遺産分割 : 記事一覧
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相続トラブル【Q&A №584】

2017/10/06


【質問の要旨】

不正出金をした兄弟の告訴は可能か?

記載内容  預金 使い込み 告訴 

【ご質問内容】
 パチンコ依存症兄弟が、亡き母の預金勝手におろし800万円あったのが、わずかしか残ってない!
 今度は、認知症4の父の大金使い込み!後見人弁護士調査中ですが、ずるい兄弟を告訴して処罰して必ずしてもらうには、どうすればいいのでしょうか?お願いします。疲れ果てております。


(和無)



【(犯罪は成立するが・・)告訴をしても警察は捜査をしない】
 兄弟の方が、無断でお母さん、お父さんの預金を引き出したというのであれば、詐欺罪や有印私文書偽造、同行使等の犯罪に該当する可能性があります
 どのような方法で使い込みをしたのかは明らかではありませんが、ご両親がするべき委任状の署名欄に兄弟の方が無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してご両親の預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したということで、窃盗罪になり得ます。

【告訴をしても警察は捜査をしない】
 以上のように刑法に規定された各種の犯罪が成立しますが、刑法には《親族相盗例》という条文があります。
 その内容は、親族間で上記のような詐欺や窃盗があっても、処罰はしないというものです(刑法251条、同244条準用)。
 このような規定が定められたのは、親族間で窃盗などは警察などの公権力は立ち入らない、そのような問題は親族間で解決しなさいという考え方があるからです。
 そのため、詐欺や窃盗で刑事告訴しても、処罰をすることができないので、警察が捜査を開始することはほぼないと考えた方がよいでしょう。

【民事上の争いで解決するしかない】
 刑事告訴をして処罰されることはないので、使い込んだ人の責任追及をするためには、民事上で解決するしかありません。

①お父さんの口座からの出金は後見人が返還請求
 お父さんには、成年後見人がついており、現在、調査をしているとのことですので、取り込んでいることがわかれば、家庭裁判所と協議の上で、後見人が返還を求めることもありえます。
 ただ、後見人によっては、選任された以降の財産管理をしっかりとするものの、選任前の預貯金の引き出しには積極的に動かない方もおられるようです。
 なお、お父さんが生きておられる段階ではあなたとしては、たとえお父さんの口座から不正出金があったとしても、なんらの請求もできないことも記憶されておくといいでしょう。

②お母さんの口座からの不正出金の返還請求
 お母さんの生前に、無断で預貯金を引き出し、使用した人がいるのであれば、お母さんはその人に対して返還請求をする権利があります。
 お母さんの死亡により、相続人であるあなたは法定相続分の限度で、使い込んだ人に返還請求をすることが可能です。
 ただ、無断出金された方がパチンコ等でお金を使い果たてしまえば、返済の資力がないということで、返還を受けられない可能性があります。
 いずれにせよ、民事上の請求をするのであれば、不正出金の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:36 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

財産分割協議書を交わした後、何度も催促をしてくる【Q&A №583】

2017/09/29


【質問の要旨】

遺産分割書で取り決めた期日より前に支払うように催促される。
どう対応したらいいか?


記載内容  催促 解約手続 交渉

【ご質問内容】

 両親が亡くなり遺産相続人である私と弟で遺産分割協議書を交わしました、残された遺産は預金と家と株でしたので全て現金化して分配する事になり、家や株の現金化処理に名義等の変更手続きに時間が掛かるので半年以内に処理すると協議書に明記し約束を交わしました。

 しかしその翌日から『早く遺産を現金化して早くこちらの口座に振り込むように』と弟から催促のメールが頻繁に送られてくるようになり、期日よりも早めろと言うような内容の脅迫まがいのメールも送られてくるようになりました。こちらとしてはなるべく早く処理を進めているのですが、弟の催促メールは続いています。

 弟は両親と離れて暮らしているので両親が残した遺産分割処理は近くに暮らしている全て私が行っている状態です、手伝ってくれる訳でもなく催促だけしてくる弟に私はどう対応したら良いでしょうか?
さっさと分配金を振り込むしかないのでしょうか?

(疲れぎみの長男)



【法的に言えば、期限までに支払いをすればよく、文句を言われる筋合いはない】
 まず、遺産分割協議書は作成済みですので、あとはその内容に従って粛々と預金や株、不動産の現金化を進めるといいでしょう。
 ただ、通常、現金化の期限などを約束することはあまりしませんが、今回は明確に期限を《半年以内》と約束された以上、それまでに現金化する責務をあなたは負っていますので、その期限は守る必要があります。
 弟さんとしても、合意した以上は、「半年以内なら一切の文句を言わない」ことを認めており、そのため、法的に言えば、半年にもならない段階で文句を言える筋合いのものではありませんし、あなたとしてはこのような文句を無視しても、法的にはなんら問題はありません。

【なぜ、期限前に支払いを要求するのかを聞くことが必要】
 期限の合意をしたにもかかわらず、催促や脅迫のメールがあるということですが、そのような行動を取る理由はどのようなものか、可能であれば弟さんに聞かれるといいでしょう。
 弟さんが《どうしても、期限前にお金が必要だ》というのであれば、分割協議内容の変更に関わる話です。

 それに対しては《支払い期限を早める(例えばあなたの財産から支払いをする)代わりに、弟さんへの支払い額を少なくする》という協議内容の変更という方策も可能かもしれません。

【進行状況の説明等も必要かもしれない】
 もし、手続きがどの程度進行しているのか、いつ頃入金するか分からず果たして期限までに支払いをしてくれるのかどうか不安だと弟さんが言うのであれば、現在の進展状況に関する情報を知らせるといいでしょう。
 又、預貯金や株式など、比較的、現金化しやすい遺産については、換金して手元に現金が入り次第、早急に分配をするということも考えておくといいでしょう。
 進行状況の報告や期限前の分配は法的な義務ではありませんが、不信感を除去し、人間関係をスムーズにするためには必要なことだと思いますので、状況に応じて、考慮されるといいでしょう。

【理由もなしに脅迫が続くようであれば・・】
 急ぐ理由を弟さんに聞いても、まともな回答が返ってこず、脅迫のメールが続くような場合には、①メールで適当な回答だけはする②警察に相談にいく③弁護士に相談するという3つの方策が考えられます。
 身体に危害を加えるような内容を記載したメールであれば、②の警察に相談に行かれるといいでしょう。
 ただ、警察としては、よほどの危険な内容でない限りは「弁護士に相談されたら」という対応をすることが多いです。
 次に③の弁護士に相談も考えていいでしょう。弁護士としては弟さんの言い分を聞いた上で、もう少し待つように説得したり、あるいは進行状況の連絡をしたりという解決方法を考えてくれるでしょう。

 特に、当事者ではない法律の専門家が入ることで、弟さんとの間で感情を抜きにした冷静な会話で問題が解決する可能性も高いと思います。
 ただし、弁護士に依頼する場合は費用が発生します。
 そのため、費用を出してまでは…というのであれば、メールの内容が我慢できる程度であれば、①のメールでの対応をするのが現実的な選択肢になります。

 状況に応じて、①から③のいずれかを選択するといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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遺産分割協議後のトラブル【Q&A №580】

2017/09/14


【質問の要旨】

口頭での遺産分割協議は有効か

記載内容  遺産分割協議 無効 署名押印されていない 

【ご質問内容】
 はじめて質問させて頂きます。(私は父親の前妻の子供になります)

 父親が死亡し、相続人である後妻(子なし)と前妻の子供(3人)で遺産分割協議の話合い(2回)を持ちました。
 話合い時には、相続人以外に後妻の親族、父の親族や父の友人もその場におり、1回目の分割協議の内容を書面化したものを一同の前で読み合わせを行い、修正箇所が出てきたので修正した「遺産分割に関する覚書」に相続人全員で署名捺印することを同意した後、その日は解散しました。

 後日、後妻からの覚書の返信がないので催促の電話をしたところ、遺産分割協議の内容に納得できないし書面に押印していないので話合いは無効を主張し、弁護士を介在してきました。

 覚書に署名捺印されていない場合、後妻の主張は認められるのでしょうか。
 申込と承諾で契約は締結されると理解しているのですが本ケースの場合は話合いに参加していた人間の証言とその場で録音していた音声データ(後妻も覚書内容で捺印する旨発言している)証拠があれば後妻の主張を崩すことはできるのでしょうか。


(ひろゆき)



【遺産分割協議は口頭でも有効だが…】
 遺産分割協議をする場合には、書面でしなければならないというルールがあるわけではなく、一応は口頭でも有効です。
 しかし、遺産のような通常は多額の財産分割の合意をする場合、口頭だけで成立するという主張が認められるかといえば、難しいと言わざるを得ません(この点は次項の証明のところでも記載していますのでご参照ください)。

 又、口頭で遺産分割協議が成立していると言っても、銀行や法務局は、遺産分割協議書などがない限り、相続登記も預貯金の解約・払い戻しにも応じてくれません。
 そこで、通常は、それぞれの相続人が何を相続するかという分割内容を記載した書面を作成し、相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添付するという厳密な方法をとっているのです。

【口頭で遺産分割協議が成立したことを立証するのはあなた】
 あなたが、すでに前に話し合った内容で遺産分割協議が成立したはずだと主張し、後妻さんがそれを認めてくれるのであれば、特に問題はありません。
 しかし、本件の場合には、後妻さんは協議の成立を認めていません。
 その場合に、口頭で遺産分割協議が成立したことを立証するのはあなたです。

 後妻さんも遺産分割内容に同意していたことの証拠としては、音声データが残っているようですが、後妻さんの代理人となった弁護士としては、「そのような方向での話はあったが、合意が成立したと言えるところまではいっていない」と述べ、覚書に署名・押印をしていない以上、まだ協議は成立していないと主張することはまず間違いのないところでしょう。
 あなたとしては、その主張を覆して遺産分割協議を実現するには、裁判所であなたの主張を認めてもらうしかないと思われますが、口頭の合意ということであれば、裁判所も簡単には認めない可能性が高いと思います。
 結局、あなたとしては再度後妻さんと協議をし直すしかないと思われます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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10:31 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

ゆうちょ銀行は詐欺罪で告訴しますか?【Q&A №579】

2017/09/13


【質問の要旨】

母の貯金を不正に出金した兄夫婦を詐欺罪で告訴できるか?

