"金融機関"に関連する記事一覧
 | HOME | Prev »

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
18:01 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案【コラム】

2017/03/07
相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案


【配偶者に対する新優遇案が出されました】

現在の相続制度の見直しがされており、法制審議会の相続部会で審議されています。

平成29年2月28日、法務省から新たな案が出されました。

その内容は配偶者を相続上、現在より優遇しようというものです。

具体的に言うと、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦間で

②居住用の建物や土地を

③生前贈与や遺言遺贈を受けた場合

これらの贈与や遺贈の対象の不動産を遺産の計算に含まないというものです。

贈与者あるいは遺言者としても、このような贈与等は、遺産の計算に持ち戻さない(含めない)という意思があるだろう点を根拠にする提案です。


【現在の相続制度との比較】

現在の相続制度では、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた配偶者が、これからもその家で暮らしていくために家を相続した結果、他の遺産をまったく相続できないというケースがありました。

また、自宅以外の他の財産が少ない場合には、家を相続したことによる代償金という形で、他の相続人にお金を支払う必要があるというケースもありました。

これに対して、今回の新優遇案では、自宅の贈与等を受けていても、配偶者は自宅を取得分とカウントされずに、別途、他の遺産についても自分の相続分に応じた遺産をもらえることになります。


【弁護士コメント】

残された配偶者優遇策としては法定相続分を上げるということも考えられますが、反対が多いようです。

そのため、居住用不動産に限定して配偶者を優遇しようとする考えがだされています。

たとえば、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、

①遺産分割により当該建物の帰属が確定するまでの間、その建物を無償で使用することができ、その間の使用料は遺産分割で取得すべき財産額に算入しないとする案や、

②終身又は一定期間、配偶者にその建物の使用を認め、長期居住権の財産的価値相当額を相続したものとして扱う(建物の所有権額よりは低額になる)という案もあります。

それらに比較すると、今回の新提案はこれらより一歩踏み込んで、残存配偶者が財産を多く取得できる方向での提案です。

ただ、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦に限っていること

②被相続人から贈与や遺贈という積極的な行為が必要である

などの要件が必要とされています。

上記の要件が必要とされている点では、他の案よりもハードルが高くなっていますが、逆に、生前贈与や遺贈があれば、その額を遺産の計算に持戻すことなく、家の所有権を取得できるというのは、配偶者の優遇策として進んでいるといえるでしょう。

多数の賛成者があるようですので、今回の提案が立法化される可能性も高いかもしれません。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:20 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

葬式費用の負担者と香典の取得者【Q&A №560】

2017/02/16


【質問の要旨】

父の葬儀の喪主が叔父、葬儀費用は遺産から払ったが、香典は誰が受け取る?

記載内容 香典 葬式費用 喪主

【ご質問内容】

母とは離婚、片親だった父がなくなり、葬式をあげる事になりました。

24歳の姉と21歳の私(2人姉妹)は知識も、まとまったお金も無いからと、何も費用などの相談も無いまま父の弟である叔父が喪主を務め、葬式費用も返してくれればいいからと立て替えてくれました。

後日かかった費用の領収書を受け取り、返すように言われ葬式費用は遺産から返したのですが、この場合香典は誰が受け取るべきですか

実際に喪主を務めた叔父が香典を受け取るとしたら、父の葬式なので葬式費用は私と姉で叔父に返すべきなのですか?

(麗華)





【葬儀費用は喪主が負担する】

葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません。

そのため、当然に遺産から支払われるべきものではなく、喪主が負担するものです。

したがって、今回叔父さんが喪主を務めてくれたのであれば、本来は叔父さんが費用を負担するべきだということになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

今回の事案とよく似た裁判例として、次の裁判例があります。

【相続判例散策】兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従うと、やはり叔父さんが支払った葬儀費用をあなた方に請求することはできないという結論になりそうです。


【香典は葬儀費用を負担した者が取得する】

ただ、本件では、あなた方に代わって叔父さんに喪主を務めていただき、葬儀費用を支払うことについてあなた方が納得して遺産から葬儀費用を支払ったようです。

このとき、香典は誰が受け取るべきなのかが問題になりますが、香典には葬儀費用等の出費に対して金銭面で助けるという意味もありますので、本来香典は葬儀費用を負担した者が取得するべきだといえるでしょう。

本件において、あなた方が遺産から葬儀費用を支払ったのであれば、香典収入は叔父さんに渡すのではなく、遺産に含めるべきだと考えられます。


【本件ではどうする?】

そのため、今回の質問のケースでは、本来は、あなた方は叔父さんに葬儀費用を支払う必要はありませんでした

ただ、既に葬儀費用を支払った(もらった遺産からその分を返した)というのなら、葬儀費用の返還をしてもらっても良いということになります。

しかし、現実問題としてはそのような要求を出しても、応じてくれないでしょうから、せめて、香典は引渡すように請求されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:41 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

参加していない遺産分割協議の効力【Q&A №557】

2017/01/30


【質問の要旨】

自分が未成年のころに父の相続財産を母が受け取っていた分を返してほしい

記載内容 未成年 特別代理人 利害が相反

【ご質問内容】

亡母の遺品の整理中に20年前に他界した父の遺産協議書が出てきました。

当時私は18才で相続協議には参加出来ず、相続物は(今回の売地とは別の)家族共有名義の土地があるとだけ聞いていました。

しかし協議書には「○○の土地を売却し、母兄私で分配する」とあります。

さらに土地売買の受領書もあり私分のお金は母が受け取り、署名欄には「親権者として」と記載があります。兄の分は、兄本人が受け取っていました。

以上のことから母の遺産相続を行う前に、私の未受け取り分を受け取りたいことを主張しましたが兄は拒否。

分配してほしければ母から受け取っていない証拠として、母の全ての金融機関の20年分の入出金履歴を出せと言います。

私は銀行に開示を求めましたが履歴は10年しか出せないと言われ、兄の要求は最初から現実不可能です。

説明責任を果たさずにおいて、履歴が出せない状態になってから、それを用意してみろ等と酷い話です。

分割協議書にはおかしい部分もあります。

私が見たことも聞いたことも無かった分割協議書の相続人署名欄に私の署名がしてあるのです。

『未成年の為、母親が代理人として署名』と書いてあるのですが、相続では利益の相反する間柄では親であっても代理人にない筈です

金融機関に過去の履歴を出してもらう手段とか、よい手だてはありませんでしょうか。

(DD)






【特別代理人が必要でした】

質問にも記載されているように、お父さんの遺産分割では、お母さんと子であるあなたとは利害が対立(お母さんが遺産を多くもらえば、その分あなたの取り分が減る)します。

お母さんには未成年であるあなたの親権者として法定代理権がありますが、このような利益相反がある場合、お母さんはあなたを代理できず、家庭裁判所が選任した特別代理人があなたに変わって遺産分割協議に署名捺印をする必要があります。

そのため、この遺産分割協議書は効力がありません


【母の受け取った土地代金はどうなるか?】

遺産であった土地は既に売却され、お母さんがあなたの代理人として受領していたのなら、あなたはお母さんに分配金返還請求権を持つことになります。

お母さんの負うこの返還債務は、お母さんの死亡による相続で、その相続人であるお兄さんとあなたが2分の1の割合で負担しますので、あなたはお兄さんに分配金の半額を請求できることになります。


【分配金返還請求は消滅時効の問題がある】

ところが、この分配金請求権は、法律的に正確に言うと、お母さんが権限もなく、又、遺産分割もできていないのに、あなたの法定相続分を勝手に売買したという不法行為に基づく損害賠償請求権ということになります。

この不法行為の請求権は、その不法行為が生じた時点から最長で20年間、これを行使しないと時効で消滅します。

今回は約20年前の遺産分割協議であるため間に合うか微妙なところですが、早急に内容証明郵便でお兄さんに分配金を請求し、請求を行った確たる証拠を残しておき、早急に、弁護士に訴訟等の手配をすることも考えるといいでしょう。


【もらっていないことを証明する必要はありません】

お母さんが土地を売却し、その売買代金を受け取っていることがお母さんの受領書で証明できるのであれば、今度はお母さん(その債務の半分を受け継いだお兄さん)側でその代金をあなたに支払ったことを証明する責任があります

いずれにせよ、時効の期間の問題もありますので、早期に弁護士と相談され、どのような措置を取るべきかどうかを検討されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:32 遺産分割 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

亡父が連帯保証した姉の住宅ローンの相続【Q&A №551】

2016/12/21



【質問の要旨】

姉の家の住宅ローンを父が連帯、相続で自分も負担するのは納得できない

記載内容 住宅ローン 連帯保証 

【ご質問内容】

姉が結婚したとき二世帯住宅に建て替えました

土地・建物は姉の名義です(母が亡くなり名義変更/父婿養子)。

住宅ローンは姉が組みましたが父も連帯になっていました

相続になりその負債が1200万あり父の分が600万で相続人で割ると私の負担が300万と言われました。

今まで父は月々5万と年2回:各11万(ローン半額)支払ってました。

家は全て姉の物になり負債だけ私が負担するのは納得できません

父が支払っていた分、特別利益とかにはなりませんか。

(チョコ)







【ローン債務の承継】

被相続人であるお父さんの住宅ローン残債務が600万円あり、お姉さんとあなたのみが法定相続人であれば、あなたは300万円の債務を負担することになり、その点ではお姉さんの話は間違っておりません。

