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認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】

2017/11/20


【質問の要旨】

認知症の義母からの贈与は受け取っても問題ない?

記載内容  認知症 義母 贈与 

【ご質問内容】

 金庫の中には散々娘や孫にあげた後のおもちゃのようなのが数点、寺の権利書(?)と80万くらいあると言い、私にあげると言ってききません。何時忘れるかわからない状況ですので、私は貰いたくありません。
 後で無い!盗られた!と言い出す可能性もありますし、絶対揉めないと義母は言いますが、娘さんが義母没後何も言わないとはかぎりませんし。
 言ってることが毎日変るし、以前1点だけ親戚中居る中で貰いましたが、私は預かってるつもりです。その事は言いません(忘れてるか?)なので預かるつもりで一旦受け入れておいた方がいいのかなとも思いますが正直面倒くさいです
法律的にどうなりますか?



(介護妻)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【義母に意思能力がなかったとして、贈与が無効になる可能性がある】
 まず、義母の亡くなる前に発生が予想される問題について述べます。
 他人にものを預ける、あるいは贈与する場合、贈与する人に判断(意思)能力がない場合、その行為は効力がありません。
 義母は認知症だということですが、その程度によっては意思能力がなかったということで、金庫の中身を預ける行為も、あるいは贈与する行為も、無効になりかねません。
 この場合、義母からあなたが金庫の中身を受け取ったとしても、後に義母の後見人やその相続人から贈与行為等は無効だとして返還を求められる可能性があります。

 その際、金庫にはもっと多くの財産があり、それをもらったのだろうと主張される可能性も考えておく必要があります。
 そのため、可能な限り、そのようなものを受け取ることは避けられるのが賢明でしょう。
 もし、どうしても受け取らざるを得ないのなら、第三者に立ち会ってもらって、何をもらったのか(可能であれば他にはもらっていないことも)また、贈与なのか預かるだけなのかを書面化しておくといいでしょう。
 もし、預かるというのであれば、何の目的でいつまで預かり、いつ返還するのかという点を書面で明確にし、返還期限に返還を実行することが必要です。

【後に特別受益を主張される可能性もあるが、原則特別受益にはならない】
 次に、義母の死亡後の相続の観点から考えてみます。

1)判断能力欠如による返還請求の可能性あり
 まず、義母の死亡後には、その相続人となった子が、義母には意思能力がなかったから、贈与等は無効だ、返還せよと主張してくる可能性があります。

2)配偶者の特別受益を主張されるかもしれない
 次に、あなたの配偶者もまた相続人になります。
 相続人が生前に贈与を受けた分は、特別受益として遺産分割の際に遺産に持ち戻しする必要があります。
 ただ、今回の場合、贈与を受けたのは相続人であるあなたの配偶者ではなく、相続人ではないあなたですので、原則として特別受益にはならないでしょう。
 ただ、他の相続人としては、(それが法律的に認められにくいとしても)あなたが贈与を受けたということは、《あなたと一体の立場》にあるあなたの配偶者がもらったものだとして、配偶者の特別受益を主張してくる可能性がなくはありません。
 この点については、すでに述べたように、本来、特別受益は相続人本人に対してされた贈与のことを言いますので、相続人の配偶者であるあなたが贈与を受けたものは、原則として特別受益にはならないと反論するといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】

2016/06/30



【質問の要旨】

死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】

平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました

ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております

財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)






【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】

お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。

そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう

ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。

お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。


【死因贈与と生前の使用】

 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。

仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです

そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。

ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。


【成年後見人と財産管理】

お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。

ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。

あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう

(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:16 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★使用貸借と特別受益【Q&A №484】

2015/12/17


【質問の要旨】

賃料相当額を特別受益として引かれるのか

記載内容

賃料 使用借権 持ち戻し

【ご質問内容】

裁判認知により相続人となりましたが、被相続人所有の空き家に住んでいた年数分の賃料(1000万円)を、特別受益として遺留分から差引くと言われています。

建物は、数年前に贈与の約束(契約書)があり、私(婚外子)の母が建替え、被相続人の死亡以前に母名義となっています。

土地は、私に遺贈の遺言があります。

それでも特別受益として賃料相当額を引かれなければならないのでしょうか

(カピバラ)





 【使用貸借であれば賃料の支払いは不要】

被相続人であるお父さん所有の空家をあなたが使用していたということを法律的に考えてみます。

お父さんがあなたに賃料を請求するようなことはなかったのであれば、あなたはお父さんから無償(ただ)でその家を利用することを認められたということになり、法律的には使用貸借という関係になります。

あなたの立場から言えば、無償で使用する権利(使用借権)をお父さんから与えられたということになりますので、賃料を支払う必要はないでしょう。


【使用借権が特別受益になる可能性がある】

ただ、あなたが、被相続人からただで使用する権利(使用借権)をもらったということが特別受益とされる可能性があります。

使用借権の価額については当該対象物件の5~10%程度の価値があるものだとされることが多いです(但し、裁判例の解説などを読むと10~30%ではないかという見解もあります)。

しかし、建物価額は評価証明額を前提として算定されることが多いですが、建物の評価証明額が極めて少額な場合も多く、そのため、上記の割合では使用借権価額が極めて少額になります。

一方で、被相続人であるお父さんは土地や建物の固定資産税分を負担しています。

その物件をあなたが無償使用しているのであれば、最低限、土地や建物の固定資産税分の支払い分程度は免れたという利益を受けていたことになり、その相当額が特別受益とされる可能性があります


【建物贈与の影響】

建て替える前の建物は、生前に贈与されていますが、誰に贈与されたのかがご質問では明らかではありません。

もし、あなたに贈与されたのであれば、建物価額があなたの特別受益として持ち戻されますが、その場合の特別受益額は、《建物価額-使用借権額》でいう計算式で算定されます。

贈与があったとしても、あなたが使用借権を取得した事実は消えませんので、使用借権取得が特別受益となる点は否定できません

但し、上記考え方はあくまで一つの考え方にすぎず、異なる見解もありえます。


【持ち戻し免除の可能性もあるので弁護士に法律相談を】

なお、今回のご質問から受ける印象ですが、お父さんとしては遺産への持ち戻しを免除するという意思をお持ちであった可能性もあります。

また、前項に記載したように使用借権を設定した後、その建物を取得した場合にどのような形で特別受益に反映させるかについても、弁護士により見解の相違がありえます。

いずれにせよ、今回のご質問が含む問題については、難しい点も多いので、近くの相続問題に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、相談されることをお勧めします


(弁護士 大澤龍司)
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18:13 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

大叔母から預金の引き出しを頼まれた【Q&A №427】

2015/01/26



 私の母の叔母は高齢で一人で住んでいました。

 その叔母が脳梗塞で入院しました。

 私は今叔母の面倒を見ています。

 叔母は、私に私に委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしいと言います。

 叔母の脳梗塞はさらに進んでいます。

 普通預金と定額と合わせるとかなりの額です。

 叔母に何かあった場合、相続人は高齢で意識のはっきりしていない母になります。

 私が叔母の委任状で代理人としてその貯金を受け取り、病院の支払いや、叔母の葬儀に使ってお金が残った場合、母にそのお金を返さないと税金もかかってくるでしょうし、叔母が言うように受け取るべきか迷っています。


記載内容

  代理人 財産管理 脳梗塞

(あきら)





【もらうのか、預かるのか?】

 「委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしい」とお母さんの叔母さん(あなたからすれば大叔母)が言っておられるようですが、大叔母さんは払い戻しを受けた金銭をあなたにあげる(贈与)気持ちなのか、それとも預かって欲しいというだけなのでしょうか。

 その点に関する大叔母さんの意志をはっきりと確認しておく必要があります。

 質問からははっきりとしませんので、場合分けして回答します。




【預かる場合の対処法】

 大叔母さんとしては、あなたに財産をあげるのではなく、管理してほしいということであれば、あなたは金銭の保管者になります。

 ただ、金銭についてはトラブルがつきものです。

 大叔母さんの預貯金を全部解約して、あなたの名義で預貯金するような場合には、《大叔母をだまして財産を取り込んだ》などという影口が聞こえそうです。

 法律以前の問題ですが、もしあなたの名義の預金口座を作るにしても、必要最小限の金額を移動するだけにするのがいいでしょう。

 どうしても預貯金全額を預からなければならない必要性があるというのなら、あなた自身の口座とは別に、大叔母さんから預かった分だけの独自の口座を作り、その分からは自分の用途に使わないようにする・・大叔母さんから預かった財産とあなたの独自の財産をはっきり区別する必要があります。

 なお、大叔母さんが認知症など、意思能力が乏しくて、《金銭の管理ができないような状態》だから預からなければならないというのであれば、成年後見人の選任を考えるべきでしょう。




【預かった場合の相続との関係】

 預かっている最中に、大叔母さんが死亡した場合には相続が発生します。

 その場合には、あなたが預かった金銭の残金は大叔母さんの相続人(あなたのお母さん)に渡すことになります。

 預かっているだけであれば、預かった金銭は相続人に渡すということになるだけですので、相続税の問題は発生しません。

 ただ、あなたの名義に移したということで、贈与があったのではないかと税務署から疑われることも考えておくといいでしょう。

 そのため、預かったということをはっきりとさせるために、金銭管理の方法や解約、返還等についてきっちりとした契約書を作成するとともに、あなたの分とは異なる独自の財産であるとして管理をしておく必要があります。




