"葬儀費用"に関連する記事一覧
 | HOME | 

葬式費用の負担者と香典の取得者【Q&A №560】

2017/02/16


【質問の要旨】

父の葬儀の喪主が叔父、葬儀費用は遺産から払ったが、香典は誰が受け取る?

記載内容 香典 葬式費用 喪主

【ご質問内容】

母とは離婚、片親だった父がなくなり、葬式をあげる事になりました。

24歳の姉と21歳の私(2人姉妹)は知識も、まとまったお金も無いからと、何も費用などの相談も無いまま父の弟である叔父が喪主を務め、葬式費用も返してくれればいいからと立て替えてくれました。

後日かかった費用の領収書を受け取り、返すように言われ葬式費用は遺産から返したのですが、この場合香典は誰が受け取るべきですか

実際に喪主を務めた叔父が香典を受け取るとしたら、父の葬式なので葬式費用は私と姉で叔父に返すべきなのですか?

(麗華)





【葬儀費用は喪主が負担する】

葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません。

そのため、当然に遺産から支払われるべきものではなく、喪主が負担するものです。

したがって、今回叔父さんが喪主を務めてくれたのであれば、本来は叔父さんが費用を負担するべきだということになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

今回の事案とよく似た裁判例として、次の裁判例があります。

【相続判例散策】兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従うと、やはり叔父さんが支払った葬儀費用をあなた方に請求することはできないという結論になりそうです。


【香典は葬儀費用を負担した者が取得する】

ただ、本件では、あなた方に代わって叔父さんに喪主を務めていただき、葬儀費用を支払うことについてあなた方が納得して遺産から葬儀費用を支払ったようです。

このとき、香典は誰が受け取るべきなのかが問題になりますが、香典には葬儀費用等の出費に対して金銭面で助けるという意味もありますので、本来香典は葬儀費用を負担した者が取得するべきだといえるでしょう。

本件において、あなた方が遺産から葬儀費用を支払ったのであれば、香典収入は叔父さんに渡すのではなく、遺産に含めるべきだと考えられます。


【本件ではどうする?】

そのため、今回の質問のケースでは、本来は、あなた方は叔父さんに葬儀費用を支払う必要はありませんでした

ただ、既に葬儀費用を支払った(もらった遺産からその分を返した)というのなら、葬儀費用の返還をしてもらっても良いということになります。

しかし、現実問題としてはそのような要求を出しても、応じてくれないでしょうから、せめて、香典は引渡すように請求されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:41 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★内縁の妻からの葬儀費用の請求【Q&A №547】

2016/12/07



【質問の要旨】

内縁の妻が立て替えていた葬儀費用と入院費用を回収できるか?遺族年金はどうなるか?

記載内容 葬儀代 喪主 内縁の妻

【ご質問内容】

内縁の夫がなくなり(重婚的関係)本妻が体裁もあるので喪主を努めたいと言い、本妻が喪主、施主が内縁の妻で葬儀を終えました。

葬儀費用はとりあえず施主が払いました。

葬儀費用は折半(口約束)と約束したのに払ってくれません。

そのほかに入院費もかなりの金額を内縁の妻が払いました内縁の夫の遺産から、葬儀費用、入院費用を請求する事は可能ですか?

また、葬儀費用、入院費用、をもらうことにより、遺族年金の申請をするにあたって、内縁の妻の証明に不利になりますか

(ban)






【入院費用は相続債務であり、返還請求ができるが・・】

内縁の夫の入院費は本来その夫が支払うべきものであるのが未払いになっているものですから、相続の債務であり、遺産から支払う必要があります。

そのため、相続人に立替入院費の支払いを請求できます

なお、その請求先は法定相続人全員であり、支払いは各法定相続分に応じた分です。

そのため、子がいる場合であれば、法律的に請求できるのは、配偶者である妻に対しては立替分の2分の1のみです。


【葬儀費用について】

葬儀の喪主は妻であり、施主は内妻であるあなた、費用はあなたと妻と折半するとの口頭の合意があったにもかかわらず、妻の方が折半分の支払いに応じないという前提で考えると、折半の合意が成立したことが証明できれば、あなたは妻に半額を請求することができます

ただ、口頭ですので、《言った、言わない》の議論となり、結局、合意の証明なしとして、内妻であるあなたの請求が認められない可能性も高いでしょう。


【遺族年金の請求について】

遺族年金については厚生年金保険法により、《配偶者》が第一順位の受給権を有しています(厚生年金保険法第59条の2項。末記条文を参照)。

民法における配偶者は戸籍上の妻のみですが、この厚生年金保険法における《配偶者》には、戸籍上の妻のみならず、内縁の妻も含まれます(末記の厚生年金保険法第3条を参照。なお、以下においては厚生年金保険法の配偶者の意味で使用する場合には《配偶者》と記載します)。

今回の件では、戸籍上の妻が存在し、かつ、内縁の妻も存在しますので、《配偶者》に該当する人が2名になり、どちらが《配偶者》と扱われるのかという問題があります。

仮に戸籍上の妻がいても、《事実上の離婚状態》であり、かつ、あなたが夫の収入で生計を維持しているという立場であれば、遺族年金をもらえる立場になります(平成27年10月2日大阪地裁の判決が参考になります。⇒【相続判例散策】戸籍上の妻と内縁の妻、遺族厚生年金の受給者はどっち?参照)

上記裁判例も参考にして述べれば、《事実上の離婚状態》とは、婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつその状態が固定化して近い将来に回復される見込みがない場合をいい、具体的には次のようないろんな事項を検討した結果で判断されることになります。

①別居期間 ②別居の経緯 ③別居期間中の婚姻当事者の婚姻関係修復の努力の有無 ④別居後の経済的依存関係の有無(婚姻費用的なものを支払っているか) ⑤別居している夫婦の連絡あるいは面会状況 ⑥夫の内縁の妻との生活状況

