"遺留分減殺請求"に関連する記事一覧
 | HOME | Prev »

何かをする時期について【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:03 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

電柱敷地料の相続【Q&A №543】

2016/11/21



【質問の要旨】

登記名義が変更されていない土地にある電柱の敷地料について

記載内容 電柱 名義変更

【ご質問内容】

電柱敷地料を母が電力会社から受け取っていました

母が3月に死亡しました。4月に、結婚して遠方に住んでいる姉が勝手に電柱敷地料の承継届けを電力会社にだしました

6月に電柱敷地料が姉に支払われました

8月に母の遺言状で、すべての財産を私に相続させる、遺言執行者も私でした、との内容でした。(家裁検認済み)

それで、電力会社に電柱敷地料を私に払うよう請求したのですが、姉への支払いは停止する。しかし、電柱敷地料の土地の不動産登記名義が、私に変更されない限り、電柱敷地料の私への承継は認められない、との返事でした。

不動産登記名義は5年前、死んだ父の名義で母の名義ではありません。

しかし、父が死んでから5年間は、不動産登記名義を母に変更することなく、電柱敷地料の承継届けを出すだけで、電力会社は母に電柱敷地料を支払ってきてたのです。

1.電柱敷地料は不動産登記名義が変更されないと、支払われないのでしょうか?支払われないとすれば、父が死んでから5年間母に支払われてきたのと矛盾します。

2.母の遺言ですべての財産を私に相続させる、の中には、当然電柱敷地料も含まれると思うのですが、母に支払われた電柱敷地料は、相続で私にしはらわれなくてはならないのではないですか

私は相続人、遺言執行者として、どう法律的に対応すればいいのでしょうか?

(fhghfg)







【まず、電柱敷地料を受け取る権利(受給権)の内容を考える】

電力会社は、お父さんの所有していた土地について、お父さんとの間で電柱の敷地として使用する契約を結んでいました。

そのため、お父さんは、敷地使用契約の貸主であり、その契約の具体化として各時期に発生する使用料請求権を持っていたことになります。


【お父さんの死亡したときは相続人3人で権利を取得する】

お父さんが死亡したとき、特に遺言が無いのであれば、お父さんの敷地契約の貸主の地位は法定相続人全員が承継します。

次に使用料の支払いですが、敷地利用契約に特段の取り決めがされていない限り、各法定相続人が独自に法定相続分に応じて請求する権利を持つことになります。

今回の質問のケースではお母さんが2分の1、あなたとお姉さんが各4分の1です。

不動産の賃貸の場合、貸主が死亡したときには、その貸主の相続人がその法定相続分に応じて賃料を請求できるという最高裁の判決(参照最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)がありますが、今回の敷地使用料もこれと同じように扱っていいでしょう。


【お母さんの遺言があっても、使用料全額を取得することはできない】

今回、お母さんが死亡し、遺言書であなたが遺産をもらうことになったというのであれば(遺留分減殺請求の問題はややこしくなるのでふれないこととします)、あなたの権利関係は次のとおりとなります。

まず、貸主の地位ですが、お母さんの持っている、お父さんから相続した2分の1はあなたのものになります。

これに、元々、あなたがお父さんから相続した4分の1を加算して、あなたは貸主の地位の4分の3を持つことになります。

残りの4分の1はお姉さんが持つことになります。

次に使用料についても、お母さんの死亡後は、あなたは使用料の4分の3を電力会社に請求することができますが、残りの4分の1はお姉さんが請求できることになります。


【お姉さんとの関係は生前の分と死後の分とを分けて考える】

なお、お母さんは生前、敷地使用料全額を取得していたようですが、あなたやお姉さんがこのような受け取りに同意していないのであれば、あなたもお姉さんも各4分の1の返還をお母さんに請求することができます

ただ、お母さんが死亡したので、その返還債務がどうなるかですが、今回の遺言ですべての遺産をあなたが相続するというのであれば、このお母さんの債務はあなたが全部引き受けることになります。

そのため、お姉さんのお母さんに対する返還請求があれば、あなたが支払いをする必要があります。

次に、お母さん死亡後にお姉さんが単独で全額を取得したようですので、あなたとしてはお姉さんが無断で受け取っていた分の4分の3に相当する金銭をお姉さんに返還請求することになります。


【電力会社に対して全額支払いを請求するには】

電力会社としては法定相続人であるあなたとお姉さんとの間で、あなたが《単独で使用料を取得する権利がある》ということを明確にする必要があります。

そのためには、お姉さんがお父さんから取得するはずの4分の1の土地名義があなたが取得するような方策を考える必要があり、そのためにお父さんの遺産分割協議等でお姉さんに代償金を支払って、あなたに単独相続にして登記するのが一番望ましいですが、仮にそのような登記ができない場合にはお姉さんとの間で《あなたが単独で使用料を取得してよい》という合意をするしかないでしょう。

なお、お姉さんの同意が得られないということであれば、少なくとも、あなたの取り分である4分の3についての支払いを電力会社に請求することも考えていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:23 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分と養育費の相殺【Q&A №501】

2016/05/12

 【質問の要旨】

別居中の妻が死亡したが、婚姻費用と遺留分はどうなるか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

家内と中二の子供と別居3年後に家内死亡。

審判(算定表)による婚姻費用を死亡前月(高二)まで支払。


遺言により、遺産(5千万)は全額子供が相続。

私(家内死亡前から病気で失業し借金生活)は、遺留分(1/4=1250万円)を求めて本人訴訟を起こすも、子供(義母と同居し私立大学卒業)側は、高二から大学卒業までの生活費や学費である養育費の実費(1600万円)と遺留分の相殺を要求。

(1)遺言書の内容(子供の生活費や大学進学費用に使え)は、母子の約束で扶養料を先渡しする義務(相続債務)とみなされるのか。

(2)私は無収入で数千万円の借金があり扶養能力はないが、借金より少ない遺留分をもらえば、多額の遺産のある子どもに対して養育費支払い義務があるのか。(子供の生活水準の方が高い)

(3)もし養育費の支払いが必要な場合は、

(ⅰ)月10万円の未払婚姻費用を基に、19歳までの生活費(大学費用含む?)を遺留分から控除するのか。

(ⅱ)20歳以上も、上記金額を大学卒業歳まで適用?

又は子供の主張する実費を遺留分又は遺産?から控除するのか。

十分な資産がある20歳以上の子供に、養育費の支払いが必要か。

(ⅲ)養育費が相続債務とみなされる場合は、養育費の半分が家内の債務で遺産から控除され、私の半分は扶養能力があれば遺留分から控除されるという考えか。

(ⅳ)上記に限らず、どのように考えるが正しいですか。

(オーくん)







【婚姻費用は妻の死亡により消滅する】

あなたは別居中の奥さんに対して婚姻費用を支払う義務を負っておられるようですが、この義務は奥さんが死亡した時点で消滅します

なぜなら、婚姻費用は婚姻があることを前提とするものですが、奥さんの死亡により婚姻そのものがなくなるからです

ただ、奥さんが死亡するまでに未払いの婚姻費用があれば、それは既に生前の婚姻期間中に発生した請求債権(未払い婚姻費用請求債権)として相続の対象になります。


【養育費の支払いについて】

婚姻費用の中には、実質上、未成年の子供の養育費分も含まれています。

奥さんの死亡により、死亡後の婚姻費用の支払いは不要になりますが、今度はあなたと子供さんとの養育費問題が現実化します

子供さんから請求されれば、親であるあなたに養育費の支払義務が生じる場合があります


【本件の場合の養育費支払いの要否について】

では、子供さんの言うような養育費の支払いが必要なのでしょうか。

収入及び時期と言う2つの面で支払い義務の履行を拒む理由が考えられます。

まず、収入の点からは次のように考えるといいでしょう。

養育費の支払いは支払い義務者である親に収入があることを前提にしていますが、あなたに収入がないというのであれば支払い義務は発生しないということになります。

次に時期的に言えば、養育費の支払いなどについて調停が申立される場合、支払いの開始時期はその調停申立のあった時期だとされています。

養育費の発生時期については、請求のあった時点以降であるという考えも強く、この考えに従えば請求前の過去に遡っての請求はできないということになります。

又、月毎に支払われる定期給付債権であるとして、民法169条の短期消滅時効の適用を受けるとして過去5年間の分だけの請求を認める考えもありえます。

これらの点の詳しいことを知りたければ、別途、養育費についての文献やネット検索をされるといいでしょう。

なお、子供に財産があるということだけで、養育費の支払い義務が免除されるということはないと思われますが、この点も別途調査されることをお勧めします。

又、成年に達した後の大学終了時点までの養育費の支払いの要否や学費分まで支払いの要否についても別途調査されるといいでしょう。


【遺留分減殺請求により得た利益をどう考えるか】

あなたとしては、今回遺留分減殺請求により収入を得ることになります。

しかし、あなたとしては養育費の算定の基礎となる収入は給料等の継続的な収入であり、遺留分のような一時的な収入とは言えないと主張することも可能です。

養育費算定表には給料年額あるいは自営業者の年収入額を前提として算定グラフが作られているからです。

ただ、このような主張に対しては、給料や自営での収入ではなくとも、親であるあなたが収入を得ているのであれば、給料等の収入に準じるものとして、算定される可能性もありえます。

その場合には、その収入のあった年度については、遺留分減殺請求額を前提にして計算された養育費を支払い、その翌年以降は無収入として養育費の支払いを拒むということを主張されえるといいでしょう

なお、無収入であっても《潜在的稼働能力があり、就労が困難といえないような事情がある場合には、ある程度の収入があるものとして、養育費が算定される可能性がありえますので、この点も併せご留意ください。


【遺留分と養育費の相殺との関係】

結局、前項の後段の前提(遺留分の支払いのあった年度にのみ、それを前提として養育費を支払う)というのであれば、その年度の養育費額のみが相殺の対象なり、その分が遺留分から減額されるという結論になるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:40 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父より先に亡くなった後妻の遺産【Q&A №492】

2016/02/23

【質問の趣旨】

遺留分減殺請求訴訟において、後妻の財産も被相続人の財産であったとすることができるか

記載内容

後妻さん 名義貸し 本人訴訟

【ご質問内容】

私は、前妻の子で、幼少の時に養子に出されました。

後妻さんには二人の子がいます。

後妻さんは既に死亡しています。

被相続人(父)は自筆遺言を作成しています。

遺留分を侵害していますので、遺留分減殺請求訴訟(本人訴訟)をしています。

私は、被相続人家族と接触がありませんので、被相続人家族の生活実態がわかりません。

判明したことは、株を趣味とする被相続人より、後妻さんの株の所有する額が大きかったり、被相続人の預金通帳から、建て替えた建築資金が出ていない事、被相続人が不動産所得を後妻さんが死亡した年まで自分で申告しているが、その不動産の所在が不明であることなどです。

後妻さんは、基本的に被相続人の扶養者であり、所得はありません。

この遺留分減殺請求訴訟で、後妻さんの財産(出損者は被相続人なので実質的に被相続人の財産)も含めた遺留分減殺請求はできるでしょうか

後妻さんの財産は、現在のところ株式以外はわかりません。

(k-smile)







【名義で判断されるのが原則】

収入がないはずの後妻さん名義で多額の蓄財がある場合、原則として後妻さんのものとされます

金額の多さによっても異なりますが、長年にわたりご主人との生活をしていく中で、ご主人から自由に使ってよい小遣いとしてもらった金銭もあるでしょうし、何十年という期間の中で種々な形で得た金銭が多額の金額として積みあがることもあります。

