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相続権に時効は無いのですか。【Q&A №558】

2017/02/06


【質問の要旨】

面倒をみなかった相続人が今になって権利を主張してきたが、相続権に時効はないのか?

記載内容 介護 相続権 時効

【ご質問内容】

私の祖父(昭和42年4月に死亡)の件で叔母(9人キョウダイの末っ子、唯一、生存している祖父の子供)が調停を申し立て、現在、審判

父は長男ではありませんが、親と同居し、祖母(昭和62年2月死亡)の介護を母と二人で全面的に担って来ました

祖母が生きている間、叔母たち父のキョウダイは、常に「親を、ちゃんと見い。よう任さん(父に相続させようとしない)」と言い続け、父にすると、隣近所や姉妹の嫁

ところが、父のキョウダイたちは、叔母が死んでから、「田圃を売って分けろ」と主張し出して、父は「話が違う」と、田圃の1筆でも売って分けるという案を受け入れようとせず、平成8年4月に死亡してしまいました。

私も、調停が始まって以来の相続人の態度を見ていると、権利ばかり主張してと色んな意味で怒りが出ます。

もし、祖母が生きている間に「田圃を売ってまで分けろ」と叔母たちが主張していたら、祖母の介護を当然に引き受ける事になったでしょう。そういう負担を一切したくなかったから、「分けろ」とは、一言も主張しなかったのです。

 「よう任さん」と言いながら、母親の介護を一人のキョウダイに任せ切りにした揚げ句、延々50年も粘り続けて

私が、先生にお尋ねしたい事は、「相続権に時効は無いのですか?」という事です。

(コバヤシ)






【相続分を主張する権利に時効はなく、介護をしていなかったとしても相続権はある】
祖母の介護が必要な間は相続分の主張をせずに、介護をすべてあなたのお父さんらに任せておきながら、祖母が亡くなり、介護の必要がなくなった後になって、祖父の相続分を主張されたという事案であり、あなたとしてはとても腹立たしいことでしょう。

しかし、祖父の子である叔母さんは祖父の相続人ですので、相続の発生(祖父の死亡)とともに、叔母さんは相続分に応じた権利を取得します

遺産分割協議をしなかったからと言って、この取得した権利が時効で消滅することはありません

また、介護を一切しなかったからといって、それで叔母さんの相続権がなくなるというものでもありません

そのため、たとえ相続開始から50年もの長期間が経過していても、祖父の相続人である叔母さんには自らの法定相続分に従った相続権を主張できるということになります。


【今後「寄与分を定める処分の申立て」をする】

祖父が亡くなった当時に遺産分割協議書を作成していなければ、あなたが「父が祖母の介護をする代わりに他の兄弟は相続分を主張しないという暗黙の合意があったはずだ」と主張したとしても、叔母さんには「そんな約束はしていない」と言われてしまうでしょう。

あなたのお話では調停から審判に移行しているようなので、これまでに遺産分割協議はしておらず、今、遺産分割の審判をしているのだと思われます。

その場合には、遺産分割とは別に、遺産分割の審判をしている裁判所に対して「寄与分を定める処分の申立て」をするという方法が考えられます。

そうすると、寄与分についても遺産分割の審判の中で一緒に判断することになりますので、その中で、お父さんが祖母の介護を全面的に引き受けていたことをお父さんの《特別の寄与》として主張し、お父さんの相続分を増やすことにより、叔母さんに支払う額を減らすということです。

ただ、寄与分とは、単に被相続人のために貢献したというだけではなく、財産の維持または増加のために《特別の寄与》をしたことが必要であるとされています。

介護したことにより、入院費やヘルパー代が助かったというような点を証明する必要があり、証明できた分だけが特別寄与として認められますので中々ハードルが高く、主張すれば簡単に認めてもらえるというものではありません。

お父さんが祖母の介護を全面的に引き受け、その結果、遺産が減少するのを防止できたということがわかる資料を用意され、寄与分の審判に出されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
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16:37 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

参加していない遺産分割協議の効力【Q&A №557】

2017/01/30


【質問の要旨】

自分が未成年のころに父の相続財産を母が受け取っていた分を返してほしい

記載内容 未成年 特別代理人 利害が相反

【ご質問内容】

亡母の遺品の整理中に20年前に他界した父の遺産協議書が出てきました。

当時私は18才で相続協議には参加出来ず、相続物は(今回の売地とは別の)家族共有名義の土地があるとだけ聞いていました。

しかし協議書には「○○の土地を売却し、母兄私で分配する」とあります。

さらに土地売買の受領書もあり私分のお金は母が受け取り、署名欄には「親権者として」と記載があります。兄の分は、兄本人が受け取っていました。

以上のことから母の遺産相続を行う前に、私の未受け取り分を受け取りたいことを主張しましたが兄は拒否。

分配してほしければ母から受け取っていない証拠として、母の全ての金融機関の20年分の入出金履歴を出せと言います。

私は銀行に開示を求めましたが履歴は10年しか出せないと言われ、兄の要求は最初から現実不可能です。

説明責任を果たさずにおいて、履歴が出せない状態になってから、それを用意してみろ等と酷い話です。

分割協議書にはおかしい部分もあります。

私が見たことも聞いたことも無かった分割協議書の相続人署名欄に私の署名がしてあるのです。

『未成年の為、母親が代理人として署名』と書いてあるのですが、相続では利益の相反する間柄では親であっても代理人にない筈です

金融機関に過去の履歴を出してもらう手段とか、よい手だてはありませんでしょうか。

(DD)






【特別代理人が必要でした】

質問にも記載されているように、お父さんの遺産分割では、お母さんと子であるあなたとは利害が対立(お母さんが遺産を多くもらえば、その分あなたの取り分が減る)します。

お母さんには未成年であるあなたの親権者として法定代理権がありますが、このような利益相反がある場合、お母さんはあなたを代理できず、家庭裁判所が選任した特別代理人があなたに変わって遺産分割協議に署名捺印をする必要があります。

そのため、この遺産分割協議書は効力がありません


【母の受け取った土地代金はどうなるか?】

遺産であった土地は既に売却され、お母さんがあなたの代理人として受領していたのなら、あなたはお母さんに分配金返還請求権を持つことになります。

お母さんの負うこの返還債務は、お母さんの死亡による相続で、その相続人であるお兄さんとあなたが2分の1の割合で負担しますので、あなたはお兄さんに分配金の半額を請求できることになります。


【分配金返還請求は消滅時効の問題がある】

ところが、この分配金請求権は、法律的に正確に言うと、お母さんが権限もなく、又、遺産分割もできていないのに、あなたの法定相続分を勝手に売買したという不法行為に基づく損害賠償請求権ということになります。

この不法行為の請求権は、その不法行為が生じた時点から最長で20年間、これを行使しないと時効で消滅します。

今回は約20年前の遺産分割協議であるため間に合うか微妙なところですが、早急に内容証明郵便でお兄さんに分配金を請求し、請求を行った確たる証拠を残しておき、早急に、弁護士に訴訟等の手配をすることも考えるといいでしょう。


【もらっていないことを証明する必要はありません】

お母さんが土地を売却し、その売買代金を受け取っていることがお母さんの受領書で証明できるのであれば、今度はお母さん(その債務の半分を受け継いだお兄さん)側でその代金をあなたに支払ったことを証明する責任があります

いずれにせよ、時効の期間の問題もありますので、早期に弁護士と相談され、どのような措置を取るべきかどうかを検討されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)

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17:32 遺産分割 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

他人名義の預金は遺産に含まれるか【Q&A №524】

2016/08/05



【質問の要旨】

相続人の1人が生前に多くお金を受け取っている場合の遺産分割

記載内容 名義借り 遺産確認

【ご質問内容】

父と相続について話しました。

父は遺産分割協議書を作って、母、私、妹に財産を分割すればよい、ということでした。

ところが、父は株などで儲けた分をすべて母の口座へ入金しているようなのです

この状態で父と母の全財産をもとに遺産分割が可能なのでしょうか。

以上、ご回答願います。

(HY)






【将来の遺産分割協議の話と理解しています】

質問の時点ではお父さんもお母さんも生きておられるので、将来、お父さんが死亡して、その相続問題が発生したときの遺産分割協議書の問題として回答します。


【銀行では名義を基準とする】

銀行としては、名義を基準として取り扱いをします

名義がお母さんであれば、お母さんの預金であり、お母さんの自由な引き出しを認めます。

お母さん以外の法定相続人が、お父さんの遺産であるからと銀行に申し入れをしたところで、銀行がそれを認めて、お父さんの遺産として扱うことはまずないでしょう。


【判例では名義よりも実体を重視】

預金の名義人であるお母さんが「これは私のお金だ」と言い張り、お父さんの遺産であることを認めなかったときはどうなるのでしょうか。

そのようなケースが裁判で争われたことがあります。

事案の内容によって異なりますが、名義人のものではなく、口座に入金された金銭を出した人の財産と判断するという判決が多いです(末尾に参考判例1件を掲載しおりますのでご参照ください)。

ただ、裁判まで行くのは費用や手間から見て、大変でしょう。

お父さんやお母さんが生きている現時点で、将来のトラブルを防止する方策を考えておくべきでしょう。


【現在、法的に打てる手段は少ない】

現時点では、あなたの取れる法的な手段は少ないです。

あなたはお父さんが死亡した後には相続人になりますが、それは将来の話であり、現時点ではお父さんの財産について何らの権利も持っておられません。

以下に記載したようにお父さんとお母さんを説得するしかないでしょう。


【事前の対策(その1)・・お父さんらを説得する】

現在、お父さんとお母さんが生きているのですから、ご両親に相談してもらって、お父さんから出た分は、お父さん名義の口座に戻すのが、一番良い方策でしょう。

しかし、お父さんがなぜ、自分の名義ではなく、お母さんの名義に入金したのでしょうか。

その点をお父さんに確認する必要があります。

自分が死んだ後のお母さんの生活資金の前渡しというのであれば、それは生前贈与になる可能性もありますし、又、お父さんとしてもお母さん名義から自分名義の預金へ戻すことに賛成しないでしょう。

あるいは、税務対策などで、お母さんの名義を利用しているという可能性もあります。

このような場合には、名義をお父さんに変更した段階で税務調査が入るということにもなりかねませんので、その点も配慮が必要でしょう。


【生前の対策(その2)・・出所はお父さんである証拠を残しておく】

現在すべきことでもう一つ、大切なことがあります。

それは、お母さん名義の預金の出所がお父さんであることの証拠をちゃんと残しておくことです。

将来、訴訟になった場合にも役立ちますが、それよりも、ちゃんとした証拠を残しておれば、その証拠を見せるだけで相手方が納
得することも多く、紛争の防止に役立ちます。


【お父さんが死亡したときの対策】

お父さんが死亡した後、お父さんの遺産であることをお母さんが認めず、その預金を全部引き出しそうな場合には、お母さんが預金を引き出さないようにする手続きを取ることもできます。

仮差押えという手続きになりますが、裁判所に申立をして認めてもらえれば、あなたの法定相続分の限度でお母さんの出金をストップさせることも可能です。

ただ、裏付け証拠などを裁判所に提出しなければならず、又、迅速に手続きをしなければならないので、相続に詳しい弁護士に、早期の段階で相談されることをお勧めします。


【参照判例:東京高裁平成21年4月16日】

被相続人の妻名義の預金について、財産の出捐者や当該財産の管理及び運用の状況、妻名義にすることになった経緯等を考慮して、被相続人の相続財産であると認めた。

詳しくは【相続判例散策】被相続人以外の名義になっている財産を相続財産に含めることはできるのか?をご参照ください。

弁護士コメント:同趣旨の判例は上記以外にも他数ありますが、事案の内容によっては反対の判断をした裁判例もあります。

(弁護士 大澤龍司)

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15:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★財産をひとりじめ【Q&A №521】

2016/07/25



【質問の要旨】

司法書士をだまして書類を作成させたが、犯罪ではないのか?