単に別居して長期間経過しているというだけで内縁の妻が遺族年金は受けることのできる《配偶者》になるわけではありませんのでその点をご留意ください。

なお、遺族年金の支給を受ける要件として、死亡した者の収入により生計を維持していることが要件となっています。

さて、入院費や葬儀費の請求すること自体は、遺族年金の受給と直接関係しません。

ただ、もし、あなたが独自に多額の財産を有しており、それで入院費を支払い、又、葬儀費を支払ったというのであれば、《死亡した夫の収入で生計を維持したとは言えない》ということで生計維持要件を欠き、受給できなくなる可能性があります

(弁護士 大澤龍司)


厚生年金保険法

(遺族)
第五十九条  
遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(略)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
(略)
2  前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。


(用語の定義)
第三条
2  この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:47 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★叔父の葬儀費用を請求したい【Q&A №545】

2016/12/02



【質問の要旨】

連絡がとれない相続人に葬儀費用を請求できるのか

記載内容 お葬式代  請求

【ご質問内容】

叔父のお葬式代について質問があります・・・ぜひ回答ください。
まずは必要な情報としてプロフィールを見てください。

【叔父】
離婚歴あり娘が4人で叔父は今は独身
叔父や私たちは娘さんたちとは離婚したあとに連絡先を知らずにとれない状態です
でも娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐとおもいます。

【私の父】
・叔父からみたら弟で男兄弟は父だけ。他の兄弟は叔父からみたら姉が4人います。
お葬式の喪主は父がしてお葬式代を父がだす形になるとおもいます。
ちなみに娘さんたちは探す予定です。財産分与の件もありますので。

ここから質問です。質問は3点あります。

① もし娘さんたちが見つかり、この場合は財産を引き継ぐ娘さんたちにはお葬式代は請求できないんでしょうか

② もし請求ができたら回収できる確率はどれくらいでしょうか?
(前例などあればいけるとおもっていますがこのような少し変わった事例などで裁判費用を回収できたということがあったのなら助かります)

③娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐ引き継がないなどの2つのパターンでも請求ができるできないとかなどの選択肢が変わるようなこともあるんでしょうか。

お手数掛けますがどうぞ回答の方をよろしくお願いします。

(ゆき)







【叔父さんが死亡したときの相続関係】

叔父さんが遺言書を作成せずに死亡した場合、配偶者はないため、その遺産は叔父さんの娘4人(以下、娘4人と言います)が法定相続します

あなたのお父さんは、上記娘4人が全て相続放棄をしない限り、相続人になりません


【葬儀費用の負担について】

相続債務であれば、遺産から支払いを受けることが可能です。

例えば、叔父さんの治療費などが生前に支払いされていないのであれば、相続債務として、叔父さんの相続人である娘4人が支払義務を負います。

しかし、葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません

葬儀費用は喪主が負担するものです。

お父さんが喪主になるのであれば、葬儀費用を負担することになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

葬儀費用は前記のとおり相続債務ではありませんが、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その費用の分担を他の相続人に請求可能かという点については、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらうことが実務上、多いです

この場合、遺産分割とは別に、その葬儀費用を別途支払いするというのではなく、遺産分割での取得額から分担額を減額するということが多いです。


【今回の質問のケースで葬儀代は請求できないか?】

しかし、今回のケースは喪主が法定相続人ではないため、遺産分割の中で葬儀費用を分担するという実務と同視できないでしょう。

今回のようなケースに参考になる過去の裁判例としては、次の裁判例が参考になります。
【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従えば、娘4人に葬儀費用を請求するのは法的にはむずかしいという結論になります。

ただ、前記判例では甥姪2人のうち、1人は葬儀に参加していたようですが、2人ともにつき、葬儀費用の分担をする必要はないとの判断でした。

もし、娘4人が葬儀に出席していたのであれば、法的にはむずかしい点はあるものの、請求し 、支払いを拒否されたのに納得できないのであればあきらめるというが妥当なところだと思われます。

なお、お父さんには、葬儀代は返還してもらえない可能性があることを前提に、葬儀の規模や費用を判断するようにアドバイスされるといいでしょう。


【叔父さんが生きているのなら】

ただ、叔父さんが現在も生きておられ、かつ判断(意思)能力があるのなら、現時点で叔父さんと話をし、葬儀費用を預かるといいでしょう。

この場合、葬儀費用としてお金を預かることを明確にし、もし、金銭的に過不足が出た場合にどうするかという点も書面などで明確にしておくといいでしょう。


【娘らが相続放棄をした場合】

仮に4名の娘全員が相続放棄をした場合には、お父さんらの兄弟が相続人になる可能性があります。

この場合、喪主であるお父さんから、遺産分割の際に、葬儀に出席された他の法定相続人に対して葬儀代の分担を求められるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:09 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

2016/12/02
兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか

(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

【ケース】

被相続人は離婚し、2人の子とは20年以上疎遠になっていたが、自身の兄弟とは比較的密に交流があったため、亡くなったという連絡を受けた兄弟が喪主として葬儀をし、費用を支払ったという事案において、相続人に葬儀費用や埋葬等の行為にかかる費用を請求できるかが問題になった。


【裁判所の判断】

裁判所は以下のような内容の判断をしました。

亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。
なぜならば、追悼儀式を行うか否か、同儀式を行うにしても、同儀式の規模をどの程度にし、どれだけの費用をかけるかについては、もっぱら同儀式の主宰者がその責任において決定し、実施するものであるから、同儀式を主宰する者が同費用を負担するのが相当であるからである。
他方、遺骸、遺骨の埋葬等の行為に要する費用については、亡くなった者の祭祀を主宰すべき者が負担すべきものであるが、亡くなった者には二人の子があるものの、20年以上も親子の交渉が途絶えていた状況である一方(なお、長男は葬儀にも出席しなかった。)、兄弟らとの間に比較的密な交流があった事情が認められることも考慮すると、亡くなった者の祭祀を主宰すべき者を子供らのいずれかとすることが慣習上明白であると断ずることはできない。


【弁護士のコメント】

葬儀費用は相続債務ではなく、喪主を務めた者が費用を負担すべきであると考えられています。
もっとも、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらう形で遺産分割の中で解決することが実務上、多いです。
ただ、法定相続人でない人が喪主になり、葬儀を行った上葬儀費用を支払ったという場合には遺産分割の中で解決することもできませんので、話は別になります。
この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪には請求できない》という結論になっています。
しかし、この裁判例の事案は、20年以上も親子の交渉が途絶えていた状況であり、また甥姪のうち一人は葬儀にすら出席していないという事情がありますので、この事情が違えば、別の判断がなされる可能性もあります。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:51 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

