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相続権に時効は無いのですか。【Q&A №558】

2017/02/06


【質問の要旨】

面倒をみなかった相続人が今になって権利を主張してきたが、相続権に時効はないのか?

記載内容 介護 相続権 時効

【ご質問内容】

私の祖父(昭和42年4月に死亡)の件で叔母(9人キョウダイの末っ子、唯一、生存している祖父の子供)が調停を申し立て、現在、審判

父は長男ではありませんが、親と同居し、祖母(昭和62年2月死亡)の介護を母と二人で全面的に担って来ました

祖母が生きている間、叔母たち父のキョウダイは、常に「親を、ちゃんと見い。よう任さん(父に相続させようとしない)」と言い続け、父にすると、隣近所や姉妹の嫁

ところが、父のキョウダイたちは、叔母が死んでから、「田圃を売って分けろ」と主張し出して、父は「話が違う」と、田圃の1筆でも売って分けるという案を受け入れようとせず、平成8年4月に死亡してしまいました。

私も、調停が始まって以来の相続人の態度を見ていると、権利ばかり主張してと色んな意味で怒りが出ます。

もし、祖母が生きている間に「田圃を売ってまで分けろ」と叔母たちが主張していたら、祖母の介護を当然に引き受ける事になったでしょう。そういう負担を一切したくなかったから、「分けろ」とは、一言も主張しなかったのです。

 「よう任さん」と言いながら、母親の介護を一人のキョウダイに任せ切りにした揚げ句、延々50年も粘り続けて

私が、先生にお尋ねしたい事は、「相続権に時効は無いのですか?」という事です。

(コバヤシ)






【相続分を主張する権利に時効はなく、介護をしていなかったとしても相続権はある】
祖母の介護が必要な間は相続分の主張をせずに、介護をすべてあなたのお父さんらに任せておきながら、祖母が亡くなり、介護の必要がなくなった後になって、祖父の相続分を主張されたという事案であり、あなたとしてはとても腹立たしいことでしょう。

しかし、祖父の子である叔母さんは祖父の相続人ですので、相続の発生(祖父の死亡)とともに、叔母さんは相続分に応じた権利を取得します

遺産分割協議をしなかったからと言って、この取得した権利が時効で消滅することはありません

また、介護を一切しなかったからといって、それで叔母さんの相続権がなくなるというものでもありません

そのため、たとえ相続開始から50年もの長期間が経過していても、祖父の相続人である叔母さんには自らの法定相続分に従った相続権を主張できるということになります。


【今後「寄与分を定める処分の申立て」をする】

祖父が亡くなった当時に遺産分割協議書を作成していなければ、あなたが「父が祖母の介護をする代わりに他の兄弟は相続分を主張しないという暗黙の合意があったはずだ」と主張したとしても、叔母さんには「そんな約束はしていない」と言われてしまうでしょう。

あなたのお話では調停から審判に移行しているようなので、これまでに遺産分割協議はしておらず、今、遺産分割の審判をしているのだと思われます。

その場合には、遺産分割とは別に、遺産分割の審判をしている裁判所に対して「寄与分を定める処分の申立て」をするという方法が考えられます。

そうすると、寄与分についても遺産分割の審判の中で一緒に判断することになりますので、その中で、お父さんが祖母の介護を全面的に引き受けていたことをお父さんの《特別の寄与》として主張し、お父さんの相続分を増やすことにより、叔母さんに支払う額を減らすということです。

ただ、寄与分とは、単に被相続人のために貢献したというだけではなく、財産の維持または増加のために《特別の寄与》をしたことが必要であるとされています。

介護したことにより、入院費やヘルパー代が助かったというような点を証明する必要があり、証明できた分だけが特別寄与として認められますので中々ハードルが高く、主張すれば簡単に認めてもらえるというものではありません。

お父さんが祖母の介護を全面的に引き受け、その結果、遺産が減少するのを防止できたということがわかる資料を用意され、寄与分の審判に出されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
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16:37 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

在宅介護費用と特別寄与【Q&A №507】

2016/05/31



【質問の要旨】

看護を負担した相続人が他の相続人に費用請求できるか

記載内容  介護 扶養 不公平

【ご質問内容】

私が、仕事を休んで、平成22年7月から平成25年1月まで自宅で看護(導尿行為、バイタルチェック、塩分1日8グラムの食事作り)を行ってきました。

相手(姉2人)は近所に住んでいながら、一切協力せずに遊びまわり、扶養義務調停にも出廷せず、扶養義務調停が終わる前に父親は亡くなりました。

一番上の姉は生前贈与(住宅購入資金の一部として現金300万円)を昭和48年頃に貰い、高校と短大も我儘を言って私立に通っていました。

私と下の姉は公立高校で終わっております。

短大卒業後すぐに結婚しましたので嫁入り道具と、結婚資金等は、両親が出しています。

なお、私は平成22年2月に腰に金属を入れる手術を行っておりその後絶対安静時に看護が始まり現在は酷い後遺症が出ております。

財産は私たちが住んでいる土地建物しかありません。

土地は路線化で2800万円位(約82坪)建物の名義は13分の11は、私の名義になっております。父親名義の分の建物の評価は53万円程です。

(くま)






【介護費用は請求できないが、特別寄与の可能性がある】

親子間では互いに扶養義務があります。

そのため、子であるあなたが約2年半もの間、自宅でお父さんの介護をしたとしても、これは扶養義務を履行しただけであり、これをしなかった他の扶養義務者(今回は2人のお姉さん)に請求することはできません。

親子間に扶養義務が定められている以上、子として介護等をするのは当然のことであり、他の扶養義務者に介護のための労力等の費用を請求することはできないというのが、今の法律です。

しかし、あなたが介護をしたことにより、ヘルパー代や看護師料、老人ホーム入居費用等が減り、その分、遺産の減少が食い止められたというような事情があれば、その減額分を《特別寄与》として請求すれば、遺産から支払ってもらえる可能性があります。

(なお、介護の努力がどのように遺産分割に反映されるかという点は、当ブログQ&A №386Q&A №254などにも同様の話が出ておりますのでご参照下さい。)


【住宅購入資金の生前贈与は特別受益になる】

一番上のお姉さんが住宅購入資金の一部として金300万円をお父さんからもらったというのであれば、特別受益になりますので、遺産に持ち戻した上で遺産分割をすることになります。


【短大への進学に関する費用は原則として特別受益にならない】

一番上のお姉さんが短大に行かせてもらった点ですが、教育については子の能力の問題もあり、又、親の子に対する扶養の問題であり、遺産の前渡しという意味は持たないという判例もあることから、原則として特別受益にならない可能性が高いです。

ただ、私の担当した案件ですが、私立の医大に行った場合には、その授業料額が莫大であることや医師という社会的に重要な資格を取得することから、特別受益として対応したことがあります(なお、当ブログQ&A №375を参照ください)。


【参考判例】
大阪高裁決定平成19年12月6日
「被相続人の子供らが、大学や師範学校等、当時としては高等教育と評価できる教育を受けていく中で、子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」



【結婚資金について裁判例は分かれるが・・】

結婚資金については、裁判例がわかれていますが、私は挙式費用などは、特別受益には当たらないと考えています。

その理由は、挙式費用は、結婚式という一過性の支出であり、後に残るものではないことや、結婚式が結婚する当事者のみならず、その両親や親戚のためにするという側面を有すること、更に親としても相続分の前渡しとして挙式費用を出すのだという意識はなく、持ち戻し免除が推測されること、更に通常の場合、すべての子が多かれ少なかれ親の援助で結婚式をしていると思われることなどからです。

