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相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案【コラム】

2017/03/07
相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案


【配偶者に対する新優遇案が出されました】

現在の相続制度の見直しがされており、法制審議会の相続部会で審議されています。

平成29年2月28日、法務省から新たな案が出されました。

その内容は配偶者を相続上、現在より優遇しようというものです。

具体的に言うと、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦間で

②居住用の建物や土地を

③生前贈与や遺言遺贈を受けた場合

これらの贈与や遺贈の対象の不動産を遺産の計算に含まないというものです。

贈与者あるいは遺言者としても、このような贈与等は、遺産の計算に持ち戻さない(含めない)という意思があるだろう点を根拠にする提案です。


【現在の相続制度との比較】

現在の相続制度では、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた配偶者が、これからもその家で暮らしていくために家を相続した結果、他の遺産をまったく相続できないというケースがありました。

また、自宅以外の他の財産が少ない場合には、家を相続したことによる代償金という形で、他の相続人にお金を支払う必要があるというケースもありました。

これに対して、今回の新優遇案では、自宅の贈与等を受けていても、配偶者は自宅を取得分とカウントされずに、別途、他の遺産についても自分の相続分に応じた遺産をもらえることになります。


【弁護士コメント】

残された配偶者優遇策としては法定相続分を上げるということも考えられますが、反対が多いようです。

そのため、居住用不動産に限定して配偶者を優遇しようとする考えがだされています。

たとえば、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、

①遺産分割により当該建物の帰属が確定するまでの間、その建物を無償で使用することができ、その間の使用料は遺産分割で取得すべき財産額に算入しないとする案や、

②終身又は一定期間、配偶者にその建物の使用を認め、長期居住権の財産的価値相当額を相続したものとして扱う(建物の所有権額よりは低額になる)という案もあります。

それらに比較すると、今回の新提案はこれらより一歩踏み込んで、残存配偶者が財産を多く取得できる方向での提案です。

ただ、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦に限っていること

②被相続人から贈与や遺贈という積極的な行為が必要である

などの要件が必要とされています。

上記の要件が必要とされている点では、他の案よりもハードルが高くなっていますが、逆に、生前贈与や遺贈があれば、その額を遺産の計算に持戻すことなく、家の所有権を取得できるというのは、配偶者の優遇策として進んでいるといえるでしょう。

多数の賛成者があるようですので、今回の提案が立法化される可能性も高いかもしれません。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:20 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

葬式費用の負担者と香典の取得者【Q&A №560】

2017/02/16


【質問の要旨】

父の葬儀の喪主が叔父、葬儀費用は遺産から払ったが、香典は誰が受け取る?

記載内容 香典 葬式費用 喪主

【ご質問内容】

母とは離婚、片親だった父がなくなり、葬式をあげる事になりました。

24歳の姉と21歳の私(2人姉妹)は知識も、まとまったお金も無いからと、何も費用などの相談も無いまま父の弟である叔父が喪主を務め、葬式費用も返してくれればいいからと立て替えてくれました。

後日かかった費用の領収書を受け取り、返すように言われ葬式費用は遺産から返したのですが、この場合香典は誰が受け取るべきですか

実際に喪主を務めた叔父が香典を受け取るとしたら、父の葬式なので葬式費用は私と姉で叔父に返すべきなのですか?

(麗華)





【葬儀費用は喪主が負担する】

葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません。

そのため、当然に遺産から支払われるべきものではなく、喪主が負担するものです。

したがって、今回叔父さんが喪主を務めてくれたのであれば、本来は叔父さんが費用を負担するべきだということになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

今回の事案とよく似た裁判例として、次の裁判例があります。

【相続判例散策】兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従うと、やはり叔父さんが支払った葬儀費用をあなた方に請求することはできないという結論になりそうです。


【香典は葬儀費用を負担した者が取得する】

ただ、本件では、あなた方に代わって叔父さんに喪主を務めていただき、葬儀費用を支払うことについてあなた方が納得して遺産から葬儀費用を支払ったようです。

このとき、香典は誰が受け取るべきなのかが問題になりますが、香典には葬儀費用等の出費に対して金銭面で助けるという意味もありますので、本来香典は葬儀費用を負担した者が取得するべきだといえるでしょう。

本件において、あなた方が遺産から葬儀費用を支払ったのであれば、香典収入は叔父さんに渡すのではなく、遺産に含めるべきだと考えられます。


【本件ではどうする?】

そのため、今回の質問のケースでは、本来は、あなた方は叔父さんに葬儀費用を支払う必要はありませんでした

ただ、既に葬儀費用を支払った(もらった遺産からその分を返した)というのなら、葬儀費用の返還をしてもらっても良いということになります。

しかし、現実問題としてはそのような要求を出しても、応じてくれないでしょうから、せめて、香典は引渡すように請求されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

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14:41 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】

2017/01/25


【質問の要旨】

母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】

父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。

弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。

以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。

その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。

嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか

また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)





【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】

お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません

あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。

しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。

そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。

あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。

お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。


【成年後見人をつけることも考える】

現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。

家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。

今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。


【現時点でできることは何か?】

ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。

その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。

そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう

通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。

履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。

現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

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16:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

口頭での分割協議と数次相続【Q&A №544】

2016/11/21



【質問の要旨】

口頭では遺産分割協議がすんでいるが、登記はしていない不動産について

記載内容 数次相続 未登記 固定資産税

【ご質問内容】

父親が10年前に死んだのですが、そのとき 相続人が母、姉2人の私だったのですが、貯金1000万円は母に相続し、不動産は私が相続、口頭でも相続協議分割は成立するので、その時に相続協議分割は成立したと思ってました

そこで、その時以来、父名義の不動産はすべて私所有になったと思ったのですが、私の名義変更はしませんでした

それで、固定資産税は、母あてに送ってきて、母がなくなる前1年間ぐらいは私が母名義の、固定資産税を払ってました。母が死んだのですが、相続税のお尋ねと申告書が一緒に送られてきました。

1.この場合、相続税のお尋ねの欄の母の相続財産は、父名義の不動産を書くのでしょうか?

母の相続財産の欄の不動産名義の先代名義の欄に私の父名義になっているのですが、私所有なのでかかなくてもいいのですか?

2.税務署は、固定資産税の支払いが母になっていたので、すべての不動産が母所有だとして、相続税をかけてくるのでしょうか?

市役所から送られてくる固定資産税には、母現所有と書かれてました。このことは、相続税がかかる場合に影響をあたえるのでしょうか?

3.母が死んだので、この際、父名義から私名義に不動産を変えようと思って姉2人ににいったら、今度は法廷相続分の3分の1よこせ、応じなければ変更に同意しない、といいだしました。

このことは、相続税のお尋ねに記入する場合、影響を与えますか?

(gjghjkghk)







【法律問題についてのみ回答します】

今回の質問は税務署からの《相続のお尋ね》にからむ税金の問題と遺産分割協議の成立に関する法律の問題との2つの側面があります。

当ブログは法律面での相談を扱っておりますので、遺産分割協議について回答します

なお、税金については税理士等、税務の専門家に相談されることをお勧めします。


【お父さんの遺産分割協議が成立の証明がむずかしい】

10年前に死んだお父さんの遺産分割については、あなたは《相続分割協議》は成立したと判断されているようです。

しかし、相続分割協議(遺産分割協議)は口頭でも成立しないわけではありませんが、遺産という通常は多額な財産の分配問題であることや不動産の登記手続きを伴いますので、書面化するのが通常です。

しかも、単に書面化するだけではなく、法定相続人全員が署名して実印を押し、かつ印鑑証明書も添付して、誰が見ても間違いなく合意されたことが証明できるような形にして残します。

今回の質問の場合、あなたが口頭で成立したと理解していても、該当する不動産が10年間も未登記であることや、現時点ではありますが、他の2人のお姉さんが法定相続分を主張していることを考えると、遺産分割協議が成立し、あなたが不動産を単独で取得することを証明することはむずかしいと思われます。


【お父さんの遺産分割協議がない場合のお母さんの遺産】

仮にお父さんの遺産分割協議ができていないとした場合、お父さんの不動産のうち、その2分の1がお母さん、残りは姉妹3人で各6分の1ずつを共有することになります。

なお、遺産の分割は分割協議や家裁の審判で決定されることです。

協議合意等が存在しない以上、市役所からの書類に「母所有」との記載があっても、又、固定資産税の関係で誰が支払っていたとしても、お母さんの単独所有にならず、お母さんの遺産にあるのは、お父さんの不動産の2分の1でしかありません。


【今後、お父さんとお母さんの双方についての遺産分割協議をする】

前記のようにお父さんの遺産分割協議はされていないということになると、お父さんとお母さんとの双方について遺産分割協議をする必要があります。

もし、その遺産分割の合意ができればその旨を、又、合意できなければできないでとりあえずは法定相続分で分割したとの想定で税理士さんと相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:24 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

口頭による遺産分割協議の効力【Q&A №520】

2016/07/19



【質問の要旨】

口頭で不動産の相続に合意したが、登記に応じてくれない

記載内容  口頭 約束 登記

【ご質問内容】

5年前親が死んで、貯金は500万円 姉が相続し、親と同居していたわたしは、家と土地、畑を相続するということで合意しました

それは口頭で合意したもので、遺産分割協議書はつくってませんでした

ところが、登記名義を私に変更しようと思い、姉にいったら、それに協力してくれません。

1.姉にたいして、相続登記に協力せよ、という裁判はおこせるのでしょうか

その場合、私のほうで、立証しなければいけないことはありますか?

2.また、家裁に遺産分割協議をわたしが、申請した場合、どうなるのでしょうか

家裁はすでに、遺産分割協議は終了している、と判断して受け付けてもらえないのでしょうか?

それとも、私の主張とおり、私への名義変更がみとめられるのでしょうか?

それとも、遺産分割協議をやりなおして、民法の法定相続分とおりの判断がなされるのでしょうか?

