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★亡父からお金を詐取した姉への請求【Q&A №550】

2016/12/21



【質問の要旨】

姉が「寄付」と言って父からお金を引き出していた

記載内容 使い込み 数次相続

【ご質問内容】

父が亡くなり相続となりました。

障害を持った弟がおり母が亡くなった後施設にお世話になっています。

父の生前、姉が弟の施設に寄付をしないといられなくなると父からお金を摂取しました。

父から確認の電話があり嘘だから返してもらうよう伝えましたが再び電話があり返してもらえないと。

私から姉に電話して父に返すよう話しましたが、制裁だといい返金しませんでした。

それから数ヵ月し確認したら弟の保険に入ったといい證券見せてと言っても連絡がつかなくなりました。

相続になりそれは特別利益になるのではと話しましたが返したと嘘をつき始めました。

父の相続人は姉、私、弟(成年後見人弁護士/姉でしたが使い込みをし外されました)でしたが、話し合いの途中(今年夏)弟が亡くなったため二人で進めることになります

どう進めてたら良いか、また父から寄付と言って引き出したお金を相続に含ませる事はできないか方法があればご教授頂きたい。

(なつ)







【お姉さんの詐取したお金の返還請求権は遺産になる】

お姉さんがお父さんに嘘をついてお金をだましとったということなら、お父さんはお姉さんに対して不法行為による損害賠償請求権を持つことになります。

お父さんが死亡したときには、この請求権は遺産に含まれます。

弟さんが死亡されたので、現時点ではあなたとお姉さんだけが相続人です。

そのため、あなたはこの金額の半額を請求する権利を相続していますので、他の遺産に加えて、詐欺による不法行為に基づく返還請求権として、詐取された金額の半額を請求されるといいでしょう。


【遺産分割の話の進め方】

質問から見る限り、お姉さんが誠意をもって遺産分割の話をすすめるようには到底思われません。

そのため、第三者の手を借りる必要がありそうです。

まず、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることができます。

調停は申立費用も安く、調停委員も解決に尽力をしてくれます。

弁護士がつかなくても手続きができますので、ご利用を考えられるといいでしょう。

手続きについては家裁でお聞きになればていねいに教えてくれます。


弁護士を依頼するのも解決のために必要かもしれません。

調停はあくまで、お姉さんが解決しようという気にならないと成立しません。

話し合いの余地がない可能性も高いケースですので、当初から相続に詳しい弁護士に依頼することも選択肢です。


なお、調停を含め、今後、どのような対応をした方がいいのか、相続に詳しい弁護士のアドバイスをもらうことも考えられるといいでしょう。

市町村の相談では時間が短いために納得のいく説明を得られにくいので、お金がかかっても(1時間あたり1万円が相談料の相場です)、弁護士事務所で法律相談をされるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:56 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

【Q&A №546】に関する再質問

2016/12/13

被相続人に対する求償権【Q&A №546】に関する再質問


【再質問】

ご回答のご説明わかりやすかったですが、私の説明が良くなかったようです。

相続対策として長男は祖父の養子となっていました。

質問の被相続人は父で、祖父が亡くなった際に父と長男(養子)は質問の賃貸マンションを相続しました。

長男は共有者ではありますが、父の生前に父が収入と費用、債務、税金などを支払う事を同意していたと思います。

申告していないですが現金で毎月8万~15万受け取っていました。(ただ現金手渡しなので証拠がありません)

ご回答にあるように請求が10年で債務や固定資産税を引けば相続財産がなくなるような額にはならないと思います。

残念なのは月々支払っていた現金が振り込みでないため、母の証言だけなことです。

これが実証できれば合意の証拠にもなりますし、請求金額からも差し引くことができます。

この主張はしていくつもりですが、良い方法があればご教授いただけると幸甚です。

(mujun)







前回の回答では、売買で取得したことを前提としていました。

しかし、今回の再質問では、お祖父さんの亡くなった際にお父さん(今回の被相続人)とその子(祖父の養子にでもある)が相続でマンションを共有取得したという前提ということが判明しました。

この点に関する回答は次のとおりとなります。

【金銭支払いの合意がある場合】

お父さんが賃貸収入を全部もらうこと、費用や債務、税金は父が負担すること、更に金銭をお兄さんに支払うことが合意されていたのであれば、マンションの利用に関してはその合意で解決していることになり、定められた以上の請求はできないということになります。

ただ、その合意に基づく支払いがされていないとすると、その支払いのない分がお父さんの債務になります(兄から父に対する合意に基づく金銭支払い請求権)。

なお、参考までに言えば、この請求権は5年で消滅時効にかかります。

次に、お父さんとお兄さんの合意が証明できない場合には、お兄さんからお父さんへの賃料相当の金額を返還せよという請求権(不当利得返還請求権)が成立する余地があります。

この場合の消滅時効の期間は10年間になります。


【支払いの証明はなかなかむずかしい】

支払いの証明は金融機関を介しての送金なら証明は簡単ですが、現金で手渡しということであれば、それを証明するのはなかなか困難です。

おそらく領収書もとっていなかったでしょう。

証拠としては、お母さんの証言しかありませんが決め手にはなりません。

又、8万から15万円と幅があるのも気になります。

いずれにせよ、お母さんから事情を詳しく聞き、矛盾のないように整理した上で、お兄さんの代理人に説明して、納得してもらうしかないでしょう。


【無償使用という話があったという展開は・・】

お父さんが賃料の全額を取得しているにもかかわらず、持ち分をもっているお兄さんがそれになんらの異議を唱えなかったというのであれば、それも不思議な話です。

ただ、マンションの使用に関する合意の証明ができない場合には、お兄さんとしては無償でマンションを父に貸したという主張もできるかもしれません。

しかし、この場合、お兄さんがマンションを無償でお父さんに貸与したことから、お父さんの遺産が増えたという主張(兄の特別寄与)が出てくる可能性があります。


【弁護士と相談することも考える】

いずれにせよ、本件については解決の妙策はなさそうです。

できれば相続に詳しい弁護士と相談され、具体的な事実を説明した上で、お兄さんの代理人に対する対応を決められるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:33 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

合意の撤回は可能でしょうか【Q&A №516】

2016/07/05



【質問の要旨】

不動産評価額に同意したが撤回したい

記載内容  撤回 同意 後悔

【ご質問内容】

弟に生前贈与された不動産の評価額を決める時に頭がボーとしていて弟が出した額に同意してしまいました

著しく私の不利になる金額だったのに合意してしまいました。

撤回してやはり私の評価額も考慮してもらいたいのですが、今から撤回することはできますか?

合意したことをとても後悔しています。

主張書を提出しようと思っていますが、裁判官にどうすれば私の主張を聞いてもらえるでしょうか?