なお、嫁入り道具や持参金などは金額が高額であれば特別受益に該当するでしょう。

【参考判例】
① 名古屋地裁平成16年11月5日
「嫁入り道具や持参金等がこれ(弁護士注:特別受益)にあたることはいうまでもない。しかしながら、結婚式や結納の式典そのものに生じた費用については、婚姻する者のみならずその両親ないし親戚一同にとって重要な儀式であることに鑑みると、両親が子の結婚式や結納の式典に生じた費用を支出したとしても、それを両親から子に対する「婚姻のため」の贈与と評価すべきではなく、特別受益にあたらない。」

② 仙台地裁平成5年9月7日
「右程度の援助(弁護士注:結婚披露宴費用のうち祝儀代を引いた残額二〇万円の援助)は、本来通常必要なものであるが、他の妹弟が結婚に伴う援助を受けていないことを考えると、特別受益に該当するものといわざるを得ない。」

③ 盛岡家裁昭和42年4月12日
「相続人が婚姻に際し、被相続人より挙式費用等を負担してもらっているが、その金額も高額でないので、いずれも民法903条にいう贈与として相続分の算定につき斟酌すべきではな」く、特別受益に該当しない。」



【その他の問題点・・土地使用借権が特別受益の可能性あり】


あなたがお父さん名義の土地の上に建物の持ち分を有しておられるのであれば、その土地をあなたの建物のために無償使用している(使用借権)の贈与と主張される可能性もあり、あなたの方でも特別受益が問題になりかねませんので、その点はご留意ください。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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17:43 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★建築費用の負担等と特別受益【Q&A №506】

2016/05/31



【質問の要旨】

次女夫婦が母名義の土地に家を建て、建築費用も一部負担してもらった

記載内容  同居 建築 負担

【ご質問内容】

父はすでに他界し、母と3姉妹という家族構成です。

母名義の土地に次女夫婦が新築で家を建て、母が同居することになりました

・土地名義は母のままで固定資産税も母が払い続ける

・建物は、次女夫婦の名義で、建築費用の3分の1程度を母が負担することになりそ
うです。

建築費用を援助する事が生前贈与にあたるのでしょうか?

また、同居する場合は、特別受益には該当しないのでしょうか?
(ゆずのん)






【次女夫婦名義の建物の建築資金補助は特別受益となる】

次女夫婦名義の建物を建築する際に、被相続人(お母さん)から建築資金の援助を受けたのであれば、それは「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、遺産に持ち戻す必要があります。

なお、特別受益は相続人にのみ生じる問題です。

そのため、次女ではない他人(配偶者も他人です)に贈与した場合には特別受益の問題にはなりません。

質問では、次女《夫婦》への贈与と質問に記載されています。

仮に建物が次女ではなく、その夫の単独名義になっており、その資金をお母さんが出していたらどうかという問題があります。

この場合には、実質上、夫婦は一体であるとして特別受益の主張をされるといいでしょう

【参考判例】福島家裁白河支審 昭和55年5月24日
被相続人から共同相続人の1人の配偶者に対して贈与がなされた場合において、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質、これにより受贈者の配偶者である相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には被相続人から相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときは、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であっても、これを相続人の特別受益とみて遺産分割をすべきである。
【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)もご参照ください。)

【土地の無償貸与も特別受益になる】

お母さんの土地の上に次女夫婦が建物を建てるということになると、おそらく賃料の支払いはしないでしょうから、次女夫婦は他人であるお母さんの土地を無償使用で使用できるという利益を得ることになります。

この無償使用する利益を法的には使用借権といいますが、この権利を得ることも「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、その権利の価額が遺産に持ち戻されることになります(この点については当ブログQ&A №321もご参照ください)。


【同居の場合、特別寄与や生活費援助も問題となる余地がある】

法律的に言えば、次女夫婦がお母さんと同居し、その介護に尽くしていたとしても、次女の特別受益分として遺産に持ち戻される額が減額されることはありません。

ただ、次女がお母さんを介護することにより、ヘルパー代等が助かったというような事情がある場合には、その分が《特別寄与》となって、遺産から次女に支払いされることはありえます(当ブログQ&A №254をご参照ください)。

逆に、お母さんが同居する次女夫婦の《生活費を支給》していたようであれば、この支給分が特別受益になるかどうかが問題になります(当ブログQ&A №321Q&A №505等をご参照ください)。

(弁護士 大澤龍司)

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14:47 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の預金を使い込んだ兄の言い分【Q&A №495】

2016/03/10

【質問の趣旨】

建築費用は貸金か贈与か?遺産を公平に分配するには?

記載内容 不正出金 親に貸付 寄与分

【ご質問内容】

家内の実父は、約30年前に他界しており、更に1年前に実母も他界しています。

法定相続人は4人です。

長男は、約35年前に実親の家の新築の折、数百万円を借用書も無しに工面したと言っています。

そのお金を今になって「返して欲しい、しかも年5.5%の35年間の複利運用」条件を提示しています。

長男が中心となって作成した父の遺産相続協議の際、そのような負債があることは明らかにしておりません
し、返済請求書もありません。

従って、あたかも親への贈与と思われてもおかしくないものです。負債なら、膨れ上がる前に手の打ちようがあったはずです。

今やその金額は、母親の預金(5千万円)でも不足すると主張する始末です。

まさかと思って、他の兄弟が、銀行(3行)に確認したところ、案の定、母親の死亡1年前からATMから引出限度額で毎日下しており、残額はゼロと判明しております。

亡き母は認知症の為、介護施設に入っており、その支払い等のため銀行カードを長男に預けていたようです。

本件は、母親の預金額に目がくらみ、総取りのシナリオを後付で描いたように思えます。

公平に遺産相続する方法をご教示頂けませんか

(yuzu)







【まず、お金を渡したということを証明してもらう】

最初に、長男さんがお金を貸したかどうかの確認が必要になります

お金を貸したというのなら、当然お金の動きがあったはずです。

長男さんにまず、お金が動いたことの証明を求めましょう。

もし、長男さんがその点を証明できないのであれば、貸金の主張は無視して、遺産分割をすることになります


【贈与か貸金か】

もし、お金をご両親に渡していることが証明されるのであれば、次にどういう趣旨でお金を渡したのかが問題になります。

返還してもらうという前提ではなかったのであれば、長男さんから両親への贈与になりますし、返還してもらう前提なら貸金になります

建築資金ということですから、通常ならかなりの金額になります。

高額の金額にもかかわらず、借用書も作成していない、これまでの35年間返還されていない、という事実を考慮すると、貸金である可能性は極めて低いと思われます。


【複利はまずない】

長男さんは複利を主張されているようですが、そのように主張するのであれば、長男さんとしては貸金であることに加えて利息は複利であり、その利率は年5.5%で合意されていたということを証明する責任があります。

借用書も作らないようなとき、複利というような利息の合意が認められる可能性は皆無に近いと思います。


【貸金や贈与と特別寄与の関係】

仮に贈与があったとすれば、両親はもらった金銭は返還不要ですが、長男さんとしては、そのような金銭をあげたことで、長男さんが特別寄与をしたと主張することができます【コラム】寄与分とは?をご参照ください)。

