でしょうか?土地建物は今おそらく
養父の弟の娘に渡っています。悔しくて仕方ありません、よろしくお願いします!!

634


(カビゴン)



 ※敬称略とさせていただきます。

【離縁した養子の子には代襲相続は発生しない】
養子縁組をした場合、養親と養子とは親子という関係になります。
そのため、離縁にならない限り、養子は実の子と同じ扱いを受けます。
従って、養子の方が養親より先に死亡した場合、養子に子(養親から言えば孫)があれば、その孫は代襲相続人になります。
しかし、養子が離縁した場合、養親と養子との親子関係は解消され、《赤の他人》になりますので、相続関係は発生せず、養子は養親の遺産をもらうことはできません。
そのため、養子が相続人であることを前提している代償相続も発生せず、離縁した子の子であるあなたには代襲相続が発生しません。
この点はあなたの理解どおりでいいかと思います。

【離縁の無効の証明】
今回、問題となるのは、質問者のあなたの父(養子)とその養親との間の離縁が無効ではないかという点です。
無効であれば、あなたがお考えのように、あなたは代襲相続人になることができます。
ただ、戸籍上は離縁と記載されている以上、それが無効であることは、無効を主張するあなたが証明する必要があります。
戸籍上の離縁の記載があった後も、同居などが続いていたのであれば、あなたとしては離縁が果たしてあったのかという疑念を持つ気持ちは良くわかります。
しかし、離縁後に同居していたというだけでは、無効の証明としては不十分です。
戸籍上、離縁が記載されているのであれば、離縁届があるはずです。
離縁届があれば問題点を絞ることができます。
離縁届には離縁の原因が記載されています。
もし、それば裁判や調停による離縁であれば、争うことは困難です。
もし、合意による離縁であれば、父に離縁の意思がなかったという点を証明する必要があります。
そのために、離縁届に記載されたあなたの父の署名捺印を検討し、それが偽造されたと言うことが考えられます。
但し、筆跡鑑定はそれほど確度の高いものではありませんので、同鑑定だけで偽造ということを証明するのはなかなか困難というのが実情です。
次に、離縁届の保存期間は27年程度であるため、今回の質問のように30数年も前に届け出された離縁届が保存されているのか、又、入手できるか、極めて疑問であるという点も考慮しておく必要があります。
更に、父が死亡しているため、離縁についてのあなたに有利な事情を聞くことができないという点も、不利益に働きます。
以上の点を考慮すると、離縁後も同居していたというあなたの主張に沿った有利な事実はあるものの、それでは不十分であり、その他の事実が証明できない限り、離縁が認められると判断される可能性が高いように思います。
大澤龍司法律事務所
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相続後の不動産の遺産分配について【Q&A №633】

2018/12/10


【質問の要旨】

登記完了後の代償金請求

記載内容  遺産相続 登記 現金で要求 

【ご質問内容】

父はすでに他界しており、母が今年死亡しました。
相続人は私(長男)と姉(長女)です。
母の住んでいた実家の土地、家屋の遺産相続は長男の私の相続として、すでに登記が終了しております。
その時点では姉も納得していたのですが、今になって価値の半分を現金で要求されています。
法律的にこの要求は正当でしょうか?
尚、預金等は折半しています。

633


(ブラウン)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺産分割協議書を作成しているか】
相続が発生すると、その相続人らは協議をし、遺産をどのように分けるか話し合います。
話し合いの結果、分け方が決まれば、その内容を「遺産分割協議書」という書面にし、相続人全員が署名及び実印での捺印をして印鑑証明書を添付します。
各相続人らは、この遺産分割協議書をもって、銀行手続や登記手続きを行うということになります。
今回、あなたはすでに、実家の土地建物について、登記を済ませたとのことですので、おそらく遺産分割協議書を作成しているのだと思われます。

【遺産分割協議書を作成していれば、その内容通りの分割になる】
お姉さんとしては、遺産分割協議の際に、「あなたに不動産は渡すけど、価値の半分を代償金として支払ってくれ」という主張をすることはできましたし、その主張はもっともなものといえます。
ただ、代償金をもらわない前提の遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしたとなると、その内容を理解し、納得していたとみなされますので、それに反した主張をすることは難しいです。
そのため、あなたとしては、遺産分割協議書ですでに合意しているのだから、それ以外の請求には応じることはできない、とお姉さんに伝えるとよいでしょう。

(岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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遺留分請求には相続放棄で良いのでしょうか?【Q&A №632】

2018/11/26


【質問の要旨】

遺留分減殺請求と相続放棄

記載内容  遺留分 相続放棄 特別受益 

【ご質問内容】

いつもこちらのブログを拝見し、相続について色々と学ばせて頂いております。
その中で遺留分というのは、法律で保証された最低限の取り分であるという認識でいるのですが、私の中で「遺留分でさえも相続放棄には敵わない」のではないかという気がしてなりません。

例えば、被相続人の財産(プラスの財産、マイナスの財産どちらも)がほとんど無い一方で、それまでに相続人の一人が何千万もの生前贈与を受けていたとします。
そうすると、何千万もの生前贈与が特別受益となり、この相続人は他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性がでてくるかと思います。
そこで、この相続人は、被相続人の「ほとんど無い遺産」を相続するより、いっそのこと相続放棄を行い、はじめから相続人でなくなれば、他の相続人から遺留分減殺請求を受けずに済むのではないかと思うのです。

私の安易な考えですが、もしこれが可能なら先に述べた「遺留分さえも相続放棄に敵わない」が現実になってしまい、法律が保証する意味がなくなってしまうのではないかと思っています。
実際は、相続放棄を行う事で遺留分減殺請求を免れることは可能なのでしょうか?

632


(テルオ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【遺留分算定の基礎となる財産】
遺留分算定の際には、相続開始時に被相続人が有したプラスの財産に、被相続人が贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して算定します(民法1029条)。
このとき加算される贈与の範囲は、次のとおりです。
① 相続開始前の1年間になされた贈与(民法1030条前段)
② 遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与(民法1030条後段)
③ 不相当な対価でなされた有償処分(民法1039条)
④ 特別受益としての贈与(最高裁裁判例 リンク:【相続判例散策】特別受益分はどこまで遺留分減殺の対象になるのか?

【特別受益というのは、相続人に対する贈与】
上記のうち、特別受益というのは、相続人に対して、被相続人から生前になされた贈与又は相続開始後になされた遺贈のことを言います。
民法の条文には、特に記載はないのですが、相続人に対してなされた贈与については、相続開始1年前か否かを問わず、また、損害を加えることの認識の有無を問わず、すべて遺留分減殺の計算の際の基礎財産に加算されます。

【相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされる】
ただ、相続放棄をすると、その効果として、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
そのため、生前に多額の贈与を受けた上で相続放棄をされてしまうと、その方への贈与は、上記④特別受益として遺留分算定の基礎に加算することはできません。
その結果、上記①相続開始前の1年間の間になされた贈与又は②遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与として遺留分の基礎に入れられないかを考えるしかありません。
したがって、あなたが考えておられるように、相続放棄をすることによって遺留分減殺請求を免れるということは、やりようによっては可能ということになってしまいます。
ただ、上に述べたような結論には当事務所の弁護士間で異論があります。
今回のようなケースで、遺産が1000万円しかなく、その全部をAが生前贈与を受けた後、相続放棄をすると、あなた方はAに遺留分減殺請求は一切できないことになります。
しかし、もともと、特別受益分を持ち戻すというのは条文にはないのに、最高裁が《公平の観点》から認めた制度です。
上記のケースでAが相続放棄したので、遺留分請求はできないというと、多額あるいは全部の遺産の生前贈与を受けた人にも遺留分請求できないという結論になります。
しかし、これはあまりに公平を害します。
遺言書などである人が全部の遺産を相続できると記載されていても、最低限度の遺産を他の法定相続人に取得させるというのが遺留分制度です。
この点を考慮すると、相続放棄しても、その人の生前贈与分は遺留分減殺の基礎財産になるというのが公平な結論であり、裁判にでもなればそのような結果になるということも考えておく必要がありそうです。

(岡井理紗、大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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17:53 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

このケースで遺留分の請求はできますか?【Q&A №631】

2018/11/13


【質問の要旨】

遺留分減殺請求の可否

記載内容  遺留分 贈与 遺言書 

【ご質問内容】

父が亡くなり、これから父の遺産相続について話し合いを行うのですが、相続人は兄と私(弟)の2人です。
父は6年間、兄と同居していました。その後亡くなる迄の4年間は私が引き取りました。
父が認知症となり、兄が面倒を見ることを放棄したからです。
引き取って、父の残高が少な過ぎることに気づき兄に聞いたら「贈与された」と言って父の自筆で書かれた覚書のようなものを提示してきました。
それには「〇(父)は〇(兄)に500万円贈与します。」と書かれていました。
父の自筆で書かれていたので、モヤモヤした気持ちでしたが反論できませんでした。
実際に兄の口座に送金されていました。
それから、何とか頑張ってみたのですが、父の入院などもあり、亡くなった時の残高は50万円しかありませんでした。
先日、遺言書が見つかり、そこには「残った遺産は〇(私)に全部あげる。」と書いてありました。
すると兄が「遺留分」ということを言い出し「12万5千円は俺に権利がある」と言うのです。
調べたところ「法定相続分の2分の1」との事でしたので、兄の言う事もあながち間違いではないのかと思います。
その一方で「兄さんは7年前に500万も贈与してもらっているのに。」という気持ちもあります。

そこで教えて頂きたいのですが、やはり兄は遺留分を受け取る事が出来てしまうのでしょうか?
そして、遺留分という制度は、前述の500万の贈与を考慮してはくれないのでしょうか?

