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認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
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遺言公正証書が偽って作成されていた【Q&A №552】

2016/12/22



【質問の要旨】

姉の公正証書遺言が知らないうちに作成されていた

記載内容 公正証書遺言 遺産相続 排除

【ご質問内容】

子供の居ない姉(84歳)が先日孤独死で亡くなりました。

主人は十三年前に亡くなっています。

姉の残した遺産についてお尋ねします。

姉弟は亡くなった姉、兄、私、妹の四人です。

姉は高齢で糖尿病も患い一人でいることを心配していました。

兄が実家を継いでおり一年半前兄嫁から姉を実家に引き取り面倒を見ることで姉と同意したので、ついては引取る為の手続きで戸籍謄本、住民票、印鑑証明が必要なので送ってほしいとの依頼があり了承し、下の妹も同様に兄嫁宛におくりました

姉は兄嫁に言われるまま預貯金先等を回って兄嫁は金額を把握したようです。

その後兄嫁から積極的に帰って来る様に姉への動きは無かった様です。

先日四十九日に皆が集まった際、兄嫁から遺言書が出て来たと言って公正遺言証書が作成(作成日は一年前)されていた。

兄嫁の兄が税理士をしておりその兄が証人もう一人は税理士仲間の方でした。

推定預貯金五千万、不動産三千万のうち兄と兄嫁、その娘二人に行くように明記されて、遺言執行者は兄の娘となっています。

私と妹はそれぞれ百万円となっていました。

お尋ねしたいのは姉を引取らずそして法に疎い姉を操り税理士の兄と結託した兄嫁が、私達姉妹を姉の遺産相続から排除する為に一年半前に兄嫁宛に送った印鑑証明等がまさかの公正遺言証書作成目的に流用されたと思われます

法的に対応できますか。

なお、兄は兄嫁に言われるままの人です。

(もっちゃん)






【公正証書遺言を作成するのはあくまでもお姉さん】

あなたとしては、お兄さんらがお姉さんを引き取ってくれると信じ、その手続きのために必要だということで戸籍謄本等を渡したのですから、それが公正証書遺言の作成に使われており、またその内容はあなたに不利なものであったとなれば、だまされたような気持ちでしょう。

しかし、お姉さんの公正証書作成にあなたの印鑑証明書はいりません

なお、遺言書にあなたが些少な財産を受け取ると記載されているので、あなたの戸籍は公証人に提出する必要がありますが、これも遺言書作成に必要だといえばお兄さん側で取り寄せが可能なものです。

そのため、あなたが印鑑証明書や戸籍を詐取されたということでは、お姉さんの遺言書は無効になることはありません

結論を言えば、遺言を作成するのはお姉さん自身ですので、お姉さんが納得して遺言を作成したのであれば、その遺言は有効だということになります。


【判断能力がない場合には遺言書は無効になるが・・】

お姉さんが兄嫁にだまされて遺言を書いただとか、遺言作成当時、お姉さんに判断能力(意思能力)がない状態だったというような場合には、公正証書遺言は無効となる場合があります

ただ、それを証明するのは、公正証書遺言が無効だと主張する側(本件ではあなた)です。

そのため、お姉さんの遺言書作成当時の判断能力を明らかにするための資料(もし、入院されておればそのカルテ、施設に入っておれば行動記録等)を取り寄せされ、当時のお姉さんの状況を確認する必要があるでしょう。

ただ、次の点は知っておかれるといいでしょう。

公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なって、公証人が遺言者であるお姉さんに判断能力があるか、遺言の内容がお姉さんの意思に沿ったものかどうかを直接お姉さんに確認した上で作成しますので、一般には公正証書が無効にされることは少ないです。

【遺留分減殺請求はできない】

兄弟姉妹の相続の場合、遺留分は認められていません

そのため遺言書が有効なら、貴方としてはその記載に従うしかありません。

あなたとしては前記しているように、お姉さんの判断能力がなかったという点でその裏付け資料をしっかりと収集されるべきでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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認知症の診断と遺言能力【Q&A №497】

2016/04/04

【質問の要旨】

認知症との診断書がある場合、遺言は無効か

記載内容  成年後見 意思能力 回復

【ご質問内容】

姉が、母を連れて、認知症の専門医のところに行き、26年9がつ

その診断結果が、

MMSE 29     17(母の数値)   5

1日常の意思決定を行うなめの認知能力
 見守りが必要

2 自分の意思の伝達能力
 具体的な要求に限られる トイレ食事とか

になってました。

それで、姉がそれをもとに、成年後見制度を申請しようとしたのですが、結局しませんでした。

母は、認知症でしたが、買物もでき、自分で判断できる状態で、この診断書とだいぶ、ちがってました。

そして、26年11月に「すべての財産を私に譲る」、という遺言書をかきました。

28年3月

母は、延命治療をやるかどうか聞かれたとき、やらない、といい、おおきな病院に転院しようとしたのですが、その時の紹介状には、(一般医)「軽度の認知症であるが、日常会話もでき、判断能力はある」とかかれてました。

転院はしなかったのですが、このような状態の場合、遺言書はゆうこうでしょうか?

遺言状を執行した場合、姉が認知症の専門医の、26年9がつの診断書をたてに、遺言無効の訴えをおこしそうなので。

成年後見制度を利用できるような状態の場合だと、遺言は無効になるのでしょうか?
(fgfhh)







【認知症だからといって、必ずしも遺言は無効にはならない】

認知症といっても程度があります。

軽度の認知症の場合には遺言をする能力は認められます。

また、成年被後見人がついた場合でも、その方が判断能力(意思能力)を回復した場合には、医師2名以上の立ち会いをし、一定の方式を条件に遺言を有効とする制度も認められています(成年被後見人の遺言制度 民法973条)。

従って、認知症だからといって、遺言が認められないわけではありません。


【認知症の程度を判断する基準・・MMSEと長谷川式認知スケール】

判断能力を判定するものとして、長谷川式認知スケールがあります。

このテストは、30点満点で認知症の程度を示すテストであり、日本で多く採用されています。

今回、認知症専門医で検査されたMMSE(ミニメンタルステートメント検査の略称)というのは、長谷川式にはない図形検査や自発的に文書を書かせるような質問も存在しますが、検査の年月日や場所等の質問をする等、長谷川式と同じ部分も多いです。

長谷川式と同じく30点満点であることや上記のように質問内容がほとんど重なっていることなどから見て、長谷川式認知スケールとほぼ同様のものと考えていいでしょう。

これまでの裁判例を見ると、長谷川式認知スケールについては10点あたりが遺言能力の境目になりそうです。(この点については【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介および【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください。)

お母さんの検査結果がいくらなのか、質問ではわかりにくいですが、仮に17であれば遺言するに足る判断能力がないとは言えない可能性が高く、また、5であれば、よほどのことがない限り遺言能力がない可能性が高いという結論になるでしょう


【紹介状の記載から見た場合は判断能力がありそうだが・・】

お母さんの転院の際の紹介状には「軽度の認知症ではあるが、日常会話はでき、判断能力はある」との記載があるということですので、その約1年半前の遺言書作成時、お母さんは遺言をするに足る判断能力があったように思われます。

しかし、その際、どんな検査をしたのかも知りたいところですし、また、一旦、MMSEで、仮に5点だとされたのであれば、どうして判断能力が回復したのかの説明も必要でしょう。

いずれにせよ、どの時点で認知症のテストをしたのか、どのような検査結果が出たのか、また、入院しているような場合にはどのような言動をしていたのかをカルテや看護記録から探る等、事実を確認して、その結果を総合して判断をするしかないというのが回答になります。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり

2016/03/01


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。

また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか

(やまおやじ)





当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。

ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。

そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。

※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。

死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース

私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。

但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。

かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)

現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には

1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。

2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。

3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。

このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。

この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。

なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。

1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。

2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。


② 他の相続人に確認をするケース

一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。

ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース

裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。

金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです

代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です

なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。

もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。

本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。

また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。


《再質問:2》

共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》

法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です

住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。


《再質問:3》

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》

以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。

ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)
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未分割の財産について【Q&A №493】

2016/02/23

 【質問の要旨】

未分割の財産を譲る遺言は有効か

記載内容

未分割 無効 遺贈


【ご質問内容】

父と母が昨年、一昨年と相次いで亡くなったのですが、兄が分割に応じないため、未分割のままとなっています。

兄も病弱のため、いつ不幸になるかわからないのですが、兄が遺言を書こうとしていますが、未分割の分(父母の財産)について兄が遺言を書いた場合、それは有効になるのでしょうか

また、その場合、法定相続分のみ有効となるのでしょうか

教えてください。

(やまおやじ)







【お兄さんは既に相続で権利を取得している】

お父さんとお母さんが既に死亡されていますので、お兄さんは、お父さんとお母さんの相続人として、それぞれの遺産について権利を取得しています

被相続人の死亡により相続が開始し、その時点で相続人に権利が移動するからです。

参考までに言えば、遺産分割協議ができなくとも、金融機関に対して法定相続分に応じた預貯金分の請求が可能ですし、また、協議ができなくとも法定相続分に応じた相続登記もすることができます。