もし、貸金を立証できた場合には、長男さんはご両親に返還を請求できるということになりますが、ただ35年も前の貸付であれば、特段の事由(例えば時効中断等)がない限り、時効で消滅している可能性が高いです(なお、貸金が時効で消滅していた場合でも、長男さんが特別寄与をしたと主張できる余地があります)。


【今後の取るべき対応について】

お母さんの判断能力がない段階で長男さんが預貯金を引き出していたのなら、お母さんは長男さんに不当利得の返還請求権を持つことになります

お母さんが死亡した場合、その返還請求権は各相続人がその法定相続分に応じて取得し、長男さんに請求することができます

長男さんの態度を見ていると、簡単に返還しそうな感じは受けませんので、遺産分割調停や訴訟等の法的手続きが必要だと思います。

ただ、訴訟して勝訴しても、財産がない場合には強制執行もできません

もし、長男さんの財産(例えば抵当権のついていない土地家屋など)があることが判明しているのであれば、長男さんがその財産を隠してしまう前に、財産の移動を禁止する仮差押え等の手続きを取る必要があります

この手続きはむずかしい点がありますので、弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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16:30 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続した共有持分に応じた賃料をもらえないか【Q&A No.475】

2015/10/16




マンション1棟につき3分の1の持分を有しています。

マンションの賃貸をしています。

賃貸借契約の名義は母(持分3分の2)、管理は私(持分3分の1)です。

持分の分の家賃を母に請求できないでしょうか?



【ご質問内容詳細】

 「Q&A №265 夫が受け取っていた賃料の相続」(2013/4/8)の回答のについて質問です。

【お義母さんが単独で貸家契約をしていた場合、賃借人に請求できない】
 もっとも、家屋が共有であったとしても、賃貸人名義は共有者のうちの1名になる場合が多く、本件の場合も、賃料の支払いをお義母さんが受けているようですので、お義母さん単独で賃貸している可能性が高いと思われます。
 この場合、賃借人に対して賃料を請求できるのも受け取ることができるのも、お義母さん一人です。」


と回答されていますが、

 私の場合、 賃貸マンション一棟の建物と土地が父と母の共有名義で、17年前父が無くなり、土地とマンション建物の30%ぐらい私(長男)名義になりましたが、 賃貸契約書は全て母名義ですが不動産のやり取りは私がおこなっていました。

 マンションの管理作業も私がしています。

 私の持分の割合にで確定申告しておりますので、持分の税金等は私がはらっております。

 このマンションの家賃の持分を母に請求でいないのでしょうか(過去17年間と今後の家賃)。 

 建物の建築費は、私は負担しておりません。

 父と母が建てました。


記載内容 共有と賃料 使用貸借 共有持分の相続

(まさ)







【遺産不動産が賃貸中の場合の賃料の扱い】

 遺産の中に不動産があり、それが賃貸に出されている場合、賃料がをだれがどのように取得するのか問題になります。

 №265はこのような場合の質問です。

 まず、この場合に、最初に賃貸人は誰かということを考える必要があります。

 今回の質問では賃貸人はお母さんだということですので、賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人であるお母さんしかありません。

 賃貸人ではない他の人が賃料を賃借人に請求できる余地はありません




【法律的には共有者が賃料を請求できないのか?】

 賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人のみです。

 しかし、その不動産が共有なら、賃貸人はもらった賃料を他の共有者に分配する必要はないのかというのが今回の質問の趣旨のようです。

 この点を回答するには、お母さんと他の共有者であったお父さんとの間にどのような合意があったかを確認する必要があります。

 共有者であるお父さんが共有持ち分を無償使用することをお母さんに認めていた場合には、使用貸借の合意があったとして、お父さんからの賃料請求はできません。

 あなたは現在、30%の持ち分をお持ちのようですが、その持ち分がお父さんからの相続であるとすると、お父さんのしていた使用貸借上の権利義務を引き継ぎますので、お母さんはあなたに対して使用借権を主張することが可能であり、賃料を支払う必要はありません

 また、あなたはに不動産の管理をしているということですが、それは法律的に見れば、管理をしているに過ぎないものの、その管理費をお母さんが死亡した時の遺産分割の際に特別寄与として請求できる可能性はありますし、現時点でも管理費としてお母さんに請求することも考えてもいいかもしれません。

 次に、あなたは賃料総額のうち、持ち分の限度で税金の申告もしているようですが、これはあくまで税務の問題であり、申告したからといって、賃料の分配が認められるわけではありません。




【あなたのとるべき態度としては・・】

 以上に述べたことはあくまで法律的な判断です。

 あなたとしては、お母さんと話をされ、自分が共有持ち分30%を持っているのだから、その分に相当する賃料分配額を払ってもらえないかと相談されるといいでしょう

 その際、税金でも30%相当額を支払っているということも告げ、かつ管理もしているではないかということも併せお母さんに説明し、説得材料に使われるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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14:14 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★居住の利益と特別受益【Q&A №457】

2015/07/22



【質問のまとめ】

① 被相続人と相続人の一人が建築費用を折半して建てた家があります。

  被相続人の生前、その家には、相続人が一人で住んでいました。

  相続人に特別受益がありますか?


② 被相続人の家に相続人の一人が同居して、

  相続人の生活費の多くを被相続人が負担していました。

  相続人に特別受益がありますか?




記載内容

  居住利益 特別受益 建築費用


【ご質問内容】

遺産に不動産が含まれています。

土地は被相続人名義、家屋は建築費を被相続人と相続人Aが半分づつ負担し共同名義で相続人Aが居住しています。

被相続人は相続人Bと同居しており、Bは生活費として月に3万程度負担していました。

上記の場合、相続人A・Bともに特別受益になりますか?

また共同名義の家屋の現在の価値の半分が遺産の対象として含まれるのでしょうか?

特別受益と遺産との場合では相続分に価値的な違いが出てくるのでしょうか?




(迷える羊)







【Aの特別受益は居住利益】

 わかりやすくするために、被相続人がお父さん、AとBはその息子という前提で話をしていきます。

 お父さんとAとがそれぞれ建築費用を出して建築し、共有である家を、Aがお父さんから(半分)借りて住んでいたというケースです。

 Aの特別受益は、その家屋が共有である(つまり、家屋の半分はお父さんのものである)にもかかわらず、家屋の全部を使用している利益(正確に言うと、お父さんの持ち分を利用している点についての利益)と思われます。

 具体的には、その家の家賃相当額の半額(正確には土地利用料も考えられるが)を免除されたものとして、これを特別受益だと主張することになるでしょう。



【同居者の生活費の部分は特別受益が減殺される】

 Bについては、特に記載されてはいませんが、お父さんの家に無償で同居していたとすれば、家賃相当額が特別受益であるとの考えもあり得そうです。

 しかし、親と同居の場合には、扶養義務のある親子関係の同居であること、Aのような独自の居住状況ではないことや、親の面倒や介護をしていた等の理由からか、家賃相当額が特別受益になると主張されることは少ないようです。

 むしろ、このBのようなケースでは、親の介護をした等とかを根拠として、特別寄与等の主張が出てくる可能性さえあります。

 次に、Bは生活費を3万円出しているとのことですが、現実の生活費よりかなり低額であっても、被相続人と相続人が親子の関係であればお互いに扶養義務を負っていますので、特別受益とならない場合も多いです(この点は当ブログ【Q&A №254】母の生活費負担と特別受益・寄与分もご参照ください)。

 参考までに言えば、過去の裁判例では月十数万円程度の生活費提供でも特別受益にならないとしたものがあります。



【建物評価額の半額は遺産に組み込み】

 最後に、お父さんの有する共有持ち分は被相続人の遺産になります。

 おそらく本件のような場合には、Aが居住している家(正確にいうと被相続人の土地とその土地上の建物の共有持ち分)を相続で取得し、Bは被相続人と同居している家を相続で取得するということになりますが、それぞれの価額に差があれば、他の預貯金の相続で調整するか、代償金の支払いで調整することになるでしょう。

 評価基準時ですが、遺産の場合には遺産分割時点となります。

 特別受益の場合の評価時点は不動産等については、特別受益のあったときではなく、相続開始時とするというのが裁判例です。

(弁護士 大澤龍司)
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09:46 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

受取人が死亡した生命保険は誰のものか【Q&A №453】

2015/07/08

受取人がすでに死亡している場合、生命保険は誰のものか?