記載内容  詐欺罪 偽造 銀行 

【ご質問内容】
 昨年5月に母が亡くなりました。
 相続人は兄と弟の私、2人です。
 母は生前、約13年前に公正遺言証書(私には内緒で、おそらく兄に誘導されて)を作成していました。
 内容は母の死後、初めて、私は知ったのですが、土地、家屋(時価6千万円ぐらい)は全て兄に、預貯金は全て私に、という内容でした。

 その行為が許せなく、弁護士を通じて、立証できた金額1900万円あまりを返却してもらいました。
 つまり、民事的には一応解決となっています。
 然しながら、未だに、兄夫婦の今までの行為が許せなく、刑事的に何か罰則を与えることは、出来ないかと思っています。

 そこで、質問なのですが、兄の妻が、平成23年12月6日に、ゆうちょ銀行の窓口で母の定額預金70万円を解約しています。
 それは、母の委任状(母の偽署名をしたもの)を作成して解約しています。
 その70万円はゆうちょ銀行の母の普通預金口座に一旦入金されていますが、1か月ぐらいで、2~3回に分けてキャッシュカードで全額引き出されています。
 その時、母は介護施設に入所していて、外出することは出来ない状態でした。
 また、介護日誌では、認知による奇怪な行動が解約日の前後に見られます。
 また、認知度の長谷川式テストでも解約の意思表示など出来る意思判断は不可能な状態でした。

 この内容で、詐欺罪は成立しますか?
 ご回答お願いします。
(ultimora)



【犯罪ではあるが処罰されない】
 まず詐欺罪が成立するかどうかですが、お母さんの署名を装ってお兄さんが委任状に無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してお母さんの預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 また、キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したという見方も可能です。
 しかし、これらの罪については、法律上は親族相盗例という制度が適用され、親子間の詐欺罪や窃盗は処罰されません(刑法251条、同244条準用)。

 親族相盗例とは、親子間や同居の親族間の窃盗や詐欺について処罰しないという規定であり、家庭内のもめ事は家族間で話し合って解決するべきであり、警察のような国家権力が介入するべきではない、という考え方から導入された制度です。
 そのため、詐欺罪や窃盗罪で刑事告訴しても、警察が捜査を開始することはまずありません

【銀行は告訴しません】
 次に、有印私文書偽造罪については親族相盗例が適用されないため、銀行などが告訴すれば警察が動き出す余地が一応残っています。
 しかし、銀行は大量の預金事務を処理しているため、告訴による警察の事情聴取の負担などで争いに巻き込まれる事による負担を回避したいでしょうから、銀行が相続人などを警察に告訴することはまずないと考えられるといいでしょう。 

【民事上の争いをするほかない】
 今回の様な不正出金は民事上で争うほかないのが実際のところです。そのため、弁護士を通じて民事上は一応の解決をしているのであれば、立証できた1900万円を返還すれば、これ以上請求できないことになっている可能性が高いと思います。
 おそらくは、民事裁判で不正出金を取り返すことができたのも長谷川式認知テストなどをきちんと踏まえられたからだと思いますし、それ自体は正しい方法と思われます。
 民事上も一応の解決を経ているのであれば、本件ではこれ以上の責任追及を行うことは諦めざるを得ないでしょう。
大澤龍司法律事務所
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遺産総額を疑われています。【Q&A №576】

2017/08/23


【質問の要旨】

亡くなった母の預貯金を不正に出金したと疑われているが、どうすればいいか。

記載内容  不正出金 疑われた 犯罪

【ご質問内容】

 初めまして。よろしくお願い致します。
 
 母が亡くなりました。いわゆる孤独死になってしまい、警察が介入しました。事件も考えられるので、警察から頼まれた親戚が、私の到着前に通帳記帳をしてくれていました。
 その後私が警察で通帳や印鑑等を受け取りました。

 法事の後兄から、親戚から聞いた貯金総額と、私が提示した貯金総額に2000万近くの差がある。不明金なので、銀行に取り引き開示請求をし、それから警察に届ける、と言われました。
 通帳は、警察から受け取ったのは全てあり、兄には記帳済みの通帳も全部見せました。葬儀等の収支、現時点の残金も伝えています。通帳を見れば行方不明金などなく、親戚の見間違いとわかるのに、警察署、届け出と繰り返し言われました。
 私のことを疑う、と言う言葉こそ使いませんが(紛失という表現をします)、私は疑われていると強く感じます(通帳はあるのですから)。

 私の潔白の証明になると考えた通帳を、兄には不明金を確信したと言われました。理解に苦しみます。今は取り引き開示請求の結果待ちのようです。
 説明してもわかってもらえず、精神的に参りました。警察、届け出、と何度も書かれ、疚しいことをしていなくても、強い恐怖をかんじました。
 相続の時はこの程度疑われるのは仕方ないことなのか、兄の言葉は何かの罪に問えるのかご教示願います

(ランナー)





【お兄さんを罪に問うことは難しい】
 どうやらお兄さんは、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑っており、あなたは濡れ衣を着せられて不愉快な思い(あるいは怖い思い)をされたようです。
 しかし、今回の様な相続のケースでは基本的に警察が介入することはなく、少々の言いすぎなどがあっても名誉毀損や脅迫などで警察が動いたという話は聞いたことがありません。

【あなたも罪に問われることはありません】
 他方で、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑われている点についても、窃盗罪として警察が逮捕や起訴に踏み切ることはまずありません。
 なぜなら、法律上、親子間(直系血族)の窃盗罪は処罰されないことが明記されているからです。
この点は当ブログNo.389No.291No.466にも同様の記事が掲載されていますのでご参照下さい。
 
(参考条文 刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、・・・(中略)・・・を犯した者は、その刑を免除する。


 なお、預金の場合は引き出された銀行が被害者という理解も可能ですが、銀行がこのような事案で警察に被害届を出したという話は聞いたことがありませんし、私どもが扱う事案でも警察が動いたケースはありません。

【そもそも証拠がないのでは?】
 また、このような理屈の話を抜きにしても、そもそも不正に出金した形跡がなければ警察は動きようがありません。法治国家である以上、証拠がなければ警察も強制捜査を行うことはできないのです。

【無実の証明は難しい】
 あなたとしては、一刻も早く身の潔白を証明し、お兄さんの疑惑を解消したいというのが正直なところだと思います。
 しかし、あなたが絶対に不正出金をしていないことを立証することはほぼ不可能です(我々弁護士の世界でも、無罪の証明は「悪魔の証明」とも呼ばれるほど、非常に困難なこととされています。)。
 しかも、今回のお兄さんはもはや結論ありきで疑っているようですので、もはや何をしても聞く耳を持たずのようです。このような場合、むしろ身の潔白を証明しようと努力することが疑いを深めてしまうことすらあります。
 ただ、警察が動き出す可能性は極めて低いため、ここは耐えることに徹し、ただ身の潔白を証明する「気持ちがある」ことだけをお兄さんや周りの人に示し続けることがあなたの立場や不安を補うことにつながるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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不正出金と特別受益について【Q&A №573】

2017/07/31


【質問の要旨】

母の預金を使いこんだ弟から遺産を取り戻せるか?

記載内容  使い込み 住宅ローン 贈与

【ご質問内容】

  先日、妻の母が亡くなりました。(父は既に他界)
  妻は兄と弟の3人兄弟で、母は13年程前から弟と同居していました(住宅購入)。
 母の遺産は定期預金など(推定6000万円程)で2年ほど前から弟が通帳管理し死亡前にはすべて弟の口座に移されていました。 贈与か不正出金か不明。
 弟は遺産総額を開示もしません。
 信託で契約を結び(金額不明)、死後、弟にお金が入るようにもしていました。
 信託会社に詳細を聞いたところ、財産と遺留分対象とのこと。

 住宅資金推定5000万円(弟名義)を、母が頭金援助(推定2000万円)、去年あたり母が(推定2000万円)を出してローン完済させたようです。
 弟はギャンブル好きで他にも不正出金が多々あると推測し、まだ現金2000万円程は隠していると思われます。

 お聞きしたいのですが、住宅資金援助は母の通帳開示請求から追及できるでしょうか
 また弟のローン支払いの通帳も開示請求して照合できるのでしょうか
 遺言書はないようですので、法定相続分の3分の1で請求した場合妻の相続分はどれくらいになるのでしょうか?

 また、兄は相続争いに参加したくないとの事で、妻への譲渡証明書を書いてもらうつもりですが、その場合、不正出金の返還請求も、特別受益があった場合も兄の分と2人分の請求ができるのでしょうか
 どうぞご教授よろしくお願いいたします。

(papepon)





【住宅資金援助の追及・・まず登記簿謄本と取引履歴の双方を確認する】

弟さんが購入した住宅の資金援助とローン返済をお母さんが行ったかどうかの追及ですが、次のような方法でされるといいでしょう。
まず、弟さんの不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せし、不動産購入時期及びローン完済時期を調べます
購入時期は所有権移転登記の時期、又、ローン完済時期は抵当権抹消時期で推測(判断)できます。
次に、被相続人であるお母さんの金融機関の取引履歴を確認し、購入時期及びローン完済時期に、お母さんの口座から多額の出金があるかどうかを確認するといいでしょう。
もし、双方の時期に合致した出金があれば、それが頭金等の購入資金として、あるいはローン完済の資金として使われた可能性があるといえるでしょう。


【購入資金あるいはローンとして使われたものかのどうかの証明が必要】

前項の登記変更時期と取引履歴の出金が合致したというだけでは、あくまで可能性があるという程度の話であり、裁判で必要とされる証明としては不十分なことが多いです。
お母さんの口座からの出金が弟さんのための資金として使われたことを証明する必要があります。
ところで、お母さんの出金額がそれぞれ約2000万円ということであれば、現金で出金されていることは少なく、おそらく送金されているものと思います。
そのため、上記金銭が送金されたかどうかを通帳の備考欄などで確認し、送金されたということであれば、出金した金融機関に対して、誰の口座に送金されたかを確認されるといいでしょう。
弟さんの口座に送金されているとすれば、追及することが可能になります。
なお、お母さんの預金については相続人であれば確認できますが、弟さんの預貯金口座の確認は、兄弟でも他人ですので、弟さんの同意がない限り、金融機関はプライバシー侵害を理由に応じないでしょう。


【奥さんの相続分・・お母さんが贈与していた場合】

遺産としては、弟さんがお母さんの口座から出金した預貯金6000万円と住宅資金の関係の出金である4000万円が質問に記載されていますので、この1億円が財産であるとして説明します。
まず、住宅関係で4000万円がお母さんから弟さんに生前贈与され、6000万円は弟さんが無断で出金したという前提で考えた場合、
① 生前贈与分4000万円は特別受益として遺産に加算されます。
② 無断引き出し分の6000万円は、お母さんの弟さんに対する不法行為や不当利得に基づく賠償・返還請求権となります。
この場合、遺産総額は、(特別受益:4000万円)+(不法行為等の返還請求権:6000万円)=1億円になり、子ども3名の相続分は各3分の1の3333万円強になります。
ただ、弟さんの生前贈与による取得額が4000万円で、法定相続分の3333万円を超えています。
そのため、弟は4000万円を返還する必要はありません(特別受益制度は返還までさせる制度ではありませんQ&A №406をご参照ください。)が、残りの6000万円からは1円ももらうことはできません。
あなたの奥さんとしてはお兄さんと共に生前贈与分を除外した残額である6000万円を2人で分けて、各3000万円を相続でもらえることになります


【奥さんの相続分・・お母さんに無断で引き出していた場合】

なお、もし、住宅関係の4000万円もお母さんに無断で出金されたというのであれば、お母さんは弟さんに対して合計1億円の不法行為による損害賠償請求権を有することになります。
子供らは各3分の1ずつを相続することになりますので、あなたやお兄さんは弟さんに3333万円ずつの返還を請求することになります。


【相続分譲渡の場合は譲渡者の分を含め、請求する】

 奥さんはお兄さんから「譲渡証明書」をもらっているということですが、これが相続分の譲渡であれば、不正出金の返還請求も、特別受益の場合にも、あなたの奥さんはお兄さんの分を含めて、2人分を請求することができるようになります。


【こんな点にも注意しましょう】

注意点も付け加えておきます。
弟さんが他にも現金で2000万円ほど持っているとしても、それを発見することはなかなか困難です。「ない」と断言されれば、どうしようもないということも考えておくべきでしょう。
次に奥さん側が遺産問題で動き出したのを気づいた場合、弟さんは財産を隠す可能性があります。
もし、弟さんが不動産をもっていたり、あるいは預貯金口座にお金をもっているらしいということがわかるのであれば、その財産を動かせないようするために裁判所に仮差押等という手続きをしておく必要があります。
ただ、その手続きをするのであれば、相続に詳しい弁護士と依頼されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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知的障害がある相続人【Q&A №569】

2017/05/19


【質問の要旨】

相続人に知的障害がある場合

記載内容  意思能力 知的障害 成年後見

【ご質問内容】

相続人の一人に知的障害があります。

サインや印鑑を押す程度はできますが、それで承諾したことになるのでしょうか。

それとも、特別な手続きが必要なのでしょうか。

(りょう)





【サインができるかどうかではなく、判断能力の有無が問題となります】

サインができるということですが、自分の手で署名をする行為ができるかどうかはあまり法的に意味がありません。

問題は、その人が判断能力(意思能力)があるかどうかです。

知的障害とは異なりますが、認知症になった方についていえば、その程度は軽重があり、重度のものであれば判断能力がなく、その人が署名捺印してもその文書は有効なものにはなりません。

