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認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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09:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★叔父の葬儀費用を請求したい【Q&A №545】

2016/12/02



【質問の要旨】

連絡がとれない相続人に葬儀費用を請求できるのか

記載内容 お葬式代  請求

【ご質問内容】

叔父のお葬式代について質問があります・・・ぜひ回答ください。
まずは必要な情報としてプロフィールを見てください。

【叔父】
離婚歴あり娘が4人で叔父は今は独身
叔父や私たちは娘さんたちとは離婚したあとに連絡先を知らずにとれない状態です
でも娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐとおもいます。

【私の父】
・叔父からみたら弟で男兄弟は父だけ。他の兄弟は叔父からみたら姉が4人います。
お葬式の喪主は父がしてお葬式代を父がだす形になるとおもいます。
ちなみに娘さんたちは探す予定です。財産分与の件もありますので。

ここから質問です。質問は3点あります。

① もし娘さんたちが見つかり、この場合は財産を引き継ぐ娘さんたちにはお葬式代は請求できないんでしょうか

② もし請求ができたら回収できる確率はどれくらいでしょうか?
(前例などあればいけるとおもっていますがこのような少し変わった事例などで裁判費用を回収できたということがあったのなら助かります)

③娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐ引き継がないなどの2つのパターンでも請求ができるできないとかなどの選択肢が変わるようなこともあるんでしょうか。

お手数掛けますがどうぞ回答の方をよろしくお願いします。

(ゆき)







【叔父さんが死亡したときの相続関係】

叔父さんが遺言書を作成せずに死亡した場合、配偶者はないため、その遺産は叔父さんの娘4人(以下、娘4人と言います)が法定相続します

あなたのお父さんは、上記娘4人が全て相続放棄をしない限り、相続人になりません


【葬儀費用の負担について】

相続債務であれば、遺産から支払いを受けることが可能です。

例えば、叔父さんの治療費などが生前に支払いされていないのであれば、相続債務として、叔父さんの相続人である娘4人が支払義務を負います。

しかし、葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません

葬儀費用は喪主が負担するものです。

お父さんが喪主になるのであれば、葬儀費用を負担することになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

葬儀費用は前記のとおり相続債務ではありませんが、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その費用の分担を他の相続人に請求可能かという点については、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらうことが実務上、多いです

この場合、遺産分割とは別に、その葬儀費用を別途支払いするというのではなく、遺産分割での取得額から分担額を減額するということが多いです。


【今回の質問のケースで葬儀代は請求できないか?】

しかし、今回のケースは喪主が法定相続人ではないため、遺産分割の中で葬儀費用を分担するという実務と同視できないでしょう。

今回のようなケースに参考になる過去の裁判例としては、次の裁判例が参考になります。
【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従えば、娘4人に葬儀費用を請求するのは法的にはむずかしいという結論になります。

ただ、前記判例では甥姪2人のうち、1人は葬儀に参加していたようですが、2人ともにつき、葬儀費用の分担をする必要はないとの判断でした。

もし、娘4人が葬儀に出席していたのであれば、法的にはむずかしい点はあるものの、請求し 、支払いを拒否されたのに納得できないのであればあきらめるというが妥当なところだと思われます。

なお、お父さんには、葬儀代は返還してもらえない可能性があることを前提に、葬儀の規模や費用を判断するようにアドバイスされるといいでしょう。


【叔父さんが生きているのなら】

ただ、叔父さんが現在も生きておられ、かつ判断(意思)能力があるのなら、現時点で叔父さんと話をし、葬儀費用を預かるといいでしょう。

この場合、葬儀費用としてお金を預かることを明確にし、もし、金銭的に過不足が出た場合にどうするかという点も書面などで明確にしておくといいでしょう。


【娘らが相続放棄をした場合】

仮に4名の娘全員が相続放棄をした場合には、お父さんらの兄弟が相続人になる可能性があります。

この場合、喪主であるお父さんから、遺産分割の際に、葬儀に出席された他の法定相続人に対して葬儀代の分担を求められるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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11:09 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

第三者の寄与と遺言【Q&A №532】

2016/09/29



【質問の要旨①】

相続人の配偶者が費用負担すると寄与分になるか


【ご質問内容①】

被相続人(父)の介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部、不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用などを相続人である子(女)の配偶者(夫)が負担した場合、将来被相続人が逝去時、相続される過程の中で寄与分として認められますか?

(相続人は専業主婦により収入はなく、かかった費用は夫に委ねざるをえない状況による理由から。)

(九州女児)



【質問の要旨②】

特別受益の持ち戻しを遺言書に記載した場合、有効か

【ご質問内容②】

被相続人より住宅資金の援助として生前贈与を受けたという証明を取り付けるのが困難である場合、遺言書に「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。

相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」と記載した際、遺言書として認められますか?

記載内容 介護費用 援助

(博多っ子)




※同一人物と思われる方から2つに分けてご質問いただいていますが、回答は一つにまとめています。ご了解ください。

【寄与分の問題ではなく、相続債務の問題ではないのか?】

被相続人のお父さんの介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部を負担したことについては、被相続人の支払うべき分の立替支払いをしたとして理解することが可能です。

その前提に立てば、寄与分という以前に、被相続人は立替支払いをした人に対して返還債務を負い、この分は相続債務として法定相続人に承継されます。

同様に《不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用など》についても被相続人が立替費用返還債務を負い、これが相続人債務になると理解することが可能ですし、その方が実態に見合うでしょう。


【寄与分としてみた場合の問題点】

もし、上記費用の返還を求めないという前提で出したということであれば、寄与分の問題となります。

寄与分は認められることが少ないですが、例えば、付添看護をしたというような場合には、付添等をした分、ヘルパーの料金の支払いを免れた分程度しか、寄与分は認められません。

ただ、今回の質問のケースは、上記各支払いにより、被相続人の遺産が減少を免れたことが明らかですので、寄与分として認められる可能性はあると思われます。

問題は、寄与分は法定相続人間で認められる制度だという点です。

今回の質問は、法定相続人ではなく、その配偶者(夫)が寄与したという点にあります。

夫婦であり、一体と見て、夫の寄与分も妻の寄与と同視するという考え方が多いようですが、これらの問題点があることを考えれ
ば、やはり前項で記載した立替金返還請求債務として処理するのが妥当だと思います。


【特別受益に関する記載の効力】

遺言の効力を考える場合、

① その記載をして、遺言書全体が無効になるのかどうか?

② 遺言書全体としては無効にならないとしても、その記載が有効なのか?

という2つの方向からの検討が必要になります。

まず、最初の①の観点から言えば、「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」という内容は遺言書本体ではなく、遺言者の希望を書いた《付言事項》というものにすぎず、そのため、遺言書全体が無効になるということはありません

次に、上記②の付言事項として効力があるかという点ですが、仮に上記のような記載をしても、住宅資金を援助した事実があることの決定的な証拠にはならず、又、特別受益になるものでもありません。

前者はそのような事実があるかどうかの問題であり、後者はそのような事実があった場合にどのように法的評価するかの問題であり、いずれも遺言者が決定するべき事項ではなく、最終的に裁判所が判断するべき事項です。

もし、200万円を特別受益したから、その分、その受益者の取り分を減らしたいのであれば、その受益者の相続額を減額した配分の内容の遺言書を作成するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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16:58 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★子どもの国民年金掛金と特別受益【Q&A №527】

2016/09/07



【質問の要旨】

肩代わりした国民年金約240万円は、特別受益に該当するか

記載内容 年金 継続的 扶養


【ご質問内容】

20才から支払う義務がある国民年金「金額240万円程度」を肩代わりして支払いました(アルバイトで支払い能力がなかったため)。

そろそろ遺言書を作成すべき時期かと思案していますが。

この過去に支払った金額は特別受益に該当するのでしょうか。

宜しくお願い申し上げます。
(素浪人)







【事案によっては特別受益にあたる場合もある】

被相続人であるあなたが、相続人に対して「生計の資本としての贈与」をした場合、特別受益として、遺産分割の際に遺産に持ち戻されます(当ブログQ&A №164Q&A №334等参照)。

問題はどのような金銭等の提供が、《生計の資本》としての贈与になるかです。

例えば、相続人である長男の自宅買入資金として500万円を援助したというのであれば、特別受益になることは間違いありません。

しかし、今回のご相談は、毎月数万円程度の金銭を渡した、あるいはその程度の債務を立替支払いしたような場合です。

このような、毎月は少額でも多年にわたると金額も大きくなるような場合に、特別受益になるかどうかという問題になります。

お金を渡していれば贈与ではないかという反論が出そうですが、被相続人である親が子である相続人にお金を渡す場合、親の子に対する扶養義務の履行として渡しているとされる場合もあり、その場合には渡した金銭は特別受益にはなりません。


【判断基準はどういうものか】

次に、扶養義務の履行か否かを判断する基準は何かということが問題になります。

遺産の総額、一度に渡されたものかどうか、又、月々の支払い等であればその額はどうか、渡された期間やその交付する理由などが判断基準となるでしょう。

過去の家庭裁判所での審判例では、遺産総額や被相続人の収入状況から考えて、月に10万円に満たない送金は扶養的金銭援助にとどまるが、月10万円を超えるものは生計の資本としての贈与になり、特別受益になると判断したものがあります(東京家審平成21年1月30日・家月62巻9号62頁)。

(詳しくは【相続判例散策】毎月の送金が特別受益にあたるのか?をご参照ください。)


【遺言書の作成上の注意】

これから遺言書を作成するが、被相続人のした国民年金の立替分を特別受益にならないようにしたいというのであれば、次のような方法を考えられるといいでしょう。

① 国民年金立替分については《持ち戻しの免除する》との意思を遺言書に明記する。
② なぜ、持ち戻しの免除をするのかという理由を遺言書の付言事項として記載し、併せて他の相続人が特別受益という問題を持ち出さないようにという内容の遺言者の希望を記載する。

これらの①及び②の方法の双方を採用し、その内容を遺言書に記載することで解決されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:30 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】花押を押印の代わりにした遺言書は有効か?

2016/06/29
遺言書は、署名押印のあることが有効要件とされています。

「押印」というのは、ご存知の通り印鑑を使ってはんこを押すということです。

ところで、みなさんは「花押」をご存知でしょうか。

花押
「花押」は、書判(かきはん)とも呼ばれ、もともとは自署の代わりとして発生しましたが、そのうち実名の下に書かれるようになりました。

つまり、印鑑ではなく、「筆で書く」という点では署名に近いものといえます。

時代劇で戦国武将の手紙が出てきたときに目にされたことがある方もいるでしょう。


その花押が、遺言書に必要な「押印」の代わりになるかどうかが裁判で争われ、最高裁は、「花押は押印とは認められない」という判断を示しました(最高裁平成28年6月3日)。

民法968条1項は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」として、遺言書には、自筆の署名に加えて押印が必要だと定めています。

裁判で争われたのは、押印の代わりに花押が使われた遺言書(不動産などの財産を次男に相続させるという内容であった)が有効かどうかという点です。

最高裁は、押印まで必要とする趣旨について、「遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解される」とした上で、「我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い。」と判断し、花押を押印と認めず、この遺言書は無効としました。

判決文を読んで、「はんこなら100円均一で買ってきたものでも有効で、由緒正しき花押は無効?花押のほうが遺言者の同一性も、文書に書いたことが真意であるということも明らかなんじゃないの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

このように「印鑑を押す」という形にこだわるのは、日本では大事な書類には必ずと言っていいほどはんこを押すため、はんこを押すということは《書面に書いた内容に責任を持つ》という強い意志の表れとみなされ、下書き段階のものと区別される(完成が担保される)からだと思われます。

私も小さい頃から親に「簡単にはんこを押すな」と教えられ、小さいながらに「はんこを押すというのはおそろしいことなんだなあ」と思っていた記憶があります。

では、花押はどうなのでしょうか。

「花押を使ったということは書面に書いた内容に責任を持つという意識があるということだ」といえるのかが問題ですが、これは人によるのかもしれません。

たとえば、英文の自筆遺言証書に遺言者の署名は書かれていたが押印を欠いていたという場合、その人が遺言書作成の約1年9か月前に日本に帰化した白系ロシア人であり、主としてロシア語や英語を話し、日常の生活もヨーロッパの様式に従い、印章を使用するのは官庁に提出する書類等特に先方から押印を要求されるものに限られていた等の事情を考慮して、押印のない遺言書でも有効と判断した最高裁判例があります(最高裁昭和49年12月24日)。