記載内容  印鑑証明 騙す 

【ご質問内容】

相続人が多数いるのに司法書士をだまして相続人全員が本人を相続人代表と同意していると偽り書類を作成させ相続人全員へ書類を送り印鑑証明を取らせ実印を押させ郵送させた

そして預貯金を自分の口座にやすやすと振り込ませ自分の物にした。

これは犯罪ではないの

(ひげ)






【犯罪とは言い切れない】

まず、警察が本件のような親族内のもめ事に立ち入ることは、よほどのことがない限り考えにくいとは思います。

ただ、本件ではそのことはさておき、本件で詐欺罪が成立するか、という観点で回答をさせていただきます。

ご質問によりますと、相続人の一人が「相続人代表者」を名乗って司法書士に依頼し、遺産分割協議書を作成してもらったようです。

たしかに、他の相続人に無断で「相続人代表」を名乗ることは決して良いことではありませんし、ご気分を害されるのもよくわかります。

しかし、実際の遺産分割手続では、遺産分割協議書を全相続人に送付しているようですので、遺産分割の内容自体は全相続人に知らされているものと思われます。

また、印鑑証明書も、偽造したわけではなく、それぞれの相続人が取り寄せたものを送っているようです。

そうしますと、全相続人が協議内容を理解した上で、それぞれの意思に基づいて押印し、印鑑証明書を渡した、という解釈も可能です。

そうすると、事案を第三者的な立場で言えば、必ずしも「騙した」とは言い切れず、詐欺罪が成立する可能性は低いように思います。


【白紙の遺産分割協議書なら無効か】

では、内容が白紙(例えば、誰が預金を相続するかが記載されていない)の遺産分割協議書を全相続人に送った場合であれば詐欺罪は成立するのでしょうか。

結論から申し上げますと、このようなケースでも詐欺罪が成立することはまずありません

それは、白紙の内容について印鑑を押すという行為自体が、分割行為を他人の自由裁量に委ねるということと同一視されるからです。

言い換えれば、他人に内容を勝手に決められるのが嫌なら印鑑を押さなければよく、白紙に印鑑を押した以上は内容に文句は言えない、という言い方もできるでしょう。

もちろん、他の相続人に対し「あなたも預金を100万円相続する分割内容にする。」と言いながら全額自分が相続してしまった場合、理屈上は詐欺になります。

ただ、これも言った言わないの世界であることが多く、その詐欺行為を立証するのはかなり難しいでしょう

(弁護士 北野英彦)
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14:53 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

口頭による遺産分割協議の効力【Q&A №520】

2016/07/19



【質問の要旨】

口頭で不動産の相続に合意したが、登記に応じてくれない

記載内容  口頭 約束 登記

【ご質問内容】

5年前親が死んで、貯金は500万円 姉が相続し、親と同居していたわたしは、家と土地、畑を相続するということで合意しました

それは口頭で合意したもので、遺産分割協議書はつくってませんでした

ところが、登記名義を私に変更しようと思い、姉にいったら、それに協力してくれません。

1.姉にたいして、相続登記に協力せよ、という裁判はおこせるのでしょうか

その場合、私のほうで、立証しなければいけないことはありますか?

2.また、家裁に遺産分割協議をわたしが、申請した場合、どうなるのでしょうか

家裁はすでに、遺産分割協議は終了している、と判断して受け付けてもらえないのでしょうか?

それとも、私の主張とおり、私への名義変更がみとめられるのでしょうか?

それとも、遺産分割協議をやりなおして、民法の法定相続分とおりの判断がなされるのでしょうか?

この場合、不動産価格が3000、万円ぐらいなので、私に不利となります。

(dfhfgj)






【相続登記を求めて訴訟はできるが・・】

お姉さんを被告にして、遺産である不動産を私の単独名義に移転登記せよとの訴訟を起こすことは可能です。

問題は、勝訴するかどうかです。


【あなたが不動産を相続することの合意の証明責任がある】

遺産分割協議については、通常の場合、分割内容を記載した書面を作成し、かつ実印を押捺して、印鑑証明書を添付します。

口頭で合意ができないわけではありませんが、《言った、言わない》という議論になること及び遺産という多額の財産の分配のことですので、実印を押捺した書面を作成するのです。

今回の場合、お姉さんが合意書作成に応じなかったこと、又、相続登記に協力しないようであることを見ると、裁判でそんな合意はなかったと争うことは間違いないでしょう。

その場合、あなたとしては《不動産をあなたに相続させるとの合意》が間違いなくあったという点を証明する必要があります

質問から受ける感じから言えば、なかなか証明は難しそうです。

合意の証明ができない限り、裁判はあなたが負けることになります。


【調停の場合も、合意をお姉さんが認めないと法定相続分で・・】

裁判と異なり、家裁での遺産分割調停は話し合いです。

しかし、お姉さんが不動産をあなたに相続させるという合意があったことを認めてくれない限り、調停でもあなたの主張する遺産分割協議を前提としての話し合いはむずかしいでしょう。

結局、法定相続分を基準としての調停が進む可能性が高いという結論になります。

(弁護士 大澤龍司)


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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

合意の撤回は可能でしょうか【Q&A №516】

2016/07/05



【質問の要旨】

不動産評価額に同意したが撤回したい

記載内容  撤回 同意 後悔

【ご質問内容】

弟に生前贈与された不動産の評価額を決める時に頭がボーとしていて弟が出した額に同意してしまいました

著しく私の不利になる金額だったのに合意してしまいました。

撤回してやはり私の評価額も考慮してもらいたいのですが、今から撤回することはできますか?

合意したことをとても後悔しています。

主張書を提出しようと思っていますが、裁判官にどうすれば私の主張を聞いてもらえるでしょうか?

どうぞアドヴァイスをお願いいたします。

(yamanobori)






【どの段階でどういう同意をしたのかが問題です】

裁判や調停、交渉などは一連の手続きですので、一旦した合意を尊重し、その上に更なる手続きが進められます。

そのため、原則として同意の撤回は信義則に反するということになります。

ただ、法的に撤回が認められるかどうかは、それぞれのケースに従って異なります。

質問には、裁判官や主張書面などという言葉が出てきますので裁判をされているのでしょうか。

もし、そうであれば、不動産額の同意は、どの段階でどのような形で合意したのでしょうか?

それによってあなたのとる対策も異なってきます。

又、交渉が調停などでも、どの場面でしたのかにより、撤回の可否が異なってきます。

場合に分けて説明をします。


【裁判所での和解の場合】

もし、裁判所での和解の過程で金額を合意したというのであれば、次の和解の機会に、前回(あるいはそれ以前であっても)、不動産価額には一旦同意したが、その後、考えてみるとどうしても納得できないということで、同意を撤回することも不可能ではありません(ただ、裁判官の機嫌が悪くなるのはご承知ください)。

なお、調停などの場合も同様の対応をするしかないでしょう。


【裁判での主張書面での同意】

次に裁判所に出した主張書面(準備書面)の記載で同意した場合、自分に不利益なことを認めたことになります。

このような同意を撤回したいというのであれば、事実に反し、かつ錯誤により出たものであるということを裁判所に説明する必要があります(判例:大判大正11年2月20日参照)。

具体的には、その同意した価額が時価に反して著しく低廉であることを何らかの方法(例えば路線価額での算定や不動産鑑定士の鑑定書)で明らかにするとともに、あなたが同意した理由なども間違っていたという説明をされるといいでしょう。


【遺産分割協議書での同意】

あなたが遺産分割協議で同意したというのであれば、遺産分割協議書という重要な書面に同意し、かつ、実印を押捺し、加えて印鑑証明書を渡していることになり、確定的な意志表示をしているということになり、同意の撤回は難しいでしょう


【交渉の中での同意の撤回】

裁判や調停とは関係のない、単なる交渉の中であれば、同意の内容を双方が署名捺印して合意書のようなものとして書面化されていない限り、同意を撤回することは不可能ではありません

但し、このような場合には間違いなく相手方から不信感を持たれ、その後の交渉が難しくなるということはご理解ください。


【早急に弁護士と相談する必要がある】

どの場面でどのような合意をしたのかが具体的にわからない限り、対応策を打ち出せません。

相続に詳しい弁護士でなくてもいいですから、弁護士と相談され、その中で具体的な事実を説明して、早急なる対策があるかどうかについて弁護士の意見をお聞きになることをお勧めします。

遅くなればなるほど、撤回は困難になるということもご理解ください。


(弁護士 大澤龍司)

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11:01 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割協議後の使い込み【Q&A №491】

2016/02/08

 【質問の要旨】

遺産分割協議書で財産を相続した人が、遺産を生活費につかってしまった

記載内容

遺産分割 約束を破る 取り戻す

【ご質問内容】

家族構成は父、母、子供4人(長男=兄 離婚歴あり現在は独身で別世帯。長女=私次女=妹 二男=弟 

2年前父親が亡くなり、財産を母親、子供4人が相続するところですが、母親に家を購入してあげたい希望があり(母も強く希望しておりました)、

高齢である母の代わりに家の購入、父のお墓の購入手続きをしやすくする為に母、子供3人は相続を放棄して長男である兄一人だけに相続することに決め、遺産分割協議書を提出しました。

そして兄が母に家を購入するつもりでいましたが一度契約寸前まで行ったところ、兄と不動産屋担当者との相性が悪く、購入を断念してしまいました。

こうして1年半、母は貸家に住み続けましたが突然家で病死してしまいました(遺言はありませんでした)

遺産を管理していた兄に預金を問いただすと兄はほとんど預金を自分の生活費にしてしまったと言うだけで通帳どころか使い道もハッキリ言いません。

母へ購入してあげるべき家の代金を全額兄は自己消費してしまった上に父母のお墓も買う事が出来なくなりました

私は兄の身勝手な行動が信じられなく許せません。

泣き寝入りしかないのでしょうか

(kanasiineko)







【相続放棄ではなく、遺産分割の問題】

質問には、お兄さん以外の法定相続人が《相続放棄》をしたとあります。

相続放棄は家庭裁判所へ申立をすることが必要ですが、今回はそのような手続きはせず、遺産分割協議で、お兄さんが遺産を一人で取得し、他の相続人は遺産をもらわなかったということだと思われます。

以下の回答は、この前提で記載していきます。


【遺産分割協議書の記載内容はどうだったのか】

遺産分割協議書に《お母さんに家を購入すること》が条件で記載されていた場合には、その条件を充たしていないのですから、お兄さんが遺産を取得できないことになります。

次に、条件というほどではないにしても、《お母さんに家を購入すること》が義務として記載されていた場合には、その義務をお兄さんが履行しなかったことを理由にして、遺産分割協議を解除できるのかという問題があります。

この点については、裁判例があり、遺産分割協議で定められた義務を履行しなかった場合でも、遺産分割協議は解除できないという結論でした。

ただ、この裁判例では、その義務を負った者に対して義務を履行しなかったことを理由として損害賠償を請求できる余地があるとしています。

なお、遺産分割協議書に義務として記載されない場合でも、その義務があったことが証明できるのであれば、損害賠償が請求できると私は思いますが、この点については異論があるかもしれません


【他の相続人として何ができるか】

今回の質問の場合、お兄さんが債務負担者であり、お母さんが債権者になります。

お母さんはお兄さんに損害賠償を請求できる可能性がありました。

お母さんは死亡されたのであれば、あなたをはじめとする法定相続人が、お母さんの損害賠償請求権を法定相続分だけですが、相続します

そのため、あなたがその相続した賠償請求権を行使できる可能性があります。


【専門家に相談されることをお勧めします】

今回のようなケースは相続人の間だけで解決するのは難しいです。

できれば法律の専門家である弁護士に相談され、遺産分割協議書の内容や合意に至る事情、更には不履行に関する事実経過を説明して、弁護士の意見を聞き、今後の取るべき方針を決定されるのがいいでしょう。


参考判例⇒
【相続判例散策】遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議を無効にできるか?(東京高裁 昭和52年8月17日決定)

遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議が無効になるのではなく、債務不履行による損害賠償を請求するべきである。

(最高裁判所:平成元年2月9日判決、東京高裁:昭和52年8月17日決定)

(弁護士 大澤龍司)

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17:43 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続放棄と連帯保証人への請求【Q&A No.473】

2015/10/08



兄が亡くなりました。

私は相続人です。

兄の生前、兄に対する債権があり、連帯保証人も付いています。

私は、相続放棄をしましたが、債権も放棄したことになりますか?