【ご質問内容】

 質問いたします。

 先日亡くなった母の生命保険の受取人が父になっていました。

 父は、33年前に亡くなっています。

 基本契約の保険料払い込み期間(10年)が昭和58年5月17日で終了しました。

 父が亡くなったのは、その三か月後でした。

 以降、終身特約の保険料は平成27年4月分までの33年間、長男である私の銀行預金から支払ってきました。

 特約の保険料は年額11,550円で、支払い合計381,150円です。

 配当金は死亡保険金25万円を加えて2,139,645円です。

 この保険金は他の法定相続人と分割する対象になるのでしょうか。

 分割する場合、2,139,645円―381,150円=1,758,495円÷法定相続人数でいいのでしょうか。

 よろしくお願いいたします。


記載内容

  生命保険 受取人 死亡

(ズボラマン)








【契約条項の確認が必要です】

 生命保険は保険会社と保険加入者との契約です。

 そのため、保険の受取人の方が被保険者より先に死亡し、受取人が変更されないままに被保険者が亡くなったような場合に、誰に保険金を渡すかについては、契約で決まることです。

 保険契約をした場合、小冊子を渡されますが、これは約款(やっかん)といい、この中に保険契約の内容が記載されています。

 この約款の中に今回の質問のような場合について、保険金を受け取る権利が誰にあるかということが記載されていますので、確認されるといいでしょう。

 なお、ほとんどの場合、死亡した受取人の法定相続人それぞれが《平等の割合》で取得すると定められているはずです。

 もし、その約款がないというのであれば、保険会社に事情を説明して、約款をもらわれるといいでしょう。



【原則は法定相続人が同じ割合で取得する】

万一、約款で決まっていない場合には、法律で決定することになります。

保険金請求権については最高裁の裁判例で遺産ではないとされています(【Q&A №298】生命保険が遺産に含まれる場合とは)ので、民法で定められた法定相続分に従って相続するということにはなりません。

保険法第46条には「保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる」と定めています。

この条文では相続人にどのような割合で相続されるのかは記載されていませんが、最高裁の判決では各相続人が平等の割合で取得するものと判断しています(最高裁:平成5年9月7日判決。なお、この裁判例は旧法である商法676条2項に関するものですが、現在の保険法にも適用されます)ので、約款に何らの記載がない場合には、各法定相続人が平等の割合で取得するという結論になります。



【あなたが支払った分の扱い・・立替金返還請求】

あなたは33年間で計38万円を支払っています。

この支払いは、本来、保険契約者であるお母さんが支払うべき分です。

それをあなたが支払ったのであれば、お母さんの保険料を立替支払いしたということになりますので、お母さんに請求する権利があると主張され、他の相続人の同意を得て、保険金から相殺されることに同意してもらうといいでしょう。

ただ、このような請求権は10年で消滅しますので、他の人がこの点を知っておれば、法律的には10年分しか相殺できないことになります。

なお、特別寄与で請求できるのではないかという可能性もあります。

特別寄与なら時効は関係ありませんが、ただ、保険金は遺産ではありませんので、そもそも特別寄与制度が利用できるのかという大きな問題点があります。

いずれにせよ、あなたが掛け金を支払い続けていたことにより、保険金が出たということは事実ですので、相続人にその点を了解してもらい、その分を保険金からもらわれた後、残額を法定相続人で平等分配するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:26 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

養子縁組前に生まれていた子の代襲相続【Q&A №414】

2014/12/03



 7年前に祖父が他界したとき(父:長男は既に他界)、遺言があり、遺産は、父の弟に全て渡す(ただし祖父の後妻に毎月50万支払条件)ことになり、その他の相続人(母、父の弟の妻(養子になっていた為)、父の妹、父の子供私と姉)は遺留分をもらっています。
 今回祖父の後妻が亡くなり、相続分割について話し合いがおこなわれています。
 後妻の養子には父、母、父の弟、弟の妻が入っていたのですが、父が既に他界していることから相続は、母、弟、弟の妻の3人で父の子供の私と姉には相続出来ないと言われています。弟夫婦は既に祖父の遺産を全て受けているのでせめて母に少しで多く残す方法は無いのでしょうか。
 祖父、後妻の財産の管理は弟夫婦が全ておこなっており、遺産分割の話し合いも弟夫婦に縁のある税理士が間に入りアドバイスをしているようです。


記載内容

  養子縁組 特別寄与 生前贈与

(ヒューマン)


【養子縁組の前に生まれていた孫は代襲相続できない】
 質問のケースでは、あなたのお父さんは、被相続人であるお祖父さんの後妻さんと養子縁組されています。
 ところで、養子縁組をされた後にあなたとお姉さん(以下、あなた達といいます)が生まれたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属になりますので、代襲相続ができます。
 しかし、養子縁組前に生まれていたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属ではなく、代襲相続はできません(※後記参照条文:民法887条2項但書参照)。

【法定相続分を動かす手段は特別受益か特別寄与ぐらいしかない】
 もし、あなた達がお父さんとお祖父さんの後妻さんとの養子縁組の前に生まれていた場合には、相続人はあなたのお母さんと(お父さんの)弟さん夫婦の3人となり、その法定相続分は各3分の1です。
 ただ、後妻さんが弟さん夫婦に対して生前贈与をしているというような《特別受益》に該当する事実があれば、お母さんの相続分を増加させることが可能になります。
 又、あなたのお母さんが、後妻さんの財産を増加させ、あるいは減少を食い止めたというような事情があれば、《特別寄与》として寄与分を主張できることがあります。
 それらに該当するような事情があるかどうか、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

【相続分の範囲内での解決しかない】
 後妻の相続では遺言も書かれていないようですので、法定相続分通り、①あなたのお母さん、②お父さんの弟、③弟さんの妻の3名がそれぞれ子の立場で3分の1ずつ後妻の遺産を相続します。
 そして、「祖父の相続の際に多く遺産を相続しているから」という事情はお母さんの相続分を増やす理由にはなりません。道理としてはよくわかるのですが、そのような事情を法律上反映する制度が我々の知る限りありません。
 その意味で、大変申し訳ない回答ではありますが、相続分の範囲内で可能な限りのご意向を実現するほかないように思われます。

《参照条文》  民法第887条:(子及びその代襲者等の相続権)
 1.被相続人の子は、相続人となる。
 2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
 3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

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16:57 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の年金収入からの支出と特別受益【Q&A №400】

2014/09/10
 11年8カ月間、2病院を継続入院していた母が、95歳10カ月で亡くなりました。
 その間の他の病院、医院への搬送、見守り、介護、諸用事などが、伴いました。
 葬儀終了後の翌々日、遠く離れた都会に住む弟(故人)家族から、遺産について、唐突に詰問するような長電話をうけました。
 亡き弟には2人の子(成人)がおり、二男がその母同席の下、かけたと後日、弟の妻が話しました。
 相続人は弟の子2人と私の3人です。
 母には遺族年金、厚生年金併せて月当たり28万円位(年330万円)あり、自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用として480万円残して逝きました。

 母は93歳1カ月時、認知症発症とレセプトにしるされてました。
 入院中の病院への支払いは月約10万円(年120万円位)です。
 
 49日忌法要には相続人の2人は欠席、弟の妻が出席、その際、法要後、用意した書類をみるか、と聞くと、「みなくていい、田舎の風習があるようだから」と、納得したものだとおもってました。
 ところが唐突に、調停を申立ててきましたので、驚いて困っています。
1 2年弱の入院期間中、弟の遺族は延べ……回病院へ顔だしたか? 

