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相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案【コラム】

2017/03/07
相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案


【配偶者に対する新優遇案が出されました】

現在の相続制度の見直しがされており、法制審議会の相続部会で審議されています。

平成29年2月28日、法務省から新たな案が出されました。

その内容は配偶者を相続上、現在より優遇しようというものです。

具体的に言うと、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦間で

②居住用の建物や土地を

③生前贈与や遺言遺贈を受けた場合

これらの贈与や遺贈の対象の不動産を遺産の計算に含まないというものです。

贈与者あるいは遺言者としても、このような贈与等は、遺産の計算に持ち戻さない(含めない)という意思があるだろう点を根拠にする提案です。


【現在の相続制度との比較】

現在の相続制度では、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた配偶者が、これからもその家で暮らしていくために家を相続した結果、他の遺産をまったく相続できないというケースがありました。

また、自宅以外の他の財産が少ない場合には、家を相続したことによる代償金という形で、他の相続人にお金を支払う必要があるというケースもありました。

これに対して、今回の新優遇案では、自宅の贈与等を受けていても、配偶者は自宅を取得分とカウントされずに、別途、他の遺産についても自分の相続分に応じた遺産をもらえることになります。


【弁護士コメント】

残された配偶者優遇策としては法定相続分を上げるということも考えられますが、反対が多いようです。

そのため、居住用不動産に限定して配偶者を優遇しようとする考えがだされています。

たとえば、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、

①遺産分割により当該建物の帰属が確定するまでの間、その建物を無償で使用することができ、その間の使用料は遺産分割で取得すべき財産額に算入しないとする案や、

②終身又は一定期間、配偶者にその建物の使用を認め、長期居住権の財産的価値相当額を相続したものとして扱う(建物の所有権額よりは低額になる)という案もあります。

それらに比較すると、今回の新提案はこれらより一歩踏み込んで、残存配偶者が財産を多く取得できる方向での提案です。

ただ、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦に限っていること

②被相続人から贈与や遺贈という積極的な行為が必要である

などの要件が必要とされています。

上記の要件が必要とされている点では、他の案よりもハードルが高くなっていますが、逆に、生前贈与や遺贈があれば、その額を遺産の計算に持戻すことなく、家の所有権を取得できるというのは、配偶者の優遇策として進んでいるといえるでしょう。

多数の賛成者があるようですので、今回の提案が立法化される可能性も高いかもしれません。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:20 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父親の介護と遺産に関する約束【Q&A №535】

2016/10/11


【質問の要旨】

父親の施設の入所代、病院代などについては半分が長男、亡くなったら全額長男と言われて困っている

記載内容 介護 扶養 約束

【ご質問内容】

静岡に住んでいる主人の父親(81)の話ですが、私達は結婚してから横浜住まいです。

夏に子どもを連れて遊びに行くぐらいでした。

主人は長男なのですが、母親の連れ子で姉2人父親の連れ子で、主人と妹(音信不通)今の両親で一男一女(一男は死亡)の家族構成なのです。

今まで両親は2人でアパートに住んでいましたが、何年か前だと思いますが、2人共介護が必要になったみたいです。

2人の仲も悪くなったようで、父親は年金で施設、母親は姉の家に連れていきました。

今になって父親とは他人なので、通帳も印鑑も渡すので、こちらで面倒をみろというのです。

私達も近くて、金銭的な余裕があれば見てあげたいですが、とても見てあげられない状況です。

施設の入所代、病院代、などは半分が長男。

何かあって父親が亡くなったら、全額長男。

父親は退職金も入っていたと思うし、わが家も経済的に無理だし、いままでの生活がまるでわからないので、どうしたらいいかわかりません


助けて下さい。

(なな)







【相続については相続放棄も考えておく】

本件で相続に関するのは《施設の入所代、病院代、などは半分が長男。何かあって父親が亡くなったら、全額長男。》とある点です。

お父さんの死亡時点で施設費の未払料金や借金等の債務等が存在する場合、遺産と債務を比較し、債務が多いようであれば、相続放棄ができます。

相続放棄すると、遺産を受け取ることはできませんが、債務の支払いもする必要が無くなります。

相続放棄はお父さんが亡くなり、相続が開始したことを知った日から3ケ月以内に家庭裁判所に申立する必要があります(詳しくは当ブログQ&A №455などをご参照ください)。


【今、するべきことについて・・ご主人には扶養義務がある】

それ以外の質問に書かれていることは相続問題ではありません。

ただ、お困りのようですので、簡単にコメントを付しておきます。

まず、ご主人はお父さんの子であるので、お父さんを扶養する義務があります。

ただ、ご主人が経済的なゆとりがないというのであれば、如何ともしがたいので、義務を尽くすことができないと回答するしかないでしょう。

もし、私が今回の相談を受ければ次のようなアドバイスをするでしょう。

①《お父さん》の心身の状態を確認する。

最初に《お父さん》が自分で物事を判断できるような状態なのかどうか、身体的にどのような状態なのかという、心身の状態を確認する必要があります。

判断能力がないのであれば、成年後見人を選任するということも考える必要があります。

この点は、施設に入っているということですので、施設に事情を説明して、教えてもらうことができると思います。

②《お父さん》の財産を確認する。

次に、《お父さん》の財産を次の3つの面から確認する必要があります。

・現在の月々の年金分などの入金分と施設の使用料との出金分の収支の内容、差額を確認する。

・次に《お父さん》の財産(不動産や預貯金、借金)として何があるかを確認する。

・更に過去にどれだけの金銭が動いているのか(退職金がどうなったのか、預貯金からの引き出しはどうなっているのか)を確認する。

これらの確認は、これまで財産を管理していた人に対して教えてもらうことになります。

③判断をする。

以上の確認をした上で、ご主人が扶養義務を尽くすことができるのか、できるとしてどのような形でしていくのかを判断する。


上記①~③の調査をしていけば、どうしてもお父さんの面倒を見るという方向になってしまいますが、その時でもできないことはできないとはっきりと述べる勇気が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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13:53 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

在宅介護費用と特別寄与【Q&A №507】

2016/05/31



【質問の要旨】

看護を負担した相続人が他の相続人に費用請求できるか

記載内容  介護 扶養 不公平

【ご質問内容】

私が、仕事を休んで、平成22年7月から平成25年1月まで自宅で看護(導尿行為、バイタルチェック、塩分1日8グラムの食事作り)を行ってきました。

相手(姉2人)は近所に住んでいながら、一切協力せずに遊びまわり、扶養義務調停にも出廷せず、扶養義務調停が終わる前に父親は亡くなりました。

一番上の姉は生前贈与(住宅購入資金の一部として現金300万円)を昭和48年頃に貰い、高校と短大も我儘を言って私立に通っていました。

私と下の姉は公立高校で終わっております。

短大卒業後すぐに結婚しましたので嫁入り道具と、結婚資金等は、両親が出しています。

なお、私は平成22年2月に腰に金属を入れる手術を行っておりその後絶対安静時に看護が始まり現在は酷い後遺症が出ております。

財産は私たちが住んでいる土地建物しかありません。

土地は路線化で2800万円位(約82坪)建物の名義は13分の11は、私の名義になっております。父親名義の分の建物の評価は53万円程です。

(くま)






【介護費用は請求できないが、特別寄与の可能性がある】

親子間では互いに扶養義務があります。

そのため、子であるあなたが約2年半もの間、自宅でお父さんの介護をしたとしても、これは扶養義務を履行しただけであり、これをしなかった他の扶養義務者(今回は2人のお姉さん)に請求することはできません。