631


(コウキ)



 ※敬称略とさせていただきます。


【兄の遺留分の問題ではなく、逆にあなたが遺留分を請求するケース】
すべての遺産をあなたに相続させるという内容の遺言書があったのに対して、他の相続人である兄が遺留分を請求してきたということですが、今回の案件では兄は遺留分を請求することはできません。
むしろ、あなたが遺留分の請求をすることができます。

【遺留分計算のしかた】
他の相続人が兄だけですので、あなたの遺留分は4分の1です。
問題は、遺留分を計算するときの前提となる遺産の範囲です。
死亡時に残っていた遺産(本件では50万円)だけではなく、生前の贈与も遺産に加算して、遺留分計算します。
今回の質問の場合、
死亡時の遺産:50万円+生前の兄への贈与:500万円=550万円
が、遺留分計算の基礎財産になります。
額は550万円であり、兄の遺留分は、その4分の1の137万5000円となります。
ただ、兄はすでに生前に500万円をもらっていますので、遺留分額を超えた財産をもらっており、兄は遺留分を請求できません。

【むしろあなたが遺留分減殺請求をすべき】
あなたも遺留分は4分の1の137万5000円です。
しかし、あなたは50万円の遺贈を受けただけですので、遺留分に達する金額をもらっていないということになります。
そのため、あなたは。遺産の50万円を全部もらう意外に、兄からさらに87万5000円を請求することが可能です。
法律では生前贈与を遺留分計算に算入するためには、相続開始前の1年間の贈与か、あるいは遺留分侵害を知って贈与された場合に限定されています。

(参考:民法第1030条)
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。


しかし、これまでの裁判所の判例(外部リンク:最三小判H10.3.24(民集52巻2号433P))で、法定相続人が生前贈与を受けるなど、特別受益がある場合には、当然に遺産に持ち戻して、遺留分計算をすることになっています。

【遺留分の請求は原則、相続開始から1年以内】
遺留分減殺請求は、原則として、相続の開始の日から1年以内にすることが必要です。
そのため、あなたが兄に遺留分請求をしたいのなら、この1年の期間が経過しないうちに、早急に請求をしたという証拠が残る内容証明郵便で、遺留分請求をされるといいでしょう。

【生前に不審な出金はないか、念のために調査する必要がある】
なお、今回の事案では、あなたがお父さんを引き取った際に、預金残高が少ないと感じられたとのことであり、500万円の贈与の他にも、兄が出金した金員がある可能性もあります。
お父さんの預貯金の取引履歴を取得し、使途不明な出金がないかどうかは、念のため調査された方がよいでしょう。
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相続放棄と非上場株式【Q&A №630】

2018/11/13


【質問の要旨】

株主の過半数が相続放棄した株式

記載内容  株式 取締役 任期 


【ご質問内容】

父が他界しましたが、多くの債務及び債務保証があり相続人全員が相続放棄をしました。
父は生前、父が代表取締役を務める非上場会社の株式を60%所有していました。
現在長女である私が父に代わって経営を続けておりますが、父の死亡後私及びその他の取締役3名の任期は切れています。
私が代表取締役に就任し経営を続けていきたいと考えていますが、私たち3名の取締役の重任及び私の代表取締役選任のためにどのような手続きを行えばよろしいでしょうか。

630


(あい)



 ※敬称略とさせていただきます。

【相続放棄した場合の会社株式の保有者は誰か?】
まず、法定相続人全員が相続放棄をした場合、会社の株式は誰のものになるのかを説明します。
父が持っていた株式は誰にも属さないという状態になります。
このままでは誰も株式を保有しておらず、株主としての権利を行使できません。

【会社の経営は誰がするのか?】
これまでは、父が会社の社長(代表取締役。以下、社長といいます)だったのでしょうが、その死亡で社長がいなくなります。
このままでは社長不在となり、会社経営に支障が出ます。
そのため、早急に社長を選任する必要があります。
また、取締役の任期も満了しているということですので、新たに取締役を選任する必要もあります。

【取締役、社長の選任の原則】
ご存知だと思いますが、取締役は株主総会で選任されます。
また、社長は新たに選任された取締役で構成される取締役会で選任することが必要です。

【今回の場合、総会は開催できません】
ところで、現状の株主構成では取締役を選任する株主総会は開催できません。
なぜなら、総会を開催する場合には株式の過半数を保有する株主の出席が必要です(定足数といいます)が、父の60%の株式は相続放棄で宙に浮いた状態になっており、権利行使できません。
そのため、残りの40%では総会は開催できないということになります。

【やむを得ない暫定的な措置として取りうる手段】
取締役の任期が満了したが、新たに取締役を選任されない場合には従来の取締役が、引き続き取締役としての任務を果たすことになります。

(参考条文)
会社法 第346条(役員等に欠員を生じた場合の措置)
1.役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。(後略)


社長の選任は、取締役会ですることになるので、(既に任期が満了した)取締役で取締役会を開催し、社長を選任することになります。
あなたが取締役であったのなら、そのような手続きで社長になる方法があります。
しかし、あなたが取締役ではなかったとすれば、あなたが社長になることはできないので、ご注意ください。

【遺産株式の処理は相続財産管理人がする】
今後、法律的に問題のないように会社を運営するには、父の株式をあなたあるいはその他の会社関係者が取得する必要があります。
取得のためには、家庭裁判所に相続財産管理の選任の申請をし、その選任された財産管理人から株式を買い受けることになります。
相続財産管理人の選任のためには約90万円の予納金(裁判所に納める金銭)が必要であり、また、株式の取得のための買い取り価額(財産管理人との交渉になる)の支払いが必要であることにご注意ください。
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13:17 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

使途不明金問題の被告の反論について【Q&A №629】

2018/11/06


【質問の要旨】

使途不明金の主張立証責任

記載内容  使途不明金 引き出し 返還 


【ご質問内容】

亡くなった母の相続の際に、母と長年同居していた兄が通帳の開示を拒んでいました。
怪しいと思い、取引履歴を取り寄せたら予想通り多額の使途不明金の存在がありました。
その総額は、母が亡くなる5年前からで4000万にもなります。
引き出しは一度に20万~50万で、引き出し額の合計が100万になる月もありました。
ATMを使えない母でしたので、引き出し行為を行ったのは兄があっさりと認めました。
一方で、「母から頼まれて引き出した。引き出したお金は全部母に渡している。その後、母が何に使ったのかは知らない。」と言っています。
先日、役所で開催された法律相談で弁護士に相談したら「兄が母親に渡したと言うのであれば、母親が受け取っていない事をこちらが立証しないと無理です。
従って裁判では返還を求めるのは無理に近い。
ほとんどの裁判で、被相続人に渡したと言って逃げることができてしまっている。」と言われました。

今回、初めて相続に強い弁護士さんの質問コーナーを発見し、ご質問させて頂きました。

629


(フルホビ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【訴訟で争われる典型的なケースです】
今回の質問のケースは、同居の法定相続人が被相続人の財産をカード出金していたということで、世間でよくあるケースです。
実は、当事務所が扱うケースのほとんどが、このような案件です。

【証明する責任は誰にあるのか?】
死んだ母の口座から生前に出金されていた場合、その出金を兄が取り込んでいたという事案では、取り込んだという点の証明はあなたがする必要があります。
具体的には次の2点の証明が必要です。
① 母の口座から出金があること。
② その金を兄が取り込んだということ。
上記の①は取引履歴を取れば簡単に証明できます。
問題となるのは②の証明ですが、今回の質問では、兄がカード出金をしたことを認めています。
役所で相談された弁護士が、証明責任はあなたにある言ったことは正しいです。
しかし、兄が自分がカード出金をしたことを認め、しかも母の口座に、カード出金した金銭の入金がないというのであれば、兄が勝手にその金銭を使ったのではないかと考えるのが妥当な結論です。
そこまで行けば、兄が取り込んだという証明、100%ではないにしても、かなりの程度できていると思われます。
このようなときには、今度は兄が、出金額は母に渡した、あるいは母のために使用したということを証明する必要があります。

【証明責任は天秤のようなもの】
裁判における主張や証明責任は上皿天秤のようなもので、ある程度、あなたが証明し、それが事実らしいということになると、今度は兄の方が反証(あるいは反論)することが必要になります。
兄は母に渡したというのであれば、その点の証明は原則として兄がする必要があります。
あなたの方が、母が受け取っていない事実まで証明する必要はありません。

【カード出金をした理由はどうしてか?】
観点を変えて説明します。
兄は母に依頼されてカード出金をしたのなら、母から委任を受けて出金をしたのであり、母にその出金額を返還する義務があります。
その義務を履行したかどうかは、当然、義務者の兄がするべきものであり、証明責任はあなたではなく、兄が負うという結論になります。

【裁判の見通しについて】
役所で相談した弁護士は、裁判での返還は無理に近い、ほとんどの裁判で被相続人に渡したといって逃げることができるという判断ということですが、私とは見解が異なります。
冒頭に述べたように、当事務所が中心に扱う相続案件は、このような生前の取り込み分がある場合がほとんどです。
被害者の立場で、どんどん訴訟を起こしていますし、依頼者の人にそれなりに満足のいく成果を上げています。
もちろん、裁判になれば、兄の方からは、いろんな隠された事実を言い出し、また、新しい主張をしてくるでしょう。
裁判のことですので、絶対に勝訴するというような断言はできませんが、最悪の場合でも和解という解決方法で取り込んだ金銭の一部でも返還させることも可能の場合が多いです。

【弁護士に相談することをお勧めします】
この相談はあくまで質問者の方がお書きになった事実の限度で、回答をしています。
弁護士としてはより詳しい事実を知り、正確な判断をしたい案件です。
何が問題で、今後、どのような対応をしていいのか、その回答を得るために、是非、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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誰も相続手続きしていない亡父の土地、家の扱い【Q&A №628】

2018/10/29


【質問の要旨】

遺言による登記を放置した父の家

記載内容  遺言 登記 放置 


【ご質問内容】

20年前に父が亡くなり、現金は母と3人の子供で分けましたが、母の住む家土地は父名義のままです。

10年程前母がこの土地と家(1600万程)を可愛がっている地元に居る私の二男に相続させると遺言状を書いて私に渡されました。

私は母2分の1、子供が残り2分の1を3人で分けて6分の1ずつになる。と思っており、母が亡くなった場合、他の2人の兄弟には6分の1ずつの代金を支払えば済むかと思っておりました。

しかし、母が亡くなった場合、相続の手続き放置したままの父の土地家は母を飛び越えて3人で3分の1ずつで相続する事になると聴きました。

そうなら、母が私の二男にこの土地、家を相続させると書いた遺言状は意味が無いのでしょうか?

折角、母が可愛い孫に書いてくれた遺言状ですが、私が勝手に放棄すると罪になる様ですし、開示するには他の相続人も集めて家庭裁判所で開封と聞き、他の兄弟は不満に思うでしょうから、面倒な事になったなと思っております。

母が亡くなった場合、この遺言状に書かれている事は有効でしょうか?無効でしょうか?