 葬儀、墓地の購入、墓の整備、法要関連費用に700万円超の出費です。

 弟の遺族は入院期間中の年金や遺産を公平?に半額分要求です。
 年金からの出費は、病院、後期高齢者保険料、雑費、家族の生活費などです。

 特別受益、持ち戻し免除とか、ご教示のほど、よろしくおねがいします。

記載内容

不正出金 入院費 介護費
(ろうねんろまん)


【特別寄与の主張について】
 お母さんが死亡し、相続人はあなた(法定相続分2分の1)と、亡くなった弟の2人の子供(代襲相続人、法定相続分は各4分の1)という案件です。
 さて、弟さん側はお母さんの面倒をほとんど見なかったようですが、このような場合でも弟さんの子供らには相続する権利があり、その法定相続分は上記のとおり4分の1です。
 親の面倒を見ないのに相続分を請求するのには不満がおありでしょうが、現在の民法の規定では相続人から除外することはできません。
 ただ、あなたがお母さんの面倒を見ていたのですから、遺産の減少を防止し、あるいは遺産を増加させたという点を主張して、特別寄与の申し立てをすることも可能です。
 ただ、一般的には生活の面倒を見たことだけで、特別寄与として認定されることは少ないのが実情です。
 特別寄与と認定されると、遺産の分割に先立ち、その寄与分があなたに支払いされます。

【特別受益について】
 生前、お母さんから金銭等の贈与を受けたような場合には特別受益の問題が発生します。
 あなたの家族の生活費がお母さんから出ているということであれば、この金額が特別受益と主張される可能性があります。
 あなたが生活に困っていたため、お母さんから生活費を援助してもらった、しかもその金額が月額で10万円程度であれば、それは親族間の扶助義務の履行であり、特別受益にはなりません。
 しかし、あなたが生活に困っていない、あるいは毎月もらう額が10万円をかなり超すというのであれば、その10万円を超す総計額が特別受益とされる可能性があります。
 そのため、お母さんが病院費や生活費に使った費用が多く、あなたが生活費としてもらったという金額が少ないという点を証明できるように用意されるといいでしょう。

【持ち戻し免除について】
 特別受益になる場合には、その特別受益額を遺産に持ち戻して(加算するということで、その分、分割の対象となる遺産額が増加します)、遺産分割をすることになります。
 ただ、特別受益になる場合でも、お母さんが《遺産への持ち戻しをしなくてもいい》と言っておられたような場合には、《持ち戻しの免除》の意思表示として、特別受益の持ち戻しをする必要はありません。
 生前に《遺産分割において持ち戻しをする必要がない》と発言したり、書面で書かれたりするような明示の意思表示をする場合だけではなく、状況からみて、そのような意思を推測できる(黙示の意思表示をしている)場合には、持ち戻しの免除が認められます。
 たとえば、相続人が病気や障害のある相続人のためにまとまった財産を生前に贈与しているケースなどは、持ち戻し免除とされる可能性があります。
 また、親と同居のために建物を建設する場合に、その親の敷地を無償で使用する権限をもらう場合も黙示の意思表示とされる場合があります。
 あなたの場合も、万一、毎月の生活費が特別受益に当たるなら、《親と同居してその世話を見ることを条件として援助を受けたのであり、持ち戻し免除があった》と主張されるといいでしょう。

【葬儀費用等の扱い】
 なお、お母さんは自己の葬儀、法要、墓の移転整備費用としてお金を遺していかれたということですが、葬儀費用は相続の際、債務や費用としては認められない場合もありますし、また、法事費用や墓の移転費用などは相続の費用としては認められない場合が多いです(相続 Q&A №308 をご参照ください)。
 そのため、安易に遺産である預貯金を葬儀や法事等のために使うのはかなりリスク(危険性)のある行動だということも記憶されておくといいでしょう。


※ご質問の文中、一部文字化けしているところがありましたが、ご質問の本旨には影響がないと思われますので、文字化け部分は「……」と表記し掲載させていただきました。
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13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親の生活費を負担しないことが特別受益になるか【Q&A №394】

2014/07/22

 20年親に生活費をいれてない弟夫婦、遺産相続の時この期間を特別受益と証明できますか?

記載内容

親の生活費 扶養義務 特別寄与
(ココ)


【親が生活に困っている場合には、子は扶養料を支払う義務がある】
 親子は直系血族ですので、互いに扶養義務を負います。
 そのため、親が生活に困っているようであれば、子供は扶養料を支払うべき義務があります(参照条文:民法877条。末記参照)。
 しかし、親が生活に困っていない場合には扶養義務はなく、子供が親の生活費を負担する必要はありません。

【親の生活費を負担しないということだけでは相続問題にならない】
 親が生活に困っているのに、弟さんが生活費を負担せず、あなたが生活費を負担したということであれば、それはあなたが扶養義務を尽くしたということであり、相続の問題ではありません。
 ただ、あなたの立場から言えば、自分が出した過去の養育料を弟さんに請求できるかという問題です。
 結論から言えば、弟さんの収入や生活状況とあなたの分とを比較して、同程度であればあなたが請求(求償)できる場合もあるということになりますが、むずかしい問題ですので、詳しくは家族問題に詳しい弁護士と相談されるといいでしょう。

【特別寄与になる場合がある】
 親が困っていないのに、親に仕送りをし、その分、親の財産の減少が食い止められたあるいは増加したというのであれば、相続の特別寄与の問題となる可能性があります。
 特に扶養義務を明らかに超えるというほど送金しておれば、特別寄与の対象となり、遺産から先に寄与分相当額を支払ってもらえるかもしれません。
 なお、この寄与分については、まず、法定相続人間で協議し、協議がまとまらない場合には家庭裁判所で決定することになります。

《参照条文》
民法第877条
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
 (以下略)
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15:50 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

同居すれば自宅を相続できるという兄の主張【Q&A №391】

2014/06/23
 数ヶ月前に父が亡くなり、その遺産相続で兄と揉めております。
 母は既に無く、兄弟は兄と私の2人です。

 兄は結婚しておらず、亡父と同居していました。私は既婚で独立しています。家と土地は父の名義、定期預金、普通預金があります。

兄と次のように主張しています。
1)自分には使用借権があるのだから、土地家屋の3分の1は自分の物である
2)15年ほど前に、父に500万円貸したので、遺産から、差し引いて欲しい
3)1と2を差し引いた残りを、2分の1ずつ分ける


