相続放棄 : 記事一覧
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限定承認と保証債務【Q&A №575】

2017/08/03


【質問の要旨】

夫に借金や連帯保証があるかもしれない場合、どうすればいいか

記載内容  借金 連帯保証 限定承認

【ご質問内容】

 夫が亡くなりました
 お人好しの人でしたので連帯保証人とかになっていないか心配です。
 数年後とかに連帯保証人になっていた借り主が返済できなくなった場合、限定承認をしておくと相続人には夫の連帯保証人の支払いはしなくて良いのでしょうか?

(りんご)





【借金や保証の調査方法】

相続の前には、借金や保証などの調査をする必要があります。
財産より債務があることが判明した場合には相続放棄などの対策を考える必要があります。
(詳しくは本ブログ【コラム】相続放棄・・借金(負債)の方が多い場合にとるべき手段もご参照下さい)。
借金の調査方法としては、自宅に残された借用書などの資料を参考に取引のあった金融機関等に照会を出し、又、日本銀行協会、JICC・CICなどの信用情報機関で調査する必要があります。
ただ、注意すべき点は、前記調査機関で調べることができるのは、主債務者(借金をした人)が、連帯保証が銀行や貸金業登録をしている貸金業者から借り入れしたものだけで、個人的な借り入れは登録されていません。
そのため、友人などからの個人的な借り入れを窺わせるような資料があれば、その友人に確認する必要があるでしょう。
保証についても上記調査機関で調査できる場合がありますが、主債務ほどきっちりとは調査機関に登録されておらず、十分な調査ができないことが多いので注意が必要です。
又、借金もそうですが、他の個人の主債務に保証した場合には、調査機関では判明しませんので、その点の注意も必要です。


【限定承認はあまり利用されていないのが実情】

前項に記載したように調査をしても保証が確実にわかるわけではありません。
結局、債務や保証の存在がある可能性のある場合には、財産の多さと負債の存在する可能性を比較して、単純相続か相続放棄かのどちらかを選択することになり、リスクを考慮しての決断ということになります。
ところで、質問にあるような限定承認という制度があります。
財産から負債は支払った上で、財産が余れば、それを遺産分割するという制度であり、極めて合理的な制度のように見えます。
しかし、この手続は、(放棄した人以外の)相続人全員の同意が必要であること、手続にかなりの手間や時間がかかること、又、不動産を相続する場合には不動産譲渡税が課税されて高額の税金がかかる等のデメリットがあり(詳細は本ブログQ&A №286【コラム】限定承認の手続きについて)、そのため、この制度はほとんど利用されていないのが実情です。
結論から言えば、借金と資産を可能な限りで調査し、ある程度のところで見切りを付けて相続放棄をするか、リスクがあってもそのまま相続するか、決断をするしかないでしょう。
なお、限定承認をされるのであれば、その前に相続に詳しい弁護士に法律相談され、アドバイスを受けられると、後の手続きの理解ができていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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相続放棄する場合のお墓の延滞管理料【Q&A №572】

2017/07/26


【質問の要旨】

墓の延滞管理料を払うと相続放棄できないか?

記載内容  相続放棄 お墓 延滞管理料  相続債務


【ご質問内容】

 義父に多額の借金があり相続放棄の申請を裁判所に提出中です。
 義父名義のお墓があり継承することになりました。
 お墓の管理料が1年分支払われておらず、継承者が払うようなのですが、延滞管理料を支払うと債務を支払ったことになり相続放棄ができなくなることはありませんか?
 どうしたらよいでしょうか?

(ネコにゃん)





【お墓と相続財産は別です】

 相続人は、原則として、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
 しかし、祭祀に関する財産―例えば、系譜(家系図など)、祭具(位牌、仏壇など)、墳墓(墓石、墓碑など)―は、例外になり、祖先の祭祀を主宰する者が承継することになっています(民法897条)。


【相続放棄との関係】

 そのため、あなたが相続を放棄した場合、遺産に属する権利義務は引き継ぎませんが、例外としてお墓のような祭祀に関する財産は祭祀を主宰する者が引き継ぐことになります。
 本件では、あなたがお墓を承継することになったということですので、あなたが相続放棄をしたとしても、お墓等の祭祀財産については、あなたが承継することになります。

【祭祀財産に関係する債務の支払と相続放棄の関係】

 遺産に属する財産、例えば不動産を売却したり、預貯金を引き出して使ったような場合、相続放棄の手続きをしても、その効果はなくなり、普通の相続をしたと同様に扱われます。
 問題は、被相続人の債務を支払った場合ですが、遺産の預貯金から引き出して債務を支払ったような場合には相続放棄は認められません。
 しかし、相続人自身の財産から債務を支払ったというのであれば、相続放棄は効力を認められます。
 又、祭祀の承継に関する財産は通常の遺産とは別扱いですので、それに関する債務―今回のような滞納している管理料―の支払いをしても、それは祭祀に関する財産の範囲内のこととして、相続放棄の効力に影響しないということになります。
 結局、お墓の管理料をあなたが自分の財産から払うということであれば、相続放棄の効果は認められ、あなたが被相続人の債務を支払う必要はないことになります。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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11:12 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続伸長家庭裁判所が認知している間は競売は始まらないですか。【Q&A №570】

2017/06/29


【質問の要旨】

相続の承認・放棄の熟慮期間中は競売は始まらないのか?

記載内容  競売 伸長 相続放棄

【ご質問内容】

 今回当方は、2回目の相続伸長を家庭裁判所が9月14日まで認知して頂きました。

 当初の予定では、7~8月から開設して、競売が履行される予定でしたが、被相続人が死亡した為に相続者5人の内、今回競売の原因を作りました、被相続人の長男(当方の異母兄)が18年前に突然多額の借金を作り、被相続人と当方に連帯保証人として債務を背負わし、本人は、現在行方不明で、あらゆる方法を駆使して、探しましたが今日現在消息不明です。

 被相続人が死亡して当方と被相続人が共有の土地(約150坪)家屋3棟あり、他の相続者3人は相続放棄しており、問題はこの被相続人の長男がみつからない為任意売買もできず、現在2回目の相続伸長を致し家庭裁判所が9月14日まで了解してくれました。
 
 先日債権者側(保証協会)との担当者と話し会いのなかで、この担当者が申すには、続相続伸長を家庭裁判所が認知している間は競売は始まらないですとことでしたが、本当でしょうか。

(ヨタロウ)





※以下、今回のご質問内容を、
①長男の負った債務について、
②被相続人と質問者が自分たちの共有する不動産を担保にしていたところ、
③債務の不払いがあり、そのため、不動産について競売がなされようとしている

事例であると理解したうえで、回答します。

【裁判所は所有者に競売開始の通知を送る必要がある】

競売は債務に基づき不動産の財産を売却する手続ですので、裁判所は債務者(長男)・所有者(被相続人と質問者)に競売開始されることを通知します。
これは競売開始に不服がある場合に、債務者らに不服申し立ての機会を与えるためです。

今回のように、不動産の所有者の一人が死亡している場合には、相続により所有権を取得した者に競売開始の通知を送りますので、競売を申し立てる債権者としては、申立書に債務者と所有者(相続人)を記載する必要があります。

【相続の承認又は放棄の期間を伸長していると、競売手続は進められない】

相続が発生した場合、死亡された方の所有権は法定相続人に移転されますが、相続放棄の期間伸長が出されているような場合には、まだ、所有者がだれかが確定していません

この期間中に手続きを進めてしまうと、後に相続人の一人が相続放棄をし、所有者ではないということになった場合に、すべて手続きがやり直しということになります。

そのため、期間が満了して、相続人が確定するまでは、裁判所は競売の手続はストップします
(なお、競売開始通知を送った後に、所有者が死亡したという場合には、すでに競売手続は開始されていますので、手続はストップせず、そのまま進みます)

ご質問にあるような、相続放棄の期間を伸長している段階では、所有者が確定しませんので、債権者は競売の申立をしても通知ができないため、手続きは進みません。

又、仮に債権者が所有者の死亡を知らずに申立をした場合でも、裁判所からの競売開始通知が届く前に所有者が死亡していた事実が判明すれば、その段階で、競売手続きは停止します。

【行方不明の長男がいる場合の任意売却の可能性】

ご質問では、相続人5人のうち、あなたと行方不明の長男以外の3人は、すでに相続放棄をしているとのことです。

ただ、長男が行方不明のままである場合、裁判所に不在者財産管理人(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者の財産を管理するため、裁判所に選任された人のこと)を選任してもらって、任意売却ができる場合もあります。

任意売却で買受人が見つかれば、売却価格も上がりますので、どうしても長男が見つからないが、任意売却をしたいというのであれば、検討すると良いかもしれません。

又、行方不明が長年になる場合には、死亡したと裁判所に認定してもらう失踪宣告(生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度のこと。その生死が7年間明らかでないとき等に認められる)という制度もあります。
この場合は、あなたが単独相続することになり、物件を売却することも可能です。

ただ、これらの手続きは、費用がかかりますし、むずかしい手続きですので、弁護士と相談され、どの程度の手間や費用がかかるかをお聞きになるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
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亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №553】

2017/01/17


【質問の要旨】

相続放棄したら仕送りしていた金銭はどうなるのか

記載内容 預金 引き出し 承認

【ご質問内容】

父の死亡後、多額の負債の連帯保証人をしていたことがわかり、子である私たちきょうだい三人全員が相続放棄をすることになりました。

遺産は預貯金40万円ほどと軽自動車1台。ほかにはありません。

父は年金と私たちきょうだいからの仕送りで生活していました。

相続を放棄してしまうと預貯金から仕送り分を返してもらうことはできない、という解釈であっていますか

(おがわ)






【仕送りは貸金ではない】

親子間では困っていたら助け合う義務(扶養義務といいます)があると定められています(民法第877条第1項。末記条文を参照ください)。

子が親に仕送りするような場合にはこの扶養義務の履行に該当すると考えられます。

そのため、子から親に対する仕送りは貸金ではなく、返還を要しない贈与となり、親は返還義務を負いません

そのため、お父さんの遺産から返還を受けることができないという結論になります。


【参考説明:子の親に対する貸金と子の相続放棄との関係】

前項で述べたように、親に対する仕送りは貸金ではないと考えられます。

ただ、本件の質問を離れて、仮に子が親に貸金があった場合、相続放棄との関係がどうなるかも説明しておきます。

相続放棄とは遺産の相続をしないということです。

子であるあなた方が相続放棄をした場合、お父さんの遺産である車や預貯金40万円を相続することはできません。

しかし、子が親に対して貸金のような債権を持っていた場合、子が相続放棄しても、その貸金債権はなくなりません。

相続放棄は親からの遺産をもらわないということであって、あなた方が従来から持っている親に対する貸金債権までなくなることはなく、あなた方は親の遺産に対して貸金の請求ができます