もし後妻さん名義の遺産を、後妻さんのものではないと主張するなら、そのことを証明する証拠を提出し、その遺産が本当は誰にものかを証明する必要があります。


【名義借りの可能性もないではないが、それでも証明が必要】

かなり昔には、他人(例えば息子さんや娘さん、後妻さん)の名義を借りて、預金をするという借名(あるいは名義借り)の預貯金が広く普及している時代がありました。

このような名義借り預金の場合でも、そのような預貯金の元手が夫であるお父さんから出ていることや印鑑や通帳等をお父さんが保管していた等、遺産がお父さんのものであったことを証明する必要がありますが、意外とこれがむずかしいです。


【弁護士への相談や依頼も検討する】

本人訴訟をしておられるようですが、質問に書かれたような事情(建築資金を出した口座が存在しない等)を見れば、後妻さん側の預貯金の履歴を入手できれば、何らかの証明の手段が見つかるかもしれません。

ただ、後妻さんは既に死亡しているということなら、相手方は後妻さんの相続人である後妻さんの子になりますが、これらの方が後妻さんの預貯金の履歴を積極的に出すことは考えにくいケースです。

これらの事情も考えると、訴訟の進め方などを含め、相続に詳しい弁護士に相談され、場合によっては事件を依頼されることも考えられてはいかがでしょうか

後妻さんの金融機関の取引履歴を裁判所に提出させるような訴訟の流れを作り出せないか、あるいは現在ある手元の証拠でどこまで立証できるのか、他に証拠はないのか等、弁護士の知恵や力を借りることで裁判を有利に持っていくことも考えられるといいでしょう。            

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:56 遺産 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★使用借権の承継と固定資産税の請求【Q&A №486】

2016/01/20

【質問の要旨】

相続した土地に相続人の一人が住んでいる場合、特別受益になるか

記載内容

無償 土地 居住

【質問の内容】

三年前に亡くなった父名義の土地に相続人の一人(A)が土地を担保にA名義の家を建て、現在も一人で住んでいます。

ローンはまだ10年程度残っていて、Aは毎月支払っています。

その家には存命中は父母も一緒に住んでいました。Aは賃料や生活費を一切支払っていず、父が固定資産税を払っていました。

両親の生活費の一部は私が銀行振り込みで仕送りをしていました。相続人は私とAの二人です。

父とAはとても折り合いが悪く、父は公正証書遺言で全ての財産を世話をした私に譲るとしています。

私は既に名義変更をして固定資産税も毎年支払っています

Aは三年前に遺留分減殺請求をしていて、Aの家屋の下の土地を相続すると言い張っています。

建蔽率は50%の地域で家屋下の土地は25%を超えます。

殆ど土地だけの相続ですが、この間、私はどうすることも出来ない状態でいます。

これは、Aの特別受益にならないでしょうか。

その土地を売却、或いは、利用する場合、Aの許可が必要なのでしょうか


(ココ)







【特別受益は生前の受益を意味する】

「特別受益」とは、被相続人(=お父さん)が生前に相続人(A)に与えた利益(金銭、不動産の所有権や使用権など)のことです。

そのため、遺言で土地を相続した後に、Aさんがあなたの土地上に住み続けていたとしても、それによる利益は「特別受益」にあたりません

特別受益という点で言えば、Aさんが、生前にお父さんから土地を無償(ただ)で使用させてもらうという使用権(使用借権)をもらった点が特別受益に該当します。

この使用借権の価額は、対象となった不動産の10~30%といわれることが多いですが、ケースにより異なりますが、私の経験から言えば10%程度で評価し、遺産に持ち戻すことが多かったです。


【Aに賃料の支払いを請求できない】

あなたがAさんに賃料を請求することができるかどうかも回答しておきます。

お父さんはAさんに土地を無償で使用させていましたが、死亡されたことから、あなたがお父さんの権利義務を引き継ぎました。

従って、あなたはお父さんの負っていたと同じ義務―土地をAさんに無償で使用させる義務―を承継することになりますので、賃料請求はできません


【固定資産税をAに負担させることはできないか】

 あなたは固定資産税の支払いを続けているのですが、この分をAさんに負担してもらうことはできないかという問題もあります。

お父さんが生きていたときは、固定資産税もお父さんが負担していました。

土地はAさんに使用借権が発生していますが、固定資産税の負担は土地の使用貸借とは別個の話であり、お父さんからAさんに対する固定資産税分の金額(あるいは利益)の贈与と考えてもいいでしょう。

あなたとしては、今後、このような贈与はしないとの意思をはっきりさせるために、固定資産税の相当分の返還をAさんに請求してもいいと思いますし、これが公平の観点からみて妥当なことだと思われます。


【土地の売却という解決方法について】

遺言であなたが土地の所有権を取得しており、既にその遺贈で単独所有の登記をしているのであれば、この土地を売却することも可能という考え方もあります。

もし、土地を売却した場合、Aさんは買主である第三者に使用借権を主張できませんので、Aさんは建物を撤去せざるをえないということになり、問題が一挙に解決するようにもみえます。

しかし、遺留分減殺請求がなされた以上、その土地の4分の1はAさんの所有になりますので、あなたが単独で売却をすれば、Aさんの共有持ち分を侵害したことになり損害賠償をすることになります

また、あなたはAさんに無償で土地を使用させる義務があるところ、土地を売却するとその義務を不履行したことになり、債務不履行により損害賠償義務が発生します

以上の点を考えれば、売却という選択肢は法的にも問題があり、また、新たにやっかいな問題を発生させるものであって、とるべき方策にはならないというべきでしょう。


【問題の解決は調停及び遺産分割審判で】

結局、あなたとしてはAさんと交渉することになりますが、もし話し合いで解決することができないというのであれば、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、調停委員の関与により円満な解決を目指すといいでしょう。

また、調停が成立しないのなら、遺産分割の審判(裁判)でAさんに代償金を支払ってもらって土地を取得してもらう方向を目指すといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:52 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015/07/15




【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?


記載内容

  不正出金 生前贈与 時効


【ご質問内容】

 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。

 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。

 共同相続人の伯父は7年前に他界。

 母は現在、障害のため出廷不可。

 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。

 残額は247円。

 手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。

 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?

 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。

 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。

 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。


(hiro)







【相続回復請求はできない】

 相続回復請求ができないかという点にお答えします。

 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。

 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません

 ただ、次にのべるような手段が考えられます。




【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】

 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。

 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。

 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。

 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。

 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。

 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。

 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。

 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。




【お祖母さんが生前贈与した場合】

 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。

 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。





【現在、するべき作業は何か】

 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。





【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】

 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。

 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。

 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:34 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続放棄と遺留分【Q&A №447】

2015/05/27
 


生前贈与を受けた人が相続放棄をした場合,特別受益はどうなりますか?

また,生前贈与を受けた人が相続放棄して,遺留分減殺請求をされた場合はどうですか?



記載内容

  生前贈与 遺留分 相続放棄 


【質問詳細】

被相続人(父)、相続人A(長女)B(次女)C(長男・末)がいます。

Aは生前に1,000万、B・Cは500万ずつ贈与を受けています。

父の遺産は現金500万、不動産1000万です。

Aは上記1,000万円の他に、父が生前の2年前にAの子二人(孫にあたる、共に成人)

に100万円ずつ生活支援のお礼としてお金を渡したこと、それ以前に色々な事象にて

お金(総額で2~300万円か)を貰っていたことを考慮し、遺産を放棄することにしました。

相続人BとCは父生前のA及び子に対する過大な贈与を受けたことが不満で、遺産1,500万円に各々の生前贈与(特別受益)を加算し、分配すべきと主張しています。

Aとして相続を放棄するのに、差額をB・Cに払う義務あるのですか?

併せてB・Cの遺留分について減殺請求権があった場合どうなりますか?



(goo)





【相続放棄すると特別受益の問題は発生しない

 Aさんが、お父さんの遺産について相続放棄をする前提で回答していきます。

 相続放棄をすると、Aさんは法定相続人ではなくなり、遺産分割の問題は発生しません。

 遺産分割はBさんとCさんとの間でするだけになります。

 特別受益は、遺産分割の際、法定相続人に生前贈与分などがある場合にその贈与分を遺産に持ち戻すという制度です。

 しかし、その生前贈与を受けた人が法定相続人でなくなれば、特別受益の問題は発生しません




【相続放棄しても遺留分の問題は発生する

 相続放棄をした場合でも、その人が多額の生前贈与を受けていたのであれば、他の法定相続人(正確に言えば遺留分権利者)から遺留分減殺請求を受ける場合もありえます


 例えば、生前に1億円の贈与を受けた人がいたため、遺産が0円であったような場合で、その贈与を受けた人が相続放棄をするケースを考えてみましょう。

 贈与を受けた人は相続放棄をしているのですから、特別受益の問題は発生しません。

 しかし、遺留分は法定相続人にある程度の遺産(法定相続分の半分程度)だけは渡るようにしようという制度ですので、生前贈与を受けた人は請求に応じて、遺留分に該当する遺産を渡さなければならないということになります。




本件のケースでは遺留分減殺請求はできない

 遺産は法定相続人AさんとBさん、Cさんに生前贈与計2000万円遺産が計1500万円その他に200万円と2~300万円の生前贈与分があるとの前提ですので、遺留分計算の基礎となる遺産額は4000万円になります。

 Bさんとしては生前贈与分500万円と今回の遺産分の半額である750万円の1250万円がお父さんの遺産から入ることになります。

 Aさんの相続放棄によって、Bさん及びCさんの遺留分は本来の法定相続分2分の1の半分(4分の1)になっています。そうするとBさんCさんのそれぞれの遺留分は1000万円となります。


 (Bさんの)得た額    (Bさんの)遺留分 


 遺留分が侵害されていませんので、Aさんが遺留分減殺請求をされることは法的にはないケースでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:53 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

父の言葉を代筆した遺言書の効力【Q&A №446】

2015/05/22




口頭で言ったことを、ほかの人が代筆して文書にして、

本人が自筆で署名押印した場合、将来の遺産分割協議で有利になりますか?



記載内容   遺留分 


【質問詳細】
 義父より自身が死んだ時のために相続人間で争い事が起きぬよう残しておきたいことがあるので、協力して欲しいと言われました。

 相続人(子)はA男・B男・C子で(私はC子夫)、C家が父を看ています(A・Bとソリが合わないことから)。

 父は今までにC家に対して自身の生活支援のお礼として事ある度に幾らかのお金を渡してきました。

 家屋購入資金(C子夫名義)、孫の入学祝いや就職祝い、孫の結婚祝い、等です。

 A家とB家にも相応にお金を渡していましたが、C家までには至らなかったようです。

 それがA・Bとして不満であり、大きな騒動になりました。

 C家は相続人であるC子が直接貰い受けていないお金もあるが、総括してA・Bより多くのお金をもらっていることから、父没後の遺産を放棄するつもりです(A・Bより色々理由つけられて遺留分を請求してくることが予想されることから)。

 これを義父に話したところ、「遺産は平等に受けろ。A・Bは今まで何も支援してくれない上に渡した金額差に文句を言っているだけ。二人が自分にしたことを明確に列記し、何で差がついたか、今まで幾ら渡したかを言うので、自身の宣言書として書き残して欲しい」とのことです(父は口は達者ですが体力が衰え書き事ができない)。

 内容はこれから考えるとの事ですが、とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面について将来の相続協議に有利となるのでしょうか?


