遺言書 : 記事一覧
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【コラム】花押を押印の代わりにした遺言書は有効か?

2016/06/29
遺言書は、署名押印のあることが有効要件とされています。

「押印」というのは、ご存知の通り印鑑を使ってはんこを押すということです。

ところで、みなさんは「花押」をご存知でしょうか。

花押
「花押」は、書判(かきはん)とも呼ばれ、もともとは自署の代わりとして発生しましたが、そのうち実名の下に書かれるようになりました。

つまり、印鑑ではなく、「筆で書く」という点では署名に近いものといえます。

時代劇で戦国武将の手紙が出てきたときに目にされたことがある方もいるでしょう。


その花押が、遺言書に必要な「押印」の代わりになるかどうかが裁判で争われ、最高裁は、「花押は押印とは認められない」という判断を示しました(最高裁平成28年6月3日)。

民法968条1項は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」として、遺言書には、自筆の署名に加えて押印が必要だと定めています。

裁判で争われたのは、押印の代わりに花押が使われた遺言書(不動産などの財産を次男に相続させるという内容であった)が有効かどうかという点です。

最高裁は、押印まで必要とする趣旨について、「遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解される」とした上で、「我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い。」と判断し、花押を押印と認めず、この遺言書は無効としました。

判決文を読んで、「はんこなら100円均一で買ってきたものでも有効で、由緒正しき花押は無効?花押のほうが遺言者の同一性も、文書に書いたことが真意であるということも明らかなんじゃないの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

このように「印鑑を押す」という形にこだわるのは、日本では大事な書類には必ずと言っていいほどはんこを押すため、はんこを押すということは《書面に書いた内容に責任を持つ》という強い意志の表れとみなされ、下書き段階のものと区別される(完成が担保される)からだと思われます。

私も小さい頃から親に「簡単にはんこを押すな」と教えられ、小さいながらに「はんこを押すというのはおそろしいことなんだなあ」と思っていた記憶があります。

では、花押はどうなのでしょうか。

「花押を使ったということは書面に書いた内容に責任を持つという意識があるということだ」といえるのかが問題ですが、これは人によるのかもしれません。

たとえば、英文の自筆遺言証書に遺言者の署名は書かれていたが押印を欠いていたという場合、その人が遺言書作成の約1年9か月前に日本に帰化した白系ロシア人であり、主としてロシア語や英語を話し、日常の生活もヨーロッパの様式に従い、印章を使用するのは官庁に提出する書類等特に先方から押印を要求されるものに限られていた等の事情を考慮して、押印のない遺言書でも有効と判断した最高裁判例があります(最高裁昭和49年12月24日)。

これは、遺言書を書いた本人に注目し、その本人の慣行からして押印がなくても有効な遺言書といえそうかを判断しているものと思われます。

この判例を前提にすれば、私がいきなり「これが私の花押だ」と言ってサインのようなものを書いたとしても、それが押印代わりだとみなされることはないでしょうが、ずっと押印代わりに花押を使い続けていた人がいて、そのことが明らかであれば、押印とみなしてもよいのではないかと思います。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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13:51 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】《後妻と先妻の子》の激しい相続争いを避けるために

2012/05/10
 Loだよりイラスト3当事務所が扱う相続案件の中で、最も激しく対立するのは
《後妻と先妻の子》の争いです。

ほとんどの場合、《遺産はすべて後妻に相続させる》という遺言書が作成されている。
先妻の子側では「お父さんがそんなことを書くはずがない」、「遺言書が偽造された」と争うことになる。
また、残された財産が少ない場合、更に紛争が激化する。
「後妻が財産を取り込んで、隠している」と考えるからです。

そこで、弁護士からのアドバイス…
 
LOだよりイラスト2相続人が後妻と先妻の子である場合には、遺言書を絶対に書いておきましょう
また、遺言書の内容にも次のような配慮が必要です。
① 遺言書は公正証書遺言にする。
② どんな相続人にも、遺留分程度の財産は渡す。
③ 財産がどのような形であるか(どこの銀行のどの支店に預金がある…等)も記載する。
④ 遺産の分配内容について、「なぜそのようにしたのか」という気持ちを書く。

せっかく、がんばって、財産を残したのに・・・それが家族間の紛争の種になる。
そんな不幸を避けるために、ぜひ遺言書をお作りになることをお勧めします。
(大澤龍司法律事務所だより№2より)
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10:24 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】法律の現場から:子供のいない夫婦の相続は、兄弟との喧嘩になる