兄の葬儀代【Q&A №542】

2016/11/21



【質問の要旨】

兄の葬儀費用を払ったが、相続放棄をする前に費用を回収したい

記載内容 相続放棄 葬儀代 返してもらう

【ご質問内容】

親、妻子のいない独身の兄が先月亡くなりました

亡くなるまで体調が悪く、自宅でヘルパーさんに毎日来てもらい、財産管理は後継人の弁護士さんにお願いしていました

葬儀はやらず火葬だけで30万円程かかったので、葬儀屋さんから後継人の弁護士さんに電話で費用について話しをしてもらいました。

私が支払うとの事を言われたので支払いました

(亡くなった時点で後継人は解除され弁護士さんも通帳からお金を出せなくなったのでしょうか?)

私は相続放棄するのですが、国の物になってしまう前に葬儀代だけ返して貰う方法は何かないのでしょうか?

他に独身の兄がいるのですが、施設に入って財産は後継人の他の弁護士さんにお願いしています。

その兄が亡くなった時にも同じように葬儀代を払わなくてはいけないのでしょうか?

その兄がも今回相続放棄します。

跡継ぎもいないので先祖代々のお墓も閉めて永代供養にしたいので、他にもお金のいることが多いです。

子供に迷惑をかけないように私が生きているうちに何とかしておきたいです。

私も高齢なのでお金に余裕はありません。宜しくお願いします。

(セレナ)







【火葬費用は相続債務ではないが・・】

火葬費用は、被相続人の死亡後に発生するものであるため、厳密に言えば相続債務や費用にはならず、遺産から当然には支払われるものではありません。

火葬費用は葬儀費用として、被相続人の喪主を務める人が負担するべきものです。

しかし、人の死亡した後、必然的に火葬を伴いますので、遺産分割調停などでは、相続債務に準じるものとして扱う場合が多いです。


【後見人は火葬に関する契約をする権限がある】

成年後見人(以下、後見人と略します)は、裁判所の許可を得てですが、死亡した被相続人の死体を火葬するに必要な行為をすることができます(この点は今年(平成28年)の民法改正で第873条の2第3号として明記されました)。

そのため、後見人としては財産があれば、裁判所の許可を得て、火葬についての契約を結ぶことができるようになりましたが、遺産から火葬費用を支払うことができるかどうかは条文では明確にはされていません。

しかし、契約は締結できるが、火葬費用は支払いできないということもおかしい話なので、後見人としては火葬費用を支払うことができると考えていいでしょう。

今回の質問では、あなたが火葬費を支払ったようですが、もし《遺産があれば》後見人が遺産の中から支出することも可能だったケースです。


【相続放棄しても立替請求は可能である】

あなたはお兄さんの相続放棄をした場合、お兄さんの財産はもらえず、債務も引継ぎしません。

しかし、あなた自身がお兄さんに対して持っている債権は、あなた独自の財産ですので、相続放棄後も存続しています。


【後見人に立替火葬費用の返済を求める】

あなたが立て替えた火葬費用については、後見人が契約をしてあなたがその費用を立替えて支払ったというのであれば、後見人に支払いを求められるといいでしょう

又、仮にあなたが火葬の契約をし、かつ費用も出したということであれば、喪主たるべき人に対して請求するということになります。

もしもこの件に関して、喪主たるべき人があなただということであれば、火葬費用を請求することはできないということになります。

なお、喪主たるべき人が相続放棄をしていても、前記のとおり、相続放棄はお兄さんの財産や債務を引き継がないということであり、喪主の地位が亡くなるわけではありません。

喪主としては相続放棄をしたか否かにかかわらず火葬や葬儀を行い、又、その費用を負担するべき立場になるということになります。

また、もう一人のお兄さんが亡くなられたときにも、今回と同様に、お兄さんの喪主になられた方がその費用を負担することになります。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:16 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】

2016/10/25



【質問の要旨】

父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】

父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?


(yamatokarateman)







【葬儀費用に関するルールは不明確】

葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。


【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】

前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】

質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
 ① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
   香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)
 ② 法事費用
   法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:15 相続債務 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり

2016/03/01


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。

また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか

(やまおやじ)





当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。

ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。

そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。

※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。

死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース

私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。

但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。

かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)

現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には

1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。

2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。

3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。

このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。

この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。

なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。

1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。

2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。


② 他の相続人に確認をするケース

一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。

ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース

裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。

金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです

代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です

なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。

もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。

本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。

また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。


《再質問:2》

共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》

法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です

住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。


《再質問:3》

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》

以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。

ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:28 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

葬儀費用・香典と地域の風習【Q&A No.474】

2015/10/14



 香典金を葬儀費用にしないと言う喪主がいるが、そんな風習がありますか。
 岡山県在住ですが如何なものか。

記載内容 葬儀費用 香典 風習

(ma)







【香典に関する慣習はわからない】

 質問は「葬儀の香典を喪主が葬儀費用にしないで取り込む風習があるか」というものです。

 残念ながら、そのような風習があるかどうかは弁護士ではわかりません。

 私が理解する限度でいえば《香典とは死者への弔意、遺族への慰め、葬儀費用の経済的軽減などの目的でなされる喪主等に対する贈与》というものであり、裁判例ででてくる香典も同様の趣旨で理解されています。

 香典が上記の趣旨で理解される限り、香典は葬儀費用に充てられるべきだといえるでしょう。

【葬儀費用と香典について】

 遺産に含まれる債務とは被相続人の生前の行為により発生した債務です。

 その意味では、葬儀費用は被相続人が死亡した後に発生する費用ですから、相続債務ではありません。

 ただ、葬儀費用が多額になる場合があることから、喪主の単独負担とされた場合、喪主に気の毒なケースも考えられます。

 そのため、裁判や調停等では、葬儀費用が被相続人の生前の地位や立場から見てふさわしい程度のものであり、かつ、他の法定相続人も葬儀に出席しているような事情があれば、葬儀費用は相続直後に発生する費用であること、死亡に必然的に伴う費用であることから、公平の観点にてらして相続債務と同様に遺産から葬儀費用を支出することを認める扱いが多いといえます。