(Noppo)





【それは遺言書ではない】
 
 質問者の方はおわかりのようですが、念のために記載しておきます。

 お父さんが考えた内容を、あなたが《とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面》は遺言書にはなりません

 遺言書は遺言者が全文を自分で記載し、日付及び署名・捺印をしたものです。

 お父さんの意思に基づいたとしても、その内容をあなたが記載したのでは遺言書にはなりません。



【お父さんの意思を書いた文書は相続協議に役に立つか】

 遺言書ではないにしても、死亡された人の意思がはっきりしている場合、それが遺産分割協議に役立つかは場合により異なります。

 法定相続人間でお父さんの意思についての共通了解があり、しかも法定相続人の間及びお父さんと法定相続人間で人間関係が円満な場合には、お父さんの意思が尊重される場合が多いでしょう。

 しかし、本件ではお父さんとあなた以外の法定相続人との関係も、法定相続人間の関係もぎくしゃくしていることを考えると、あなたが質問で記載したような書面を残しても、相続のためには役立たない可能性が極めて高いでしょう。




【相続放棄と遺留分】

 あなたは相続放棄をするということもお考えのようです。

 おそらく相続放棄をし、相続人にならないことによって、相続問題に巻き込まれないということをお考えになっていることと思います。

 あなたが相続放棄をするのであれば、あなたは相続人ではなくなりますので、法定相続分を前提とする遺産分割問題は発生しません

 しかし、あなたが生前に贈与を受けていたという事実はなくなるわけではありませんので、他の相続人としては、あなたに対して遺留分減殺請求をする可能性があります

 その場合、生前の贈与分は遺留分の算定の基礎財産に含まれることになります。

 相続放棄をしたからといって、遺産争いがなくなるわけではないということを理解しておく必要があるでしょう。




【遺留分減殺請求への対処が必要】

 本件では、遺産分割であれば他の相続人はあなたの特別受益を主張するであろうし、また、相続放棄をしても遺留分減殺をする可能性が高いです。

 そうであればあなたとしては、そのような事態に対処する方策を現時点で取っておく必要があります。

 そのような場合には、あなたとしては金銭を他の法定相続人に支払って解決することが多いです。

 その点を考えると、あなたとしてはお父さんから金融財産(預貯金等)をもらう内容の遺言書を書いてもらい、不動産等は他の法定相続人に渡すということで、将来の金銭支払いに対処するという必要があると思われます。

 いずれにせよ、具体的な金銭勘定がわかりませんが、この点については相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 なお、お父さんが遺言書をご自分で書けないというのであれば、公正証書遺言を公証人に作成してもらうという方法もありますので、この点も併せて弁護士と相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:43 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015/04/27
 


 母は一人暮らしで一軒家です。
 
 すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

 長女の私は遠方です。

 母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。
 しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

 母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

 名義変更は私に相談もありませんでした。

 このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。


記載内容

  特別受益 名義貸し 名義

(ノースポール)





【まず、お母さんが登記に関与しているのかを確かめる】

 質問ではお母さんから妹さんへ登記が移転されたことが前提となっています。

 その前提で回答していきます。

 まず、お母さんがこの登記の移転に関与しているかを確認しましょう。

 お母さんが知らないところで登記移転がなされているのなら、その登記は無効ですので、登記を返還するようにお母さんから妹さんに申し入れてもらう必要があります。

 次に、お母さんが登記をしたかどうかわからないような状態 ― 例えば認知症で判断能力がないような場合にもその登記の移転は無効です。

 ただ、この場合にはお母さんの判断能力がありませんので、成年後見人の選任の申立をし、その成年後見人が取戻しの手続きをすることになるでしょう(ただ、現実問題として成年後見人がそのような手続きをするところまではしない可能性がありますが)。

 もし、お母さんが関与して登記を移転されたというのであれば、それは生前贈与ということになり、不動産は妹さんのものになります。

 現段階ではあなたとしては何もできません。




【お母さんが死亡した場合に遺留分減殺請求の意思表示をする】

 お母さんが死亡された場合、登記移転された不動産以外にお母さんの遺産がない場合には、あなたとしては《遺留分減殺請求》ができます。

 あなたの法定相続分が2分の1だとすると、あなたには死亡時の遺産に生前贈与分を加算した額の4分の1をもらえる制度 ―遺留分減殺制度((相続ブログQ&A №430ご参照)― があります。

 今回のケースではお母さんが死亡した日から1年以内に、妹さんに対して遺留分減殺の意思表示をし、不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

 ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:46 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父、母が相次いで亡くなった場合の相続分計算【Q&A №432】

2015/02/26
 


 私の父が死んで、5年経つのですが、家と土地があって相続がもめています。

 母、長女、次女、長男の私4人でした。

 この場合、法定相続分はそれぞれ、2分の1、6分の1、6分の1、6分の1だとおもうのですが、相続がもめているうちに、まだ、話し合いがつかないうちに、(父の登記のまま)母が死んで、その後遺言書が見つかり、母の財産は すべて私に相続させる、ということでした。

 この場合、父の財産の私の相続分は、母の2分の1、プラス私の6分の1の合計6分の4になるのでしょうか?


記載内容

  数次相続 相次ぐ 計算

(桜餅)





【あなたの相続分は6分の4】

 現在、お父さん及びお母さんの遺産に関するあなたの相続分は6分の4であり、あなたのご指摘のとおりで正しいです。

 念のために記載すると次のとおりです。




【お父さんの法定相続分】

 子供がいるケースですので、配偶者は2分の1、子供は2分の1を平等の割合で遺産相続しますので、

・お母さん(配偶者)・・・2分の1

・あなた(子:長男)・・・6分の1

・長女(子)・・・・・・・6分の1

・次女(子)・・・・・・6分の1




【お母さんの遺産の相続】

 本来なら、お母さんの遺産は、あなたを含む3人の子供が平等で相続するはずですが、遺言書であなたが全部相続するということですので、お母さんの遺産の相続は次の通りになります。

・お父さんの遺産については、あなたがもともと持っている6分の1の法定相続分に加えて、遺言書によりお母さんの法定相続分である2分の1があなたにきますので、これを合計した6分の4があなたの相続分です。

・但し、お母さんの独自の遺産がある場合には、その分は全部、あなたが相続することになります。




【遺留分請求があるかもしれない】

 なお、お母さんの全遺産をあなたが相続するという遺言書がありますが、他の相続人としては、自分も遺産が欲しいといえば、法定相続分の半分の限度で遺産を請求できる制度―遺留分制度―があります。

 長女や次女が、この遺留分を請求してくることもあり、その場合にはお母さんの遺産の内の一部を渡す必要がありますので、その点は頭に入れておかれるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:21 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言書の検認を受けてからするべきこと【Q&A №430】

2015/02/18
 


 昨年母親が亡くなりました。

 父親は十数年前にすでに他界しております。

 私には姉が一人おります。

 姉は現在社会人、大学生2人の娘と夫の5人家族で私のほうは小学6年生の息子と主人の3人家族です。

 母の病院の付き添いなどの面倒は主に姉が行ってきました。

 私の方は育児期が重なり主に週末など行ける時に息子の顔を見せに行くという形で関わってきました。

 母が亡くなってから姉より、実は数年前に母から遺言状をもらっていたと聞かされました。

 もらう際、「財産は全部あなたに」といった内容の遺言状であると聞かされながらもらったそうです。

 そうはいっても、ということで一度は財産は等分にしようということになったのですが、実家の片付けをする過程で意見の不一致などが重なってきたところで「やっぱり検認するから」といわれ手続きにかかっているそうです。

 姉はそれまでにも母より子供の学費や生活費の援助を相当額うけていましたし、もっと遡れば子供の幼少期には母は定期を買って足しげく姉のところに通い面倒をみておりました。

 つまり、過去からずっと持ちつ持たれつの関係でした。

 私の方は子供の頃から冷遇、姉は母の愛情を一身に受けておりました。

 悔しくてなりません。

 遺言状の存在を知りながら教えてもらえなかったこと、姉が生前に受けてきた恩恵。

 最後にとどめの一発、どう考えたらよいのでしょうか。

 自分の尊厳を守りぬく方法を教えてください。


記載内容

  秘密 自筆遺言書 検認 遺留分 特別受益

(みなしごはっち)





【まずするべきことは遺言書の確認です】

 質問では、お姉さんは遺言書があると言っておられ、検認の手続きをされる方向のようです。

 公証役場で作った公正証書遺言の場合には検認が不要ですので、遺言書は自筆でかかれた自筆証書遺言だと思われます。

 あなたとしては次の点を確認する必要があります。

①まず、本当に遺言書が存在するのかを確認する。

遺言書の内容がどのようなものかを確認する。

遺言書が有効かどうかを確認する。


 自筆証書遺言の場合、法律に定められた書式に合致しない場合には、遺言書は無効になります。

 たとえば、ワープロで作成したものは効力を持ちませんし、日付が抜けている場合も効力がありません。



【遺言書を入手して、有効性を確認する】

 自筆証書遺言の場合、お姉さんが家庭裁判所に検認の申立をします。

 裁判所は遺言書を開封し、その内容を他の法定相続人等に見せます。

 この裁判所の検認は遺言書が出てきたことを他の法定相続人に見せるというだけの手続きであり、裁判所がその遺言書が有効であるかどうかの判断はしません。

 あなたとしては遺言書の検認に際して裁判所が作成する検認調書(遺言書のコピーが付けられています)をもらい、有効な遺言書かどうかを判断されるといいでしょう。

 なお、その判断ができないというのであれば、相続に詳しい弁護士に法律相談され、遺言書が有効かどうかについての見解を聞かれるといいでしょう。




【遺言書が有効な場合の対処法】

 仮に遺言書が有効なものであり、その内容がお姉さんに遺産全部を相続させるというものであっても、あなたには、本来の法定相続分の半分(相続人があなたとお姉さんだけだとすると4分の1)の限度で遺産をもらえる遺留分減殺請求という制度があります。

 遺言書の内容を見て、あなたが全く遺産をもらえないような内容である、あるいはもらえるけれども遺産の4分の1に届かないというのであれば、遺言書を見たときから1年以内に、遺留分減殺請求通知を出されるといいでしょう。

 なお、お姉さんが、お母さんの生前にかなりの財産をもらっているような場合には、その生前にもらった分を特別受益として遺産に持ち戻すという制度があります(このような持ち戻しが認められると、あなたが遺産からもらう遺留分が増加します)。

 この遺留分や特別受益については、この相続ブログの他のQ&Aに詳しく書いておりますので参照されるといいでしょう。(相続Q&A №243Q&A №393ご参照)

 ただ、遺留分や特別受益については、法律的に難しい分野ですし、最終的には訴訟等の法的手続きが必要になる可能性も高いことから、早期に弁護士に相談、依頼することも視野に入れるといいでしょう。
 

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:45 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

大叔母から預金の引き出しを頼まれた【Q&A №427】

2015/01/26



 私の母の叔母は高齢で一人で住んでいました。

 その叔母が脳梗塞で入院しました。

 私は今叔母の面倒を見ています。

 叔母は、私に私に委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしいと言います。

 叔母の脳梗塞はさらに進んでいます。

 普通預金と定額と合わせるとかなりの額です。

 叔母に何かあった場合、相続人は高齢で意識のはっきりしていない母になります。

 私が叔母の委任状で代理人としてその貯金を受け取り、病院の支払いや、叔母の葬儀に使ってお金が残った場合、母にそのお金を返さないと税金もかかってくるでしょうし、叔母が言うように受け取るべきか迷っています。


記載内容

  代理人 財産管理 脳梗塞

(あきら)





【もらうのか、預かるのか?】

 「委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしい」とお母さんの叔母さん(あなたからすれば大叔母)が言っておられるようですが、大叔母さんは払い戻しを受けた金銭をあなたにあげる(贈与)気持ちなのか、それとも預かって欲しいというだけなのでしょうか。