 調停、裁判などになった場合、兄の主張は通るのでしょうか?
 実際は父に依存していた生活も、父の面倒を見ていたと主張すると思いますし、家の恥を宣伝することもないので、世間では、親孝行な息子で通っています。
 父は急死したので、病床の面倒は2人ともみていません。

 兄は一種のギャンブル依存症で、働いてはいますが、給料ののうちのほんの一部を家にいれるだけで、実際は、父の年金で生活していたようなものです。が、証明はできません。
 ですから、父の預金はないと言っても良い金額で、葬式費用と同額程度です。

記載内容

使用貸借 同居
(困っている妹)


【使用借権と所有権とは無関係】
 お兄さんが無償でお父さん名義の不動産を使用していても、お兄さんがその不動産の所有権を取得するわけではありません。
 無償で使用する権利である「使用借権」を取得するだけです。
 又、今回のケースは、お父さん名義の家を無償で使用しているだけですので、正確な表現をすると「お兄さんはお父さんから、家を無償で使用する権利(使用借権という債権)を与えられていた」ということになります。
 「土地家屋の3分の1は自分の物」というお兄さんの主張は間違いです。

【使用借権の価額】
 家が使用貸借の対象となっている場合、その家の価額が減価されます。
 家の使用借権の場合、ケースによって異なるでしょうが、底地の更地価額の10%程度の減価はやむをえないでしょう。

【使用借権は特別受益である】
 お兄さんは、お父さんから無償で、家に居住する権利をもらいました。
 そうすると、その使用借権は生前贈与になる可能性が高いです。
 結局、お兄さんとしては使用借権を主張して、それが認められても、その反面、その使用借権が特別受益とされ、プラスとマイナスの面があるということになります。

【貸金の返還について】
 お兄さんがお父さんに対して500万円を貸していたという点が証明できるのであれば、その債務は相続債務であり、あなたは法定相続分の2分の1ですので、金250万円の返還義務を負います。
 しかし、15年も前の債務というのであれば、消滅時効にかかり、返還が不要だという反論もできます。

【特別寄与にはならないか】
 なお、ややこしいことを言いますが、仮に消滅時効としても、その分特別寄与をしているのだというお兄さん側の反論も出てきそうです。
 消滅時効になった場合、その分を特別寄与という形で請求できるか、議論のあるところですが、そのような問題点が持ち上がる可能性も考えておくといいでしょう。

【今後の対策について】
 とりあえずは、今回の回答を参考にお兄さんと協議されるといいでしょう。
 なお、円満な協議ができないのであれば、家庭裁判所で遺産分割の調停をし、第三者である調停委員の意見を参考に解決の道を探るといいでしょう。
 なお、協議がまとまらないのであれば、早期に相続に詳しいお近くの弁護士に相談され、場合により事件を依頼することも考えていいでしょう。
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14:22 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

介護をした相続人と寄与分【Q&A №371】

2014/05/01
 母と二人で在宅介護をしてきた父が家で亡くなりました。
 父には遺言書などなく相続人は母と兄姉と自分の4人です。
 兄の方は父の介護を二人に押し付けていたのに遺産を貰うなんて出来ないと、放棄すると言われましたが姉の方は介護なんて自分には関係ないと遺産を要求してきました。
 そこで寄与分についてですが、父は10年前に介護度3が認定され5年前からは5に上がり認知症まで加わった寝たきり生活になりました。そして4年前からは重度のパーキンソン病を患い、2年前からは肺炎を患って胃ろうになりました。介護の間、訪問看護やヘルパーなど頼まず二人だけでしてきました。(胃ろうになってからは訪問看護の人に週一で30分だけ来てもらっていました。)
 介護度5になった辺りから痰が多く吸引機で取っていました、肺炎後からは肺炎防止の為に吸引回数も24時間体制で取っていました。床ずれも大きなポケットが3か所もあり床ずれの場所に圧を掛けない為に体の向きを2.3時間程度に一度は右に向けたり左に向けていました。
 訪問看護の方からはこんなに見てる家族は初めてとまで言われました、父には家族さんにこれだけ見てもらっこんな幸せな人はいないと皆さんから言われました。
 寄与分ですけど姉に対して主張が可能でしょうか、もし調停にまで行ったら寄与分は認められる可能性はあるでしょうか。
 駄文で申し訳ありませんけど、お願いします。

記載内容

介護 ヘルパー 相続分譲渡 相続放棄 特別寄与
(S-Ran)


【療養看護の寄与にあたる可能性があります】
 法定相続人が被相続人の療養介護に努めた場合、遺産の分割に際して特別寄与が認められることがあります。
 ただ、あなたについて言えば、父子関係にあったことから、療養介護は《親族間の扶養義務》の履行であり、《当然なすべき義務を履行しただけである》として、それほど多額の寄与分は認められないのが普通です。
 ただ、あなた方が介護したことにより、ヘルパー等の介護料金等を支払わなくてもよくなったと認められる場合には、その支払いが不要となった金額が特別寄与として認められる可能性があります。

【具体的には・・】
 質問を見ると、
《父は10年前に介護度3が認定され5年前からは5に上がり認知症まで加わった寝たきり生活になりました。》
《そして4年前からは重度のパーキンソン病を患い、2年前からは肺炎を患って遺漏になりました。》
《介護の間、訪問看護やヘルパーなど頼まず二人だけでしてきました。(胃ろうになってからは訪問看護の人に週一で30分だけ来てもらっていました。)》
《介護度5になった辺りから痰が多く吸引機で取っていました、肺炎後からは肺炎防止の為に吸引回数も24時間体制で取っていました。床ずれも大きなポケットが3か所もあり床ずれの場所に圧を掛けない為に体の向きを2.3時間程度に一度は右に向けたり左に向けていました。》
と記載されています。
① どの時期からヘルパーが必要になったのか?
② 週単位でどの程度ヘルパーが必要であったのか?
③ その時点でのヘルパーの料金はどの程度であったのか?

等を調査・確認した上で、その総額を特別寄与として請求されるといいでしょう。

【お兄さんには放棄ではなく、相続分の譲渡をしてもらう】
 お兄さんはあなたの努力を認めて、遺産を放棄すると言われているようです。
 この相続放棄が家庭裁判所に対する相続放棄の申述をするのか、あるいは遺産を請求しないのかがわかりませんが、いずれにせよ《相続放棄》だけでは不十分です。
 お兄さんには相続放棄ではなく、相続分をあなたに譲渡するようにお願いをしましょう。
 相続放棄をすると、お兄さんを除いて他の相続人で遺産分けをすることになり、妹さんの取り分が増えます。
 相続分の譲渡であると、お兄さんの取り分もあなたの取り分に加算されます。
 なお、お母さんも協力していただけるのであれば、その相続分をあなたに譲渡するといいでしょう。
 相続分譲渡については、相続分譲渡書に実印を押してもらい、印鑑証明書をもらっておくといいでしょう。
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16:30 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

農地を宅地に転用した場合の扱い【Q&A №331】

2013/11/26
 今年、9月に父がなくなりました。相続人は母、兄弟3人です。
 私は次男で、10年前にとなりの畑を農地転用し家を立てました。名義はまだ父のままです。
 農地転用などにかかる費用はすべて私が払いました。土地の固定資産税も父に払っておりました。
 遺産分割の際は農地としての評価ですか、宅地としての評価になるのでしょうか?
 父は他に農地とアパート3棟所有しております。

 遺産分割の際の知識とさせて下さい。
 ご教示お願いたします。

記載内容

農地 転用 貢献度 固定資産税の支払い 寄与
(ゲンキ)