反面、軽い物忘れ程度のものであれば、判断能力があるとされ、その方の署名捺印した文書は有効になります。

要するに、その方がサインや印鑑を押すことができるかどうかではなく、その方がサインする書類の意味内容を理解できるかどうかが問題となります。

【医師に判断してもらう】

認知症の場合には、《長谷川式認知テスト(以下、「長谷川式」といいます》やMMSEなどの判断能力を調査するテストがあります。

知的障害のある場合、療育手帳等で障害の等級認定がされていることも多いとは思いますが、認定の時期がかなり前であったり、又、認定基準からだけでは、判断能力の有無を判断しがたい場合もあると思われます。

そのため、専門分野のお医者さんにどの程度の判断能力があるのかを確認してもらうことを考えていかれるといいと思います。

【判断能力がない場合には後見人を付ける】

検査などの結果、判断能力が欠けていると判断された場合は家庭裁判所に対し成年後見人の選任を求める審判を申し立てるしかないでしょう。

裁判所が選任した後見人が就いた場合、その方が本人に代わって書類への署名捺印をすることになります。

(弁護士 大澤龍司)
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不正出金とされた場合【Q&A №567】

2017/05/18


【質問の要旨】

頼まれた出金が不正出金と疑われないか

記載内容  不正出金 証拠

【ご質問内容】

私の祖母は介護が必要で施設でお世話になっています。

去年に祖母の娘(私の叔母)が、「息子が結婚する」と祖母のところへ報告にきたそうです。
祖母は孫に結婚祝いを渡すから10万円を自分の口座からおろして持ってきてほしい母に頼みました。

祖母の子供は長女(叔母)と長男(私の父)ですが(祖父は他界)、叔母はアルコール依存症で私たち家族に暴言を吐くようになり仲が悪くなって祖母以外の私の家族とは音信不通です。

母は言う通りに10万円を祖母の口座からおろし普通の封筒に入れ祖母のところへ持って行き、叔母も後日その10万円を受け取りに来たそうです。

しかしその後も結婚はしていないみたいで、(その話を出すと叔母は言葉を濁すそうで)婚約破棄になったか騙しとった可能性が出てきました

祖母は足が不自由な位で病気もなく頭もハッキリしていますが、もし亡くなって相続の話になった時にこの10万円が不正出金になるのではと心配になりました。

言われた通り口座から引き出したのは私の母ですが、叔母が「そんなお金貰っていない、不正な出金だ」と言われたら証拠がありません。

これは祖母の口座を管理している私の家族の不正出金になるのでしょうか。宜しくお願い致します。

(けり)





【厳密には祖母の同意がありますが】

 今回は、お祖母さんの同意を得て出金したのですから、(外形上はともかく)厳密には不正出金ではありません。そのお金をお母さんが利得したわけでもありませんので、後日責任追及を受ける理由はありません。

 しかし、そのような話はお祖母さんが亡くなった後は誰も分かりませんので、叔母さんが「10万円が消えている。誰かが不正出金した」と騒ぐ可能性もないわけではありません。

【経過を書面化するなど記録しましょう】

 幸いなことに、お祖母さんはまだご存命で判断能力も十分なようです。それであれば、10万円の出金経過(叔母さんの息子さんの結婚祝いのため出金を依頼したこと、叔母さんを通じて息子さんに渡したこと等)を書面化しておき、お祖母さんにこれを承認する旨のサインや印鑑をもらっておけば、不正出金でないことの証拠になります

 (叔母さんが騙したかどうかは別問題として)少なくともこの書面を作成しておくことで、お母さんの不正出金だと言われることは防ぐことができるでしょう。

【出金の証拠は残るが、支払いの証拠は残らない】

 お祖母さんの指示に従い、お母さんがお祖母さん名義の口座から10万円を出金したという事案ですと、払戻伝票はお母さんが書かれていたことになります。

 また、口座名義人ではないお母さんが出金するのですから、金融機関はお祖母さんのお母さんを代理人とするという内容の委任状も取っているはずです。

 金融機関はこれらの出金関係の書類を残しています

 お祖母さんの死亡後であれば、その法定相続人がこれらの出金関係の書類の取り寄せが可能です。
要するに出金した証拠は残るということです。

 一方で、出金したお金を、お母さんが叔母さんの息子に渡したという点については、結婚祝いで渡したのですから、領収書などは出してもらえないでしょう。
 そのため、出金したお金の使途を裏付ける書類はないということになります。

【死亡後に出金分の使途が問題になると・・】

 お祖母さんがなくなり、叔母さんがこの10万円の出金を問題にすることを想定すると、その際、お母さんは困った立場になります。

 10万円をお母さんが出金したことは金融機関に残っている払戻伝票等の書類で証明できますが、その出金した10万円を叔母さんの息子に支払ったことは証明できないからです。
 叔母さんが10万円を問題にする場合、その息子が自らもらったと言うことも考えにくいでしょう。

 又、結婚祝いとして渡したと言っても、その結婚自体がなかったというのですから、ますますお母さんの立場は不利になります。

【証明方法としては書面を作る、録音をするという方法がある】

 お祖母さんが存命なら、出金の依頼《叔母さんの息子さんが結婚するという話を聞いたので、10万円を出金することをお母さんに依頼し、お祖母さん自身が叔母さんにその10万円を渡したこと》を書いてもらうといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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遺産相続について【Q&A №566】

2017/05/16


【質問の要旨】

姉に言われるがまま印鑑を押して遺産分割をしたが、やり直せるか

記載内容  遺産相続 印鑑

【ご質問内容】

初めまして。インターネット検索をしていましたら、こちらのサイトにたどり着きました。
遺産相続の件で質問です。

両親の事なのですが、両親がネットができないので、代わりに私が質問致します。宜しくお願い致します。

父の母親が去年亡くなり、今年に入り遺産相続の件で、父の姉に呼ばれ 父と母で行ったそうです。

兄弟が4人居たので、揉めたそうです。
父の姉が全てをしきり、通帳も何も見せず いくら位あるとも言わず、個々で兄弟を呼びつけ、それぞれにお金を渡したそうです。

父は、他の兄弟がいくらもらったかは知らないらしく、家はそのお姉さんが貰うと言ったそうです。

父は、200万と言われて、それも、5年の分割払いにされてしまったそうです。
40万円×5年です。

父は穏やかな性格なので、何も言えずに、1回目の40万円だけ貰い帰ってきてしまい、母は嫁の立場で何も言えず、両親はやはり納得がいかない様子で、なんせ父の姉が、とても気が強くて、何も言い返せないそうです。

父は、家を出てしまったのですが、勝手に家を出て、文句を言うなら、10年家に居なかった分、亡くなった祖母にかかったもの全てを払え!と言ってきたそうです。

何だか両親が、可哀想で、こちらに相談させて頂きました。
印鑑は押してしまったようなんです。どうにもならないでしょうか。

アドバイス宜しくお願い致します。

(カルラ)





【遺産分割協議書を作成したのかどうかが問題】

遺産分割協議をする場合には、書面でしなければならないとか、全員で一堂に会さなければならないというようなルールがあるわけではありません。

ただ、通常は、それぞれの相続人が何を相続するかという分割内容を記載した書面を作成し、相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添付するという方法をとります。

そのような方法をとらなければ、銀行手続や不動産登記手続をすることができないからです。

本件では、お父さんは印鑑を押してしまったとのことですが、印鑑を押したという書類はどのような書類でしょうか。

また、実印を押して印鑑証明書も交付してしまったのでしょうか。

もしも遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしまっていたとすると、お姉さんから話を聞いた上で判を押した以上、内容も理解して納得していたはずだとみなされ、遺産分割をやり直すのは難しいといえます。

ただ、そうでなければ、きちんとした遺産分割協議をやり直し、その中で正当な相続分を主張すればよいでしょう。

【亡くなったお母さんにかかった費用請求には応じなくてもよい】

お姉さんは、「文句を言うならお母さんにかかった費用をすべて支払え」と主張しているようですが、このような主張は法的に無理があります。

「被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした場合」には「寄与分」が認められることがありますが、これには通常期待される程度を超える貢献が必要とされています。

親子間には扶養義務があり、なんらかの寄与があるのが通常であると考えられていますので、高額の医療費を負担したとか、ヘルパーを頼まなくていいくらい介護をしたとかいう特別な寄与をしていない限り、お姉さんの主張は通りません。

仮に寄与分が認められても、それはあなたのお父さんが返還するようなものではなく、遺産から寄与分と認定された額をもらえるにすぎません。

これらのことを考えると、あなたのお父さんが、かかった費用の、しかもその全てを支払う必要はないでしょう。

【まだ協議書を作成していないのなら、調査をして自己の相続分を主張すべき】

以上のとおりですので、もしもまだ遺産分割協議書を作成していないのであれば、お母さんの遺産の全容を明らかにし、相続分通りに分配するよう求めるべきでしょう。

その際、お母さんの遺産については、あなたもお母さんの相続人である以上、調査をすることは可能ですので、お姉さん任せにせずにあなたのほうできちんと調査し(調査の仕方についてはQ&A №98Q&A №362等を参照)、遺産の全容をつかんだうえで交渉する方が良いと思います。

なお、遺産の調査が難しい場合やお姉さんが強硬な態度をとられた場合には、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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ご教示ください【Q&A №565】

2017/05/02


【質問の要旨】

相続人の一人が不動産を使用していた場合、固定資産税等はどうなるか

記載内容

 実家 同居 固定資産税

【ご質問内容】

両親が亡くなって20年以上経ちます。相続人は4名です。

長男が昨年突然調停を申し立ててきました。

両親が寝たきりになった後、死亡までの約10年間で預貯金は同居の長男夫婦で使い果たしていますが、証明が困難であることをいいことに、相続財産は残ったわずかな預貯金と不動産だけであると主張しています。

自宅不動産は土地が母、建物が父の所有でしたが、長男は父母の存命中に父名義の自宅建物の一部に座敷を増築し、その座敷部分の登記が自分名義であることは秘密にしています。

長男はすべての不動産の取得を希望し、そのことに異議はありませんが、父母死亡後に発生した固定資産税の負担を今になって他の相続人たちに求めてきました。

すべての不動産を使用収益しているのは長男一家のみ
です。

長男は、不動産を取得する代償金についても「田舎であるから現実の価格は固定資産評価額8割の値段である。固定資産税を含めた他の公租公課・葬儀費用の未精算分があるので、自分の持分の代償金の現実の支払いはしない」と勝手な主張しています。

今までどんな不当なことも我慢してきましたが、このような一方的な主張が通るものでしょうか?せめて、他の相続人たちから「父母死亡後について、座敷部分の土地の分についてだけでも残りの兄弟が無償で利用させていた代わりに固定資産税等の公租公課は負担しない」とする反論は可能でしょうか?