これは、遺言書を書いた本人に注目し、その本人の慣行からして押印がなくても有効な遺言書といえそうかを判断しているものと思われます。

この判例を前提にすれば、私がいきなり「これが私の花押だ」と言ってサインのようなものを書いたとしても、それが押印代わりだとみなされることはないでしょうが、ずっと押印代わりに花押を使い続けていた人がいて、そのことが明らかであれば、押印とみなしてもよいのではないかと思います。

(弁護士 岡井理紗)

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13:51 遺言書 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

預貯金を祭祀の費用として相続人に託したい【Q&A №510】

2016/06/21



【質問の要旨】

祭祀の費用として預貯金を託したい

記載内容  信託 葬儀 

【ご質問内容】

預貯金を相続させるのではなく、葬儀や供養とお墓の存続にかかる費用として、名前を継ぐ者に託したいと思っています。

どの様に遺言書を作成したら良いかお教え下さい。

2名の子供がおりますが。金銭感覚がしっかりし、供養をしている者に預けたいと思っています。

(まさこ)






【遺言で祭祀の承継者を定める】


葬儀・供養及びお墓の存続を託すということですが、そのような役割は法律上、《祭祀の承継者》ということになります。

さて、遺言で《祭祀の承継者》を定めることはできます

但し、当然のことですが、《金銭感覚がしっかりし、供養をしている者》というようなことを遺言書に記載しても効力はなく、具体的な氏名の記載が必要です。


【祭祀の費用のために使用を実現させるには・・負担付遺贈では難しい】

考えられるのは、
 ① 遺言で負担付遺贈をする。
 ② 遺言信託をする。
のいずれかの方法です。

まず、①の方法の場合、遺言で祭祀の承継者に預貯金は相続させる(遺贈する)としたうえで、これらの預貯金は祭祀の実行に使わなければならないという負担も記載しておくことになります。

ただ、質問にあるように預貯金を相続させたくないというのであれば、この方法はとれません。

また、このような負担付遺贈をしても、本当にそのような目的に実行されるのかが疑問です。

さらに、仮に負担が実行されない場合には、法律上は負担付遺贈の遺言の取消を裁判所に請求することも可能です(民法1027条)が、現実問題としてそこまでするような例は少ないでしょう。

そのため、①の負担付遺贈はお勧めできません


【遺言信託の方がお勧め】

信託法は遺言信託という制度を定めています(同法3条2号:末記をご参照ください)。

遺言で財産(預貯金等)を委ねる人(受託者)を定め、その受託者に祭祀の費用として《祭祀の承継者》に金銭を渡すことを委託するのです。

信頼できる受託者に金融資産を託して祭祀のための費用を管理してもらい、《祭祀の承継者》の要請に応じて費用を支払ってもらうのです。

このような定めをしておくことによって、受託者に信頼できる人を選べば、その人がきちんと《祭祀の承継者》に必要な金銭を渡してくれるでしょうし、もし祭祀に使われないのであれば、そのようなお金を支払わないということになります。

次に、遺言では細かなことは定めることは少ないので、生前に受託者との関係で細かなルールを決めておく必要があります。

また、受託者は監督という面がありますので、相続人でない方が望ましいです。

ただ、相続人が遺産分割をする前に速やかに受託者に遺産を移動させる必要がありますので、遺言書は検認という時間のかかる手続きが不要で、速やかに実行が可能な公正証書遺言でするのが望ましいです。

いずれにせよ、遺言信託についての知識がある弁護士と相談され、あなたの希望がかなえられるような方策を考えられるといいでしょう。

【信託法3条2号】
第三条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
二 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法


(弁護士 大澤龍司)
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17:04 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★持ち戻し免除を受けたい【Q&A №503】

2016/05/19

【質問の要旨】

特別受益の持ち戻し免除について

記載内容  特別受益 免除 相続対策

【ご質問内容】

司法書士のもとで生前贈与の手続き、および遺言書作成をしましたが、現在、他の相続人から遺産分割申立書が来ました。

生前贈与手続き、遺言書作成を、司法書士に確認し、これなら生前贈与を受けたものは守られると聞いていたのですが、今になって、みなし相続財産として組み込まれることが分かりました

また、特別受益の免除を証明をしておけば、生前贈与を受けたものは持ち戻ししなくてよいという説明は一切ありませんでした

この場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか

宜しくお願い致します。

(あずき)






【税金の問題と相続の問題は別個である】

相続税対策として、被相続人の生前に金銭を贈与することがありますが、このような対策は節税にはなるものの、遺産分割については特別受益になります。

税務と相続(民法)の違いの例としては、死亡保険金は税務上は遺産として扱われるのに、民法上は遺産としては扱われない等、多々あります。


【相続分割(民法)では生前贈与は遺産の先渡しと考える】

生前に法定相続人の一部の人が財産の贈与を受けている場合には、相続に関する法律である民法では、《特別受益》として遺産に持ち戻します

これは相続人間での公平を図る目的で定められたものであり、生前贈与は遺産の先渡しと考えるということです。

具体的なケースで言うと、死亡時の遺産額が4000万円だが、あなたが生前に暦年贈与で合計1000万円を被相続人からもらっていたというケースであれば、その生前贈与金額を遺産に加算した遺産総額(5000万円)を前提に、これを法定相続分で分割することになります。

相続人が2人であるとすると、あなたの相続分は2500万円ですが、既に生前に特別受益があります。

そのため、あなたとしては2500万円から生前受益分を差し引いた1500万円しか相続できないということになります。


【持ち戻し免除について】

ただ、被相続人が、明示でも黙示でもよいので、遺産に持ち戻ししなくてもよいという意思表示をしていたことが証明できれば、特別受益であっても遺産に持ち戻す必要はありません

そして、黙示の持戻し免除の意思表示があったか否かについては、贈与の内容及び価額、贈与の動機、被相続人との生活関係、相続人及び被相続人の職業、経済状態及び健康状態、他の相続人が受けた贈与の内容・価額及びこれについての持戻し免除の意思表示の有無など諸般の事情を考慮して判断することになります

具体的には、

①家業承継のため、特定の相続人に対して相続分以外に農地などの財産を相続させた

②被相続人が生前贈与の見返りに利益を受けている(被相続人との同居のための居宅建設における土地使用の権限付与など)

③相続人に相続分以上の財産を必要とする特別な事情がある場合(病気などにより独立した生計を営むことが困難な相続人に対して生活保障を目的としてなされた贈与、妻の老後の生活を支えるための贈与など)

などの場合には持ち戻し免除を主張するといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
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17:55 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分と養育費の相殺【Q&A №501】

2016/05/12

 【質問の要旨】

別居中の妻が死亡したが、婚姻費用と遺留分はどうなるか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

家内と中二の子供と別居3年後に家内死亡。

審判(算定表)による婚姻費用を死亡前月(高二)まで支払。


遺言により、遺産(5千万)は全額子供が相続。

私(家内死亡前から病気で失業し借金生活)は、遺留分(1/4=1250万円)を求めて本人訴訟を起こすも、子供(義母と同居し私立大学卒業)側は、高二から大学卒業までの生活費や学費である養育費の実費(1600万円)と遺留分の相殺を要求。

(1)遺言書の内容(子供の生活費や大学進学費用に使え)は、母子の約束で扶養料を先渡しする義務(相続債務)とみなされるのか。

(2)私は無収入で数千万円の借金があり扶養能力はないが、借金より少ない遺留分をもらえば、多額の遺産のある子どもに対して養育費支払い義務があるのか。(子供の生活水準の方が高い)

(3)もし養育費の支払いが必要な場合は、

(ⅰ)月10万円の未払婚姻費用を基に、19歳までの生活費(大学費用含む?)を遺留分から控除するのか。

(ⅱ)20歳以上も、上記金額を大学卒業歳まで適用?

又は子供の主張する実費を遺留分又は遺産?から控除するのか。

十分な資産がある20歳以上の子供に、養育費の支払いが必要か。

(ⅲ)養育費が相続債務とみなされる場合は、養育費の半分が家内の債務で遺産から控除され、私の半分は扶養能力があれば遺留分から控除されるという考えか。

(ⅳ)上記に限らず、どのように考えるが正しいですか。

(オーくん)







【婚姻費用は妻の死亡により消滅する】

あなたは別居中の奥さんに対して婚姻費用を支払う義務を負っておられるようですが、この義務は奥さんが死亡した時点で消滅します

なぜなら、婚姻費用は婚姻があることを前提とするものですが、奥さんの死亡により婚姻そのものがなくなるからです

ただ、奥さんが死亡するまでに未払いの婚姻費用があれば、それは既に生前の婚姻期間中に発生した請求債権(未払い婚姻費用請求債権)として相続の対象になります。


【養育費の支払いについて】

婚姻費用の中には、実質上、未成年の子供の養育費分も含まれています。

奥さんの死亡により、死亡後の婚姻費用の支払いは不要になりますが、今度はあなたと子供さんとの養育費問題が現実化します

子供さんから請求されれば、親であるあなたに養育費の支払義務が生じる場合があります


【本件の場合の養育費支払いの要否について】

では、子供さんの言うような養育費の支払いが必要なのでしょうか。

収入及び時期と言う2つの面で支払い義務の履行を拒む理由が考えられます。

まず、収入の点からは次のように考えるといいでしょう。

養育費の支払いは支払い義務者である親に収入があることを前提にしていますが、あなたに収入がないというのであれば支払い義務は発生しないということになります。

次に時期的に言えば、養育費の支払いなどについて調停が申立される場合、支払いの開始時期はその調停申立のあった時期だとされています。

養育費の発生時期については、請求のあった時点以降であるという考えも強く、この考えに従えば請求前の過去に遡っての請求はできないということになります。

又、月毎に支払われる定期給付債権であるとして、民法169条の短期消滅時効の適用を受けるとして過去5年間の分だけの請求を認める考えもありえます。

これらの点の詳しいことを知りたければ、別途、養育費についての文献やネット検索をされるといいでしょう。

なお、子供に財産があるということだけで、養育費の支払い義務が免除されるということはないと思われますが、この点も別途調査されることをお勧めします。

又、成年に達した後の大学終了時点までの養育費の支払いの要否や学費分まで支払いの要否についても別途調査されるといいでしょう。


【遺留分減殺請求により得た利益をどう考えるか】

あなたとしては、今回遺留分減殺請求により収入を得ることになります。

しかし、あなたとしては養育費の算定の基礎となる収入は給料等の継続的な収入であり、遺留分のような一時的な収入とは言えないと主張することも可能です。

養育費算定表には給料年額あるいは自営業者の年収入額を前提として算定グラフが作られているからです。

ただ、このような主張に対しては、給料や自営での収入ではなくとも、親であるあなたが収入を得ているのであれば、給料等の収入に準じるものとして、算定される可能性もありえます。

その場合には、その収入のあった年度については、遺留分減殺請求額を前提にして計算された養育費を支払い、その翌年以降は無収入として養育費の支払いを拒むということを主張されえるといいでしょう

なお、無収入であっても《潜在的稼働能力があり、就労が困難といえないような事情がある場合には、ある程度の収入があるものとして、養育費が算定される可能性がありえますので、この点も併せご留意ください。


【遺留分と養育費の相殺との関係】

結局、前項の後段の前提(遺留分の支払いのあった年度にのみ、それを前提として養育費を支払う)というのであれば、その年度の養育費額のみが相殺の対象なり、その分が遺留分から減額されるという結論になるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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16:40 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の采配に任せるという遺言の効力【Q&A №476】

2015/10/22

 

父が亡くなり、母宛の「遺産の分配などは任せる」という内容の手紙があります。

母は全ての財産を好きなようにして良いでしょうか?



