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亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №553】

2017/01/17


【質問の要旨】

相続放棄したら仕送りしていた金銭はどうなるのか

記載内容 預金 引き出し 承認

【ご質問内容】

父の死亡後、多額の負債の連帯保証人をしていたことがわかり、子である私たちきょうだい三人全員が相続放棄をすることになりました。

遺産は預貯金40万円ほどと軽自動車1台。ほかにはありません。

父は年金と私たちきょうだいからの仕送りで生活していました。

相続を放棄してしまうと預貯金から仕送り分を返してもらうことはできない、という解釈であっていますか

(おがわ)






【仕送りは貸金ではない】

親子間では困っていたら助け合う義務(扶養義務といいます)があると定められています(民法第877条第1項。末記条文を参照ください)。

子が親に仕送りするような場合にはこの扶養義務の履行に該当すると考えられます。

そのため、子から親に対する仕送りは貸金ではなく、返還を要しない贈与となり、親は返還義務を負いません

そのため、お父さんの遺産から返還を受けることができないという結論になります。


【参考説明:子の親に対する貸金と子の相続放棄との関係】

前項で述べたように、親に対する仕送りは貸金ではないと考えられます。

ただ、本件の質問を離れて、仮に子が親に貸金があった場合、相続放棄との関係がどうなるかも説明しておきます。

相続放棄とは遺産の相続をしないということです。

子であるあなた方が相続放棄をした場合、お父さんの遺産である車や預貯金40万円を相続することはできません。

しかし、子が親に対して貸金のような債権を持っていた場合、子が相続放棄しても、その貸金債権はなくなりません。

相続放棄は親からの遺産をもらわないということであって、あなた方が従来から持っている親に対する貸金債権までなくなることはなく、あなた方は親の遺産に対して貸金の請求ができます


【参考説明:相続財産管理人の選任が必要】

問題は、この請求をした場合に、誰が支払いをしてくれるかです。

相続放棄をしない場合、法定相続人が遺産の権利者になりますので、その権利者の権限として遺産を自由に処分でき、債務の支払いもできます。

これに対して、相続放棄をした場合、その放棄した相続人は遺産を自由に処分する権限はなく、債務の支払いをすることができません

相続放棄をしない法定相続人がいれば、その人が遺産と債務を承継しますので、その人に支払い請求をすることになります。

もし、すべての相続人が放棄をした場合で、貸金を有している債権者が債権の支払いを求めたいのなら、その債権者が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立をする必要があります。

選任された相続財産管理人が遺産を管理・調査し、債権者に支払いをしてくれます。

ただ、財産管理人選任の申立をする場合、原則として、予納金として裁判所に90万円から100万円を納付する必要があります。
今回の質問の場合、遺産が少ないのでそのような手続きはするメリットはないでしょう。

なお、財産管理人が選ばれた場合、この申立をした債権者の債権の弁済が優先されるわけではなく、債権額に応じた平等弁済になることも理解しておかれるといいでしょう。


【勝手に遺産から弁済をうけた場合の扱い】

相続放棄したにもかかわらず、その放棄した方が遺産から勝手に貸金の返済を受けた場合、その相続人は遺産を取り込んだとして、相続放棄の効力がなくなることがあります

相続放棄が無効になった場合、その相続人は、お父さんの債権者から請求があれば債務の支払いをしなければならないこともありうることにご注意ください。

民法 第877条
(扶養義務者)
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
(以下略)


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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12:57 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父親の介護と遺産に関する約束【Q&A №535】

2016/10/11


【質問の要旨】

父親の施設の入所代、病院代などについては半分が長男、亡くなったら全額長男と言われて困っている

記載内容 介護 扶養 約束

【ご質問内容】

静岡に住んでいる主人の父親(81)の話ですが、私達は結婚してから横浜住まいです。

夏に子どもを連れて遊びに行くぐらいでした。

主人は長男なのですが、母親の連れ子で姉2人父親の連れ子で、主人と妹(音信不通)今の両親で一男一女(一男は死亡)の家族構成なのです。

今まで両親は2人でアパートに住んでいましたが、何年か前だと思いますが、2人共介護が必要になったみたいです。

2人の仲も悪くなったようで、父親は年金で施設、母親は姉の家に連れていきました。

今になって父親とは他人なので、通帳も印鑑も渡すので、こちらで面倒をみろというのです。

私達も近くて、金銭的な余裕があれば見てあげたいですが、とても見てあげられない状況です。

施設の入所代、病院代、などは半分が長男。

何かあって父親が亡くなったら、全額長男。

父親は退職金も入っていたと思うし、わが家も経済的に無理だし、いままでの生活がまるでわからないので、どうしたらいいかわかりません


助けて下さい。

(なな)







【相続については相続放棄も考えておく】

本件で相続に関するのは《施設の入所代、病院代、などは半分が長男。何かあって父親が亡くなったら、全額長男。》とある点です。

お父さんの死亡時点で施設費の未払料金や借金等の債務等が存在する場合、遺産と債務を比較し、債務が多いようであれば、相続放棄ができます。

相続放棄すると、遺産を受け取ることはできませんが、債務の支払いもする必要が無くなります。

相続放棄はお父さんが亡くなり、相続が開始したことを知った日から3ケ月以内に家庭裁判所に申立する必要があります(詳しくは当ブログQ&A №455などをご参照ください)。