(デゴイチ)





【遺産分割成立までは無償使用】

まず、長男がお父さん名義の建物に座敷を増築し使用してきた、というお話ですので、おそらく両親と同居されていたものと思われます。

この場合、名義上は両親の名義(土地は母、建物は父)ですので、理屈の上ではご両親が共に死亡された時点で、遺産分割協議が成立するまでの間、長男が無償使用(使用貸借)できる状態になったものと扱われる可能性が高いと思われます。

これは平成8年12月17日の最高裁判決(参考ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52508)による解釈で、同判決によれば、被相続人と同居していた事案において、同居していた相続人と被相続人との間で使用貸借契約(無償使用の契約)があったことが推認されています。

(なお、座敷部分は長男が勝手に増築したということですが、ご両親も座敷部分の使用料を請求しなかったのであれば、座敷の無償使用も承認(黙認)されていた可能性が高く、結果的に自宅の一部として同様の扱いになる可能性が高いと思われます。)


【長男に使用の対価は請求できない】

もちろん、この判例も親と同居していたすべての事案において無償使用扱いにするという判断ではありません。そのため、実際にご相談のケースにも当てはまるかどうかは専門的な判断を要します。

ただ、あなた方が長男に対しこれまでの使用の対価を請求できる可能性は低いと考えておく方が無難でしょう。

【固定資産税はさかのぼって長男の負担】

他方で、固定資産税の扱いについてはこの判例からも明らかではありません。

この点は明確な判例などがなく、私の解釈になりますが、長男が実家を相続するのであれば相続開始時にさかのぼって長男が実家を所有していたことになります。

そのため、一般には所有者に対し課税される固定資産税の負担も、さかのぼって所有者だった(と扱われる)長男が負担するのが公平の見地からは妥当と思われますので、このような内容で遺産分割協議を行うのが一般的だろうと思います(参考までに申し上げますと、早く遺産分割協議を成立させないと、長男の無償使用が続くだけ、という見方もできます)。

【お兄さんが不動産を取得するなら、代償金の支払いを求める】

今回の質問は固定資産税を請求されていますが、上記のようにその支払いの必要はありません。

むしろ、お父さんの遺産である不動産をお兄さんが自分の物にするというのであれば、あなたとしては、その代償となる金銭をお兄さんに請求されるといいでしょう。


(弁護士 北野英彦)

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11:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

認知症の母の現金を姉弟に横領された件【Q&A №563】

2017/04/04


【質問の要旨】

他の相続人による不正出金を取り戻せるか

記載内容 不正出金 意思能力

【ご質問内容】

母が2月に亡くなりました

母は不動産収入があり、毎月必ず47万ほどの収入が郵便局の口座に振り込まれています。

母は、2013年10月に脳梗塞で倒れて、その後は認知症のため判断能力がなくなり、弟と姉が郵便局の現金口座を管理していました

老人施設に入ったために、毎月20万から22万くらいの費用がかかりました。

その分以外は、母は認知症で使いようがないので、そのまま残っているはずで、毎月毎月、47万から税金分を引いて、32万円。

そこから22万円かかっても、毎月10万円ずつ、2013年11月から2017年1月まで38ヶ月間で、380万円。

プラス年間でで80万円が不動産の管理会社より入金がありますから240万円プラス。

合計で620万ほどは、どう考えても残っていないとおかしい母自体が施設で寝たきりの生活でもちろん現金を使うことはできないのでおかしいはずなのです。

しかし、母が亡くなった後の現金が100万円にも満たないのです。

2013年10月の脳梗塞を起こす前を含めるとプラスで500万ほどは残っているはずで合計で約1000万円の相続になるはずなのです。

以上の件から、明らかに、姉と弟による不正な出金が明らかなことだと思います。

母の状態が脳梗塞で判断能力がなく、ほぼ寝たきりで介護施設での生活でした。

その上で後見人制度も利用せずに3年間いましたから。

今、母の口座のある郵便局に記録を申請していますが、この場合は、この本来あるべきはずの金額は取り戻していくことは可能なのでしょうか?

どういう手順で行うことがベストなのか
知りたいと思い、メールさせていただきました。

よろしくお願い致します。

(ジュン)





【お母さんの意思能力と出金との関係】

質問にあるように、お母さんに判断能力がない場合に預貯金が引き出されているのなら、その預金はお母さんの意思に基づかないものであるということはできます。

にお母さんに判断能力があっても、お母さんの意思とは関係なく出金されたのであれば、その出金は違法なものだといえます。

しかし、仮にそれらのような出金があったとしても、出金された金銭がお母さんのために使用されていたのなら、お母さんに損害はなく、不法行為にも、不当利得にもならず、その出金を返還せよという話にはなりません


【使途不明金があるかないかを確認する】

そのため、まず、お母さんのためではなく、その他の目的でなされた出金があるかどうかを調査する必要があります。

]これを知るためには、お母さんの口座について、どのようなものがあり、どのように入出金されていたかを金融機関に照会することになります。

現在、お母さんの口座のあるゆうちょ銀行に取引履歴の照会をされているようですが、それ以外に利用されていた金融機関があればその履歴の確認も必要でしょう。

入出金履歴の取り寄せができたなら、その内容を詳細に検討する必要があります。

個別に出金を点検して、お母さんのためとは思われない出金があるかどうかを確認していくことが必要です。

《本来あるべきはずの金額》とは、そのような検討の結果で判明するものです。


【使途不明金を誰が引き出し、何の目的で使ったかも確認する】

使途不明金(正確に言えば、お母さんのため以外に使用された金銭)があるのなら、その使途不明金を誰が引き出したかを確認するのが次の作業になります。

お母さんの預貯金通帳や取引印、キャッシュカードを誰が保管していたのか、カードなら出金したATMがどこに設置されたものであるかにより誰が出金したのかを推測できるでしょう。


【損害賠償請求権は相続される】

出金されたお金があり、そのお金がお母さんのために使われていないということなら、お母さんはその引出者に対して不法行為による損害賠償を請求することができます。

お母さんが亡くなった後は、この権利は相続人に相続されます

今回の件で相続人が子供3人であるとすると、あなたはお母さんの持っていた損害賠償請求権の3分の1を相続しますので、出金者に請求をし、話し合いをされるといいでしょう。


【話し合いがつかない場合には調停を考える】

ただ、今回の問題のような不正出金については、円満な話し合いで解決するのはむずかしいことが多いです。

その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を起こすことを考えるといいでしょう。

家裁の遺産分割調停は費用もそれほどかからず、又、調停委員も関与しますので問題が解決することも多々あります。

しかし、あなたの請求どおりになることは少なく、お互いが譲歩を迫られることも多いということも知っておかれるといいでしょう。

どうしても、あなたの考える請求額を全額もらいたいというのであれば、その場合には相続分に応じた不法行為に基づく損害賠償
請求訴訟
を起こすしかありません。

この訴訟は素人の方には難しいので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

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18:01 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続権に時効は無いのですか。【Q&A №558】

2017/02/06


【質問の要旨】

面倒をみなかった相続人が今になって権利を主張してきたが、相続権に時効はないのか?

記載内容 介護 相続権 時効

【ご質問内容】

私の祖父(昭和42年4月に死亡)の件で叔母(9人キョウダイの末っ子、唯一、生存している祖父の子供)が調停を申し立て、現在、審判

父は長男ではありませんが、親と同居し、祖母(昭和62年2月死亡)の介護を母と二人で全面的に担って来ました

祖母が生きている間、叔母たち父のキョウダイは、常に「親を、ちゃんと見い。よう任さん(父に相続させようとしない)」と言い続け、父にすると、隣近所や姉妹の嫁

ところが、父のキョウダイたちは、叔母が死んでから、「田圃を売って分けろ」と主張し出して、父は「話が違う」と、田圃の1筆でも売って分けるという案を受け入れようとせず、平成8年4月に死亡してしまいました。

私も、調停が始まって以来の相続人の態度を見ていると、権利ばかり主張してと色んな意味で怒りが出ます。

もし、祖母が生きている間に「田圃を売ってまで分けろ」と叔母たちが主張していたら、祖母の介護を当然に引き受ける事になったでしょう。そういう負担を一切したくなかったから、「分けろ」とは、一言も主張しなかったのです。

 「よう任さん」と言いながら、母親の介護を一人のキョウダイに任せ切りにした揚げ句、延々50年も粘り続けて

私が、先生にお尋ねしたい事は、「相続権に時効は無いのですか?」という事です。

(コバヤシ)






【相続分を主張する権利に時効はなく、介護をしていなかったとしても相続権はある】
祖母の介護が必要な間は相続分の主張をせずに、介護をすべてあなたのお父さんらに任せておきながら、祖母が亡くなり、介護の必要がなくなった後になって、祖父の相続分を主張されたという事案であり、あなたとしてはとても腹立たしいことでしょう。

しかし、祖父の子である叔母さんは祖父の相続人ですので、相続の発生(祖父の死亡)とともに、叔母さんは相続分に応じた権利を取得します

遺産分割協議をしなかったからと言って、この取得した権利が時効で消滅することはありません

また、介護を一切しなかったからといって、それで叔母さんの相続権がなくなるというものでもありません

そのため、たとえ相続開始から50年もの長期間が経過していても、祖父の相続人である叔母さんには自らの法定相続分に従った相続権を主張できるということになります。


【今後「寄与分を定める処分の申立て」をする】

祖父が亡くなった当時に遺産分割協議書を作成していなければ、あなたが「父が祖母の介護をする代わりに他の兄弟は相続分を主張しないという暗黙の合意があったはずだ」と主張したとしても、叔母さんには「そんな約束はしていない」と言われてしまうでしょう。

あなたのお話では調停から審判に移行しているようなので、これまでに遺産分割協議はしておらず、今、遺産分割の審判をしているのだと思われます。

その場合には、遺産分割とは別に、遺産分割の審判をしている裁判所に対して「寄与分を定める処分の申立て」をするという方法が考えられます。

そうすると、寄与分についても遺産分割の審判の中で一緒に判断することになりますので、その中で、お父さんが祖母の介護を全面的に引き受けていたことをお父さんの《特別の寄与》として主張し、お父さんの相続分を増やすことにより、叔母さんに支払う額を減らすということです。

ただ、寄与分とは、単に被相続人のために貢献したというだけではなく、財産の維持または増加のために《特別の寄与》をしたことが必要であるとされています。

介護したことにより、入院費やヘルパー代が助かったというような点を証明する必要があり、証明できた分だけが特別寄与として認められますので中々ハードルが高く、主張すれば簡単に認めてもらえるというものではありません。

お父さんが祖母の介護を全面的に引き受け、その結果、遺産が減少するのを防止できたということがわかる資料を用意され、寄与分の審判に出されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

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参加していない遺産分割協議の効力【Q&A №557】

2017/01/30


【質問の要旨】

自分が未成年のころに父の相続財産を母が受け取っていた分を返してほしい

記載内容 未成年 特別代理人 利害が相反

【ご質問内容】

亡母の遺品の整理中に20年前に他界した父の遺産協議書が出てきました。

当時私は18才で相続協議には参加出来ず、相続物は(今回の売地とは別の)家族共有名義の土地があるとだけ聞いていました。

しかし協議書には「○○の土地を売却し、母兄私で分配する」とあります。

さらに土地売買の受領書もあり私分のお金は母が受け取り、署名欄には「親権者として」と記載があります。兄の分は、兄本人が受け取っていました。

以上のことから母の遺産相続を行う前に、私の未受け取り分を受け取りたいことを主張しましたが兄は拒否。

分配してほしければ母から受け取っていない証拠として、母の全ての金融機関の20年分の入出金履歴を出せと言います。

私は銀行に開示を求めましたが履歴は10年しか出せないと言われ、兄の要求は最初から現実不可能です。

説明責任を果たさずにおいて、履歴が出せない状態になってから、それを用意してみろ等と酷い話です。

分割協議書にはおかしい部分もあります。

私が見たことも聞いたことも無かった分割協議書の相続人署名欄に私の署名がしてあるのです。

『未成年の為、母親が代理人として署名』と書いてあるのですが、相続では利益の相反する間柄では親であっても代理人にない筈です

金融機関に過去の履歴を出してもらう手段とか、よい手だてはありませんでしょうか。

(DD)






【特別代理人が必要でした】

質問にも記載されているように、お父さんの遺産分割では、お母さんと子であるあなたとは利害が対立(お母さんが遺産を多くもらえば、その分あなたの取り分が減る)します。

お母さんには未成年であるあなたの親権者として法定代理権がありますが、このような利益相反がある場合、お母さんはあなたを代理できず、家庭裁判所が選任した特別代理人があなたに変わって遺産分割協議に署名捺印をする必要があります。