記載内容

  連帯保証 相続放棄と債権 遺産分割協議と代償金請求権


【ご質問内容の詳細】

 9年前に父が亡くなり長男、次男、長女にて遺産分割協議書を作成し合意しました。

 長男次男はそれぞれ不動産の遺産を相続し、長女は兄弟二人よりそれぞれ1000万円で合計2000万円を月割りで貰うこととなりましたが、長男が今年亡くなり長男支払い分1000万円の連帯保証になっている次男が払う事となりました。

 しかし長男が亡くなったときに負債が多かったので次男長女とも相続放棄をする事としました。

 遺産分割協議書の内容は同様に放棄する事になるのでしょうか?

 長女は長男より貰うべき1000万円の残分832万円も放棄ということとなるのでしょうか?

(ミヤコ)






【権利関係の整理】

 お父さんの遺産分割で長男さんと次男さんが不動産を取得した。

 あなたは代償金として長男さんから1000万円の、また、次男さんも同様に代償金1000万円をあなたに支払うという協議が成立した。

 その長男さんの債務(1000万円の支払い)については次男が連帯保証しているというのが質問の前提になります。

 さて、あなたとしては長男さんの債務について次のとおりの権利を持つことになります。

①長男さんに対する代償金請求権(主債務)

②上記①の主債務について次男さんに請求する連帯保証債権(連帯保証債務)




【相続放棄と連帯保証債務との関係】

 長男が死亡し、相続人のすべてが相続放棄をしたのなら、長男さんの上記①の債務については支払うべき人(=債務の承継者)はいないことになり、上記①の債権は請求ができなくなります。

 しかし、主債務者に請求できない場合でも連帯保証債務(上記②の債務)の請求は可能です。

 そのため、あなたとしては、長男が未払いだった残債務の支払いを次男さんに、《連帯保証したのだから支払いをして欲しい》と言って、請求するといいでしょう。 

 なお、次男さんが支払いを拒むのであれば、弁護士に依頼してしかるべき法的手続きを取るしかないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★認知症の母に代わり遺産分割協議書を代筆したい【Q&A No.472】

2015/10/07



父を亡くし、相続人は私と認知症の母二人です。

母に後見人を立てずに、代筆で遺産分割を行うことはできるででしょうか?



記載内容

  認知症 遺産分割協議書 偽造


【ご質問内容】

 父が亡くなりました。

 相続人は、息子の私と、認知症の母の二人です。

 私と母は、相続上、争う関係にあるので、後見人をたてなければならないといわれました。

 しかし、息子は私1人なので、母の財産もいずれは息子が引き継ぐことになるし、ましてや母に不利なことは一切する気もありません。

 できれば後見人ナシで(代筆で)1次相続、2次相続合計で最も相続税が少なくなるような相続分割をしたいと考えています。

 これは、犯罪になるのでしょうか。

 誰も、損害を受けないので、見逃されるのでしょうか。

 証券会社からの通報で、訴えられるのではないか心配です。

 母は、ただいま、病院の療養病棟にて入院中

 身体を動かすこと、意思表示はもちろん、飲み込むことも出来ず、点滴のみにて栄養を得ている状態が半年続いています。

 話を理解しているかも不明です。

 成年後見人が決まる前に、亡くなってしまう心配もあり、できれば、後見人ナシで相続を済ませたいと考えています。

(くんくん)







【成年後見人の選任が必要です】

 認知症にも程度がありますが、お母さんが意思表示できないというのであれば、お母さんは遺産分割協議することができません

 本件ご質問のような場合、代筆して作成された遺産分割協議書には、効力はありません。

 あなたとしてはお母さんの成年後見人選任の申立をし、家庭裁判所が選任した成年後見人との間で遺産分割協議をする必要があります。



【節税目的でも犯罪が成立してしまう】

 本件ご質問のような場合に、あなたがお母さんの署名捺印を代行することは認められません。

 もし、お母さんの代筆をした場合、有印私文書偽造等の犯罪末尾記載の刑法第159条、161条参照)になる場合もありえます。

 なお、節税という理由があっても犯罪が成立することに違いはありません。

 節税をはかる必要があるのなら、成年後見人の選任申立をし、その後見人との間で遺産分割協議し、その際、節税の必要性を説明して、成年後見人の了解を取りつける必要があります



【特別代理人が選任される場合】

 被後見人がお母さんの場合、息子さんが成年後見人になることもあります。

 しかし、今回のように遺産問題があり、利害対立するような場合には、裁判所は遺産とは関係のない第三者を後見人に選任することが多いです。

 もし、仮にあなたが後見人に選任された場合でも、遺産分割に関する限り、あなたはお母さんと利害が対立しますので、裁判所に特別代理人を選任申立をする必要があります

 この場合、あなたは裁判所が選任した特別代理人との間で遺産分割協議をすることになります

(弁護士 大澤龍司)

〔参照条文〕

刑法
159条1項(有印私文書偽造罪)
 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

161条1項(偽造私文書行使罪)
 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

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16:42 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★書類を偽造した姉は相続できるのか?【Q&A №461】

2015/08/25



【ご質問のまとめ】

子5人のうち長男が亡くなり、続いて、父、母の順で亡くなりました。

長女に有利な内容で遺産分割がされました。

残りの兄弟は、よくわからないままサインしました。

数年後、長男の財産について、長女が偽造で名義を書き換えていたことがわかりました。

長男の財産を分けるにあたって、長女を外すことはできませんか?

残りの兄弟たちが長女に主張できることはないですか?



記載内容

 偽造 欠格 遺産分割協議


【ご質問内容】

両親と兄と四人姉妹です。

兄は独身で両親より早くに亡くなりました。子供はいませんでした。

亡くなる1年前に兄の不動産は姉名義に変えられており、両親が相続する財産はありませんでした。

その2年後に父が亡くなり、さらに4か月後に母が亡くなりました。

両親を続けて亡くして平常心では無い中、長女が知り合いの税理士と一緒になって遺産分割協議を主導しました。

父は公正証書で母と兄そして長女に不動産を遺贈していました。

母は遺言書を書いてはいません。

父の遺言書の執行と母の遺産分割を同時に行いました。

法律のことをよく理解していなかった妹3人は、遺産分割協議書にサインしてしまい、その協議書の控えを貰えることも知らず、とても不公平な分割を了承していることに後で気づきました。

どうすることもできずに7年が過ぎたころ、長女名義に変えられた兄の不動産は、長女が書類を偽造して勝手に名義変更していた事が分かり、裁判で兄の名義に戻しました。

しかし、その兄名義の不動産を姉妹で相続するにあたり長女は法定での分割を主張して譲りません。

長女に遺産を渡さない方法はないでしょうか。

私達が長女に対して法的に主張出来ることはありますか。

父から遺贈された不動産は特別受益として、今回の遺産に含めることは可能でしょうか。

7年前にもどって遺産分割協議を最初からやり直したい気持ちです。

宜しくおねがいします。

(イーサン)





【お兄さんの遺産分割について】

 お兄さんには配偶者(妻)も子もないのですから、お兄さんの遺産は直系尊属であるお父さんとお母さんが相続することになり、その法定相続分は2分の1ずつです。

※ 本来の相続の流れ

          お兄さん
             
お父さん(1/2) お母さん(1/2)
                  
 子  お母さん       
         
         


【お兄さんの遺産でお父さんが相続した分について】

 お父さんはお兄さんとお母さん、妹さんに不動産を遺贈しているのですから、この遺贈分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。

 ただ、既にお父さんの遺産について分割協議が行われているのであれば、その対象となったお父さんの遺産については特別受益分も含んで解決したと考えるのが通常でしょう。

 遺産分割協議後に(お兄さんの分をお父さんが相続した)新たな遺産が判明した場合には、残念ですが、長女の主張するように法定相続分は渡さざるをえないことになります。



【欠格事由にも該当しない】

 相続人から除外する制度としては欠格制度があります(民法891条:末記条文を参照ください)。

 この制度は被相続人を殺したり、遺言書を偽造したような場合には相続させないという制度です。

 しかし、今回の質問では遺言書ではなく、登記関係書類の偽造ですので、この欠格事由にもなりません。



【遺産分割協議に取消、無効事由はないかを考える】

 結局、既に遺産分割協議をしているというのが一番のネックです。

 事情がわからなかったのならその時点で弁護士等に相談されるべきでした。

 現在、取りうる手段としては、遺産分割協議を何らかの理由で無効にすることです。

 遺産分割協議について、騙されたようなことや思い違い(錯誤)をしているような場合には詐欺で協議を取り消しし、あるいは錯誤で無効とすることもできなくはありません。

 遅きに失した感がなくはありませんが、相続に詳しい弁護士に分割協議時点の具体的な話をしたうえで、協議を無効や取り消しになるような方策がないかどうかを相談されるといいでしょう。

 また、仮にお兄さんの不動産を長女名義にしていた際、長女がその不動産を他人に賃貸しておれば、その賃料を法定相続分に応じて返還請求することも可能でしょう。

(弁護士 大澤龍司)



【参考条文】
民法
(相続人の欠格事由)
第891条
 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
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18:05 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続不動産の時効取得はできるか【Q&A №449】

2015/06/02



【質問まとめ】
10年前に父がなくなったとき、父の不動産について

「いらない」

と言って相続放棄したはずの姉が

「不動産を売って法定相続分の金をよこせ」

と言ってきました。

私は、土地建物を時効取得したと主張できるでしょうか



記載内容

  長年 時効取得 


【質問詳細】
 父が死んで10年たつので、父名義の土地、建物の名義を私名義に変えようと思って、 姉にいうと「家を売って法定相続分の金をよこせ」というのです。

 父が死んだ後、父の貯金を姉と私2人で200万円づつ分けました。

 それで、その時、姉は「他の財産の家や土地はいっさいいらない」といいました。

 土地、建物の取得時効は10年だとおもいますが、姉は父が死亡する30年ぐらい前に結婚して遠方にすんでおり、父死亡後は私1人で、土地、建物を占有していました。

 この場合、土地、建物の取得時効を主張して時効取得時効による登記ができるでしょうか?