追記
母は5年程前より認知症になり、今は相談出来る状態では有りません。
5年前より、ホームへ入り、家は空き家になっております。
よろしくお願い申し上げます。

628


(悩ましいです)



 ※敬称略とさせていただきます。

【父の名義の不動産の所有関係】
父は20年前に亡くなっていますが、その遺産分割がされていません。
そのため、父名義の不動産は
  母・・・2分の1
  3人の兄弟・・・それぞれ6分の1
で所有(共有)していることになります。
登記が変更されていなくとも、相続が発生した段階で当然に上記のような相続分に応じて、所有権が移転されていることになります。

【相続登記していなかった不動産はどうなるか】
父の死亡後、相続登記がされていなくとも、相続が発生した段階で当然に上記のような相続分に応じて、所有権が移転されていることになります。
そのため、母が亡くなったときには、母の持つ共有持ち分は(遺言書がなければ)母の相続人である子3人に3分の1ずつ相続されます(正確にいうと、母の持ち分が2分の1ですので、子3人は母からは不動産のそれぞれ6分の1ずつ相続することになります)。

【遺言書がある場合の母の死亡時の所有権】
母が、孫(あなたの二男)に不動産を相続させるという遺言書を書いたということですが、母は不動産全部を持っていません。
そのため、遺言書は母が現在、持っている2分の1の共有持ち分の限度で有効になります。
もし、母の相続が開始した段階では、不動産の所有関係は
  3人の兄弟・・・それぞれ6分の1
  孫(あなたの二男)・・・2分の1
ということになります。

【遺留分減殺請求も考えられる】
母の相続人はあなたを含めて子3人です。
子には遺留分減殺請求が可能ですので、もし、それを行使すると、あなた以外の他の子は、母の遺産につき6分の1の遺留分権を有していることになります。
減殺請求後の不動産の所有関係は次のとおりとなります。
  あなた・・・父からの相続6分の1(遺留分を行使しない前提です)
  他の2人の兄弟
      ・・・父からの相続分それぞれ6分の1+母の遺留分減殺相当分12分の1(=6分の1×2分の1)
  孫(あなたの二男)・・・12分の4

【まとめると次の結論になる】
遺言書は有効ですが、もともと母は2分の1の持ち分しかなかったので、孫分しか孫(あなたの二男)に行きませんし、その分も他の2人の母の子が遺留分減殺すると、その分、持ち分が減るということになります。
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生前の高額医療費支給申請について【Q&A №627】

2018/10/25


【質問の要旨】

高額療養費の還付と単純承認

記載内容  高額医療費 支給 相続放棄 


【ご質問内容】

2月から父(71歳)が入院しており、3月末に転院をしました。現在も同じ病院で入院しています。

先日、健康保険組合から「高額医療費支給申請書のお知らせ」が届き、組合に聞いたところ、現在の入院先は今でも入院をしているところ+訪問歯科にかかっていることから対象ときき、4月~9月までの申請書をだしてしまいましたが、病院からそろそろだろうと連絡がありました。(支給は3か月後)

お恥ずかしながら父には借金はあれど、保険もかけておらず、貯蓄もありません。
自分の洋服や靴、鞄、祖母の使っていたタンスくらいなもので、財産になるようなものはほぼありません。

どう考えてもマイナス財産しかないため家族全員放棄手続きをするつもりでしたが、高額医療費支給申請を行い、還付されると相続とみなされるという記載を見つけました。
父が被保険者であり世帯主です。また、母のみ、扶養に入っています。受取は母宛てにしています。

保険の割合は2割負担で、同一入院先である場合、4か月目以降は57600円の負担から44000円になると聞いていたのですが、病院からわからないといわれ、ずっと毎月57600円を払い続けています。

せめて4か月目以降の過剰支払い分は返してほしいのですが、生前に既に申請している高額医療費の支給を受けてしまった場合、相続放棄はできないのでしょうか。
また、区の助成金(紙おむつ代)の申請もしているのでそちらも心配です。

627


(まめ)



 ※敬称略とさせていただきます。


【高額療養費の還付金も、被相続人の財産】 
高額の療養費を支払った場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻されます。
このような金銭を高額療養費還付金と言います。
ご質問では、父の医療費ですので、その高額療養費の還付請求権は父のものになります。
そのため、還付金請求をした場合に、その請求に基づき支払われる金銭は父のものであり、遺産の一部となります。
そのため、相続開始後に還付金を取得すると、相続放棄の手続きをしていても、遺産を取得したものとして、相続放棄の効果がなくなります。
なお、生前に還付金請求に基づく支払いがあり、それを父から相続開始前にもらったというのなら、相続放棄にはなんら影響しません。

【あなたが医療費を支出しているのなら、債権者になる】
現在、父の財産から医療費を支出しているのなら、上記に記載したとおりですが、あなたがご自身の財産から父の医療費を出しているのなら、あなたは、父の医療費分を立替えている債権者ということになります。
そのような債権者としての立場で、父の死後に支払いされた還付金を受け取ったので、相続人として受け取ったのではないという主張も考えられます。
しかし、その場合、父の遺産から医療費立替分を支払う手続きをあなたがすることになります。
そうすると、その支払うという立場ではやはり遺産の処分に関与したことになり、単純承認とみなされ、相続放棄が認められないということになります。
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連帯債務の住宅ローン支払い【Q&A №626】

2018/10/25


【質問の要旨】

子が支払った父の住宅ローン

記載内容  住宅ローン 立て替え 

【ご質問内容】

(亡)父親を主債務者、連帯債務者、息子(相談者)で住宅ローンをくんでおりました。
ローンの支払いは私がずっとしていたのですが、父親名義の通帳に現金で入金しておりました。
私の記載はありません。
今回、遺産分割協議となり、立て替えたお金の返還請求をしたいのですが、どう立証すればよいのでしょうか。
生活費の入金10万ローンの支払い4万を同日入金しております。
年金暮らしの父親には、財産はなく、14万の入金は絶対に無理なのですが。

626



(コマッタ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【貸金の場合、何が問題となるか】
父名義の不動産だが、相談者がそのローンの支払いをしているという事案です。
父親に対する貸金の返還請求をしたいとのことですが、あなたが父親にお金を貸したという点の証明ができるかが問題になります。
あなたから父に銀行送金でされている場合には、金銭の移動は父の通帳の履歴で簡単に証明できます。
この場合は、その送金が返還を前提とした貸付けか、それとも贈与かという点だけが問題になります。
しかし、今回のように父に現金で渡して、父口座に入金され、そこから住宅ローンの引き落としがされているという場合には、その現金の入金は履歴でわかりますが、あなたがその原資を出しているということを他の相続人に納得してもらう必要があります。

【具体的に証明する必要があるのは・・】
他の相続人を納得させるには次のような事情を説明、証明する必要がありそうです。
① 父への現金入金が毎月されていること
 ・・この点は父の預金履歴で証明できるでしょう。
② あなたの口座から、父への入金の前(直前が望ましい)に、父への入金相当額が引き落としされていること
 ・・この点は、あなたの口座の履歴で証明できるでしょう。
③ 父は、住宅ローンの原資に該当するような毎月の収入がないこと
 ・・この点の証明はできるのか、検討が必要です。
④ あなた以外に父に住宅ローンの原資を渡す人はいないこと
 ・・この点もどのように証明するのか、難しいところです。
⑤ 父への金銭の交付は貸金である(返還を前提として渡している)こと
 ・・父が死亡している現在、その点の証明がどの程度できるかも難しい点でしょう。

【他の相続人が納得するかどうか・・】
もし、裁判であれば、前項の①から⑤を証明して、裁判所が納得してくれるように証明していくことが必要です。
今回の案件では、他の相続人が納得するような証拠を出す必要があります。
具体的な事実関係が不明ですが、証明に困難を感じる案件のように思います。
お近くの相続に詳しい弁護士に事実を詳しく説明をし、どのような方策があるかを聞き、交渉の参考にされるといいでしょう。

【連帯債務ということについて】
質問には、あなたが《連帯債務》と記載されています。
もし、あなたが《連帯債務》を負っているのなら、あなた自身が自分の名義で返済できたのではないかという疑問があります。
父が主債務者とあるので、おそらく《連帯保証》の間違いだと思われます。
また、仮に《連帯債務》であったとしたら、不動産名義は共有になっているのではないかという疑問も出てきます。
いずれにせよ、法律問題もありますので、弁護士に早急に相談される必要がありそうです。
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遺留分対象のマンション売却について【Q&A №625】

2018/10/22


【質問の要旨】

遺留分減殺請求後の不動産売却

記載内容  遺留分 不動産売却 同意書 


【ご質問内容】

遺留分対象の中古マンション売却についてご質問がありメールしました。宜しくお願い致します。

父が他界し、相続が発生。相続人は先妻の子(4名)と後妻の計5名です。
公正証書遺言があり預金は後妻と先妻の子らで折半、中古マンション(1部屋)は後妻相続(名義は後妻変更済)となっています。

現在、相手方代理人とFAXを使い話し合っています。
マンション売却について相続終了まで売却代金を相手方代理人口座で預かる事を条件にマンション売却に同意しました。
相手方代理人より不動産売却について署名捺印の同意書(売却予定金額2000万円と瑕疵担保責任免責が記載)の提出を求められています。
売却には同意したのですが、同意書の提出は同意したつもりはありません。

相手方代理人は、同意書がないと相続人5名のうちの誰かが途中で売却を中止してくださいと言った場合、買い手から5名に対して損害賠償請求される可能性があるから同意書がないと売却できないと主張しています。
現在、相手方にマンション売却の一時中止をお願いしていますが、相手方はマンションを売却中です。

ご質問

①こちらは相手方作成の同意書を提出しないと損害賠償を請求されるのでしょうか。

②相手方代理人が辞任や解任された時は、売却代金が後妻に行ってしまう可能性が分かったので、売却中止を求めると相手方より損害賠償等の請求をされる事はあるのでしょうか。

625


(雪男)



 ※敬称略とさせていただきます。

【後妻はマンションを単独で売れる】
父の死亡後、遺言書でマンションは後妻の単独名義になっています。
後妻以外の相続人(あなたを含む)は、売却代金を後妻の弁護士が預かることを条件に、後妻がマンションの売却をすることに同意しました。
以上の前提で考えると、後妻としては単独でマンションを売却するについては、何ら法的な障害はありません。
そのため、後妻としては、サッサと単独で契約し、その代金を弁護士が預かり、その後、これを他の相続人に分配するということで問題が解決するということになります。