 その点に関する大叔母さんの意志をはっきりと確認しておく必要があります。

 質問からははっきりとしませんので、場合分けして回答します。




【預かる場合の対処法】

 大叔母さんとしては、あなたに財産をあげるのではなく、管理してほしいということであれば、あなたは金銭の保管者になります。

 ただ、金銭についてはトラブルがつきものです。

 大叔母さんの預貯金を全部解約して、あなたの名義で預貯金するような場合には、《大叔母をだまして財産を取り込んだ》などという影口が聞こえそうです。

 法律以前の問題ですが、もしあなたの名義の預金口座を作るにしても、必要最小限の金額を移動するだけにするのがいいでしょう。

 どうしても預貯金全額を預からなければならない必要性があるというのなら、あなた自身の口座とは別に、大叔母さんから預かった分だけの独自の口座を作り、その分からは自分の用途に使わないようにする・・大叔母さんから預かった財産とあなたの独自の財産をはっきり区別する必要があります。

 なお、大叔母さんが認知症など、意思能力が乏しくて、《金銭の管理ができないような状態》だから預からなければならないというのであれば、成年後見人の選任を考えるべきでしょう。




【預かった場合の相続との関係】

 預かっている最中に、大叔母さんが死亡した場合には相続が発生します。

 その場合には、あなたが預かった金銭の残金は大叔母さんの相続人(あなたのお母さん)に渡すことになります。

 預かっているだけであれば、預かった金銭は相続人に渡すということになるだけですので、相続税の問題は発生しません。

 ただ、あなたの名義に移したということで、贈与があったのではないかと税務署から疑われることも考えておくといいでしょう。

 そのため、預かったということをはっきりとさせるために、金銭管理の方法や解約、返還等についてきっちりとした契約書を作成するとともに、あなたの分とは異なる独自の財産であるとして管理をしておく必要があります。




【もらう場合は贈与税がかかる】

 もし、大叔母さんの意志があなたにあげるというのであれば、贈与になります。

 病院の費用を支払うという負担付の贈与となりますし、更には大叔母さんの面倒を見るという負担付の贈与も考えられますので、その点についても大叔母さんの意志をはっきりと確認する必要があるでしょう。

 贈与の場合には贈与税の申告が必要ですが、法定相続人に対して金銭を渡す必要はありません。

 但し、法定相続人から遺留分減殺請求されることもありますので、ご留意ください。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:11 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前に引き出された預金と遺言【Q&A №426】

2015/01/23
 


 親が死んで、遺言書が見つかって、3人子供がいて、私が全財産もらうことになったのですが、親の財産は貯金だけで不動産その他ありません。

 ところが、貯金をみたら、すでに、親が死亡する前に1000万円ぐらい全額ひきおろされてました。

  姉が、親と一緒にきて、おろしていったそうです。

 ところが、そのお金はあねが管理するとかいって、親にわたさずに自分の預金口座に入金してしまっており、電気代とかは そこから引き落とししてたようです。

 しかし、お金の大部分はのこっているはずなのですが、 姉はじぶんのものにしてしまいました。

 この場合、どう対応したらいいのでしょうか?



記載内容

  全財産 遺言 死亡直前 贈与 預け金 法定相続人への特別受益

(fandango)





【お金を預けたのか、贈与したのかにより結論が異なる】

 親御さんと一緒に行って預金1000万円を引き出したというのですから、預金の引き出し自体は親御さんが納得されていたのでしょう。

 ただ、その後、その金銭をお姉さんが保管することになったことをどう見るかという問題があります。

 親御さんの電気代等はその口座から引き落とされていたという点から見れば、お姉さんに管理してもらっていたということも考えられ、親御さんがお姉さんに1000万円を預けていたということになる可能性があります。

 しかし、お姉さんの口座に入金している点からは贈与と考えられる余地も出てきそうです。

 結局は預金引き下ろし時点でどのような話が親御さんとお姉さんとの間であったかで決まることであり、質問からはどちらとも断定することはできません。

 以下のように場合分けした回答をします。




【預け金の場合・・全額、返還請求できる】

 親御さんがお姉さんにお金を預けていたのであれば、親御さんはその預けた金銭の返還を請求できます。

 遺言書であなたが全財産を相続することになったのですから、預け金の返還請求権はあなたに相続されます。

 したがって、電気代等で引き落とされた分を差し引いた残額を請求するといいでしょう。




【贈与の場合は、特別受益であり、遺留分請求の問題となる】

 贈与となる場合には、遺留分減殺請求で返還を求めることしかできません。

 遺言で全財産をもらうことになっていたとしても、親が死亡した当時、遺産が何もないのであれば、その遺言は役に立たず、あなたは遺産をもらえません。

 ただ、生前にお姉さんに贈与されており、あなたに遺産が全く来ない(あるいは少ししか来ない)場合には法律であなたに本来の法定相続分の半分を返還するように請求(遺留分減殺請求といいます)することができると定められています(民法第 1031条末尾参照)。

 法定相続人の特別受益については、時期を問わず、原則として遺留分に持ち戻しされます。

 今回のお姉さんの1000万円の贈与は遺留分減殺の対象になるでしょう。




【あなたとしては預け金と主張する方が有利である】

 以上の説明からお分かりのように、あなたとしては預け金として返還を請求する方が有利です。

 ただ、その主張が通るとは限りませんので、万一、そうでないとしても遺留分減殺請求をするという二段構えで対応する必要があります。

 なお、お姉さんが簡単にあなたの請求に応じるようにも思われませんし、預け金か贈与かという訴訟でしか解決できないような問題もありますので、早期に弁護士に依頼するということも選択肢の一つとされるといいでしょう。


《参考条文》
民法 第1031条 (遺贈又は贈与の減殺請求)


 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が横取りした祖父の預金と遺留分計算【Q&A №425】

2015/01/21



 8年前、母方の祖父が亡くなりましたが、亡くなる迄の10年間、母ひとりで介護をしておりました。祖父には、母を含めて、長男、長女と3人の子どもがいます(祖母は20年前に他界)。祖父が存命中(軽度の認知症があり施設に入所中)、父が祖父の預金に目を付け、自宅の新築に600万をつぎ込み、さらに、700万円の預金も母ではなく父名義に変更してしまいました。母の姉、弟との協議もなく母に詰め寄り、新居の建築費に流用・預金の名義変更をしてしまいました(結果として、母がそれを許してしまった)。叔母、叔父はこのことを知りません。祖父の死亡時には、残りの預金(祖父の入所費用預金)で母の姉、弟に200万円ずつ分け与えた次第です(少しでも姉弟に分けてやりたいという思いですが、母の取り分は100万円程度)。

 母はこのことで壮絶な苦しみを感じておりましたが、現在、意識がない状態で入院中です。この1300万円は、本来、母を含めた姉弟のものではないのでしょうか?また、母が私に生前分与としてこの100万円をもらいましたが、この100万円について、父が「祖父の墓じまいのための金額であり、すぐに返却しろ。お前のせいで墓じまいができない。」と返却を迫ってきますが、祖父の墓じまいの費用は、父が横取りした700万円の中でまかなうことになっていると母から聞かされていました。父に返却すると、自分のものにしてしまう可能性がありますが、この100万円は返却しないといけないのでしょうか?
 また、父が横取りした1300万円を母のものにしてやることはできないでしょうか?


記載内容

  横取り 祖父 預金

(キノコ狩り)


【お祖父さんの意志を無視したのであれば返還請求ができる】
 お父さんが1300万円の預金の引き出しを、被相続人であるお祖父さんに無断でしたのであれば、お祖父さんの法定相続人であるお母さんとしては法定相続分が3分の1ですので、不当利得または不法行為に基づき433万円の返還請求ができます。

【お祖父さんが認めたのであれが、返還請求はできない】
 いろいろな事情があるにしても、お祖父さんが最終的に贈与を了解したのであれば、贈与は有効であり、お祖父さんとしては返還請求できる余地はありません。
 お祖父さんが返還請求できないのですから、相続人であるお母さんとしても、お父さんに返還請求ができないことになります。

【遺留分減殺請求ができるかもしれない】
 ただ、民法には、法定相続人に、最低限度の取り分の遺産(遺留分)を渡そうという制度があります。
 これを使うと、本来の法定相続分の半分(お母さんの場合には6分の1)の限度で遺産を取り戻すことができます。
 ただ、遺留分減殺請求が認められるためには
①お父さんに対する生前贈与によりお母さんの遺留分が侵害されていること
②相続開始から1年を超える場合には、生前贈与の双方の当事者が「遺留分権利者に損害を加えることを知って」いたこと

が必要です(末記の民法の条文を参照ください)。
 上記①の要件については、質問からは、被相続人の預金としてはお父さんが使用した1300万円の他にどのような遺産があったのかがわかりませんが、仮に、他の預金が500万円だけであり、それ以外には遺産がなかったのであれば、次の通りの計算でお母さんの遺留分は300万円となります。
   計算式:(みなし)遺産総額・・1800万円(=1300万円+500万円)÷6=300万円
   ※注:生前贈与分は遺産に組み入れて遺留分計算をします。
 お母さんが100万円もらっているとすると、遺留分は差額の200万円になり、この分の限度で。お母さんの遺留分が侵害されていることになり、お父さんから返還してもらえる権利があるということになります。
 上記②の要件については、お父さんが贈与を受けたのは1年より前のようですので、その贈与の時点で遺留分権利者に損害を加えることを知っていたという事実が必要になります。
 当時、被相続人の遺産として、前記1800万円しかなかったということを、お父さんらが知っていたのであれば遺留分減殺請求が認められることになります。

【お母さんからあなたへの100万円の贈与の返還は必要ない】
 お母さんから受け取った生前贈与の100万円ですが、お母さんからの贈与ですので、あなたがお父さんに返還する必要はありません。
 お父さんが墓じまいのために必要だと主張しても、それはあなたに言うべきことではなく、お母さんにいうべきことです。お母さんとしては既に支払った1300万円で処理するようにお父さんに反論するとよいでしょう。


《参考条文》
民法 第1030条 (遺留分の算定)


 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:32 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の内容を調べたい【Q&A №417】

2014/12/09



 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:48 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺留分減殺対策で、家を贈与又は売買したい【Q&A №413】

2014/12/03



 母は持家のマンションで一人暮らしです。
 その母の家を私の娘に生前贈与したいと言っています。(母の財産は、そのマンションだけです。)推定相続人は私と妹の2人で、妹は母の財産の半分を貰う気 満々です。
 母から娘への名義変更なら、原則としては特別受益には該当しませんよね。(娘は19歳大学生です。)
 もし妹が遺留分減殺請求したら、この場合 持ち戻しと言うことになるのですか?
 そう判断されない様にする方法は ありますか?
 この裁判にかかる費用は いくらぐらいですか?
 妹に母の家を渡さない方法として、家を私か主人が買い取ると言うのはどうですか?
 評価額は1700万円くらいなので、その値段で買う。(現金買取でも良いですか?)そして母から娘へ教育資金贈与を1500万円して貰う。
 母は現金を持っていないので、つじつまは あっていると思うのですが、どうですか?売買なら特別受益にもならないですよね。税金がかかるとは思いますが。これ以外に妹に家を渡さなくていい方法があれば教えて下さい。宜しくお願いします。

記載内容

   贈与

(佐奈)