親子間に扶養義務が定められている以上、子として介護等をするのは当然のことであり、他の扶養義務者に介護のための労力等の費用を請求することはできないというのが、今の法律です。

しかし、あなたが介護をしたことにより、ヘルパー代や看護師料、老人ホーム入居費用等が減り、その分、遺産の減少が食い止められたというような事情があれば、その減額分を《特別寄与》として請求すれば、遺産から支払ってもらえる可能性があります。

(なお、介護の努力がどのように遺産分割に反映されるかという点は、当ブログQ&A №386Q&A №254などにも同様の話が出ておりますのでご参照下さい。)


【住宅購入資金の生前贈与は特別受益になる】

一番上のお姉さんが住宅購入資金の一部として金300万円をお父さんからもらったというのであれば、特別受益になりますので、遺産に持ち戻した上で遺産分割をすることになります。


【短大への進学に関する費用は原則として特別受益にならない】

一番上のお姉さんが短大に行かせてもらった点ですが、教育については子の能力の問題もあり、又、親の子に対する扶養の問題であり、遺産の前渡しという意味は持たないという判例もあることから、原則として特別受益にならない可能性が高いです。

ただ、私の担当した案件ですが、私立の医大に行った場合には、その授業料額が莫大であることや医師という社会的に重要な資格を取得することから、特別受益として対応したことがあります(なお、当ブログQ&A №375を参照ください)。


【参考判例】
大阪高裁決定平成19年12月6日
「被相続人の子供らが、大学や師範学校等、当時としては高等教育と評価できる教育を受けていく中で、子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」



【結婚資金について裁判例は分かれるが・・】

結婚資金については、裁判例がわかれていますが、私は挙式費用などは、特別受益には当たらないと考えています。

その理由は、挙式費用は、結婚式という一過性の支出であり、後に残るものではないことや、結婚式が結婚する当事者のみならず、その両親や親戚のためにするという側面を有すること、更に親としても相続分の前渡しとして挙式費用を出すのだという意識はなく、持ち戻し免除が推測されること、更に通常の場合、すべての子が多かれ少なかれ親の援助で結婚式をしていると思われることなどからです。

なお、嫁入り道具や持参金などは金額が高額であれば特別受益に該当するでしょう。

【参考判例】
① 名古屋地裁平成16年11月5日
「嫁入り道具や持参金等がこれ(弁護士注:特別受益)にあたることはいうまでもない。しかしながら、結婚式や結納の式典そのものに生じた費用については、婚姻する者のみならずその両親ないし親戚一同にとって重要な儀式であることに鑑みると、両親が子の結婚式や結納の式典に生じた費用を支出したとしても、それを両親から子に対する「婚姻のため」の贈与と評価すべきではなく、特別受益にあたらない。」

② 仙台地裁平成5年9月7日
「右程度の援助(弁護士注:結婚披露宴費用のうち祝儀代を引いた残額二〇万円の援助)は、本来通常必要なものであるが、他の妹弟が結婚に伴う援助を受けていないことを考えると、特別受益に該当するものといわざるを得ない。」

③ 盛岡家裁昭和42年4月12日
「相続人が婚姻に際し、被相続人より挙式費用等を負担してもらっているが、その金額も高額でないので、いずれも民法903条にいう贈与として相続分の算定につき斟酌すべきではな」く、特別受益に該当しない。」



【その他の問題点・・土地使用借権が特別受益の可能性あり】


あなたがお父さん名義の土地の上に建物の持ち分を有しておられるのであれば、その土地をあなたの建物のために無償使用している(使用借権)の贈与と主張される可能性もあり、あなたの方でも特別受益が問題になりかねませんので、その点はご留意ください。

(弁護士 大澤龍司)
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17:43 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか【Q&A №501の再質問】

2016/05/27



扶養能力がないのに遺留分と養育費は相殺されるのか?【Q&A №501】に関する再質問

【質問の要旨】

地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

子供に対して地裁で遺留分(1250万円)を求めて本人訴訟中なるも、子供(義母と同居し現在は社会人)は、大学卒業までの生活費や学費などの養育費(1600万円)との相殺を要求。

私はその当時から現在まで病気で収入がなく、また数千万円の借金があるので扶養能力はなく、子供は充分な遺産(5000万円)
があるので要扶養状態にはない。

和解交渉でこのことを主張するも、裁判官は、(法律的根拠は示さず)遺留分の権利だけを主張して扶養義務は果たさないのはおかしいとして、私が遺留分をもらえば、そこから子どもが立て替えた養育費を払うように強く要請。

私は、父子間の養育費は家裁の専権事項なので、本裁判では遺留分の決定をし、養育費については被告が調停申立をすべきと主張するも、裁判官は被告から相殺の要求が出ているので、地裁で養育費の決定ができると拒否。

そこで質問なのですが、

(1)本当に地裁で養育費を決定できるのか。

あるいは、和解を成立させんがために私へ譲歩を迫るだけであり、判決では養育費については盛り込まれない可能性が高いと思われるか。

(2)判決で養育費と相殺された場合、それを理由に控訴しても却下となる可能性が高いか。

(3)もし家裁で養育費が決定される場合は、養育費が決まった後に地裁で遺留分と相殺して支払われるのか。


または、地裁では遺留分が確定し、家裁で養育費が確定して,相殺ではなく個別解決になるのか。

(オーくん)







当相談では、原則、再度の質問には回答しないことになっています。

ただ、お困りかもしれませんので、簡単にコメントをします。

この程度でご了解ください。

【再質問】

地裁の遺留分減殺事件で(家裁の専権事項である)養育費を決定できるのか?

【回答】

養育費の決定は家裁で決定すべきことです。

そのため、地裁の判決主文中で養育費が決定されることはありません

ただ、判決理由中で、遺留分額を減少する際の事情として未払養育費額を考慮することはできないかという問題がありえます。

しかし、家裁の専権事項である以上、理由中であっても、養育費額の認定はできないというべきでしょう(この点に関する参考裁判例としては、婚姻費用についてですが、同趣旨の判例がありますので末尾に記載しておきます)。

但し、当事者が和解提案する際の事情として未払い養育費を持ち出す、あるいは裁判所が和解案を出す際に未払い養育費を考慮して解決金額を提示するという程度なら特に問題ないでしょう

その点を考慮すると、あなたに譲歩をせまる材料として裁判所は養育費問題に言及しているというところでしょうか。


【再質問】

判決で養育費が考慮された場合、それを理由に控訴することが可能か?

【回答】

本来考慮すべきではない事項を考慮しているのであれば、それは控訴理由になり、原判決の取消事由となると思われます


【再質問】

家裁の養育費と地裁の遺留分との関係

【回答】

地裁としてはいつまでも判決を延期するわけにはいきませんので、養育費は別途解決してくださいとして、遺留分のみについて判決する可能性が高いと思います。

【参考判例】
婚姻費用の分担については、専ら家裁が審判すべきものであって、地裁は抗弁に対する判断としても、婚姻費用の分担を定めることはできない(京都地判昭和32年10月17日)。


(弁護士 大澤龍司)

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10:59 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の預金を使い込んだ兄の言い分【Q&A №495】

2016/03/10

【質問の趣旨】

建築費用は貸金か贈与か?遺産を公平に分配するには?