 香典ですが、葬儀費用が遺産から出されるような場合なら、香典は葬儀費用に充てられるべきでしょうし、葬儀費用を喪主が単独で負担するのであれば、喪主が香典を単独で取得することになるというのが公平の見地から妥当な解決方法でしょう。

  《葬儀費用という支出は遺産からするが、収入であるの香典は喪主が独り占め》というのは公平の観点からは認めがたいというのが弁護士の率直な感想です。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:14 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人不在の葬儀代や香典の扱い【Q&A No.470】

2015/10/05



相続人のいない従兄弟の葬儀を執り行いました。

従兄弟の財産は、国に没収されてしまいました。

葬儀代だけは戻りましたが、香典分を差し引かれてしまいました。

その後の法要などで、出費がかさみ納得できません。



記載内容

  相続人不在 香典 葬儀費用


【ご質問内容詳細】

 身内が一人もいない従兄弟が急になくなり財産が国に没収されることになりましたが葬儀代だけは戻りました。

 しかしその時に頂いた100万円近い香典を申告したところその分を全部差し引かれてしまいました。

 この差し引かれた分の香典代はそのまま国に持って行かれることは理解できません

 その後永代供養や墓の撤去費用や三回忌など費用がマイナス100万近くかかりました

 裁判所の葬儀時の拠出金等清算完了してもう半年以上たちましたが取り戻せることはできますか。



(マロン)








【葬儀費用は相続債務ではないが・・】

 葬儀費用は相続債務ではありませんので遺産からの支払いはできないというのが原則です(なお、相続税の申告では葬儀費用は費用と控除対象として扱われますが、それは税務の扱いであり、民法上は遺産にかかわる債務とはされておりません)。

 この理由は、遺産から支払われるべき債務は生前に発生したものに限られるのに、葬儀費用は死後に発生するものだからです。

 そのため葬儀費用は原則として喪主が負担することになります。

 ただ、葬儀は①社会生活上で死亡に伴うものであること及び②その額がそこそこ高額であることから、喪主以外の他の相続人も葬儀に参加していたような場合には、公平の観点から法定相続人に負担させることも実務上、よく行われています

 そのため、財産管理人(国)としては、本来は遺産から支出するべきものではないけれども、葬儀費用程度は支出しても差支えないと判断し、あなたに支払いをしたのだと思います。



【香典の扱い】

 葬儀費用は本来、相続債務ではないのですが、公平の観点から遺産からの支出を認めたとすれば、同じく公平の観点から言えば、収入である香典は遺産に入れるべきだという見解になります。

 本来的には喪主が負担すべきとされる葬儀に関する支出である葬儀費用は相続財産から出してもらうが、喪主が受け取る葬儀に関する収入である香典は返さなくて良いというのはやはり公平に反するという結論になりますので、財産管理人があなたから香典分を回収したのはやむをえない処置だったというべきでしょう。

 次の図のような考え方です。

葬儀費用  本来喪主負担  しかし、財産管理人が支出

 香 典   本来喪主の物  しかし、財産管理人の収入



 元々、葬儀費用も当然遺産から出すべきものではなかったのだという前提にたてば、香典で回収を図るという財産管理人の判断もやむを得ないものと思われます。

 経済的あるいは金銭的には損をするような場合もありますが、葬儀に関連する事項は単に経済的に考えるのではなく、社会生活の上でやむを得ずする点もあります。



【法事費用の扱い】


 死亡直後の葬儀費用も原則は相続費用ではありませんので、その後の初七日や四十九日、一回忌等の法事費用についてはなおさら相続費用には当たらず、遺産から支出することは認められません。

 法事費用については、祭祀の承継者が負担するということになります。

 相続人ではないあなたが法事を行うのであれば、その点は予め承知されておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:48 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続放棄と葬儀費用【Q&A №440】

2015/04/01



 母方の叔父が独身で、甥、姪に当たる人物が私だけです。

 母も叔父もまだ元気ですが、今のうちに知っておきたいので質問させていただきます。

 叔父の遺産は放棄するつもりです。

 母が亡くなり、その後叔父が亡くなったら葬儀代の負担はどのようになりますか?

 相続人が私しかいない場合、葬儀代は立て替えておけば、遺産を放棄しても葬儀代など請求できますか?

 その場合どんな手続きをしておいたらいいですか?

 領収書をもっておけばいいのでしょうか?


記載内容

  葬儀費用 立替 相続放棄 相続財産管理人 代襲相続  
(はるか)





【葬儀費用は相続債務ので、遺産に立替分の返還請求をできない】

 叔父さんが死亡したとき、資産や債務は法定相続人に引き継がれます。

 この相続人に引き継がれる債務とは、叔父さんが生前に負っていた債務です。

 質問の葬儀費用ですが、これは叔父さんが死亡した後に発生する債務ですので、相続債務にはなりません。

 なお、相続税の申告では、葬儀費用は必要経費として遺産から控除されます。

 しかし、それは税務上の扱いにすぎず、法律では相続債務としては扱われません。

 そのため、葬儀費用を立替えたからといって、その立替分を遺産から支払ってもらえることはないというのが法律的な回答になります。

 なお葬儀費用の扱いについては相続Q&A №140Q&A №424を参照ください。




【相続放棄の後の請求には手続的に費用もかかる】

 お母さんが先に亡くなり、その後に母方の叔父さんがなくなった場合には、あなたはお母さんの代襲相続人として叔父さんの遺産の法定相続人になります。

 あなたが相続放棄をした場合、他に相続人がおらなければ、叔父さんの遺産を管理する人はいなくなり、相続財産は宙に浮くことになります。

 もし、あなたが叔父さんの葬儀費用を立替えたということで請求がしたいのであれば、あなたが家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をし、これを受けて裁判所が弁護士を相続財産管理人として選任します。