【お兄さんの遺言の有効性】

被相続人であるお父さんと同じく被相続人であるお母さんの遺産分割協議が合意できていなくとも、前項で述べたようにお兄さんに相続を原因として権利が移動していますので、未分割の相続分を遺言で遺贈することは可能です。

なお、お兄さんが相続するのは法定相続分ですので、当然、遺贈の対象となるのはその分だけです。

もし、お兄さんが死亡された場合、遺贈を受けた人もお父さんやお母さんの遺産分割協議に参加し、具体的にどの遺産をどのような形で相続するかを合意することになります。

(弁護士 大澤龍司)

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14:18 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

資産家の叔母の公正証書遺言【Q&A №489】

2016/02/03

【質問の要旨】

公正証書遺言が有効かどうか

記載内容

相続人 同席 カルテ

【ご質問内容】

都内主要駅から徒歩1分の所に住む叔母が、H25に85歳で亡くなりました。

叔母は後妻に入り(前妻病死 前妻の子とは養子縁組なし 実子なし ご主人も父母も亡くなっています)ご主人と工場を経営し、不動産、預貯金等、多額の財産を残しています。

相続人AとBが財産に目をつけ叔母を奪い合い、Aが入居させた老人ホームからBがさらって行った時は警察を呼び、又Aが叔母の取引銀行へ行ってBが財産を狙っているから、お金を下さないで欲しいと話し、聞きつけたBが叔母を窓口まで連れて行き、そんな事はないと言ってのけた強者と、Aから聞きました。

H22にBに全てを相続させる、H25にAに全てを相続させる(こちらは公正証書)全く内容が違い、自分1人に有利に書かせたと疑う私を、Aの弁護士を通して話せと突っぱねます。

H24には、叔母が気力も体力も無くなったとAが話していて遺言を書く頃は相当弱っていたのではと思って診断書などを取り寄せたいのですが、BがAの悪口を病院に触れ回っていて私も不審がられると思い取得できず大変困っています。

以前の電話でAは、他の相続人に言われたら火が噴いて大変だ!証書を作るとき保佐人が、相続人はA1人だから他に言わなくて良いと言われたとパニックでした。

相続人がその場にいて良いのでしょうか。

この事を息子に相談したメールは証拠になりますか?

よく眠れず、苦しいです。

先生、助けて下さい。よろしくお願いいたします。

(晴れたい子さん)





【同席だけでは無効とはならない】

叔母さんの生前から激しい争いがあり、別々の異なる内容の遺言が作られるなど、根深い紛争がうかがわれる案件です。

お互いが疑心暗鬼となり、相続人Aさんが叔母さんに対して、「自分に遺産を渡す遺言を作れ」などと圧力を加えて有利な遺言を作らせたと疑いたくなるのも理解できます。

しかし、公証人は遺言者である叔母さんの意思を確認しているはずであり、その場で脅迫や詐欺まがいのことが行われたことはまずないと考えていいでしょう。

なお、公正証書遺言を作成の際、通常、公証人は同席する人がいれば誰かを確認し、親族や利害関係人であれば席を外すように指示しますが、これは遺言者の真意を確認するためです。

その場に、Aさんがいたことで、叔母さんが《無言の圧力》を感じたという可能性がないわけではありませんが、それだけでは遺言が無効ということまでは言えないでしょう。

なお、同席の件を相談したメールについても、単に「Aも同席した」というだけのメールであれば、それだけで遺言を無効とする証拠とまでは言えないと思われます。

【代理人を通してカルテ開示を求める】

カルテの取り寄せについては、叔母さんの法定相続人(例えばAさん)なら取り寄せが可能のはずです。

Bが悪口等を言ったことで病院にカルテを請求しにくいというのもおかしいことだとは思いますが、病院が出さないというのであれば、弁護士に事件を委任して、その弁護士から弁護士会照会等の方法で取り寄せの手配をしてもらえば、病院としては拒む理由はありません。

いずれにせよ、本件のような案件は弁護士に依頼せずに解決するのはむずかしい案件ですので、早期に相続事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがいいでしょう


《参考裁判例:こんな判例があります!》

参考までに、(相続人ではありませんが)証人になれない親族が同席して作成された公正証書遺言を有効とした最高裁判所の判例もあります(最高裁判所平成13年3月27日判決)のでご参照ください。

(弁護士 大澤龍司)
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騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
>>続きを読む・・・
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父の言葉を代筆した遺言書の効力【Q&A №446】

2015/05/22




口頭で言ったことを、ほかの人が代筆して文書にして、

本人が自筆で署名押印した場合、将来の遺産分割協議で有利になりますか?



記載内容   遺留分 


【質問詳細】
 義父より自身が死んだ時のために相続人間で争い事が起きぬよう残しておきたいことがあるので、協力して欲しいと言われました。

 相続人(子)はA男・B男・C子で(私はC子夫)、C家が父を看ています(A・Bとソリが合わないことから)。

 父は今までにC家に対して自身の生活支援のお礼として事ある度に幾らかのお金を渡してきました。

 家屋購入資金(C子夫名義)、孫の入学祝いや就職祝い、孫の結婚祝い、等です。

 A家とB家にも相応にお金を渡していましたが、C家までには至らなかったようです。

 それがA・Bとして不満であり、大きな騒動になりました。

 C家は相続人であるC子が直接貰い受けていないお金もあるが、総括してA・Bより多くのお金をもらっていることから、父没後の遺産を放棄するつもりです(A・Bより色々理由つけられて遺留分を請求してくることが予想されることから)。

 これを義父に話したところ、「遺産は平等に受けろ。A・Bは今まで何も支援してくれない上に渡した金額差に文句を言っているだけ。二人が自分にしたことを明確に列記し、何で差がついたか、今まで幾ら渡したかを言うので、自身の宣言書として書き残して欲しい」とのことです(父は口は達者ですが体力が衰え書き事ができない)。

 内容はこれから考えるとの事ですが、とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面について将来の相続協議に有利となるのでしょうか?


(Noppo)





【それは遺言書ではない】
 
 質問者の方はおわかりのようですが、念のために記載しておきます。

 お父さんが考えた内容を、あなたが《とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面》は遺言書にはなりません

 遺言書は遺言者が全文を自分で記載し、日付及び署名・捺印をしたものです。

 お父さんの意思に基づいたとしても、その内容をあなたが記載したのでは遺言書にはなりません。



【お父さんの意思を書いた文書は相続協議に役に立つか】

 遺言書ではないにしても、死亡された人の意思がはっきりしている場合、それが遺産分割協議に役立つかは場合により異なります。

 法定相続人間でお父さんの意思についての共通了解があり、しかも法定相続人の間及びお父さんと法定相続人間で人間関係が円満な場合には、お父さんの意思が尊重される場合が多いでしょう。

 しかし、本件ではお父さんとあなた以外の法定相続人との関係も、法定相続人間の関係もぎくしゃくしていることを考えると、あなたが質問で記載したような書面を残しても、相続のためには役立たない可能性が極めて高いでしょう。




【相続放棄と遺留分】

 あなたは相続放棄をするということもお考えのようです。

 おそらく相続放棄をし、相続人にならないことによって、相続問題に巻き込まれないということをお考えになっていることと思います。

 あなたが相続放棄をするのであれば、あなたは相続人ではなくなりますので、法定相続分を前提とする遺産分割問題は発生しません

 しかし、あなたが生前に贈与を受けていたという事実はなくなるわけではありませんので、他の相続人としては、あなたに対して遺留分減殺請求をする可能性があります

 その場合、生前の贈与分は遺留分の算定の基礎財産に含まれることになります。

 相続放棄をしたからといって、遺産争いがなくなるわけではないということを理解しておく必要があるでしょう。




【遺留分減殺請求への対処が必要】

 本件では、遺産分割であれば他の相続人はあなたの特別受益を主張するであろうし、また、相続放棄をしても遺留分減殺をする可能性が高いです。

 そうであればあなたとしては、そのような事態に対処する方策を現時点で取っておく必要があります。

 そのような場合には、あなたとしては金銭を他の法定相続人に支払って解決することが多いです。

 その点を考えると、あなたとしてはお父さんから金融財産(預貯金等)をもらう内容の遺言書を書いてもらい、不動産等は他の法定相続人に渡すということで、将来の金銭支払いに対処するという必要があると思われます。

 いずれにせよ、具体的な金銭勘定がわかりませんが、この点については相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 なお、お父さんが遺言書をご自分で書けないというのであれば、公正証書遺言を公証人に作成してもらうという方法もありますので、この点も併せて弁護士と相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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11:43 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言書の検認を受けてからするべきこと【Q&A №430】

2015/02/18
 


 昨年母親が亡くなりました。

 父親は十数年前にすでに他界しております。

 私には姉が一人おります。

 姉は現在社会人、大学生2人の娘と夫の5人家族で私のほうは小学6年生の息子と主人の3人家族です。

 母の病院の付き添いなどの面倒は主に姉が行ってきました。

 私の方は育児期が重なり主に週末など行ける時に息子の顔を見せに行くという形で関わってきました。

 母が亡くなってから姉より、実は数年前に母から遺言状をもらっていたと聞かされました。

 もらう際、「財産は全部あなたに」といった内容の遺言状であると聞かされながらもらったそうです。

 そうはいっても、ということで一度は財産は等分にしようということになったのですが、実家の片付けをする過程で意見の不一致などが重なってきたところで「やっぱり検認するから」といわれ手続きにかかっているそうです。