【なぜ、同意書が必要なのか】
法的には同意書を出す必要はありません。
ただ、売買に関連する仲介業者としては、後妻以外の他の相続人が売買の邪魔をしない保証が欲しいのでしょう。
質問にははっきりとは記載されてはいませんが、おそらく、他の相続人としては遺留分減殺請求権を行使できる(あるいはした)立場にあります。
そのため、業者としては、売買契約締結の途中でそのような権利主張がでてきたら、契約が中途でストップする、そのようなことがないように同意書が欲しいと言ってきたのでしょう。

【法的には原則、同意書を出す必要はない】
あなたが同意書を出さなければならない法的な理由はありません。
ただ、気になるのは、弁護士が売却代金を預かることを条件にマンションの売却をすることに同意したようですが、その際、私なら、合意内容を文書化しておきますし、その中で《後妻以外の相続人は売買に協力する》という内容に加えて《売却に必要な書類の作成に協力する》との一文をいれておきます。
もし、これがあれば、あなたは同意書を作成する義務があります。
以上の前提で買主からあなたへの損害賠償を考えてみると次のような結論になります。
① あなたが、協力義務があるにもかかわらず、同意書を提出しないというのなら、後妻から債務不履行だということで損害賠償ということもありえます。
② もし、相手方弁護士が辞任あるいは解任された場合には、売買代金をその弁護士が預かれなくなった場合なら、代金の確保ができません。
そのため、売却に協力しないことが可能であり、その場合には損害賠償を受けることはないでしょう。
参考までに言えば、買主が損害賠償を請求するのは、売主である後妻に対してであり、あなたに損害賠償を請求することは考えにくいです。

【文書化されていなければ、この際、文書化をする】

今回のような売却代金を預かるという形で遺産を売却する場合に、一番、リスクが高いのは、後妻が代金全部を使うことでしょう。
そのリスクを避けるため、代金を弁護士が預かるということにした、弁護士の信用を担保にしたということでしょう。
ただ、弁護士が預かるということが売買契約を認める前提条件であるとの点は明確に証明できている必要があります。
もし、まだ、文書化されていないのなら、この際、同意書の提出と引き換えに弁護士預かりが条件だと明確に文書化するといいでしょう。

【リスクを回避するなら、処分禁止の仮処分】
次に、その弁護士が信頼できる人でないと将来の分配が心配になります。
仮にその弁護士が信頼できるとしても、後妻がその弁護士を解任した場合、弁護士は後妻に金を引き渡すのではないかという不安は消えません。
現在の業者は同意書を要求しているのでしょうが、そのような同意書なしで売却する業者も多いです。
もし、あなたが、後妻も弁護士も信頼できないというのであれば遺留分減殺を理由として、遺留分の限度で売買できないという内容の裁判(処分禁止の仮処分の申立)をされるといいでしょう。
この裁判が出ると、遺留分の限度であなたの登記が付き、あなたへの支払いが確保できます。
ただ、裁判が出るためにはいろいろな要件がありますので、是非、相続に強い弁護士と相談されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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死亡保険金を叔母に横取りされた【Q&A №624】

2018/10/18


【質問の要旨】

死亡直前に書き換えられた保険金

記載内容  生命保険 受取人 変更 


【ご質問内容】

今から2年前に母から遺言書作った話は聞いていました。
内容は聞いてませんが、死亡保険金の受取人は私にしてあると聞いていました。
ところが、亡くなる2日前に叔母から呼ばれていくと、公正遺言書を見せられ、これがあなたの分よ。と通帳など
渡されましたが、その中には生命保険の証書がなく、解約したのかな?くらいに思っていましたが、税理士に全体表を見せられたとき、何で叔母に生命保険金が全部行ってるのだろうと、保険会社に問い合わせたところ、一社から亡くなる直前に受取人の変更があったことがわかりました。
受取人変更請求が、あったとされる日は、母は入院中であったため、本人がやったのではないと思います。
叔母に横取りされた保険金は取り戻すことは可能ですか?
出来るならその方法が、知りたいです。

624

(ルル)



 ※敬称略とさせていただきます。

【生命保険金は遺産に含まれない】
今回は母の公正証書遺言があったにもかかわらず、生命保険が財産の中に含まれていなかったということで疑問を感じておられるようです。
しかし、一般に死亡保険金は法律上、遺産には含まれておりませんので、遺言に記載されることはまずありません。
特に今回は公証人が関与している公正証書遺言ですので、仮に母が間違って生命保険を遺言に記載したいと述べたとしても、公証人が訂正するでしょう。
つまり、生命保険が遺言書に載っていないこと自体は特におかしなことではありません。

【入院中でも受取人変更が可能なことがある】
ところが、あなたが税理士から見せられた全体表(おそらくは相続税申告用の遺産目録)には生命保険の記載があり、しかもそのうち一社の保険については受取人が死亡直前に叔母宛に変更されたようです。
この受取人変更の時期に母は入院中だったとのことですので、あなたとしては「母に無断で変更された無効な受取人変更である」と争いたいところでしょう。
しかし、入院には様々な理由がある(意識不明の重体もあれば、意識はしっかりした病気やケガもある)ため、単に入院中だからということで、受取人変更がすべて無効になるとは限りません。
実際の訴訟では、入院先の病院から医療記録や看護記録を取り寄せ、入院の理由や入院時の判断能力や意識状態を細かく検討していくことが必要となります。
その上で、やはり母には生命保険の話を理解し、受取人変更の手続きを取る(=書類にサインをする)ことができない状態であったということをあなたが証明して、初めて、叔母に変更された生命保険の受取人変更が無効であったと認められ、変更前の受取人が(あなたであれば)保険金を取り戻すことができるでしょう。

【療養中や入院中でも手続きを行うことがある】
この点に関し、最近では銀行や保険会社(さらには遺言を作成する公証人)は、本人の意思確認のため、入院先の病院や療養中の自宅に出向いて手続きを行うことがあります。
特に、高齢の方で先行きを心配される状況の場合、周囲の方が手配をして遺言作成や入院費捻出のための預金解約手続きなどを行われることがあります。
そのため、入院中であっても受取人変更の手続きが行われた可能性があります。
あなたとしては、前記の通り受取人変更が行われた前後の医療記録を取り寄せ、その当時の判断能力の有無についての判断を医師などの協力を得て、早急にされるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
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17:19 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分放棄の請求【Q&A №623】

2018/10/18


【質問の要旨】

遺留分放棄をするべきか

記載内容  遺留分放棄 家業 撤回 


【ご質問内容】

実家が自営業をしています。
長男が家業や家を守っていかないといけないと言う理由で、遺言書には、一切の財産を長男に。そして公正証書として残しておくと言われました。
それと、今のうちに遺留分放棄をしてくれと求められました。(長男は継ぐ事に前向きではありません)
ある程度の金額を提示されたものの、現時点で資産がいくらあるのかをしらされておりませんので、遺留分相当の額なのかも、不明です。
昔から、父はモラハラでハンコ押さないと今後の付き合いや財産は一切お前に与えないようにすると脅されました。
しかも、父と母の二人分の遺留分放棄と言われ、納得がいきません。果たして、両親ともの遺留分の放棄は出来るのですか?
また、遺留分放棄を撤回するのは、難しいと書いてありましたが、家庭裁判所で条件がつけられたり、こちらから長男が必ず家業を継続しているという条件や資産が嘘であった場合など、公正証書に残すとか。
有効な手段はありますか?
このままでは、親子関係、兄弟関係が悪くなってしまいます。

623


(トオル)



 ※敬称略とさせていただきます。

【相続開始前の遺留分の放棄は可能です】
生前の相続分の放棄とは相続が開始する前に、あらかじめ遺留分を請求しないということを認めてもらう手続きです。
生前の相続分の放棄はできませんが、遺留分放棄は可能です。    
自営業の資産が細分化されるのを防ぐなど、相続財産の多くを後継者に残す必要性があるため、このような制度が認められていますが、被相続人やその他の人の不当な圧力で加わるような事態も想定されるため、相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要です。
裁判所の許可なく、生前に遺留分放棄をした場合、たとえそれが文書などで証明できるようなものであっても、放棄の効力は一切ありません。

【裁判所は、不当な強制を受けていないかを確認する】
生前の遺留分放棄をするには、遺留分を放棄する者が、家庭裁判所に対して、遺留分放棄の許可申立てをすることになります。
遺留分放棄の許可申立を受けた裁判所は、放棄の申立が、被相続人や他の相続人から不当な強制を受けてなされたものでないかという点を審査します。
具体的に言えば、裁判所は、遺留分放棄をする合理的な理由や必要性があるのか、また放棄の申し立てをした人がすでに十分な財産をもらっているのか等が判断材料になります。
許可が出た後は、遺留分を請求することはできません。
但し、法律上は撤回が可能です。

【参考条文:家事事件手続法】
第七十八条 家庭裁判所は、審判をした後、その審判を不当と認めるときは、次に掲げる審判を除き、職権で、これを取り消し、又は変更することができる。
 一 申立てによってのみ審判をすべき場合において申立てを却下した審判
 二 即時抗告をすることができる審判
2 審判が確定した日から五年を経過したときは、家庭裁判所は、前項の規定による取消し又は変更をすることができない。ただし、事情の変更によりその審判を不当と認めるに至ったときは、この限りでない。
3 家庭裁判所は、第一項の規定により審判の取消し又は変更をする場合には、その審判における当事者及びその他の審判を受ける者の陳述を聴かなければならない。
4 第一項の規定による取消し又は変更の審判に対しては、取消し後又は変更後の審判が原審判であるとした場合に即時抗告をすることができる者に限り、即時抗告をすることができる。