 但し、この選任をしてもらうためには約100万円の予納金を裁判所に納める必要があります(この予納金は相続財産管理人の報酬等に充てられます)。

 このように手続き的にもややこしく費用もかかります。

 しかも、相続財産管理人としては、あなたから葬儀費用立替分の返還請求があったとしても、前項で記載した理由により、支払いを拒否する可能性が極めて高いことを理解しておく必要があるでしょう。





【葬儀をしなければならないなら、生前にその分をもらっておく】

 以上のとおりであり、相続放棄をした場合、立替えた葬儀費用は返還される可能性は極めて少ないと覚悟しておくべきでしょう。

 解決策としては、現在、叔父さんが生きておられるようですので、将来の葬儀費用を予めもらっておくことを考えられるといいでしょう。

 葬儀費用に使用するとの前提で叔父さんからお金を預かり、それを保管しておいて、叔父さんが死亡されたときにそのお金と使って葬儀をされるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:28 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★多額の使途不明金と葬儀費用の請求【Q&A №424】

2015/01/20



【ご質問詳細】

 去年の春に母が亡くなりました。

 年金や私達が住んでいた家を売ったお金などが入金された母名義の通帳は、母の実家である本家の親戚が管理してました。

 数千万の貯金があった筈なのですが、葬式代や病院代などを、今になって請求されています。

 手続きなど私達兄弟が行い、かかった経費は母の口座から出すという事だったのですが、年金のみでそんな貯金は無かったと言い張ります。

 すべてが口約束なので、文面で残ってません。

 亡くなる前の施設に居た3年間は、脳卒中の後遺症で意思の疎通が出来なかったので、本人が指示を出すとか、引き出したり使ったとは考え難いです。

 私達に支払いの義務はあるのでしょうか? 


記載内容

  葬儀費用

(まもる)





【入院費用及び葬儀費用の支払い義務はある】

 お母さんの入院費用については、お母さんが負担するべきものです。

 その支払いを親戚の方がしたのであれば、お母さんはその親戚に立替費用返還義務を負います。

 お母さんが死亡された後は、相続放棄をしない限り、相続人がその法定相続分に応じて債務負担をしますので、相続人が支払い義務を負います。

 次に葬儀費用ですが、葬儀はお母さんの死後に行われる行事であり、喪主の方(通常は長男さん)が負担することになります。

 長男の方が、その葬儀で喪主になられているのであれば、喪主の方が負担すべきものです。もし親戚の方が立て替えて支払ったのであれば、喪主の方はその親戚に支払うべき義務があります。



【もし、親戚が預金を引き出していたとすると・・】

 お母さんが数千万円の預金を有していたのに、その分がないということであれば、預金口座を管理していた親戚の方が引き出した可能性があります。

 もし、親戚の方が引き出して使っているのであれば、お母さんはその親戚の方に対して、不当利得あるいは不法行為に基づいて返還請求損害賠償請求をすることが可能です。

 この請求権は相続されますので、相続人の方は、その請求権があるということで、入院費用立替金返還請求権とを相殺するとして、前項の支払い請求を拒否することができます。



【金融機関への履歴の照会・開示について】

 「銀行で調べたところ、脳卒中の後で施設に入った時期に、全額母の口座から引き出されているようですが、詳しい事は教えてもらえませんでした」と質問に記載されてあります。

 現在、金融機関が相続人に、被相続人の口座の内容を知らせないということは考えにくいです。

 もう一度、銀行に開示するように交渉されるといいでしょう。

 その際、銀行から次のような資料を求められますので、予め取り寄せておくといいでしょう。

①相続が開始したことを証明するための資料・・被相続人の除籍謄本

②あなたが相続人であるということを証明するための資料・・あなたの戸籍謄本

③あなたの身分証明書・・免許書または健康保険証



 なお、あなたが銀行に開示を求める(聞く必要がある)事項は次の事項です。

①相続開始時(お母さん死亡時点)の残高

②被相続人の口座の入出金状況(取引履歴)

③多額の金銭の引き出しがある場合には、その引き出しに際して提出された書類(払い戻し伝票等の写し)
(これは筆跡により、誰が引き出したかを確認するために必要です)。




【銀行関係の調査が終了した場合はどうするか・・】

 銀行での調査が終了した後に、出金の中に使徒不明金がないかどうかを検討しましょう。

 使途不明金がある場合にはその出金を誰がしたのかを払い戻し伝票で確認しましょう。

 その後、使徒不明金が多額に及ぶのなら、親戚の方からの支払い請求を拒否するだけではなく、その親戚の方が預金を取り込んでいるとして返還請求をすることも可能です。

 ただ、返還請求をしたいが、人間関係から見て難しいというような場合には、銀行の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼されることも検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
12:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★香典は誰のものか【Q&A №420】

2014/12/12



 香典は遺産ですか?贈与ですか?
 香典はだれのものですか?
 葬式の時、喪主は私だったのですが、兄弟が勝手にもっていった 香典が贈与なら、所有権は私にあるので、窃盗、横領になるのではないのでしょうか?


記載内容

  香典 喪主 贈与 葬儀費用

(fdfff)


【葬儀費用に関する基本的な知識】
 相続税の申告をする場合、葬儀費用を経費として控除することは可能です。
 しかし、民法上は、葬儀費用は相続費用とは認められず、遺産から債務として控除することは認められません。
 なぜなら、葬儀費用は、被相続人の死後、相続開始後に発生するものであり、喪主が一人で負担されるものとされているからです。
 したがって、葬儀費用については税務の扱いと法律の扱いが異なるということになります。
 ただ、調停などで葬儀費用が問題になる場合には、葬儀費用が相当であり、かつ他の相続人も出席していたのであれば、法定相続分に応じて負担するという解決をすることが多いです。
 次に香典ですが、これは喪主が取得します。
 香典は、死者への弔意、遺族への慰めの意味も持ちますが、喪主が負担する経済的負担を軽減するとの役割も果たしており、喪主に対する贈与と理解されています。