【もらう場合は贈与税がかかる】

 もし、大叔母さんの意志があなたにあげるというのであれば、贈与になります。

 病院の費用を支払うという負担付の贈与となりますし、更には大叔母さんの面倒を見るという負担付の贈与も考えられますので、その点についても大叔母さんの意志をはっきりと確認する必要があるでしょう。

 贈与の場合には贈与税の申告が必要ですが、法定相続人に対して金銭を渡す必要はありません。

 但し、法定相続人から遺留分減殺請求されることもありますので、ご留意ください。

大澤龍司法律事務所
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13:11 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★増築費用の贈与を受けた証明【Q&A №378】

2014/05/30
 兄弟3人で遺産分割の調停中です。20年前に長男が自宅の増築費用として、父から700万円の贈与を受けているので、この金額を長男の特別受益として認めてほしいと調停員に要望しました。調停員が証拠はありますかと尋ねてきたので、長男が書記官に提出した回答書に「振込みで受領」と記載している事が証拠と言ったところ、それだけでは不充分と言われました。他にどのような証拠が必要なのですか。長男は増築費用700万円は借用したもので、生活費の不足分で返済したと言っている。遺産分割の対象は預金と特別受益のみです。次男は預金の1/3のみで了解しており、長男の特別受益については問題として取り上げることに反対しています。

記載内容

建築費用 調停 返済 贈与 貸金 消滅時効
(スカイツリー)


【贈与か貸金か】
 自宅を新築した際、お父さんから金700万円が送金されたことについては、長男も認めています。
 問題は、その送金分が、《贈与》か《貸金》なのかという点です。
 その送金分が長男に対する《贈与》であれば、特別受益として、遺産に繰戻される可能があります。
 しかし、貸金であるとすると、返済の問題と、返済していない場合には、消滅時効の問題が生じてきます。
 長男は《その後、生活費援助で返金した》という主張ですので、貸金だったという立場です。
 貸金であると主張するのなら、長男の側で返済を証明する必要があります。
 又、送金時期が20年前ですので、消滅時効期間《10年間》が経過しており、時効で貸金返還請求権は消滅しているということも将来、主張するかもしれません(参考までにいえば、特別受益では消滅時効という問題は発生しません)。

【贈与の証明はあなたがしなければならないが・・】
 長男は貸金だと主張し、あなたは特別受益であると主張しているので、貸金であること及びその弁済をしたことは長男が証明する必要があります。
 しかし、反面、あなたとしては、贈与を主張している以上、その点を証拠で証明する必要があります。
 普通のケースなら、贈与を主張する側としては、長男が一度も金銭を返還していないこと(贈与なら返還不要であるため)や、借用書等の契約関係書類がなかったこと(貸金なら借用書があることが多い)等を証拠で明らかにする必要があります。
 当時、贈与税の申告をしていたというのであれば、その申告書の控えなどを入手されると決定的な証拠になるでしょう。
 又、返済しているというのなら、長男にその証拠を提出してもらうように要請し、その裏付けがないというのであれば、弁済の証拠なしとして、《貸金》ではなく、《贈与》だったのだという主張をすることも可能でしょう。

【長男の弁済の主張についての反論】
 今回の質問の件では、長男は生活費の不足分で返済したという主張をしているようです。
 この点については、そのような事実が本当にあるのかの調査をするために、お父さんの預貯金口座の履歴を取り寄せすることも考えていいでしょう。
 履歴を確認して、お父さんが十分な年金等を得ている、あるいはかなり多額の預貯金等があるということなら生活費の援助はいらないでしょう。
 又、お父さんの預貯金額が毎月減額しているというような事実が判明したのなら、生活費はその預貯金から出ており、長男はなんらの援助もしてはいないという推測ができます。
 援助しているとしても、その長男の援助は借金の返済ではなく、《親族間の扶養義務の履行》として、長男が実行したものであり、借金の返済ではないと反論することも可能です。

【調停は裁判ではない】
 20年前の送金が贈与か貸金か、そのいずれについても証明は困難な場合が多いです。
 質問のケースはあなたのご主張のように贈与の可能性も高いように思います。
 しかし、調停は裁判ではありません。
 贈与か貸金かを最後まで争うのもいいでしょうが、勝訴するとは限りませんし、弁護士費用も必要です。
 不満が残っても、調停委員の意見も参考にし、中間的な解決として、送金分の一部を特別受益として算入する等の方向を検討してもいいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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15:52 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】

2014/04/01
 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)
 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容

不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得
(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。


【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
※横領についても同様の刑の免除の条文があります。
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14:29 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父から名義変更を受けた保険契約【Q&A №350】

2014/03/04
 長男の私は少し離れたところで自分の家族ですんでおり、父は妹と同居しています。
 30年ほど前、妹が子供を2人生み離婚して実家の借家に住んでいたところいつの間にか実家で同居(子供男2人と)するようになっていました。

 父の年齢が80半ばになり、実家の内情を確認したら、

 父が簡易保険をかけており、
契約者が父で被契約者妹、受取人が父、
契約者が妹で、被契約者孫、受取人が妹、
などバラバラで契約し全部父が払っていました。

 昨年の初め、300万円の簡易保険が満期になったときに、バラバラの簡易保険を満期分支払い、約1000万円分契約者と受取人が妹名義に変えてしまっていました。
 約1000万円は妹名義で証書は妹が持っていました。
 父は今も同居しているのでうやむやでしたが、最近は妹にやったと言い出し始めました。

 妹は10年以上無職で子供の大学までの学費を親に出してもらっていることも確認済みです。

 数年後の生活費や約2000万円の簡易保険分は、遺産相続に含むことはできませんでしょうか? また、今準備すべきことはどのようなことでしょうか?

記載内容

生命保険 契約者 被保険者
(マッキー)


【生命保険金は遺産にはならない】
 お父さんが生命保険(死亡保険金)契約をし、その受取人を指定している場合には、その受取人の受ける生命保険金は、原則として遺産には入らないというのが裁判所の扱いです(Q&A №288Q&A №289Q&A №304を参照)。
 これは、生命保険金は、保険契約に基づいて生じる権利であり、お父さんから引き継いだ遺産ではないからです。

【他人の保険金を支払っていた場合】
 但し、お父さんではなく、それ以外の人の名義で生命保険契約をし、その保険金をお父さんが支払っている場合には、お父さんが支払っている保険料が特別受益になる可能性があります。

【契約名義の変更について】
 お父さんの名義の生命保険契約があり、お父さんが保険料を支払っていた場合、その解約返戻金はお父さんの財産です。
 そのような保険につき、契約名義が妹さんに変更された場合、その名義変更の時点で存在していた解約返戻金額がお父さんから妹さんに行くわけですから、その分が特別受益になるものと思われます。
 又、その後の保険料をお父さんが支払っていたというのであれば、その保険料支払い額が特別受益になる可能性があります。

【孫への学費と特別受益だが・・・】
 今回の質問では、お孫さんの学費をお父さん(おじいさん)が支払っています。
 2つの問題が発生します。
 まず、特別受益は相続人間の利害調整の問題であり、贈与を受けた者が相続人の場合に発生する問題です。
 お孫さんは法定相続人ではないので、本来ならば特別受益の問題は発生しません。
 ただ、お孫さんに対する贈与と言っても、実質的に妹さんに対する贈与であるといえるような場合には、法定相続人である妹さんの特別受益の問題が発生します(参考例:Q&A №324Q&A №327、又は【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益)。

【生活費と特別受益について】
 生活費についても、月額10万円程度であれば、お父さんの扶養義務の範囲内であるとして、特別受益と認められない場合が多いでしょう。

【生命保険の経過を確認、記録しておく】
 以上のとおりであり、あなたの方としては生命保険を中心にして、遺産分割の話を進めるのがベストだと思います。
 そのため、現在のするべき事項としては、簡易保険の贈与経過をお父さんや妹さんから聞きだし、それを詳しく確認し、記録に残しておくといいでしょう。
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特別受益の価格をどう評価するか。【Q&A №276】

2013/05/10
 被相続人の土地を、被相続人が口頭で贈与すると言ったが、所有権移転手続きは行われていない状況で贈与したとみなされるのでしょうか?

 それとも所有権移転が終えた時点で贈与とみなされるのでしょうか?

 実は受贈者より、贈与を受けたときの地目は畑だったが、受贈者の行為によって宅地に変更されたので、民法904条の「贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。」と規定しているので、「畑」としてその相場を評価する、と言われました。

 所有権移転が終えた時点で贈与であれば、そのときの地目が宅地であれば民法904条の規定には当てはまらないと思うのですがどうなんでしょうか?