【原則は特別受益にあたらないが、断言はできない】
 推定相続人(本件ではあなたと妹さん)に対する贈与なら、特別受益として遺産に持ち戻すことになります。
 しかし、質問に記載されているような、あなたの娘さん(被相続人から見ればお孫さん)への贈与は推定相続人に対するものではないため、ご指摘のとおり、原則として特別受益の問題は発生しません。
 ただ、夫に対する贈与が、推定相続人である妻に対する贈与であるとされた裁判例が1件あります(「【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益」参照)ので、絶対に特別受益にはならないと断言することはできません。
 どのような場合に特別受益とされるかの判断基準は、裁判例が1例だけですので、必ずしも明らかではありませんが、抽象的に言えば《娘さんに対する贈与が、あなたに対する贈与と同視されるような場合》には特別受益とされる可能性があります。
 今回のようなケースでは、
①娘さん(孫)が未成年であり、自分では管理処分する意思と能力を持たない。
②なぜ推定相続人であるあなたではなく、お孫である娘さんにわざわざ贈与するのかという動機

という点などが、検討されるべき事項になるように思います。

【特別受益にはならなくとも、遺留分減殺請求は受けることになる】
 娘さんへの贈与が、推定相続人であるあなたへの特別受益と判断された場合には、特段の事情がない限りは、時期や損害を加える意思の有無を問わず、遺留分減殺の関係では遺産に持ち戻されます(相続Q&A №324およびQ&A №411参照)。
 なお、仮に娘さんへの贈与があなたの関係での特別受益にならないとしても、妹さんの立場から言えば、娘さんに対する遺留分減殺請求をすることが可能です。
 遺留分減殺で遺産に持ち戻される贈与は、相続開始前の1年間にされた贈与か、遺留分権利者に損害を加えることを知った贈与です(後記参照条文:民法1030後段)が、本件の場合、贈与の対象となる持ち家が、お母さんの唯一の財産ですので、《損害を加えることを知った贈与》とされる可能性が高いでしょう。

【買い取れば特別受益にはならない?】
 次に、あなた又はあなたのご主人が買い取る案をお考えのようですが、1700万円という買取金額が相当額であれば、その売買自体は特別受益にはなりません(なお、税務当局は親子間の売買には厳しい目を向けており、果たして本当の売買であるかどうかを調査するという可能性もあることも考慮されておくといいでしょう)。
 又、売買代金1700万円のうち、約80%に相当する1500万円を、お母さんから娘さん(孫)へ教育資金として贈与するとなれば、本来は親であるあなたが負担しなければならない教育費を、お祖母さんが負担したことになり、これによって、あなたが教育資金の負担を免れたという《特別受益》が発生する可能性もあります。
 また、売買の時期や贈与の時期が近接している、娘さんにわざわざ教育資金を出す必要性が乏しいような場合には、売買と贈与とが《仕組まれた一体の取引》であり、実質的には買取ではなく、あなたへの贈与であったと見られる可能性も想定しておく必要があります。

【遺留分減殺請求の裁判費用】
 裁判にかかる費用としては裁判所に納める申立印紙代や弁護士費用がありますが、今回最も大きな費用となるのは弁護士費用でしょう。
 弁護士費用は自由化されていますので一概には言えませんが、遺留分減殺請求事件は弁護士間では難しい事件とされています。
 このことを考えると、事件を依頼する場合に支払う着手金として、妹さんからの請求額の8~10%程度になり、事件終了時に支払う報酬として、仮に全部を勝訴した(妹さんに1円も支払いをしない)という場合には、請求額の10~16%といった金額の水準で契約する弁護士が多いように思います。

《参照条文》 民法第1030条(遺留分の算定)
 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:50 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分減殺は単独で登記できるか【Q&A №399】

2014/09/04
 実父の公正証書遺言により、第三者に遺贈されてしまった遺産のうち不動産に対し、法定相続人が遺留分減殺請求権の行使をし、その帰属範囲内の割合で共有(同?)登記し、それを継続させる事は可能ですか。

 遺言執行者には、遺言作成を依頼された弁護士が指定されており、受遺者は早急に遺産を売却し金員を手に入れようと遺言執行者の助言のもと、その土地建物に出入りし、動産の処分も行っています。

 法定相続人としては、それらの行為や目的にでき得る限り対抗しようと考えています。
 現在のところその土地建物の名義は実父のままで、建物の評価は略無いと思いますが、部屋に私の所有物を長年保管しております(使用借権としても専有面積は帰属範囲内の割合です)。
 
 審判までは一人で戦うつもりですので、法的知識や権利のある遺言執行者らの対抗にも有効な手立てをご教授ください。

記載内容

遺留分 登記 単独申請 仮差押 原則1年以内 執行者への通知
(金にならない相談者)


【遺留分権利者単独で遺留分の登記はできない】
 日本の登記制度は原則として登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が原則です。
 ただし、例外として、共同相続人のうちの一人が単独で法定相続内容通りの相続登記ができます(末記の条文をご参照ください)が、ご質問の《遺留分減殺を原因とする登記》は《相続登記》ではないため、遺留分権利者が単独ですることはできません。
 そのため、登記をするためには登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が必要であるという結論になります。

【遺留分の登記を実現するための方法】
 あなたが遺留分の登記をするためには、受遺者に対して裁判を起こして判決を得て、その判決に基づいて遺留分だけあなたが移転登記するということになります。
 ただ、判決が出るまでには(事案によって異なりますが)通常、1~2年程度かかります。
 今回のケースでは、受遺者が遺贈の対象となった不動産の売却を急いでいるようですので、判決を待っていられないでしょう。
 そのような場合には、不動産について遺留分があるので売却をしないようにという手続きとして仮差押申し立てをすることも可能です。
 手続きとしては、裁判所に書面を提出し、裁判所と面談して仮差押決定を出してもらう必要がありますので、ぜひ、相続に詳しい弁護士に相談し、仮差押えの手続きを委任されるといいでしょう。

【家への立ち入りはやむを得ない】
 次に、受遺者のお父さんの自宅への立ち入りですが、受遺者は登記を受ける前であっても当該不動産の所有権を有していますので、家への立ち入りを禁じることは難しいでしょう。
 なお、あなたの所有物が無断で処分された場合には、その分は所有権を侵害されたとして損害賠償の対象になることはあり得ます。

【現在、早急にとるべき行動について】
 ご存知だとは思いますが、遺留分減殺請求は、原則として、相続開始から1年以内にする必要があります。
 もし減殺請求をしていないのなら、早急に内容証明郵便で受遺者に対して減殺請求通知を出されるといいでしょう。
 次に、遺言執行者に対しても、遺留分減殺をした遺留分権者の立場で、受遺者に当該対象物件全部の移転をしないように申し入れておくことも考えられます。
 ただ、遺言執行者としては《とりあえずは受遺者に単独登記をするので、あとは受遺者と遺留分権利者とで争ってくれ》という対応をする場合が多く、あまり効果はないかもしれませんが、遺留分権利者としては、そのような申し入れもすることも一方法でしょう。
 いずれにせよ、遺留分にかかわる問題は難しい点が多々ありますので、早期に弁護士に相談されるといいでしょう。

《参照条文》
不動産登記法63条(判決等による登記等)

   1項 ・・・・(省略)・・・これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続きをすべきことを命じる確定判決による登記は、当該申請を共同でしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
   2項 相続又は法人の合併による権利移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:43 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

脳梗塞の父から後妻が生前贈与を受けた【Q&A №398】

2014/08/25
 7年程前に重度の脳梗塞で倒れ介護生活を送っていた父が、半年前に亡くなりました。父は再婚で私には継母なのですが、その継母には娘(継母の連れ子)がいます。
 その連れ子と父が、脳梗塞で倒れた翌月に養子縁組をし、その半年後には継母と連れ子の名義で土地と家屋を購入するために、父の預金から継母と連れ子に現金を生前贈与していた、という事実を父が亡くなった数日後に初めて知りました。連れ子が嫁いでからの父の再婚だったので、連れ子は私や父と暮らした事もありません。父は重度でしたので半身麻痺、言語障害、記憶障害などがありました。連れ子は弁護士をたてて手続きをしたと言っています。そして私が7年間知らなかったという事を、自分も知らなかった事を知らなかったと、とぼけています。継母とは口をきいていません。
 土地と家屋は合わせて約5000万一括払いです。継母と連れ子でどんな割合で贈与してもったのかわかりませんが、この度の遺産分割で「遺産は預金400万で、あなたの分は100万」と言われました。あまりに不公平ですし、当時の父の状況からは考えられない疑問も多々あります。持ち戻し及びこの場合、遺留分減殺請求はでき・・・

記載内容

脳梗塞 生前贈与 意思能力
(にこりん)


【あなたの相続分は400万円である】
 本件では後に述べるように、
①お父さんの意思能力(判断能力)があったのか。
②遺留分減殺請求をするとどうなるのか。
という問題があります。
 ただ、その前にこれらの点を問題にしない場合のあなたの相続額を考えてみます。
 後妻と養子になった娘が生前に5000万円の贈与を受けていますので、その分は特別受益として遺産に持ち戻されます。
 そうするともともとの遺産額400万円にこの持ち戻しされる遺産5000万円を加算した額がみなし遺産になり、その額は5400万円になります。
 そのため、あなたと後妻の娘の計算上の相続分はこの4分の1である1350万円、後妻は2分の1の2700万円となります。
 後妻とその娘に対する生前贈与は合計で5000万円というだけで、その明細が不明です(簡単に推測する方法としては登記簿謄本で持ち分割合を確認されるといいでしょう)が、仮に後妻が2700万円の以上の贈与を受け、娘が1350万円以上の贈与を受けていた場合、いずれも計算上の相続分を取得していますので、後妻も娘も、今回の400万円から遺産をもらうことはできません。
 後妻側の主張するあなたの取り分100万円というのは間違いであり、あなたは今回の相続で400万円全額を取得することができます。

【意思能力喪失による贈与及び養子縁組の無効】
 ただ、問題は、生前贈与あるいは養子縁組した時にお父さんに意思能力があったかという点です。
 もし、意思能力がなかったらこれらの行為が無効となり、贈与分の返還を請求でき、また、養子縁組も無効となるため、後妻の娘が法定相続人でなくなります。
 お父さんは脳梗塞で言語障害や記憶障害があったというのであれば、養子縁組及び贈与当時、入院していた病院や入所していた施設のカルテ、介護記録等を取り寄せされて、お父さんの意思能力がどの程度であったかを判断されるといいでしょう。
 意思能力の有無に関する検査として有名なのは長谷川式認知スケールという検査(30点満点)です。(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)
 カルテにそのテスト結果が記載され、その点数が10点以下であれば、意思能力はなかったとされ、養子縁組や贈与が無効とされる可能性が高くなります。
 もし、贈与と養子縁組が無効になった場合にはあなたは5400万円の半分である2700万円の遺産を相続できますし、仮に贈与のみが無効となった場合でも1350万円の遺産をもらうことができます。

【遺留分減殺請求について】
 仮にお父さんに意思能力があった場合の対応としては遺留分減殺請求が可能です。
 被相続人の有していた財産のうち、ある一定限度を法定相続人(子などの直系卑属や父母等の直系尊属)にもらえることを認める制度です。
 今回の相続では被相続人に配偶者がおり、子が2名のケースですので、あなたの遺留分は全遺産(この場合の遺産も、 現在の遺産額に生前贈与分を持ち戻し加算した計5400万円になります)の8分の1の675万円ですが、あなたは今回の相続で400万円をもらえますので、残りの275万円を後妻及びその娘に遺留分返還請求することになります。