【香典を勝手にもっていかれた場合は・・】
 香典は喪主への贈与ですので、喪主の了解なく、他の人が無断で持ち去ったとすれば、刑法の窃盗あるいは横領に該当します。
 ただ、持ち去ったのがあなたの兄弟という親族間での話ですので、刑法上は、《親族相当例》(刑法第244条:後記条文参照)の適用を受け、告訴がなければ警察は捜査を行わないでしょうし、仮に告訴を行ったとしても、警察としては《親族間で解決される方が・・》というような対応をする可能性が高いと思われます。
 そのため、警察には過度な期待はせず、ご自身で返還請求に向けた積極的に動きを取られるといいでしょ。

《参考条文》
刑法 第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1. 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条(窃盗)の罪、第235条の2(不動産侵奪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2. 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3. 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:04 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★後妻への生前贈与の証明【Q&A №401】

2014/09/16
 父が亡くなり、相続人は、継母・私・妹の3人です。父と継母は十数年2人で暮らしてきたので、父のものを管理しているのは継母です。継母は仕事をしていますが、生活費は全て父が負担し「父に養ってもらった」と言ってました。葬儀後、継母は「父の退職金は4000万円あったけど、父が全て使った」と言ってきましたが、父は退職の際「退職金4400万円の半分2200万円を継母に渡した」と父の兄弟に話したそうです。
 父の口座の残高は150万円程ですが、継母は、そこから葬儀費用・法要費用等、とにかく細かいものでも出費した全てをマイナスした表を作り「まぁざっと書き出しただけだけど」と渡してきました。構えられるといけないので、まだ継母には何も話していません。一応、銀行の明細書を10年分発行してもらいましたが、肝心の退職は10年以上前です。なので、継母が否定し、退職時の父の通帳がない、もしくは継母が隠す等したら、証拠はありません。
※2200万円は継母のものになるんでしょうか。
※父に養ってもらって生きてきた継母は、葬儀・法要費用等、一切負担しないでいいものなんでしょうか。
 ギャンブル好きで家庭を顧みない父のせいで、苦労し、嫌な思いをし、悲しい思いもし、必死で生きてきました。なにかアドバイスをいただければ有難いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

記載内容

葬儀代 法要

(ニコラス)


【継母に贈与された金2200万円は特別受益になる】
 お父さんが継母さんに2200万円を渡したのが贈与であるとすれば、金額が多額であることから、「生計の資本としての贈与」であるとして特別受益になり、遺産分割の際に、遺産に持ち戻すことになります。

【贈与の証明ができるかが問題】
 ただ、持ち戻す前提として、2200万円の贈与があったことを明らかにする必要があります。
 本件では、継母さんは退職金はお父さんが全部使ったと言っており、贈与の事実を認めていませんので、そのような贈与をされた事実はあなたが証明する必要があります。
 贈与の証明としては、ある時点で2200万円の金額が引き出されていること及びその金額を継母さんが取得したことの2点を証明する必要があります。
 あなたが照会をかけても、金融機関には記録がなかったというのであれば、これらの2点を証明することはむずかしいでしょう。
 お父さんが言っていたということでは到底、証明にはなりません。

【葬儀・法要費用は相続費用ではない】
 葬儀費用や法要費用などは、相続開始の後に発生したものであり、相続される債務ではありませんし、相続のための費用でもありません。 
 ただ、葬儀費用については、相続人全員が葬儀に出席している場合などは、その費用を相続人全員で負担するという《実務的解決》がなされることが多いです。
 なお、法事の費用については、祭祀の主催者の負担となると理解されるといいでしょう(この問題については当ブログ Q&A №308Q&A №140等も併せてご参照ください。)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:50 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の年金収入からの支出と特別受益【Q&A №400】

2014/09/10
 11年8カ月間、2病院を継続入院していた母が、95歳10カ月で亡くなりました。
 その間の他の病院、医院への搬送、見守り、介護、諸用事などが、伴いました。
 葬儀終了後の翌々日、遠く離れた都会に住む弟(故人)家族から、遺産について、唐突に詰問するような長電話をうけました。
 亡き弟には2人の子(成人)がおり、二男がその母同席の下、かけたと後日、弟の妻が話しました。
 相続人は弟の子2人と私の3人です。
 母には遺族年金、厚生年金併せて月当たり28万円位(年330万円)あり、自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用として480万円残して逝きました。

 母は93歳1カ月時、認知症発症とレセプトにしるされてました。
 入院中の病院への支払いは月約10万円(年120万円位)です。
 
 49日忌法要には相続人の2人は欠席、弟の妻が出席、その際、法要後、用意した書類をみるか、と聞くと、「みなくていい、田舎の風習があるようだから」と、納得したものだとおもってました。
 ところが唐突に、調停を申立ててきましたので、驚いて困っています。
1 2年弱の入院期間中、弟の遺族は延べ……回病院へ顔だしたか? 

 葬儀、墓地の購入、墓の整備、法要関連費用に700万円超の出費です。

 弟の遺族は入院期間中の年金や遺産を公平?に半額分要求です。
 年金からの出費は、病院、後期高齢者保険料、雑費、家族の生活費などです。

 特別受益、持ち戻し免除とか、ご教示のほど、よろしくおねがいします。

記載内容

不正出金 入院費 介護費
(ろうねんろまん)


【特別寄与の主張について】
 お母さんが死亡し、相続人はあなた(法定相続分2分の1)と、亡くなった弟の2人の子供(代襲相続人、法定相続分は各4分の1)という案件です。
 さて、弟さん側はお母さんの面倒をほとんど見なかったようですが、このような場合でも弟さんの子供らには相続する権利があり、その法定相続分は上記のとおり4分の1です。
 親の面倒を見ないのに相続分を請求するのには不満がおありでしょうが、現在の民法の規定では相続人から除外することはできません。
 ただ、あなたがお母さんの面倒を見ていたのですから、遺産の減少を防止し、あるいは遺産を増加させたという点を主張して、特別寄与の申し立てをすることも可能です。
 ただ、一般的には生活の面倒を見たことだけで、特別寄与として認定されることは少ないのが実情です。
 特別寄与と認定されると、遺産の分割に先立ち、その寄与分があなたに支払いされます。