【今、するべきことについて・・ご主人には扶養義務がある】

それ以外の質問に書かれていることは相続問題ではありません。

ただ、お困りのようですので、簡単にコメントを付しておきます。

まず、ご主人はお父さんの子であるので、お父さんを扶養する義務があります。

ただ、ご主人が経済的なゆとりがないというのであれば、如何ともしがたいので、義務を尽くすことができないと回答するしかないでしょう。

もし、私が今回の相談を受ければ次のようなアドバイスをするでしょう。

①《お父さん》の心身の状態を確認する。

最初に《お父さん》が自分で物事を判断できるような状態なのかどうか、身体的にどのような状態なのかという、心身の状態を確認する必要があります。

判断能力がないのであれば、成年後見人を選任するということも考える必要があります。

この点は、施設に入っているということですので、施設に事情を説明して、教えてもらうことができると思います。

②《お父さん》の財産を確認する。

次に、《お父さん》の財産を次の3つの面から確認する必要があります。

・現在の月々の年金分などの入金分と施設の使用料との出金分の収支の内容、差額を確認する。

・次に《お父さん》の財産(不動産や預貯金、借金)として何があるかを確認する。

・更に過去にどれだけの金銭が動いているのか(退職金がどうなったのか、預貯金からの引き出しはどうなっているのか)を確認する。

これらの確認は、これまで財産を管理していた人に対して教えてもらうことになります。

③判断をする。

以上の確認をした上で、ご主人が扶養義務を尽くすことができるのか、できるとしてどのような形でしていくのかを判断する。


上記①~③の調査をしていけば、どうしてもお父さんの面倒を見るという方向になってしまいますが、その時でもできないことはできないとはっきりと述べる勇気が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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13:53 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★子どもの国民年金掛金と特別受益【Q&A №527】

2016/09/07



【質問の要旨】

肩代わりした国民年金約240万円は、特別受益に該当するか

記載内容 年金 継続的 扶養


【ご質問内容】

20才から支払う義務がある国民年金「金額240万円程度」を肩代わりして支払いました(アルバイトで支払い能力がなかったため)。

そろそろ遺言書を作成すべき時期かと思案していますが。

この過去に支払った金額は特別受益に該当するのでしょうか。

宜しくお願い申し上げます。
(素浪人)







【事案によっては特別受益にあたる場合もある】

被相続人であるあなたが、相続人に対して「生計の資本としての贈与」をした場合、特別受益として、遺産分割の際に遺産に持ち戻されます(当ブログQ&A №164Q&A №334等参照)。

問題はどのような金銭等の提供が、《生計の資本》としての贈与になるかです。

例えば、相続人である長男の自宅買入資金として500万円を援助したというのであれば、特別受益になることは間違いありません。

しかし、今回のご相談は、毎月数万円程度の金銭を渡した、あるいはその程度の債務を立替支払いしたような場合です。

このような、毎月は少額でも多年にわたると金額も大きくなるような場合に、特別受益になるかどうかという問題になります。

お金を渡していれば贈与ではないかという反論が出そうですが、被相続人である親が子である相続人にお金を渡す場合、親の子に対する扶養義務の履行として渡しているとされる場合もあり、その場合には渡した金銭は特別受益にはなりません。


【判断基準はどういうものか】

次に、扶養義務の履行か否かを判断する基準は何かということが問題になります。

遺産の総額、一度に渡されたものかどうか、又、月々の支払い等であればその額はどうか、渡された期間やその交付する理由などが判断基準となるでしょう。

過去の家庭裁判所での審判例では、遺産総額や被相続人の収入状況から考えて、月に10万円に満たない送金は扶養的金銭援助にとどまるが、月10万円を超えるものは生計の資本としての贈与になり、特別受益になると判断したものがあります(東京家審平成21年1月30日・家月62巻9号62頁)。

(詳しくは【相続判例散策】毎月の送金が特別受益にあたるのか?をご参照ください。)


【遺言書の作成上の注意】

これから遺言書を作成するが、被相続人のした国民年金の立替分を特別受益にならないようにしたいというのであれば、次のような方法を考えられるといいでしょう。

① 国民年金立替分については《持ち戻しの免除する》との意思を遺言書に明記する。
② なぜ、持ち戻しの免除をするのかという理由を遺言書の付言事項として記載し、併せて他の相続人が特別受益という問題を持ち出さないようにという内容の遺言者の希望を記載する。

これらの①及び②の方法の双方を採用し、その内容を遺言書に記載することで解決されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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17:30 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★【相続判例散策】毎月の送金が特別受益にあたるのか?(東京家審平成21年1月30日)

2016/09/07
毎月の送金が特別受益にあたるのか?

(東京家審平成21年1月30日)


【ケース】

平成4年から平成6年の間、被相続人から相続人の一人に対して一月に2万円から25万円の送金がなされていた事例で、相続人の一人への特別受益にあたるかが問題になった。


【裁判所の判断】

裁判所は、以下のような内容の判断をしました。

遺産総額や被相続人の収入状況からすると、一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であると認められるが、これに満たないその余の送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないと思慮する。

一月に10万円未満の送金については、親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは直ちに認められないと思慮するが、その余の送金はいずれも一月に10万円以上の送金がなされており、返済されたと認められる証拠がないことからすると、これらの一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であり、いずれも特別受益と認められる。


【弁護士のコメント】

裁判所は、この事案については、月に10万円程度なら扶養義務の範囲での援助といえるが、それ以上の送金については、扶養義務の範囲を超えた「生計の基礎として役立つような財産上の給付」であると言えるので、特別受益になると判断したということです。