そのため、この遺産分割協議書は効力がありません


【母の受け取った土地代金はどうなるか?】

遺産であった土地は既に売却され、お母さんがあなたの代理人として受領していたのなら、あなたはお母さんに分配金返還請求権を持つことになります。

お母さんの負うこの返還債務は、お母さんの死亡による相続で、その相続人であるお兄さんとあなたが2分の1の割合で負担しますので、あなたはお兄さんに分配金の半額を請求できることになります。


【分配金返還請求は消滅時効の問題がある】

ところが、この分配金請求権は、法律的に正確に言うと、お母さんが権限もなく、又、遺産分割もできていないのに、あなたの法定相続分を勝手に売買したという不法行為に基づく損害賠償請求権ということになります。

この不法行為の請求権は、その不法行為が生じた時点から最長で20年間、これを行使しないと時効で消滅します。

今回は約20年前の遺産分割協議であるため間に合うか微妙なところですが、早急に内容証明郵便でお兄さんに分配金を請求し、請求を行った確たる証拠を残しておき、早急に、弁護士に訴訟等の手配をすることも考えるといいでしょう。


【もらっていないことを証明する必要はありません】

お母さんが土地を売却し、その売買代金を受け取っていることがお母さんの受領書で証明できるのであれば、今度はお母さん(その債務の半分を受け継いだお兄さん)側でその代金をあなたに支払ったことを証明する責任があります

いずれにせよ、時効の期間の問題もありますので、早期に弁護士と相談され、どのような措置を取るべきかどうかを検討されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

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★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】

2017/01/25


【質問の要旨】

母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】

父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。

弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。

以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。

その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。

嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか

また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)





【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】

お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません

あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。

しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。

そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。

あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。

お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。


【成年後見人をつけることも考える】

現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。

家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。

今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。


【現時点でできることは何か?】

ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。

その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。

そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう

通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。

履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。

現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

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16:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡父からお金を詐取した姉への請求【Q&A №550】

2016/12/21



【質問の要旨】

姉が「寄付」と言って父からお金を引き出していた

記載内容 使い込み 数次相続

【ご質問内容】

父が亡くなり相続となりました。

障害を持った弟がおり母が亡くなった後施設にお世話になっています。

父の生前、姉が弟の施設に寄付をしないといられなくなると父からお金を摂取しました。

父から確認の電話があり嘘だから返してもらうよう伝えましたが再び電話があり返してもらえないと。

私から姉に電話して父に返すよう話しましたが、制裁だといい返金しませんでした。

それから数ヵ月し確認したら弟の保険に入ったといい證券見せてと言っても連絡がつかなくなりました。

相続になりそれは特別利益になるのではと話しましたが返したと嘘をつき始めました。

父の相続人は姉、私、弟(成年後見人弁護士/姉でしたが使い込みをし外されました)でしたが、話し合いの途中(今年夏)弟が亡くなったため二人で進めることになります

どう進めてたら良いか、また父から寄付と言って引き出したお金を相続に含ませる事はできないか方法があればご教授頂きたい。

(なつ)







【お姉さんの詐取したお金の返還請求権は遺産になる】

お姉さんがお父さんに嘘をついてお金をだましとったということなら、お父さんはお姉さんに対して不法行為による損害賠償請求権を持つことになります。

お父さんが死亡したときには、この請求権は遺産に含まれます。

弟さんが死亡されたので、現時点ではあなたとお姉さんだけが相続人です。

そのため、あなたはこの金額の半額を請求する権利を相続していますので、他の遺産に加えて、詐欺による不法行為に基づく返還請求権として、詐取された金額の半額を請求されるといいでしょう。


【遺産分割の話の進め方】

質問から見る限り、お姉さんが誠意をもって遺産分割の話をすすめるようには到底思われません。

そのため、第三者の手を借りる必要がありそうです。

まず、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることができます。

調停は申立費用も安く、調停委員も解決に尽力をしてくれます。

弁護士がつかなくても手続きができますので、ご利用を考えられるといいでしょう。

手続きについては家裁でお聞きになればていねいに教えてくれます。


弁護士を依頼するのも解決のために必要かもしれません。

調停はあくまで、お姉さんが解決しようという気にならないと成立しません。

話し合いの余地がない可能性も高いケースですので、当初から相続に詳しい弁護士に依頼することも選択肢です。


なお、調停を含め、今後、どのような対応をした方がいいのか、相続に詳しい弁護士のアドバイスをもらうことも考えられるといいでしょう。

市町村の相談では時間が短いために納得のいく説明を得られにくいので、お金がかかっても(1時間あたり1万円が相談料の相場です)、弁護士事務所で法律相談をされるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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13:56 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

被相続人との共有マンションの家賃の扱い【Q&A №546】

2016/12/06



【質問の要旨】

マンションの共有者である長男が、被相続人に対し収益の返還請求権を持っていると主張している

記載内容 共有物 賃料 時効

【ご質問内容】

被相続人と長男が一棟建て賃貸マンションを所有していました。

分割協議が進まず調停へと進む状況です。

これまで賃貸マンションの収入は被相続人が管理し、収入も返済や税金の支払も行ってきました

長男代理人は2分の1所有の賃貸マンションからあがる収益は本来自分の物であり、返還請求権をもっていると主張しています。

この主張は認められるのでしょうか?

またこの被相続人に対する債権は何年前まで有効なのですか?

時効はあるのでしょうか

この債務を遺産に加えると他の相続人の相続分はなくなるといっています。

(mujun)





【兄が本当に共有者であるかどうかを念のために確かめる】

お父さんと兄で共有持ち分が各2分の1であるのに、被相続人が賃料収入全部を得ていたということですが、2つの面で疑問(あるいは問題といってもいいでしょう)がありそうです。

まず、第1は、兄の持ち分2分の1というが、実質はお父さんが建築資金を出しており、名義だけを長男のものにしていたのではないか?という点です。

この疑問は①長男名義の2分の1は実質上はお父さんの遺産ではないのか?

あるいは②お父さんがお兄さんに建築資金を生前贈与(特別受益)したのではないか?

という問題に発展しますので、念のために上記の①及び②の観点から、是非、調査されるといいでしょう。

なお、ローンがあるようですので、その借入名義がお父さんだけか、兄でもあるのか、又、頭金などは誰が負担したのかを、お父さんの取引履歴等なども参考にして調査されるといいでしょう。


【兄はお父さんに賃料の返還請求はできない可能性が高い】

次に、兄としてはお父さんが賃貸に出していることぐらいは知っていたと理解するべきでしょう。

にもかかわらず、賃料の半額を請求しなかったのはなぜかという疑問があります。

この点については、賃貸を始めるときにお父さんと兄との間で、お父さんが賃料を全部取得するということで合意(暗黙を含めて)があり、管理はお父さんがし、賃料収入はお父さんがもらう、ローンの支払いや固定資産税の支払いは全てお父さんがするとの合意があったと考えるのが普通の理解でしょう。

もし、その前提が正しいとすると、お父さんが全額を取得することを、兄は了解していたのですから、兄が被相続人であるお父さんに不当利得等の請求はできないことになります。


【仮に無断で賃貸していた場合には】

しかし、万一、お父さんが兄に知らせず、勝手にマンションの賃貸をしていたのだとすると、兄からお父さんに対して不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求として賃料額のうちの兄持ち分額に相当する金額を請求することが可能になります。

この場合、お父さんが兄の分のローンの支払いをし、かつ固定資産税も立替支払いをしていたのであれば、その分は請求額から控除されますし、場合によれば管理料相当分も控除することも可能です。

なお、不法行為で請求する場合には、勝手に貸していることを知ってから3年で、不当利得返還請求をする場合なら10年で請求権が消滅時効にかかりますので、それ以前の分は時効を主張されると、兄は請求できないということになります。


【兄請求の債務を遺産に加えるどうなる?】
  
今回の質問のケースでは兄の請求が成立しない可能性があります。

仮に請求できるとしても、お父さんが賃料から兄のローンの支払いをし、かつ、兄の分の固定資産税も支払っていたというのであれば、法的に認められる返還額はそれほど多額にはならず、請求すると遺産が無くなるようなことはないと思われます。


【特別寄与について】

兄に賠償あるいは返還請求ができない場合でも、賃料全額をお父さんに取得させたということが特別寄与として認められ、兄がその額を取得できる可能性はあり得ます。

ただ、この場合でも、兄の分のローンの支払いや固定資産税の立替支払い、管理料相当額等が考慮されますので、兄の寄与分としてはそれほど多くないように思います。

(弁護士 大澤龍司)

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13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

再度の遺産分割協議と税金の扱い【Q&A №541】

2016/11/21



【質問の要旨】

遺産分割調停とは異なる遺産分割協議書の作成は可能か

記載内容 調停 異なる 協議書

【ご質問内容】
 【前提】
過去に遺産相続を調停で土地の遺産相続をしたのですが相続人の一人は金銭のみの相続で土地の遺産分割を受けていません。(相続の無い事証明も受領済み)

【現在の問題点】
複数人が数筆を同一持ち分で相続した為(未登記)持ち分に応じた土地の単独所有をしようとすると諸税、免許登録税等が過大になり、土地を相続しなかった相続人を除いて新たに遺産分割協議書を作成して登記した場合、トラブルになる可能性は有りますか?
(NORURU)






【調停で成立すると権利関係は調停内容どおりに変わっている】

遺産分割の調停が成立した場合、権利関係はその調停調書のとおりに変更されます。

そのため、その調書に基づく不動産を取得した人は単独でその登記をすることができます。

又、代償金の支払を受けるとされた人はその金銭を請求できますし、もし、支払いがないのであれば代償金の支払いを求める強制執行ができます。


【調停成立後の「遺産分割協議」の扱い】

調停成立後に、法定相続人間の合意で異なる内容の「遺産分割協議」ができるかについては疑問があります。

相続人間で一旦、遺産分割協議が成立した後、その合意を解除し、新たな遺産分割協議をすることは可能であるとの判例があります(最判平成2年9月27日。判タ754号137頁)が、裁判所が関与する調停と当事者間での遺産分割協議とを同列に扱うことができるのかどうかという議論があります

もし、同列に扱えないのであれば、調停が成立後に、それと異なる内容の分割協議書を作っても、それは遺産分割協議ではなく、遺産分割とは関係のない財産交換あるいは譲渡契約となり、不動産譲渡益課税をされるということになります


【リスクは税務面にある】

遺産分割により不動産が法定相続人の一部に相続され、残りの人が代償金をもらった場合、それは遺産分割の仕方の問題であり、《代償金を受け取ることについては》不動産の譲渡益課税のような税務上の問題も発生しません。

しかし、遺産分割調停後に、それと異なる不動産の分け方をした場合、それを税務署が把握した場合、調停と異なる部分は、遺産分割とは関係のない不動産の譲渡であると理解され、贈与税や不動産譲渡益課税をされる可能性があります。

今回の質問のように、調停により共有になった物件を単独所有にする場合、無償であれば調停での共有者から単独所有者への
持ち分の贈与となり、単独所有者に対して贈与税が課税されます。

又、お金を支払うのであれば、調停による共有者がその持ち分を単独所有者に売却したとして、共有者に譲渡益課税がされることになります。

ただ、現在、未登記ということであれば、税務署としてはあらたに単独登記される内容しか知ることができないため、調停後に不動産が更に移動したことによる課税のしようがありません。

しかし、それは税務署に知られなかったから課税されなかったというだけの話です。

以上のようなリスクを了解された上で、法定相続人の間で協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:10 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★後見人による着服、不正出金【Q&A №534】

2016/10/07



【質問の要旨】

後見人である長男が、母の貯金をおろしていた

記載内容 不正出金 成年後見人 横領

【ご質問内容】

関係者は、最近亡くなった母(被相続人)と4人の子供です。

老人ホームで痴呆状態の母には、3,000万円の貯金資産があった筈(証拠書類あり)ですが、後見人だった長男から、「全て下ろして、貯金は残ってない」と言われ、騒動が続いてます。

過去、長男は母に無断で、キャッシュカードで何回も50万円/日限度に下ろして自分の懐(自分名義口座)に入れてました。気づいた4男が詰問したところ、その事は口頭で白状し、横領行為を認めています。

但しその録音記録はない。

明らかに後見人による業務上横領罪ですが、刑法の規定により、直血の親族、若しくは同居人には、刑罰が免除される、という事で裁判しても勝訴の見込みが立たなく、後見人を除く3人兄弟で困っております。

<質問>

1)裁判において、長男は「お袋に頼まれて、若しくは許可を得て、貯金を下ろした」とウソの弁明で押し通すと思われます。それを崩す方法は何かありますか

2)亡母の生活費、老人ホーム費用は遺族年金で十分に足りており、貯金に手をつける必要は全くない状況でした。

3)亡母の老人ホームでの健康状態、判断能力について、医学的な診断書を準備できれば、(1)の長男の真っ赤なウソを突き崩せるものでしょうか。

4)これから遺産をもらえなかった3人の兄弟が取れる抵抗手段につき、アドバイス下さい。

(庭の千草)







【親族相盗に該当しても、民事裁判で請求が可能である】

成年後見人である長男が成年被後見人である母の預貯金を使ったというケースに関する質問です。

このようなケースでは法律上は刑事と民事の問題の双方から考える必要があります。

民事の問題は、刑事上の問題とは無関係であり、親族相盗例に該当しても民事裁判で損害賠償請求や金銭の返還請求も可能です

参考までに言えば、刑事事件としても、親族が成年後見人の場合には、親族相盗例に該当する場合でも刑罰に問われます

参考判例:
家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項は準用されないと判断した判決として、最高裁平成24年10月9日決定。
コラム【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)もご参照ください。



【成年後見人の使い込みの証明は難しくない】

長男が成年後見人になった後は、母の財産は全て成年後見人の口座に移されます。

そのため、その預貯金を引き出すのは成年後見人以外にはありません

又、施設に入っているということであれば、母のために多額の出費をするということも通常は考えにくいので、成年後見人が引き出した金銭は成年後見人が使ったものと判断されることになります。


【成年後見人になる前の引き出し分について】

成年後見人になる前の引き出し分については、引出者が誰であるのか、又、被相続人のためにつかったのかどうかが問題になります。

使いこんだ長男がウソをつく事態を想定し、予め、これらの点に関する客観的資料(払戻伝票等の文書)を集め、ウソに対処できるようにしておくといいでしょう(当ブログQ&A №362Q&A №317をご参照ください)。


【成年後見人選任前の行為については、母の判断能力が問題となる】

成年後見人がつくということは、母の判断能力(意思能力)がないということです。

長男が、成年後見人がつく前に《母から贈与を受けた》と主張するのなら、その時点での母の判断能力が問題となります。

そのような場合に備えて、母の入通院していた病院や医院のカルテや看護日誌、介護施設の介護記録を取り寄せしておき、母に判断能力がないことが立証できれば、母からの贈与の存在やその効力がなかったことを証明でき、長男に対する反論ができるでしょう。


【長男以外の相続人の対抗手段】

前記のとおり長男が成年後見人になってから以降の引き出し分についての証明はそれほど困難ではありません。

又、成年後見人になる前の預貯金の引き出しに関する対応も前記のとおりです。

問題は、長男が財産を隠すということも想定しておく必要があるということです。

裁判で勝訴し、長男は他の相続人に金銭を支払えという判決が出ても、長男が財産を隠すと、1円も取れない可能性があります。
そのため、長男の銀行口座や不動産等、資産内容をできるだけ早期に確認しておく必要があります。

又、長男が資産隠しをするような気配があれば弁護士に依頼して、仮差押の手続きをしてもらう必要があるということも覚えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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11:17 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

代表相続人が解約した預貯金【Q&A №526】

2016/08/09



【質問の要旨】

代表相続人が勝手に手続き

記載内容 代表相続人 無断 預金

【ご質問内容】

経過 :代表相続人が勝手にし処理し、既に完了との連絡が金融機関からありました

代表相続人(配偶者)と他相続人(子供2名)間で協議がまとまらない為にこのような手段を講じたようです。

要は争族中です。

質問1:代表相続人(配偶者)から連絡がない、又は他相続人が分割分を請求しても応じないで放置すると、4800万円以下の遺産が代表相続人に全て使われてもしかたないですか

質問2:相続人代表口座の内容を閲覧するにはどうすればいいですか

(kawaさん)







【代表相続人から請求があれば金融機関は預貯金全部の支払いをする】

遺産の中に預貯金がある場合、金融機関は法定相続人に対して代表相続人の選任を求めます。

あなたが、配偶者を代表相続人とする手続きには協力した(ということは、配偶者を代表相続人に選任する書面に実印を押し、かつ印鑑証明書も渡した)のであれば、金融機関としてはその代表相続人が手続きをすれば預貯金全額を代表相続人に支払います

これは法定相続人間で遺産分割協議が整っていなくても、代表相続人の書類に不備がなければ、金融機関としては支払いを拒否する理由はありません。


【連絡してこない場合には迅速に仮差押え手続きをする】

代表相続人が預貯金を全部解約した場合、その人が全部を使ってしまう、あるいは隠してしまうおそれは十分に考えられます。

連絡してこない、分配請求に応じないというであれば、使われてしまう可能性も極めて高いでしょう。

もし、そのような事態になれば、最悪の場合、あなたは1円の金銭も回収できないことになりかねないため、預金を使われないよう代表相続人の口座を仮差押し、口座を凍結してしまうことが必要です。


【代表相続人の口座内容は確認できない】

代表相続人である配偶者が生きている限り、その同意がない限り、配偶者の預貯金の口座を知ることはできません

親子であっても、金融機関から見れば他人ですので、口座内容を知ることはできません。

もし、前項に記載した仮差押えをするのであれば、一番可能性の高い金融機関を狙うか、リスクを分散する意味で数個の金融機関に分散して仮差押えをするしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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譲渡制限株式の相続と譲渡【Q&A №525】

2016/08/09



【質問の要旨】

相続譲渡の承認申請をしたが、承認される前に相続が発生

記載内容 株式 譲渡制限 承認


【ご質問内容】

譲渡制限株式を親が持っていて、それを私に譲渡するということで、2月にその会社に承認をもとめたら、承認は取締役会の承認が必要で、次の取締役会は半年後だといわれました

説明をきいただけで、合意はしていない。

そのとき、名義書換書類は会社に提出したのですが、3月に親が死亡してしまいました

そのあと、4月に姉が勝手に、その会社に電話をして、相続人の兄弟間(3人)で話し合ってから、後で連絡するから、名義書換を保留にしてくれ、という電話があったそうです。

すると、その会社は、姉のそのとおりにしてしまい、名義書換、取締役会の承認をしませんでした。

そこで、請求の日から2週間以内に承認又は不承認の通知をしていないときは、譲渡について承諾したものとみなす(会社法145条1号)。の規定を主張したのですが、その会社は、兄弟間ではなしあってくれ、というだけで、全然わたしの主張におうじてくれません。

先に、親から譲渡を受けてから、名義書換請求、譲渡承認申請したにもかかわらず、後で、生じた相続を理由として、名義書換請求、譲渡承認を拒否するというのは、おかしい、とおもうのですが、どう、対応したらいいでしょうか

調停を申請する場合、費用はいくらかかるのでしょうか?(弁護士費用除く)

期間はどれぐらいかかるのでしょうか

何回ぐらい調停はひらかれるのでしょうか

(akaba)






【遺産である株式の扱い】

株式が遺産の場合には、金銭債権ではないため、法定相続人全員が共有する(正確には《準共有》)ということになり、株式譲渡のためには、共有者全員の同意が必要です。

参考までに言えば、被相続人の預貯金については、金銭債権ですので、相続発生と同時に、各法定相続人に相続分で分割されます。

そのため、遺産の中に5000万円の預貯金があり、法定相続人は子が5人というケースでは、被相続人の死亡と同時に、各人が1000万円ずつを相続し、単独で銀行に1000万円を請求することが可能です。


【本件の質問の場合は譲渡があった】

今回の質問のケースでは、被相続人であるお父さんの生前に、株式が質問者の方に譲渡されており、それを前提として会社に譲渡承認請求をしたケースでスので、株式は生前にあなたに譲渡されており、遺産に含まれないと考えられます。


【本件の場合、株式譲渡承認があったと見なされる】

今回のケースでは譲渡承認請求をしていますので、会社としては、承認か不承認かを2週間以内に判断しなければなりません

定例の取締役会がいつであろうと、会社としては譲渡承認請求があれば、早期に取締役会を開催し、譲渡を承認するか否かを決定しなければなりません。

もし、2週間以内に取締役会を開催しなかったというのであれば、ご指摘の通り、承認と見なされます

そのため、あなたは会社に株主であることを主張することができます。

又、遺産ではありませんので、他の相続人の反対があっても、あなたとし ては単独で名義書換を請求することができ、議決権などの株主の権利を行使することができます。


【調停の申立費用及び期間】

調停の申立を考えられているようですが、その場合は遺産分割の調停ではなく、会社相手に株主としての権利行使を認めよ、あるいは名義書換をせよという内容になると思われます。

調停申立の費用は対象となるものの価額によって異なります。

今回の質問のようなケースでは、株式の価額を前提に、調停費用が決定される可能性が高いです。

仮に問題となる株式の価額が1000万円だとすると、調停申立費用には印紙は2万5000円分を貼り、これとは別に郵券(切手)代が約5~600円程度、必要になります。


【調停4~5回程度の期日で結論が出る】

調停の回数は事件ごとにケースバイケースとしか言いようがないのです。

ただ、私の長年にわたる調停委員の経験から言えば、4回から5回で解決するケースが多いです。

ただ、不調になる場合にはそれより少ない回数で打ち切られる場合が多いでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★姉妹の預かり金【Q&A №523】

2016/08/01



【質問の要旨】

認知症の人にお金を支払う場合

記載内容 認知症 預かり金 不正出金


【ご質問内容】

母の姉が、元気な時、家族がなく1人身ですので 入院されたとき もしもの時を考え母に相談し お金を預けていました

が、退院されてそのお金を返したいと思っているのですが 今少し痴呆症でありまして

お金を返す時に返しました、受け取りましたと言う文章で残したいのですが

どういう書き方でかわせばよろしいでしょうか


亡くなられた旦那さんの家族があり そちらが 管理する事になるみたいなので

後々 金銭でもめないように したいので どうか、良い方法教えてもらたく相談いたしました。

(樋口)







【金銭の支払いの証明は領収書でする】

金銭を支払った時に、その金銭の支払いの証明をする一番の証拠は領収書です。

領収書の書き方は、ご存知のように、領収書(もちろん、受取書でも結構です)と記載し、受け取った日付、金額も記載した上で、但書で何の返還分かを明らかにし、受け取った人の署名・捺印をすることで完成します。


【認知症が疑われる場合の配慮】

ただ、今回の場合、お母さんのお姉さん(以下、伯母さんと言います)は認知症の可能性があるようです。

認知症があり、しかもその程度がひどい場合には、伯母さんに判断(意思)能力がなく、金銭を受け取る能力なしとされることがあります

又、領収書を作っても、そのような文書を作る能力がないとして、領収書が無効になることもあり得ますし、そもそも、本当に金銭を支払ったのかという点でさえ、疑われる場合もあることを考慮しておく必要があります。


【認知症がひどい場合は成年後見人が選任された後に支払うのが無難】

ただ、認知症といっても様々の程度がありますので、どの程度の症状かを確認をされるといいでしょう。

一般には、伯母さんと話をして会話が成立するかどうかを基準とされるといいでしょう。ただ、日常会話が成立しても、それが直ちに意思能力があるとはいえません。

今回のような、認知症であることははっきりしているようなケースであれば、例えば長谷川式認知スケール等のテストを受けておれば、その点数を聞いて、認知症の程度の判断材料にするといいでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介)。

認知症の症状が重い場合には、成年後見人が選任されるまで、支払いをお待ちになるのが無難でしょう


【認知症が軽い場合の対応】

認知症の程度が軽い場合には、まず、支払ったということが客観的にわかるような支払い方にするといいでしょう。

具体的に言えば、支払いのときに伯母さんから領収書を受け取るとき、第三者を立ち会わせ、その人のサインをさせるという方法が考えられます。

又、伯母さんの金融機関口座がわかるのであれば、返還金をその口座に送金することも一方法でしょう。

但し、この場合には、お金を送金したという事実がわかるのみで、どのような原因による支払いかがわかりません。

この点をカバーするためには、送金前に、伯母さんに《○年○月○日に貸した金銭は私の××口座に送金してほしい》というような文書を差し入れてもらい、その実行として送金したという形を取るといいでしょう。

伯母さんがそのような文書を書かないということなら、伯母さんの言葉としてそのようなことを言ってもらい、ICレコーダーに残して、万が一の時の証拠として残しておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★土地の売買と認知症について【Q&A №522】

2016/08/01



【質問の要旨】

認知症の父の土地売買契約書を偽造

記載内容  認知症 告訴 偽造

【ご質問内容】

私は、父の相続人です。

父が生前土地を売る契約をしていました。

父は当時認知症で、土地の売買契約書は父の妹が偽造して作成していました。

この契約を解除できないかのご相談です。

その土地は、現状地目とも田で、買い主がマンションを建てる目的で購入しました。

契約当時認知機能検査MMSEは10でした。

又、父の妹を有印私文書偽造罪で告発は出来ないでしょうか。

よろしくお願い致します。

(choco)







【無効を主張できる可能性があります】

ご指摘の通り、妹さんがお父さんの署名押印(さらには印鑑証明書も無断取得している)を偽造したのであれば、その契約は無効です。

実際の立証は簡単ではありませんが、もし偽造やお父さんが意思能力を欠いていたことを立証することができれば契約が無効であることを主張できるでしょう.



【立証のポイント】

今回の契約無効を立証するに当たっては、お父さんの意思能力の程度が重要となってきます。

具体的には、お父さんの認知症の進行程度や判断能力の状況を病院や介護施設から取り寄せた記録(カルテや看護記録)で分析し、売買契約当時、お父さんが契約の意味を理解したり、印鑑証明書を自身の判断で取り寄せたり(あるいは妹さんに依頼したり)することができたかどうかを確認していくことになります。

そのほか、おそらく司法書士の先生が登記手続に関与しておられるでしょうから、本人確認や契約立ち会い時のお父さんの状況、さらには当時お父さんが署名押印した(とされる)書類の筆跡なども確認し、お父さんがこの契約にどのような関与をしたのかを確認していくことが必要と思われます。

 
【告訴と代金の返還について】

本件では有印私文書偽造罪のほか、買主の方に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。

ただ、警察はこういった親族間での問題になかなか立ち入らず、実際に立件する可能性は極めて低いのが現状であることはご理解ください(買主の方が詐欺だとして告訴すれば話は違ってきますが。)。

他方で、契約無効を主張した場合、土地は相続財産として戻ってきますので、その後に遺産分割を行うことは可能です。

ただ、契約が無効であれば(当然ですが)お父さん(あるいは妹さん)が受け取った売買代金を買主の方に返還しなければなりません。

この点にはご注意ください。

(弁護士 北野英彦)

大澤龍司法律事務所
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★財産をひとりじめ【Q&A №521】

2016/07/25



【質問の要旨】

司法書士をだまして書類を作成させたが、犯罪ではないのか?

記載内容  印鑑証明 騙す 

【ご質問内容】

相続人が多数いるのに司法書士をだまして相続人全員が本人を相続人代表と同意していると偽り書類を作成させ相続人全員へ書類を送り印鑑証明を取らせ実印を押させ郵送させた

そして預貯金を自分の口座にやすやすと振り込ませ自分の物にした。

これは犯罪ではないの

(ひげ)






【犯罪とは言い切れない】

まず、警察が本件のような親族内のもめ事に立ち入ることは、よほどのことがない限り考えにくいとは思います。

ただ、本件ではそのことはさておき、本件で詐欺罪が成立するか、という観点で回答をさせていただきます。

ご質問によりますと、相続人の一人が「相続人代表者」を名乗って司法書士に依頼し、遺産分割協議書を作成してもらったようです。

たしかに、他の相続人に無断で「相続人代表」を名乗ることは決して良いことではありませんし、ご気分を害されるのもよくわかります。

しかし、実際の遺産分割手続では、遺産分割協議書を全相続人に送付しているようですので、遺産分割の内容自体は全相続人に知らされているものと思われます。

また、印鑑証明書も、偽造したわけではなく、それぞれの相続人が取り寄せたものを送っているようです。

そうしますと、全相続人が協議内容を理解した上で、それぞれの意思に基づいて押印し、印鑑証明書を渡した、という解釈も可能です。

そうすると、事案を第三者的な立場で言えば、必ずしも「騙した」とは言い切れず、詐欺罪が成立する可能性は低いように思います。


【白紙の遺産分割協議書なら無効か】

では、内容が白紙(例えば、誰が預金を相続するかが記載されていない)の遺産分割協議書を全相続人に送った場合であれば詐欺罪は成立するのでしょうか。

結論から申し上げますと、このようなケースでも詐欺罪が成立することはまずありません

それは、白紙の内容について印鑑を押すという行為自体が、分割行為を他人の自由裁量に委ねるということと同一視されるからです。

言い換えれば、他人に内容を勝手に決められるのが嫌なら印鑑を押さなければよく、白紙に印鑑を押した以上は内容に文句は言えない、という言い方もできるでしょう。

もちろん、他の相続人に対し「あなたも預金を100万円相続する分割内容にする。」と言いながら全額自分が相続してしまった場合、理屈上は詐欺になります。

ただ、これも言った言わないの世界であることが多く、その詐欺行為を立証するのはかなり難しいでしょう

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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14:53 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

口頭による遺産分割協議の効力【Q&A №520】

2016/07/19



【質問の要旨】

口頭で不動産の相続に合意したが、登記に応じてくれない

記載内容  口頭 約束 登記

【ご質問内容】

5年前親が死んで、貯金は500万円 姉が相続し、親と同居していたわたしは、家と土地、畑を相続するということで合意しました

それは口頭で合意したもので、遺産分割協議書はつくってませんでした

ところが、登記名義を私に変更しようと思い、姉にいったら、それに協力してくれません。

1.姉にたいして、相続登記に協力せよ、という裁判はおこせるのでしょうか

その場合、私のほうで、立証しなければいけないことはありますか?

2.また、家裁に遺産分割協議をわたしが、申請した場合、どうなるのでしょうか

家裁はすでに、遺産分割協議は終了している、と判断して受け付けてもらえないのでしょうか?

それとも、私の主張とおり、私への名義変更がみとめられるのでしょうか?

それとも、遺産分割協議をやりなおして、民法の法定相続分とおりの判断がなされるのでしょうか?

この場合、不動産価格が3000、万円ぐらいなので、私に不利となります。

(dfhfgj)






【相続登記を求めて訴訟はできるが・・】

お姉さんを被告にして、遺産である不動産を私の単独名義に移転登記せよとの訴訟を起こすことは可能です。

問題は、勝訴するかどうかです。


【あなたが不動産を相続することの合意の証明責任がある】

遺産分割協議については、通常の場合、分割内容を記載した書面を作成し、かつ実印を押捺して、印鑑証明書を添付します。

口頭で合意ができないわけではありませんが、《言った、言わない》という議論になること及び遺産という多額の財産の分配のことですので、実印を押捺した書面を作成するのです。

今回の場合、お姉さんが合意書作成に応じなかったこと、又、相続登記に協力しないようであることを見ると、裁判でそんな合意はなかったと争うことは間違いないでしょう。

その場合、あなたとしては《不動産をあなたに相続させるとの合意》が間違いなくあったという点を証明する必要があります

質問から受ける感じから言えば、なかなか証明は難しそうです。

合意の証明ができない限り、裁判はあなたが負けることになります。


【調停の場合も、合意をお姉さんが認めないと法定相続分で・・】

裁判と異なり、家裁での遺産分割調停は話し合いです。

しかし、お姉さんが不動産をあなたに相続させるという合意があったことを認めてくれない限り、調停でもあなたの主張する遺産分割協議を前提としての話し合いはむずかしいでしょう。

結局、法定相続分を基準としての調停が進む可能性が高いという結論になります。

(弁護士 大澤龍司)


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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★母の預貯金を成年後見人に取り戻してほしい【Q&A №519】

2016/07/11



【質問の要旨】

母名義の預金を成年後見人は取り戻してくれるのか

記載内容  成年後見人 不正出金 取り戻す

【ご質問内容】

アルツハイマーの母は実家で一人暮らしをしております

子供は私と姉の二人姉妹です

父(認知症)は5年前に他界いたしました

姉とはこの亡父の遺産(家屋・土地・融資産を姉が相続するという公正証書あり)のことで 私から家裁に申し立てをする関係となり 一応和解はいたしました 

現在母の介護に関することは母とは別居の姉が施設通所の手配等をやっています

ご相談したいのは 介護が始まってから 姉が母の金融資産すべてを自宅に持ち帰り管理し始めました

これまでそれらの開示を求めましたがそれには応じませんでした

姉は母から預かるように頼まれたと言います

実は 亡父の時も 公正証書を作成し 生前中に父名義の預貯金を全額おろしそれを自分名義の口座に移しておりました

恐らく 母にも同様のことをしている可能性が高いです

母に成年後見人を申し立てることを考えましたが 述べたように母名義の預貯金は前述のようになっているなら管理するものはもう0、ないという事態も十分考えられます

また、アルツハイマーの母は自分で判断は出来ません。相手の言いなりに行動します。

父の時と同様 母に姉はすべてを自分に預けることを一筆書かせているでしょう

このような状況でも母の預金を母名義に成年後見人で戻すことは可能ですか

アドバイスをよろしくお願いいたします

(林檎)







【預金の取り返しは難しい】

成年後見人は本人(お母さん)の権限のほぼすべてを代理する権限を持っていますので、理屈上はお母さん名義の預金をお姉さんから取り返す権限もあります。

たとえば借用書も整った相手から貸し金を返してもらう場合や、交通事故の加害者に対して損害賠償請求を行う、というように相手方の責任がはっきりしている場合であれば、後見人が積極的に権利を行使してお金の支払を請求するケースは確かにあります。

しかし、成年後見人があえて親族内での紛争を起こしてまで不正出金の取り返しに動き出すことはごく例外的なことであり、そうそう見ないケースです。 

というのは、お母さんが自分の意思で(意思能力を失う前に)お姉さんに預金を預けたのか、それとも無断で不正出金をしているのかは外形的にはわかりにくく、明らかな証拠をつかむのが難しいからです。


【お父さんの話は別問題】

ただ、今回はお姉さんがお父さんの相続について周到な対策を整えて遺産を独り占めした経緯があるようですので、お母さんの預金についても同様の不正出金をしている可能性が高いようです。

しかし、法律上はそれだけで不正出金があると断定できるわけではありません。あくまでお父さんの話とお母さんの問題は別物だ、ということです。

もしお姉さんの不正出金を明らかにしたいのであれば、お姉さんの預金引き出しがお母さんの意思に基づかないものであったことを確証づける証拠が必要です。

ただし、確証があっても、後見人は家庭裁判所の監督の下に動きを取るため、家庭裁判所がどのような判断をするかにより後見人の動きが変わってくる可能性があることはご理解ください。

(弁護士 北野英彦)
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10:29 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

詐欺による特別受益証明書の取消し【Q&A №518】

2016/07/08



【質問の要旨】

虚偽の説明で実印を渡したら、相続は無効になるのか?

記載内容  実印 騙された 詐欺

【ご質問内容】

祖父が40年ほど前に亡くなりました。

祖父には、妻(祖母)と7人の子供がいました。

私は、次男の子供です。

祖父の相続にて、長男が、妻(祖母)と自分以外の兄弟6人の特別受益証明書を作成し、祖父の不動産を独り占めしました。

当時、遺産分割協議は実施されていなく、特別受益をしてもらっていない兄弟が2人いて、どのように実印が長男に渡ったのか覚えていません。

また、1人は、虚偽の説明で、実印を渡したと言っています。

他の兄弟は、すでに他界し、どのような経緯で実印が長男に渡ったのかわかりませんが、いとこの話によると、半強制的に持っていかれたらしいと言っていました。

現在、長男が3,4年前に他界(現在、祖父の土地は長男の嫁の名義)し、どのようにして実印を集めたのかわかりません。

そこで質問です。

実印を渡してしまった兄弟は、祖父の相続をあきらめるしかないのでしょうか?

虚偽の説明で実印を渡した場合は、無効になるのでしょうか

長男がもはや他界しているので、生存者の叔父の証言の方が有効でしょうか?

もし、有効だったならば、祖父の相続をやり直すことはできますか?

長男の嫁と争わなければいけませんか?

(姪っ子)







【詐欺ならば取り消しが可能です】

詳しい話はわかりませんが、もし虚偽の事実を告げられて実印を押印してもらった場合、その意思表示は詐欺行為に基づく意思表示として、取り消しの対象になることがあります。

たとえば、「車の名義変更に実印が必要なので貸して欲しい。」などと、全く違う用途を説明されて実印を渡したら特別受益証明書に実印を押されてしまった、というような場合であれば、その実印(意思表示)は取り消しうる、ということになります。


【取り消し期間は5年間】

ただ、詐欺に基づく取り消し権は、詐欺に気づいた時点から5年で消滅します(気づかない場合も20年で消滅)。

そのため、今回のように40年も前の話であればもはや取り消し期間が経過し、実際に取り消すことは難しいでしょう。


【証言だけで覆すのは難しい】

仮に期間の問題を無視するとしても、叔父さんの「騙されて実印を渡した。」という証言だけで特別受益証明書を取り消すことは難しいでしょう。

「死人に口なし」と言いますが、たとえ反対の証言がなくとも、裏付けのない証言だけでは、裁判所も証言の信用性を認めることができず、あなたの主張は認められないままとなる可能性が高いでしょう。

(弁護士 北野英彦)
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17:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

合意の撤回は可能でしょうか【Q&A №516】

2016/07/05



【質問の要旨】

不動産評価額に同意したが撤回したい

記載内容  撤回 同意 後悔

【ご質問内容】

弟に生前贈与された不動産の評価額を決める時に頭がボーとしていて弟が出した額に同意してしまいました

著しく私の不利になる金額だったのに合意してしまいました。

撤回してやはり私の評価額も考慮してもらいたいのですが、今から撤回することはできますか?

合意したことをとても後悔しています。

主張書を提出しようと思っていますが、裁判官にどうすれば私の主張を聞いてもらえるでしょうか?

どうぞアドヴァイスをお願いいたします。

(yamanobori)






【どの段階でどういう同意をしたのかが問題です】

裁判や調停、交渉などは一連の手続きですので、一旦した合意を尊重し、その上に更なる手続きが進められます。

そのため、原則として同意の撤回は信義則に反するということになります。

ただ、法的に撤回が認められるかどうかは、それぞれのケースに従って異なります。

質問には、裁判官や主張書面などという言葉が出てきますので裁判をされているのでしょうか。

もし、そうであれば、不動産額の同意は、どの段階でどのような形で合意したのでしょうか?

それによってあなたのとる対策も異なってきます。

又、交渉が調停などでも、どの場面でしたのかにより、撤回の可否が異なってきます。

場合に分けて説明をします。


【裁判所での和解の場合】

もし、裁判所での和解の過程で金額を合意したというのであれば、次の和解の機会に、前回(あるいはそれ以前であっても)、不動産価額には一旦同意したが、その後、考えてみるとどうしても納得できないということで、同意を撤回することも不可能ではありません(ただ、裁判官の機嫌が悪くなるのはご承知ください)。

なお、調停などの場合も同様の対応をするしかないでしょう。


【裁判での主張書面での同意】

次に裁判所に出した主張書面(準備書面)の記載で同意した場合、自分に不利益なことを認めたことになります。

このような同意を撤回したいというのであれば、事実に反し、かつ錯誤により出たものであるということを裁判所に説明する必要があります(判例:大判大正11年2月20日参照)。

具体的には、その同意した価額が時価に反して著しく低廉であることを何らかの方法(例えば路線価額での算定や不動産鑑定士の鑑定書)で明らかにするとともに、あなたが同意した理由なども間違っていたという説明をされるといいでしょう。


【遺産分割協議書での同意】

あなたが遺産分割協議で同意したというのであれば、遺産分割協議書という重要な書面に同意し、かつ、実印を押捺し、加えて印鑑証明書を渡していることになり、確定的な意志表示をしているということになり、同意の撤回は難しいでしょう


【交渉の中での同意の撤回】

裁判や調停とは関係のない、単なる交渉の中であれば、同意の内容を双方が署名捺印して合意書のようなものとして書面化されていない限り、同意を撤回することは不可能ではありません

但し、このような場合には間違いなく相手方から不信感を持たれ、その後の交渉が難しくなるということはご理解ください。


【早急に弁護士と相談する必要がある】

どの場面でどのような合意をしたのかが具体的にわからない限り、対応策を打ち出せません。

相続に詳しい弁護士でなくてもいいですから、弁護士と相談され、その中で具体的な事実を説明して、早急なる対策があるかどうかについて弁護士の意見をお聞きになることをお勧めします。

遅くなればなるほど、撤回は困難になるということもご理解ください。


(弁護士 大澤龍司)

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11:01 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★成年後見人に対する損害賠償請求【Q&A №509】

2016/06/17

※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】

後見開始前の不正出金はどうなるか

記載内容  時効 後見人 不正出金

【ご質問内容①】

認知症の母に成年後見人が付いています。(弁護士)

弟2人が、成年後見が開始される2ケ月前、母が認知症になったのを境に、母の預金、国債、年金型生命保険を2,700万ほど勝手に解約しています。

財産保全処分の審判も、成年後見申したてから1ケ月ほどで出ました。

成年後見人と面談しました弟達は、母がくれると言ったので、もらっただけだと言いました。

解約したもので300万で、それ以前にも3000万ほど預金を引き出しています。

2人は、3000万円は母から贈与されたお金だと、認めたとのちに、成年後見人からお聞きしました。

ですが、現時点でも預金が、1億以上あるため返還請求はしないという後見人の判断です。

弟達がもらったというお金は遺産相続時に特別受益として扱う物との判断です。

そこで質問なのですが、現在成年後見人が返還請求をしないと、このお金が、不当利得というものに当たる場合時効がくると、3000万+3000万のお金は遺産相続時には無効になるのでしょうか?

裁判所に申し立などした方がいいのかと思っていますが、よく判りません。教えてください。


【質問の要旨②】

自分が受取人であった保険を成年後見人が解約した

【ご質問内容②】

母に,成年後見人(弁護士)がついております。

母の財産に生命保険の、変額個人個人年金保険GFというものがあり、母自身で加入しました。

一時払い方式で500万円支払、目標額550万円年金支払い開始日 平成29年4月21日となっています。

母がもしも、平成29年4月21日までに亡くなると、死亡保険金受取人である私が550万円を受け取る事になっていました。

平成29年4月22日以降は母の年金として支払われるという保険です。

成年後見人の元に保険会社から目標金額に達したので、年金受け取り開始日を早めることができる旨連絡がありました。

このまま置いておいても1円も増額しないと思い込まれ、解約手続きされ、1年後5、503、630円振り込まれました。

3、630円増額されていました。

母から私に残す保険だからと、聞いておりました。

最近、後見人になぜ解約したのか聞きましたら、【置いていても1円も増額しないと勝手に思い込みました。】と言われました。

平成29年4月21日までにもしも母が亡くなったら、遺産相続の分に組みこまれるお金でなかったが、現在は組み込まれています。

私が遺産相続人になった時には、成年後見人にこの保険の解約の損失550万円を損害賠償できますか?

(アン)






【債権は10年間の時効で消滅】

弟さんたちが引き出した多額の預金が、お母さんの意思に基づかない場合(お母さんが認知症で判断能力がない場合を含みます)、お母さんは引き出した弟さんに対して不当利得返還請求をする権利(債権)を持つことになります。

この権利は10年で時効にかかりますので、お母さんが長生きした場合、時効消滅する可能性があるというのは質問で指摘されているとおりです。


【就任前の不正出金についての成年後見人の動きは鈍い】

不正出金の被害者はお母さん自身であり、あなたとしては法的には何らの権利もなく、後見人が動かない限り、不正出金分の回収もできません。

成年後見人にはお母さんの財産を保全すると役目がありますので、お母さんの預貯金からの不正引き出しがあれば、引き出した者に対して返還を請求するべきだとも言えます。

しかし、成年後見人は将来の財産保全に動くが、過去の財産の散逸については中々動こうとはしないというのが実情です(正確に言えば、後見人次第です。私の経験でも後見人が過去の不正出金を取り戻したというケースが1件だけですが、ありました)。

なお、成年後見人は裁判所が選任するものであり、後見人が職務を果たしていないのであれば、裁判所に事情説明書的なもの(上申書という題名でよい)を提出し、その中でどんな不正出金があったのかを証拠をつけて提出するといいでしょう。

成年後見人が成年被後見人の財産を横領していたというケースですが、裁判所の後見人に対する監督が不十分であったことから後見人の監督裁判所に損害賠償を命じた判決もあります。

参考判例:広島高判平成24年2月20日
家事審判官が、成年後見人が被後見人の財産を横領していることを認識していたのに、これを防止する監督処分をしなかったことは、家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くとして裁判所の責任を認めた。


そのため、上申書が出てくれば、裁判所としても、そのまま放置するのではなく、後見人から意見を聞く可能性が高く、場合によれば後見人が不正出金分の回収に動き出すことも考えられます。


【特別受益と消滅時効】

不正出金分を返還請求する権利は10年で時効にかかりますが、特別受益には時効はなく、10年以上前の生前贈与分でも遺産に持ち戻されます。

ただ、特別受益は被相続人の意思に基づく贈与などで問題にされるものですが、質問の場合は被相続人の意思とは関係なく引き出されたものであり、特別受益ではなく、単なる不法行為等の請求権の問題にすぎないと見れば、10年間で消滅時効になるということも考えられますので、ご留意ください。


【後見人の保険解約等の行為には口は出せない】

お母さんが生きておられる以上、あなたはお母さんの財産について、法的には何らの権利権限もありません。

後見人としてお母さんの財産の維持・保全という立場で対応すればよく、あなたの保険金受け取りにまで配慮して保険を維持する義務はありません。

ただ、お母さんとしてはかなりの財産をお持ちであり、判断(意思)能力があった当時にあなたのことを思って保険に入り、あなたを受取人としていたのであれば、財産が極端には減ったような場合ではない限り、保険解約をする必要もないようにも思います。

しかし、仮に後見人が保険解約をし、それによって受取人であったあなたが損害を受けることになるかもしれないとしても、あなたが法的に損害賠償できません。

このことは、お母さんが、判断能力がある時点で保険を解約した場合に、あなたがお母さんに損害賠償をすることができないのと同じことだと思えば理解がしやすいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016/05/30



【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし
た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)







【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。


【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。


【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます

お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。


(弁護士 大澤龍司)
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