 どうかアドバイスよろしくお願いいたします。

記載内容

 宅地 評価 基準時 

(nack)


【口頭でも贈与は可能ですが、証明ができるかどうか・・】
 贈与は口頭での契約で成立します。
 そのため、贈与に関する書面がなくとも、又、登記が移転していなくとも、贈与が成立します。
 問題となるのは、その贈与があったことをどのように証明するか、ということです。
 不動産は重要な資産ですから、通常は、登記という権利の移転を証明するような方策をとるのが普通でしょう。
 もし、口頭での贈与を主張したいのであれば、口頭での贈与を裏付ける事実を証明する必要があるでしょう。
 まず、贈与について、親戚や関係者、近隣に告げていた等の事実があれば、口頭での贈与の存在を裏付ける事実として役立つでしょう。
 又、贈与に伴い、当該不動産の使用者が贈与者から受贈者に替わったという事実があったり、固定資産税の支払いも受贈者がするようになったというような事実があれば、それらも贈与を裏付ける事実になるでしょう。

【農地であるとすれば・・】
 なお、本件では地目が畑という農地であり、農地法の適用を受けます。
 農地の場合、土地の所有権を移転するためには、農地法により農業委員会の許可が必要となります。
 その許可を得ていない場合には、当事者間での贈与の合意が証明できても、それだけでは所有権移転の効力が生じないということになります。

【特別受益は畑として評価されるのか?】
 生前贈与が特別受益であるとされた場合、その財産は遺産に加えられます(持ち戻しという制度です)。
 その財産の評価は、相続開始時点で、特別受益である≪贈与があった時点の原状≫での評価となります。
 そのため、贈与の効力が発生した場合に農地であったのか、宅地であったのかでは評価額が大きく異なってきます。
 もし、農業委員会の(贈与に対する)許可があった時点で贈与があったということであれば、贈与が効力を発した時点(=許可時)時点では対象地は農地であったことになり、相続時の評価も農地で評価されることになります。
 しかし、贈与が効力を生じた時点(=許可時)で、その土地がすでに宅地化していたのであれば、相続時の評価は宅地ということで扱われることになります。

【受贈者の行為での宅地化という点は・・】
 本件の質問では、受贈者の行為により≪宅地化≫されたと記載されています。
 通常、農地の宅地化には農業委員会の転用許可が必要です。
 その場合の申請人名義は誰だったのでしょうか。
 もし、被相続人が申請人であったのなら、その時点では贈与が成立しておらず、贈与はそれ以降になされたとしか言えないことになります。
 あるいは、転用許可が必要ではない形で宅地化したのでしょうか。
 メールの質問では、その点が明確ではないので、はっきりした回答ができません。
 さらなる回答が必要なら、法律の専門家である弁護士に相談されるといいでしょう。


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15:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義で購入した不動産と特別受益【Q&A №263】

2013/04/02
 先日祖母が亡くなり、現在父と叔父(父の弟)の間で遺産分割について協議中です。

 30数年前に祖母がアパートを建てたのですが、その際建物の名義は祖母、土地の名義は父にしていました。長男に家を継がせるという考えが強く、先々のことを考えてのことだったようです。
 アパートの家賃収入などは全て祖母で、父はこのアパートに関する事には一切ノータッチでした。固定資産税はずっと父が払ってきました。

 叔父の主張は、この土地は生前贈与に当たるから法律上それも遺産に加えた上できっちり半分ずつにするのが当然だというものです。

特別受益に当たるのでしょうか?

記載内容

名義 生前贈与 遺産 固定資産税
(おタル)


【特別受益にあたる可能性もありますが・・】
 土地がお父さん名義ということですが、どのような原因でお父さん名義になったのでしょうか。
 登記原因により、特別受益の問題になったり、名義貸しの問題になったりしますので、場合分けをして回答します。

①まず、問題の土地が元々はお祖母さん名義であったのを、お父さん名義にしたというのであれば、登記の原因としては贈与になる可能性が高く、この場合には土地の価額が特別受益なります。
②次に、第三者(他人)から土地を購入した際に、お父さん名義にしたというのであれば、その購入代金が誰の名義で支払いされたかが問題となります。
 お祖母さんが土地代金を出したが、登記名義はお父さんにしたというのであれば、 その土地の実質的な所有者はお祖母さんという主張が出てくる可能性があります。
 この場合には、特別受益の問題は発生せず、土地の名義上はお父さんであっても、  実質的にはお祖母さんのものであり、その遺産であるという扱いになります。
③お父さんが土地代金を出したが、その代金はお祖母さんからもらったものであるとすると、お祖母さんからもらった土地代金相当額が贈与になり、この代金額が特別受益の内容になります。

 このように、お父さん名義の土地でも、登記に至る事情により回答が異なってきますので、登記簿謄本を確認して登記原因を調査し、かつ、購入した土地ということであれば売買の実情を調査する必要があるでしょう。
 
【固定資産税の支払いは考慮される可能性がある】
《土地が実質上、お父さんのものである場合》
 お父さんがアパート(土地及び建物)の固定資産税を支払ってきたということですが、土地がお父さんの所有物とされる場合(前項①③の場合)には、当然お父さんが土地の固定資産税の支払いをする必要があり、この分をお祖母さんの遺産分割で返還を求めることはできません。
 但し、お父さんとしては、自分の土地の上にお祖母さんの建物があり、土地を無償使用されていることになります。お祖母さんとしては、土地の賃料の支払いを免れているわけですから、過去の賃料相当額を特別寄与として、遺産分割の際に請求することも考えていいでしょう。
 あるいは、無償使用させたこと自体(使用借権)により、お祖母さんが利益を受けているのですから、その無償使用できた利益自体を特別寄与として請求することも可能です。

《お父さんの土地所有権が認められず、お祖母さんの遺産になる場合》
 前項の②の場合であれば、土地はお祖母さんの遺産になります。
 その時には、お父さんは、本来の土地所有者であるお祖母さんの固定資産税を支払ってきたわけですから、お祖母さんの遺産が減少することを防いだとして、固定資産税の支払い分をお祖母さんの遺産に対する特別寄与として請求することが可能でしょう。


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12:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死因贈与と生前の相続放棄【Q&A №257】

2013/03/18
 母が亡くなり、遺産分割協議となりました。
 10年前に父が亡くなった際に、母は預金の半分と不動産として土地を相続しました。
 その時に確約書という題目で、母が子供全員と各々話をし自分が死んだ後の財産を長男へ相続させ、他の子供は母の遺産を放棄するといった内容の文章を作成し承諾捺印してもらっていたのですが、これは遺産分割協議において有効性はあるのでしょうか?

記載内容

死因贈与 生前の相続放棄 遺産分割協議 
(こまり)


【生前の相続放棄は無効です】
 まず、長男以外の相続人に相続放棄を約束させた点は法律上無効です。
 そのため、お母さんが亡くなった後に相続放棄の書面が出されたとしても、他の相続人の相続権がなくなるわけではありません。
 もっとも、法律上の効力はないとしても、遺産分割協議の話の際に、その生前放棄の話を持ち出して、その放棄した人に遺産をもらわないように話をするのは、あくまで話し合いですので、なんら差し支えはないですし、放棄した相続人の方が納得する可能性もあります。
 しかし、遺産分割協議がまとまらず、調停や裁判になった場合には、生前の相続放棄は認められないことは覚悟されておくといいでしょう。

【死因贈与と解釈する余地はあります】
 お母さんが、自分の死後には財産を長男に譲るということを内容として、他の人の相続放棄を求めていたというのであれば、それはお母さんから長男本人に対して財産を贈与すると約束していたと理解する余地があります。
 すなわち、お母さんはあなたに、それは贈与者の死亡を理由とする贈与、いわゆる《死因贈与》をしたのであり、念のために他の相続人にその点の了解を取るという意味で相続放棄の意思を明示させたと解釈する余地があります。
 この場合、お母さんの死亡とともに財産は長男が譲り受けることになりますので、その意味ではお母さんが作成した書面も《死因贈与》効力を持つことになります。

【遺留分減殺の余地はあります】
 ただし、全財産を死因贈与した場合、他の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があります。遺留分とは、遺贈や死因贈与がなされた場合にも、他の相続人に確保される(遺留される)持分であり、被相続人の子であれば本来の相続分の2分の1が遺留分として確保されます。
 その結果、お母さんの死因贈与も有効ではありますが、遺留分減殺請求を受ける限度で効力が減殺されることになります。


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09:51 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死亡後の賃料の扱いは?【Q&A №240】

2013/02/07
 お世話になります。現在、遺産相続の調停中です。
 現在は、遺産分割協議中で、賃貸料は法定相続分を各自に振分ています。相続人が賃貸料部分の敷地並びに建物を相続した場合、賃貸料は相続人の利益となりますが、相続人の特別受益となりますか又は贈与となり、みなし財産として考慮されますか、その場合なんっと言いますか。
 忙しいと思いますが、よろしくお願いします

記載内容

相続開始後の賃料 死亡後 贈与 みなし財産 
(悩める子猫)


【相続開始後の賃貸料は遺産分割とは別の所得である】
 死亡後の賃料の性質については最高裁の判例があり、相続財産ではなく、独自に取得できる財産ということになっています。
 そのため、遺産分割が確定するまでは、各人が遺産分割とは別に、独自の権利としてその相続分に応じて賃料を取得することができます。
 その結果、相続開始後の賃貸料は特別受益でも贈与でもなく、相続とは別の、各人の独自の所得という結論になると思われます。

 
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19:58 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前贈与を明らかにする義務【Q&A №238】

2013/02/04
 

 もしもの時のためにと、母が公正証書遺言を残していました。
 十数年同居をして介護をした私に、私が死んだら中古のマンションでも買いなさいと、生前お金をくれました。
 税務署には申告済みです。その後の母の財産を母が行政書士の方と相談しながら遺言書を書いたのですが、母名義の家(土地も含む)と300万の預貯金は長男へ、これは喪主としてと書かれていました。
 そして、駐車場として月に55000円で貸している土地を次男と私で半分づつ分けるようにと書かれていました。
 計算上は長男が多いのですが、これからの事を思おうと先祖の供養など母らしいと感じています。
 ところが、次男夫婦が母の預貯金がこれくらいのはずないと、同居していた私に詰め寄り、生前の贈与をはっきりさせろと言ってきます。
 長兄は私の介護を労い気にするなと言いますが、このようなことを懸念し、遺言書を残してくれたのに、、、
 そこで、私は生前に贈与を受けたお金の時期や金額を次兄に言わなければいけないのでしょうか?また、半分渡さなければいけないのでしょうか?不安でなりません。
 どうぞよろしくお願いします。