この場合、不動産価格が3000、万円ぐらいなので、私に不利となります。

(dfhfgj)






【相続登記を求めて訴訟はできるが・・】

お姉さんを被告にして、遺産である不動産を私の単独名義に移転登記せよとの訴訟を起こすことは可能です。

問題は、勝訴するかどうかです。


【あなたが不動産を相続することの合意の証明責任がある】

遺産分割協議については、通常の場合、分割内容を記載した書面を作成し、かつ実印を押捺して、印鑑証明書を添付します。

口頭で合意ができないわけではありませんが、《言った、言わない》という議論になること及び遺産という多額の財産の分配のことですので、実印を押捺した書面を作成するのです。

今回の場合、お姉さんが合意書作成に応じなかったこと、又、相続登記に協力しないようであることを見ると、裁判でそんな合意はなかったと争うことは間違いないでしょう。

その場合、あなたとしては《不動産をあなたに相続させるとの合意》が間違いなくあったという点を証明する必要があります

質問から受ける感じから言えば、なかなか証明は難しそうです。

合意の証明ができない限り、裁判はあなたが負けることになります。


【調停の場合も、合意をお姉さんが認めないと法定相続分で・・】

裁判と異なり、家裁での遺産分割調停は話し合いです。

しかし、お姉さんが不動産をあなたに相続させるという合意があったことを認めてくれない限り、調停でもあなたの主張する遺産分割協議を前提としての話し合いはむずかしいでしょう。

結局、法定相続分を基準としての調停が進む可能性が高いという結論になります。

(弁護士 大澤龍司)


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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】

2016/07/07



【質問の要旨】

相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】

債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている

全て抵当権付きのオーバーローン。

相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。

父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。

その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。

相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。

待っていても競売は無いと思われる。

妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。

馬鹿にしています。

会社も個人も全て売却するのが筋です。

会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)







【事実関係の整理】

質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。

① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。

② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。

③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。

④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる


という話であるとします。


【訴訟を提起されたことについて】

相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります

今回の訴訟はその前提で提起されています。


【会社の財産を探す】

まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。

そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。

もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。


【賃料はどこに行ったのか】

お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。

そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。

賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します

その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。


【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】

次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。

通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。

ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。

仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。

そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。

このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう


【和解で注意するべき点について】

相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。

弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。

①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。

②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。

③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。

不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。

和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

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亡長兄の嫁に菩提寺への負担をしてもらいたい【Q&A №499】

2016/04/13

 【質問の要旨】

先祖代々の土地を兄嫁が相続

記載内容  先祖代々 土地 兄嫁

【ご質問内容】

兄が昨年死亡。

兄はA家の代表として土地Bを管理し、そこから上がる地代をA家の菩提寺の費用に充てる約束でした。

兄嫁はその土地の所有権を相続し、地代は生活費に充て始めました。

私は土地BはA家のもので、兄個人のものでは無く、兄が子供の時に相続で入手したので、兄嫁には相続権が無いはずだと主張。

この土地Bの相続を兄嫁がした事を取り消す事が出来ますか?

(白いコマクサ)







【兄嫁が土地を相続するのを無効にしたり取り消したりすることはできない】

お兄さんは幼い頃に土地Bを相続したのであれば、その土地はお兄さんのものです。

土地を所有するのは法人か個人であり、現在の法制度では「A家」が土地を取得することは認められておりません。


そのため、お兄さんが死亡すると同時に、土地Bは遺産として相続の対象になります。

遺言がない場合には、法定相続人がそれぞれの法定相続分でその土地を取得します。

血のつながりのない兄嫁さんが土地を取得するについては、あなたとしては納得いかないかもしれませんが、現在の法制度では兄嫁さんが土地Bを相続するのを無効にしたり取り消したりといったことはできません

なお、土地Bは兄嫁さんが単独で取得ということにはなりません。

なぜなら、子がおれば、子に遺産の2分の1がいきますし、子がいなければ両親、それもいなければ兄弟に、少ないですが、法定相続分があります。


【費用負担の約束も引き継いでもらう方向を探る】

今回の質問の核心は、お兄さんがした菩提寺の費用負担の約束を、兄嫁さんにも果たさせたいというところにあるように思われます。

菩提寺の費用負担についてお兄さんが約束したことが誓約書などの書面により証明ができるのであれば、兄嫁さんに対してその約束を果たすよう請求できる余地もあると思います。

そのような書面がなくとも、親戚の方がそのような話があったという話をしてくれるのであれば、それを兄嫁さんに伝えるといいでしょう。

土地の相続は否定できないとしても、せめて約束くらいは守るよう兄嫁さんに求めていくことで解決の糸口を見出す努力をされるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

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未分割の財産について【Q&A №493再質問】※2016/3/3追記あり

2016/03/01


未分割の財産について【Q&A №493】に関する再質問

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定の引き出しはできません。

また、共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民標は世帯以外のものは、申請できません

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか

(やまおやじ)





当ブログでは、再質問は原則としてお答えしないことにしております。

ただ、前回の回答を再確認しましたところ、弁護士の知識・立場での回答であり、わかりやすい回答ではありませんでした。
すみませんでした。

そのため、今回、補足回答をさせていただきます。ご了解下さい。

※2016/3/3追記あり(回答の赤文字部分)

《再質問:1》

ただ、実質、金融関係はトラブルを恐れて、法定相続分の引き出しはできません。

《再回答:1》
法定相続人がその法定相続分に該当する預貯金の支払いを求めても金融機関は簡単には払い戻しに応じないことはご指摘のとおりです。

死亡が判明した後の相続人の払戻請求についての金融機関の対応は一様ではありませんが、大略、次のとおりです。

① 少額(例えば100万円程度の範囲内)での引き出しなら認めるケース

私(大澤)の経験で、葬儀費用がないというケースで金額は100万円程度でしたが、ゆうちょ銀行が相続人の引き出しに応じたケースがありました。

但し、これは極めて例外的な場合で、私の経験ではこの1例だけです。

かなり前の話であり、現在では、ゆうちょ銀行でもこのような扱いはしていないようです。

※最新の情報を追加します(2016.3.2判明分)

現在、担当している相続案件で、最近、ある大手銀行(メガバンク3社のうちの1社)に法定相続分の請求をしたところ、相続分の支払いに応じると回答してきました。

このケースでの銀行は、そのような法定相続人の一人からの請求があった場合には

1)《法定相続人のうちの一人からそのような法定相続分だけを出してほしいという請求があったこと及び銀行としては請求に応じて支払いをする》ことを他の相続人に郵便で通知する。

2)ただ、他の相続人に《異議があるなら、法的根拠を示して申し出》をすれば、支払い停止をすることもある。
というものです。

3)従って、《他の相続人から異議が出ない》場合、あるいは《異議が出ても法的根拠がない場合》には、銀行は請求した相続人に法定相続分の支払いをすることになります。

このメガバンクの対応は、最高裁判決の趣旨に沿うものですが、これまでの銀行の扱いを大きく変更するものです。

この銀行については、全支店でそのような扱いをしているのか、たまたまその支店だけでの扱いなのかは明らかではありません(ただ、単独の支店だけでそのような扱いはすることは難しいので、全店で同様の扱いをしている可能性が高いです)が、最新情報としてお知らせしておきます。

なお、上記メガバンクの扱い変更がありましたので、ゆうちょ銀行にも念のために確認しました。

その結果、ゆうちょから次の回答を得ました。

1)原則として法定相続分の返還請求は認めないのが原則である。

2)しかし、100%出さないというのではなく、場合によれば払い戻しに応じることがあるが、その場合には各郵便局ではなく、貯金事務センターと協議して結論をだすということです。


② 他の相続人に確認をするケース

一部の金融機関では、法定相続人から法定相続分の払戻請求があったが、これを認めていいかどうかを、他の相続人に郵便で通知し、特に異議がでないような場合には、法定相続分だけの払い戻しに応じる場合もあります。

ただ、このような対応をする金融機関も、現在では少ないです。

③ 訴訟を提起してくれというケース

裁判での結論は別として、他の法定相続人の同意がない以上、裁判で請求してほしいというケース。

金融機関としては、法定相続人の一人を代表相続人と指定することを他の相続人に求め、その代表相続人が預貯金の解約をさせ、分配はその代表相続人の責任でさせるケースがほとんどです

代表相続人が選任されない場合には、訴訟で請求してもらうという対応です

なお、訴訟を起こされた場合、金融機関は他の相続人にその旨を通知し、特に他の相続人から異議がでない場合には、訴訟上の和解で返還に応じるケースがほとんどです。

もし、他の相続人から異議が出た場合には他の相続人にも訴訟に参加させるように手配(訴訟告知といいますが)をし、その後に出る判決に基づき返還に応じます。

本来ならば、預貯金が分割債権であり、相続の時点で各法定相続人に帰属しますので、その範囲での払戻請求なら、他の法定相続人の同意は不要というのが裁判所の見解です(なお、最一小判昭和29年4月8日に関する【コラム】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?にこの点に関する裁判例を紹介しております。

また当ブログの【Q&A №148】ゆうちょ銀行に対し預金払渡請求ができるのかにほぼ同様の内容の記事がありますので、そちらもご参照ください)が、遺言書が存在するような場合もあるため、金融機関が慎重に対処しているのはご指摘のとおりです。


《再質問:2》

共同相続登記もすべての相続人の住民票が必要で、住民票は世帯以外のものは、申請ができません。

《再回答:2》

法定相続に応じた相続登記であれば相続人の一人の単独申請で登記可能です

住民票は弁護士や司法書士に依頼すると取り寄せ可能ですし、また、戸籍謄本等も同様に弁護士等であれば取り寄せが可能ですので、これらの書類を整えれば、法定相続人一人で単独で登記が可能です。


《再質問:3》

よって、それらを拒否されると何もできないというところが本当のところではないでしょうか。

《再回答:3》

以上に述べたように、(預貯金の場合)訴訟が必要になったり、(預貯金や登記の場合)戸籍等の書類が必要ですが、法定相続人が他の相続人の同意を得ることなく、法定相続分に相当する預貯金の払い戻しをすることも可能であり、また、相続登記も単独申請が可能です。

ただ、弁護士らの力を借りる必要があるということについての説明が不十分でしたので、この点を付け加えさせていただきます

(弁護士 大澤龍司)
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【相続判例散策】預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?

