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認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
09:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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18:01 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】

2017/02/14


【質問の要旨】

保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】

相続人兄と私のみ

遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)

死亡保険金1450万円(受取人私)あり。

家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。

何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。

少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。

2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。

その1年後父が他界。

葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)

今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。

家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)

生命保険は私が受取る。

父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す
ると。

兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。

生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。

兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。

実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?

兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。

分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。

今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)






【遺産内容について】

まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります

これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります


【保険金は遺産ではありません】

あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。


【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】

家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。

土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。

特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。

ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。

そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。

又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。

なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。


【債務の扱い】

お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。

賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。

その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。

次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。

以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

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18:12 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★【相続判例散策】預金債権は遺産分割の対象になる(最高裁平成28年12月19日判決)

2017/02/03
・・最高裁が従来と全く異なる判例を出しました・・

預金債権は遺産分割の対象になる

最高裁平成28年12月19日判決


【ケース】

相続人のうちの一人が生前に被相続人から5500万円の贈与を受けていたというケースで、生前贈与を受けていない法定相続人が、被相続人の預貯金約3800万円を生前贈与などと合わせて遺産分割するよう求めた事例。

1審及び2審は、従来の最高裁判例に従い、「預金は相続によって当然に分割されるので、遺産分割の対象外である」とし、預貯金の遺産分割を認めない判断を下していた。


【裁判所の判断の概略】

最高裁判所は、「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。」と判断しました。

その理由は以下のとおりです。

本判決は、まず、預貯金一般の性質を説明しています。

「共同相続人間の実質的公平を図るため、一般的には、遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とすることが望ましく、また、現金のように評価についての不確定要素が少なく、具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在する。

預貯金は、決済手段としての性格を強めてきており、また、預貯金債権の存否及びその額が争われる事態は多くなく、預貯金債権の価値が低下することはないことから、現金との差をそれほど意識させない財産であると受け止められているといえる。」

また、それぞれの預金の特殊性を踏まえて、以下のような趣旨の理由づけも行っています。

「普通預金契約及び通常貯金契約について、預貯金債権が相続開始時の残高 に基づいて当然に相続分に応じて分割され、その後口座に入金が行われるたびにそれぞれの相続人の預貯金債権額が入金に応じて変わるとなると計算が煩雑になる。

定期貯金債権については、定期貯金債権が相続により分割されると解すると、それに応じた利子を含めた債権額の計算が必要になる上、預入期間内に貯金を払い戻す場合には一部払戻の取り扱いをしないという制限があるため、共同相続人は共同して全額の払い戻しを求めざるを得ず、相続により分割されると解する意義は乏しい。」

 
【弁護士のコメント】

1.従来の判例の紹介と本判決の持つ意味

1)最高裁判事全員が本判決に賛成した。

最高裁判所は、貯金が分割債権かが問題となった平成16年4月20日の判決(判時1859号61頁)で相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではないと言っていますが、本判決は、預貯金債権について従来の判例と全く逆の結論をしたものであり、重大な判例変更です(なお、本判決は大法廷で審理されましたが、関与した裁判官15名全員が、本判決を支持しており、反対意見はありませんでした。)

2)法律的性質からみると、以前の判決は正しいが・・・

従来の最高裁判決は《預貯金債権は金銭債権であり、《法律上》は相続と同時に各相続人にその法定相続分に応じて分割取得される》と考えました。

たしかに金銭債権はそのような性質をもっており、法律的には従来の最高裁判例は間違いではありません。

参考までに言えば、不動産の価額は法定相続人の立場により異なってきます。

その不動産を取得したい側は低く言いますし、代償金をもらう側は高く評価します。

又、評価がまとまらない場合、預貯金なら計算で取得額が計算でき、分配も可能ですが、不動産は簡単に分割することができません。

ケーキなら簡単に分けることができますが、不動産は現物では簡単には分割できません。

不動産については共有にするということも考えられますが、これは問題の先伸ばしであり、最終的な解決にはなりません。

このように不動産は分割という困難な問題が生じますが、預貯金にはそのような問題がなく、分割が容易です。

その意味では、従来の最高裁判決は、預貯金の法律的性質に着目したものであり、その限度では《正しい判決》です。

3)実務では問題が生じた。

ただ、遺産分割訴訟で、当事者の一方が預貯金債権は遺産分割の対象にしないということになると、不動産等しか扱えず、調停が円滑にいかない可能性があります。

又、遺産分割調停が成立しない場合には、家庭裁判所の裁判官(審判官)が遺産分割審判(要するに判決のようなものです)をしますが、その場合には双方の当事者の同意があっても、不動産等しか分割の対象にできず、預貯金を増減して調整のために使うということは全く不可能でした。

本判決により、遺産分割調停では当事者の同意がなくとも、調停の対象とされ、又、遺産分割審判でも預貯金が対象ですので、ある相続人には不動産を、他の相続人には預貯金を与えるという柔軟な解決が可能になります。

調停や審判にかかわる実務家として、歓迎すべき点が多い判決です。

以下、論点を絞って、当事務所弁護士の本判決に対するコメントを記載しておきます。

2.本判決に対するコメント

1)預貯金債権は遺産分割の対象になる

これまで述べてきたように、従来の最高裁判決では、預貯金等の可分債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではないと判断されていました。

その上で、実務上では、当事者間で衡平妥当な解決を図るため、預金債権についても遺産分割の対象とする合意がある場合には、遺産分割の対象とする扱いがなされていました。

そして今回、上記のとおり、預貯金債権は相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になるという
判断が最高裁でなされました。

これにより、今後は相続人の同意の有無にかかわらず、預貯金は遺産分割の対象となるということになります。
その結果、遺産調停では預貯金が当然、分割されるべき遺産の内容(対象)となります。

同様に前記のように審判でも預貯金を考慮して審判ができることになります。

2)他の可分債権についても遺産分割の対象になるのか?

本判決で問題にされたのは預貯金債権ですので、預貯金以外の可分債権(貸金債権等)についても、当然に遺産分割の対象になるのかどうかは明らかではありません。

本判決に際して述べられた各裁判官の補足意見を見ても、この結論は預貯金債権について共同相続が発生した場合に限るという意見や、額面額をもって実価(評価額)とみることができない可分債権については、合意がない限り遺産分割の対象とならないという意見など、様々です。

ただ、本判決の中で、遺産分割において被相続人の財産をできる限り幅広く対象とし、具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請があると判断されていますので、他の可分債権についても遺産分割の対象になると考えてよいのではないかという考えもありえます。

しかし、遺産の範囲に入れるということは遺産審判になればそれについても判断をしなければならないということでもあります。
例えば、遺産に貸金債権があった場合、その貸金額が決まっている場合を考えてみましょう。

貸金債権は典型的には金銭債権ですが、回収が困難であるという債権の場合、例えば1000万円の債権額であっても実質的な値打ちが0円の場合もあります。

このような場合には、遺産分割の対象とはならないというべきでしょう。

なぜなら、このような貸金も分割しなければならないとすると、その債権の評価をめぐって争いが生じる可能性があるからです。

本判決が、おそらく調停が成立しやすくするためや審判を容易にするためという目的に出たものであるとすると、金銭債権でもその実質的な額に争いがあるものも遺産分割の対象とすることは新たな紛争の種を持ち込むということになります。

本判決が、調停や審判の制度設計にかかわる枠組みを作る意図でなされたものであるとすれば、金銭債権であっても回収可能性に争いがあるような債権は遺産分割の対象外ということになりそうです。

3)取引経過の開示請求について影響はあるのか?

共同相続人の一人が単独で預貯金等の取引経過の開示を求めることは可能であることについては最高裁の平成21年1月22日(判タ1290号132頁)の判例があります。

そこで、本判決で預金債権が相続分に応じて当然に分割されないと判断されたことにより、単独での取引経過の開示請求の可否に影響するのではないかという懸念もあります。

取引経過の開示に関する上記判例は、「預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる」と判断しています。

このように、預金債権の帰属とは別に、共同相続人各自が「預金契約上の地位」を有しており、その地位に基づいて取引経過の開示を単独で求めることができるという理論構成を取る限り、今回の判例変更にもかかわらず、法定相続人の一人からの履歴照会には応じなければならないとの点は維持されるべきものと考えていいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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11:35 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】

2017/01/25


【質問の要旨】

母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】

父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。

弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。

以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。

その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。

嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか

また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)





【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】

お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません

あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。

しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。

そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。

あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。

お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。


【成年後見人をつけることも考える】

現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。

家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。

今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。


【現時点でできることは何か?】

ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。

その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。

そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう

通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。

履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。

現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

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何かをする時期について【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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17:03 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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父親の介護と遺産に関する約束【Q&A №535】