月に何万円程度が扶養義務の範囲といえるかどうかは、遺産総額や被相続人の収入状況によって変わりますので、月に10万円というのは固定額ではないことに注意が必要です。

大澤龍司法律事務所
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17:15 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

在宅介護費用と特別寄与【Q&A №507】

2016/05/31



【質問の要旨】

看護を負担した相続人が他の相続人に費用請求できるか

記載内容  介護 扶養 不公平

【ご質問内容】

私が、仕事を休んで、平成22年7月から平成25年1月まで自宅で看護(導尿行為、バイタルチェック、塩分1日8グラムの食事作り)を行ってきました。

相手(姉2人)は近所に住んでいながら、一切協力せずに遊びまわり、扶養義務調停にも出廷せず、扶養義務調停が終わる前に父親は亡くなりました。

一番上の姉は生前贈与(住宅購入資金の一部として現金300万円)を昭和48年頃に貰い、高校と短大も我儘を言って私立に通っていました。

私と下の姉は公立高校で終わっております。

短大卒業後すぐに結婚しましたので嫁入り道具と、結婚資金等は、両親が出しています。

なお、私は平成22年2月に腰に金属を入れる手術を行っておりその後絶対安静時に看護が始まり現在は酷い後遺症が出ております。

財産は私たちが住んでいる土地建物しかありません。

土地は路線化で2800万円位(約82坪)建物の名義は13分の11は、私の名義になっております。父親名義の分の建物の評価は53万円程です。

(くま)






【介護費用は請求できないが、特別寄与の可能性がある】

親子間では互いに扶養義務があります。

そのため、子であるあなたが約2年半もの間、自宅でお父さんの介護をしたとしても、これは扶養義務を履行しただけであり、これをしなかった他の扶養義務者(今回は2人のお姉さん)に請求することはできません。

親子間に扶養義務が定められている以上、子として介護等をするのは当然のことであり、他の扶養義務者に介護のための労力等の費用を請求することはできないというのが、今の法律です。

しかし、あなたが介護をしたことにより、ヘルパー代や看護師料、老人ホーム入居費用等が減り、その分、遺産の減少が食い止められたというような事情があれば、その減額分を《特別寄与》として請求すれば、遺産から支払ってもらえる可能性があります。

(なお、介護の努力がどのように遺産分割に反映されるかという点は、当ブログQ&A №386Q&A №254などにも同様の話が出ておりますのでご参照下さい。)


【住宅購入資金の生前贈与は特別受益になる】

一番上のお姉さんが住宅購入資金の一部として金300万円をお父さんからもらったというのであれば、特別受益になりますので、遺産に持ち戻した上で遺産分割をすることになります。


【短大への進学に関する費用は原則として特別受益にならない】

一番上のお姉さんが短大に行かせてもらった点ですが、教育については子の能力の問題もあり、又、親の子に対する扶養の問題であり、遺産の前渡しという意味は持たないという判例もあることから、原則として特別受益にならない可能性が高いです。

ただ、私の担当した案件ですが、私立の医大に行った場合には、その授業料額が莫大であることや医師という社会的に重要な資格を取得することから、特別受益として対応したことがあります(なお、当ブログQ&A №375を参照ください)。


【参考判例】
大阪高裁決定平成19年12月6日
「被相続人の子供らが、大学や師範学校等、当時としては高等教育と評価できる教育を受けていく中で、子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」



【結婚資金について裁判例は分かれるが・・】

結婚資金については、裁判例がわかれていますが、私は挙式費用などは、特別受益には当たらないと考えています。

その理由は、挙式費用は、結婚式という一過性の支出であり、後に残るものではないことや、結婚式が結婚する当事者のみならず、その両親や親戚のためにするという側面を有すること、更に親としても相続分の前渡しとして挙式費用を出すのだという意識はなく、持ち戻し免除が推測されること、更に通常の場合、すべての子が多かれ少なかれ親の援助で結婚式をしていると思われることなどからです。

なお、嫁入り道具や持参金などは金額が高額であれば特別受益に該当するでしょう。

【参考判例】
① 名古屋地裁平成16年11月5日
「嫁入り道具や持参金等がこれ(弁護士注:特別受益)にあたることはいうまでもない。しかしながら、結婚式や結納の式典そのものに生じた費用については、婚姻する者のみならずその両親ないし親戚一同にとって重要な儀式であることに鑑みると、両親が子の結婚式や結納の式典に生じた費用を支出したとしても、それを両親から子に対する「婚姻のため」の贈与と評価すべきではなく、特別受益にあたらない。」

② 仙台地裁平成5年9月7日
「右程度の援助(弁護士注:結婚披露宴費用のうち祝儀代を引いた残額二〇万円の援助)は、本来通常必要なものであるが、他の妹弟が結婚に伴う援助を受けていないことを考えると、特別受益に該当するものといわざるを得ない。」

③ 盛岡家裁昭和42年4月12日
「相続人が婚姻に際し、被相続人より挙式費用等を負担してもらっているが、その金額も高額でないので、いずれも民法903条にいう贈与として相続分の算定につき斟酌すべきではな」く、特別受益に該当しない。」



【その他の問題点・・土地使用借権が特別受益の可能性あり】


あなたがお父さん名義の土地の上に建物の持ち分を有しておられるのであれば、その土地をあなたの建物のために無償使用している(使用借権)の贈与と主張される可能性もあり、あなたの方でも特別受益が問題になりかねませんので、その点はご留意ください。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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17:43 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親の生活費を負担しないことが特別受益になるか【Q&A №394】

2014/07/22

 20年親に生活費をいれてない弟夫婦、遺産相続の時この期間を特別受益と証明できますか?