2016/03/01
相続判例散策

預貯金等の金銭債権は相続開始後どのように扱われるのか?


【判例紹介】

損害賠償請求権という金銭債権について、最高裁判所の裁判例で次のようなものがあります。


【事件の概要】

立木の所有権の侵害を原因とする損害賠償請求事件で係争中に原告が死亡し、その妻及び三名の子が訴訟手続を引き継ぎました。

この場合に、この損害賠償請求権は相続により、誰にどのような形で相続されるかが問題となりました。

【判決の概要】

損害賠償請求権のような金銭請求をする債権について、「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」と判断しました。

最一小判昭和29年4月8日 民集第8巻4号819頁)


【弁護士コメント】

預貯金を金融機関に預けていると、預金者は銀行に対して預貯金の払戻請求権を持つことになります。

この払戻請求権は金銭の請求を求めるものであり、金銭債権の一種になります。

上記最高裁判例は、損害賠償債権という金銭債権に関するものです。

この判例は、金銭債権は相続開始とともにそれぞれの相続人が独自に取得するということを言っています。

この判例があることから、仮に損害賠償請求権額が900万円であり、相続割合が同じ3人の相続人がいた場合、各相続人が300万円を相続することになり、また、他の相続人とは別個に(ということは他の相続人の同意を得ることなく、独自に)請求することができるということになります。

預貯金債権も金銭債権のため、相続開始時点で各法定相続人に分割して相続されます。

そのため、各相続人が独自に金融機関にその相続持ち分に応じた請求をすることができます。

この点を明確にした裁判例としては、預貯金債権について「預貯金は遺産分割を待つまでもなく、相続開始と同時に当然に分割されるのである」とした高等裁判所段階の決定があります(東京高決平成14年2月15日 家庭裁判月報54巻8号36頁)。

ただ、金融機関としては、遺言書があるかどうかなど全くわからない状態ですので、原則として一人の相続人からの払い戻しに応じることは少なく、代表相続人の指定の手続きを求めてくるのが通例であり、金融機関の立場からすればこのような扱いもやむを得ない面があります。

ただ、本来、法定相続分を取得しているのですから、各相続人としては訴訟で払い戻し請求が可能であり、その訴訟をすることについて他の相続人の同意は不要ですし、遺言書が出てきた等の特段の事情がないかぎり、法定相続分の支払いを命じる判決が出されます。

(関連ブログ未分割の財産について【Q&A №493再質問】参照)

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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遺産分割協議後の使い込み【Q&A №491】

2016/02/08

 【質問の要旨】

遺産分割協議書で財産を相続した人が、遺産を生活費につかってしまった

記載内容

遺産分割 約束を破る 取り戻す

【ご質問内容】

家族構成は父、母、子供4人(長男=兄 離婚歴あり現在は独身で別世帯。長女=私次女=妹 二男=弟 

2年前父親が亡くなり、財産を母親、子供4人が相続するところですが、母親に家を購入してあげたい希望があり(母も強く希望しておりました)、

高齢である母の代わりに家の購入、父のお墓の購入手続きをしやすくする為に母、子供3人は相続を放棄して長男である兄一人だけに相続することに決め、遺産分割協議書を提出しました。

そして兄が母に家を購入するつもりでいましたが一度契約寸前まで行ったところ、兄と不動産屋担当者との相性が悪く、購入を断念してしまいました。

こうして1年半、母は貸家に住み続けましたが突然家で病死してしまいました(遺言はありませんでした)

遺産を管理していた兄に預金を問いただすと兄はほとんど預金を自分の生活費にしてしまったと言うだけで通帳どころか使い道もハッキリ言いません。

母へ購入してあげるべき家の代金を全額兄は自己消費してしまった上に父母のお墓も買う事が出来なくなりました

私は兄の身勝手な行動が信じられなく許せません。

泣き寝入りしかないのでしょうか

(kanasiineko)







【相続放棄ではなく、遺産分割の問題】

質問には、お兄さん以外の法定相続人が《相続放棄》をしたとあります。

相続放棄は家庭裁判所へ申立をすることが必要ですが、今回はそのような手続きはせず、遺産分割協議で、お兄さんが遺産を一人で取得し、他の相続人は遺産をもらわなかったということだと思われます。

以下の回答は、この前提で記載していきます。


【遺産分割協議書の記載内容はどうだったのか】

遺産分割協議書に《お母さんに家を購入すること》が条件で記載されていた場合には、その条件を充たしていないのですから、お兄さんが遺産を取得できないことになります。

次に、条件というほどではないにしても、《お母さんに家を購入すること》が義務として記載されていた場合には、その義務をお兄さんが履行しなかったことを理由にして、遺産分割協議を解除できるのかという問題があります。

この点については、裁判例があり、遺産分割協議で定められた義務を履行しなかった場合でも、遺産分割協議は解除できないという結論でした。

ただ、この裁判例では、その義務を負った者に対して義務を履行しなかったことを理由として損害賠償を請求できる余地があるとしています。

なお、遺産分割協議書に義務として記載されない場合でも、その義務があったことが証明できるのであれば、損害賠償が請求できると私は思いますが、この点については異論があるかもしれません


【他の相続人として何ができるか】

今回の質問の場合、お兄さんが債務負担者であり、お母さんが債権者になります。

お母さんはお兄さんに損害賠償を請求できる可能性がありました。

お母さんは死亡されたのであれば、あなたをはじめとする法定相続人が、お母さんの損害賠償請求権を法定相続分だけですが、相続します

そのため、あなたがその相続した賠償請求権を行使できる可能性があります。


【専門家に相談されることをお勧めします】

今回のようなケースは相続人の間だけで解決するのは難しいです。

できれば法律の専門家である弁護士に相談され、遺産分割協議書の内容や合意に至る事情、更には不履行に関する事実経過を説明して、弁護士の意見を聞き、今後の取るべき方針を決定されるのがいいでしょう。


参考判例⇒
【相続判例散策】遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議を無効にできるか?(東京高裁 昭和52年8月17日決定)

遺産分割協議で負担させられた義務を実行しないとき、分割協議が無効になるのではなく、債務不履行による損害賠償を請求するべきである。

(最高裁判所:平成元年2月9日判決、東京高裁:昭和52年8月17日決定)

(弁護士 大澤龍司)

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叔母が、私のゆうちょ口座を調べると言っている。【Q&A №477】

2015/10/28



叔母が、母の財産のことで私のゆうちょ口座の出し入れを調べると言うのですが、勝手に私の口座の確認などできるのでしょうか?


弁護士を通すとできるのでしょうか?

記載内容 家族 口座 調査

(みち)







 他人の口座は、その本人の同意がない限り調査できない
 
あなたの預貯金がどの程度か、どのような入出金をしているかはあなた個人の重要な秘密です。

金融機関はその内容を把握していますが、これをあなたにだけ明らかにするものであって、それ以外の人に明らかにすることはできません。

もし、金融機関がそのような預貯金情報を漏らした場合、あなたとしてはその金融機関に対して損害賠償をすることができます。

従って、伯母さんがあなたの同意なしに、ゆうちょ銀行のあなたの預金の残高や取引履歴を調べることはできないということになります。

また、伯母さんが弁護士に依頼したような場合でも事情は同じです。

弁護士は、弁護士法という法律で、弁護士会を通じて金融機関等の預貯金の照会をする等の手続きを取ることができます。

しかし、仮に弁護士照会を使っても、他人であるあなたの預貯金残高や取引履歴を取ることはできませんので、安心されるといいでしょう。


【遺産調査では回答してくれるが・・】

参考までに、遺産での金融機関に対する調査のケースにも言及しておきます。

遺産の場合、死亡された方(被相続人)の預貯金についての残高や取引履歴を、その相続人が知ることは可能です。(Q&A №362参照)

これは被相続人の財産は、その死亡により(法定相続分に応じて)、相続人の財産になるからです。

この場合は、被相続人の遺産が自分のものになっているのですから、結局、自分の財産内容を調査することになり、金融機関としても照会を拒む理由がなく、照会に応じて回答してきます。

もちろん、相続人ではない人が、被相続人の預貯金の照会をした場合には、金融機関は回答を拒否することになります。

なお、裁判や強制執行等の場合には上記とは異なる対応をする場合がありますが、この点は裁判等になったときにあなたの依頼した弁護士と相談されるべきことでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

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★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015/07/15




【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?


記載内容

  不正出金 生前贈与 時効


【ご質問内容】

 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。

 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。

 共同相続人の伯父は7年前に他界。

 母は現在、障害のため出廷不可。

 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。

 残額は247円。

 手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。

 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?

 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。

 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。

 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。


(hiro)







【相続回復請求はできない】

 相続回復請求ができないかという点にお答えします。

 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。

 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません

 ただ、次にのべるような手段が考えられます。




【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】

 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。

 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。

 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。

 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。

 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。

 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。

 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。

 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。




【お祖母さんが生前贈与した場合】

 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。

 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。





【現在、するべき作業は何か】

 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。





【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】

 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。

 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。

 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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★親と同居していた相続人の金銭管理【Q&A №454】

2015/07/13



【質問のまとめ】

親(被相続人)と同居していた相続人(子)の財産管理がずさんだと思います。

何に使ったかわからないまま、親の「遺産は●●円です」と言われても納得がいきません。

どうしたらいいですか?



