生前贈与・特別受益 : 記事一覧
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認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】

2017/11/20


【質問の要旨】

認知症の義母からの贈与は受け取っても問題ない?

記載内容  認知症 義母 贈与 

【ご質問内容】

 金庫の中には散々娘や孫にあげた後のおもちゃのようなのが数点、寺の権利書(?)と80万くらいあると言い、私にあげると言ってききません。何時忘れるかわからない状況ですので、私は貰いたくありません。
 後で無い!盗られた!と言い出す可能性もありますし、絶対揉めないと義母は言いますが、娘さんが義母没後何も言わないとはかぎりませんし。
 言ってることが毎日変るし、以前1点だけ親戚中居る中で貰いましたが、私は預かってるつもりです。その事は言いません(忘れてるか?)なので預かるつもりで一旦受け入れておいた方がいいのかなとも思いますが正直面倒くさいです
法律的にどうなりますか?



(介護妻)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【義母に意思能力がなかったとして、贈与が無効になる可能性がある】
 まず、義母の亡くなる前に発生が予想される問題について述べます。
 他人にものを預ける、あるいは贈与する場合、贈与する人に判断(意思)能力がない場合、その行為は効力がありません。
 義母は認知症だということですが、その程度によっては意思能力がなかったということで、金庫の中身を預ける行為も、あるいは贈与する行為も、無効になりかねません。
 この場合、義母からあなたが金庫の中身を受け取ったとしても、後に義母の後見人やその相続人から贈与行為等は無効だとして返還を求められる可能性があります。

 その際、金庫にはもっと多くの財産があり、それをもらったのだろうと主張される可能性も考えておく必要があります。
 そのため、可能な限り、そのようなものを受け取ることは避けられるのが賢明でしょう。
 もし、どうしても受け取らざるを得ないのなら、第三者に立ち会ってもらって、何をもらったのか(可能であれば他にはもらっていないことも)また、贈与なのか預かるだけなのかを書面化しておくといいでしょう。
 もし、預かるというのであれば、何の目的でいつまで預かり、いつ返還するのかという点を書面で明確にし、返還期限に返還を実行することが必要です。

【後に特別受益を主張される可能性もあるが、原則特別受益にはならない】
 次に、義母の死亡後の相続の観点から考えてみます。

1)判断能力欠如による返還請求の可能性あり
 まず、義母の死亡後には、その相続人となった子が、義母には意思能力がなかったから、贈与等は無効だ、返還せよと主張してくる可能性があります。

2)配偶者の特別受益を主張されるかもしれない
 次に、あなたの配偶者もまた相続人になります。
 相続人が生前に贈与を受けた分は、特別受益として遺産分割の際に遺産に持ち戻しする必要があります。
 ただ、今回の場合、贈与を受けたのは相続人であるあなたの配偶者ではなく、相続人ではないあなたですので、原則として特別受益にはならないでしょう。
 ただ、他の相続人としては、(それが法律的に認められにくいとしても)あなたが贈与を受けたということは、《あなたと一体の立場》にあるあなたの配偶者がもらったものだとして、配偶者の特別受益を主張してくる可能性がなくはありません。
 この点については、すでに述べたように、本来、特別受益は相続人本人に対してされた贈与のことを言いますので、相続人の配偶者であるあなたが贈与を受けたものは、原則として特別受益にはならないと反論するといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
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アパートの生前贈与【Q&A №587】

2017/11/10


【質問の要旨】

父からアパート(建物のみ)を生前贈与した。
父の死亡後、妹から土地を含めた評価額を元に計算した金額を特別受益として請求されたが、どこまで特別受益とみなされるのか。

記載内容  アパート建物 生前贈与 評価額 



【ご質問内容】

 平成23年に父より昭和63年に木造建築されたアパート建物のみ生前贈与を受け登記し、アパート経営をしておりましたが、27年6月に父が他界しました。
 23年固定資産税評価額は、約二百万円、他界した27年は約百五十万円です。
 相続人は私と妹の2人ですが、今になって、妹よりアパートの特別受益を主張しており、その評価は、収益還元法によれば、52,950,000円と固定資産税評価額とは、かけ離れた金額を請求されています。
 その根拠は、土地も含めた価格のようで、年額収入4,236,000円、投資家期待利回り8%によるものだそうです。しかし、土地は既に遺産分割により相続登記が長男である私に完了しております。
 地元の不動産屋によれば、土地と建物を分けての評価は難しく言われております。
本来遺産分割におけるアパート建物だけの特別受益評価額は、どのようになるのでしょうか?
 お忙しいところ、恐縮ではございますが、出来るだけ早急にご回答いただければありがたいです。よろしくお願い申し上げます。



(キンメダイ)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【遺産分割協議が完了しているのかどうかで結論が異なる】
 父は、生前にあなたにアパート建物を贈与したとのことですので、この生前贈与分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。
 ただ、質問には《土地は遺産分割によってあなたに相続登記されている》との趣旨の記載があります。
 もし、既に父の遺産全部について遺産分割協議が終了しているのであれば、今更、妹としては特別受益分を遺産に持ち戻せという主張はできません。
 妹の立場としては、遺産分割合意は錯誤や欺罔によるものであるとして、遺産分割協議の無効を主張するしかないということになります。
 
次に、遺産のうち一部(今回でいえば、アパートの敷地)のみの遺産分割合意をし、それに基づき登記を移転しただけで、預貯金や株式等他の遺産についてはまだ遺産分割協議が終了していないという場合には、いまだ特別受益の主張は可能ということになります。

【建物の評価は固定資産評価額が原則、ただし使用借権の上乗せもありうる】
 仮に遺産分割がすべて終了していないということであれば、特別受益が問題になりえます。
 その際の建物自体の評価は、遺産分割調停などでは固定資産評価額でされることが多いです。
 もし、違う額を主張するのであれば、その証明として鑑定等が必要になります。
 問題は建物額だけではなく、土地の使用権も生前贈与されたことになり、その価額を加算する必要があるということです。
 土地の賃料などを支払っていないということなら、建物底地の使用借権の贈与があったとされることになります。
 使用借権は土地価額の10~15%の場合が多いです。
 もし、あなたが賃料を支払っていたというのであれば、借地権ということになり、底地価額の40~60%を加算する必要があります。

【評価の時点及び賃料はどうなるか】
 評価の時点は相続開始時の建物価額や底地の価額を前提として計算します。
 なお、生前贈与を受けたのちの賃料収入などは、建物および底地利用権に含まれていますので、原則として、別途請求されることはありません。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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14:53 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益について【Q&A №586】

2017/10/27


【質問の要旨】

母の所有地の賃料を弟が受け取っていたが、母を弟の自宅に住まわせていた。
賃料は特別受益になるか?

記載内容  リフォーム 固定資産税 

【ご質問内容】

弟が、父より家を相続し、そこに母が長年住んでいました
弟は、若くしてその家を出てしまいましたので、母は一人暮らしでした。
弟がその固定資産税を支払っていましたが、母の土地を人に貸していて、その賃貸料は母の名前の契約ですが、弟の口座に入っていました
この度、母が亡くなり、弟は、その賃貸料一千万円ほどをその家のリフォームやエアコンなどの備品の購入にあてたので、特別受益ではないと言っています。
弟も時々帰ってきて使っていて、今も自分の家なのですが、特別受益といえるのでしょうか。

追加です。

母の土地は母が固定資産税を払っていました。母は、弟が人に貸したことで、貸す前より、固定資産税や保険料、施設の利用料などが一年で100万円増えました。
不動産所得の関係です。
母が住んでいる弟の家の光熱水費、新聞代、屋根を治すなどの修繕は母が出していました。
弟の家は、父が亡くなった後、土地区画整理が入り、家が道にかかりましたので、補償金の一部で弟が立て替えたものです。



(コスモス)



※ご質問は2つに分かれていましたが、1つにまとめて回答しています。

【事案の整理】
今回のご相談は、①母の所有地から発生した賃料と、②弟が支出したリフォーム費の2つが同時に問題となっており、弟の主張をまとめると「賃料は特別受益かもしれないが、母を自宅に住ませ、リフォーム費も出したので特別受益にはならない」というもののようです。
このような場面は、まず①賃料と②リフォーム費の2つを分けて別々に整理することが理解のコツです。

【貸地の賃料は母のものであり、弟が取得した分は特別受益として遺産に持ち戻される】
1)母がその所有する土地を自分が賃貸人になって第三者に貸しているのですから、その賃料は母の収入になります。
2)母が、弟の口座に賃料が入ること及びそれを弟が使用するのを認めているのなら、毎月発生する賃料を母が弟に生前贈与したと考えていいでしょう。
生前贈与についてはその合計額が特別受益となり、遺産分割に際しては遺産に持ち戻されます

【自宅のリフォームやエアコン購入の扱い】
自宅のリフォーム費用は自宅の価値を増加させますが、自宅は弟名義ですので、弟の有する不動産の額が増加するだけです。
同様にエアコンについても、弟が購入したもののようですので、弟の財産が増えたということにすぎません。
いずれも弟の財産が増えるのであり、母の財産が増えるものではないということになります。

【弟名義の自宅を母が無償使用している点をどう考えるか】
ただ、自宅は弟名義であるのに、母に無償で使用させている点については問題がありそうです。
1)弟の特別寄与の主張
弟名義の自宅を、賃料を払わずに母が無償で使用している
⇒母としては自宅の賃料相当分の支払いを免除されている
支払いを免れた賃料相当分だけ、母は経済的利益を受けている
⇒その分、弟が特別寄与と主張して、遺産からの支払いを求める可能性もあります。
2)自宅の賃料分として、母名義の地代をもらっているとの弟の主張
また、母親が貸している土地の賃料をもらっているのは、自宅の使用分としてもらっているのだという主張をすることも考えられます。
3)こんな反論が可能
これに対しては、弟が父の遺産分割のとき、母にその自宅を無償使用させるという話があったことから多くの遺産をもらったではないか、というような反論も可能です。
また、子が母の面倒を見るのは子としての扶養義務であり、今になって、賃料を無償にしたからそれを考慮せよなどというような主張はできないという反論も用意しておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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弟夫婦にのみ生前に孫への教育費にお金を父が渡していました【Q&A №578】

2017/09/05


【質問の要旨】

孫への教育費は特別受益になるか?

記載内容   教育費 遺産分割 考慮

【ご質問内容】
 亡くなった父の財産分割をするに辺り、兄弟二人で遺産分割をする事になりました。
 父の預貯金を調べてみたところ、弟夫婦に父が生前孫の教育費にと200万を渡していた事が判明しました。
 財産分割について、生前父から一切お金を貰っていなかった私としてはその差額分を考慮して欲しいと弟にお願いしたのですが、弟は残った財産は兄弟なのだからきっちり二分の一に別けるべきだと聞く耳を持ちません。
 父が生前に弟夫婦へ渡したお金は財産分割には含まれないのでしょうか?
(長男の嫁)



【原則は特別受益にならない】
 遺産分割のときに考慮される贈与(特別受益といいます)は、基本的に、相続人が被相続人から贈与を受けた場合のことをいいます。

 したがって、相続人の配偶者や子供(被相続人の孫)が贈与を受けた場合には、相続人以外の者ですので、原則として特別受益にならない(つまり、遺産分割時に考慮しなくてよい)ということになります。

 今回のご質問では、亡くなったお父さんが、孫への教育費として、子供である弟夫婦にお金を渡していたという事案です。
 弟さん夫婦には渡されていますが、お孫さんは未成年者ですので、親権者の弟夫婦が受け取った、現にお孫さんの教育資金として使われている(あるいは使われそうである)というような事情であれば、それは孫への贈与と考えるべきですので、弟夫婦の特別受益にはならないということになります。

【場合によっては特別受益と判断されることもあるが、限定的】
 相続人本人ではなく、配偶者に対して贈与をしたという事案で、福島家庭裁判所白川支部昭和55年5月24日(家裁月報33巻4号75頁)は、「贈与の経緯、贈与された物の価値、性質及びこれにより相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められる場合には、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であってもこれを相続人の特別受益とみて、遺産の分割をすべきである。」と判示しています。(【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)参照)

 この裁判例を見ると、経緯や額を考慮して、場合によっては特別受益と判断されることもありえると考えられます。
 特にそのお金がお孫さんの教育資金としてではなく、弟さんが使ったということであれば、特別受益になる可能性もあり得ます。

 又、あなたとしては、孫の教育費だとはいっても、お父さんが出さなければ弟夫婦が出さなければならなかったものなのだから、実質的には弟夫婦への贈与だと主張することも可能でしょう。

 ただ、孫への贈与が、その親への特別受益と認められるケースは決して多いとは言えないということだけは覚えておかれると良いでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
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特別受益だと認めさせたい【Q&A №577】

2017/09/04


【質問の要旨】

①子や孫への生前贈与は特別受益にあたるか?
②預貯金のみを相続したいが、どのように協議を進めればいいか?