記載内容

親の生活費 扶養義務 特別寄与
(ココ)


【親が生活に困っている場合には、子は扶養料を支払う義務がある】
 親子は直系血族ですので、互いに扶養義務を負います。
 そのため、親が生活に困っているようであれば、子供は扶養料を支払うべき義務があります(参照条文:民法877条。末記参照)。
 しかし、親が生活に困っていない場合には扶養義務はなく、子供が親の生活費を負担する必要はありません。

【親の生活費を負担しないということだけでは相続問題にならない】
 親が生活に困っているのに、弟さんが生活費を負担せず、あなたが生活費を負担したということであれば、それはあなたが扶養義務を尽くしたということであり、相続の問題ではありません。
 ただ、あなたの立場から言えば、自分が出した過去の養育料を弟さんに請求できるかという問題です。
 結論から言えば、弟さんの収入や生活状況とあなたの分とを比較して、同程度であればあなたが請求(求償)できる場合もあるということになりますが、むずかしい問題ですので、詳しくは家族問題に詳しい弁護士と相談されるといいでしょう。

【特別寄与になる場合がある】
 親が困っていないのに、親に仕送りをし、その分、親の財産の減少が食い止められたあるいは増加したというのであれば、相続の特別寄与の問題となる可能性があります。
 特に扶養義務を明らかに超えるというほど送金しておれば、特別寄与の対象となり、遺産から先に寄与分相当額を支払ってもらえるかもしれません。
 なお、この寄与分については、まず、法定相続人間で協議し、協議がまとまらない場合には家庭裁判所で決定することになります。

《参照条文》
民法第877条
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
 (以下略)
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15:50 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

私立大医学部の学費は特別受益か【Q&A №375】

2014/05/26
 養父が亡くなりました、私は養父と養子縁組をしています。私は実父に大学費用などを出してもらい、私が独立したときに母は養父と再婚しました。
 養父は前の結婚で医師になった一人息子がいます。
 医師であった養父ですが25年まえに彼の私大医学部の予備校費用や入学金、学費など彼に多大な費用が掛かり大変だったとよくこぼしていました。これは特別受益になりますか?

記載内容

私立大学 医学部 学費
(花)


【医学部の学資、独立後の養子の2点が問題】
 本件では、まず、第1点として、学資、特に私大の医学部(きわめて多額になる)の学資の支払いをしてもらったことが特別受益になるのかどうかが問題になります。
 次に、あなたが養子になったのが、あなたの《独立》後であるという点が、特別受益問題にどのように影響してくるかという点も問題になります。

【学資の支払いについて】
 2人の子供が相続人であった場合、一方は大学卒で、他方は高校卒で、いずれも被相続人から学資を出してもらったケースについて考えましょう。
 親としては、子供たちにそれなりの教育を受けさせてやりたいと考えるのが普通でしょう。
 ただ、その学力や本人の希望などもあり、一方は大卒、他方は高卒ということもありえます。
 大卒と高卒の場合、大卒の人が特別受益を受けたという考えもあります。
 しかし、大卒と高卒になった点に合理的な理由があれば、被相続人である《親の扶養義務の履行の範囲内であり、親の裁量》であるとして、特別受益にはならないというべきでしょう。
 参考までにいえば、過去の判例で次のようなものがあります。
「……子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般的であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情がない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」
(大阪高裁決定平成10.12.6)

【私大医学部などの膨大な学費の支払いについて】
 但し、学費の額が極めて高い場合、例えば本質問のように私大医学部ということになると、額が非常に多い(私が聞いているところでは、入学金や学費で5000万円を超すところも少なくない)のであれば、特別受益とするべきでしょう。
 遺産全体の額とのバランス(たとえば遺産が10億円程度もあれば、それほど問題にするべきものではないでしょうが)を考えて、その学資支払い分が多額というのであれば、他の相続人間にとってあまりにも不利な結果になるような場合は、特別受益として考えてもいいというのが私の意見です。

【独立後の養子であることが結論に及ぼす影響について】
 質問では、あなたは実のお父さんから学費を出してもらい、その後、あなたが、《独立してから養子になった》というように読み取れます。
 もし、そうであれば、お父さん(養親)は実子さんに学資を出された当時、特別受益というようなことを考えてはいなかったのではないでしょうか。
 養子になる以前は、いずれも当時のそれぞれの実親の扶養により、大学に行っていたのであり、その学費に差があったとしても、それは当時の実親の経済的な資力やあなたの志望等の問題であり、学費に差があってやむを得ない面があります。
 特別受益が相続人間の不平等を是正する趣旨をもっている点を考慮すると、学費の差は、当時の状況としてはやむを得ないものということもできると思います。
 又、養親としても、養子になる以前の実子の学費まで相続で問題にされるとまでは考えていなかったと推測すべきであり、持ち戻し免除が適用される可能性もあります。
 ただ、今回の質問は、確定的な答えをできる内容ではありません。
 そのため、できれば、相続に詳しいお近くの弁護士に法律相談され、より具体的な事情をお話された上で、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
大澤龍司法律事務所
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12:58 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