ただ、住宅ローンについては、債務者が死亡した場合には保険会社から残額を一括支払いするという保険に入っていることが多いです。

そのため、念のために金融機関に債務残高及び保険の有無等を確認することをお勧めします。


【建物資金の半額を出した点が特別受益になります】

質問を整理します。

お母さんが土地を持っていたが、これはお姉さんが相続した。

その後、お父さんが死亡した。

上記土地の上にお姉さんが単独名義の建物を建築したが、住宅ローンについては半額がお父さんであり、ローンの支払いが未了である。

以上の前提で回答を記載していきます。

お父さんは住宅ローンでお金を借りましたが、そのお金はお姉さんの単独名義の家の建築資金になっています。

そのため、その借入額が、生計の資本としてのお姉さんへの贈与と考えられ、この生前贈与額は特別受益になります。


【特別受益とした後の遺産分割】

特別受益になるお姉さんの生前贈与を受けた額については、遺産に持ち戻します。

そのため、お父さんの遺産は、《生前受益分+死亡時の財産》の合計額になります。

この額を前提に法定相続分で各人の取り分を計算し、もし、お姉さんの生前贈与額がこの各人取り分を超えている場合には、死亡時にあった遺産はすべてあなたが相続するということになります。

(当ブログQ&A №506などもご参照ください。)

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:00 相続債務 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★名義貸し預金の調査はできるか【Q&A №548】

2016/12/13



【質問の要旨】

名義貸しの預金は誰のものか

記載内容 名義貸し 借名預金 履歴

【ご質問内容】

母が子や孫の名前で定額貯金をし、満期が来たのでそれぞれの名義の者が勝手に払い戻してしまいました。

母は名義を借りていただけだとメモで残していたので、母の死後、相続人同士で話し合って等分に分けることになったのですが金額もバラバラのようだし、ウヤムヤにしたいようです。

母の預金の履歴を調べる方法はあるのでしょうか

やっぱりもう無理なのでしょうか。

名義貸しとか税金の払い方とかのこともよくわからず要領をえない質問ですみません。

よろしくお願いします。
 
(あきらめかけてる相続人1)







【名義人にしか開示しないのが原則】

本件のように、別人の名義で預金をする(例えば親が子供の名義で預金する)ことが、昔は多く行われており、「名義貸し預金」「借名預金」などと呼ばれていました。

このような名義貸し預金は、預金をした(=お金を出した)人物と口座の名義人が一致しないため、取引履歴の開示請求を受ける金融機関も慎重な対応をします。

実際には名義人である子どもさん自身が履歴照会を求めれば、金融機関は誰がお金を預けたかはわかりませんので、名義人の照会には問題なく応じます。

反面、お母さんが自らのお金を預けたとしても、名義が他人であれば、お母さん(その相続人であるあなた)が請求しても、他人名義であるというそれだけの理由で金融機関は取引履歴を開示しない可能性が高いです。

なお、本件のような名義貸し預金(借名預金)の払戻手続や一般論については当ブログQ&A №300に記載しておりますので、合わせてご参照ください。


【名義人の承諾をとるしかない】

もし、名義人(子どもさんら)の了解がとれるのであれば、金融機関としても名義人の了解があるのですから、履歴を開示することに同意するでしょう。

開示に際して、具体的にどのような同意手続きが必要かは金融機関により異なります。

そのため、同意が取れそうな場合には、予め、金融機関に必要書類等を確認されるといいでしょう。


【お母さんのいた場所で通帳を探す】

被相続人が他人名義で預金を作っていた場合、相手方からはその名義人に贈与をしたのだという主張が出されることが多いです。

そのようなケースでは、私は通帳や印鑑を名義人に渡していたのなら、贈与の可能性が高いが、これらが被相続人の手元にあれば名義を借りただけだと判断することにしています。

もし、お母さんが単に子供さんの名義を借りただけというのであれば、預金通帳やその取引印はお母さんの手元にあるはずですので、それを探して、履歴を確認されるといいでしょう。

もし、通帳も印鑑も子どもに渡していたというのであれば、それはお母さんから子供への生前贈与だったとされる可能性があり、その場合には特別受益の問題が発生します。

なお、お母さんの手元に通帳が見つかった、あるいは少なくともお母さんが死亡するまでは通帳がお母さんの手元にあったというのであれば、生前贈与ではなく、遺産の一部になり、相続の対象になります。

遺産分割協議をしても、話し合いが進まないような場合には、早めに法律相談され、遺産であるとして証拠を残す方法や、解約された預貯金についての保全措置の要否、今後の取るべき方策等も弁護士にお聞きになるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:02 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金とその調査【Q&A №537】

2016/10/24



【質問の要旨】

交通事故で長年寝たきりだった祖父の遺産は調査できるのか?

記載内容 不正出金 医療費 成年後見人

【ご質問内容】
初めまして。

突然ですが祖父の遺産についてご相談があります。

私の父方の祖父が最近亡くなりました。
父には妹が二人居て三人兄弟です。

祖父が12年ほど前に交通事故で植物人間状態になり、ずっと寝たきりで最近亡くなり
ました。
祖父が寝たきりの状態の管理は全て次女に任せていたみたいです。
そして遺産整理をしてたところ、年金を二ヶ月で45万円をずっともらっていたはずな
のに祖父の口座には預金が全くなかったらしいです。
次女に聞いたところ医療費で消えたと言っていましたが寝たきりの状態なのにそこま
で費用がかかったとは自分は思えないのです。
しかも交通事故で寝たきり状態になったので加害者からの保険金が4000万円ほど入っ
てきてたそうです。

そこで質問なんですが

①本当に医療費で消えたのかを調べられる手立てがあるのか

②調べるとしたら父はどうしたらいいのか

を簡単に教えて頂きたいです。

よろしくお願いします。


(ゼン)







【成年後見人に確かめるのが一番、早い】

お祖父さんが交通事故で植物人間状態になった、損害賠償で4000万円をもらったということですが、もし、その点が間違いないのであれば、お祖父さんには成年後見人がついているはずです。
賠償額が極めて多額ですので、4000万円は保険会社が支払ったものと思われます。
保険会社としては、当然、交通事故の被害者であるお祖父さんの状態―植物状態で意識がなく、判断能力(意思能力)がないことを知っていますので、お祖父さんに成年後見人がついていない限り決して示談はしませんし、また、賠償金も支払うこともありません。
成年後見人の選任される場合には、家庭裁判所は必ず法定相続人であるあなたのお父さんの意向を確認しますので、お父さんに聞いて見られるとご存知だと思います。
成年後見人がついているのであれば、その成年後見人が(少なくとも成年後見人に就任以降の)お祖父さんの財産管理をしていますので、その内容の開示を求めるといいでしょう。
なお、お祖父さんが死亡し、相続が開始したのであれば、成年後見人から法定相続人に対して、通常の場合、財産引継ぎ等に関する連絡が間違いなくあるはずだということも覚えておいていいでしょう。


【成年後見人がつく前の取り込みの可能性があった場合の対処】

成年後見人が就任する前に、お父さんの妹が預貯金を使いこんだ可能性があるのであれば、お祖父さんの金融機関の取引履歴を調べるといいでしょう(調べ方については本ブログの相続問題Q&A№98に詳細に記載しておりますのでご参照ください)。
金融機関がわからない場合には、まず郵便局、そして郊外であれば農協等はかならず調査の対象にする必要があります。
なお、金融機関の調査ではどこの支店かというところまで調べる必要があります(但し、金融機関によっては全国の支店での口座の有無を照会してくれるところがあるが、それはごく一部のみです)。
支店がわからないのであれば、年金を受け取っていたのであれば、その年金の受け入れ口座を社会保険庁に確認することから、被相続人の口座が判明する場合があります。
また、同様に電気やガス等の引落口座を調査することにより、口座が判明することがあります。



【医療費の確認方法】

《本当に医療費で消えたのか》を調べるのなら、お祖父さんの入通院していた医療機関に医療費がどれだけ支払いされていたのかを確認されるといいでしょう。
お父さんは被相続人であるお祖父さんの法定相続人ですので、病院は回答をしてくれます。
ただ、その際、法定相続人であることの証明を要求されますので、予め戸籍や除籍謄本を用意されておくといいでしょう。
なお、死亡時の病院はわかっているが、それ以前の病院がわからないというのであれば、死亡時の病院のカルテも取り寄せが可能ですので、そのカルテの中の病歴等の欄を確認すると、それまでに治療を受けた病院等が記載されていることが多いです。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:13 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★古い取引履歴を請求したい【Q&A №531】

2016/09/27

【質問の要旨】

古い取引履歴の開示請求をしたが、拒否された

記載内容 取引履歴 不正出金 拒否

【ご質問内容】

金融機関に相続人(本人)は、取引履歴の開示請求を、平成21年2月16日に求めたが、時効と言われ拒否された

長男夫婦共犯者の窃盗です兄弟姉の3人は、相続してません。

なお、長女は、精神障害者で生活保護にされ…母親契約で受取人は長女、また年金も38年掛けていた 

経歴(被相続人名義の経歴の開示を見れば、一目瞭然です。

被相続人死亡は昭和57年4月17日 相続手続きせず、昭和60年3月23日まで動きあり

残高、76円です と三井住友銀行が言った…平成21年1月22日の最高裁判決に矛盾を感じています。

(囲碁ばか)






【平成21年の最高裁判例の理解について】

今回の質問に記載されている平成21年1月22日の最高裁判決は、共同相続人の一人でも単独で取引履歴の開示を請求できることを認めたものであり、相続に関する極めて重要な判例です(詳細はコラム【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要参照)。

