相続債務 : 記事一覧
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亡父が連帯保証した姉の住宅ローンの相続【Q&A №551】

2016/12/21



【質問の要旨】

姉の家の住宅ローンを父が連帯、相続で自分も負担するのは納得できない

記載内容 住宅ローン 連帯保証 

【ご質問内容】

姉が結婚したとき二世帯住宅に建て替えました

土地・建物は姉の名義です(母が亡くなり名義変更/父婿養子)。

住宅ローンは姉が組みましたが父も連帯になっていました

相続になりその負債が1200万あり父の分が600万で相続人で割ると私の負担が300万と言われました。

今まで父は月々5万と年2回:各11万(ローン半額)支払ってました。

家は全て姉の物になり負債だけ私が負担するのは納得できません

父が支払っていた分、特別利益とかにはなりませんか。

(チョコ)







【ローン債務の承継】

被相続人であるお父さんの住宅ローン残債務が600万円あり、お姉さんとあなたのみが法定相続人であれば、あなたは300万円の債務を負担することになり、その点ではお姉さんの話は間違っておりません。

ただ、住宅ローンについては、債務者が死亡した場合には保険会社から残額を一括支払いするという保険に入っていることが多いです。

そのため、念のために金融機関に債務残高及び保険の有無等を確認することをお勧めします。


【建物資金の半額を出した点が特別受益になります】

質問を整理します。

お母さんが土地を持っていたが、これはお姉さんが相続した。

その後、お父さんが死亡した。

上記土地の上にお姉さんが単独名義の建物を建築したが、住宅ローンについては半額がお父さんであり、ローンの支払いが未了である。

以上の前提で回答を記載していきます。

お父さんは住宅ローンでお金を借りましたが、そのお金はお姉さんの単独名義の家の建築資金になっています。

そのため、その借入額が、生計の資本としてのお姉さんへの贈与と考えられ、この生前贈与額は特別受益になります。


【特別受益とした後の遺産分割】

特別受益になるお姉さんの生前贈与を受けた額については、遺産に持ち戻します。

そのため、お父さんの遺産は、《生前受益分+死亡時の財産》の合計額になります。

この額を前提に法定相続分で各人の取り分を計算し、もし、お姉さんの生前贈与額がこの各人取り分を超えている場合には、死亡時にあった遺産はすべてあなたが相続するということになります。

(当ブログQ&A №506などもご参照ください。)

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:00 相続債務 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

電柱敷地料の相続【Q&A №543】

2016/11/21



【質問の要旨】

登記名義が変更されていない土地にある電柱の敷地料について

記載内容 電柱 名義変更

【ご質問内容】

電柱敷地料を母が電力会社から受け取っていました

母が3月に死亡しました。4月に、結婚して遠方に住んでいる姉が勝手に電柱敷地料の承継届けを電力会社にだしました

6月に電柱敷地料が姉に支払われました

8月に母の遺言状で、すべての財産を私に相続させる、遺言執行者も私でした、との内容でした。(家裁検認済み)

それで、電力会社に電柱敷地料を私に払うよう請求したのですが、姉への支払いは停止する。しかし、電柱敷地料の土地の不動産登記名義が、私に変更されない限り、電柱敷地料の私への承継は認められない、との返事でした。

不動産登記名義は5年前、死んだ父の名義で母の名義ではありません。

しかし、父が死んでから5年間は、不動産登記名義を母に変更することなく、電柱敷地料の承継届けを出すだけで、電力会社は母に電柱敷地料を支払ってきてたのです。

1.電柱敷地料は不動産登記名義が変更されないと、支払われないのでしょうか?支払われないとすれば、父が死んでから5年間母に支払われてきたのと矛盾します。

2.母の遺言ですべての財産を私に相続させる、の中には、当然電柱敷地料も含まれると思うのですが、母に支払われた電柱敷地料は、相続で私にしはらわれなくてはならないのではないですか

私は相続人、遺言執行者として、どう法律的に対応すればいいのでしょうか?

(fhghfg)







【まず、電柱敷地料を受け取る権利(受給権)の内容を考える】

電力会社は、お父さんの所有していた土地について、お父さんとの間で電柱の敷地として使用する契約を結んでいました。

そのため、お父さんは、敷地使用契約の貸主であり、その契約の具体化として各時期に発生する使用料請求権を持っていたことになります。


【お父さんの死亡したときは相続人3人で権利を取得する】

お父さんが死亡したとき、特に遺言が無いのであれば、お父さんの敷地契約の貸主の地位は法定相続人全員が承継します。

次に使用料の支払いですが、敷地利用契約に特段の取り決めがされていない限り、各法定相続人が独自に法定相続分に応じて請求する権利を持つことになります。

今回の質問のケースではお母さんが2分の1、あなたとお姉さんが各4分の1です。

不動産の賃貸の場合、貸主が死亡したときには、その貸主の相続人がその法定相続分に応じて賃料を請求できるという最高裁の判決(参照最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)がありますが、今回の敷地使用料もこれと同じように扱っていいでしょう。


【お母さんの遺言があっても、使用料全額を取得することはできない】

今回、お母さんが死亡し、遺言書であなたが遺産をもらうことになったというのであれば(遺留分減殺請求の問題はややこしくなるのでふれないこととします)、あなたの権利関係は次のとおりとなります。