記載内容

開示 生前贈与 

(ぼたん)


【情報開示の義務はありません】
 法律上、受けた生前贈与を開示する義務が決められているわけではありません。
 生前贈与の内容を言いたくなければ次兄さんに言う義務はありません。
 裁判であなたが金銭の交付を受けているとの証拠が出てくれば、不正な取得ではなく贈与であることを立証する必要が出てくるでしょうが、示談の段階では特に開示しなくとも法律上の制裁その他の不利益はありません。

【開示するかどうかは人間関係次第】
 問題は、法律上の話ではなく、次兄さんとの人間関係です。
 全てを明らかにして次兄さんに納得してほしいのであれば、法律の話を抜きにして生前贈与の内容や当時の税務申告資料などを明らかにするのも一つのやり方でしょう。
 他方で、全てを明らかにしても、それが全てであることを立証する方法はありません。あなたの説明を次兄さんが納得せず、結局は紛争が収まらない可能性もあります。
 ここは次兄さんの性格や従前の人間関係からどうするべきかを判断するしかないでしょう。

【半分渡す必要もない】
 あなたが受けたマンション購入費用はいわゆる特別受益にあたりうるものであり、相続分の前渡しを受けたかのような扱いがされることがあります。また、あなたが次兄さんの遺留分(相続分の半分)に損害を与えることを知って贈与を受けたのであれば、従前の贈与に対し、次兄さんの遺留分(遺言があるので相続分の2分の1)を回復する限度で贈与を返還する義務が生じることがあります。
 質問からは、あなたがもらった贈与金額もわからず、また、他の遺産の価額もわからないので、次兄さんに返還する必要があるかどうか、また、仮にあるとしていくらを返還する金額がどの程度になるかを確認することができません。
 もし、次兄さんから本格的な返還請求があった場合には、相続に詳しい弁護士に相談し、返還義務の有無等を検討してもらうといいでしょう。

 
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15:52 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★先妻の子が預金を取り込んだ【Q&A №209】

2012/10/30
 叔母の遺産を相続人でない人が譲り受けたと主張しています
 最近亡くなった叔母の遺産についてです。叔母は若い頃に結婚しましたが子どもはいませんでした。ご主人は数年前に亡くなり、その方には以前の結婚でのお子さんが一人いましたが、お子さんが小さいときにも一緒に暮らすことは一度もなく、養子縁組もしていなかったことが分かっています。ですが、叔母は夫のお墓に入るわけですから、そのお子さんが葬儀と納骨までを執り行いました。叔母の遺産はたくさんあったことを親族は皆知っています。時々出入りするそのお子さんに対して叔母は好ましく思っておらず、以前に入院したときにはその方が通帳を見つけないようにと預かったことのある兄弟もいます。今回、最後の入院ではそのような話にはなっていませんでしたが、入院中のある日、その前妻とのお子さんが、頼まれて全額引き出し譲り受けたと主張しています。金額は言いません。そもそも叔母が持っていた多額のお金は、亡くなったご主人とは関係がなく、正しく叔母の兄弟みんなの共同のお金でした。文書で取り交わしたものはありませんが、いろいろと証明する証拠は国に請求すれば得られるはずのものです。生前に叔母がその人に譲るいわれも全くないお金ですが、亡くなった人は証言できません。お尋ねしたいのは、このような相手の主張が通るのかと言うことです。今現在は叔母名義の解約済みの口座迄を含めて過去に遡って調べてもらっているところです。

(hahahan21)



記載内容

先妻の子 財産隠し 預金の取り込み 仮差押
【贈与を裏付ける証拠はあるのかがポイント】
 今回の質問では、預金を全額引き出したことははっきりとしていますので、引き出した先妻の子の方で、贈与でもらったのだ、ということを証明する必要があります。
 質問内容を前提にすると、叔母さんが先妻の子供さんに贈与をするような状況ではなさそうです。
 贈与の時期、贈与するに至った動機、贈与の遺産全体に占める割合なども考慮して判断されることですが、先妻の子供さん側としては贈与するという手紙とか贈与証書とかを出してこない限り、叔母さんから贈与を受けたということの証明は難しいでしょう。
 なお、叔母さんの死亡直前の贈与ということであれば、叔母さんの判断能力が十分であったのか、という点も確認する必要があるでしょう。

【取り返すには法的手段が必要となるでしょう】
 贈与を証明できない限り、預金の引き出し分は、叔母さんの意思に反した不当な引出であり、叔母さんには返還請求権がありました。
 ただ、叔母さんは亡くなっておりますので、本件では相続人が返還請求することが可能です。
 問題は、先妻の子がその引き出したお金を使ったり、隠したりしないかということです。
 そのような恐れがあるのであれば、訴訟などをする前に、先妻の子の預金口座などの財産を処分させないよう凍結させておく必要があります(このような手続きを仮差押えといいます)。
 もし贈与でないとしても、相手方はそう簡単にはお金を返還しないでしょうから、早期に弁護士と相談し、訴訟などの法的手続きを依頼するとともに、その前に仮差押えで財産がなくならないようにする必要があります。
 いずれにせよ、本件のような場合には、話し合いよりも前に仮差押え、というのが鉄則であるということは覚えておいていいでしょう。

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10:50 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

被相続人の遺産の範囲の調査【Q&A №208】

2012/10/30
 特別受益に該当しますか。
 前提:弟が死亡し、相続が発生しました。弟には妻(入籍したのは約5年前)はい
ますが、子供はおりません。相続人は、弟の妻、私たち兄弟の計3名です。
弟は生前、退職金で妻の弟の借金(何百万円単位)を肩代わりしたり、土地を購入し
妻名義で土地の登記をしています。これらは、相続財産に該当しますか。
また、それを証明するため、銀行口座の取引履歴を入手したいと考えています。その際、弟と兄弟の関係を示す戸籍謄本が必要とのことですが、具体的にはどの戸籍謄本を入手すればよろしいのでしょうか。
(父母:死亡、弟:この度死亡、兄弟、それぞれ違う県に本籍があります。)
記載内容

借金 肩代わり 取引履歴 他人名義の不動産 相続証明
(わたる)


【返済資金提供は贈与?貸金?】
 奥さんの弟さん(以下、義理の弟さんといいます)の借金返済について、弟さんが資金を提供した場合には、その資金を贈与したのか、貸しただけなのかということが、まず問題になります。
 資金提供の際にどのような話や事情があったのかを調査しましょう。
 借用証書が作成されたのかどうか、弟さんが返還請求した事実があるかどうか、少額でもあれ義理の弟さんによる返済の事実がないのかどうかなどを確認して、贈与か貸金かを判断しましょう。
 貸したのであれば、貸金債権として遺産に含まれ、相続人は返還請求ができます。
 しかし、贈与なら、原則として遺産に含まれません。

【妻名義での土地の購入】
 奥さん名義の土地についても、その資金を誰が出したのかが問題となります。
 もし、弟さんがその資金を全部出したというのであれば実質的には弟さんのものであり、名義だけを奥さんから借りたにすぎないとして、弟さんの遺産と主張することも可能になります。
 当事務所が担当している事件には、そのような主張をする場合もよくあります。
 資金以外にも、固定資産税の支払いや弟さん夫婦間の収入の比較などの調査をし、弟さんの遺産であることを証明する資料を収集する必要があるでしょう。
 又、支払い資金の動きを確認するためにも、弟さんの銀行口座の取引履歴を取寄せることも必要不可欠です。

【兄弟が相続人であることの証明するための戸籍は・・】
 金融機関としては、あなたが相続人であれば、取引履歴の照会に回答します。
 兄弟が相続人になるためには、被相続人である弟さんに子供や孫がいないこと、お父さんお母さんがおらず、お祖父さんやお祖母さんもいないことが前提になります。
 そのため、弟さんとあなたが兄弟であることを証明する戸籍や除籍謄本だけではなく、被相続人である弟さんの出生からの戸籍等も必要ですし、両親もすでに死亡していることを証明する戸籍も必要になります。
 なお、本籍地が他府県に分かれているとのことですが、郵送でも取寄せが可能のはず(弁護士の場合には郵送で取寄せします)ですが、念のためにその本籍地の役所に問い合わせされるといいでしょう。

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10:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺贈された預金口座の取引履歴【Q&A №203】

2012/09/20
 被相続人の口座開示請求
 被相続人が遺書に相続人Aに贈与すると記されていた預金口座をB相続人が開示できますか、被相続人の死亡時点でその預金はAの預金であり被相続人の口座で無くなるがAの同意なくして開示請求は出来ないと思いますが如何ですか。

記載内容

遺言 預貯金開示 相続人一人からの請求 遺贈を受けた者の預金の開示請求 使途不明出金

(CAT)


【2つの口座の開示が問題となる】
質問の趣旨からみて、
①被相続人の口座の開示請求できるか?
②遺贈を受けたAさんの口座の開示請求はできるか?

という2つの口座の開示が問題となります。

【被相続人の口座の開示請求は可能】
 過去には、相続人の一人から被相続人の預金の開示を請求できませんでした。
 開示を求めるには相続人全員の同意が必要だというのが多くの金融機関の扱いでした。
 しかし、平成21年に、相続人の一人からの請求でも開示しなければならないという最高裁判決が出て、その後は、相続人の一人からの請求で、被相続人の口座が開示されるようになりました。
 相続人は、被相続人の権利義務を承継する立場ですので、この判決は当然のことです。

【遺贈を受けたAの預金の開示は困難】
 しかし、遺贈を受けたAさんの預金通帳は開示請求できません。
 その方が相続人であっても、開示は、Aさんの個人情報であり、金融機関は開示しません。
 ただ、Aさんの預金をなぜ調べる必要があるのでしょうか。
 遺贈があれば、Aさんが取得しているはずであり、それ以上にAさんの遺産を調査する必要はないはずです。

【Aさんの預金を調べたいという意図は・・】
 ひょっとすると、被相続人から生前にAさんが多額の贈与を受けているのではないかというので、調査したいのかもしれません。
 もし、そうであれば、被相続人の預貯金の入出金情報を確認し(これは前記のとおり取り寄せが可能です)、その出金者が誰かを預貯金払戻票の筆跡から特定し、又、預貯金通帳やキャッシュカードの保管状況から確認するしかないでしょう。
 但し、そのような方法で不正出金が確認できたとしても、そのことだけでAさんの預貯金の開示をすることはできないことは前に述べたとおりですが、少なくとも訴訟などはできるでしょうから、訴訟の中で取り寄せの交渉を弁護士にしてもらうしかないでしょう。


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10:52 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★認知症の父の家を処分するには【Q&A №186】

2012/08/17
 父がアルツハイマーになってしまいました。

 父名義の遺産はどのようにして、母、私を含む子供3人でわけることが出来るのでしょうか?
 父と母、兄が今一緒に暮らしてます。
 母も高齢ですし、兄も独身で障害年金をもらってます。
 今暮らしている父名義の家と土地が広すぎて管理も難しく、出来れば早いうちに次女の私の所に土地と家を売却し、一緒にこれから暮らしたいと思ってます。
 (父以外は皆望んでます。)妹にはもちろん財産分与をして。
 いわゆる生前贈与でしょうか?

 生前贈与等まったく知識がなくすみませんが、宜しくお願いします。

記載内容

アルツハイマー 後見人 相続対策 

(むちこちゃん)


【重度の認知症では売却はできない】
 質問では、お父さんのアルツハイマーの程度がはっきりとはわかりませんが、もし、重度で、自分で意思決定できないような場合には、お父さんは自宅の土地建物の売却や贈与はできませんし、遺言を作成してあなたに相続させることもできません。

【売買契約をするためには成年後見人の選任が必要】
 重度の認知症のお父さんが自宅を売却するには、家庭裁判所に成年後見人選任を申し立て、就任した後見人に売却してもらうしかありません。
 たとえば、特に使用せず、固定資産税など経費が多額になる不動産であれば、お父さんの財産減少防止のため売却するケースもあるでしょう。
 ただし、裁判所が親族以外の第三者を後見人に選任する可能性もあり、後見人が必ずしも売却に応じるかどうかはわかりません。また、成年後見人はお父さんの財産を守る立場ですので、生前贈与をすることはまず考えられません。

【生前贈与をしなくとも・・】
 又、生前贈与については高額の贈与税が課税されます。
 例えば、1000万円を超す生前贈与には、贈与された財産額の50%に相当する税金が課される可能性があります。
 又、自宅などの不動産を売却したことは税務署に通知されますので、税務署が売買代金の行き先を調査する可能性が高いです。
 このようなことを考えると、生前贈与は得策でもありません。

【結局は相続で財産分けをするしかない】
 どうしても自宅を売却する必要があるときには、成年後見人に自宅を売却してもらえることもあるでしょうが、その代金は後見人の管理に任せることになり、子どもたちで分けることはできません。
 その結果、お父さんが死亡した後に、売買代金を含む遺産を相続人で分けることしかできなくなります。
 結局、相続までは財産を分ける方策はないことになります。
 なお、相続の場合には、(現在の税制では)お母さんと子ども3人の場合、遺産総額9000万円までは、全く課税されませんので、節税のためにも相続を待つことが得策と言えるでしょう。


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生前に父の土地を売った代金は遺産になるのか【Q&A №160】

2012/06/12
 土地は父親名義で15年前に兄が建て替えて兄が住宅ローンの他に借金があったらしく次男である私を結局は嘘を言って売ってしまいました。
 売る際に私にはこんな大きな家公共料金やらが高いからとか、売って住宅ローン完済して小さな家が2400万位で
買えるからとか言って結局は2年の間は15万位の借家になり、私には理解できないでした。
 母親から家を売る際に借家に住む事や兄の借金もあったということを聞いてガッカリ、結局は借金返済したい事で実家を売ったと分かりました。
 少したった頃兄から電話あり100万しかないからと言われ私にはいきなり言われ戸惑いながらとりあえず受け取った。その後借家から兄は家を建て引っ越したところで数ヶ月後母親は亡くなり、父親は数年前から脳梗塞で施設にいますがあれから何にも兄は言って来ないので納得出来なくて自分だけ借金返済したから今があるのは実家を売り助かり、どの位で実家が売れたのかも私には何にも言って来ないし100万だけしかもらっていません。
 この場合は私の遺産相続分はどうなるのかアドバイスを頼みます。父親は施設にいて亡くなってはいませんが、兄はすでに受け取った事になるのではと思います。私も実家を売った分は受け取る事は可能ですか宜しくお願いします。

記載内容

特別受益 土地 相続分 


(tora)


【売却された不動産代金について】
 お父さんの土地にお兄さんが家を建て替えたというのですから、売却代金のうちの土地に相当する分はお父さんが、家に相当する分はお兄さんがもらえることになります。
 但し、建物は建築費用が多額であっても、売る際には高く評価されることがありませんので、売買代金の多くはお父さんの所有している土地代金に対するものということになります。

【お兄さんが代金の大半を取得したことについて】
 土地代金分はお父さんのものであり、それがお兄さんの借金の支払いに充てられたということですが、お父さんは返還をしてもらおうとは考えていないとすれば、お兄さんにその金銭を贈与したことになります。

【贈与分は遺産でどう扱われるか】
 お父さんの遺産分けの際に、お兄さんの受けた贈与分は特別受益として扱われ、その借金立て替え分が遺産に組み込まれます。
 仮に、お父さんの遺産が5000万円だとした場合、借金代払分が5000万円だとすると、お父さんの遺産は1億円とみなした上で、遺産分割をすることになります。
 相続人があなたとお兄さんだけだとすると、お兄さんとあなたはそれぞれ5000万円を相続でもらえることになります。
 ただ、お兄さんは生前贈与で5000万円をもらっているので、結局、お兄さんは遺産分割は0円、あなたが5000万円を取得できることになります。

【100万円の扱いは・・】
あなたがもらった100万円については、お兄さんからあなたへの贈与なら、お父さんの遺産分割には影響しません。
お父さんからもらったというのであれば、特別受益として、お父さんの遺産に組み込まれることになります。

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★母の面倒をみている養子ではない異母兄弟【Q&A №159】

2012/06/08
 はじめまして。私は父の後妻の子(男)で下には弟妹はおらず後妻(母)の長男になるものです。
 母とは現在は別に住んでいます。
 数年前に父は亡くなり、私の上に前妻(死去)の子である歳の離れた長女と長男がおり、残された母は父の亡くなる以前に、相談もなく突然帰ってきた長男夫婦と不本意ながら同居しています。上の姉兄は母とは養子縁組をしていないため、母に何かあった際は私が一般的に法定相続人であろうと考えますが、二人ともお金に執着心があり、父の葬儀後も何かともめています。
 兄が全てを取り仕切り、相続等の諸手続きを実施し、特に兄弟間では問題なかった感がありましたので兄に感謝していたところでしたが、実際には母に対し兄は母の正当な相続金を渡さず、そのお金で勝手にお墓を購入したり、実家のリフォームをしたため、母は人間不信に陥り、自身が亡くなった後のことを大変危惧しています。
 母は土地物件は所有せず、銀行などに約3000万円程度の預貯金のみを持っており、幸い元気であるため通帳や印鑑などは全て母が管理しています。姉はともかく、私の立場上は父の墓守であり、母の面倒を事実上みてもらっている?兄とはあまり争いたくないので、生前に母の財産を整理する良い方法と、遺言書ならびに遺産分割協議書との関係をあわせて教えてください。

記載内容

贈与 遺言 遺産分割協議 

(カノン)


【贈与、遺言と遺産分割協議の関係】
 お母さんが生存しているときに財産を他の人に与えるのが《贈与》です。
 お母さんがその意思で、自分が死んだときの遺産の処理を決めておくのが《遺言》です。
 遺言を書かずにお母さんが死んだときに、相続人の間で遺産分けの話をするのが《遺産分割協議》です。
 なお、今回の質問の場合、後妻であるあなたのお母さんと先妻の子供たちとの間で養子縁組がされていなのですから、あなたのお母さんの子供はあなただけであり、先妻の子は相続人ではありません。
 そのため、遺産分割協議をする必要がありません。