介護をした相続人と寄与分【Q&A №371】

2014/05/01
 母と二人で在宅介護をしてきた父が家で亡くなりました。
 父には遺言書などなく相続人は母と兄姉と自分の4人です。
 兄の方は父の介護を二人に押し付けていたのに遺産を貰うなんて出来ないと、放棄すると言われましたが姉の方は介護なんて自分には関係ないと遺産を要求してきました。
 そこで寄与分についてですが、父は10年前に介護度3が認定され5年前からは5に上がり認知症まで加わった寝たきり生活になりました。そして4年前からは重度のパーキンソン病を患い、2年前からは肺炎を患って胃ろうになりました。介護の間、訪問看護やヘルパーなど頼まず二人だけでしてきました。(胃ろうになってからは訪問看護の人に週一で30分だけ来てもらっていました。)
 介護度5になった辺りから痰が多く吸引機で取っていました、肺炎後からは肺炎防止の為に吸引回数も24時間体制で取っていました。床ずれも大きなポケットが3か所もあり床ずれの場所に圧を掛けない為に体の向きを2.3時間程度に一度は右に向けたり左に向けていました。
 訪問看護の方からはこんなに見てる家族は初めてとまで言われました、父には家族さんにこれだけ見てもらっこんな幸せな人はいないと皆さんから言われました。
 寄与分ですけど姉に対して主張が可能でしょうか、もし調停にまで行ったら寄与分は認められる可能性はあるでしょうか。
 駄文で申し訳ありませんけど、お願いします。

記載内容

介護 ヘルパー 相続分譲渡 相続放棄 特別寄与
(S-Ran)


【療養看護の寄与にあたる可能性があります】
 法定相続人が被相続人の療養介護に努めた場合、遺産の分割に際して特別寄与が認められることがあります。
 ただ、あなたについて言えば、父子関係にあったことから、療養介護は《親族間の扶養義務》の履行であり、《当然なすべき義務を履行しただけである》として、それほど多額の寄与分は認められないのが普通です。
 ただ、あなた方が介護したことにより、ヘルパー等の介護料金等を支払わなくてもよくなったと認められる場合には、その支払いが不要となった金額が特別寄与として認められる可能性があります。

【具体的には・・】
 質問を見ると、
《父は10年前に介護度3が認定され5年前からは5に上がり認知症まで加わった寝たきり生活になりました。》
《そして4年前からは重度のパーキンソン病を患い、2年前からは肺炎を患って遺漏になりました。》
《介護の間、訪問看護やヘルパーなど頼まず二人だけでしてきました。(胃ろうになってからは訪問看護の人に週一で30分だけ来てもらっていました。)》
《介護度5になった辺りから痰が多く吸引機で取っていました、肺炎後からは肺炎防止の為に吸引回数も24時間体制で取っていました。床ずれも大きなポケットが3か所もあり床ずれの場所に圧を掛けない為に体の向きを2.3時間程度に一度は右に向けたり左に向けていました。》
と記載されています。
① どの時期からヘルパーが必要になったのか?
② 週単位でどの程度ヘルパーが必要であったのか?
③ その時点でのヘルパーの料金はどの程度であったのか?

等を調査・確認した上で、その総額を特別寄与として請求されるといいでしょう。

【お兄さんには放棄ではなく、相続分の譲渡をしてもらう】
 お兄さんはあなたの努力を認めて、遺産を放棄すると言われているようです。
 この相続放棄が家庭裁判所に対する相続放棄の申述をするのか、あるいは遺産を請求しないのかがわかりませんが、いずれにせよ《相続放棄》だけでは不十分です。
 お兄さんには相続放棄ではなく、相続分をあなたに譲渡するようにお願いをしましょう。
 相続放棄をすると、お兄さんを除いて他の相続人で遺産分けをすることになり、妹さんの取り分が増えます。
 相続分の譲渡であると、お兄さんの取り分もあなたの取り分に加算されます。
 なお、お母さんも協力していただけるのであれば、その相続分をあなたに譲渡するといいでしょう。
 相続分譲渡については、相続分譲渡書に実印を押してもらい、印鑑証明書をもらっておくといいでしょう。
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16:30 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】

2014/04/01
 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)
 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容

不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得
(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。


【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
※横領についても同様の刑の免除の条文があります。
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14:29 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

姉の入院費用の支払い義務【Q&A №359】

2014/03/28
 別居の姉が先日亡くなりました。
 入院にあたって、姉は、保証人の欄に自分で私の名前と住所、電話番号を書いていましたので病院から、生前の入院費と今回の入院費の請求をされています。(保証人の欄に押印はありませんでした)払わなければならないのでしょ
うか?
 姉の入院は亡くなってから知りました。両親も他界し、親族は私だけです。
 相続する預貯金、財産、生命保険等は一切ありません。

記載内容

保証 入院費用 扶養義務 相続放棄 他人の署名・捺印
(ごんちゃん)


【問題点は相続としての債務とあなた自身の債務の2点です】
 今回は、書面上であなたの署名がされた形になっているので、あなた自身が(保証人としての)債務を負うのかどうかという点、次にお姉さんの負っている債務(主債務)についてあなたがお姉さんの相続人として債務を負うかという点の、2点です。

【あなた自身の債務はない】
 まず、あなた自身の保証債務について回答します。
 あなたのお姉さんが、あなたの署名をすることについて、あなたが同意あるいは黙認していたような場合には、保証人としての責任を問われることがあります。
 しかし、そうでないなら、あなたが署名も捺印していないのだから、原則としてあなたが(保証人としての)債務者になることはありません。
 なお、あなたはお姉さんの兄弟姉妹になりますので、扶養義務があります(末記条文を参照ください)が、それは親族内部の関係であり、第三者である病院があなたの署名・捺印もなく、又、同意もしていないのにあなたに保証債務を請求することはできないでしょう。