【ご質問内容】

遺言書かの確認
父がなくなった後に、正式ではありませんが遺言状のような手紙がみつかりました。
自分の遺した資産の分配などは、母の采配に任せる・・との内容でした。

生命保険
固定資産はなく、全て現金と母が受取人の保険でした。

遺産の公開
最近、母に父の遺産の公開を求めたところ、総額は4000万円と聞いています。(母のメモしか残っていません)
母は父の手紙のとおり自分の采配で、私達(娘2人)には、内訳を公開せず、全て自分名義の口座にいれました。
その後、そこから2000万円を自分の名前で死亡保険をかけ、受取人を娘二人にしています。
それも、最近わかりました。
私達娘は、母が亡くなるのを待つのではなく、できれば今、その保険を解約し、現金をもらいたいと母に頼みました。
母は不本意なようで、私のお金だから、私の好きにすると言います。

父からの手紙に従っている母のこの権利は有効なのでしょうか。質問申し上げます。

記載内容 預金 相続手続 生命保険


(huruhuru-516)








【遺言書として有効であるかどうかを確認する必要がある】

 質問からいうと、お父さんが残されたのは遺言書ではない可能性が高いように思われますが、念のために遺言書になるかどうかを確認されるといいでしょう。

 遺言書として認められるための要件については【コラム】自筆証書遺言をご参照ください。

 次に遺言書として有効なものであったとしても、《ある特定の人に遺産の処理を任せます》という内容であったときに、その任された人が他の相続人の意見も聞かずに、勝手に遺産分割することができるのかという点も法的に問題なります。

 この点については、その言葉がお母さんに全部相続させるという意味なのか、または、文字通り遺産分割の仕方を任せるという意味なのかという文言の解釈の問題になります。

 仮に後の場合であるとすると、遺産分割は相続人がすることであり、遺言者がそのようなことまで指定できないはずだから、遺言のその部分は無効だと述べていると理解することができる最近の裁判例(本論ではない部分ですが)があることも知っておくといいでしょう(大阪高等裁判所判決平成25年9月5日:末尾参照裁判例をご覧ください)。なお、この裁判例では、亡くなった方の状況等からすると、全部相続させるという意味だと判断しています。

 ただ、質問の趣旨から言えば、遺言書ではないことが前提のようですので、以下においてはそのような前提で回答をしていきます。



【生命保険は遺産分割の対象ではない】

 生命保険は遺産ではありません(この点についてはQ&A №299をご参照ください)。

 従って、生命保険は遺産分割の対象にはならず、原則として保険で受取人として指定された人が単独で取得します




【お父さんの現金は遺産分割しなければならない】

 遺産の中に預貯金があれば、それは法定相続人がその法定相続分に応じて分割取得します。

 ただ、質問では預貯金はなく、現金ということですので、お母さんがその全部を手元に置かれており、それをお母さんの預金口座に入金したのでしょう。

 その現金がお父さんの遺産であることが明らかであれば、お父さんの遺産として分割の対象になります

 あなたとしてはその現金の法定相続分を分割してもらう権利があります。

 そのお金が生命保険の掛け金に使用されているかどうかは別として、あなたとしては法定相続分に該当する現金を支払うようにお母さんに請求されるといいでしょう



【預貯金の調査も必要不可欠です】

 預貯金口座がない人はまずいないでしょう。

 現金で4000万円もあったのなら、当然、お父さんの預貯金口座があったと思われます。

 お母さんが預貯金がなかったと主張されているかもしれませんが、信じがたいことです。

 死亡時の残高が少ないかもしれませんが、生前に無断で引き出された可能性もあります。

 金融機関の履歴照会が必要不可欠でしょう(Q&A №6をご参照ください)。



【弁護士に相談をした方がよい】

 今回の質問では、お父さんの手紙が遺言書として効力があるかどうか、また、仮に遺言書であると判断されたとしても、その内容がどの程度の効力を有するのかという法律問題があります。

 また、今後、お母さんにどのように対応していけばいいのかという問題もあります。

 弁護士としてはその手紙を見た上で法的な判断をするということになります。

 事件を依頼するかどうかは別として、早い段階で相続に詳しい弁護士の意見をお聞きになるといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)


《参照裁判例》
大阪高等裁判所平成25年9月5日判決から引用

(一般論としてではなく、本件の事情からすると)「全てまかせますよろしくお願いします」という本件遺言は、…遺産分割手続きを委せるという意味であるとは考え難く(本件遺言が遺産分割手続をすることを控訴人に委せる趣旨であるとすると、そもそもそのような遺言は無意味である。)、…遺産全部を控訴人に包括遺贈する趣旨のものであると理解するのが相当である。

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16:35 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

内妻が受けた贈与の立証【Q&A No.468】

2015/09/16



 長いあいだ一緒に暮らした彼が亡くなる直前に私に現金を渡してくれました。

 彼の遠い親戚で相続人に当たる人がでてきて、お金の話ばかりします。

 そんな人に法的に権利があって、彼の遺志が踏みにじられるのが悔しいです。



記載内容

  内縁の妻 生前贈与 預金引き出し


【ご質問の詳細】

 肺ガンの余命宣告された彼が、亡くなる前に現金を渡してくれました。

 長い間一緒に暮らし、信頼し合える良きパートナーで、生活費や税金支払い等もその都度頼まれて私がカードで降ろしていました。

 彼の母親の介護も私が引き受けていましたが、後を追う様に数日後、亡くなりました。

 贈与なる最後の預金引出しも私が行い、手渡しで彼から現金を頂きました。

 二人の火葬を行い、火葬費や治療費もその中から支払っています。

 やがて遠い親戚の相続人(50年以上も会っていない従兄弟)が現れ、預金の流れや資産の事ばかり気にしています。

 病床で話合い、互いに納得して頂いた現金ですが、正当な贈与だと確信を持って良いでしょうか?

 私宛のメール(エンディングノートのような内容)に同様の記載があります。

 自分が居なくなった後の生活を心配してくれる感謝の気持が大きく、彼の手で現金の重みを感じ取ってもらってから受け取りたかった事が真実です。

 生前に司法書士に依頼するように言われましたが、在宅緩和ケアで付きっきりの看病の中、法的な手続きする事など考えにも及びませんでした。

 何より相続人となる従兄弟が、故人を偲ぶより、資産の事ばかり気にしている事が腹立たしく、そんな人が法的には権利があり、彼の遺志まで踏みにじられてしまうのは無念でなりません。

 今後どう対処すれば良いでしょうか?

 どうか宜しくお願い致します。

(ラベル)







【内縁の妻は相続では保護されない】

 質問から見ると、あなたは《内縁の妻》という立場になります。

 内縁の妻には相続分はありません。

 もし、内縁関係にあるのなら、彼に遺言書を作成してもらう、あるいは贈与契約書を作成すべきでした。

 あなたとしては相続という主張はできず、生前にあなたに対する贈与があったのかどうかが証明できるかどうかが焦点になります。





【残っている彼の物は相続人に引き渡す必要があります】

 これまで彼に全く見向きも付き合いもなかった親戚が急にお金のことにこだわってくると、今まで介護に苦労されていたあなたが腹立たしく思われる気持ちはよくわかります。 

 しかし、相手方のいとこが相続人(正確には、彼の相続人であるお母さんの相続人)であれば、彼が残した遺産は衣類や家具から預金通帳まで、すべて相続人であるそのいとこに権利が帰属します。

 そのため、法的には相続人から「彼の遺品である預金通帳などを渡せ」と言われれば拒否するのはむずかしいでしょう。





【贈与を裏付ける証拠がどれほどあるかの勝負です】

 あなたが彼の死亡直前に受けた生前贈与ですが、引き出し当時のカルテなどから彼がまだ正常な判断能力を有していたのであれば、贈与として認められる余地があります。

 問題は、彼があなたに贈与したという点をどのように証明するかということです。

 彼からのメールに贈与する理由や動機などが記載されていればそれも証拠となり得ると思われます。

 現時点で彼は死んでいるのですから、残された証拠で反論するしかありません。

 もし、相手方が弁護士を立てて本格的な返還請求を行う可能性が高いのであれば、あなたも早めに弁護士に相談し、どのような手段で贈与を立証できるのか対策を立てておかれるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)
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13:23 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★書類を偽造した姉は相続できるのか?【Q&A №461】

2015/08/25



【ご質問のまとめ】

子5人のうち長男が亡くなり、続いて、父、母の順で亡くなりました。

長女に有利な内容で遺産分割がされました。

残りの兄弟は、よくわからないままサインしました。

数年後、長男の財産について、長女が偽造で名義を書き換えていたことがわかりました。

長男の財産を分けるにあたって、長女を外すことはできませんか?

残りの兄弟たちが長女に主張できることはないですか?



記載内容

 偽造 欠格 遺産分割協議


【ご質問内容】

両親と兄と四人姉妹です。

兄は独身で両親より早くに亡くなりました。子供はいませんでした。

亡くなる1年前に兄の不動産は姉名義に変えられており、両親が相続する財産はありませんでした。

その2年後に父が亡くなり、さらに4か月後に母が亡くなりました。

両親を続けて亡くして平常心では無い中、長女が知り合いの税理士と一緒になって遺産分割協議を主導しました。

父は公正証書で母と兄そして長女に不動産を遺贈していました。

母は遺言書を書いてはいません。

父の遺言書の執行と母の遺産分割を同時に行いました。

法律のことをよく理解していなかった妹3人は、遺産分割協議書にサインしてしまい、その協議書の控えを貰えることも知らず、とても不公平な分割を了承していることに後で気づきました。

どうすることもできずに7年が過ぎたころ、長女名義に変えられた兄の不動産は、長女が書類を偽造して勝手に名義変更していた事が分かり、裁判で兄の名義に戻しました。

しかし、その兄名義の不動産を姉妹で相続するにあたり長女は法定での分割を主張して譲りません。

長女に遺産を渡さない方法はないでしょうか。

私達が長女に対して法的に主張出来ることはありますか。

父から遺贈された不動産は特別受益として、今回の遺産に含めることは可能でしょうか。

7年前にもどって遺産分割協議を最初からやり直したい気持ちです。

宜しくおねがいします。

(イーサン)





【お兄さんの遺産分割について】

 お兄さんには配偶者(妻)も子もないのですから、お兄さんの遺産は直系尊属であるお父さんとお母さんが相続することになり、その法定相続分は2分の1ずつです。

※ 本来の相続の流れ

          お兄さん
             
お父さん(1/2) お母さん(1/2)
                  
 子  お母さん       
         
         


【お兄さんの遺産でお父さんが相続した分について】

 お父さんはお兄さんとお母さん、妹さんに不動産を遺贈しているのですから、この遺贈分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。

 ただ、既にお父さんの遺産について分割協議が行われているのであれば、その対象となったお父さんの遺産については特別受益分も含んで解決したと考えるのが通常でしょう。

 遺産分割協議後に(お兄さんの分をお父さんが相続した)新たな遺産が判明した場合には、残念ですが、長女の主張するように法定相続分は渡さざるをえないことになります。



【欠格事由にも該当しない】

 相続人から除外する制度としては欠格制度があります(民法891条:末記条文を参照ください)。

 この制度は被相続人を殺したり、遺言書を偽造したような場合には相続させないという制度です。

 しかし、今回の質問では遺言書ではなく、登記関係書類の偽造ですので、この欠格事由にもなりません。



【遺産分割協議に取消、無効事由はないかを考える】

 結局、既に遺産分割協議をしているというのが一番のネックです。

 事情がわからなかったのならその時点で弁護士等に相談されるべきでした。

 現在、取りうる手段としては、遺産分割協議を何らかの理由で無効にすることです。

 遺産分割協議について、騙されたようなことや思い違い(錯誤)をしているような場合には詐欺で協議を取り消しし、あるいは錯誤で無効とすることもできなくはありません。

 遅きに失した感がなくはありませんが、相続に詳しい弁護士に分割協議時点の具体的な話をしたうえで、協議を無効や取り消しになるような方策がないかどうかを相談されるといいでしょう。

 また、仮にお兄さんの不動産を長女名義にしていた際、長女がその不動産を他人に賃貸しておれば、その賃料を法定相続分に応じて返還請求することも可能でしょう。

(弁護士 大澤龍司)



【参考条文】
民法
(相続人の欠格事由)
第891条
 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
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委任状で許される出金 【Q&A №460】

2015/08/05



【質問のまとめ】

父は長男に全財産の現金を預けて、その管理処分について長男に委任しています。

長男が勝手に使ってしまうことが心配です。

相続が開始した後に、法定相続分を主張することができますか?



記載内容

 委任状 処分 財産管理


【ご質問内容】

 三人兄弟です。

 15年前に母は他界し、その直後に父が長男に委任状を手渡した上で、全財産の現金を預けています。

 委任状は全て父の直筆で書かれ、預けた金銭の管理と処分の一切の権限を長男に委任する旨と、委任状の効力は父の死亡を
以て終了とする旨が記載され、作成年月日と氏名、拇印と実印が押印され、印鑑証明書も添付されています。

 預けている金額は三千万円ですが、委任状の文面に金銭の「管理」のみならず「処分」まで書かれている場合、処分と題して、長男が勝手に消費してしまい、父の相続が開始された時点でその金額が目減りしていたとしても、その目減り分を長男に請求することはできないのでしょうか?

 要するに、「預けたお金はお前(長男)の自由に使って良いよ」と父が言っているような気がしてなりません。

 父に問い質しても、「長男に全て一任してあるから、口を挟むな」と言われる始末です。

 父は昔から長男を頼り、溺愛していたことから、その一切の権限を委ねたものかと想像しますが、あくまでも委任状であり、遺言書でない以上、遺留分等に縛られることなく、堂々と法定相続分を主張することはできますか?

 委任状の役割や効力の範囲がいまいちよく分からないため、処分の権限まで与えられたからと言って、兄が勝手に処分(消費)していた場合の対応が気になり心配です。

(カマちゃん)







【弁護士により回答が異なる可能性があります】

 今回の質問は弁護士により回答が異なる可能性があります。

 あくまで私(弁護士大澤)の見解ということで理解ください。

 まず、今回の質問ではお父さんが長男さんに「委任」したという前提になっています。

 ただ、委任内容が明らかではありません。

 具体的に言えば、何について委任したかが明らかではありまえん。

 例えば使途についていえば、お父さんの病院費や生活費についての出金の管理を依頼したのか、それ以外の事項も依頼したのかが明らかではありません。

 次に処分まで認めたということですが、現金の処分というのはどういうものでしょうか。

 預かり現金からの支払いを認めたというのか、それ以上に長男さんの個人的の使途に使ってもいいというのでしょうか。

 これらの点についてはより深く事情をお聞きした中で判断するべきことです。

 ただ、現在の質問で記載された限度で次項のとおり回答をします。



【委任であるという点を重視した場合の回答】

 今回は「委任」ということが前提になっていますので、その前提で考えます。

 委任であれば、長男さんとしてはお父さんのために預かり現金を利用するという制限があるので、自由勝手に処分した場合には委任の趣旨に反するということになります。

 ただ長男さんが自由勝手に処分することを認めるのなら、委任という言葉を選択することはないでしょう。

 預り金を私的に使用することを認めるのなら、それは委任ではなく、その分については「贈与」というべきものになります。

 委任という言葉にこだわる限りでは、お父さんのために必要な使途にのみ使うべきであり、それ以外に長男さんが自由勝手に使うことを認めるという趣旨ではないと理解せざるを得ません。

 なお、委任契約はお父さんの死亡した場合にはその効力を失うという内容になっています。

 法律(民法)の委任契約の条文では、委任者が死亡した場合には委任契約は終了することになっています。

 ただ、今回の委任契約では、そのような条文があるにも関わらず、わざわざ、お父さんが死亡すれば委任が終了するとされているのなら、その理由はやはり《私のために使ってほしい》とお父さんが考えたことによると推測できるのではないでしょうか。



【長男さんが勝手に使った場合の対応】

 長男さんが自分の私的目的に預金を使ったということであれば、お父さんは長男さんに対して、委任契約で指定した目的に反して金銭を支出したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求権を持つことになります。

 お父さんが死亡されたが遺言書がなかった場合、各相続人はその相続分に応じて上記請求権を相続することになります。

 あなたとしては相続したこの権利を行使し、相続分に応じた金額を長男さんに請求するといいでしょう。



【贈与の趣旨も含んでいるとした場合】

 仮に委任契約が、長男さんが私的に使うことも認めていると理解できるのであれば、贈与的な部分も含んでいるということになります。

 この場合、長男さんが私的に使った部分は贈与と同視していいでしょう。

 そのため、その長男さんの私的使用分は生前贈与になり、遺産に持ち戻して、遺産分割することになります。

 また、遺言書があり、遺留分を計算する場合には、遺留分の計算の基礎にその贈与金額を算入することもできるでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
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騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
>>続きを読む・・・
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認知症の人の遺言【Q&A №451】

2015/07/02



【質問のまとめ】

認知症の人の遺言は有効ですか?

毎年遺言書を書いていて複数の遺言書がある場合、どの遺言が有効になりますか?



記載内容

  意思能力 認知症 書き換え 


【質問詳細】

 母が毎年6月に遺言書をかいているのですが、内容は「私に全財産を相続させる」という遺言書です。

①2013年6月

②2014年6月

③2015年6月

3通かいてます。

ところが、母は去年8月に認知症の診断を受けました。

この場合、遺言書は有効ですか?(③の遺言書)

認知症の診断がでる前の遺言書は有効ですか?(①②遺言書)

後で、兄弟から文句がでそうなので。

認知症の場合は遺言ができないのでしょうか?

遺言書は私が預かってます。

私としては、母が死亡したら、③の遺言書をだして、無効にされるより、①か②の遺言書を家裁へ出して、検認を受けたいとおもっているのですが、可能でしょうか?

③の遺言書が無効にされた場合、①②の遺言書を家裁へだすことは可能でしょうか?




(aso)





【認知症でも程度により遺言が有効となる場合があります】

一口に認知症といっても、現れる症状には、軽い・重いの程度の差があります。

そのため、認知症の方であっても、その症状が軽い方は遺言をすることができます

どの程度の症状が現れると遺言できなくなるか(遺言能力がなくなるか)については、認知症のテストで有名な長谷川式認知スケール(30点満点)でいえば、10点以下であれば遺言能力がないと判断される可能性が高いようです(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください)。




【無効かどうかの判断は・・】

 認知症と診断されたから遺言が無効になるわけではありません

 診断とは関係なく、認知症で意思能力がないから遺言が無効となるのです。


認知症と診断されたが、意思能力あり  遺言できる

認知症との診断はないが、意思能力なし  遺言できない



 意思能力の検査方法としては長谷川式認知スケール以外の方法もありますし、診断書以外の方法(例えば入院の際のカルテに記載された看護師とのやりとりなど)で意思能力の有無が判断されることもあります。




【複数の遺言を検認に持ち込むことも可能です】

 検認手続きとして、裁判所に複数の遺言書を持ち込むことも可能です。

 そのため、古い遺言と新しい遺言の双方を検認に出すことも可能ですし、3通あれば3通とも出すことも可能です。

 遺言は新たに書き換えれば、古い遺言は無効になります(正確に言えば、新しい遺言に矛盾する内容の古い遺言部分は無効になります)。

 そのため、私(大澤)としては、遺言書が複数あるのだったら、すべて同時に検認に出すのが良いと思います。
 
 しかし、特定の遺言書のみを先に出して、その後に他の遺言書を出すことも法的には可能です。

 ただ、後日、追加で出した場合、他の相続人から《なぜ、先に出さなかったのだ。なぜ、隠していたのだ》という不信感を持たれ、遺産分割がいたずらに紛糾することもあるというマイナス点を考慮に入れておかれるといいでしょう。
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父の言葉を代筆した遺言書の効力【Q&A №446】

2015/05/22




口頭で言ったことを、ほかの人が代筆して文書にして、

本人が自筆で署名押印した場合、将来の遺産分割協議で有利になりますか?



記載内容   遺留分 


【質問詳細】
 義父より自身が死んだ時のために相続人間で争い事が起きぬよう残しておきたいことがあるので、協力して欲しいと言われました。

 相続人(子)はA男・B男・C子で(私はC子夫)、C家が父を看ています(A・Bとソリが合わないことから)。

 父は今までにC家に対して自身の生活支援のお礼として事ある度に幾らかのお金を渡してきました。

 家屋購入資金(C子夫名義)、孫の入学祝いや就職祝い、孫の結婚祝い、等です。

 A家とB家にも相応にお金を渡していましたが、C家までには至らなかったようです。

 それがA・Bとして不満であり、大きな騒動になりました。

 C家は相続人であるC子が直接貰い受けていないお金もあるが、総括してA・Bより多くのお金をもらっていることから、父没後の遺産を放棄するつもりです(A・Bより色々理由つけられて遺留分を請求してくることが予想されることから)。

 これを義父に話したところ、「遺産は平等に受けろ。A・Bは今まで何も支援してくれない上に渡した金額差に文句を言っているだけ。二人が自分にしたことを明確に列記し、何で差がついたか、今まで幾ら渡したかを言うので、自身の宣言書として書き残して欲しい」とのことです(父は口は達者ですが体力が衰え書き事ができない)。

 内容はこれから考えるとの事ですが、とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面について将来の相続協議に有利となるのでしょうか?


(Noppo)





【それは遺言書ではない】
 
 質問者の方はおわかりのようですが、念のために記載しておきます。

 お父さんが考えた内容を、あなたが《とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面》は遺言書にはなりません

 遺言書は遺言者が全文を自分で記載し、日付及び署名・捺印をしたものです。

 お父さんの意思に基づいたとしても、その内容をあなたが記載したのでは遺言書にはなりません。



【お父さんの意思を書いた文書は相続協議に役に立つか】

 遺言書ではないにしても、死亡された人の意思がはっきりしている場合、それが遺産分割協議に役立つかは場合により異なります。

 法定相続人間でお父さんの意思についての共通了解があり、しかも法定相続人の間及びお父さんと法定相続人間で人間関係が円満な場合には、お父さんの意思が尊重される場合が多いでしょう。

 しかし、本件ではお父さんとあなた以外の法定相続人との関係も、法定相続人間の関係もぎくしゃくしていることを考えると、あなたが質問で記載したような書面を残しても、相続のためには役立たない可能性が極めて高いでしょう。




【相続放棄と遺留分】

 あなたは相続放棄をするということもお考えのようです。

 おそらく相続放棄をし、相続人にならないことによって、相続問題に巻き込まれないということをお考えになっていることと思います。

 あなたが相続放棄をするのであれば、あなたは相続人ではなくなりますので、法定相続分を前提とする遺産分割問題は発生しません

 しかし、あなたが生前に贈与を受けていたという事実はなくなるわけではありませんので、他の相続人としては、あなたに対して遺留分減殺請求をする可能性があります

 その場合、生前の贈与分は遺留分の算定の基礎財産に含まれることになります。

 相続放棄をしたからといって、遺産争いがなくなるわけではないということを理解しておく必要があるでしょう。




【遺留分減殺請求への対処が必要】

 本件では、遺産分割であれば他の相続人はあなたの特別受益を主張するであろうし、また、相続放棄をしても遺留分減殺をする可能性が高いです。

 そうであればあなたとしては、そのような事態に対処する方策を現時点で取っておく必要があります。

 そのような場合には、あなたとしては金銭を他の法定相続人に支払って解決することが多いです。

 その点を考えると、あなたとしてはお父さんから金融財産(預貯金等)をもらう内容の遺言書を書いてもらい、不動産等は他の法定相続人に渡すということで、将来の金銭支払いに対処するという必要があると思われます。

 いずれにせよ、具体的な金銭勘定がわかりませんが、この点については相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 なお、お父さんが遺言書をご自分で書けないというのであれば、公正証書遺言を公証人に作成してもらうという方法もありますので、この点も併せて弁護士と相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
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11:43 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産を分けてほしい【Q&A №445】

2015/05/20



遺産に関して、何通か白紙の用紙に印鑑を押してしまいました。

その結果、遺産分割にまったく加わることができませんでした。

被相続人の死亡から既に6年がたっていますが、私は何か主張できますか?