【基本は相続時の状態で評価】
 相続は、被相続人が死亡した時点でその財産が相続人に引き継がれる制度です。
 そのため、相続開始時(=お父さんの死亡時)に宅地であった場合には、その土地は宅地として扱われ、それを前提にした遺産分割がなされます。
 これを貫くと宅地にして価格をかなり向上させたあなたとしては、「自分が価値を上げた功労も考慮して欲しい」という考えを持たれることと思います。

【寄与分という制度により評価】
 ただ、あなたとしては、農地から宅地にする際に、盛り土をする等の作業を業者に依頼して、その費用を支払ったという場合には、その寄与を認めて、遺産分割に反映させようという制度《特別寄与》があります。
 本件の場合、あなたがその土地の上に(あなた名義の)家を建築されたようですので、他の相続人からは《自分のためにしたのではないか》という苦情も出そうですが、土地が  お父さんの名義であり、その価値が農地より高額になったというのであれば、特別寄与として認められる可能性もあるでしょう。
 特別寄与になる場合には、遺産の分割前にその寄与分相当額が遺産から差し引かれ、寄与分を差し引いた残りの遺産を法定相続人でその相続分に応じて分割することになります。

【固定資産税の支払いについて】
 あなたは土地の固定資産税をお父さんに支払っていたということですが、この分の返還は可能かが問題になります。
 あなたがお父さんに土地の固定資産税分を貸し付けたというような証拠(借用書)でもない限り、あなたが、その土地上にあなた名義の家を建築されているようですので、その固定資産税相当額のお礼としての支払いと考えることになる可能性が高いでしょう。
 そのため、その固定資産税の返還を求めることは難しいでしょう。

【特別受益の主張が他の相続人から出る可能性がある】
 あなたがお父さんの土地上に建物を建築しているのであれば、あなたにはお父さんの土地を使用する権利が発生します。
 賃料を支払っていないのであれば、それは使用借権という権利です。
 お父さんからこの権利をもらったことが、生前贈与的なものとして、他の相続人が特別受益を主張してくる可能性があります。
 使用借権の価額は土地価額の10~30%程度といわれていますが、ともかく法定相続人からそのような主張がでてくることも予め考慮しておく必要があるでしょう。
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17:00 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義で購入した不動産と特別受益【Q&A №263】

2013/04/02
 先日祖母が亡くなり、現在父と叔父(父の弟)の間で遺産分割について協議中です。

 30数年前に祖母がアパートを建てたのですが、その際建物の名義は祖母、土地の名義は父にしていました。長男に家を継がせるという考えが強く、先々のことを考えてのことだったようです。
 アパートの家賃収入などは全て祖母で、父はこのアパートに関する事には一切ノータッチでした。固定資産税はずっと父が払ってきました。

 叔父の主張は、この土地は生前贈与に当たるから法律上それも遺産に加えた上できっちり半分ずつにするのが当然だというものです。

特別受益に当たるのでしょうか?

記載内容

名義 生前贈与 遺産 固定資産税
(おタル)


【特別受益にあたる可能性もありますが・・】
 土地がお父さん名義ということですが、どのような原因でお父さん名義になったのでしょうか。
 登記原因により、特別受益の問題になったり、名義貸しの問題になったりしますので、場合分けをして回答します。

①まず、問題の土地が元々はお祖母さん名義であったのを、お父さん名義にしたというのであれば、登記の原因としては贈与になる可能性が高く、この場合には土地の価額が特別受益なります。
②次に、第三者(他人)から土地を購入した際に、お父さん名義にしたというのであれば、その購入代金が誰の名義で支払いされたかが問題となります。
 お祖母さんが土地代金を出したが、登記名義はお父さんにしたというのであれば、 その土地の実質的な所有者はお祖母さんという主張が出てくる可能性があります。
 この場合には、特別受益の問題は発生せず、土地の名義上はお父さんであっても、  実質的にはお祖母さんのものであり、その遺産であるという扱いになります。
③お父さんが土地代金を出したが、その代金はお祖母さんからもらったものであるとすると、お祖母さんからもらった土地代金相当額が贈与になり、この代金額が特別受益の内容になります。

 このように、お父さん名義の土地でも、登記に至る事情により回答が異なってきますので、登記簿謄本を確認して登記原因を調査し、かつ、購入した土地ということであれば売買の実情を調査する必要があるでしょう。
 
【固定資産税の支払いは考慮される可能性がある】
《土地が実質上、お父さんのものである場合》
 お父さんがアパート(土地及び建物)の固定資産税を支払ってきたということですが、土地がお父さんの所有物とされる場合(前項①③の場合)には、当然お父さんが土地の固定資産税の支払いをする必要があり、この分をお祖母さんの遺産分割で返還を求めることはできません。
 但し、お父さんとしては、自分の土地の上にお祖母さんの建物があり、土地を無償使用されていることになります。お祖母さんとしては、土地の賃料の支払いを免れているわけですから、過去の賃料相当額を特別寄与として、遺産分割の際に請求することも考えていいでしょう。
 あるいは、無償使用させたこと自体(使用借権)により、お祖母さんが利益を受けているのですから、その無償使用できた利益自体を特別寄与として請求することも可能です。

《お父さんの土地所有権が認められず、お祖母さんの遺産になる場合》
 前項の②の場合であれば、土地はお祖母さんの遺産になります。
 その時には、お父さんは、本来の土地所有者であるお祖母さんの固定資産税を支払ってきたわけですから、お祖母さんの遺産が減少することを防いだとして、固定資産税の支払い分をお祖母さんの遺産に対する特別寄与として請求することが可能でしょう。


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12:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★農地の評価【Q&A №246】

2013/02/19
父の了承のもと使用貸借という形で父の畑を宅地化し、アパートを建てて経営をはじめました。ほどなくして父が死亡したためその土地を相続をしようと思いましたが、なんと宅地化で評価が200倍以上に跳ね上がり、私は現金の相続が一切できないとのこと。土地の評価は相続発生時だということは十分承知しております。しかし、宅地化にあたり、整地その他で1000万円近くかけました。隣の土地を相続する妹は、畑のままなので評価が低いため、土地プラス現金です。これはあまりにも不公平だと思います。最寄りの弁護士にも相談しましたが、土地の評価増の寄与分の主張可能、ほぼ無理など意見が分かれ、ネット上で検索しても意見が分かれています。もっとも評価増の原因は、私の貢献ということではなく、実際は現況を宅地にした手続きによるものだと思います。
 私のようなケースでも、調停、審判となった場合、固定資産評価をもとに機械的に判定されてしまうのでしょうか。
※他の相続人にとっては、私の不利益は自分たちの利益になるので話し合いには一切応じません。税金上の問題はありません。私が相続する土地と妹が相続する土地は、隣り合っており極めて似通った土地です。唯一の違いは現況が畑か宅地かです。

記載内容

農地 宅地 整地 転用
(HO)


【農地の評価の問題】
 土地の評価で、相続対象が農地の場合、難しい問題があります。
 特に宅地に隣接しており、将来宅地になる可能性がある土地については、どのように評価するべきかという問題があります。
 結論から言えば、そのような土地は評価証明や路線価ではなく、宅地に相当する土地として、宅地並みの金額を主張することは可能でしょう。
 ただ、その際に主張する不動産価額をいくらにするかは不動産鑑定士さんに依頼して評価してもらうしかないでしょう。
 今回のように近隣地が宅地化されており、法律上宅地への変更が可能ということであれば、宅地並みの財産として評価すべきという判断をした裁判例もあります。

【特別寄与の問題】
 お父さんの農地を宅地化した際に、1000万円かかったということのようですが、その金銭はだれが出したのでしょうか。
 お父さんが出したのであれば、特別寄与の問題は出てきませんが、あなたが出したというのであれば、特別寄与を主張されるといいでしょう。
 なお、相続対象の農地について言えば、仮に宅地並みに評価するとしても、その造成費が土地価額評価の減価要素となることを念のために申し添えます。


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14:03 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★同居の両親からの相続を有利にもっていくには【Q&A №178】

2012/07/26
 現在 住宅ローンを支払いながら義理の両親と同居しています。支払いは、生活費を義母に渡しています。ローン・土地・建物の名義は義父になっています。主人には姉がいます。
 姉が相続の権利放棄をしない場合、同居していた・ローンを支払っていたという事は相続する際に有利になるのでしょうか?もし有利になるとしたらどのような事ですか?