【特別受益について】
 生前、お母さんから金銭等の贈与を受けたような場合には特別受益の問題が発生します。
 あなたの家族の生活費がお母さんから出ているということであれば、この金額が特別受益と主張される可能性があります。
 あなたが生活に困っていたため、お母さんから生活費を援助してもらった、しかもその金額が月額で10万円程度であれば、それは親族間の扶助義務の履行であり、特別受益にはなりません。
 しかし、あなたが生活に困っていない、あるいは毎月もらう額が10万円をかなり超すというのであれば、その10万円を超す総計額が特別受益とされる可能性があります。
 そのため、お母さんが病院費や生活費に使った費用が多く、あなたが生活費としてもらったという金額が少ないという点を証明できるように用意されるといいでしょう。

【持ち戻し免除について】
 特別受益になる場合には、その特別受益額を遺産に持ち戻して(加算するということで、その分、分割の対象となる遺産額が増加します)、遺産分割をすることになります。
 ただ、特別受益になる場合でも、お母さんが《遺産への持ち戻しをしなくてもいい》と言っておられたような場合には、《持ち戻しの免除》の意思表示として、特別受益の持ち戻しをする必要はありません。
 生前に《遺産分割において持ち戻しをする必要がない》と発言したり、書面で書かれたりするような明示の意思表示をする場合だけではなく、状況からみて、そのような意思を推測できる(黙示の意思表示をしている)場合には、持ち戻しの免除が認められます。
 たとえば、相続人が病気や障害のある相続人のためにまとまった財産を生前に贈与しているケースなどは、持ち戻し免除とされる可能性があります。
 また、親と同居のために建物を建設する場合に、その親の敷地を無償で使用する権限をもらう場合も黙示の意思表示とされる場合があります。
 あなたの場合も、万一、毎月の生活費が特別受益に当たるなら、《親と同居してその世話を見ることを条件として援助を受けたのであり、持ち戻し免除があった》と主張されるといいでしょう。

【葬儀費用等の扱い】
 なお、お母さんは自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用としてお金を遺していかれたということですが、葬儀費用は相続の際、債務や費用としては認められない場合もありますし、また、法事費用や墓の移転費用などは相続の費用としては認められない場合が多いです(相続 Q&A №308 をご参照ください)。
 そのため、安易に遺産である預貯金を葬儀や法事等のために使うのはかなりリスク(危険性)のある行動だということも記憶されておくといいでしょう。


※ご質問の文中、一部文字化けしているところがありましたが、ご質問の本旨には影響がないと思われますので、文字化け部分は「……」と表記し掲載させていただきました。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生命保険金から葬儀費用を捻出してよいか。【Q&A №308】

2013/08/27

 母が亡くなり、母の生命保険金300万円の受取人が私を含め兄弟3人に、それぞれ100万円ずつという内容です。
 葬儀は兄弟の話し合いによって兄弟3人が喪主を務めることで無事終わったのですが、葬儀費用は一旦私が全額を負担しました。
 3人の共同で喪主を務めたという経緯もあることから、葬儀費用については3人で等分して負担すべきと考え、2人の兄に対して葬儀費用のそれぞれ3分の1ずつを請求しようと思います。
 ここで、3人がそれぞれ受取人となっている生命保険金から葬儀費用を出してもらいたいと考えているのですが、事前にその旨の承諾は必要になりますでしょうか?
 ちなみに、生命保険金は現在、全額を私が管理しております。さらに、相続財産の中で現金については、母の預金として他に300万円ほどあり、これも私が管理しております。

記載内容

生命保険 葬儀費用


(みきお)


【葬儀費用は相続債務ではないが・・・】
 葬儀費用は相続開始後に生じた債務ですので、相続債務ではありません。
 葬儀費用は原則として祭祀の主催者が負担するべきものであり、相続財産に関する費用ともいえないとされており、祭祀の主催者が単独で負担するべきものです。
 ただ、裁判例などを見ると、葬儀費用が妥当な額であり、かつ他の相続人も葬儀に参加しているのであれば、相続人間で分担するべきであるとしたものもあります。
 この場合、香典などは祭祀の主催者が取得しますので、葬儀費用を分担するとした場合には、香典分を差し引いて計算することになるでしょう。
 今回の質問では、3人が共同で喪主を務めたとのことですので、このような場合には3人で分担するというのが公平に合致した結論になるでしょう。

【生命保険は受取人が単独で取得する】
 生命保険による死亡保険金は遺産ではなく、受取人個人が単独で取得するべき財産です《これについては過去の回答(当ブログ、Q&A №298Q&A №299ほか)を参照ください》。
 質問の場合には、相続人3人がそれぞれ受取人である生命保険金なので、あなたが管理している保険金はその受取人に支払う必要があります。

【トラブル防止のため、予め、控除の同意を得ておく】
 今回の質問では、その保険金を他の相続人に支払う際に控除していいかどうかの問題ですが、法的にはあなたの他の相続人に対する支払債務とあなたの請求するべき葬儀費用分担請求権と相殺ができ、控除が可能だと思われます。
 ただ、一方的に葬儀費用分担分を控除して支払うというのではなく、予め控除の同意を取り付けておくのが、将来の紛争を避ける大人の智恵ということになるでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:36 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★入院費用や葬儀費用の返還請求【Q&A №207】

2012/10/29
 一人暮らしの 伯母が 突然 亡くなってしまって

 月に 一度は 会いに行っていたのですが 先日 電話に 出なかったので 家に直接 行ったら倒れて いて 救急車を呼び 入院となり その後 一週間後に 亡くなってしまった
 遺書とかの 法的処理を 何もしないまま 相続手続きを 考えたのですが 伯母の兄弟は 生きているのが 直接が 二人で 旦那側の 義理の姉が ひとりです 死んだものが 6人ぐらいいます
 そのほとんどが 疎遠で 葬儀のときに 呼んでも こない有様です
 葬儀 入院費などは 私が全部 支払いました 財産は 生前にきいたところに 500万程度です 不動産はなにも ありません 
 金融関係の凍結を 防ぎ 葬儀とか病院代の お金分を 貰える方法は ありますか
記載内容

葬儀費用 銀行口座凍結 入院費用 立替費用

(原始人)