まず、貸主の地位ですが、お母さんの持っている、お父さんから相続した2分の1はあなたのものになります。

これに、元々、あなたがお父さんから相続した4分の1を加算して、あなたは貸主の地位の4分の3を持つことになります。

残りの4分の1はお姉さんが持つことになります。

次に使用料についても、お母さんの死亡後は、あなたは使用料の4分の3を電力会社に請求することができますが、残りの4分の1はお姉さんが請求できることになります。


【お姉さんとの関係は生前の分と死後の分とを分けて考える】

なお、お母さんは生前、敷地使用料全額を取得していたようですが、あなたやお姉さんがこのような受け取りに同意していないのであれば、あなたもお姉さんも各4分の1の返還をお母さんに請求することができます

ただ、お母さんが死亡したので、その返還債務がどうなるかですが、今回の遺言ですべての遺産をあなたが相続するというのであれば、このお母さんの債務はあなたが全部引き受けることになります。

そのため、お姉さんのお母さんに対する返還請求があれば、あなたが支払いをする必要があります。

次に、お母さん死亡後にお姉さんが単独で全額を取得したようですので、あなたとしてはお姉さんが無断で受け取っていた分の4分の3に相当する金銭をお姉さんに返還請求することになります。


【電力会社に対して全額支払いを請求するには】

電力会社としては法定相続人であるあなたとお姉さんとの間で、あなたが《単独で使用料を取得する権利がある》ということを明確にする必要があります。

そのためには、お姉さんがお父さんから取得するはずの4分の1の土地名義があなたが取得するような方策を考える必要があり、そのためにお父さんの遺産分割協議等でお姉さんに代償金を支払って、あなたに単独相続にして登記するのが一番望ましいですが、仮にそのような登記ができない場合にはお姉さんとの間で《あなたが単独で使用料を取得してよい》という合意をするしかないでしょう。

なお、お姉さんの同意が得られないということであれば、少なくとも、あなたの取り分である4分の3についての支払いを電力会社に請求することも考えていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】

2016/10/25



【質問の要旨】

父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】

父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?


(yamatokarateman)







【葬儀費用に関するルールは不明確】

葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。


【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】

前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】

質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
 ① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
   香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)
 ② 法事費用
   法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

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相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】

2016/07/07



【質問の要旨】

相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】

債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている

全て抵当権付きのオーバーローン。

相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。

父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。

その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。

相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。

待っていても競売は無いと思われる。

妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。

馬鹿にしています。

会社も個人も全て売却するのが筋です。

会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)







【事実関係の整理】

質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。

① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。

② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。

③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。

④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる


という話であるとします。


【訴訟を提起されたことについて】

相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります

今回の訴訟はその前提で提起されています。


【会社の財産を探す】

まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。

そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。

もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。


【賃料はどこに行ったのか】

お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。

そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。

賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します

その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。


【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】

次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。

通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。

ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。

仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。

そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。

このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう


【和解で注意するべき点について】

相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。

弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。

①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。

②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。

③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。

不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。

和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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抵当権付きの建物の相続【Q&A №498】

2016/04/05

【質問の要旨】

抵当に入っている家に住み続けたい

記載内容  借金 保証 抵当権

【ご質問内容】

父が以前親戚の保証人となり、持ち家が抵当に入っています。(根抵当?)

先日父が亡くなり、母が実家に一人で住むことになります。

父は生前そのほかに多くの借金もしており、母が少しずつわかる範囲の借金を返済しております。

母は高齢でこれからどこかに引っ越しを考えることは難しく、死ぬまで住みたいと考えています。

抵当に入っているということで、遺産相続(借金返済を続ける)するということでしか、そこに住む方法はないのでしょうか。
また母が亡くなった場合、私たち子どもが実家を守る手段は何かあるのでしょうか。

※借金を実際にした本人とは連絡が取れないそうです

(しま)






【自宅に住み続けるためには保証債務を支払うしかない】

お金を借りた親戚の方(主債務者といいます)と連絡が取れないということであれば、その方はおそらく債務の支払いが滞っているものと思われます。

主債務者が支払いをしない場合、貸主としては、連帯保証人に請求をしますが、そのお父さんがなくなっていますので、保証人の債務は法定相続人がその相続分に応じて支払い義務を負います。

もし、保証人からの支払いがない場合、債権者としては抵当権の実行として、裁判所に競売の申立をします

そのため、自宅に住み続けたいというのであれば、高齢のお母さんには気の毒ですが、貸主の請求に応じて債務の支払いをするという方法があります

なお、主債務が分割支払いであっても、それが支払い遅延した場合、一括支払いをすることになります。

ただ、あなた方が事情を説明し、保証債務は履行するが、分割払いにしてほしいので抵当権の実行はしないようにという申し出をすることは可能ですが、貸主としてはその申し出を受けるという保証はありません。


【住み続けるための方策としての入札】

抵当権を実行させても住み続ける方法として、競売で自宅を買うという方法もあります

この場合の利点は、主債務の未払い債務額より、競売で入札できる額が少額の場合も多いことです。

そして、保証債務より低額の落札金額の支払いで、抵当権も消えた家を獲得できるという点です。

入札しても絶対に落札できるとは限らないという欠点がありますが、自宅を確保する一方法として考えられるといいでしょう。


【入札者に賃借を申し出る】

なお、入札できなかった場合には、入札した人(新しい所有者)に対して賃借させてもらうように頼むことも考えられます

但し、入札者が賃貸をしないというのであれば、やはり自宅を退去せざるを得ないでしょう。


【抵当権が実行されても、すぐに家を出るというものではない】

抵当権等の競売の申立をした場合、競売手続きの込み具合により異なりますが、最近のケースでは、申立から競売が終了するまでに約6ケ月程度がかかります。

そのため、その期間は自宅に居住することは可能ということは覚えておいていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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葬儀費用・香典と地域の風習【Q&A No.474】