 裁判の場合、姉を相手におこすのでしょうか?

 善意は、他に相続人がいない場合ということだと思うのですが、姉は土地、建物の相続を放棄していましたので、私は、他に相続人がいない場合だと思っていました。

 相続人は私と姉2人です
(hukuda)





【相続放棄ではなく、遺産分割協議の話である】

 相続放棄とは、家庭裁判所に対して、お父さんの遺産は全て相続しませんという申し出をすることです。

 お姉さんが《家や土地は一切いらないとあなたに言った》ということは相続放棄ではありません

 法定相続はすることを前提として、どのように遺産分割をするのかということであり、それは遺産分割協議の話であるとご理解ください。




【他の財産はいらないという発言の意味】

 遺産分割する場合、通常、法定相続人間で《遺産分割協議書》という合意書を作成し、実印を押捺し、印鑑証明書を添付します

 遺産は多額の財産の分割ですので、分割に同意するという意思に間違いがないこと、分割内容も記載したとおりであるということ等、間違いや誤解を防ぐという配慮から書面化されるのです。

 口頭(会話)等だけで遺産分割協議が絶対に成立しないというわけではありませんが、遺産分割という重大な問題を口頭だけで処理するということが裁判で認められることは極めて可能性が低いということを理解する必要があります。

 裁判になると、遺産がいらないという発言があったことについてあなたの方が証明する必要がありますが言った、言わないの議論になりかねません。

 また、仮にそのような発言があったと認められても《そのような気持ちもあったというだけで、絶対にいらないと言ったわけではない》と反論されることも多く、裁判になれば必ずしも有利な判決が出るとは言えないでしょう。




【取得時効の成立について】

 土地や建物については、占有が長期間続くと時効取得が認められます。

 しかし、相続の場合に取得時効が認められることはむずかしいです。

 その理由は次のとおりです。

 時効取得が成立するには多くの要件がありますが、その一つに自主占有》の開始という要件があります。

 これは取得時効を主張する人が、その家の全部の所有者であるという外形を整えることです。

 質問のようなケースでは、あなたがお父さんの家に住んでいるだけでは不十分です。

 《全部が私の家である》ということが外見的にわかるような状況が必要です。

 説明をしにくいのですが、遺産分割協議が整い、単独登記をし、かつ単独で占有をし始めたが、実は分割協議は無効であったというようなケースがこれにあたります。

 そこまで行かなくても、少なくともあなたがお姉さんに《この家、私が全部の所有者になりますよ》ということを宣言する程度の事実が最低限、必要でしょう。



 また、本件では、期間の点でも時効の成立は難しいです。

 不動産の取得時効は《善意無過失》で10年、それ以外は20年です。

 《善意》とはこの家が自分の《単独の所有》と信じ、そう信じたことがもっともだというような場合ですが、本件の場合には、お姉さんに持ち分があるということは明らかですので、善意にはならず、そのため20年も経過していない現時点で取得時効の要件を満たすことはありません

 結局、取得時が成立する可能性はほとんどないと考えていいでしょう。




【どのようにして解決するか】

 以上に述べたように、法律的にはあなたの主張がとおることは少ないです。


 しかし、法律がすべてではありません。

《お父さんの面倒を見たのは私でしょう》と人情と義理をからめて攻め、

《お姉さんはあのときいらないと言ったのに・・》と足元をすくいつつ、最後の落としどころとしては少し譲って

《半分づつではなくて4分の1くらいでどうか》とか、あなたの人間力を総動員してお姉さんを説得していくといいでしょう。
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11:21 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父の家の鍵は返すべきものなのか【Q&A №438】

2015/03/25



 3人兄弟です。

 私は末弟です。

 死後、遺産である家のカギ、について質問します。

 親から3人とも、緊急用に親の家のカギを預かっていました。

 分割協議の結果長男が家を相続します。

 長男からカギを返せ、返さなければ被害届を出す、と言われています。

 私の子供は(被相続人からみて孫)祖父っ子であった為、又、私が、当然長男はカギを交換すると勝手に思っていたため、子供に、祖父の思い出としてカギを渡してしまっています。

 カギは、もとは父の所有物なので遺品なのか、であれば私にも1本貰える権利があるのか、或は、カギは家の付属物で、家を相続した長男のものになるのか、教えて頂きたいです。

 分割協議に異論はありません。

 よろしくお願いいたします。


記載内容   

  カギ 実家 

(きんつば)





【鍵は遺産です】

 もともとお父さんから鍵をあなたが緊急用として預かったということですので、鍵の所有権はお父さんにあり、鍵は遺産の一部になります。

 あなたは緊急の場合に家に立ち入るための目的で、所有者であるお父さんから鍵を預かったということになります。




【鍵の返還義務があるか】

 鍵が遺産であるとするとその相続が問題になります。

 遺産分割協議書に鍵をどのように相続するかが記載されているのであれば、その内容に従って、鍵が相続されます。

 しかし、鍵の相続について、特別に記載しているような遺産分割協議書はまずないでしょう。

 次に、鍵も動産ですので、遺産分割協議書に動産に関する条項があれば、そのとおりの扱いになると考える余地がありそうです。

 しかし、私としては家屋を単独取得した人がおれば、その人が鍵の返還を受けることができると考えるべきだと思います。

 鍵は、家の使用に伴う必要不可欠なものであり、家を取得しなかった者が所持し続ける必要性はないでしょう。

 緊急用に預かったようですが、お父さんが死亡している以上、預かった目的は消滅していますので、その点からも返還をするべきものでしょう。

 鍵自体が経済的な価値があるような場合(例えばダイヤモンドをちりばめたようなもの)は別として、鍵自体の経済的は価値はほとんどないのが通常であることを考えれば、やはり家の所有者が返還をうけるべきだという結論になります。



【鍵と形見、被害届について】

 長男さんは鍵を返さなければ被害届を出すと言われているということですが、警察がこのような問題を取り上げるということはないでしょう。

 お孫さんがお祖父さんである被相続人の形見として持っているということも記載されていますが、形見としては他の物を与え、鍵は家の単独所有者である長男さんに返還するのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

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13:08 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

株式の名義を勝手に変更された【Q&A №421】

2014/12/24



 私は被相続人の養子です、被相続人には子供はいません相続人は私と被相続人の妻だけです、(被相続人は平成26年9月に死亡)被相続人の妻が被相続人死亡後株は私の名義に変更したと言ってるのですが私の同意なしに株券の名義変更ができるのでしょうか、預貯金や有価証券は生前から妻が管理していました、名義変更したものは元に戻せないのでしょうか、戻せるとしたらどのようにすればよいのでしょうか
 お尋ねいたします、よろしくお願いします。


記載内容

  株式 遺言執行者 名義変更

(maakunn)


【公正証書遺言で遺言執行者が指定なら、同意なしで移転する・・上場株式の場合】
 「株式の名義が《私》に移転した」と質問に記載されています。
 この場合の《私》は妻のことを言っているのか、それとも《質問者のあなた》のことを言っているのかわかりにくので、場合を分けて回答します。
 なお、最初に上場株式について述べ、非上場株式については後に項を変えて述べます。

1)まず、妻の名義になっている場合
 あなたの知らないうちに遺産である株式が、《妻》の名義に移るということですが、結論から言えば、
①公正証書で遺言されていること
②遺言執行者が指定されていること。
という前提であれば、あなたの知らないところで妻の名義に株式譲渡がなされている可能性があります。
 参考までに言えば、自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認手続(相続Q&A №121を参照)が必要であり、その際、全法定相続人等に裁判所に出頭するようにとの通知がきます。
 今回、そのような通知が来ていないということであれば、検認手続きが不要な公正証書遺言に基づく手続きがなされたのだと思います。
 なお、遺言執行者は遺産目録を作成し、法定相続人等に交付する義務(民法1011条。末記に記載している条文を参照ください)がありますが、弁護士などの法律専門家が遺言執行者の場合は別として、目録を実行している人はあまり多くありません。

2)次に《質問者であるあなた》の名義にしたというのは可能性が低いでしょう。
 株式の名義を移転するにはあなたが証券会社に口座を持っている必要があります。
 あなたが持っている口座を妻が知っているのも考えにくく、また、口座がない場合にあなたの同意なしにあなたの口座が作ることは不可能です。
 いずれにせよ、あなたの関与なしに、あなたに株式が譲渡されている可能性はないでしょう。

【株式を取り戻すためには・・・上場株式の場合】
 実際に妻に株式の名義が変更がなされてしまった場合には法的手続きが必要になります。
 ただ、その前に、被相続人がどこの証券会社のどこの支店に株式を持っていたのかを知っておく必要があります。
 もし、被相続人の自宅にその証券会社からの手紙等が来ているのであれば、法定相続人としてその会社に照会をかけ、譲渡に関する事実を調査する必要があります。
 次に、株式の譲渡が判明した場合には、その株式の譲渡を無効や取り戻すことを考える必要があります。
 通常は、無効や取戻しになる理由としては次のものが考えられます。
①遺言書で遺産の大半が妻のものになっているのなら、遺留分減殺請求(「相続コラム:遺留分とは」参照)
)をし、本来の法定相続分の半額(遺留分)の限度で株式を取り戻す。
②被相続人が遺言書を作成した当時、判断能力(意志能力)がなかった。
 また、今後、妻が株式を譲渡したり、他の財産を処分したりすることもあり得ますので、必要に応じて株式譲渡をしないようにする仮処分申し立ても必要になる場合もあります。
 ただ、遺留分にせよ、意志能力にせよ、また、仮処分にしても、素人では対応が難しいので、相続に詳しい弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

【上場株式ではない場合】
 前項では、上場株式を前提に記載しました。
 上場株式でない場合には、妻とあなたとの間で、遺言書や遺留分を反映させた遺産分割協議書を作成し、株式の帰属をはっきりさせるといいでしょう。
 もし、妻が遺産分割協議書の作成に応じず、《あなたの株式》にしたことが間違いないというのであれば、その旨の確認書を作成してもらうといいでしょうし、今後、その会社の株主としての権利を行使して、株主としての実績を作り、株主総会で役員に選任されて活動されるといいでしょう。
 また、《妻》の名義にしたというのであれば、遺留分減殺の手配や意思能力を見極めるため、必要に応じて弁護士と相談されるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1011条 (相続財産の目録の作成)

 第1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

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17:12 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

嫁入り道具と持参金の扱い【Q&A №377】

2014/05/28
 父の遺言書で不動産祖先祭祀は兄、預貯金は母、株は母と私と指定されていました。
 兄の引き継ぐ不動産の維持管理費を 請求してきましたので、不動産を相続してた者が支払うものでしょうと言って、拒否しました。兄の言い分は売ることもできない不動産の管理をおれにさせるのかというものです。
 母が半年前に他界して、遺産相続協議書を作りました。その中に「この協議書に記載されていない財産、および、知られざる遺産(積極財産、消極財産とも)は、すべて兄が取得または承継する。」という一項ががあるから、母が相続するように書かれているものはすべて兄が相続する権利があると言ってきました。
 また、嫁入り道具にかかった費用を計算に入れると言っています。兄も、多額の結納金を親から出してもらっているし、家を建てたときにもお金をたくさんもらっています。しかし、そのようなものは一切もらっていないと言い切ります。
 母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか。嫁入り道具はどのように考えるべきでしょうか。計算の仕方を教えてほしいです。母はメモを残している可能性があります。持参金と嫁入り道具では考え方が異なりますか。