【参考説明:相続財産管理人の選任が必要】

問題は、この請求をした場合に、誰が支払いをしてくれるかです。

相続放棄をしない場合、法定相続人が遺産の権利者になりますので、その権利者の権限として遺産を自由に処分でき、債務の支払いもできます。

これに対して、相続放棄をした場合、その放棄した相続人は遺産を自由に処分する権限はなく、債務の支払いをすることができません

相続放棄をしない法定相続人がいれば、その人が遺産と債務を承継しますので、その人に支払い請求をすることになります。

もし、すべての相続人が放棄をした場合で、貸金を有している債権者が債権の支払いを求めたいのなら、その債権者が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をする必要があります。

選任された相続財産管理人が遺産を管理・調査し、債権者に支払いをしてくれます。

ただ、財産管理人選任の申立をする場合、原則として、予納金として裁判所に90万円から100万円を納付する必要があります。
今回の質問の場合、遺産が少ないのでそのような手続きはするメリットはないでしょう。

なお、財産管理人が選ばれた場合、この申立をした債権者の債権の弁済が優先されるわけではなく、債権額に応じた平等弁済になることも理解しておかれるといいでしょう。


【勝手に遺産から弁済をうけた場合の扱い】

相続放棄したにもかかわらず、その放棄した方が遺産から勝手に貸金の返済を受けた場合、その相続人は遺産を取り込んだとして、相続放棄の効力がなくなることがあります

相続放棄が無効になった場合、その相続人は、お父さんの債権者から請求があれば債務の支払いをしなければならないこともありうることにご注意ください。

民法 第877条
(扶養義務者)
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
(以下略)


(弁護士 大澤龍司)

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兄の葬儀代【Q&A №542】

2016/11/21



【質問の要旨】

兄の葬儀費用を払ったが、相続放棄をする前に費用を回収したい

記載内容 相続放棄 葬儀代 返してもらう

【ご質問内容】

親、妻子のいない独身の兄が先月亡くなりました

亡くなるまで体調が悪く、自宅でヘルパーさんに毎日来てもらい、財産管理は後継人の弁護士さんにお願いしていました

葬儀はやらず火葬だけで30万円程かかったので、葬儀屋さんから後継人の弁護士さんに電話で費用について話しをしてもらいました。

私が支払うとの事を言われたので支払いました

(亡くなった時点で後継人は解除され弁護士さんも通帳からお金を出せなくなったのでしょうか?)

私は相続放棄するのですが、国の物になってしまう前に葬儀代だけ返して貰う方法は何かないのでしょうか?

他に独身の兄がいるのですが、施設に入って財産は後継人の他の弁護士さんにお願いしています。

その兄が亡くなった時にも同じように葬儀代を払わなくてはいけないのでしょうか?

その兄がも今回相続放棄します。

跡継ぎもいないので先祖代々のお墓も閉めて永代供養にしたいので、他にもお金のいることが多いです。

子供に迷惑をかけないように私が生きているうちに何とかしておきたいです。

私も高齢なのでお金に余裕はありません。宜しくお願いします。

(セレナ)







【火葬費用は相続債務ではないが・・】

火葬費用は、被相続人の死亡後に発生するものであるため、厳密に言えば相続債務や費用にはならず、遺産から当然には支払われるものではありません。

火葬費用は葬儀費用として、被相続人の喪主を務める人が負担するべきものです。

しかし、人の死亡した後、必然的に火葬を伴いますので、遺産分割調停などでは、相続債務に準じるものとして扱う場合が多いです。


【後見人は火葬に関する契約をする権限がある】

成年後見人(以下、後見人と略します)は、裁判所の許可を得てですが、死亡した被相続人の死体を火葬するに必要な行為をすることができます(この点は今年(平成28年)の民法改正で第873条の2第3号として明記されました)。

そのため、後見人としては財産があれば、裁判所の許可を得て、火葬についての契約を結ぶことができるようになりましたが、遺産から火葬費用を支払うことができるかどうかは条文では明確にはされていません。

しかし、契約は締結できるが、火葬費用は支払いできないということもおかしい話なので、後見人としては火葬費用を支払うことができると考えていいでしょう。

今回の質問では、あなたが火葬費を支払ったようですが、もし《遺産があれば》後見人が遺産の中から支出することも可能だったケースです。


【相続放棄しても立替請求は可能である】

あなたはお兄さんの相続放棄をした場合、お兄さんの財産はもらえず、債務も引継ぎしません。

しかし、あなた自身がお兄さんに対して持っている債権は、あなた独自の財産ですので、相続放棄後も存続しています。


【後見人に立替火葬費用の返済を求める】

あなたが立て替えた火葬費用については、後見人が契約をしてあなたがその費用を立替えて支払ったというのであれば、後見人に支払いを求められるといいでしょう

又、仮にあなたが火葬の契約をし、かつ費用も出したということであれば、喪主たるべき人に対して請求するということになります。

もしもこの件に関して、喪主たるべき人があなただということであれば、火葬費用を請求することはできないということになります。

なお、喪主たるべき人が相続放棄をしていても、前記のとおり、相続放棄はお兄さんの財産や債務を引き継がないということであり、喪主の地位が亡くなるわけではありません。

喪主としては相続放棄をしたか否かにかかわらず火葬や葬儀を行い、又、その費用を負担するべき立場になるということになります。

また、もう一人のお兄さんが亡くなられたときにも、今回と同様に、お兄さんの喪主になられた方がその費用を負担することになります。

(弁護士 大澤龍司)

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限定承認と相続放棄【Q&A №488】

2016/01/25

【質問の要旨】

相続放棄の注意点等

記載内容

返済 承認 遺品整理

【ご質問内容】

独居の叔父がなくなり甥である自分が相続人となりました。

若干の現金と一戸建ての遺産がありますが、人の良い叔父が連帯保証人になっていないか心配しております。

遠方に住んでおり、叔父の交友関係など全くわからないので、限定承認か相続放棄を考えております。

この場合注意することはありますか?

また、相続放棄をする場合、独り暮らしの叔父の遺品整理をしてしまうと単純相続したことになってしまいますか

相続放棄をした場合、家の後始末も全くしなくてよいと言うことでしょうか?

既に、叔父の自動車税や固定資産税、電気、水道、ガス、電話などの支払いをするように手配しています。

アドバイスのほどよろしくお願いいたします。

(ちょろ)





【遺産の整理と保証債務】

相続放棄は法定相続人が被相続人の相続をしないと家庭裁判所に申し立てることです。

相続放棄をすると遺産の中の預貯金や不動産、株式等、一切の財産を相続でもらうことはできなくなります。

反面、被相続人の債務(借金等)も相続されず、支払う必要はなくなります。

ただ、預貯金を払い戻す等、遺産を使うような行為があった場合には、相続放棄は認められません。

今回の場合は、遺産の整理ということですが、厳格にいうと遺品(例えば鍋・釜・布団等)の整理も遺産の処分に該当するので、放棄できないということになりそうです。

しかし、私としては、例示したような鍋等の価値のないものを処分する程度であれば単純承認とされることはなく、放棄が可能だと思います。

但し、価値ある物品(例えば絵画や彫刻等)を売却するような場合には、遺産の処分に該当し、法的には放棄ができない(正確にいうと、放棄してもその効果を被相続人の債権者に主張できない)ということになります。


【限定承認はほとんど使われていない】

民法の条文を見ていると限定承認は財産と借財を確認したうえで、相続をするという制度であり、合理的な制度のように見えます。

しかし、不動産の相続などで、税務上は相続とはみなされず多額の税金が課される等の使い勝手の悪い面があるため、私自身は今まで1回も扱ったことがなく、他の弁護士がこの手続きをしているのを見たこともありません。


【保証債務の有無の確認はむずかしい】

被相続人が保証債務を負っているのに、相続放棄をしなかった場合、この保証人の地位も相続人に承継される可能性があり、その場合には相続人が保証債務の支払いをする必要があります。

問題は、ほとんどの場合、保証人となっているかどうかが判明しないということです。

私の経験では、被相続人である母親が死亡した後、約10年経過してから、父親のしていた会社が破産し、会社の債務の連帯保証をしていた母親の保証債務が現実化したというケースがありました。

この場合には、被相続人からの何も財産などはもらっていなかったことから、相続放棄の手続きをし、結局、放棄が認められたことがあります。

叔父さんがどのような社会的な地位にいたのかを調べる必要があるでしょう。

もし、叔父さんが会社の社長や役員をしていたのであれば、会社の借財に連帯保証をしている可能性も考えられ、慎重に遺産調査をする必要があります。

相続放棄は相続開始を知ってから3ケ月以内に申立する必要がありますが、もし、調査に時間がかかるのであれば、放棄期間伸長願いを裁判所に提出するといいでしょう(ブログ【コラム】相続放棄期間の伸長参照)。


【遺産の整理はしなくてもいいのか・・】

法律的には、相続放棄をするのであれば、遺産に手をつけない方がいいでしょう。

しかし、遺族としての立場から言えば最低限の遺産整理もしないと社会的な非難を受けかねません。

そのため、価値あるものは何らかの形で保管しておき、価値のないものは廃棄するということで折り合いをつけるのがいいでしょう


【自動車税や固定資産税、電気等の支払いについて】

叔父の自動車税や固定資産税、電気、水道、ガス、電話などの支払いをするように手配していることようですが、あなたが相続人としてその行為をしているのであれば、単純承認とみなされる可能性が高いです。

もし、そのような支払いの手配を停止できるのであれば、停止されるのが望ましいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
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相続放棄と連帯保証人への請求【Q&A No.473】

2015/10/08



兄が亡くなりました。

私は相続人です。

兄の生前、兄に対する債権があり、連帯保証人も付いています。

私は、相続放棄をしましたが、債権も放棄したことになりますか?



記載内容

  連帯保証 相続放棄と債権 遺産分割協議と代償金請求権


【ご質問内容の詳細】

 9年前に父が亡くなり長男、次男、長女にて遺産分割協議書を作成し合意しました。

 長男次男はそれぞれ不動産の遺産を相続し、長女は兄弟二人よりそれぞれ1000万円で合計2000万円を月割りで貰うこととなりましたが、長男が今年亡くなり長男支払い分1000万円の連帯保証になっている次男が払う事となりました。

 しかし長男が亡くなったときに負債が多かったので次男長女とも相続放棄をする事としました。

 遺産分割協議書の内容は同様に放棄する事になるのでしょうか?