2016/10/11


【質問の要旨】

父親の施設の入所代、病院代などについては半分が長男、亡くなったら全額長男と言われて困っている

記載内容 介護 扶養 約束

【ご質問内容】

静岡に住んでいる主人の父親(81)の話ですが、私達は結婚してから横浜住まいです。

夏に子どもを連れて遊びに行くぐらいでした。

主人は長男なのですが、母親の連れ子で姉2人父親の連れ子で、主人と妹(音信不通)今の両親で一男一女(一男は死亡)の家族構成なのです。

今まで両親は2人でアパートに住んでいましたが、何年か前だと思いますが、2人共介護が必要になったみたいです。

2人の仲も悪くなったようで、父親は年金で施設、母親は姉の家に連れていきました。

今になって父親とは他人なので、通帳も印鑑も渡すので、こちらで面倒をみろというのです。

私達も近くて、金銭的な余裕があれば見てあげたいですが、とても見てあげられない状況です。

施設の入所代、病院代、などは半分が長男。

何かあって父親が亡くなったら、全額長男。

父親は退職金も入っていたと思うし、わが家も経済的に無理だし、いままでの生活がまるでわからないので、どうしたらいいかわかりません


助けて下さい。

(なな)







【相続については相続放棄も考えておく】

本件で相続に関するのは《施設の入所代、病院代、などは半分が長男。何かあって父親が亡くなったら、全額長男。》とある点です。

お父さんの死亡時点で施設費の未払料金や借金等の債務等が存在する場合、遺産と債務を比較し、債務が多いようであれば、相続放棄ができます。

相続放棄すると、遺産を受け取ることはできませんが、債務の支払いもする必要が無くなります。

相続放棄はお父さんが亡くなり、相続が開始したことを知った日から3ケ月以内に家庭裁判所に申立する必要があります(詳しくは当ブログQ&A №455などをご参照ください)。


【今、するべきことについて・・ご主人には扶養義務がある】

それ以外の質問に書かれていることは相続問題ではありません。

ただ、お困りのようですので、簡単にコメントを付しておきます。

まず、ご主人はお父さんの子であるので、お父さんを扶養する義務があります。

ただ、ご主人が経済的なゆとりがないというのであれば、如何ともしがたいので、義務を尽くすことができないと回答するしかないでしょう。

もし、私が今回の相談を受ければ次のようなアドバイスをするでしょう。

①《お父さん》の心身の状態を確認する。

最初に《お父さん》が自分で物事を判断できるような状態なのかどうか、身体的にどのような状態なのかという、心身の状態を確認する必要があります。

判断能力がないのであれば、成年後見人を選任するということも考える必要があります。

この点は、施設に入っているということですので、施設に事情を説明して、教えてもらうことができると思います。

②《お父さん》の財産を確認する。

次に、《お父さん》の財産を次の3つの面から確認する必要があります。

・現在の月々の年金分などの入金分と施設の使用料との出金分の収支の内容、差額を確認する。

・次に《お父さん》の財産(不動産や預貯金、借金)として何があるかを確認する。

・更に過去にどれだけの金銭が動いているのか(退職金がどうなったのか、預貯金からの引き出しはどうなっているのか)を確認する。

これらの確認は、これまで財産を管理していた人に対して教えてもらうことになります。

③判断をする。

以上の確認をした上で、ご主人が扶養義務を尽くすことができるのか、できるとしてどのような形でしていくのかを判断する。


上記①~③の調査をしていけば、どうしてもお父さんの面倒を見るという方向になってしまいますが、その時でもできないことはできないとはっきりと述べる勇気が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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13:53 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

証券会社に対する調査方法【Q&A №528】

2016/09/07



【質問の要旨】

国債や株の取引記録を取りたい

記載内容 証券会社 取引記録 取り寄せ


【ご質問内容】 

銀行預金の取引記録は取れました。

国債と株をやっていたと聞いていましたが、口座番号がわかりません。

証券会社も定かではありません。

どのように取引記録を請求すればいいですか?
(ねこ)







【支店まで調べる必要がある】

証券会社に調査をかける場合は、少なくとも取引支店名まで判明している必要があります。

支店さえわかれば、当該支店はその支店での被相続人の取引内容をすべて教えてくれますので、顧客番号や取引の種類などはわからなくても結構です。

そのため、まず、支店名までなんとかたどりつくように努力する必要があります。


【まず、被相続人の自宅の郵便物を調べる】

被相続人が国債と株をしており、証券会社と取引をしていた可能性があるというのであれば、その証券会社から被相続人に対して取引明細書等の取引内容の通知が送られていることが多いです。

そのため、被相続人の住んでいた家に送付されてきた郵便物を確認しましょう。

取引通知書やダイレクトメールなどがあれば、その送付をしてきた証券会社の支店に照会を掛けられるといいでしょう。

なお、郵便物だけではなく、自宅にある書類も念を入れて探しておくと、意外なところから証券会社の判明のヒントが出てくる時もありますので、根気よく調査されるといいでしょう。


【預貯金の取引履歴から調べる】

預貯金の取引記録を入手されているのであれば、念のために、入金の備考や適用欄に《配当》の記載があるかないかを確認しましょう。

配当の記載があれば、株を保有しておられたのであり、証券会社と取引していた可能性が高いです。

次に入金欄を見て、ある程度多額の入金を探してみましょう。

送金で入金されている場合、金融機関にその送金を誰がしたかを照会すれば、証券会社が判明する場合があります。


【自宅や職場の近くの証券会社を探す】

郵便物や預貯金の取引記録でも証券会社が判明しないような場合には、最後の手段として被相続人の自宅及び職場周辺の証券会社を調べるしかないでしょう。

ただ、金融機関と異なり、証券会社数は限られていますので、もし、株を保有し、あるいは国債を持っていたことが間違いないというのであれば、手間はかかりますが、被相続人が行っていた可能性のある地域の証券会社の各支店を軒並み調査する必要があるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:32 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

代表相続人が解約した預貯金【Q&A №526】

2016/08/09



【質問の要旨】

代表相続人が勝手に手続き

記載内容 代表相続人 無断 預金

【ご質問内容】

経過 :代表相続人が勝手にし処理し、既に完了との連絡が金融機関からありました

代表相続人(配偶者)と他相続人(子供2名)間で協議がまとまらない為にこのような手段を講じたようです。

要は争族中です。

質問1:代表相続人(配偶者)から連絡がない、又は他相続人が分割分を請求しても応じないで放置すると、4800万円以下の遺産が代表相続人に全て使われてもしかたないですか

質問2:相続人代表口座の内容を閲覧するにはどうすればいいですか

(kawaさん)







【代表相続人から請求があれば金融機関は預貯金全部の支払いをする】

遺産の中に預貯金がある場合、金融機関は法定相続人に対して代表相続人の選任を求めます。

あなたが、配偶者を代表相続人とする手続きには協力した(ということは、配偶者を代表相続人に選任する書面に実印を押し、かつ印鑑証明書も渡した)のであれば、金融機関としてはその代表相続人が手続きをすれば預貯金全額を代表相続人に支払います

これは法定相続人間で遺産分割協議が整っていなくても、代表相続人の書類に不備がなければ、金融機関としては支払いを拒否する理由はありません。


【連絡してこない場合には迅速に仮差押え手続きをする】

代表相続人が預貯金を全部解約した場合、その人が全部を使ってしまう、あるいは隠してしまうおそれは十分に考えられます。

連絡してこない、分配請求に応じないというであれば、使われてしまう可能性も極めて高いでしょう。

もし、そのような事態になれば、最悪の場合、あなたは1円の金銭も回収できないことになりかねないため、預金を使われないよう代表相続人の口座を仮差押し、口座を凍結してしまうことが必要です。


【代表相続人の口座内容は確認できない】

代表相続人である配偶者が生きている限り、その同意がない限り、配偶者の預貯金の口座を知ることはできません

親子であっても、金融機関から見れば他人ですので、口座内容を知ることはできません。

もし、前項に記載した仮差押えをするのであれば、一番可能性の高い金融機関を狙うか、リスクを分散する意味で数個の金融機関に分散して仮差押えをするしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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10:48 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★財産をひとりじめ【Q&A №521】

2016/07/25



【質問の要旨】

司法書士をだまして書類を作成させたが、犯罪ではないのか?