2012/04/05
LOだよりイラスト1 どんなに仲のよい夫婦でも一緒には死ねません。例えば、ご主人が死ねば相続が始まります。
妻であるあなただけが、ご主人の財産を相続できると思っているなら大きな間違いです。子供がいれば、その子供と妻であるあなたが相続人になります。
もし、子供がいなかったらどうなるか知っていますか?ご主人の兄弟とあなたが相続人になります。兄弟から遺産を分けてくれと申入れされたら、4分の1を渡さなければなりません。遺産として、自宅しかない場合でも、その家を守りたければお金を調達しなければならなりません。
自宅が2000万円だとすると、500万円が必要になります。

LOだよりイラスト2 
そこで、弁護士からのアドバイス・・

ご主人に《あなたにすべて相続させる》という遺言書を書いてもらいましょう。
これで兄弟は遺産をくれと言えなくなります。
遺言書作成の費用は、弁護士に依頼して、最も確実な公正証書遺言という形の遺言でも20万円前後。
さて、あなた、20万円の費用を惜しんで500万円を支払いますか?
(大澤龍司法律事務所だより№1より)
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15:00 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】遺言で「争族」回避(読売新聞 平成23年12月13日より)

2011/12/14
【記事の概略】
遺言書を作れば相続での争いを回避できること、信託銀行がしている遺言信託は120万円かかるが決して高くない。

【費用をかけないで遺言書を作成する方法】
値段だけを言えば、《遺言書キット》を2415円で購入して、自筆で遺言書を作成するのが安いでしょう。
もっとも安くしたいというなら、《ブックオフ》などの古本屋で、100円で遺言書に関する本を買って、それを参考にして遺言書を書くことでしょう。

【遺言書は、本当はとてもむずかしい】
しかし、遺言書を書いただけで、遺産争いを防止できるわけではありません。
たとえば、長男に遺産の全部を相続させるという遺言書を作った場合、おそらく、他の兄弟からは「私らにも遺産分けをしてほしい」という話が出てくるでしょう(このような請求をする権利を遺留分減殺請求といいます)。
このようなときには信託会社が紛争を解決してくれるのでは・・と考えているかもしれませんが、それは少し甘い考えかもしれません。
信託会社にお金を払っても、トラブルになると遺言の執行はしてくれず、紛争だけが残ることもあり、結局、弁護士の登場になります。

【どのようにして《争続》を防ぐ内容にするのか】
せっかく遺言書を作成するのなら、相続人が争わない内容にする、これが最も重要なことでしょう。
遺言をするあなたが、なぜ、このような内容の遺言を作ったのか、また、他の相続人にも最低限の遺産が行くようにすること・・そのような紛争を防止するための遺言書作成のノウハウは、相続に詳しい弁護士に相談するしかないでしょう。
法律や裁判例、あなたの相続人の置かれた状況を個別に聞き取って、あなたにふさわしい遺言書を作る、それが弁護士の仕事です。
あなたの遺産額を考えた場合、弁護士に相談する費用は、必要経費として考えることができるのではないでしょうか。
(大澤龍司)

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17:50 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】遺言の無効

2009/10/28
遺言が無効となるのは、次のような場合です。

①法定の書式が守られていないとき
まず、遺言は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など法律に定められた方式によらなければなりません。
したがって、この方式に従っていない遺言は無効です。

②遺言を作成した時に意思能力がなかったとき
遺言の意味を理解できない人が作った遺言も効力がありません。
高齢者の場合には、認知症が問題になる場合があります。
高齢者が死亡したばあいに遺言書が出てきた場合には、まず、本当に遺言をするだけの意思能力があったのかどうかを考える必要があるでしょう。

③後に遺言がなされていたとき
遺言は自由に変更できます。
例えば、平成20年1月に公正証書遺言をしたと言っても、その後、平成21年9月に自筆証書遺言をしたら、後の方の遺言が有効であり、前の遺言は無効になります。

④その他の無効事由
遺言は、15歳以上でなければできませんので、15歳未満の作成した遺言は無効です。
また、遺贈など財産に関する行為については、不法なものや公序良俗に反するものは無効です。
例えば、愛人との間で生まれた子供に財産を遺贈するに際して、認知請求を放棄することを条件とするような遺言は無効です。

なお、遺言の無効を争うような場合には、訴訟になる可能性が非常に高いので、最初から弁護士に相談された方をお勧めします。
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18:03 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】実例で見る相続問題:遺言書作成のヒント

2009/08/18
なぜ、兄弟間の激しい争いが起こったのか?大澤photo6

前回(実例で見る相続問題:深い傷を残さないように)は遺言書偽造の事件が兄弟間の深刻なトラブルを引き起こした事件のことを記載しました。
なぜ、このような兄弟が憎みあうというようなことが起こったのでしょうか。
遺言書が偽造でなかったと前提とした場合、問題は次の点にあったように思われます。