 長女は長男より貰うべき1000万円の残分832万円も放棄ということとなるのでしょうか?

(ミヤコ)






【権利関係の整理】

 お父さんの遺産分割で長男さんと次男さんが不動産を取得した。

 あなたは代償金として長男さんから1000万円の、また、次男さんも同様に代償金1000万円をあなたに支払うという協議が成立した。

 その長男さんの債務(1000万円の支払い)については次男が連帯保証しているというのが質問の前提になります。

 さて、あなたとしては長男さんの債務について次のとおりの権利を持つことになります。

①長男さんに対する代償金請求権(主債務)

②上記①の主債務について次男さんに請求する連帯保証債権(連帯保証債務)




【相続放棄と連帯保証債務との関係】

 長男が死亡し、相続人のすべてが相続放棄をしたのなら、長男さんの上記①の債務については支払うべき人(=債務の承継者)はいないことになり、上記①の債権は請求ができなくなります。

 しかし、主債務者に請求できない場合でも連帯保証債務(上記②の債務)の請求は可能です。

 そのため、あなたとしては、長男が未払いだった残債務の支払いを次男さんに、《連帯保証したのだから支払いをして欲しい》と言って、請求するといいでしょう。 

 なお、次男さんが支払いを拒むのであれば、弁護士に依頼してしかるべき法的手続きを取るしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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第三者が支払った保険金掛金と相続放棄【Q&A No.469】

2015/09/29



 Bが死亡して、Bの相続人Cが相続を放棄しました。

 Cは、Bの生命保険金500万円を受け取りました。

 その保険金の掛金約200万円は、BやCではなく、Aが支払いました。

 Aは、Cから200万円を請求することはできないでしょうか。



関連記事

  相続放棄 生命保険


【ご質問詳細】

 債権者Aは、債務者Bの契約した生命保険について特約を結び、当初より死亡時まで保険料約200万円を支払った。

 受取人Cは相続放棄後、保険金500万円を死亡日に請求、14日後に受け取った。

 Aは保険証券を占有し質権も設定したが、保険会社には通知しなかった。

 保険会社には請求できなくとも、受取人から払い込んだ保険料200万円相当額は請求できないか。ご教示ください。

(asakatsato2)







【相続放棄と生命保険金の受け取り】

 Aは、本来の契約者であるBが支払うべき生命保険契約の掛け金を立替払いしているのですから、AはBに立替えて支払った分の金銭の返還請求ができるはずです。

 ところで、Bが死亡すると、Bの法定相続人はBの債務を引き継ぎます。

 しかし、相続放棄されると、債務を引き継ぐ人が不在になり、債権者Aはその債務の支払いを求めることができなくなります。



【相続放棄しても生命保険の請求はできる】

 生命保険金は遺産ではないというのが裁判所の考え方です。

 保険金は、相続とは関係なく、生命保険契約に基づいてCが独自に取得するものですので、受取人Cとしては相続放棄をしても、保険金を受け取ることができます(Cとしては生命保険金を受け取ることはできるが、債務を負わないということになります)。

 不当利得ではないかと思われる方もおられるかもしれません。

 しかし、Cとしては保険契約に基づき、保険金の受領をする権利を有しており、不当利得にはなりませんので、債権者AにはCに対する返還請求権はありません。



【質権設定の通知等がない場合は打つ手がない】

 質権を設定した今回のケースであっても、保険会社に質権設定の通知をしてなかったため、今回はすでに生命保険金が支払われてしまっています。

 これによって、質権の目的物(目的債権)であった死亡保険金債権は消滅しています。

 したがって、現段階で、質権を受取人に対して主張することはできないという結論になります。

(弁護士 大澤龍司)
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相続放棄はいつから数えて3か月【Q&A №455】

2015/07/15



【質問のまとめ】

「相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」の「知った時」とは、いつですか?

戸籍謄本類は、それぞれの相続人が各自揃えて提出すべきですか?



記載内容

  借金 起算日 3ヶ月


【ご質問内容】

 「相続の開始を知ったとき(日)」がいつに当たるのかがわかりません。

 最初に銀行からの手紙が来ました。

 亡くなった叔父の件で重要な案内があると、書かれていました。

 詐欺かなにかと思い、銀行へは電話せず、叔父の家族へ問い合わせました。

 それはもう済んだことだから放っておいていいと言われました。

 しかし、翌日になって直ぐに相続放棄の手続きをしてくれと言われました。

 このときに、初めて叔父に借金があり、叔父の家族は全員相続放棄をしていたことを知りました。

 1週間後に銀行へ電話をして、叔父の借金の額と、相続人である私に返済して欲しいと言われました。

 この場合、叔父の家族が相続放棄をしたと知った日なのか、それとも銀行の手紙が届いた日なのか、どちらになるのでしょうか?

 また、戸籍謄本類のことなのですが、同順位の相続人が先に提出していた場合でも、各自が揃えて提出した方がいいのですか?


(はちわれ)







【相続の開始を知ったときとは】


 相続放棄については相続開始を知って3ケ月以内家庭裁判所に放棄の申し出をする必要があります。

 第一順位の法定相続人の場合には、被相続人が死亡した日(正確に言えば、被相続人の死亡を知った日)が起算日になります(なお、初日を算入しないことになっていますので、例えば1月1日に相続の開始を知った場合には、4月1日が期限になります)。

 次に先順位の相続人が相続放棄をした場合には、その相続放棄があったために、あなたが相続人となったことを知ったときが起算日になります。

 銀行から手紙が来たとしても、その内容が「叔父の件で重要な案内がある」というだけでは、あなたが相続人になっていることは読み取れませんので、その手紙が来た日は起算日になりません。

 あなたが叔父の家族の全員が相続放棄をしたことを知ったという時点までいくと、あなたが相続人になったことが判明しますのでこの日が起算日になります。



【提出通数について】

 家裁に相続放棄の申立をする場合には、あなたと死亡された被相続人との間に相続関係があることを証明する書類(戸籍謄本や除籍謄本)の提出が必要です。

 提出通数ですが、違う時期に放棄をする場合にはその都度、戸籍等の謄本の提出が必要になります

 同時に一緒に申し立てをするのであれば一通で足りますが、同順位の相続人であっても、別々に申し立てるのであれば、通常は、それぞれの方が戸籍謄本類を提出する必要があります。

(弁護士 大澤龍司)
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13:36 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★相続放棄と遺留分【Q&A №447】

2015/05/27
 


生前贈与を受けた人が相続放棄をした場合,特別受益はどうなりますか?

また,生前贈与を受けた人が相続放棄して,遺留分減殺請求をされた場合はどうですか?



記載内容

  生前贈与 遺留分 相続放棄 


【質問詳細】

被相続人(父)、相続人A(長女)B(次女)C(長男・末)がいます。

Aは生前に1,000万、B・Cは500万ずつ贈与を受けています。

父の遺産は現金500万、不動産1000万です。

Aは上記1,000万円の他に、父が生前の2年前にAの子二人(孫にあたる、共に成人)

に100万円ずつ生活支援のお礼としてお金を渡したこと、それ以前に色々な事象にて

お金(総額で2~300万円か)を貰っていたことを考慮し、遺産を放棄することにしました。

相続人BとCは父生前のA及び子に対する過大な贈与を受けたことが不満で、遺産1,500万円に各々の生前贈与(特別受益)を加算し、分配すべきと主張しています。

Aとして相続を放棄するのに、差額をB・Cに払う義務あるのですか?

併せてB・Cの遺留分について減殺請求権があった場合どうなりますか?



(goo)





【相続放棄すると特別受益の問題は発生しない

 Aさんが、お父さんの遺産について相続放棄をする前提で回答していきます。

 相続放棄をすると、Aさんは法定相続人ではなくなり、遺産分割の問題は発生しません。

 遺産分割はBさんとCさんとの間でするだけになります。

 特別受益は、遺産分割の際、法定相続人に生前贈与分などがある場合にその贈与分を遺産に持ち戻すという制度です。

 しかし、その生前贈与を受けた人が法定相続人でなくなれば、特別受益の問題は発生しません




【相続放棄しても遺留分の問題は発生する

 相続放棄をした場合でも、その人が多額の生前贈与を受けていたのであれば、他の法定相続人(正確に言えば遺留分権利者)から遺留分減殺請求を受ける場合もありえます


 例えば、生前に1億円の贈与を受けた人がいたため、遺産が0円であったような場合で、その贈与を受けた人が相続放棄をするケースを考えてみましょう。

 贈与を受けた人は相続放棄をしているのですから、特別受益の問題は発生しません。

 しかし、遺留分は法定相続人にある程度の遺産(法定相続分の半分程度)だけは渡るようにしようという制度ですので、生前贈与を受けた人は請求に応じて、遺留分に該当する遺産を渡さなければならないということになります。




本件のケースでは遺留分減殺請求はできない

 遺産は法定相続人AさんとBさん、Cさんに生前贈与計2000万円遺産が計1500万円その他に200万円と2~300万円の生前贈与分があるとの前提ですので、遺留分計算の基礎となる遺産額は4000万円になります。

 Bさんとしては生前贈与分500万円と今回の遺産分の半額である750万円の1250万円がお父さんの遺産から入ることになります。

 Aさんの相続放棄によって、Bさん及びCさんの遺留分は本来の法定相続分2分の1の半分(4分の1)になっています。そうするとBさんCさんのそれぞれの遺留分は1000万円となります。


 (Bさんの)得た額    (Bさんの)遺留分 


 遺留分が侵害されていませんので、Aさんが遺留分減殺請求をされることは法的にはないケースでしょう。
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14:53 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★相続放棄と葬儀費用【Q&A №440】

2015/04/01



 母方の叔父が独身で、甥、姪に当たる人物が私だけです。

 母も叔父もまだ元気ですが、今のうちに知っておきたいので質問させていただきます。

 叔父の遺産は放棄するつもりです。

 母が亡くなり、その後叔父が亡くなったら葬儀代の負担はどのようになりますか?

 相続人が私しかいない場合、葬儀代は立て替えておけば、遺産を放棄しても葬儀代など請求できますか?

 その場合どんな手続きをしておいたらいいですか?

 領収書をもっておけばいいのでしょうか?