記載内容  特別受益 生前贈与 調停

【ご質問内容】
 父が被相続人。相続人は私・兄・妹です。 
 兄は兼業農家の跡取りとして、遺産全部を受け継いで当然と考えており、妹も同意しています。
 私はこれまで、父からまとまった金銭を受け取ったことが全くなく、この相続では預貯金の3分1を受け取ることを希望しています。 

①父が生前、兄や兄の子(孫)に金銭を渡したことは、特別受益にあたるでしょうか。
 特別受益にあたるなら、相続遺産に加えたいですが、妥当でしょうか。
 心配なのは兄がすんなり認めるかです。認めさせる方法を教えて下さい。

②遺産分割協議は駆け引きの場だと思います。
 どんなことに注意すればいいでしょうか。
 大切なことを教えてください。


(のえる)



【あなたの申し出はどう評価できるか】
 あなたの相続分は3分の1ですが、それは遺産全部について、その3分の1です。
 遺産の中には不動産もあると思いますが、その不動産についてもあなたは3分の1の相続分があります。

 もし、遺産の中に不動産があるのに、あなたが預貯金の3分の1のみの相続で我慢するというのであれば、不動産については法定相続分を取得しないという大幅な譲歩をしていることになります。
 お兄さんとしては決して損な話ではありません。

【生前引渡分の扱い】
 生前にお父さんがお兄さんに金銭を渡していたのであれば、おそらく生前贈与に該当するでしょうから、遺産分割の際には、特別受益として遺産に持ち戻される可能性が高いです。

 ただ、お孫さんについての生前贈与ですが、お兄さんとその子であるお孫さんとは、別の人格ですので、お兄さんの特別受益と見なされる可能性は低いでしょう。

【お兄さんはすんなりとは認めない可能性が高い】
 あなたの提案する預貯金の3分の1の相続でお兄さんがすんなりと認めるかという点についても述べます。
 都会では相続をお金で割り切ることが多く、あなたの提案でお兄さんが納得することも多いでしょう。

 しかし、郊外などで農業をされているような方については、跡取りが遺産全部を取得するものだという考えを持つ方が多く、又、周囲の親族もそのような方向で圧力をかけてくるということも多いようです。

 このような地域性に加えて、妹さんが遺産はいらないという意向であるなら、お兄さんとしては《あなたにだけなぜ遺産を与えるのか》ということで、あなたの提案に難色を示す可能性が高いと思われます。

 又、お兄さんの立場から言えば、お父さんの農業を手伝ったので、特別寄与として遺産から優先的に支払いをせよと主張することも考えられます。

【調停制度の利用をお勧めします】
 このように本来は当然遺産分割するべきなのに、遺産分割をしないというようなケースでは調停制度を利用されるといいでしょう。
 調停はお兄さんの住んでいる地域の家庭裁判所に申立をします。
 手続き等がわからないのであれば、家庭裁判所に行って、どのように申立をすればいいかをお聞きになるといいでしょう。

 調停のいいところは、調停委員という第三者がお兄さんとあなたの話の双方を聞き、円満な解決の助けをしてくれるということです。
 裁判所で第三者が法律を前提に解決しますので、お兄さんとしても納得せざるを得ない場合が多いですし、あなたのように預貯金の3分の1でいいということであれば、調停委員としてもお兄さんを鋭意説得してくれるものと思います。

【調停での対応のコツ】
 調停のコツとしては、最初は全部の財産の3分の1を請求し、その後、調停委員の説得で預貯金の3分の1に応じる形をとるといいでしょう。
 調停は互いに譲り合って解決するという制度ですので、最初に譲ったところから出発すると更なる譲歩を求めれらますので、この点はよく覚えておかれるといいでしょう。

【調停は裁判ではない】
 なお、お兄さんや親戚の方などは、《裁判沙汰にして》などというかもしれません。
 しかし、調停は裁判ではなく、円満な解決を望む制度です。
 相続についての話し合いは本当に難しく、私(弁護士大澤)の経験でも話し合いで解決することは本当に少ないです。
 お兄さんがあなたの希望に従った解決をしないのなら、早期に調停を申し立てることを考えるといいでしょう。

【弁護士の知恵も借りる】
 なお、あなたの遺産問題で何が問題になるかを知っておくためにも相続に詳しい弁護士に相談するといいでしょう。
 何が問題であり、あなたが本来はどの程度の財産をもらえるのかを教えてくれるはずです。
 あなたの考えで間違っているところはないかどうか、弁護士の眼からみれば何が問題点になるのか、それらを知った上で、調停の申立をして、問題を解決するのがベストだと思います。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】

2017/02/14


【質問の要旨】

保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】

相続人兄と私のみ

遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)

死亡保険金1450万円(受取人私)あり。

家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。

何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。

少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。

2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。

その1年後父が他界。

葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)

今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。

家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)

生命保険は私が受取る。

父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す
ると。

兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。

生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。

兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。

実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?

兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。

分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。

今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)






【遺産内容について】

まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります

これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります


【保険金は遺産ではありません】

あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。


【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】

家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。

土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。

特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。

ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。

そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。

又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。

なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。


【債務の扱い】

お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。

賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。

その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。

次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。

以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

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亡母が出してくれた治療費と持戻し免除【Q&A №556】

2017/01/26


【質問の要旨】

過去に治療費を出してもらった場合、相続時に考慮するのか

記載内容 治療費 相続分 引く

【ご質問内容】

昨年暮れ母親が亡くなったのですが、不動産の相続で問題が起きています

兄弟が4人いるのですが長兄が母の看病を嫌い闘病中に急に連絡がとれなくなり、そうこうするうちに母が亡くなりました。

葬儀にも来ず、残った兄弟で葬儀をあげたのですが、いざ相続の事になると急に出てきてお金をもらう事を主張し始めました。

長兄の言い分は4人で平等に分けるのは不公平というのです。

と、いうのは私が数年前ガンにかかりその治療費を母がだしてくれたのですが、その分の金額を私の相続分から引かなければ不公平だというのです

母が元気な時の話ですし、そんな事を言われるとは夢にも思いませんでした。

長兄のいうように均等に分けて相続するのは不公平にあたるのでしょうか

また、長兄にはどのように対処すればいいのでしょうか。

(るる)





【治療費は特別受益にならない】

あなたはお兄さんから、数年前病気になったときにお母さんに出してもらった治療費をお母さんの相続に際して考慮するべきだと主張されているようです。

これは、法律的に言えば、あなたがお母さんからもらった治療費が特別受益となるかどうかという問題です。

特別受益になるなら、治療費の額を遺産の中に組み入れて、各相続人の遺産額を計算する必要があり、その結果、あなたは遺産を治療費として先にもらっているから相続での取り分が少なくなる(場合によればゼロになる)こともあります。

この特別受益とは、民法903条で、「遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた」場合であると規定されています。

本件のような治療費は、お母さんが生きておられる間にもらったものですので遺贈ではありません。

また、婚姻、養子縁組や生計の資本のためにもらったものであれば、その贈与が相続財産の前渡しとみられる贈与であるか否かを基準として判断しますが、病気の治療のためのお金ですので、婚姻、養子縁組や生計とは関係がなく、相続財産の前渡しとは考えにくいでしょう。


【仮に特別受益になったとしても持戻し免除を主張することができる】

前項に記載したように治療費が仮に生計の資本としての贈与だと判断されたとしても、あなたの治療費として、お母さんがあなたのことを心配してお金を出してくれたというのであれば、通常お母さんとしては「治療費としてあげたお金は遺産分割において考慮しなくてよい」と考えていたと考えられます。

そこで、病気の治療費として出してくれたという事実から、持戻し免除の黙示の意思表示があったと考え、主張するとよいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

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何かをする時期について【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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娘婿への贈与について【Q&A №540】

2016/11/16



【質問の要旨】

母が私の夫名義の家に1000万円を出してくれた

記載内容 娘婿 住宅購入 同視

【ご質問内容】

母は生前に私の夫名義の家(私も住んでいます。)を買うときに1000万円出してくれました

その母が亡くなり、遺産分割協議をしているのですが、夫名義の家であっても私に対する特別受益になりますか

よろしくお願いします。

(なし)







【贈与は誰になされたのか】

今回は住宅購入資金として父から贈与された1000万円が特別受益にあたるかどうかが問題となっています。

特別受益はあくまで相続人に対する贈与が対象ですので、1000万円が娘さんに贈与されたのか、それとも夫(娘婿)に対して贈与されたかによって結論が変わってきます。

娘であるあなた自身に1000万円を贈与されたのであれば、問題なく特別受益とされるでしょう。

しかし、もし夫(娘婿)に対する贈与であった(たとえば、夫名義の口座に1000万円を振り込んだ)のであれば、娘婿は相続人ではない以上、原則として特別受益にはなりません


【娘への贈与と同視できるか否か】

ただ、このような相続人以外の人物(配偶者)への贈与であっても、裁判所は、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質及びこれにより相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められる場合には相続人自身の特別受益と扱う余地があることを認めています

具体的には、贈与の額が多額であり、贈与の経過から見て、他の共同相続人からすると特別受益としなければ公平に反すると思われる場合には、相続人以外の人物(今回でいえば娘婿)への贈与を特別受益とすることを例外的に認めています。

今回のケースでどう判断されるかは詳しい贈与の経過を確認する必要がありますが、たとえば住宅資金として贈与した額と遺産総額の大小、贈与の話をまとめたのは娘さんか娘婿か、娘婿名義の口座に振り込んだ理由(業者への支払の都合か否か)、そのほか、娘さんや娘婿の居住期間などといった事情を考慮し、実質上は娘への贈与であったか否かが判断されるでしょう。


【参考裁判例】

これについては、当ブログQ&A №324及び【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)に同様のテーマで記事がありますので、ご参照下さい。

(弁護士 北野英彦)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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★亡父との共有名義マンションの使用借権【Q&A №539】

2016/11/08


【質問の要旨】

亡父が出資して共有所有者となっているマンションに、姉が居住したり、賃貸に出したりした場合

記載内容 購入資金 持ち分 特別受益

【ご質問内容】

父親が亡くなり姉妹で財産を分けることになりました。(母はすでに亡くなっています)
姉は生前父にマンション購入資金として1200万円出してもらいました
残りのローンは姉が払いました。

しかし税金対策だったのでしょう、父が出した分を共有所有者として登記していました。
父は生前、姉に自分の持ち分を買い取ってほしいとの話もしていましたが、姉も買い取ることはできず、相続分として父の分が残りました。

姉は最初は自宅として使用し、後にマンションを賃貸に出して収入を得ています
姉から父に賃貸の代金を一部払った時期も1年ほどありましたが後に払った様子はありません。
今ではその所有分の価値も1/3程になっています。

共有の持ち分になると、特別受益が1200万円だとは言えないのでしょうか

言えないのなら、共有所有者の父がもらわなかった賃料の一部をみなし財産として算入できますか?

あるいは、使用借権を無償で得ていたことにはなりませんか
その場合の金額の算定は?