どうぞアドヴァイスをお願いいたします。

(yamanobori)






【どの段階でどういう同意をしたのかが問題です】

裁判や調停、交渉などは一連の手続きですので、一旦した合意を尊重し、その上に更なる手続きが進められます。

そのため、原則として同意の撤回は信義則に反するということになります。

ただ、法的に撤回が認められるかどうかは、それぞれのケースに従って異なります。

質問には、裁判官や主張書面などという言葉が出てきますので裁判をされているのでしょうか。

もし、そうであれば、不動産額の同意は、どの段階でどのような形で合意したのでしょうか?

それによってあなたのとる対策も異なってきます。

又、交渉が調停などでも、どの場面でしたのかにより、撤回の可否が異なってきます。

場合に分けて説明をします。


【裁判所での和解の場合】

もし、裁判所での和解の過程で金額を合意したというのであれば、次の和解の機会に、前回(あるいはそれ以前であっても)、不動産価額には一旦同意したが、その後、考えてみるとどうしても納得できないということで、同意を撤回することも不可能ではありません(ただ、裁判官の機嫌が悪くなるのはご承知ください)。

なお、調停などの場合も同様の対応をするしかないでしょう。


【裁判での主張書面での同意】

次に裁判所に出した主張書面(準備書面)の記載で同意した場合、自分に不利益なことを認めたことになります。

このような同意を撤回したいというのであれば、事実に反し、かつ錯誤により出たものであるということを裁判所に説明する必要があります(判例:大判大正11年2月20日参照)。

具体的には、その同意した価額が時価に反して著しく低廉であることを何らかの方法(例えば路線価額での算定や不動産鑑定士の鑑定書)で明らかにするとともに、あなたが同意した理由なども間違っていたという説明をされるといいでしょう。


【遺産分割協議書での同意】

あなたが遺産分割協議で同意したというのであれば、遺産分割協議書という重要な書面に同意し、かつ、実印を押捺し、加えて印鑑証明書を渡していることになり、確定的な意志表示をしているということになり、同意の撤回は難しいでしょう


【交渉の中での同意の撤回】

裁判や調停とは関係のない、単なる交渉の中であれば、同意の内容を双方が署名捺印して合意書のようなものとして書面化されていない限り、同意を撤回することは不可能ではありません

但し、このような場合には間違いなく相手方から不信感を持たれ、その後の交渉が難しくなるということはご理解ください。


【早急に弁護士と相談する必要がある】

どの場面でどのような合意をしたのかが具体的にわからない限り、対応策を打ち出せません。

相続に詳しい弁護士でなくてもいいですから、弁護士と相談され、その中で具体的な事実を説明して、早急なる対策があるかどうかについて弁護士の意見をお聞きになることをお勧めします。

遅くなればなるほど、撤回は困難になるということもご理解ください。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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11:01 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の賃貸物件の地代の入金口座を探したい【Q&A №515】

2016/07/01



【質問の要旨】

地代の受取口座を調べることはできるか

記載内容  使い込み 不正出金 相続人の口座

【ご質問内容】

母の口座を探しても地代の受取口座が見当たらない

どうやら預金管理の姉がほかにプールしている口座があるらしい。

弁護士にお願いすれば、疑わしい姉名義か同族会社名義の口座(3つぐらい銀行支店名推定)を調査いただけるか

口座の有無、死亡日の残高や過去10年の取引履歴など。

参考ー土地母所有50坪。上物貸ビル7F建(同族会社所有運営)母の地代 年3百万円、H14~計45百万円

H14 父の死と母のひとり暮らし

H17 母要介護中度

H20 脳梗塞入院 意思疎通困難

H28 母死亡89歳

(神原哲)







【他人の口座は確認できない】

金融機関は他人の名義の口座を開示してくれません

兄弟姉妹であってもお姉さんは他人です。

そのため、他人であるお姉さんの口座をあなたが確認することはできません。

(参考までに言えば、相続の場合には被相続人の口座を相続人が調べることができます。これは相続人は、法律上は被相続人と同一人とされているからです。)

調停や裁判になって、相手方に弁護士がついたような場合、弁護士間の交渉で相手方から同意を取り付けて預貯金の履歴を取り寄せしたり、あるいは裁判所から相手方を説得してもらい、相手方が取り寄せした預貯金の履歴を裁判で出させるという方法も考えられます

しかし、これらはあくまで相手方が任意ですることであり、こちらから請求しても相手方や裁判所がそのとおりするとは限らず、むしろ取り寄せに協力しないことの方が多いです。


【私ならこんなやり方でする】

いま、問題となっているのが、賃料が誰の口座に入っているのかという点であれば、私なら次のようなやり方をするでしょう。

① まず、お母さんの持っていた不動産を調査します。

これは市町村に問い合わせをすると回答してくれます(当ブログQ&A №482及び【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)。

② 判明した不動産を現地調査し、建物の場合には居住者を、又、土地の場合には土地の賃借人を探し出します。

③ その後、その建物や土地の賃借人に賃借条件や支払方法、口座等を確認します。


【その後の手続きは・・・】

賃料の振込先がお姉さんの口座であると判明した場合、次にどのような手続きを取るかですが、この点については、専門家である相続に詳しい弁護士と相談し、仮差押え等の法的手続きを先行するのかどうかを含めて検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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11:59 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父より先に亡くなった後妻の遺産【Q&A №492】

2016/02/23

【質問の趣旨】

遺留分減殺請求訴訟において、後妻の財産も被相続人の財産であったとすることができるか

記載内容

後妻さん 名義貸し 本人訴訟

【ご質問内容】

私は、前妻の子で、幼少の時に養子に出されました。

後妻さんには二人の子がいます。

後妻さんは既に死亡しています。

被相続人(父)は自筆遺言を作成しています。

遺留分を侵害していますので、遺留分減殺請求訴訟(本人訴訟)をしています。

私は、被相続人家族と接触がありませんので、被相続人家族の生活実態がわかりません。

判明したことは、株を趣味とする被相続人より、後妻さんの株の所有する額が大きかったり、被相続人の預金通帳から、建て替えた建築資金が出ていない事、被相続人が不動産所得を後妻さんが死亡した年まで自分で申告しているが、その不動産の所在が不明であることなどです。

後妻さんは、基本的に被相続人の扶養者であり、所得はありません。

この遺留分減殺請求訴訟で、後妻さんの財産(出損者は被相続人なので実質的に被相続人の財産)も含めた遺留分減殺請求はできるでしょうか

後妻さんの財産は、現在のところ株式以外はわかりません。

(k-smile)







【名義で判断されるのが原則】

収入がないはずの後妻さん名義で多額の蓄財がある場合、原則として後妻さんのものとされます

金額の多さによっても異なりますが、長年にわたりご主人との生活をしていく中で、ご主人から自由に使ってよい小遣いとしてもらった金銭もあるでしょうし、何十年という期間の中で種々な形で得た金銭が多額の金額として積みあがることもあります。

