不動産の相続 : 記事一覧
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母の名義を借りていた建物【Q&A №464】

2015/09/02



【ご質問のまとめ】

20数年前に賃貸用建物を建て、母名義の登記をしました。

以来、賃貸の回収、ローンの返済、固定資産税すべて私が行ってきました。

数年前に母が亡くなり、兄と父がこの建物を渡せと言ってきます。

時効の主張はできますか?



記載内容

  名義貸し 固定資産税 時効


【ご質問内容】

20数年前に賃貸用に建物を数軒建てました。

名義は母で土地名義は祖父です。

収入は私、返済も私、その他の不動産の固定資産税も私で父と兄はノータッチでした。

10数年前に祖父、数年前には母も他界しているのですが、最近父と兄がその賃貸用の建物を渡せと圧力をかけてきます。

私は母には名義を借りただけと思い、建築当初から自分のものだから返済も遅れずにしてきました。

時効を使うことは難しいでしょうか。

返済中でもうすぐ終わります。

(kamemonn)





【不動産は誰のものか】

 まず、質問の賃貸物件が誰の所有ということから確認しておきましょう。

 今回の物件がお母さん名義だとしても実質上は質問者の所有という場合もあり得ます。

 ただ、そのようなことが認められるためには、その物件を建てたのは実質的には質問者だということ及びその代金も質問者が支払った、ただ、登記だけ名義を借りたというような事情が必要です。

 本件でそのような事情があるのなら、取得時効ではなく、そもそもその物件は自分の所有ということを主張されるといいでしょう。

 なお、賃料は誰の名義で回収していたのか、支払っていたローンは誰の名義であったのかという事情の検討する必要があります。

 これらの名義がお母さんだとすれば、その不動産があなたの所有だという主張は通りにくいでしょう。



【時効取得の可能性について】

 所有者でなくとも、時効で不動産の所有権を取得できる場合があります。

 自分の所有物だと思っていた場合なら10年間、他人の物であることを知っていた場合なら20年間、不動産を占有することで時効で土地を取得することが可能です。

 ただ、質問者の方が自分の所有物として占有しているという要件が必要です(このような占有を自主占有といいます)。

 取得時効の要件である自主占有とは、質問者の方が《自分で所有者と思っていた》だけではだめで、他の人から見て所有者と見られるような外形(外観)が必要だということです。


  周りからみて、自分の所有物として占有している

×  自分の所有物だと思って占有している



 今回の場合、賃料は誰の名義で回収していたいのか、支払っていたローンは誰の名義であったのか固定資産税はあなたに課税されていたのかという各点が問題になります。

 これらの点が全てお母さんということであれば、あなたはお母さんに替わって賃貸物件の管理をしていただけにすぎないということになります。

 また、あなたが他の相続人らに対して自分の所有物だということを主張し、それが認められていたというような事情があればそれは有利な事情になります。

 結局、あなたとしては所有者として占有していたという気持ちがあったとしても、裁判所や世間一般の常識的な判断として、所有者と見られるような外形が存在していないかぎり、時効での取得を主張するのは困難でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:55 不動産の相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】実例で見る相続問題:遺産分割の不動産の価額の妥当性

2009/09/11
【不動産の価額が安すぎる?】
遺産の分割協議をしていると、ある相続人は現預金で欲しいといい、他の相続人は不動産が欲しいといいます。
この場合、現預金であればその価値ははっきりしていますが、不動産の価額については相続人により大きく意見が異なってきます。
「この不動産の価額が安すぎる!」ということで不満を述べる相続人もよくおられます。
遺産分割の際の不動産価額は何を参考にすればいいのでしょうか?

大澤photo6【時価で算定すればよい?】
不動産は「時価」で算定すればいいのではないかという意見が聞こえてきそうです。
しかし、この「時価」がそう簡単にはわからないのです。

正確にいうと、現実に売れる額が時価ですので、売ってみなければわからないというのが実情です。
不動産鑑定士さんにお願いして価額を出してもらうことができますが、そのためにはかなり費用がかかります(場合によると、弁護士費用より高い場合もあります)し、鑑定士が鑑定したからといってもそれが時価である保障はありません。

【遺産分割調停では、路線価が基準になる場合が多い】

土地の価額といえば、公表されているだけでも公示地価や路線価固定資産評価証明額基準地価等、多数の基準があります。
路線価公示地価(法令に基づき国家機関等により定期的に評価されている公的地価のうち、個別の地点、適正な価格が一般に公表されているもの)の約80%に設定されており、時価より安くなっています。

この路線価は、税務署が相続税や贈与税の算出をする場合に前提とする土地価額です。そこで、相続問題である遺産分割の調停場合には、関係者が同意して、この路線価を前提にして遺産分割をしていく場合が多いです。

しかし、【実例で見る相続問題:遺産は不動産でもらいますか?現預金でもらいますか?】でも記載しましたように、不動産をもらうことは、税金の負担やすぐに現金化できないという、大きなリスクを伴いますので、この程度の減価は止むをえないところでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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13:34 不動産の相続 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】実例で見る相続問題:遺産は不動産でもらいますか?現預金でもらいますか?

2009/09/01
遺産は不動産でもらいますか?現預金でもらいますか?

遺産の分割協議をしていると、ある相続人は現預金で欲しいといい、他の相続人は不動産が欲しいといいます。
さて、あなたならどちらでもらいますか?


【現預金が一番】
弁護士としては、原則として、その遺産の家屋に居住しているような場合は別として、現金か預金でもらいなさいというアドバイスをします。
その一番の理由は、不動産は簡単に売れないということです。

例えば広大な土地をもらった場合でも(遺産額が多い場合には)相続税の支払が必要です。
遺産分割で、現預金をもらった場合は、それですぐに相続税の支払ができます。
しかし、不動産でもらった場合には相続税の支払い原資として、別途、お金を用意する必要があります。

【不動産を売り急げば買い叩かれる】
もし、そのお金がないというのであれば、不動産を売却するしかありません。
その場合、何事もそうですが、売り急げば不動産の価額は恐ろしく安くなります(足元を見て買い叩かれるということです)。

【税金もかかります】
その不動産があなたが居住している不動産なら別として、不動産を売却する時には通常はかなりの不動産譲渡税もかかります。
また、売るまでの期間、当然のことながら固定資産税等も支払う必要があります。

【過去にこんなケース】
 過去に、当方の依頼者で不動産の取得を選択した方がおりましたが、相続税として支払うお金がありませんでした。
 そのため、税務署と協議の上、長期で分割払い(延納)という手続をしましたが、もらった不動産は売れず、しかも不動産価額は下落を続け、依頼者の相続人は四苦八苦しておりました。

 次回の記事でも記載しますが、遺産分割の前提となる不動産価額は、相場よりかなり安くなります。相続税の支払や不動産の利用価値、売却の可能性等、しっかりと考えて対処する必要がありますのでご注意下さい。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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