記載内容

 同居 無断 不正出金


【ご質問内容】

 相続人の1人は親と同居し金銭管理をしていました。

 管理していた年月日についても話がころころ変わります。

 「親のお金も私のお金」と言わんばかりのずさんな管理に困っています。

 「何に使ったか分からない」と言いながら「遺産は○○○円です。」では、納得できませんし遺産分割に応じられません。

 また、被相続人が死亡し、数月間の取引履歴を取り寄せた際、存命時に金融機関からの普通定期預金の引き出しが行われており、その筆跡は金銭管理の相続人、死亡後の引き出しもその相続人です。

 はっきりさせたいと思いますよろしくお願いいたします。


(さくら)







【家計収支の区分ができていない】
 同居していた相続人(特に子)の方が親の金銭管理をしている場合、家計収支を区分せず、親のお金も自分のお金もごちゃまぜにして生活費を出していたというのは、よくあるケースです。

 この場合、高額の出金かどうかで対応が異なります。

 以下、区分して回答していきます。



【高額出金の場合】

 預貯金口座からの高額の出金(その人の遺産全体の価額により異なりますが、通常、20~50万円を超すと高額となると考えていいでしょう)の場合には、親が同意をしているのかどうか、また、その使途が何かが問題になります。

 親が同意をしている場合、その使途が子のためであれば、贈与とみなすことができ、その出金額は特別受益になり、遺産に持ち戻されます

 親の同意がない場合には、子が勝手に出金したとして、親が子に対してその出金額を不当利得(あるいは不法行為)として返還請求ができることになります(口座の名義人である親の氏名を同居人である子が署名して出金しているような場合には、親の同意がない可能性が高いと考えていいでしょう)。

 このようなお父さんの持つこの返還請求権は遺産になります。

 そのため、相続人は法定相続分に応じた返還請求権を相続します。

 例えば、100万円が不正出金され、あなたの法定相続分が4分の1なら、あなたとしては出金された人に25万円を返還請求することできます。



【少額出金の場合】

 毎月、数万円程度の出金があり、それを同居者が使っていたとした場合、それは生活費の補助とされる場合も多いです。

 裁判例では10数万円でも、親から子供に対する生活費の補助だとして、特別受益が認められなかったケースがあります。



【死亡後の引き出しは遺産の出金】

 死亡した時点で、遺産は相続人に法定相続分で分割されることになります。

 金融機関が被相続人の死亡を知った場合には、その時点で口座を凍結され、出金ができなくなります。

 ただ、死亡を隠して、相続人の一人が多額の出金をした場合、他の法定相続人はその法定相続分に応じた金額の返還を請求することができます。

(弁護士 大澤龍司)
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★何もしていない後妻の相続【Q&A №452】

2015/07/08



何もしていない後妻にも遺産を分けるのか?



【ご質問内容】

 問題は、後妻である事、家を手に入れるべき時は、私の母親と父親の努力による物で後妻は全く関与していない事。

 他、父親が深夜に亡くなり、私が朝9時に銀行に行くと既に、現金がコンビニよりmaxの50万円引き出されていた。

 一様父親死亡にて口座凍結したが、今度は、家の売却益の半分私のだからと言って来ている事。

 相続権利者長男の私と妹と後妻のタイ人となるが、窃盗罪でタイ人後妻を追い詰められないか?

 少額では有るが金額の問題では無く1円足りとも渡したく無いのが心情です。


記載内容

  後妻 遺産分割 不正出金

(ヨシアキ)





【何もしていない後妻さんでも法定相続分はもらえる】

 入籍さえしており、戸籍上の妻であれば、相続分は2分の1です。

 別居しておろうと、夫の面倒を全く見なくとも、後妻さんであれば相続分は2分の1です。

 参考までに言えば、何十年間、内縁関係を長年継続しても、法定相続分はありません。

 そのため、後妻さんが《家の売却益の半分を自分に渡せ》というのも法的には間違いであるとは言えません。



【窃盗になるかもしれないが、警察はまず動いてくれない】

 被相続人の預金の引き出しについては、過去のブログ(【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するか )でも触れましたように、窃盗あるいは詐欺の問題が発生します。
 ただ、上記ブログでも記載したように、相続人が被相続人の死亡を隠して、お金を引き出した場合を考えれば、警察としては、《民民》間の相続問題で解決してくれという姿勢であり、刑事事件として立件することはまず、ないと考えられるといいでしょう。

 預金全体の額がどの程度であったのかが明らかではありませんが、50万円が預金全体の半分もないというのである場合には、その程度なら相続人として取得する権利もあり、警察が動くことは考えられないです。



【不動産は名義で判断される】

 相続では、原則としてその不動産が誰の名義であったかを基準にして遺産かどうかが判断されます。

 そのため、お父さんの名義であるなら、後妻さんはその不動産の半分を取得する権利があります。



【今できることは金融機関の取引履歴の確認】

 現在できることとして何があるかを考えてみます。

 お父さんの死亡後にすぐに金銭を引き出ししているのであれば、生前にも引き出すようなことがなかったのかという疑問が出てきます。

 その点を調査する必要があるでしょう。

 相続人であれば被相続人であるお父さんの金融機関の入出金の履歴が入手できます。

 是非、確かめられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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90歳独り身の叔母の相続人は誰?【Q&A №444】

2015/05/20
 


 独身で、子供がいない人の相続人は誰ですか?

 その人の親も、兄弟も他界しています。



記載内容

  叔母 生涯独身 嫁ぐ 甥・姪 代襲 婿養子


【質問詳細】

叔母の両親(他界)、

兄弟は3人で

叔母と同居していた長男(夫婦共他界)、

長女(夫婦共他界)、

次女(今回他界した独身の叔母)

叔母は生涯独身で子供がおりません。

長男夫婦には婿養子(甥)と娘(姪)、

長女夫婦2人の嫁いだ姉妹(姪)

このような場合、法廷相続人は誰々となるのですか?


(まさ)





【法定相続人の決定方法】

 法定相続人には順位があります。

 まず、第1順位で、配偶者が相続人になります。

 今回の質問では配偶者も、子もいないということですが、

このような場合には両親(正確にいうと直系尊属)第2順位の法定相続人になります。

 ただ、両親も死亡されているということですので、

その場合には第3順位兄弟姉妹が相続人になりますが、

兄弟姉妹である長男及び長女も死亡されていますので、長男や長女も法定相続人にはなりません。




【本来の相続人が死亡しているが、子がいる場合は代襲相続する】

 長男及び長女は死亡されていますが、その人たちには子がいますので、その子が、長男及び長女に替わって法定相続人になります(これを代襲相続といいます)。


 今回の質問では、長男の娘(姪)とその夫(婿養子ということですので、この娘の夫は長男と養子縁組をしているという前提で説明していきます)が代襲相続で法定相続人になります。

 養子も子であることに変わりはありませんので、なんら問題なく相続ができます。

 また、長女の娘(姪)2人が代襲相続で法定相続人になります。

 この姪は2人とも嫁いでおられるようですが、嫁いでも長女の子である立場にはなんら変化がありませんので、当然、相続権があります。




【相続分について】

 結局、質問のケースでは、長男の子である姪夫婦及び長女の子である姪2人の計4名が法定相続人になります。

 なお、法定相続分は各人が4分の1づつになります。

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名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015/04/27
 


 母は一人暮らしで一軒家です。
 
 すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

 長女の私は遠方です。

 母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。
 しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

 母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

 名義変更は私に相談もありませんでした。

 このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。


記載内容

  特別受益 名義貸し 名義

(ノースポール)





【まず、お母さんが登記に関与しているのかを確かめる】

 質問ではお母さんから妹さんへ登記が移転されたことが前提となっています。

 その前提で回答していきます。

 まず、お母さんがこの登記の移転に関与しているかを確認しましょう。

 お母さんが知らないところで登記移転がなされているのなら、その登記は無効ですので、登記を返還するようにお母さんから妹さんに申し入れてもらう必要があります。

 次に、お母さんが登記をしたかどうかわからないような状態 ― 例えば認知症で判断能力がないような場合にもその登記の移転は無効です。

 ただ、この場合にはお母さんの判断能力がありませんので、成年後見人の選任の申立をし、その成年後見人が取戻しの手続きをすることになるでしょう(ただ、現実問題として成年後見人がそのような手続きをするところまではしない可能性がありますが)。

 もし、お母さんが関与して登記を移転されたというのであれば、それは生前贈与ということになり、不動産は妹さんのものになります。

 現段階ではあなたとしては何もできません。




【お母さんが死亡した場合に遺留分減殺請求の意思表示をする】

 お母さんが死亡された場合、登記移転された不動産以外にお母さんの遺産がない場合には、あなたとしては《遺留分減殺請求》ができます。

 あなたの法定相続分が2分の1だとすると、あなたには死亡時の遺産に生前贈与分を加算した額の4分の1をもらえる制度 ―遺留分減殺制度((相続ブログQ&A №430ご参照)― があります。

 今回のケースではお母さんが死亡した日から1年以内に、妹さんに対して遺留分減殺の意思表示をし、不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

 ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
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認知症の父の口座からの不正出金【Q&A №435】

2015/03/12



要介護5で全く意思疎通ができない父の預金から兄が、過去8年にわたり年に2~3回、1回の金額は100万円程度を母に頼まれたという理由で引き出していることが最近になってわかりました。

キャッシュカードはなく、すべて伝票に署名捺印で下しています。

不公平感が否めなく、生前贈与を認めさせ、私の相続分を取り戻したいと思っています。

父がまだ生存中なのでどうするのがベストなのかお聞きしたいです。

ちなみに、現在、父の成年後見制度申請中です。


記載内容

  使い込み 認知症 要介護

(てる)





【相続開始前にはあなたには法的にはなんらの権利もない】

 お父さんに意思能力がないのであれば、お父さんはその預金を引き出すことができませんし、又、お母さんやお兄さんに引き出しを依頼することもできません。

 又、その預金はお父さんの財産ですので、お母さんが同意しても、その引き出しが正当になるようなものでもありませんので、お兄さんの預金引き出し行為は無断引き出しとなります。

 そのため、お父さんはお兄さんに対して不法行為や不当利得を理由として、その引出額相当の損害賠償請求権あるいは返還請求権を持つことになります。

 これらの権利は、将来、お父さんが死亡した場合には、法定相続分に応じてあなたが相続することになりますので、相続開始後であれば、あなたからお兄さんに損害賠償あるいは返還請求ができることになります。

