遺産 : 記事一覧
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★預けたお金は誰の遺産か【Q&A №536】

2016/10/24



【質問の要旨】

亡き妹にお金を預けたという念書は有効か?

記載内容 預ける 念書 筆跡

【ご質問内容】

 先日、伯母がなくなりました。夫は故人で、子供はいません。
伯母は生前、万が一の事を考えて、実の妹にお金を預けていました。
ところが、その妹が伯母よりも1年前に他界し、妹の息子2人が伯母が預けていたお
金を母親(妹)の遺産だと思い相続してしまったのです。
この時、伯母は既に認知症で、妹の死を理解できる状態ではありませんでした。
私の母は、伯母の弟(故人)の配偶者にあたりますが(実質的に伯母の面倒を見てい
ました)、まだ伯母が元気な時に、義姉(妹)にお金を預けた事を聞いて、万が一の
為に、義姉(妹)から「預かりました」という念書を書いてもらっていたのです。そ
こで、その義姉(妹)が亡くなった時に、2人の息子に念書を見せたところ「これは
母の字では無い」と言われ、うやむやにされてしまいました。

その1年後、伯母は他界。
遺産相続の協議をしなくてはいけません。
この念書は有効となるでしょうか?
その為には筆跡鑑定等が必要でしょうか?
ご教示、宜しくお願いいたします。

(パンパース)







【相続関係の整理】

少し人間関係が複雑ですので、伯母さんのことを「被相続人」、伯母さんの妹を「妹」、妹の息子(2人)を「甥」と言います。
被相続人の配偶者が死亡しており、被相続人のご両親なども死亡されているでしょうから、相続人は妹と亡くなったあなたのお父さん(他に被相続人の兄弟姉妹がいないことを前提としています)になります。
ただ、妹及びあなたのお父さんが被相続人より先に死亡していますので、甥及びあなた(兄弟姉妹がいればその方も)が代襲相続しますので、相続人は甥2名とあなた(兄弟姉妹がいればその方も)になります。


【お金を預けていたことの証明が必要】

被相続人が妹にお金を預けていたということを主張するなら、
①被相続人から妹さんにお金が渡った
②そのお金は贈与ではなく、預けたものである
との2点を証明する必要があります。
今回の質問の場合、妹の預かりましたとの念書が作成されているようですが、甥が争うようであれば、本当に妹が作成したものであることを証明するために筆跡鑑定が必要になる場合もあります。
ただ、念書に加えて、現実にお金が被相続人から妹に動いているということがわかれば、預り金だということがより強く証明できることになります。
被相続人の預貯金口座から妹の口座への送金があるかどうか、またそのような送金はないが、問題の時期に出金があるということであれば、お金が妹に渡ったことの証明が容易になります。
そのため、被相続人の預貯金の取引履歴を取り寄せは必要不可欠な作業と言っていいでしょう。


【弁護士に法律相談することも考える】

念書が有効かどうかは、前項に記載した事情に加えて、念書の記載内容と入出金履歴が合致するかどうか、また、妹の収入や資産状況から見て、妹自身の財産といえるかどうかなどを含む諸般の事情も考慮しての総合的な判断になりますので、質問の記載だけからでは判断しかねます。
今後、甥らと協議をしても、妹の遺産についての遺産分割が完了していること、甥らが預かり金を否定していることを考えると、甥らが被相続人の遺産とは認めないと頑張る可能性も高いでしょう。
そのため、場合によれば、訴訟も視野に入れる必要があるでしょう。
もし可能であれば、甥らと協議をする前に、相続に詳しい弁護士に予め相談され、念書や被相続人の取引履歴を見てもらった上で、訴訟になった時の勝訴の可能性を検討してもらうといいでしょう。
勝訴の可能性が少ないということであれば、適当なところで甥らと妥協するという選択肢も考えてもいいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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13:36 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

20年前に妻に名義変更された土地は遺産か【Q&A №529】

2016/09/21

 【質問の要旨】

20年ほど前に父から母へ名義切り替えした不動産は、父の遺産か

記載内容 名義 贈与 土地

【ご質問内容】

父が他界し、遺産相続について質問です。

実家は土地も建物も父がなくなる随分前に(20年程前)母名義に切り替えしておりますが、父の遺産に含まれるのでしょうか?

名義は母なので、父の遺産には含まれないのでしょうか?

教えていただけますか。

宜しくお願い致します。

(ふーちゃん)






【他人名義の不動産は被相続人の遺産に含まれないのが原則】

元々はお父さんの所有であった不動産が、生前にお母さん名義に移転されていた場合、その不動産は原則として、お父さんの遺産に含まれません。

ただ、債権者対策として偽装登記したとかいう事情があり、かつ、その事実を証明することができるのであれば、遺産に含めることが可能です。

ただ、現在の名義人としては、そのような偽装登記ではなかったのだと主張する場合が多いでしょうから、話し合いがつかなければ、最終的にはお母さん(登記名義人)を相手に、「この土地はお父さんの遺産である」という訴訟を起こして決着をつけざるを得ないでしょう。

なお、20年ほど前の移転ということですが、その時点でお父さんが認知症にかかっており、意思能力(判断能力)がないような状態であったというのであれば、(それも証明が必要ですが)その不動産の移転は無効であって、お父さんの遺産に属するということになります。


【夫から妻への不動産の移転の場合】

お父さんがお母さんに不動産を移転したとしか、質問には記載されていません。

何を原因とする移転なのかは、移転の際の事情をお母さんにお聞きになるとともに、不動産登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せて、登記原因を見れば判明しますが、おそらく、贈与で移転されたものと思います。

ご存知だとは思いますが、婚姻後20年間を経過した後の夫婦間での居住用不動産等の贈与はその不動産価額が2000万円以下なら贈与税が全くかかりません。

そのため、お父さんとしてはその制度を利用し、贈与税を支払うことなく、お母さんに不動産を贈与したのだと思われ、それ以外の売買などというのが原因となる可能性は極めて低いでしょう。


【特別受益等の問題が生じるが・・】

仮に被相続人であるお父さんからお母さんへの贈与があった場合、その贈与は特別受益になり、お父さんの遺産分割の際に、遺産に持ち戻して計算することになります。

この特別受益については当ブログQ&A №164Q&A №334をご覧ください。

(弁護士 大澤龍司)
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10:11 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

他人名義の預金は遺産に含まれるか【Q&A №524】

2016/08/05



【質問の要旨】

相続人の1人が生前に多くお金を受け取っている場合の遺産分割

記載内容 名義借り 遺産確認

【ご質問内容】

父と相続について話しました。

父は遺産分割協議書を作って、母、私、妹に財産を分割すればよい、ということでした。

ところが、父は株などで儲けた分をすべて母の口座へ入金しているようなのです

この状態で父と母の全財産をもとに遺産分割が可能なのでしょうか。

以上、ご回答願います。

(HY)






【将来の遺産分割協議の話と理解しています】

質問の時点ではお父さんもお母さんも生きておられるので、将来、お父さんが死亡して、その相続問題が発生したときの遺産分割協議書の問題として回答します。


【銀行では名義を基準とする】

銀行としては、名義を基準として取り扱いをします

名義がお母さんであれば、お母さんの預金であり、お母さんの自由な引き出しを認めます。

お母さん以外の法定相続人が、お父さんの遺産であるからと銀行に申し入れをしたところで、銀行がそれを認めて、お父さんの遺産として扱うことはまずないでしょう。


【判例では名義よりも実体を重視】

預金の名義人であるお母さんが「これは私のお金だ」と言い張り、お父さんの遺産であることを認めなかったときはどうなるのでしょうか。

そのようなケースが裁判で争われたことがあります。

事案の内容によって異なりますが、名義人のものではなく、口座に入金された金銭を出した人の財産と判断するという判決が多いです(末尾に参考判例1件を掲載しおりますのでご参照ください)。

ただ、裁判まで行くのは費用や手間から見て、大変でしょう。

お父さんやお母さんが生きている現時点で、将来のトラブルを防止する方策を考えておくべきでしょう。


【現在、法的に打てる手段は少ない】

現時点では、あなたの取れる法的な手段は少ないです。

あなたはお父さんが死亡した後には相続人になりますが、それは将来の話であり、現時点ではお父さんの財産について何らの権利も持っておられません。

以下に記載したようにお父さんとお母さんを説得するしかないでしょう。


【事前の対策(その1)・・お父さんらを説得する】

現在、お父さんとお母さんが生きているのですから、ご両親に相談してもらって、お父さんから出た分は、お父さん名義の口座に戻すのが、一番良い方策でしょう。

しかし、お父さんがなぜ、自分の名義ではなく、お母さんの名義に入金したのでしょうか。

その点をお父さんに確認する必要があります。

自分が死んだ後のお母さんの生活資金の前渡しというのであれば、それは生前贈与になる可能性もありますし、又、お父さんとしてもお母さん名義から自分名義の預金へ戻すことに賛成しないでしょう。

あるいは、税務対策などで、お母さんの名義を利用しているという可能性もあります。

このような場合には、名義をお父さんに変更した段階で税務調査が入るということにもなりかねませんので、その点も配慮が必要でしょう。


【生前の対策(その2)・・出所はお父さんである証拠を残しておく】

現在すべきことでもう一つ、大切なことがあります。

それは、お母さん名義の預金の出所がお父さんであることの証拠をちゃんと残しておくことです。

将来、訴訟になった場合にも役立ちますが、それよりも、ちゃんとした証拠を残しておれば、その証拠を見せるだけで相手方が納
得することも多く、紛争の防止に役立ちます。


【お父さんが死亡したときの対策】

お父さんが死亡した後、お父さんの遺産であることをお母さんが認めず、その預金を全部引き出しそうな場合には、お母さんが預金を引き出さないようにする手続きを取ることもできます。

仮差押えという手続きになりますが、裁判所に申立をして認めてもらえれば、あなたの法定相続分の限度でお母さんの出金をストップさせることも可能です。

ただ、裏付け証拠などを裁判所に提出しなければならず、又、迅速に手続きをしなければならないので、相続に詳しい弁護士に、早期の段階で相談されることをお勧めします。


【参照判例:東京高裁平成21年4月16日】

被相続人の妻名義の預金について、財産の出捐者や当該財産の管理及び運用の状況、妻名義にすることになった経緯等を考慮して、被相続人の相続財産であると認めた。

詳しくは【相続判例散策】被相続人以外の名義になっている財産を相続財産に含めることはできるのか?をご参照ください。

弁護士コメント:同趣旨の判例は上記以外にも他数ありますが、事案の内容によっては反対の判断をした裁判例もあります。

(弁護士 大澤龍司)