私は姉だけが住宅資金をもらっているのに、遺産が1/2づつというのはどうも納得できません。

不平等感をなくすいい方法があればご教授ください。

(tomo)





【今回の質問は《購入資金援助》と言う意味では、特別受益にならない】

通常の場合であれば、被相続人が法定相続人のマンション購入資金の一部を出した場合には、金銭の生前贈与として特別受益になります。
ただ、今回の案件では、お父さんが出した分はお父さんが自分の持ち分として共有登記されていますので、金銭の移動はありません
したがって《購入資金援助》としての贈与はなく、お姉さんの特別受益は存在しません
マンションのお父さんの持分は、お父さん自身の遺産となり、遺産分割の対象となります。


【お父さんの共有持ち分の使用は、居住用であれば特別受益にならない】

お姉さんがマンションを居住用にしていたとき、お父さんの持分を無償で使用している点では、お姉さんはお父さん持ち分につき、使用借権(無償で使用する権利)をもらったということになり、特別受益となる可能性があります
そのため、マンションの使用貸借について判断した裁判例を検索しましたが、発見できませんでした(参考までに言えば、土地の使用貸借は特別受益になるとの裁判例はあります)。
学者の意見では、建物使用貸借は遺産の前渡しという性格が薄く、又、財産権として強い権利ではないこと、更に被相続人の意思としては遺産分割の持戻し免除の意思が推定されるということから、特別受益にはならないとの見解が多いです。


【お父さんの建物持分をお姉さんが他人に賃貸している場合】

問題は、お姉さんが自ら居住するのではなく、他人に貸して賃料を得ている場合です。
これについても参考になるような裁判例も学者の意見もみつかりませんでした。
ただ、あなたの立場から言えば、使用貸借は他人に賃貸した段階で終了しており、その後にお父さんの持ち分相当の賃料分もお姉さんが得ていたのは特別受益になると主張するか、あるいはお父さんが賃貸に出すのを知らない場合には不当利得にしないと不公平だと主張されるといいでしょう。
このような主張をした場合に裁判にまでいけばどのような結論になるか、興味のあるところではありますが、お父さんの持ち分に相当する賃料分は特別受益として遺産に持ち戻される可能性もあるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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16:03 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★子どもの国民年金掛金と特別受益【Q&A №527】

2016/09/07



【質問の要旨】

肩代わりした国民年金約240万円は、特別受益に該当するか

記載内容 年金 継続的 扶養


【ご質問内容】

20才から支払う義務がある国民年金「金額240万円程度」を肩代わりして支払いました(アルバイトで支払い能力がなかったため)。

そろそろ遺言書を作成すべき時期かと思案していますが。

この過去に支払った金額は特別受益に該当するのでしょうか。

宜しくお願い申し上げます。
(素浪人)







【事案によっては特別受益にあたる場合もある】

被相続人であるあなたが、相続人に対して「生計の資本としての贈与」をした場合、特別受益として、遺産分割の際に遺産に持ち戻されます(当ブログQ&A №164Q&A №334等参照)。

問題はどのような金銭等の提供が、《生計の資本》としての贈与になるかです。

例えば、相続人である長男の自宅買入資金として500万円を援助したというのであれば、特別受益になることは間違いありません。

しかし、今回のご相談は、毎月数万円程度の金銭を渡した、あるいはその程度の債務を立替支払いしたような場合です。

このような、毎月は少額でも多年にわたると金額も大きくなるような場合に、特別受益になるかどうかという問題になります。

お金を渡していれば贈与ではないかという反論が出そうですが、被相続人である親が子である相続人にお金を渡す場合、親の子に対する扶養義務の履行として渡しているとされる場合もあり、その場合には渡した金銭は特別受益にはなりません。


【判断基準はどういうものか】

次に、扶養義務の履行か否かを判断する基準は何かということが問題になります。

遺産の総額、一度に渡されたものかどうか、又、月々の支払い等であればその額はどうか、渡された期間やその交付する理由などが判断基準となるでしょう。

過去の家庭裁判所での審判例では、遺産総額や被相続人の収入状況から考えて、月に10万円に満たない送金は扶養的金銭援助にとどまるが、月10万円を超えるものは生計の資本としての贈与になり、特別受益になると判断したものがあります(東京家審平成21年1月30日・家月62巻9号62頁)。

(詳しくは【相続判例散策】毎月の送金が特別受益にあたるのか?をご参照ください。)


【遺言書の作成上の注意】

これから遺言書を作成するが、被相続人のした国民年金の立替分を特別受益にならないようにしたいというのであれば、次のような方法を考えられるといいでしょう。

① 国民年金立替分については《持ち戻しの免除する》との意思を遺言書に明記する。
② なぜ、持ち戻しの免除をするのかという理由を遺言書の付言事項として記載し、併せて他の相続人が特別受益という問題を持ち出さないようにという内容の遺言者の希望を記載する。

これらの①及び②の方法の双方を採用し、その内容を遺言書に記載することで解決されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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使用借権の価額と特別受益【Q&A №511】

2016/06/24

※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】

使用貸借の価額と空き地について

【ご質問内容】

父親名義の土地に兄が家を建てています。両親とは同居していません。

両親への仕送りも無く、固定資産税も払っていません。

両親を訪問する事も年に数回です。

父がが亡くなりましたので、この場合使用貸借は、その土地の実勢価格のどの位が妥当でしょうか

また、兄の家の土地の横に空き地があり、実質兄が使用していたのですが、その土地も使用貸借に入れるのでしょうか(そこには特に建物は建ってはいません)


【質問の要旨②】

使用貸借とは?

【ご質問内容】

基本的な質問で申し訳ありませんが、使用貸借で計算された金額は、全体の遺産金額に含め、相続計算をするのか、使用貸借をしている相続人だけで分割するのでしょうか

遺産金額に含めて計算するのか、その他の相続人(特に配偶者)で計算するのでしょうか

遺産金額に含めた場合、使用貸借者に贈与が発生しているみたいに、思えるので

記載内容  使用貸借 無償 土地

(ブブブブ)







【土地の無償使用と特別受益について】

亡くなられたお父さん名義の土地の上にお兄さんが建物を建築し、賃料の支払いもしない場合には、お父さんとお兄さんとの間で使用貸借契約が成立したものと考えていいでしょう。

特別受益との関係で言えば、お兄さんはお父さんから使用借権を与えられたのであり、この権利の設定により受ける利益を「贈与」されたことになります


【空き地の使用について】

お兄さんはお父さんの空き地を使用していますが、これもその空き地を独占的に使用している(他の人が使えないような)状態であれば使用貸借が成立する可能性があります

お父さんがお兄さんの使用を知っていたのであれば、それは暗黙の同意があったとして、使用借権が成立したとされる場合が多いです。

この場合も、この空き地の使用借権の贈与が特別受益になります。


【使用借権の価額】

土地を、賃料を支払って利用する場合には借地権とされ、国税庁の発表している路線価図でもその価額が明らかにされています(通常は更地価額の40~60%の範囲内であり、60%とされるケースが最も多いです)

しかし、使用借権については裁判例などで更地価額の10~30%程度とされることが多いです(当ブログQ&A №321参照)。

これは使用借権が、借地権ほど強い権利ではない(土地が第三者に売却されれば、土地使用が認められないこともある)こと、又、存続期間等が契約内容や使用の実情等に応じて種々様々であり、裁判所としては、ケースバイケースで判断せざるを得ないからです。

ただ、これまでの相続案件での私の経験から言えば10%~15%程度で考える場合が多かったように思います(使用借権を更地価格の15%に相当すると判断した裁判例として、東京地判平成15年11月17日があります)。


【特別受益があるときの処理】

特別受益がある場合には、特別受益を遺産に持ち戻します。

今回の質問の場合であれば、借地権価額を遺産に加えます

その後、遺産全体を法定相続分に応じて分割することになりますが、特別受益を受けた人はその使用借権分を先にもらったことになり、その分だけ、遺産からの取り分が減少します

例えば、子が2人のケースで遺産総額が預貯金1000万円、特別受益が500万円とすれば、特別受益をもらった人は《特別受益:500万円+預貯金250万円》を、又、もう一人の子は《預貯金750万円)を取得することになります。

(弁護士 大澤龍司)
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15:27 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★建築費用の負担等と特別受益【Q&A №506】

2016/05/31



【質問の要旨】

次女夫婦が母名義の土地に家を建て、建築費用も一部負担してもらった

記載内容  同居 建築 負担

【ご質問内容】

父はすでに他界し、母と3姉妹という家族構成です。

母名義の土地に次女夫婦が新築で家を建て、母が同居することになりました

・土地名義は母のままで固定資産税も母が払い続ける

・建物は、次女夫婦の名義で、建築費用の3分の1程度を母が負担することになりそ
うです。

建築費用を援助する事が生前贈与にあたるのでしょうか?

また、同居する場合は、特別受益には該当しないのでしょうか?
(ゆずのん)






【次女夫婦名義の建物の建築資金補助は特別受益となる】

次女夫婦名義の建物を建築する際に、被相続人(お母さん)から建築資金の援助を受けたのであれば、それは「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、遺産に持ち戻す必要があります。

なお、特別受益は相続人にのみ生じる問題です。

そのため、次女ではない他人(配偶者も他人です)に贈与した場合には特別受益の問題にはなりません。

質問では、次女《夫婦》への贈与と質問に記載されています。

仮に建物が次女ではなく、その夫の単独名義になっており、その資金をお母さんが出していたらどうかという問題があります。

この場合には、実質上、夫婦は一体であるとして特別受益の主張をされるといいでしょう

【参考判例】福島家裁白河支審 昭和55年5月24日
被相続人から共同相続人の1人の配偶者に対して贈与がなされた場合において、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質、これにより受贈者の配偶者である相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には被相続人から相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときは、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であっても、これを相続人の特別受益とみて遺産分割をすべきである。
【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)もご参照ください。)

【土地の無償貸与も特別受益になる】

お母さんの土地の上に次女夫婦が建物を建てるということになると、おそらく賃料の支払いはしないでしょうから、次女夫婦は他人であるお母さんの土地を無償使用で使用できるという利益を得ることになります。

この無償使用する利益を法的には使用借権といいますが、この権利を得ることも「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、その権利の価額が遺産に持ち戻されることになります(この点については当ブログQ&A №321もご参照ください)。


【同居の場合、特別寄与や生活費援助も問題となる余地がある】

法律的に言えば、次女夫婦がお母さんと同居し、その介護に尽くしていたとしても、次女の特別受益分として遺産に持ち戻される額が減額されることはありません。

ただ、次女がお母さんを介護することにより、ヘルパー代等が助かったというような事情がある場合には、その分が《特別寄与》となって、遺産から次女に支払いされることはありえます(当ブログQ&A №254をご参照ください)。

逆に、お母さんが同居する次女夫婦の《生活費を支給》していたようであれば、この支給分が特別受益になるかどうかが問題になります(当ブログQ&A №321Q&A №505等をご参照ください)。

(弁護士 大澤龍司)

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★持ち戻し免除を受けたい【Q&A №503】

2016/05/19

【質問の要旨】

特別受益の持ち戻し免除について

記載内容  特別受益 免除 相続対策

【ご質問内容】

司法書士のもとで生前贈与の手続き、および遺言書作成をしましたが、現在、他の相続人から遺産分割申立書が来ました。

生前贈与手続き、遺言書作成を、司法書士に確認し、これなら生前贈与を受けたものは守られると聞いていたのですが、今になって、みなし相続財産として組み込まれることが分かりました

また、特別受益の免除を証明をしておけば、生前贈与を受けたものは持ち戻ししなくてよいという説明は一切ありませんでした

この場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか

宜しくお願い致します。

(あずき)






【税金の問題と相続の問題は別個である】

相続税対策として、被相続人の生前に金銭を贈与することがありますが、このような対策は節税にはなるものの、遺産分割については特別受益になります。

税務と相続(民法)の違いの例としては、死亡保険金は税務上は遺産として扱われるのに、民法上は遺産としては扱われない等、多々あります。


【相続分割(民法)では生前贈与は遺産の先渡しと考える】

生前に法定相続人の一部の人が財産の贈与を受けている場合には、相続に関する法律である民法では、《特別受益》として遺産に持ち戻します

これは相続人間での公平を図る目的で定められたものであり、生前贈与は遺産の先渡しと考えるということです。

具体的なケースで言うと、死亡時の遺産額が4000万円だが、あなたが生前に暦年贈与で合計1000万円を被相続人からもらっていたというケースであれば、その生前贈与金額を遺産に加算した遺産総額(5000万円)を前提に、これを法定相続分で分割することになります。

相続人が2人であるとすると、あなたの相続分は2500万円ですが、既に生前に特別受益があります。

そのため、あなたとしては2500万円から生前受益分を差し引いた1500万円しか相続できないということになります。


【持ち戻し免除について】

ただ、被相続人が、明示でも黙示でもよいので、遺産に持ち戻ししなくてもよいという意思表示をしていたことが証明できれば、特別受益であっても遺産に持ち戻す必要はありません

そして、黙示の持戻し免除の意思表示があったか否かについては、贈与の内容及び価額、贈与の動機、被相続人との生活関係、相続人及び被相続人の職業、経済状態及び健康状態、他の相続人が受けた贈与の内容・価額及びこれについての持戻し免除の意思表示の有無など諸般の事情を考慮して判断することになります

具体的には、

①家業承継のため、特定の相続人に対して相続分以外に農地などの財産を相続させた

②被相続人が生前贈与の見返りに利益を受けている(被相続人との同居のための居宅建設における土地使用の権限付与など)

③相続人に相続分以上の財産を必要とする特別な事情がある場合(病気などにより独立した生計を営むことが困難な相続人に対して生活保障を目的としてなされた贈与、妻の老後の生活を支えるための贈与など)

などの場合には持ち戻し免除を主張するといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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親子間での土地売買と特別受益【Q&A №487】

2016/01/22

 【質問の要旨】

親子間で土地を安く売買したら特別受益になるか

記載内容

土地 売買 安値

【質問の内容】

父の土地を生前に親子間売買で購入を考えております。

土地の評価額より安い金額(路線価)で購入予定です。

評価額より約2000万ぐらい安いです。

私は、姉と兄の3人兄弟です。相続時、姉は財産放棄する予定です。

私が、父から2000万円安く購入した場合、相続時に兄から特別受益を指摘されるでしょうか?