ただ、この判例は、何十年前の履歴であってもすべて開示せよと命じた判例ではなく、被相続人が無くなった直後(2ヶ月後)に開示を請求したものであり、請求した期間も死亡直前の6ヶ月程度にとどまるものです。

参考までに言えば、過去どこまで遡って照会に応じなければならないかという照会期間についての最高裁判例は当事務所の利用している判例検索で調べても見つけることができませんでした。


【一般には、履歴照会の回答は5年から10年以内の範囲である】

金融機関が履歴の照会に応じるのは、原則として申請日から5年ほどさかのぼった分であることが多く、特段の事情があるということであれば10年ほどはさかのぼるという扱いをする場合が多いです。

今回のあなたの請求では、昭和60年ころの取引履歴を平成21年になってから請求されたということであれば、すでに約25年が経過しており、金融機関としては関係資料及び取引履歴は廃棄済という対応をしています。

弁護士が、弁護士会を通じて金融機関に取引履歴の照会を出すことがありますが、その場合でも10年以上前の履歴が出ることは極めて少ないです(但し、この点は金融機関の扱いが一律ではなく、これまでの経験から言えば、三井住友銀行などは10年を超えて遡った分を提出してきたことがありました)。

あなたとしては、履歴がなければ長男の窃盗(不正出金)を暴くこともできず、納得しがたいところかもしれませんが、以上が取引履歴照会に関する実情です。


【なぜ銀行は古い取引履歴を出さないのか・・私の推測】

金融機関としては、最近はコンピューターで取引履歴を管理していますが、それとともに出金伝票などの文書を保管していますが、その情報あるいは文書の量は膨大なものになります。

そのため、一定の期間が経過した分については順次、削除あるいは廃棄している可能性があります。

金融機関がどの段階で削除しているのかは必ずしも明らかではありませんが、商法上の請求権は5年間、又、民法では10年間が消滅時効期間ですので、この長い方の10年間をめどに抹消及び廃棄している可能性があります

ただ、以下は私の推測ですが、不法行為の損害賠償請求権は最長、行為時点から20年間は消滅せず、金融機関としてはその間は請求されるリスクがあります。

そのため、金融機関は20年間は資料を保存している可能性があります(ただ、出金伝票などは電子ファイル化して保存している可能性が高いと思われます)。

ただ、10年を超える古いデータまで開示するという扱いをした場合、これに応じる金融機関の手間がかかりすぎるために、開示はあくまで10年を限度としているのではないかと思われます。

繰り返しますが、これはあくまで私の推測ですが、参考になれば幸いです。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:56 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

証券会社に対する調査方法【Q&A №528】

2016/09/07



【質問の要旨】

国債や株の取引記録を取りたい

記載内容 証券会社 取引記録 取り寄せ


【ご質問内容】 

銀行預金の取引記録は取れました。

国債と株をやっていたと聞いていましたが、口座番号がわかりません。

証券会社も定かではありません。

どのように取引記録を請求すればいいですか?
(ねこ)







【支店まで調べる必要がある】

証券会社に調査をかける場合は、少なくとも取引支店名まで判明している必要があります。

支店さえわかれば、当該支店はその支店での被相続人の取引内容をすべて教えてくれますので、顧客番号や取引の種類などはわからなくても結構です。

そのため、まず、支店名までなんとかたどりつくように努力する必要があります。


【まず、被相続人の自宅の郵便物を調べる】

被相続人が国債と株をしており、証券会社と取引をしていた可能性があるというのであれば、その証券会社から被相続人に対して取引明細書等の取引内容の通知が送られていることが多いです。

そのため、被相続人の住んでいた家に送付されてきた郵便物を確認しましょう。

取引通知書やダイレクトメールなどがあれば、その送付をしてきた証券会社の支店に照会を掛けられるといいでしょう。

なお、郵便物だけではなく、自宅にある書類も念を入れて探しておくと、意外なところから証券会社の判明のヒントが出てくる時もありますので、根気よく調査されるといいでしょう。


【預貯金の取引履歴から調べる】

預貯金の取引記録を入手されているのであれば、念のために、入金の備考や適用欄に《配当》の記載があるかないかを確認しましょう。

配当の記載があれば、株を保有しておられたのであり、証券会社と取引していた可能性が高いです。

次に入金欄を見て、ある程度多額の入金を探してみましょう。

送金で入金されている場合、金融機関にその送金を誰がしたかを照会すれば、証券会社が判明する場合があります。


【自宅や職場の近くの証券会社を探す】

郵便物や預貯金の取引記録でも証券会社が判明しないような場合には、最後の手段として被相続人の自宅及び職場周辺の証券会社を調べるしかないでしょう。

ただ、金融機関と異なり、証券会社数は限られていますので、もし、株を保有し、あるいは国債を持っていたことが間違いないというのであれば、手間はかかりますが、被相続人が行っていた可能性のある地域の証券会社の各支店を軒並み調査する必要があるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:32 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

代表相続人が解約した預貯金【Q&A №526】

2016/08/09



【質問の要旨】

代表相続人が勝手に手続き

記載内容 代表相続人 無断 預金

【ご質問内容】

経過 :代表相続人が勝手にし処理し、既に完了との連絡が金融機関からありました

代表相続人(配偶者)と他相続人(子供2名)間で協議がまとまらない為にこのような手段を講じたようです。

要は争族中です。

質問1:代表相続人(配偶者)から連絡がない、又は他相続人が分割分を請求しても応じないで放置すると、4800万円以下の遺産が代表相続人に全て使われてもしかたないですか

質問2:相続人代表口座の内容を閲覧するにはどうすればいいですか

(kawaさん)







【代表相続人から請求があれば金融機関は預貯金全部の支払いをする】

遺産の中に預貯金がある場合、金融機関は法定相続人に対して代表相続人の選任を求めます。

あなたが、配偶者を代表相続人とする手続きには協力した(ということは、配偶者を代表相続人に選任する書面に実印を押し、かつ印鑑証明書も渡した)のであれば、金融機関としてはその代表相続人が手続きをすれば預貯金全額を代表相続人に支払います

これは法定相続人間で遺産分割協議が整っていなくても、代表相続人の書類に不備がなければ、金融機関としては支払いを拒否する理由はありません。


【連絡してこない場合には迅速に仮差押え手続きをする】

代表相続人が預貯金を全部解約した場合、その人が全部を使ってしまう、あるいは隠してしまうおそれは十分に考えられます。

連絡してこない、分配請求に応じないというであれば、使われてしまう可能性も極めて高いでしょう。

もし、そのような事態になれば、最悪の場合、あなたは1円の金銭も回収できないことになりかねないため、預金を使われないよう代表相続人の口座を仮差押し、口座を凍結してしまうことが必要です。


【代表相続人の口座内容は確認できない】

代表相続人である配偶者が生きている限り、その同意がない限り、配偶者の預貯金の口座を知ることはできません

親子であっても、金融機関から見れば他人ですので、口座内容を知ることはできません。

もし、前項に記載した仮差押えをするのであれば、一番可能性の高い金融機関を狙うか、リスクを分散する意味で数個の金融機関に分散して仮差押えをするしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:48 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金をした兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:37 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり

2016/03/01


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。

また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか

(やまおやじ)





当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。

ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。

そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。

※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。

死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース

私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。

但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。

かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)

現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には

1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。

2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。

3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。

このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。

この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。

なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。

1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。

2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。


② 他の相続人に確認をするケース

一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。

ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース

裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。

金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです

代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です

なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。

もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。

本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。

また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。


《再質問:2》

共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》

法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です

住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。


《再質問:3》

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》

以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。

ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:28 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【相続判例散策】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?

2016/03/01
相続判例散策

預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?


【判例紹介】

損害賠償請求権という金銭債権について、最高裁判所の裁判例で次のようなものがあります。


【事件の概要】

立木の所有権の侵害を原因とする損害賠償請求事件で係争中に原告が死亡し、その妻及び三名の子が訴訟手続を引き継ぎました。

この場合に、この損害賠償請求権は相続により、誰にどのような形で相続されるかが問題となりました。

【判決の概要】

損害賠償請求権のような金銭請求をする債権について、「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」と判断しました。

最一小判昭和29年4月8日 民集第8巻4号819頁)


【弁護士コメント】

預貯金を金融機関に預けていると、預金者は銀行に対して預貯金の払戻請求権を持つことになります。

この払戻請求権は金銭の請求を求めるものであり、金銭債権の一種になります。

上記最高裁判例は、損害賠償債権という金銭債権に関するものです。

この判例は、金銭債権は相続開始とともにそれぞれの相続人が独自に取得するということを言っています。

この判例があることから、仮に損害賠償請求権額が900万円であり、相続割合が同じ3人の相続人がいた場合、各相続人が300万円を相続することになり、また、他の相続人とは別個に(ということは他の相続人の同意を得ることなく、独自に)請求することができるということになります。

預貯金債権も金銭債権のため、相続開始時点で各法定相続人に分割して相続されます。

そのため、各相続人が独自に金融機関にその相続持ち分に応じた請求をすることができます。

この点を明確にした裁判例としては、預貯金債権について「預貯金は遺産分割を待つまでもなく、相続開始と同時に当然に分割されるのである」とした高等裁判所段階の決定があります(東京高決平成14年2月15日 家庭裁判月報54巻8号36頁)。