2015/10/14



 香典金を葬儀費用にしないと言う喪主がいるが、そんな風習がありますか。
 岡山県在住ですが如何なものか。

記載内容 葬儀費用 香典 風習

(ma)







【香典に関する慣習はわからない】

 質問は「葬儀の香典を喪主が葬儀費用にしないで取り込む風習があるか」というものです。

 残念ながら、そのような風習があるかどうかは弁護士ではわかりません。

 私が理解する限度でいえば《香典とは死者への弔意、遺族への慰め、葬儀費用の経済的軽減などの目的でなされる喪主等に対する贈与》というものであり、裁判例ででてくる香典も同様の趣旨で理解されています。

 香典が上記の趣旨で理解される限り、香典は葬儀費用に充てられるべきだといえるでしょう。

【葬儀費用と香典について】

 遺産に含まれる債務とは被相続人の生前の行為により発生した債務です。

 その意味では、葬儀費用は被相続人が死亡した後に発生する費用ですから、相続債務ではありません。

 ただ、葬儀費用が多額になる場合があることから、喪主の単独負担とされた場合、喪主に気の毒なケースも考えられます。

 そのため、裁判や調停等では、葬儀費用が被相続人の生前の地位や立場から見てふさわしい程度のものであり、かつ、他の法定相続人も葬儀に出席しているような事情があれば、葬儀費用は相続直後に発生する費用であること、死亡に必然的に伴う費用であることから、公平の観点にてらして相続債務と同様に遺産から葬儀費用を支出することを認める扱いが多いといえます。

 香典ですが、葬儀費用が遺産から出されるような場合なら、香典は葬儀費用に充てられるべきでしょうし、葬儀費用を喪主が単独で負担するのであれば、喪主が香典を単独で取得することになるというのが公平の見地から妥当な解決方法でしょう。

  《葬儀費用という支出は遺産からするが、収入であるの香典は喪主が独り占め》というのは公平の観点からは認めがたいというのが弁護士の率直な感想です。

(弁護士 大澤龍司)
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相続放棄されたマンションの管理費回収方法【Q&A №465】

2015/09/09



マンションの区分所有者が亡くなり、相続人がいません。滞納管理費を回収する手段はありますか?


【ご質問内容】

分譲マンションで独居老人が1年前に亡くなりました。

その後の管理費(年間約35万円)が滞納中です。

当該不動産に抵当権等の権利設定は全くありません。

相続人調査は未だ行っていませんが、息子さんの話では相続放棄する(した)とのこと。

管理組合として債権保全を行い滞納管理費を回収するにはどう処置したらよいでしょうか。

例えば、当該不動産に仮差押をすることは可能でしょうか。可能としたら、どのような手続きが必要になりますか。

宜しくお願い致します。


記載内容

  マンション 管理費 滞納

(管理組合理事A)





【まず、他に相続人がいないかどうかを調査する必要がある】

 すでに息子さんが相続放棄されているようですが、他に相続人はいないのでしょうか。

 相続には順位があり、配偶者と子(または孫)がまず第一順位に相続人になります。

 今回の質問では息子さんが相続放棄されたということですので、第2順位の直系尊属である独居老人のお父さんやお母さんが生存しているのか、万一、生存しているとしたらその方が相続放棄をしているのかどうかを確認する必要があります。

 その後、兄弟姉妹も第3順位の相続人になりますので、これらの方が存在するのかどうか、存在するなら相続放棄をしているのかを確認する必要があります。

 もし、相続放棄をされていない法定相続人がおられれば、その方が債務を引き継ぎますので、その方に請求して、必要な手続きを進められるといいでしょう。



【相続財産管理人を選任することになるが・・】

 相続放棄の結果、相続人がいない場合には、債務を引き継ぐ人もいなくなり、滞納された管理費はもはや誰にも請求できません

 ただ、マンション(の一部屋)という財産があるケースですので、その財産を競売等で換価して、延滞賃料の支払いに充てるということも考えられます。

 しかし、訴訟等の法的手続きをするには相手方が必要ですが、相続人不在では債務者がいないために手続をすることができません

 このような場合、債務者の立場になる相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立することができ、申立があれば、裁判所は相続財産管理人となる弁護士を選任します。

 管理組合としては、この相続財産管理人を債務者として手続きを進めることになります。

 ただ、相続財産管理人の選任申立するには、裁判所に約90万円程度の予納金を納める必要があります。

 この予納金は原則として返還されません




【回収までの手続き】

 財産管理人は独居老人の方の遺産を調査されますので、もし預貯金があれば、財産管理人に債権申し出をする手続きがありますので、延滞管理費の弁済を受けることができる可能性があります。

 もし、預貯金がない場合にも、財産管理人が独居老人のマンションを売却し、その代金で延滞金を支払ってくれる可能性もあります。

 ただ、延滞額である約30万円を回収するために、相続財産管理人申立のための予納金90万円を出すのかということになり、管理組合としてはどちらを選択するかということになります



【管理組合として考えるべきことは・・】

 財産管理人の選任の方針を選択すれば、管理組合として90万円もの費用負担が必要になります。

 しかし、反面、このまま放置しておくと、その独居老人の部屋からの管理費は未来永劫に回収されなくなります。

 また、その部屋をこのまま放置しておくことが、近隣の住民(所有者)やマンション全体にとって悪影響を与える可能性も考えられます。

 多額の金銭がかかっても相続財産管理人を選任するのか、このまま放置するのか、管理組合や他の所有者で協議、検討のうえ、今後の方針を固められる必要があるでしょう。
 
(弁護士 大澤龍司)
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亡兄に使い込まれた私のお金を請求できないか【Q&A №463】

2015/08/31



【ご質問のまとめ】

40年ほど前に私のお金を800万円使い込んだ兄が、先日亡くなりました。

兄は1億円の財産を遺し、すべて姉が相続しました。

お金を取り返すことはできないですか?



記載内容

  相続債務 消滅時効 包括遺贈


【ご質問内容】

兄弟は8人で私は末っ子です。

去年長男の兄が亡くなり、その兄には私が若い頃40年前貯金をしていた800万円使われていましたが返してもらえないまま亡くなりました。

遺産は1億万円位あったそうです。

しかし相続人は姉になっていました。

それから兄は奥さんには先だたれてます。

子供もいませんでした。

証人は沢山いますが、借用書がないのがだめかなと諦めようと思っていても何か悔しくて何とかならないものでしょうか!?


(ノンちゃん)







【40年前の使い込みの返還請求について・・・時効で消滅している可能性が高い】

わかりやすくするために、まず、お兄さんが現在も生きておられるとして、考えてみます。

あなた自身の預貯金をお兄さんが使いこんだということですが、それがあなたに無断であったのなら、あなたとしてはお兄さんにその使い込まれた金額の返還請求が可能です。

その根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求権です。

但し、請求権には消滅時効があります。

消滅時効の期間は次のとおりです。

上記①の不法行為であれば使い込まれたことを知ってから3年間です、ずーっと、使い込みを知らなかった場合には使い込みの時点から20年間です。

②の不当利得の場合には返還請求できる日(使い込みの翌日から)10年間です。

現在まで40年間が経過しているということであればいずれにしても消滅時効にかかりますので、お兄さんが消滅時効と主張するのであれば、請求はできません。



【消滅時効にならない・・時効中断がある・・場合】

ただ、お兄さんが使い込みを認めていた(但し、あなたがその点を証明する必要があります)のであれば、その認めた時点から10年以内なら消滅時効は完成しません。

これを時効の中断といいます。

そのように請求を認めた事実がないかどうか、例えば最近10年間以内にお兄さんから使い込みを認めたような謝罪の書面を送付されていないか、あるいはそのような内容を録音したことがないかどうかを確認されるといいでしょう。

もしあれば、それで時効中断になるかどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。



【時効中断している場合はお姉さんに請求する】

以上に説明したことを前提に、本件について考えてみます。

もし、あなたの持っている請求権が時効で消滅していないのなら、お兄さんに請求できることになるはずですが、本件ではお兄さんは既に死亡されており、相続人がお姉さんということのようです。

その詳しい事実関係は明らかでありませんが、おそらくお兄さんが《すべての遺産をお姉さんに相続させる》という遺言書を作成されていたのでしょう。

もしそうであれば、お姉さんは、お兄さんの遺産全部を相続するとともに、その債務を承継します民法990条、民法896条:末尾に記載した条文をご覧ください)。

そのため、あなたとしては、お姉さんに対して債務を承継したとして請求をすることが可能です。


【兄弟には遺留分減殺請求がない】

質問者の方はご存知と思いますが、念のために遺留分がないことも記載しておきます。

ある法定相続人に遺産の全部が行くような場合、他の相続人には遺留分減殺請求が認められています。

しかし、兄弟姉妹には遺留分減殺は認められておりません。

そのため、本件では1億円の遺産がお姉さんに行ってもあなたは遺留分減殺請求ができないということになります。

(弁護士 大澤龍司)


〔参照条文〕

民 法

(包括受遺者の権利義務)
第990条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(相続の一般的効力)
第896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
大澤龍司法律事務所
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いらない山林を放棄できないか【Q&A №462】

2015/08/26



【ご質問のまとめ】

いらない山林の固定資産税を払わないで済むようにする方法はありますか?


記載内容

 山林 固定資産税 放棄


【ご質問内容】

親父が出身地の山林の一部の共有者の一人となっています。

親父は十数年前に亡くなっていますが、母親に固定資産税の請求がわずかな金額ですが毎年あります。

なにも所有メリットもないのでこの権利を放棄したいのですが、どのような手続きをとれば良いのかまた仮に弁護士事務所に依頼した場合費用はどれくらいかかるのか教えて下さい。

(よっちゃん)





【所有権の放棄はできない】

 私は多くの相続案件を扱ってきましたので、今回の質問と同様のケースで悩んだことがあります。

 所有権を放棄できたらいいのですが、そのようなことはできません(ブログ【Q&A №273】もご参照ください)。

 所有権放棄をする場合、他の相続人(共有者)の持ち分が広がります。

 そのため、放棄の登記をするには他の相続人の同意が必要です。

 しかし、放棄したいような不動産は他の所有者ももらいたくない場合が多く、放棄登記に協力できないというのが実情です。

 昔と異なり、山林や農地は買い手がほとんどありません。

 特に相続人が故郷を出たのち、故郷にある土地が遺産分割の対象になった場合、どの法定相続人も田舎の土地がいらないということで引き取り手がいなくて困るケースがあります。