された場合、2000万の半分の1000万円を兄に補填する義務はありますか?指摘されない方法はありますか?

宜しくお願いいたします。

(こまゆ)







【時価より低い価額での親子間売買では「時価」との差額が特別受益になる】

質問では「評価額」と記載されていますが、おそらく「時価」のことと思われますので、その前提で回答します。

商品とは異なり、土地の「時価」がいくらかはわかりにくいです。

ただ、毎年3月に、国交省が発表する公示地価が「時価」に近いものとして、価額算定の参考にするといいでしょう。

路線価額は公示地価の約7~80%を目途として算定されますので、土地を路線価額で買うと、「時価」より安く買ったことになり、差額(本件質問では2000万円)が特別受益とされる可能性があります

特別受益であれば、差額が遺産に持ち戻され(他の遺産との関係もありますが)、持ち戻された額の半額をお兄さんに支払うことが必要となることもあります


【特別受益を主張されないための方策】

1.時価がどの程度かを確認する

まず、売買価額面での対処法です。

路線価額は国税庁が定めたものにすぎません。

そのため、売買の代金でいくらが相当なのかを、不動産鑑定士に鑑定してもらうことが考えられます。

ただ、鑑定はかなりの料金がかかりますので、知り合いに不動産業者がおれば、その方に査定をしてもらい、もし、近隣の取引事例などを参考にして路線価額より低くても妥当な額だというなら、査定書を作ってもらい、その査定書の額で売買するといいでしょう。

2.お父さんの持ち戻し免除

次に、持ち戻しをしなくてもよい方法としては、お父さんに《特別受益の持ち戻し免除》をしてもらうことが考えられます。

この免除があれば、遺産分割の際には、遺産への持ち戻しが免除されます

お父さんが協力してもらうことができるのなら、持ち戻し免除を書面化してもらって、将来に備えるといいでしょう。

3.お姉さんからの相続分譲渡で対処する

お姉さんは相続放棄をするとのことですが、もし、可能であれば、お姉さんから相続分の譲渡を受けるといいでしょう。

その場合、お兄さんの取り分は、持ち戻し分の2分の1ではなく、3分の1の666万円になります。

なお、相続分の譲渡は、相続開始前にすると、効力が認められない可能性が高いので、相続開始後に譲渡するとよいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

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★使用借権の承継と固定資産税の請求【Q&A №486】

2016/01/20

【質問の要旨】

相続した土地に相続人の一人が住んでいる場合、特別受益になるか

記載内容

無償 土地 居住

【質問の内容】

三年前に亡くなった父名義の土地に相続人の一人(A)が土地を担保にA名義の家を建て、現在も一人で住んでいます。

ローンはまだ10年程度残っていて、Aは毎月支払っています。

その家には存命中は父母も一緒に住んでいました。Aは賃料や生活費を一切支払っていず、父が固定資産税を払っていました。

両親の生活費の一部は私が銀行振り込みで仕送りをしていました。相続人は私とAの二人です。

父とAはとても折り合いが悪く、父は公正証書遺言で全ての財産を世話をした私に譲るとしています。

私は既に名義変更をして固定資産税も毎年支払っています

Aは三年前に遺留分減殺請求をしていて、Aの家屋の下の土地を相続すると言い張っています。

建蔽率は50%の地域で家屋下の土地は25%を超えます。

殆ど土地だけの相続ですが、この間、私はどうすることも出来ない状態でいます。

これは、Aの特別受益にならないでしょうか。

その土地を売却、或いは、利用する場合、Aの許可が必要なのでしょうか


(ココ)







【特別受益は生前の受益を意味する】

「特別受益」とは、被相続人(=お父さん)が生前に相続人(A)に与えた利益(金銭、不動産の所有権や使用権など)のことです。

そのため、遺言で土地を相続した後に、Aさんがあなたの土地上に住み続けていたとしても、それによる利益は「特別受益」にあたりません

特別受益という点で言えば、Aさんが、生前にお父さんから土地を無償(ただ)で使用させてもらうという使用権(使用借権)をもらった点が特別受益に該当します。

この使用借権の価額は、対象となった不動産の10~30%といわれることが多いですが、ケースにより異なりますが、私の経験から言えば10%程度で評価し、遺産に持ち戻すことが多かったです。


【Aに賃料の支払いを請求できない】

あなたがAさんに賃料を請求することができるかどうかも回答しておきます。

お父さんはAさんに土地を無償で使用させていましたが、死亡されたことから、あなたがお父さんの権利義務を引き継ぎました。

従って、あなたはお父さんの負っていたと同じ義務―土地をAさんに無償で使用させる義務―を承継することになりますので、賃料請求はできません


【固定資産税をAに負担させることはできないか】

 あなたは固定資産税の支払いを続けているのですが、この分をAさんに負担してもらうことはできないかという問題もあります。

お父さんが生きていたときは、固定資産税もお父さんが負担していました。

土地はAさんに使用借権が発生していますが、固定資産税の負担は土地の使用貸借とは別個の話であり、お父さんからAさんに対する固定資産税分の金額(あるいは利益)の贈与と考えてもいいでしょう。

あなたとしては、今後、このような贈与はしないとの意思をはっきりさせるために、固定資産税の相当分の返還をAさんに請求してもいいと思いますし、これが公平の観点からみて妥当なことだと思われます。


【土地の売却という解決方法について】

遺言であなたが土地の所有権を取得しており、既にその遺贈で単独所有の登記をしているのであれば、この土地を売却することも可能という考え方もあります。

もし、土地を売却した場合、Aさんは買主である第三者に使用借権を主張できませんので、Aさんは建物を撤去せざるをえないということになり、問題が一挙に解決するようにもみえます。

しかし、遺留分減殺請求がなされた以上、その土地の4分の1はAさんの所有になりますので、あなたが単独で売却をすれば、Aさんの共有持ち分を侵害したことになり損害賠償をすることになります

また、あなたはAさんに無償で土地を使用させる義務があるところ、土地を売却するとその義務を不履行したことになり、債務不履行により損害賠償義務が発生します

以上の点を考えれば、売却という選択肢は法的にも問題があり、また、新たにやっかいな問題を発生させるものであって、とるべき方策にはならないというべきでしょう。


【問題の解決は調停及び遺産分割審判で】

結局、あなたとしてはAさんと交渉することになりますが、もし話し合いで解決することができないというのであれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、調停委員の関与により円満な解決を目指すといいでしょう。

また、調停が成立しないのなら、遺産分割の審判(裁判)でAさんに代償金を支払ってもらって土地を取得してもらう方向を目指すといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★使用貸借と特別受益【Q&A №484】

2015/12/17


【質問の要旨】

賃料相当額を特別受益として引かれるのか

記載内容

賃料 使用借権 持ち戻し

【ご質問内容】

裁判認知により相続人となりましたが、被相続人所有の空き家に住んでいた年数分の賃料(1000万円)を、特別受益として遺留分から差引くと言われています。

建物は、数年前に贈与の約束(契約書)があり、私(婚外子)の母が建替え、被相続人の死亡以前に母名義となっています。

土地は、私に遺贈の遺言があります。

それでも特別受益として賃料相当額を引かれなければならないのでしょうか

(カピバラ)





 【使用貸借であれば賃料の支払いは不要】

被相続人であるお父さん所有の空家をあなたが使用していたということを法律的に考えてみます。

お父さんがあなたに賃料を請求するようなことはなかったのであれば、あなたはお父さんから無償(ただ)でその家を利用することを認められたということになり、法律的には使用貸借という関係になります。

あなたの立場から言えば、無償で使用する権利(使用借権)をお父さんから与えられたということになりますので、賃料を支払う必要はないでしょう。


【使用借権が特別受益になる可能性がある】

ただ、あなたが、被相続人からただで使用する権利(使用借権)をもらったということが特別受益とされる可能性があります。

使用借権の価額については当該対象物件の5~10%程度の価値があるものだとされることが多いです(但し、裁判例の解説などを読むと10~30%ではないかという見解もあります)。

しかし、建物価額は評価証明額を前提として算定されることが多いですが、建物の評価証明額が極めて少額な場合も多く、そのため、上記の割合では使用借権価額が極めて少額になります。

一方で、被相続人であるお父さんは土地や建物の固定資産税分を負担しています。

その物件をあなたが無償使用しているのであれば、最低限、土地や建物の固定資産税分の支払い分程度は免れたという利益を受けていたことになり、その相当額が特別受益とされる可能性があります


【建物贈与の影響】

建て替える前の建物は、生前に贈与されていますが、誰に贈与されたのかがご質問では明らかではありません。

もし、あなたに贈与されたのであれば、建物価額があなたの特別受益として持ち戻されますが、その場合の特別受益額は、《建物価額-使用借権額》でいう計算式で算定されます。

贈与があったとしても、あなたが使用借権を取得した事実は消えませんので、使用借権取得が特別受益となる点は否定できません

但し、上記考え方はあくまで一つの考え方にすぎず、異なる見解もありえます。


【持ち戻し免除の可能性もあるので弁護士に法律相談を】

なお、今回のご質問から受ける印象ですが、お父さんとしては遺産への持ち戻しを免除するという意思をお持ちであった可能性もあります。

また、前項に記載したように使用借権を設定した後、その建物を取得した場合にどのような形で特別受益に反映させるかについても、弁護士により見解の相違がありえます。

いずれにせよ、今回のご質問が含む問題については、難しい点も多いので、近くの相続問題に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、相談されることをお勧めします


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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過去処分した不動産の売却代金調査と特別受益【Q&A №482】

2015/12/15

 【ご質問の要旨】

1 被相続人が事実婚時代に贈与等を行った場合、婚姻後に特別受益と扱われるか
2 被相続人が過去に売却した不動産の代金についての調査

記載内容 特別受益 不動産売却 取引履歴

【ご質問の内容】

被相続人は、結婚せずに20年以上同じ異性と暮らし、二人で家を購入し(名義がどうなっていたかは不明)共働きででローンの返済をしていましたが、異性が年金受給できる年齢に達する数年前に家を売り、ローン返済後の所得を持ち、異性の故郷のある土地へ二人で引越したのを機に結婚しました。

以来二人は働いていません。

私は被相続人の兄弟で、法定相続人です。

婚姻前の不動産所得は被相続人と配偶者の共用財産ですが、被相続人の財産分もあると思います。

こういった場合、調停か審判になった時、被相続人の不動産所得分として、配偶者の特別受益と見なされますか?

