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地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか【Q&A №501の再質問】

2016/05/27



扶養能力がないのに遺留分と養育費は相殺されるのか?【Q&A №501】に関する再質問

【質問の要旨】

地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

子供に対して地裁で遺留分(1250万円)を求めて本人訴訟中なるも、子供(義母と同居し現在は社会人)は、大学卒業までの生活費や学費などの養育費(1600万円)との相殺を要求。

私はその当時から現在まで病気で収入がなく、また数千万円の借金があるので扶養能力はなく、子供は充分な遺産(5000万円)
があるので要扶養状態にはない。

和解交渉でこのことを主張するも、裁判官は、(法律的根拠は示さず)遺留分の権利だけを主張して扶養義務は果たさないのはおかしいとして、私が遺留分をもらえば、そこから子どもが立て替えた養育費を払うように強く要請。

私は、父子間の養育費は家裁の専権事項なので、本裁判では遺留分の決定をし、養育費については被告が調停申立をすべきと主張するも、裁判官は被告から相殺の要求が出ているので、地裁で養育費の決定ができると拒否。

そこで質問なのですが、

(1)本当に地裁で養育費を決定できるのか。

あるいは、和解を成立させんがために私へ譲歩を迫るだけであり、判決では養育費については盛り込まれない可能性が高いと思われるか。

(2)判決で養育費と相殺された場合、それを理由に控訴しても却下となる可能性が高いか。

(3)もし家裁で養育費が決定される場合は、養育費が決まった後に地裁で遺留分と相殺して支払われるのか。


または、地裁では遺留分が確定し、家裁で養育費が確定して,相殺ではなく個別解決になるのか。

(オーくん)







当相談では、原則、再度の質問には回答しないことになっています。

ただ、お困りかもしれませんので、簡単にコメントをします。

この程度でご了解ください。

【再質問】

地裁の遺留分減殺事件で(家裁の専権事項である)養育費を決定できるのか?

【回答】

養育費の決定は家裁で決定すべきことです。

そのため、地裁の判決主文中で養育費が決定されることはありません

ただ、判決理由中で、遺留分額を減少する際の事情として未払養育費額を考慮することはできないかという問題がありえます。

しかし、家裁の専権事項である以上、理由中であっても、養育費額の認定はできないというべきでしょう(この点に関する参考裁判例としては、婚姻費用についてですが、同趣旨の判例がありますので末尾に記載しておきます)。

但し、当事者が和解提案する際の事情として未払い養育費を持ち出す、あるいは裁判所が和解案を出す際に未払い養育費を考慮して解決金額を提示するという程度なら特に問題ないでしょう

その点を考慮すると、あなたに譲歩をせまる材料として裁判所は養育費問題に言及しているというところでしょうか。


【再質問】

判決で養育費が考慮された場合、それを理由に控訴することが可能か?

【回答】

本来考慮すべきではない事項を考慮しているのであれば、それは控訴理由になり、原判決の取消事由となると思われます


【再質問】

家裁の養育費と地裁の遺留分との関係

【回答】

地裁としてはいつまでも判決を延期するわけにはいきませんので、養育費は別途解決してくださいとして、遺留分のみについて判決する可能性が高いと思います。

【参考判例】
婚姻費用の分担については、専ら家裁が審判すべきものであって、地裁は抗弁に対する判断としても、婚姻費用の分担を定めることはできない(京都地判昭和32年10月17日)。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:59 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】遺留分とは

2009/08/17
遺産をもらえない人の対抗策・・遺留分

【遺留分とは遺産の一部を受け取ることを保障する制度です】
 遺留分とは、遺言書で財産を全くもらえない場合や、遺言書でもらえる遺産が少ない場合に、一定の相続人に遺産の一部を受け取ることを保障する制度です。

 例えば、お父さんの遺言書があり、その遺言書に、「全ての財産を妻に相続させる」と記載されていた場合、長男と長女は、遺産を全く受け取ることができないように思われます。
 しかし、長男も長女も、同じお父さんの法定相続人ですので、長男や長女にもある程度の財産を受け取ることができます。これが遺留分という制度です。

【遺留分を認められる相続人の範囲と割合】
 遺産の一部を受け取ることが保障されているのは、被相続人の配偶者や子供、被相続人の父母等の直系尊属のみです。したがって、被相続人の兄弟は法定相続人ではありますが、慰留分は認められていません。
 また、遺留分の割合は、相続人が誰かによっても異なります。

 冒頭の例をあげると、長女の遺留分については、
遺産÷2(相続分は2分の1)÷2(子供が2人)÷2(遺留分割合2分の1)となり、
結局8分の1が遺留分となります。
長男も同様に8分の1が遺留分となります。

 別の例として、被相続人に父母はいるが、配偶者も子供もいないケースでの父、又は母の遺留分は、
遺産÷3(相続分は3分の1)÷2(父母が2人)÷3(遺留分割合3分の1)となり、
18分の1が遺留分となります。

【遺留分の請求時期・方法】
 慰留分は、当然にもらえるものではなく、遺留分を害されたこと(要するに遺言書により財産が全く、或いは、少ししかもらえない)を知った時点から1年以内に、慰留分を害する者に対して(冒頭の例であれば、お母さんに対して)、請求しなければなりません。これを遺留分減殺請求といいます。
遺留分を害されたことを知ってから、1年以上何もしなかった場合には、遺留分減殺請求は認められません。
遺留分減殺請求は、裁判によらないですることができますが、請求したことを証明できるようにしておく必要があるので、内容証明郵便のような書類で送付されることをお勧めします。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
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