【解決方法として考えられるのは・・】

 他の共有者がいるのであれば、その人に不動産を買ってもらう方法があります。

 場合によりば無償(要するに贈与)で譲り受けてもらう場合もあります(譲受人から登記費用も出してくれといわれたケースさえあります)。

 他の共有者がいらないというのであれば、地元の人に無償あるいはそれに近い値段で不動産を売却する方法があります。


【弁護士費用について】

 法律的には、共有物については共有物分割調停という手続きがあります。

 これは共有状態を解消してほしいということを裁判所に求めるものです。

 他の共有者を相手に訴訟をしますが、他の共有者が土地を取得する意向を示さないのであれば、結局は《共有物を競売して、その代金が持ち分に応じて分割する》という判決が出ます。

 しかし、競売の手続きをするためには90万円から100万円の予納金(競売手続費用)を裁判所に納める必要があります。

 次に競売手続きが開始しても、(おそらく)買受申し出はないことがほとんどでしょう。

 そのため、このような訴訟を受任する際、値段が決めにくいですが、私なら着手金25~30万円程度でしょうか。

 むしろ、私なら、競売されても競落される見込みがないようなら事件を受任しないということになるでしょう。

 もし受任するという弁護士がいるのであれば、着手金をできるだけ少なくしてもらい、売却できたら報酬を多額にするという契約で対処されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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遺品の処分と古い自宅の解体費用【Q&A №367】

2014/04/23
 遺品処理の費用について、誰が持つのか教えていただきたいと思います。

 父が亡くなり、母も施設に入り、実家の2階建て全9室の部屋の遺品、不用品を、遠方に居るため約1年半かけて整理してきましたが、価値のあるものは無く、あと箪笥など大物家具が12個ほど残っています。
 この実家は、私が相続することになっていますが、まだ名義変更には至っていません。今相続手続き中です。

 実家裏に住んでいる妹は、成人した娘と2人で住んでいて、フルタイムで働いていることと、母子家庭を理由に1度も手を貸してくれませんし、もちろんお金も出してくれません。
 私が相続するのだし、いつか取り壊すのだからほっておけばよいと言っています。

 施設にいる母と処理費用の相談をしようかと思いますが、母にも少し助けてもらうことはできないのでしょうか。
 また、妹達は、片づけることや処理費用を出す義務は、まったくないのでしょうか。

 妹は、父が生前に多くの援助をしてもらっており、相続でも相当の遺産を取得しています。
 母からも家賃免除や遺言を残してもらっています。

記載内容

遺品 処理 取り壊し
(ぶんさん)


【建物とその内部にある動産とは別個の物である】
 あなたが、不動産である実家の建物を相続する場合、その中にある動産の処理費用はどうなるかという質問です。
あなたが相続するのは実家の建物ですので、その建物を取り壊す費用が必要な場合には、その費用はあなたの財産になります。
 しかし、建物内の家具などの動産は、建物とは別個のものです。
 従って、自宅を取得した相続人が、その内部にある動産をすべて取得するというものではありません。
 例えば、自宅内に絵画や磁器、陶器などの骨董がある場合、それらの動産については別途、遺産分割協議書に分割方法を記載することが必要になります。

【自宅内の動産の帰属について特に定めをしなかった場合】
 自宅内の動産については、遺産分割協議で別途協議されていないのであれば、2つの解釈があるでしょう。
 まず、不動産である自宅と動産である家具などとは別個であるので、動産については別途遺産分割協議をしなければならない、という解釈です。
 この考えなら、現在未分割の動産についての処分費用は、法定相続人が全員で負担することになりますし、又、処分するかどうかの判断も全員で決定する必要があるという結論になります。
 ただ、本件質問と同じように、動産に価値がない場合には、遺産分割協議に動産についてなんら記載しない場合も多いです。
 そのような場合には、法定相続人の意向としては、自宅と同じ処分でよい、言い換えれば自宅を取得した者がその処分費用を負担するというのが暗黙の前提となっていると考えるといいでしょう。
 現在、あなた自身が自宅内の家具等の動産を処分されているようですが、もし、あなたが家具等の動産を相続で所有しないというのなら、なぜその動産を処分することができるのか、ということにもなります。
 不服かもしれませんが、自宅と共にその中にある動産も取得したと考えて、処分費用もあなたが負担するしかないでしょう。
 なお、この前提に立つと、仮に価値のあるものが出てきたとしても、それはあなたが相続していることになります。
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★入院費用や葬儀費用の返還請求【Q&A №207】

2012/10/29
 一人暮らしの 伯母が 突然 亡くなってしまって

 月に 一度は 会いに行っていたのですが 先日 電話に 出なかったので 家に直接 行ったら倒れて いて 救急車を呼び 入院となり その後 一週間後に 亡くなってしまった
 遺書とかの 法的処理を 何もしないまま 相続手続きを 考えたのですが 伯母の兄弟は 生きているのが 直接が 二人で 旦那側の 義理の姉が ひとりです 死んだものが 6人ぐらいいます
 そのほとんどが 疎遠で 葬儀のときに 呼んでも こない有様です
 葬儀 入院費などは 私が全部 支払いました 財産は 生前にきいたところに 500万程度です 不動産はなにも ありません 
 金融関係の凍結を 防ぎ 葬儀とか病院代の お金分を 貰える方法は ありますか
記載内容

葬儀費用 銀行口座凍結 入院費用 立替費用

(原始人)


【立替入院費用や葬儀費用は相続人に請求する】
 まず、入院費は、本来、伯母さんが支払うものですので、伯母さんが生きておれば、直接、返還請求できるはずですが、死亡されたのですから相続人の方に請求することになります。
 葬儀費用については、実際に相続人の方が葬儀に参加されていないというのであれば、遺産を受け取る相続人の方が負担するべきという考え方もありますので、一度相続人の方と交渉してみるといいでしょう。

【死亡すれば、銀行口座は凍結される】
 銀行が預金者の死亡を知った場合、その人の口座を凍結します。
 銀行に死亡を知らせず、口座の凍結をしない段階で、葬儀代の返還などと称して引き出しをすることは違法であり、認められません。
 あなたとしては、銀行口座から返してもらうのではなく、相続人の方に話をして返してもらうしかないでしょう。

【結局、相続人に支払いを求めるしかない】
 今回のケースは、相続人の方から支払ってもらうしかありません。
 ただ、ポイントは、相続人の中で中心的に動いてくれる人が誰なのかを把握し、その人をターゲットにして働きかけることです。
 預金が約500万円程度もあったことを話せば、その中心となってくれそうな人が遺産分けのために尽力をしてくれる可能性が高いでしょう。
 なお、その際、あなたが入院費用や葬儀費用を立て替えていることを説明し、必要に応じて領収書なども示して返還を請求もされるといいでしょう。
 相続人の方が動いてくれないというのであれば、法律の専門家である弁護士に相談し、調停や訴訟などの法的な手続きをとってもらうことを考えるしかないでしょう。

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亡父の会社が倒産、債務の支払い義務は相続されるか【Q&A №165】

2012/06/19
 お聞きします。社長である義父が亡くなった後、一時義母が継ぎましたが、続かず倒産しました。
 会社の債務は残り、義母は自己破産したため、会社のリース契約にかかる請求が、義父の財産相続をした主人と義姉にきました。
 請求書には、相続放棄か支払か、との文言がありましたが、義母・義姉が住む家屋を財産として相続しており、相続放棄はし難いです。
 リース契約は三本で、未払い分と残存期間分の料金です(請求額は車4万、電話機類34万、コピー機120万)。支払い義務はありますか?

記載内容

相続債務 相続放棄 相続の承認

(みそ)


【債務も相続されます】
 会社が契約したリース契約については、その契約の債務者である会社と、その債務の保証人も支払義務を負います。
 ご主人のお父さん(以下、お父さんといいます)も会社のリース契約の保証人になっていたのでしょう。
 お父さんが保証人になっていた債務を完済せずに死亡された場合、財産と同様にその債務は相続人に引き継がれます。

【質問の場合には相続放棄は難しいです】
 当事務所の扱った事件で、相続から約10年弱も経過した時点で保証債務が発見されたために、相続放棄を申立をし、裁判所から認めてもらったケースがあります。
 そのケースでは、相続財産を全くもらっていなかったのですが、質問の場合には《義母・義姉が住む家屋を財産として相続しており》ということですので、《相続放棄はし難いです》という結論になります。

【債務支払いをするべき額は4分の1です】
 相続する債務の額は、相続人の相続分割合の額だけです。
 そのため、ご主人の支払いをする必要のある額は、各債務の全額の4分の1です。

【保証債務の内容を確認しましょう】
 お父さんが亡くなった後にご主人のお母さんが社長を引き継いで事業をされていたとのことですので、お母さんも会社の経営者として連帯保証されている可能性があります。
 その場合、お父さんの保証債務が免除されているかもしれません。
 可能性は少ないと思いますが、念のために確認されるといいでしょう。

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借地権付建物の譲渡代金は遺産か【Q&A №145】

2012/04/27

 先日被相続人が死亡。
 相続人は長男A長女B次女C次男Dの4人。
 Bが包括受遺者となる公正証書が発見されました。
 Aは生前「跡取りとして会社倒産時尽力をつくしてくれたので、全てやる」と言われていました(ちなみに私はAの子供)。Aは遺留分を計算して公正証書を作成しておきましたが、その後Bが書き直したようです。
 被相続人の配偶者他界後、被相続人が他界するまで数年はBが世話をしていて他者の入る隙は全くありませんでした。
 ここで質問です。
 Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義です。つまり使用貸借です。
 Aが住んでいる一帯は、以前は借地であり、前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。40年前で300万です。
 今現在、私の手元にその書類がありませんが、Aが借地権を支払ったという契約書類はAの手元にあります。これらの立替金額をBに請求することは可能でしょうか?
 内容をきちんと確認しなければいけませんが、借地権買取の領収書なら立替(貸付)と認めてもらえますか?借地権の買取の契約書類、だとその後使用貸借になっている以上、時効で権利は消失でしょうか?
 相続で我家名義の土地になると約束を信じていたので、こんなことになるとは思っていませんでしたが・・・。
 キーワードなどを教えていただけると幸いです。


記載内容

  相続債務 借地権 使用借権 
(面倒)


【300万円は何のために支払われたお金か?】
 被相続人は土地を貸しており、借地人がその上に建物を建築していたことを前提として回答します。
 その「前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。40年前で300万です」とありますが、この300万円がどういう性質のお金であるのかが問題になります。
 被相続人のためにした立替支払したというな被相続人に対する貸金であれば、被相続人に返還を求めることができ、その債務が相続により包括受遺者に相続される可能性があり、Bに支払いを請求できることになる可能性があります(但し、40年前の話ですので、時効で消滅していると反論される可能性が高いですが)。

【借地権付建物の譲渡代金の可能性が高い】
 質問に記載された内容を前提に、事実関係を整理しながら話を進めていきます。
 前の借地人が退去した、「Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義」、「借地権の買取の契約書類」などという記載からみて、Aさんは前借地人の所有する借地権付建物を300万円で買い取ったとみるべきでしょう。
 そうすると、300万円は被相続人に対する立替金でも、貸金でもなく、前借地人に対して支払った売買代金であり、Aさんは被相続人になんらの請求権もないということになります。
 そのため、包括受遺者であるBさんに対して、相続債務を承継したので返還せよというような請求はできないという結論になります。
 なお、この結論が正しいかどうかは、300万円を支払った時の契約書を見れば確認できますので、探されるいいでしょう。
 もし、契約書がなくとも建物の登記簿の登記原因が売買となっていれば、借地権付建物の譲渡の可能性が高いということになります。

【使用貸借ならいつまで土地を使用できるか?】
 Aさんは借地権付建物を買い取ったのですから、賃料を支払っていれば、借地権(賃借権)を主張できました。
 ただ、その後、賃料を支払っていなかったようですので、Aさんの権利は「借地権」ではなく、被相続人とAさんとの間で土地の使用貸借契約に基づく「使用借権」に変わったと考えるべきでしょう。
 包括受遺者のBさんとしては、借地権が存在しないことから、Aさんに建物収去、土地明渡を請求する可能性があります。
 Aさんはその土地の使用借権を有していますが、問題はその権利がいつ終了するかです。
 被相続人としては、Aさんの建物が存続する限りは、Aさんにその底地使用をさせるという気持ちがあったので、建物が朽ち果てるまでは使用貸借契約は消滅しないと主張されてみてはいかがでしょうか。

【キーワードは・・】
 ネットなどで検索する場合には、相続と使用貸借をキーワードにされるといいでしょう。



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葬儀代は誰が出すのか?【Q&A №140】

2012/04/17
 


 母が亡くなりましたが、葬儀代は母の普通預金口座から出すものだと言う叔父の意見で私の相続分の普通預金口座から葬儀代を引かれました。叔父にも定期預金口座が遺言書により遺贈されていますが、葬儀代は普通預金からだと言うことで叔父の相続分からは負担されません。
 また不動産を遺贈された兄弟からも葬儀代は負担してもらえないとのことですが、この場合は仕方ないのでしょうか?法律的にはどうなのでしょうか?教えてください。よろしくお願いいたします。

記載内容 

葬儀費用 共同相続人 遺贈
(聡子)


【葬式費用は相続債務ではない】
 相続については民法という法律で定められていますが、葬儀代(葬式費用)については規定がありません。
 被相続人が死亡した場合には通常必要となる費用ですので、一般には相続債務のように思われていますが、正確に言うと死後に発生する費用ですので、相続債務とはいえません。

【葬式費用をだれが負担するかは意見が分かれている】
 そのため、葬儀代は誰が負担するのか、学説や裁判所の判断も分かれています。代表的なものには、喪主説、相続人負担説、相続財産負担説、慣習等で決定する見解などがあります。
 喪主説だと、葬儀費用を喪主が負担し、香典は喪主が取得するということになりますが、最近は香典を受け取らない場合が多くなっているため、この説は妥当ではありません。
 相続人全員が葬儀に出席した場合などは、葬儀費用が常識的な範囲内であることを前提にして、相続人全員の負担として扱うというのが妥当な見解だと考えられます。

【遺贈を受けた者であっても、葬式費用を負担しない】
 この考え方によると、叔父さんは相続人ではありませんので、定期預金を遺贈されたとしても葬式費用は負担しないという結論になります(宗教法人や慈善事業など純然たる第三者に遺贈された場合を考えれば理解しやすいのではないでしょうか)。
 不動産を遺贈されたご兄弟は、あなたと同じで相続人ですので、葬儀費用を負担すべきだということになります。

【とりあえずは預金から出すとしても・・】
 葬式は被相続人の死亡後、すぐに必要になる費用ですので、とりあえずはあなたの取得する普通預金から支出するとしても、他のご兄弟に負担してもらうように話をもっていくべきでしょう。
 なお、葬式費用を共同相続人全員で分割して負担した場合には、香典も共同相続人全員で分配することになるでしょう。

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だまされて借金を相続させられた【Q&A №71】

2011/05/09

 2年前に父が亡くなったのですが、父には多額の借金があり、父の死後すぐに父方の祖父母・叔母に相談した所、自分たちの財産を売っても良いと言ってもらえました。
 ですが、相続するのは母ではなく兄というのが条件だったので、母が兄に説明し兄も一時的に借金を背負うのなら良いと言ったので、兄が多額の借金を背負いました。
 母と私も、借金は背負いましたが兄ほどではないです。
 ですが、全ての手続きが終了した後に祖父母達から、自分たちの財産は一切売る気は無いと言われました。
 結局、私たちが全ての借金を背負ったのですが、兄は借金は一時的なものでは無くなったので、母が自分を騙したと言っています。

 兄は母に騙されたと言っているのですが、今から兄が母を訴えて相続権を変更・放棄することは可能ですか?
 また、それが認められた場合、母は何か罪に問われるのでしょうか?


記載内容

  相続放棄 詐欺 借金 
(マロン)


【現時点では、相続放棄はできません】
 「兄は母に騙されたと言っているのですが、今から兄が母を訴えて相続権を変更・放棄することは可能ですか?」という質問ですが、相続では、借金などマイナスの財産も引き継がれますので、借金が財産(不動産・預貯金などプラスの財産)よりも多い場合には相続放棄をすることが可能です。
 但し、相続放棄は、被相続人(本件ではお父さん)の死亡を知ってから3ヶ月以内に裁判所に申立をする必要があります。
 ご質問の場合、お父さんの死亡からすでに2年経過していますので、相続放棄の期間は終了していますし、おそらく遺産もそれなりに利用しているでしょうから、現時点では相続放棄をすることはできません。

【お母さんを訴えても相続には何の関係もありません】
 遺産の分割については、祖父母の方たちが財産を売却して借金の返済資金を用意するという前提になっていたのであれば、その前提が崩れているわけですから、「錯誤」あるいは「詐欺」で遺産分割が無効ないし取り消すことができるとして、遺産分割のし直しをすることも考えられます。
 しかし、遺産分割をしなおしたとしても、債権者(銀行・貸金業者など)に対する関係では、既にした借金の支払を無効にし、あるいは債務の相続を否定することは難しいでしょう。
 また、質問を見る限り、お母さんもお兄さんを騙すつもりがなかったと思われますので、詐欺での取り消しはむずかしいと思われます。
 結局、錯誤などなんらかの理由で遺産分割をやり直し、お兄さんが背負っていた多額の借金を相続人間で不公平のないように分担し直すのが一番妥当な解決方法でしょう(なお、詐欺あるいは錯誤で遺産分割をしなおしても、お母さんが刑法上処罰されることはありません)。
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★両親から借りたお金は返さないでもよいか【Q&A №49】

2010/12/07

 父が亡くなり、兄弟2人が相続人となります。
 基本的には2分の1ずつ、弟が祭祀継承するため必要経費として多少の増額をとの話になり、分割協議書を作成しようとしています。

 兄は自営業のため父に援助をしてもらっていたようで、預金通帳に会社宛に振込が数回ありました。
 兄本人は借入金としていたようですが、返金された形跡はなく、このまま贈与として算定できますか?
 また、過去何年までが有効でしょうか?


記載内容

  相続債務 生前贈与 特別受益 
(chocot3494)


【お兄さんに対してか、会社に対してか?】
 今回の質問は、相続人の一部に、死亡された人(被相続人)から生前贈与などがあった場合に、遺産分割にどう影響するのかという点に関するもののようですが、その前に大きな問題があります。
 お父さんは、お兄さんの経営する「会社宛」に振込をしたというのですから、もし、その会社が株式会社などの法人であれば、お兄さんではなく、会社に対する貸金債権となる可能性が高いです。
 その場合は、貸金が返還されていないのですから、この会社に対する貸金債権が遺産に含まれますので、この債権を相続人間で分割するということになります。

【お兄さんに対して貸付けていた場合】
 法人である会社ではなく、お兄さんに金銭を援助していたのなら、それが返済を約束したものかどうかによって、扱いが異なります。
 返済の約束をしたものであれば、お父さんからお兄さんに対する貸付金であり、貸金債権として、遺産分割の対象となります。
 兄弟の2人が遺産分割する場合には、あなたはお兄さんに対し、この貸金の2分の1の支払を請求できます。

【お兄さんに贈与していた場合】
 他方、返済の約束がなかった場合は貸金ではなく、贈与になりますが、この贈与が「生計の資本として」なされたものであれば、遺産分割の計算上、特別受益として相続財産に組み入れられます。
 多額の場合には、生計の資本として扱われる場合が多いです。
 なお、お兄さんが特別受益を加えて計算した遺産の2分の1以上の贈与を受けていた場合、お兄さんは現存する遺産を取得することはできないだけであり、2分の1を超える部分をあなたに支払う必要まではありません。
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親がビルのオーナーだった場合の相続問題【Q&A №37】

2010/08/26

被相続人所有のビルがありますが、テナント入居時の敷金等が使用され相続時一切残っておりません。1-3Fでの敷金等合計2000万円程になりますが、この預かり金は相続債務として兄弟間で分割承継されるべきでしょうか?
それとも、当該テナントビル相続者のみに支払い義務が生じるものなのでしょうか?
兄弟は三人で、それぞれ、別の土地、当該建物、当該建物の敷地を相続しておりますが、現状建物相続者のみが敷金の返金をおこなっております。


記載内容

  相続債務 賃貸借 敷金 
(JIRO)


 敷金返還債務を誰が負担しなければならないかという問題ですが、賃借人との間で誰が返還するのか、その支払分を相続人の間でどのように負担するのかという2つの面から考える必要があります。

【賃借人との関係においては賃貸人が負担する】
 相続でテナントビルを相続した人は、賃貸人の立場も引き継ぎますので、テナント(借家人)から返還請求を受けた場合には、そのテナントビルを相続した人が全額を返還する必要があります。

【借金などのマイナスの財産は、法定相続分で相続人が負担する】
 被相続人の財産の中には、プラスの財産(土地や建物、預貯金等)だけではなく、借金や敷金返還債務というマイナスの財産もありますが、このマイナスの財産については、相続人がそれぞれの法定相続分に応じて支払う必要があります(本件では、兄弟の法定相続分は3分の1ずつですので、この割合で負担することになります)。
 相続でテナントビルをもらった人は、既に述べたように賃借人に敷金全額を返還する必要がありますが、その支払った額のうち、他の相続人が分割負担するべき分(質問でのケースでは相続人一人につき支払い額の3分の1)を、他の相続人に請求することができます。

【テナントビルの相続人が単独で債務負担をするという考え方もあります】
 相続人全員の話し合いで、相続人間内部の債務負担の割合を決めることができます。
 テナントビルを相続した人が、他の相続人よりも多くの遺産をもらったという場合であれば、敷金返還請求債務を全額支払うという前提だったから、テナントビルという高額のものを相続させたんだという主張で、テナントビルの相続人からの支払い請求を拒むことも可能でしょう。
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