【その他の主張として、贈与の意思がなかったということも・・】
 その他の主張として、お父さんに仮に意思能力があったとしても、贈与の意思はなかったということも可能かもしれません。
 銀行の払い戻し伝票あるいは送金書類の筆跡がお父さんのものではなく、また、当時のお父さんの経済状況からみて、そのような多額の金銭を贈与できない、さらに言えば、贈与税の支払いもしていない等の事情があれば、お父さんとしては贈与を知らず、後妻らがお父さんに無断で金銭を動かしたのだという点を主張することも可能かもしれません。

【弁護士に相談を】
 今回のように、贈与等の無効を主張したり、遺留分減殺請求をするというのであれば、法的な知識と判断が必要になります。
 そのため、あらかじめ相続に詳しい弁護士と法律相談をし、詳しい事情を説明されるといいでしょう。
 適切なアドバイスをしてくれると思います。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:25 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言があるときの生前贈与の扱い【Q&A №393】

2014/07/16
  母が亡くなりました。遺言書によって預貯金1000万は子供二人で分けるように、不動産500万は姉にという内容です。父はすでに他界しています。家の建築費用200万円を出してもらっているのだから、それを特別受益として相続分から差し引くと言ってきました。姉の言い分は正しいのでしょうか。

記載内容

遺言 生前贈与 特別受益 遺留分
(みち)


【預貯金は半額ずつ相続するという意味で理解する】
 遺言書では、預貯金はあなたとお姉さんの2人で分けるということですが、その意味は《預貯金1000万円は半額ずつにし、お姉さんは500万円、あなたも500万円を相続する》ということだと理解して、回答していきます。

【特別受益が多ければ、相続時の遺産からもらう額が少なくなることがある】
 お姉さんのいうように、あなたが被相続人から生前に建築資金として200万円をもらっていたというのであれば、特別受益になります。
 特別受益があまりに多額になるような場合には、あなたがもらう遺産額が減額されることもあります。

【今回のケースでは遺留分が問題となる】
 今回のケースでは遺言書が作成されています。
 遺産としては預貯金と不動産だけで、その他に遺産はなく、それらの遺産を相続する者が遺言書で指定されている場合、遺留分を侵害するかどうかが問題になります。
 お姉さんの遺留分は法定相続分の半分の4分の1です。

【遺留分を侵害しているかどうかの検討】
 まず、遺留分の計算の基礎となる遺産は、相続開始時の遺産額である1500万円(不動産500万円+預貯金1000万円)に生前贈与の200万円を加算した1700万円(みなし遺産額)になります。
 お姉さんの遺留分はこの4分の1の425万円です。
 しかし、今回の遺言書によりお姉さんの取得する遺産額は不動産(500万円)+預貯金の半分(500万円)の合計1000万円ですので、お姉さんは遺留分を侵害されるわけではなく、遺留分減殺請求をすることはできません。
 そのため、あなたが特別受益分を返還する必要は全くありません。

【結論としては・・】
 以上のとおりであり、お姉さんの見解は間違いです。
 あなたとしては預貯金の半額の500万円をもらうことができますし、又、特別受益の200万円を返還する必要もありません。
 堂々とお姉さんに対し、遺言書に記載されたとおり、預貯金の半額を分けるよう請求されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

夫を相続人から外す方法【Q&A №379】

2014/06/03
 初めまして。よろしくお願い致します。
 私は結婚していますが、子供がいません。
 病気の容体が良く無く、「死」を意識する様になりました。
 私の死後、保険金で葬儀を行って貰えると仮定して。
 主人用にも毎月少ないながらもお金を貯蓄しているので、私の通帳の中身は、妹の娘(姪)に譲渡したいと思います。
 その場合は、「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?

記載内容

遺留分 生前の相続放棄の合意 生前の遺留分放棄 公正証書遺言の執行 廃除
(くるみ)


【相続人である夫の立場は・・・】
 ご主人に遺産を渡したくないが、どうすればいいかという質問です。
 まず、ご主人は配偶者になりますので、妻であるあなたが死亡した場合には、本件では子供がいないということですので、直系尊属(あなたのご両親等)が存在する場合にはあなたの遺産の3分の2が、又、ご両親等の直系尊属が死亡されている場合には4分の3が、法定相続分としてご主人が相続します。

【遺言書を書く】
 まず、何よりも遺言書を作成し、ご主人以外の人に遺産全部を相続あるいは遺贈する必要があります。
 又、なぜ、ご主人に遺産を与えないかを、穏やかな表現で《付言》として記載しておくといいでしょう。
 ご主人としては、そのような遺言書であれば、やむなしとして納得する可能性があり、あえて遺留分減殺請求まではしてこない可能性もあります。

【夫を相続手続きから外す《廃除》という方法があるが・・】
 質問には《「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?》とあります。
 法律上、夫から強制的に相続人である資格を奪ってしまう《廃除》という制度(民法892条。条文は末記のとおりです)があります。
 この制度は、あなたが生前に、家庭裁判所に、ご主人から暴力や虐待を受けていたことを証明し、裁判所の裁判(審判)でご主人を相続人から除外してもらうものです。
 ただ、そう簡単には認めてくれないことが多いです。

【生前の相続放棄は法的に法的には無効で意味がない】
 生前、相続を放棄するのに同意をしてもらうことも考えられますが、残念ながら、生前の相続放棄は無効です。
 そのため、あなたの死後、ご主人が約束を翻して相続放棄をしなかったとき、ご主人は法定相続分どおりの相続することになっても、誰も文句をいうことができません。

【生前の遺留分放棄を考えてみるとよい】
 生前の相続放棄はできませんが、生前の《遺留分》の放棄は可能です(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあるのですから、互いが遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。
① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
② 遺言書がないとご主人は法定相続します。

 そのため、あなたとしては遺言書を作り、ご主人に遺産を行かないことを明らかにしておく必要があります。
 遺留分放棄の審判申立については、当ブログのQ&A №381をご参照ください。

【公正証書遺言で遺言執行者を定め、秘密裏に執行すると・・】
 過去に扱った案件ですが、他の相続人に全く知らせることなく、遺言が執行されていたことがありました。
 公正証書遺言で遺言執行者が隠密裏に執行したのです。
 自筆遺言証書であれば、その実行をするために家庭裁判所の検認という手続きが必要であり、その手続きの通知が裁判所から全相続人に行きます。
 しかし、公正証書遺言の場合、検認の手続きが不要で、即時に執行できます。
 このような場合、他の相続人の知らない間に遺産が分配され、特定の法定相続人が相続から事実上、排除されるということになります。
 但し、遺言執行者としては相続の開始や遺言の存在を知らせ、遺産目録を作成して法定相続人にも交付する義務があります。
 前記のようなケースは、これらの義務を履行しなかったために遺留分減殺の機会を奪ったものだとして、他の相続人(たとえばご主人から)損害賠償請求をされるというリスクが発生しますので、お勧めできる方法にはなりません。

・参照条文①:民法第892条(推定相続人の廃除)
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

・参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
 1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:18 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

後妻からの遺留分減殺請求【Q&A №369】

2014/04/28
 去年10月末に主人が亡くなりました私は後妻で先妻との間に50代の息子二人おります遺産相続で法定相続分侵害されています預金四分の一しか戴けないので遺留分を請求したいと思っています
 平成23年8月に公正証書で土地は主人名義 建物は私の名前で建築しました
 土地使用賃貸契約書を結びました
 存続期間は平成22年から私が死亡するまでとなっています
 私の公正証書には私が死亡したら長男に寄贈するとなっています登記はしていません
 建物の税金は私が払っています
 家の建築費用1800万の内1千万は私のお金で800万は主人のお金です
 遺留分請求の時、主人が出してくれたお金は私の相続財産に含まれるのでしょうか
 入籍したのは去年の1月で公正証書作成したときは旧姓になっています 贈与にもなるのでしょうか心配しています宜しくお願いします

記載内容

遺留分 法定相続分 建築資金 特別受益 借地権 遺留分算定の基礎遺産
(ピーコママ)


【あなたの遺留分は4分の1】
 遺言で、本来の法定相続分よりはるかに少ない財産しか相続できない場合には、遺留分の問題が発生します。
 あなたは、配偶者ですので法定相続分は2分の1です。
 配偶者の場合、遺留分は法定相続分の半分の4分の1になります。

【遺留分を侵害されているかどうかを判断する】
 遺留分を侵害された場合には遺留分減殺請求をすることができます。
 この場合、あなたのもらえる具体的な遺産額が、ご主人の全遺産の4分の1に達しないのなら、あなたの遺留分は侵害されていることになります。
 そのため、全遺産額がいくらになるのかが重要なポイントになります。
 遺留分を計算する前提となる遺産には、ご主人の死亡当時の遺産だけではなく、生前に受けた特別受益も加算されます。

【かなりの特別受益が遺産に加算される可能性がある】
① あなたの場合、生前にあなた名義の建物建築費として、ご主人が800万円を出したというのであれば、その800万円が生前贈与になり、特別受益として、遺産に加算される可能性が高いです。
② 又、ご主人の土地上にあなたの建物が建築され、その建築の際、土地使用契約が締結されたというのであれば、あなたに借地権が発生しますので、借地権がご主人からあなたに与えられたとして、その借地権相当額が、特別受益として遺産に加算される可能性が高いです。
③ そうすると、
  遺留分算定の前提とされる遺産額=
    死亡当時の遺産額+
    借地権の設定後の土地価額(更地価額の約40%)+
    前記①の800万円+
    借地権価額(借地権が設定されている土地の更地価額の約60%)
です。
 この4分の1があなたの《遺留分額》です。
 この《遺留分額》とあなたが遺産からもらえる分(全預貯金の4分の1+前記①の800万円+借地権価額の合計額)を比較し、《遺留分額》の方が多い場合には、遺留分減殺をすることができ、不足分をもらうことができます。
 しかし、そうでない場合には遺留分減殺請求ができないことになります。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:38 遺留分  | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

外国で作った遺言書の効力(遺留分減殺は認められるか)【Q&A №363】

2014/04/04
 私の親友Aさん(日本在住の日本人。50歳代)はNZ(ニュージーランド)に不動産などを持っており、近くまたNZに行って新たな不動産を購入予定です。

 Aさんは、家業の関係もあり、将来遺産の全てを長男Bさん(日本在住の日本人)に相続させたいと考えていますが、他にも相続権者の子どもCさん(日本在住の日本人)がいます。

 ある人が「NZには遺留分の制度はないはずだ」とAさんに教えたので、Aさんは今度NZに行くときに、「NZにある遺産は全てBさんにつがせる」という内容の(英文の)遺言状をNZで作ろうかと考えています。(AさんのNZでの資産は、その全ての資産の大部分をしめています。)

 しかし、将来Aさんが亡くなった時、NZで作ったそういう内容の有効な遺言書が存在したとして、Cさんが日本の裁判所に遺留分減殺請求をした場合、裁判所はCさんの減殺請求を認めるのではないかと私は思うのですが、正解でしょうか? 正解ではないのでしょうか? どうぞご教示下さい。

記載内容

外国 遺留分減殺請求
(Cajun Chicken)


【はじめに・・・】
 この点は《渉外を扱う法律事務所》という分野ですので、詳しくはそれらを得意としている事務所にお聞きください。
 ただ、当事務所で理解できる限度で回答をします。

【外国で作成した遺言書の有効性について】
 外国で遺言書を作成した場合、その作成した国(今回の質問ではニュージーランド)で有効な遺言書であれば、日本でも有効な遺言書と認められます。
 又、その作成した国では遺言書としては有効な方式とは認められない場合であっても、日本の民法で有効な方式で作成されているのであれば、それも有効な遺言書になります。
 これらの遺言書の方式の有効性については、末尾の参考条文①を参照ください。