【相続債務の対策・・相続放棄を考える】
 ただ、お姉さんは、病院に対して支払債務を負います。
 そのお姉さんが死亡したので、その債務は相続人に承継されます。
 その債務を負いたくないというのであれば、死亡を知って3ケ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをするといいでしょう。
 ただし、相続放棄をした場合、あなたは債務を引き継ぐことはなくなりますが、同時にお姉さんから遺産をもらえなくなります。
 従って、相続放棄をする場合には、お姉さんの財産と負債とを比較して、負債が多いというような場合に放棄をすればよいでしょう。
 なお、財産の方が多いということであれば、お姉さんの債務は支払わざるを得ないでしょう、
 具体的な相続放棄の手続きにつきましては、お近くの家庭裁判所に確認されるといいでしょう。親切に教えてくれると思います。

【弁護士に相談することも考える】
 質問では病院からの請求があるようですが、相続放棄をするのなら、その後に相続放棄をしたことを主張すればいいでしょう。
 なお、病院が保証人としての債務を主張してくるのであれば、署名捺印をしていないということを主張すればいいでしょう。
 それでも病院が納得しないのであれば、弁護士に相談して、対策を協議されることをお勧めします。

【参照条文】
《民法第877条(扶養義務者) 
1 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。》
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13:45 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★扶養義務も相続されるのか【Q&A №351】

2014/03/05
 祖父の遺産相続調停条項で
①子A,Bらは連帯して子C(障害者)が生存中扶養する。
②土地はA,B,Cの共有とする。
③他の兄弟は遺留分も含め相続放棄する。

【ご質問】
①A,B,の子供らは将来、Cの扶養義務を負うのでしょうか?
②民法896条によって、扶養義務は遮断出来るのでしょうか?

記載内容

扶養義務の相続 一身専属権 民法896条 調停条項による扶養義務
(aussie)


【一般的には扶養義務は相続されない】
 扶養義務については、一般には、扶養義務者(今回で言えばA・B)が死亡した場合、扶養権利者(今回はC)の要扶養状態が依然として継続しているとしても、相続人がこれを承継するべき筋合いではない(扶養義務は一身専属権である)と考えられており、扶養義務が相続されることはありません。

【今回の質問の特殊な点は・・】
 ただ、今回の質問の特殊な点は、扶養義務が調停の結果である《調停条項で定められている》という点です。
 法定相続人である他の兄弟としては、《遺留分も含め相続放棄する》代りに、AさんとBさんが、障害者Cさんが死ぬまで面倒を見てもらうことにしたというのが実情でしょう。
 AさんとBさんは、法定相続分より多くの遺産をもらう(なぜなら、他の相続人の財産放棄があったから)という財産的利益を受ける見返りに、《調停条項による特別の債務》である扶養義務を負ったということのように思われます。
 言い換えれば、他の相続人としては、Aさん及びBさんの両名が死亡した場合、扶養義務が相続されないとすると、自分たちが《法律上》の扶養義務を負うことになります。

【結局は調停条項をどのように解釈するか】
 このようなケースについての明確な法律や判例はなく、問題は調停条項をどう解釈するかという点が問題となります。
 《調停条項による扶養義務》が相続されるとすると、AさんやBさんが死亡した後、その相続人である配偶者が(血のつながりがないという意味で)他人であるCさんの面倒を、又、相続人である子らが叔父さんであるCさんの面倒を見ることになります。
 相続人である配偶者や子に、そこまでの面倒を見させることは想定していなかったというのが、この調停条項の妥当な解釈ではないかと思います。
 扶養義務者を1名ではなく、2名にしているのも、どちらかが死亡してもその相続人に扶養義務を負わせず、AさんとBさんの残った方に扶養義務を負ってもらおうという趣旨だと思われます。
 以上の点を考えると、異論はあるでしょうが、この《調停条項上の扶養義務》も一身専属権として、相続されないというのが妥当なところでしょう。
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義理の母も相続するのか【Q&A №337】

2013/12/27
 旦那(三男)他界して一年過ぎ、
私67歳・長男息子夫婦・孫中学生2人
で息子夫婦と暮らしております。孫もこれからお金が掛かる年齢ですので質問してみました。宜しく御願い致します。

 義理の母の入院にあたりお世話などに病院に行ってはいるのですが入院費用を折半してと義理の長男夫婦から言われ入院代を兄弟(長男次男(三男私の旦那で他界)娘での折半に含まれるべきか??病院でのお世話は継続しますが。私自身、息子夫婦に面倒みてもらってるのもありますし金銭的にギリギリです。

 又、義理の父が亡くなった時は私の旦那は相続してませんし義理の母が亡くなった時、私は相続権はありますか?無いと記憶してますがあるのでしたら放棄しようと思っています。

記載内容

義理の母 養子縁組 扶養義務 相続放棄 代襲相続
(モコモコ)


【義母の相続人にはならない】
 ご主人が先に亡くなり、その後にお義母さんが亡くなった場合、あなたはお義母さんの相続人にはなりません。
 あなたの息子さんが、ご主人の代襲相続人として、お義母さんの相続人になります。
 