記載内容

  同意していない 無断登記 無断解約 登記名義変更 手続と分割とは別 


【質問詳細】

父の遺産を母と子2人で相続しました。

母は遺産がどのくらいあったか教えてくれず、銀行預金がおろせるように何通か白紙の用紙に印鑑を押すように言われ押してしまいました。

遺言書がなく、遺産分割協議もされず、名義変更などに同意していないのに不動産も母名義に書き換えられてしまいました。

不動産の一部はすでに売却されております。

母の善意を信じて少しは分けてくれるだろうと期待していましたが、もう何も残ってないのいってんばりです。

さらに、同居している兄に現在住んでいる家、土地を生前贈与する話があるようです。

相続分を請求したいです。

私(弟)は何もできないのでしょうか?

父が亡くなってすでに6年たちますが、もう遅いでしょうか?



(ぼーっとして太郎)





【何に署名・捺印したのか】

 あなたは、お母さんの言うがままに白紙の用紙に印鑑を押したため、遺産であるお父さんの銀行預金が下ろされ、また、相続財産である不動産もお母さん名義に移転登記されたという事案です。

 遺産である預貯金の払い戻しや相続登記には印鑑証明書が必要ですので、あなたは、お母さんの持ってきた書面に実印を押され、かつ印鑑証明書も渡されたのでしょう。

 捺印した用紙が白紙であったということですが、実は登記用の委任状あるいは預貯金を引き出すための相続人代表届であった可能性も高いと思われます。




【遺産分割はまだ終わっていないと主張する】

 あなたの基本的な姿勢としては、登記や預貯金を引き出す手続きには協力したが、それは単に手続きに協力しただけであって、お母さんが遺産全部を取得することに同意する意思はなかったという点を主張されるといいでしょう。

 お母さんが代表として預貯金を解約し、あるいは相続登記をするという手続の話と、その解約した預貯金や不動産を一人占めするということとは違う話だということを理解しておくといいでしょう。




【これからの対処法】

 お父さんの死亡から6年という時間が経過しています。
 
 この6年であなたの権利が消滅するということはありませんが、時間が経過すればするほど、話がしにくくなります。

 今なら間に合います。

 あなたとしては、今、すぐにお母さんに《遺産分割が終了していないので、私の法定相続分の遺産をください》と申し出るべきでしょう。

 ただ、お母さんがすんなりとあなたの言い分を飲むとは思われません。

 そうなれば遺産分割調停等の法的な手続きを取る必要がありますし、その可能性も高いと思います。

 いずれ、法的な手続きをしなければならない可能性を考えるのであれば、早い段階で、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 また、あなたがお母さんを相手にしては言いにくいこともあるというのであれば、弁護士に事件を依頼することを考えておくべきでしょう。

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15:10 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

母の預金は夫婦の共有か【Q&A №441】

2015/04/10
  


 家族は父、母、兄弟3人です。

 母の面倒を父と三男で行っていましたが、 母の余命が分かった時に長男が母が父との老後のために貯蓄していた母名義の定期などを解約、また年金の一部を引出し全て持っていきました。

  一部は持っていかれる前に母から三男に贈与されていて手元にあります。

 ただし口頭での贈与です。

 お金までならともかく、面倒をみていた父と三男の嘘を言って母を不安にさせ、支配し父のもとから連れ去ってしまい、一ヶ月後に亡くなりました。

 その後遺言書がでてきて、全財産は長男に渡すとの内容でした。

 長男が書かせたものだと思います。

 母は生前全く仕事をしたことが無く、父の給与で生活をしていました。

 年金以外の収入はありません。

 もちろん父は母が貯金をしていたことはわかっていましたが、任せていたという気持ちもあり、正確な金額は分かっていなかったようです。

 母の貯めていたお金は、父との共有財産なのではないですか?

 とりあえず遺留分の意思を伝えたら、遺言書を元に三男が押さえていたお金の返却を求めて長男から提訴されています。

 なぜか父と次男もいっしょに提訴されています。

 逆に父がそのお金は相続以前に共有財産で遺産ではないのだから、返却を求める裁判を起こすことはおかしい事でしょうか?

 またこちらから提訴して、今訴えられている裁判の差止めを行うことはできますか?


記載内容

  夫婦 共有財産 遺留分減殺請求 持ち分 


(りんりんちん)





【遺産の範囲について】

 被相続人名義の遺産は原則、被相続人の遺産になります。

 したがって、被相続人であるお母さん名義の預金があれば、それはお母さんの遺産になります。

 今回の質問では、お母さんは専業主婦だったので、そのような預金をする金額を持っていたはずがないということですが、そのような主張をするのなら、お母さんの名義であるが、お父さんのものであるという点の証明が必要になります。

 過去に経験したケースでは、お母さんが専業主婦であったが、お父さんの会社の役員になっており、会社から役員報酬が出ていたケースがありました。

 このようなケースがあったことも考えると、お父さんの口座からお母さんの口座に金銭が移ったというような、お父さんの財産が移動したことの裏付け資料が必要になることも考慮に入れておくべきでしょう。






【夫婦の共有財産ではない】

 お母さん名義の預金を夫婦の共有財産と考えて、半分はお父さんのものであるということができないかという質問ですが、答えはノーです。

 離婚する場合には、夫婦のいずれかの名義であっても、婚姻期間中に夫婦が共同で作ったものとして、夫婦それぞれの名義の全財産を折半することになります。

 しかし、今回は離婚ではなく、相続ですので、折半という考え方はできません。
(もし、そのような考え方をするなら、お父さん名義の財産の半分はお母さんの遺産となるという結論になり、遺産の範囲が不明確になり、収拾がつかなくなります)




【生前のお母さん名義の預金の解約について】

 長男が、お母さんの生前に無断で預金の引き出しをしたというのであれば、お母さんは長男に対して不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求をすることができます。

 しかし、すべてを長男にという内容のお母さんの遺言書が存在しているのなら、お母さんの請求権もすべて長男のものになりますので、他の法定相続人が返還請求をすることはできません。




【他の法定相続人がとるべき手段は・・】

 他の法定相続人がとるべき手段としては、まず、お母さんの遺言書の効力を争うという方法があります。

 お母さんが遺言書を書いた当時、十分な判断能力があったのかどうかを検討されるといいでしょう(相続ブログQ&A №423Q&A №301【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介》をご参照ください)

 次に、仮に遺言書が有効だとしても、他の法定相続人としては遺留分減殺請求をすることも考えていいでしょう。

 現在、長男は三男に対して生前贈与分の返還訴訟を提起したということですので、三男も弁護士に依頼することになるでしょう。

 他の相続人の方としても、相続に詳しい弁護士と相談され、遺言の有効性を争うメリットがあるのか、また、遺留分減殺請求をするのがいいのかを相談されることをお勧めします。

 なお、弁護士には長男との関係だけではなく、生前贈与を受けた金額次第では三男に対する法的処置の可能性もお聞きになるといいでしょう。

 最後に、あなたが長男に訴訟を起こしても、長男の訴訟が差し止めされることはありません。

 ただ、あなたが提訴したことによる裁判所の関与により、全体としての遺産問題が和解で終了することはよくありますし、事案によれば、そのような解決が一番望ましいこともありうることも申し添えておきます。
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12:47 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父、母が相次いで亡くなった場合の相続分計算【Q&A №432】

2015/02/26
 


 私の父が死んで、5年経つのですが、家と土地があって相続がもめています。

 母、長女、次女、長男の私4人でした。

 この場合、法定相続分はそれぞれ、2分の1、6分の1、6分の1、6分の1だとおもうのですが、相続がもめているうちに、まだ、話し合いがつかないうちに、(父の登記のまま)母が死んで、その後遺言書が見つかり、母の財産は すべて私に相続させる、ということでした。

 この場合、父の財産の私の相続分は、母の2分の1、プラス私の6分の1の合計6分の4になるのでしょうか?


記載内容

  数次相続 相次ぐ 計算

(桜餅)





【あなたの相続分は6分の4】

 現在、お父さん及びお母さんの遺産に関するあなたの相続分は6分の4であり、あなたのご指摘のとおりで正しいです。

 念のために記載すると次のとおりです。




【お父さんの法定相続分】

 子供がいるケースですので、配偶者は2分の1、子供は2分の1を平等の割合で遺産相続しますので、

・お母さん(配偶者)・・・2分の1

・あなた(子:長男)・・・6分の1

・長女(子)・・・・・・・6分の1

・次女(子)・・・・・・6分の1




【お母さんの遺産の相続】

 本来なら、お母さんの遺産は、あなたを含む3人の子供が平等で相続するはずですが、遺言書であなたが全部相続するということですので、お母さんの遺産の相続は次の通りになります。

・お父さんの遺産については、あなたがもともと持っている6分の1の法定相続分に加えて、遺言書によりお母さんの法定相続分である2分の1があなたにきますので、これを合計した6分の4があなたの相続分です。

・但し、お母さんの独自の遺産がある場合には、その分は全部、あなたが相続することになります。




【遺留分請求があるかもしれない】

 なお、お母さんの全遺産をあなたが相続するという遺言書がありますが、他の相続人としては、自分も遺産が欲しいといえば、法定相続分の半分の限度で遺産を請求できる制度―遺留分制度―があります。

 長女や次女が、この遺留分を請求してくることもあり、その場合にはお母さんの遺産の内の一部を渡す必要がありますので、その点は頭に入れておかれるといいでしょう。

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13:21 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言書の検認を受けてからするべきこと【Q&A №430】

2015/02/18
 


 昨年母親が亡くなりました。

 父親は十数年前にすでに他界しております。

 私には姉が一人おります。

 姉は現在社会人、大学生2人の娘と夫の5人家族で私のほうは小学6年生の息子と主人の3人家族です。

 母の病院の付き添いなどの面倒は主に姉が行ってきました。

 私の方は育児期が重なり主に週末など行ける時に息子の顔を見せに行くという形で関わってきました。

 母が亡くなってから姉より、実は数年前に母から遺言状をもらっていたと聞かされました。

 もらう際、「財産は全部あなたに」といった内容の遺言状であると聞かされながらもらったそうです。

 そうはいっても、ということで一度は財産は等分にしようということになったのですが、実家の片付けをする過程で意見の不一致などが重なってきたところで「やっぱり検認するから」といわれ手続きにかかっているそうです。

 姉はそれまでにも母より子供の学費や生活費の援助を相当額うけていましたし、もっと遡れば子供の幼少期には母は定期を買って足しげく姉のところに通い面倒をみておりました。

 つまり、過去からずっと持ちつ持たれつの関係でした。

 私の方は子供の頃から冷遇、姉は母の愛情を一身に受けておりました。

 悔しくてなりません。

 遺言状の存在を知りながら教えてもらえなかったこと、姉が生前に受けてきた恩恵。

 最後にとどめの一発、どう考えたらよいのでしょうか。

 自分の尊厳を守りぬく方法を教えてください。


記載内容

  秘密 自筆遺言書 検認 遺留分 特別受益

(みなしごはっち)





【まずするべきことは遺言書の確認です】

 質問では、お姉さんは遺言書があると言っておられ、検認の手続きをされる方向のようです。

 公証役場で作った公正証書遺言の場合には検認が不要ですので、遺言書は自筆でかかれた自筆証書遺言だと思われます。

 あなたとしては次の点を確認する必要があります。

①まず、本当に遺言書が存在するのかを確認する。

遺言書の内容がどのようなものかを確認する。

遺言書が有効かどうかを確認する。


 自筆証書遺言の場合、法律に定められた書式に合致しない場合には、遺言書は無効になります。

 たとえば、ワープロで作成したものは効力を持ちませんし、日付が抜けている場合も効力がありません。



【遺言書を入手して、有効性を確認する】

 自筆証書遺言の場合、お姉さんが家庭裁判所に検認の申立をします。

 裁判所は遺言書を開封し、その内容を他の法定相続人等に見せます。

 この裁判所の検認は遺言書が出てきたことを他の法定相続人に見せるというだけの手続きであり、裁判所がその遺言書が有効であるかどうかの判断はしません。

 あなたとしては遺言書の検認に際して裁判所が作成する検認調書(遺言書のコピーが付けられています)をもらい、有効な遺言書かどうかを判断されるといいでしょう。

 なお、その判断ができないというのであれば、相続に詳しい弁護士に法律相談され、遺言書が有効かどうかについての見解を聞かれるといいでしょう。




【遺言書が有効な場合の対処法】

 仮に遺言書が有効なものであり、その内容がお姉さんに遺産全部を相続させるというものであっても、あなたには、本来の法定相続分の半分(相続人があなたとお姉さんだけだとすると4分の1)の限度で遺産をもらえる遺留分減殺請求という制度があります。