【遺留分減殺請求は認められます】
 次に、有効な遺言書がある場合、その遺産分割などはどこの国の法律が適用されるのかという問題があります。
 結論から言えば、相続については、被相続人の本国法が適用されます。
 これについては、末尾の参考条文②をご参照ください。
 そのため、日本人が外国(今回の質問ではニュージーランド)で作った遺言書が有効な場合、その相続関係については日本の民法が適用されます。
 従って、遺言書の内容が、他の相続人(質問ではCさん)の遺留分を侵害する場合には、侵害された者(Cさん)は遺留分減殺請求をすることが可能になります。

【日本の判決をニュージーランドで執行できるか・・】
 質問では、遺産としてニュージーランドの不動産が含まれていそうです。
 そうすると、日本の裁判所で遺留分減殺請求を認める判決が確定した場合、その判決をもってニュージーランドで強制執行できるかという問題が出てきます(日本の裁判所でとった判決がニュージーランドで承認されるのか、あるいは別途手続きを取る必要があるのかということです)。
 この点については、当事務所では正確な回答はできません。
 このような問題については、渉外事件を扱う法律事務所がありますので、そこに法律相談され、正確な回答を得られることをお勧めします。

参考条文①
【遺言の方式の準拠法に関する法律】
第二条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
(以下略)

参考条文②
【法の適用に関する通則法】
第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:47 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

孫への贈与と遺留分減殺請求【Q&A №353】

2014/03/06
 姉が一人おり姉には成人した子供が一人。私は現在海外に住んでいて父の死後、母と姉家族が同居。以前母から手書きで不動産の1~2(同居している家等)を姉に、3,4を私に、5の土地を孫(姉の子)にと書かれたメモを受け取り母の意思ならば従う気持ちでおりました。今回姉の話で私に相続させると書かれてた土地の1つを母の弟がお金が必要で自分の土地と母の土地を合わせないと売れない事を理由に要求して来た結果、印鑑を捺して売った。姉夫婦が面倒な対応を引き受けたと聞き初めて知らない間に売られていた事を知りました。孫の大学の学費は母が全て出したと母がしっかりしている時に母から聞いており、今回ご相談したい気持ちになりました理由は今回の訪問時『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙を私に見えるように貼ってあるのを見たからです。このような状況から全ての不動産を姉や姉の子供の名義に私の知らぬ間に(母の捺印済みで)変更されていた場合、私への遺産相続のはどうなるのか?そうなっていた場合私が母の意思であった一部でも相続できる為の手段と裁判になった際の費用等をご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
 母や姉に直接この話を問うことは姉の性格上、そして母が老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております為、不可能だと考えております。

記載内容

 贈与 遺言書の有効要件 遺留分減殺請求 自筆のメモ 貼り紙 意思能力
(涙)


【メモは遺言書にはならない】
 遺言書が有効であるためには最低限、①日付があり、②氏名が自書され、③印鑑が押されていることが必要です。
 お母さんが不動産を、法定相続人であるあなたやお姉さん、お孫さんに分けるとの手書きのメモを書いていたようですが、単なるメモでは遺言書にはなりません。
(又、仮に遺言書であっても、該当不動産が売却されているのであれば、遺言書のうちのあなたに不動産を相続させるという部分は効力を持ちません。)

【貼り紙も遺言書にならない】
 《『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙》が貼られていたとしても、冒頭に記載した遺言書の有効要件を充たしていない限り、それは単なる《貼り紙》であり、遺言書ではありません。
 そのため、お母さんが死んだ後、お姉さんがこの《貼り紙》を根拠にして、お孫さん(お姉さんの子)に不動産を相続(遺贈)させることはできません。
 あなたとしては、遺言書ではないのだから、そんな貼り紙はなんらの効力がないということで対応されるといいでしょう。

【遺言書が存在する可能性もあるが・・・】
 ただ、お姉さんの動きを見ていると、遺産である不動産を全部、取り込みたいようです。
 このような状勢からいえば、既に要件を充たした自筆の遺言書あるいは公正証書遺言が作成されている可能性も否定できません。
 お母さんの死後、遺言書が出てきて、そこには、遺産の全部をお姉さん側に相続させる(遺贈する)というような内容だった場合でも、あなたには《遺留分減殺請求権》があります。
 この権利は、本来の法定相続分(本件では相続人はお姉さんとあなたの2人なので2分の1)の半分(4分の1)の限度で、遺産をもらえるという制度です(「相続コラム:遺留分とは」参照)。
 ただ、遺留分減殺請求ということになると、専門家である弁護士の助力が必要であると思われますで、遺言書がある事が判明し、その内容があなたに不利ということなら、早めに相談し、必要に応じて委任をされるといいでしょう。
 なお、弁護士費用は、弁護士により異なり、又、あなたが受け取る金額によっても違いますが、総額でいえば、あなたが受け取る金額の10~20%の程度のことが多いでしょう。

【遺言書を無効にする証拠を集める】
 判断能力がないときに書かれた遺言書は無効です。
 現状では、お母さんが《老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております》ということのようですが、もし、可能であれば、お母さんの判断能力を調べるテスト(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)を受けて頂くことも考えておくといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:28 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

詐欺・脅迫による遺言の無効【Q&A №322】

2013/10/30
  
公正証書遺言の遺言執行者とその代理人弁護士との間で遺留分減殺請求の交渉をしていますが共同相続人の一人である遺言執行者Aが強気の為、交渉が難航しています。
 この公正証書遺言を無効に出来れば一機に遺産分割の進展が望めると思い相談いたします。民法891条(相続人の欠格事由)では、遺言を無効とする5項目を定めておりますが4項の脅迫や詐欺により遺言が無効とされた判決事例を教えて下さい。

記載内容

詐欺 脅迫 欠格事由 受遺者 公正証書の取り消し

(キギ)


【当事務所の使用している判例検索システムでは参考判例は見当たらない】
 民法891条は「相続人となることができない」者(相続欠格者)を列挙していますが、その4号に、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が記載されています。
 ご相談の内容は、詐欺・脅迫によって遺言がなされた場合、その詐欺・脅迫をした者を相続欠格者として遺言の効力を否定するような案件が問題となった判例はないかというものです。
 結論から申し上げれば、当事務所が使っている第一法規の判例検索システムで検索しても、詐欺・脅迫と相続欠格が問題となった判例は出てきませんでした。
 また、当事務所でも同種の争点が問題となる案件を扱ったことはありません。

【参考までに】
 今回の質問では《公正証書を無効》にする手段として、相続の欠格事由が使えるかどうかを検討されています。
 しかし、相続の欠格とは、ある相続人の相続資格を否定するだけであり、公正証書遺言自体を無効にするものではありません。
 もし、公正証書自体を無効にしたいのであれば、相続人として(被相続人が有していた)詐欺・強迫による取消権を相続で取得したとして、その取消権を行使するという方法も検討の余地があります。
 参考までに付言しておきます。

※本件には直接関連しませんが、相続欠格については昭和63年の仙台地裁の判決がありましたので、「【判例散策】昭和63年5月31日 仙台地裁判決」で解説しています。



大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:39 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人でない人物が遺産を受け取る場合【Q&A №318】

2013/10/02
  
父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。おばも何かと私に頼ってます。
 つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
 叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
 叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑
 叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
 スムーズに終わらせる方法ってありますか?
 もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
 どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

遺留分減殺請求 相続税 贈与税


(のん)


【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
 叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
 質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
 普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
 しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。

【遺言書作成の際に注意すべき点】
 質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
 しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
 そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
 費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。

【相続と贈与との税額の相違】
 遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
 相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
 (但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)
 一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
 このように、贈与より相続の方が節税になります。
 但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。

【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
 お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
 そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
 そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:34 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分の請求期限はいつまで。【Q&A №316】

2013/09/24
  
7年前に 祖父が亡くなり 公正証書により 父と叔母が相続しました。その後 金額
に納得出来ない叔母が、遺留分を請求するしないで父と揉めてしまい 大げんかにな
り それきりになっていました。そして 今年 父が亡くなり 父の財産は ほぼ私が相
続しました。祖父の相続の遺留分請求期限である10年までは あと3年あるわけですが
叔母が 私に遺留分請求をする事は可能ですか?

記載内容

時効 除斥期間 1年 遺留分減殺の意思表示期間


(らふ)


【原則1年で請求できなくなる】
 まず、遺留分減殺請求は請求者(今回は叔母さん)が遺留分の侵害されたことを知ったときから1年以内に請求しなければなりません。
 又、仮に相続の開始や遺留分の侵害を知らなくとも、被相続人の死亡から10年が経過すれば遺留分減殺請求はできなくなります。

【叔母は遺留分減殺請求をしたのか】
 質問では、公正証書遺言があり、叔母さんがその内容に納得できないということですので、叔母さんとしては遺留分の侵害されたことを知っていることでしょう。
 そのため、叔母さんとしては、その遺留分の侵害を知って1年以内に遺留分減殺の意思表示をする必要があります。
 もし、その意思表示をしていないのであれば、10年を待つまでもなく、遺留分減殺請求はできなくなります。
 質問では「遺留分を請求するしないで父と揉めてしまい」とありますが、請求したのかどうかをはっきりと確認する必要があります。

【父の地位をあなたが引き継ぐ】
 お父さんの地位を相続人であるあなたが引き継ぐことになります。
 そのため、叔母さんが遺留分減殺を請求していた場合、あなたは叔母さんと遺留分減殺の交渉をする必要があります。
 念のために言えば、叔母さんが遺留分減殺請求をしていなかった場合には、あなたが叔母さんと遺留分について話し合う必要はありません。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:47 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続紛争中に生じた納税の負担【Q&A №313】

2013/09/05
 
 数年前になくなった叔父は、何十億単位の財産を、妻子ではなく兄弟に等分して遺贈するという遺言を残してなくなりました。(兄弟の一人が私の父です。)
 兄弟達は、叔父が亡くなると同時に、叔父の妻子達から遺留分減殺請求の申し立てを受けました。
 分割協議・調停を行うも話し合いは難航し、未分割のまま数年が過ぎ、今に至ります。
 分割協議が確定するまでは、遺贈を受けた人に納税の義務があるという事で、兄弟達は高額な相続税を課せられた状態が続いています。
 兄弟達には納税する現金がありませんので、叔父の残した土地のみならず元々自分たちの持っていた土地までを担保にいれて、延納をお願いしています。
 相続人達はのらりくらりの対応で、分割を決着させようとする気配がありません。

(質問1)本税以外に延滞金のような金額が発生しておりますが、この金額は、相続が確定して払いすぎた分が返還される時に返してもらえるのでしょうか。また、その延滞金を分割協議を長引かせている妻子達に請求出来るのでしょうか。
(質問2)このまま時間が過ぎて、減殺請求自体が無効になることはあるのでしょうか。
(質問3)減殺請求をする時点で、請求者に納税の責任を移行するべきではないかと思いますが、それは無理な事なのでしょうか。


この説明だけでは不十分かと思いますが、出来る範囲でかまいませんので、ご返答を頂きたく、よろしくお願いいたします。

記載内容

相続税 延滞税 長期化 遺留分減殺請求 更正請求


(困った一族)


【税金の相談は念のために税理士へ確認する】
 今回のご相談のうち、質問1及び3は、相続税という税金に関する相談です。
 可能な範囲で回答いたしますが、不正確な点もあるかもしれません。
 正確なところは、税金の専門家である税理士等にご確認いただきますようお願いします。