 ただ、現時点では、お父さんが生存しておられますので相続は開始しておりません。

 あなたは、将来、相続人となる立場(推定相続人といいます)ですが、現時点では、法律的にはあなたには何らの権利もありません。

 お父さんの財産がなくなるような事態が発生しても、又、お父さんが前記のような権利を取得していても、残念ながら、あなたとしてはなんらの法的手段も取ることはできません。



 
【成年後見人の選任とお兄さんへの返還請求について】

 現在、お父さんの成年後見人を選任する手配をされているようです。

 たしかに、現時点である財産を減少させないということでは成年後見人の選任は極めて有効な手段です。

 ただ、後見人が、既に無断で払い戻しされている金銭を取り戻すというところまで積極的に動くことはまずありません。





【現時点でとるべき手段は資料や情報の入手です】

 将来、お父さんが亡くなられた場合、あなたは法定相続人として、お父さんが有している損害賠償(不当利得)請求権を法定相続分で相続することになります。

 その時点で、あなたとしてはお兄さんにその請求権に基づき金銭の返還請求をすることが可能です。

 そのための資料として、どこの金融機関のどの支店からいくら引き出されたのかという資料や情報が必要になりますので、現時点で入手できるものは、できるだけ入手しておくといいでしょう。

 なお、将来、あなたが請求されてもお兄さんが簡単に引き出した金銭を返還するとは思われません。

 お父さんが死亡された場合には、早期の段階で弁護士と相談され、お兄さんに対する素早い対応が可能かどうかを検討されるといいでしょう。
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父、母が相次いで亡くなった場合の相続分計算【Q&A №432】

2015/02/26
 


 私の父が死んで、5年経つのですが、家と土地があって相続がもめています。

 母、長女、次女、長男の私4人でした。

 この場合、法定相続分はそれぞれ、2分の1、6分の1、6分の1、6分の1だとおもうのですが、相続がもめているうちに、まだ、話し合いがつかないうちに、(父の登記のまま)母が死んで、その後遺言書が見つかり、母の財産は すべて私に相続させる、ということでした。

 この場合、父の財産の私の相続分は、母の2分の1、プラス私の6分の1の合計6分の4になるのでしょうか?


記載内容

  数次相続 相次ぐ 計算

(桜餅)





【あなたの相続分は6分の4】

 現在、お父さん及びお母さんの遺産に関するあなたの相続分は6分の4であり、あなたのご指摘のとおりで正しいです。

 念のために記載すると次のとおりです。




【お父さんの法定相続分】

 子供がいるケースですので、配偶者は2分の1、子供は2分の1を平等の割合で遺産相続しますので、

・お母さん(配偶者)・・・2分の1

・あなた(子:長男)・・・6分の1

・長女(子)・・・・・・・6分の1

・次女(子)・・・・・・6分の1




【お母さんの遺産の相続】

 本来なら、お母さんの遺産は、あなたを含む3人の子供が平等で相続するはずですが、遺言書であなたが全部相続するということですので、お母さんの遺産の相続は次の通りになります。

・お父さんの遺産については、あなたがもともと持っている6分の1の法定相続分に加えて、遺言書によりお母さんの法定相続分である2分の1があなたにきますので、これを合計した6分の4があなたの相続分です。

・但し、お母さんの独自の遺産がある場合には、その分は全部、あなたが相続することになります。




【遺留分請求があるかもしれない】

 なお、お母さんの全遺産をあなたが相続するという遺言書がありますが、他の相続人としては、自分も遺産が欲しいといえば、法定相続分の半分の限度で遺産を請求できる制度―遺留分制度―があります。

 長女や次女が、この遺留分を請求してくることもあり、その場合にはお母さんの遺産の内の一部を渡す必要がありますので、その点は頭に入れておかれるといいでしょう。

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13:21 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が横取りした祖父の預金と遺留分計算【Q&A №425】

2015/01/21



 8年前、母方の祖父が亡くなりましたが、亡くなる迄の10年間、母ひとりで介護をしておりました。祖父には、母を含めて、長男、長女と3人の子どもがいます(祖母は20年前に他界)。祖父が存命中(軽度の認知症があり施設に入所中)、父が祖父の預金に目を付け、自宅の新築に600万をつぎ込み、さらに、700万円の預金も母ではなく父名義に変更してしまいました。母の姉、弟との協議もなく母に詰め寄り、新居の建築費に流用・預金の名義変更をしてしまいました(結果として、母がそれを許してしまった)。叔母、叔父はこのことを知りません。祖父の死亡時には、残りの預金(祖父の入所費用預金)で母の姉、弟に200万円ずつ分け与えた次第です(少しでも姉弟に分けてやりたいという思いですが、母の取り分は100万円程度)。

 母はこのことで壮絶な苦しみを感じておりましたが、現在、意識がない状態で入院中です。この1300万円は、本来、母を含めた姉弟のものではないのでしょうか?また、母が私に生前分与としてこの100万円をもらいましたが、この100万円について、父が「祖父の墓じまいのための金額であり、すぐに返却しろ。お前のせいで墓じまいができない。」と返却を迫ってきますが、祖父の墓じまいの費用は、父が横取りした700万円の中でまかなうことになっていると母から聞かされていました。父に返却すると、自分のものにしてしまう可能性がありますが、この100万円は返却しないといけないのでしょうか?
 また、父が横取りした1300万円を母のものにしてやることはできないでしょうか?


記載内容

  横取り 祖父 預金

(キノコ狩り)


【お祖父さんの意志を無視したのであれば返還請求ができる】
 お父さんが1300万円の預金の引き出しを、被相続人であるお祖父さんに無断でしたのであれば、お祖父さんの法定相続人であるお母さんとしては法定相続分が3分の1ですので、不当利得または不法行為に基づき433万円の返還請求ができます。

【お祖父さんが認めたのであれが、返還請求はできない】
 いろいろな事情があるにしても、お祖父さんが最終的に贈与を了解したのであれば、贈与は有効であり、お祖父さんとしては返還請求できる余地はありません。
 お祖父さんが返還請求できないのですから、相続人であるお母さんとしても、お父さんに返還請求ができないことになります。

【遺留分減殺請求ができるかもしれない】
 ただ、民法には、法定相続人に、最低限度の取り分の遺産(遺留分)を渡そうという制度があります。
 これを使うと、本来の法定相続分の半分(お母さんの場合には6分の1)の限度で遺産を取り戻すことができます。
 ただ、遺留分減殺請求が認められるためには
①お父さんに対する生前贈与によりお母さんの遺留分が侵害されていること
②相続開始から1年を超える場合には、生前贈与の双方の当事者が「遺留分権利者に損害を加えることを知って」いたこと

が必要です(末記の民法の条文を参照ください)。
 上記①の要件については、質問からは、被相続人の預金としてはお父さんが使用した1300万円の他にどのような遺産があったのかがわかりませんが、仮に、他の預金が500万円だけであり、それ以外には遺産がなかったのであれば、次の通りの計算でお母さんの遺留分は300万円となります。
   計算式:(みなし)遺産総額・・1800万円(=1300万円+500万円)÷6=300万円
   ※注:生前贈与分は遺産に組み入れて遺留分計算をします。
 お母さんが100万円もらっているとすると、遺留分は差額の200万円になり、この分の限度で。お母さんの遺留分が侵害されていることになり、お父さんから返還してもらえる権利があるということになります。
 上記②の要件については、お父さんが贈与を受けたのは1年より前のようですので、その贈与の時点で遺留分権利者に損害を加えることを知っていたという事実が必要になります。
 当時、被相続人の遺産として、前記1800万円しかなかったということを、お父さんらが知っていたのであれば遺留分減殺請求が認められることになります。

【お母さんからあなたへの100万円の贈与の返還は必要ない】
 お母さんから受け取った生前贈与の100万円ですが、お母さんからの贈与ですので、あなたがお父さんに返還する必要はありません。
 お父さんが墓じまいのために必要だと主張しても、それはあなたに言うべきことではなく、お母さんにいうべきことです。お母さんとしては既に支払った1300万円で処理するようにお父さんに反論するとよいでしょう。


《参考条文》
民法 第1030条 (遺留分の算定)


 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

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15:32 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父から借金していた兄に対する返済請求【Q&A №416】

2014/12/08



 今年1/20に父が死亡し、次男が相続をしました。かつて何度も長兄から「財産はいらないから家を継いでくれ」と言っていた長兄が金銭の相続権を主張、法定通りそれを分割しましたが、長兄には父より借入金が有りこれを次男に請求権はあるのでしょうか?
 因みに、母は生存しており母からも融資を受けています。
 又、兄弟姉妹は全部で4人です。


記載内容

  借金 混同 負債

(サンセベリア)


【貸金債権として相続し、125万円をお兄さんに請求できる】
 お兄さんがお父さんから借金をしていたのであれば、お父さんはお兄さんに貸金返還請求権と権利(債権)をもち、これがお父さんの遺産の一部になります。
 この貸金については、他の遺産と同様、相続人が法定相続分に応じて相続しますので、あなたは8分の1に相当する金125万円を返還するよう、お兄さんに請求できます。

【兄が母から借りたお金は、今回の遺産分けには関係ない】
 お兄さんはお母さんからも借り入れをしているようですが、その分はお母さんがお兄さんに貸金返還請求権を持つということになります。
 今回はお父さんの遺産分けですので、お母さんの財産とは何の関係もありません。
 将来、お母さんが死亡されたときに、その遺産分割として貸金返還請求権も遺産の一部を構成することになり、あなたはその貸金額の法定相続分に応じた金額をお兄さんに請求できるということになります。

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16:14 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