記載内容 不正出金 親に貸付 寄与分

【ご質問内容】

家内の実父は、約30年前に他界しており、更に1年前に実母も他界しています。

法定相続人は4人です。

長男は、約35年前に実親の家の新築の折、数百万円を借用書も無しに工面したと言っています。

そのお金を今になって「返して欲しい、しかも年5.5%の35年間の複利運用」条件を提示しています。

長男が中心となって作成した父の遺産相続協議の際、そのような負債があることは明らかにしておりません
し、返済請求書もありません。

従って、あたかも親への贈与と思われてもおかしくないものです。負債なら、膨れ上がる前に手の打ちようがあったはずです。

今やその金額は、母親の預金(5千万円)でも不足すると主張する始末です。

まさかと思って、他の兄弟が、銀行(3行)に確認したところ、案の定、母親の死亡1年前からATMから引出限度額で毎日下しており、残額はゼロと判明しております。

亡き母は認知症の為、介護施設に入っており、その支払い等のため銀行カードを長男に預けていたようです。

本件は、母親の預金額に目がくらみ、総取りのシナリオを後付で描いたように思えます。

公平に遺産相続する方法をご教示頂けませんか

(yuzu)







【まず、お金を渡したということを証明してもらう】

最初に、長男さんがお金を貸したかどうかの確認が必要になります

お金を貸したというのなら、当然お金の動きがあったはずです。

長男さんにまず、お金が動いたことの証明を求めましょう。

もし、長男さんがその点を証明できないのであれば、貸金の主張は無視して、遺産分割をすることになります


【贈与か貸金か】

もし、お金をご両親に渡していることが証明されるのであれば、次にどういう趣旨でお金を渡したのかが問題になります。

返還してもらうという前提ではなかったのであれば、長男さんから両親への贈与になりますし、返還してもらう前提なら貸金になります

建築資金ということですから、通常ならかなりの金額になります。

高額の金額にもかかわらず、借用書も作成していない、これまでの35年間返還されていない、という事実を考慮すると、貸金である可能性は極めて低いと思われます。


【複利はまずない】

長男さんは複利を主張されているようですが、そのように主張するのであれば、長男さんとしては貸金であることに加えて利息は複利であり、その利率は年5.5%で合意されていたということを証明する責任があります。

借用書も作らないようなとき、複利というような利息の合意が認められる可能性は皆無に近いと思います。


【貸金や贈与と特別寄与の関係】

仮に贈与があったとすれば、両親はもらった金銭は返還不要ですが、長男さんとしては、そのような金銭をあげたことで、長男さんが特別寄与をしたと主張することができます【コラム】寄与分とは?をご参照ください)。

もし、貸金を立証できた場合には、長男さんはご両親に返還を請求できるということになりますが、ただ35年も前の貸付であれば、特段の事由(例えば時効中断等)がない限り、時効で消滅している可能性が高いです(なお、貸金が時効で消滅していた場合でも、長男さんが特別寄与をしたと主張できる余地があります)。


【今後の取るべき対応について】

お母さんの判断能力がない段階で長男さんが預貯金を引き出していたのなら、お母さんは長男さんに不当利得の返還請求権を持つことになります

お母さんが死亡した場合、その返還請求権は各相続人がその法定相続分に応じて取得し、長男さんに請求することができます

長男さんの態度を見ていると、簡単に返還しそうな感じは受けませんので、遺産分割調停や訴訟等の法的手続きが必要だと思います。

ただ、訴訟して勝訴しても、財産がない場合には強制執行もできません

もし、長男さんの財産(例えば抵当権のついていない土地家屋など)があることが判明しているのであれば、長男さんがその財産を隠してしまう前に、財産の移動を禁止する仮差押え等の手続きを取る必要があります

この手続きはむずかしい点がありますので、弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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16:30 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前の財産管理と相続対策【Q&A №485】

2016/01/13

 【質問の要旨】 

施設にいる叔母の財産管理をすることはできるか

記載内容

老人ホーム 財産管理 成年後見

【質問の内容】

15年ほど前に有料老人ホームに入居し、その後、問題を起こした関係から叔母の財産管理を施設がすることになりました。

同じ系列の施設間移動は3回ほどしているようなのですが、直近の施設に移ってからは、以前の所では請求書が届いていたのですが、現状の施設に移ってからは数回のお願いもしているのですが契約書も見せて頂けていない状況です。

このたび、高齢でもあり重度の肺炎のため、その施設を退所して系列の病院に入院した関係から現状までに出納状況、出来れば私物、資産等の管理を私の方に変更依頼もかけたのですが、たらいまわし状態で何の返事も頂けなく困っております。

対処方法ございますでしょうか?

叔母は現状、意識もはっきりしておりません。

(たんちゃん)







【あなたの立場について】

あなたと叔母さんとは親族という関係にはなりますが、それだけでは、叔母さんの財産に関与できる立場にはなりません。

あなたが叔母さんのことを心配しており、これまでに面倒を見てこられたとしても、法律的には他人であり、叔母さんの財産に関与することができるということにはなりません。

施設から見ればあなたは他人であり、あなたからの要望に対して何らの連絡もしないというのは、法律的には当然であり、その点で施設の対応は間違ってはいません。

むしろ、他人であるあなたに安易に叔母さんの財産内容を明らかにし、あるいは財産を渡したような場合には、施設として責任を問われることも考えられるということになります。


【叔母さんの後見人になると財産調査ができるが・・】

現在、叔母さんが意識もはっきりしていない状況であれば、財産管理も十分にできないでしょう。

このような状態にある叔母さんについては、家庭裁判所に成年後見人の選任申立をすることができます。

成年後見人になれば、叔母さんの財産を管理しますので、施設に契約内容や費用の照会も可能ですし、施設に預けた物件などがあればその引き渡しを求めることも可能です。

ただ、成年後見人になるのは、通常の場合は叔母さんの推定相続人(もし現在叔母さんが死んだ場合に相続人になると法律で定められている人)です。

あなたが推定相続人でない場合には成年後見人になれる可能性は少なく、その場合には、施設でも、また、現在入院中の病院でも、これまでに施設がしたと同様の扱いをされるのはやむを得ないでしょう。

他の人が成年後見人に選任されたというのであれば、事情を話してその後見人から調査をしていただくしかないでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
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14:04 意思能力 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★親の財産使い込みは罪になるか? 【コラム】

2015/08/17
後見人になった子による親の財産使い込みは罪になるか


記載内容

  使い込み 意思能力 横領


【子の使い込み】

 相続事件では、認知症の親の介護をしていた子が、親の生前に親の財産を使い込んでしまっていたという事例が数多くあります。

 このような使い込みをした子が罪に問われることはあるのでしょうか。




【同居親族の財産犯は刑が免除されるという原則】

 お父さんが認知症になったことから、子(例えば長男)がお父さんの財産を管理しているケースを考えてみましょう。

 後見人である長男が、被後見人であるお父さんの財産を使いこんだ場合、業務上横領罪が成立します。

 しかし、刑法は直系血族及び同居の親族らとの間で窃盗・詐欺・横領に当たる犯罪が行われたとしても刑は免除すると定めています(244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。

 刑法は「法は家庭に入らず」ということで、家庭内の問題は家庭内での解決しなさいという趣旨で定められています。

 そのため、このような関係にある場合には、警察に訴えても捜査が開始されることはないのが普通です。



【後見人は例外になる】

 しかし、最近、後見人になった親族の使い込みについては業務上横領罪の成立を認めて刑は免除しないという裁判が相次いでいます(最判平成20年2月18日、最判平成24年10月9日、東京高判平成25年10月18日など)。

 2つの最高裁の判例はいずれも、成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているから、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族 関係があっても、刑法上の処罰を免除もできないと明言しています。