【立替入院費用や葬儀費用は相続人に請求する】
 まず、入院費は、本来、伯母さんが支払うものですので、伯母さんが生きておれば、直接、返還請求できるはずですが、死亡されたのですから相続人の方に請求することになります。
 葬儀費用については、実際に相続人の方が葬儀に参加されていないというのであれば、遺産を受け取る相続人の方が負担するべきという考え方もありますので、一度相続人の方と交渉してみるといいでしょう。

【死亡すれば、銀行口座は凍結される】
 銀行が預金者の死亡を知った場合、その人の口座を凍結します。
 銀行に死亡を知らせず、口座の凍結をしない段階で、葬儀代の返還などと称して引き出しをすることは違法であり、認められません。
 あなたとしては、銀行口座から返してもらうのではなく、相続人の方に話をして返してもらうしかないでしょう。

【結局、相続人に支払いを求めるしかない】
 今回のケースは、相続人の方から支払ってもらうしかありません。
 ただ、ポイントは、相続人の中で中心的に動いてくれる人が誰なのかを把握し、その人をターゲットにして働きかけることです。
 預金が約500万円程度もあったことを話せば、その中心となってくれそうな人が遺産分けのために尽力をしてくれる可能性が高いでしょう。
 なお、その際、あなたが入院費用や葬儀費用を立て替えていることを説明し、必要に応じて領収書なども示して返還を請求もされるといいでしょう。
 相続人の方が動いてくれないというのであれば、法律の専門家である弁護士に相談し、調停や訴訟などの法的な手続きをとってもらうことを考えるしかないでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:45 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産調査・限定承認の費用は?【Q&A №77】

2011/06/17
 平成23年5月23日に死亡した姉の遺産相続についてお訊ねします。

 姉には配偶者も子供も直系尊属もいませんので、法定相続人は姉妹3人と、先に死亡している姉妹3人の子供で代襲相続人となる5人の合計8人です。
 遺言の有無は分かりませんし、今分かっている遺産としては1700万円の預貯金だけです。他には先に死亡した姉妹が受取人となっている100万円の死亡保険金があります。負債の有無も不明です。
 葬儀費用、死亡までの入院費用、故人のアパートの整理等にかかる交通費一切の諸経費は私が立て替えています。
 姉は一度結婚後離婚し、後は死亡まで独身でしたが、本籍地が遠いため出生から死亡までの戸籍謄本を集めるのも大変です。

質問
1、遺言の有無(法定相続人以外の受遺者がいないか等)の調査はしなければならないか。
2、負債の調査にかかる弁護士費用はどれくらいか。
3、マイナス遺産の有無が不明なので、限定承認したい。
 限定承認手続きの依頼をする際の、弁護士費用(実費を除く)の目安はどれくらいか。
4、同居もせず、同一生計でもなかった姉の場合でも、葬儀費用は先取特権に基づいて、遺贈や負債に優先して遺産から回収できるか。
5、限定承認に必要な戸籍全部の収集を依頼したら手数料はどれくらいか。


記載内容

  葬儀費用 限定承認 弁護士費用
(紫陽花)


【遺言の調査はした方がよいでしょう】
 遺言を調査しなければならないという法的な義務はありません。
 しかし、遺言があれば、それはお姉さんが残した財産をどのようにして欲しいのかという意志ですので、その意思を尊重するべきでしょう。
 後に遺言が発見された場合、一旦行った遺産分割をやり直すことにもなり、相続人や受遺者との間で無用な紛争を生じる可能性が高いです。
 そのため、お姉さんの住んでおられた自宅を探し、友人に確認し、公証役場にも問い合わせするなど、可能な限り遺言書を探すことが必要です。

【弁護士費用の一般的な基準はありません】
 弁護士費用については、かつては弁護士会で報酬規定が定められていましたが、現在では、この報酬規定は廃止されました。
 ただ、多くの事務所で、現在も過去の報酬規定に準拠した形で弁護士費用を決定していることが多いですが、報酬規定にとらわれずに弁護士費用を決定する事務所もあり、一概に弁護士費用がいくらかとはいえないのが実情です。

【遺産の調査費用について】
 当事務所の法律関係の調査については、過去の報酬規定では実費とは別に5万円から20万円という範囲でしたが、複雑な調査案件は弁護士との協議により決定されることとなっていました。
 一般に相続に関する調査は相続関係や遺産全体の調査、取引履歴の調査等、極めて複雑なことが多く、これも一概には言えないです。
 負債だけの調査ということですが、借入先がわかっているケース、わかっていないために主だった金融機関や保険会社等に連絡をして確認するケース等、いろんな場合があり、弁護士費用も一概に申し上げられないというのが実情です。

【限定承認の弁護士費用】
 限定承認自体はあまり使われない制度ということもあり、過去の報酬規定でも、限定承認の報酬についての定めはありませんでした。
 本件では、遺産全体の規模や負債の想定額や債権者数、相続人の数等を判断して、どれだけ手間がかかるのか、あなたがどれくらいの利益を受けるのかを総合考慮して具体的な弁護士費用を決めることになると思いますが、総遺産額の10%程度の費用というのが目安になるかもしれません。

【戸籍の取寄費用について】
 戸籍については、弁護士が戸籍を収集するだけの依頼を受けることは少なく、遺産の調査やその後の手続も含めた作業の一環で戸籍を取寄せする場合が多いです。
 なお、相続のために必要ということであれば、弁護士でなくとも、相続人であれば相続に必要な戸籍謄本、除籍謄本はもらえます。
 現地にいかなくとも、郵送で取り寄せできるはずですので、どのようにすればいいのかを戸籍のある市町村等に電話等で確認されるといいでしょう。

【葬儀費用について】
 葬儀費用は、死後に生じた費用であって、遺産ではないという理解が一般的ですので、遺産そのものから控除することは困難です。
 ただ、葬儀に相続人全員が出席していたような場合であれば、共同の経費として相続人で分担すべきだとされることが多く、結局、遺産の分配時に清算される場合が多いです。
 なお、先取特権は、葬儀会社の有する債権についての優先権を付与したものであって、葬儀費用を出した者が他の相続人に対して請求する立替金(あるいは分配金)請求の場合には適用されません。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
18:06 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME |