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認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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09:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言公正証書が偽って作成されていた【Q&A №552】

2016/12/22



【質問の要旨】

姉の公正証書遺言が知らないうちに作成されていた

記載内容 公正証書遺言 遺産相続 排除

【ご質問内容】

子供の居ない姉(84歳)が先日孤独死で亡くなりました。

主人は十三年前に亡くなっています。

姉の残した遺産についてお尋ねします。

姉弟は亡くなった姉、兄、私、妹の四人です。

姉は高齢で糖尿病も患い一人でいることを心配していました。

兄が実家を継いでおり一年半前兄嫁から姉を実家に引き取り面倒を見ることで姉と同意したので、ついては引取る為の手続きで戸籍謄本、住民票、印鑑証明が必要なので送ってほしいとの依頼があり了承し、下の妹も同様に兄嫁宛におくりました

姉は兄嫁に言われるまま預貯金先等を回って兄嫁は金額を把握したようです。

その後兄嫁から積極的に帰って来る様に姉への動きは無かった様です。

先日四十九日に皆が集まった際、兄嫁から遺言書が出て来たと言って公正遺言証書が作成(作成日は一年前)されていた。

兄嫁の兄が税理士をしておりその兄が証人もう一人は税理士仲間の方でした。

推定預貯金五千万、不動産三千万のうち兄と兄嫁、その娘二人に行くように明記されて、遺言執行者は兄の娘となっています。

私と妹はそれぞれ百万円となっていました。

お尋ねしたいのは姉を引取らずそして法に疎い姉を操り税理士の兄と結託した兄嫁が、私達姉妹を姉の遺産相続から排除する為に一年半前に兄嫁宛に送った印鑑証明等がまさかの公正遺言証書作成目的に流用されたと思われます

法的に対応できますか。

なお、兄は兄嫁に言われるままの人です。

(もっちゃん)






【公正証書遺言を作成するのはあくまでもお姉さん】

あなたとしては、お兄さんらがお姉さんを引き取ってくれると信じ、その手続きのために必要だということで戸籍謄本等を渡したのですから、それが公正証書遺言の作成に使われており、またその内容はあなたに不利なものであったとなれば、だまされたような気持ちでしょう。

しかし、お姉さんの公正証書作成にあなたの印鑑証明書はいりません

なお、遺言書にあなたが些少な財産を受け取ると記載されているので、あなたの戸籍は公証人に提出する必要がありますが、これも遺言書作成に必要だといえばお兄さん側で取り寄せが可能なものです。

そのため、あなたが印鑑証明書や戸籍を詐取されたということでは、お姉さんの遺言書は無効になることはありません

結論を言えば、遺言を作成するのはお姉さん自身ですので、お姉さんが納得して遺言を作成したのであれば、その遺言は有効だということになります。


【判断能力がない場合には遺言書は無効になるが・・】

お姉さんが兄嫁にだまされて遺言を書いただとか、遺言作成当時、お姉さんに判断能力(意思能力)がない状態だったというような場合には、公正証書遺言は無効となる場合があります

ただ、それを証明するのは、公正証書遺言が無効だと主張する側(本件ではあなた)です。

そのため、お姉さんの遺言書作成当時の判断能力を明らかにするための資料(もし、入院されておればそのカルテ、施設に入っておれば行動記録等)を取り寄せされ、当時のお姉さんの状況を確認する必要があるでしょう。

ただ、次の点は知っておかれるといいでしょう。

公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なって、公証人が遺言者であるお姉さんに判断能力があるか、遺言の内容がお姉さんの意思に沿ったものかどうかを直接お姉さんに確認した上で作成しますので、一般には公正証書が無効にされることは少ないです。

【遺留分減殺請求はできない】

兄弟姉妹の相続の場合、遺留分は認められていません

そのため遺言書が有効なら、貴方としてはその記載に従うしかありません。

あなたとしては前記しているように、お姉さんの判断能力がなかったという点でその裏付け資料をしっかりと収集されるべきでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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17:50 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★叔父の葬儀費用を請求したい【Q&A №545】

2016/12/02



【質問の要旨】

連絡がとれない相続人に葬儀費用を請求できるのか

記載内容 お葬式代  請求

【ご質問内容】

叔父のお葬式代について質問があります・・・ぜひ回答ください。
まずは必要な情報としてプロフィールを見てください。

【叔父】
離婚歴あり娘が4人で叔父は今は独身
叔父や私たちは娘さんたちとは離婚したあとに連絡先を知らずにとれない状態です
でも娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐとおもいます。

【私の父】
・叔父からみたら弟で男兄弟は父だけ。他の兄弟は叔父からみたら姉が4人います。
お葬式の喪主は父がしてお葬式代を父がだす形になるとおもいます。
ちなみに娘さんたちは探す予定です。財産分与の件もありますので。

ここから質問です。質問は3点あります。

① もし娘さんたちが見つかり、この場合は財産を引き継ぐ娘さんたちにはお葬式代は請求できないんでしょうか

② もし請求ができたら回収できる確率はどれくらいでしょうか?
(前例などあればいけるとおもっていますがこのような少し変わった事例などで裁判費用を回収できたということがあったのなら助かります)

③娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐ引き継がないなどの2つのパターンでも請求ができるできないとかなどの選択肢が変わるようなこともあるんでしょうか。

お手数掛けますがどうぞ回答の方をよろしくお願いします。

(ゆき)







【叔父さんが死亡したときの相続関係】

叔父さんが遺言書を作成せずに死亡した場合、配偶者はないため、その遺産は叔父さんの娘4人(以下、娘4人と言います)が法定相続します

あなたのお父さんは、上記娘4人が全て相続放棄をしない限り、相続人になりません


【葬儀費用の負担について】

相続債務であれば、遺産から支払いを受けることが可能です。

例えば、叔父さんの治療費などが生前に支払いされていないのであれば、相続債務として、叔父さんの相続人である娘4人が支払義務を負います。

しかし、葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません

葬儀費用は喪主が負担するものです。

お父さんが喪主になるのであれば、葬儀費用を負担することになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

葬儀費用は前記のとおり相続債務ではありませんが、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その費用の分担を他の相続人に請求可能かという点については、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらうことが実務上、多いです

この場合、遺産分割とは別に、その葬儀費用を別途支払いするというのではなく、遺産分割での取得額から分担額を減額するということが多いです。


【今回の質問のケースで葬儀代は請求できないか?】

しかし、今回のケースは喪主が法定相続人ではないため、遺産分割の中で葬儀費用を分担するという実務と同視できないでしょう。

今回のようなケースに参考になる過去の裁判例としては、次の裁判例が参考になります。
【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従えば、娘4人に葬儀費用を請求するのは法的にはむずかしいという結論になります。

ただ、前記判例では甥姪2人のうち、1人は葬儀に参加していたようですが、2人ともにつき、葬儀費用の分担をする必要はないとの判断でした。

もし、娘4人が葬儀に出席していたのであれば、法的にはむずかしい点はあるものの、請求し 、支払いを拒否されたのに納得できないのであればあきらめるというが妥当なところだと思われます。

なお、お父さんには、葬儀代は返還してもらえない可能性があることを前提に、葬儀の規模や費用を判断するようにアドバイスされるといいでしょう。


【叔父さんが生きているのなら】

ただ、叔父さんが現在も生きておられ、かつ判断(意思)能力があるのなら、現時点で叔父さんと話をし、葬儀費用を預かるといいでしょう。

この場合、葬儀費用としてお金を預かることを明確にし、もし、金銭的に過不足が出た場合にどうするかという点も書面などで明確にしておくといいでしょう。


【娘らが相続放棄をした場合】

仮に4名の娘全員が相続放棄をした場合には、お父さんらの兄弟が相続人になる可能性があります。

この場合、喪主であるお父さんから、遺産分割の際に、葬儀に出席された他の法定相続人に対して葬儀代の分担を求められるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

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11:09 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★後見人による着服、不正出金【Q&A №534】

2016/10/07



【質問の要旨】

後見人である長男が、母の貯金をおろしていた

記載内容 不正出金 成年後見人 横領

【ご質問内容】

関係者は、最近亡くなった母(被相続人)と4人の子供です。

老人ホームで痴呆状態の母には、3,000万円の貯金資産があった筈(証拠書類あり)ですが、後見人だった長男から、「全て下ろして、貯金は残ってない」と言われ、騒動が続いてます。

過去、長男は母に無断で、キャッシュカードで何回も50万円/日限度に下ろして自分の懐(自分名義口座)に入れてました。気づいた4男が詰問したところ、その事は口頭で白状し、横領行為を認めています。

但しその録音記録はない。

明らかに後見人による業務上横領罪ですが、刑法の規定により、直血の親族、若しくは同居人には、刑罰が免除される、という事で裁判しても勝訴の見込みが立たなく、後見人を除く3人兄弟で困っております。

<質問>

1)裁判において、長男は「お袋に頼まれて、若しくは許可を得て、貯金を下ろした」とウソの弁明で押し通すと思われます。それを崩す方法は何かありますか

2)亡母の生活費、老人ホーム費用は遺族年金で十分に足りており、貯金に手をつける必要は全くない状況でした。

3)亡母の老人ホームでの健康状態、判断能力について、医学的な診断書を準備できれば、(1)の長男の真っ赤なウソを突き崩せるものでしょうか。

4)これから遺産をもらえなかった3人の兄弟が取れる抵抗手段につき、アドバイス下さい。

(庭の千草)







【親族相盗に該当しても、民事裁判で請求が可能である】

成年後見人である長男が成年被後見人である母の預貯金を使ったというケースに関する質問です。

このようなケースでは法律上は刑事と民事の問題の双方から考える必要があります。

民事の問題は、刑事上の問題とは無関係であり、親族相盗例に該当しても民事裁判で損害賠償請求や金銭の返還請求も可能です

参考までに言えば、刑事事件としても、親族が成年後見人の場合には、親族相盗例に該当する場合でも刑罰に問われます

参考判例:
家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項は準用されないと判断した判決として、最高裁平成24年10月9日決定。
コラム【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)もご参照ください。



【成年後見人の使い込みの証明は難しくない】

長男が成年後見人になった後は、母の財産は全て成年後見人の口座に移されます。

そのため、その預貯金を引き出すのは成年後見人以外にはありません

又、施設に入っているということであれば、母のために多額の出費をするということも通常は考えにくいので、成年後見人が引き出した金銭は成年後見人が使ったものと判断されることになります。


【成年後見人になる前の引き出し分について】

成年後見人になる前の引き出し分については、引出者が誰であるのか、又、被相続人のためにつかったのかどうかが問題になります。

使いこんだ長男がウソをつく事態を想定し、予め、これらの点に関する客観的資料(払戻伝票等の文書)を集め、ウソに対処できるようにしておくといいでしょう(当ブログQ&A №362Q&A №317をご参照ください)。


【成年後見人選任前の行為については、母の判断能力が問題となる】

成年後見人がつくということは、母の判断能力(意思能力)がないということです。

長男が、成年後見人がつく前に《母から贈与を受けた》と主張するのなら、その時点での母の判断能力が問題となります。

そのような場合に備えて、母の入通院していた病院や医院のカルテや看護日誌、介護施設の介護記録を取り寄せしておき、母に判断能力がないことが立証できれば、母からの贈与の存在やその効力がなかったことを証明でき、長男に対する反論ができるでしょう。


【長男以外の相続人の対抗手段】

前記のとおり長男が成年後見人になってから以降の引き出し分についての証明はそれほど困難ではありません。

又、成年後見人になる前の預貯金の引き出しに関する対応も前記のとおりです。

問題は、長男が財産を隠すということも想定しておく必要があるということです。

裁判で勝訴し、長男は他の相続人に金銭を支払えという判決が出ても、長男が財産を隠すと、1円も取れない可能性があります。
そのため、長男の銀行口座や不動産等、資産内容をできるだけ早期に確認しておく必要があります。

又、長男が資産隠しをするような気配があれば弁護士に依頼して、仮差押の手続きをしてもらう必要があるということも覚えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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11:17 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

20年前に妻に名義変更された土地は遺産か【Q&A №529】

2016/09/21

 【質問の要旨】

20年ほど前に父から母へ名義切り替えした不動産は、父の遺産か

記載内容 名義 贈与 土地

【ご質問内容】

父が他界し、遺産相続について質問です。

実家は土地も建物も父がなくなる随分前に(20年程前)母名義に切り替えしておりますが、父の遺産に含まれるのでしょうか?

名義は母なので、父の遺産には含まれないのでしょうか?

教えていただけますか。

宜しくお願い致します。

(ふーちゃん)






【他人名義の不動産は被相続人の遺産に含まれないのが原則】

元々はお父さんの所有であった不動産が、生前にお母さん名義に移転されていた場合、その不動産は原則として、お父さんの遺産に含まれません。

ただ、債権者対策として偽装登記したとかいう事情があり、かつ、その事実を証明することができるのであれば、遺産に含めることが可能です。

ただ、現在の名義人としては、そのような偽装登記ではなかったのだと主張する場合が多いでしょうから、話し合いがつかなければ、最終的にはお母さん(登記名義人)を相手に、「この土地はお父さんの遺産である」という訴訟を起こして決着をつけざるを得ないでしょう。

なお、20年ほど前の移転ということですが、その時点でお父さんが認知症にかかっており、意思能力(判断能力)がないような状態であったというのであれば、(それも証明が必要ですが)その不動産の移転は無効であって、お父さんの遺産に属するということになります。


【夫から妻への不動産の移転の場合】

お父さんがお母さんに不動産を移転したとしか、質問には記載されていません。

何を原因とする移転なのかは、移転の際の事情をお母さんにお聞きになるとともに、不動産登記簿謄本(全部事項証明書)を取り寄せて、登記原因を見れば判明しますが、おそらく、贈与で移転されたものと思います。

ご存知だとは思いますが、婚姻後20年間を経過した後の夫婦間での居住用不動産等の贈与はその不動産価額が2000万円以下なら贈与税が全くかかりません。

そのため、お父さんとしてはその制度を利用し、贈与税を支払うことなく、お母さんに不動産を贈与したのだと思われ、それ以外の売買などというのが原因となる可能性は極めて低いでしょう。


【特別受益等の問題が生じるが・・】

仮に被相続人であるお父さんからお母さんへの贈与があった場合、その贈与は特別受益になり、お父さんの遺産分割の際に、遺産に持ち戻して計算することになります。

この特別受益については当ブログQ&A №164Q&A №334をご覧ください。

(弁護士 大澤龍司)
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10:11 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★土地の売買と認知症について【Q&A №522】

2016/08/01



【質問の要旨】

認知症の父の土地売買契約書を偽造

記載内容  認知症 告訴 偽造

【ご質問内容】

私は、父の相続人です。

父が生前土地を売る契約をしていました。

父は当時認知症で、土地の売買契約書は父の妹が偽造して作成していました。

この契約を解除できないかのご相談です。

その土地は、現状地目とも田で、買い主がマンションを建てる目的で購入しました。

契約当時認知機能検査MMSEは10でした。

又、父の妹を有印私文書偽造罪で告発は出来ないでしょうか。

よろしくお願い致します。

(choco)







【無効を主張できる可能性があります】

ご指摘の通り、妹さんがお父さんの署名押印(さらには印鑑証明書も無断取得している)を偽造したのであれば、その契約は無効です。

実際の立証は簡単ではありませんが、もし偽造やお父さんが意思能力を欠いていたことを立証することができれば契約が無効であることを主張できるでしょう.



【立証のポイント】

今回の契約無効を立証するに当たっては、お父さんの意思能力の程度が重要となってきます。

具体的には、お父さんの認知症の進行程度や判断能力の状況を病院や介護施設から取り寄せた記録(カルテや看護記録)で分析し、売買契約当時、お父さんが契約の意味を理解したり、印鑑証明書を自身の判断で取り寄せたり(あるいは妹さんに依頼したり)することができたかどうかを確認していくことになります。

そのほか、おそらく司法書士の先生が登記手続に関与しておられるでしょうから、本人確認や契約立ち会い時のお父さんの状況、さらには当時お父さんが署名押印した(とされる)書類の筆跡なども確認し、お父さんがこの契約にどのような関与をしたのかを確認していくことが必要と思われます。

 
【告訴と代金の返還について】

本件では有印私文書偽造罪のほか、買主の方に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。

ただ、警察はこういった親族間での問題になかなか立ち入らず、実際に立件する可能性は極めて低いのが現状であることはご理解ください(買主の方が詐欺だとして告訴すれば話は違ってきますが。)。

他方で、契約無効を主張した場合、土地は相続財産として戻ってきますので、その後に遺産分割を行うことは可能です。

ただ、契約が無効であれば(当然ですが)お父さん(あるいは妹さん)が受け取った売買代金を買主の方に返還しなければなりません。

この点にはご注意ください。

(弁護士 北野英彦)

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★母の預貯金を成年後見人に取り戻してほしい【Q&A №519】