しかし、裁判所の立場から言えば、一旦、決定を出した以上、簡単には生前の遺留分放棄の許可を撤回しません。
撤回のためには、放棄した人が、生前の放棄の許可を撤回するだけの事情の変化があったことを説明し、かつ証明する必要があります。
遺留分放棄の判断の前提になっていた事情が変更になり、遺留分放棄の状態を維持することが客観的に見て不合理・不相当になれば、裁判所が職権で放棄許可審判を取り消すことができることになっています。
そのため、仮に放棄の申立をする倍、その前提としてどれほど財産の開示を受けていたのか、わかる資料を裁判所にも提出し、また、自分自身も保存しておく必要があります。
いずれにせよ、遺留分放棄も許可が出た後はそれを撤回するかどうかは裁判所の判断ということになり、前もって合意をしていたからといって認められるわけではありません。
家族関係のこともあるようですので、法律的なことだけで結論を出すことはできませんが、可能であれば、生前の遺留分の放棄はできるだけしない方がいいでしょう。

【納得してから遺留分放棄の許可申立をすべき】
現段階では、あなたは、資産もわからないままに対価を示され、放棄を一方的に求められているようです。
ただ、上記に述べたとおり、一度遺留分放棄の判断をしてしまうと、それを取り消すためには、事情が変更になったとして裁判所の判断が必要になり、簡単ではありません。
そのため、遺留分放棄をする前に、資産の内容の開示を受けた上で、長男が家業を継ぐために、対価をもらって遺留分放棄をすることが妥当かを検討し、納得できる内容であれば、遺留分放棄の許可申立てをするということにすべきです。
なお、申し立てに際して、父と母の分は別々に申し立てる必要がありますが、別々に申し立てれば、双方について遺留分放棄をすることは可能です。

(弁護士 岡井理紗)
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土地の売買【Q&A №622】

2018/10/16


【質問の要旨】

売却した実家不動産の代金は誰が受け取るか

記載内容  実家 不動産 

【ご質問内容】

先日父が亡くなり、亡くなる前に不動産屋さんと、土地の売買を進めていました。
これは、母も兄姉も承知していたことで、父が亡くなり手続きが一時ストップしてきましたが、兄が不動産屋さんに相手が家を建てたいので手続きを進めて欲しいとの事に。
そこも問題ないのですが、売却のお金を、兄は自分の口座を新しく作ってそこに取り敢えず入金して貰い、後で皆に分割すると言ってます。
遺産相続の一環で行うから問題ないと言いますが、この場合、兄はそのお金を相続した扱いになり、分割したら兄からの贈与になる気がします。
この場合、その売却金はどのように扱うのが正確ですか?
土地売却は進めてあげたいのですが…

622


(ハル)



 ※敬称略とさせていただきます。

【相続した財産の売却方法】
相続した財産を売却して、経費を差し引いた代金を相続人に分割することは、よくある話です。
その際、売買の方法として、次の2つの方法が考えられます。
それぞれについて、税金面と代金の支払い確保の面からプラスとマイナスを記載しておきますので、ご参照ください。

【お兄さんの単独名義にする方法】
相続人が多数いる場合、売買手続きを簡単にするために、お兄さんの単独名義にすることがあります。
この場合は、遺産分割協議書で兄が売買物件を単独で相続取得すると記載する必要があります。
兄が単独取得したことから、他の相続人は不動産からの取り分がなくなるので、その兄に単独取得させた代償として、金銭をもらうということをはっきりと記載しておく必要があります。
これをしないで、兄の単独名義にして、その後、売買代金の一部をもらった場合、税務署から贈与ではないかという疑惑を持たれかねません。
是非、《代償金》としてもらうのだという点を明記しておくことを忘れないようにしてください。
なお、この兄単独名義にする点は、売り主が兄一人になりますので、売買の手続きがスムーズにいくという利点があります。
しかし、兄が売買代金全額を受け取りますので、もし、兄がサラ金の借金がある、あるいは他に信頼できないような点があれば、お金が兄のところで消えてしまい、あなたにはまわらないというリスクがあります。

【3人が売り主になって、売却する方法】
代金の支払いの確保という点から言えば、相続人全員が売り主になるという方法もあります。
この場合、契約書には相続人全員が署名・捺印をし、また売買代金受領の場合には原則として、全員が立ち会うことになります。
私(弁護士大澤)が父からの遺産の不動産を売買した場合には、手続きは姉に売買の交渉をしてもらいましたが、決済のときには相続人全員が立ち会い、その場で経費を除いた売買代金全額を受け取りました。
別に姉を疑っていたわけではありませんが、皆がそれを希望したので、そのような形にしました。
売却代金の支払い確保にはこれが一番良いやり方ですが、反面、全員が売買の当事者になるので、手続きが面倒になるという欠点があります。

【どちらを選ぶかは兄が信頼できる人かどうかで決める】
結局、兄が信頼できるのであれば、兄の単独名義にし、兄から代償金として売却代金の一部をもらうというのが、手続きがスムーズでよい方法でしょう。
支払いで、若干でも不安があるのなら、法定相続人全員で売却するという、手続き的には煩雑な方法を採用するということになります。
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特別受益の件!【Q&A №621】

2018/10/02


【質問の要旨】

息子の消費者金融への支払いは特別受益になるか

記載内容  消費者金融 特別受益 贈与

【ご質問内容】

大沢先生宜しくお願い申し上げます。
もう20年以上前になりますが、息子が消費者金融で問題をおこし、当時の弁護士さんに200万円以上の費用をお支払して問題を解決して頂きました。
勿論息子に私への返済はさせておりません。
したがって遺留分の計算などで、この場合特別受益として認めてもらえる可能性はありますでしょうか。
大沢先生お忙しいところ大変恐縮ですが宜しくお願い申しあげます。

621


(トラちゃん)





20年前に息子の消費者金融の支払いをしたということであれば、特別受益になる可能性があります。
このようなケースで何が問題になるかを整理してみました。

【支払った人の相続でのみ特別受益になる】
まず、息子の消費者金融の借金を支払ったということですが、そのお金を誰が支払ったのかを確認しておく必要があります。
もし、《あなたが支払った》のであれば、《あなたの遺産分割の際》に特別受益として扱われます。
しかし、あなたの配偶者の相続の場合にはなんら特別受益にはなりません。
あくまで支払った人が死亡した場合、その人の相続でのみ、特別受益になるだけですので、ご注意ください。

【特別受益は贈与の場合で、貸金なら別途の扱いとなる】
特別受益は生前に《贈与》したという場合の問題です。
そのため、息子から《返還を予定していない》ということが前提になります。
もし、返還してもらう気持ちで、何回も請求した、あるいは借用書を差し入れてもらったというのなら、それは《貸金》になります。
貸金であれば、その返還請求権は原則10年で消滅時効にかかり、消滅します。
特別受益の場合は、20年や30年前であろうと、消滅時効にはかからず、特別受益として扱われます。

【贈与を証明できる必要がある】
質問のような20年も前の特別受益の場合、一番大きな問題点は、贈与したことが、果たして証明できるのかという点です。
支払った人がまだ生きている時には、息子は《支払ってもらったことはない》とまで主張することはないでしょう。
しかし、特別受益が問題となるのは、支払った人が死亡したときです。
そのとき《支払ってもらったという事実はない。もし、あるというなら証明してくれ》と言い出す可能性が高いです。
そのため、弁護士費用としていくら支払ったのか、また、消費者金融にどれだけ送金したのかを証明する書類があれば、大事に保存しておく必要があります。
また、仮に弁護士費用の領収書などがあったとしても、それは弁護士費用などが支払いされたという事実を証明するだけで、それをあなたが出したということを証明するものではありません。
なぜなら、弁護士の領収書は依頼者は息子ですので、息子宛に出しますし、送金も息子名義で送金されている可能性が高いはずです。
そのため、将来、特別受益が問題になった際、息子は《私が弁護士費用を支払った、私が送金したのだ》という可能性が高いです。

【今、できることとしては・・】
そのため、あなたがそのお金を出したというのであれば、その事実をあなたが元気なうちにはっきりさせておく必要があります。
息子に贈与を受けましたという書面を書かせることができればいいでしょうが、今更、そういうことも難しいかもしれません。
弁護士費用や送金の領収書などがあるなら整理して、特別受益を主張しようとする人に、生前に渡しておく必要があります。
次に息子との話の中で、消費者金融の債務整理をあなたのお金で支払いされたということを認める発言をさせるように持っていき、その会話などをICレコーダーやビデオ等で残しておき、これも特別受益を主張したい人に渡しておく必要があるでしょう。
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相続放棄後の分譲マンションの管理費【Q&A №620】

2018/10/02


【質問の要旨】

相続放棄したマンションの管理費も支払義務があるか

記載内容  不動産 相続財産管理人 管理責任

【ご質問内容】

夫が死亡し、親族全員相続放棄しました。
マンションの管理会社が弁護士を通じて 夫の死後から現在までの マンション管理費、修繕費(150万ほど)を支払って欲しいと連絡がありました。
応じない場合は 訴訟を起こすとのことです。

この場合、私たちは支払わなければいけないのでしょうか?
相続財産管理人は私たちが申立てするのでしょうか?

620


(きらり)





【全員が相続放棄した場合は最後の相続人が責任を負う】
相続人は不動産などの相続財産の管理責任を負いますが、法定の申述手続を行い相続放棄した場合、次順位の相続人が管理を開始した段階で管理責任を引き継ぎ、前順位の相続人は責任を免れます。
もっとも、最後に相続放棄した相続人は、相続放棄後も責任を免れることができません。

(民法940条)
1.相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。(後略)


相続放棄すれば全ての責任を免れると思っておられる方は多いのですが、不動産など管理を要する財産をお持ちの場合、相続放棄後も管理責任が続きますので要注意です。
※注:本件のような全員が相続放棄をした場合に、管理責任を負うのは最後の相続人であるかどうかについては、当事務所内で異なる意見があります。

【管理責任を免れるには管理人選任の必要がある】では、最後に相続放棄をした相続人はどうすれば管理責任を免れるのでしょうか。
実際には、家庭裁判所に相続財産管理人を選任する申立をすることで、管理責任を免れることができますので、この方針を弁護士など専門家に相談することが必要となります。
しかし、大阪の場合であれば裁判所に90万円~100万円程度の費用を申立時に予納する必要がある(弁護士費用は別途必要)ため、非常にコストがかかります。
また、遺産である預金などからこの予納金や弁護士費用を安易に支出したりすると、遺産を処分したということで相続放棄が認められなくなる(民法921条1号 法定単純承認)可能性もあるため、あまりお勧めできません。

(民法921条1号)
第921条次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。 一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。


【今回はマンション管理組合と調整すべき】
では、相続放棄をしたあなたとして取るべき方針は何でしょうか?
少し見方を変えれば、あなたと同様に困っているのはむしろマンションの管理費を請求する管理組合側です。管理組合の側も、不動産を換価処分して費用を回収するため相続財産管理人選任の準備を進めている可能性があります。そのため、費用のかかる管理人の選任手続については管理組合と相談し、費用負担などについて調整してから検討されてもよいでしょう。
この点も専門的な知見を元にした方針の立案と交渉が必要ですので、相続案件や相続放棄に詳しい弁護士などに相談されるのがよいでしょう。
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父の収入で母が子名義で貯金。これは誰からの特別受益?【Q&A №619】

2018/09/19


【質問の要旨】

名義預金は誰のものか

記載内容  名義預金 特別受益 保険金

【ご質問内容】

母が10年前に亡くなった際、父から子ども達に母の遺産分割を見送ってほしいとの話しがあり皆、承諾しました。
その父が2年前に亡くなり現在遺産分割調停中です。
母が亡くなった際、父から相続放棄(言葉が正しいかわかりませんが…)を促され兄弟は皆承諾しましたが子ども達名義の通帳のみ父が各自にくれました。
入金額はそれぞれ違いました。
専業主婦だった母が亡くなった父からの収入の中から貯金してくれたものと思われます。
そして今、兄弟の一人がそれは父からの特別受益だといい始めました。
兄弟の一人の主張は、そもそもの収入源は父、また貯金をしてくれた母が亡くなった際、母の遺産を放棄したのだからその通帳も全て父のものとなった、母の死後父から通帳を手渡された、よってこれは父からの特別受益であるという主張です。
ちなみにその兄弟は入金額が少なかったためとても不満に思っていますが母が保険金の受取人に指定していたため最終的な金額誤差はほとんどありません。
特別受益を主張した際は通帳額の少なかった兄弟の一人が有利に働くと想像します。
また兄弟の一人は固有財産だと主張しています。
このような場合、誰からの特別受益にあたるのでしょうか?

619


(きぬ)





【名義預金は名義人の遺産ではなく、父または母の遺産になる】
母が子供たちの名義で貯金することを「名義預金」といいます。
その預金が誰の財産であるかは、その名義には関係なく、そのお金が誰から出ていたか等のいろいろな事情を考慮して決定されます。
父が母に渡したお金から預金したという前提の場合、もし、その金銭が母への贈与の趣旨であれば母の預金になります。
しかし、今回の質問では、贈与の趣旨ではなく、父が給料全部あるいは生活費等として母に金銭を渡しており、その余りを子供名義で預金をしたようなケースですので、父の財産と考えていいでしょう。
 なお、名義人の独自の財産という主張は成り立たないと思われます。
なぜなら、その金銭の出所が父であり、かつ預貯金証書や取引印を父(またはその財産管理をしていた母)がもっていたというケ-スのようであり、子としては名義を使われたにすぎず、贈与とする根拠がありません。

【保険金は遺産に入らない】
母が保険契約をし、母の死亡によりその保険金を子が取得したということですが、死亡保険金は原則、遺産には入りません。
ただ、その保険金の額が大きく、遺産総額の6割を超えるような特段の事情がある場合には遺産に入れるという裁判例もあります【Q&A №298】)。
今回の質問では、預金及び保険金の各人の合計については、兄弟間の「最終的な金額誤差はほとんどありません」とあることから、保険金額が保険金が遺産の6割を超えていないようであるため、原則通り、保険金は遺産に入らないということになります。

【兄弟間で差がでるのはやむをえない】
結論から言えば、
① 保険金で受け取った分は特別受益にならず、遺産に持ち戻さない。
② 名義預金は父からの生前贈与であり、名義人独自の財産にはならない。
③ 名義預金は父からの生前贈与であるから、父の遺産分割の際、特別受益として遺産に持ち戻される。
④ 保険金をもらったものが得をするが、最高裁の判例が変更されない限りは、このような結論はやむを得ない。

【持ち戻し免除の意思があったとして公平を図ることもありうるかも・・】
子供たち各自名義の名義預金と、母の生命保険とで兄弟間の金額のバランスをとって、相続人らの公平を図ろうとしていたのが父母の意思であったとも考えられます。
そのため、それが通るかどうかは別として、名義預金の贈与については、遺産に持ち戻さないという父の黙示の意思表示があったと主張されるといいでしょう。
もし、その主張が認められると保険金及び名義預金の全部が遺産に持ち戻されず、その余の遺産について分割協議をすることになり、兄弟間の公平が図られることになります。
大澤龍司法律事務所
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父親の相続対策について【Q&A №618】

2018/09/11


【質問の要旨】

遺言を使用した場合の相続税対策および遺留分

記載内容  遺言 不動産 相続税

【ご質問内容】

標記内容についてですが、父は現在老人ホームに入所し、1年になります。脳梗塞が原因での入所になりましたが、最近覇気が無く、認知症も発症してきている状況です。
家族構成は、父親、母親(自宅で1人暮し)、同じ敷地内に私(長男家族)、近所に父親との共有名義で次男、三男が、その土地にそれぞれ自宅を建てています。
敷地内には、4所帯の2階建てのアパートがあります。
この様な状況での質問です。
①遺言書(自筆)を使用すべきか。
遺言書の存在は、私と母親のみ知っていますが、内容には、長男に母屋、アパート、預貯金等を相続させ、次男、三男はそれぞれの土地を相続との内容です。
ここで心配な点は、母親の取り分が記載されていない(私に高額な相続税がかかる)ことです。
仮に遺言書を使用かつ、母親にのみ相続法定分の2分1を申請させることは可能でしょうか。
この様な場合、次男、三男にも6分1づつになるのでしょうか。また、現在次男、三男の土地が遺留分を満たしているかの確認や遺産分割協議は、次男、三男が申し出ない限り、する必要はないのでしょうか。
②現在の相続税(概算)と次男、三男の遺留分の確認
②に関しては、どちらで確認できるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

618

(キンカン)




【遺言書を使用した場合、虚偽の申告になる】
遺言書とは異なる内容の申告(遺言書では財産をもらわないはずの母が相続税の申告では2分の1を取得する)というようなことが可能かという質問です。
母は配偶者ですので相続制上、優遇されており、その相続した財産が遺産の2分の1以下であれば、原則、相続税の課税はありません。
あなたとしては、不動産は遺言書のとおりにもらって、相続税の申告では母の優遇税制を使用するという形で、あなたの相続税をなしにあるいは軽減することはできないかという考えをお持ちのようです。
ただ、結論から先にいいますと、そのような手法で相続税を軽減することはできません。
なぜなら、父の不動産をあなた名義に移転登記をした場合、その登記がなされたことは法務局で国税庁に通知されます(不動産の移転登記は全て税務署に通知されることになっています)。
そのため、あなたが遺言書に基づき、不動産の移転登記をした場合、その登記については国税庁は把握していることになります。
そのため、登記とは全く異なる内容の、母が2分の1を取得したということを前提とした相続税の申告書が出てきた場合、税務署は必ず、税務調査を開始します。
結局は、あなたは真実の権利関係と異なる申告をして、虚偽の申告をしたことになり、不申告加算税や延滞税を課される可能性が極めて高いです。

【遺産分割協議をする必要はあるか?】
相続人全員の同意がある場合、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは可能です。
但し、一旦、遺言書に基づいてあなたの名義に移転登記した場合には、税務署は遺産分割は既に終了していると扱うことが多いです。
そのため、その後に法定相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成しても、税務署としては、それは、遺産分割協議に基づくものではなく、新たな不動産の移転として譲渡税課税をしてくる可能性がありますので、ご注意ください。

【遺留分減殺請求を満たしているかどうかの確認について】
二男及び三男の取り分が、遺留分を満たしているかどうかについては、遺産全体と二男及び三男の取り分とを比較して、各遺留分である12分の1に達しているかどうかで判断します。
ただ、生前の特別受益があれば、その分が遺産に持ち戻され、遺留分算定の基礎になることがありますので、その点も注意されるといいでしょう。

【相続税対策について】
父に認知症が出てきたということですが、認知症が軽度であれば遺言書の作成が可能です。
現時点で父の判断能力を確認したうえで、能力があるというのであれば、相続税節減の方策を税の専門家である税理士に確認された後、遺言書を書き換えを考えられるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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14:00 相続財産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続放棄後、故人の所有していた車について【Q&A №617】

2018/09/03


【質問の要旨】

相続放棄後の遺産の処分

記載内容  相続放棄 車の処分 財産管理人

【ご質問内容】

名古屋で20数年行方不明の兄が病死したという連絡が入りました。
部屋はゴミ屋敷状態で、負債の全容もわからず、相続放棄しかないと判断して、裁判所に申述書を提出中です。
兄は民間のアパート(駐車場代込み)に住んでおり、アパートの管理会社からは、部屋の回復や、車の処分を迫られています。
我々は長野におり、出向くこともできません。
どうしようもないとき車を処分し(80万ほどらしい)現金として保存することは認められるのでしょうか。
財産の管理人を選定するには予納金も高額と聞いており、悩んでおります。

617

(ひろ)





【相続放棄の効果】
現在、家裁に相続放棄の申し立てをしているということであり、それが受理されると、あなたは相続放棄したことになり、兄の相続人ではなくなります。
その結果、仮に、死んだ兄に借金などがあり、その債権者がいても、あなたは相続人ではなくなるので、請求を拒むことができます。
相続放棄とは、遺産はもらわないということですが、借金も支払わないということでもあります。

【車を売却すると相続放棄を主張できない】
しかし、相続放棄をしながら、兄の自動車を処分するというのは、矛盾した行為です。
兄の自動車を売却するとすれば、あなたは兄の相続人の立場で、その車を売却することになります。
(業者に対する書類にはあなたは《兄の相続人》と記載されますし、かつ、相続関係を明らかにする戸籍謄本等を提出する必要があり、これらがないと車を売却できません)
相続人でないのに遺産を処分すると、法律で、その処分者は遺産の相続をしたものとして扱われます。
《参照条文:民法921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。》


【債権者が車の処分を知ったら、借金の支払いを拒めない】
兄の債権者から支払い請求があった場合、あなたとしては、家裁の相続放棄の受理証明書を提出すると、ほとんどの債権者は、《相続放棄されたんですか、それなら請求をあきらめましょう》という対応をします。
しかし、万一、その債権者が、あなたが兄の自動車を売ったことを知った場合、あなたは相続放棄の効果がなくなるのですから、支払いを請求することができ、あなたは債務の支払いをせざるをえないことになります。