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15:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】

2016/06/30



【質問の要旨】

死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】

平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました

ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております

財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)






【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】

お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。

そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう

ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。

お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。


【死因贈与と生前の使用】

 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。

仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです

そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。

ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。


【成年後見人と財産管理】

お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。

ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。

あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう

(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)
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損害賠償請求権の相続【Q&A №512】

2016/06/27



【質問の要旨】

回収できない損害賠償も相続財産となるか

記載内容  損害賠償 盗難 相続税

【ご質問内容】

父の預金通帳が盗難により不正出金され、警察の捜査の結果、犯人は逮捕されました。

裁判の結果、初犯のため執行猶予付の有罪判決が下されましたが、高齢の犯人に財産はなく、ギャンブル等で費消したため被害弁償の支払い能力は全くありません。

判決を前に父は亡くなりましたが、この場合、犯人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が発生し、それが相続財産になると聞きました。

犯人から全く弁償の見込みがないにも関わらず、請求権が相続財産になるのでしょうか。(被害額は数千万円になります)

また、相続財産となる場合、この請求権のみを放棄することは可能でしょうか

(鈴木)






【賠償請求権は相続財産になる】

お父さんの預金通帳が盗難にあったが、その犯人に弁済能力がないというケースでも、法律上はその損害賠償請求権は遺産になります

相続人としては、その債権を相続で取得しているのですから、その法定相続分に応じて、(実益はありませんが)犯人に対して損害賠償を請求することができますし、訴訟をすることもできます。


【一部の遺産だけを相続放棄することはできない】

法律上は相続放棄という制度があり、一定期間内に家庭裁判所に申述書を提出することで、相続財産を相続しない(正確には、相続人にならない)ことができます。

しかし、相続放棄はあくまで《全遺産を相続するか》、又は《全部を放棄するか》の二者一択であり、他の財産(預金や不動産)を相続しながら、賠償請求権だけを相続放棄するというようなことはできません


【相続税の課税対象は別問題】

ただし、上記の回答はあくまで法律の面からのものです。

法律上は相続財産でも、相続税上は相続財産にならないものがありますし、又、逆の場合もあります

例えば、生命保険金は原則として法律上は相続財産になりませんが、相続税の関係では相続財産として申告が必要です。

ところで、損害賠償請求権については、交通事故についてですが、末記のとおり、「被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償請求金は相続税の対象になりません」とする通達があります

税務上の問題として、この通達が本件のような《生前の盗難》という損害賠償にも適用されるのかということが問題になります。


【上記通達に対する弁護士コメント】

税務の問題であるので、最終的には税理士さんに相談されて結論を出されるといいでしょうが、参考として弁護士としてのコメントを付するとすると次のとおりとなります。

相続は、被相続人が《生前に取得した権利》を、相続人に移転させるものです。

これに対して、前記交通事故の場合の損害賠償請求権は、被害者である被相続人が《死亡後》に発生するものであり、生前に取得するものではありません。

そのため、《生前に発生した》盗難による損害賠償請求権については、《死亡後に発生した》前記交通事故の通達は適用されず、盗難の損害賠償請求権は相続財産になるものと考えられます。

ただ、この盗難の債権を全額遺産に入れるかどうかは別の問題です。

相続財産であるが、回収不可能で、実質的に価値がゼロであるとして申告する、そのような申告をどのように税務署に認めさせるのか、税理士の力の試されるところでしょう。

以上の記載はあくまで弁護士の見解です。

法律と税務とは異なりますし、税務署が私と同様な見解をもつかどうかもわかりませんので、より正確な意見を聞きたいのであれば相続に詳しい税理士に相談されるといいでしょう

【参考通達 タックスアンサーNo.4111 交通事故の損害賠償金

(弁護士 大澤龍司)
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亡長兄の嫁に菩提寺への負担をしてもらいたい【Q&A №499】

2016/04/13

 【質問の要旨】

先祖代々の土地を兄嫁が相続

記載内容  先祖代々 土地 兄嫁

【ご質問内容】

兄が昨年死亡。

兄はA家の代表として土地Bを管理し、そこから上がる地代をA家の菩提寺の費用に充てる約束でした。

兄嫁はその土地の所有権を相続し、地代は生活費に充て始めました。

私は土地BはA家のもので、兄個人のものでは無く、兄が子供の時に相続で入手したので、兄嫁には相続権が無いはずだと主張。

この土地Bの相続を兄嫁がした事を取り消す事が出来ますか?

(白いコマクサ)







【兄嫁が土地を相続するのを無効にしたり取り消したりすることはできない】

お兄さんは幼い頃に土地Bを相続したのであれば、その土地はお兄さんのものです。

土地を所有するのは法人か個人であり、現在の法制度では「A家」が土地を取得することは認められておりません。


そのため、お兄さんが死亡すると同時に、土地Bは遺産として相続の対象になります。

遺言がない場合には、法定相続人がそれぞれの法定相続分でその土地を取得します。

血のつながりのない兄嫁さんが土地を取得するについては、あなたとしては納得いかないかもしれませんが、現在の法制度では兄嫁さんが土地Bを相続するのを無効にしたり取り消したりといったことはできません

なお、土地Bは兄嫁さんが単独で取得ということにはなりません。

なぜなら、子がおれば、子に遺産の2分の1がいきますし、子がいなければ両親、それもいなければ兄弟に、少ないですが、法定相続分があります。


【費用負担の約束も引き継いでもらう方向を探る】

今回の質問の核心は、お兄さんがした菩提寺の費用負担の約束を、兄嫁さんにも果たさせたいというところにあるように思われます。

菩提寺の費用負担についてお兄さんが約束したことが誓約書などの書面により証明ができるのであれば、兄嫁さんに対してその約束を果たすよう請求できる余地もあると思います。

そのような書面がなくとも、親戚の方がそのような話があったという話をしてくれるのであれば、それを兄嫁さんに伝えるといいでしょう。

土地の相続は否定できないとしても、せめて約束くらいは守るよう兄嫁さんに求めていくことで解決の糸口を見出す努力をされるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

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亡父より先に亡くなった後妻の遺産【Q&A №492】

2016/02/23

【質問の趣旨】

遺留分減殺請求訴訟において、後妻の財産も被相続人の財産であったとすることができるか

記載内容

後妻さん 名義貸し 本人訴訟

【ご質問内容】

私は、前妻の子で、幼少の時に養子に出されました。

後妻さんには二人の子がいます。

後妻さんは既に死亡しています。

被相続人(父)は自筆遺言を作成しています。

遺留分を侵害していますので、遺留分減殺請求訴訟(本人訴訟)をしています。

私は、被相続人家族と接触がありませんので、被相続人家族の生活実態がわかりません。

判明したことは、株を趣味とする被相続人より、後妻さんの株の所有する額が大きかったり、被相続人の預金通帳から、建て替えた建築資金が出ていない事、被相続人が不動産所得を後妻さんが死亡した年まで自分で申告しているが、その不動産の所在が不明であることなどです。

後妻さんは、基本的に被相続人の扶養者であり、所得はありません。

この遺留分減殺請求訴訟で、後妻さんの財産(出損者は被相続人なので実質的に被相続人の財産)も含めた遺留分減殺請求はできるでしょうか

後妻さんの財産は、現在のところ株式以外はわかりません。

(k-smile)







【名義で判断されるのが原則】

収入がないはずの後妻さん名義で多額の蓄財がある場合、原則として後妻さんのものとされます

金額の多さによっても異なりますが、長年にわたりご主人との生活をしていく中で、ご主人から自由に使ってよい小遣いとしてもらった金銭もあるでしょうし、何十年という期間の中で種々な形で得た金銭が多額の金額として積みあがることもあります。

もし後妻さん名義の遺産を、後妻さんのものではないと主張するなら、そのことを証明する証拠を提出し、その遺産が本当は誰にものかを証明する必要があります。


【名義借りの可能性もないではないが、それでも証明が必要】

かなり昔には、他人(例えば息子さんや娘さん、後妻さん)の名義を借りて、預金をするという借名(あるいは名義借り)の預貯金が広く普及している時代がありました。

このような名義借り預金の場合でも、そのような預貯金の元手が夫であるお父さんから出ていることや印鑑や通帳等をお父さんが保管していた等、遺産がお父さんのものであったことを証明する必要がありますが、意外とこれがむずかしいです。


【弁護士への相談や依頼も検討する】

本人訴訟をしておられるようですが、質問に書かれたような事情(建築資金を出した口座が存在しない等)を見れば、後妻さん側の預貯金の履歴を入手できれば、何らかの証明の手段が見つかるかもしれません。

ただ、後妻さんは既に死亡しているということなら、相手方は後妻さんの相続人である後妻さんの子になりますが、これらの方が後妻さんの預貯金の履歴を積極的に出すことは考えにくいケースです。

これらの事情も考えると、訴訟の進め方などを含め、相続に詳しい弁護士に相談され、場合によっては事件を依頼されることも考えられてはいかがでしょうか

後妻さんの金融機関の取引履歴を裁判所に提出させるような訴訟の流れを作り出せないか、あるいは現在ある手元の証拠でどこまで立証できるのか、他に証拠はないのか等、弁護士の知恵や力を借りることで裁判を有利に持っていくことも考えられるといいでしょう。            

(弁護士 大澤龍司)
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借名預金は遺産になるか【Q&A №483】

2015/12/16

 【ご質問の要旨】

父の死後、遺産分割協議がされたが、その後、父が貯金していたと思われる義母名義の口座が見つかった。
この口座のお金を、父の遺産として相続することができるか。


記載内容

借名預金 名義貸し 意思能力


【ご質問の内容】

父が平成24年1月に亡くなりました。

私は、外国に住んでいるので、弁護士とやりとりして、情報が金庫から見つからない状態で、父の銀行口座などを昔家で見かけた銀行や郵便局からのタオルやカレンダーを元に銀行の変遷を加味して、幾つかの口座を見つけて、其れを義母と等分しました。

義母は、介護2で気が定かでは有りません。
義母は、老人ホームに入居して、父の会社の年金と国の年金と生命保険で暮らしています。

その後、今年の春、私が日本に行き、家の掃除やごみ捨てや片付けを2ヶ月程している時に、父の思いや毎年口座のお金のバランスや判子や銀行手帳、保険手帳、金庫を開ける数字などが出てきました。 

その中に父が最後迄管理していた父の口座と義母名義の銀行口座が出て来ました。

義母は働いていません。

この口座は父のお金だと思うのですが 半分貰う権利が私にあるのでしょうか

残された家族は私と義母の2人だけです。

(yspads)





 【原則は名義を基準に判断】

今回のような家族の名義を借りた預金を一般に「名義預金」や「借名預金」などといい、一昔前はよく見られました。

このような預金であっても、外形上は名義人から判断され、特に誰も指摘をしなければ銀行は義母の預金であるとして各種手続を進めると思われます。


【預金を行った人物を実質的に判断】

ただ、中身の金銭を積み立てた実質的な預金者が別に存在することが判明した場合、話が変わってきます。

すなわち、預金の中身は、実際に預金を行ったお父さんの財産(遺産)であると判断される場合もあるということです。

この場合、あなたにも法定相続分を相続する権利があることになります。

そのため、この点が裁判で争われた場合に、生前の生活状況や収入状況などを当時の資産(たとえば給与口座の取引履歴など)から判断し、名義預金であったことが認められるケースもあります。

但し、義母のものではなく、お父さんのものであるという点の証明はあなたの方でする必要がありますから、裁判所がお父さんのものであることを十分に納得するような証拠を出す必要があります。

もしお父さんが預金したことに間違いなさそうでしたら、他の預金口座の取引履歴などと照らし合わせ、お父さんの口座からその義母の口座に積み立て(送金など)されていることなどの事情を確認されると良いでしょう。


【意思能力の問題が予想される】 

ただ、実際の手続は厄介なものになる可能性があります。

今回は(少なくとも形式上は義母名義のため)義母にもお父さんの遺産であることを認めてもらい、その旨の書類に署名押印をしてもらって銀行に提出する必要があると思われます。

しかし、義母が気が定かでない状態であれば、義母が意思能力を欠いて署名押印ができない(あるいは、署名があっても無効になる)可能性があります

この場合、義母に成年後見人を付ける申し立てが必要となるなど、面倒な手続が必要となりますので、ご注意ください。

また、成年後見が必要なケースであるとすると、以前にした遺産分割協議も無効になる可能性もあることに注意が必要です。


(弁護士 大澤龍司)
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名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015/04/27
 


 母は一人暮らしで一軒家です。
 
 すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

 長女の私は遠方です。

 母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。
 しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

 母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

 名義変更は私に相談もありませんでした。

 このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。


記載内容

  特別受益 名義貸し 名義

(ノースポール)





【まず、お母さんが登記に関与しているのかを確かめる】

 質問ではお母さんから妹さんへ登記が移転されたことが前提となっています。

 その前提で回答していきます。

 まず、お母さんがこの登記の移転に関与しているかを確認しましょう。

 お母さんが知らないところで登記移転がなされているのなら、その登記は無効ですので、登記を返還するようにお母さんから妹さんに申し入れてもらう必要があります。

 次に、お母さんが登記をしたかどうかわからないような状態 ― 例えば認知症で判断能力がないような場合にもその登記の移転は無効です。

 ただ、この場合にはお母さんの判断能力がありませんので、成年後見人の選任の申立をし、その成年後見人が取戻しの手続きをすることになるでしょう(ただ、現実問題として成年後見人がそのような手続きをするところまではしない可能性がありますが)。

 もし、お母さんが関与して登記を移転されたというのであれば、それは生前贈与ということになり、不動産は妹さんのものになります。

 現段階ではあなたとしては何もできません。




【お母さんが死亡した場合に遺留分減殺請求の意思表示をする】

 お母さんが死亡された場合、登記移転された不動産以外にお母さんの遺産がない場合には、あなたとしては《遺留分減殺請求》ができます。

 あなたの法定相続分が2分の1だとすると、あなたには死亡時の遺産に生前贈与分を加算した額の4分の1をもらえる制度 ―遺留分減殺制度((相続ブログQ&A №430ご参照)― があります。

 今回のケースではお母さんが死亡した日から1年以内に、妹さんに対して遺留分減殺の意思表示をし、不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

 ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
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母の預金は夫婦の共有か【Q&A №441】

2015/04/10
  


 家族は父、母、兄弟3人です。

 母の面倒を父と三男で行っていましたが、 母の余命が分かった時に長男が母が父との老後のために貯蓄していた母名義の定期などを解約、また年金の一部を引出し全て持っていきました。

  一部は持っていかれる前に母から三男に贈与されていて手元にあります。

 ただし口頭での贈与です。

 お金までならともかく、面倒をみていた父と三男の嘘を言って母を不安にさせ、支配し父のもとから連れ去ってしまい、一ヶ月後に亡くなりました。

 その後遺言書がでてきて、全財産は長男に渡すとの内容でした。

 長男が書かせたものだと思います。

 母は生前全く仕事をしたことが無く、父の給与で生活をしていました。

 年金以外の収入はありません。

 もちろん父は母が貯金をしていたことはわかっていましたが、任せていたという気持ちもあり、正確な金額は分かっていなかったようです。

 母の貯めていたお金は、父との共有財産なのではないですか?

 とりあえず遺留分の意思を伝えたら、遺言書を元に三男が押さえていたお金の返却を求めて長男から提訴されています。

 なぜか父と次男もいっしょに提訴されています。

 逆に父がそのお金は相続以前に共有財産で遺産ではないのだから、返却を求める裁判を起こすことはおかしい事でしょうか?

 またこちらから提訴して、今訴えられている裁判の差止めを行うことはできますか?


記載内容

  夫婦 共有財産 遺留分減殺請求 持ち分 


(りんりんちん)





【遺産の範囲について】

 被相続人名義の遺産は原則、被相続人の遺産になります。

 したがって、被相続人であるお母さん名義の預金があれば、それはお母さんの遺産になります。

 今回の質問では、お母さんは専業主婦だったので、そのような預金をする金額を持っていたはずがないということですが、そのような主張をするのなら、お母さんの名義であるが、お父さんのものであるという点の証明が必要になります。

 過去に経験したケースでは、お母さんが専業主婦であったが、お父さんの会社の役員になっており、会社から役員報酬が出ていたケースがありました。

 このようなケースがあったことも考えると、お父さんの口座からお母さんの口座に金銭が移ったというような、お父さんの財産が移動したことの裏付け資料が必要になることも考慮に入れておくべきでしょう。






【夫婦の共有財産ではない】

 お母さん名義の預金を夫婦の共有財産と考えて、半分はお父さんのものであるということができないかという質問ですが、答えはノーです。

 離婚する場合には、夫婦のいずれかの名義であっても、婚姻期間中に夫婦が共同で作ったものとして、夫婦それぞれの名義の全財産を折半することになります。

 しかし、今回は離婚ではなく、相続ですので、折半という考え方はできません。
(もし、そのような考え方をするなら、お父さん名義の財産の半分はお母さんの遺産となるという結論になり、遺産の範囲が不明確になり、収拾がつかなくなります)




【生前のお母さん名義の預金の解約について】

 長男が、お母さんの生前に無断で預金の引き出しをしたというのであれば、お母さんは長男に対して不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求をすることができます。

 しかし、すべてを長男にという内容のお母さんの遺言書が存在しているのなら、お母さんの請求権もすべて長男のものになりますので、他の法定相続人が返還請求をすることはできません。




【他の法定相続人がとるべき手段は・・】

 他の法定相続人がとるべき手段としては、まず、お母さんの遺言書の効力を争うという方法があります。

 お母さんが遺言書を書いた当時、十分な判断能力があったのかどうかを検討されるといいでしょう(相続ブログQ&A №423Q&A №301【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介》をご参照ください)

 次に、仮に遺言書が有効だとしても、他の法定相続人としては遺留分減殺請求をすることも考えていいでしょう。

 現在、長男は三男に対して生前贈与分の返還訴訟を提起したということですので、三男も弁護士に依頼することになるでしょう。

 他の相続人の方としても、相続に詳しい弁護士と相談され、遺言の有効性を争うメリットがあるのか、また、遺留分減殺請求をするのがいいのかを相談されることをお勧めします。

 なお、弁護士には長男との関係だけではなく、生前贈与を受けた金額次第では三男に対する法的処置の可能性もお聞きになるといいでしょう。

 最後に、あなたが長男に訴訟を起こしても、長男の訴訟が差し止めされることはありません。

 ただ、あなたが提訴したことによる裁判所の関与により、全体としての遺産問題が和解で終了することはよくありますし、事案によれば、そのような解決が一番望ましいこともありうることも申し添えておきます。
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亡父の家の鍵は返すべきものなのか【Q&A №438】

2015/03/25



 3人兄弟です。

 私は末弟です。

 死後、遺産である家のカギ、について質問します。

 親から3人とも、緊急用に親の家のカギを預かっていました。

 分割協議の結果長男が家を相続します。

 長男からカギを返せ、返さなければ被害届を出す、と言われています。

 私の子供は(被相続人からみて孫)祖父っ子であった為、又、私が、当然長男はカギを交換すると勝手に思っていたため、子供に、祖父の思い出としてカギを渡してしまっています。

 カギは、もとは父の所有物なので遺品なのか、であれば私にも1本貰える権利があるのか、或は、カギは家の付属物で、家を相続した長男のものになるのか、教えて頂きたいです。

 分割協議に異論はありません。

 よろしくお願いいたします。


記載内容   

  カギ 実家 

(きんつば)





【鍵は遺産です】

 もともとお父さんから鍵をあなたが緊急用として預かったということですので、鍵の所有権はお父さんにあり、鍵は遺産の一部になります。

 あなたは緊急の場合に家に立ち入るための目的で、所有者であるお父さんから鍵を預かったということになります。




【鍵の返還義務があるか】

 鍵が遺産であるとするとその相続が問題になります。

 遺産分割協議書に鍵をどのように相続するかが記載されているのであれば、その内容に従って、鍵が相続されます。

 しかし、鍵の相続について、特別に記載しているような遺産分割協議書はまずないでしょう。

 次に、鍵も動産ですので、遺産分割協議書に動産に関する条項があれば、そのとおりの扱いになると考える余地がありそうです。

 しかし、私としては家屋を単独取得した人がおれば、その人が鍵の返還を受けることができると考えるべきだと思います。

 鍵は、家の使用に伴う必要不可欠なものであり、家を取得しなかった者が所持し続ける必要性はないでしょう。

 緊急用に預かったようですが、お父さんが死亡している以上、預かった目的は消滅していますので、その点からも返還をするべきものでしょう。

 鍵自体が経済的な価値があるような場合(例えばダイヤモンドをちりばめたようなもの)は別として、鍵自体の経済的は価値はほとんどないのが通常であることを考えれば、やはり家の所有者が返還をうけるべきだという結論になります。



【鍵と形見、被害届について】

 長男さんは鍵を返さなければ被害届を出すと言われているということですが、警察がこのような問題を取り上げるということはないでしょう。

 お孫さんがお祖父さんである被相続人の形見として持っているということも記載されていますが、形見としては他の物を与え、鍵は家の単独所有者である長男さんに返還するのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

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13:08 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前に引き出された預金と遺言【Q&A №426】

2015/01/23
 


 親が死んで、遺言書が見つかって、3人子供がいて、私が全財産もらうことになったのですが、親の財産は貯金だけで不動産その他ありません。

 ところが、貯金をみたら、すでに、親が死亡する前に1000万円ぐらい全額ひきおろされてました。

  姉が、親と一緒にきて、おろしていったそうです。

 ところが、そのお金はあねが管理するとかいって、親にわたさずに自分の預金口座に入金してしまっており、電気代とかは そこから引き落とししてたようです。

 しかし、お金の大部分はのこっているはずなのですが、 姉はじぶんのものにしてしまいました。

 この場合、どう対応したらいいのでしょうか?



記載内容

  全財産 遺言 死亡直前 贈与 預け金 法定相続人への特別受益

(fandango)





【お金を預けたのか、贈与したのかにより結論が異なる】

 親御さんと一緒に行って預金1000万円を引き出したというのですから、預金の引き出し自体は親御さんが納得されていたのでしょう。

 ただ、その後、その金銭をお姉さんが保管することになったことをどう見るかという問題があります。

 親御さんの電気代等はその口座から引き落とされていたという点から見れば、お姉さんに管理してもらっていたということも考えられ、親御さんがお姉さんに1000万円を預けていたということになる可能性があります。

 しかし、お姉さんの口座に入金している点からは贈与と考えられる余地も出てきそうです。

 結局は預金引き下ろし時点でどのような話が親御さんとお姉さんとの間であったかで決まることであり、質問からはどちらとも断定することはできません。

 以下のように場合分けした回答をします。




【預け金の場合・・全額、返還請求できる】

 親御さんがお姉さんにお金を預けていたのであれば、親御さんはその預けた金銭の返還を請求できます。

 遺言書であなたが全財産を相続することになったのですから、預け金の返還請求権はあなたに相続されます。

 したがって、電気代等で引き落とされた分を差し引いた残額を請求するといいでしょう。




【贈与の場合は、特別受益であり、遺留分請求の問題となる】

 贈与となる場合には、遺留分減殺請求で返還を求めることしかできません。

 遺言で全財産をもらうことになっていたとしても、親が死亡した当時、遺産が何もないのであれば、その遺言は役に立たず、あなたは遺産をもらえません。

 ただ、生前にお姉さんに贈与されており、あなたに遺産が全く来ない(あるいは少ししか来ない)場合には法律であなたに本来の法定相続分の半分を返還するように請求(遺留分減殺請求といいます)することができると定められています(民法第 1031条末尾参照)。

 法定相続人の特別受益については、時期を問わず、原則として遺留分に持ち戻しされます。

 今回のお姉さんの1000万円の贈与は遺留分減殺の対象になるでしょう。




【あなたとしては預け金と主張する方が有利である】

 以上の説明からお分かりのように、あなたとしては預け金として返還を請求する方が有利です。

 ただ、その主張が通るとは限りませんので、万一、そうでないとしても遺留分減殺請求をするという二段構えで対応する必要があります。

 なお、お姉さんが簡単にあなたの請求に応じるようにも思われませんし、預け金か贈与かという訴訟でしか解決できないような問題もありますので、早期に弁護士に依頼するということも選択肢の一つとされるといいでしょう。


《参考条文》
民法 第1031条 (遺贈又は贈与の減殺請求)


 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

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★香典は誰のものか【Q&A №420】

2014/12/12



 香典は遺産ですか?贈与ですか?
 香典はだれのものですか?
 葬式の時、喪主は私だったのですが、兄弟が勝手にもっていった 香典が贈与なら、所有権は私にあるので、窃盗、横領になるのではないのでしょうか?


記載内容

  香典 喪主 贈与 葬儀費用

(fdfff)


【葬儀費用に関する基本的な知識】
 相続税の申告をする場合、葬儀費用を経費として控除することは可能です。
 しかし、民法上は、葬儀費用は相続費用とは認められず、遺産から債務として控除することは認められません。
 なぜなら、葬儀費用は、被相続人の死後、相続開始後に発生するものであり、喪主が一人で負担されるものとされているからです。
 したがって、葬儀費用については税務の扱いと法律の扱いが異なるということになります。
 ただ、調停などで葬儀費用が問題になる場合には、葬儀費用が相当であり、かつ他の相続人も出席していたのであれば、法定相続分に応じて負担するという解決をすることが多いです。
 次に香典ですが、これは喪主が取得します。
 香典は、死者への弔意、遺族への慰めの意味も持ちますが、喪主が負担する経済的負担を軽減するとの役割も果たしており、喪主に対する贈与と理解されています。

【香典を勝手にもっていかれた場合は・・】
 香典は喪主への贈与ですので、喪主の了解なく、他の人が無断で持ち去ったとすれば、刑法の窃盗あるいは横領に該当します。
 ただ、持ち去ったのがあなたの兄弟という親族間での話ですので、刑法上は、《親族相当例》(刑法第244条:後記条文参照)の適用を受け、告訴がなければ警察は捜査を行わないでしょうし、仮に告訴を行ったとしても、警察としては《親族間で解決される方が・・》というような対応をする可能性が高いと思われます。
 そのため、警察には過度な期待はせず、ご自身で返還請求に向けた積極的に動きを取られるといいでしょ。

《参考条文》
刑法 第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1. 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条(窃盗)の罪、第235条の2(不動産侵奪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2. 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3. 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
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相続した株式の扱い【Q&A №418】

2014/12/11



①非上場の株を親から相続しようとしたら3人相続人がいて、話し合いがまとまりません。
 この場合、その株はどうなるのでしょうか?
②その後、遺言書がでてきて、私に株を相続させる、文面で、遺言執行人もわたしでした。
 この場合、他の相続人の同意なしで、名義変更できますか?


記載内容

  株式 共有 総会に出席

(sasa)


【相続した遺産の扱いは、遺産の内容により異なる】
 被相続人が死亡した場合、遺産が各相続人にどのような形で移動するのかは、遺産の内容により異なります。
 預貯金であれば、その法定相続分に応じて直ちに分割され、各相続人が、金融機関に単独で請求することができます(但し、金融機関がすぐに支払いをするわけではありません。⇒相続Q&A №148を参照)。
 これに対して、土地の場合には、相続した土地を、法定相続人がその相続分で共有することになります。

【株式の場合には不動産のような扱い‐準共有になる】
 株式については、預貯金のような当然に分割されるのではなく、土地と同じように、全部の株式を相続人が相続分に応じて共有するという形になります。
 なお、このような共有状態を、不動産であれば共有といいますが、株式の場合には権利ですので、「準」共有(⇒民法第264条参照)と言います。

【株式の権利行使は民法の共有の規定に基づき行う】
 準共有状態にある権利である株式について、どのようにして権利行使するかという点が問題になりますが、これについては、共有の場合の権利行使の条文(民法第251条、第252条、第264条、会社法106条を末尾に記載しておりますので、ご参照ください)に基づき決定されます。
 株主総会に出席はするには多数決で出席者を決定することが必要です。
 株式を売却することは処分に該当しますので、全相続人の同意が必要です。

【遺言書が出てきた場合の扱い】
 今回の質問では、遺言書が出てきており、あなたが遺言執行者ということですので、あなたが遺言に基づき単独で権利行使ができることになります。
 なお、公正証書遺言であれば、直ちに執行可能ですが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に遺言検認(⇒相続Q&A №121を参照)の手続きをする必要がありますので、この点はご注意ください。


民法
第251条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)
 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
第264条(準共有)
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りではない。

会社法
第106条(共有者による権利の行使)
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。

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09:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父から借金していた兄に対する返済請求【Q&A №416】

2014/12/08



 今年1/20に父が死亡し、次男が相続をしました。かつて何度も長兄から「財産はいらないから家を継いでくれ」と言っていた長兄が金銭の相続権を主張、法定通りそれを分割しましたが、長兄には父より借入金が有りこれを次男に請求権はあるのでしょうか?
 因みに、母は生存しており母からも融資を受けています。
 又、兄弟姉妹は全部で4人です。


記載内容

  借金 混同 負債

(サンセベリア)


【貸金債権として相続し、125万円をお兄さんに請求できる】
 お兄さんがお父さんから借金をしていたのであれば、お父さんはお兄さんに貸金返還請求権と権利(債権)をもち、これがお父さんの遺産の一部になります。
 この貸金については、他の遺産と同様、相続人が法定相続分に応じて相続しますので、あなたは8分の1に相当する金125万円を返還するよう、お兄さんに請求できます。

【兄が母から借りたお金は、今回の遺産分けには関係ない】
 お兄さんはお母さんからも借り入れをしているようですが、その分はお母さんがお兄さんに貸金返還請求権を持つということになります。
 今回はお父さんの遺産分けですので、お母さんの財産とは何の関係もありません。
 将来、お母さんが死亡されたときに、その遺産分割として貸金返還請求権も遺産の一部を構成することになり、あなたはその貸金額の法定相続分に応じた金額をお兄さんに請求できるということになります。

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息子名義の借名預金という言いがかりと名誉毀損【Q&A №388】

2014/06/17
 おじいちゃんが亡くなり、面倒を見ていた父が遺産相続をすることになったのですが、父の弟が、きっちり半額相続するだけでなく、父名義の口座も、実はおじいちゃんの口座で借名口座だから、その口座のお金も半額払えと言っています。
 もちろんそれは叔父の妄想?お金が欲しいだけ?の言いがかりです。
 叔父は裁判を起こすと言っています。
 父は何も後ろめたい事はないのですが、法律系のテレビ番組で弁護士の意見がわれることがあるので、もし、裁判で負けてしまったらこれから老後の蓄えが減ってしまうと心配しています。
 私は父が一生懸命働いて貯めたお金を、叔父の嘘で取られてしまうのはかわいそうすぎてなんとかしてあげたいです。
 裁判でどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
 また、言いがかりに対しての労力や経費を、名誉毀損で叔父を訴えて、取り返すことはできるのでしょうか?

記載内容

借名預金の立証方法 名誉毀損 元手
(かっぱ)


【預金原資を誰が出したのかが最重要】
 このブログでも何度か取り上げておりますが(Q&A №358Q&A №300Q&A №274ほか参照)、以前には家族など他人の名義で預金を作る《借名預金》または《借名口座》が多数存在した時期がありました。
 その結果、預金口座を実際に動かしていた人物と名義人との間にずれが生じ、裁判で争われたケースは少なくありません。
① このような裁判で一番重視されるのは、「誰がその預金の元手となる金銭を出したのか」という点です。
 当時の被相続人(お祖父さん)と口座名義人であるお父さんの収入状況を確認し、その預金がお父さんが出したものであるという証拠を集めておく必要があるでしょう。
② 次に、預貯金通帳とその取引印を誰が保管していたのかも重要な点になります。
 もし、あなたのお父さんがその預金の原資を出しており、かつ、預貯金通帳と印鑑も持っておられたというのなら、お父さんの口座と認定され、訴訟を起こされても負けることはないでしょう。

【裁判は証明責任を負う方が証明する必要がある】
 裁判には証明責任というものがあります。
 証明責任を負う者が証明できない場合、その人の主張は認められません。
 言い換えれば、証明責任を負う者がその主張する事実を証明できない場合、その人が敗訴するということになります。
 今回の質問の場合、口座名義人がお父さんですので、それが被相続人であるお祖父さんのものであることを主張するなら、叔父さん(お父さんの弟)が、前項の①の預貯金の元手を出したのはお祖父さんであることや、②の通帳や印鑑の管理などはお祖父さんがしていたことなどを証明する必要があり、それができなければ、叔父さんが訴訟を起こしても敗訴することになります。

【名誉棄損の損害賠償は難しい】
 名誉棄損で叔父さんに損害賠償をしたいということですが、難しいです。
 預金が誰の財産であるかについて、法定相続人である叔父さんがその見解を主張することはなんら違法行為ではありません。
 結果として裁判で叔父さんの主張が通らなかったとしても、その主張を展開したことが不法行為であるとして損害賠償義務を負うことは考えにくいです。
 その理由は、まったく関係のない第三者の名義ならともかく、前述の通り以前は借名預金が多数存在しましたので、そのような借名預金の一つではないか、と疑ってかかることも(たとえ結果的にはなんら根拠のない主張であったとしても)違法行為とまでは言えず、損害賠償の請求をすることは困難であるからです。
 参考まで言えば、名誉毀損行為とは、「あの男は父親の財産を横取りした犯罪者だ」などと町中に張り紙をしたり、新聞や雑誌で報道したりするなど(現代ならインターネットで書き立てることもこれに該当するケースがあるでしょう)、お父さんに対する社会的評価(世間の評価)を低下させる発言を(基本的には第三者に対して)行うことであり、今回の相続の当事者間で遺産に対する評価を主張し合うこと自体は、なんら名誉毀損とは言えないでしょう。
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息子が買った父名義の自動車は遺産か【Q&A №384】

2014/06/09
 15年以上前に購入した車ですが、購入時に私が印鑑登録をしていなかったため、父の名義で購入しました。購入費用、税金、維持費、自動車保険等は私が払っています。このたび父が亡くなり、車が相続の対象となりました。当初は「いらない」と言っていた弟が、相続すると言い出しました。そして相続するまで「乗るな」と言ってきました。このような請求ができるのでしょうか。以下、相手からのメールです

『なんの根拠も示さないままに「あれは私の車です。」と主張してるのがおかしい。
相続対象が3人であるということを認められないままで、自由気ままに乗車するのを
認められないということを言っている。』

相続の対象であることは伝えていますし、名義こそ父であるが全費用負担しているのは私であることも伝えており、相手も認めています。また、家族間では私の車として周知されていました。

よろしくお願いします。

記載内容

自動車 名義 購入費用
(サムライブルー)


【本来はお父さんの遺産ではないが・・】
 まず、問題の車が誰の物(所有)であるかが問題になります。
 特段の事情がない限り、その車の代金をあなたが全額支払っているのであれば、それはお父さんの遺産ではなく、あなた自身の財産だと主張することが可能です。
 問題はあなたが支払ったということの証明方法ですが、もし、あなたの口座から購入代金(ローン代金)が支払われているのなら、名義はお父さんではあるが、実際はあなたの車両である(ので、遺産にはならない)と主張されることも不可能ではありません。
 ただ、これまでの経過で、あなたが、その車をお父さんの遺産として認めたというのなら、とりあえずは、その前提で話を続けざるを得ないでしょう。
 なお、交渉で話が解決せず、調停などをする場合には、《実は、あの車は私が代金を支払ったのであり、その裏付けとしてこのような証拠がある》という形で新たに主張を展開することも考えていいでしょう。

【継続使用を主張できる理由を考えると・・】
 仮に自動車がお父さんの遺産であるとした場合、次は、お父さんとあなたとの間で、車の使用についてどのような契約があったかが問題になります。
 あなたとしてはお父さんから車の使用を認められていたと主張するといいでしょう。
 その使用関係は法的にいえば、無償使用(使用貸借契約)ということになります。
 あなたは、車の保険料や自動車税、維持費等を負担しているようですが、これは車を使用するものが負担するものであって、この支払いをもって使用料(賃料)を支払っていたとは言えません(難しい言葉では《対価関係がない》ということになります)。
 使用貸借は、賃料を支払っている賃貸借契約よりも借主の立場が弱いのですが、それでもお父さんから合意で使用を認められているのであり、この関係は、貸主であるお父さんの死亡によっては終了しませんので、お父さんとの契約で今後も使用を続けることができるはずだと主張されるといいでしょう。
 なお、車の使用については、口頭での約束で成立し、必ずしも書面で契約していなくともよいということも記憶しておくといいでしょう。
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亡祖母が購入したピアノの所有者は誰か【Q&A №361】

2014/04/02
 10年ほど前に亡くなった祖母が、亡くなる前に私にピアノを買ってくれました。
 3年前に両親が離婚し、父は家に残り母が家を出て、私は母方につきました。ピアノは置き場に困ったことと父が「置いておいてもいい」と言っていたこともあり、その後も買ってもらった当時に住んでいた家(父が住んでいる家)に置いていました。ところが2年ほど前から、父が「このピアノは自分の家にあるんだから自分のものだ。」と主張するようになりました。言われる都度に私も「ピアノは私のものだ。」と主張していたのですが、先日用事で父の住んでる家に行った時にピアノが無くなっていることに気付き、父を問い詰めたところ「売った。あれは俺のものだからお前に売った金の請求権は無い。ここに置いていたお前が悪い。」といったようなことを言われました。また、売って手に入れたお金を何に使ったかを聞いたところ「色々」と口ごもるばかりで答えてくれません。私としてはピアノは祖母の形見でもあったので何とか売った分のお金だけでも取り返したいのですが、この場合は請求することが可能でしょうか?
それとも父の言う通り本当に請求出来ないのでしょうか?

記載内容

生前贈与 横領
(Mira)


【ピアノは誰の所有になるのか・・】
 今回の質問のキーポイントは、《ピアノの所有権は誰にあるのか?》という点です。
 この点により、回答が分かれてきます。

【お祖母さんがあなたに贈与した場合】
 あなたが、お祖母さんからピアノを贈与されたのであれば、ピアノはあなたの所有となります。
 従って、あなたの所有であるピアノを、お父さんに預かってもらっていただけなのに、それを無断でお父さんが売却したことになります。
 その場合、あなたとしてはピアノという物に対する所有権を侵害されたのですから、《ピアノの所有権を侵害された》ということで、お父さんに対してピアノの時価相当の損害賠償請求をすることが可能になります。
 通常の場合、あなたが請求できるのは、お父さんがした売買で受け取った売却代金額です。
 ただし、お父さんが、ピアノを安く叩き売ったのであれば、現実に受け取った売買代金ではなく、それより高いピアノの相当額を請求することも可能です。

【お祖母さんが自分の物と考えていた場合には】
 ただ、お祖母さんとしてはあなたに弾かせることは考えていたにしても、あなたにあげる(贈与)とまで考えていなかったというのであれば、所有権はお祖母さんのものであり、それを相続でお父さんが取得したということになります。
 この場合、お父さんがピアノを売却することについては、なんら問題はなく、あなたが売買代金を請求することはできません。

【所有権の証明はあなたがしなければならない】
 あなたは自分の所有権が侵害されたことを理由として、損害賠償請求をするのですから、ピアノがあなたの所有という点をあなたが証明する必要があります。
 もし、損害賠償請求をするのなら、生前、お祖母さんがピアノについてどのように言っていたのか、又、それを証言してくれる人は誰なのか、証拠集めをしておく必要があるでしょう。
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亡父のみが生活費を負担した場合の母の貯金は遺産か【Q&A №358】

2014/03/25
 共働きで 家のローン・生活費は 全て父が出し 母の収入は全て母名義で預金されていた場合・・・相続の対象にはなりませんか。

記載内容

借名預金 名義 預金 特別受益 生活費の負担
(千)


【生活費を分担していた夫婦と比べれば】
 お父さんの収入が生活費に充てられ、お母さんは自分の収入を預金として貯めておくことができたというケースです。
 ご相談の趣旨は、お母さん名義の預金は、結局、お父さんの負担によりできた預金ではないか、その分をお父さんの遺産ということで対処できないかということです。

【母の財産であり、父の遺産にはならない】
 この点、お父さんが自分の収入を、お母さん名義で預金していたというのであれば、実質的にはお父さんの遺産であったといえる可能性があります。
 今は銀行の扱いが厳しくなりましたが、昔は家族名義を借用した預金(借名預金などと呼ばれていました)が多く見られた時代がありました。
 その場合、実質的にそのお金を入金した元手は誰のお金だったのか(≒誰の収入だったのか)を主張立証することで、お母さん名義の預金だがお父さんの遺産であると扱うことができる余地がありました。
 しかし、本件では、お母さんが自分の収入を自分名義の預金口座に預け入れたということですので、お母さんの財産であり、お父さんの遺産になる可能性はないでしょう。

【特別受益にもならない】
 お父さんが生活費を負担したため、お母さんが自分の収入を全て預金に回すことができたということであれば、お母さんに特別受益があり、その経費負担分を遺産に持ち戻せないかという疑問が出てきます。
 しかし、夫婦の一方が生活費を出した場合でも、その金額が特別に多額ではない場合―たとえば月額10数万円程度―であれば、夫婦の扶助義務の実行であるとして特別受益にはならないと思われます。
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★扶養義務も相続されるのか【Q&A №351】

2014/03/05
 祖父の遺産相続調停条項で
①子A,Bらは連帯して子C(障害者)が生存中扶養する。
②土地はA,B,Cの共有とする。
③他の兄弟は遺留分も含め相続放棄する。

【ご質問】
①A,B,の子供らは将来、Cの扶養義務を負うのでしょうか?
②民法896条によって、扶養義務は遮断出来るのでしょうか?

記載内容

扶養義務の相続 一身専属権 民法896条 調停条項による扶養義務
(aussie)


【一般的には扶養義務は相続されない】
 扶養義務については、一般には、扶養義務者(今回で言えばA・B)が死亡した場合、扶養権利者(今回はC)の要扶養状態が依然として継続しているとしても、相続人がこれを承継するべき筋合いではない(扶養義務は一身専属権である)と考えられており、扶養義務が相続されることはありません。

【今回の質問の特殊な点は・・】
 ただ、今回の質問の特殊な点は、扶養義務が調停の結果である《調停条項で定められている》という点です。
 法定相続人である他の兄弟としては、《遺留分も含め相続放棄する》代りに、AさんとBさんが、障害者Cさんが死ぬまで面倒を見てもらうことにしたというのが実情でしょう。
 AさんとBさんは、法定相続分より多くの遺産をもらう(なぜなら、他の相続人の財産放棄があったから)という財産的利益を受ける見返りに、《調停条項による特別の債務》である扶養義務を負ったということのように思われます。
 言い換えれば、他の相続人としては、Aさん及びBさんの両名が死亡した場合、扶養義務が相続されないとすると、自分たちが《法律上》の扶養義務を負うことになります。

【結局は調停条項をどのように解釈するか】
 このようなケースについての明確な法律や判例はなく、問題は調停条項をどう解釈するかという点が問題となります。
 《調停条項による扶養義務》が相続されるとすると、AさんやBさんが死亡した後、その相続人である配偶者が(血のつながりがないという意味で)他人であるCさんの面倒を、又、相続人である子らが叔父さんであるCさんの面倒を見ることになります。
 相続人である配偶者や子に、そこまでの面倒を見させることは想定していなかったというのが、この調停条項の妥当な解釈ではないかと思います。
 扶養義務者を1名ではなく、2名にしているのも、どちらかが死亡してもその相続人に扶養義務を負わせず、AさんとBさんの残った方に扶養義務を負ってもらおうという趣旨だと思われます。
 以上の点を考えると、異論はあるでしょうが、この《調停条項上の扶養義務》も一身専属権として、相続されないというのが妥当なところでしょう。
大澤龍司法律事務所
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遺産か否かはどうやって決めるのか。【Q&A №343】

2014/02/03
 相続の調停を考えています。
 相続人のうちの一人(次回からAとします)がほかの相続人の同意なしに自分名義にしてしまった株式があり、現在弁護士会照会で株式の元の名義が被相続人であったことを確認中です。

 しかし、これが確認できても現在はAの名義なのでAが遺産分割を拒否すると遺産としてはみなされないのでしょうか?
 おそらく調停ではまとまらず審判による分割になると予想されます。
 審判の場合はこれを遺産として分割させる強制力があるのでしょうか? (本来被相続人の株式であることの証明は自分たちでするつもりです。)
 差し押さえにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

記載内容

株式 名義変更 遺産確認の訴え
(すぎもと)


【遺産にはいるかどうかで争いがある場合には遺産確認請求訴訟を提起する】
 ご相談のように、ある財産が遺産かどうか争われるケースがあります。
 本件のように、本来、遺産であるはずのものが他人名義になっている場合、その財産が遺産に含まれるかどうかは、最終的には、遺産確認請求という訴訟を提起し、判決で遺産であるかどうかを確定してもらうことになります。
 なお、遺産については、家庭裁判所で分割の審判をすることができますが、その場合の対象は、遺産であることがはっきりしているものだけです。
 そのため、まず、遺産確認請求で遺産になる物件や権利を確定し、その結果、問題となる物件や権利が遺産に含まれるということになれば、それを含めて、遺産分割審判をすることになります。

【差し押さえの費用】
 判決が確定した場合、その判決に基づいて差し押さえができます。
 差し押さえには様々な種類があり、その費用は様々です。
 例えば、預金の差し押さえであれば、裁判所に納める手数料は数千円~数万円程度でしょう(弁護士費用は別)。
 これが、不動産を差し押さえて競売するということであれば、一般には100万円近い費用を裁判所に納めて手続きを進める必要があるでしょう。

【差押ではなく、仮処分手続が必要です】
 ただ、質問の趣旨からいえば、今するべきことは、その名義移転された株式が処分されないようにすることでしょう。
 その場合には、その株式の売却や質入れ等の処分をさせない手続―処分禁止の仮処分ができます。
 この手続きを取ると、株主の名義人としては株式の処分ができなくなります。
 株式が処分されないということで、訴訟で時間がかかっても安心ということになります。
 なお、この仮処分をする場合には、対象となる株式の4分の1程度の保証金を用意する必要があります(保証金なので将来、返還されますが)。
 又、そのような手続きは、弁護士でないと難しいので、その費用も考えておく必要があるでしょう。
仮処分手続の詳細はお近くの弁護士に相談されるといいでしょう。
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他人名義の預金は誰のものか?【Q&A №274】

2013/05/02
私名義で毎年ゆうちょ通常貯金残高の報告がありますが。
 現在痴呆がすすみ成年後見人がついている叔母が幼くして母親を亡くした私のために貯金していてくれたものです。
 印鑑や証書がないので今までは絵にかいた餅だと思いきにもしませんでしたが現在私立大学3年になる息子の学費がどうしても払えません。
 奨学金も受けているのですが中小企業で働く私の年収が500万円ほどなので下宿代など厳しいです。
 話が戻りますがそのゆうちょ通常貯金は証書や印鑑を紛失したとゆうことで免許書など本人確認できるものであればおろす事ができるし私の意思を無視して名義変更などは叔母の成年後見人の方でもできないとゆうちょコールセンターに問い合わせて聞きました。おろして学費にあててもよいものでしようか。
 成年後見人と家庭裁判所の担当者が名義変更しましょうと言っています。
 そんなこと裁判所でも勝手にできるものなのでしようか。
 今現在家庭裁判所からの連絡を待つ状態です。
 教えて下さい。

記載内容

他人名義の預貯金 相続手続 成年後見 
(真奈美)


【今回の質問は相続とは直接関係ないが・・】
 あなた名義の口座を叔母さんが作成し貯金をしていたとのことですが、特に今回は叔母さんがお亡くなりになったわけではないようですので、当質問は直接相続とは関係がありません。
 ただ、遺産分割問題では、子ども名義で預金していた親(被相続人)の預金(借名預金などと呼ぶことがあります)が遺産かどうか問題となることがたびたびあります。
 そこで、本質問も遺産そのものではありませんが、それに関連する問題と理解して回答します。

【この貯金は誰の貯金か?】
 叔母さんがあなたのためにあなた名義の貯金をしておられたようですが、この貯金はあくまであなたの名義を借名した、叔母さんの貯金というべきでしょう。
 叔母さんがお金を貯金し、かつ通帳を持ち、印鑑も持っておられたという事実を見れば、名義はあなたになっていても、実質は叔母さんの貯金と考えるべきです。
 そのため、仮に叔母さんの成年後見人がゆうちょ銀行に対し貯金を叔母に支払うよう請求する訴訟を起こせば、裁判所は認めるだろうと思われます。

【手続にはあなたの同意が必要】
 もっとも、だからといって叔母さんの成年後見人の方がゆうちょ銀行に行って払戻しを要求しても応じません。
 ゆうちょ銀行側からすれば、後日の紛争に巻き込まれることを避けるため、名義人があなたである以上、あなたが払戻しに同意しない限り、成年後見人からの請求には応じないでしょう。
 成年後見人や家庭裁判所の担当者の意見は、あなたが同意してくれればあえて訴訟をするまでもないだろうということで、手間や費用を省こうとしているものだと考えられます。

【あなたも勝手に払い戻すことには問題がある】
 手続的には(正確に言えば名義としては)あなたのものになっていても、実質上、あなたの貯金ではありませんので、あなたが印鑑や通帳等を紛失したと虚偽の事実を主張して、届出印を変更し、ゆうちょ銀行に出向いて払戻を請求する行為は、事実に反する行為であり、かつ叔母さんの貯金を横領する行為になるので避けるべきでしょう。

【名義変更は一方的にできない】
 成年後見人や家庭裁判所が貯金の名義を変更しましょうと言っているとのことですが、家庭裁判所や成年後見人の見解としては、名義はあなたのものであるとしても実質は叔母さん名義の貯金なので、貯金名義を叔母さんに変更するべきだという見解なのでしょう。
 ただ、ゆうちょ銀行としては、名義人であるあなたの同意なしに叔母さん(正確に言えば叔母さんの成年後見人)名義に変更することはないでしょう。
 ただ、あなたの立場としては、その貯金名義の変更に同意してほしいとの要請があれば、名義変更に応じざるを得ないでしょう。


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父名義で残る母の預金【Q&A №267】

2013/04/16
 海外にあった母の預金を、母が病気のため、サインができなくなって出せなくなると困るということで、父が預かることにして、母の口座を解約して、父の名義の口座をつくりました。3ヶ月後に母が亡くなってしまいました。
 金額としては、相続税は発生しない金額です。現在も、父の名義のままです。私は、それが元々母のお金であったことを最近まで知りませんでした。そのため、母の亡くなったとき、母の預金はほとんどなかったため、特に、相続手続きなどをしていません。
 父の同意が得られれば、今からでも、相続の手続きはできるのでしょうか?また、できたとして、それは贈与となるのでしょうか。ちなみに両親の子どもは私だけです。

記載内容

預かり金 相続か贈与か
(gungun)


【お母さんの遺産として、半額の返還請求が可能です】
 お母さんの預金口座を解約して、その分をお父さんがその名義の預金口座で預かるということですので、お母さんはお父さんに対して預けたお金を返還してもらう権利があります。この返還請求権は、お母さんの死亡した後は、遺産となりますので、あなたがその2分の1の権利を相続します。
 そのため、あなたがお父さんに対して、預かったお金の半額の返還を求めることができます。
 相続の手続としては、お父さんに請求し、お父さんがあなたに半額を返還するということになります。
 なお、相続の手続きには期限がありませんので、現時点でも返還請求は可能です(但し、返還請求権は10年間で時効消滅しますので、あまり長く放置せず、早期に請求されるといいでしょう。)

【贈与ではなく、相続である】
 少しわかりにくいかもしれませんが、あなたがお父さんからもらうのは、お母さんの遺産の相続としてもらうのであり、お父さんからの贈与ではありません。
 お父さんとしては、お母さんに対して返還請求債務を負っていたのですが、お母さんが死亡したため、その請求権のうちの半分があなたに移った(相続された)ということであって、贈与ではありません。
 従って、お父さんから返還してもらっても、それに対して贈与税が課税されることはありません。


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★相続株式の分割方法【Q&A №245】

2013/02/19
去年の8月に実母が亡くなりました。家族構成は、父、姉と婿養子(両親が養父と養母になっています)と他家に嫁いでいる私です。去年の6月に父は脳梗塞から寝たっきりとなり、先日、司法書士の先生に成年後見人をお願いしました。
 亡母の遺産目録を依頼した所、預貯金が1,100万円程と2證券会社に株が400万円程と生命保険の権利が2件で200万円程ありました。うち、生命保険の150万円弱の権利のある保険は姉夫婦が勝手に名義変更をしてしまいました。先日、司法書士の先生から、後見人は株を運用できないので、預貯金の殆どを父が相続し、残りの株を子供のうちの誰か一人に名義変更し相続するか、3人それぞれに株を名義変更するかとのお話がありましたが、株券は、銘柄ごとに資産価値が違うので均等に3等分とはいかないと思います。すでに姉に名義変更してしまった生命保険の権利はすでに姉が相続したみなされるのでしょうか。又、株をどのように処理をするのが最善の方法なのでしょうか。子供の1人が株をすべて相続した場合の残りの2人の相続分はどのような割合(遺留分割合)になるのでしょうか。宜しくお願いします。

記載内容

株式 生命保険 成年後見人

(たまちゃん)


【株式の分割方法は様々】
 現金とは異なり、株式の分割には困難が伴います。
 考えられる方法としては、次のようなものがあります。

① 一人の相続人に取得してもらって、他の相続人には代償金を支払う。
② 株式自体を現物で分割する。
③ 株式を売却して、その代金を相続人で分割する。

 可能であれば、上記①の誰か一人が取得する方向で検討し、分割合意時点の株価を調べて代償金を他の相続人に支払うといった方法を考えるべきでしょう。
 ただ、株式の価額が変動することや、株式が複数の会社分ある場合もあり、また、株式数の関係で現物分割できないような場合もあります。
 そのため、結局は上記③のように、売却してその代金を分割するのが一番現実的な解決方法でしょう。
売却時期については、遺産分割協議決定前に現金化するのか、それとも遺産分割協議後に売却するのか、相続人間で協議・決定していくといいでしょう。

【保険契約名義のお姉さんへの変更について】
 お母さんの名義の生命保険をお姉さん名義に変更したということですが、

① そもそも、保険契約は死亡保険かどうか、また、被保険者は誰なのか?
② 名義変更はお母さんの生前にしたのか、死後にしたのか?
③ 生前にしたのなら、お母さんの同意があったのかどうか?
④ 名義の変更ということであるが、保険金の受取人の変更という意味ではないのか?

 以上の点が明らかではないので、回答がしづらいのですが、もし、それが生命保険であり、生前に契約者であるお母さんの同意を得て、受取人をお姉さんに変更したのであれば、なんら問題はなく、その保険金は変更された受取人であるお姉さんが取得します。
 死亡後に、契約名義が変更されたのであれば、相続人全員の同意がないわけですから、その名義変更は無効ですので、元の内容で契約が存続していることを前提で処理をするといいでしょう。

【子の一人が株式を取得する場合の処理】
 このうちの一人が株式を全部取得するという場合に次の処理が必要となります。
 全遺産は預貯金1100万円と株式400万円の合計1500万円です(保険金は遺産には入りません)。
 法定相続分はお父さんが2分の1ですので、本来ならば、金額でいえば合計750万円を相続し、子は6分の1ずつですので、合計250万円ずつを取得します。
 子のうち、一人が全株式を取得すると400万円を取得することになりますので、この子については預貯金の相続はなく、しかも株式のもらいすぎ分である150万円を代償金として支払う必要があります。
 その結果、お父さんは預貯金を660万円取得し、株式代償金として90万円を取得することになります。
 株式を取得した子以外の子について言えば、預貯金を220万円取得し、株式代償金として30万円をそれぞれ取得することになります。


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父の事業の売り上げを相続できるか【Q&A №225】

2013/01/08
 遺産相続
 不動産経営をしていた父が他界し、父が残した唯一の財産で今兄が父の後を継いで不動産業をしています。
 母親が依然言っていたのですが遺産相続として不動産の売上金の一部を私も貰う権利があると聞きました。
 それは本当なのでしょうか?
 私にも貰える権利はあるのでしょうか?
(ふみ)


記載内容

売上 経営 会社 
【遺産の内応は何なのか・・】
 死んだお父さんが不動産業をしておられたようですが、法人(株式会社)だったのか、それとも個人経営だったのでしょうか。
 それによって、結論が変わりますので、念のために確認をしましょう。

【法人の場合には株式が相続対象となる】
 法人であれば、その法人の株式が遺産であって、不動産からの賃料収入や仲介手数料、管理料などの売上金そのものは遺産ではありません。
 あなたとしては、株式を相続したことを主張して、その株式の分配として売上金等を利益配当してもらうことになります。

【個人事業であれば、売上金が相続対象になる】
 もし、お父さんがしていたのが個人事業であれば、お父さんが死亡した時点までの売上金等はお父さん個人の遺産ですので相続の対象になります(もちろん、お父さんの死亡までに発生していた事業の経費などは差し引きしますので、これを控除した残額が現実の分配対象になります)。


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叔母が預金した父名義の預金口座とお金は誰のものか【Q&A №190】

2012/08/24
 亡き父名義の通帳

 去年11月14日に私の父が末期癌でなくなりました。医者から余命4ヶ月と言われてから1ヶ月半で亡くなりました。
 父には姉がいて、近くに住んでます。私からして叔母です。父が亡くなってから、叔母から父名義の通帳があるから母と私に印鑑証明と実印を揃えてくれといってきました。その時にはどこの銀行かとか残高とか教えてくれなくて、ただ書類を渡されました。
 後日私が叔母に父名義の通帳は母と私が遺産相続人になると思うので通帳を渡して欲しいとお願いしました。渡された銀行のが父が亡くなる10日前に700万引き出されてました。父は末期癌のため最期は自宅で介護して過ごしてました。なので10日前に銀行に行く体力もなく常に母と私が看てました。
 怪しいと思い叔母に聞くと最初は知らないととぼけられました。そのうち、父名義の通帳は私のお金だ。名義を借りただけだと言ってきました。
 私も納得いかなくて相続の事を調べると亡くなる前の引き出しも遺産相続になると書いてたのを見つけ叔母に話すと700万を渡してくれました。
 それから叔母からの連絡は無かったのに、昨日たまたま母と遭遇した叔母は母に、今書類を揃えてる。あんたら親子を訴えてやるからなって言ったそうなんです。
 700万を渡した時には何も言わなかったのに、なんで今更そんな事を言ってくるのか分かりません。父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのでしょうか?

記載内容

借名預金 名義借り 

(いちご)


【預金が実質的に誰のものかの判断基準】
 お金を預けた人物と預金口座の名義人とが異なる場合のことを《借名預金》などといいます。
 昔は本人確認も現在ほど厳しくなかったため、勝手に他人名義で口座を作ることが容易にできました。
 ところで、ある口座について、その名義人ではない人が自分の預金だと主張するときに、本当の口座の預金者を判断するためには次の点などを考慮するといいでしょう。
①その預金の入金は誰がしていたのか。
②その預金の預金証書や取引印やキャッシュカードは誰が保管していたのか。
③その預金の出金は誰がしていたのか。


【本件質問の場合には・・】
 今回の質問では、上記①から③までが記載されていません。
 ただ、お父さんの生前に叔母さんが700万円を引き出したということであれば、前記②の預金証書や印鑑等を叔母さんが持っており、しかも高額の預金を引き出していたということになれば③の点も充たしており、叔母さんの預金の可能性もでてきます。
 これに加えて、①の預金の入金が叔母さんということなら、叔母さんの預金の可能性が高いでしょう。
 しかし、叔母さんが700万円をあなた方に返還したというのですから、その点からいえば、お父さんのものである可能性が高いとも考えられます。
 なお、叔母さんは訴訟の用意をしているというのなら、あなたの立場から言えば、前記①の入金者はお父さんであったことや②の預金証書等が叔母さんに行っていた理由等を調査しておく必要があるでしょう。
 いずれにせよ、今回の質問の記載だけでは、はっきりした回答は困難というしかありません。

【父が亡くなる前に叔母が引き出した700万は叔母の財産になるのか】
 この点に対する回答は、その預金口座が実質上は誰にものかによって異なります。
 お父さんのものであるとすると、あなたは叔母さんから返還してもらった700万円を返還する必要がないでしょう。
 しかし、実質的に叔母さんの預金であるとすれば、生前の引出分は当然、叔母さんの分になり、あなたがもらった分は返還する必要があるということになります。


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名義変更された預金は誰の遺産か?【Q&A №167】

2012/06/25
 相続0。相続放棄・寄贈書面に署名捺印を強要  あげく今では有名な「児童虐待」
 私は21の時に風呂場で髪を掴まれ壁に顔面を叩き付けられ実家より逃げ出してから3年前に母が急死。
 警察よりTELで生前母より聞いていた父の携帯に電話した所「アンタに関係ないから帰って来ても迷惑や」と一蹴でした。
 一蹴されながらも葬儀には出席。
 その後、掌を返したように、自身が仕事の間はヘルパーを規定時間頼むより安い私が仕事を終えた後、唯一の妹(脳性マヒ)の食事、2人の朝・夕の食事を準備する生活を約1年間勤めました。
 また母名義の銀行通帳を凍結せず、印鑑等を持ってこさせ名義を私に変更。
 通帳は父に取り上げられ、暗証№も自身名義の口座と言えど父指定の数字。何をされるか分かりませんので一銭も入金せず父が入金してました。
 名目は実家の不意の出費用の預金としてたようです。
 先日、見慣れない機材がありもしや?とネットBで見ると引出してあり、相談なく73万もの大金。
 怖くなり暗証番号を変更しました。
 即日バレ「暗証№を戻し、通帳返却せよ」と催促され妹を使いTELでの催促も。F.バックと精神状態の異常が続いています。

 父の要求通り暗証番号を戻し通帳を返却しなければなりませんか?

記載内容

預金 名義変更 

(あき)


【預金口座を他人に使わせることは問題】
 まず、預金の中身(現金)と通帳とは別に考える必要があります。
 現在は銀行口座の名義貸しに対する規制が厳しくなっておりますので、実際には預金を全額出金してお父さんに返還するだけにとどめ、今後はあなた名義の通帳(口座)をお父さんのために使わせることは控えていただくべきであろうと思います。
 ただ、今回のご相談は、問題の預金(中身)が誰のものか、という点に尽きますので、以下はその点について回答いたします。

【遺産である預金の扱いについて】
 お母さん名義の預金口座が、元々はお母様のお金が預金として積み立てられていたのであれば、お母様の遺産になります。
 この預金口座をどうするのかは相続人全員(今回のケースでは配偶者であるお父さんとあなたと妹さんと思われます)が協議(遺産分割協議)して決定することです。

【妹さんは意思を表示できたのでしょうか】 
 妹さんが脳性マヒとのことですが、妹さんがお母さんの預金の扱い(遺産分割)について意思表示ができなければ、法的に有効な遺産分割を行うことができません。

【遺産分割協議なく名義変更した口座は】
 遺産分割協議がないのなら、お母さんの遺産である預金口座をあなた名義の預金口座にしたり、あるいはお母さんの預金口座を解約して、その解約金をあなた名義の口座に入金したりしても、その預金されているお金はお母さんの遺産です。
 そのため、この口座の預金全額を、あなたであれ、お父さんであれ、使う権利はありません。
 早急に相続人全員で遺産分割協議をすることが必要です。
 妹さんに意思能力がないというなら、成年後見人をつけられるといいでしょう。

【お父さんが入金した金銭は・・】
 お母さんの預金から移した金銭以外の分については、お父さんの独自の財産です。
 ただ、お母さんの分とお父さんが入金した分が入り混じっており、わからない状態になっている可能性も強いでしょう。
 あるいは、お母さんの遺産分をはるかに下回っている預金残高しかない場合もあるかもしれません。
 質問からは、他の財産がないようですが、いずれにせよ預金については遺産分割の協議が必要であり、又、お父さんの暴力等の問題もありますので、専門家である弁護士と相談され、現在の事態に一番適切な方策についてのアドバイスをもらわれることをお勧めします。

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★50年前に無断で登記された土地は取り返せるか【Q&A №134】

2012/03/26



 50年ぐらい前のことなんですが、祖父が他人から土地を購入し、自分の弟に登記変更の登録を頼んだところ、弟は勝手に自分の名前で登録をし、登記簿を見せるように言うが、「なくした」といい、見せてくれなかったと話していました。その祖父も他界し、今は弟の息子がそこに家を建てています。

 この場合、土地は返してもらえるのですか? この話は身内みんなが知っています。


記載内容

  請求権の相続 時効取得 土地の占有 

(かんなみ)


【お祖父さんの持っている権利は相続される】
 お祖父さんが土地を買ったのに、その弟さんが勝手に自分の名義にしていたのであれば、お祖父さんはその弟さんに土地名義の返還を求めることができます。
 お祖父さんが死んだ場合、この土地の名義の返還を求める権利は、お祖父さんの相続で承継され、その相続人が返還請求することができます。
 
【問題は証明できるかどうか・・】
 しかし、お祖父さんはどうして、50年間も弟さんの名義にしていたのだろうかという疑問があります。
 登記簿を見せるように言っても、弟さんが見せなかったというのですが、登記簿は法務局に行けば誰でも見ることができるものですので、登記名義が弟さんというのを知らなかったという主張を続けることも難しい話でしょう。
 したがって、お祖父さんが本当に売買したのだという点をしっかりと証明する証拠が必要でしょう。
 
【時効の主張が出てくる可能性がある】
 仮にお祖父さんが売買をしたのであり、その弟さんが勝手に名義移転をしたのだということが証明できても、弟さんから《時効で土地を取得したのだ》という主張が出てくる可能性があります。
 名義が弟さんであり、土地の使用を50年も続けた、おそらく土地の固定資産税も弟さん側が払っていたというのであれば、占有を初めて20年もなれば時効で取得することが可能です。
 
【今すぐに弁護士に相談をしましょう】
 相手方は家まで建てているのですから、話し合いで円満に名義を返してくれることは考えにくいでしょう。
 名義を勝手に変えたという話は、《身内のみんなが知っています」ということですので、早い段階でその人たちに事情を聞き、また、裏付け証拠も集めておく必要があるでしょう。
 さらに、時効を主張させないためにどのような証拠が必要なのかも、考えておく必要もあります。
 今後、どのように対処するのか、お近くの弁護士に相談されるといいでしょう。
   弁護士の相談窓口・・・日本弁護士連合会 弁護士会の法律センター    法テラス 相談窓口検索
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相続債務の負担について【Q&A №101】

2011/11/16


 先月私の父がアパート経営借入金負債のままで亡くなりました。アパート経営は 築何年もたっており 返済はできているもののかなり厳しい状態です。
 父名義の土地他、財産もちょうど正、負の債務と同額くらいかと思います。(現在、相続相開図を作成中)
 そこでご質問ですが アパートには債務者亡き父 連帯保証人には弟、長男となって いるわけですが公正証書遺言書通り記名の土地を私が相続した場合 たとえば来年度 アパート家賃返済の困難 アパート修繕なで多額の費用が発生した場合 私にも負の 債務が生じてくるのでしょうか。限定承認という手続きもありますが、相続したせいで、私が今後の借金返済の債務を背負うことになるのでしたらやむなく放棄を考えています。そうでなければ父の意志通り相続していきたいと思っています。
 相続後の債務、遺産放棄について良きアドバイスをお願いします。


記載内容
  
  遺言書 相続債務 
(ままの本)



【あなたにも相続債務がきます】
 相続では、預金や不動産等の資産をもらえるだけではなく、借金や債務も引き継がれます。あなたは法定相続分の割合(相続人が3人の子のみであれば、3分の1の限度で)債務を引き継ぐことになります。
 アパートの建築のためにお父さんが多額のローンを残して死亡されたというのであれば、あなたは相続分で分割された借金を支払う責任があります。
 そのアパートを誰が取得するかに関係なく(あなたがアパートをもらわなくとも)、あなたはその債務を引き継がなければならないのが原則です。

【相続人間でアパートを相続した人に債務全部を引き受けてもらう合意をした場合】
 アパートを相続する人(たとえば長男)に、ローン債務全部を支払ってもらうという合意をすることは可能ですし、遺産分割協議でこのような合意をする場合があります。
 ただ、注意しなければならないのは、このような合意は相続人間でのみ有効で、債権者に主張するためには、債権者の同意が必要です。
 たとえば長男が全部払うことに遺産分割協議が出来ていると言っても、債権者はこれを無視してあなたに債務の履行を請求することができます。

【金融機関に債務免除してもらうことも考えられるが・・】
 債権者があなたに対して債務免除すれば債務は負担しなくてもすみます。
 長男さんとしては、ローンに連帯保証しているのですから、相続放棄しても債務の履行が必要です。
 長男さんにはアパートを取得してもらい、金融機関との間で、債務の支払いは長男がすること、言い換えればあなたの債務を免除するように交渉してもらう方法もあります。
 通常、金融機関は債務者を単独にすることには応じないですが、長男に資産があるとか、あるいは金融機関に信頼されているというような場合には、応じる例がたまにあります。
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電話番号    06-6361-6017
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★介護をしなかった弟の相続分【Q&A №94】

2011/10/20

 遺産相続についてお尋ねします。
私の母が亡くなりました。父はもう他界しています。
私には弟が一人いて、兄弟は2人です。
母の遺産は土地だけです(約500万円)
母は、私の家族が面倒を見てきました。(要介護5級)認知症が酷い状態でした。5年間ほぼ寝たきりでした。
遺産分割で弟は土地の半分の250万円を欲しいと言っていますが、母の面倒は見ていません。
こういう場合法律では50:50で分けるべきなのでしょうか?
家では、母がいるため妻は働けずに収入もありませんでした。
母の面倒の費用は母の年金でほぼ賄えました。
面倒を見ていない弟に半分というのは、私は納得いきません。
よろしくお願いします。


記載内容

  遺産分割 寄与分 介護 
(フォトちゃん)


【介護は特別寄与分として主張する】
 親の面倒を見るのは子供の当然の義務であって、それだけで遺産の取り分が増えるわけではない、というのが現在の裁判所の考え方です。したがって、親の介護をした相続人も、他の相続人も同様の割合で遺産分割されるのが原則です。
 ただ、自力でお母さんの介護をしたことによって、お母さんの介護費用(たとえばヘルパー代等)が少なくなったというのであれば、お母さんの財産の減少を食い止めたということで、その減少額に相当する金額を遺産からもらうことを主張されるといいでしょう(このように遺産の減少を少なくし、あるいは遺産を増加させることに役立った分を請求するのを特別寄与分の主張といいます)。

【奥さんの介護もあなたと一心同体と主張するといいでしょう】
 お母さんの介護は主としてあなたの奥さんがされたということですが、その場合は夫婦が一心同体であるとして、あなたが特別寄与したのと同様に扱うように主張されるといいでしょう。
 なお、介護のために奥さんが働けなかった分を請求したいという気持ちがおありかもしれませんが、残念ながら、現在の扱いでは、遺産の減少を食い止めた額、あるいは増加させた額でしか評価されません。

【調停委員への働きかけは、感情的にならずに事実を述べる】
 実は、当事務所の弁護士間でも、介護をしても遺産のもらい分が増えないという点を議論したことがありますが、このような扱いはおかしいという結論でした。
 もし遺産分割調停をするなら、お母さんの介護がいかに大変であったかを調停委員に訴えるといいでしょう。私たちと同じ考え方の調停委員も当然おられるでしょうから、介護を評価して弟さんに譲歩するように話してくれる可能性があります。
 なお、弟さんを感情的に攻めるとかえって逆効果になる場合がありますので、事実で説明することを心がけるといいでしょう。
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