不動産所得額や財産分与があったのかなど、具体的には配偶者以外、誰もしらない状況です。

宜しくお願い致します。

(もっち)





 【財産分与は相続の対象にならない】

ご質問の中に、「財産分与」という言葉が出てきます。

財産分与というのは、法律的には、離婚の際に、財産をその夫婦間で分ける手続です。

この財産分与が遺産で問題になることは少ないといえます。

なぜなら、財産分与は、離婚した妻(場合によれば夫)に対する支払いであり、その内容は婚姻後に夫婦で形成した財産の分割なので、仮に妻が財産分与を受けてもそれは実質的に自分の財産を戻してもらったということであり、その分は遺産にはならないからです。
また、そもそも離婚しているのですから、復縁しない限り、その妻が相続人となることもありません。

ご質問の被相続人は、離婚しているわけではなさそうなので、財産分与の有無を考える必要はないといえます。


【生前の財産譲渡は特別受益になる可能性がある】

今回のご質問で財産分与という趣旨は、おそらく、生前に配偶者が財産をもらっているのではないか、その分は遺産計算上、どうなるのかということでしょう。

そのように生前に財産をもらっているのであれば、それは特別受益として、遺産の分割時に遺産に含めて計算されることになります。


【今するべきことは、なによりも調査です】

被相続人の財産が、その生前、残された配偶者に移されているかどうかについては調査が必要です。

なぜなら、調停にせよ、裁判にせよ、被相続人の財産が配偶者に移されていることを認めてもらうためには、裏付となる証拠を集めなければならないからです。

そのため、早急に遺産調査を始める必要があるでしょう。

   《不動産の調査》

まず、かなり前に不動産を売ったようですが、その辺から調査を開始しましょう。

① 売却後に故郷に居を移したということですので、自宅を売却した可能性が高いと思われます。そこで、住所の移動状況を探るために、被相続人の戸籍附票を取寄せましょう。ご質問内容からは、売却した不動産は、故郷に移る前の住所地であることがうかがわれます。

② さらに、その不動産のある市町村から名寄帳を取寄せ (【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)、当該不動産の登記上の所在地や、そのほかの不動産所有の有無等を調査しましょう。

③ 不動産の所有状況が判明した場合は、法務局でその不動産の登記を調べることで、被相続人がいつ、誰に売却したのかが分かります。

   《金銭の動き・・取引履歴の調査》

前記不動産の調査によって不動産の売却時期が判明した場合には、続いて、金融機関の取引履歴を調べることが必要です。

どこの金融機関を調べるかは、支店名まで特定する必要があるので難しいところですが、不動産の登記に住宅ローンの抵当権などがついていた場合、その抵当権者である金融機関(あるいはその関連会社)から支店名を探り出し、その支店に対して取引履歴の照会を行うとよいでしょう。

そして、その取引履歴のうち、不動産売却当時の大きな入金があれば、それが売買代金の可能性が高いといえます。

その代金額が配偶者の共有持ち分と大きく異なる、あるいはその後引き出されているなどという事実があれば、その時点で財産が贈与等されていると理解して、その後の対応を考える必要があるでしょう。


【弁護士に相談してもいいでしょう】

ご質問からは、被相続人の遺産については、現在、ほとんど判明していないように見受けられます。

そこで、前記のような調査が必要不可欠となるわけですが、一方で、処分された不動産や金融機関の支店が判明するとは限りません

ただ、質問のケースに応じてどのような調査方法が最適なのか、調査の結果によりどのように対応するなかなどについて、相続に詳しいお近くの弁護士に相談することを考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が支払っていた共有建物の光熱費【Q&A №478】

2015/11/25

【共有建物の住居部分の家賃光熱費について】

賃貸店舗のある物件で、二分の一持ち分三〇年前、建築したときから、保存登記もされています。
父親と共有で、共同経営していました。

私の住まいとして、父親がその物件で住めばいい、家賃光熱費いらないからと三〇年家族ですんでいます。

父親が亡くなり、父親の持ち分が相続で姉になり、過去一五年分家賃光熱費請求してきました

土地全部父親の名義でしたが相続で姉の名義です。ちなみに地代も請求してきました

私は、建物全体経費電気水道局他支払いしている。相続後姉は、父親の名義のテナントから、家賃光熱費受け取っている。

わたしの持ち分所有権保存登記されています。相続の時生前贈与扱いです。
姉の請求納得いかない

経費二分の一も支払いしてくれない。

よろしくお願いします。

記載内容 光熱費 共有 賃料

(りく)







【考えるポイント】

相続人は、被相続人(本件ではお父さん)の持っている権利や義務を受け継ぎます。

そのため、地代、家賃や光熱費の支払いの要否については、お父さんとあなたとの権利や義務がどうなっていたかを確認する必要があります。

以下においてはそのような観点から検討していきます。

【地代について】

まず、お姉さんから請求のあった地代について検討します。

土地はお父さんの単独所有、建物はお父さんとあなたとで各2分の1の共有ですので、あなたはお父さんの土地の2分の1を使用していることになります。

土地利用につき、あなたがお父さんに賃料を支払っていたというのであれば、あなたとお父さんのとの間に賃貸借契約が成立しており、お父さんから土地を相続(ということは賃貸人の地位も相続)したお姉さんに対し、賃料を支払う義務があります。

ただ、あなたが賃料を支払わず、お父さんも請求しないことについて(暗黙でも)合意があったということであれば、お父さんとあなたとの間には、土地を無償で使用させる使用貸借契約が成立しており、相続でお父さんの土地を取得したお姉さんは、お父さんと同様にあなたに土地を無償で使用させる義務があり、賃料請求はできません

ただ、あなたは使用借権という無償で土地を使う権利をお父さんからもらったのですから、その使用借権が特別受益とされる可能性があります。

しかし、質問では少なくとも不動産については遺産分割協議が終了しているようですし、他の遺産についても遺産分割協議が終了しているようであれば、特別受益の問題は既に解決済みとして扱うといいでしょう。

【家賃について】

建物は、賃貸店舗に出されていた分と、あなたの居住用にされていた分があるようですので、分けて記載します。

賃貸店舗に出されていた分については、誰が賃料を取得していたのかによって異なりますが、あなたが賃貸人として賃料全部を取得していた場合、その賃料の中には本来はお父さんが取るべき分もあったはずです。

お父さんが、あなたから自分の建物持ち分に相当する賃料相当額を請求しなかったのであれば、その分も使用貸借同様の関係になり、その使用貸借権がお父さんからあなたへの生前贈与として特別受益になります。

次に、あなたが建物の一部を住居として使用していたことについてですが、お父さんとしては家賃はいらないということですので、その無償使用分も使用借権になり、その権利の価額が特別受益になります(なお、遺産分割協議が終了していれば特別受益問題は解決済みであることは上記「地代について」の末尾に記載したとおりです)。

いずれにせよ、あなたが建物を無償で使用するということをお父さんが認めていたのであれば、建物の持ち分をお父さんから引き継いだお姉さんとしても、お父さんと同じようにあなたに無償で貸与すべき義務があり、家賃を請求することはできないという結論になります。

【光熱費、経費について】

お父さんの死亡までは、建物全体経費電気水道局他の支払いをあなたが負担し、光熱費はお父さんが負担いたということですので、そのような内容の分担の合意が成立していたと考えてよく、お父さんの時代の精算は不要と考えていいでしょう

ただ、相続開始後は、お姉さんが底地全部や建物の持ち分を相続したということですので、費用関係については、お姉さんとの間で協議をされ、新たな合意をされるといいでしょう。

【弁護士と相談されることも考える】

以上、原則的な考え方を記載しました。

ただ、お姉さんの態度から見ると、調停や訴訟に発展する可能性もありそうです。

また、事案の内容によっては、より詳しく聞くと回答が変わってくる場合もあります。

相続に詳しい弁護士と法律相談をされることも考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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15:28 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父と私が購入した兄名義のマンションは遺産か【Q&A No.467】

2015/09/15



① 父が主な出資者、兄名義のマンションがあります。

  父がなくなり、次いで母もなくなりました。

  マンションの残債の一部に私の預金600万円が当てられています。

  この600万円は寄与分ですか?兄に返還請求できますか?


② 母が私名義で貯金していました。

  この貯金は生前贈与ですか?遺産ですか?



記載内容

  特別受益 家賃 生前贈与


【ご質問内容①】
 亡父に預けていた預金(約600万:裏付け資料なし)を兄名義だが父が出資のマンションのローンの残債に充当する。
 私が無償で居住OK(兄は黙認)。
 亡き父が”いずれお前のものに!”(亡父)
 母も同じ発言。
 母が亡くなった今も、名義変更されておりません。
 この現状の中、亡母の相続協議では¥600万は”寄与”それとも、兄に”返還請求”?
 また、無償の家賃は”特別受益”それとも兄へ返還すべきものでしょうか?

【ご質問内容②】
 亡くなった母親から”お前名義で貯金しているからね。”と言われていました。
 この度の相続にあたって、資産管理を任されていた兄に、存在の確認と引き渡しを申し出たところ、”預かっているから引き渡すよ。”の返事がありました。
 この様な場合、この貯金は贈与=特別受益として扱うのか、手渡しが終わってないから親の遺産だとして扱うのかが判りません。
 どのように判定すべきかをご教授願います。



(泉南のくま)







①について

【マンションは誰のものか?】

 まず、マンションは誰のものかという点を確認しておく必要があります。

 お金を出したのがお父さんであっても、名義がお兄さんだということであれば、原則、お兄さんの所有とみていいでしょう。

 この場合、お父さんが出資した金額がお兄さんの生前贈与となり、特別受益として遺産に持ち戻されることになります。





【あなたがお父さんに預けていた600万円の扱い】

 あなたがお父さんに600万円を預けていたようですが、その証明はできないということであれば、あなたがその600万円についてお兄さんに返還を求めることはむずかしいでしょう。

 また、マンションがお父さんのものではないという前提であれば、あなたの寄与分にはなる余地はありません

 ただ、その600万円についてもお父さんからお兄さんにわたった(お父さんが出資した金額だ)という点が証明できるのであれば、その分もお父さんからお兄さんへの生前贈与(=特別受益)として考え、その600万円も遺産に持ち戻すことになります。





【マンションの所有権をもらうことはできないか?】

 お父さんがマンションを《いずれお前のものに!》と言われたようですが、マンションがお父さんの遺産であれば、お父さんから生前贈与でもらったと主張できる可能性がなくはありません。

 しかし、最初に述べたようにマンションはお兄さんのものという前提に立てば、お父さんが何を言ったかにかかわらず、あなたがそのマンションの所有権を取得することはできないということになります。





【無償利用は特別受益になるか】

 あなたが利用しているのはお兄さんのマンションであり、お父さんの遺産ではありません。

 そのため、その無償使用はお兄さんとの関係で問題になるとしても、お父さんの遺産で問題になることはなく、家賃相当分が特別受益になることはありません。





【弁護士に相談が必要なケース】

 今回はお兄さん名義であることから、マンションはお兄さん所有として考えていきました。

 しかし、お父さんがマンションを《いずれお前のものに!》と言ったということは、お父さんとしては自分の所有物であることを前提にしていたと考えることも可能です。

 前提となる事実関係が異なれば結論も異なります。

 本件については、具体的な事実を説明したうえで、相続に詳しい弁護士に相談され、マンションがお父さんの所有となる余地はないかどうか検討してもらうこと、また、その場合にどのような寄与分特別寄与や特別受益がどのようになるのか、回答を得られることをお勧めします。





②について

【お母さんがあなた名義でしていた預金について】

 お母さんがあなた名義でしていた預金については、あなたがその通帳や証書、取引印をもらっていない限り、原則、お母さんの遺産になります。

 ただ、お兄さんがお前に渡すよということを言っており、全相続人がそれに異議がないのなら、その預金分はお母さんの遺産ではなく、あなたがお母さんから生前贈与(=特別受益)されたものとして扱うことになるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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10:38 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★居住の利益と特別受益【Q&A №457】

2015/07/22



【質問のまとめ】

① 被相続人と相続人の一人が建築費用を折半して建てた家があります。

  被相続人の生前、その家には、相続人が一人で住んでいました。

  相続人に特別受益がありますか?