もし後妻さん名義の遺産を、後妻さんのものではないと主張するなら、そのことを証明する証拠を提出し、その遺産が本当は誰にものかを証明する必要があります。


【名義借りの可能性もないではないが、それでも証明が必要】

かなり昔には、他人(例えば息子さんや娘さん、後妻さん)の名義を借りて、預金をするという借名(あるいは名義借り)の預貯金が広く普及している時代がありました。

このような名義借り預金の場合でも、そのような預貯金の元手が夫であるお父さんから出ていることや印鑑や通帳等をお父さんが保管していた等、遺産がお父さんのものであったことを証明する必要がありますが、意外とこれがむずかしいです。


【弁護士への相談や依頼も検討する】

本人訴訟をしておられるようですが、質問に書かれたような事情(建築資金を出した口座が存在しない等)を見れば、後妻さん側の預貯金の履歴を入手できれば、何らかの証明の手段が見つかるかもしれません。

ただ、後妻さんは既に死亡しているということなら、相手方は後妻さんの相続人である後妻さんの子になりますが、これらの方が後妻さんの預貯金の履歴を積極的に出すことは考えにくいケースです。

これらの事情も考えると、訴訟の進め方などを含め、相続に詳しい弁護士に相談され、場合によっては事件を依頼されることも考えられてはいかがでしょうか

後妻さんの金融機関の取引履歴を裁判所に提出させるような訴訟の流れを作り出せないか、あるいは現在ある手元の証拠でどこまで立証できるのか、他に証拠はないのか等、弁護士の知恵や力を借りることで裁判を有利に持っていくことも考えられるといいでしょう。            

(弁護士 大澤龍司)
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13:56 遺産 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

資産家の叔母の公正証書遺言【Q&A №489】

2016/02/03

【質問の要旨】

公正証書遺言が有効かどうか

記載内容

相続人 同席 カルテ

【ご質問内容】

都内主要駅から徒歩1分の所に住む叔母が、H25に85歳で亡くなりました。

叔母は後妻に入り(前妻病死 前妻の子とは養子縁組なし 実子なし ご主人も父母も亡くなっています)ご主人と工場を経営し、不動産、預貯金等、多額の財産を残しています。

相続人AとBが財産に目をつけ叔母を奪い合い、Aが入居させた老人ホームからBがさらって行った時は警察を呼び、又Aが叔母の取引銀行へ行ってBが財産を狙っているから、お金を下さないで欲しいと話し、聞きつけたBが叔母を窓口まで連れて行き、そんな事はないと言ってのけた強者と、Aから聞きました。

H22にBに全てを相続させる、H25にAに全てを相続させる(こちらは公正証書)全く内容が違い、自分1人に有利に書かせたと疑う私を、Aの弁護士を通して話せと突っぱねます。

H24には、叔母が気力も体力も無くなったとAが話していて遺言を書く頃は相当弱っていたのではと思って診断書などを取り寄せたいのですが、BがAの悪口を病院に触れ回っていて私も不審がられると思い取得できず大変困っています。

以前の電話でAは、他の相続人に言われたら火が噴いて大変だ!証書を作るとき保佐人が、相続人はA1人だから他に言わなくて良いと言われたとパニックでした。

相続人がその場にいて良いのでしょうか。

この事を息子に相談したメールは証拠になりますか?

よく眠れず、苦しいです。

先生、助けて下さい。よろしくお願いいたします。

(晴れたい子さん)





【同席だけでは無効とはならない】

叔母さんの生前から激しい争いがあり、別々の異なる内容の遺言が作られるなど、根深い紛争がうかがわれる案件です。

お互いが疑心暗鬼となり、相続人Aさんが叔母さんに対して、「自分に遺産を渡す遺言を作れ」などと圧力を加えて有利な遺言を作らせたと疑いたくなるのも理解できます。

しかし、公証人は遺言者である叔母さんの意思を確認しているはずであり、その場で脅迫や詐欺まがいのことが行われたことはまずないと考えていいでしょう。

なお、公正証書遺言を作成の際、通常、公証人は同席する人がいれば誰かを確認し、親族や利害関係人であれば席を外すように指示しますが、これは遺言者の真意を確認するためです。

その場に、Aさんがいたことで、叔母さんが《無言の圧力》を感じたという可能性がないわけではありませんが、それだけでは遺言が無効ということまでは言えないでしょう。

なお、同席の件を相談したメールについても、単に「Aも同席した」というだけのメールであれば、それだけで遺言を無効とする証拠とまでは言えないと思われます。

【代理人を通してカルテ開示を求める】

カルテの取り寄せについては、叔母さんの法定相続人(例えばAさん)なら取り寄せが可能のはずです。

Bが悪口等を言ったことで病院にカルテを請求しにくいというのもおかしいことだとは思いますが、病院が出さないというのであれば、弁護士に事件を委任して、その弁護士から弁護士会照会等の方法で取り寄せの手配をしてもらえば、病院としては拒む理由はありません。

いずれにせよ、本件のような案件は弁護士に依頼せずに解決するのはむずかしい案件ですので、早期に相続事件に詳しい弁護士に相談・依頼されるのがいいでしょう


《参考裁判例:こんな判例があります!》

参考までに、(相続人ではありませんが)証人になれない親族が同席して作成された公正証書遺言を有効とした最高裁判所の判例もあります(最高裁判所平成13年3月27日判決)のでご参照ください。

(弁護士 大澤龍司)
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10:01 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
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★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015/07/15




【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?


記載内容

  不正出金 生前贈与 時効


【ご質問内容】

 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。

 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。

 共同相続人の伯父は7年前に他界。

 母は現在、障害のため出廷不可。

 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。

 残額は247円。

 手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。

 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?

 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。

 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。

 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。


(hiro)







【相続回復請求はできない】

 相続回復請求ができないかという点にお答えします。

 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。

 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません

 ただ、次にのべるような手段が考えられます。




【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】

 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。

 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。

 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。

 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。

 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。

 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。

 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。

 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。




【お祖母さんが生前贈与した場合】

 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。

 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。





【現在、するべき作業は何か】

 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。





【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】

 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。

 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。

 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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遺産の土地を妹の義父が借りていた【Q&A №450】

2015/06/03



父が私の妹の義父に土地を貸与していました。

そのような土地の賃貸借が生前贈与に当たりませんか



記載内容

  義父 贈与 同一 


【質問詳細】
 
 昨年、父が亡くなりました。

 父は生前に公正証書遺言を残していました。

 その遺言には、妹に全ての財産を相続させると記載されています。

 相続人は、私と妹の二人です。

 私は遺留分減殺請求を行う予定です。


 ところが父の生前、父と妹の義父(妹の夫の父親)との間で相続対象の土地の借地権契約をしたそうです。

 妹の義父はその土地にアパートを建てて他人に賃貸をしていました。妹の義父はその後1年足らずで死去しその後、妹の夫がアパート及び借地権を相続しております。



 妹からは、私が遺留分減殺請求をしても、相続対象の土地の借地権割合が60%なので、私が請求できるのは、底地割合の40%の遺留分(4分の1)、つまり1/10しかないのだから諦めろと言われてしまいました。

 借地契約書や地代をどの程度収めていたか等は、これから相手側に問いただす予定でおり、借地権の有効性を確認する予定です。


 上の経緯は、相続発生後に私が遺留分減殺請求を行う事を前提に、私の遺留分をなるべく小さくするために、妹らが対策を考えて借地契約という形をとったのではないかと考えています。



 このような場合、借地契約を締結したのは妹ではなく、その義父ではありますが、借地契約そのものが妹への生前贈与に当たらないでしょうか?