【遺言はしなくともあなたに全遺産がくる】
 お母さんが再婚しない限り、相続人は子供であるあなただけですので、特に遺言はいらないでしょう。

【税金のかからない贈与もあるが・・】
 贈与ならお母さんの生存中にあなたに財産を移動させることが可能です。
 しかし、預金3000万円を一度に移転させるということになると、贈与を受けたあなたに約1200万円程度の贈与税がかかります。
 この税金を払わないようにするには、年額で110万円の基礎控除内で長年にわたり贈与を続けると贈与税はかかりません。
 また、相続時精算課税という制度を利用すれば金2500万円までであれば、贈与税はかかりません(但し、一定の要件を充たさないとこの制度を利用することはできませんので、是非、税理士さんにご相談ください)。
 ただ、当然のことですが、お母さんが死ぬまでは財産は自分で持ちたいというのなら、贈与を利用できません。

【相続なら・・】
 相続なら、現在の税制では、あなたの場合は金6000万円まで相続税がかかりませんので、税金面からは相続を待つのが一番いいでしょう。
 しかし、問題はお母さんと先妻の長男が同居しているという点です。
 お母さんも年齢を重ねれば重ねるほど、知的な能力も衰えてきます。
 その場合、同居している先妻の長男が、お母さんの預金通帳や印鑑を管理するということも考えられますし、長男に遺産を相続させるというような内容の遺言書を書かせるかもしれません。

【贈与なのか、相続なのか・・】
 お母さんが元気なうちに、あなたがお母さんを引き取って、先妻の長男の影響の及ばないところに移すことができるのなら相続まで待てばいいでしょう。
 しかし、そのようなことができないのなら、早い段階でできるだけ税金がかからないやり方で贈与を受けておくべきでしょう。
 お母さんの持っている預金の全部というのではなく、一部でも贈与を受け、残額はお母さんの手元に残すという選択肢もあるでしょう。


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20:06 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益か否か【Q&A №157】

2012/05/31
 ① 昭和51年3月に店舗付き住宅(土地78.09㎡)を父が3/5、私が2/5を共有所有し購入しました。
  また、隣の中古店舗付き住宅(土地78.38㎡)が売りに出て、② 昭和62年7月に父が1/2、私が1/2を共有所有し購入しました。
 その後、平成2年12月に①の所有権3/5を移転してもらいましたが、②については、父の1/2の所有はそのままです。

 兄弟の言い分として、
 当然②の1/2は父の相続財産であり、①の3/5は特別授与に当たる。
 また、父の所有していた部分について無償で使っていたのだから、土地と建物の使用料が特別受益に当たると言われ困っています。
 ①の無償使用期間が昭和51年3月から平成2年12月の179ヶ月間(108ヵ月分)
 ②の無償試用期間が昭和62年7月から平成24年1月の294ヶ月間(147ヵ月分)
 ①と②の賃貸分として特別受益に当たると言われています。

 仮に特別授与になるのでしたら、毎月の使用料はいくらぐらいが妥当でしょうか?

記載内容

特別受益 共有持分 使用貸借 


(すえっこ)


【贈与であれば特別受益】
 まず、①の店舗付き住宅の5分の3の所有権移転が贈与であれば、特別受益に該当すると考えられます。
 民法の条文では、「生計の資本としての贈与」を特別受益としていますが、実務では相続人に対して多額の財産を移転すると、特別受益とされると考えていいでしょう。

【無償使用の権利は特別受益になります】
 あなたが②の店舗付き住宅のお父さんの持分2分の1を無償で使っているのは、共有者間の合意に基づくものであり、使用借権のようなものです。
 この無償で使用する権利は、死亡後も続くものと考えられますので、使用借権と同様に特別受益に該当すると思われます。
 したがって、その無償使用を設定してもらったことで発生した権利は特別受益として扱われ、相続発生時点でその権利の価額が遺産に算入されます。

【死亡までの無償使用分は特別受益に該当しない】
 前項で記載したように、お父さんの土地建物の持分の無償使用権は特別受益に該当し、遺産に算入されます。
 しかし、特別受益は、受益の原因となる行為の効力を奪うものではありません。
 相続人間の公平を考慮して、特別受益として権利の価額を遺産に組み入れようとするものです。
 合意後の無償使用分は、前項で記載した権利の内容を実現するものです。
 その権利自体が特別受益として遺産に算入されている以上、この権利内容を実現する現実の無償使用は特別受益にはなりません。
 なお、この点については、判例をQ&A №109に記載しているので、その部分を再掲します。
 「使用期間中の使用による利益は、使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当で」あり、使用料を加算することには疑問がある。

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16:42 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

贈与の撤回はできるのか【Q&A №115】

2012/02/03

 義母(88)が生前贈与として子(主人と姉)に預貯金のみ、名義変更して2分割しました。
 その他不動産は姉が相続する公正証書あります。
 義母は現在 姉と同居しており、軽度認知症あります。
 主人に渡した預貯金を自分の名義にまた変えるため返してくれと連絡あり、主人は返すつもりはないと断り・・・・・・
 それなら裁判起こしてもいいのか?と姉から電話がかかってきました。
 主人は「全財産相続する上に、自分たちの物まで渡す必要もない。姉の差し金だから取り合うな」と話しまていますが、現実訴訟を起こされると、主人は銀行員と言うこともあり、気が気ではありません。
 どのように対処すればいいのでしょうか?


記載内容

  生前贈与 公正証書 認知症
(たんたん)


【質問のポイント】
 どうやって裁判をせずに、お姉さんの請求を拒むのか、これが今回の質問です。
 そのためには、《どういう理由で返還せよというのか》を確認するのがいいでしょう。

【返還を求める理由はなんですか?】
 既に贈与された預貯金を返還せよという理由はなんでしょうか。
 「お母さんが返せと言っている」というだけでは回答になりません。
 裁判をするとまで言っておられるのですから、裁判所に認められるような「法律的な理由」が必要です。
 《ぜひ、法的な理由を教えてほしい》と反論しましょう。

【ただでもらったのだから返せ・・とは言えない】
 贈与は無償で財産をもらうことなので、預貯金をあげるという口約束だけの場合には、そのような贈与の約束は取消できます。
 しかし、現金を既に受け取っており、あるいは預貯金名義の変更が終わっているような場合には贈与の取消はできませんので、預貯金を返還する必要はありません。

【認知症を理由とした場合には】
 もし、お姉さんがお母さんの認知症を理由に、《お母さんは何もわからずにしたのだから》ということなら、贈与が無効となる可能性はありますが、他方、公正証書でしたお姉さんに有利な遺言の効力がなくなる可能性が出てきます。

【一番いいのは弁護士に依頼することでは・・】
 裁判をおそれていると、逆にそこが弱みだと思われて、裁判のことをしつこく言ってくる可能性があります。
 そこで、思い切って弁護士に相談して依頼することを考えてはどうでしょうか。
 弁護士なら、お姉さんの言い分が法律的に成り立つのかどうかがわかりますし、裁判なしに交渉で解決するという方法も知っています。
 ご検討ください。
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13:38 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

法定果実は特別受益に含まれるのか【Q&A №107】

2012/01/16


 原則として生前贈与された被相続人の財産は特別受益に該当するとのことですが、
 その果実も同様に解釈すべきでしょうか?
 もしそうであるならば、その果実が特別受益として計上される期間は贈与時から遺産分割時まででしょうか?
 それとも相続開始時から分割されるまでの期間でしょうか?


記載内容

  特別受益 贈与 法定果実
(toranokonomiko)


【果実とは・・】
 民法では、りんごやみかんのような果物や大根のような野菜などを天然果実といいますが、「物の使用の対価として受け取るべき金銭その他の物」も果実とされ、《法定果実》といいます。不動産や動産の賃料や預貯金の利息などがこの法定果実にあたります。
 質問には「果実」としか記載されていませんが、本件では法定果実が誰に帰属するのかという問題だと思われますので、以下においては法定果実に関する質問として回答します。

【特別受益とは・・】
 相続人のうち、被相続人から「婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本」として生前贈与や遺贈を受けた者がいる場合、これらの受益分は遺産にあったものとして、相続人の具体的な遺産分けがされます。このように遺産に組み入れる分を《特別受益》といいます。

【果実は特別受益に入らない】
 例えば、賃貸家屋の生前贈与を受けた場合、原則として特別受益となり、遺産の中に存在するものとして、遺産分けの計算がされることになります。
 この場合、賃貸家屋を遺産分けの計算に組み入れられるのだから、その賃料も遺産分けの対象になるのか?というのが今回の質問の趣旨です。
 生前に多額の贈与を受けた人がいる場合、これを無視して法定の相続割合で遺産分割をすると、相続人間で著しい不公平が生じます。
 特別受益という制度は、この不公平を是正するために、生前贈与の対象財産を遺産に組み入れて計算するものです。
 ただ、特別受益制度は、その贈与を否定するものではありません。贈与はそのままにして、ただ、遺産分けの計算に、その対象物件の価額を組み入れて、相続人間の公平を図る制度です。
 したがって、特別受益として組み込まれるのは、贈与の対象物件の価額であり、賃料等の法定果実までも遺産計算に組み込まれることはありません

 なお、念のために言えば、その贈与の対象の価額の評価時期を相続開始時とするか、遺産分割時とするかについて、近時の裁判例はほとんど「相続開始時」にしたがっています。
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17:09 生前贈与・特別受益 | コメント(3) | トラックバック(0) | 編集

★介護のお礼に母がくれたお金【Q&A №86】

2011/08/18

質問いたします。

行いの悪い姉は親の面倒を見ません。
親は私に、世話になっているから、とまとまったお金を渡しました。
親が過去払った姉の学費(私は学費をもらっていません)とほぼ同額の様です。

このお金の受け渡しについては、姉に口をはさむ権利はないと思うのですがいかがでしょうか。
私は贈与として申告をするつもりでおります(相続時清算課税制度を使います)
母は公正証書で、遺産は法定通りの分け方で分けろと記しています。
よろしくお願いします。

補足です。友人が言うには、
・親のお金は親がどう使おうと関係ない、
・姉が面倒見ないからという理由もはっきりしてるので、
 姉からは何も言う事は出来ないし訴える事も出来ない。
・お金は贈与というより、介護やお世話代という位置づけで受け取るのが妥当、
と言います。


記載内容

  特別受益 寄与分 介護 
(ダニエル)


【だれに贈与をするのかはお母さんの自由です】
 お母さんがそのお金を贈与するのは、お母さんが自分の意思で決めるべきことです。
 お母さんがあなたに贈与したいというのであれば、お母さんとあなたの問題ですから、他人が口をはさむ権利はありません。もちろん、お姉さんも同様です。

【友人のアドバイスの意味】
 あなたの友人が、「贈与というより、介護やお世話代という位置づけで受け取るのが妥当」といっているのは2つの意味が考えられます。

節税面からのアドバイス
  ・・・贈与なら、110万円を超すと贈与税が発生するが、介護等の対価なら税金が発生しない。
将来の遺産分けを考えてのアドバイス
  ・・・今回の生前贈与が特別受益としてカウントされないために、介護やお世話代であることをはっきりさせておく。

【友人のアドバイスに対する弁護士のコメント】
 前項の①の節税面からいえば、一時に多額の金銭を渡す場合に、それを介護やお世話代といっても、税務署にはとおりにくく、贈与とみなされる可能性があります。
 そのため、介護やお世話代というなら、介護等に見合うような金額を毎月、もらうのがいいでしょう。
 なお、税務面でのアドバイスは、専門である税理士さんに相談されるといいでしょう。
 前項②の遺産分けの面からいえば、あなたが介護等に尽力しても、それで特別受益ではなくなるものではありません。
 ただ、あなたの介護等は、寄与分になる可能性がありますので、いつからどのような介護をしていたのかを詳しくノートや日記に記載しておき、又、それを裏付ける資料も保存しておけばいいでしょう。
 あなたの介護により、お母さんが支払いを免れた分が、遺産分けに際して、あなたの寄与分として認められることがあります。

【さらに言えば・・】
 お母さんは、公正証書で、《遺産は法定通りの分け方で分けろ》と記しているようですが、あなたが介護までしているということであれば、その努力を遺言書に反映させてもらってもいいのではないでしょうか。
 もちろん、最終的にはお母さんがお決めになることですが。
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14:09 生前贈与・特別受益 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

★未婚の叔母の遺産を相続できるか【Q&A №68】

2011/04/11

先日私の伯母が亡くなりました。伯母所有の不動産についてご質問させて頂きます。
 その不動産を私に相続させたいというのが故人、他の身内の総意ですが、私には相続権が無いと聞きました。(遺書もありません)故人には親、夫、子は無く弟と妹がいます。私はその弟の息子になります。
 父(故人の弟)は高齢者で障害者という事で生活保護を受けています。父と私の間には昔から色々とあり、親子関係は希薄なものとなっており、母親も兄弟もいない私を故人が母親代わりのなって育ててくれました。
 父には生活保護の兼ね合いもあり、またお金にだらしない人間ですので財産を持たす事は極力避けたいと考えています。父自体は私に不動産の所有を移す事に異論はありません。不動産の評価額は700万程度です。
 アドバイスのほう宜しくお願い致します。


記載内容

  相続人 相続分譲渡 相続税 
(ホリ)


【相続人は伯母の兄弟の二人です】
 伯母さんには、両親も、夫も子もいないのであれば、相続人は伯母の兄弟、つまり妹さんと弟さん(あなたのお父さん)の二人です。
 伯母さんがあなたを母親代わりに可愛がっていたとしても、遺言書がない以上、あなたが伯母さんの遺産をもらうことはできません。
 お父さんが高齢であっても、障害があってもこの結論は変わりません。
 したがって、不動産の所有権は相続によって、妹さんとあなたのお父さんにそれぞれ2分の1が移転します。

【不動産を移転させる方法は・・】
 お父さんは、あなたに不動産の所有権を移転することには異論はないとのことですが、移転の方法をどうするかが問題となります。
 もっとも分かりやすいのは、お父さんからあなたへの贈与をしてもらうことです。
 つまり、一旦、お父さんが不動産を相続し、その相続した不動産をお父さんから贈与してもらうのです。
 但し、この場合は(他の相続財産内容にもよりますが)相続税の他、税金(贈与税)が上乗せされますのでご注意ください。

 次に考えられるのは、お父さんから相続分を譲渡してもらう方法です。
 これは、伯母さんの遺産を相続する権利それ自体をお父さんから譲渡してもらうというものです。この場合、伯母さんの不動産は、お父さんが相続することなく、伯母さんから直接あなたが受け取ることになります。
 但し、この場合、伯母さんに借金など債務があればそれも相続しなければならないことや、相続分を無償(ただ)でもらえば贈与税がかかり、一般の相続のような税制上の控除が受けられないなどの点に注意が必要です。念のために税理士など専門家に相談されるといいでしょう。
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16:20 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★勝手に持ち出された亡き母の預金を返してもらうには【Q&A №66】

2011/03/22
 
母が食道癌で入院先の病院でなくなりました。 
亡くなる3日ほど前に兄が勝手に母名義の預金を解約し現金を持っていってしまいました。
その通帳は、母が友人(取引先商店の人)に預けていたものです。

その後、兄は相続の放棄をしています。
兄の相続放棄の後に、私はその解約された通帳の存在を知りました。

先日、そのお金を返してもらえるよう司法書士の方から内容証明を送りました。
ですが、「このお金は贈与されたものであり、証人もいるので返金しない」と返答がありました。

母と兄家族との生前の付き合いは殆どなく、私の方がべったりでしたし、入院中も病院に付き添っていたのは私です。

母が書面で残したということはまず考えられませんし、「贈与した」というのも考えにくい話です。

司法書士の方は裁判することを進めていますが、確実に返してもらうことができるのでしょうか?
金額は100万以下ですが、母が入院中から今までの兄夫婦の言動が酷いもので許せなく、気持ちの問題となってます。

何か良いアドバイスがありましたらよろしくお願い致します。


記載内容

  生前贈与 強制執行 仮差押 
(akiaki)


【裁判して、確実に返してもらえるためには】
 まず、裁判に勝てるのか、次に勝てても回収できるのかという2つの面から検討する必要がありますし、最後に費用と手間の検討も必要でしょう。

【裁判をする前に】
 裁判では、《贈与があったのか》という点が問題となります。
 預金を引き出した日が死亡の3日前であっても、それ以前にお母さんが預金をお兄さんに贈与していたということもあります。引き出し日だけが基準になるわけではありません。
 又、お母さんが預金証書を自ら持たずに他人に預けていたのはなぜかという点も気になるところですし、その他人がなぜ、お兄さんに預金通帳や印鑑を渡したのかも確認する必要があるでしょう。
 《贈与があったとは考えにくい》という話ですが、それだけでは不十分です。
 お兄さんがどういう理由で贈与を主張するのか、また、預金を預かった他人がどういう事実を知っているのか、更に、お兄さんが解約の手続をなぜできたのか等、いろんな事実を確認し、証拠を集めて、裁判に勝てるかどうかを判断する必要があります。

【お金を回収するための手続】
 仮に裁判で勝っても、そのときにお兄さんの財産がなければ強制執行もできないでしょう。
 もし、今、お兄さんが財産を持っているが、裁判すればその財産を隠しそうだというのであれば、弁護士に依頼して今のうちにお兄さんの財産を動かせないような命令を裁判所に出してもらうという手続きをとることも必要になるでしょう。
 この手続は「仮差押」といい、贈与がなかったということをある程度、証明する必要がありますし、請求する額の4分の1程度の保証金を積む必要もあります。

【事実を説明して、プロの意見を聞くのも・・】
 裁判は費用も手間もかかりますし、裁判の進め方が悪くて敗訴する場合もあります。
 本件質問では具体的な事実が明らかではなく、訴訟で勝つ見込みがあるのかどうか判断できません。
 訴訟の前に、相談費用がかかっても、信頼できる弁護士に法律相談をされ、具体的な事実を説明して、その弁護士の意見をお聞きになることをおすすめします。
 又、訴訟で本格的に争うなら、司法書士でなく、弁護士に依頼されるべきでしょう。
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17:15 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の土地を改良した長男の相続分【Q&A №58】

2011/02/09

 母が所有していた土地及び建物が、道路拡張のため市に収用されることになりました。
 母は移設費用及び土地収用代金を受け取り、長男名義の家を新築する資金を長男に渡しています。(土地は母名義のままです)

 私は母が渡した資金の全てが、特別受益になると主張していますが、兄は「家を建てるため盛土を行った。その費用は母の土地の価値を上げたものであり、特別受益とは認められない、家の建築費用だけが、特別受益だ」と主張しています。

「生計の資本としての贈与」としては、どちらの主張が正しいでしょうか?