記載内容

  葬儀費用 立替 相続放棄 相続財産管理人 代襲相続  
(はるか)





【葬儀費用は相続債務ので、遺産に立替分の返還請求をできない】

 叔父さんが死亡したとき、資産や債務は法定相続人に引き継がれます。

 この相続人に引き継がれる債務とは、叔父さんが生前に負っていた債務です。

 質問の葬儀費用ですが、これは叔父さんが死亡した後に発生する債務ですので、相続債務にはなりません。

 なお、相続税の申告では、葬儀費用は必要経費として遺産から控除されます。

 しかし、それは税務上の扱いにすぎず、法律では相続債務としては扱われません。

 そのため、葬儀費用を立替えたからといって、その立替分を遺産から支払ってもらえることはないというのが法律的な回答になります。

 なお葬儀費用の扱いについては相続Q&A №140Q&A №424を参照ください。




【相続放棄の後の請求には手続的に費用もかかる】

 お母さんが先に亡くなり、その後に母方の叔父さんがなくなった場合には、あなたはお母さんの代襲相続人として叔父さんの遺産の法定相続人になります。

 あなたが相続放棄をした場合、他に相続人がおらなければ、叔父さんの遺産を管理する人はいなくなり、相続財産は宙に浮くことになります。

 もし、あなたが叔父さんの葬儀費用を立替えたということで請求がしたいのであれば、あなたが家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をし、これを受けて裁判所が弁護士を相続財産管理人として選任します。

 但し、この選任をしてもらうためには約100万円の予納金を裁判所に納める必要があります(この予納金は相続財産管理人の報酬等に充てられます)。

 このように手続き的にもややこしく費用もかかります。

 しかも、相続財産管理人としては、あなたから葬儀費用立替分の返還請求があったとしても、前項で記載した理由により、支払いを拒否する可能性が極めて高いことを理解しておく必要があるでしょう。





【葬儀をしなければならないなら、生前にその分をもらっておく】

 以上のとおりであり、相続放棄をした場合、立替えた葬儀費用は返還される可能性は極めて少ないと覚悟しておくべきでしょう。

 解決策としては、現在、叔父さんが生きておられるようですので、将来の葬儀費用を予めもらっておくことを考えられるといいでしょう。

 葬儀費用に使用するとの前提で叔父さんからお金を預かり、それを保管しておいて、叔父さんが死亡されたときにそのお金と使って葬儀をされるといいでしょう。
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10:28 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №431】

2015/02/24



 音信不通だった父が亡くなり、預金をおろしにいくつもりです。

 古く状態は良くないものの、父名義のマンションに住んでいたため、家賃こそありませんが、荒んだ暮らしだったようで、管理費や、公共料金の滞納があります。

 相続人として預金をおろした場合、それらの支払い義務、またサラ金に借金があった場合の返済義務は生じますか?

 マンションの資産価値は現金に換算して、相続税がかかるのでしょうか?


記載内容

  借金 滞納 預貯金の引き出し 相続期間の延長 遺産調査事項

(桜餅)





【預金を下ろすと相続の承認となるか?】

 お父さん名義の預金は遺産です。

 そのため、お父さんの預金を引き出すと相続の承認をしたとされ(末記条文参照)、相続放棄ができなくなるというのが原則です。

 相続放棄ができないと、お父さんの借金等の債務は、法定相続人であるあなたに引き継がれ、あなたが債務の支払い義務を負います。

 ただ、過去の裁判例を見ると、遺産を墓代や葬式代に使用したり、死亡した人の荷物の引き取りのために使用したような場合には単純承認にはならず、相続分の放棄が可能(平成14年7月3日の大阪高等裁判所決定等)というものもあります。

 私的利用ではなく、被相続人の死亡に伴う支出で、社会的に非難されないようなものに出費した分は処分にあたらず、相続放棄を認めようというのが裁判所の考え方といっていいでしょう。

 なお、一旦は預金を引き出したものの、それを使用しておらず、その後に預金に戻した場合や手元に持っていただけの場合にも、相続財産を処分したとはみなされず、相続放棄が可能と考えていいでしょう。



【まず、遺産調査を確認しましょう】

 預貯金を引き出す前に、まず遺産調査をし、相続放棄をするべきかどうかを決断する必要があります。

 お父さんの遺産(財産)と債務の調査し、遺産の方が多い場合には相続放棄をせず、相続を承認するという決断をしてから後に、預貯金を引き出すという手順になります。



【遺産調査で確認すべき事項は次のとおりです】

1.遺産関係

① 預貯金額の確認・・金融機関で確認しますが、その際、預貯金とは別に借金等の債務がないか、又、保証人になっていないかどうかも確認するといいでしょう。

② 不動産の確認・・不動産があるのかどうか、あればどの程度の価額かを確認する必要があります。

 これらの点は市町村に確認するといいでしょう。

 もし、不動産があるのであれば、ついでに固定資産税の未納付がないかどうかも確認しましょう。

③ 株式等の確認・・預金通帳で配当などがある場合には、証券会社に株式の有無を確認する必要があります。


2.債務関係

① マンションの管理費や公共料金
 催告書の有無の確認やマンション管理組合への問い合わせをして滞納があるかどうか、滞納がある場合にはその金額を確認しましょう。

② 固定資産税の滞納

 この確認も必要不可欠ですので、市町村の固定資産税係に確認する必要があります。

③ 金融機関やサラ金などからの借り入れ

 お父さんのご自宅に届いている借入金や返済状況のお知らせといった郵便物により把握できるものもありますが、サラ金などからの借り入れの可能性があれば、お近くの信用情報機関などに問い合わせれば概ね把握できるでしょう。



【調査のために時間がかかる場合には延長願いを出す】

 相続放棄は原則として、相続開始を知った時点から3ケ月以内という短期間に家庭裁判所申し出する必要があります。

 しかし、調査のために時間がかかる場合もあります。

 その場合には、予め、裁判所に相続放棄の期間延長願い(専門用語では「相続放棄の熟慮期間伸長願い」と言います)を出すといいでしょう(【コラム】相続放棄期間の伸長参照)。

 遺産調査が難航しており、時間がかかるということを記載するだけで裁判所は簡単に3ケ月間の延長を認めてくれます。



【相続税について】

 平成26年内に相続が開始した場合には、基礎控除5000万円+法定相続人1人当たり1000万円の基礎控除が認められていました。

 そのため、法定相続人があなただけであれば、6000万円の基礎控除がありました。

 遺産(財産)から負債を控除して、6000万円以内であれば、相続税の申告は不要です。

 平成27年1月1日以降に死亡された場合には、基礎控除3000万円+法定相続人600万円の基礎控除ということに制度が改められましたので、法定相続人があなた一人だけであれば、3600万円の基礎控除になります。

 遺産(財産)から負債を控除して、3600万円以内であれば、相続税の申告は不要です。

 ただ、差額が3600万円以上あった場合でも、相続税特有の不動産価額の計算方法もあり、相続税の申告が不要となる場合もあります。

 詳しくは税の専門家である税理士さんに相談されるといいでしょう。



《参照条文:民法第921条 法定単純承認》

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

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16:44 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

共有持分と相続放棄の関係【Q&A №402】

2014/10/09
 持分1/2の共有土地所有者がその土地を抵当に入れたまま死亡し、遺族が相続放棄しています。
 債権回収会社に私が代わりに支払い、抵当権抹消手続きをしたいのですが、可能でしょうか?
 抹消手続きに必要な書類一式はお金と引き換えにくれるとの事ですが、登記手続きの権利者は本人死亡なので、誰か代わりに手続きすることが可能でしょうか? 
 抵当が外れたら、相続財産管理人の選任を申し立てて、相続人不存在確定したら、共有者の自分に帰属するのを待つつもりです。
 他には債務も、遺産もないようです。よろしくお願いいたします。

記載内容

相続財産管理人 登記 共有 利害関係人 予納金
(みなみ500)


【共有持分と相続放棄】
 質問者の方は他の方(Aさんとしておきましょう)と土地を共有されていたが、そのAさんが死亡し、相続人が全部相続放棄したというケースです。
 このような場合、民法に《共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がいないときは、その持分は他の共有者に帰属する(255条)》という条文があります。
 質問の場合は相続放棄の結果、相続人がいなくなったケースですが、この場合にも同条文が適用されると考えていいでしょう。
 その結果、質問者の方はAさんの共有持分を取得し、単独所有権者になっています。

【登記は相続財産管理人に対して請求する】
 質問者の方はAさんの借金を債権回収会社に支払い、抵当権の抹消書類をもらうようです。
 ところが、この抹消書類で抵当権抹消登記を申請できるのは持分権者であるAさんです。
 しかし、Aさんには相続人がいないのだから、一体、誰に抵当権抹消登記を請求するのか(登記義務者は誰か)という問題が発生します。
 次に、Aさんの持分が無くなり、質問者の方が単独所有になったのですが、この登記(所有権移転)もAさんに協力してもらう必要があります。
 しかし、Aさんの相続人がいない場合には、Aさんの持分移転登記を誰に請求するのだろうか(この場合の登記義務者は誰か)という問題も発生します。
 結論をいえば、遺産の管理をしてもらう相続財産管理人を選任してもらうことを家庭裁判所に申立する必要があります。
選任された相続財産管理人がAさんの遺産の管理人として登記をすることになります。

【利害関係人なら相続財産管理人の選任申立を急ぐ】
 「利害関係人」であれば相続財産管理人の選任を申し立てることができる(民法952条)と記載されています。
 質問者の方はAさんの借金を支払ったのですから、借金支払分の返還請求権を有する債権者ですし、又、登記を請求できる立場にもありますので、利害関係人であることは間違いなく、あなた自身が申立することは可能です。
 Aさんの抵当権抹消も共有持ち分移転も財産管理人の関与が必要ですので、相続財産管理人の選任を急がれるといいでしょう。

【財産管理人制度についての補足】
 なお、相続財産管理人について簡単に説明しておきます。
 相続財産管理人の選任申立をするには裁判所にお金(予納金)を納付する必要があり、その金額は大阪家庭裁判所では約100万円で、かなりの多額です。
 次に質問者が財産管理人の選任の申立をした場合でも、財産管理人は相続人の関係の手続きのみをするのではなく、遺産の総整理をします。
 そのため、相続財産管理人の手続きが終了するまでにはかなりの期間がかかり、質問者の方の手続きだけが優先されるわけではないことも理解しておく必要があります。
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15:58 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

介護保険料・健康保険料の還付金と相続放棄【Q&A №390】

2014/06/19
 亡くなった主人の相続放棄をしました。

 市役所からの通知が届き、「死亡した方の年金から天引きされていた介護・国民保険料が、未支給年金を受給する資格のある遺族に還付される」とのことです。
 それで、「還付請求書」に振込口座などを書いて出してください、との通知でした。

 未支給年金は、妻が相続放棄をしても受け取れるとのことですが、主人が収めすぎた介護・国民保険料の還付も、受け取ってもよろしいのでしょうか?