(asw32mk)







【借地権であるかどうかの確認が必要】

 質問でも記載されていますが、お父さんとお義父さんとの間で土地使用がどのような契約をしているのかを確認する必要があります。


 契約書が作成されているかどうか、作成されているのならその内容、更に署名がお父さんの筆跡であるのかどうかも確認されるといいでしょう。


 なお、賃料が支払われているのか保証金等は差し入れられているのかも調査の対象とする必要があります。





【遺産内容の確認も必要不可欠】

 遺産は不動産だけということのようですが、やはり預貯金等の銀行関係の調査が必要でしょう(調査方法についてはブログQ&A №417をご参照ください)。


 預貯金の取引履歴を確認すれば、預貯金の不正引き出し等がわかり、遺産額が増えますが、それだけではありません。


 契約時に保証金等の支払いがあったのか毎月、賃料が入ってきているかどうかが確認できます。





【保証金や賃料の支払いが発見できない場合でも役に立つ】

 取引履歴に賃料が記載されていないとすると、土地は借地権でなく、無償使用(使用貸借)である可能性があります。


 その場合、借地権額は更地価額の60%程度、使用貸借額なら10%前後ですので、遺産の対象となる土地の価額がアップします。


 なお、念のために言えば、あなたが知らない隠された預貯金口座が存在し、そこに賃料が入金されている可能性もあります。


 この場合にはそこの多額の預貯金が存在する可能性があります。


 また、保証金等の契約時の支払い分がないかどうかも確認する必要がありますので、取引履歴の取り寄せは必要不可欠です。





【法定相続人以外の人に対する贈与】

 ほとんど保証金を取らずに、しかも定額で借地権を設定したとしても、その相手がお義父さんのような法定相続人以外の方であれば特別受益の問題は発生しません


 遺留分減殺の場合、第三者に対しても請求することができます

 ただ、借地契約の内容があまりに不当で、地主であるお父さんにとって不利な内容であり、《まるでただ同然のような条件で貸している》というのなら、贈与とみなすことも不可能ではないでしょう。


 ただ、遺留分減殺請求自体がなかなか難しい手続きですし、ましてや本件は第三者との間で賃貸借契約を装ってというような難しい案件ですので、相続に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、そのアドバイスを受けるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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10:22 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産を分けてほしい【Q&A №445】

2015/05/20



遺産に関して、何通か白紙の用紙に印鑑を押してしまいました。

その結果、遺産分割にまったく加わることができませんでした。

被相続人の死亡から既に6年がたっていますが、私は何か主張できますか?



記載内容

  同意していない 無断登記 無断解約 登記名義変更 手続と分割とは別 


【質問詳細】

父の遺産を母と子2人で相続しました。

母は遺産がどのくらいあったか教えてくれず、銀行預金がおろせるように何通か白紙の用紙に印鑑を押すように言われ押してしまいました。

遺言書がなく、遺産分割協議もされず、名義変更などに同意していないのに不動産も母名義に書き換えられてしまいました。

不動産の一部はすでに売却されております。

母の善意を信じて少しは分けてくれるだろうと期待していましたが、もう何も残ってないのいってんばりです。

さらに、同居している兄に現在住んでいる家、土地を生前贈与する話があるようです。

相続分を請求したいです。

私(弟)は何もできないのでしょうか?

父が亡くなってすでに6年たちますが、もう遅いでしょうか?



(ぼーっとして太郎)





【何に署名・捺印したのか】

 あなたは、お母さんの言うがままに白紙の用紙に印鑑を押したため、遺産であるお父さんの銀行預金が下ろされ、また、相続財産である不動産もお母さん名義に移転登記されたという事案です。

 遺産である預貯金の払い戻しや相続登記には印鑑証明書が必要ですので、あなたは、お母さんの持ってきた書面に実印を押され、かつ印鑑証明書も渡されたのでしょう。

 捺印した用紙が白紙であったということですが、実は登記用の委任状あるいは預貯金を引き出すための相続人代表届であった可能性も高いと思われます。




【遺産分割はまだ終わっていないと主張する】

 あなたの基本的な姿勢としては、登記や預貯金を引き出す手続きには協力したが、それは単に手続きに協力しただけであって、お母さんが遺産全部を取得することに同意する意思はなかったという点を主張されるといいでしょう。

 お母さんが代表として預貯金を解約し、あるいは相続登記をするという手続の話と、その解約した預貯金や不動産を一人占めするということとは違う話だということを理解しておくといいでしょう。




【これからの対処法】

 お父さんの死亡から6年という時間が経過しています。
 
 この6年であなたの権利が消滅するということはありませんが、時間が経過すればするほど、話がしにくくなります。

 今なら間に合います。

 あなたとしては、今、すぐにお母さんに《遺産分割が終了していないので、私の法定相続分の遺産をください》と申し出るべきでしょう。

 ただ、お母さんがすんなりとあなたの言い分を飲むとは思われません。

 そうなれば遺産分割調停等の法的な手続きを取る必要がありますし、その可能性も高いと思います。

 いずれ、法的な手続きをしなければならない可能性を考えるのであれば、早い段階で、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 また、あなたがお母さんを相手にしては言いにくいこともあるというのであれば、弁護士に事件を依頼することを考えておくべきでしょう。

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15:10 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015/04/27
 


 母は一人暮らしで一軒家です。
 
 すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

 長女の私は遠方です。

 母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。
 しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

 母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

 名義変更は私に相談もありませんでした。

 このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。


記載内容

  特別受益 名義貸し 名義

(ノースポール)





【まず、お母さんが登記に関与しているのかを確かめる】

 質問ではお母さんから妹さんへ登記が移転されたことが前提となっています。

 その前提で回答していきます。

 まず、お母さんがこの登記の移転に関与しているかを確認しましょう。

 お母さんが知らないところで登記移転がなされているのなら、その登記は無効ですので、登記を返還するようにお母さんから妹さんに申し入れてもらう必要があります。

 次に、お母さんが登記をしたかどうかわからないような状態 ― 例えば認知症で判断能力がないような場合にもその登記の移転は無効です。

 ただ、この場合にはお母さんの判断能力がありませんので、成年後見人の選任の申立をし、その成年後見人が取戻しの手続きをすることになるでしょう(ただ、現実問題として成年後見人がそのような手続きをするところまではしない可能性がありますが)。