【義母の入院費用の支払い義務はない】
 扶養義務を負うのは、直系血族と兄弟姉妹です。
 あなたのご主人はお義母さんの子供であり、お義母さんを扶養する義務がありましたが、あなたはお義母さんの子供ではありませんので、扶養義務はありません。
 従って、あなたが入院費の支払いを拒否してもなんら違法ではなく、義務違反でもありません。
 参考までにいえば、義理の長男夫婦は、お義母さんの直系血族になり、又、あなたの子供さんも同様に直系血族になりますので、お義母さんを扶養する義務があります。

【あなたの子供さんの相続放棄について】
 あなたの子供さんはお義母さんの遺産についての法定相続人(代償相続人)です。
 従って、子供さんらが相続放棄をしたいのなら、家庭裁判所へ相続放棄の申述手続きをする必要があります。
 相続放棄は相続を知って3ケ月以内にする必要がありますので、期間が過ぎないようにご注意ください。
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★家賃が特別受益になるか。【Q&A №321】

2013/10/22
  
妹(次女)家族(母子家庭二人共就業している。娘は正社員)が、母名義の家に約10年間住んでいます。家賃は月5万円で母の預金口座に入れていました。以前、生活が苦しいということで、毎年50万円を5年間で250万円と敷金の30万円、それに子供の私立大の学費300万円(これは父から)を母から貰っています。
 この度父が亡くなり、その家賃のことをうるさく言う人がいなくなったり、生活が苦しいと言うので、家賃を母や主人(養子縁組をして法定相続人)と私が相談して免除しようということになりました。母は施設に入っており介護などの負担は3人ともありません。母の口座管理や身元引受人は私(長女)が引き受けています。今後、妹は母の家に母が生きている間、住み続けたいと言っており、その家賃が特別受益になるのかどうか?また、亡くなった後、スムーズに立ち退いてくれるかどうか、何か取り決めをしておいたほうが(書類にして)よいのかどうか。
 それと以前もらった250万+30万円は特別受益となるのかどうか。あと、妹が母の家に入る前に私たち家族がその母の家に入っていました。その入る際に、家をリフォームしてくれました。約300万円掛かったそうです。
 そこに私たち家族は9年ほど住まわせてもらいました。もちろん家賃も支払っていました。
 その後、一般の人が約10年住み、その後に妹家族が入りました。
 その時のリフォーム代は、生前贈与だと妹は申していますが、どうなのでしょうか?

記載内容

家賃 免除 使用貸借と特別受益 家賃の猶予 立ち退き


(まるさん)


【家賃の免除と特別受益の関係】
 妹さんが、これまで払っていた家賃を今後は払わずにお母さんの家に住むことを、家の所有者であるお母さんが認めるとした場合には、これまでの賃料を支払う賃貸借契約から、賃料を支払わない使用貸借契約に契約が変更されたことになります。
 この無償で使用する権利(使用借権)が特別受益になります。
 特別受益としてどの程度の価額かになるかについては争いがあります。
 支払いしなくてよかった賃料額を特別受益とするという見解がないわけではありませんが、賃料額を合計するとかなり多額になりすぎるということから、賃料額の総計を特別受益とはしないという見解が多いです。
 賃料を免除ではなく、支払いを猶予し、被相続人であるお母さんの死亡時(相続発生時)に清算するということにすることも一つの方法です。
 しかし、この場合には(使用貸借ではなく)賃貸借が継続しますので、次項の明け渡し請求が難しくなります。

【亡くなった後のスムーズな立ち退き】
 使用貸借契約の場合でも、賃貸人が死亡しても使用貸借は終了せず、当然には立退きを請求することはできません。
 そのため、使用貸借が終了し、使用貸人であるお母さんが死亡した場合には、建物を明け渡すという合意書を作成しておくといいでしょう。
 使用借権には、借地借家法が適用されませんので、明け渡すという合意書が無効となることはありません。
 ただ、裁判所のこれまでの判例を見ると、既に居住している者の立ち退きを認めることについては、かなり慎重であることも頭の隅に入れておく必要があるでしょう。

【使用貸借と特別受益との関係】
 仮に賃料なしとする場合、前記のように使用借権の設定の利益が特別受益となるものと思われます。
 ただ、土地の使用貸借の場合には、土地価額の1~3割程度の価額と評価できるのですが、家の使用貸借の場合には、その価額がかなり低くなります。
 特に、本件では最初は賃貸借であったのに、使用貸借としたのですから、居住者の権利は、賃借権という強い権利から使用借権という弱い権利になっています。
 そのため、使用借権の設定といっても、無償で使用できるようにはなったが、その反面、権利性を犠牲にしていることになり、それなりの設定の対価を支払っていることになります。
 このことを考えると、使用借権の価額はかなり少ないものになる可能性があります。

【結局は・・】
 賃料を確保するという方向で行けば賃貸借になり、明け渡しが困難になります。
 しかし、賃料をもらわないという方向で行けば使用貸借になり、(賃貸借に比べると)明け渡しがしやすいが、賃料分を損し、しかも絶対に明け渡しが確実なものでもありません。
 どちらを選ぶかは経営判断というべきものです。
 賃料の支払いを猶予して(ということは相続時の明渡は求めない方向になる)、相続に清算するというのが、妥当ではないかと思いますが、この点はあなた方でご検討ください。

【リフォームは贈与ではありません】
 家はお母さん名義ですので、そのリフォームはあくまでお母さんの家の価値が上がっただけであり、その利益を受けるのはお母さんです。
 あなた方はなんらの金銭的な贈与を受けていません。
 そのため、お母さんがリフォームをした家に最初に住んだというだけでは特別受益には該当しないでしょう。