 年金生活者だったので、死亡後にさまざまな還付金があるのですが、相続放棄すると、受取ってもよいものといけないものがあるようで判断に悩みます。

記載内容

還付金 未支給年金 保険料
(ぽんこ)


【相続放棄した場合、遺産なら還付を受けることができない】
 問題となっているのは
① 未支給年金
② 介護保険の還付金
③ 国民健康保険の還付金

といういずれも請求権です。
 これらの権利が遺産になる場合には、相続放棄をすれば請求できません。
 以下、個別に検討していきます。

【未支給年金は遺産ではない】
 未支給年金については、末尾に記載した法律により、相続の規定である民法とは異なる支給順序が定められています。
 そのため、裁判所の判決で遺産ではないという判断をされています。
 そのため、相続放棄をしていても未支給年金を受け取ることができます。

【介護保険及び健康保険還付金は遺産である】
 ところが、介護保険や国民健康保険の保険料の還付金はこのような特別の規定がないため、他の請求権と同じ扱いで、債権として民法の原則に従うことになり、遺産になります。
 そのため、相続放棄をすると請求することができません。

【もらってしまうと不利益がある可能性があります】
 もし、遺産である介護保険や健康保険還付金の還付を受けうると相続放棄ができなくなりますし、既に相続放棄をしていても相続放棄の効果を主張できなくなります。
 相続放棄をするということは通常は被相続人の方の債務が多額である場合が多いということになります。
 還付を受けたという事実を債権者が知ることはないとは思いますが、万一、債権者が及び健康保険還付金を受けたことを知った場合には、それらの債権者から被相続人の方の債務の請求を受けることになりかねませんので、ご注意ください。

《参照条文》
国民年金法第19条 (未支給年金)

1. 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
2. 前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であった者の子は、同項に規定する子とみなす。
3. 第1項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかったときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
4. 未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
5. 未支給の年金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
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13:07 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続放棄した場合の高額療養費【Q&A №380】

2014/06/03
 母のかかっていた訪問診療クリニック、訪問看護、訪問薬局は、まず医療機関と家族が契約したうえでサービスが提供されるシステムでした。それで、娘である私が契約書に記入し、医療費は一か月分まとめて、私の口座から、翌月に自動引き落としになっていました。

 私の場合、医療費は私の口座から払うという契約になっており私が支払ってきたことは通帳記録からも証明できるのですが、そのような場合でも払い戻し金は受け取れないのでしょうか。

 三ケ所それぞれに限度額認定証を提示していますが、それでも合わせると月に20万程度支払っています。合算された払戻金が受取れないのはキツイです。

記載内容

高額療養費 還付金 被保険者 世帯主 健康保険法
(ぽんた)


【還付金返還請求権は誰のものなのかが問題です】
 年金については、特別に法律で、死亡した時点までの未支給分については、順位は、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」というように、民法の法定相続人の規定とは別個のもらえる順序が定められています。
 高額療養費は、健康保険法に基づく高額療養費制度に基づくものですが、この請求については、死亡までの未還付分がどのようになるかを直接定めた規定はありません。
 ただ、健康保険法では、この高額療養費を請求できるのは《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》と記載されています。
 お母さんが世帯主か、組合員健康保険の被保険者である場合には、お母さんが請求権者であり、その権利はお母さんの遺産になります。
 このようにその療養費請求権がお母さんのものである場合には、高額療養費請求権はお母さんの遺産になり、《相続放棄をすれば高額療養費は受け取れない》という結論になります。

【あなたが世帯主または組合員かどうかを確かめる】
 あなたの場合、まず、あなたが世帯主か、健康保険の組合員かどうかを確認しましょう。
 もし、どちらかであれば、先ほどの健康保険法の規定上からみて《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》であるあなたの独自の権利として請求できると理解してもよいでしょう。
 この場合、役所に出向き、あなたが《世帯主又は組合員健康保険の被保険者》であったことを説明するとともに、現実にもあなたがお金を支払ってきたという証拠として通帳等を持参されるといいでしょう。

【最後は、ダメ元の精神で役所と協議する】
 なお、あなたが《世帯主》でもなく、又《組合員健康保険の被保険者》でもない場合でもない場合には、あなたには請求権がないように思われます。
 しかし、
① お母さんのかかっていた訪問診療クリニック等との契約はあなたがしていた。
② 医療費は、あなたの口座から自動引き落としになっていた。

という事実がありますので、あなたが返還してもらってもおかしくはないともいえます。
 役所と交渉して、支払ってもらったという話も聞いたことがありますので、あなたとしても、実質上の支払い者であるということを訴えて、療養費の振込み口座をあなたの口座にしてもらえるよう、努力されるといいでしょう。

参考条文:健康保険法第57条の2(高額療養費)
 保険者は、療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは特別療養費として支給される額若しくは第56条第2項の規定により支給される差額に相当する額を控除した額(次条第1項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、世帯主又は組合員に対し、高額療養費を支給する。ただし、当該療養について療養の給付、保険外併用療養費の支給、療養費の支給、訪問看護療養費の支給若しくは特別療養費の支給又は第56条第2項の規定による差額の支給を受けなかったときは、この限りでない。
2 高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。
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10:31 相続放棄 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

紛失した父の実印は有効か【Q&A №372】

2014/05/02
 父親が死亡後、あるべき場所から実印が紛失しています。
 数ヶ月後、遺産相続を確認した上で実印を押した偽造借用書などで債務を負わされるのではないかと心配です。
 トラブル回避の方法はないでしょうか。

記載内容

実印 印鑑証明 偽造 悪用 紛失
(わたなべ)


【死ねば実印は無効であるとはいうものの・・・】
 被相続人の死亡後には、《お父さんは死んで、書面作成はできない》から、実印はあってもなくてもどちらでもよいというふうに考えられがちです。
 しかし、誰か、悪意の人が実印を入手したとなると、問題が発生する可能性があります。
 質問にもあるとおり、悪意の人が日付を遡らしたお父さんの借用書を作成することも考えられるからです。
 又、生前、お父さんの不動産の名義を動かしている可能性さえ考えられます。

【対策としては・・・】
 対策としては、警察に盗難の被害届を出すことも考えられます。
 しかし、果たして盗難にあったかどうかが明らかではなく、又、警察が現実に動いてくれることも期待薄でしょう。
 お父さん名義の実印を押した借用書が出てきたときの対策としては次のようにされるといいでしょう。
 まず、印鑑証明書があるのかどうかを確認しましょう。
 実印をつく場合には印鑑証明書の提出を求めることが多いです。もし、その借用書に印鑑証明書が添付されていないのであれば、死後に作成された可能性があります。
 次に、署名がお父さんの筆跡であるのか、又、現実に借用したとされる金銭がお父さんに手渡されていたのかどうかも確認し、その借用書が真実のものかどうかを判断しましょう。
 次に、実印をついたお父さんの生前贈与の書面が出てくる可能性もあります。
 この場合にも、印鑑証明書の有無、筆跡等を確認して、その書面が偽造されたものか否かを判断されるといいでしょう。
 いずれにせよ、実印を押捺した文書が出てきた場合には、紛争になる可能性が高いのですから、早期に相続関係に詳しい弁護士に相談し、そのアドバイスを受け、必要に応じて事件を委任をすることも考えましょう。

【最悪の場合には相続放棄も】
 もしそのような偽造借用書を突きつけられ、裁判でもその借用書を覆す証拠がない場合、あなたは相続人として、その法定相続分に応じた債務の支払いをする必要があります。
 遺産が少なく債務のほうが多い場合には、相続放棄という手段も考慮に入れておく必要があります。
 ただ、相続放棄はお父さんの死亡を知った後3ヶ月以内に手続をする必要があります。
 そのため、借金が判明した場合には、必要なら相続放棄期間の延長(伸長)願いを家庭裁判所に出す等の方法で放棄期間の延長をし、その借金の支払いの要否を早期に判断しなければなりませんが、そのためにも弁護士に早期に相談されるといいでしょう。
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12:55 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産となる車両の処分と相続放棄【Q&A №365】

2014/04/18
 弟がなくなり、相続人は両親でしたが、母は相続放棄しています。
弟の車は、ローンが二か月分残っていた為、所有者がローン会社でした。しかし、
ローンの一括返済額より、売却額が上回り、返済額を差し引いた額が父の手元に入り
ました。車の買取店をとおし処分したので、所有者を父には変更せずに、車売却に
至っています。(買取店との書類を交わしたのは、父のみです。所有者がローン会社
だった為、代表相続人のサインのみでよかったという事でした。)その場合、父は相
続放棄できるでしょうか。

記載内容

遺産の処分 売却 法定単純承認 単純承認
(プーさん)


【遺産を処分した後には、相続放棄ができない】
 相続放棄前に遺産を処分した場合、遺産の相続をしたものとして扱われますので、相続放棄はできません(末記の参照条文:民法第921条1項をご参照ください)。
 なお、相続放棄は家庭裁判所へ簡単な書類を提出するだけで受け付けられ、家庭裁判所から相続放棄の申述の受理証明が出されます。
 しかし、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したとしても、遺産を処分しておれば、普通の相続をしたと扱われますので、相続の放棄の効果はありません。
 そのため、弟さんの債権者(貸金業者など)が、お父さんの相続放棄は無効だとして請求をしてくれば、相続放棄は無効となり、お父さんとしてはその借金を支払う必要があるということになります。

《第921条(法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。(以下略)》

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10:58 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

姉の入院費用の支払い義務【Q&A №359】

2014/03/28
 別居の姉が先日亡くなりました。
 入院にあたって、姉は、保証人の欄に自分で私の名前と住所、電話番号を書いていましたので病院から、生前の入院費と今回の入院費の請求をされています。(保証人の欄に押印はありませんでした)払わなければならないのでしょ
うか?
 姉の入院は亡くなってから知りました。両親も他界し、親族は私だけです。
 相続する預貯金、財産、生命保険等は一切ありません。

記載内容

保証 入院費用 扶養義務 相続放棄 他人の署名・捺印
(ごんちゃん)


【問題点は相続としての債務とあなた自身の債務の2点です】
 今回は、書面上であなたの署名がされた形になっているので、あなた自身が(保証人としての)債務を負うのかどうかという点、次にお姉さんの負っている債務(主債務)についてあなたがお姉さんの相続人として債務を負うかという点の、2点です。