 もし、お母さんが関与して登記を移転されたというのであれば、それは生前贈与ということになり、不動産は妹さんのものになります。

 現段階ではあなたとしては何もできません。




【お母さんが死亡した場合に遺留分減殺請求の意思表示をする】

 お母さんが死亡された場合、登記移転された不動産以外にお母さんの遺産がない場合には、あなたとしては《遺留分減殺請求》ができます。

 あなたの法定相続分が2分の1だとすると、あなたには死亡時の遺産に生前贈与分を加算した額の4分の1をもらえる制度 ―遺留分減殺制度((相続ブログQ&A №430ご参照)― があります。

 今回のケースではお母さんが死亡した日から1年以内に、妹さんに対して遺留分減殺の意思表示をし、不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

 ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

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10:46 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

養子縁組前に生まれていた子の代襲相続【Q&A №414】

2014/12/03



 7年前に祖父が他界したとき(父:長男は既に他界)、遺言があり、遺産は、父の弟に全て渡す(ただし祖父の後妻に毎月50万支払条件)ことになり、その他の相続人(母、父の弟の妻(養子になっていた為)、父の妹、父の子供私と姉)は遺留分をもらっています。
 今回祖父の後妻が亡くなり、相続分割について話し合いがおこなわれています。
 後妻の養子には父、母、父の弟、弟の妻が入っていたのですが、父が既に他界していることから相続は、母、弟、弟の妻の3人で父の子供の私と姉には相続出来ないと言われています。弟夫婦は既に祖父の遺産を全て受けているのでせめて母に少しで多く残す方法は無いのでしょうか。
 祖父、後妻の財産の管理は弟夫婦が全ておこなっており、遺産分割の話し合いも弟夫婦に縁のある税理士が間に入りアドバイスをしているようです。


記載内容

  養子縁組 特別寄与 生前贈与

(ヒューマン)


【養子縁組の前に生まれていた孫は代襲相続できない】
 質問のケースでは、あなたのお父さんは、被相続人であるお祖父さんの後妻さんと養子縁組されています。
 ところで、養子縁組をされた後にあなたとお姉さん(以下、あなた達といいます)が生まれたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属になりますので、代襲相続ができます。
 しかし、養子縁組前に生まれていたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属ではなく、代襲相続はできません(※後記参照条文:民法887条2項但書参照)。

【法定相続分を動かす手段は特別受益か特別寄与ぐらいしかない】
 もし、あなた達がお父さんとお祖父さんの後妻さんとの養子縁組の前に生まれていた場合には、相続人はあなたのお母さんと(お父さんの)弟さん夫婦の3人となり、その法定相続分は各3分の1です。
 ただ、後妻さんが弟さん夫婦に対して生前贈与をしているというような《特別受益》に該当する事実があれば、お母さんの相続分を増加させることが可能になります。
 又、あなたのお母さんが、後妻さんの財産を増加させ、あるいは減少を食い止めたというような事情があれば、《特別寄与》として寄与分を主張できることがあります。
 それらに該当するような事情があるかどうか、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

【相続分の範囲内での解決しかない】
 後妻の相続では遺言も書かれていないようですので、法定相続分通り、①あなたのお母さん、②お父さんの弟、③弟さんの妻の3名がそれぞれ子の立場で3分の1ずつ後妻の遺産を相続します。
 そして、「祖父の相続の際に多く遺産を相続しているから」という事情はお母さんの相続分を増やす理由にはなりません。道理としてはよくわかるのですが、そのような事情を法律上反映する制度が我々の知る限りありません。
 その意味で、大変申し訳ない回答ではありますが、相続分の範囲内で可能な限りのご意向を実現するほかないように思われます。

《参照条文》  民法第887条:(子及びその代襲者等の相続権)
 1.被相続人の子は、相続人となる。
 2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
 3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

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16:57 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父から生前贈与されたマンションと後妻【Q&A №409】

2014/11/06



 五年前に生前贈与で父にマンションを貰いました。
 購入時から私の名義にしてます。
 それを機会に同居しました。
 父には後妻がおりその方は私と10歳しか違わず後妻は専業主婦です。
 私は娘で独身で働いています。
 先日父がなくなり、一年程で出て行って欲しいと言ったらマンション返せと言われました。特別受益だそうです。
 購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります。)
 生前から固定資産税もマンション管理費・水光熱費は私が支払っています。父たちは一応食費です。
 今現在も水光熱費等のお金は貰っていません。
 私の食費は自分持ちです。
 お風呂場を私のローンでリフォームしています。
 その時も援助はして貰っていません。
 裁判起こすと言われています。
 購入費用のうち、相続分の四分の一は払うとは言っています。
 後妻も生前贈与は貰っています。
 その分は計算されていなくて、父と二人で使ってしまったそうです。
 亡くなった時の財産は有りませんでした。
 それでも私は出ていかなくてはいけないのでしょうか?
 納得がいきません。
 相談よろしくお願いします。

記載内容

  マンション 生前贈与 同居
(ララ)


【贈与なら特別受益になるが、特別受益としては返還不要】
 あなたがお父さんからマンションを生前贈与されていたという前提なら、そのマンション贈与は特別受益に当たると思われます。
 しかし、特別受益制度は、贈与されたマンションを遺産の中に《計算上、持ち戻す》だけの制度であり、その結果、あなたが現存しているお父さんの遺産をもらえなくなることはあっても、マンションやその価額を返還する必要はありません。
 あなたは自分が所有者だと主張して、後妻に家を出るように主張していくことも可能です。
 ただ、後妻が遺留分を侵害されたとして、減殺請求をした場合には、その限度(後妻の遺留分は4分の1です)で返還請求を受けることがありますので、この点はご注意ください。

【贈与ではなく、実際はお父さんの遺産とされると法定相続の対象になる】
 ただ、質問を読んでいくと、《購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります)》という記載があります。
 お父さんの名義にできない事情があったため、実際はお父さんの所有なのに、あなたの名義だけを借りたということなら、そのマンションはお父さんの遺産となります。
 この場合には、法定相続人間で遺産分割協議をしなければならず、その結果によっては、後妻があなた達に代償金を支払って、マンションを取得するということも考えられます。

【贈与か?遺産か?の結論は簡単には出せない】
 これまでに述べたように、マンションがあなたに贈与されたのか、それともお父さんの遺産であるのかによって、あなたの立場が大きく変わってきます。
 あなたが固定資産税や管理費用も支払っていた、お風呂場をあなたのローンでリフォームしていたという点、更に固定資産税もマンション管理費も支払っていたというのは、あなたに贈与があったことの裏付けとなる事情ですが、必ずしも決定的なものではありません。(なお、水光熱費や食費の支払い関係は、所有権が誰にあるかという問題には直接は関係しません。)
 あなたとしては、お父さんの書いた日記や手紙、書類などを探して、マンションが贈与されたことの証拠になるような記載があるかどうか確認されるといいでしょう。
 また、後妻が、あなたがマンションの所有者であることを前提として発言をしていたようなことはないのか、又、あなたが所有者であることをお父さんが親戚に言っていた等の事情などはないかどうか、がんばって贈与を裏付ける事情を探されるといいでしょう。