 つまり、後見人という公的な責任を負った以上、その責任の方が優先され、親族だからといって刑が免除されることはないということです。

 現在のところ、業務上横領についての裁判例のみですが、同様の考えをすれば、後見人が被後見人の財産を窃盗したり、詐取した場合にも適用されそうです。

 最近、後見人の財産取込が問題となっています。

 遠からず、後見人が窃盗をし、あるいは詐欺を行うという具体的なケースが起訴されることになり、親族であっても刑罰に処せられるという裁判例が積み重なっていくことになると思われます。

(弁護士 大澤龍司)
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★【コラム】相続放棄期間の伸長

2013/08/12
 遺産の借金が多く、資産を上回る場合には、相続放棄が必要です。
 相続放棄の手続は家庭裁判所に対して行いますが、その期間が、相続の開始を知って3ケ月以内とされています。
 ただ、遺産の調査をする場合には、金融機関からの回答に時間がかかることが多く、遺産全体としてマイナスかどうかの判断に時間がかかります。
 調査が長引くと、すぐに3ケ月が経過してしまいます。
 そのため、遺産調査をする場合には、相続放棄の期間伸長願いを家庭裁判所に出すことをお勧めします。
 遺産調査のために時間がかかるので、という理由を言えば、簡単に相続放棄の期間を延長してくれます。
 延長期間は通常3ケ月です。
 その伸長された3ケ月を過ぎそうな場合には、再度の伸長願いを出すことになりますが、裁判所としては原則として再度の伸長願いを認めることは少ないです。
 これまで、当事務所が関与したケースでは、3度の伸長願いが認められたことがありますが、これは裁判などで借金の有無及び額が争われたケースであり、特段の事由があった場合です。
 このような特段の事由があった場合には、再度の伸長が認められる場合がありますが、原則は3ケ月以内という点にご注意ください。
大澤龍司法律事務所
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【コラム】公正証書遺言の検索及び確認について

2013/08/12
1.第1段階・・公正証書遺言が作成されたかどうかの確認方法
1)調査方法
 これまでにどのような公正証書遺言が作成されたかについては、平成元年以降に作成されているものであれば、全国各地のどこの公証人役場で公正証書遺言が作成されているかどうかの調査が可能です(但し、この手続きでは、いつ、どこの公証人役場で作成されたのかが判明するだけで、遺言の内容まではわかりません)。
 この調査は、相続人等の利害関係人であれば調査することができます。

2)検索方法
 次の書類をご用意頂き、最寄りの公証人役場にご提示頂きましたら、検索は可能です。
① 除籍謄本等(遺言者本人が死亡したことを証明する書類)
② 戸籍謄本等(遺言者との利害関係を証明する書類)
③ 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど官公庁発行の顔写真付き身分証明書等)
④ 認め印(シャチハタ以外のもの)

2.第2段階・・遺言書の内容の確認
 上記検索にて、公正証書遺言が作成されていたことが判明した場合には、相続人であれば、その作成された公証人役場に行けば、その遺言書のコピー(謄本)をもらえます。
 この場合に必要な書類は、前記の①~④に記載された書類です。

3.遺贈者の場合
 遺贈者でも公正証書遺言書の確認が可能です。
 但し、遺贈を受けた人であれば、遺贈を受けたことを証する資料が必要です(ただ、正確に言うと、コピーをもらう遺言書自体がこれに該当するわけですが)。
 この証明をする資料がない場合には、遺贈者から請求があった時点で、公証人が遺贈を受けているかどうかを(当該遺言書で)確認し、その確認ができたら公正証書遺言のコピー(謄本)をもらえることになります。
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【コラム】名寄帳の取り寄せ

2013/08/12
【名寄帳とは】
 名寄帳とは正確には《固定資産課税台帳》または《固定資産課税明細表》などというものです。
 これには、問い合わせをする市町村にある、被相続人の所有する不動産が記載されています。

【取り寄せの手続き】
・どこに請求するのか?
不動産が所在する地方公共団体(市町村)に問い合わせをします。
・費用は?
市町村によって異なり、無料のところもあれば、手数料を請求されることもあります。
・請求できる者は?
相続人なら、請求が可能です。ただ、相続人であることを証明するために戸籍謄本等が必要です。
・請求する書面は何か?
通常《固定資産課税台帳》または《固定資産課税明細表》ですが、市町村により名称が異なる場合があります。
念のため、該当市町村に予め電話で問い合わせをし、書面の名称を確認するといいでしょう。

【大阪市の場合】
 大阪市の場合には、区ではなく、市税事務所に請求します。
 本来、相続人であれば請求ができるはずですが、最近、請求したときには、固定資産税の納付者に対してのみ発行するという回答がありました。
 しかし、相続人も法定相続分の限度で所有権を持っているのですから、請求ができるはずです。
 もし、どうしても請求を認めないというのであれば、弁護士を通じて弁護士会照会という手続で請求すると、回答があると思われます。
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【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介

2013/05/24
【認知症の点数が10点以下なら意思能力がない】
 認知症の程度は長谷川式認知スケールである程度、推測できます。
 裁判例でいえば、次のような傾向になっています。

・長谷川式認知スケールの点数が
10点以下・・・・・意思能力がない
11点~14点・・・意思能力がなしとされる可能性が大
15点~19点・・・意思能力があるとされる可能性が大
20点以上・・・・・意思能力がある

【点数だけでは結論を出せない】
 ただ、注意する必要があるのは、点数だけですべて判断されるのではなく、問題となる行為がどのようなものかによっても結論が異なってくることです。
 この点については次のような裁判例があります。

 「意思・能力の有無は、個々の具体的な法律行為ごとに個々の行為者の 能力・知能等を踏まえての実質的個別的判断にかかるものであり、何らかの画一的・形式的な基準によるべきではなく、問題になる法律行為がいかなる種類の行為であるかによっても判定が異なることがあり得る」
(大阪高裁平成22年9月15日判決)

【過去の判例について】
 過去の判例を検索して、一覧表にしたのが別紙【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】です。
ご参照ください。
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【コラム】すこし変わった遺言書、こんなのもありかもしれない。

2010/05/31
【巻紙に書かれた遺言書】
 以前、一澤帆布の遺言書騒動のことを書いた。
 2通の遺言書のうち、最初のは巻紙に毛筆で書かれていたという。
 しゃれたことをすると感心した記憶がある。

 たしかに、どんな紙であろうと、遺言書としての効力には差はない。
 江戸時代のような毛筆、巻紙も有効だし、日本画家なら金粉がまかれた紙で決めるという手もあるだろう。
 千代紙に書いて、人形に着せるというようなことも、その書かれた内容や形が遺言書に必要な要式を満たしている限り、有効だろう。

大澤photo6
【絵の裏に遺言書がある】
 その人間が生涯をかけて身につけた芸術や技術を駆使するのもおもしろい。
 画家が、残される家族全員の肖像画を描き、その絵の裏に遺言書なんていうのもありかもしれない。
 家族が最後の遺作となった絵を眺め、ひょいと裏を見れば、なんと、そこには遺言書があった、ということもありかもしれない。

【ここまでいけば遺言書にはならないかもしれない】
 陶芸家なら、窯で焼く前に、作品にへらで遺言書の内容を刻み込むということを考えるかもしれない。
 しかし、ここまで行けば、自筆遺言証書の「証書」にあたるのか、「印鑑」はどうなるという問題があり、遺言書とは認められない可能性がある。
 また、書道家が、自分の部屋の壁に筆で遺言を記載していた(印鑑は押してある)場合も、「証書」といえるかどうかが問題となるだろう。