② 被相続人の家に相続人の一人が同居して、

  相続人の生活費の多くを被相続人が負担していました。

  相続人に特別受益がありますか?




記載内容

  居住利益 特別受益 建築費用


【ご質問内容】

遺産に不動産が含まれています。

土地は被相続人名義、家屋は建築費を被相続人と相続人Aが半分づつ負担し共同名義で相続人Aが居住しています。

被相続人は相続人Bと同居しており、Bは生活費として月に3万程度負担していました。

上記の場合、相続人A・Bともに特別受益になりますか?

また共同名義の家屋の現在の価値の半分が遺産の対象として含まれるのでしょうか?

特別受益と遺産との場合では相続分に価値的な違いが出てくるのでしょうか?




(迷える羊)







【Aの特別受益は居住利益】

 わかりやすくするために、被相続人がお父さん、AとBはその息子という前提で話をしていきます。

 お父さんとAとがそれぞれ建築費用を出して建築し、共有である家を、Aがお父さんから(半分)借りて住んでいたというケースです。

 Aの特別受益は、その家屋が共有である(つまり、家屋の半分はお父さんのものである)にもかかわらず、家屋の全部を使用している利益(正確に言うと、お父さんの持ち分を利用している点についての利益)と思われます。

 具体的には、その家の家賃相当額の半額(正確には土地利用料も考えられるが)を免除されたものとして、これを特別受益だと主張することになるでしょう。



【同居者の生活費の部分は特別受益が減殺される】

 Bについては、特に記載されてはいませんが、お父さんの家に無償で同居していたとすれば、家賃相当額が特別受益であるとの考えもあり得そうです。

 しかし、親と同居の場合には、扶養義務のある親子関係の同居であること、Aのような独自の居住状況ではないことや、親の面倒や介護をしていた等の理由からか、家賃相当額が特別受益になると主張されることは少ないようです。

 むしろ、このBのようなケースでは、親の介護をした等とかを根拠として、特別寄与等の主張が出てくる可能性さえあります。

 次に、Bは生活費を3万円出しているとのことですが、現実の生活費よりかなり低額であっても、被相続人と相続人が親子の関係であればお互いに扶養義務を負っていますので、特別受益とならない場合も多いです(この点は当ブログ【Q&A №254】母の生活費負担と特別受益・寄与分もご参照ください)。

 参考までに言えば、過去の裁判例では月十数万円程度の生活費提供でも特別受益にならないとしたものがあります。



【建物評価額の半額は遺産に組み込み】

 最後に、お父さんの有する共有持ち分は被相続人の遺産になります。

 おそらく本件のような場合には、Aが居住している家(正確にいうと被相続人の土地とその土地上の建物の共有持ち分)を相続で取得し、Bは被相続人と同居している家を相続で取得するということになりますが、それぞれの価額に差があれば、他の預貯金の相続で調整するか、代償金の支払いで調整することになるでしょう。

 評価基準時ですが、遺産の場合には遺産分割時点となります。

 特別受益の場合の評価時点は不動産等については、特別受益のあったときではなく、相続開始時とするというのが裁判例です。

(弁護士 大澤龍司)
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母が支出したリフォーム費用と相続【Q&A №437】

2015/03/19
  


 およそ3000万円で建築した家のリフォームを検討しています。

 持分は、家族4人全員の共有名義です。

 持分は、父4、母1、長男2、長女(私)3です。

 ただ、父は、平成19年に亡くなりましたが、相続登記はまだしておりません。

 おそらく、長女が相続する予定です。(または、長男長女で相続)

 リフォームは、増築は行わず、お風呂、トイレ、キッチンのリフォームを約500万円で行う予定です。

 このリフォームの費用を、母が全額負担した場合、将来、母からの相続の時に相続税に組み込まれますか?

 又は、リフォーム時、贈与税が掛かりますか?

 母が、負担した金額分、母の持分を増やす必要があるのでしょうか?

 私は、共有名義者の1人が負担するのだから問題無いと思っていたのですが、これは間違いでしょうか?

 父からの相続登記はリフォームより前にした方がいいのでしょうか?もちろん、本来なら当然、すでに相続登記していないといけないものなのですが・・

 教えてください。

 よろしくお願いします。


記載内容

  リフォーム 贈与 請求権 特別受益


(いち)





【リフォーム代金の負担と相続との関係】

 共有している自宅をリフォームする場合、その費用は共有者がその共有持ち分に応じて負担するべきものです。

 そのため、その代金をお母さんが一人で負担した場合、他の共有者との関係では次の①か②にいずれかに該当します。

①他の共有者は、お母さんに対して持ち分に応じた負担金を支払う義務を有する。

  この権利は、母さんから見て請求権となりますので、お母さんの債権として、その遺産の一部を構成します。

②お母さんは、他の共有者にリフォーム代金の返還を求めないというのであれば、各共有者はその持ち分に応じた額のリフォーム資金の《贈与》を受けたということになります。

 この場合には、その贈与分が法定相続人にとっては《特別受益》になります。(特別受益については【コラム】生前贈与を受けていたらご参照)。



【贈与か否かの判断基準】

 前項の①か②かは次の基準で判断していいでしょう。

 お母さんがリフォーム代金を全額だすが、そのとき、他の共有者に返還を求めないということであり、他の共有者がそれでよいというのであれば、それは贈与です。



【贈与税がかかるかどうか】

 お父さんが死亡されているということですので、相続が発生しています。

 お父さんの持ち分が10分の4ですので、法定相続であれば、お母さんが10分の2を相続し、長男とあなたが10分の1を相続することになります。

 その結果、従前の持ち分と合算して、お母さんは10分の4、長男は10分の3.あなたは10分の4の共有持ち分となります。

 この前提でいうと、お母さんが500万円を出した場合、あなたとしてはその10分の4の200万円分のリフォーム資金の贈与を受け、長男さんは150万円の贈与を受けたことになります。

 贈与の基礎控除は110万円ですので、あなたとしては90万円に対する贈与税の支払いが必要ですし、長男さんとしては40万円分に対する贈与税の申告が必要です。




【お母さんの持ち分を増やす必要はありません】

 この代金支出は、法的にはお母さんからの贈与か、あるいはお母さんの他の共有者に対す請求債権という形に変わりことになりますが、所有権の持ち分にはなんら影響を与えません。

 そのため、お母さんの持ち分を増やす必要はありません。




【お父さんの相続登記とも関係がありません】

 前項に記載したように、リフォームすることと家の所有権(及びその登記)とは何ら関係がありません。

 そのため、相続登記も急いでする必要はありません。
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義母から資金援助を受けた建物の相続【Q&A №436】

2015/03/18
 


 30年ほど前に父親が亡くなり、実家の母親と長男が同居するのに半分の資金を母親が出し、建て替えて新築しました。

 その後長男が10年前に亡くなり、その妻の私の名義にしました。最近義母がなくなりました。

 この家の所有権は名義者である私であると思いますが、建て替えた時に義母が半分資金を出してくれてた事が引っかかります。


記載内容

  新築 資金 数次相続

(さくら)





【「部屋」が遺産相続の対象になることはない】

 質問の中に「建物の義母が住んでいた部屋は遺産相続の対象になるのでしょうか?」という部分があります。

 まず、この点の説明をします。

 建物についていえば、1戸の建物の全体についての所有権が相続の対象となります。

 例えば「離れ」として完全に独立した建物であるような場合には別として、建物うちの一部分でしかない部屋が相続の対象になるということはありません。



【新築資金の贈与は特別受益になる】
 新築した建物について、その建築費用の半分をお義母さんが出したが、名義はご主人の単独名義にしたというケースです。

 このような場合、新築された家についてはご主人が単独で所有権を持ち、お義母さんは建築資金の半分をだした(ご主人に贈与した)ということになるでしょう。

 このようなお義母さんのした生前の建築資金分の贈与は特別受益として扱われ、遺産分割する際に、遺産の中に組み入れて、遺産分割されることになります。

 そのため、お母さんの遺産を分割する際に、他の相続人から「あなた方は自宅建築資金の半額を生前贈与され、その分が特別受益である。

 その分他の遺産については他の相続人が多く取得するべきだ。」と言われる可能性はあり、その場合にはこれをみとめざるを得ないでしょう(特別受益については【コラム】生前贈与を受けていたらご参照)。

(なお、本件では、特別受益を受けたのはあなたのご主人ですが、ご主人が死亡されているので、相続人はご主人の子であり、代襲相続人です。ただ、この場合、代襲相続人である子はご主人の立場を継ぐのですから、ご主人の特別受益は子である代襲相続人の特別受益とみて差し支えないでしょう)
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★遺留分減殺対策で、家を贈与又は売買したい【Q&A №413】

2014/12/03



 母は持家のマンションで一人暮らしです。
 その母の家を私の娘に生前贈与したいと言っています。(母の財産は、そのマンションだけです。)推定相続人は私と妹の2人で、妹は母の財産の半分を貰う気 満々です。
 母から娘への名義変更なら、原則としては特別受益には該当しませんよね。(娘は19歳大学生です。)
 もし妹が遺留分減殺請求したら、この場合 持ち戻しと言うことになるのですか?
 そう判断されない様にする方法は ありますか?
 この裁判にかかる費用は いくらぐらいですか?
 妹に母の家を渡さない方法として、家を私か主人が買い取ると言うのはどうですか?
 評価額は1700万円くらいなので、その値段で買う。(現金買取でも良いですか?)そして母から娘へ教育資金贈与を1500万円して貰う。
 母は現金を持っていないので、つじつまは あっていると思うのですが、どうですか?売買なら特別受益にもならないですよね。税金がかかるとは思いますが。これ以外に妹に家を渡さなくていい方法があれば教えて下さい。宜しくお願いします。

記載内容

   贈与

(佐奈)





【原則は特別受益にあたらないが、断言はできない】
 推定相続人(本件ではあなたと妹さん)に対する贈与なら、特別受益として遺産に持ち戻すことになります。
 しかし、質問に記載されているような、あなたの娘さん(被相続人から見ればお孫さん)への贈与は推定相続人に対するものではないため、ご指摘のとおり、原則として特別受益の問題は発生しません。
 ただ、夫に対する贈与が、推定相続人である妻に対する贈与であるとされた裁判例が1件あります(「【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益」参照)ので、絶対に特別受益にはならないと断言することはできません。
 どのような場合に特別受益とされるかの判断基準は、裁判例が1例だけですので、必ずしも明らかではありませんが、抽象的に言えば《娘さんに対する贈与が、あなたに対する贈与と同視されるような場合》には特別受益とされる可能性があります。
 今回のようなケースでは、
①娘さん(孫)が未成年であり、自分では管理処分する意思と能力を持たない。
②なぜ推定相続人であるあなたではなく、お孫である娘さんにわざわざ贈与するのかという動機

という点などが、検討されるべき事項になるように思います。

【特別受益にはならなくとも、遺留分減殺請求は受けることになる】
 娘さんへの贈与が、推定相続人であるあなたへの特別受益と判断された場合には、特段の事情がない限りは、時期や損害を加える意思の有無を問わず、遺留分減殺の関係では遺産に持ち戻されます(相続Q&A №324およびQ&A №411参照)。
 なお、仮に娘さんへの贈与があなたの関係での特別受益にならないとしても、妹さんの立場から言えば、娘さんに対する遺留分減殺請求をすることが可能です。
 遺留分減殺で遺産に持ち戻される贈与は、相続開始前の1年間にされた贈与か、遺留分権利者に損害を加えることを知った贈与です(後記参照条文:民法1030後段)が、本件の場合、贈与の対象となる持ち家が、お母さんの唯一の財産ですので、《損害を加えることを知った贈与》とされる可能性が高いでしょう。

【買い取れば特別受益にはならない?】
 次に、あなた又はあなたのご主人が買い取る案をお考えのようですが、1700万円という買取金額が相当額であれば、その売買自体は特別受益にはなりません(なお、税務当局は親子間の売買には厳しい目を向けており、果たして本当の売買であるかどうかを調査するという可能性もあることも考慮されておくといいでしょう)。
 又、売買代金1700万円のうち、約80%に相当する1500万円を、お母さんから娘さん(孫)へ教育資金として贈与するとなれば、本来は親であるあなたが負担しなければならない教育費を、お祖母さんが負担したことになり、これによって、あなたが教育資金の負担を免れたという《特別受益》が発生する可能性もあります。
 また、売買の時期や贈与の時期が近接している、娘さんにわざわざ教育資金を出す必要性が乏しいような場合には、売買と贈与とが《仕組まれた一体の取引》であり、実質的には買取ではなく、あなたへの贈与であったと見られる可能性も想定しておく必要があります。

【遺留分減殺請求の裁判費用】
 裁判にかかる費用としては裁判所に納める申立印紙代や弁護士費用がありますが、今回最も大きな費用となるのは弁護士費用でしょう。
 弁護士費用は自由化されていますので一概には言えませんが、遺留分減殺請求事件は弁護士間では難しい事件とされています。
 このことを考えると、事件を依頼する場合に支払う着手金として、妹さんからの請求額の8~10%程度になり、事件終了時に支払う報酬として、仮に全部を勝訴した(妹さんに1円も支払いをしない)という場合には、請求額の10~16%といった金額の水準で契約する弁護士が多いように思います。

《参照条文》 民法第1030条(遺留分の算定)
 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。


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★夫の退職金で夫名義のローンを返済【Q&A №412】

2014/12/02



 その後、夫は会社を定年退職し退職金をもらった。退職金全額を、夫は妻に渡した。
 妻は全額を「自宅兼収益物件のローン支払いにあてた」と言った。
 この件について質問です。

(1)この渡した退職金の1/2にあたる金額は特別受益として遺留分算定の基礎財産に加算できますか?