記載内容  印鑑証明 騙す 

【ご質問内容】

相続人が多数いるのに司法書士をだまして相続人全員が本人を相続人代表と同意していると偽り書類を作成させ相続人全員へ書類を送り印鑑証明を取らせ実印を押させ郵送させた

そして預貯金を自分の口座にやすやすと振り込ませ自分の物にした。

これは犯罪ではないの

(ひげ)






【犯罪とは言い切れない】

まず、警察が本件のような親族内のもめ事に立ち入ることは、よほどのことがない限り考えにくいとは思います。

ただ、本件ではそのことはさておき、本件で詐欺罪が成立するか、という観点で回答をさせていただきます。

ご質問によりますと、相続人の一人が「相続人代表者」を名乗って司法書士に依頼し、遺産分割協議書を作成してもらったようです。

たしかに、他の相続人に無断で「相続人代表」を名乗ることは決して良いことではありませんし、ご気分を害されるのもよくわかります。

しかし、実際の遺産分割手続では、遺産分割協議書を全相続人に送付しているようですので、遺産分割の内容自体は全相続人に知らされているものと思われます。

また、印鑑証明書も、偽造したわけではなく、それぞれの相続人が取り寄せたものを送っているようです。

そうしますと、全相続人が協議内容を理解した上で、それぞれの意思に基づいて押印し、印鑑証明書を渡した、という解釈も可能です。

そうすると、事案を第三者的な立場で言えば、必ずしも「騙した」とは言い切れず、詐欺罪が成立する可能性は低いように思います。


【白紙の遺産分割協議書なら無効か】

では、内容が白紙(例えば、誰が預金を相続するかが記載されていない)の遺産分割協議書を全相続人に送った場合であれば詐欺罪は成立するのでしょうか。

結論から申し上げますと、このようなケースでも詐欺罪が成立することはまずありません

それは、白紙の内容について印鑑を押すという行為自体が、分割行為を他人の自由裁量に委ねるということと同一視されるからです。

言い換えれば、他人に内容を勝手に決められるのが嫌なら印鑑を押さなければよく、白紙に印鑑を押した以上は内容に文句は言えない、という言い方もできるでしょう。

もちろん、他の相続人に対し「あなたも預金を100万円相続する分割内容にする。」と言いながら全額自分が相続してしまった場合、理屈上は詐欺になります。

ただ、これも言った言わないの世界であることが多く、その詐欺行為を立証するのはかなり難しいでしょう

(弁護士 北野英彦)
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★母の預貯金を成年後見人に取り戻してほしい【Q&A №519】

2016/07/11



【質問の要旨】

母名義の預金を成年後見人は取り戻してくれるのか

記載内容  成年後見人 不正出金 取り戻す

【ご質問内容】

アルツハイマーの母は実家で一人暮らしをしております

子供は私と姉の二人姉妹です

父(認知症)は5年前に他界いたしました

姉とはこの亡父の遺産(家屋・土地・融資産を姉が相続するという公正証書あり)のことで 私から家裁に申し立てをする関係となり 一応和解はいたしました 

現在母の介護に関することは母とは別居の姉が施設通所の手配等をやっています

ご相談したいのは 介護が始まってから 姉が母の金融資産すべてを自宅に持ち帰り管理し始めました

これまでそれらの開示を求めましたがそれには応じませんでした

姉は母から預かるように頼まれたと言います

実は 亡父の時も 公正証書を作成し 生前中に父名義の預貯金を全額おろしそれを自分名義の口座に移しておりました

恐らく 母にも同様のことをしている可能性が高いです

母に成年後見人を申し立てることを考えましたが 述べたように母名義の預貯金は前述のようになっているなら管理するものはもう0、ないという事態も十分考えられます

また、アルツハイマーの母は自分で判断は出来ません。相手の言いなりに行動します。

父の時と同様 母に姉はすべてを自分に預けることを一筆書かせているでしょう

このような状況でも母の預金を母名義に成年後見人で戻すことは可能ですか

アドバイスをよろしくお願いいたします

(林檎)







【預金の取り返しは難しい】

成年後見人は本人(お母さん)の権限のほぼすべてを代理する権限を持っていますので、理屈上はお母さん名義の預金をお姉さんから取り返す権限もあります。

たとえば借用書も整った相手から貸し金を返してもらう場合や、交通事故の加害者に対して損害賠償請求を行う、というように相手方の責任がはっきりしている場合であれば、後見人が積極的に権利を行使してお金の支払を請求するケースは確かにあります。

しかし、成年後見人があえて親族内での紛争を起こしてまで不正出金の取り返しに動き出すことはごく例外的なことであり、そうそう見ないケースです。 

というのは、お母さんが自分の意思で(意思能力を失う前に)お姉さんに預金を預けたのか、それとも無断で不正出金をしているのかは外形的にはわかりにくく、明らかな証拠をつかむのが難しいからです。


【お父さんの話は別問題】

ただ、今回はお姉さんがお父さんの相続について周到な対策を整えて遺産を独り占めした経緯があるようですので、お母さんの預金についても同様の不正出金をしている可能性が高いようです。

しかし、法律上はそれだけで不正出金があると断定できるわけではありません。あくまでお父さんの話とお母さんの問題は別物だ、ということです。

もしお姉さんの不正出金を明らかにしたいのであれば、お姉さんの預金引き出しがお母さんの意思に基づかないものであったことを確証づける証拠が必要です。

ただし、確証があっても、後見人は家庭裁判所の監督の下に動きを取るため、家庭裁判所がどのような判断をするかにより後見人の動きが変わってくる可能性があることはご理解ください。

(弁護士 北野英彦)
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10:29 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金をした兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり

2016/03/01


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。

また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか

(やまおやじ)





当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。

ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。

そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。

※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。

死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース

私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。

但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。

かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)

現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には

1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。

2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。

3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。

このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。

この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。

なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。

1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。

2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。


② 他の相続人に確認をするケース

一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。

ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース

裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。

金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです

代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です

なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。

もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。

本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。

また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。


《再質問:2》

共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》

法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です

住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。


《再質問:3》

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》

以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。

ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)
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15:28 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

叔母が、私のゆうちょ口座を調べると言っている。【Q&A №477】

2015/10/28



叔母が、母の財産のことで私のゆうちょ口座の出し入れを調べると言うのですが、勝手に私の口座の確認などできるのでしょうか?


弁護士を通すとできるのでしょうか?

記載内容 家族 口座 調査

(みち)







 他人の口座は、その本人の同意がない限り調査できない
 
あなたの預貯金がどの程度か、どのような入出金をしているかはあなた個人の重要な秘密です。

金融機関はその内容を把握していますが、これをあなたにだけ明らかにするものであって、それ以外の人に明らかにすることはできません。

もし、金融機関がそのような預貯金情報を漏らした場合、あなたとしてはその金融機関に対して損害賠償をすることができます。

従って、伯母さんがあなたの同意なしに、ゆうちょ銀行のあなたの預金の残高や取引履歴を調べることはできないということになります。

また、伯母さんが弁護士に依頼したような場合でも事情は同じです。

弁護士は、弁護士法という法律で、弁護士会を通じて金融機関等の預貯金の照会をする等の手続きを取ることができます。

しかし、仮に弁護士照会を使っても、他人であるあなたの預貯金残高や取引履歴を取ることはできませんので、安心されるといいでしょう。


【遺産調査では回答してくれるが・・】

参考までに、遺産での金融機関に対する調査のケースにも言及しておきます。

遺産の場合、死亡された方(被相続人)の預貯金についての残高や取引履歴を、その相続人が知ることは可能です。(Q&A №362参照)

これは被相続人の財産は、その死亡により(法定相続分に応じて)、相続人の財産になるからです。

この場合は、被相続人の遺産が自分のものになっているのですから、結局、自分の財産内容を調査することになり、金融機関としても照会を拒む理由がなく、照会に応じて回答してきます。

もちろん、相続人ではない人が、被相続人の預貯金の照会をした場合には、金融機関は回答を拒否することになります。

なお、裁判や強制執行等の場合には上記とは異なる対応をする場合がありますが、この点は裁判等になったときにあなたの依頼した弁護士と相談されるべきことでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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11:11 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人の金融機関に対する裁判【Q&A No.471】

2015/10/05



私は相続人の一人です。

他の相続人が、金融機関を相手に訴訟を起こして、預金を手に入れようとしています。

私も弁護士に依頼して訴訟に参加しなければ、預金を受け取れないのでしょうか?



記載内容

金融機関に対する裁判


【ご質問内容詳細】

 初めてまして。

 父が亡くなりゆうちょ銀行に父の預金があります。

 母と弟そして私が相続人ですが相続金の分配が決まり相手方(母と弟)から当事者参加申出書が届きました。

 相手方は弁護士に依頼しゆうちょ銀行を訴えるという恰好で相続金を手に入れようとしています。

 やはり私も弁護士に依頼しなければ相続金を受け取れないのでしょうか?

 独自で依頼して受け取れる方法はないのでしょうか?ほったらかしにしたらどうなるのでしょうか?

 教示お願い致します。

(positive)







【通常の場合の預貯金の分配手続き】

 遺産の中に預貯金がある場合、その支払いを受けるためには、通常の場合、

①法定相続人が誰かがわかる被相続人が出生以降の除籍や戸籍謄本を提出する。

②各金融機関の定める相続人代表者選定届けを出す(各相続人の実印を押捺し、かつ印鑑証明書の添付が必要です)。

ことが必要です。

 この場合にはその代表相続人に指定された人が代表で預貯金の払い戻しを受け、他の相続人に渡すということになります。
(ただ、この手続きは金融機関により異なりますので、予め、どのような手続きが必要かを当該金融機関に確認しておく必要があります)



【相続人が預貯金の分配のための訴訟を起こす理由】

 遺産に預貯金があった場合、各相続人がその法定相続分に応じた預貯金額を相続で取得します。

 しかし、相続人の意見が一致せず、代表相続人が決定できない場合、自分の法定相続分に応じた預貯金を払ってほしいと金融機関に申し出をしても、金融機関がこれに応じることは少ないです(金融機関の中には他の相続人に支払っていいかどうかの質問状を出し、他の相続人が同意する場合には支払ってくれるところもありますが)。

 金融機関としては、例えば《ある特定の人に預貯金を相続させる》などという遺言状があった場合、その相続人から抗議をうけることも想定しておく必要があります。

 そのため、金融機関は、各相続人に裁判をしてもらい、裁判所の判決を出してもらえば何の心配もなく支払いができるようになります。

 これが金融機関が裁判を求める理由です。

 なお、金融機関としては裁判があったことを他の相続人に知らせる手続きをとっていますが、これはその裁判での請求に異議がある人は申し出てくださいということを知たせるためです。



【あなたのとるべき対応】

 訴状のコピーなどがあなたに送付されていると思います。

 あなたとしてはその内容を確認する必要があります。

 今回は当事者参加の申し出書という書面が来たようです。

 これは請求しているお母さんや弟さんがそのような書面送付手続をしたのか、あるいは金融機関がしたのかわかりませんが、訴訟で請求されている内容に異論がないようなら、訴訟に参加するためにあなたご自身で裁判所に出頭し、異論がないことを主張されるといいでしょう

 そうすれば、裁判所としては請求の内容に従って、金融機関にお母さんと弟さんに対する支払いを命じるだけではなく、あなたの分についても支払いを命じるようにする手配をするか、和解で支払いをしてくれるような手続きをしてくれるでしょう。

 なお、請求に異論があれば早急に弁護士に相談された方が良いでしょう

(弁護士 大澤龍司)
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17:49 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親と同居していた相続人の金銭管理【Q&A №454】

2015/07/13



【質問のまとめ】

親(被相続人)と同居していた相続人(子)の財産管理がずさんだと思います。

何に使ったかわからないまま、親の「遺産は●●円です」と言われても納得がいきません。

どうしたらいいですか?



記載内容

 同居 無断 不正出金


【ご質問内容】

 相続人の1人は親と同居し金銭管理をしていました。

 管理していた年月日についても話がころころ変わります。

 「親のお金も私のお金」と言わんばかりのずさんな管理に困っています。

 「何に使ったか分からない」と言いながら「遺産は○○○円です。」では、納得できませんし遺産分割に応じられません。

 また、被相続人が死亡し、数月間の取引履歴を取り寄せた際、存命時に金融機関からの普通定期預金の引き出しが行われており、その筆跡は金銭管理の相続人、死亡後の引き出しもその相続人です。

 はっきりさせたいと思いますよろしくお願いいたします。


(さくら)







【家計収支の区分ができていない】
 同居していた相続人(特に子)の方が親の金銭管理をしている場合、家計収支を区分せず、親のお金も自分のお金もごちゃまぜにして生活費を出していたというのは、よくあるケースです。

 この場合、高額の出金かどうかで対応が異なります。

 以下、区分して回答していきます。



【高額出金の場合】

 預貯金口座からの高額の出金(その人の遺産全体の価額により異なりますが、通常、20~50万円を超すと高額となると考えていいでしょう)の場合には、親が同意をしているのかどうか、また、その使途が何かが問題になります。

 親が同意をしている場合、その使途が子のためであれば、贈与とみなすことができ、その出金額は特別受益になり、遺産に持ち戻されます

 親の同意がない場合には、子が勝手に出金したとして、親が子に対してその出金額を不当利得(あるいは不法行為)として返還請求ができることになります(口座の名義人である親の氏名を同居人である子が署名して出金しているような場合には、親の同意がない可能性が高いと考えていいでしょう)。

 このようなお父さんの持つこの返還請求権は遺産になります。

 そのため、相続人は法定相続分に応じた返還請求権を相続します。

 例えば、100万円が不正出金され、あなたの法定相続分が4分の1なら、あなたとしては出金された人に25万円を返還請求することできます。



【少額出金の場合】

 毎月、数万円程度の出金があり、それを同居者が使っていたとした場合、それは生活費の補助とされる場合も多いです。

 裁判例では10数万円でも、親から子供に対する生活費の補助だとして、特別受益が認められなかったケースがあります。



【死亡後の引き出しは遺産の出金】

 死亡した時点で、遺産は相続人に法定相続分で分割されることになります。

 金融機関が被相続人の死亡を知った場合には、その時点で口座を凍結され、出金ができなくなります。

 ただ、死亡を隠して、相続人の一人が多額の出金をした場合、他の法定相続人はその法定相続分に応じた金額の返還を請求することができます。

(弁護士 大澤龍司)
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13:53 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産を分けてほしい【Q&A №445】

2015/05/20



遺産に関して、何通か白紙の用紙に印鑑を押してしまいました。

その結果、遺産分割にまったく加わることができませんでした。

被相続人の死亡から既に6年がたっていますが、私は何か主張できますか?



記載内容

  同意していない 無断登記 無断解約 登記名義変更 手続と分割とは別 


【質問詳細】

父の遺産を母と子2人で相続しました。

母は遺産がどのくらいあったか教えてくれず、銀行預金がおろせるように何通か白紙の用紙に印鑑を押すように言われ押してしまいました。

遺言書がなく、遺産分割協議もされず、名義変更などに同意していないのに不動産も母名義に書き換えられてしまいました。

不動産の一部はすでに売却されております。

母の善意を信じて少しは分けてくれるだろうと期待していましたが、もう何も残ってないのいってんばりです。

さらに、同居している兄に現在住んでいる家、土地を生前贈与する話があるようです。

相続分を請求したいです。

私(弟)は何もできないのでしょうか?

父が亡くなってすでに6年たちますが、もう遅いでしょうか?



(ぼーっとして太郎)





【何に署名・捺印したのか】

 あなたは、お母さんの言うがままに白紙の用紙に印鑑を押したため、遺産であるお父さんの銀行預金が下ろされ、また、相続財産である不動産もお母さん名義に移転登記されたという事案です。

 遺産である預貯金の払い戻しや相続登記には印鑑証明書が必要ですので、あなたは、お母さんの持ってきた書面に実印を押され、かつ印鑑証明書も渡されたのでしょう。

 捺印した用紙が白紙であったということですが、実は登記用の委任状あるいは預貯金を引き出すための相続人代表届であった可能性も高いと思われます。




【遺産分割はまだ終わっていないと主張する】

 あなたの基本的な姿勢としては、登記や預貯金を引き出す手続きには協力したが、それは単に手続きに協力しただけであって、お母さんが遺産全部を取得することに同意する意思はなかったという点を主張されるといいでしょう。

 お母さんが代表として預貯金を解約し、あるいは相続登記をするという手続の話と、その解約した預貯金や不動産を一人占めするということとは違う話だということを理解しておくといいでしょう。




【これからの対処法】

 お父さんの死亡から6年という時間が経過しています。
 
 この6年であなたの権利が消滅するということはありませんが、時間が経過すればするほど、話がしにくくなります。

 今なら間に合います。

 あなたとしては、今、すぐにお母さんに《遺産分割が終了していないので、私の法定相続分の遺産をください》と申し出るべきでしょう。

 ただ、お母さんがすんなりとあなたの言い分を飲むとは思われません。

 そうなれば遺産分割調停等の法的な手続きを取る必要がありますし、その可能性も高いと思います。

 いずれ、法的な手続きをしなければならない可能性を考えるのであれば、早い段階で、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 また、あなたがお母さんを相手にしては言いにくいこともあるというのであれば、弁護士に事件を依頼することを考えておくべきでしょう。

大澤龍司法律事務所
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生前贈与の立証について【Q&A №429】

2015/02/16



 贈与を成立させるために振込の記録が必要で、贈与者の口座から引き落としの記録はあるが受領者側に振り込まれた記録がないと相続税の対象にされてしまうという記事を目にしますが
そもそも、だったらお金をもらってはいない
つまり、それが死ぬ10年も前のことで100万円だとしたらどうでしょう。


記載内容

  生前贈与 相続税 振込

(dronjo)





【今回の問題は相続とは直接関係ありませんが・・・】

 今回の質問は贈与の問題ですが、贈与が認められないと遺産として扱われるのかということも記載されています。

 そのような財産が遺産として扱われるのか、生前贈与とされるのかという2つの面から考えていきます。



【税務上の扱いは?】

 税務署としては、被相続人であるお父さんの口座から出金されている以上、出金分を預貯金として課税できません。

 ただ、その出金分が手元に残っているのか、誰に行ったのかを調べることになります。

 手元に残っておれば遺産として課税対象にするでしょうし、誰かがもらっておれば贈与税の課税対象にするでしょう。

 はっきりしない場合には、税務署としては、その出金がかなり以前にされた(例えば質問にあるように10年も前に出金された)のであれば、お父さんが使ったのかもしれないとしてそれ以上の追及はしないでしょう。

 しかし、つい最近ということであれば手元に残っている遺産として課税対象にするべく調査をし、税金を増やす努力するでしょう。

 それ以上の詳しい話は、専門家である税理士にお聞きになられた方がいいでしょう。




【特別受益とされるかどうか】

 次に相続 ― 法律の問題から言えば、そのようなものが特別受益かどうかという面から考えていきましょう。

 特別受益を証明するためには、ある金額が被相続人預貯金から出金されているだけでは足りず、それが被相続人以外の人に渡っていることを証明する必要があります。

 他の者に渡されているという点が証明できなければ、《贈与者が使っただけじゃないか》という可能性も否定できず、特別受益の主張は認められないことになります。

 ただ、出金が窓口で現金出金されている場合には、払戻票が作成されています。

 そのコピーを取り寄せたところ、被相続人の筆跡ではなく、法定相続人の誰かの筆跡であるとすれば、その者が特別受益を得た可能性が高くなります。

 同様に払戻伝票に被相続人の代理人として法定相続人の名前が記載されておれば、その者が被相続人に金銭を渡したということがない限り、特別受益として扱われる可能性が高くなります。

 ただ、注意するべきことは、特別受益かどうかは、払戻票の筆跡等だけで決定されるものではないということです。

 裁判になれば、その他の事情(例えば、その出金当時、法定相続人が金もないのに車を買ったとか等・・・)も考慮して判断されることだという点を理解しておくといいでしょう。

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15:32 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

大叔母から預金の引き出しを頼まれた【Q&A №427】

2015/01/26



 私の母の叔母は高齢で一人で住んでいました。

 その叔母が脳梗塞で入院しました。

 私は今叔母の面倒を見ています。

 叔母は、私に私に委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしいと言います。

 叔母の脳梗塞はさらに進んでいます。

 普通預金と定額と合わせるとかなりの額です。

 叔母に何かあった場合、相続人は高齢で意識のはっきりしていない母になります。

 私が叔母の委任状で代理人としてその貯金を受け取り、病院の支払いや、叔母の葬儀に使ってお金が残った場合、母にそのお金を返さないと税金もかかってくるでしょうし、叔母が言うように受け取るべきか迷っています。


記載内容

  代理人 財産管理 脳梗塞

(あきら)





【もらうのか、預かるのか?】

 「委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしい」とお母さんの叔母さん(あなたからすれば大叔母)が言っておられるようですが、大叔母さんは払い戻しを受けた金銭をあなたにあげる(贈与)気持ちなのか、それとも預かって欲しいというだけなのでしょうか。

 その点に関する大叔母さんの意志をはっきりと確認しておく必要があります。

 質問からははっきりとしませんので、場合分けして回答します。




【預かる場合の対処法】

 大叔母さんとしては、あなたに財産をあげるのではなく、管理してほしいということであれば、あなたは金銭の保管者になります。

 ただ、金銭についてはトラブルがつきものです。

 大叔母さんの預貯金を全部解約して、あなたの名義で預貯金するような場合には、《大叔母をだまして財産を取り込んだ》などという影口が聞こえそうです。

 法律以前の問題ですが、もしあなたの名義の預金口座を作るにしても、必要最小限の金額を移動するだけにするのがいいでしょう。

 どうしても預貯金全額を預からなければならない必要性があるというのなら、あなた自身の口座とは別に、大叔母さんから預かった分だけの独自の口座を作り、その分からは自分の用途に使わないようにする・・大叔母さんから預かった財産とあなたの独自の財産をはっきり区別する必要があります。

 なお、大叔母さんが認知症など、意思能力が乏しくて、《金銭の管理ができないような状態》だから預からなければならないというのであれば、成年後見人の選任を考えるべきでしょう。




【預かった場合の相続との関係】

 預かっている最中に、大叔母さんが死亡した場合には相続が発生します。

 その場合には、あなたが預かった金銭の残金は大叔母さんの相続人(あなたのお母さん)に渡すことになります。

 預かっているだけであれば、預かった金銭は相続人に渡すということになるだけですので、相続税の問題は発生しません。

 ただ、あなたの名義に移したということで、贈与があったのではないかと税務署から疑われることも考えておくといいでしょう。

 そのため、預かったということをはっきりとさせるために、金銭管理の方法や解約、返還等についてきっちりとした契約書を作成するとともに、あなたの分とは異なる独自の財産であるとして管理をしておく必要があります。




【もらう場合は贈与税がかかる】

 もし、大叔母さんの意志があなたにあげるというのであれば、贈与になります。

 病院の費用を支払うという負担付の贈与となりますし、更には大叔母さんの面倒を見るという負担付の贈与も考えられますので、その点についても大叔母さんの意志をはっきりと確認する必要があるでしょう。

 贈与の場合には贈与税の申告が必要ですが、法定相続人に対して金銭を渡す必要はありません。

 但し、法定相続人から遺留分減殺請求されることもありますので、ご留意ください。

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★★不正出金の全額返還を請求できるか【Q&A №423】

2015/01/16



【ご質問詳細】

 母親の死後、残された自筆遺言書を原告(長男)、被告ら(弟・妹)立会いの下、検認したところ、原告に、預貯金全額を相続させる旨が確認されました。

 原告は、母親の預貯通帳・カードを母親の近くに住む被告らに厳重保管の覚書を交わし委託しておりましたが(母親の生活費は、年金収入で賄える範囲)、被告らは母親の生前中(預貯金が下されたこの時点では、母親は痴呆も進み寝たきりで、何ら判断能力も無い)、母親が自筆遺言書を作成していたこをを知りながら、無断で、預貯金2千万円を、共謀して、カード限度一杯で、定期的に全額を引き落としておりました(銀行入出金推移表で確認済み)。

 これから、訴訟をスタートしますが、相続分である3分の1ではなく、全額を請求できる戦略・進め方のアドバイスがございましたらご伝授ください。

 なお、原告は代理人無しで、被告らは弁護士を擁立しております。


記載内容

  不正出金 全額

(moriken)





【気持ちはわかりますが・・・】

 被相続人であるお母さんが遺産である預貯金全額を長男であるあなたに相続させる内容の自筆の遺言書を作成したのに、お母さんの生前に弟や妹が無断で出金し、使ってしまったという事案です。

 あなたとしては、預貯金の引き出しがされなければ、預貯金全額を相続できたのにという気持ちでしょうし、その気持ちはよくわかります。

 ただ、法律的に考えると以下のとおりとなります。


【まず、3分の1の主張は可能です】

 あなたもわかっておられるようですが、無断で引き出し使用された預貯金額の3分の1の返還は可能です。

 念のために確認しておきましょう。

 お母さんの預貯金を弟らが無断で引き出して使用したのであれば、お母さんは弟らに対して引き出した金を返還せよという請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権)を持つことになります。

 ただ、この請求権は預貯金そのものではありませんので、単なる請求権(債権)として相続され、あなたが相続できるのは法定相続分(3分の1のようですが)だけです。

 あなたとしては、お母さんの有する前記請求権の3分の1を相続で取得したとして、無断引き出しをした弟さんらに請求することは可能です。


【あなたに対する権利侵害として、全額の返還を求めることはできない】

 ただ、あなたとしては、弟さんらが預貯金を引き出さなければ、預貯金全額を相続できるはずであったと無念に思われており、何とか預貯金額全額の請求ができないかという気持ちがあり、それが今回の質問になったものと思います。

 一つの考え方は、無断引き出しがされない場合、あなたとしては預貯金額全額を相続できたはずであるのに、弟さんらがこれを違法に侵害したので、不法行為による損害賠償請求ができないかということがあります。

 あなたが将来、遺言により預貯金全部を相続できるのに、それを侵害したので不法行為が成立するという考え方です。

 しかし、無断引き出しをされたのはお母さんであり、お母さんが権利侵害として不法行為に基づく損害賠償請求ができるのは前記のとおりであり、それとは別に、あなたが独自の権利を有しているとは考えにくいです。

 もちろん、預貯金がそのままあれば、将来あなたが預貯金を相続できるという期待を持たれたでしょうが、それは単なる《期待》にすぎず、権利とまでいえるようなものではありませんので、不法行為が成立しないと考えられます。


【法定相続人の資格を喪失させることも考えられるが・・・】

 全額取得するための方策としては、弟さんらを相続人でなくするという方向もあります。

 民法上には相続人の欠格(末記の条文をご参照ください)という制度があり、これに該当するなら弟さんらは法定相続人の資格を失います。

 しかし、相続人資格を否定するには、被相続人を殺害した、あるいは遺言を偽造したなどの極めて違法性の高い行為が裁判所で認定される必要がありますが、それは現実問題として主張立証が困難でしょう。

 よって、本件ではやはり相続分を超えて不正出金の全額返還請求をすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。


【特別受益などを主張して相続分を増やすしかない】

 結局、あなたの立場としては、弟さんらに特別受益などがあったとして、その相続取り分の減額を主張するしかないという結論になります。

 なお、裁判ですので、あなたの期待を侵害したとして全額返還を請求を(それが認められる可能性は低いにしても)主張することは自由ですし、そのような主張をしていると裁判所が3分の1以上を出さないかと和解で被告を説得するかもしれませんので、存分に自分の気持ちを訴訟に反映させられるといいでしょう。


《参考条文》
相続法 第891条 (相続人の欠格理由)
 
次に掲げる者は、相続人となることができない。
1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は 至らせようとしたために、刑に処せられた者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又 は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


大澤龍司法律事務所
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内縁の妻への受取人名義変更【Q&A №422】

2014/12/26
 


 私は半年前に亡くなった父の娘なのですが、父は4年前に私の母と離婚してから一人暮らしをしており、その頃から付き合ったり、別れたりを繰り返していた彼女がいたみたいで、喧嘩をすれば私の母(父からすると前妻)のところへ戻ったり、仲直りすれば彼女の元へ行ったりというのを続けていました。そして、父が亡くなる1年前まではまだ私の母が生命保険の受取人だったのですが、亡くなる半年前くらいから急に住所だけを変えたりしていて、亡くなってから生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。私はその彼女が受取っているのではないかと勝手に思っているのですが、それを調べることは出来ないのでしょうか?また、もしも、その彼女が受取人になっていた場合訴えることは出来ないのでしょうか?

 葬式代も喪主も私がやりました。父が一人暮らししていた家の片付けも私と私の母がしました。その彼女は父が亡くなってから一切連絡はなく葬式にも参加していないし、お骨にさえ手を合わせておりません。本当に父は一人が嫌な人だったのでいつも彼女の言いなりのような状態でした。そんな彼女に生命保険を渡したくありません。
 何か方法はないのでしょうか?


記載内容

  内縁 生命保険 無断 変更

(みるく)


【法定相続人なら生命保険の調査は可能】
 あなたは法定相続人ですので、被相続人であるお父さんの契約していた生命保険の調査は可能です。
 ただ、あなたの質問には「生命保険会社に電話したところ、父の生命保険は有効ではないとだけ言われました。」「何度聞いても受取人などは教えてもらえませんでした。」と記載されています。
 電話だから教えてくれないというのかもしれません。
 あなたとしては、相続人であることを証明するあなたの戸籍謄本やお父さんの除籍謄本を用意し、文書で申し入れをしたとしても、回答してくれないのかどうかを、保険会社に再度、確認するといいでしょう。
 それでも回答してくれないというのなら、保険会社側に開示できない、何らかの事情があると思われますので、弁護士に生命保険の内容を調査するように依頼するといいでしょう。
 ある程度、弁護士費用が掛かりますが、弁護士に依頼すれば、お父さんの生命保険があるのかどうか、その受取人がどのように変遷したのか、又、保険会社が無効という内容など、プロである弁護士が保険会社に照会をし、確認をしてくれるでしょう。

【彼女を訴えることができるかはお父さんの意思能力次第】
 保険契約の受取人を契約者の意思で変更することは可能です。
 変更当時、お父さんが正常な判断能力(意思能力)をもっており、受取人を彼女に変更したのであれば、なんら法的に問題はなく、彼女を訴えることはできません。
 逆に、お父さんに正常な判断能力がなかったのであれば、受取人の変更の意思表示は効力がありません。
 そのため、変更前の受取人であったお母さんから彼女に対し、受け取った生命保険金の返還請求訴訟ができます。
 正常な判断能力があったかどうかについては、お父さんが生前に通っていた病院のカルテや介護施設の記録などを取寄せて判断することになります(相続Q&A №347、「【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)が、訴訟なしで解決するような問題ではないと思いますし、カルテ等の判断にも専門的な知識が必要になります。
 相続に詳しい弁護士に調査を依頼し、必要に応じてその後の手続きも依頼するといいでしょう。

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相続した株式の扱い【Q&A №418】

2014/12/11



①非上場の株を親から相続しようとしたら3人相続人がいて、話し合いがまとまりません。
 この場合、その株はどうなるのでしょうか?
②その後、遺言書がでてきて、私に株を相続させる、文面で、遺言執行人もわたしでした。
 この場合、他の相続人の同意なしで、名義変更できますか?


記載内容

  株式 共有 総会に出席

(sasa)


【相続した遺産の扱いは、遺産の内容により異なる】
 被相続人が死亡した場合、遺産が各相続人にどのような形で移動するのかは、遺産の内容により異なります。
 預貯金であれば、その法定相続分に応じて直ちに分割され、各相続人が、金融機関に単独で請求することができます(但し、金融機関がすぐに支払いをするわけではありません。⇒相続Q&A №148を参照)。
 これに対して、土地の場合には、相続した土地を、法定相続人がその相続分で共有することになります。

【株式の場合には不動産のような扱い‐準共有になる】
 株式については、預貯金のような当然に分割されるのではなく、土地と同じように、全部の株式を相続人が相続分に応じて共有するという形になります。
 なお、このような共有状態を、不動産であれば共有といいますが、株式の場合には権利ですので、「準」共有(⇒民法第264条参照)と言います。

【株式の権利行使は民法の共有の規定に基づき行う】
 準共有状態にある権利である株式について、どのようにして権利行使するかという点が問題になりますが、これについては、共有の場合の権利行使の条文(民法第251条、第252条、第264条、会社法106条を末尾に記載しておりますので、ご参照ください)に基づき決定されます。
 株主総会に出席はするには多数決で出席者を決定することが必要です。
 株式を売却することは処分に該当しますので、全相続人の同意が必要です。

【遺言書が出てきた場合の扱い】
 今回の質問では、遺言書が出てきており、あなたが遺言執行者ということですので、あなたが遺言に基づき単独で権利行使ができることになります。
 なお、公正証書遺言であれば、直ちに執行可能ですが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に遺言検認(⇒相続Q&A №121を参照)の手続きをする必要がありますので、この点はご注意ください。


民法
第251条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)
 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
第264条(準共有)
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りではない。

会社法
第106条(共有者による権利の行使)
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。

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遺産の内容を調べたい【Q&A №417】

2014/12/09



 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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★★生前の預金の使い込みは、隠した者勝ちなのか?【Q&A №395】

2014/08/12
  昨年母が亡くなりました。

 父は10年前に亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。

 母の相続に際し、同居していた弟が母の預貯金を勝手に引出していたことが預金履歴の調査で判明しました。

 母は10年前から介護老人保健施設に通入所しており、亡くなる4年ほど前には胃瘻を施し、痴呆も進んでおりました。

 元々生活が質素だったこともあり、施設の費用を含め、生活費は年金で充分賄えていたはずですが、10年間で預金が1500万目減りしていました。

 銀行の取引履歴は全て入手しており、預金の引出しはATMではなく窓口で行われているので、銀行に照会すれば弟またはその嫁が引き出したことは明らかになります。

 調停や訴訟は不可避と考え弁護士に相談していますが、弁護士からは、「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね、、」と言われ落胆しました。

 引出伝票などで弟が預金の引出しをしたことが明らかになっても、使い込みの充分な証拠にはならないのでしょうか?

 ご教示ください。

記載内容

不正出金 使い込み 隠す
(なお)





【そんな弁護士いるんですね・・】

 相談した弁護士が「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね」と言われたとのこと。

 あなたががっかりと落胆する気持ち、よくわかります。

 難しい面があるのは事実ですが、そこを何とかするのが弁護士なのに・・というのが私の率直な気持ちです。



【出金伝票を確認する】

 まず、《誰が引き出したのか》という点が問題になります。

 カードではなく、窓口で引き出したようですので、金融機関に払い戻し伝票のコピーをもらうといいでしょう。

 過去10年間という長い期間にわたる預金の引き出しの場合、私が経験したケースでは、当初はお母さんが引き出していたが、途中から弟さんが代理人として、その後、弟さんがお母さんの署名を偽造して引き出していました。

 もし、伝票の筆跡が弟さんであれば、弟さんが引き出したことになり、その分を不当利得あるいは不法行為を理由として、返還請求損害賠償請求するといいでしょう(当事務所の扱った事件で返還を認めさせたケースは多数あります)。

 次に、弟さんが代理人として引き出した場合にも、お母さんに渡したことが立証できない限り、弟さんが使いこんだという前提で対応するといいでしょう。

 ただ、お母さんの筆跡であるとすると、その分は、お母さんが引き出したということになり、弟さんがお母さんから生前贈与してもらったというような証拠を探す必要があります。

 なお、お母さんが多額の金銭を必要としないような場合、その引き出した金銭は手元現金として残っているはずです。

 その点も訴訟になった場合の争点になります。

 いずれにせよ、まず、出金伝票を取り寄せ、その内容を検討することが第一の作業です。



【使途は何かを確認する】

 次に、《出金したお金を何に使ったのか》という点が問題になります。

 既に死亡しているお母さんから使途を聞くことはできませんので、何に使ったかは弟さんから聞くことになります。

 お母さんが多額の出金をして、弟さんに生前贈与されている場合も多いでしょう。

 もし、生前贈与ならその分を遺産に持ち戻して、遺産分割計算されることになります。

 ただ、同居している弟さんの生活費に使われたというのなら、親子間の扶養義務の履行として、その生活費として支出された分は生前贈与とみなされない可能性があります。




【財産が残っているのかどうかも要確認事項です】

 いずれにせよ、この種の案件は訴訟まで行くことも想定しておいた方がいいでしょう。

 なお、最初から《弱気で逃げを打つ》ようであれば、弁護士を替えることも考えるといいでしょう。

 なお、遺産がほとんどのこっておらず、また、弟さんも財産を持っていないような場合、裁判に勝っても、結局は回収できない場合もあります。

 回収の可能性があるのかどうか、この点も弁護士と相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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15:40 遺産分割 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

息子名義の借名預金という言いがかりと名誉毀損【Q&A №388】

2014/06/17
 おじいちゃんが亡くなり、面倒を見ていた父が遺産相続をすることになったのですが、父の弟が、きっちり半額相続するだけでなく、父名義の口座も、実はおじいちゃんの口座で借名口座だから、その口座のお金も半額払えと言っています。
 もちろんそれは叔父の妄想?お金が欲しいだけ?の言いがかりです。
 叔父は裁判を起こすと言っています。
 父は何も後ろめたい事はないのですが、法律系のテレビ番組で弁護士の意見がわれることがあるので、もし、裁判で負けてしまったらこれから老後の蓄えが減ってしまうと心配しています。
 私は父が一生懸命働いて貯めたお金を、叔父の嘘で取られてしまうのはかわいそうすぎてなんとかしてあげたいです。
 裁判でどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
 また、言いがかりに対しての労力や経費を、名誉毀損で叔父を訴えて、取り返すことはできるのでしょうか?

記載内容

借名預金の立証方法 名誉毀損 元手
(かっぱ)


【預金原資を誰が出したのかが最重要】
 このブログでも何度か取り上げておりますが(Q&A №358Q&A №300Q&A №274ほか参照)、以前には家族など他人の名義で預金を作る《借名預金》または《借名口座》が多数存在した時期がありました。
 その結果、預金口座を実際に動かしていた人物と名義人との間にずれが生じ、裁判で争われたケースは少なくありません。
① このような裁判で一番重視されるのは、「誰がその預金の元手となる金銭を出したのか」という点です。
 当時の被相続人(お祖父さん)と口座名義人であるお父さんの収入状況を確認し、その預金がお父さんが出したものであるという証拠を集めておく必要があるでしょう。
② 次に、預貯金通帳とその取引印を誰が保管していたのかも重要な点になります。
 もし、あなたのお父さんがその預金の原資を出しており、かつ、預貯金通帳と印鑑も持っておられたというのなら、お父さんの口座と認定され、訴訟を起こされても負けることはないでしょう。

【裁判は証明責任を負う方が証明する必要がある】
 裁判には証明責任というものがあります。
 証明責任を負う者が証明できない場合、その人の主張は認められません。
 言い換えれば、証明責任を負う者がその主張する事実を証明できない場合、その人が敗訴するということになります。
 今回の質問の場合、口座名義人がお父さんですので、それが被相続人であるお祖父さんのものであることを主張するなら、叔父さん(お父さんの弟)が、前項の①の預貯金の元手を出したのはお祖父さんであることや、②の通帳や印鑑の管理などはお祖父さんがしていたことなどを証明する必要があり、それができなければ、叔父さんが訴訟を起こしても敗訴することになります。

【名誉棄損の損害賠償は難しい】
 名誉棄損で叔父さんに損害賠償をしたいということですが、難しいです。
 預金が誰の財産であるかについて、法定相続人である叔父さんがその見解を主張することはなんら違法行為ではありません。
 結果として裁判で叔父さんの主張が通らなかったとしても、その主張を展開したことが不法行為であるとして損害賠償義務を負うことは考えにくいです。
 その理由は、まったく関係のない第三者の名義ならともかく、前述の通り以前は借名預金が多数存在しましたので、そのような借名預金の一つではないか、と疑ってかかることも(たとえ結果的にはなんら根拠のない主張であったとしても)違法行為とまでは言えず、損害賠償の請求をすることは困難であるからです。
 参考まで言えば、名誉毀損行為とは、「あの男は父親の財産を横取りした犯罪者だ」などと町中に張り紙をしたり、新聞や雑誌で報道したりするなど(現代ならインターネットで書き立てることもこれに該当するケースがあるでしょう)、お父さんに対する社会的評価(世間の評価)を低下させる発言を(基本的には第三者に対して)行うことであり、今回の相続の当事者間で遺産に対する評価を主張し合うこと自体は、なんら名誉毀損とは言えないでしょう。
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嫁入り道具と持参金の扱い【Q&A №377】

2014/05/28
 父の遺言書で不動産祖先祭祀は兄、預貯金は母、株は母と私と指定されていました。
 兄の引き継ぐ不動産の維持管理費を 請求してきましたので、不動産を相続してた者が支払うものでしょうと言って、拒否しました。兄の言い分は売ることもできない不動産の管理をおれにさせるのかというものです。
 母が半年前に他界して、遺産相続協議書を作りました。その中に「この協議書に記載されていない財産、および、知られざる遺産(積極財産、消極財産とも)は、すべて兄が取得または承継する。」という一項ががあるから、母が相続するように書かれているものはすべて兄が相続する権利があると言ってきました。
 また、嫁入り道具にかかった費用を計算に入れると言っています。兄も、多額の結納金を親から出してもらっているし、家を建てたときにもお金をたくさんもらっています。しかし、そのようなものは一切もらっていないと言い切ります。
 母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか。嫁入り道具はどのように考えるべきでしょうか。計算の仕方を教えてほしいです。母はメモを残している可能性があります。持参金と嫁入り道具では考え方が異なりますか。

記載内容

嫁入り道具 持参金 遺産分割協議 死亡した人に遺贈する遺言の効力
(みつこ)


【まず、母が死亡し、その後、父が死亡したと理解しての回答】
 質問ではお母さんとお父さんのどちらが先に死亡したのかが明らかではありません。
 ただ、質問中に「母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか」とあり、この「今回の件」とはお父さんの死亡ということだと理解すると、経過としては次のとおりになると思います。
  お父さんの遺言書作成⇒お母さんの死亡⇒お父さんの死亡
この前提で、以下のとおり回答します。

【遺産分割協議書はその被相続人の遺産について効力を有する】
 お母さんの遺産分割協議は、お父さんとあなた、お兄さんの3人(と思われる)で作成されているはずです。
 ただ、遺産分割協議は、被相続人であるお母さんの遺産について効力を有します。
 お母さんの分割協議の段階ではお父さんは死亡していないのですから、お父さんの遺言書に「預貯金は母」、「株は母と私」と記載されていても、遺産分割協議の時点ではお父さんの預貯金や株は、お母さんの遺産ではありません。
 従って、お父さんの保有している預貯金や株がお母さんの遺産分割の対象となることはありません。

【死亡した人に対する遺言は無効】
 お父さんの遺言書に記載されていた「預貯金は母」等の記載は、その遺言書が効果を発揮する(お父さんが死亡した)時点では、既にお母さんが死亡していましたので、上記遺言書の部分は効力を失っており、お母さんのものになることはありません。
 そのため、お母さんの遺産分割協議書に「この協議書に記載されていない財産・・は、すべて兄が取得または承継する」との条項があったとしても、お兄さんのもらう分が増加することはありません。

【嫁入り道具と結納金、建築代金の補助】
 嫁入り道具については特別受益になるとの考えもあります。
 しかし、一方ではお兄さんも結納金を出してもらっているのが普通です。
 調停などの実務の扱いでは《痛み分け》ということで双方の主張を相殺する、あるいは主張を双方が撤回するという扱いをすることも多いです。
 もちろん、嫁入道具額と結納金のどちらかがあまりにも多額であり、差額が大きすぎる場合には、相続人間の公平を考慮して特別受益とされる場合もありえますが、その場合には差額が多額であるという点を証明する必要があるでしょう。

【お母さんが残したメモの効力】
 お母さんが残しているとされる(おそらく持参品に関する)メモがある可能性があるようです。
 ただ、私(大澤)が経験したケースでは、持参品を毛筆で記載した巻物風の目録が提出されたケースがありましたが、この場合も、結婚式費用や結納金、嫁入り持参道具などを考えて、双方が互いに特別受益の主張を撤回するということで最終解決をしました。
 兄弟姉妹間で極端な差額がない限り、一方の分だけを特別受益にすることにはならないと考えていいでしょう。

【嫁入り道具等の計算のしかた】
 嫁入り道具については、そのもらった当時の時価を前提に金額に換算して計算します。
 持参金はその金額でカウントしますし、結納金を出してもらった時もその金額で計算します。
 ただ、繰り返しになりますが、嫁入り道具や持参金が莫大な金額というのではない限り、特別受益としては扱われない可能性も高いです。
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10:01 生前贈与・特別受益 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

分割割合が書かれていない遺言【Q&A №373】

2014/05/08
  母が亡くなりました。遺言書に私と妹で分ける様に書いてあります。姉妹二人とも同居していません。介護はふたりでやりました。不動産は妹が相続します。妹は維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しいといいます。比率はどの様に考えたらいいですか?

記載内容

割合 預金 共有
(みくに)


【2分の1ずつ分割相続すると考えられます】
 遺言書には、分割する財産とその分割割合(例えば、不動産全部を妹さんに、その他の財産はあなたと妹とで2分の1ずつ、というような)を書くことが望ましいです。
 ただ今回のように、分割割合を書いていない遺言がすべて無効かというと、そうとも限りません。
 遺言者であるお母さんの意思を推測して、有効な遺言とすることもできます。
 今回の遺言書の記載文言がわからないのですが、たとえば、《不動産は妹さんに、残りの財産は2人に相続させる》というような内容であれば、他に2人の間で相続分が異なると記載されていない限りは、不動産以外は同じ割合で分割すると考えていいでしょう。
 なお、《不動産は妹さんに》とだけ書かれてあり《残りは2人に相続させる》という条項がない場合でも、残りの財産については、法定相続分で分割するのですから、相続人があなたと妹さんだけだとすると、結局半分ずつであり、上記と同じ結論になります。

【遺言書と異なる内容の遺産分割協議も可能です】
 妹さんが《(不動産の)維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しい》と言っておられるようですが、あなたが妹さんの申し出を受けて、そのような内容の遺産分割協議書を作成することも可能です。
 法定相続人全員が同意すると、遺言書の記載内容と異なっても有効であり、遺言書より遺産分割協議の内容が優先します。
 ただ、妹さんは不動産という財産をもらっているのだから、預貯金は少なくてもいいよ、というのが普通のように思います。
 そのため、あなたとしては、《あなたは不動産をもらっているのだから、維持管理費用は自分で出してください。預貯金は遺言どおりに半分ずつにしましょう》と言って、妹さんの申し出を断り、残りの遺産を半分ずつ分けることを考えてもいいでしょう。
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13:04 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割後の情報開示はできないのか【Q&A №344】

2014/02/13
 父が亡くなり遺産分割は終了したのですが、ここに来て被相続人が2つの銀行に預
金を持っており1つの銀行の預金を隠して遺産分割を終了した事がほぼ明るみになり
ました。

平成21年1月22日の最高裁判例では、遺産分割協議前の被相続人の預金開示は相続人1
人でも開示可能との判例が出されたようですが、遺産分割後では被相続人から権利が
移行しているのを理由に銀行は被相続人の預金開示を拒んでいます。

これからどのような戦いをしていけばよいのでしょうか?
遺産分割の無効を訴えて行けばおいのでしょうか?
御教授願います。

記載内容

名義変更 預金 情報開示 照会
(キューブ)


【取引履歴の開示は相続人一人でも請求できるのが判例だが・・】
 質問に引用されている判例(最高裁判決平成21年1月22日)により、相続人であれば、他の相続人の同意なしに預貯金口座の内容(履歴等)の開示を請求することができ、金融機関はこれを拒むことはできません。

【遺産分割後は事情が違う?・・・他の相続人が預貯金を取得する場合】
 ところが質問では、遺産分割が終了しているようであり、そのことを理由に金融機関があなたに対する履歴の開示を拒否しているようです。
 金融機関の立場に立ってどのような拒否理由があるかを考えてみましょう。
 まず、遺産分割協議により、開示を請求している預貯金口座があなた以外(たとえばAさん)が取得すると合意される場合があります。
 この場合にはその預金は既に被相続人のものではなく、Aさんという人の口座ともいうべきもの(要するに他人の口座)ですから、金融機関としては、その口座の履歴の開示を拒否することもできるという判断も可能かもしれません。

【遺産分割の対象となっていない預貯金は被相続人のもので開示が必要である】
 しかし、質問では遺産分割の対象となっていない預貯金の開示を拒否しているようです。
 被相続人の預貯金で遺産分割の対象となっていないのであれば、現在も被相続人のものですので、金融機関としては開示を拒否する理由はないと考えられます。
 あなたとしては、この点を根拠に金融機関に開示を請求するといいでしょう。

【それでも金融機関が開示に応じない場合には】
 あなたが頑張っても金融機関が開示に応じない場合には、一度、弁護士に相談されるといいでしょう。
 弁護士は弁護士会を通じて金融機関に照会をかけることができます。
 この照会は弁護士法という法律に基づく照会ですし、弁護士会から照会の書面が行きますので、金融機関が回答をする可能性もあると思います。
 なお、それでも、開示を渋るようであれば、弁護士が直接金融機関と交渉して、開示させるように働きかけることもできます(前記判例が出る前には当事務所でも、直接金融機関に開示するように説得し、これに応じて開示された場合もあります)。
 それでも開示しない場合には、弁護士から《開示しないと損害賠償請求をする》との内容証明を金融機関に出すという手も考えられます。
 遺産分割無効訴訟をするというのは最後の手段になりますが、無効を主張できるだけの根拠があるかどうか、弁護士と協議が必要でしょう。
 いずれにせよ、あなたとしてはできるだけの努力をし、その後は弁護士と相談して、対策を考えられるといいでしょう。
 なお、同種の問題を当ブログ、Q&A №342【遺産相続後のトラブル】でも取り上げていますので、ご参照ください。
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調停で不正出金を取り戻せるか【Q&A №339】

2014/01/14
 相手方に遺産分割協議を拒否されていて、不動産と預金の分割ができていません。
 なおかつ、預金を全部勝手におろされてしまいました。
 不当利益返還請求で提訴しようと思ってます。

 この場合、遺産分割調停と不当利益返還請求訴訟どちらを先にするべきでしょうか?

 よろしくお願いします。

記載内容

不正出金 調停と裁判
(柴犬の飼い主)


【実務家も常に悩むところです】
 ご質問は、非常に実務的な問題であり、法律の専門家である弁護士であってもそれぞれの事案で常に悩む難しい問題です。
 本来、このような問題はその事件でどのような資料がそろっており、どの程度の勝訴あるいは調停成立の見込みがあるのかによって判断が変わりますので、本ブログのような簡単な質問で正確な回答をすることはきわめて難しいです。
 ただ、いくつか参考になりそうなケースを紹介しておきます。

【調停に向く事件、裁判に向く事件】
 調停は相手方の同意があった場合に成立します。反面、相手方が同意すれば立証は不要です。
 裁判は相手方の同意は不要ですが、自分の主張を証明する必要があります。

【こちらの主張に相手方が同意しそうにない場合は基本的に裁判】
 あなたの主張に相手方が同意する可能性がない場合には、調停をするのは時間も無駄であり、当初から裁判で行くしかないでしょう。
 しかし、不当利得を主張するのなら、裁判ではあなたは次の事実を証明する必要があります。
① 遺産である預貯金が引き出されている事実
② その引き出した預貯金額を相手方が自分のものにした事実
を証明する必要があります。
 この証明ができないと敗訴する可能性があります。
 ただ、裁判の場合、裁判所を通じて関係証拠を集めるような方法を取ることも可能です。

【相手方が同意をする可能性がある場合は調停】
 調停は互いの譲歩で成立するものです。
 相手方が同意する可能性があり、あなたとしてもある程度の譲歩をしてもよいというのであれば、不動産の分割を含めて、全体として遺産分割の話を調停でまとめてもいいでしょう。

【どちらか、決めかねるときはまず調停を考える】
 預貯金の不正引き出しについては裁判が可能ですが、不動産については調停で遺産分割するしかありません。
 そのため、裁判か調停かを決めかねるときは、まず、調停を出す方法があります。
 この場合、預貯金の引き出しについては話がまとまらなかったが、不動産の分割だけでも先にまとまる可能性もないわけではありません。
 そのため、まず、調停で様子を見て、相手方の態度が強硬であれば調停は不動産に限定し、預貯金の引き出しは調停から外して、訴訟をするということがいいでしょう。
 この場合、調停と訴訟が同時進行で進むことになります。

【やはりケースごとの判断が必要】
 以上、いくつか考え方の参考になりそうなケースを挙げてみました。
 ただ、このような実務的な問題はやはりケースごとに判断せざるを得ないところがあります。
 今回のような状況であれば、具体的な事案を確認した上で、証明の可能性の検討も必要になりますので、ぜひお近くの相続に詳しい弁護士に相談されるとよいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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14:56 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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