養子縁組前に生まれていた子の代襲相続【Q&A №414】

2014/12/03



 7年前に祖父が他界したとき(父:長男は既に他界)、遺言があり、遺産は、父の弟に全て渡す(ただし祖父の後妻に毎月50万支払条件)ことになり、その他の相続人(母、父の弟の妻(養子になっていた為)、父の妹、父の子供私と姉)は遺留分をもらっています。
 今回祖父の後妻が亡くなり、相続分割について話し合いがおこなわれています。
 後妻の養子には父、母、父の弟、弟の妻が入っていたのですが、父が既に他界していることから相続は、母、弟、弟の妻の3人で父の子供の私と姉には相続出来ないと言われています。弟夫婦は既に祖父の遺産を全て受けているのでせめて母に少しで多く残す方法は無いのでしょうか。
 祖父、後妻の財産の管理は弟夫婦が全ておこなっており、遺産分割の話し合いも弟夫婦に縁のある税理士が間に入りアドバイスをしているようです。


記載内容

  養子縁組 特別寄与 生前贈与

(ヒューマン)


【養子縁組の前に生まれていた孫は代襲相続できない】
 質問のケースでは、あなたのお父さんは、被相続人であるお祖父さんの後妻さんと養子縁組されています。
 ところで、養子縁組をされた後にあなたとお姉さん(以下、あなた達といいます)が生まれたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属になりますので、代襲相続ができます。
 しかし、養子縁組前に生まれていたのであれば、あなた達は被相続人であるお祖父さんの直系卑属ではなく、代襲相続はできません(※後記参照条文:民法887条2項但書参照)。

【法定相続分を動かす手段は特別受益か特別寄与ぐらいしかない】
 もし、あなた達がお父さんとお祖父さんの後妻さんとの養子縁組の前に生まれていた場合には、相続人はあなたのお母さんと(お父さんの)弟さん夫婦の3人となり、その法定相続分は各3分の1です。
 ただ、後妻さんが弟さん夫婦に対して生前贈与をしているというような《特別受益》に該当する事実があれば、お母さんの相続分を増加させることが可能になります。
 又、あなたのお母さんが、後妻さんの財産を増加させ、あるいは減少を食い止めたというような事情があれば、《特別寄与》として寄与分を主張できることがあります。
 それらに該当するような事情があるかどうか、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

【相続分の範囲内での解決しかない】
 後妻の相続では遺言も書かれていないようですので、法定相続分通り、①あなたのお母さん、②お父さんの弟、③弟さんの妻の3名がそれぞれ子の立場で3分の1ずつ後妻の遺産を相続します。
 そして、「祖父の相続の際に多く遺産を相続しているから」という事情はお母さんの相続分を増やす理由にはなりません。道理としてはよくわかるのですが、そのような事情を法律上反映する制度が我々の知る限りありません。
 その意味で、大変申し訳ない回答ではありますが、相続分の範囲内で可能な限りのご意向を実現するほかないように思われます。

《参照条文》  民法第887条:(子及びその代襲者等の相続権)
 1.被相続人の子は、相続人となる。
 2.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
 3.前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

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16:57 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続による所有権取得前の不動産の管理責任【Q&A №405】

2014/10/23
 調停で遺産相続が確定している土地、建物の管理責任は調停での確定範囲で負うと、考えて宜しいのでしょうか? (登記は死亡した祖父名のままです)

*遺産相続取得以外の建屋(未居住)から、強風で瓦が飛び隣地の家に損害を与えてしまいましたが、該当する
土地建屋を取得した、他の相続人の主張は遺産相続登記が完了していないので、私にも損害賠償を案分して支払え
と言ってきています。

ご教示宜しくお願い致します。

記載内容

相続登記 管理責任 損害賠償 所有者責任 占有者責任
(Sunny)


【まず、占有者が責任を負う】
 建物の管理(補修等)に不備があったため、台風などの強風で隣宅に被害を与えた場合、まず、建物占有者が隣宅に対して損害賠償請求をする義務があります。

【次に所有者が責任を負う】
 ただ、占有者がいない場合や占有者が十分な管理をしていたような場合には、建物の所有者が責任を負って損害賠償をすることになります。
 本件では占有者がいないということですので、所有権者が責任を問われることになります。

【調停後の事故の場合】
 ご質問の場合、被害を与えた時期が調停の後であれば、たとえ相続登記が完了していなくとも、調停により所有権を取得した人が、確定的に所有者になりますので、損害賠償責任があります。
 他の相続人は、所有権を全くもっていないのですから、損害賠償をする必要はありません。

【調停前の事故の場合】
 調停成立前に隣家に被害をあたえたというのなら、その時点では遺産分割は完了しておらず、法定相続人間で共有状態になります。
 この場合には、共有者全員が損害賠償責任を負うことになります。
 ただ、その範囲がどこまでかは難しい問題です。
 仮に法定相続人が2名であり、損害賠償額が200万円であるとした場合、100万円ずつ損害賠償をするのか、それとも共有者各人が連帯して200万円(要するに全額)の支払い債務を負うのかという疑問があります。
 私個人としては、持ち分(法定相続分)の限度でしか責任を負わない(先程の例で言えば、100万円の限度での責任になる)ということで理解していますが、この点をはっきり明言した文献や判例を見つかりませんでしたので、あくまで個人的な見解としてご参照ください。
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15:50 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の弟の妻が持ち去った土地売却代金【Q&A №397】

2014/08/20
 さかのぼること7年前の事です。
 私の母の実家の土地を売ることになり(当時3人兄弟で合意の上で売却)遺産分割する予定でした。
 ところが、売買が成立したその後、実家を守っていた弟が急死。その事を知らされないまま、嫁が売却費を持ち逃げしました。
 2014年7月、その嫁が他界したこと知りました。
 その事は一通の手紙で弁護士事務所からのものです。
 嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っているとの事。
 私の母からしてみたら実家の売却費を持ち逃げされ連絡すら取れなかった状態。とても悔しい思いをしていたのに。2度程弁護士の方へ連絡するも『利害関係』との事で手紙での返答でした。当時売却費は9千万。母の為にも明確にしたいです。そして売却費の一部でも渡してあげたいと想っています。どうしたら、母の手に渡して上げられるのでしょうか。

記載内容

売却代金 債務の相続
(masa)


【事実関係を次のとおり整理します】
 質問の事実関係を以下のとおり整理して、その前提で回答します。
① お母さんの実家の誰か(おそらくはあなたの母方のお祖父さん)が死亡した。
② その方の遺産である土地を売却して、法定相続人であるあなたのお母さんを含む兄弟3人で分割することの合意ができていた。
③ 手続きはお母さんの弟さん(あなたにとっては叔父さん。以下、叔父さんといいます)がすることになり、売買が完了し、叔父さんが代金を受け取った。
④ 叔父さんが代金を分配する前に死亡した後、叔父さんの嫁がその代金を着服したが、その嫁も死亡した。
⑤ お母さんの立場として、分配されるはずであった売却代金を取り戻しできる方法はないか。

【叔父さんに対する請求とその相続の関係】
 叔父さんは売却した不動産の代金額を、お母さんと他の兄弟に分配する義務があるのに、その履行をしていません。
 そのため、お母さんとしては、叔父さんに分配金の支払い請求が可能です。
 ただ、その義務者である叔父さんが死亡していますので、その相続人が相続でその支払債務を引き継ぎます。
 ただ、債務は法定相続分に応じて分割されますので、各法定相続人にその持ち分に応じた債務を請求することになります。
 例えば、叔父さんに配偶者(嫁)と子供が2人、存在していたとすると、債務は嫁が2分の1、子供たちが各4分の1ずつ負担することになります。

【叔父さんの嫁に対する請求とその相続との関係】
 叔父さんの持っていた売買代金をその嫁が着服したということであれば、お母さんはその嫁に対しても分配額相当額を、不法行為を理由として賠償請求することも可能です。
 ただ、嫁が死亡していますので、その相続人が法定相続分に応じて債務を引き継ぎます。
 結局、嫁に子供たちがおり、相続放棄をしない場合には、お母さんとしては、叔父さんと嫁の子供たちにそれぞれの法定相続額に応じた分配額を請求するしかありません。

【まず、財産があるかどうかを確認するとともに弁護士に相談する】
 あなたが連絡したところ、相手方の弁護士から「利害関係(がない)」と言われたということですが、あなたのお母さんは叔父さんの嫁の債権者ですので、あなたのお母さんとしては「利害関係があります」。
 現時点では叔父さんもその嫁も死亡しており、結局、叔父さんの子供たちに請求するしかありませんが、叔父さんの子の方は、叔父さんやその嫁の債務を簡単に認めないように思います。
 例えば、叔父さんやその嫁からそのような分配の話は一切聞いていないという回答をする可能性も高いです。
 そのため、裁判になる可能性も高いことを考慮して、早い段階で弁護士に相談し、細かく事情を説明し、訴訟の勝訴見込みをお聞きになるとともに、子に財産があるのかどうかも確認しておくといいでしょう。
 質問では「嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っている」と記載されています。
 もし、嫁の遺産が第3者の手元にあるというのなら、それが使われないような方法(仮差押)を考える必要があります。
 「嫁の実子が、嫁の実姉が嫁の遺産を握っている」のが真実かどうかを早期に確認し、財産がこれらの者の手元にあるなら、早い段階で仮差押をすることも、弁護士と相談されるといいでしょう。


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後妻からの遺留分減殺請求【Q&A №369】

2014/04/28
 去年10月末に主人が亡くなりました私は後妻で先妻との間に50代の息子二人おります遺産相続で法定相続分侵害されています預金四分の一しか戴けないので遺留分を請求したいと思っています
 平成23年8月に公正証書で土地は主人名義 建物は私の名前で建築しました
 土地使用賃貸契約書を結びました
 存続期間は平成22年から私が死亡するまでとなっています
 私の公正証書には私が死亡したら長男に寄贈するとなっています登記はしていません
 建物の税金は私が払っています
 家の建築費用1800万の内1千万は私のお金で800万は主人のお金です
 遺留分請求の時、主人が出してくれたお金は私の相続財産に含まれるのでしょうか
 入籍したのは去年の1月で公正証書作成したときは旧姓になっています 贈与にもなるのでしょうか心配しています宜しくお願いします

記載内容

遺留分 法定相続分 建築資金 特別受益 借地権 遺留分算定の基礎遺産
(ピーコママ)