 父と母が持ち分1/2ずつの共有名義の「収益物件の不動産」があります。この「収益物件の賃料」は、全額、父の口座に入金されていました。そして、入金された後、この「収益物件の賃料」を母が毎月定額出金していました。母は、「収益物件の賃料」を管理するために、出金していたようです。母は、この定額出金した金額を自分名義の通帳にいれてるかどうかは不明です。現金で持っているかもしれません。この件について教えてください。

(1)母が管理している父の持ち分の不動産の「賃料」は、名義預金として遺留分減殺請求の基礎財産に加算できますか?

(2)遺留分減殺請求の基礎財産に加算できるとしたら、何年前まで遡れますか?

記載内容

  贈与 退職金 返済
(ikasama)


※同じ方から2回に分けてご質問をいただきましたが、回答は1つにまとめています。

【各月のローンの支払い分が特別受益となり、遺産に持ち戻される】
 不動産の名義は共有であるところ、ローンは夫だけというケースです。
 妻としてはローンの支払いをしないのに、夫が各月のローンの支払いをしますので、妻の財産が増えていく(正確にいうと、その不動産には抵当権がつけられているでしょうから、その債務が減少する)ということになります。
 ローンの支払い分のうち、妻の共有持ち分に該当する分の支払い額が特別受益になり、遺留分計算の基礎財産として、遺産に持ち戻されることになります。

【退職金で支払った残ローン分も特別受益になる】
 今回、退職金でローンの残額を一括して返済したということですので、その一括支払い分のうち、妻の持ち分に相当する分が特別受益になり、遺産に持ち戻されます。
 なお、質問では夫の退職金を妻に渡したという表現があります。
 しかし、その退職金は結局、ローンの支払いに充てられているのですから、妻に渡したという点は無視してもよく、結局、夫の退職金で不動産のローンが完済されたと考えて差支えありません。

【遺留分権利者に損害を与えることを知っていたということが前提だが・・】
 遺留分の算定の際の遺産に持ち戻されるのは、相続開始1年前までの贈与です(民法1030条後段)。
 したがって、条文から見れば、1年を超えて遡った時点での贈与については、《遺留分権利者に損害を与えることを知っていた》場合に限定してのみ、持ち戻しが認められるはずです。
 しかし、最高裁は特別受益に該当するような相続人に対する贈与は、その贈与が相続開始よりも相当以前になされたものであっても、特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当であると判断しています。・・・※注1。
 今回の質問のケースは、おそらくかなりの長期間にわたるローンの支払いですが、このようなかなり以前の分でも特別受益である限り、遺産に持ち戻されますし、ましてや、最近、夫の退職金でローンを支払い、その利益を受けているのであれば、その分も特別受益として、持ち戻しになることは確実だと言っていいでしょう。
   ※注1・・最高裁判決:平成10年3月24日(民集52巻2号433頁)

【賃貸人名義人が賃料を取得するが、他の持分権者に持分相当額を支払う必要がある】
 まず、不動産賃貸の賃料については賃貸人が受け取りますので、賃貸契約書を確認する必要があります。
 契約書で賃貸人が夫(お父さん)であれば、賃料を受領する権利は夫にあり、受け取った賃料は夫のものです。
 但し、妻が共有持ち分を持っていますので、特段の合意がない限り、妻も持ち分に相当する賃料を夫に請求できる権利があります。

【賃料全額を妻が預金しているとすれば、特別受益の可能性もある】
 賃料は、一旦、夫の口座に入り、そのうちから一定額を妻が出金していたということですが、その出金が何に使用されたのかによって結果が異なります。
  《賃料管理の費用》として、或は《生活費としての夫婦の婚姻費用》などに支出されたのであれば、その分は特別受益にはなりません。
 この場合、一定額を支払った後に残存するお父さんの口座(正確にいうと、そのうちの賃料入金分に見合う)残額のうち、妻の持ち分割合に相当する額は妻が取得するべき分ですので、妻は夫に対しその分の返還を請求することができることになります。
 なお、妻が自分のための支出として賃料の半額程度を引き出して使っていたというのであれば、夫の預貯金全額は夫の遺産であり、そもそも特別受益の問題は発生しません。

【消滅時効と特別受益との関係】
 特別受益は消滅時効にかかりません。
 しかし、返還請求権の場合には原則として10年で消滅時効期間が経過しますので、10年以上経過した分に相当する金額の請求権は消滅していると主張される可能性があります。
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17:15 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

孫や自分の夫への贈与と特別受益【Q&A №411】

2014/11/20



 母はマンション(持家)で一人暮らしです。相続人は私と妹の二人で、母が妹には財産を残さないと言っていて、マンションを私に生前贈与すると言っています。しかし私に名義変更したら特別受益になりますよね。
 妹は母の財産を貰えると思っていますし、遺留分の事も知っています。そこで特別受益に該当しない方法として、マンションの名義を主人か私の娘(相続人では無いので)にするのは、どうですか?この時に相続税はどうなりますか?それと、名義を夫か娘に変更した後、母のマンションに夫か、娘が住まないと問題になりますか?住民票を移すだけでもいいですか?時々は泊まります。 
 もう一つの案が、母から私に名義変更して、暫くして私から夫に名義変更すると言うのは可能ですか?その時、結婚して23年なので住居用不動産の配偶者控除を利用すればマンションの評価額は2000万円以下なので税金はゼロですよね。この場合、母の住所に住民票を1人でも移していれば大丈夫ですか? たくさん書いてしまいましたが、宜しくお願いします。


記載内容

   贈与
(仁万)


【夫や孫への贈与も特別受益になりうる】
 贈与が特別受益として遺産に持ち戻されるのは、原則として、法定相続人に対するもののみです。
 したがって、相続人ではないご主人や娘さん(お母さんから言えば孫)にマンションの名義を移転することについては特別受益にならないというのがとりあえずの結論になります。
 しかし、過去の裁判例の中には、たとえば法定相続人である長女ではなく、その夫に対した贈与が、実質的には相続人への贈与であると同一視され、特別受益として持ち戻しされたものもあります(相続Q&A №324および「【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益」をご参照ください。)。
 なお、ご主人や娘さんに贈与した場合には、相続税ではなく贈与税が課税されることになり、多額の贈与税を受贈者が支払うことになる場合もありますので、ご注意ください。

【居住と所有は別問題です】
 名義変更後のマンションに、贈与を受けたご主人か娘さんかが居住するのかどうかという問題ですが、所有者と居住者は必ずしも合致する必要はなく、お母さんが居住のままでもいいと思います。
 ただ、親子や親族間の名義移転については、名義の仮想移転であり、真実の贈与ではないという主張が出てくる可能性もあります。
 そのため、そのような主張を封じるために、新所有者と居住者であるお母さんとの間で使用に関するなんらかの合意をしておくといいでしょうし、固定資産税等も贈与を受けた所有者が支払う必要があるでしょう。

【二段階の名義変更のメリットはない】
 いったんあなたに名義変更した後に、更にご主人に名義変更するという二段階の贈与もお考えのようです。
 しかし、あなたがいったん母から贈与を受けたという時点で特別受益が発生し、相続の時点で遺産に持ち戻しされることになります。
 また、登記費用が二重に発生しますし、贈与税も夫婦間の居住用資産の配偶者控除の適用を受けるにしても、少なくとも、お母さんからあなたに名義移転する段階で贈与税がかかります。
 結局、2段階の名義移転のメリットはないという結論になります。
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16:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父から生前贈与されたマンションと後妻【Q&A №409】

2014/11/06



 五年前に生前贈与で父にマンションを貰いました。
 購入時から私の名義にしてます。
 それを機会に同居しました。
 父には後妻がおりその方は私と10歳しか違わず後妻は専業主婦です。
 私は娘で独身で働いています。
 先日父がなくなり、一年程で出て行って欲しいと言ったらマンション返せと言われました。特別受益だそうです。
 購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります。)
 生前から固定資産税もマンション管理費・水光熱費は私が支払っています。父たちは一応食費です。
 今現在も水光熱費等のお金は貰っていません。
 私の食費は自分持ちです。
 お風呂場を私のローンでリフォームしています。
 その時も援助はして貰っていません。
 裁判起こすと言われています。
 購入費用のうち、相続分の四分の一は払うとは言っています。
 後妻も生前贈与は貰っています。
 その分は計算されていなくて、父と二人で使ってしまったそうです。
 亡くなった時の財産は有りませんでした。
 それでも私は出ていかなくてはいけないのでしょうか?
 納得がいきません。
 相談よろしくお願いします。

記載内容

  マンション 生前贈与 同居
(ララ)


【贈与なら特別受益になるが、特別受益としては返還不要】
 あなたがお父さんからマンションを生前贈与されていたという前提なら、そのマンション贈与は特別受益に当たると思われます。
 しかし、特別受益制度は、贈与されたマンションを遺産の中に《計算上、持ち戻す》だけの制度であり、その結果、あなたが現存しているお父さんの遺産をもらえなくなることはあっても、マンションやその価額を返還する必要はありません。
 あなたは自分が所有者だと主張して、後妻に家を出るように主張していくことも可能です。
 ただ、後妻が遺留分を侵害されたとして、減殺請求をした場合には、その限度(後妻の遺留分は4分の1です)で返還請求を受けることがありますので、この点はご注意ください。

【贈与ではなく、実際はお父さんの遺産とされると法定相続の対象になる】
 ただ、質問を読んでいくと、《購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります)》という記載があります。
 お父さんの名義にできない事情があったため、実際はお父さんの所有なのに、あなたの名義だけを借りたということなら、そのマンションはお父さんの遺産となります。
 この場合には、法定相続人間で遺産分割協議をしなければならず、その結果によっては、後妻があなた達に代償金を支払って、マンションを取得するということも考えられます。

【贈与か?遺産か?の結論は簡単には出せない】
 これまでに述べたように、マンションがあなたに贈与されたのか、それともお父さんの遺産であるのかによって、あなたの立場が大きく変わってきます。
 あなたが固定資産税や管理費用も支払っていた、お風呂場をあなたのローンでリフォームしていたという点、更に固定資産税もマンション管理費も支払っていたというのは、あなたに贈与があったことの裏付けとなる事情ですが、必ずしも決定的なものではありません。(なお、水光熱費や食費の支払い関係は、所有権が誰にあるかという問題には直接は関係しません。)
 あなたとしては、お父さんの書いた日記や手紙、書類などを探して、マンションが贈与されたことの証拠になるような記載があるかどうか確認されるといいでしょう。
 また、後妻が、あなたがマンションの所有者であることを前提として発言をしていたようなことはないのか、又、あなたが所有者であることをお父さんが親戚に言っていた等の事情などはないかどうか、がんばって贈与を裏付ける事情を探されるといいでしょう。

【弁護士に相談する必要があるようです】
 当事務所の扱った案件でも、後妻と先妻の子との間の相続争いは簡単に解決することは少なく、調停や裁判まで行くケースが多いです。
 後妻は裁判を起こすと言っているようですが、あなたとしても、相続に詳しい弁護士に相談し、どのような対応をするのか、また、将来の裁判に備えて、どんな有利な事情があるかを判断してもらう必要があるように思います。


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13:19 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産が何もない場合の特別受益による持ち戻し【Q&A №406】

2014/10/28
 兄弟三人のうちの一人に対し、親が住宅取得資金という名目で1,000万円を贈与しています。
 他の二人には何もありません。
 その後、やがて親が他界した場合、他界した時点、つまり相続開始時において親の財産が何もない場合には、遺産分割の対象物がないということになりますし、その場合、特別受益の持ち戻しも、遺留分の減殺請求も、何もできないということになりますか?
 どちらも相続開始時に遺産が存在して初めて成り立つ制度ですか?そうだとすれば、兄弟のうち一人だけが得をし、後の二人はもらえず仕舞いということになりますか?