 遺言書の内容を見て、あなたが全く遺産をもらえないような内容である、あるいはもらえるけれども遺産の4分の1に届かないというのであれば、遺言書を見たときから1年以内に、遺留分減殺請求通知を出されるといいでしょう。

 なお、お姉さんが、お母さんの生前にかなりの財産をもらっているような場合には、その生前にもらった分を特別受益として遺産に持ち戻すという制度があります(このような持ち戻しが認められると、あなたが遺産からもらう遺留分が増加します)。

 この遺留分や特別受益については、この相続ブログの他のQ&Aに詳しく書いておりますので参照されるといいでしょう。(相続Q&A №243Q&A №393ご参照)

 ただ、遺留分や特別受益については、法律的に難しい分野ですし、最終的には訴訟等の法的手続きが必要になる可能性も高いことから、早期に弁護士に相談、依頼することも視野に入れるといいでしょう。
 

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15:45 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前に引き出された預金と遺言【Q&A №426】

2015/01/23
 


 親が死んで、遺言書が見つかって、3人子供がいて、私が全財産もらうことになったのですが、親の財産は貯金だけで不動産その他ありません。

 ところが、貯金をみたら、すでに、親が死亡する前に1000万円ぐらい全額ひきおろされてました。

  姉が、親と一緒にきて、おろしていったそうです。

 ところが、そのお金はあねが管理するとかいって、親にわたさずに自分の預金口座に入金してしまっており、電気代とかは そこから引き落とししてたようです。

 しかし、お金の大部分はのこっているはずなのですが、 姉はじぶんのものにしてしまいました。

 この場合、どう対応したらいいのでしょうか?



記載内容

  全財産 遺言 死亡直前 贈与 預け金 法定相続人への特別受益

(fandango)





【お金を預けたのか、贈与したのかにより結論が異なる】

 親御さんと一緒に行って預金1000万円を引き出したというのですから、預金の引き出し自体は親御さんが納得されていたのでしょう。

 ただ、その後、その金銭をお姉さんが保管することになったことをどう見るかという問題があります。

 親御さんの電気代等はその口座から引き落とされていたという点から見れば、お姉さんに管理してもらっていたということも考えられ、親御さんがお姉さんに1000万円を預けていたということになる可能性があります。

 しかし、お姉さんの口座に入金している点からは贈与と考えられる余地も出てきそうです。

 結局は預金引き下ろし時点でどのような話が親御さんとお姉さんとの間であったかで決まることであり、質問からはどちらとも断定することはできません。

 以下のように場合分けした回答をします。




【預け金の場合・・全額、返還請求できる】

 親御さんがお姉さんにお金を預けていたのであれば、親御さんはその預けた金銭の返還を請求できます。

 遺言書であなたが全財産を相続することになったのですから、預け金の返還請求権はあなたに相続されます。

 したがって、電気代等で引き落とされた分を差し引いた残額を請求するといいでしょう。




【贈与の場合は、特別受益であり、遺留分請求の問題となる】

 贈与となる場合には、遺留分減殺請求で返還を求めることしかできません。

 遺言で全財産をもらうことになっていたとしても、親が死亡した当時、遺産が何もないのであれば、その遺言は役に立たず、あなたは遺産をもらえません。

 ただ、生前にお姉さんに贈与されており、あなたに遺産が全く来ない(あるいは少ししか来ない)場合には法律であなたに本来の法定相続分の半分を返還するように請求(遺留分減殺請求といいます)することができると定められています(民法第 1031条末尾参照)。

 法定相続人の特別受益については、時期を問わず、原則として遺留分に持ち戻しされます。

 今回のお姉さんの1000万円の贈与は遺留分減殺の対象になるでしょう。




【あなたとしては預け金と主張する方が有利である】

 以上の説明からお分かりのように、あなたとしては預け金として返還を請求する方が有利です。

 ただ、その主張が通るとは限りませんので、万一、そうでないとしても遺留分減殺請求をするという二段構えで対応する必要があります。

 なお、お姉さんが簡単にあなたの請求に応じるようにも思われませんし、預け金か贈与かという訴訟でしか解決できないような問題もありますので、早期に弁護士に依頼するということも選択肢の一つとされるといいでしょう。


《参考条文》
民法 第1031条 (遺贈又は贈与の減殺請求)


 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

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★★不正出金の全額返還を請求できるか【Q&A №423】

2015/01/16



【ご質問詳細】

 母親の死後、残された自筆遺言書を原告(長男)、被告ら(弟・妹)立会いの下、検認したところ、原告に、預貯金全額を相続させる旨が確認されました。

 原告は、母親の預貯通帳・カードを母親の近くに住む被告らに厳重保管の覚書を交わし委託しておりましたが(母親の生活費は、年金収入で賄える範囲)、被告らは母親の生前中(預貯金が下されたこの時点では、母親は痴呆も進み寝たきりで、何ら判断能力も無い)、母親が自筆遺言書を作成していたこをを知りながら、無断で、預貯金2千万円を、共謀して、カード限度一杯で、定期的に全額を引き落としておりました(銀行入出金推移表で確認済み)。

 これから、訴訟をスタートしますが、相続分である3分の1ではなく、全額を請求できる戦略・進め方のアドバイスがございましたらご伝授ください。

 なお、原告は代理人無しで、被告らは弁護士を擁立しております。


記載内容

  不正出金 全額

(moriken)





【気持ちはわかりますが・・・】

 被相続人であるお母さんが遺産である預貯金全額を長男であるあなたに相続させる内容の自筆の遺言書を作成したのに、お母さんの生前に弟や妹が無断で出金し、使ってしまったという事案です。

 あなたとしては、預貯金の引き出しがされなければ、預貯金全額を相続できたのにという気持ちでしょうし、その気持ちはよくわかります。

 ただ、法律的に考えると以下のとおりとなります。


【まず、3分の1の主張は可能です】

 あなたもわかっておられるようですが、無断で引き出し使用された預貯金額の3分の1の返還は可能です。

 念のために確認しておきましょう。

 お母さんの預貯金を弟らが無断で引き出して使用したのであれば、お母さんは弟らに対して引き出した金を返還せよという請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権)を持つことになります。

 ただ、この請求権は預貯金そのものではありませんので、単なる請求権(債権)として相続され、あなたが相続できるのは法定相続分(3分の1のようですが)だけです。

 あなたとしては、お母さんの有する前記請求権の3分の1を相続で取得したとして、無断引き出しをした弟さんらに請求することは可能です。


【あなたに対する権利侵害として、全額の返還を求めることはできない】

 ただ、あなたとしては、弟さんらが預貯金を引き出さなければ、預貯金全額を相続できるはずであったと無念に思われており、何とか預貯金額全額の請求ができないかという気持ちがあり、それが今回の質問になったものと思います。

 一つの考え方は、無断引き出しがされない場合、あなたとしては預貯金額全額を相続できたはずであるのに、弟さんらがこれを違法に侵害したので、不法行為による損害賠償請求ができないかということがあります。

 あなたが将来、遺言により預貯金全部を相続できるのに、それを侵害したので不法行為が成立するという考え方です。

 しかし、無断引き出しをされたのはお母さんであり、お母さんが権利侵害として不法行為に基づく損害賠償請求ができるのは前記のとおりであり、それとは別に、あなたが独自の権利を有しているとは考えにくいです。

 もちろん、預貯金がそのままあれば、将来あなたが預貯金を相続できるという期待を持たれたでしょうが、それは単なる《期待》にすぎず、権利とまでいえるようなものではありませんので、不法行為が成立しないと考えられます。


【法定相続人の資格を喪失させることも考えられるが・・・】

 全額取得するための方策としては、弟さんらを相続人でなくするという方向もあります。

 民法上には相続人の欠格(末記の条文をご参照ください)という制度があり、これに該当するなら弟さんらは法定相続人の資格を失います。

 しかし、相続人資格を否定するには、被相続人を殺害した、あるいは遺言を偽造したなどの極めて違法性の高い行為が裁判所で認定される必要がありますが、それは現実問題として主張立証が困難でしょう。

 よって、本件ではやはり相続分を超えて不正出金の全額返還請求をすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。


【特別受益などを主張して相続分を増やすしかない】

 結局、あなたの立場としては、弟さんらに特別受益などがあったとして、その相続取り分の減額を主張するしかないという結論になります。

 なお、裁判ですので、あなたの期待を侵害したとして全額返還を請求を(それが認められる可能性は低いにしても)主張することは自由ですし、そのような主張をしていると裁判所が3分の1以上を出さないかと和解で被告を説得するかもしれませんので、存分に自分の気持ちを訴訟に反映させられるといいでしょう。


《参考条文》
相続法 第891条 (相続人の欠格理由)
 
次に掲げる者は、相続人となることができない。
1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は 至らせようとしたために、刑に処せられた者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又 は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


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株式の名義を勝手に変更された【Q&A №421】

2014/12/24



 私は被相続人の養子です、被相続人には子供はいません相続人は私と被相続人の妻だけです、(被相続人は平成26年9月に死亡)被相続人の妻が被相続人死亡後株は私の名義に変更したと言ってるのですが私の同意なしに株券の名義変更ができるのでしょうか、預貯金や有価証券は生前から妻が管理していました、名義変更したものは元に戻せないのでしょうか、戻せるとしたらどのようにすればよいのでしょうか
 お尋ねいたします、よろしくお願いします。


記載内容

  株式 遺言執行者 名義変更

(maakunn)


【公正証書遺言で遺言執行者が指定なら、同意なしで移転する・・上場株式の場合】
 「株式の名義が《私》に移転した」と質問に記載されています。
 この場合の《私》は妻のことを言っているのか、それとも《質問者のあなた》のことを言っているのかわかりにくので、場合を分けて回答します。
 なお、最初に上場株式について述べ、非上場株式については後に項を変えて述べます。

1)まず、妻の名義になっている場合
 あなたの知らないうちに遺産である株式が、《妻》の名義に移るということですが、結論から言えば、
①公正証書で遺言されていること
②遺言執行者が指定されていること。
という前提であれば、あなたの知らないところで妻の名義に株式譲渡がなされている可能性があります。
 参考までに言えば、自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認手続(相続Q&A №121を参照)が必要であり、その際、全法定相続人等に裁判所に出頭するようにとの通知がきます。
 今回、そのような通知が来ていないということであれば、検認手続きが不要な公正証書遺言に基づく手続きがなされたのだと思います。
 なお、遺言執行者は遺産目録を作成し、法定相続人等に交付する義務(民法1011条。末記に記載している条文を参照ください)がありますが、弁護士などの法律専門家が遺言執行者の場合は別として、目録を実行している人はあまり多くありません。

2)次に《質問者であるあなた》の名義にしたというのは可能性が低いでしょう。
 株式の名義を移転するにはあなたが証券会社に口座を持っている必要があります。
 あなたが持っている口座を妻が知っているのも考えにくく、また、口座がない場合にあなたの同意なしにあなたの口座が作ることは不可能です。
 いずれにせよ、あなたの関与なしに、あなたに株式が譲渡されている可能性はないでしょう。

【株式を取り戻すためには・・・上場株式の場合】
 実際に妻に株式の名義が変更がなされてしまった場合には法的手続きが必要になります。
 ただ、その前に、被相続人がどこの証券会社のどこの支店に株式を持っていたのかを知っておく必要があります。
 もし、被相続人の自宅にその証券会社からの手紙等が来ているのであれば、法定相続人としてその会社に照会をかけ、譲渡に関する事実を調査する必要があります。
 次に、株式の譲渡が判明した場合には、その株式の譲渡を無効や取り戻すことを考える必要があります。
 通常は、無効や取戻しになる理由としては次のものが考えられます。
①遺言書で遺産の大半が妻のものになっているのなら、遺留分減殺請求(「相続コラム:遺留分とは」参照)
)をし、本来の法定相続分の半額(遺留分)の限度で株式を取り戻す。
②被相続人が遺言書を作成した当時、判断能力(意志能力)がなかった。
 また、今後、妻が株式を譲渡したり、他の財産を処分したりすることもあり得ますので、必要に応じて株式譲渡をしないようにする仮処分申し立ても必要になる場合もあります。
 ただ、遺留分にせよ、意志能力にせよ、また、仮処分にしても、素人では対応が難しいので、相続に詳しい弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

【上場株式ではない場合】
 前項では、上場株式を前提に記載しました。
 上場株式でない場合には、妻とあなたとの間で、遺言書や遺留分を反映させた遺産分割協議書を作成し、株式の帰属をはっきりさせるといいでしょう。
 もし、妻が遺産分割協議書の作成に応じず、《あなたの株式》にしたことが間違いないというのであれば、その旨の確認書を作成してもらうといいでしょうし、今後、その会社の株主としての権利を行使して、株主としての実績を作り、株主総会で役員に選任されて活動されるといいでしょう。
 また、《妻》の名義にしたというのであれば、遺留分減殺の手配や意思能力を見極めるため、必要に応じて弁護士と相談されるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1011条 (相続財産の目録の作成)

 第1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

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17:12 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

戸籍謄本の取り寄せ【Q&A №419】

2014/12/11



 遺言書の検認には相続人全員の戸籍謄本が必要だということですが、
父が死んで、子ども3人が相続人で、姉2りは結婚している場合は、
姉のしょうだくなしでも、郵送で、兄弟でも遺言書の検認、相続のためである、と
して戸籍謄本をとれますか?
この場合、必要書類はなんでしょうか?