 姉はそれまでにも母より子供の学費や生活費の援助を相当額うけていましたし、もっと遡れば子供の幼少期には母は定期を買って足しげく姉のところに通い面倒をみておりました。

 つまり、過去からずっと持ちつ持たれつの関係でした。

 私の方は子供の頃から冷遇、姉は母の愛情を一身に受けておりました。

 悔しくてなりません。

 遺言状の存在を知りながら教えてもらえなかったこと、姉が生前に受けてきた恩恵。

 最後にとどめの一発、どう考えたらよいのでしょうか。

 自分の尊厳を守りぬく方法を教えてください。


記載内容

  秘密 自筆遺言書 検認 遺留分 特別受益

(みなしごはっち)





【まずするべきことは遺言書の確認です】

 質問では、お姉さんは遺言書があると言っておられ、検認の手続きをされる方向のようです。

 公証役場で作った公正証書遺言の場合には検認が不要ですので、遺言書は自筆でかかれた自筆証書遺言だと思われます。

 あなたとしては次の点を確認する必要があります。

①まず、本当に遺言書が存在するのかを確認する。

遺言書の内容がどのようなものかを確認する。

遺言書が有効かどうかを確認する。


 自筆証書遺言の場合、法律に定められた書式に合致しない場合には、遺言書は無効になります。

 たとえば、ワープロで作成したものは効力を持ちませんし、日付が抜けている場合も効力がありません。



【遺言書を入手して、有効性を確認する】

 自筆証書遺言の場合、お姉さんが家庭裁判所に検認の申立をします。

 裁判所は遺言書を開封し、その内容を他の法定相続人等に見せます。

 この裁判所の検認は遺言書が出てきたことを他の法定相続人に見せるというだけの手続きであり、裁判所がその遺言書が有効であるかどうかの判断はしません。

 あなたとしては遺言書の検認に際して裁判所が作成する検認調書(遺言書のコピーが付けられています)をもらい、有効な遺言書かどうかを判断されるといいでしょう。

 なお、その判断ができないというのであれば、相続に詳しい弁護士に法律相談され、遺言書が有効かどうかについての見解を聞かれるといいでしょう。




【遺言書が有効な場合の対処法】

 仮に遺言書が有効なものであり、その内容がお姉さんに遺産全部を相続させるというものであっても、あなたには、本来の法定相続分の半分(相続人があなたとお姉さんだけだとすると4分の1)の限度で遺産をもらえる遺留分減殺請求という制度があります。

 遺言書の内容を見て、あなたが全く遺産をもらえないような内容である、あるいはもらえるけれども遺産の4分の1に届かないというのであれば、遺言書を見たときから1年以内に、遺留分減殺請求通知を出されるといいでしょう。

 なお、お姉さんが、お母さんの生前にかなりの財産をもらっているような場合には、その生前にもらった分を特別受益として遺産に持ち戻すという制度があります(このような持ち戻しが認められると、あなたが遺産からもらう遺留分が増加します)。

 この遺留分や特別受益については、この相続ブログの他のQ&Aに詳しく書いておりますので参照されるといいでしょう。(相続Q&A №243Q&A №393ご参照)

 ただ、遺留分や特別受益については、法律的に難しい分野ですし、最終的には訴訟等の法的手続きが必要になる可能性も高いことから、早期に弁護士に相談、依頼することも視野に入れるといいでしょう。
 

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15:45 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の内容を調べたい【Q&A №417】

2014/12/09



 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。
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16:48 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言があるときの生前贈与の扱い【Q&A №393】

2014/07/16
  母が亡くなりました。遺言書によって預貯金1000万は子供二人で分けるように、不動産500万は姉にという内容です。父はすでに他界しています。家の建築費用200万円を出してもらっているのだから、それを特別受益として相続分から差し引くと言ってきました。姉の言い分は正しいのでしょうか。

記載内容

遺言 生前贈与 特別受益 遺留分
(みち)


【預貯金は半額ずつ相続するという意味で理解する】
 遺言書では、預貯金はあなたとお姉さんの2人で分けるということですが、その意味は《預貯金1000万円は半額ずつにし、お姉さんは500万円、あなたも500万円を相続する》ということだと理解して、回答していきます。

【特別受益が多ければ、相続時の遺産からもらう額が少なくなることがある】
 お姉さんのいうように、あなたが被相続人から生前に建築資金として200万円をもらっていたというのであれば、特別受益になります。
 特別受益があまりに多額になるような場合には、あなたがもらう遺産額が減額されることもあります。

【今回のケースでは遺留分が問題となる】
 今回のケースでは遺言書が作成されています。
 遺産としては預貯金と不動産だけで、その他に遺産はなく、それらの遺産を相続する者が遺言書で指定されている場合、遺留分を侵害するかどうかが問題になります。
 お姉さんの遺留分は法定相続分の半分の4分の1です。

【遺留分を侵害しているかどうかの検討】
 まず、遺留分の計算の基礎となる遺産は、相続開始時の遺産額である1500万円(不動産500万円+預貯金1000万円)に生前贈与の200万円を加算した1700万円(みなし遺産額)になります。
 お姉さんの遺留分はこの4分の1の425万円です。
 しかし、今回の遺言書によりお姉さんの取得する遺産額は不動産(500万円)+預貯金の半分(500万円)の合計1000万円ですので、お姉さんは遺留分を侵害されるわけではなく、遺留分減殺請求をすることはできません。
 そのため、あなたが特別受益分を返還する必要は全くありません。

【結論としては・・】
 以上のとおりであり、お姉さんの見解は間違いです。
 あなたとしては預貯金の半額の500万円をもらうことができますし、又、特別受益の200万円を返還する必要もありません。
 堂々とお姉さんに対し、遺言書に記載されたとおり、預貯金の半額を分けるよう請求されるといいでしょう。
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16:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

夫を相続人から外す方法【Q&A №379】

2014/06/03
 初めまして。よろしくお願い致します。
 私は結婚していますが、子供がいません。
 病気の容体が良く無く、「死」を意識する様になりました。
 私の死後、保険金で葬儀を行って貰えると仮定して。
 主人用にも毎月少ないながらもお金を貯蓄しているので、私の通帳の中身は、妹の娘(姪)に譲渡したいと思います。
 その場合は、「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?

記載内容

遺留分 生前の相続放棄の合意 生前の遺留分放棄 公正証書遺言の執行 廃除
(くるみ)


【相続人である夫の立場は・・・】
 ご主人に遺産を渡したくないが、どうすればいいかという質問です。
 まず、ご主人は配偶者になりますので、妻であるあなたが死亡した場合には、本件では子供がいないということですので、直系尊属(あなたのご両親等)が存在する場合にはあなたの遺産の3分の2が、又、ご両親等の直系尊属が死亡されている場合には4分の3が、法定相続分としてご主人が相続します。

【遺言書を書く】
 まず、何よりも遺言書を作成し、ご主人以外の人に遺産全部を相続あるいは遺贈する必要があります。
 又、なぜ、ご主人に遺産を与えないかを、穏やかな表現で《付言》として記載しておくといいでしょう。
 ご主人としては、そのような遺言書であれば、やむなしとして納得する可能性があり、あえて遺留分減殺請求まではしてこない可能性もあります。

【夫を相続手続きから外す《廃除》という方法があるが・・】
 質問には《「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?》とあります。
 法律上、夫から強制的に相続人である資格を奪ってしまう《廃除》という制度(民法892条。条文は末記のとおりです)があります。
 この制度は、あなたが生前に、家庭裁判所に、ご主人から暴力や虐待を受けていたことを証明し、裁判所の裁判(審判)でご主人を相続人から除外してもらうものです。
 ただ、そう簡単には認めてくれないことが多いです。

【生前の相続放棄は法的に法的には無効で意味がない】
 生前、相続を放棄するのに同意をしてもらうことも考えられますが、残念ながら、生前の相続放棄は無効です。
 そのため、あなたの死後、ご主人が約束を翻して相続放棄をしなかったとき、ご主人は法定相続分どおりの相続することになっても、誰も文句をいうことができません。

【生前の遺留分放棄を考えてみるとよい】
 生前の相続放棄はできませんが、生前の《遺留分》の放棄は可能です(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあるのですから、互いが遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。
① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
② 遺言書がないとご主人は法定相続します。

 そのため、あなたとしては遺言書を作り、ご主人に遺産を行かないことを明らかにしておく必要があります。
 遺留分放棄の審判申立については、当ブログのQ&A №381をご参照ください。

【公正証書遺言で遺言執行者を定め、秘密裏に執行すると・・】
 過去に扱った案件ですが、他の相続人に全く知らせることなく、遺言が執行されていたことがありました。
 公正証書遺言で遺言執行者が隠密裏に執行したのです。
 自筆遺言証書であれば、その実行をするために家庭裁判所の検認という手続きが必要であり、その手続きの通知が裁判所から全相続人に行きます。
 しかし、公正証書遺言の場合、検認の手続きが不要で、即時に執行できます。
 このような場合、他の相続人の知らない間に遺産が分配され、特定の法定相続人が相続から事実上、排除されるということになります。
 但し、遺言執行者としては相続の開始や遺言の存在を知らせ、遺産目録を作成して法定相続人にも交付する義務があります。
 前記のようなケースは、これらの義務を履行しなかったために遺留分減殺の機会を奪ったものだとして、他の相続人(たとえばご主人から)損害賠償請求をされるというリスクが発生しますので、お勧めできる方法にはなりません。

・参照条文①:民法第892条(推定相続人の廃除)
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

・参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
 1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

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10:18 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

分割割合が書かれていない遺言【Q&A №373】

2014/05/08
  母が亡くなりました。遺言書に私と妹で分ける様に書いてあります。姉妹二人とも同居していません。介護はふたりでやりました。不動産は妹が相続します。妹は維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しいといいます。比率はどの様に考えたらいいですか?

記載内容

割合 預金 共有
(みくに)


【2分の1ずつ分割相続すると考えられます】
 遺言書には、分割する財産とその分割割合(例えば、不動産全部を妹さんに、その他の財産はあなたと妹とで2分の1ずつ、というような)を書くことが望ましいです。
 ただ今回のように、分割割合を書いていない遺言がすべて無効かというと、そうとも限りません。
 遺言者であるお母さんの意思を推測して、有効な遺言とすることもできます。
 今回の遺言書の記載文言がわからないのですが、たとえば、《不動産は妹さんに、残りの財産は2人に相続させる》というような内容であれば、他に2人の間で相続分が異なると記載されていない限りは、不動産以外は同じ割合で分割すると考えていいでしょう。
 なお、《不動産は妹さんに》とだけ書かれてあり《残りは2人に相続させる》という条項がない場合でも、残りの財産については、法定相続分で分割するのですから、相続人があなたと妹さんだけだとすると、結局半分ずつであり、上記と同じ結論になります。

【遺言書と異なる内容の遺産分割協議も可能です】
 妹さんが《(不動産の)維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しい》と言っておられるようですが、あなたが妹さんの申し出を受けて、そのような内容の遺産分割協議書を作成することも可能です。
 法定相続人全員が同意すると、遺言書の記載内容と異なっても有効であり、遺言書より遺産分割協議の内容が優先します。
 ただ、妹さんは不動産という財産をもらっているのだから、預貯金は少なくてもいいよ、というのが普通のように思います。
 そのため、あなたとしては、《あなたは不動産をもらっているのだから、維持管理費用は自分で出してください。預貯金は遺言どおりに半分ずつにしましょう》と言って、妹さんの申し出を断り、残りの遺産を半分ずつ分けることを考えてもいいでしょう。
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13:04 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

遺言で遺贈を受けた場合に必要な費用【Q&A №366】

2014/04/22
 遺産相続で法定相続人以外の遺贈で、マンションを頂いた場合費用はどのくらいかかるのでしょうか?中古マンション価格は3500万円位です。余り金額が掛かるならお断りしようと思っています。余り蓄えがないので、よろしくお願いいたします。

記載内容

遺贈 相続税 マンション
(東郷平八郎)


【考えられる税金や諸経費について】
 遺言でマンションなどの不動産を遺贈された場合に必要となってくる税金や費用は、

① 相続税
② 不動産取得税
③ 登記費用

です。
 これに、登記名義を移転した後には、当然のことですが、毎年、固定資産税や都市計画税を支払う必要があり、又、建物の管理費なども考慮しておく必要があるでしょう。

【相続税について】
 相続税は、遺産総額が《5000万円+法定相続人1人×1000万円》を超えた場合に課税されます。
 そのため、法定相続人が2人の場合には、相続が7000万円までは相続税の申告は不要です(但し、平成27年から、《3000万円+法定相続人1人×600万円》を超えた場合に課税されることになります)。
 今回の質問では、遺産総額も法定相続人もわからないので、相続税が課税されるかどうかはわかりませんが、遺産総額が5000万円以下なら、相続税は課税されません。
 そのため、遺贈を受けるあなたにも相続税は課税されません。
 ただ、遺産総額が多く、相続税が課税される場合には、あなたは通常の法定相続人が支払う税金より20%アップされた税金を支払う必要があります。
 なお、相続税の計算においては居住用資産の遺産算入価額の軽減等、様々な軽減措置がありますので、詳しくは不動産登記簿謄本その他の資料を入手され、税金の専門家である税理士に相談されるといいでしょう。

【不動産取得税について】
 マンションなどの不動産を取得する場合、不動産取得税が課税されます。
 この税金は平成27年3月31日までであれば、次の税額になります。
   土地:固定資産評価額×2分の1×3%
   家屋(住宅):固定資産評価額×3%(なお、住宅でない場合には掛け率は4%になります)

【登記費用について】
 あなたが遺贈された不動産の所有権移転登記する場合には、登録免許税の支払が必要です。
 通常の法定相続人の相続登記は、固定資産評価証明額の1000分の4ですが、法定相続人に対する遺贈の場合には1000分の20の登録免許税が必要になります。
 なお、移転登記を司法書士に依頼する場合の司法書士さんに支払う費用は、ネットなどでお調べ頂くか、お近くの司法書士に見積書を出していただくとよいでしょう。

【取得後も継続的な費用が必要】
 不動産を取得した後も固定資産税、都市計画税を毎年支払う必要がありますし、又、建物の管理費も考えておく必要があります。
 遺贈の対象となっているマンションが、収益をあげることのできるマンションかどうかを十分に調査した上で、遺贈受けるかどうかを検討されるといいでしょう。
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外国で作った遺言書の効力(遺留分減殺は認められるか)【Q&A №363】

2014/04/04
 私の親友Aさん(日本在住の日本人。50歳代)はNZ(ニュージーランド)に不動産などを持っており、近くまたNZに行って新たな不動産を購入予定です。

 Aさんは、家業の関係もあり、将来遺産の全てを長男Bさん(日本在住の日本人)に相続させたいと考えていますが、他にも相続権者の子どもCさん(日本在住の日本人)がいます。

 ある人が「NZには遺留分の制度はないはずだ」とAさんに教えたので、Aさんは今度NZに行くときに、「NZにある遺産は全てBさんにつがせる」という内容の(英文の)遺言状をNZで作ろうかと考えています。(AさんのNZでの資産は、その全ての資産の大部分をしめています。)

 しかし、将来Aさんが亡くなった時、NZで作ったそういう内容の有効な遺言書が存在したとして、Cさんが日本の裁判所に遺留分減殺請求をした場合、裁判所はCさんの減殺請求を認めるのではないかと私は思うのですが、正解でしょうか? 正解ではないのでしょうか? どうぞご教示下さい。

記載内容

外国 遺留分減殺請求
(Cajun Chicken)


【はじめに・・・】
 この点は《渉外を扱う法律事務所》という分野ですので、詳しくはそれらを得意としている事務所にお聞きください。
 ただ、当事務所で理解できる限度で回答をします。

【外国で作成した遺言書の有効性について】
 外国で遺言書を作成した場合、その作成した国(今回の質問ではニュージーランド)で有効な遺言書であれば、日本でも有効な遺言書と認められます。
 又、その作成した国では遺言書としては有効な方式とは認められない場合であっても、日本の民法で有効な方式で作成されているのであれば、それも有効な遺言書になります。
 これらの遺言書の方式の有効性については、末尾の参考条文①を参照ください。

【遺留分減殺請求は認められます】
 次に、有効な遺言書がある場合、その遺産分割などはどこの国の法律が適用されるのかという問題があります。
 結論から言えば、相続については、被相続人の本国法が適用されます。
 これについては、末尾の参考条文②をご参照ください。
 そのため、日本人が外国(今回の質問ではニュージーランド)で作った遺言書が有効な場合、その相続関係については日本の民法が適用されます。
 従って、遺言書の内容が、他の相続人(質問ではCさん)の遺留分を侵害する場合には、侵害された者(Cさん)は遺留分減殺請求をすることが可能になります。

【日本の判決をニュージーランドで執行できるか・・】
 質問では、遺産としてニュージーランドの不動産が含まれていそうです。
 そうすると、日本の裁判所で遺留分減殺請求を認める判決が確定した場合、その判決をもってニュージーランドで強制執行できるかという問題が出てきます(日本の裁判所でとった判決がニュージーランドで承認されるのか、あるいは別途手続きを取る必要があるのかということです)。
 この点については、当事務所では正確な回答はできません。
 このような問題については、渉外事件を扱う法律事務所がありますので、そこに法律相談され、正確な回答を得られることをお勧めします。

参考条文①
【遺言の方式の準拠法に関する法律】
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
(以下略)

参考条文②
【法の適用に関する通則法】
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

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「残余財産を〇〇に」と書かれた遺言の意味【Q&A №354】

2014/03/12
100歳で他界した被相続人の母には元々2000万円の財産がありました。相続人は私と妹の二人です。母は認知症で3年程老健に入所していました。母には内縁配偶者がいましたが、子供はいません。
 母が入所中に内縁配偶者が死亡し、遺言により4000万円が母に相続され、母の財産は合計6000万円になりました。母が亡くなる半年前に作成した公正証書遺言が見つかり、証人は妹と懇意な間柄の税理士とその職員で、私に1500万円を、残余を妹に相続する内容でした。
 調査すると母の財産管理が内縁配偶者から妹に移ると、妹は不規則に計3000万円を遺言作成前に引き出していました。したがって遺言作成時の財産は3000万円に減っています。
 妹は更に遺言作成後1000万円を引き出していました。妹はその内の1500万円は妹の孫に学費として生前贈与されたもので遺産に入らないと主張していますが、一切証拠や納税証明等はありません。
 私としては妹が引き出した内の1000万円は母の為の経費と認め、他の2500万円を不当利得返還請求し、公正証書遺言無効訴訟を考えております。
 そこで質問ですが、公正証書遺言が有効な場合、遺言にある残余とはどの時点のものですか?不当利得として認められた場合は残余に含まれてしまいますか?また上記の訴訟を行わず調停のみで1500万円より多くの相続は不可能でしょうか?

記載内容

残余財産 その余の財産 遺産の認定時点 遺留分 意思能力 遺言書の無効
(エンダ―)


【遺言にある「残余」とはどの時点のものか】
 遺言は相続開始時に効力を発生するものであり、相続開始時点(=今回はお母さんがお亡くなりになった時点)の遺産を分けるものです。
 そのため、遺言書が有効なものであれば、お母さんが亡くなった時点で残っていた預金などの財産のうち、1500万円があなたに、残りの財産はすべて妹さんに相続されることになります。

【不当利得として認められた場合は残余に含まれるのか】
 お母さんの遺産がどのように増えようが、新たな遺産が見つかろうが、あなたの相続するのは最大で1500万円にしかなりません(逆に言えば、1500万円以下だった場合には妹さんは一円も相続できず、あなたが遺産をすべて相続するだけ、という内容です)。
 そのため、あなたが妹さんの不当利得などを発見しても、それは妹さんが相続する《残余》財産が増えるだけであり、あなたが相続する財産が増えることはありません。

【調停を有利に導くためにどんな主張をするべきか】
 調停を有利に展開するためには、まず、どういう主張をだすかという問題があります。
 遺産全体が最大限で6000万円ということですので、あなたの遺留分は最も多く考えても4分の1の1500万円です。
 遺言では1500万円をあなたにということですので、遺留分侵害の問題は生じません。
 そのため、あなたとしては、遺言書の作成時点で、お母さんには意思能力はなく、遺言は無効であると主張されるといいでしょう。

【調停では遺言書の無効かどうかを判断しない】
 次に調停はあくまで話し合いであり、証拠調べなどはなく、又、遺言書が無効かどうかの結論を出すところでもありません、
 ただ、あなたの方が、遺言書が無効であるという確実な証拠を提出できるのであれば、調停委員としても、遺言書の無効の可能性があることを配慮して、相手方に1500万円以上を出すように話しかけてくれる可能性があります。
 お母さんの介護記録や病院のカルテ等、意思能力がないことを裏付ける確実な証拠を獲得する努力をお続けになるといいでしょう。
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日付のない遺言と内容に問題ある遺言【Q&A №346】

2014/02/18
 私は、父から、30年前から数回にわたって、自分に何かあった時には、お前の分は分筆してあるからと、口頭で言われ、その都度、わかりました、と言ってきました。
 現在、私の自宅下の土地を含む、土地40坪が、亡き父名義で、分筆登記がされております。
(2筆のうちの1筆)
 父が亡くなったあと、遺言書が出てきて、私の遺言書には日付がなく、無効なものでした。
 しかもその無効な遺言書には、30坪を相続させると書かれておりました。
 遺産分割協議は、紛糾しており、これから、調停・審判か、裁判になりそうです。
 私は、分筆してくれていた40坪の権利を主張することは、可能でしょうか?
 お手数ですか、よろしくご指導ください。
記載内容

日付 意思能力 無効な遺言書の利用法 代償金
(adachitomonokai)


【要式を満たさない遺言は無効】
 質問にも記載されていることですが、遺言はその方式が法律(民法)で厳格に定められています。
 必要な方式は、日付、署名及び捺印であり、これがない場合には遺言書は無効です。
 お父さんの作成された遺言書が出てきたようですが、日付がないというのであれば、お父さんの筆跡で書かれた遺言書であっても、遺言としての法的な効力はありません。

【調停や審判での分割に際しての事情として考慮はされる】
 ただし、あなたとしては、遺言書に記載された30坪の土地は自宅の敷地ということですので、その土地を確保したいというお気持ちでしょう。
 そこで、遺言として有効とまでは言えなくとも、お父さんの意思を実現させるための手段としてその遺言書を利用する方法が考えられます。
 あなたに自宅の敷地を取得させてあげたいという意思がお父さんにあったことは遺言書の記載から見て間違いないのだから、《30坪(あるいは40坪)の土地についてはあなたに相続で取得させるべきだ》という主張をされるといいでしょう。
 調停の場合の調停委員としても、あなたに40坪を取得するように他の相続人を説得し、又、審判の場合の裁判官としても、お父さんの意思を考慮してそのような内容の審判をする可能性が高いです。
 ただ、遺言は有効ではありませんから、絶対に40坪の土地を優先的にもらえるわけではありません。
 又、あなたの相続分は法律どおりですので、40坪の土地を取得できても、差額として他の相続人に代償金を支払うということも当然ありえますので、その点は間違いのないようにご理解ください。
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確実に子どもに家を相続させるには【Q&A №323】

2013/10/30
 都内の一軒家に住んでいます。資産価値は分不相応と思われます。
 現在、毎月のローンを払っていますが、死亡時は保険にてローンの残額が相殺されます。
 家の名義は自分ですが、死亡に伴い妻になるかと予想されます。
 子供は二人います。
 自分の死亡後の事ですが、もし仮に妻が再婚し、家の名義を再婚相手に書き換えたり、共同名義にしたりすることは可能でしょうか?
 その後、その家は自分の子供に相続されるのでしょうか?
 再婚相手に子供がいた場合はどうなりますか?
 また、自分の子供に確実に相続する方法はありますか?

記載内容

遺言 再婚 養子
(ふじ)


【自分の死亡後の事ですが、もし仮に妻が再婚し、家の名義を再婚相手に書き換えたり、共同名義にしたりすることは可能でしょうか?】
 ご相談にありますとおり、あなたの死亡後に奥さんが家を相続すれば、それはもはや奥さんの財産であり、再婚相手に譲ることも自由です。
 確実に子どもさんに相続されるという保証はどこにもありません。
 奥さんに悪気はない場合でも、将来お金に困って売却するという可能性もないわけではありません。

【その後、その家は自分の子供に相続されるのでしょうか?】
 家が再婚相手の名義になった場合、その再婚相手が子供のないままに死亡した場合には、家の名義は、再婚相手の配偶者(つまりあなたの奥さん)と再婚相手の両親になります。
 両親がいない場合は、あなたの奥さんと、再婚相手の兄弟が相続人になります。
 あなたの子供は、再婚相手の養子にならない限り、家を相続することはありません。

【再婚相手に子供がいた場合はどうなりますか?】
 再婚相手が死亡した場合、あなたの奥さんと再婚相手の子供だけが相続人となり、家を相続します。
 なお、再婚相手があなたの子供を養子にした場合には、あなたの子供も相続人になり、家をその法定相続分の限度で相続します。

【自分の子供に確実に相続する方法としては、遺言を利用する】
 自分の子供に確実に相続するために遺言を利用することが可能です。
 まず、遺言で子供たちに家を相続させることにします。
 次に、奥さんには遺留分(4分の1)があるので、その分に相当する全遺産の4分の1を預貯金などで奥さんに与えることを遺言に記載すれば、家はあなたの子供名義になります。
 次に、一旦は奥さんの単独名義にしておきたいというのなら、奥さんが単独で家を相続すると遺言しておき、《家は自分の子供達に相続させるようにしてくれ》とも遺言しておくしかないでしょう。
 しかし、《家は自分の子供達に相続させるようにしてくれ》というような遺言の文言は、あくまであなたの希望に過ぎず、奥さんに対する強制力を持ったものとはならないことに注意する必要があるでしょう。


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13:56 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

詐欺・脅迫による遺言の無効【Q&A №322】

2013/10/30
  
公正証書遺言の遺言執行者とその代理人弁護士との間で遺留分減殺請求の交渉をしていますが共同相続人の一人である遺言執行者Aが強気の為、交渉が難航しています。
 この公正証書遺言を無効に出来れば一機に遺産分割の進展が望めると思い相談いたします。民法891条(相続人の欠格事由)では、遺言を無効とする5項目を定めておりますが4項の脅迫や詐欺により遺言が無効とされた判決事例を教えて下さい。

記載内容

詐欺 脅迫 欠格事由 受遺者 公正証書の取り消し

(キギ)


【当事務所の使用している判例検索システムでは参考判例は見当たらない】
 民法891条は「相続人となることができない」者(相続欠格者)を列挙していますが、その4号に、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が記載されています。
 ご相談の内容は、詐欺・脅迫によって遺言がなされた場合、その詐欺・脅迫をした者を相続欠格者として遺言の効力を否定するような案件が問題となった判例はないかというものです。
 結論から申し上げれば、当事務所が使っている第一法規の判例検索システムで検索しても、詐欺・脅迫と相続欠格が問題となった判例は出てきませんでした。
 また、当事務所でも同種の争点が問題となる案件を扱ったことはありません。

【参考までに】
 今回の質問では《公正証書を無効》にする手段として、相続の欠格事由が使えるかどうかを検討されています。
 しかし、相続の欠格とは、ある相続人の相続資格を否定するだけであり、公正証書遺言自体を無効にするものではありません。
 もし、公正証書自体を無効にしたいのであれば、相続人として(被相続人が有していた)詐欺・強迫による取消権を相続で取得したとして、その取消権を行使するという方法も検討の余地があります。
 参考までに付言しておきます。

※本件には直接関連しませんが、相続欠格については昭和63年の仙台地裁の判決がありましたので、「【判例散策】昭和63年5月31日 仙台地裁判決」で解説しています。



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13:39 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人でない人物が遺産を受け取る場合【Q&A №318】

2013/10/02
  
父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。おばも何かと私に頼ってます。
 つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
 叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
 叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑
 叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
 スムーズに終わらせる方法ってありますか?
 もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
 どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

遺留分減殺請求 相続税 贈与税


(のん)


【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
 叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
 質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
 普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
 しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。

【遺言書作成の際に注意すべき点】
 質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
 しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
 そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
 費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。

【相続と贈与との税額の相違】
 遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
 相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
 (但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)
 一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
 このように、贈与より相続の方が節税になります。
 但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。

【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
 お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
 そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
 そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。


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11:34 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

長男が相続した不動産の賃料を母は受け取ることができるか?【Q&A №296】

2013/07/11
定年退職後に同居を始めた兄夫婦に頼まれて、父が「土地 建物(テナント併設)不動産を全て長男に相続させ、現金預金を妻と長女(私)に残す」という、公正証書遺言書を作成してしまいました。妻のことが心配になり、その後 自分で 「○○年○月に作成した遺言書にそって、財産を相続させます。ただし、妻の老後のために家賃収入は全て妻に相続させることにします」という自筆遺言書を作成したから、死後に出してほしいと長女の私に預けました。この後からの自筆遺言書で、不動産が長男名義になった後に、法定果実の賃料を、母はどうしたら 受け取ることができますか?
よろしくお願いします。

記載内容

賃料 遺言 管理費用 検認

(なつ)


【相続が開始すればまず、検認を】
 先に公正証書遺言があっても、その後に自筆遺言があった場合、後の自筆遺言が優先します。
 ただ、自筆遺言の場合、家庭裁判所の検認という手続をする必要がありますので、相続が開始した場合には早急に遺言検認の手配をしましょう。

【履行しなければ、負担付遺贈の取り消しを請求する】
 検認が終了したら、賃料はお母さんに渡すようにお兄さんに申し入れる必要があります。
 それでも、お兄さんが賃料をくれない場合には、相当期間を定めてお兄さんに履行を催告する書面を送付する必要があります。
 それでもなお、お兄さんが履行しない場合には、家庭裁判所にお兄さんへの負担付遺贈の遺言を取り消してもらう手続きをすることができます。

【調停などにもつれ込む可能性が高い】
 お父さんの遺言によりますと、長男の方は賃料は受け取れないにもかかわらず、テナントの賃貸に要する管理費用や固定資産税の支払いなど、賃貸人や不動産所有者として負担を余儀なくされそうです。
 長男としては納得できないと言い出す可能性が高いと思われます。
 これらの点を考慮すると、長男の方が簡単に賃料をお母さんに支払わない可能性もあります。
 本件については、遺言の検認手続きから始まり、現実の支払いまでに様々な動きがあるように思いますので、できれば早期に法律の専門家である弁護士に相談し、場合によれば委任することをお勧めします。


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13:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言無効判決に必要な証拠【Q&A №292】

2013/07/02
 現在私は、公正証書遺言を無効とする判決を得たく努力しています。その公正証書遺言は以下のような手順で作成されたようです。90歳を越えたひとり暮らしの母に長男夫婦が自分たちに極めて有利な遺言を書かせるために母を公証役場に連れて行きました。証人2名は母の甥夫婦で安心させ予め権利書で主たる財産である母の土地建物を自分たちに相続させる内容となっています。
 さて本件公正証書遺言の母は要介護3に認定されたばかりで前記夫婦の力をかりなければ立ち上がることも歩くことも出来ない状だったと思います。このような状況で本当に自分の自由意思を以って遺言書を書いたかどうか非常に疑問に思っています。介護3の認定記録の他にどのような物的証拠があれば遺言無効の判決が得られるか教えてください。よろしくお願い致します。

記載内容

長谷川式認知スケール カルテ 看護記録 認知症 介護施設

(キータン)


【要介護3でも遺言できる】
 要介護3の人でも、それが身体的な理由であれば、遺言をすることが可能です。
 遺言で問題となるのは物事を認知し理解して判断を下す能力(意思能力といいます)であり、足腰が弱っていたこととは全く別物だからです。
 例えて言えば、車いすのお年寄りの方でも意識の明確な方は多数いらっしゃるということです。

【カルテの取り寄せを検討する】
 遺言を無効にするには、次の2つのうちのどちらかである場合が多いです。
① 遺言の偽造など、遺言が本人の意思に基づいていない。
② 遺言者に意思能力がなかった。

 今回の質問では公正証書遺言ということですので、②の問題となります。
 この意思能力の判断では、カルテなどが参考になります。
 お母さんが入院していたのなら、そのカルテを取り寄せして、その記載内容を確認しましょう。
 また、通院していたのなら、念のためにそのカルテを取り寄せしましょう。
 カルテにはお医者さんの所見や看護師の病状記録などがあり、当時のやりとりや健康状態を詳しく記載しており、当時の意思能力を知る上で大変重要な資料として裁判所も重視します。

【認知症の検査結果が重要です】
 最大の決め手となるのが認知症の検査結果です。
 この検査にはいくつかの方式があるようですが、著名なところでは長谷川式認知スケールという検査方法(参照:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)があり、この検査を当時行っていればその検査結果が重要な証拠として扱われるでしょう。
 この検査結果は、病院で行われ、カルテなどとともに保存されていることがあります。このほか、介護施設によっては、長谷川式認知スケールを定期的に行っているところもありますし、介護施設への入所の際の参考記録として実施しているところもあります。
 そのため、当時お母さんが入院・通院をしていた医療機関や介護施設などに問い合わせてそのような記録がないか調査してみることをお勧めいたします。



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13:10 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割成立後に出てきた遺言は有効か?【Q&A №290】

2013/07/02
 分割協議・遺産分割・相続税申告完了の半年後に、家裁から遺言書検認の通知が来ました。遺言書の有効性をチェックしたいので、その方法と留意点を教えてください。

①遺言書有効性チェックの手順
  ・筆跡等から無効確認の可能性の見当をつけるための費用
  ・無効確認の法的手続きとその費用・所要期間
  ・その他留意事項

②遺留分確保の協議は、遺言書有効チェックに先立って進めるべきですか?遺言執行人への対抗はできますか?
 遺産は土地・建物(固定資産税評価額約90百万円)と預金数百万円で、相続人は質問者の妻・被成年後見人Aとその妹B(被相続人・亡母と同居、医師)です。
 協議に際して被相続人末弟は、Bに土地建物を継がせる遺言書を書いた筈と述べましたが、Bは見つからなかったと否定。Bは被相続人との長年の同居と孝養を理由に土地建物に取得を主張しましたが、Aは法定相続分確保は後見人責務と反論し、最終的に代償金を払って土地建物をBが取得することで決着しました。

記載内容

遺産分割協議 遺言 筆跡鑑定 錯誤 遺言執行者


(testament)


【遺言と遺産分割協議の関係】
 遺言があっても、相続人全員の合意で遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることができます。
 ただ、遺産分割協議の時点に遺言の存在を知らなかった場合には、
① 当然に遺産分割協議が無効になる
② 遺産分割協議は有効であるが、遺言が存在していることを知っていたのなら、そのような内容にしなかったということで、錯誤により無効になる可能性がある

という2つの回答が考えられます(当事務所の弁護士の協議では、②の扱いでいいのではないかという意見です)。
 遺産分割協議が有効という前提に立てば、積極的に遺言無効確認訴訟をする必要性はありません。相手方または遺言執行者が、遺産分割協議が錯誤により無効であったとして、遺産分割した財産の返還請求訴訟をしてきた段階で、それに対抗する手段として遺言無効確認訴訟を反訴として提起すればいいと思われます。

【遺言無効訴訟について】
《筆跡鑑定費用》
 遺言の無効を認定してもらう訴訟ですが、無効の原因によって訴訟の手間も期間も異なります。
 被相続人の筆跡ではないということを無効原因とするのなら、筆跡鑑定が必要となります。
 筆跡鑑定費用はケースや鑑定人などによって異なるのですが、これまでの経験では50万円~100万円の間である場合が多かったです。

《法的手続き》
 既に遺産分割協議に基づく遺産の分配が終了しているのであれば、まず、執行者から返還請求訴訟が提起され、それに対応する形で遺言無効確認を反訴で提起するということになるものと思われます。

《弁護士費用》
 裁判をする場合、裁判所等に支払う印紙や郵便切手などとは別に、弁護士費用が必要です。
 弁護士費用は各事務所により算定方法が異なるのですが、当事務所では遺言書を無効にした場合に各相続人が受ける利益(=具体的相続分-遺言が有効であった場合のあなたの相続分)を前提に弁護士費用を算定します。
 具体的には、依頼される弁護士とご相談願います。

《期間》
 期間としては、ケースにより異なりますが、筆跡が主たる争点だとすると1年半程度を見込めばいいでしょう。

《その他の留意点》
 筆跡鑑定ということになると、被相続人(遺言者)の手紙や日記等の比較対象物が必要不可欠ですので、できるだけ多く収集する必要があります。
 なお、今回の質問のケースでは、訴訟も考えられますので、法律の専門家である弁護士に早期に相談し、そのアドバイスで進めるのがいいでしょう。

【遺留分の確保】
 遺言が有効であった場合には遺留分の行使が考えられます。
 そのためには、遺留分減殺の意思表示が必要です。
 これは遺言書の内容を確認し、遺留分を侵害した相手方に対して送付する必要があります。
 遺言執行者に対抗するため、その執行者にも送付しておくといいでしょう。
 なお、「遺留分確保の協議は、遺言書有効チェックに先立って進めるべきですか」という質問がありますが、遺言書が有効であることが確認できない段階では遺留分は侵害されていませんので、遺留分についての協議はするべきではないでしょう。


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死亡通知人は遺言内容も通知する義務を負うか【Q&A №271】

2013/04/22
遺言執行者が第三者で、死亡通知人が相続人の場合、死亡通知人の公正証書作成時(遺言執行前)の義務と権利について教えていただきたい。例えば、相続人が複数いる時、死亡通知人が他の相続人に公正証書の内容を明かしてはいけないんでしょうか(秘密にする義務があるのでしょうか)。

記載内容

死亡通知人 公証役場 

(renpapa)


【法律上、《死亡通知人》という制度はない】
 被相続人が生前、自分が死亡した場合、その死亡の事実及び遺言書の存在及び内容を相続人に知らせて欲しいという場合が考えられます。
 その指定された人を《死亡通知人》と呼ばれているのだと思います。
 しかし、死亡通知人というのは民法(遺言や相続について定める法律)などの法律で定めた役職ではありませんので、法律上、当然に権利義務が発生することはありません。

【《死亡通知人》のなすべき事項は】
 本件では公正証書遺言が作成されるようですが、その中で《死亡通知人》を遺言者が一方的に指定しても、その指定された《死亡通知人》に何らかの権利が発生し、あるいは義務を負うということはありません。
 ただ、《死亡通知人》が遺言者との間で、別途、何らかの合意をしている場合には、その合意の内容に従って、権利義務が発生します。
 質問ではそのような合意の有無や内容が記載されていませんが、仮に《死亡通知人》が指定されており、その指定された人が《死亡通知人》となることを了解したのなら、次のような行為をする必要があるでしょう。

①相続人に対して、被相続人が死亡した事実を通知する。
②被相続人が公正証書遺言をしたことも併せて通知する。


 各相続人としては、最低限、この①及び②の事実を通知してもらえれば、公証役場に遺言書の有無及び内容を確認することができますので、死亡通知人としてはなすべきことを果たしたということになるでしょう。

【公正証書遺言の内容を明かすことの当否】
 公正証書遺言の内容を明かすことの当否は、遺言者との間でどのような合意があったかによって決定されます。
 生前、遺言の内容を明らかにしてほしいとの合意が遺言者との間であったのであれば、当然に公開していいことになります。
 公開について何らの合意もない場合には、遺言の内容まで明かにしないのが無難でしょう。
 遺言の内容を明らかにしたことによって、遺言執行に支障が出てきた等のクレームが出る可能性があるからです。
 ただ、通知を受けた相続人から遺言の内容を聞かれることも考えられますが、その場合には公証役場で遺言書を確認することができるという説明をする程度に留めておくといいでしょう。


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★登記されなかった遺贈は誰のものか【Q&A №253】

2013/03/08
Aは2人姉妹の次女ですが、Aの母は自分名義の不動産を長女B(Aの姉)に相続させる旨の遺言を残し死亡しており、その所有権移転登記前にBも亡くなってしまいました。
 また、Aの父は母と離婚した後、血の繋がっていない2人を養子とする養子縁組をし、今は死亡しています。
 Bは独身だったため、配偶者も子もいません。
 この場合、母名義の不動産は遺言により一旦亡くなった長女に相続されたので、長女の所有財産として第三順位の相続人であるAと同様、父の養子2人も相続権を持つのでしょうか?
 それとも母の相続財産としてAのみが取得するのでしょうか?

 また、長女名義の別の不動産も1つあるのですがこれについても父が離婚後に養子にした2人は長女の兄弟姉妹としてAと共に相続権を持ちますか?
 またこの場合養子2人の相続分の合計はAの相続分の2分の1になるのでしょか?ご回答宜しくお願い致します。

記載内容

遺贈 養子 半血 全血
(るい)


【相続登記がなくても、相続で所有権は移転している】
 遺言で、「長女B(Aの姉)に相続させる」ということであれば、相続登記をするか否かに関係なく、Aさんのお母さん名義の不動産は長女Bさんのもの(所有)になります。
 遺言は死亡によって効力を発するものだからです。
 そのため、移転登記がされないままに、長女のBさんが死亡したとしても、Bさんがその土地の所有権を有しており、Bさんの遺産ということになります。
 そのため、この不動産は、あくまで長女のBさんの遺産として、その相続人に引き継がれることになります。

【養子も長女Bの相続人である】
 長女Bの相続人は、次の順序で決定されます。
① 第1順位・・配偶者及び子
② 第2順位・・父母
③ 第3順位・・兄弟姉妹(以下、単に「兄弟」と表記します。)


 本件質問の場合、長女のAさんには、第1順位及び第2順位に該当する人がいないようですので、兄弟が相続人になります。
 養子であっても、お父さんの子である以上は、Aさんとともに、兄弟として相続人となります。
 結局、お母さん名義の不動産は遺言により長女Bに相続されて、長女Bの遺産となっており、そのBさんが死亡されたのであれば、第三順位の相続人であるAと同様、父の養子2人も兄弟として相続権を持つという結論になります。

【半血の兄弟の相続分は、全血の半分である】
 ただ、養子であってもお母さんを異にする兄弟(以下、半血の兄弟と呼びます)である以上、相続分は父母を共通にする兄弟(以下、全血の兄弟といいます)の2分の1です。
 この扱いは、遺贈された財産だけでなくそもそも長女(A)が有していた財産についても同じになります。
 その結果、各養子の相続分はそれぞれ4分の1ずつになりますので、その合計はAの相続分(2分の1)と同じになります。
 ただ、半血の兄弟の相続分が、全血の兄弟の半分という点については批判が多く、最高裁で見直す判決が出る可能性があるという情報もあります。


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遺留分減殺と生前贈与【Q&A №243】

2013/02/14
父が亡くなり姉と私が全て遺産を二分の一ずつ相続しましたが兄から遺留分の請求がきました。
 40年前ですが兄は理系の私立大学に7年在籍し結局卒業出来ませんでした。その時の費用は勿論父が出しています。

 これを生前贈与を受けたと主張する事が出来るでしょうか?

 何分時が経っているので贈与があったとどう証明すればいいでしょうか?
 家族や親戚はその事実を知っていますがやはり何かの書類等で証明しなければ贈与があったとは認められませんか?

記載内容

生前贈与

(さよこ)


【遺留分請求者に対する生前贈与の扱い】
 遺留分請求者に対する生前贈与(特別受益)があった場合、遺留分侵害の額が減らされることがあります。 これは、相続人に対する生前贈与が遺留分算定のための基礎財産に算入されることによるものです。
 また、実際にも、生前贈与(特別受益)を考慮すれば遺留分侵害がないとして、遺留分減殺請求を認めなかった裁判例もあります。
 このため、請求者であるお兄さんの生前贈与(特別受益)があれば、お兄さんの遺留分侵害を減少させることが認められる可能性はあります。

【学費の扱い】
 一般に、《特別受益》というのは生計の資本(住宅購入資金や結婚資金など)としての贈与であることを意味しますが、学費などの場合は「生計の資本」と言えるかどうかという問題があります。
 特に最近は多くの人が大学まで行く傾向があるため、学費が直ちに特別受益にあたるかどうかは問題があります。
 ただ、本件では理系の大学に7年間も在席して、しかも卒業できなかったというのですから、少なくとも、3年分程度の学費や生活費は出さなくても良かった分ですので、これを特別受益と主張すること自体は何らおかしいことではないでしょう。
 しかし、その金額がどの程度かが問題になります。
 あえて特別受益と認めなければ相続人間の公平を害する程度の金額と言える場合、例えば、学費も高く、生活費も高額を送金していたような場合などには、特別受益として認められる場合もあると思われます。

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12:02 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺留分割合の計算【Q&A №241】

2013/02/08
 被相続人         A
 Aの長女          B
 Aの養子(長女の夫)  C (相続調停中に死亡)
 B Cの長女       D (他家に嫁ぐ)
 B Cの二女       E (他家に嫁ぐ)
 Aの二女        F
 Aの三女        G (私は Aの三女 Gです)

 AはBCに1億円相当の不動産を2人に等分に相続させる旨の一部遺言を遺す。
 遺産は他に 400万の預金 300万の現金を遺す。
 Aの死亡後、 相続調停中 9ヶ月後 Aの養子Cが死亡した。
 D, EはB,Cの子供ですが、 B,Cが養子縁組する25年前に出産した子供です。

以上の状況で下記の3点を教えて頂きたく メール致します

 1. Aの子供 二女F  三女Gの遺留分計算方法
 2. Cの死亡後、 Aの遺言相続はD,Eに承継されるのか
 3. FGからCへの遺留分減殺請求はすでに送付済であるがD,E対しても遺留分減殺請求を送付しなければならないのか?

 以上 よろしくお願いいたします。

記載内容

養子縁組 数次相続

(そらいろ)


【質問1・・遺留分の計算】
 遺留分について非常によく勉強され、整理されているように思われます。
 今回の被相続人Aさんの相続人は3人の娘(B・F・G)と養子であるCの4人です。
 それぞれの相続分は本来4分の1ずつであり、遺留分はその2分の1ずつです。
 上記のことから、財産のほとんどがBとCに遺贈された場合の遺留分は次の通りとなります。
F・・・8分の1(4分の1×2分の1)
G・・・8分の1(4分の1×2分の1)

【質問2・・D・Eの相続】
 Cは相続に関し調停中に亡くなられたとのことですので(このような場合を数次相続と呼びます)、Cを相続するB・D・Eが、Cの相続分を法定相続割合に応じて引き継ぐことになります。
 今回は、Aの死亡後にCが死亡したという順序ですので、代襲相続ではなく、配偶者も相続人になる通常の相続になります。
 この点はB・Cの養子縁組前にD・Eを出産した場合でも変わりません。

【質問3・・遺留分減殺請求を受けた地位も引き継ぐ】
 今回はD・EがCの地位を引き継ぐ結果、D・Eは「遺留分減殺請求を受けた地位」も引き継ぐことになります。そのため、法的には、改めて遺留分減殺請求の通知を送らなくとも、請求権が失効するわけではありません。
 ただし、実際上はD・Eを紛争(あるいは調停)に巻き込む必要が出てきますので、念のためにD・Eに対し遺留分減殺請求を通知し、紛争・調停の当事者であることを明確にしておく必要があるでしょう。

 
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16:46 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

公正証書遺言の効力はどこまで【Q&A №224】

2012/12/27
 相続について
 義母の相続についての相談です。

 義母の母親が亡くなって、義母の母親名義の土地を相続するのにあたり公正証書を巻いてあった土地を長男が相続しました。 残りの土地は祖母が相続できる約束だったらしいのですが、兄弟達が権利を主張しだしました。

 兄弟は4人で一人は亡くなっています。
 亡くなった兄弟の親族は相続を放棄してくれるといっているのですが、残りの2人が欲しいといっています。

 公正証書を巻いてあっても、他の兄弟に相続の権利は有ったのでしょうか?
 もし権利があったら、さかのぼって相続はできるのでしょうか?

 義母の母親が亡くなったのは数年前の話で、長男は亡くなって直ぐに相続の手続きをしました。
 ちなみに義母は、その時の相続では判子は押していないと言っています。
(匿名希望)


記載内容

遺言に記載されていない財産 公正証書 被相続人との約束 印鑑の要否

【遺言の効力は記載された財産のみ】
 義母の母親(被相続人)の遺産(土地)について、公正証書が巻いてあったという記載がありますので、公正証書遺言があったと理解して回答します。
 公正証書遺言であろうと、自筆遺言であろうと、遺言の効力はあくまで遺言に記載された財産についてしかありません。
 そのため、今回の公正証書遺言に、今回長男が相続した土地以外の財産が書いていなかったとすれば、その他の財産については、長男も、他の相続人も法定相続分どおりで、これらの遺産を相続します。

【祖母が残りの土地を取得する約束だった・・・】
 祖母が残りの土地を取得する約束があったようですが、それを証明できるようなものがあるのでしょうか。
 証明できるようなものであれば、生前贈与なり、死因贈与なりを主張し、他の相続人には相続でいかないと主張されるといいでしょう。
 なお、公正証書遺言にその記載があったというのなら、その遺言に基づき登記をされるといいでしょう。他の相続人は、法定相続として権利を主張することはできません。
 但し、参考までに言えば、祖母が相続で多くの不動産を取得するという場合には、他の相続人の遺留分を侵害することが多く、他の相続人としては遺留分減殺請求をすることが可能です。

【遺産分割に時効はない】
 義母の母親が亡くなったのは数年前とのことですが、遺産分割に時効はありませんので、死亡時(相続開始時)から何年経過した後でも、遺言等に基づき登記などをすることは可能です。

【遺言と印鑑の要否】
 公正証書遺言がある場合には、特に他の相続人の印鑑は不要です。
 したがって、長男は公正証書遺言のみで、祖母の印鑑をもらわずに登記をされたのでしょう。
 同様に、祖母が遺産をもらうことが公正証書遺言に記載されている場合には、義母は他の相続人の印鑑をもらうことなくその財産を取得することができます。


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16:11 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分放棄申立に預金の記載は必要か【Q&A №223】

2012/12/20
 遺留分放棄について
 遺留分放棄についておたずねします。
 私、妻ですが結婚前の預金等、持家があります。
 この度の再婚を機に子供にすべて残したいため(私の連れ子)現、主人と話し合いをしたところ遺留分放棄を書くとのことですが(遺言書は書いています)家庭裁判所に申し立てをする時の書式に預貯金を書く欄があるのですが、(持家、動産は主人も把握済み)主人は私の預貯金は知りません。知った場合は書かないかもしれません。
 一括での生前贈与は贈与税がかかるので年110万以下をやっておりますが、期間がかかりすぎます
 預貯金を知られたくない場合で、もし書かなければ、その預貯金は放棄の対象にはならないのでしょうか?
 金額を書かずにすむ方法はないでしょうか?
記載内容

遺留分放棄 財産目録 無効
(rika0405)



【事実を記載する必要がある】
 生前の相続放棄は、法律上、認められませんが、遺留分の放棄は認められています。
 ただ、その放棄については家庭裁判所の許可が必要です。
 家庭裁判所としては、遺留分の放棄をする者(本件ではご主人)が、遺産がどの程度あるのかを知った上で、なおかつ、遺産(遺留分)は要らないという放棄の意思表示するのかを確認するために、遺産の内容を記載させるのです。

【虚偽の記載をした場合の問題点】
 裁判所としては、遺産の内容が少なかったからといって、常に裏づけ資料まで提出を求めるわけではないので、虚偽の遺産内容を記載した遺留分放棄書であっても許可されてしまう可能性はあると思います。
 ただ、あなたが死亡したとき、何らかの形で、放棄許可の遺産内容に虚偽があったことが判明した場合には、遺留分放棄が無効だという主張が出てくる可能性は残るでしょう。
 なお、念のために言えば、子供さんに生前贈与をし続けると、その分、あなたが死亡した時点での遺産内容は大幅に少なくなっていきます。その結果、放棄書記載の遺産内容と現実の遺産の内容がそれほど変わらない状態となってしまう可能性も考えられます。このような場合には、記載された遺産内容が虚偽であるとは断定できなくなるということはあるかもしれません。しかし弁護士としては、やはり、ご主人に事情を説明し、理解を得るしかないと言わざるを得ません。
 本件では、ご主人に正面から事情を説明し、子どものためであることを説得し、理解を求められるべきでしょう。

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13:46 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

入院給付金は、預金になるか?【Q&A №212】

2012/11/13
 生命保険の入院給付金について

 親が死亡し、生命保険とかんぽ生命で(生前請求していなかったことから)入院給
付金が相続扱いで支払われることになっています。

この入院給付金は遺産の中の「預金」になるのでしょうか?
「現金」でしょうか?それとも別の何かでしょうか?

と申しますのは、
親の遺言書があり、「預金は全て私に相続させる」とありました。遺産は「預金」だけです。

この入院給付金は、どのように考えればよいのでしょうか?

よろしくお願いします。 

記載内容

入院給付金 預金 遺贈 
(こう葉)


【保険給付金は預金ではない】
 遺言で遺産のうち、預金をあなたに相続させるという記載があったということですが、預金とは《銀行や農協、信用金庫などの金融機関に預けているお金を返還請求できる権利》という意味です。
 これに対して、入院給付金権は、《保険会社との契約で支給される保険金を請求できる権利》です。この権利という側面をとらえて、預金のことを「預金債権」と呼ぶこともあります。
 同じ請求を受けることができる権利でも、入院給付金は金融機関に預けている金銭ではありませんので、預金にはなりません。
 なお、参考までに言えば、《一切の「債権」をあなたに相続させる》というのであれば、入院給付金もあなたが相続することになるでしょう。
 但し、簡易保険(かんぽ)の場合には、念のため、入院給付金が相続の対象となるのか、あるいは約款で別途の扱いになるのかを調べる必要があるでしょう。

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