ただ、金融機関としては、遺言書があるかどうかなど全くわからない状態ですので、原則として一人の相続人からの払い戻しに応じることは少なく、代表相続人の指定の手続きを求めてくるのが通例であり、金融機関の立場からすればこのような扱いもやむを得ない面があります。

ただ、本来、法定相続分を取得しているのですから、各相続人としては訴訟で払い戻し請求が可能であり、その訴訟をすることについて他の相続人の同意は不要ですし、遺言書が出てきた等の特段の事情がないかぎり、法定相続分の支払いを命じる判決が出されます。

(関連ブログ未分割の財産について【Q&A №493再質問】参照)

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:42 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

過去処分した不動産の売却代金調査と特別受益【Q&A №482】

2015/12/15

 【ご質問の要旨】

1 被相続人が事実婚時代に贈与等を行った場合、婚姻後に特別受益と扱われるか
2 被相続人が過去に売却した不動産の代金についての調査

記載内容 特別受益 不動産売却 取引履歴

【ご質問の内容】

被相続人は、結婚せずに20年以上同じ異性と暮らし、二人で家を購入し(名義がどうなっていたかは不明)共働きででローンの返済をしていましたが、異性が年金受給できる年齢に達する数年前に家を売り、ローン返済後の所得を持ち、異性の故郷のある土地へ二人で引越したのを機に結婚しました。

以来二人は働いていません。

私は被相続人の兄弟で、法定相続人です。

婚姻前の不動産所得は被相続人と配偶者の共用財産ですが、被相続人の財産分もあると思います。

こういった場合、調停か審判になった時、被相続人の不動産所得分として、配偶者の特別受益と見なされますか?

不動産所得額や財産分与があったのかなど、具体的には配偶者以外、誰もしらない状況です。

宜しくお願い致します。

(もっち)





 【財産分与は相続の対象にならない】

ご質問の中に、「財産分与」という言葉が出てきます。

財産分与というのは、法律的には、離婚の際に、財産をその夫婦間で分ける手続です。

この財産分与が遺産で問題になることは少ないといえます。

なぜなら、財産分与は、離婚した妻(場合によれば夫)に対する支払いであり、その内容は婚姻後に夫婦で形成した財産の分割なので、仮に妻が財産分与を受けてもそれは実質的に自分の財産を戻してもらったということであり、その分は遺産にはならないからです。
また、そもそも離婚しているのですから、復縁しない限り、その妻が相続人となることもありません。

ご質問の被相続人は、離婚しているわけではなさそうなので、財産分与の有無を考える必要はないといえます。


【生前の財産譲渡は特別受益になる可能性がある】

今回のご質問で財産分与という趣旨は、おそらく、生前に配偶者が財産をもらっているのではないか、その分は遺産計算上、どうなるのかということでしょう。

そのように生前に財産をもらっているのであれば、それは特別受益として、遺産の分割時に遺産に含めて計算されることになります。


【今するべきことは、なによりも調査です】

被相続人の財産が、その生前、残された配偶者に移されているかどうかについては調査が必要です。

なぜなら、調停にせよ、裁判にせよ、被相続人の財産が配偶者に移されていることを認めてもらうためには、裏付となる証拠を集めなければならないからです。

そのため、早急に遺産調査を始める必要があるでしょう。

   《不動産の調査》

まず、かなり前に不動産を売ったようですが、その辺から調査を開始しましょう。

① 売却後に故郷に居を移したということですので、自宅を売却した可能性が高いと思われます。そこで、住所の移動状況を探るために、被相続人の戸籍附票を取寄せましょう。ご質問内容からは、売却した不動産は、故郷に移る前の住所地であることがうかがわれます。

② さらに、その不動産のある市町村から名寄帳を取寄せ (【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)、当該不動産の登記上の所在地や、そのほかの不動産所有の有無等を調査しましょう。

③ 不動産の所有状況が判明した場合は、法務局でその不動産の登記を調べることで、被相続人がいつ、誰に売却したのかが分かります。

   《金銭の動き・・取引履歴の調査》

前記不動産の調査によって不動産の売却時期が判明した場合には、続いて、金融機関の取引履歴を調べることが必要です。

どこの金融機関を調べるかは、支店名まで特定する必要があるので難しいところですが、不動産の登記に住宅ローンの抵当権などがついていた場合、その抵当権者である金融機関(あるいはその関連会社)から支店名を探り出し、その支店に対して取引履歴の照会を行うとよいでしょう。

そして、その取引履歴のうち、不動産売却当時の大きな入金があれば、それが売買代金の可能性が高いといえます。

その代金額が配偶者の共有持ち分と大きく異なる、あるいはその後引き出されているなどという事実があれば、その時点で財産が贈与等されていると理解して、その後の対応を考える必要があるでしょう。


【弁護士に相談してもいいでしょう】

ご質問からは、被相続人の遺産については、現在、ほとんど判明していないように見受けられます。

そこで、前記のような調査が必要不可欠となるわけですが、一方で、処分された不動産や金融機関の支店が判明するとは限りません

ただ、質問のケースに応じてどのような調査方法が最適なのか、調査の結果によりどのように対応するなかなどについて、相続に詳しいお近くの弁護士に相談することを考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★税務調査で判明した口座【Q&A №480】

2015/12/03

 税務署は被相続人の口座を教えてくれないのでしょうか。

【ご質問内容】

相続が始まると、税務署は被相続人のみならず家族名義の銀行から証券会社の口座をすべて把握するというような話を耳にしたのですが、だとするならば、せめて被相続人の口座ぐらいは相続人に知らせてくれないものでしょうか?

【Q&A №98】預金の取引履歴を調べる方法を読みますと、「どこの金融機関だけでなく、支店名も調査しましょう。」とあり、口座を見つけるのも苦労する様子が伝わります。

果たして税務署は本当に全ての口座を把握しているのでしょうか?それとも知っていても教えてくれないのでしょうか

記載内容 税務署 相続税

(磯野家)





 今回は税理士業務の問題ですが・・

今回の相談は税務調査の話です。

そのため、詳しいことが知りたいのであれば、税理士にお尋ねいただく必要があります。

ただ、弁護士の理解している限度で以下の回答をします。

【税務署は調査結果を教えてくれないが、修正申告でわかる場合がある】

相続税の未納付がないか、あるいは申告された相続税の内容に誤りがないかどうか、税務署が調査することがあります。

その際、税務署は被相続人のみならず、必要に応じて家族名義の金融機関口座や証券会社などの取引内容を調査することがあります。

ただ、税務署はあくまで徴税の都合で調査するのであり、その内容は他の相続人に教えてくれません

【過去の経験からいえば・・】

私(大澤)は過去に一度、税務署に《節税された可能性がある》との情報提供をしたことがあります。

遺産総額が億を超す事件であり、相手方が被相続人の預金を取り込んだケースでした。

そのとき、税務署は調べた結果を教えてくれませんでした。

ただ、隠された財産がある場合には、通常の場合は修正申告が必要となります。

その際、共同相続(要するに相続人が複数)であれば、隠した人以外の相続人も相続税を支払う必要があり、そのために修正申告書に捺印をする必要があります。

その修正申告書に、新しく記載された財産があれば、それが税務調査で新たに判明した財産だということがわかります。

その限度では、遺産の詳細がわかることになります。

ただ、民主党政権下で国税通則法等の税務関連法が改正されましたので、取り扱いが変わっている可能性もなくはありません。

詳しくは税理士にお尋ねください。

【税務署がすべての口座を把握しているわけではない】

十数年前の話ですが、私が破産管財人に選任された破産事件について、破産者が財産隠しをしているのではないかとして、大阪の全金融機関に対し、関係口座の有無について照会を出したことがあります。

この時には、大阪管内の支店ベースで約900店舗の金融機関がありました。

合併等で現在はそれよりも少なくなっているでしょうが、いずれにしても支店数が膨大です。

税務署がその全てに調査を入れていることはまずないと思われ、被相続人や問題となる相続人の全部の口座を調査・把握している可能性は極めて少ないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:04 遺産調査 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

叔母が、私のゆうちょ口座を調べると言っている。【Q&A №477】

2015/10/28



叔母が、母の財産のことで私のゆうちょ口座の出し入れを調べると言うのですが、勝手に私の口座の確認などできるのでしょうか?


弁護士を通すとできるのでしょうか?

記載内容 家族 口座 調査

(みち)







 他人の口座は、その本人の同意がない限り調査できない
 
あなたの預貯金がどの程度か、どのような入出金をしているかはあなた個人の重要な秘密です。

金融機関はその内容を把握していますが、これをあなたにだけ明らかにするものであって、それ以外の人に明らかにすることはできません。

もし、金融機関がそのような預貯金情報を漏らした場合、あなたとしてはその金融機関に対して損害賠償をすることができます。

従って、伯母さんがあなたの同意なしに、ゆうちょ銀行のあなたの預金の残高や取引履歴を調べることはできないということになります。

また、伯母さんが弁護士に依頼したような場合でも事情は同じです。

弁護士は、弁護士法という法律で、弁護士会を通じて金融機関等の預貯金の照会をする等の手続きを取ることができます。

しかし、仮に弁護士照会を使っても、他人であるあなたの預貯金残高や取引履歴を取ることはできませんので、安心されるといいでしょう。


【遺産調査では回答してくれるが・・】

参考までに、遺産での金融機関に対する調査のケースにも言及しておきます。

遺産の場合、死亡された方(被相続人)の預貯金についての残高や取引履歴を、その相続人が知ることは可能です。(Q&A №362参照)

これは被相続人の財産は、その死亡により(法定相続分に応じて)、相続人の財産になるからです。

この場合は、被相続人の遺産が自分のものになっているのですから、結局、自分の財産内容を調査することになり、金融機関としても照会を拒む理由がなく、照会に応じて回答してきます。

もちろん、相続人ではない人が、被相続人の預貯金の照会をした場合には、金融機関は回答を拒否することになります。

なお、裁判や強制執行等の場合には上記とは異なる対応をする場合がありますが、この点は裁判等になったときにあなたの依頼した弁護士と相談されるべきことでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:11 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人の金融機関に対する裁判【Q&A No.471】

2015/10/05



私は相続人の一人です。

他の相続人が、金融機関を相手に訴訟を起こして、預金を手に入れようとしています。

私も弁護士に依頼して訴訟に参加しなければ、預金を受け取れないのでしょうか?



記載内容

金融機関に対する裁判


【ご質問内容詳細】

 初めてまして。

 父が亡くなりゆうちょ銀行に父の預金があります。

 母と弟そして私が相続人ですが相続金の分配が決まり相手方(母と弟)から当事者参加申出書が届きました。

 相手方は弁護士に依頼しゆうちょ銀行を訴えるという恰好で相続金を手に入れようとしています。

 やはり私も弁護士に依頼しなければ相続金を受け取れないのでしょうか?

 独自で依頼して受け取れる方法はないのでしょうか?ほったらかしにしたらどうなるのでしょうか?

 教示お願い致します。

(positive)







【通常の場合の預貯金の分配手続き】

 遺産の中に預貯金がある場合、その支払いを受けるためには、通常の場合、

①法定相続人が誰かがわかる被相続人が出生以降の除籍や戸籍謄本を提出する。

②各金融機関の定める相続人代表者選定届けを出す(各相続人の実印を押捺し、かつ印鑑証明書の添付が必要です)。

ことが必要です。

 この場合にはその代表相続人に指定された人が代表で預貯金の払い戻しを受け、他の相続人に渡すということになります。
(ただ、この手続きは金融機関により異なりますので、予め、どのような手続きが必要かを当該金融機関に確認しておく必要があります)



【相続人が預貯金の分配のための訴訟を起こす理由】

 遺産に預貯金があった場合、各相続人がその法定相続分に応じた預貯金額を相続で取得します。

 しかし、相続人の意見が一致せず、代表相続人が決定できない場合、自分の法定相続分に応じた預貯金を払ってほしいと金融機関に申し出をしても、金融機関がこれに応じることは少ないです(金融機関の中には他の相続人に支払っていいかどうかの質問状を出し、他の相続人が同意する場合には支払ってくれるところもありますが)。

 金融機関としては、例えば《ある特定の人に預貯金を相続させる》などという遺言状があった場合、その相続人から抗議をうけることも想定しておく必要があります。

 そのため、金融機関は、各相続人に裁判をしてもらい、裁判所の判決を出してもらえば何の心配もなく支払いができるようになります。

 これが金融機関が裁判を求める理由です。

 なお、金融機関としては裁判があったことを他の相続人に知らせる手続きをとっていますが、これはその裁判での請求に異議がある人は申し出てくださいということを知たせるためです。



【あなたのとるべき対応】

 訴状のコピーなどがあなたに送付されていると思います。

 あなたとしてはその内容を確認する必要があります。

 今回は当事者参加の申し出書という書面が来たようです。

 これは請求しているお母さんや弟さんがそのような書面送付手続をしたのか、あるいは金融機関がしたのかわかりませんが、訴訟で請求されている内容に異論がないようなら、訴訟に参加するためにあなたご自身で裁判所に出頭し、異論がないことを主張されるといいでしょう

 そうすれば、裁判所としては請求の内容に従って、金融機関にお母さんと弟さんに対する支払いを命じるだけではなく、あなたの分についても支払いを命じるようにする手配をするか、和解で支払いをしてくれるような手続きをしてくれるでしょう。

 なお、請求に異論があれば早急に弁護士に相談された方が良いでしょう

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:49 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015/07/15




【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?


記載内容

  不正出金 生前贈与 時効


【ご質問内容】

 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。

 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。

 共同相続人の伯父は7年前に他界。

 母は現在、障害のため出廷不可。

 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。

 残額は247円。

 手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。

 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?

 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。

 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。

 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。


(hiro)







【相続回復請求はできない】

 相続回復請求ができないかという点にお答えします。

 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。

 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません

 ただ、次にのべるような手段が考えられます。




【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】

 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。

 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。

 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。

 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。

 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。

 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。

 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。

 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。




【お祖母さんが生前贈与した場合】

 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。

 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。





【現在、するべき作業は何か】

 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。





【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】

 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。

 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。

 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:34 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★何もしていない後妻の相続【Q&A №452】

2015/07/08



何もしていない後妻にも遺産を分けるのか?



【ご質問内容】

 問題は、後妻である事、家を手に入れるべき時は、私の母親と父親の努力による物で後妻は全く関与していない事。

 他、父親が深夜に亡くなり、私が朝9時に銀行に行くと既に、現金がコンビニよりmaxの50万円引き出されていた。

 一様父親死亡にて口座凍結したが、今度は、家の売却益の半分私のだからと言って来ている事。

 相続権利者長男の私と妹と後妻のタイ人となるが、窃盗罪でタイ人後妻を追い詰められないか?

 少額では有るが金額の問題では無く1円足りとも渡したく無いのが心情です。


記載内容

  後妻 遺産分割 不正出金

(ヨシアキ)





【何もしていない後妻さんでも法定相続分はもらえる】

 入籍さえしており、戸籍上の妻であれば、相続分は2分の1です。

 別居しておろうと、夫の面倒を全く見なくとも、後妻さんであれば相続分は2分の1です。

 参考までに言えば、何十年間、内縁関係を長年継続しても、法定相続分はありません。

 そのため、後妻さんが《家の売却益の半分を自分に渡せ》というのも法的には間違いであるとは言えません。



【窃盗になるかもしれないが、警察はまず動いてくれない】

 被相続人の預金の引き出しについては、過去のブログ(【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するか )でも触れましたように、窃盗あるいは詐欺の問題が発生します。
 ただ、上記ブログでも記載したように、相続人が被相続人の死亡を隠して、お金を引き出した場合を考えれば、警察としては、《民民》間の相続問題で解決してくれという姿勢であり、刑事事件として立件することはまず、ないと考えられるといいでしょう。

 預金全体の額がどの程度であったのかが明らかではありませんが、50万円が預金全体の半分もないというのである場合には、その程度なら相続人として取得する権利もあり、警察が動くことは考えられないです。



【不動産は名義で判断される】

 相続では、原則としてその不動産が誰の名義であったかを基準にして遺産かどうかが判断されます。

 そのため、お父さんの名義であるなら、後妻さんはその不動産の半分を取得する権利があります。



【今できることは金融機関の取引履歴の確認】

 現在できることとして何があるかを考えてみます。

 お父さんの死亡後にすぐに金銭を引き出ししているのであれば、生前にも引き出すようなことがなかったのかという疑問が出てきます。

 その点を調査する必要があるでしょう。

 相続人であれば被相続人であるお父さんの金融機関の入出金の履歴が入手できます。

 是非、確かめられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:52 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

認知症の父の口座からの不正出金【Q&A №435】

2015/03/12



要介護5で全く意思疎通ができない父の預金から兄が、過去8年にわたり年に2~3回、1回の金額は100万円程度を母に頼まれたという理由で引き出していることが最近になってわかりました。

キャッシュカードはなく、すべて伝票に署名捺印で下しています。

不公平感が否めなく、生前贈与を認めさせ、私の相続分を取り戻したいと思っています。

父がまだ生存中なのでどうするのがベストなのかお聞きしたいです。

ちなみに、現在、父の成年後見制度申請中です。


記載内容

  使い込み 認知症 要介護

(てる)





【相続開始前にはあなたには法的にはなんらの権利もない】

 お父さんに意思能力がないのであれば、お父さんはその預金を引き出すことができませんし、又、お母さんやお兄さんに引き出しを依頼することもできません。

 又、その預金はお父さんの財産ですので、お母さんが同意しても、その引き出しが正当になるようなものでもありませんので、お兄さんの預金引き出し行為は無断引き出しとなります。

 そのため、お父さんはお兄さんに対して不法行為や不当利得を理由として、その引出額相当の損害賠償請求権あるいは返還請求権を持つことになります。

 これらの権利は、将来、お父さんが死亡した場合には、法定相続分に応じてあなたが相続することになりますので、相続開始後であれば、あなたからお兄さんに損害賠償あるいは返還請求ができることになります。

 ただ、現時点では、お父さんが生存しておられますので相続は開始しておりません。

 あなたは、将来、相続人となる立場(推定相続人といいます)ですが、現時点では、法律的にはあなたには何らの権利もありません。

 お父さんの財産がなくなるような事態が発生しても、又、お父さんが前記のような権利を取得していても、残念ながら、あなたとしてはなんらの法的手段も取ることはできません。



 
【成年後見人の選任とお兄さんへの返還請求について】

 現在、お父さんの成年後見人を選任する手配をされているようです。

 たしかに、現時点である財産を減少させないということでは成年後見人の選任は極めて有効な手段です。

 ただ、後見人が、既に無断で払い戻しされている金銭を取り戻すというところまで積極的に動くことはまずありません。





【現時点でとるべき手段は資料や情報の入手です】

 将来、お父さんが亡くなられた場合、あなたは法定相続人として、お父さんが有している損害賠償(不当利得)請求権を法定相続分で相続することになります。

 その時点で、あなたとしてはお兄さんにその請求権に基づき金銭の返還請求をすることが可能です。

 そのための資料として、どこの金融機関のどの支店からいくら引き出されたのかという資料や情報が必要になりますので、現時点で入手できるものは、できるだけ入手しておくといいでしょう。

 なお、将来、あなたが請求されてもお兄さんが簡単に引き出した金銭を返還するとは思われません。

 お父さんが死亡された場合には、早期の段階で弁護士と相談され、お兄さんに対する素早い対応が可能かどうかを検討されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:37 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続した株式の扱い【Q&A №418】

2014/12/11



①非上場の株を親から相続しようとしたら3人相続人がいて、話し合いがまとまりません。
 この場合、その株はどうなるのでしょうか?
②その後、遺言書がでてきて、私に株を相続させる、文面で、遺言執行人もわたしでした。
 この場合、他の相続人の同意なしで、名義変更できますか?


記載内容

  株式 共有 総会に出席

(sasa)


【相続した遺産の扱いは、遺産の内容により異なる】
 被相続人が死亡した場合、遺産が各相続人にどのような形で移動するのかは、遺産の内容により異なります。
 預貯金であれば、その法定相続分に応じて直ちに分割され、各相続人が、金融機関に単独で請求することができます(但し、金融機関がすぐに支払いをするわけではありません。⇒相続Q&A №148を参照)。
 これに対して、土地の場合には、相続した土地を、法定相続人がその相続分で共有することになります。

【株式の場合には不動産のような扱い‐準共有になる】
 株式については、預貯金のような当然に分割されるのではなく、土地と同じように、全部の株式を相続人が相続分に応じて共有するという形になります。
 なお、このような共有状態を、不動産であれば共有といいますが、株式の場合には権利ですので、「準」共有(⇒民法第264条参照)と言います。

【株式の権利行使は民法の共有の規定に基づき行う】
 準共有状態にある権利である株式について、どのようにして権利行使するかという点が問題になりますが、これについては、共有の場合の権利行使の条文(民法第251条、第252条、第264条、会社法106条を末尾に記載しておりますので、ご参照ください)に基づき決定されます。
 株主総会に出席はするには多数決で出席者を決定することが必要です。
 株式を売却することは処分に該当しますので、全相続人の同意が必要です。

【遺言書が出てきた場合の扱い】
 今回の質問では、遺言書が出てきており、あなたが遺言執行者ということですので、あなたが遺言に基づき単独で権利行使ができることになります。
 なお、公正証書遺言であれば、直ちに執行可能ですが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に遺言検認(⇒相続Q&A №121を参照)の手続きをする必要がありますので、この点はご注意ください。


民法
第251条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)
 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
第264条(準共有)
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りではない。

会社法
第106条(共有者による権利の行使)
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
09:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の内容を調べたい【Q&A №417】

2014/12/09



 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:48 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★後妻への生前贈与の証明【Q&A №401】

2014/09/16
 父が亡くなり、相続人は、継母・私・妹の3人です。父と継母は十数年2人で暮らしてきたので、父のものを管理しているのは継母です。継母は仕事をしていますが、生活費は全て父が負担し「父に養ってもらった」と言ってました。葬儀後、継母は「父の退職金は4000万円あったけど、父が全て使った」と言ってきましたが、父は退職の際「退職金4400万円の半分2200万円を継母に渡した」と父の兄弟に話したそうです。
 父の口座の残高は150万円程ですが、継母は、そこから葬儀費用・法要費用等、とにかく細かいものでも出費した全てをマイナスした表を作り「まぁざっと書き出しただけだけど」と渡してきました。構えられるといけないので、まだ継母には何も話していません。一応、銀行の明細書を10年分発行してもらいましたが、肝心の退職は10年以上前です。なので、継母が否定し、退職時の父の通帳がない、もしくは継母が隠す等したら、証拠はありません。
※2200万円は継母のものになるんでしょうか。
※父に養ってもらって生きてきた継母は、葬儀・法要費用等、一切負担しないでいいものなんでしょうか。
 ギャンブル好きで家庭を顧みない父のせいで、苦労し、嫌な思いをし、悲しい思いもし、必死で生きてきました。なにかアドバイスをいただければ有難いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

記載内容

葬儀代 法要

(ニコラス)


【継母に贈与された金2200万円は特別受益になる】
 お父さんが継母さんに2200万円を渡したのが贈与であるとすれば、金額が多額であることから、「生計の資本としての贈与」であるとして特別受益になり、遺産分割の際に、遺産に持ち戻すことになります。

【贈与の証明ができるかが問題】
 ただ、持ち戻す前提として、2200万円の贈与があったことを明らかにする必要があります。
 本件では、継母さんは退職金はお父さんが全部使ったと言っており、贈与の事実を認めていませんので、そのような贈与をされた事実はあなたが証明する必要があります。
 贈与の証明としては、ある時点で2200万円の金額が引き出されていること及びその金額を継母さんが取得したことの2点を証明する必要があります。
 あなたが照会をかけても、金融機関には記録がなかったというのであれば、これらの2点を証明することはむずかしいでしょう。
 お父さんが言っていたということでは到底、証明にはなりません。

【葬儀・法要費用は相続費用ではない】
 葬儀費用や法要費用などは、相続開始の後に発生したものであり、相続される債務ではありませんし、相続のための費用でもありません。 
 ただ、葬儀費用については、相続人全員が葬儀に出席している場合などは、その費用を相続人全員で負担するという《実務的解決》がなされることが多いです。
 なお、法事の費用については、祭祀の主催者の負担となると理解されるといいでしょう(この問題については当ブログ Q&A №308Q&A №140等も併せてご参照ください。)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:50 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★★生前の預金の使い込みは、隠した者勝ちなのか?【Q&A №395】

2014/08/12
  昨年母が亡くなりました。

 父は10年前に亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。

 母の相続に際し、同居していた弟が母の預貯金を勝手に引出していたことが預金履歴の調査で判明しました。

 母は10年前から介護老人保健施設に通入所しており、亡くなる4年ほど前には胃瘻を施し、痴呆も進んでおりました。

 元々生活が質素だったこともあり、施設の費用を含め、生活費は年金で充分賄えていたはずですが、10年間で預金が1500万目減りしていました。

 銀行の取引履歴は全て入手しており、預金の引出しはATMではなく窓口で行われているので、銀行に照会すれば弟またはその嫁が引き出したことは明らかになります。

 調停や訴訟は不可避と考え弁護士に相談していますが、弁護士からは、「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね、、」と言われ落胆しました。

 引出伝票などで弟が預金の引出しをしたことが明らかになっても、使い込みの充分な証拠にはならないのでしょうか?

 ご教示ください。

記載内容

不正出金 使い込み 隠す
(なお)





【そんな弁護士いるんですね・・】

 相談した弁護士が「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね」と言われたとのこと。

 あなたががっかりと落胆する気持ち、よくわかります。

 難しい面があるのは事実ですが、そこを何とかするのが弁護士なのに・・というのが私の率直な気持ちです。



【出金伝票を確認する】

 まず、《誰が引き出したのか》という点が問題になります。

 カードではなく、窓口で引き出したようですので、金融機関に払い戻し伝票のコピーをもらうといいでしょう。

 過去10年間という長い期間にわたる預金の引き出しの場合、私が経験したケースでは、当初はお母さんが引き出していたが、途中から弟さんが代理人として、その後、弟さんがお母さんの署名を偽造して引き出していました。

 もし、伝票の筆跡が弟さんであれば、弟さんが引き出したことになり、その分を不当利得あるいは不法行為を理由として、返還請求損害賠償請求するといいでしょう(当事務所の扱った事件で返還を認めさせたケースは多数あります)。

 次に、弟さんが代理人として引き出した場合にも、お母さんに渡したことが立証できない限り、弟さんが使いこんだという前提で対応するといいでしょう。

 ただ、お母さんの筆跡であるとすると、その分は、お母さんが引き出したということになり、弟さんがお母さんから生前贈与してもらったというような証拠を探す必要があります。

 なお、お母さんが多額の金銭を必要としないような場合、その引き出した金銭は手元現金として残っているはずです。

 その点も訴訟になった場合の争点になります。

 いずれにせよ、まず、出金伝票を取り寄せ、その内容を検討することが第一の作業です。



【使途は何かを確認する】

 次に、《出金したお金を何に使ったのか》という点が問題になります。

 既に死亡しているお母さんから使途を聞くことはできませんので、何に使ったかは弟さんから聞くことになります。

 お母さんが多額の出金をして、弟さんに生前贈与されている場合も多いでしょう。

 もし、生前贈与ならその分を遺産に持ち戻して、遺産分割計算されることになります。

 ただ、同居している弟さんの生活費に使われたというのなら、親子間の扶養義務の履行として、その生活費として支出された分は生前贈与とみなされない可能性があります。




【財産が残っているのかどうかも要確認事項です】

 いずれにせよ、この種の案件は訴訟まで行くことも想定しておいた方がいいでしょう。

 なお、最初から《弱気で逃げを打つ》ようであれば、弁護士を替えることも考えるといいでしょう。

 なお、遺産がほとんどのこっておらず、また、弟さんも財産を持っていないような場合、裁判に勝っても、結局は回収できない場合もあります。

 回収の可能性があるのかどうか、この点も弁護士と相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:40 遺産分割 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

遺産調査の弁護士費用【Q&A №385】

2014/06/11
 祖母がなくなりました。

 私は相続人のうちの一人なのですが、別の相続人が財産を管理していたため、遺産の額が把握できないでいます。

 かなりの額の財産があったはずなのですが、管理していた者は遺産はほとんどないと言っています。

 祖母の現時点の遺産額の把握と、口座の過去の入出金記録を調べて資産の推移を確認したいです。

 ただし、どこの金融機関と取引があったのか、私の方では分からないです。

 弁護士さんに調査していただく場合の費用を知りたいです。

 現時点では裁判は考えておらず、調査だけお願いしたいとおもっています。

 それから、調査していただいた結果は、今後裁判になった場合、証拠として採用してもらえるのでしょうか?

記載内容

弁護士費用 預金 取引履歴
(孫)





【調査に関する弁護士費用について】

 弁護士で相続調査だけを受任するケースは多くはありません。

 当事務所では、以前は遺産調査だけを受任することもありましたが、現在は、遺産調査及びその後の事件の受任をワンセットにして50万円(税別)で事件を受任しています。

 他の事務所でも調査だけを受任しているケースは少ないと思います。いずれにせよ費用は事務所により異なりますので、もし、具体的な料金を知りたいというのであれば、各事務所のホームページを調べたり、直接電話で確認されたりするといいでしょう。

 なお、参考までに申し上げれば、現在の弁護士費用の基準としてよく用いられる(旧)大阪弁護士会の報酬規程では《調査案件》については着手金や報酬を記載していませんでした。

 弁護士は調査をするのではなく、事件を解決する役割だという理解からでしょう。


【弁護士の調査はどこが違うのか】

 弁護士でなくとも、法定相続人であれば、遺産の調査は可能です。

 ただ、どのような調査をしたらいいのか、そのためにどのような手続きをするのかについては弁護士の方が詳しいでしょう。

 又、出てきたデータからどのような結論がでるのか、それを法律的にどのように請求していくのかという場面では弁護士でしかわからない点が多数あります。

 現在は裁判までお考えではないということですが、もし、相手方の法定相続人等が遺産の内容を明らかにしてくれないのであれば、そのような案件は話し合いで解決することは困難な場合が大半です。

 早期の段階で、相続に詳しいお近くの弁護士に依頼し、調査と事件の受任もしてもらうのが望ましいでしょう。


【調査結果は当然、証拠となる】

 裁判や遺産分割調停になった場合、調査した資料は証拠として提出することが可能ですし、場合によれば決定的な証拠になることもあります。

 今回の質問の場合、取引のあった金融機関(正確に言うと支店)を発見できるかどうかが重要なポイントですので、その点に重点を注がれるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:32 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★認知症の母の預金引き出しは違法か【Q&A №383】

2014/06/05
  認知症の母の預金を「本人からの依頼」と言って払い戻しをするのは違法でしょうか?

 母は現在入院中の要介護3で認知が進んできております(ここ一年)。

 特に「認知症」の診断は医師から受けておりません(診断を拒否するため)。

 息子である私は遠方のため、近くにいる母の兄弟が世話をしてくれておりました。特に一番下の妹夫婦が頻繁に顔を見せておりました。

 入院費や生活費は母が管理のもと叔父、叔母たちがやってくれておりました。

 最近、一番下の妹夫婦がかなりまとまったお金を口座からおろしていたことが発覚しました(1,000万円近く)。

 問いただしても「姉さん(母)に頼まれたから」の一点張り張りです。

 母はその時々で言うことが違います。

 ただ、入院中の母は使い道がありません。

 依頼認知症の、診断書かなければ窃盗?横領?とかの罪に問うことは出来ませんか。

 開き直っており「やることはまたまだあるからな」と妹の旦那に捨てせりふのように言われました。

 腹も立ちますが、それ以上のことをしてないか(妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる)とても心配です。

 成年後見人の申請をするつもりですが、認定をもらうまでの間は手のつけようがないのでしょうか?

記載内容

認知症 成年後見人 預金
(るる)





【窃盗や横領に問うことはできるか】

 お母さんの一番下の妹さん夫婦がお母さんの預金を、お母さんの同意なしに勝手に引き出したということであれば、窃盗や横領罪が成立します。

 この犯罪の成立と、お母さんの認知症との関係ですが、お母さんが認知症であり、意思能力がない場合には、窃盗や横領が成立する可能性が高くなります。

 しかし、お母さんが認知症でない場合には、お母さんの同意があった可能性もあり、窃盗や横領の成立の可能性は少なくなります。

 ただ、いずれにせよ、お母さんとその妹さんの関係は、別居した親族(2親等)になりますので、刑法の規定(末記参照条文:刑法第244条2項)により、お母さんの告訴がない限り、これらの罪で処罰されることはありません。

 参考までにいえば、仮に妹さんがお母さんに無断で出したというのであれば、払戻し請求書のお母さんの署名欄は、妹さんが偽造したものということになり、有印私文書偽造及び同行使の罪にも該当します。

 しかし、いずれにせよ、警察としてはすぐに捜査を開始するようなことは、通常は考えにくいです。


【養子縁組や遺言書の作成への対処】

 《妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる》ことを心配されているようですが、その可能性はありえます。

 そのため、お母さんの認知症の程度がひどく、物事の判断がつかないような状態であれば、早期に成年後見の申立をし、後見人に財産管理をしてもらう必要がありそうです。

 現在は要介護3ということですが、身体障害であるのか、認知症のような精神的なものであるのかはっきりしませんが、仮に認知症により要介護3であったとしても、ただちに成年後見を付することができるかどうか疑問です。

 ただ、成年後見は財産管理がまったくできない場合ですが、それより認知症の程度が軽い(しかし、完全な財産管理ができない)場合には、裁判所に保佐人の選任申立をすることができます。

 保佐人が選任された場合には、お母さんとしては多額の預金を引き出すような場合には保佐人の同意が必要になります(保佐人の同意を得なかった行為は取り消すことができます)。

 裁判所により保佐人が選任されたということなら、妹さん夫婦にとっては強いけん制になり、勝手な行為が収まるかもしれませんので、検討されるといいでしょう。

 なお、金融機関に、お母さん以外の人には支払いしないように内容証明で申入れすることも考えられますが、このような申入れをしても、妹さん夫婦がお母さんに同行し、預金払戻書を銀行員の前で記載させれば、銀行として払戻しを拒否はできず、結局、有効は手段にはならないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。



大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
09:54 遺産分割 | コメント(4) | トラックバック(0) | 編集

★存命中の母の取引履歴を調査する方法【Q&A №370】

2014/04/30
 夫の転勤の関係からずっと母親と妹夫婦が母親の家で同居して暮らしていました。

 5年ほど前から母親が認知症になり、私も働いていたことから面倒を妹夫婦にお願いしていました。

 先日、急に妹が癌でなくなり妹の夫から母親名義のわずかな預金通帳を渡されました。

(後から聞いたのですが1年ほど前から癌の宣告受け、余命1年と医者から言われていたそうです。)

 もともと郵便局に1000万以上の預金があり、母は、借家・駐車場や年金・父の戦争の恩給などもあったことからある程度収入もあり、通っていた介護施設等も安価であったことから明らかに預金の残高が少なくなっているようです。

 母の死亡保険の受取人も勝手に自分の娘に書き換えたりしていたことから、余命が短いので母の預金や財産を自分の娘に残そうとしたようです。

 まだ認知症の母がおり私が面倒を見る必要があるので、可能であれば母の口座履歴と妹家族の口座履歴から不正引き出し等がやり取りなどがなかったかを確認 したいのですが可能でしょうか。

記載内容

生存中 被相続人 預金調査 取引履歴 代理人
(ピトニオ)





【生存中の母の口座は他人の口座なので、調査はできない】

 まず、お母さんが存命であるという前提であれば、お母さんとあなたは親子でも別人です。

 そのため、金融機関や保険会社(以下、金融機関等といいます)としては、あなたの照会に対して、別人であるお母さんの口座の内容を開示することを拒否しますので、調査はできません。

 これは、あなたが弁護士に依頼しても同様で、お母さんの口座の調査はできないという結論になります。



【通常は代理人としての調査も考えられるが、本件では・・】

 ただ、金融機関によっては、お母さんの委任状があれば、あなたをお母さんの代理人であるとして、預貯金口座の取引履歴などを回答をしてくれる場合があります(ただ、全ての金融機関等が同じ扱いとはかぎりません。又、代理人からの照会に応じるとしても、必要書類としてどのような書類がいるかも金融機関により異なるので、事前に電話等で確認する必要があります)。

 しかし、本件ではお母さんは認知症であるとすると、あなたに委任するだけの意思能力はないという結論になり、結局、委任状による照会もできないという結論になります。



【後見人として調査するということも考えられるが・・】

 お母さんの認知症であれば、後見人になり、調査をするということも可能です。

 しかし、あなたが、お母さんの後見人選任申立をしても、あなたが後見人になることは難しいでしょう。

 その理由は、あなたが後見人予定者として裁判所に申し立てをしても、他の法定相続人が同意しない限り、裁判所はあなたを後見人に選任せず、第三者(司法書士や弁護士等)を選任する可能性が極めて高いからです。

 後見人は、お母さんのための財産管理をする役割ですので、仮にお母さんの金融機関の取り引き履歴を調べても、他人であるあなたに知らせることはできないからです。



【今、するべきことは・・】

 以上に説明したように、結局、現時点では金融機関に対して、お母さんの口座を調べる方法はありません。

 ただ、お母さんではない人が、預貯金を引き出しているというのであれば、該当金融機関等に《お母さんではない他人の行為での、預貯金の出金や解約に応じないよう申し入れをする》しかないでしょう。

 参考までにいえば、このような申入れは内容証明という形で証拠を残しておかれるといいでしょう。
 
(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:17 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺産を相手方に確保された状況での対応策【Q&A №368】

2014/04/24
 昨年10月に父が亡くなりました。相続人は父の再婚相手である後妻と特別養子である私の二人です。
後妻はすぐに弁護士と税理士に依頼したそうです。その弁護士から、「遺言書はなく法定相続分50%ずつです。」と連絡がありましたが、こちらで調べたところ、後妻が死亡後も毎日お金を引出ておりましたので、口座凍結をいたしましたところ、後妻よりクレームの電話(脅し文句もありました)その後、後妻の弁護士に今後どの様にしたいのか?確認しましたが、「もうちょっと待ってくれ!」の一点張り。
 また、現在共有財産である不動産収入も独り占めされてます。
 今後どの様にすれば、対抗できるのでしょうか?ご指南宜しくお願い申し上げます。

記載内容

引き出し 口座凍結 遺産の賃貸賃料 死後の預貯金引出

(孤高の旅人)


【被相続人の死亡と金融機関口座の凍結】
 被相続人(お父さん)が死亡した場合、金融機関の口座は凍結されるはずです。
 ただ、金融機関が被相続人の死亡を知らない場合には、従来どおり、預貯金の引き出しができることがあります。
 本件の場合は、後妻さんが、お父さんの死亡したことを金融機関に知らせずに、代理人ということで金銭を引き出したものと思われます。

【まずは金融機関の口座の凍結をする】
 被相続人であるお父さんの死後に、後妻さんが預貯金から出金していたのであれば、金融機関にお父さんの死亡を通知して、口座の凍結を求めるのはやむをえない処置です。
 その点でなんら非難されることではないでしょう。
 むしろ非難されるべきは、お父さんの死亡を隠して預貯金を引き出した後妻さんでしょう。

【不動産の賃貸収入について】
 被相続人が不動産を賃貸している場合、死後の賃料は法定相続分に応じて、相続人に分割されます。
 そのため、後妻さん(弁護士がついているのならその弁護士)に死後の賃料の半額を請求するとよいでしょう。
 それでも後妻さん側が賃料を支払わない場合には、賃借人に対して、《賃料の半分を当方に払いこんでください》と通知を出して、賃借人に賃料を供託させるという方法もあります。
 しかしこの方法は、賃借人に迷惑をかけることになります。
 ただ、賃借人が賃料の支払い先である後妻さんに連絡し、問題を解決するように申し入れ、そのことにより相続問題が解決に動き出す可能性がありますので、とるべき方策の一つとして考えてよいでしょう。
 それでも後妻さん側が動かない場合には、調停等の手段を考えるしかないでしょう。
 なお、相手方に弁護士がついているケースでは、当方も弁護士に依頼し、問題を解決することが迅速な解決につながることもあります。
 とりあえずは相続に詳しいお近くの弁護士に法律相談をされ、必要に応じて事件を依頼されることをお考えになるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預金の取引履歴を調査する方法【Q&A №362】

2014/04/03



被相続人の預金が生前に勝手に引き出された可能性があります。

預金の取引履歴を調べたいです。

解約済みの定期預金等含めて、調べることができますか?





ご質問詳細

 父方の姉が亡くなり、子供おらず旦那も先になくなっている為、父方の兄弟で相続することになりました。
 
 ただ、亡くなった姉は生前入院していたので、兄弟がお金の管理もしていたようです。

 いざ、遺産整理をするとなったのですが、管理をしていた兄弟から通帳の開示もなく、簡単に記入した紙切れ一枚に遺産の内容が書かれていただけでした。

 どうやら途中で引き出してる可能性が多々ありそうなので、正しい銀行の履歴を調べたいのです。

 特にすでに生前に解約済みのゆうちょの定期預金の取引履歴?残高を調べたいのですが、できますでしょうか。

 調べ方を教えて下さい。

 また、取引履歴とは入出金振替などすべて開示していただけるのでしょうか。

 よろしくお願いします。

 なかなか、郵便局での開示請求に手こずっております。

記載内容

不正出金 預金 取引履歴 ゆうちょ銀行 最高裁判決 全員の同意
(りき)





【調査は可能です】

 かなり以前には相続人単独での開示請求を認めない金融機関も多かったのですが、平成21年に相続人単独による開示請求が最高裁判決により認められました(最高裁判決については「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」 参照)。

 そのため、現在では、法定相続人であることを裏付ける戸籍や除籍謄本を提出することにより、被相続人名義の預貯金の取引履歴を調査することが可能です。

 《ゆうちょ銀行》についても、同様に開示をしてもらえます。

 相続人本人が請求する場合でも、又、代理人として当事務所が請求する場合でも、ゆうちょ銀行が回答をしなかったことは一度もありません。




【開示される内容は・・】

 なお、取引履歴には、入出金だけではなく、振替も記載されており貯金の動きがすべて記載されています




【手続きは・・】

 取り引き履歴の開示に必要な書類としては、法定相続人であることを証明する被相続人の除籍謄本やあなたの戸籍謄本免許証などの本人証明書類は、まずどこの金融機関でも必要でしょう。

 そのほかに実印や印鑑証明書等がいるかどうかは、金融機関に異なる場合もありますので、必要書類を問合せておくとよいでしょう。
(なお、手続については(Q&A №205Q&A №98ほか参考カテゴリ:「遺産調査」に詳しく記載しているのでご参照ください)

 ただ、弁護士なら回答するが、相続人が照会する場合には相続人の全員の同意をもらってきて欲しい、という金融機関も中には存在します(Q&A №342ほか)。

 このような場合には、いかなる理由で当該金融機関が開示を拒んでいるのかといった理由を聞いた上で、相続に強い弁護士に相談し、そのアドバイスを受けて対応されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:41 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割後の情報開示はできないのか【Q&A №344】

2014/02/13
 父が亡くなり遺産分割は終了したのですが、ここに来て被相続人が2つの銀行に預
金を持っており1つの銀行の預金を隠して遺産分割を終了した事がほぼ明るみになり
ました。

平成21年1月22日の最高裁判例では、遺産分割協議前の被相続人の預金開示は相続人1
人でも開示可能との判例が出されたようですが、遺産分割後では被相続人から権利が
移行しているのを理由に銀行は被相続人の預金開示を拒んでいます。

これからどのような戦いをしていけばよいのでしょうか?
遺産分割の無効を訴えて行けばおいのでしょうか?
御教授願います。

記載内容

名義変更 預金 情報開示 照会
(キューブ)


【取引履歴の開示は相続人一人でも請求できるのが判例だが・・】
 質問に引用されている判例(最高裁判決平成21年1月22日)により、相続人であれば、他の相続人の同意なしに預貯金口座の内容(履歴等)の開示を請求することができ、金融機関はこれを拒むことはできません。

【遺産分割後は事情が違う?・・・他の相続人が預貯金を取得する場合】
 ところが質問では、遺産分割が終了しているようであり、そのことを理由に金融機関があなたに対する履歴の開示を拒否しているようです。
 金融機関の立場に立ってどのような拒否理由があるかを考えてみましょう。
 まず、遺産分割協議により、開示を請求している預貯金口座があなた以外(たとえばAさん)が取得すると合意される場合があります。
 この場合にはその預金は既に被相続人のものではなく、Aさんという人の口座ともいうべきもの(要するに他人の口座)ですから、金融機関としては、その口座の履歴の開示を拒否することもできるという判断も可能かもしれません。

【遺産分割の対象となっていない預貯金は被相続人のもので開示が必要である】
 しかし、質問では遺産分割の対象となっていない預貯金の開示を拒否しているようです。
 被相続人の預貯金で遺産分割の対象となっていないのであれば、現在も被相続人のものですので、金融機関としては開示を拒否する理由はないと考えられます。
 あなたとしては、この点を根拠に金融機関に開示を請求するといいでしょう。

【それでも金融機関が開示に応じない場合には】
 あなたが頑張っても金融機関が開示に応じない場合には、一度、弁護士に相談されるといいでしょう。
 弁護士は弁護士会を通じて金融機関に照会をかけることができます。
 この照会は弁護士法という法律に基づく照会ですし、弁護士会から照会の書面が行きますので、金融機関が回答をする可能性もあると思います。
 なお、それでも、開示を渋るようであれば、弁護士が直接金融機関と交渉して、開示させるように働きかけることもできます(前記判例が出る前には当事務所でも、直接金融機関に開示するように説得し、これに応じて開示された場合もあります)。
 それでも開示しない場合には、弁護士から《開示しないと損害賠償請求をする》との内容証明を金融機関に出すという手も考えられます。
 遺産分割無効訴訟をするというのは最後の手段になりますが、無効を主張できるだけの根拠があるかどうか、弁護士と協議が必要でしょう。
 いずれにせよ、あなたとしてはできるだけの努力をし、その後は弁護士と相談して、対策を考えられるといいでしょう。
 なお、同種の問題を当ブログ、Q&A №342【遺産相続後のトラブル】でも取り上げていますので、ご参照ください。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:08 遺産調査 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME | Prev »