【弁護士に相談する必要があるようです】
 当事務所の扱った案件でも、後妻と先妻の子との間の相続争いは簡単に解決することは少なく、調停や裁判まで行くケースが多いです。
 後妻は裁判を起こすと言っているようですが、あなたとしても、相続に詳しい弁護士に相談し、どのような対応をするのか、また、将来の裁判に備えて、どんな有利な事情があるかを判断してもらう必要があるように思います。


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13:19 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分減殺は単独で登記できるか【Q&A №399】

2014/09/04
 実父の公正証書遺言により、第三者に遺贈されてしまった遺産のうち不動産に対し、法定相続人が遺留分減殺請求権の行使をし、その帰属範囲内の割合で共有(同?)登記し、それを継続させる事は可能ですか。

 遺言執行者には、遺言作成を依頼された弁護士が指定されており、受遺者は早急に遺産を売却し金員を手に入れようと遺言執行者の助言のもと、その土地建物に出入りし、動産の処分も行っています。

 法定相続人としては、それらの行為や目的にでき得る限り対抗しようと考えています。
 現在のところその土地建物の名義は実父のままで、建物の評価は略無いと思いますが、部屋に私の所有物を長年保管しております(使用借権としても専有面積は帰属範囲内の割合です)。
 
 審判までは一人で戦うつもりですので、法的知識や権利のある遺言執行者らの対抗にも有効な手立てをご教授ください。

記載内容

遺留分 登記 単独申請 仮差押 原則1年以内 執行者への通知
(金にならない相談者)


【遺留分権利者単独で遺留分の登記はできない】
 日本の登記制度は原則として登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が原則です。
 ただし、例外として、共同相続人のうちの一人が単独で法定相続内容通りの相続登記ができます(末記の条文をご参照ください)が、ご質問の《遺留分減殺を原因とする登記》は《相続登記》ではないため、遺留分権利者が単独ですることはできません。
 そのため、登記をするためには登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が必要であるという結論になります。

【遺留分の登記を実現するための方法】
 あなたが遺留分の登記をするためには、受遺者に対して裁判を起こして判決を得て、その判決に基づいて遺留分だけあなたが移転登記するということになります。
 ただ、判決が出るまでには(事案によって異なりますが)通常、1~2年程度かかります。
 今回のケースでは、受遺者が遺贈の対象となった不動産の売却を急いでいるようですので、判決を待っていられないでしょう。
 そのような場合には、不動産について遺留分があるので売却をしないようにという手続きとして仮差押申し立てをすることも可能です。
 手続きとしては、裁判所に書面を提出し、裁判所と面談して仮差押決定を出してもらう必要がありますので、ぜひ、相続に詳しい弁護士に相談し、仮差押えの手続きを委任されるといいでしょう。

【家への立ち入りはやむを得ない】
 次に、受遺者のお父さんの自宅への立ち入りですが、受遺者は登記を受ける前であっても当該不動産の所有権を有していますので、家への立ち入りを禁じることは難しいでしょう。
 なお、あなたの所有物が無断で処分された場合には、その分は所有権を侵害されたとして損害賠償の対象になることはあり得ます。

【現在、早急にとるべき行動について】
 ご存知だとは思いますが、遺留分減殺請求は、原則として、相続開始から1年以内にする必要があります。
 もし減殺請求をしていないのなら、早急に内容証明郵便で受遺者に対して減殺請求通知を出されるといいでしょう。
 次に、遺言執行者に対しても、遺留分減殺をした遺留分権者の立場で、受遺者に当該対象物件全部の移転をしないように申し入れておくことも考えられます。
 ただ、遺言執行者としては《とりあえずは受遺者に単独登記をするので、あとは受遺者と遺留分権利者とで争ってくれ》という対応をする場合が多く、あまり効果はないかもしれませんが、遺留分権利者としては、そのような申し入れもすることも一方法でしょう。
 いずれにせよ、遺留分にかかわる問題は難しい点が多々ありますので、早期に弁護士に相談されるといいでしょう。

《参照条文》
不動産登記法63条(判決等による登記等)

   1項 ・・・・(省略)・・・これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続きをすべきことを命じる確定判決による登記は、当該申請を共同でしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
   2項 相続又は法人の合併による権利移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
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16:43 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

同居すれば自宅を相続できるという兄の主張【Q&A №391】

2014/06/23
 数ヶ月前に父が亡くなり、その遺産相続で兄と揉めております。
 母は既に無く、兄弟は兄と私の2人です。

 兄は結婚しておらず、亡父と同居していました。私は既婚で独立しています。家と土地は父の名義、定期預金、普通預金があります。

兄と次のように主張しています。
1)自分には使用借権があるのだから、土地家屋の3分の1は自分の物である
2)15年ほど前に、父に500万円貸したので、遺産から、差し引いて欲しい
3)1と2を差し引いた残りを、2分の1ずつ分ける


 調停、裁判などになった場合、兄の主張は通るのでしょうか?
 実際は父に依存していた生活も、父の面倒を見ていたと主張すると思いますし、家の恥を宣伝することもないので、世間では、親孝行な息子で通っています。
 父は急死したので、病床の面倒は2人ともみていません。

 兄は一種のギャンブル依存症で、働いてはいますが、給料ののうちのほんの一部を家にいれるだけで、実際は、父の年金で生活していたようなものです。が、証明はできません。
 ですから、父の預金はないと言っても良い金額で、葬式費用と同額程度です。

記載内容

使用貸借 同居
(困っている妹)


【使用借権と所有権とは無関係】
 お兄さんが無償でお父さん名義の不動産を使用していても、お兄さんがその不動産の所有権を取得するわけではありません。
 無償で使用する権利である「使用借権」を取得するだけです。
 又、今回のケースは、お父さん名義の家を無償で使用しているだけですので、正確な表現をすると「お兄さんはお父さんから、家を無償で使用する権利(使用借権という債権)を与えられていた」ということになります。
 「土地家屋の3分の1は自分の物」というお兄さんの主張は間違いです。

【使用借権の価額】
 家が使用貸借の対象となっている場合、その家の価額が減価されます。
 家の使用借権の場合、ケースによって異なるでしょうが、底地の更地価額の10%程度の減価はやむをえないでしょう。

【使用借権は特別受益である】
 お兄さんは、お父さんから無償で、家に居住する権利をもらいました。
 そうすると、その使用借権は生前贈与になる可能性が高いです。
 結局、お兄さんとしては使用借権を主張して、それが認められても、その反面、その使用借権が特別受益とされ、プラスとマイナスの面があるということになります。