【人生を付け加えることもできるが・・】
 遺言書は、自分の財産の死後の処分を書くものである。
 しかし、それ以外を記載してだめということはない。
作家なら、遺言書という書き出しで、自分の人生を要約し、子供たちに希望する生き方を記載することも可能だ。
 ただ、遺言書の内容が矛盾しておれば、遺言書が無効になることもある。
 子供たちに託する思いは、遺言書とは別に文学作品という形で残すべきだろう。
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【コラム】遺言書を作るときの心得

2010/05/25
あまりに遅くなるとテストが必要です

エンディングノートというのがある。
死んだときに、「葬式はどうして欲しい」とか、
「病気になればこのようにして欲しい」とかを書くという。
妻はせっせと書いているようだ。
最近、妻が私にも書けという。
「ひょっとしたら、先に死ぬのを期待している?」
と聞くと、笑って否定していたが。

さて、エンディングノートならぬ、遺言書の話である。
最近、遺言書の作成の依頼が次々とくる。
皆、80代から90代の女性である。
高齢の方は遺言をする能力が問題となる。
長谷川式認知スケールというテストを受けていただく。
「テストが満点で、お医者さんにほめられました」という人もいる。
皆さん、いずれも高得点を獲得されている。
自分で遺言書を作るという人は頭もしっかりしているようだ。
テストに合格できそうなうちに、私も遺言書を作っておこう。
もちろん、ついでにエンディングノートも。
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★【コラム】龍馬の遺言

2010/03/16
【龍馬は遺言書を書いたであろうか?】

大澤photo6今から20年ほど前、沖縄の与那国島に行ったことがあった。
そこで、「昔の人で誰が好きか」と聞かれたことがあった。

坂本龍馬と答えたが、
あなたは坂本龍馬のように生きている?」というきつい質問がきた。
そのとき、どう答えたのだろうか。忘れてしまった。

龍馬は31才のときに京都河原町の近江屋の2階で死んだ。
妻お龍との間に子供はいなかった。

もし、龍馬が長生きしていたらと考えたことがある。
死ぬときに財産を作っていたであろうか?
生まれ育った家は裕福な商家であったから、
彼にも商売の才覚の血は流れていたかもしれない。
しかし、絶えず新しいことをするベンチャー精神を持っていても
それと成功するということとは別である。
金持ちの龍馬なんて、想像しがたい。
ましてや、遺言などは・・である。

財産があったとしても、
【おまんらに、財産はやらんぜよ】ってなことを言ったのではないか。
龍馬という、誰にも恥じない父親の生き様と
子供たちの中に流れている龍馬の血が遺産だと公言したのではないか。

ここまで読んだ方は次のような疑問を持たれるかもしれない。
「この弁護士ブログは遺言を作ることを勧めていたのではないか?」と。

これに対する答えは「あなたは坂本龍馬のように生きている?」
龍馬ならぬ凡人(当然、私もここに入っている)としては、
せめて、財産を残し、子供たちが争わないように遺言を書くのが望ましいであろう。
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【コラム】生前贈与を受けていたら

2009/11/02
生前に、相続人が被相続人から、贈与を受けていた場合や、遺言による贈与(遺贈)を受けた場合、これらの生前贈与や遺贈は、「特別受益」として相続分の算定の際に考慮する制度があります。

例えば、母親を早くに亡くした兄弟の父親が亡くなり、その遺産分割を行う場合で説明します。
兄の方が結婚して家を建てる際、父親に500万円援助してもらったとします。
これは、特別受益として算定されます。
もし、父親の遺産が1500万円であるとすれば、兄が援助してもらった500万円を加算した額である2000万円が相続財産となります。その際、それぞれの相続分は下記のようになります。
兄の相続財産:(1500+500)÷2-500(特別受益分)=500万円
弟の相続財産:(1500+500)÷2=1000万円


 この特別受益は、相続人の中で、遺産分割前に遺産の前渡しを受けたといえる場合、相続人間での公平を保つために、その分も考慮するという制度です。もっとも、全ての生前贈与が特別受益に該当するわけではなく、特別受益となるのは、「婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与」です。
 「婚姻、養子縁組のための贈与」とは、持参金、嫁入り道具、結納金、支度金など婚姻又は養子縁組のために、支出してもらった費用です。
 「生計の資本としての贈与」とは生計の基礎となる贈与は一切含まれ、かなり広い意味に解されています。
 具体例としては、子が別の世帯をもつために住宅やその他の財産の贈与を受けた場合や、田畑の贈与を受けた場合などです。
 多額の贈与は、特別な事情がない限り、特別受益にあたると考えられます。
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16:08 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】相続が発生したら

2009/10/08
相続チャート

戸籍による確認
法定相続分の確認
遺言書がないとき→法定相続分の確認へ
遺言書があったとき
自筆証書遺言・秘密証書遺言
公正証書遺言
遺産調査の対象になる財産
弁護士による調査活動
相続財産の評価
相続税支払手続きの要否
遺留分減殺請求
遺言無効の確認
遺産分割協議
単純承認
相続放棄
限定承認
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★【コラム】非嫡出子の相続

2009/09/25
妻以外の女性との間で生まれた子の扱い・・非嫡出子の相続

【非嫡出子は相続分が少ない】
 通常の場合、子は均等の割合で相続します。
 しかし、子のうちに、婚姻関係にない男女から生まれた子(これを非嫡出子といいます。いわゆる愛人の子がこれに当たります)は、他の嫡出子(婚姻関係にある男女から生まれた子:嫡出子といいます)の半分の相続分しか認められません。

 例えば、被相続人(A)には妻(B)と3人の子(C,D,E)がいるが、その子のうち、C,Dは妻Bとの間でできた子だが、末っ子Eは非嫡出子であったとします。その場合の相続分は次のとおりです。

配偶者B:2分の1
嫡出子C:10分の2
嫡出子D:10分の2
非嫡出子E:10分の1


【憲法違反の疑いがある】
 嫡出子と非嫡出子を相続で差別するのは、生まれによる差別であり、憲法違反だという意見があります。
 しかし、他方で婚姻関係にある男女関係(要するに結婚した夫婦)を保護するためにやむをえないという考えもあります。非嫡出子の扱いを定めた条文は度々改正の話が持ち上がっていますが、まだ改正されるに至っていません。
大澤photo6
【戸籍の確認が必要】
 非嫡出子を排除した遺産分割協議は無効です。
 なお、妻以外の女性との間に子が生まれても、父親が認知しないと、子とは認められません。認知したかどうかは戸籍に記載されますので、戸籍を取り寄せすればすぐにわかります。

 遺産分割する場合には、きちんと戸籍を確かめることが必要です。
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13:40 特殊な相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】代襲相続

2009/09/24
【相続人が死亡した場合でも相続できます】
 相続人となるべき人が、相続開始のときに既に死んでいた場合でも、その死亡した相続人に子供があれば、相続することができます。
 これを「代襲(だいしゅう)相続」といいます。
 例えば、財産を持っている祖父(A)が死亡した、その子である父親(本来の相続人:B)が既に死亡していたとき、Bの子(すなわち、祖父Aから言えば孫:C)が父親に代わって相続することができます。

【配偶者は代襲相続ができません】
配偶者は代襲相続できません。
上の例で言えば、Bに配偶者(D)がいても、代襲相続ができるのはBの子のCのみです。
又、BとDとの間に子供がいなかった場合には、代襲相続は発生せず、Dは夫の父であるAの遺産をもらえません。

【どれだけ相続できるか】
代襲相続できるのはBの相続分です。
従って、Bに子供が3人いた場合には、3人の子供はBの相続分を3分の1ずつ相続することになります。
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11:40 特殊な相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】遺産分割協議・・・話し合いによる遺産の分割

2009/09/17
【遺産分割協議】 
遺産分割とは、相続人の共同所有の状態にある相続財産(遺産)を、相続人間で話し合って、分配する手続です。 

【分割の方法】 
 遺産分割協議では、相続人全員の合意がある限り、自由に分割することができます。
 例えば、遺産として不動産、預金がある場合に、相続人Aさんは不動産、相続人Bさんは預金、相続人Cさんは何もなし、という内容の分割も可能です。
 また、上記の例で、相続人Aさんは不動産を取得するかわりに、相続人Cさんに対してお金(代償金)を支払うという内容の分割もできます。

【分割協議書の作成方法】

遺産分割協議がまとまった際には、遺産分割協議書を作成します。
この遺産分割協議書は、遺産である不動産の名義を変更することもできる重要な書面ですので、次の点を注意する必要があります。
①どの遺産を誰が取得するのかを明確に記載する。
②記名・押印が必要ですが、押印は実印でし、かつ協議書1通ごとにその数の印鑑証明書(協議書の枚数分)を添付する。
③なお、作成された日付も忘れずに記載しましょう。


【遺言と違う内容の協議も可能】

遺言と違う内容の分割も全員が合意すれば可能です。

【協議後に新たに遺産が発見された場合】
 仮に、遺産分割協議書を作成した後に、被相続人名義の預金が発見されたというような場合でも、遺産分割協議が無効になるわけではなく、新たに発見された預金だけについて分割協議をすることになります。
(尚、遺産分割協議書作成時に、今後新たに発見された遺産はAさんが取得するなどを予め協議書に記載することも可能です。)
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18:02 分割協議書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】遺贈とは?受遺者とは?

2009/09/08
【遺贈とは?受遺者とは?】
遺言で遺産を与えることを「遺贈」といい、このような譲渡を受けた人を「受遺者」といいます。
受遺者は相続人である場合もあれば、それ以外の人の場合もあります。
なお、受遺者は遺贈を拒否することも可能です。

【「遺贈」と「相続させる」の違い】
 遺言で「遺贈」であった場合と「相続させる」であった場合とでは後の手続や費用が異なってきます。
例えば、「遺贈」なら不動産の登記には他の相続人の同意が必要ですが、「相続させる」なら不要です。又、「遺贈」の場合の登録免許税は、「相続させる」場合の5倍です。
 なお、法定相続人に対するものは「遺贈」と明記されているものは別として、「相続させる」という意味とするのが実務の扱いです。但し、相続人でない方に「相続させる」と明記しても「遺贈」となります。

【遺留分減殺請求】
長男が会社の株を全部引き継ぐなど、相続人の一人が被相続人から遺贈を受ける場合、法定相続分とは違った遺産の分け方になることが多々あります。
遺贈の結果、相続人の譲り受ける財産が遺留分以下になる場合、相続人は遺留分減殺請求をすることができます。(詳しくは遺留分減殺請求をご参照下さい。)

【遺贈は贈与税?相続税?】
法定相続人以外の人が遺贈を受けた場合でも、贈与税ではなく相続税が課税されます。
税率などについては、通常の場合の2割増しになるなど、法定相続人の分と計算方法が異なりますので、ご注意下さい。
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18:23 遺贈と受遺者 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】相続人になれない人

2009/09/02
相続権を奪われることもあります

【相続権を失う場合】
遺言がない場合、民法に規定された順序にしたがって、配偶者(夫又は妻)、子供、親(尊属)、兄妹、孫などの親戚に遺産が相続されます(法定相続)。
しかし、被相続人(なくなられた方)にとって非道いことをした人には財産を与える理由はありません。
民法では、一定の行動を取った人に当然に相続権を認めない「欠格」、関係者からの申立を受けて相続権を失わせる「廃除」の2つの規定を設けています。

【相続人の「欠格」について】
以下の行為を行った人については法律上当然に相続権がなくなります。
・被相続人や相続について先順位もしくは同順位にある人を故意に殺した人、あるいは殺そうとした人(殺人・殺人未遂罪)で、刑に処せられた人
・詐欺又は強迫で遺言書を書かせようとしたり、遺言書を捨てる、隠す、書換え等した人
・遺言書の作成を妨害した人

【相続人の「廃除」について】
相続人となるべき人に、被相続人に対する虐待、被相続人への重大な侮辱行為、著しい非行などがあった場合、家庭裁判所は、被相続人の請求を受けて当該事実を判断し、相続人となるべき人の相続権を「廃除」によって奪うことが出来ます。
また、遺言によっても奪うことが出来ますが、この場合には遺言執行者が家庭裁判所に排除の申し立てを行うことになります。
ただ、当然ながら、被相続人が亡くなった後に請求することは出来ません。

【欠格・廃除の子供たちは相続できる?】
被相続人の死亡時に、本来相続人となるべき人が既に死亡しており、その子供が生存している場合、その子供は、本来相続人となるべき人に代わって相続ができます。これを代襲相続と言います。
欠格・廃除によって、本来相続人となるべき人が相続権を失っても、その子らは代襲相続することが出来ます。
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17:51 法定相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】寄与分とは?

2009/08/28
 寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に、特別の貢献(寄与行為)をした相続人に、法定相続分以上の財産を取得させる制度です。
 これは、親元(被相続人)を離れて何もしなかった子(相続人)と親と共に事業を行って、財産の維持や増加に貢献した子(相続人)との間で、取得する遺産に差をつけることによって、相続人間の実質的な公平を図るものです。

 寄与分が認められるための寄与行為とは、特別なものでなければなりません。
 例えば、妻が専業主婦として長年、夫のために家事労働を頑張っていたというだけでは、特別な寄与行為とはいえず、寄与分は認められません。
 なぜなら、夫婦間では、双方とも協力して助け合う義務が法律で定められているため(協力扶助義務)、家事労働を頑張ったというだけでは、この協力扶助義務の範囲内のもので、特別の寄与行為とまではいえないからです。

 特別な寄与行為の例としては、
①被相続人と共に事業を行って被相続人の財産の増加に貢献した
②被相続人に土地を贈与した
③被相続人の借金を返済してあげた
④被相続人の生活費を負担して財産を維持させた
⑤被相続人の介護を行い医療費や介護費用の支出を抑えて財産を維持させた

などがあります。

 寄与分の割合は、相続分のように法律で定められているわけではないので、個々のケースによって、その割合が異なります。

 では、寄与分の割合はどのように定めるかといえば、まずは、相続人全員での協議によります。
 つまり、遺産分割協議の中で、「親父と商売をやっていた兄貴には、店舗不動産を渡して、残りの財産を分割しよう。」など話し合って決めていくことになります。
 相続人間の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判という手続を申し立てます。

 なお、相続人同士で仲が悪くて協議できない場合などは、相続人間での協議をせずに家庭裁判所に申し立てることも可能です。

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16:56 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】法定相続の概略と具体例その4:特別受益

2009/08/26
生前に多額の財産を贈与されている者がいる場合の不公平除去・・・特別受益について

【特別受益とは?】
 生前に法定相続人が被相続人から贈与等の利益を受けていた(これを特別受益といいます)ような場合があります。
 遺産分割では、このような生前の財産贈与分を遺産額に上乗せ(繰り戻しといいます)した上で、相続人の相続分を計算して、相続人間の公平を図ります。
 この説明だけではわかりにくいでしょうから、具体例で説明しましょう。

【具体例】

質問:父の遺産は合計6,000万円でした。
母は父より早く亡くなっており、相続人は長男と長女の2人です。
なお、長女は生前に父から住宅建築費用として3,000万円を出してもらっていましたが、長男は高校を出てずっと働きづめであり、何ももらっていません。
長男、長女の相続額はどの程度になるのでしょうか?

回答:まず、生前の受益分を考えなければ、相続人は長男及び長女の2名ですので、それぞれが均等に金3,000万円をもらえるはずです。
 しかし、長女には生前の特別受益がありますので、相続分割対象の遺産額にこの受益分を加算します。
 そうすると、分割の対象となる遺産額は9,000万円(計算式:相続財産(6,000万円)+特別受益(姉受益3,000万円))となり、長男長女の各相続分は4,500万円になります。
 この額を前提に、特別受益がある者についてはその額を差し引きますので、結局、長女の貰う額は1,500万円(計算式:4,500万円-3,000万円(特別受益分))となり、長男の貰う額は4,500万円(特別受益がないので控除分なし)となり、長男は特別受益をもらった長女よりも多く財産をもらえることになります。
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【コラム】遺言執行者について

2009/08/25
あなたがお書きになった遺言書は、あなたが死んだときに効力を生じます。
よく気がつく人なら、こんな疑問を持つかもしれません。
私の遺言は果たして実行されるのか?・・・・
このような心配に対する対策が遺言執行者の制度です。

大澤photo6【遺言執行者とは?】
 遺言執行者とは、遺言の内容を実現(執行)するために行動する人です。

【誰が遺言執行者を決めるのか?】
 遺言執行者は遺言者が遺言で指定します。
この指定をするには、遺言執行者になって欲しい人の承諾をとる必要はありません。
しかし、指定された人が、遺言執行者になることを拒否することもできますので、事前に了解を得ておくほうがいいでしょう。

【誰を遺言執行者に指定するのが望ましいか?】
 相続人の一人を執行者に指定すると、他の相続人から反発がでる場合もあります。
 遺言の内容を実行することが内容ですから、法的な知識があり、登記等の手続きに精通している弁護士を遺言執行者に指定するのが望ましいです。

【遺言執行者が動いてもらうために・・】
 遺言執行者は、あなたが死亡したことを知って、遺言の執行をします。
そのためには、遺言執行者はあなたが死亡したことを知る必要があります。
あなたの死亡をどのように知らせるのかを、遺言執行者と協議しておく必要があります。
又、遺言書を遺言執行者に預けておかないと、いざ、遺言執行という場面で肝心に遺言書がどこにあるかわからないという悲惨なことにもなりかねません。この点も要注意です。

【遺言執行者が先に死亡する場合もある?】
遺言執行者が遺言者よりも長生きするとは限らないので、1番目としてAさん、もしAさんが遺言執行者になれないようであればBさんというように指定しておくこともできます。

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【コラム】遺留分とは

2009/08/17
遺産をもらえない人の対抗策・・遺留分

【遺留分とは遺産の一部を受け取ることを保障する制度です】
 遺留分とは、遺言書で財産を全くもらえない場合や、遺言書でもらえる遺産が少ない場合に、一定の相続人に遺産の一部を受け取ることを保障する制度です。

 例えば、お父さんの遺言書があり、その遺言書に、「全ての財産を妻に相続させる」と記載されていた場合、長男と長女は、遺産を全く受け取ることができないように思われます。
 しかし、長男も長女も、同じお父さんの法定相続人ですので、長男や長女にもある程度の財産を受け取ることができます。これが遺留分という制度です。

【遺留分を認められる相続人の範囲と割合】
 遺産の一部を受け取ることが保障されているのは、被相続人の配偶者や子供、被相続人の父母等の直系尊属のみです。したがって、被相続人の兄弟は法定相続人ではありますが、慰留分は認められていません。
 また、遺留分の割合は、相続人が誰かによっても異なります。

 冒頭の例をあげると、長女の遺留分については、
遺産÷2(相続分は2分の1)÷2(子供が2人)÷2(遺留分割合2分の1)となり、
結局8分の1が遺留分となります。
長男も同様に8分の1が遺留分となります。

 別の例として、被相続人に父母はいるが、配偶者も子供もいないケースでの父、又は母の遺留分は、
遺産÷3(相続分は3分の1)÷2(父母が2人)÷3(遺留分割合3分の1)となり、
18分の1が遺留分となります。

【遺留分の請求時期・方法】
 慰留分は、当然にもらえるものではなく、遺留分を害されたこと(要するに遺言書により財産が全く、或いは、少ししかもらえない)を知った時点から1年以内に、慰留分を害する者に対して(冒頭の例であれば、お母さんに対して)、請求しなければなりません。これを遺留分減殺請求といいます。
遺留分を害されたことを知ってから、1年以上何もしなかった場合には、遺留分減殺請求は認められません。
遺留分減殺請求は、裁判によらないですることができますが、請求したことを証明できるようにしておく必要があるので、内容証明郵便のような書類で送付されることをお勧めします。
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★【コラム】法定相続の概略と具体例その3:子供や父母がいない場合の相続

2009/08/06
【これまでの復習・・法定相続人とその順位】
法定相続では配偶者は常に相続人となり、次の相続人と遺産を分け合います。
第1順位:子
第2順位:父母
第3順位:兄弟姉妹
⇒詳しくは【法定相続(配偶者、子、父母、兄弟姉妹)】をご覧下さい。
今回は、配偶者と第3順位の相続人が相続する場合を例にして説明します。

大澤photo6
【具体例】

質問:私の兄(長男)が200万円の預金を残して亡くなりました。兄には子供がおらず、奥さんが居ます。兄と私の両親は既に死んでおり、他には弟(次男)がいます。
遺言書がないとすると、私はいくら相続できますか。


回答:今回は、配偶者(妻)と第3順位の相続人である兄弟姉妹で相続するのケースであり、この場合には、配偶者が4分の3を、兄弟姉妹が4分の1を相続します。兄弟が何人いても全体で4分の1です。
従って、本件では、200万円の遺産のうち、配偶者である妻が150万円を、また、相談者であるあなたと次男である弟さんがそれぞれ25万円づつを相続することになります。
なお、前回の【コラム】法定相続の概略と具体例その2:子供が死亡した場合の相続にも記載したように、法定相続分は法律で定めた相続割合ですが、相続人全員が同意すれば、法定相続と違った遺産の分配をしてもよく、この場合には「遺産分割協議書」を作る必要があります。
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★【コラム】法定相続の概略と具体例その2:子供が死亡した場合の相続

2009/08/05
【前回の復習・・法定相続人とその順位】
法定相続では配偶者は常に相続人となり、次の相続人と遺産を分け合います。
第1順位:子
第2順位:父母
第3順位:兄弟姉妹
⇒詳しくは前回の【法定相続(配偶者、子、父母、兄弟姉妹)】をご覧下さい。
今回は、配偶者と第2順位の相続人が相続する場合を例にして説明します。

【具体例】

質問1
質問:息子が先日、不慮の事故で亡くなりました。息子には妻がいますが、子供はいません。
遺産としては、2000万円の価値のある自宅不動産と1500万円の住宅ローン、それに定期預金が400万円あります。
私たち夫婦にも相続分があるのですか。