【本当はどうすべきだったのか?】
家裁に放棄の書類を出す前に、兄の遺産について、どの程度遺産があるのか、また、借金はどの程度あるのかを調査するべきでした(リンク:遺産の調査・発見)。
その調査に時間がかかるというのであれば、家裁に放棄期間(相続開始を知って3ケ月)の伸長願いを出せば、3ケ月程度、延長してくれますので、その間、鋭意、調査したほうがよかったでしょう。

【あなたとしてはどう対処するべきか】
現在、相続放棄の手配をしているのであれば、あなたとしては、その前提で動くといいでしょう。
具体的には、アパートの管理会社に対し、相続放棄したことを、受理証明書を示して明らかにし、請求をはねのけるというのが、あなたの取るべき対応です。
アパートの管理会社なら、相続放棄していたら、被相続人である兄の債務の請求ができないということを知っているはずです。

【相続財産管理人を選任するのは管理会社である】
相続放棄などで、相続人がなくなった場合には、管理会社としては兄に対して債権を有していても、請求する相手がいません。
そのため、同社としては相続財産管理人の選任の申し立てをし、その管理人を被告として裁判をするしかありません。
兄の車を撤去するためには訴訟をせざるを得ませんが、被告となるのは債務を引き継いだ相続人ですが、それがいないのなら、家裁に遺産を管理する相続財産管理人選任の申し立てをするしかありません。
ご指摘のように相続財産管理人の選任は家裁に納める予納金が高いです。
しかし、この選任申し立ては債権者である管理会社(駐車場から出ていけ、駐車料金を支払えとの請求権を有している)がすることであり、相続人ではないあなたの関知することではないことです。
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10:32 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

親族相盗例における相続放棄【Q&A №616】

2018/08/30


【質問の要旨】

横領した父の相続放棄

記載内容  横領 法人 損害賠償

【ご質問内容】

先日、叔父が経営する企業(株式会社)で働く父が、会社のお金を横領した後、お金を使わずにそのまま病気で亡くなりました。
生前の父の行いを考慮し、私は相続放棄をする予定です。
父は過去に離婚しており、相続人候補は叔父のみですが、その叔父も相続放棄をしようと考えている所です。
このようなケースにおいて、叔父は横領分のお金を父の銀行口座から取り戻すことができるのでしょうか。
一見すると、叔父が相続放棄を選んだ時点で、父の横領分のお金も放棄しなければならないように思いますが、
そのお金を本来受け取る権利を有するのは叔父の会社ですので、叔父にとってあまりにも酷ではないかと思い、
実際どのように考えるべきなのかをご教示頂きたく質問させて頂きました。

616

(マサムネ)





【損害賠償請求権は会社が有する権利】
まず、お話を整理しますと、あなたの父は会社(法人)のお金を横領したまま死亡されたということですので、あなたの父に対して損害賠償請求を行い、横領されたお金を取り戻す権利を有しているのは会社(法人)です。叔父(個人)ではありません。
ここは区別が難しいのですが、被害者は会社(法人)であることをまずご認識下さい。

【横領の責任は現在、叔父が引き継いでいる】
他方で、本来なら横領の損害賠償責任は相続人であるあなたが相続します。
ただ、今回はあなたが相続放棄をされるようですので、その場合、残された唯一の相続人である叔父があなたの父を相続します。
その結果、叔父(個人)が会社(法人)に対する損害賠償責任も相続する、という状態になります。
元々叔父(個人)は被害者の立場ですので少し変な状況になりますが、法律上はこのような状態になります。

【叔父は相続人として預金の払い戻しができる】
この状況下であれば、叔父(個人)はあなたの父の相続人として、銀行に対し預金の解約・払戻などの相続手続を取ることができます。もちろん、あなたの父の横領の責任として、会社(法人)にお金を返すこともできます。
元々は被害者の立場であった会社の代表者である叔父が責任を取る、というのは非常におかしな話ですが、実際上、横領されたお金を取り戻すにはこれがもっとも簡易な方法と思われます。
(厳密には、あなたの父がほかの借金をしていた可能性も考えられますので、ほかに負債がないことを確認ができるまで預金に手を付けない方がよいでしょう。)

【叔父も相続放棄した場合は相続財産管理人の選任】
他方で、この状況から叔父も相続放棄した場合、相続人は不在の状況になります。
その場合、誰もあなたの父の相続預金を解約することができないため、叔父の会社(法人)は、横領されたお金の回収ができません。
この状況であなたの父から横領のお金を返してもらうには、会社から家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てをし、選任された相続財産管理人に対する交渉や裁判を行っていく必要が出てきます。ところが、これには裁判を行う手間はもちろん、一般に90万円前後の予納金を裁判所に納めて選任申し立てをすることになるため、非常に負担が大きく、あまりお勧めできません。
そのため、(ほかの負債の有無にもよりますが)叔父が相続放棄するべきかどうかは慎重な判断が必要でしょう。

(弁護士北野英彦)
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13:17 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続財産開示について【Q&A №615】

2018/08/28


【質問の要旨】

生前の解約と取引履歴開示

記載内容  一部解約 明細 開示

【ご質問内容】

父は3年前に逝去、今年、母が逝去し、子供(長女・次女・長男)の3人が相続人です。

父の遺産は銀行の遺産信託で管理されていましたが母の場合は 母名義の銀行預金のみで、これについては 遺産分割についての遺言もエンディングノートもありません。

長男が母生前に 母名義預金を一部解約して自分名義にしていたらしいことがわかりました。

この自分名義口座から 母の老人施設費用、葬儀費用などを支払っていたようです。

Q1: 相続税対策のつもりだったかもしれませんが、これは正しいことでしょうか?

Q2: 母名義の口座の一部解約は2年近く前ですが、一部解約の明細は開示してもらうことはできるのでしょうか?

Q3: 長男名義になってしまった 元母名義口座の分については今後、どのような手段が可能でしょうか?

ご回答およびアドバイスを宜しくお願いいたします。

615

(パドミニ)





【正しいかどうかという質問について】
今回の質問の1は《正しいかどうか》という極めてユニークなものです。
遺産相続という法律(民法)では、遺産に属するかどうか、また、請求できるかどうかという場面で考えますので、正しいかどうかという観点で考えることはほとんどありません。
もし、あえて回答するなら次のとおりとなります。
① 母が自分の解約し、長男名義にすることを認めていたかどうかが、まず、問題になります。
 認めていたのなら、解約および長男名義への変更については何ら問題はなく、不正はありません。
 もし、母に無断でしたのであれば、不正ということになります(刑法という法律で処罰されるかどうかについてはQ&A №584をご参照ください)。
② 母が認めていた場合でも、それが長男への贈与であるのか、それとも長男に預けただけなのかという問題があります。
 もし、贈与であれば、生前にいくら贈与するかは母の自由であり、不正の問題は生じません。
 ただ、金額が基礎控除の110万円を超えるのであれば贈与税の申告が必要であり、それをしていないのなら、税務的には不正になります。
 また、仮に預けたのであれば、母のために使った分を控除して、残った残額を遺産に戻す必要があります。
 その返還分(返還請求権)は遺産ですので、相続税申告をする場合に記載しないと税務的には不正ということになるでしょう。

【解約預貯金の開示請求について】
母の生前に解約された口座の情報(取引履歴など)について、相続人が調査できるのかという点については裁判例があります。
平成23年8月3日に東京高裁で、被相続人の生前に解約された口座の取引履歴の開示を求めた事案で、「金融機関は、被相続人の生前に解約された預金口座の取引履歴を開示すべき義務は負わない」との内容の判決が出ています。
これは、金融機関としては、生前に、預金者による解約後に、従前の取引経過や解約の結果を報告しているので、それだけでよく、相続人に対しては開示義務はないというものです。
(最高裁の平成21年1月22日の判例で、法定相続人であれば被相続人の取引履歴の開示を求めることができると判断されていることとこの判例が矛盾しないのか、という問題がありますが、この点は判断が難しいところです)。
ただ、銀行によっては、相続人であることを示して開示を求めれば、開示をしてくれるところもありますので、開示請求はすべきでしょう。

【法律的に見た場合の問題点―不正出金か、または特別受益】
今回の質問を法律(民法)的にみると次のとおりの問題点を指摘することができます。
①一部解約が母の意思に反してなされた場合、無断出金として、母は長男に返還請求をすることができます。
ただ、母の用途に使われた分は、請求から控除し、残額を各法定相続人が相続分に応じて取得(相続)しますので、その分を長男に請求することになります。
②母の意思に基づくのなら、贈与なのか、それとも預けたのかが問題になります。
贈与なら、その分は特別受益として、遺産に持ち戻して計算することになります。
預けたのなら、母の用途に使った分以外を長男は返還する必要があります。
正確に言えば、母の用途に使った分を控除した残額につき、各法定相続人はその相続分に応じて返還請求ができます。
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09:49 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

混同により損害賠償請求権や遺留分は消滅するのか?【Q&A №614】

2018/08/27


【質問の要旨】

不正出金の責任も遺言で消滅するのか

記載内容  不正出金 混同 損害賠償

【ご質問内容】

原告(長男)は母に遺言書を書かせ相続し、被告側(三男)が生前母の治療保険金を不正費消したと損害賠償請求を起こしました。

被告側は全て治療費など母の費用に使用した主張。

被告は原告が母の生前多額の預金を不法に取得している事を反論し、原告の不法行為が認められ各相続人が損害賠償請求権があり、被告の遺留分を侵害していて、原告の訴えは全て棄却されましたが控訴してきました。

原告は控訴理由書にて不法行為でも損害賠償請求権は各相続人は取得するが、遺言書において母は全財産を長男に渡すと書いてあり、また混同で消滅するので、母が他の相続人に贈与する事を希望していないので遺留分も無いと主張してきました。

お聞きしたい事は

1、不法行為で損害賠償請求権を各相続人は取得すると思いますが、遺言書において母は全財産を原告に渡す(他の相続人を排除する事や目録含め具体的な事は書いていない)と書いてあり、原告分は混同で消滅すると思いますが、他の相続人に相続する
事を希望していない事と同様なので、混同によって他の相続人の損害賠償請求権や遺留分も消滅すると主張していますがそのような事は考えられるのでしょうか?