【請求を受けた時点で遺留分減殺の効果は発生する】
 まず、法律問題について回答します。
 遺留分減殺請求は、遺留分が侵害されたことを知って1年以内に行使する必要がありますが、その期間内に遺留分減殺の意思表示がなされた場合、その効果が発生します。
 減殺請求をした後に、請求した人が調停や訴訟をせずに長年放置しても、既に遺留分減殺の効果が発生しているため、減殺請求自体が無効になることはありません。
 なお、長期間放置されていることに不満があるのであれば、減殺請求を受けたあなたのお父さんの側から遺留分を確定する訴訟をすることも可能です。
 この点については、法律の専門家である弁護士と相談されるといいでしょう。

【減殺請求の時点でも、請求者に納税責任は移転しない】
 遺贈を受けた人物(受遺者といいます)に課税された相続税は、たとえ遺留分減殺請求を受けた場合でも、請求権利者に移転することはありません。
 この根拠は、相続税法の改正経過です。
 以前は遺留分による減殺請求があった時点で相続税の更正請求ができるということになっていました。
 しかし、平成15年の相続税改正により、請求した時点ではなく、遺留分による請求に基づく返還または弁償するべき額が確定した時に更正請求ができるということに変更されました。
 このような税法の規定の変更経過から見て、請求時点で更正請求ができず、その結果としての請求者の相続税の移転がないことになります。

【確定した場合には更正請求で請求者が納税義務を負う】
 前項で述べたように、遺留分減殺請求で返還するべき財産が調停や判決で確定した時には、お父さん側としては遺留分請求者に渡した財産分を減額した内容での更正請求が可能です。
 なお、この更正請求はすることが可能ということですので、しなくともなんら問題はありません。
 更正請求をした場合、払いすぎた分の相続税は当然還付されますし、その分にかかる延滞税も支払っていたのなら還付されます(なお、延滞税は還付されるのですから、分割協議を長引かせている妻子に返還請求はできません)。
 更正請求がなされた場合、その減額された分につき、請求者に相続税の支払い義務が発生します。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:16 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

愛人に貢ぐ父も母の財産を相続するのか【Q&A №302】

2013/07/23
母は認知症で父と二人暮らしをしていましたが、母が認知症になる数年前から父は愛人を作り、母が認知症になってから勝手に母の通帳から年金や貯金を引き出し、愛人に貢いでいたことがわかり、母親を施設に移し、まだ残っていた母親の財産を父の手に届かないところに移しました。父は家族に発覚してからも愛人との関係は続けており、このような父に母親の財産を相続させたくないのですが、いい方法はございませんでしょうか。

記載内容

愛人 相続権 認知症

(TAT)


【認知症でも意思能力がある場合には遺言書を作成する】
 今回はお母さんが認知症ということですが、認知症の程度が軽く、意思能力がある(成年後見人をつける必要がない)というのであれば、遺言書を作成し、配偶者である夫以外の人に遺産を相続させると記載するといいでしょう。
 ただ、この場合でも、お父さんは配偶者ですので、遺留分減殺請求をすると、遺産の4分の1はお父さんが取得することになります。

【意思能力がない場合には父が遺産の2分の1を相続する】
 認知症の程度が重く、意思能力がないという場合には、遺言書を作成できません。 
 お父さんが認知症のお母さんのことを顧みず愛人に貢いでいるという話ですが、それでも離婚せず、戸籍上で夫となっている限り、お父さんはお母さんの相続人になります。
 そのため、お母さんが死亡すれば、お父さんがお母さんの遺産の2分の1を相続します。

【欠格事由も見当たらない】
 離婚以外にお父さんが相続権を失う方法としては、欠格という制度があります。
 しかし、これはお母さんを殺したり詐欺や脅迫により遺言をさせたりしたなど、かなり重大な事由がない限り簡単には認められません。
 お母さんの介護を全くしなかったとしても、欠格事由には該当しません。

【廃除の可能性があるかもしれない】
 そのほか、お母さんに対して虐待を繰り返し、あるいは重大な侮辱を加えた、または著しい非行があった場合、お母さんとしては、お父さんの相続人の地位を喪失させる廃除の申し立てを家庭裁判所にすることができます。
 愛人に貢いでいるというのが著しい非行になるかどうかですが、推定相続人廃除の申立てを認容した次のような裁判例があります(本件の場合、引用した判例ほどひどいケースかどうかは明らかではありませんが、参考にはなるでしょう)。
《参考判例:賭博行為を繰り返して作出した多額の借財をすべて申立人(被相続人)に支払わせ,かつ,妻子を顧みず,愛人と同棲して同女との間に男児をもうけ,愛人との生活を清算する意思もない推定相続人の行為は、「著しい非行」に該当する》

 なお、この廃除の申立は被相続人の専属権(被相続人本人だけができ、それ以外の人は申立できない)である可能性も高く、もし、この前提が正しいとすると、お母さんが認知症で意思表示ができないとなれば、この申立も難しいでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前贈与を無効と主張するためには【Q&A №301】

2013/07/18
 実の父が3年前に亡くなりました。義理の母が父の意思とは反して生前分与をしました。
 実父は2年入院してその間に書かせたものと思われます。
 法律では全て財産を受け取ることを禁止していると聞いたのですが私の財産を主張することは出来ますか?

 もし生前分与の字が父のものでなければそれは無効に出来ますか?

記載内容

生前贈与 遺留分 自筆

(情けない儀母)


【生前贈与が無効となる可能性があります】
 お父さんの意思に反して、預金の引き出し・不動産の登記名義移転等の生前贈与行為を義理のお母さんが勝手に行なっていた場合、そのような行為は無効です。

【問題はお父さんの意思に反していたという証明ができるかどうか】
 ただ、問題はその証明ができるかどうかという点です。
 生前贈与の形をとっている場合、これを無効と主張するには次の方法があります。

① 意思能力がない場合
 お父さんが、生前贈与当時、たとえば医師の指示を全く理解できない、見舞いに来た家族が誰かわからないなどの症状があり、認識・判断能力を有しなかった場合には、意思能力がなく、その行為は無効です。
 この点の証明としては、病院のカルテ等が役に立つでしょう。
(なお、質問の中に《法律では全て財産を受け取ることを禁止している》との記載がありますが、これは意思能力がない場合には、財産の贈与等の行為をすることができないという意味でしょう。)

② 意思能力があった場合
 質問にも「書かせた」と記載されているように、贈与の際に書面が作られていれば、その筆跡を調べる必要があります。
 また、たとえば預金の引き出しされている場合には、その払い戻し請求書の筆跡を確認し、お父さんの筆跡ではないという証明をする必要があるでしょう。
 裁判所としては、筆跡だけではなく、贈与があった当時の諸般の事情を検討しますが、筆跡が違うということは贈与無効を証明するためのきわめて重要な証拠になるでしょう。

【生前贈与が有効な場合には遺留分請求ができるが・・】
 お父さんの意思に反するとまでは言えず、贈与が無効とは判断できない場合もあるでしょう。
 なお、参考までにいうと、そのような場合には、相続人である子には、父親の遺産に対しては遺留分という最低限度の持分が残されており、贈与された財産の中から遺留分を侵害された限度で遺産を取り戻す権利を有します(遺留分減殺請求権と言います)。
 遺留分減殺をすると、子の場合には法定相続分の2分の1が返還請求できます(なお、計算例としては当ブログQ&A №177Q&A №272などもご参照ください)。
 ただ、この減殺請求は生前贈与があったこと(正確にいうと遺留分を侵害されたこと)を知って、1年以内にする必要があります。
 本件では3年前にお父さんが死亡されているので、減殺請求ができる時期を過ぎている可能性もあります。
 生前贈与の無効を主張するとともに、万一に備え、遺留分減殺請求ができるかどうか、早急に弁護士と相談されるといいでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:54 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正出金を止める手段【Q&A №280】

2013/05/27
義理の父は痴呆で名前がかけないはずです
なのに義理の母とその家の嫁が今かなりの貯金をおろしています
家の嫁は家を継ぐように委託されています
どのような場合そういう権限があるのですか
この場合違法ではないのでしょうか

もし違法なら父の死去時何をすべきか

あと母の貯金も毎月かなりの額減らしています
たぶん遺産分けの時にはほぼ空っぽです
生活費以上は説明責任があると聞きましたが本当ですか
母の死去時はどうすればいいですか

義理の兄が7年前なくなり保険が1.3億入ったようです
二人兄弟で主人も印を押しました
こちらも父がかけたお金は遺産として考えられないでしょうか
知り合いが言うには義理の父の医師の証明が決めてだそうです
グレーゾーンのようで ただ黙ってみているのがつらいです

まるで死ぬのを待っているようです

記載内容

不正出金 成年後見人 認知症 生命保険 保険料 


(そらすら)


【どの程度の認知症かを検査する】
 義理のお父さんが認知症であり、その程度が高度(ひどい)場合には、判断能力(意思能力)がないということで、義理のお父さんの行為は無効になります。
 義理のお母さんが、義理のお父さん名義の預金を引き出すには委任状が必要ですが、お父さんの判断能力のない場合には委任状が無効になります。
 そのため、まず、義理のお父さんの認知症の程度を調べる必要があります。
 可能であれば、お医者さんに検査をしてもらってください。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストをしてくれるはずです。

【ひどい認知症であった場合は成年後見の申し立てを考える】
 長谷川式認知スケールは30点満点ですが、10点以下である場合には意思能力なしとして扱われる可能性が高いです。
 認知症が原因で、名前も書けないという程度なら10点以下の可能性が高いでしょう。
 その場合には家庭裁判所に成年後見申立の手続きをしましょう。
 裁判所は義理のお父さんの財産を管理する成年後見人を選びます。
 成年後見人は、義理のお父さんの財産(たとえば預金や保険など)を全部確保し、後見人の名義にして管理しますので不正出金ができなくなります。

【家を継ぐように委託されても、預金引き出しの権限はない】
 「家の嫁」は家を継ぐように委託されているということですが、誰から委託されているのでしょうか。
 もし、ひどい認知症である義理のお父さんからであれば、意思能力なしとして、そのような委託は無効になります。
 委託が有効であったとしても、「家を継ぐように」ということだけであれば、預金の引き出しまではできず、「家の嫁」は権限外の違法行為をしていることになります。
 義理のお母さんと「家の嫁」が違法な出金をしている場合、義理のお父さんが死亡後にその出金額を調査し、損害賠償を請求することになります。
 法的に言えば、「不当利得返還請求」あるいは「不法行為による損害賠償請求」をすることになります。その場合、請求できるのは、不正出金額のうち、請求者の相続分に相当する金額です。

【お母さんの預金引き出しについて】
 お母さんの預金の引き出しがされているようですが、お母さんが正常な判断能力があれば、これは違法にはなりません。
 自分の財産をどのように使おうと誰も文句はいえないからです。
 なお、お母さんが死亡したときに預金が全部出されていたという点ですが、お母さんの意思に基づいて誰かに贈与されていたということであれば、相続人には遺留分が認められていますので、相続人が子であれば、法定相続分の半分の返還を求めることができます(遺留分減殺請求といいます)し、他方、お母さんの意思に基づかない引出であれば、義理のお父さんの場合と同様に不当利得返還請求や損害賠償請求ができます。
 「生活費以上は説明責任があるという言い方も聞きました」ということですが、このような説明責任はありません。
 むしろ、遺留分や不当利得等の請求をする側が、生活費以上の金銭を引き出したという点を立証する必要があります。

【保険金は遺産の対象外である】
 義理のお兄さんが亡くなり、その死亡保険金が入ってきたということですが、死亡保険金は原則として遺産にはなりませんし、義理のお父さんがそれまでに支払った保険料も特別受益になることはありません。
 保険金と遺産の関係でいえば「義理のお父さんの医師の意見が決め手」ということはありません。



大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:31 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME | Prev »