記載内容

嫁入り道具 持参金 遺産分割協議 死亡した人に遺贈する遺言の効力
(みつこ)


【まず、母が死亡し、その後、父が死亡したと理解しての回答】
 質問ではお母さんとお父さんのどちらが先に死亡したのかが明らかではありません。
 ただ、質問中に「母の遺産分割協議書は今回の件に影響しますか」とあり、この「今回の件」とはお父さんの死亡ということだと理解すると、経過としては次のとおりになると思います。
  お父さんの遺言書作成⇒お母さんの死亡⇒お父さんの死亡
この前提で、以下のとおり回答します。

【遺産分割協議書はその被相続人の遺産について効力を有する】
 お母さんの遺産分割協議は、お父さんとあなた、お兄さんの3人(と思われる)で作成されているはずです。
 ただ、遺産分割協議は、被相続人であるお母さんの遺産について効力を有します。
 お母さんの分割協議の段階ではお父さんは死亡していないのですから、お父さんの遺言書に「預貯金は母」、「株は母と私」と記載されていても、遺産分割協議の時点ではお父さんの預貯金や株は、お母さんの遺産ではありません。
 従って、お父さんの保有している預貯金や株がお母さんの遺産分割の対象となることはありません。

【死亡した人に対する遺言は無効】
 お父さんの遺言書に記載されていた「預貯金は母」等の記載は、その遺言書が効果を発揮する(お父さんが死亡した)時点では、既にお母さんが死亡していましたので、上記遺言書の部分は効力を失っており、お母さんのものになることはありません。
 そのため、お母さんの遺産分割協議書に「この協議書に記載されていない財産・・は、すべて兄が取得または承継する」との条項があったとしても、お兄さんのもらう分が増加することはありません。

【嫁入り道具と結納金、建築代金の補助】
 嫁入り道具については特別受益になるとの考えもあります。
 しかし、一方ではお兄さんも結納金を出してもらっているのが普通です。
 調停などの実務の扱いでは《痛み分け》ということで双方の主張を相殺する、あるいは主張を双方が撤回するという扱いをすることも多いです。
 もちろん、嫁入道具額と結納金のどちらかがあまりにも多額であり、差額が大きすぎる場合には、相続人間の公平を考慮して特別受益とされる場合もありえますが、その場合には差額が多額であるという点を証明する必要があるでしょう。

【お母さんが残したメモの効力】
 お母さんが残しているとされる(おそらく持参品に関する)メモがある可能性があるようです。
 ただ、私(大澤)が経験したケースでは、持参品を毛筆で記載した巻物風の目録が提出されたケースがありましたが、この場合も、結婚式費用や結納金、嫁入り持参道具などを考えて、双方が互いに特別受益の主張を撤回するということで最終解決をしました。
 兄弟姉妹間で極端な差額がない限り、一方の分だけを特別受益にすることにはならないと考えていいでしょう。

【嫁入り道具等の計算のしかた】
 嫁入り道具については、そのもらった当時の時価を前提に金額に換算して計算します。
 持参金はその金額でカウントしますし、結納金を出してもらった時もその金額で計算します。
 ただ、繰り返しになりますが、嫁入り道具や持参金が莫大な金額というのではない限り、特別受益としては扱われない可能性も高いです。
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10:01 生前贈与・特別受益 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

長男が財産管理をはじめたら【Q&A №376】

2014/05/28
 昨年9月に父が他界。遺産分割協議書などの処理も終わったとたん、兄が母親の家に行き、実印と通帳を預けろと言いに来たそうです。
 理由は年寄りの一人暮らしは危険だから、紛失したら大変だ。そうです。母が断ると「俺のことが信用できないのか?」と凄んで、実印だけは持って行っていまったそうです。
 このままでは、いつ通帳も母親のいない間に勝手に持ち出されるか不安でたまらないと母が困っています。
 兄は、母の家の40分くらいの距離、私(次男)は遠方です。
 特に兄は「自分は長男だから、処理は長男がする」と主張するようです。この兄の行動を止める方法はありますでしょうか?よろしくお願い申し上げます。

記載内容

成年後見人 財産管理 遺産調査
(麿)


【お母さんのことはお母さんが決める】
 お母さんの財産管理は、お母さん自身で決定することです。
 そのお母さんが、お兄さんの《要請》で通帳をお兄さんに預けるということになれば、それを防ぐ方法はありません。
 あなたとしては、お兄さんが預貯金を使いこんだ結果、相続開始時点では遺産が何もなくなっているということを心配されておられるのでしょう。
 しかし、現時点で(将来の)法定相続人であるあなたが、お母さんの財産管理をすることはできませんし、お兄さんがお母さんの財産管理をするのを防止することもできないという結論になります。
 ただ、以下に述べることも参考にされるといいでしょう。

【成年後見は使えないか・・】
 ただ、お母さんが認知症などで財産を管理できない状態(Q&A №249、№280)であれば、成年後見人の選任の申立が可能です。
 その申立をした場合、財産管理につき、法定相続人になる人の間で争いがある場合には、裁判所は第三者(司法書士や弁護士)を指定しますので、お母さんの財産の保全をすることができます。

【お母さんとの関係を密接にする】
 法律的はことではありませんが次の方法も考えられます。
 あなたとお母さんの関係が、お兄さんとお母さんとの関係より密接であれば、お兄さんの申し出を断るようにお母さんに言って、実行してもらうことができるかもしれません。
 結局、もっとも確実な方法は、(遠隔地におられるので難しいでしょうが)お母さんとあなたが同居し、お兄さんがお母さんを無理矢理説得することがないよう見守るという方法が有効です。
 あるいは、お母さんがお兄さんの言いなりにならないようお母さんを説得しておく、ということしかないように思います。

【将来の遺産争いに備えて、今、するべきことは・・】
 お兄さんの態度を見ていると、将来、お母さんの遺産紛争が発生する可能性がありそうです。
 その場合には、お母さんがどこの金融機関のどの支店を利用しているのか、又、株式を持っているのなら、どこの証券会社に口座を有しているのかを、現段階で調査・把握しておく必要があります。
 法定相続人は、遺産である預貯金の調査ができます。
 そのため、お兄さんがどれほどのお金を持ち出したのかを調査するために、調査すべき金融機関等を把握しておくのが、一番有効な方法かもしれません。
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09:41 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

分割割合が書かれていない遺言【Q&A №373】

2014/05/08
  母が亡くなりました。遺言書に私と妹で分ける様に書いてあります。姉妹二人とも同居していません。介護はふたりでやりました。不動産は妹が相続します。妹は維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しいといいます。比率はどの様に考えたらいいですか?

記載内容

割合 預金 共有
(みくに)


【2分の1ずつ分割相続すると考えられます】
 遺言書には、分割する財産とその分割割合(例えば、不動産全部を妹さんに、その他の財産はあなたと妹とで2分の1ずつ、というような)を書くことが望ましいです。
 ただ今回のように、分割割合を書いていない遺言がすべて無効かというと、そうとも限りません。
 遺言者であるお母さんの意思を推測して、有効な遺言とすることもできます。
 今回の遺言書の記載文言がわからないのですが、たとえば、《不動産は妹さんに、残りの財産は2人に相続させる》というような内容であれば、他に2人の間で相続分が異なると記載されていない限りは、不動産以外は同じ割合で分割すると考えていいでしょう。
 なお、《不動産は妹さんに》とだけ書かれてあり《残りは2人に相続させる》という条項がない場合でも、残りの財産については、法定相続分で分割するのですから、相続人があなたと妹さんだけだとすると、結局半分ずつであり、上記と同じ結論になります。

【遺言書と異なる内容の遺産分割協議も可能です】
 妹さんが《(不動産の)維持管理におかねがかかるから預貯金を多く欲しい》と言っておられるようですが、あなたが妹さんの申し出を受けて、そのような内容の遺産分割協議書を作成することも可能です。
 法定相続人全員が同意すると、遺言書の記載内容と異なっても有効であり、遺言書より遺産分割協議の内容が優先します。
 ただ、妹さんは不動産という財産をもらっているのだから、預貯金は少なくてもいいよ、というのが普通のように思います。
 そのため、あなたとしては、《あなたは不動産をもらっているのだから、維持管理費用は自分で出してください。預貯金は遺言どおりに半分ずつにしましょう》と言って、妹さんの申し出を断り、残りの遺産を半分ずつ分けることを考えてもいいでしょう。
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13:04 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

遺品の処分と古い自宅の解体費用【Q&A №367】

2014/04/23
 遺品処理の費用について、誰が持つのか教えていただきたいと思います。

 父が亡くなり、母も施設に入り、実家の2階建て全9室の部屋の遺品、不用品を、遠方に居るため約1年半かけて整理してきましたが、価値のあるものは無く、あと箪笥など大物家具が12個ほど残っています。
 この実家は、私が相続することになっていますが、まだ名義変更には至っていません。今相続手続き中です。

 実家裏に住んでいる妹は、成人した娘と2人で住んでいて、フルタイムで働いていることと、母子家庭を理由に1度も手を貸してくれませんし、もちろんお金も出してくれません。
 私が相続するのだし、いつか取り壊すのだからほっておけばよいと言っています。

 施設にいる母と処理費用の相談をしようかと思いますが、母にも少し助けてもらうことはできないのでしょうか。
 また、妹達は、片づけることや処理費用を出す義務は、まったくないのでしょうか。

 妹は、父が生前に多くの援助をしてもらっており、相続でも相当の遺産を取得しています。
 母からも家賃免除や遺言を残してもらっています。

記載内容

遺品 処理 取り壊し
(ぶんさん)


【建物とその内部にある動産とは別個の物である】
 あなたが、不動産である実家の建物を相続する場合、その中にある動産の処理費用はどうなるかという質問です。
あなたが相続するのは実家の建物ですので、その建物を取り壊す費用が必要な場合には、その費用はあなたの財産になります。
 しかし、建物内の家具などの動産は、建物とは別個のものです。
 従って、自宅を取得した相続人が、その内部にある動産をすべて取得するというものではありません。
 例えば、自宅内に絵画や磁器、陶器などの骨董がある場合、それらの動産については別途、遺産分割協議書に分割方法を記載することが必要になります。

【自宅内の動産の帰属について特に定めをしなかった場合】
 自宅内の動産については、遺産分割協議で別途協議されていないのであれば、2つの解釈があるでしょう。
 まず、不動産である自宅と動産である家具などとは別個であるので、動産については別途遺産分割協議をしなければならない、という解釈です。
 この考えなら、現在未分割の動産についての処分費用は、法定相続人が全員で負担することになりますし、又、処分するかどうかの判断も全員で決定する必要があるという結論になります。
 ただ、本件質問と同じように、動産に価値がない場合には、遺産分割協議に動産についてなんら記載しない場合も多いです。
 そのような場合には、法定相続人の意向としては、自宅と同じ処分でよい、言い換えれば自宅を取得した者がその処分費用を負担するというのが暗黙の前提となっていると考えるといいでしょう。
 現在、あなた自身が自宅内の家具等の動産を処分されているようですが、もし、あなたが家具等の動産を相続で所有しないというのなら、なぜその動産を処分することができるのか、ということにもなります。
 不服かもしれませんが、自宅と共にその中にある動産も取得したと考えて、処分費用もあなたが負担するしかないでしょう。
 なお、この前提に立つと、仮に価値のあるものが出てきたとしても、それはあなたが相続していることになります。
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16:20 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