1 偽造防止のために・・自筆ではなく公正証書遺言にする。
問題のケースでは、遺言書は自筆でした。
もし、公正証書遺言であれば、公証人が作成し、かつ保存するのですから、遺言書の偽造ということは考えられません。
自筆の遺言書だから、偽造ではないかという疑いが生じ、訴訟にまで発展しました。
遺言書を残そうと思う人はそれなりの財産を有しておられることと思います。
遺言者の作成のために公証人に支払う費用は、そのような財産に比べれば少額です。可能であれば、是非、公正証書遺言をされることをお勧めします。

2 紛争防止のため・・相続人には、最低限の遺産を与える。
遺産のすべてを特定の人に与えるということになると、当然ですが、もらえなかった相続人の側から不満が出ますし、場合によれば訴訟等の紛争が起こることになります。
このような相続人の不満をどのように対処するのかが、遺言書作成の大問題です。
まず、財産を全く(あるいは少ししか)もらえない相続人としては、財産をもっと欲しいという申し出が可能です(慰留分減殺請求)。
そうだとすれば、遺言で特定の人に遺産を多く与える場合にも、他の相続人にも法律上認められる慰留分程度の遺産を残してあげるべきでしょう。
相続人としても、自分も遺産がもらえるという事実があるために、遺言書を作成した人の相続人に対する配慮を感じることができますし、しかもそれ以上は法律的に請求できないとなれば、遺産をめぐる紛争は起こしたくてもできないということになります。

3 相続人の納得のため・・遺言による財産分けの理由を説明する。
遺言書は、遺言者が後に残された相続人に対する最後の言葉というべきものです。
遺産の分け方を記載すれば十分だという考えもあるでしょうが、なぜ、そのような遺言をしたのかという理由を記載することも紛争防止に役立つことがあります。
例えば、結婚した長女や次女には多額の持参金を持たしたので、家業を継ぐ長男には余分に遺産を分けるというような説明があれば、相続人の方でも納得できる場合があるでしょう。
特定の相続人に多くの遺産を相続させるのであれば、他の相続人が納得するような説明を記載して、少しでも紛争の種をなくしておく、これが遺言をする人の最後の仕事というべきものでしょう。
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【コラム】実例で見る相続問題 :深い傷を残さないように

2009/08/18
ここまで憎しみ合うものか・・

亡くなったお父さんの遺言書が偽造かどうかが争われた事件を担当したことがありました。
35年も前のはなしです。
結局、この事件では遺言書は偽造ではないという判決がでました。
ただ、その訴訟の最中に、遺言の偽造者と言われていた相続人(次男)が急死しました。
相手方の長男が述べた一言は次のようなものでした。
「ざまぁみろ、バチがあたったんだ!」
兄弟間の相続争いで、実弟が死亡しても、悲しみを感じるどころか、むしろそれを喜ぶという、そこまで憎しみを持つものかと深く印象に残りました。
この事件は、遺言書を作っても、トラブルは発生し、兄弟間に深い傷を残す場合があるのだということを教えてくれます。
せっかく遺言書をつくるのであれば、後にトラブルが出ないようにする必要があります。
次回に、この事件を例にどのようにすればよかったのか、問題点を検討していきます。
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【コラム】実例で見る相続問題:遺言書の偽造

2009/07/29
前回は遺言書偽造の事件が兄弟間の深刻なトラブルを引き起こした事件のことを記載しました。
では、どこに問題があったのかを検討しましょう。

まず、第一の問題点は、自筆の遺言証書であったという点です。
本人いない
だれが署名してくれるのか・・・

① 遺言書は公証人役場で作るのが望ましい。
 公証人役場で作成した場合、公証人は遺言する人の本人確認をしますので。偽造という問題は発生しません。

② 相続人間の紛争が生じないように、内容を工夫する必要がある。
 例えば長男だけに相続させるというような内容であると、財産をもらえなかった長女や次男等から不満が出ることが多く、紛争に発展していくことが多いものです。

遺言というのは、自分の死を想定して作成するものであり、「縁起でもない」として作成に踏み切る気持ちになれないという気持ちはよくわかります。
しかし、残された子供たちが遺産をめぐって、争いをするのはとても不幸なことです。
財産をお持ちの方については、是非、遺言書の作成をお勧めします。

又、作成については相続問題に詳しい弁護士に相談し、その内容をどのようにするかという踏み込んだ相談をされることをお勧めします。
大澤photo6
さて、最後に、私ですが、現段階では遺言書は作ってはおりません。なにせそれほど財産を持っていないですから。

しかし、こんな声も聞こえそうです。

知人:「財産があるかどうかは別として、早く作っておいた方がいいよ。もう、そんなに若くないんだから・・」
私「・・・・・・・・・」
                                     (龍)
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