【あなた自身の債務はない】
 まず、あなた自身の保証債務について回答します。
 あなたのお姉さんが、あなたの署名をすることについて、あなたが同意あるいは黙認していたような場合には、保証人としての責任を問われることがあります。
 しかし、そうでないなら、あなたが署名も捺印していないのだから、原則としてあなたが(保証人としての)債務者になることはありません。
 なお、あなたはお姉さんの兄弟姉妹になりますので、扶養義務があります(末記条文を参照ください)が、それは親族内部の関係であり、第三者である病院があなたの署名・捺印もなく、又、同意もしていないのにあなたに保証債務を請求することはできないでしょう。

【相続債務の対策・・相続放棄を考える】
 ただ、お姉さんは、病院に対して支払債務を負います。
 そのお姉さんが死亡したので、その債務は相続人に承継されます。
 その債務を負いたくないというのであれば、死亡を知って3ケ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをするといいでしょう。
 ただし、相続放棄をした場合、あなたは債務を引き継ぐことはなくなりますが、同時にお姉さんから遺産をもらえなくなります。
 従って、相続放棄をする場合には、お姉さんの財産と負債とを比較して、負債が多いというような場合に放棄をすればよいでしょう。
 なお、財産の方が多いということであれば、お姉さんの債務は支払わざるを得ないでしょう、
 具体的な相続放棄の手続きにつきましては、お近くの家庭裁判所に確認されるといいでしょう。親切に教えてくれると思います。

【弁護士に相談することも考える】
 質問では病院からの請求があるようですが、相続放棄をするのなら、その後に相続放棄をしたことを主張すればいいでしょう。
 なお、病院が保証人としての債務を主張してくるのであれば、署名捺印をしていないということを主張すればいいでしょう。
 それでも病院が納得しないのであれば、弁護士に相談して、対策を協議されることをお勧めします。

【参照条文】
《民法第877条(扶養義務者) 
1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。》
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13:45 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

亡くなった父が家を担保に借金していた【Q&A №332】

2013/11/27
 父が家を抵当に銀行に借金をしていることが、亡くなった後に判明しました。母が相続し借金を返済するということで、子どもは相続放棄しました。
 ですが、実際は長女が借金を返済しています。家の価値は借金よりも多いので借金完済したいのですが、母が死去した場合は、銀行に家を取られてしまうのでしょうか?
 教えてください。お願いいたします。

記載内容

債務 借金 担保
(猫ママ)


【お父さんの遺産や債務相続はお母さん一人が承継あるいは負担する】
 お父さんが死亡したということですので、相続人はお母さんとあなたを含む子供たちになります。
お父さんが死亡したのち、お母さんを除いて子どもは相続放棄したとのことですから、お母さんだけがお父さんの遺産である家を相続し、かつお父さんの借金(債務)を引継ぎます。
そのため、お母さんだけが借金を返済する義務を負います。

【お母さんの死亡した後の相続については】
 将来、お母さんが亡くなった場合には、今度はお母さんの相続で、再び同様の問題が発生します。
お母さんが引き継いだ借金を、今度こそ子どもが引き継ぐ(相続する)のではないか、という問題です。
 その段階で、あなたを含む兄弟姉妹が相続人になります。
それぞれの相続人が、今度は、お母さんの遺産について相続放棄をするかどうかを改めて検討する必要があります。

【長女以外の方が相続放棄をすればよい】
 お母さんが亡くなった場合に、抵当権者である銀行が家を取り上げる(=担保権を実行して家を競売してしまう)のではないかとご心配のようですが、お母さんが亡くなっただけでは競売されることはありません。
現在、お母さんが支払うべき住宅ローン債務を、(相続放棄をした)長女さんが支払い続けているのであれば、将来のお母さんの遺産分割では、長女さん以外の人が相続放棄をして、長女さんが単独で家と負債を負うということで対処するしかないと思います。
長女さんが、従前通り借金を返済していく限り、銀行が家の競売をすることはありません。
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16:59 相続放棄 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

見えない借金と限定承認【Q&A №286】

2013/06/19
 亡くなった父の遺産相続です。
 マンションの2分の1の相続と見えない負債に相続するべきか悩んでいます。信用情報を調査し、カードローンの代位弁済がわかり、債権回収会社を調べて支払金額が100万ほどありました。この負債については、父の母が死亡退職金をもらっているので、支払いを済ませています。同じように数社に残っていた借金も死亡退職金から支払いを済ませ、調べた借金は完済しています。
 本来、単純に相続すればいいのですが、離婚して生活を共にしていない私は不安でいっぱいです。まずこのような状況で、限定承認の申し立てが可能なのでしょうか。もし負債がある場合、マンションは競売になるのでしょうか?半分は私の母が所有権をもっており、父の母が居住中です。奨学金の返済のため、父の死亡退職金の一部をもらい、500万弱手元に現金があります。どうぞよろしくお願いします。

記載内容

死亡退職金 限定承認 負債調査
(ノラ黒)


【限定承認をするために必要な要件】
 限定承認とは、遺産があまったら、その余った分だけ相続をし、負債が多い場合には、遺産の限度で支払いをし、それ以上の債務を負わないという制度です。
 この限定承認をする前提として次の要件を満たしている必要があります。

① 相続開始を知って3ケ月以内であること。
② 相続人が複数いる場合には、相続人全員が限定承認の申請をしなければならない。


 これらの要件を満たしている場合には限定承認の申請をすることができます。
 ただ、遺産の金銭から支払いをするという単純相続に該当するような事実があれば限定相続はできませんが、質問の場合、遺産ではない死亡退職金からの支払いですので、限定承認は可能だと思われます。

【限定承認の手続をする人は少ない】
 限定承認は、家庭裁判所に限定承認の申請、債権者への公告、財産の換価と債権者への弁済などをはじめとする一連の煩雑な手続をする必要があります。
 加えて、限定承認の場合に、相続で移転される不動産については、相続税の扱いではなく、不動産譲渡税が課税されます(対象不動産の取得価額や取得費用等を控除した差額の約20%)。
 このように手続きが複雑で、かつ税務上の不利益もあり、限定承認をする人は極めて少ないのが実情です。
 それでも限定承認をするというのであれば、法律の専門家である弁護士に依頼するといいでしょう。

【金銭での支払いができない場合には競売される】
 相続債務があり、それを金銭で支払いできない場合には、不動産が競売されることになります。
 但し、競売の対象となるのは、遺産に含まれる不動産である持分2分の1(お父さん名義の分)のみです

【どこかで決断をしなければならない】
 本当は、お母さんが得た死亡退職金からの支払いの前に、限定承認の手続きをするかどうかを判断するべきでした。
 相続開始から3ケ月以内であれば、家庭裁判所に相続放棄期間の伸長願いを出して、時間を稼ぎ(通常3ケ月程度の延長をしてくれます)、その間、新たな債務請求がないのであれば、単純承認をするというのが妥当な解決案でしょう。
 その間、新たな債務の請求があったのであれば、その債務の額と遺産とを比較して、支払いをするか限定承認をするかを検討されるといいでしょう。
 いずれにせよ、現実には100%安心して相続を承認することは不可能ですので、どこかで見切りを付け、相続放棄や限定承認などの安全策を重視するか、遺産のメリットを重視するかの決断をせざるを得ないでしょう。


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16:20 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

30年間音信不通だった父の借金【Q&A №281】

2013/06/11
肉親の借金と遺産相続についての相談です。
 つい先日、親が離婚してから、30年間一切音信不通だった実の父が死去したと、「父が借りていたサラ金」から封筒が届きました。
 内容は「親の借金残高が4万円あります。遺産を相続するしないに関わらず、同封されている書面を当社に送ってください。」という物でした。勿論 借金の連帯保証人になっていません。

 以上の条件で質問が幾つかあります。
・法律的には遺産を相続しない、かつ、借金の連帯保証人でなければ、親の借金は返す必要がないのでは?
・父親が実際 死去しているのかを確認するには?また、その死因は?
・父親の遺産、借金が幾らあるのか?
・生命保険などには加入しているのか?

という事項です。
 私が真っ先に考えたのが、「遺産相続権が無効になる1年間、放置。」 という考えです。

 念頭にあったのは
・借金が1社で済んでいるのかの危険性。
・遺産といっても殆どないだろうという目論見。

ですが、リスクとして
・もしも遺産が借金よりも多かった場合、損をする。
・時間が経てば借金が膨らみ、その勢いでサラ金が違法な取立てを行う危険性。

などがある為、詳細を知らないと最終判断が出来ません。
 とりあえずは父が死去した市役所で戸籍謄本などを習得するという事です。
 何か対策、または対応法があれば、御知恵を借りして頂ければ幸いです。

記載内容

音信不通 借金 保証人


(昴はすばらし)


今回はいくつか具体的な質問を頂いておりますので、一つ一つ回答していきます。

【質問】法律的には遺産を相続しない、かつ、借金の連帯保証人でなければ、親の借金は返す必要がないのでは?
【回答】法律上、遺産を相続しないためには、「死亡を知ったときから3ケ月以内に、家庭裁判所にて相続放棄の申述手続を行う」必要があります。
 すぐにお近くの家庭裁判所に連絡していただき、相続放棄手続についてお聞きいただければ手続の方法などを教えてくれます。相続放棄期間内に相続放棄の手続をすれば、借金を返還する必要はありません。
 ただ、遺産調査をするために時間がかかるというのなら、相続放棄の期間を延長してもらう手続をすれば、3ケ月程度の期間延長をしてもらうことが可能です。

【質問】父親が実際 死去しているのかを確認するには?また、その死因は?
【回答】お父さんの戸籍を本籍地の市役所にて申請されることで死亡の確認が可能です。
 死因については、死亡された病院などを探し、問い合わせするしかないでしょう。

【質問】父親の遺産、借金が幾らあるのか?生命保険などには加入しているのか?
【回答】遺産調査の問題ですが、基本的にお父さんの利用していた金融機関(支店名までわかる必要があります)がわかれば、そこに問い合わせをするといいでしょう。
生命保険については生命保険協会に問い合わせをするといいでしょう。
 音信不通で、そのような金融機関がわからないというのであれば、戸籍附票や住民票などを調査し、判明したお父さんの最後の住所地などにある金融機関の支店などに照会をするしかないでしょう(なお、郵便局については、どこの郵便局かを特定しなくとも照会が可能です)。
 サラ金業者などについては、お父さんに来た通知などを参考にして、その業者に一つ一つ問い合わせていく作業を繰り返すしかないでしょう。

【1年間放置しても無効にならない】
 「遺産相続権が無効になる1年間、放置。」 というような法律はありません。
 相続放棄をせずに放置していると、相続人としてお父さんの債務を請求されます。
 早めに財産や債務の調査をし、必要に応じて、相続放棄の手続きをしましょう。


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11:54 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

土地の所有権は放棄できない【Q&A №273】

2013/05/01
死んだ父は山の一部を買いそこを畑に使用する等していたようです。現在荒れ放題です。借りたのではなく買ったようです。
 隣の区画は登記簿によると神奈川の人のようです
 この畑に使用していた土地を放棄する訳にはいかないでしょうか

記載内容

山林 放棄 
(kitty)


【土地の所有権は放棄できない】
 所有権は一般に使用するも処分するも自由であり、この点は動産であっても、本件のような不動産(山林)であっても同様です。
 ただ、ここでいう処分とは、売却や贈与等の、次の権利者が明らかになっている場合の話です。
 これに対して不動産の放棄は簡単ではありません。不動産の放棄の意思表示を一体誰に対してするのかを定めた条文はありませんし、又、不動産の放棄をした場合にその旨の登記をどのようにするのかの条文もありません。
 結局、不動産の放棄はできないと考えられた方がいいでしょう。

【遺産分割協議で取得者を決定するしかない】
 あなたが相続するべき遺産の中に、価値がなく相続したくない財産がある場合には、他の相続人にその財産を取得してもらうしかないでしょう。
 遺産分割協議の中で、問題の土地を他の相続人が取得するという方向で話をつけることができないのなら、相続人全員で法定相続分に応じて取得することになります。

【ある特定の財産の相続放棄はできない】
 遺産の相続をしたくない場合には、家庭裁判所に対して、相続放棄の手続きをすることができます。
 しかし、この場合は相続するかしないかのどちらかを選択するだけで、特定の財産だけを相続放棄するということはできません。

【土地を所有することのデメリット】
 土地を所有することの一番大きなデメリットは、固定資産税の支払いと現地の管理責任を負うことです。問題の土地は、お父さんが購入されたということですので、購入当時は価値があったのでしょう。
 もし、現在も価値がある土地であれば、隣接地の土地所有者がわかっているのですから、相続で取得した後に、その隣接所有者に売却する、あるいは贈与するということも考えていいでしょう。
 値打ちのない土地であれば、固定資産税が非課税になる場合が多いので、相続をし、そのまま持ち続けるしかないでしょう。
 現地の管理について、隣接所有者や地域の自治会から《雑草を刈って欲しい》というような要求がされることも多いですが、逆にいえばそのような苦情が出るような地域であれば、近くに住宅地があり、価値のある土地という可能性がありますので、売却・贈与等の処分を検討されるといいでしょう。


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10:40 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死因贈与と生前の相続放棄【Q&A №257】

2013/03/18
 母が亡くなり、遺産分割協議となりました。
 10年前に父が亡くなった際に、母は預金の半分と不動産として土地を相続しました。
 その時に確約書という題目で、母が子供全員と各々話をし自分が死んだ後の財産を長男へ相続させ、他の子供は母の遺産を放棄するといった内容の文章を作成し承諾捺印してもらっていたのですが、これは遺産分割協議において有効性はあるのでしょうか?

記載内容

死因贈与 生前の相続放棄 遺産分割協議 
(こまり)


【生前の相続放棄は無効です】
 まず、長男以外の相続人に相続放棄を約束させた点は法律上無効です。
 そのため、お母さんが亡くなった後に相続放棄の書面が出されたとしても、他の相続人の相続権がなくなるわけではありません。
 もっとも、法律上の効力はないとしても、遺産分割協議の話の際に、その生前放棄の話を持ち出して、その放棄した人に遺産をもらわないように話をするのは、あくまで話し合いですので、なんら差し支えはないですし、放棄した相続人の方が納得する可能性もあります。
 しかし、遺産分割協議がまとまらず、調停や裁判になった場合には、生前の相続放棄は認められないことは覚悟されておくといいでしょう。

【死因贈与と解釈する余地はあります】
 お母さんが、自分の死後には財産を長男に譲るということを内容として、他の人の相続放棄を求めていたというのであれば、それはお母さんから長男本人に対して財産を贈与すると約束していたと理解する余地があります。
 すなわち、お母さんはあなたに、それは贈与者の死亡を理由とする贈与、いわゆる《死因贈与》をしたのであり、念のために他の相続人にその点の了解を取るという意味で相続放棄の意思を明示させたと解釈する余地があります。
 この場合、お母さんの死亡とともに財産は長男が譲り受けることになりますので、その意味ではお母さんが作成した書面も《死因贈与》効力を持つことになります。

【遺留分減殺の余地はあります】
 ただし、全財産を死因贈与した場合、他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があります。遺留分とは、遺贈や死因贈与がなされた場合にも、他の相続人に確保される(遺留される)持分であり、被相続人の子であれば本来の相続分の2分の1が遺留分として確保されます。
 その結果、お母さんの死因贈与も有効ではありますが、遺留分減殺請求を受ける限度で効力が減殺されることになります。


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09:51 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続放棄者がいる場合の分配【Q&A №252】

2013/03/05
 お世話になります。
 相続開始後に発生した法定果実(地代収入)が約1000万円ほどあり、現在実家の長男が保有しています。
 これは、法定相続人(5人)が法定相続分に応じて取得すべきものですが、その放棄された分(200万円)は、
①その他の相続人(4人)で平等に分配取得できる。
②管理している長男が取得できる。
のどちらが正しいのでしょうか?

記載内容

賃料 放棄

(genya)


【賃料は当然に長男のものというわけではない】
 遺産である不動産から発生する賃料収入については、相続人全員が各相続分に応じて取得するというのが裁判所の扱いです(この点は当ブログQ&A №130 をご参照ください)。
 そのため、すでに長男が受け取ってしまった(相続開始後の)賃料については、他の相続人はその法定相続分に応じて返還請求権を有しています。

【相続放棄の場合の扱い】
 《相続の放棄》には家庭裁判所への申述手続が必要です。
 今回の質問の中で「相続人の中にこの取得を放棄したものがある場合」とありますが、これが相続の放棄(家庭裁判所への相続放棄の申述手続)を意味するのであれば、その放棄した人を除外した他の相続人が相続分に応じて取得するべきものです。
 その放棄分を長男が全部取得するわけではありません。
 従って、その放棄された分(200万円)は他の相続人(4人)で平等に分配取得できるということになります。

【賃料を請求しないという趣旨であれば】
 もし、放棄が賃料返還請求のみを放棄するという趣旨でなされたものであれば、その返還を要しない部分(200万円)は長男に帰属することになり、その他の相続人がその取り分を請求することはできません。


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遺産に手をつけた後の相続放棄【Q&A №219】

2012/12/17
 単純承認とみなされますか??

 こんばんは。単純承認とみなされるのかどうかお聞きしたいのですが、今年雇われ社長をしていた父が亡くなり、その後車の名義を父から私に名義変更を変えました。
 それと、父個人通帳(少額だった為相続人全員の印鑑証明や原戸籍提出せず、相続人全員の実印を押印してません)を解約して通帳に入っていたお金を母の口座に一緒にしました(父のお金は使ってません)。その後になって父が会社の連帯保証人になっている事・多額の債務があることがわかりました。
 今現在、相続放棄か限定承認のどちらにしようか検討中なんですが、債務がある事を知る前でも車名義変更や通帳解約は単純承認になりますか?管理してるといえば大丈夫ですか?
記載内容

遺産債務の発見 遺産の名義変更 遺産預金の引き出し 相続放棄  
(LIFE)


【借金を知らずにした処分も単純承認】
 被相続人であるお父さんの自動車の名義をあなたの名義にするなど、相続したことを前提とするような行為をした場合には、相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができないのが原則です。
 この場合、被相続人の債務の存在を知らなかったかとしても、相続を承認したということになります。

【例外的に裁判所が相続放棄を認めるかも・・】
 ただし、裁判所も相続財産処分後の相続放棄を認める場合があります。
 たとえば、銀行への問い合わせなど調査をしたが借金が見つからなかった場合や、被相続人とは長期別居状態で被相続人の経済事情がほとんど把握できなかったなど、放棄を認めないと気の毒な事情がある場合には、裁判所も、例外的に相続放棄を認める可能性があります。
 ただ、この場合も、借金の存在を知ったときから3ヶ月以内に放棄の手続きをする必要があります。
 そのため、急いで相続放棄の手続きを手配するべきでしょう。

【専門家の関与が必要です】
 今回の質問では相続放棄を認めるのは、例外的な場合であり、それなりの事情を記載した書面を提出する必要があります。
 裁判所が受理してくれるような、説得力ある文書を作成し、放棄の申述書に添付あるいは記載する必要があります。
 又、連帯保証の債権者(おそらく銀行)の動きも気になるところです。
 そのため、あらかじめ法律の専門家である弁護士に事情を説明し、後日の対応もふまえた申述書作成が必要でしょう。
 費用がかかっても、弁護士に本格的な相談をされるようお勧めいたします。


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16:35 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続放棄が完了するには【Q&A №206】

2012/10/09
 相続問題
 父親が他界し、相続財産がプラス財産とマイナス財産があります。
 プラス財産よりマイナス財産が上回る為相続放棄を考えていますが、配偶者、長男、次男が相続放棄をすると、父の両親、兄弟に相続権が移ると聞きました、父の両親は、亡くなっていますが、兄弟は、四人いて内二人が失踪状態になっています。
 上記の状態で相続放棄は、完成できますか
 また、負債については、金融機関と母が父に貸したのがあります、金融機関の負債は、無担保です、母が貸した分については、父名義の自宅に抵当権が設定してあります。
 上記の内容で父の名義の自宅を競売にかけることは、できますか
(クー)


記載内容

失踪者 抵当権 不在者財産管理人 競売

【全員の相続放棄は完了しません】
 相続放棄は、相続人全員が相続放棄するまで完了しません。
 そのため、失踪中(行方不明中)の相続人2名がいる場合には、その人が放棄手続をしない限り、相続放棄は完了しません。

【競売をすることは可能です】
 ご兄弟のうち、2名が失踪状態ということですが、まず、このご兄弟の住所を探す必要があります。
 この2名の人が相続放棄をしない限り、競売はこの2名を相手(お父さんの債務を相続で承継した債務者になる)として手続きをせざるを得ません。
 具体的に言えば、ご兄弟の居場所がわからないのですから、これらの方の特別代理人(不在者財産管理人)を裁判所に選任してもらって、その方に裁判所からの競売開始決定等の書面が送付されるということになります。
 なお、この特別代理人の選任のために裁判所に債務者1人当たり10~30万円程度の費用を予納する必要があります。

【手間と費用との兼ね合いになる】
 競売手続を行うことも可能ですが、競売手続費用として別途100万円程度を裁判所に納付する必要がありますし、手間もかかります。
 このように多額の費用がかかり、手間もかかることから、お母さんがお父さんに貸した金額がどの程度か、又、競売により実際に回収できそうな金額はいくらぐらいかの見込みを立てて、競売申立をするか否かを判断するといいでしょう。

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生前の相続放棄【Q&A №188】

2012/08/21
 財産放棄
 生前の財産放棄についての質問です。
 まだ相続は発生していないのですが、他の兄弟以上に十分に親から援助を受けている為に生前に財産放棄をしようと思います。兄弟にも相続が発生した時に相続をしない事を今証明しておきたいので、財産放棄の手続きをしようと思います。遺留分の放棄は少し調べたのですが、それだけは相続が起こった時に完全に相続をしない事の証明にはならないと聞きました。どういう手続きを取ればいいのでしょうか。

記載内容

生前 相続放棄 

(にっこ)


【法律上、生前の相続放棄はできない】
 相続放棄は、相続が開始された後、すなわち被相続人が死亡した後しか認められないものとされています(民法915条第1項に、相続放棄は「相続の開始があったこと」を「知ったとき」から3ヶ月に行わなければならないとされており、生前の放棄ができないことが前提となっています)。
 仮に相続人となるべき兄弟間で、生前の相続放棄に関する合意をしてもその効力はありません。

【通常は、遺留分の放棄で十分だが・・】
 将来、遺産を貰わないためにする生前の手続きとしては、遺留分の放棄があります。
 家庭裁判所に、遺留分放棄の許可の申立をし、その許可が出た場合、遺留分減殺請求ができないようになります。
 ただ、注意するべきことは、遺留分の放棄がその効果を発揮するには、あなたに遺産が来ないという内容の遺言書があることが前提です。
 そのため、被相続人の方が、遺言書を書かないあるいは強度の認知症などで書けないような場合には、遺留分の放棄では不十分です。

【遺言書が書けない場合には・・】
 遺言書が作成できないというなら、結局は相続した後の相続放棄しかないという結論になります。
 もし、相続放棄期間内に相続放棄をしなかったというのであれば、自らは遺産を承継せず、他の相続人に全遺産を相続させる内容の遺産分割協議書を作成するしかないでしょう。

【なぜ、生前の放棄か】
 なぜ、「兄弟にも相続が発生した時に相続をしない事を今証明しておきたい」のか、明らかではありませんが、他の相続人の方からの圧力が強いからでしょうか。
 なお、これまでに多額の金銭の贈与やその他の特別の受益を得ているのであれば、遺産分割や遺留分減殺の場合にもその受益分が考慮されるということを申し添えます。《参考カテゴリ:特別受益

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★保証人のサインをした父の医療費も相続されるか【Q&A №184】

2012/08/09
 医療費の連帯保証人

 3人姉妹で私と姉は結婚し、妹が父と住んでいました。

 ある日父が倒れたと妹から電話があり、病院に駆けつけると私と妹が、『連帯保証人』のサインをさせられました。

 父は体が弱く仕事していません。
 入院は10ヶ月くらい経ち、ある日請求書が私に届きました。
 この場合私が全額支払いの義務があるのでしょうか?

 ゆくゆく父が亡くなったときに、債権放棄したら、支払い義務はなくなるのでしょうか?

記載内容

医療費 相続放棄 保証債務 

 よろしくお願いいたします!!!
(よーぜふ)


【債務関係を整理すると・・】
 今回の質問の債権(債務)関係を整理すると、次のようになります。

①主債務
  債権者:病院
  債務者:お父さん
  債権(債務)内容:治療費支払債務

②連帯保証債務
  債権者:病院
  債務者:あなたと妹さん
  債権内容:上記①の債務についての連帯保証債務

【お父さんの債務は相続放棄で支払の必要がない】
 上記①の債務は、お父さんが支払うべきものです。
 お父さんが生きている限り、お父さんとその子とは他人ですので、この①の債務の支払い義務はありません。
 しかし、あなたと妹さんは連帯保証人のサインをしているため、連帯保証人としてそれぞれ治療費全額の支払い義務があります。

【相続放棄すればお父さんの債務はなくなるが・・】
 医療費も、借金などと同じように相続されます(但し、法定相続分の割合で相続されることになります)。
 相続放棄をすれば、このお父さんの債務の相続を免れます。
 相続放棄をするとお父さんの遺産ももらえないですが、債務を引き継ぐこともありません。

【あなたの保証人としての債務は消えない】
 しかし、前記②の債務は、あなた自身の保証人としての債務です。
 したがって、相続放棄したかどうかとは関係なく、あなたは連帯保証人として前記②の債務を全額支払う必要があります。

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★生前の相続放棄について【Q&A №163】

2012/06/15
 A夫人に子供が3人いますが,特別B子さんを可愛がり車を買ってあげたり家を買ってあげたりしていましたが,先日B子さんから(B子さんに心境の変化があったのでしょう)絶縁のような事を言われて・・・

B子さんに「相続放棄します」とまで言われたようです。

A夫人も相続放棄をしてほしいと思うようになりましたが,存命中の相続放棄の書類は有効でしょうか?

A夫人の相続が発生した時にB子さんの相続を最小限にするには現時点でどのような書類を用意するべきでしょうか?
よろしくお願いします

記載内容

相続放棄 遺留分の放棄

(ママ)


【生前の相続放棄は効力がない】
 被相続人が生存しているときに、B子さんが相続放棄するという書面を作成してもその効力はなく、A夫人が死亡した後にB子さんは相続を主張することが可能です。
 但し、「遺留分の放棄」なら、家庭裁判所の許可を得てすることができます。
 その手続きは家庭裁判所への申立が必要です。

【B子さんの相続を最小限にするには遺言書を作成する】
 A夫人が死亡したときに、夫が亡くなっていて子供3人が生存しているとすると、B子さんの取り分は遺産の3分の1です。
 ただ、A夫人が遺言書を作成し、B子さん以外の人に遺産を相続させるという内容を記載した場合、B子さんは遺産をもらえなくなります。
 但し、B子さんとしては、遺言で遺産がもらえない場合には、そのもらえないことを知って1年以内に遺留分減殺請求をすることができ、その場合には、遺産の6分の1の限度で遺産をもらうことができます。
 前に記載した遺留分の放棄の手続きをしていれば、B子さんとしてはこのような減殺請求もできず、遺産からなにも請求できないということになります。

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★音信不通だった父の相続【Q&A №161】

2012/06/12
 父が1カ月ほど前になくなりました。

 離婚した父がひと月ほど前になくなりました。父は再婚していません。私は一人娘です。
 私は両親の離婚(当時私は3歳)とともにに母方に引き取られ、それ以来父とは音信不通でした。
 10年ほど前に父と2度会いましたが、それっきりまた音信不通が今年まで続いていました。父の甥から父の死を知りました。
 叔父から2日ほど前に生命保険の委任状と死亡保険請求申込書が届きました。私が受取人になっている父が生前加入していた生命保険があるとのことで、その支払い金全部を父の家族に渡してほしいと言われました。
 なぜなら、父は生前癌のため入院費を100万ほど生命保険を担保にして何処からか借りており、葬式代は全部父の兄弟が支払ったので、ということです。保険証書を見せてほしいので、郵送してくださいと父の甥に伝えましたが、何の連絡も帰ってきません。
 遺産や借金の詳しい内容自体も電話で聞きましたが、はぐらかすような返答(別に対して何も残っていない)という答えしかもらえません。

Q1.私の方から直接保険会社に連絡を取っての証書の再発行はできるのでしょうか?
Q2.父の借金が怖いので、相続放棄しようかと考えています。しかし今日本に住んでいません。海外から相続放棄できますか?
Q3.父の生前の資産と借金を私が調べる方法はありませんか?

私が今の時点で知っているのは10年前の父の住所と東京都内で商売をしていたことです。

記載内容

生命保険 負債 熟慮期間 伸長 


(ホライゾン)


【保険証書の再発行が可能か】
 現在は、お父さんが死亡され、生命保険の支払いをしてもらえる段階ですので、保険会社が保険証書を再発行することはないと思いますし、また、再発行してもらう必要もないでしょう。
 直接、保険会社に保険内容を確認し、保険金を受け取るための必要な手続きをすることをお勧めします。
 相続人であれば契約内容の確認は可能だと思いますし、また、あなたが受取人であることが間違いないのであれば、保険会社としては照会に応じるでしょう。

【海外から相続放棄できますか?】
 相続放棄については、お父さんが死亡された地域の家庭裁判所にその申立をする必要があります。
 相続放棄の申立をした場合、その裁判所から、相続放棄がその申立をした本人の意思に間違いがないのかどうかを確認するための書面が送付されてきます。
 海外居住の方についても、家庭裁判所から放棄の意思を確認する書面が送付されてきますので、必要な回答をされるといいでしょう。
 なお、相続の放棄は、原則としてあなたがお父さんの死亡を知って3ケ月以内にする必要があります。
 もし、遺産の内容がわからないので調査したいという場合には、相続放棄の申し出期間の延長をするという手続きもありますが、この手続きもお父さんの死亡から3ケ月以内にする必要があります。

【遺産の資産と借金を調べる方法は?】
 相続人であれば、お父様の借金や預金・保険を調査することが可能です。
 但し、どの金融機関(あるいは証券会社)というだけでは照会はできず、どの支店かということまで判明している必要があります(但し、ゆうちょ銀行なら支店の特定は不要です)。
 ただ、長年音信不通で、お父さんがどこの金融機関を利用していたのかが明らかでないなら、調査は難航するでしょう。
 しかも、あなたが海外におられるのであれば、これらの手続きをするのは大変かと思いますので、日本の弁護士や司法書士など専門家に依頼するのがいいでしょう。
 なお、遺産の調査自体は郵便による照会が可能ですので、お父さんの死亡した地域の弁護士ではなくても調査が可能です。
 相続調査に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。

【保険金は遺産ではないということも知っておくといいでしょう】
 相続放棄をした人でも、生命保険金は受け取ることができます。
 そのため、あなたとしては、
①保険内容の確認とその支払い手続きをする。
②相続放棄の期間の伸長をする。
③延長した期間を利用して、遺産の調査をする。

という3つの手続きを迅速に進めて行く必要があります。
 その意味でも弁護士等の専門家に早期に依頼するといいでしょうし、その費用は保険金の支払い分でカバーすればいいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
19:41 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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