【あなたの遺留分は4分の1】
 遺言で、本来の法定相続分よりはるかに少ない財産しか相続できない場合には、遺留分の問題が発生します。
 あなたは、配偶者ですので法定相続分は2分の1です。
 配偶者の場合、遺留分は法定相続分の半分の4分の1になります。

【遺留分を侵害されているかどうかを判断する】
 遺留分を侵害された場合には遺留分減殺請求をすることができます。
 この場合、あなたのもらえる具体的な遺産額が、ご主人の全遺産の4分の1に達しないのなら、あなたの遺留分は侵害されていることになります。
 そのため、全遺産額がいくらになるのかが重要なポイントになります。
 遺留分を計算する前提となる遺産には、ご主人の死亡当時の遺産だけではなく、生前に受けた特別受益も加算されます。

【かなりの特別受益が遺産に加算される可能性がある】
① あなたの場合、生前にあなた名義の建物建築費として、ご主人が800万円を出したというのであれば、その800万円が生前贈与になり、特別受益として、遺産に加算される可能性が高いです。
② 又、ご主人の土地上にあなたの建物が建築され、その建築の際、土地使用契約が締結されたというのであれば、あなたに借地権が発生しますので、借地権がご主人からあなたに与えられたとして、その借地権相当額が、特別受益として遺産に加算される可能性が高いです。
③ そうすると、
  遺留分算定の前提とされる遺産額=
    死亡当時の遺産額+
    借地権の設定後の土地価額(更地価額の約40%)+
    前記①の800万円+
    借地権価額(借地権が設定されている土地の更地価額の約60%)
です。
 この4分の1があなたの《遺留分額》です。
 この《遺留分額》とあなたが遺産からもらえる分(全預貯金の4分の1+前記①の800万円+借地権価額の合計額)を比較し、《遺留分額》の方が多い場合には、遺留分減殺をすることができ、不足分をもらうことができます。
 しかし、そうでない場合には遺留分減殺請求ができないことになります。
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16:38 遺留分  | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

★遺産を相手方に確保された状況での対応策【Q&A №368】

2014/04/24
 昨年10月に父が亡くなりました。相続人は父の再婚相手である後妻と特別養子である私の二人です。
後妻はすぐに弁護士と税理士に依頼したそうです。その弁護士から、「遺言書はなく法定相続分50%ずつです。」と連絡がありましたが、こちらで調べたところ、後妻が死亡後も毎日お金を引出ておりましたので、口座凍結をいたしましたところ、後妻よりクレームの電話(脅し文句もありました)その後、後妻の弁護士に今後どの様にしたいのか?確認しましたが、「もうちょっと待ってくれ!」の一点張り。
 また、現在共有財産である不動産収入も独り占めされてます。
 今後どの様にすれば、対抗できるのでしょうか?ご指南宜しくお願い申し上げます。

記載内容

引き出し 口座凍結 遺産の賃貸賃料 死後の預貯金引出

(孤高の旅人)


【被相続人の死亡と金融機関口座の凍結】
 被相続人(お父さん)が死亡した場合、金融機関の口座は凍結されるはずです。
 ただ、金融機関が被相続人の死亡を知らない場合には、従来どおり、預貯金の引き出しができることがあります。
 本件の場合は、後妻さんが、お父さんの死亡したことを金融機関に知らせずに、代理人ということで金銭を引き出したものと思われます。

【まずは金融機関の口座の凍結をする】
 被相続人であるお父さんの死後に、後妻さんが預貯金から出金していたのであれば、金融機関にお父さんの死亡を通知して、口座の凍結を求めるのはやむをえない処置です。
 その点でなんら非難されることではないでしょう。
 むしろ非難されるべきは、お父さんの死亡を隠して預貯金を引き出した後妻さんでしょう。

【不動産の賃貸収入について】
 被相続人が不動産を賃貸している場合、死後の賃料は法定相続分に応じて、相続人に分割されます。
 そのため、後妻さん(弁護士がついているのならその弁護士)に死後の賃料の半額を請求するとよいでしょう。
 それでも後妻さん側が賃料を支払わない場合には、賃借人に対して、《賃料の半分を当方に払いこんでください》と通知を出して、賃借人に賃料を供託させるという方法もあります。
 しかしこの方法は、賃借人に迷惑をかけることになります。
 ただ、賃借人が賃料の支払い先である後妻さんに連絡し、問題を解決するように申し入れ、そのことにより相続問題が解決に動き出す可能性がありますので、とるべき方策の一つとして考えてよいでしょう。
 それでも後妻さん側が動かない場合には、調停等の手段を考えるしかないでしょう。
 なお、相手方に弁護士がついているケースでは、当方も弁護士に依頼し、問題を解決することが迅速な解決につながることもあります。
 とりあえずは相続に詳しいお近くの弁護士に法律相談をされ、必要に応じて事件を依頼されることをお考えになるといいでしょう。
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無断で名義変更された株式【Q&A №329】

2013/11/25
 相続財産に土地や建物、株があります。
 このうちの株はタンス株でしたが相続人の一人【以後Aとします】が勝手に持ち出し、ほかの相続人の同意なしにAの名義としてしまいました。
 本来同意なしにできないはずですが、預けてある証券会社によると株の電子化の前はできていて、現在Aの同意なしに内容の開示はできないとのことでした。

 このままではAに使われてしまうか他人に譲渡する可能性があります。
 まず弁護士会照会で相続財産を把握しようと思ったのですが、名義を元の被相続人に戻すか、差し押さえるかどちらかができないと照会する意味もないかと思い、その可否をおたづねしております。

 おそらく死んだ人の名義にはできないと思われるので、差し押さえになるかとおもいますが、被相続人のものであり他の相続人が同意していないことを証明できれば差し押さえは可能ですか? またこの場合弁護士を通さず自分ですることはできますか?
 弁護士会照会や調停になると費用が高いため、相続財産の照会をするかなど迷っています。

記載内容

株式 取引履歴照会 無断名義変更

(すぎもと)


【名義の返還より損害賠償を考える】
 遺産である株式については、法定相続分に応じて、各相続人が共有(正確には準共有)しています。
 その株式をAさんが無断で単独名義にしたということですので、他の相続人としては、自分の相続分に対応する株式を、自分に返還せよと請求することができます。
 ただ、株券の電子化により手続きが複雑になります。
 そのため、株券の返還を求めるより、株券の名義の無断変更で損害を受けたとして、損害賠償請求をするのがいいでしょう。

【仮処分や仮差押も考える】
 「このままではAに使われてしまうか他人に譲渡する可能性があります」ということですが、そのような移転の可能性があるなら、仮処分又は仮差押えという手続きをするといいでしょう。
 株券の返還を求める権利があるという前提で株券の移転を禁止する仮処分も考えてもいいでしょうし、損害賠償請求権があるという前提でAさんの財産を仮差押えしてもいいでしょう。
 仮処分や仮差押えは、保証金を積んで、裁判所に株券や財産の移動を暫定的に禁止してもらう手続きですが、このような手続を希望されるのであれば、専門家である弁護士に依頼するといいでしょう。
 なお、仮処分・仮差押えをしながら、訴訟をすることも可能ですが、詳しくは依頼した弁護士にご相談ください。

【株式の履歴は、被相続人の方からの調査を考える】
 前記損害賠償請求や仮処分、仮差押えの手続きをする場合には、株式がAさんに無断移転されたという点だけではなく、いつ、どこのどのような株式が誰に移転されたのかを明らかにする必要があります。
 質問によると、名義移転された株式に対する照会について、「現在の名義人の同意なしに内容の開示はできない」という回答があったようです。
 相続人Aはあなたにとっては他人になりますので、Aさんの履歴であれば、その同意なしには開示されないのはやむをえないところでしょう。
 しかし、被相続人名義の株式の照会なら開示される可能性があると思われます。
 次の事項を照会されるといいでしょう。
① 被相続人保有の株式が現在あるか、あるいは過去10年間の間に存在したかどうか。
② あるとしたらその種類、数量等の明細
③ 現在ないが、過去にあったとしたら、いつ、どの種類の株式及びその数量が誰に移転したのか

 なお、被相続人の照会では、現在、株式がどうなっているのか(たとえば現時点でAが保有しているのか)は明らかにはなりませんが、それでも最小限度の事実は確認できるでしょう。


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14:20 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

確実に子どもに家を相続させるには【Q&A №323】

2013/10/30
 都内の一軒家に住んでいます。資産価値は分不相応と思われます。
 現在、毎月のローンを払っていますが、死亡時は保険にてローンの残額が相殺されます。
 家の名義は自分ですが、死亡に伴い妻になるかと予想されます。
 子供は二人います。
 自分の死亡後の事ですが、もし仮に妻が再婚し、家の名義を再婚相手に書き換えたり、共同名義にしたりすることは可能でしょうか?
 その後、その家は自分の子供に相続されるのでしょうか?
 再婚相手に子供がいた場合はどうなりますか?
 また、自分の子供に確実に相続する方法はありますか?

記載内容

遺言 再婚 養子
(ふじ)


【自分の死亡後の事ですが、もし仮に妻が再婚し、家の名義を再婚相手に書き換えたり、共同名義にしたりすることは可能でしょうか?】
 ご相談にありますとおり、あなたの死亡後に奥さんが家を相続すれば、それはもはや奥さんの財産であり、再婚相手に譲ることも自由です。
 確実に子どもさんに相続されるという保証はどこにもありません。
 奥さんに悪気はない場合でも、将来お金に困って売却するという可能性もないわけではありません。

【その後、その家は自分の子供に相続されるのでしょうか?】
 家が再婚相手の名義になった場合、その再婚相手が子供のないままに死亡した場合には、家の名義は、再婚相手の配偶者(つまりあなたの奥さん)と再婚相手の両親になります。
 両親がいない場合は、あなたの奥さんと、再婚相手の兄弟が相続人になります。
 あなたの子供は、再婚相手の養子にならない限り、家を相続することはありません。

【再婚相手に子供がいた場合はどうなりますか?】
 再婚相手が死亡した場合、あなたの奥さんと再婚相手の子供だけが相続人となり、家を相続します。
 なお、再婚相手があなたの子供を養子にした場合には、あなたの子供も相続人になり、家をその法定相続分の限度で相続します。

【自分の子供に確実に相続する方法としては、遺言を利用する】
 自分の子供に確実に相続するために遺言を利用することが可能です。
 まず、遺言で子供たちに家を相続させることにします。
 次に、奥さんには遺留分(4分の1)があるので、その分に相当する全遺産の4分の1を預貯金などで奥さんに与えることを遺言に記載すれば、家はあなたの子供名義になります。
 次に、一旦は奥さんの単独名義にしておきたいというのなら、奥さんが単独で家を相続すると遺言しておき、《家は自分の子供達に相続させるようにしてくれ》とも遺言しておくしかないでしょう。
 しかし、《家は自分の子供達に相続させるようにしてくれ》というような遺言の文言は、あくまであなたの希望に過ぎず、奥さんに対する強制力を持ったものとはならないことに注意する必要があるでしょう。


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法的に正しい遺産分割とは【Q&A №289】

2013/06/25
 母が亡くなり 法定相続人は姉(既婚)・私(独身・母と同居)2人です

 母の遺産は土地・建物(アパート)・預貯金です。
 そのアパートは数年前、母の実妹(独身・親・子無)私達には叔母が急死(孤独死)をし、遺言書はありませんでしたが、生前 私には今の家が残るが、姉は持家が無いので叔母所有の土地・建物(アバート)をあげると言ってたとの親戚の一言で、母が相続しました。

 母の正式な遺言書になるか不明ですが、そのアパートは姉に相続させる旨の一筆が見つかりました。その他預貯金に対しては何も書いてありませんでした。

 そこで、姉と法定通り相続するにあたり、その土地・建物(アパート)は姉が相続するとして残りの預貯金を姉と私と均等に相続するのか。

 または、土地・建物・預貯金総合し、姉はアパート+アパートの評価額を引いた預貯金 私は預貯金(当然アパート評価額相当分がプラスされる)

法律的には、どちらが正しいのでしょうか?

ご回答の程よろしくお願い申し上げます。

記載内容

代償分割 均等

(しいたげられた妹)


【遺言がなければ法定相続分は均等】
 まず、お母さんの書かれた《一筆》(書面)が法律上の遺言にあたらない場合についての回答です。
 遺言がないのであれば、あなたとお姉さんの法定相続分は2分の1で均等です。
 そのため、土地建物も預金もすべての遺産を総合したものを、お姉さんとあなたの2人が2分の1ずつ分け合うということになります。
 ただ、遺産分割に際しては、お母さんの《一筆》を尊重して、アパートはお姉さんが取得することを前提とした場合、2人の具体的相続分は次のとおりとなります。
・お姉さんの相続分=アパート+預貯金の一部=遺産の2分の1
・あなたの相続分=預貯金の一部=遺産の2分の1
 結局、あなたは全遺産の2分の1に相当する預貯金をもらい、その他の遺産はお姉さんが全部取得するということになります。
 その意味では、あなたの考え方のうち、すべての財産を総合して分け合う後者の考え方が法律には沿った解決といえるでしょう。

【《一筆》が遺言として有効な場合】
 もしお母さんの一筆が遺言として認められる有効なもの(遺言書の有効要件については、 Q&A №50Q&A №69参照)であれば、土地建物は遺言どおりにお姉さんが相続し、預貯金は遺言に記載がないのでお姉さんとあなたとが2分の1ずつで分け合うことになります。
 ただ、このように分けた時に、もしあなたの取り分が少なく、全遺産の4分の1を割るという場合には、あなたとしては遺留分を侵害されますので、遺留分減殺の意思表示をすることになるでしょう(遺留分減殺については、 相続コラム:「遺留分とは」 を参照)。

 ただ、法定相続分というのはあくまで権利ですので、必ずしも法定相続分どおり分けなければいけないわけではありません。極端な話をすれば、相続権は放棄することもできますし、放棄をしなくとも、遺産を引き継ぐべき人物はお姉さんであるとあなたがお考えであれば、土地建物はお姉さんが相続し、残りの預金だけを2分の1ずつ相続するという形にしても法的には全く問題ありません。
 法律上は、遺産分割協議という全相続人間の話し合いによって決めることを第一としており、遺産の分け方は相続人の意思(合意)が全面的に尊重されることになっています。
 その意味では、法的に正しい遺産分割というのは存在しないとも言えるでしょう。
 あくまで法定相続分とは、話し合いがまとまらない場合に裁判所が用いる判断基準にすぎないと言えるでしょう。


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父に迷惑をかけ続けた弟の相続権【Q&A №210】

2012/11/05
 相続

 父が平成5年に亡くなりました。法定相続人は母・私・弟です。弟は父が亡くなる前から借金を繰り返し、その都度両親が返していた状態です。父が亡くなってからも700万もの借金が出てきて母が父の保険金で返済しました。このままでは、唯一の財産である住んでいる家がなくなると思い、弟には言わず私の名義に変えました。その後も悪いことをしては刑務所に入り出てきて1年もしない内に女の人をだまして4年前にも800万もの借金を作ったり、窃盗を繰り返したり今も窃盗で刑務所に入っています。別の女の人にも500万の借金をしている状態です。弟は女の人に自分にも相続の権利があるから、刑務所から出てきたらそれを主張すると言っています。母も認知症が入ってきていて施設に入れながら面倒を私がみていかなくてはいけないのですが、弟にも相続させなくてはいけないのでしょうか

記載内容

刑務所 借金 肩代わり 
(ありさ)


【迷惑をかけても相続権はなくなりません】
 弟さんはだいぶお父さんにお金の面でお世話になっていたようですが、だからといってお父さんの相続人であることが否定されることはありません。
 そのため、自宅などのお父さんの遺産をどうするかは、やはり弟さんも交えて相続人全員で協議する必要があります。

【特別受益の可能性があります】
 ただし、弟さんは、お父さんが生前に弟さんの借金を支払っていたということであれば、弟さんには相続分の前渡し(特別受益といいます)があり、この分を遺産分割で考慮することも可能です。
 この特別受益が多いのであれば、今回の遺産分割において弟さんの取り分は実質的には存在しないとされる可能性があります。
 具体的には、弟さんがお父さんから支払ってもらった借金額も遺産に入れて、遺産の総額を算出し、これを弟さんの法定相続分(4分の1)を乗じた額が、弟さんがお父さんから借金を支払ってもらった額より少なければ、弟さんは今回の遺産からは何ももらえないということになります。

【お母さんの保険金の支払い】
 但し、お母さんが、お父さんの保険金で支払った借金返済については注意が必要です。
 死亡保険金は遺産ではありませんので、受取人であるお母さんの固有財産になりますので、この支払い分は、お父さんの遺産分割の関係での特別受益になりません(但し、将来、お母さんの遺産分割では特別受益になります)。
 この点はよく誤解されやすいところですのでご注意ください。

【同意なしに、登記名義の移転はできないはずですが・・】
 住んでいる家を、弟さんに言わずに、あなたの名義にしたと質問に記載されています。
 しかし、お父さんの死後においては、弟さんの同意なしでこのような登記はできないはずです。
 あなたの単独名義にするには、相続人である弟さんの同意が必要であり、書類としては弟さんの実印の押捺や印鑑証明書が必要です。
 もし、弟さんの同意なしに登記をしたというのであれば、その登記は無効です。
 既に登記を済ましているのなら、弟さんからその登記について同意をとる(追認してもらう)必要があるでしょう。
 特別受益の関係で、弟さんに遺産の取り分がないとしても、やはりその点は遺産分割協議や調停などの手続きで明らかにした上で、弟さんの同意を早急にとる必要があるでしょう。
 又、お母さんの認知症の程度にもよりますが、程度がひどければ、成年後見人の選任や特別代理人の問題も発生します。
 事案が複雑ですので、できれば法律の専門家である弁護士に早期に相談されることをお勧めします。

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★保証人のサインをした父の医療費も相続されるか【Q&A №184】

2012/08/09
 医療費の連帯保証人

 3人姉妹で私と姉は結婚し、妹が父と住んでいました。

 ある日父が倒れたと妹から電話があり、病院に駆けつけると私と妹が、『連帯保証人』のサインをさせられました。

 父は体が弱く仕事していません。
 入院は10ヶ月くらい経ち、ある日請求書が私に届きました。
 この場合私が全額支払いの義務があるのでしょうか?

 ゆくゆく父が亡くなったときに、債権放棄したら、支払い義務はなくなるのでしょうか?

記載内容

医療費 相続放棄 保証債務 

 よろしくお願いいたします!!!
(よーぜふ)


【債務関係を整理すると・・】
 今回の質問の債権(債務)関係を整理すると、次のようになります。

①主債務
  債権者:病院
  債務者:お父さん
  債権(債務)内容:治療費支払債務

②連帯保証債務
  債権者:病院
  債務者:あなたと妹さん
  債権内容:上記①の債務についての連帯保証債務

【お父さんの債務は相続放棄で支払の必要がない】
 上記①の債務は、お父さんが支払うべきものです。
 お父さんが生きている限り、お父さんとその子とは他人ですので、この①の債務の支払い義務はありません。
 しかし、あなたと妹さんは連帯保証人のサインをしているため、連帯保証人としてそれぞれ治療費全額の支払い義務があります。

【相続放棄すればお父さんの債務はなくなるが・・】
 医療費も、借金などと同じように相続されます(但し、法定相続分の割合で相続されることになります)。
 相続放棄をすれば、このお父さんの債務の相続を免れます。
 相続放棄をするとお父さんの遺産ももらえないですが、債務を引き継ぐこともありません。

【あなたの保証人としての債務は消えない】
 しかし、前記②の債務は、あなた自身の保証人としての債務です。
 したがって、相続放棄したかどうかとは関係なく、あなたは連帯保証人として前記②の債務を全額支払う必要があります。

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17:13 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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