記載内容

持ち戻し 生前贈与 遺産がない 遺留分減殺
(鎌ちゃん)


【特別受益制度としては、特別受益者が生前贈与分を返還する義務はない】
 特別受益では、その特別受益分を遺産に持ち戻し(組み入れ)て、次の式で算定されるみなし遺産を前提に各相続人の相続分を算定していきます。
   《現存する遺産》+《特別受益》=《みなし遺産》
 この《みなし遺産》につき、各法定相続人に対する配分を計算します。
 今回のケースでは、特別受益が1000万円であり、法定相続人が子3人ですので、そのままの状態で相続が開始した場合、各人の法的相続分は次のとおりです。
   《現存する遺産》0円+《特別受益》1000万円=《みなし相続財産》1000万円
 各人の具体的法定相続はみなし相続財産を3分した333万円強です。
 ただ、特別受益というのは現実に生前にもらった財産を返還させるというものではなく、現存する遺産分割の際、その特別受益を受けた分はその人が既にもらったとして、後の遺産分けをしなさいという制度です。
 特別受益は既に生前にもらったお金を出しなさいという制度ではありません。
 そのため、今回のケースでは、特別受益を受けた人については、本来は333万円強しかもらえないはずですが、それ以上に1000万円の生前受益があるので、遺産から配分はなしというにすぎず、その人が差額の666万円強の金銭を返還させるということはありません。

【特別受益という制度では、遺産がない場合の不公平はやむを得ない】
 「これでは生前に多く贈与を受けた人の一人勝ちになってしまう。不公平ではないか。」というお気持ちを持たれる方が少なくないでしょう。
 しかし、親が、(生存中に)三人いる子のうち、誰にどれだけの財産を贈与するかは親自身の自由なのです。その結果、今回のケースのように、全財産を誰か一人に贈与してしまい、他の人には遺産が残されないという不公平は、法律上やむを得ないものと考えられています。

【遺留分なら、返還をしてもらえる】
 生前に多額の財産が、特定の相続人に贈与されている場合、それを取り戻す制度としては、遺留分というものがあります。
 本来、遺産はその被相続人が自由に処分してよいものであり、全額を一人の子供に生前贈与しても、また、遺言書で一人の子供に与えてもなんら差支えのないはずのものです。
 ただ、他の相続人のためにある程度の財産を与えるようにするというのが遺留分という制度です。
 本件のように全財産1000万円が一人の相続人に贈与されていた場合であれば、他の相続人は本来の相続分の2分の1(本件では6分の1の限度)を遺留分として、返還請求ができます。
 ただ、遺留分は被相続人の死亡を知って1年以内に遺留分を行使する(遺留分減殺)という意思表示をする必要がありますので、期間を経過しないようにご注意されるといいでしょう。
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11:58 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

死亡退職金と特別受益【Q&A №404】

2014/10/15
 法律婚の妻より、遺留分減殺が特定記録であり。被相続人と私との未成年の子供三人宛の請求。
 法律婚は、生命保険、死亡退職金で3200万受取。
 二十年間別居、音信なし。

 財産分与として、別居期間中4200万支払い。
 離婚調停一回。弁護士による離婚交渉一回。

 居宅固定資産税による評価900万。時価評価2000万。私の持ち分3/40。
 37/40は相続による子供たち3人に均等持ち分登記済み。
 その他の相続財産は、預金等800万。

 特別受益持ち戻しが認められ、出来れば改めて子供たちに遺産分割される方法はないものか、お伺いいたします。

記載内容

別居 死亡退職金 内縁 特別受益 生命保険
(ハナ)


【相続で事実婚はどこまで保護されるのか】
 今回の問題は、婚姻(法律婚)をしていた男性(以下、Aさんということにします)と長年にわたり生活を共にし、しかもAさんとの間に3人の子供を出生されていた女性の方(以下、あなたということにします)からの質問です。
 今回の問題は、《相続において事実婚の方がどこまで保護されるのか》という問題を含んでいます。
 結論から言えば、事実婚である限り、保護は極めて薄いということです。

【妻に遺産が行かないのなら、遺留分を請求できるが・・】
 まず、あなた方が遺留分減殺請求を受けたというのですから、Aさんは遺言をし、あなたの子供らに不動産を相続させることにされたようであり、当然のことながら法律上の妻には何も相続させないという内容だったのでしょう。
 ところで、婚姻をしていた妻の立場からは当然遺留分減殺請求がされることが想定されるケースです。
 妻の遺留分は4分の1ですので、遺言により子供らに所有権移転された37/40は、4分の1の限度で妻に相続されることになります。

【財産分与分を特別受益で遺産にもち戻しはできないか】
 あなたの対場から言えば、別居しており、しかも多額の《財産分与》(離婚していないのでおそらく婚姻費用の支払いのことでしょう)をもらっている妻にそんな請求ができるのかという気持ちだと思います。
 しかし、相続の上では、戸籍だけの妻であったとしても、法定相続分2分の1ですし、遺留分減殺請求は4分の1であり、これは妻が長年別居していようが、関係なく認められます。
 《財産分与(婚姻費用)》も多額であっても、それは贈与ではなく、夫婦関係から発生する夫の扶養義務であり、特別受益にはならないでしょう。

【生命保険は特段の事情がない限り、特別受益とはならない】
 生命保険金を妻が受け取ったようですが、生命保険は特段の事情がない限り、相続財産にはなりません。
 ただ、遺産総額と比較して多額と思われるような場合(ある裁判例では遺産額の約60%が目途)なら、遺産に持ち戻される場合があるにとどまります(相続Q&A №298をご参照ください。)

【死亡退職金は相続財産かどうかについては意見が分かれている】
① 公務員の場合
 死亡退職金というのはさまざまな意味でつかわれますが、この回答では、Aさんが在職中に死亡したために支払われる退職金と理解して回答します。
 まず死亡された人が公務員の場合には、退職金の受取人は法律の規定で定められています(相続の一般法である民法とは異なる範囲及び順位の人が受け取れる)ので、死亡退職金が遺産でないということが最高裁の判例で確立されています。

② 公務員以外の場合
 今回の質問では、妻が死亡退職金をもらったということですので、Aさんは公務員ではなかったのでしょう。
民間等の企業などで出される死亡退職金については、それが遺産になるか否かいついては見解がわかれており、一律に決定することはできません。
 具体的なケースごとに遺産に入るか否かを判断していくしかないでしょう。
 ただ、一つの判断要素を言えば、死亡退職金は、通常は勤務する支給規定に基づいて支払われるものですので、その規定で民法の定める順位や範囲と異なった規定が定められているようなら、遺産でない(ということは事実婚の方が死亡退職金を受給できる)とされる可能性が高くなるでしょう。
 参考までに言えば、退職金規定で《相続人に支給する》と記載されていたなら遺産になるが、単に《遺族に支給する》と記載されていたのなら、その退職金はあなたのようにAさんの収入により生活をしていた遺族の生活保障を目的とするものであり、あなたのような事実婚の立場の人が受給権を有するとした判例もあります《最判昭和60年1月31日 家裁月報37巻8号39頁》。
 しかし、いずれにせよ、裁判の最終結論は、退職金規定の条文のみだけではなく、諸般の事情を考慮して判断されることになりますので、簡単に結論を出すことはできないと言うしかありません。
 そのため、退職金や、前に述べた生命保険金などを妻が受け取ったのにつき、あなたが納得できないというのであれば、弁護士に具体的な事情を詳細に相談し、回収の可能性を判断して、必要に応じて、事件を依頼するしかないでしょう。
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12:00 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人の配偶者の借金返済は特別受益となるか【Q&A №403】

2014/10/10
 子(法定相続人)の配偶者が過去に起こした借金が原因で、苦しい生計を案じた親(被相続人)が孫の教育費・車購入・住居購入(配偶者名義)の一部援助、借金の肩代わり(返済不要)、そして孫に数度の生活援助をした経緯があります。
 被相続人の遺産を当該相続人が相続する際、援助を受けた金員は特別受益としてみなされるのでしょうか。それとも借金が原因であるとの見解から、当該相続人の被相続人への借金として遺産に加算し、別相続人に分配されるものなのでしょうか。

記載内容

借金の支払い 返済 特別受益 相続人以外の人への贈与
(BOO)


【相続人以外の人への贈与は原則、特別受益にならない】
 質問は被相続人の生前の財産移転行為のうち、お孫さんへの教育費・数度の生活援助、住居購入(配偶者名義)の一部援助は《お孫さん》あるいは《配偶者》という、いずれも相続人以外の人に対するものです。
 特別受益は相続人に対する贈与を対象としており、相続人以外の者への贈与は原則として特別受益に該当しません。
 ただ、裁判例の中には、配偶者への贈与であっても、贈与の経緯、目的物の価額、その贈与により受ける相続人に利益等を考慮した後、特別受益としなければ相続人間の実質的平等に反するとして、配偶者への贈与を特別受益としたものがありますが、かなり古い判例です(福島家裁白河支部審判 昭和55年5月24日)。
 本件では、相続人ではなく、借金をした配偶者の名義で購入した住居購入代金の一部を支援したということですが、(今度借金したら、差押えでその住居を押さえられるのにという疑問もでますが、その点は別として、)名義は配偶者名義だが、実質は相続人のものであるという何らかの理由や事実があれば、特別受益の可能性はあります。しかし、配偶者がローン代金を支払っているということなら、特別受益とすることはむずかしいと思います。
 お孫さんへの贈与も特別受益にならないのが原則ですが、実質的には相続人への贈与と同視できるような場合には、このお孫さんへの支援が特別受益とされる可能性もあると思われます。

【借金等の肩代わり(返済不要)はケースバイケース】
 借金の肩代わり(返済不要)ということであれば贈与になります。
 しかし、全ての生前贈与が特別受益になるわけではなく、《生計の資本》としての贈与のみが特別受益となります。
 借金も、住宅ローンのような生活費を原因とする借金なら特別受益になるでしょう。
 しかし、ギャンブル等の遊興費が原因の借金なら《生計の資本》に関係ない贈与として特別受益にならないと考えられています。
 ギャンブルの借金の立替支払いが特別受益にならないという結論には納得しがたいと言われる方も多いでしょうが、条文上、《生計の資本》としての贈与だけを特別受益としている以上、この結論はやむを得ないという考え方になります。

【当事務所の弁護士協議では・・・】
 ただ、当事務所の弁護士間で検討した結果も、参考として以下に記載しておきます。
 前項の結論は借金の原因に基づいて、特別受益かどうかを判定しています。
 上記のような考え方を前提にすると、仮にギャンブルによる借金のため、相続人が生活できず、そのため被相続人が多額の贈与をした場合は次の結論となります。
①生活費を援助した場合・・・特別受益となる。
②被借金自体を立て替えて支払った場合・・・特別受益ではない。
 ただ、このような結論は説得力が乏しいように思います。
 そのため、上記の②も結果として相続人の生活苦を救うための方策としての支払いであり、特別受益として扱われてもいいのではないかと考える余地がありそうです。

【車のローンの支払い】
 なお、相続人の車のローンの支払い、あるいは車代金の支払いは特別受益になると考えていいでしょう。
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