記載内容

同居 遺産分割 住宅ローン 特別寄与 遺言書 

(ゆう)


【父名義の住宅ローンを支払いは特別寄与になる可能性があります】
 お義父さん名義の住宅ローンを支払っているということですが、もし、あなたのご主人のお金で支払っているのなら、特別寄与で相続財産を余分にもらえる可能性があります。
 もし、あなた自身がお金を出している場合でも、あなたとご主人は一体であるとして、ご主人の特別寄与としてもらえる可能性もなくもありません。

【支払っているということの証明をする必要があります】
 生活費を手渡しという現在のやり方では、住宅ローンをあなたのご主人が支払っているという証明ができていません。
 この点の対策としては、今後、お義父さんの住宅ローンが引き落としされる銀行口座にご主人の名義で送金をするのがいいでしょう。
 なお、過去の交付分については、住宅ローンとして支払ったということをお義父さんに書いてもらうことも考えていくことも考えましょう。
 どのような口実で、そのような書面を書いてもらうかは、あなた方夫婦の知恵の絞りどころでしょう。

【同居を相続に活かす方策は・・】
 親の面倒を見ていたという事実があっても、それだけでは遺産分割で有利になることは少ないです。
 ただ、お義父さんらと同居しているというのであれば、是非、お義父さんにお願いして遺言書を書いてもらいましょう。
 お義父さんがあなた方夫婦の同居に感謝しているのなら、あなた方夫婦に有利な内容を記載してくれる可能性が高いでしょう。
 同居を相続に活かすには、遺言書という形が定石です。


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16:26 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★家を買ってもらった妹の相続分【Q&A №8】

2009/08/27

現在、家庭裁判所で遺産相続について、争うところです。兄弟は3人です。
妹は6年前に、生前贈与で、親に約4,000万円のマンションを買ってもらっていますが、このマンションは遺産相続の金額に含まれるでしょうか?
通常、生前贈与は5年以内に買ってもらったマンションなら、遺産相続の金額の対象に入ってくるようですが、家庭裁判所で争うということで、特別な理由?として、金額の対象に入ってくるものか知りたいです。


記載内容

  特別受益 価格評価
(ぽんた)



【特別受益として相続財産に入ります】 
 妹さんが受けた生前贈与は、結婚または独立するためのものだと思われますので「特別受益」にあたると考えられます。
 この「特別受益」にあたる生前贈与は、遺産分割の際、相続財産とみなされますので、妹さんが被相続人に買ってもらったマンションの価格も相続財産に含めて計算します。
この制度は、相続人間の公平を図るために認められたものであり、贈与の時期に関係なしに認められますので、贈与時期が5年前か6年前かということは問題とはなりません。

【遺産に算入されるマンションの価額】
 ただ、マンションの価格は、贈与当時の約4000万円ではなく、また、遺産分割したときでもなく、相続開始時(被相続人の死亡時)の価額で算定されるということです。この点はご注意下さい。

☆ワンポイントアドバイス☆
わかりにくいかもしれませんので、具体例で説明します。
相続人が兄弟3人の前提で相続開始時の相続財産を6,000万円、特別受益のマンションの相続開始時価額を3,000万円とすると、各相続人の相続分は次のとおりです。
特別受益を加算した相続財産:9,000万円

計算式=(相続開始時の相続財産:6,000万円+特別受益:3,000万円)
【各相続人の相続分】
妹の相続分はなし(0円)です。
計算式 9,000万円÷3=3,000万円(各人の取り分)

《次にこの各人取り分から特別受益分を控除します》
3,000万円-3,000万円(特別受益分)=0円
他の兄弟は各人の取り分の3,000万円全額をもらえます。

 なお、お兄さんがお父さんと同居されていたとのことですので、お兄さんが親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。
 お兄さんの関与で、お父さんの財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、お兄さんの寄与分が認められることもあります。
 この場合、寄与分として認められた金額は、お兄さんが取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがなされますので、ご注意下さい。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:26 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

親の面倒を見た兄・財産をもらった姉の相続分【Q&A №7】

2009/08/20
 
先日、父が亡くなりました。
父は自宅と複数の駐車場や土地を持っており、自宅以外は他の人に貸して不動産収入を得ておりました。
私は次男で、私以外には兄と姉がいますが、遺産は兄弟3人で3等分することになるのでしょうか?
なお、長男は父と同居しておりましたし、姉は結婚する際、父から土地を貰っていましたが、これらは遺産分けに影響することはないでしょうか。


記載内容

  相続分 特別受益 寄与分 
(匿名希望)


【原則としては・・】
ご相談の件では、特に遺言書にも、また、お母さんのことにも触れられていませんので、遺言書なし、お母さんは既に死亡したとして回答します。
まず、原則としては、相続財産を兄弟がそれぞれ3分の1の割合で相続します。

【特別受益】
ただ、相続人のうち、生前に被相続人から財産を譲り受けていた人がいる場合には、この財産受けを相続の前渡しとしてカウントします(これを「特別受益」といいます)。
具体的には、今回の相続財産総額に、過去、お姉さんに贈与された土地の価額を加算して、相続分をそれぞれ計算します。

【具体的にもらえる遺産内容】
今回の質問では、具体的な遺産内容や贈与の額が記載されていませんが、仮に死亡時の相続財産総額は金4500万円とし、生前贈与分の土地は譲渡当時で1500万円とした場合、各相続人のもらえる遺産は次のとおりとなります。
計算上の相続財産:6000万円
計算式=相続財産総額:4500万円+生前贈与分:金1500万円を加算した金6000万円を前提に遺産分けをします。

各人の相続分は3分の1ですから、各相続人はそれぞれ2000万円をもらえることになります。
ただ、生前に贈与を受けた分は差し引いて計算しますので、今回の遺産分けでもらえる具体的な遺産内容は次のとおりとなります。
兄及び次男:金2000万円、姉:500万円

☆ワンポイントアドバイス☆
なお、お兄さんがお父さんと同居されていたとのことですので、お兄さんが親の面倒を見たので遺産を多くもらいたいと主張(これを「特別寄与」の主張といいます)してくることも考えられます。
お兄さんの関与で、お父さんの財産を増加させる或いは減少を食い止めるという具体的な事実がある場合には、お兄さんの寄与分が認められることもあります。
この場合、寄与分として認められた金額は、お兄さんが取得し、その額を差し引いた残額を前提として遺産分けがなされますので、ご注意下さい。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:09 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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