【貸金の返還について】
 お兄さんがお父さんに対して500万円を貸していたという点が証明できるのであれば、その債務は相続債務であり、あなたは法定相続分の2分の1ですので、金250万円の返還義務を負います。
 しかし、15年も前の債務というのであれば、消滅時効にかかり、返還が不要だという反論もできます。

【特別寄与にはならないか】
 なお、ややこしいことを言いますが、仮に消滅時効としても、その分特別寄与をしているのだというお兄さん側の反論も出てきそうです。
 消滅時効になった場合、その分を特別寄与という形で請求できるか、議論のあるところですが、そのような問題点が持ち上がる可能性も考えておくといいでしょう。

【今後の対策について】
 とりあえずは、今回の回答を参考にお兄さんと協議されるといいでしょう。
 なお、円満な協議ができないのであれば、家庭裁判所で遺産分割の調停をし、第三者である調停委員の意見を参考に解決の道を探るといいでしょう。
 なお、協議がまとまらないのであれば、早期に相続に詳しいお近くの弁護士に相談され、場合により事件を依頼することも考えていいでしょう。
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紛失した父の実印は有効か【Q&A №372】

2014/05/02
 父親が死亡後、あるべき場所から実印が紛失しています。
 数ヶ月後、遺産相続を確認した上で実印を押した偽造借用書などで債務を負わされるのではないかと心配です。
 トラブル回避の方法はないでしょうか。

記載内容

実印 印鑑証明 偽造 悪用 紛失
(わたなべ)


【死ねば実印は無効であるとはいうものの・・・】
 被相続人の死亡後には、《お父さんは死んで、書面作成はできない》から、実印はあってもなくてもどちらでもよいというふうに考えられがちです。
 しかし、誰か、悪意の人が実印を入手したとなると、問題が発生する可能性があります。
 質問にもあるとおり、悪意の人が日付を遡らしたお父さんの借用書を作成することも考えられるからです。
 又、生前、お父さんの不動産の名義を動かしている可能性さえ考えられます。

【対策としては・・・】
 対策としては、警察に盗難の被害届を出すことも考えられます。
 しかし、果たして盗難にあったかどうかが明らかではなく、又、警察が現実に動いてくれることも期待薄でしょう。
 お父さん名義の実印を押した借用書が出てきたときの対策としては次のようにされるといいでしょう。
 まず、印鑑証明書があるのかどうかを確認しましょう。
 実印をつく場合には印鑑証明書の提出を求めることが多いです。もし、その借用書に印鑑証明書が添付されていないのであれば、死後に作成された可能性があります。
 次に、署名がお父さんの筆跡であるのか、又、現実に借用したとされる金銭がお父さんに手渡されていたのかどうかも確認し、その借用書が真実のものかどうかを判断しましょう。
 次に、実印をついたお父さんの生前贈与の書面が出てくる可能性もあります。
 この場合にも、印鑑証明書の有無、筆跡等を確認して、その書面が偽造されたものか否かを判断されるといいでしょう。
 いずれにせよ、実印を押捺した文書が出てきた場合には、紛争になる可能性が高いのですから、早期に相続関係に詳しい弁護士に相談し、そのアドバイスを受け、必要に応じて事件を委任をすることも考えましょう。

【最悪の場合には相続放棄も】
 もしそのような偽造借用書を突きつけられ、裁判でもその借用書を覆す証拠がない場合、あなたは相続人として、その法定相続分に応じた債務の支払いをする必要があります。
 遺産が少なく債務のほうが多い場合には、相続放棄という手段も考慮に入れておく必要があります。
 ただ、相続放棄はお父さんの死亡を知った後3ヶ月以内に手続をする必要があります。
 そのため、借金が判明した場合には、必要なら相続放棄期間の延長(伸長)願いを家庭裁判所に出す等の方法で放棄期間の延長をし、その借金の支払いの要否を早期に判断しなければなりませんが、そのためにも弁護士に早期に相談されるといいでしょう。
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12:55 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父親違いの姉妹から突然の連絡【Q&A №364】

2014/04/11
 突然のご質問で恐縮です。拙い文章ですが、数々の事例に精通されてる先生にアドバイスをいただければと思い投稿いたしました。
 先日、母(64)から私を育ててくれた祖父母は、育ての祖父母で血の繋がっている実祖母(A)が亡くなっていたと打ち明けられました。実祖母は実祖父と離婚し、別の男性(B)を婿入りさせ、娘(C)がいるのですが、娘(C)から母に男性(B)の生命保険の受取に母の印鑑証明と実印が必要だという連絡があったのです。
 1年程前に実祖母(A)が亡くなり、4ヵ月後に男性(B)が亡くなったと聞いています。娘(C)は嫁いでいるため性は変わっております。 
 娘(C)は母に生命保険と実祖母(A)の預金を受け取る権利があると言っているのですが、これは相続に当たるのでしょうか?
 母は60年全く付き合いが無く、相手のご家族、故人に関してはほとんど知らないので信用は全くありません。ですので、もし相続に該当するのであれば、債務を引き継ぐ可能性があるので、放棄しようと思うのですが、権利関係が複雑すぎてどう対応すればよいのか困っております。

記載内容

父親違い 生命保険
(あっちゃん)


【問題点の整理】
 今回の問題点を整理しておきましょう。
 まず、相続は2つ発生しています。
・最初は1年前に死亡した実祖母であるAさんの相続です・・第1の相続
・次にその後に死亡した、実祖母の再婚相手のBさんの相続です・・第2の相続


 次に生命保険金についても整理しますとおそらく次のとおりになります。
・Aさんが死亡し、その生命保険金の受取人がBさんであった。
 そのため、《生命保険金を受け取る権利》を有していたが、その保険金を受け取っていなかった・・・以上は第1の相続の問題
・Bさんはその生命保険金の受取前に死亡した。
 そのため、Bさんの《生命保険金を受け取る権利》は遺産となり、遺産分割の対象となる・・・以上は第2の相続の問題

【遺産分割における生命保険金の扱い】
 生命保険について少し詳しく説明しましょう。
 生命保険金は遺産にはなりません(Q&A №298Q&A №299参照)。
 そのため、Aさんが死亡した時点では、Aさんのした生命保険契約の受取人がBさんと指定されていると、Bさんが保険金全額を取得します(遺産ではないので、娘さんのCさんは生命保険金を請求できません)。
 すなわち、Aさんの保険契約の結果として、新たに受取人のBさんに保険金受取権が発生することになります。
 ここまでは第1の相続での生命保険金の問題です。
 次に、Bさんが、(Aさんの契約した)生命保険金をもらわずに死亡した場合には、既に発生してBさんが権利を持っている生命保険金を請求する権利を、Bさんの相続人間で遺産分割するという問題であり、この場合の生命保険請求権利は遺産分割の対象になります。
 これが第2の相続における生命保険金の扱いです。
 あなたのお母さんがBさんの養子になっているのなら、Bさんが死亡したことにより発生する第2の相続では、その法定相続人はCさんとあなたのお母さんになります。
 生命保険会社としては、Bさんが生きていて受け取る場合にはBさんだけの印鑑でよかったのですが、そのBさんが死亡したために遺産分割の問題となったので、Bさんの法定相続人であるあなたのお母さんの実印及び印鑑証明を必要としているのだと理解するといいでしょう。