記載内容

  戸籍謄本 直系親族 正当な理由

(hjhj)


【遺言書検認や相続関係確認のためなら他人の戸籍も取ることが可能】
 他人の戸籍については、原則として同一戸籍内(配偶者や子)及び直系血族(両親、祖父母、孫)であれば取り寄せ可能です。
 正当な理由があれば他の人の戸籍も取り寄せが可能です。
 遺言書の検認や相続関係確認のための取り寄せであれば、正当な理由に該当しますので取り寄せが可能です。

【必要な書類は以下の4種類です】
 郵送で戸籍を取り寄せする場合、次のような書類が必要です。
○戸籍等の取り寄せのための申請用紙(所定の事項を記載する)
 なお、この用紙は、ネットで「全国の市区町村窓口一覧」にアクセスし、入手することが可能です。
○本人確認書類
 運転免許証や住基カード、健康保険証の写しがこれに該当します。
○定額小為替
 役所に支払う料金は次のとおりであり、郵便局で定額小為替を買って同封する必要があります。
 参考までに言えば、1通あたりの料金は次のとおりです。
●戸籍謄本・戸籍抄本  450円
●除籍謄本・除籍抄本  750円
●改製原戸籍謄本・改製原戸籍抄本  750円
●戸籍附票謄本・戸籍附票抄本  100円~500円
(役所により料金が異なります)
○ 返信用封筒
 申請人の住所地にしか送付してもらえませんので、ご注意ください。

(なお、郵送ではなく窓口にて戸籍を請求する場合は、定額小為替でなく現金で支払います。また、返信用封筒は不要です。)

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10:02 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言があるときの生前贈与の扱い【Q&A №393】

2014/07/16
  母が亡くなりました。遺言書によって預貯金1000万は子供二人で分けるように、不動産500万は姉にという内容です。父はすでに他界しています。家の建築費用200万円を出してもらっているのだから、それを特別受益として相続分から差し引くと言ってきました。姉の言い分は正しいのでしょうか。

記載内容

遺言 生前贈与 特別受益 遺留分
(みち)


【預貯金は半額ずつ相続するという意味で理解する】
 遺言書では、預貯金はあなたとお姉さんの2人で分けるということですが、その意味は《預貯金1000万円は半額ずつにし、お姉さんは500万円、あなたも500万円を相続する》ということだと理解して、回答していきます。

【特別受益が多ければ、相続時の遺産からもらう額が少なくなることがある】
 お姉さんのいうように、あなたが被相続人から生前に建築資金として200万円をもらっていたというのであれば、特別受益になります。
 特別受益があまりに多額になるような場合には、あなたがもらう遺産額が減額されることもあります。

【今回のケースでは遺留分が問題となる】
 今回のケースでは遺言書が作成されています。
 遺産としては預貯金と不動産だけで、その他に遺産はなく、それらの遺産を相続する者が遺言書で指定されている場合、遺留分を侵害するかどうかが問題になります。
 お姉さんの遺留分は法定相続分の半分の4分の1です。

【遺留分を侵害しているかどうかの検討】
 まず、遺留分の計算の基礎となる遺産は、相続開始時の遺産額である1500万円(不動産500万円+預貯金1000万円)に生前贈与の200万円を加算した1700万円(みなし遺産額)になります。
 お姉さんの遺留分はこの4分の1の425万円です。
 しかし、今回の遺言書によりお姉さんの取得する遺産額は不動産(500万円)+預貯金の半分(500万円)の合計1000万円ですので、お姉さんは遺留分を侵害されるわけではなく、遺留分減殺請求をすることはできません。
 そのため、あなたが特別受益分を返還する必要は全くありません。

【結論としては・・】
 以上のとおりであり、お姉さんの見解は間違いです。
 あなたとしては預貯金の半額の500万円をもらうことができますし、又、特別受益の200万円を返還する必要もありません。
 堂々とお姉さんに対し、遺言書に記載されたとおり、預貯金の半額を分けるよう請求されるといいでしょう。
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16:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

形見分けの法定相続分【Q&A №386】

2014/06/11
 私は姉と二人姉妹です。どちらも嫁いでいますが、私の所帯と自分の父母が同居をし一緒に生活をし介護をしています。
 先日に老人施設に入所していた母が亡くなりました。
 葬儀後に姉から母の宝石の形見分けをしてもらいたいとの話がありましたが、この場合姉に形見分けをしないといけないのでしょうか?

記載内容

同居 介護
(ウッキー)


【同居・介護は基本的に影響しません】
 「同居も介護もしていない姉には遺産をもらう権利があるのか?」という疑問をお持ちのようです。
 ご両親の介護の負担は決して軽いものではありませんが、残念ながら、介護をしたからといって、それほど相続で有利になることはありません。
 同居、介護の有無を問わず、兄弟姉妹であればその相続分は平等というのが現在の日本の法律です。

【特別寄与として認められ場合もあるが・・】
 ただ、あなたが介護をしたことにより、介護業者に支払うべき費用が軽減されたというのであれば、その金額が《特別寄与》として裁判所が認めてくれる場合があります。
 しかし、その金額はそれほど多くないというのが現状です。

【介護しても報われないのか・・】
 そんなことはありません。
 ご両親があなたの介護に感謝しているのなら、本来ならばお母さんに遺言書を作成してもらい、あなたの相続分を多くするというような方策を取るべきでした。遺留分の問題はありますが、これが介護の努力を認めてもらう最も有効な方法です。

【形見だけで解決するなら、それが一番の解決】
 お母さんの形見分けということですが、遺言書がない場合には、形見(動産)の法定相続分は2分の1ずつです。
 そのため、あなたとしては、お姉さんが形見分けを申し出た場合には、なんらかの形見を渡す必要があります。
 どれを形見として渡すかということは、お姉さんとあなたとの話し合いで決定することです。
 ただ、お姉さんが特定の品物を形見として欲しいというのであれば、その点は譲歩して、他の財産に関してはあなたに相続させることを了解してもらうといいでしょう。
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11:50 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★認知症の母の預金引き出しは違法か【Q&A №383】

2014/06/05
  認知症の母の預金を「本人からの依頼」と言って払い戻しをするのは違法でしょうか?

 母は現在入院中の要介護3で認知が進んできております(ここ一年)。

 特に「認知症」の診断は医師から受けておりません(診断を拒否するため)。

 息子である私は遠方のため、近くにいる母の兄弟が世話をしてくれておりました。特に一番下の妹夫婦が頻繁に顔を見せておりました。

 入院費や生活費は母が管理のもと叔父、叔母たちがやってくれておりました。

 最近、一番下の妹夫婦がかなりまとまったお金を口座からおろしていたことが発覚しました(1,000万円近く)。

 問いただしても「姉さん(母)に頼まれたから」の一点張り張りです。

 母はその時々で言うことが違います。

 ただ、入院中の母は使い道がありません。

 依頼認知症の、診断書かなければ窃盗?横領?とかの罪に問うことは出来ませんか。

 開き直っており「やることはまたまだあるからな」と妹の旦那に捨てせりふのように言われました。

 腹も立ちますが、それ以上のことをしてないか(妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる)とても心配です。

 成年後見人の申請をするつもりですが、認定をもらうまでの間は手のつけようがないのでしょうか?

記載内容

認知症 成年後見人 預金
(るる)





【窃盗や横領に問うことはできるか】

 お母さんの一番下の妹さん夫婦がお母さんの預金を、お母さんの同意なしに勝手に引き出したということであれば、窃盗や横領罪が成立します。

 この犯罪の成立と、お母さんの認知症との関係ですが、お母さんが認知症であり、意思能力がない場合には、窃盗や横領が成立する可能性が高くなります。

 しかし、お母さんが認知症でない場合には、お母さんの同意があった可能性もあり、窃盗や横領の成立の可能性は少なくなります。

 ただ、いずれにせよ、お母さんとその妹さんの関係は、別居した親族(2親等)になりますので、刑法の規定(末記参照条文:刑法第244条2項)により、お母さんの告訴がない限り、これらの罪で処罰されることはありません。

 参考までにいえば、仮に妹さんがお母さんに無断で出したというのであれば、払戻し請求書のお母さんの署名欄は、妹さんが偽造したものということになり、有印私文書偽造及び同行使の罪にも該当します。

 しかし、いずれにせよ、警察としてはすぐに捜査を開始するようなことは、通常は考えにくいです。


【養子縁組や遺言書の作成への対処】

 《妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる》ことを心配されているようですが、その可能性はありえます。

 そのため、お母さんの認知症の程度がひどく、物事の判断がつかないような状態であれば、早期に成年後見の申立をし、後見人に財産管理をしてもらう必要がありそうです。

 現在は要介護3ということですが、身体障害であるのか、認知症のような精神的なものであるのかはっきりしませんが、仮に認知症により要介護3であったとしても、ただちに成年後見を付することができるかどうか疑問です。

 ただ、成年後見は財産管理がまったくできない場合ですが、それより認知症の程度が軽い(しかし、完全な財産管理ができない)場合には、裁判所に保佐人の選任申立をすることができます。

 保佐人が選任された場合には、お母さんとしては多額の預金を引き出すような場合には保佐人の同意が必要になります(保佐人の同意を得なかった行為は取り消すことができます)。

 裁判所により保佐人が選任されたということなら、妹さん夫婦にとっては強いけん制になり、勝手な行為が収まるかもしれませんので、検討されるといいでしょう。

 なお、金融機関に、お母さん以外の人には支払いしないように内容証明で申入れすることも考えられますが、このような申入れをしても、妹さん夫婦がお母さんに同行し、預金払戻書を銀行員の前で記載させれば、銀行として払戻しを拒否はできず、結局、有効は手段にはならないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。



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09:54 遺産分割 | コメント(4) | トラックバック(0) | 編集

夫に遺留分を渡さない方法【Q&A №381】

2014/06/03
 勤務地の関係で、結婚してから夫とは同居をしておらず、養ってももらっていません。お互い一人暮らしのような状態です。
 このような場合でも、別居中に私が先に亡くなった場合、夫に遺留分を主張する権利や受け取る権利があるのでしょうか。
 夫は主張してこないとは思っていますが、私自身は「夫にお金が渡る=夫の死後は夫の家族に渡る」ということで、夫の家族や夫には1円も渡したくないのが本音です。
 自分の親、兄弟(その子供)のために役に立てたいのです。

 遺言書には「自分の血縁関係のある者に相続させたい」「共有財産がない」「婚姻期間が短い(2年)」ということは書いていますが、遺留分については受取人次第という部分もあるようで、裁判まではしないと思いますが、遺留分を夫に渡さない方法はないものでしょうか。

記載内容

廃除 欠格
(アクア)


【別居していても夫には遺産が行くし、遺留分も請求できる】
 《勤務地の関係で、結婚してから夫とは同居をしておらず、養ってももらっていません。お互い一人暮らしのような状態です》ということであっても、戸籍上、夫であれば、あなたの遺産を夫は取得します。
 又、あなたが遺言書でご主人以外の人に遺産を相続あるいは遺贈した場合、ご主人としては、遺留分請求(主張)をすることは法的には可能ですし、あなたの遺産を受け取る権利もあります。

【遺留分請求をさせない方策としては遺留分放棄の審判申立をする】
 ご主人に遺留分放棄をさせない一番確実な方法は、生前の《遺留分》の放棄をさせることです(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあり、ご主人が死亡すればあなたがご主人の遺産を受け取ることにもなります。
 ご主人としても、あなたに遺産を渡してたくないというのであれば、互いに遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。
① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
 裁判所に申し立てをした場合、大阪家庭裁判所の扱いとしては、まず放棄する人に対して書面で、放棄の意思があるかどうかを確認し、場合によっては、裁判所に出頭を求め、遺留分放棄する人から事情を聞くこともあります。
 あなたの場合には夫婦関係を説明し、互いに遺留分放棄をするのだという回答であれば、書面審査で放棄が認められる可能性があるでしょう。
② 又、裁判所が認めるのは、《遺留分》の放棄であり、《相続分》の放棄ではありません。
 そのため、あなたが遺言書を書かない、あるいはあなたの遺言書が無効になると、ご主人は法定相続することになります。
 そのため、間違いのない遺言書をつくる必要があります。
 若干の費用がかかっても、公証役場で公正証書遺言をお作りになることをおすすめします。

【ご主人に遺産を与えないためのその他の方策について】
 当ブログQ&A №379が今回の質問とよく似ています。
 その中で、《ご主人に遺産を与えないためのその他の方策について》説明しています。
 ご参照ください。

参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

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10:46 遺留分  | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

夫を相続人から外す方法【Q&A №379】

2014/06/03
 初めまして。よろしくお願い致します。
 私は結婚していますが、子供がいません。
 病気の容体が良く無く、「死」を意識する様になりました。
 私の死後、保険金で葬儀を行って貰えると仮定して。
 主人用にも毎月少ないながらもお金を貯蓄しているので、私の通帳の中身は、妹の娘(姪)に譲渡したいと思います。
 その場合は、「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?

記載内容

遺留分 生前の相続放棄の合意 生前の遺留分放棄 公正証書遺言の執行 廃除
(くるみ)


【相続人である夫の立場は・・・】
 ご主人に遺産を渡したくないが、どうすればいいかという質問です。
 まず、ご主人は配偶者になりますので、妻であるあなたが死亡した場合には、本件では子供がいないということですので、直系尊属(あなたのご両親等)が存在する場合にはあなたの遺産の3分の2が、又、ご両親等の直系尊属が死亡されている場合には4分の3が、法定相続分としてご主人が相続します。

【遺言書を書く】
 まず、何よりも遺言書を作成し、ご主人以外の人に遺産全部を相続あるいは遺贈する必要があります。
 又、なぜ、ご主人に遺産を与えないかを、穏やかな表現で《付言》として記載しておくといいでしょう。
 ご主人としては、そのような遺言書であれば、やむなしとして納得する可能性があり、あえて遺留分減殺請求まではしてこない可能性もあります。

【夫を相続手続きから外す《廃除》という方法があるが・・】
 質問には《「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?》とあります。
 法律上、夫から強制的に相続人である資格を奪ってしまう《廃除》という制度(民法892条。条文は末記のとおりです)があります。
 この制度は、あなたが生前に、家庭裁判所に、ご主人から暴力や虐待を受けていたことを証明し、裁判所の裁判(審判)でご主人を相続人から除外してもらうものです。
 ただ、そう簡単には認めてくれないことが多いです。

【生前の相続放棄は法的に法的には無効で意味がない】
 生前、相続を放棄するのに同意をしてもらうことも考えられますが、残念ながら、生前の相続放棄は無効です。
 そのため、あなたの死後、ご主人が約束を翻して相続放棄をしなかったとき、ご主人は法定相続分どおりの相続することになっても、誰も文句をいうことができません。

【生前の遺留分放棄を考えてみるとよい】
 生前の相続放棄はできませんが、生前の《遺留分》の放棄は可能です(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあるのですから、互いが遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。
① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
② 遺言書がないとご主人は法定相続します。

 そのため、あなたとしては遺言書を作り、ご主人に遺産を行かないことを明らかにしておく必要があります。
 遺留分放棄の審判申立については、当ブログのQ&A №381をご参照ください。

【公正証書遺言で遺言執行者を定め、秘密裏に執行すると・・】
 過去に扱った案件ですが、他の相続人に全く知らせることなく、遺言が執行されていたことがありました。
 公正証書遺言で遺言執行者が隠密裏に執行したのです。
 自筆遺言証書であれば、その実行をするために家庭裁判所の検認という手続きが必要であり、その手続きの通知が裁判所から全相続人に行きます。
 しかし、公正証書遺言の場合、検認の手続きが不要で、即時に執行できます。
 このような場合、他の相続人の知らない間に遺産が分配され、特定の法定相続人が相続から事実上、排除されるということになります。
 但し、遺言執行者としては相続の開始や遺言の存在を知らせ、遺産目録を作成して法定相続人にも交付する義務があります。
 前記のようなケースは、これらの義務を履行しなかったために遺留分減殺の機会を奪ったものだとして、他の相続人(たとえばご主人から)損害賠償請求をされるというリスクが発生しますので、お勧めできる方法にはなりません。

・参照条文①:民法第892条(推定相続人の廃除)
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

・参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
 1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

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嫁入り道具と持参金の扱い【Q&A №377】

2014/05/28
 父の遺言書で不動産祖先祭祀は兄、預貯金は母、株は母と私と指定されていました。
 兄の引き継ぐ不動産の維持管理費を 請求してきましたので、不動産を相続してた者が支払うものでしょうと言って、拒否しました。兄の言い分は売ることもできない不動産の管理をおれにさせるのかというものです。
 母が半年前に他界して、遺産相続協議書を作りました。その中に「この協議書に記載されていない財産、および、知られざる遺産(積極財産、消極財産とも)は、すべて兄が取得または承継する。」という一項ががあるから、母が相続するように書かれているものはすべて兄が相続する権利があると言ってきました。
 また、嫁入り道具にかかった費用を計算に入れると言っています。兄も、多額の結納金を親から出してもらっているし、家を建てたときにもお金をたくさんもらっています。しかし、そのようなものは一切もらっていないと言い切ります。
 母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか。嫁入り道具はどのように考えるべきでしょうか。計算の仕方を教えてほしいです。母はメモを残している可能性があります。持参金と嫁入り道具では考え方が異なりますか。

記載内容

嫁入り道具 持参金 遺産分割協議 死亡した人に遺贈する遺言の効力
(みつこ)


【まず、母が死亡し、その後、父が死亡したと理解しての回答】
 質問ではお母さんとお父さんのどちらが先に死亡したのかが明らかではありません。
 ただ、質問中に「母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか」とあり、この「今回の件」とはお父さんの死亡ということだと理解すると、経過としては次のとおりになると思います。
  お父さんの遺言書作成⇒お母さんの死亡⇒お父さんの死亡
この前提で、以下のとおり回答します。

【遺産分割協議書はその被相続人の遺産について効力を有する】
 お母さんの遺産分割協議は、お父さんとあなた、お兄さんの3人(と思われる)で作成されているはずです。
 ただ、遺産分割協議は、被相続人であるお母さんの遺産について効力を有します。
 お母さんの分割協議の段階ではお父さんは死亡していないのですから、お父さんの遺言書に「預貯金は母」、「株は母と私」と記載されていても、遺産分割協議の時点ではお父さんの預貯金や株は、お母さんの遺産ではありません。
 従って、お父さんの保有している預貯金や株がお母さんの遺産分割の対象となることはありません。

【死亡した人に対する遺言は無効】
 お父さんの遺言書に記載されていた「預貯金は母」等の記載は、その遺言書が効果を発揮する(お父さんが死亡した)時点では、既にお母さんが死亡していましたので、上記遺言書の部分は効力を失っており、お母さんのものになることはありません。
 そのため、お母さんの遺産分割協議書に「この協議書に記載されていない財産・・は、すべて兄が取得または承継する」との条項があったとしても、お兄さんのもらう分が増加することはありません。

【嫁入り道具と結納金、建築代金の補助】
 嫁入り道具については特別受益になるとの考えもあります。
 しかし、一方ではお兄さんも結納金を出してもらっているのが普通です。
 調停などの実務の扱いでは《痛み分け》ということで双方の主張を相殺する、あるいは主張を双方が撤回するという扱いをすることも多いです。
 もちろん、嫁入道具額と結納金のどちらかがあまりにも多額であり、差額が大きすぎる場合には、相続人間の公平を考慮して特別受益とされる場合もありえますが、その場合には差額が多額であるという点を証明する必要があるでしょう。

【お母さんが残したメモの効力】
 お母さんが残しているとされる(おそらく持参品に関する)メモがある可能性があるようです。
 ただ、私(大澤)が経験したケースでは、持参品を毛筆で記載した巻物風の目録が提出されたケースがありましたが、この場合も、結婚式費用や結納金、嫁入り持参道具などを考えて、双方が互いに特別受益の主張を撤回するということで最終解決をしました。
 兄弟姉妹間で極端な差額がない限り、一方の分だけを特別受益にすることにはならないと考えていいでしょう。

【嫁入り道具等の計算のしかた】
 嫁入り道具については、そのもらった当時の時価を前提に金額に換算して計算します。
 持参金はその金額でカウントしますし、結納金を出してもらった時もその金額で計算します。
 ただ、繰り返しになりますが、嫁入り道具や持参金が莫大な金額というのではない限り、特別受益としては扱われない可能性も高いです。
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分割割合が書かれていない遺言【Q&A №373】

2014/05/08
  母が亡くなりました。遺言書に私と妹で分ける様に書いてあります。姉妹二人とも同居していません。介護はふたりでやりました。不動産は妹が相続します。妹は維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しいといいます。比率はどの様に考えたらいいですか?

記載内容

割合 預金 共有
(みくに)


【2分の1ずつ分割相続すると考えられます】
 遺言書には、分割する財産とその分割割合(例えば、不動産全部を妹さんに、その他の財産はあなたと妹とで2分の1ずつ、というような)を書くことが望ましいです。
 ただ今回のように、分割割合を書いていない遺言がすべて無効かというと、そうとも限りません。
 遺言者であるお母さんの意思を推測して、有効な遺言とすることもできます。
 今回の遺言書の記載文言がわからないのですが、たとえば、《不動産は妹さんに、残りの財産は2人に相続させる》というような内容であれば、他に2人の間で相続分が異なると記載されていない限りは、不動産以外は同じ割合で分割すると考えていいでしょう。
 なお、《不動産は妹さんに》とだけ書かれてあり《残りは2人に相続させる》という条項がない場合でも、残りの財産については、法定相続分で分割するのですから、相続人があなたと妹さんだけだとすると、結局半分ずつであり、上記と同じ結論になります。

【遺言書と異なる内容の遺産分割協議も可能です】
 妹さんが《(不動産の)維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しい》と言っておられるようですが、あなたが妹さんの申し出を受けて、そのような内容の遺産分割協議書を作成することも可能です。
 法定相続人全員が同意すると、遺言書の記載内容と異なっても有効であり、遺言書より遺産分割協議の内容が優先します。
 ただ、妹さんは不動産という財産をもらっているのだから、預貯金は少なくてもいいよ、というのが普通のように思います。
 そのため、あなたとしては、《あなたは不動産をもらっているのだから、維持管理費用は自分で出してください。預貯金は遺言どおりに半分ずつにしましょう》と言って、妹さんの申し出を断り、残りの遺産を半分ずつ分けることを考えてもいいでしょう。
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