2、母が長男の事業の為に渡したと生前に言っている証拠がある場合、損害賠償請求権は無くなって、生前贈与となり特別受益と考えられますか?

614

(マッチ)





【他の相続人が取得するはずの損害賠償請求権が消滅するのか】
まず、本件では相続人が長男・二男・三男の3人とし、3分の1ずつ相続する場合を想定して回答します。
まず、《混同》とは、権利を持っているものが、義務を負う場合、権利と義務が同一の人に帰属するため、権利と義務がなくなるというものです。
義務が負う者が、権利を取得する場合にも同様に《混同》により権利義務がなくなります。
さて、今回の質問は、遺言があるので少しややこしいケースです。
(1)遺言がない場合と(2)遺言がある場合に分けて、混同で権利義務が消滅するかどうか、説明していきます。

(1) 遺言がない場合の混同について
遺言がない場合に不正出金による損害賠償請求権がどう相続されるのかを述べておきます。

①長男が母の預金の不正取得をしたのなら、母は長男に対し損害賠償請求権をもつ。
長男は母に対して損害賠償支払い義務を負う。
②母の死亡により相続開始すると、母が長男に対して有していた損害賠償請求権は、全相続人がその相続割合に応じて、分割相続する。
③上記②の分割相続の結果、・長男(相続分3分の1)は、母の損害賠償請求権の3分の1を取得する。
④長男は、損害賠償請求権全額の支払義務者でもあるので、相続した請求権(3分の1)の限度で、長男の損害賠償請求権は消滅する。
⑤しかし、残りの3分の2の損害賠償義務は消滅せず、他の相続人が請求をしてきた場合、その支払いに応じなければならない。

(2) 遺言がある場合の混同
①相続財産を全て長男に相続させる」という遺言がある場合、
母の有する損害賠償請求権はすべて長男に相続されます。
②長男は損害賠償全部の支払義務がありますが、①の結果、その請求権の全部を取得しますので、権利と義務の全てを取得するので、損害賠償請求権の全部が混同で消滅します。

【遺留分減殺請求権行使した後の混同について】
ところで長男以外の人が遺留分減殺請求権を行使した場合、このケースなら二男と三男がその遺留分(各6分の1。2人合計で3分の1)の限度で、損害賠償請求権を取得します。
そのため、長男としては、遺留分減殺の対象とならない3分の2の請求権を相続し、その限度で損害賠償請求権は混同で消滅します。
しかし、二男と三男が遺留分減殺で取得した3分の1については混同はせず、二男と三男に支払いをする必要があります。

【長男に対する生前贈与の扱い】
母が生前にその意思で長男に贈与した財産があれば、原則として特別受益になります。
長男の事業のために贈与したということなら、生計の資本としての贈与であり、特別受益になります。
法定相続人に対する特別受益であれば、遺留分を計算する際の計算の基礎となる相続財産に持ち戻されます。
なお、特別受益の場合、相続開始の1年以上前であっても、遺産に持ち戻されます。
その結果、二男・三男の遺留分が増えます。
 
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12:06 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

使用貸借について【Q&A №613】

2018/08/02


【質問の要旨】

使用貸借されている土地の相続と生前贈与

記載内容  使用貸借 相続 生前贈与

【ご質問内容】

使用貸借(無償貸与)されている土地を相続の時、使用貸借は承継するのに、生前贈与の時、使用貸借(無償貸与)は承継しないのは何故でしょうか?

(生前贈与を受けるのは相続人です。)

(ジャスミンルージュ)





【使用貸借は貸主に対して請求できる債権】
今回の質問は、具体的な案件の相談ではなく、法律の理解のしかたについての理論的な質問で、以下の回答内容は難しいかもしれません。

不動産(土地)を例にとって説明します。
まず、建物の持ち主A(以下、Aといいます)が借主Bに貸す(使用させる)という契約をします。
この場合、借主Bとしては、契約の相手方であるAに対してのみ、建物を使用させよという請求が可能です(このような契約の相手方に対してのみ請求できる権利は「債権」と言います)。
賃料を取る賃貸借にせよ、無償の使用貸借にせよ、Bの持つ権利はAに対する債権になります。

【Aが他の人に所有権移転すると、Bは建物を使用できないのが原則】
Bは家を使用させよという権利を持ちますが、これはあくまでAに対して請求する権利です。
そのため、Aが他人(例えばC)に土地の所有権を移した場合には、BはCに対して建物をつかわせよという請求はできません。
これは賃貸借であっても、使用貸借であっても同様であり、BはCに使用させよということはできません。
Bとしては、土地を使わせるという約束に違反したAに対して、損害賠償請求をするしかないということになります。

【登記した物権なら、Cに使わせよということができる】
ただ、この土地を使用する権利を登記してもらうと権利が強くなります。
土地の使用権を登記すると、《地上権》という強い権利(物権と言います)になり、新しい所有者であるCにも土地を使わせよという請求ができます。

【土地や建物の賃借は、法律で強い権利になっている】
ただ、土地の使用権を登記までするということは少ないです。
建物を建てる目的の土地などは、Bの住居や店舗に利用されている場合が多く、所有者が変わる度に退去するというのでは社会が混乱します。
そのため、賃貸借である場合に限定して、法律(借地借家法)で、所有者が変わっても継続使用を主張できる(借地権という強い権利になっている)ことにしています。

【贈与の場合は、使用貸借の継続使用は不可】
AがCに贈与した場合、贈与に伴い、Cが所有者になります。
賃貸借であれば、前項の法律のおかげで、Bは引き続きの使用を主張することが可能です。
しかし、使用貸借の場合は、借地借家法の保護はなく、Bは土地を使用できないということになります。

【相続の場合】
贈与の場合には、(生きている)AとCは、親子であっても他人として扱われます。
しかし、Aが死亡して、相続が発生した場合、相続人Dは《法律上》はAと同一の人として扱われ、DはなくなったAの権利義務を引き継ぎます。
そのため、Aの負っていたBに土地を貸す義務を、Dは引き継ぎ、Bは退去する必要がないということになります(このような違いがあることから、売買や贈与は《特定承継》と言われ、相続は《一般承継》と言われ、区別して扱われます)。
このような所有権の移転が発生する原因の違いが、Cの退去の可否に影響しているため、使用貸借の場合、生前贈与では退去、相続では退去不要という結論になるということです。
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16:54 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象と遺留分について【Q&A №612】

2018/07/13


【質問の要旨】

全遺産を遺贈する遺言があるが、遺留分はどうなるのか

記載内容  全遺産 遺贈 生命保険

【ご質問内容】

母が亡くなりました。父はすでに他界しているため、相続人は弟と私(姉)の二人です。

母は身体が不自由だったため、25年私が身の回りの世話をし、その後5年前に弟が母を引き取りました。(弟とは訳あって絶縁状態です)

母の死後、半年経っても相続についての連絡がないので、問い合わせると、公証役場で作成したすべての財産と権利を弟に相続させる、という内容の遺言書コピーが送られてきました。

また遺言執行者を弟に指名しているため、母の財産の一部を残し、すでに口座名義等を弟のものへ変更しておりました。

遺留分減殺請求を考えております。
下記は遺産の対象となるのでしょうか?

① 弟家族への生前贈与
  弟、妻、子、孫2(幼児)5人それぞれ×100万×5年間=2500万

② 一時払い生命保険の掛け金1000万
  契約者、被保険者、受取人すべて弟 
  弟から上記は遺産の範囲に含めないと主張されているのですが、納得できません。
  また、遺言書作成後の上記贈与の場合、遺留分侵害を分かっていた生前贈与と考えられないでしょうか。

612

(はな)




【遺留分減殺請求ができます】

今回のように遺言で、遺産が他の相続人(弟)に全部いくような場合には、遺産をもらえない相続人(あなた)は遺留分減殺請求をすることができます。
法定相続人が子2人なら、減殺請求で遺産の4分の1をもらえます。

【すべての生前贈与が遺産になるわけではない】

問題は、遺留分計算の前提となる遺産の範囲です。
法律では、すべての生前贈与が遺産になるとはされていません。
遺留分の計算上、遺産に組み入れられるのは次の2つの場合です。
①相続開始前の1年間になされた贈与
②1年を超える前の贈与であっても遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされたもの

【特別受益は1年以上前でも遺産に入る】
ただ、法律には記載されていませんが、裁判所は共同相続人の特別受益になるような生前贈与については、相続開始時から1年を超える生前贈与でも遺産に入るとしています(最高裁平成10年3月24日判決)。
その結果、母の遺産の共同相続人の立場にある弟への生前贈与は、1年を超える分でも遺産に組み入れられます。

【共同相続人以外の者に対する贈与は原則、遺産に入らないが・・】

弟の妻、その子や孫は、共同相続人という立場ではありません。
そのため、このような立場の者に対する生前贈与は相続開始の前、1年間のみに限って、遺留分の基礎財産には組み入れることができます。
ただ、特別受益に関する判例には、《実質上、相続人(弟)にしたと同視できる生前贈与は特別受益になる》としたものがあります(【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益)。

そのため、弟の妻らに対する生前贈与が実質上、弟に対してしたものと同視できるとすれば、生前贈与の時期を問わず、遺産に組み入れすることができるという結論になります。
実質上という判断は諸般の事情を考慮してなされるものであり、簡単には言えませんが、弟とその家族にのみ生前贈与をしており、各人への贈与額が贈与税の基礎控除以内の同額であるというのであれば、実質上、弟に対する500万円の生前贈与を、贈与税を免れるために分割したにすぎないと考えることも可能かもしれません。
ただ、遺留分の分野は相続でも最も難しいところであり、かつ、特別受益であるかどうかが大きな論点になるケースです。
相続に詳しい弁護士に詳しい事情を説明した上で、その見解をお聞きするのがいいと思います。

【一時払い生命保険の掛け金の扱い】
被相続人が契約した生命保険については、その受取人が共同相続人の一人であっても遺産にはなりません(Q&A №298)。
ただ、今回は、弟が契約者であり、被保険者でかつ受取人であるなら、弟は本来自分が支払うべき1000万円の掛け金を母に支払ってもらったのであり、その全額が生前贈与になり、かつ特別受益に該当すると考えられ、遺留分減殺の対象になります。
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12:00 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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