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実家に居座り続ける兄に家賃請求はできるのか?【Q&A №593】

2017/12/08


【質問の要旨】

父の死後、実家に住む兄から賃料をとることはできるか?

記載内容  賃料 無償 使用貸借 

【ご質問内容】

父が亡くなり2年になります。
母は10年前に亡くなりました。
現在遺産分割で調停中です。
兄弟は3人です。
母が亡くなった後、兄夫婦が実家で父と同居を始めました。
父は兄夫婦と賃貸契約を毎月家賃を徴収していました。
父が亡くなった後も兄は住み続けています。
兄は土地家屋、預貯金1/3を主張していますが私と弟は土地家屋も1/3を主張しています。
兄に父との賃貸契約時の1/3の金額を遺産分割終了まで求めることはできますか?
また父は生前兄夫婦には土地家屋は渡さないと言っていました。
そのため賃貸契約をして住まわせていました。
毎月の領収証も帳簿で残っています。
父は遺言を作るため、色々とメモに思いを起こしていた最中に亡くなったため遺言はありませんが自筆メモで意志が残されています。
実家はこのまま住み続ける兄のものになってしまうのでしょうか?
また土地家屋の分割はどうなるのでしょうか?


(める)



 (「兄弟3人」とのことですので、回答文中は「兄」「あなた」以外のもう一人の兄弟を「弟」と表記します。)
(敬称略で記載しています。ご了承ください。)

【死亡後の賃貸借は継続し、相続人3人が家主になる】
一般には親子間で賃料を払ったり、賃貸借契約書を締結するケースは少ないのですが、今回の質問は、父と兄が契約を締結し、賃料の支払いもされていたケースですので、親子間で法的な賃貸借契約が成立しています。
そのため、家主である父が死亡したとしても契約は終了しません。
現状では父の相続人である兄弟3人が賃貸人(家主)の地位を引き継ぎます。
法律的に言えば、《賃貸人の地位が3人に準共有される》ということになります。
その結果、あなたの兄弟がそれぞれ3分の1の賃料を請求する権利があります。
兄としては、自らも3分の1の限度で賃貸人ですので、その分の賃料の支払いは不要ですが、残りの賃料の3分の2については、あなたと弟にそれぞれ3分の1の賃料を支払う必要があります。

【兄は賃借人として居住を続けることができる】
前項で述べたように、父の死亡後も賃貸借契約は存続しますので、相続が開始しても、兄は賃借人の地位を失うことはありません。
そのため、兄の居住する不動産を兄以外が取得した場合でも、賃借権がある限り、兄は居住不動産から退去する必要はありません。

【父のメモの効力】
父は兄に土地建物を相続させないというメモ書きを残されていたようですが、法律的に言えばそのようなメモは遺言書ではなく、その内容が法的効力を持つことはありません。
ただ、父の考えがそのようなものであったとして、あなたと弟の方が不動産を取得したいと申し出することは当然、可能です。

【兄以外の者の不動産取得と退去の関係】
しかし、あなたあるいは弟が不動産の単独の所有権を取得したとしても、兄は賃借権を持っているのですから、そこに居住を続ける法的な権利があります。
所有権を取得したとしても、その取得したあなたあるいは弟としては、兄を追い出すことはできないことはご承知ください。

【土地家屋の分割について】
遺産分割調停などでは、兄が居住している場合には、調停委員はその不動産の所有権を、居住者である兄に取得させることが多いでしょう。
その場合は、その不動産を取得した分、兄の取り分が減少することになります。
もし、兄がこの不動産を取得することによって、法定相続分でもらえるはずである金額以上を取得するということであれば、兄があなたと弟に対して代償金を支払う必要があるということになります。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
16:04 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分の計算方法【Q&A №166】

2012/06/20
 遺留分減殺請求について

 私は、異母兄弟の子で相続人は数人います。父(妻はすでに死亡)は今年亡くなり、兄は父が亡くなる7年前に死亡、兄には息子A・B・Cがおり、兄が生前中において、父が息子Aに23年前に家を4000万円で建ててあげ、建てた時点で名義を息子Aにしました。その家の土地は父死亡時まで父名義で無償で息子Aに使用させ、父死亡時遺言に息子Aにあげる旨記載あり、評価額4200万円です。父は息子Aの家での同居は全無しです。
息子Aは、もらい分が相続割分を超えています。

<質問>
 息子Aの家に対し遺留分請求できるか?
 また、遺留分請求割は10分の1だが4000万円に対して10分の1でよいのか、それとも?息子Aは、家の土地に対し無償使用になると思うが、請求額算定方法はどのようになるのか。(更地価格の1割~3割とよく書かれているが使用年数もあり算定方法が不明です。請求額はおおよそいくらになるか教えてください。)
 息子B(死亡)の嫁が父と養子縁組をしており、養子縁組後、生前に現金をもらっています。相続遺言書には名前は記載されていません。もらい分は相続割分を超えていませんがその者の現金に対して遺留分請求は出来ますか?
 ちなみに、「遺留分減殺請求書」は内容証明書にて提出済みです。
 お忙しい所済みません、よろしくお願いいたします。

記載内容

無償使用 養子縁組 建築資金

(べる)


【遺留分は遺産総額の10分の1です】
 ご質問にはご兄弟の人数が記載されていませんが、もし5人であれば遺留分割合は10分の1です。
 遺留分は《遺産総額×遺留分割合》によって計算されます。
 あなたが相続できる遺産がこの額より少ないと遺留分が侵害されたことになり、遺留分の減殺請求ができます。

【息子Aに対する建築資金は遺留減殺の対象になる】
 遺留分の計算の前提となる遺産は死亡時の財産だけではなく、相続開始1年前までの贈与も含まれます。
 又、裁判所の見解では、共同相続人であればそれ以前の贈与も遺産に含まれるものとして扱われます。
 息子Aさんは、代襲相続で共同相続人になりますので、23年も前の建築資金の贈与も原則として遺留分算定の遺産の中に入るものと思われます。
 (但し、Aさんのお父さんが生きていた場合には、Aさんは相続人ではないため、その生前贈与を受けた分は遺産に含まれないということになります。代襲相続をしたから生前贈与分が遺産に組み入れるというのはおかしいのでは・・という考えもあります)。

【土地の遺贈は減殺の対象になる】
 遺言によるAさんへの遺贈は遺留分計算の前提となる遺産に入ります。
 そのため、遺留分の侵害があるなら、まず、これが最初に減殺の対象になります。

【土地の無償使用分も減殺の対象にはなる】
 Aさんは土地を無償で使用する権利を得ています。
 Aさんが代襲により共同相続人になったのですから、この無償使用できる権利を設定してもらったことも生前贈与と同様に扱われることになります。
 そのため、この権利の価額が遺産に組み入れられることになります。
 なお、この無償使用の価額については確実な算定式というものはありません。
 土地の価額算定の専門家は不動産鑑定士ですが、仮に3人に鑑定を依頼しても、その価額が一致するということはないでしょう。
 権利の存続期間や使用状態等を総合的に判断して、最終的には裁判所の判断で決定されることになります。

【息子B(死亡)の嫁のもらった生前贈与に対する減殺請求】
 息子B(死亡)のお嫁さんはお父さんと養子縁組をしているので、共同相続人です。
 そのため1年以上前の贈与でも遺産計算に組み入れられます。
 ただ、減殺は遺贈から先に行われますし、そのお嫁さんの《もらい分は相続割分を超えていません》というのですから、減殺の対象になることはないでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
18:44 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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