記載内容

  特別受益 建築費用 寄与分 
(まっちゃん)


【生前の建築資金贈与は特別受益にあたる】
 被相続人であるお母さんの生前に長男が住宅建築資金をもらったのですから、その住宅建築資金は特別受益になります。
 ただ、今回の質問では、その資金の一部がお母さんの土地の盛り土等の土地改良に利用され、土地の価額が増加しています。
 そのため、もらった金額全額を特別受益とするのではなく、特別受益から土地価額増加分を控除するべきではないかという議論が発生します。

【土地の価値増加をどう扱うか】
 生前に被相続人から贈与などを受けた場合には、特別受益として遺産にその受益額を加算して、相続人間の公平を図るというのが、特別受益制度です(いわば、生前の贈与を相続財産の前渡しとして考慮し、生前贈与を受けた人の相続分を一定程度減らすものです)。
 今回の質問では、お母さんの遺産である土地の価額は盛り土等をした状態で評価されます。これに建築資金の全額を特別受益として遺産に加算すると、その土地価額増加分だけ、遺産が増加することになります。
 しかし、これでは土地価額の増加分が二重計上されていることになり、長男にとって不公平すぎるようです。

【土地価額増加分は特別寄与で解決する】
 相続人間の公平という観点からは、何らかの形で土地価値が増加したことを考慮する必要がありそうです。
 これについては、特別受益から土地価格の増加に要した費用(=盛土の費用)を控除するという考え方もあるでしょうが、一旦は長男の手元にわたっているのですから、筋を通せば建築資金については全額を特別受益とするしかないでしょう。
 しかし、法律は、特別受益という制度を定める一方、寄与分という制度を設けて、相続人が遺産の増加に貢献した場合、遺産が増加した分は当該貢献をした相続人に優先的に分け与える事にしています。
典型的には、子どもが親の事業を手伝い大きく発展させた場合や、子どもが親に多額の贈与をした場合などがあります。
 今回の質問では、相続人である長男が(元手は贈与されたものとはいえ)自分のお金を土地改良に提供し、土地(遺産)の価値が増加したことになります。
 そうしますと、長男が遺産の増加に貢献したものとして、土地の価格増加分は長男の寄与分と考えるというのが公平な解決になると思われますので、兄弟間の協議で円満解決されるのがいいでしょう。
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13:22 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【コラム】寄与分とは?

2009/08/28
 寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に、特別の貢献(寄与行為)をした相続人に、法定相続分以上の財産を取得させる制度です。
 これは、親元(被相続人)を離れて何もしなかった子(相続人)と親と共に事業を行って、財産の維持や増加に貢献した子(相続人)との間で、取得する遺産に差をつけることによって、相続人間の実質的な公平を図るものです。

 寄与分が認められるための寄与行為とは、特別なものでなければなりません。
 例えば、妻が専業主婦として長年、夫のために家事労働を頑張っていたというだけでは、特別な寄与行為とはいえず、寄与分は認められません。
 なぜなら、夫婦間では、双方とも協力して助け合う義務が法律で定められているため(協力扶助義務)、家事労働を頑張ったというだけでは、この協力扶助義務の範囲内のもので、特別の寄与行為とまではいえないからです。

 特別な寄与行為の例としては、
①被相続人と共に事業を行って被相続人の財産の増加に貢献した
②被相続人に土地を贈与した
③被相続人の借金を返済してあげた
④被相続人の生活費を負担して財産を維持させた
⑤被相続人の介護を行い医療費や介護費用の支出を抑えて財産を維持させた

などがあります。

 寄与分の割合は、相続分のように法律で定められているわけではないので、個々のケースによって、その割合が異なります。

 では、寄与分の割合はどのように定めるかといえば、まずは、相続人全員での協議によります。
 つまり、遺産分割協議の中で、「親父と商売をやっていた兄貴には、店舗不動産を渡して、残りの財産を分割しよう。」など話し合って決めていくことになります。
 相続人間の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判という手続を申し立てます。

 なお、相続人同士で仲が悪くて協議できない場合などは、相続人間での協議をせずに家庭裁判所に申し立てることも可能です。

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16:56 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【コラム】法定相続の概略と具体例その4:特別受益

2009/08/26
生前に多額の財産を贈与されている者がいる場合の不公平除去・・・特別受益について

【特別受益とは?】
 生前に法定相続人が被相続人から贈与等の利益を受けていた(これを特別受益といいます)ような場合があります。
 遺産分割では、このような生前の財産贈与分を遺産額に上乗せ(繰り戻しといいます)した上で、相続人の相続分を計算して、相続人間の公平を図ります。
 この説明だけではわかりにくいでしょうから、具体例で説明しましょう。

【具体例】

質問:父の遺産は合計6,000万円でした。
母は父より早く亡くなっており、相続人は長男と長女の2人です。
なお、長女は生前に父から住宅建築費用として3,000万円を出してもらっていましたが、長男は高校を出てずっと働きづめであり、何ももらっていません。
長男、長女の相続額はどの程度になるのでしょうか?

回答:まず、生前の受益分を考えなければ、相続人は長男及び長女の2名ですので、それぞれが均等に金3,000万円をもらえるはずです。
 しかし、長女には生前の特別受益がありますので、相続分割対象の遺産額にこの受益分を加算します。
 そうすると、分割の対象となる遺産額は9,000万円(計算式:相続財産(6,000万円)+特別受益(姉受益3,000万円))となり、長男長女の各相続分は4,500万円になります。
 この額を前提に、特別受益がある者についてはその額を差し引きますので、結局、長女の貰う額は1,500万円(計算式:4,500万円-3,000万円(特別受益分))となり、長男の貰う額は4,500万円(特別受益がないので控除分なし)となり、長男は特別受益をもらった長女よりも多く財産をもらえることになります。
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★父のお金を使い込んだ弟の相続分【Q&A №5】

2009/08/17

今年の5月に亡くなった父の遺産の事で質問させて下さい。
父は、一人暮らししていましたが病気になり、長男の私と暮らす様になりました。
以前父の住んでいた所が地代の件で揉め、700万で和解し、その700万円で父の部屋が無かったので私の家を増築しました。
 父は、去年の10月に次男の所で暮らす事になりましたが、次男と暮らし始めてから一ヶ月位したら父は入院することになり、約5ヶ月入院していましたが亡くなりました。
その時に、父の通帳、現金を次男に渡してしまいました。

生前、私は、250万円を父から貰いました。
私が貰った分は親戚付き合い、仏事、父の国民健康保険などにあてていました。
父は年金、二ヶ月で30万円貰っていて、現金300万~400万円、定期貯金、通帳、など合わせて1千300万円位あると思います。
 次男は父の遺産を、すべて自分の物だと思って様ですが、私としては納得出来ません。
もし、父が亡くなる前に、父の定期貯金、通帳からお金をすべて引き出してしまっていた場合はどのようになりますか?
いとこが遺言書を預かっている様です。内容は、次男に300万円、残りは長男に だそうです。

その場合の遺産相続は、どのようになりますか?


記載内容

  遺言 不当利得
(J.H)


【遺言書がある場合】
いとこが預かっている遺言書があり、かつその内容があなたの言うとおりであるとすると、お父さんの遺産(死亡時点での財産)はその遺言書の内容どおり、次男が300万円、残りの遺産は長男であるあなたに相続されます。

【生前の通帳、現金の交付】
 お父さんが生前に「通帳、現金を次男に渡してしまった」ということですが、次男に与える(贈与)という趣旨で渡したのであれば、その財産は既に生前にお父さんの財産ではなくなっていますので、原則として遺産にはなりません。
(但し、その贈与の結果、あなたが全く遺産をもらいえないということであれば遺留分減殺請求の問題が発生します)
 次に「生前に通帳、現金を次男に渡してしまった」というのが、単にお父さんが次男に預けて、管理してもらっているだけということであれば、当該預金や現金はお父さんのものであり、遺産になります。
 この場合に、もし、次男が勝手に預金をひき下ろし、現金を使っていたというのなら、お父さんは次男に対して勝手に使った金を返還せよという権利(不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求)を取得しており、この請求権は遺産の内容になります。
 お父さんがいとこに預けたという遺言書によると、次男への300万円以外が長男であるあなたに相続させるということのようですので、あなたとしてはお父さんから遺言で取得した損害賠償或いは不当利得請求権に基づいて次男が取り込んだ現金や預金の返還請求をすることができます。

☆ワンポイントアドバイス☆
今回の質問では、お父さんは次男と同居されたこと、現金や通帳を次男に交付したこと、更に次男は父の遺産をすべて自分の物だと思っているということが記載されています。
これらの事情から見ると、次男のところにいた段階で、お父さんは新しい遺言書を作成しているかもしれません。
もし、数通の遺言書がある場合には、最も後に作成された遺言書が効力を持つことになりますのでご注意下さい。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
遺言書がない場合、長男であるあなたは次男と同じ割合で相続権をもつことになります(その割合は、お父さんの配偶者がいるのか、他の兄弟がいるのかにより異なります)。
この場合には、兄弟間の話し合いで遺産分割の話をするということになるでしょうが、話し合いがつかない場合には家庭裁判所で調停をするということになります。
その場合には、あなたがお父さんからもらった700万円(改装費分)及び250万円について、次男が特別受益であり、その分を相続の取り分から控除せよという主張をする可能性がありますので、ご注意下さい。
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