預金の解約手続に必要な期間【Q&A №357】

2014/03/20
 叔父の遺産を12分の1相続できる手続きは全てすんでおります。遺産分割協議書への実印も付いて、手続きの完了の届けは来ています。
 相続を依頼して弁護士に手続きをしたいとこが叔父の預金の口座の解約手続きをしておりますが、この手続きはどれ位の日数かかるものなのでしょうか?昨年の12月末に後は解約が済み次第この従兄弟から入金があるとの知らせが、弁護士からきていますが、解約がまだ済んでいないとの返答です。どれ位まっていたらよいのかお教え下さい。

記載内容

預金 解約 期間
(mokusancav)


【通常はそれほど時間がかからない】
 相続に伴う預金の解約手続として、銀行側の手続きとしては、遺産分割協議の場合には
① 戸籍を確認して相続人が誰かを確定する。
② 遺産分割協議書を確認し、①で確定した法定相続人全員が署名捺印しているのか、その押捺されたのが実印であるかどうかを確認する。
③ 解約関係書類の記載内容が間違いないかどうか及び署名・捺印者が遺産分割協議書で預金を取得する人と指定されている人であるか確認する。

というような点でしょう。
 そのため、通常の預金解約手続よりは手続きが複雑になり、場合により窓口担当者だけではなく、上司の確認が必要となることもあるでしょう。
 金融機関により対応の違いもあるでしょうが、通常の場合、数日もあれば上記各点の確認ができるはずです。

【遅れている理由としては・・】
 遅延原因として考えられるのは、上記①の関係書類の不備です。
 相続人を確定するには、原則として被相続人が出生してから以降の戸籍(除籍)謄本の取り寄せが必要であり、これを解約する側が提出する必要があります。
 これらの書類が不備であった場合、銀行としては解約・払戻しに応じないでしょう。
このような場合には、解約する側としては不足している戸籍(除籍)謄本等を市役所等に請求して、不足書類を追加提出することになります。
 次に考えられるのは、既に解約・払戻しが終了しているが、支払いをしようとしないというケースです。
 弁護士が関与しているので、このようなケースは少ないと思いますが、全くないとは言い切れないでしょう。
 いずれにせよ、弁護士になぜ遅れているのかという理由をお聞きになればいいでしょう。
 又、金融機関に問い合わせすることも考えていいでしょう。

【預貯金の分割協議方法】
 念のために、今回のような預貯金の分割の場合の対処法を考えてみます。
 遺産分割協議の場合、預金が複数あったのなら、それを一人の人が取得するという形にするのではなく、各法定相続人がそれぞれ取得するという形をとる必要があります。
 例えば法定相続人が甲さん、乙さん、丙さんと3人おり、金融機関の口座がAからFまで6つ、あった場合には、甲さんはAとB口座を、又、乙さんはCとD口座を、丙さんはEとF口座を取得するようにする必要があります。
 そうでないと、甲さんだけが全預金口座を取得するようにすると、甲さんが全預金を解約・払戻しして、乙さんや丙さんに支払いをしない場合も考えられますので注意をしておく必要があるでしょう。
 あなたの場合は相続分が12分の1であったのなら、その金額に相当する(あるいはそれに近い)金額の預貯金を取得しておればよかったのではないかと思います。
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16:19 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

長年相続登記をしていなかった土地の名義変更【Q&A №356】

2014/03/19
 約20年前に祖父が死亡し相続登記を行っていない不動産があります。
 相続人は祖父の配偶者と長女(実子)と養子です。
 長女と養子は昔の慣わしで結婚+祖父との婿養子として縁組をしていましたが、離婚後に離縁しています。
 長女(実子)に相続登記を行う場合、どのような書類が必要なのでしょうか?
 相続権放棄ではなく遺産分割で全て長女へ分割すればいいのでしょうか?

記載内容

養子 離縁 相続登記 土地
(Hide)


【相続人は誰か・・離縁した養子は相続人ではない】
 遺産分割については、まず相続人は誰かが問題となります。
 誰が相続人になるかは、相続開始時点(被相続人であるお父さんが亡くなった時点)で親族関係で判断します。
 婿養子の方は被相続人の生前に離縁していますので、相続人にはなりません。
 そのため、本件の場合、長女と配偶者のみが相続人になります。
 登記名義を変更するもっとも簡単な方法は、長女と配偶者で遺産分割協議書を作成(作成方法は、「相続コラム:遺産分割協議…話し合いによる遺産の分割」を参照)し、後は司法書士に依頼して、登記の手続きをするといいでしょう。なお、便法として、他の相続人であるお母さんが既に十分に遺産をもらっているので、あなたの単独登記をしてもよい、という同意書的な書面ですますことができる可能性もあり、昔はこの方法をよく使っていましたが、最近は使われていないようです(この点も司法書士に確認されるといいでしょう)。

【相続放棄は難しい】
 相続放棄は家庭裁判所への申立(申述)という手続きが必要です。
 この放棄の手続きは、お祖父さんの死亡を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをする必要があります。
 今回は祖父が亡くなってから20年以上も経っていますので、相続放棄の手続き(家庭裁判所への申述)はできません。
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16:33 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

印鑑を無断盗用した遺産分割協議書【Q&A №340】

2014/01/15
 ①遺産相続協議書の見せられたのは母親死亡後の相続の件時で訪問した平成22年6月29日に初めて知った。弟Aは(平成21年7月死亡)は昭和51年5月1日に遺産相続協議書を作成して所有権移転登記は昭和51年5月30日完了していた。 勝手に弟の配偶者(B)に署名させて印鑑を押印後に印鑑登録を要請、印鑑署名書は代理人申請で取得していた 印鑑登録は昭和51年5月15日です。署名の事実もなく正本も渡されていない。 母親(平成22年5月11日死亡)と父親(昭和37年7月30日死亡)の相続調停で相手方4名は弟Aの相続人配偶者とその子3人 申立人2名は私Cと妹は弁護士に相談して立川裁判所に調停を平成22年7月申請した。調停で父親の相続は訴訟で争うとの回答書に対して申立人弁護士は「父親の相続は経費が掛かる、時効が成立しているから・・
 経費対成果を考えると母親の調停で進めましょう」との事で母親の所有権のある建物の20分の9を相手側が支払うことで調停平成23年5月27日に成立しました。
②配偶者(B)とその子Dは敷地内に弟Aが不正な方法で土地所有権を得た敷地364,52㎡の一部を121,58㎡土地文筆登記平成14年6月14日して家を新築した。 当時弟Aに確認したら借地代として税金分は貰っていると話をしていたのである。調停前平成22年6月17日に配偶者とその子D.E2人持ち分242,94㎡を3/1づつ移転登記され、且配偶者(B)はその子Fは文筆登記された121,58㎡土地移転登記していた。

記載内容

実印 印鑑登録 偽造
(知世子)


【時効制度について損害賠償請求にも時効がある】
 ご相談内容に質問部分が記載されておりませんでしたので、当方で問題点を推測し、回答します。
 まず、お父さんの遺産分割について、あなた(さらには妹さんの)印鑑が勝手に印鑑登録され、その実印が使用されて、遺産分割協議書が作成されたとすれば、それはあなた方の意思に基づかない違法かつ無効な遺産分割協議であり、その協議書を使ってお父さんの遺産である土地等の不動産登記もされたのであれば、その登記も効力がありません。
 ただ、法律では、無効な権利関係といえども、権利者としての外形が長く続くのであれば、その外形を権利として認めようということで、取得時効という制度を設けています。
 又、権利を長く行使しないのであれば、その権利の行使を認めなくする消滅時効という制度も認めています。

【弟さんの行為については不法行為基づく損害賠償請求が可能だったが・・】
 弟さんのした行為はあなた方の遺産を取得することを妨害したもので、あなた方としては不法行為による損害賠償請求ができることになります。
 しかし、不法行為はその行為を知ったときは、知ってから3年間、知らない場合にも不法行為時から20年で時効に消滅します。
 今回のケースでは、その行為があった昭和51年から約40年近くが経過しています。
 あなたの委任された弁護士が時効というのは、その消滅時効のことを言っているのでしょう。
 また、仮に本件が私文書偽造罪などにあたるとしても、やはり公訴時効という制度があり、警察が捜査し裁判にかけることができる期間も制限されています。

【登記の無効を争うことは可能かもしれないが・・】
 ただ、弟さんのした相続登記が無効というのなら、現在もその点を指摘して、登記無効の訴訟を提起することも可能です。
 しかし、この裁判ではあなた方が、弟さんが不法行為を行ったことを証明する必要があり、それができなければ敗訴することになります。
 あなた方の依頼された弁護士としては、あまりにも過去のことであるので、その点の立証も難しいと考え、お母さんの相続だけに限定したものと思います。
 又、弟さんが登記してから約40年間、弟さん及びその家族はその不動産を自分の名義で使用し、かつ、固定資産税等の税金を支払っており、所有者としての外形を維持してきましたので、取得時効が完成している可能性が極めて高いです。
その判断が正しかったのかどうかは、詳しい事情を知らないためなんとも判断できませんが、約40年近く前の事実を証明するのはかなり困難なことであると思います。
又、取得時効も完成しているものと思われるので、あなた側の弁護士の判断もやむをえないものではないでしょうか。
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17:08 遺産分割 | コメント(3) | トラックバック(0) | 編集

司法書士が遺産分割協議書を無効と判断する権限【Q&A №315】

2013/09/20
  
遺産分割協議書を作成した司法書士が、それに署名した父の自筆の署名の有効性につき疑問視してます。司法書士は書類作成・手続きの業務を代行するだけで、署名の有効性を判断する法的権限はあるのですか? 父は今老人施設に入居してますが、署名するのに問題はありません。
 当該法務局はちゃんと本人が署名されたのであれば問題ないとの見解です。司法書士一個人の主観的な判断で無効だとかいう判断する法的根拠はあるのでしょうか?