【毎年50万円と敷金30万円は特別受益か】
 妹さんは生活が苦しく、毎年50万円を5年間もらっていたということです。
 月額にすると約4万円と少額であり、生活費の援助として扶養義務の範囲内とされる可能性が高く、又、お母さんとしては相続分の前渡しというような意図からしたものではないと思われますので、特別受益にはならないと思われます。
 なお、敷金の30万円というのは、妹さんがお母さん名義の家屋を賃貸するときに支払うべき30万円を免除されたという趣旨で理解すると、この分も生活費の援助的な側面が強く、特別受益にはならない可能性があります。


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15:31 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

養育費は遺留分から控除できるか【Q&A №314】

2013/09/11
 
主人は再婚です、子供一人いて離婚し、私と結婚しました。
 私たち夫婦には、子供はいません。
 別れた子供が、高校卒業後、専門学校へ行く学費を2年間 毎月6万送金しました。
 この度、遺言書を作成しました。
 遺留分で、その分差し引いて貰えますか。


記載内容

養育費 学費 未成年 特別受益 専門学校

(あさちゃん)


【扶養義務の履行は特別受益に当たらない】
 父親は子に対して養育義務がありますので、養育費として相当な金額の支払いは、特別受益にはなりません。
 養育費としてどの程度が相当かは、家庭裁判所で用いる次のような養育費算定表がありますので、ご主人の収入を前提にこの表で判断されるといいでしょう。(養育費・婚姻費用算定表
 本件で問題となる専門学校の学費は、養育費としての送金だと思われます。
 そうすると、未成年者に対する父親としての扶養義務の範囲内での送金として扱われる可能性が高く、扶養を超える特別受益となることは少ないです。

【遺留分でも考慮されない】
 養育費が特別受益になった場合には、遺留分の算定の際にその受益分が遺産に持ち戻され、遺留分として受け取ったという扱いになります。
 しかし、前記のとおり、毎月送金した金額を特別受益とするのは難しいので、子どもの遺留分を減らすことはできないでしょう。
 参考までにいえば、学費で特別受益に該当するには、私立の医科大学・医学部のように多額の入学金や高額な学費を支払った場合などのかなり特別な事情が必要でしょう。


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10:21 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★母の生活費負担と特別受益・寄与分【Q&A №254】

2013/03/08
 被相続人は父の母親であり、現在遺産相続争いが起こっています。
 法定相続人は父と、その妹です。

被相続人について
・私の父(相続人1)と同居
・収入は年金のみ
・遺産は銀行口座に計1360万円
・要介護認定「要介護1」

父の妹(相続人2)について
・嫁入りしている
・被相続人に対して金銭的なサポートなし
・相続人1から個人的に300万円借金

 被相続人が死亡するまで食事や医療費をすべて父が負担していたため、これが寄与分に当たるのではないかと思っています。
 ただ、被相続人の同意のもと、固定電話・ガス・水道・電気料金を被相続人の口座から支払っていました。これが特別受益とあたるのか疑問に思っています。
 医療費は、直近の5ヶ月平均で4万円/月くらいで、病院一往復につき1000円、すべて父が負担しています。
 また、被相続人は生前、不注意などから鍋を焦がしたり水道の出し放しなどが月に2,3回ありましたのでその面でも金銭的に寄与したとはならないのでしょうか。

長くなってしまいましたが、
・寄与分はどのくらいになるのか
・本人同意の下でのインフラ料金負担は特別受益にあたるのか
ご回答よろしくお願いいたします。

記載内容

医療費 生活費 同居

【通常の寄与を超えた寄与が必要】
 まず、寄与分とは《被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした》場合に求められるものですので、通常期待される程度を超える貢献が必要とされています。
 そのため、なんらかの寄与をすればそれがすべて寄与分になるわけではなく、両親と同居したという程度だけでは、寄与分とは認められません。
 親子間であれば扶養義務(成人であっても)があり、通常の親子であればなんらかの寄与があるのが通常と考えられているからです。
 通常の寄与程度であれば相続分で評価されているものと考えてもよいでしょう。

【多額の医療費なら可能性はあるが・・】
 前記のような見解から言えば、同居していた高齢の母の食費負担程度であれば親子間の扶養義務の範囲内であり、寄与分とは認められない可能性が極めて高いと思われます。
 また、不注意で鍋を焦がしたり水道を出しっぱなしにしたりということについても、修理に数十万円や数百万円を要したなど、よほど高額でない限り、寄与分と認められる可能性はないでしょう。
 他方、医療費についても、風邪などで年に数回程度通院する費用程度であればこれも通常の寄与の範囲内と言えるでしょう。
 ただし、毎月数万円の医療費が継続的に数年間発生し、合計すれば数百万円にも上るというケースであれば、本来お母さんの年金収入から負担すべきものといえますので、通常の寄与を超えた特別な寄与として、お母さんの年金収入によって構成された預金の減少を食い止めたものと評価され、寄与分が認められる可能性があると思われます。

【水道光熱費負担は特別受益ではない】
 他方、特別受益は、そもそも贈与が対象ですし、遺産分割上、相続人間であまりに不公平になることを避ける制度です。
 そのため、多額の贈与や遺贈が特別受益とされることはあっても、月額数万円程度の生活費補助等については、特別受益の問題は発生しません。
 ましてや、光熱費については、お母さん自身も同居しているのなら、相当の光熱費を負担するべきものであり、特別受益と認められる可能性低いと考えるべきでしょう。


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11:36 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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