回答:相続人として配偶者と第2順位の父母の計3人がいるケースであり、相続分は配偶者が3分の2、父母があわせて3分の1となります。
設例では、妻の相続分:1600万円、父母の相続分:合計で800万円となります。
そして、父母は800万円の相続財産を分け合いますので、父:400万円、母:400万円となります。
ただ、相続債務も法定相続分にしたがって分割されますので、妻:1000万円、父:250万円、母:250万円を負担することになります。

質問2
質問:今回の件ではどうやって遺産分割すればいいですか。私たち夫婦としては嫁にそのまま自宅を使ってもらいたいのですが。

回答:法定相続分は法律で定めた相続割合ですが、絶対にこのとおりにしなければならないというものではありません。
相続人全員が同意すれば、法定相続と違った遺産の分配をしてもかまいません。
例えば、自宅は息子の嫁に全部相続させるが、預金は全て父母がとるという解決も、相続人の全員が同意(これを「遺産分割」といいます)すれば可能です。
ただ、この同意は遺産という重要な財産についてですので、「遺産分割協議書」を作り、実印を捺印する等の形式を整える必要があります。
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18:25 法定相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】公正証書遺言作成の費用と準備

2009/08/04
以前、公正証書遺言とはどういうものか説明しました。
では、実際に、公正証書遺言を作るとした場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?
また、どのような準備しなければならないのでしょうか?
 
【交渉人役場に支払う費用】
 作成費用とは、公証人役場に支払う手数料です。
この手数料は、遺言の目的である財産(遺産)の価格によって決まります。
例えば、次のように、財産が多い場合には、手数料もかかるということです。
財産の価格が500万円までの場合・・・1万1000円、
1億円までの場合・・・4万3000円、
1億円を超える場合、5000万円毎に1万3000円が加算されます。

また、公正証書遺言は3部作成するので、これらに必要な用紙について、1枚250円の費用が必要です。
もし、公証人に、病院や自宅に来てもらって遺言をつくるのであれば、上記の手数料が加算されるほか、公証人の日当や現地までの交通費も必要になります。

※公正証書遺言に関してのQ&Aを掲載しておりますので、こちらもご参照ください。
http://osawalaw2souzoku.blog16.fc2.com/blog-entry-22.html

【遺言書作成に必要な書類等】
下記のような資料が必要であり、遺言書作成の前に公証人に交付して確認をしてもらう必要があります。

①遺言者の印鑑証明書
②遺言者及び相続人らの戸籍謄本
③相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
④不動産がある場合、登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書
⑤ 証人予定者の氏名、住所、生年月日、職業をメモしたもの


【遺言書作成のための事前作業】

①原案の提出
遺言書の作成を公証人にお願いする前に、予め、遺言書の原案を公証人に渡しておく必要があります。公証人はこの原案を点検します。
但し、公証人がするのは法律的に問題がないかどうかのチェックのみです。
将来の紛争がなくすために、遺言書をどのような内容にすればよいのかという、一番大切な点のアドバイスは弁護士の役割です。
②証人の用意
公正証書の作成のためには2名の証人が必要です。
この証人は遺言書を作成したことを確認するための証人ですので、あまり心配することはありません。
弁護士を通じて公正証書遺言を作成する場合は、弁護士事務所の事務員が証人になることが多いのですが、もし、証人を用意できないというのであれば、公証人に依頼して証人を探してもらうことも可能です。


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18:19 公正証書遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】遺言で出来ること・出来ないこと

2009/08/03
 これまで、自筆証書遺言や公正証書遺言など、遺言の方式について説明してきましたが、今回は、遺言の内容に関するものです。
 遺言に書いてはダメな事項はありませんので、何を書いても構いません。
ただし、書いたこと全てが法律的に意味があるか(効力があるのか)といえば、そうではありませんので、この点について説明したいと思います。
 
【遺言で出来ること】
 遺言で出来ることといえば、まず、相続に関することを定めることが出来ます。
 例えば、長男は4分の3、次男は4分の1というように、法定相続分と異なる相続分を定めたり、長男は不動産、次男は預金というように、具体的な遺産分割の方法を定めることが出来ます。
 次に、財産の処分に関することです。
 例えば、不動産を相続人ではないAさんに与える(遺贈といいます)ことが出来ます。
 また、身分に関することも出来ます。
 例えば、婚姻関係にない人との間にできた子供を自分の子であることを認めたり(認知といいます)、未成年の子供の後見人を定めることが出来ます。
 さらに、自分が残した遺言どおりに、相続を進めてもらうために、信頼できる人を遺言執行者に指定しておくことが出来ます。
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【遺言で出来ないこと】
 遺言で出来ないこととは、遺言に書いてはダメだという意味ではなく、書いても効力がないということです。
 まずは、当事者双方の合意が必要な契約は、遺言では出来ません。
 例えば、不動産をBさんに500万円で売ると書いても、効力はありません。
もちろん、Bさんはこれに従う必要もありません。
また、身分に関することでも、離婚や養子縁組など当事者双方の合意が必要なことは、遺言で定めることは出来ません。

以上のとおり、遺言で実現できることには限界があります。
しかし、遺言は亡くなった人の最後の望みですから、家族の方々はその意思を尊重してくれると思いますので、法的な効力はともかく、希望は全て書いたほうがいいのではないでしょうか。
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16:18 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】法定相続の概略と具体例その1:配偶者と子供

2009/07/30
【法定相続の概略】
ある人が亡くなると、その亡くなった人(被相続人)の財産は、相続人に引き継がれます。被相続人が遺言書を作成しておれば、基本的には、遺言書に書かれた人に財産が相続されます。
しかし、ほとんどの人が遺言書を作成していませんので、民法で決められた順序で、財産が相続されます。これを法定相続といい、民法で相続する権利が認められる人を法定相続人と言います。

では、だれが法定相続人になる定められてのでしょうか
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①第1順位の法定相続人
まず、配偶者と子供が第1順位の相続人になります。
この場合、相続分は配偶者が2分の1となり、残りが子供の相続分となります。
※注:夫にとっての妻、妻にとっての夫を法律上、配偶者(はいぐうしゃ)といいます。
配偶者がいない場合には、子供が遺産全部を相続します。

②第2順位の法定相続人
配偶者がいるが、子供がいない場合には、第2順位の配偶者と被相続人の両親が相続します。この場合、配偶者の相続分は3分の2であり、残りを両親が相続します。
但し、通常の場合は、両親も死亡されている場合が多いでしょう。

③第3順位の法定相続人
配偶者がいるが、子供と被相続人の両親がともにいないあるいは死亡している場合には、第3順位の配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続します。この場合、配偶者の相続分は4分の3であり、残りを兄弟姉妹で分けることになります。

【具体例】
実例を見て、具体的な相続分を考えてみましょう。

質問:私の父が1000万円の預金を残して亡くなりました。残った家族は、母と私と兄です。遺言書がないとすると、私はいくら相続できますか。

回答:この場合、お母さん【配偶者】と私と兄【子】はともに第1順位の相続人です。同列の順位の相続人が複数いる場合、同列の相続人同士で相続財産を分け合います。
既に述べたように【配偶者】と【子】がいる場合、配偶者は遺産の2分の1を取得し、残りを子供で分けます。

したがって、質問の場合、【配偶者】であるお母さんが1/2の500万円、私と兄【子供ら】が合わせて1/2の500万円を相続します。
具体的な相続割合と具体的な相続分は以下のようになります。

母:財産の1/2(500万円)
私:財産の1/4(250万円)
兄:財産の1/4(250万円)
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16:57 法定相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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