【相続放棄について】
 相続放棄はAさん及びBさんの死亡を知った日から3ケ月以内に家裁に放棄の手続きをする必要があります。
 今回の質問ではAさん及びBさんとも死亡してから3ケ月は既に経過しています。
 そのため、相続期間伸長の手続きをしていない限り、現段階では相続放棄はできません。
 ただ、仮に3ヶ月を過ぎていても事情を説明することで裁判所が相続放棄を受け付けてくれるケースもないわけではありません。
 相続放棄したいのであれば、相続に詳しい弁護士に取り急ぎ、対応を検討されることをおすすめいたします。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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★預金の取引履歴を調査する方法【Q&A №362】

2014/04/03



被相続人の預金が生前に勝手に引き出された可能性があります。

預金の取引履歴を調べたいです。

解約済みの定期預金等含めて、調べることができますか?





ご質問詳細

 父方の姉が亡くなり、子供おらず旦那も先になくなっている為、父方の兄弟で相続することになりました。
 
 ただ、亡くなった姉は生前入院していたので、兄弟がお金の管理もしていたようです。

 いざ、遺産整理をするとなったのですが、管理をしていた兄弟から通帳の開示もなく、簡単に記入した紙切れ一枚に遺産の内容が書かれていただけでした。

 どうやら途中で引き出してる可能性が多々ありそうなので、正しい銀行の履歴を調べたいのです。

 特にすでに生前に解約済みのゆうちょの定期預金の取引履歴?残高を調べたいのですが、できますでしょうか。

 調べ方を教えて下さい。

 また、取引履歴とは入出金振替などすべて開示していただけるのでしょうか。

 よろしくお願いします。

 なかなか、郵便局での開示請求に手こずっております。

記載内容

不正出金 預金 取引履歴 ゆうちょ銀行 最高裁判決 全員の同意
(りき)





【調査は可能です】

 かなり以前には相続人単独での開示請求を認めない金融機関も多かったのですが、平成21年に相続人単独による開示請求が最高裁判決により認められました(最高裁判決については「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」 参照)。

 そのため、現在では、法定相続人であることを裏付ける戸籍や除籍謄本を提出することにより、被相続人名義の預貯金の取引履歴を調査することが可能です。

 《ゆうちょ銀行》についても、同様に開示をしてもらえます。

 相続人本人が請求する場合でも、又、代理人として当事務所が請求する場合でも、ゆうちょ銀行が回答をしなかったことは一度もありません。




【開示される内容は・・】

 なお、取引履歴には、入出金だけではなく、振替も記載されており貯金の動きがすべて記載されています




【手続きは・・】

 取り引き履歴の開示に必要な書類としては、法定相続人であることを証明する被相続人の除籍謄本やあなたの戸籍謄本免許証などの本人証明書類は、まずどこの金融機関でも必要でしょう。

 そのほかに実印や印鑑証明書等がいるかどうかは、金融機関に異なる場合もありますので、必要書類を問合せておくとよいでしょう。
(なお、手続については(Q&A №205Q&A №98ほか参考カテゴリ:「遺産調査」に詳しく記載しているのでご参照ください)

 ただ、弁護士なら回答するが、相続人が照会する場合には相続人の全員の同意をもらってきて欲しい、という金融機関も中には存在します(Q&A №342ほか)。

 このような場合には、いかなる理由で当該金融機関が開示を拒んでいるのかといった理由を聞いた上で、相続に強い弁護士に相談し、そのアドバイスを受けて対応されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


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10:41 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

調停で不正出金を取り戻せるか【Q&A №339】

2014/01/14
 相手方に遺産分割協議を拒否されていて、不動産と預金の分割ができていません。
 なおかつ、預金を全部勝手におろされてしまいました。
 不当利益返還請求で提訴しようと思ってます。

 この場合、遺産分割調停と不当利益返還請求訴訟どちらを先にするべきでしょうか?

 よろしくお願いします。

記載内容

不正出金 調停と裁判
(柴犬の飼い主)


【実務家も常に悩むところです】
 ご質問は、非常に実務的な問題であり、法律の専門家である弁護士であってもそれぞれの事案で常に悩む難しい問題です。
 本来、このような問題はその事件でどのような資料がそろっており、どの程度の勝訴あるいは調停成立の見込みがあるのかによって判断が変わりますので、本ブログのような簡単な質問で正確な回答をすることはきわめて難しいです。
 ただ、いくつか参考になりそうなケースを紹介しておきます。

【調停に向く事件、裁判に向く事件】
 調停は相手方の同意があった場合に成立します。反面、相手方が同意すれば立証は不要です。
 裁判は相手方の同意は不要ですが、自分の主張を証明する必要があります。

【こちらの主張に相手方が同意しそうにない場合は基本的に裁判】
 あなたの主張に相手方が同意する可能性がない場合には、調停をするのは時間も無駄であり、当初から裁判で行くしかないでしょう。
 しかし、不当利得を主張するのなら、裁判ではあなたは次の事実を証明する必要があります。
① 遺産である預貯金が引き出されている事実
② その引き出した預貯金額を相手方が自分のものにした事実
を証明する必要があります。
 この証明ができないと敗訴する可能性があります。
 ただ、裁判の場合、裁判所を通じて関係証拠を集めるような方法を取ることも可能です。

【相手方が同意をする可能性がある場合は調停】
 調停は互いの譲歩で成立するものです。
 相手方が同意する可能性があり、あなたとしてもある程度の譲歩をしてもよいというのであれば、不動産の分割を含めて、全体として遺産分割の話を調停でまとめてもいいでしょう。

【どちらか、決めかねるときはまず調停を考える】
 預貯金の不正引き出しについては裁判が可能ですが、不動産については調停で遺産分割するしかありません。
 そのため、裁判か調停かを決めかねるときは、まず、調停を出す方法があります。
 この場合、預貯金の引き出しについては話がまとまらなかったが、不動産の分割だけでも先にまとまる可能性もないわけではありません。
 そのため、まず、調停で様子を見て、相手方の態度が強硬であれば調停は不動産に限定し、預貯金の引き出しは調停から外して、訴訟をするということがいいでしょう。
 この場合、調停と訴訟が同時進行で進むことになります。

【やはりケースごとの判断が必要】
 以上、いくつか考え方の参考になりそうなケースを挙げてみました。
 ただ、このような実務的な問題はやはりケースごとに判断せざるを得ないところがあります。
 今回のような状況であれば、具体的な事案を確認した上で、証明の可能性の検討も必要になりますので、ぜひお近くの相続に詳しい弁護士に相談されるとよいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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