記載内容

司法書士 意思能力 確認義務 署名の有効無効


(Valenzuela)


【法的な判断権限は裁判所にある】
 ある遺産分割協議書が有効か、さらにはある相続人の署名押印が有効か否かを判断する権限は、最終的には裁判所が判決で判断するものです。
 司法書士や弁護士が「お父さんの署名押印は無効だ」と判断したとしても、それで法的に無効と決定されるわけではありません。

【司法書士の確認義務】
 司法書士としては、登記手続の依頼を受けた場合には、その依頼者が確かに本人であるのか、またその人に意思能力があるのかどうかを確認する責任があります。
 遺産分割協議に基づく登記の場合には、遺産分割協議書が有効に作成されたものであるかどうかを確認し、その署名押印する人の意思能力に問題があると判断した場合、途中で登記手続をやめ、辞任することもあります。
 これは、司法書士が登記をしたが、後日、その依頼者に意思能力がないと判明した場合、司法書士が確認を怠ったとして損害賠償を請求されることがあるからです(当事務所も、このような案件に巻き込まれた司法書士から相談を受けることがあります)。

【検査の上で、その検査結果を示して手続きを進める】
 今回、依頼された司法書士も、おそらくお父さんの意思能力になんらかの疑問を感じているのでしょう。
 万が一、後日遺産分割協議が無効とされるような事態があっては、司法書士自身の責任問題にも発展しかねないので、手続きをこのまま進めることを躊躇しておられるものと思われます。
 もし、このまま遺産分割協議を進めたいというのであれば、お父さんの意思能力に関する検査(たとえば長谷川式認知スケールテスト:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)を行い、意思能力には問題ないとの検査結果を司法書士に示して、手続きを進めてもらうといいでしょう。


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11:55 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

親の介護を拒否すれば相続できないか【Q&A №250】

2013/03/04
 夫の死後 30年同居していた姑を義理の弟に面倒見て欲しいと頼んだら義理の弟から無責任な嫁だと言われました。
 また舅の遺産(預金)を兄に相続させたとのだから全て返せと言ってきました。すでに亡き夫が相続済みの預金を全て返さないといけ
ないでしょうか

記載内容

介護 同居 対価
(まこ)


【介護と相続とは別々の問題です】
 今回、夫の母親の介護を義理の弟さん(お母さんからすれば実の子)に頼んだとのことですが、日本の法律では、相続は介護したことの報酬でもなければご褒美でもありません。
 そのため、介護することを放棄したとしても、なんら相続には関係がなく、あなたのご主人がすでに相続した預金などを義理の弟さんに返還する義務はありません。

【約束などがあれば別途問題となる】
 他方で、(今回であれば舅さんの)遺産分割の際に、最期までお母さんの介護をすることが遺産分割(あなたのご主人が預金を全部取得すること)の条件とされていたような場合であれば、介護の意思を放棄することで預金を返還しなければならない可能性が出てきます。
 ここは、遺産分割協議書など当時の約束がどの程度明確な資料として残っているかどうかにより判断すべきでしょう。

【感情的には問題となりうる】
 とはいえ、日本の社会通念としては、介護をした人間が遺産も主に引き継ぐべきだという考え方が未だ根強いところです。
 たしかに療養介護は決して楽ではありませんし、感情的には「親のお金くらいは・・・」と思う気持ちがあっても不思議ではありません。
 ただ、介護というのはその内容や期間によって様々であり、今回のように30年間も同居を続けた後に義理の弟さんに頼んだがために、これまでの介護努力が無になるということにも疑問があります。
 アドバイスとしては、介護を頼む弟さんに対し、今後の介護費用に相当する程度の預金を返還するなどして解決を図ることも一つの手段でしょう。


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11:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★父と母が相次いでなくなった場合の対処【Q&A №239】

2013/02/07
8年ほど前に父を亡くしました、その際は気が動転していたことも有、私と父で建てた家の所有分まで気が回らずに居ました、
 この程、母を亡くし、建てた家の名義などについてどのように行った方が良いのかを教えていただきたいのです。
 子供は私を含めて2名となります、8年ほど前に亡くなった時点の父の持ち分は2割となっています、
 母が亡くなった時点で、無償譲渡という形で父名義分の2割をすべて渡すからという話になりつつありますが法律的には可能なのでしょうか弟は自分も家を持っているし、お金も払っていなかった、病気の両親の面倒も見ていなかったので無償譲渡をしたいと言ってくれていますが、8年前に亡くなっている父の名義である分なので無償譲渡が可能なことなのかが不明です、可能なのでしょうか。又はどのような形になるのかを解説していただけませんか、よろしくお願いいたします。

記載内容

無償譲渡 期限 数次相続 
(亡くした母は偉大だと思う)


【現在の法定相続分について】
 今回のように、お父さんとお母さんの相続が二つ重なっていることを数次相続と言いますが、このような場合でも通常の相続と同じように遺産分割が可能です。
 お父さんの遺産については、その相続開始時点では、お母さんが2分の1、子供達が4分の1ずつの法定相続分でしたが、お母さんが死んだので、結局現時点での相続分は次のとおりとなります。
 
 お父さんからの相続分・・子供たちに各4分の1
 お母さんが死亡したことにより発生するお父さんの遺産の法定相続分・・各4分の1

 結局、あなたとしては、お父さんから得た遺産の4分の1と、お母さん経由で得たお父さんの財産の4分の1の合算である2分の1の法定相続分を持つことになり、お兄さんも同様の持分を持ちます。

【遺産分割協議書の作成について】
 お兄さんが、現在、持っておられるお父さんの持分2分の1の無償譲渡に賛成してくれるのなら、その旨の遺産分割協議書を作成すればいいでしょう。
 この場合、署名するのはあなたとお兄さんになりますが、その場合の記載の仕方は次のようになるでしょう。

 ①お父さんの相続人であるお母さんの相続人であるあなた
   記載例・・被相続人○○○○(お父さん)相続人である被相続人××××(お母さん)相続人△△△△(あなた)
 ②お父さんの相続人であるお母さんの相続人であるお兄さん
 ③お母さんの相続人であるあなた
   記載例・・被相続人××××(お母さん)相続人△△△△(あなた)
 ④お母さんの相続人であるお兄さん

【登記手続きについて】
 問題の無償譲渡ですが、贈与ではなく、遺産分割の内容ですので、贈与税等は課税されませんし、登記も相続を原因とする登記になります。
 但し、高額の物件であれば、相続税の対象となりますのでご注意ください。
 お二人の意見が一致しているのであれば、お近くの司法書士の先生などに相談いただき、相続登記に必要な書類(遺産分割協議書や登記手続き書類)などを作ってほしいと依頼すればよいでしょう。

 
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19:50 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

弟の不正出金【Q&A №234】

2013/01/29
弟相手に裁判 相続人は、私(女)、兄、弟、の3人です。一昨年母(アルツハイマーで4年ほど入院)が亡くなり(父は他界)相続財産を調べると、弟夫婦が母の普通預金から2,000万引き出しておりました。1度に10万~30万月に何度もです。
 それ以外にも、父の土地を母が勝手に売却した代金2,000万の行方もわからず、弟に聞いても「知らん」の一言です。
 これらのお金は、弟宅の新築費用(土地は母から相続済み)に充てたり、弟やその家族の口座に移したりしたものと思われます。 
① 財産をすべて開示させる方法
② このお金を相続財産に入れた、遺産分割協議書を作り様子を見る。反応がなけれ
ば、調停~裁判、この順番でいいですか? 
記載内容

不正出金 預金 開示 調停 

 
(アイアイ)


【取り込んだ者の財産を開示させる方法】
 相続に関する財産調査について、被相続人であるお母さんの財産(預貯金情報等)については、相続人であれば調査が可能です( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )。
 しかし、取り込んだと思われる相手方(弟夫婦)の財産を開示させる方法はありません。
 調停などで、相手方の預貯金の開示を求めることもよくありますが、まず、開示に応じない場合がほとんどです。
 開示に応じた場合にも、全部ではなく、相手方が出しても差し支えないと考えたものしか出てこないと考えておくべきでしょう。
 なお、裁判所が積極的に相手方の預貯金を調べてくれることはりません。
 調停の場合などは、調停委員が相手方に口座情報を提出する気はないか、という程度の話をしてくれますが、相手方が応じなければ、それ以上の手段はありません。

【相手方が取り込んだことさえ証明すればよい】
 注意するべきことは、相手方から返還を求めるには、あなたの立場から言えば、遺産である預貯金を《弟さんが出したということを証明すればよい》ということです。
 そこまで証明すると、今度は、弟さんの方で、その《払い戻しをした預貯金の使途》を明確にしなければならない立場になります。
 この点に重点を置いた調査をするべきでしょう。

【今後のとるべき手段】
 ご質問には、まず遺産分割協議書を作ると記載されています。
 この趣旨は、弟さんの取込分を遺産内容に含んだ遺産分割協議書(案)を作成して、弟さんに署名捺印を求めるということなら、その方向でいいでしょう。
 弟さんが、その遺産分割協議書に署名捺印しないのであれば、ご指摘のとおり、調停から訴訟ということにならざるを得ないでしょう。


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認知症の父がいる場合の相続【Q&A №218】

2012/12/17
 相続
 母が他界しました。相続人は兄と私の二人です。私は遠方に住んでいるため相続に必要な書類は兄のほうでやってくれているのですが、相続分割協議書を作成してほしいとは言ってあるのですが、父が認知証のため後見人をたてる必要がありますが兄は協議書をつくりたくないようで私は遠方のため、銀行からの委任状を送るからサインしてくれと言われてますが、もしそれによって兄が私の取り分をごまかした場合、後で請求できますか。相続したお金は相続人の代表者の口座に一括で振り込まれ、その後それぞれの相続人に取り分けをすると銀行から聞きました。
 兄が認知証の父の取り分をそのまま自分の口座においとく可能性があります。借金等の負債があるか預貯金がいくらあるかなど何も教えてくれません。いっしょに住んでたので知っているはずなのですが。分割協議書がなくても後で問題が起きた場合、兄に請求することはできますか。
記載内容

銀行所定用紙に基づく預金の払い戻し 認知症の相続人 
(ぺんぺん)


【相続人は3人では・・】
 質問では、相続人はあなたとお兄さんとなっていますが、認知症のお父さんがいるのであれば、お父さんも配偶者として相続人になります。
 これは認知症であろうと、成年後見人がついていようといまいと、お父さんが相続人であることは間違いありません。

【銀行所定の用紙による支払いの問題点】
 遺産分割協議書を作らずに、金融機関の指定する同意書などに署名し、実印を押し、かつ印鑑証明を添付して、金融機関に書面を提出すると、代表者の口座に預金全額が送金されてきます。
 この場合、お兄さんがあなたに分けるという金銭の支払いをしなかった場合、あなたとしてはお兄さん相手に訴訟や調停をするしかありません。
 仮に訴訟で勝訴しても、お兄さんが払い戻し分を全部費消してなくなったとすると、結局、約束されたお金は支払われないことになります。
 しかもお父さんが認知症だというのなら、その程度にもよりますが、原則として、成年後見人をつけずに同意書に印鑑を押したり、署名したりすること自体が法律的には無効です。

【本来するべきことをすることが必要】
 金融機関に提出する書面を作成するにせよ、遺産分割協議書を作成するにせよ、お父さんの成年後見人の選任申立てが必要不可欠です。
 なお参考までに言いますと、遺産分割に関して言えば、あなたやお兄さんが成年後見人に選任された場合は、相続に関してお父さんと利害が対立するので、成年後見人の選任とは別に第三者である特別代理人の選任が必要になります。
 結局、特別代理人とあなた、お兄さんの3者間で遺産分割協議書を作成し、その中であなたの取り分を明記しておくのが、一番望ましい方法でしょう。
 これならあなたの取り分も明記されているのですから、金融機関もあなたの分をお兄さんに支払うこともないでしょう。


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★だまされて渡した実印と印鑑証明書【Q&A №214】

2012/12/14
 騙されて渡した実印と印鑑証明

 父親が死亡後、兄夫婦から父名義の銀行預金を解約するので、実印と印鑑証明を急いで欲しいと言われ、渡してしまいました。ところが、それを使って遺産分割協議書を偽造され、サインは第三者によるものでした。
 兄夫婦はずる賢く、実印と印鑑証明を渡すということは承諾したと同じであると主張し、自ら家裁に調停を申立て、自己の正当性を主張し、父の遺産を開示すらしません。私のサインでないことは証明されているので告訴をしたいのですが、争点が明確でないと言われて、なかなか告訴ができません。

記載内容

実印 印鑑証明書  
(のぶ)


【告訴をしても、警察は簡単には動かない】
 亡くなったお父さんの預金を払い戻すために、お兄さんに渡した印鑑証明書などが悪用されて遺産分割協議書を作成されたというのであれば、有印私文書偽造、同行使等に該当する可能性があります。
 ただ、実際にこれらの罪で告訴しても、警察は《民民》のことであり、できれば弁護士を入れて裁判をされたらどうですかというアドバイスをしてくれるだけで、積極的な問題解決に役立つ可能性は少ないです。

【実印を渡したのは不注意ですが・・】
 実印と印鑑証明書は、重要なものであり、署名をする書面に自分で実印を押捺するのが通常であり、兄弟といえども、実印自体を渡したことはあまりに不注意だったというべきでしょう。
 ただ、第三者のサインであることが明らかであるということなら、あなたが書面(遺産分割協議書)の内容を了解していたのではないという証明になります。

【自ら調査するべきですが、専門家への依頼も考える・・】
 お兄さんが自ら家裁に調停を申し立てているのであれば、裁判所に対して、遺産目録を提出しているのが通常だろうと思います。また、調停委員からも、他に遺産があれば開示するよう言われているはずです。
 ただ、お兄さんが遺産の内容を明らかにしようとしないときには、調停委員もそれ以上に強く開示を求めることはありません。
 そのため、遺産の調査は、あなたの方で積極的にする必要があります。
 あなたは相続人ですので、被相続人であるお父さんの遺産を調べることができます(預金等の調査方法については、遺産調査 の記事をご参照ください。)

 ただ、本件ではお兄さんの態度に非常に問題があります。
 素人であるあなたでは、遺産の調査も難しく、又、交渉も難しいのではないでしょうか。
 遺産総額がどの程度かわかりませんが、ある程度の額になるのであれば、相続に詳しい弁護士に相談し、事件を委任された方がよいケースのように思います。
 ご検討ください。

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偽造された署名【Q&A №213】

2012/11/14
 偽造された遺産分割協議書の署名

 昨年春、父が亡くなりました。ある日突然、兄から一方的な書類が届き、そこには遺産の分配が書かれていて、兄が全体の半分を、残りを私と弟でという勝手なものでした。しかも、遺産分割分割協議などしていないのに、書類が勝手に作られ、私の住所、氏名も他人が書いたもだということが分かりました。弁護士に依頼しているのですが、なかなか進まず、家裁でもう1年近く揉めています。私はどの方法でも訴訟を起したいのですが、最近になって、弁護士が誰が署名したのか鑑定で証明できなければ、訴訟はできない裁判しても負けると言って訴訟になりません。私の署名でないことは鑑定の結果証明できたのですが、それでも訴訟は起せませんか?
 どこの誰が書いたかのか証明などできすはずがないので、困っています。助けてください!

記載内容

偽造 署名 押印 
(ちび)


【偽造した人を特定する必要はありません】
 今回、署名があなたのものでないことが証明されたということですが、それにもかかわらずあなたが依頼している弁護士は誰が記載したのかを明らかにしないと勝訴しないと言っている点に疑問を感じます。
 まず、あなたが署名したものでなければ、遺産分割協議書は《無効になることがあります》。
 決して、あなたの署名を偽造した人を特定する必要はありません。
 その意味では、あなたの依頼している弁護士の発言は間違っています。

【本人の署名がなくとも有効な場合があります】
 ただ、わざわざ、《なることがあります》と記載したのは、遺産分割協議書は必ずしも本人の署名が必要ではないからです。
 具体的に言えば、氏名欄がワープロ打ちでも遺産分割協議書としては効力を有する場合もあります。
 又、署名欄が仮に他人の署名だとしても、あなたが納得して実印を押捺し、印鑑証明書を交付すると、遺産分割協議書が効力を持つ可能性があります。

【実印が押捺されているのか?印鑑証明書が添付されているのか?】
 遺産分割協議書であれば、あなたの実印が押捺され、又、印鑑証明書が添付されているはずです。
 質問には記載されていませんが、これらの点はどうなっているのでしょうか。
 もし、あなたの実印が押されており、印鑑証明書も交付されたということなら、署名は他人がしたとしても、あなたが承諾して印鑑を押したのだとして、遺産分割協議書が有効になる可能性もあります。

【弁護士とは納得できる打合せを】
 弁護士はあなたの利益のために頑張るのが仕事です。
 その弁護士が、勝訴が難しいというからには、何らかの他の理由があるのではないでしょうか。
 このブログで回答できることには限度があります。
 現在の弁護士の方針にどうしても納得できないというのであれば、資料を持参して、相続に詳しい弁護士に法律相談をし、それをセカンドオピニオンとして活用されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
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【Q&A №211】遺産分割のやり直し

2012/11/05
 遺産分割

 遺産分割のやり直しは可能でしょうか?今から27年前に母、26年前に父が亡くなり親が所有していた土地は2分割になるはずですしたが、この機会に兄が家が老朽化しているので、土地を担保に家を新築しよう。その時に土地が分割してあると借りにくいし面倒なので自分の名義にしたいと言ってました。それか毎年固定資産税が発生するしお前は払えるか?と聞かれ、その時に固定資産税など払えなかったし、兄が家を建てるならいいし、住むには困らないので、遺産分割協議書に印を押しました。その後、新築した家に住んでます。最近親の生命保険300万があることを知りました。コレに関しては分割請求できますか?
 また、本来は相続した土地の半分はもらう権利があったと思うので今から請求できますか?時価相当分のお金をほしいと兄にいったら、遺産分割協議書作るときに固定資産税払えるか?と聞いたら払えないというので、放棄と確認したから俺が相続して登記して家も建ててる。正規の手続きはしてあるから今更言うな。イヤならお前がタダで住んでいた家賃分と駐車場代も請求と今まで払った固定資産税、親の治療費、葬儀代を請求するといわれてしまいました。やっぱり年数もたっているので、請求は難しいでしょうか?相続時の説明が足りなかったことにはなりませんか?

記載内容

やり直し 時価相当額 生命保険 
(inpressa1)


【生命保険は遺産ではありません】
 よく誤解されやすいのですが、生命保険は受取人に指定された人物の固有財産であり、遺産ではありません。
 相続税の申告では、遺産に含んで課税されますが、これは税金のことであり、遺産分割においては、保険金は遺産に含まれないというのが裁判所の見解です。
 ごくまれに、保険金以外に遺産がないような場合には遺産扱いされることがありますが、本件では保険金の他に土地もあることから、原則通り遺産ではないとされる可能性が高いでしょう。
 従って、今回発見された保険金を、受取人に対して分割請求することはできないでしょう。

【やり直しには無効事由が必要です】
 あなたにも、遺産である土地の2分の1の相続をする権利がありました。
 しかし、あなたが遺産分割協議書でお兄さんの名義にすることを認めていますので、対外的には、お兄さんが単独で相続することを認めたことを意味します。
 その当時、時価の2分の1相当額の金銭支払いを約束していれば、もちろんその支払い請求ができますが、当時そういった約束をしていなければ、今からお兄さんがその請求に応じることは考えにくいでしょう。
 また、相続時の説明が足りなかったという点はあるでしょうが、お兄さんとの話し合いの中で、虚偽の事実を積極的に述べたなどの事情がない限り、遺産分割の無効を主張することは難しいでしょう。


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協議成立後の実印変更【Q&A №200】

2012/09/19
 実印変更
 遺産分割協議書に実印を押して相続が終了しましたがその後実印を紛失し新しい実印を登録しました。過去の遺産分割協議書に押しなおしたりしないといけないでしょうか?
 また、相続した土地を売る際に不都合があるでしょうか?

記載内容

実印の変更 分割協議時の実印 実印の紛失 

(しあわせぱんだ)


【再度、押印する必要はない】
 遺産分割協議書については、実印を押して、印鑑証明書をつけます。
 印鑑証明書の印鑑である実印が押されておれば、その後に紛失等の事情で実印を変更したとしても、改めて押印し直す必要はありません。
 後に実印が変わっても、遺産分割協議書は有効で、その内容を実現することができます。

【相続した土地の売却には売却時点での実印を押す】
 土地を売却する場合には、登記を買主に移転する必要があります。
 この登記に必要な印鑑は、その移転登記をする時点の印鑑です。
 遺産分割協議書に押した印鑑と異なっていても、売買における登記時点の印鑑証明書の印鑑と同じ実印を押すだけでいいです。


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虚偽の遺産分割協議書に押印をした場合について【Q&A №192】

2012/08/27
 虚偽の遺産分割協議書は有効なのでしょうか…?

 兄と妹の二人です。
(兄には嫁と子供二人・長女と長男がおります)
 父が平成17年、母が平成20年6月17日に亡くなりました。
 その後、遺産相続のことについては、縁を切ると脅されていました。
 平成22年12月4日に、急に、一方的に連絡があり、兄が勝手に作成してきた遺産分割協議書(同二枚)を差し出され、謝らないといけないことがあると、いきなり泣き出し私の相続金を借金の穴埋めに遣い込んでしまい私への遺産金が無くなってしまったと訴えられ、自分の(兄)家も手放さなければならいし…ばれたら、嫁とも別れなくてはならないと泣き脅しされ、泣く泣く、その場では、私が泣いてあげれば全てが丸く納まるのか!?と思ってしまい虚偽の遺産分割協議書(同二枚)の一枚(兄の保管用)のみにサインと捺印(実印)をしてしまいました。
 私の保管用の虚偽の遺産分割協議書には、兄のサイン捺印(実印)はありますが、私は白紙にしています。(納得は出来ていなかった為)それでも?
 一方の虚偽の遺産分割協議書にサイン捺印(実印)をしてしまった以上、無効にはならないのでしょうか。
 私は、結局、遺産金はもらえず仕舞いです。しかし一年前に、私に内緒で、新しい家を購入して引越しもされていました。

記載内容

詐欺 遺産分割協議書

(クマコ)


【遺産分割協議書は1通あればよい】
 遺産分割協議書は1通作成されれば、それで有効です。
 あなたが持っている協議書に印鑑を押していなくとも、お兄さんの持っている分割協議書は無効にはなりません。
 お兄さんの持っている分割協議書に相続人全員の実印が押され、印鑑証明書がついていると金融機関から遺産である預金の払い戻しも受けることができ、登記もできます。
 お兄さんはその1通を使って、遺産を自分のものにしたのでしょう。

【詐欺等で取り消しや損害賠償を求めることも考えられるが・・】
 お兄さんが述べた事情が虚偽であったとすれば、詐欺を理由として分割協議を取り消しできる可能性がありますし、不法行為による損害賠償も可能かもしれません。
 ただ、問題は、お兄さんの詐欺を証明できるかどうかです。
 裁判に勝つためには、詐欺であることをあなたが証明する必要があります。
 具体的に言えば、お兄さんが、質問にあるようなことを言ったことやそれが嘘であったことなどを裁判所にわかってもらう必要がありますが、その点の証明ができるかどうかという問題です。

【今後の手続きは?】
 さて、問題はどのような手続きでお兄さんから遺産を取り戻すかということです。
 もし詐欺を働くようなお兄さんであれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
 通常は、遺産分割協議書が無効であるとして、遺産分割調停をするのが望ましいです。
 しかし、調停をしても、もし詐欺を働くようなお兄さんであれば、返還せよと言っても、簡単に返還してくれないでしょう。
 当事務所は、質問と似たようのケースを扱うこともよくありますが、残念ながら調停でまとまったケースは一例もありません。
 訴訟になった場合、勝訴の可能性もありますが、敗訴の可能性もあります。
 いずれにせよ、訴訟になる可能性があるケースですので、早期に、相続に詳しい弁護士に相談され、詳しく事情を説明した上で、その意見をお聞きになるといいでしょう。
 その上で、訴訟のリスクもわかった上で、事件を依頼するかどうかを検討されたことをお勧めします。
   http://www.hyogoben.or.jp/">兵庫県弁護士会 (URL:http://www.hyogoben.or.jp/)

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