2016/07/11



【質問の要旨】

母名義の預金を成年後見人は取り戻してくれるのか

記載内容  成年後見人 不正出金 取り戻す

【ご質問内容】

アルツハイマーの母は実家で一人暮らしをしております

子供は私と姉の二人姉妹です

父(認知症)は5年前に他界いたしました

姉とはこの亡父の遺産(家屋・土地・融資産を姉が相続するという公正証書あり)のことで 私から家裁に申し立てをする関係となり 一応和解はいたしました 

現在母の介護に関することは母とは別居の姉が施設通所の手配等をやっています

ご相談したいのは 介護が始まってから 姉が母の金融資産すべてを自宅に持ち帰り管理し始めました

これまでそれらの開示を求めましたがそれには応じませんでした

姉は母から預かるように頼まれたと言います

実は 亡父の時も 公正証書を作成し 生前中に父名義の預貯金を全額おろしそれを自分名義の口座に移しておりました

恐らく 母にも同様のことをしている可能性が高いです

母に成年後見人を申し立てることを考えましたが 述べたように母名義の預貯金は前述のようになっているなら管理するものはもう0、ないという事態も十分考えられます

また、アルツハイマーの母は自分で判断は出来ません。相手の言いなりに行動します。

父の時と同様 母に姉はすべてを自分に預けることを一筆書かせているでしょう

このような状況でも母の預金を母名義に成年後見人で戻すことは可能ですか

アドバイスをよろしくお願いいたします

(林檎)







【預金の取り返しは難しい】

成年後見人は本人(お母さん)の権限のほぼすべてを代理する権限を持っていますので、理屈上はお母さん名義の預金をお姉さんから取り返す権限もあります。

たとえば借用書も整った相手から貸し金を返してもらう場合や、交通事故の加害者に対して損害賠償請求を行う、というように相手方の責任がはっきりしている場合であれば、後見人が積極的に権利を行使してお金の支払を請求するケースは確かにあります。

しかし、成年後見人があえて親族内での紛争を起こしてまで不正出金の取り返しに動き出すことはごく例外的なことであり、そうそう見ないケースです。 

というのは、お母さんが自分の意思で(意思能力を失う前に)お姉さんに預金を預けたのか、それとも無断で不正出金をしているのかは外形的にはわかりにくく、明らかな証拠をつかむのが難しいからです。


【お父さんの話は別問題】

ただ、今回はお姉さんがお父さんの相続について周到な対策を整えて遺産を独り占めした経緯があるようですので、お母さんの預金についても同様の不正出金をしている可能性が高いようです。

しかし、法律上はそれだけで不正出金があると断定できるわけではありません。あくまでお父さんの話とお母さんの問題は別物だ、ということです。

もしお姉さんの不正出金を明らかにしたいのであれば、お姉さんの預金引き出しがお母さんの意思に基づかないものであったことを確証づける証拠が必要です。

ただし、確証があっても、後見人は家庭裁判所の監督の下に動きを取るため、家庭裁判所がどのような判断をするかにより後見人の動きが変わってくる可能性があることはご理解ください。

(弁護士 北野英彦)
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死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】

2016/06/30



【質問の要旨】

死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】

平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました

ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております

財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)






【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】

お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。

そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう

ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。

お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。


【死因贈与と生前の使用】

 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。

仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです

そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。

ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。


【成年後見人と財産管理】

お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。

ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。

あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう

(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)
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★不正出金をした兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:37 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

認知症の診断と遺言能力【Q&A №497】

2016/04/04

【質問の要旨】

認知症との診断書がある場合、遺言は無効か

記載内容  成年後見 意思能力 回復

【ご質問内容】

姉が、母を連れて、認知症の専門医のところに行き、26年9がつ

その診断結果が、

MMSE 29     17(母の数値)   5

1日常の意思決定を行うなめの認知能力
 見守りが必要

2 自分の意思の伝達能力
 具体的な要求に限られる トイレ食事とか

になってました。

それで、姉がそれをもとに、成年後見制度を申請しようとしたのですが、結局しませんでした。

母は、認知症でしたが、買物もでき、自分で判断できる状態で、この診断書とだいぶ、ちがってました。

そして、26年11月に「すべての財産を私に譲る」、という遺言書をかきました。

28年3月

母は、延命治療をやるかどうか聞かれたとき、やらない、といい、おおきな病院に転院しようとしたのですが、その時の紹介状には、(一般医)「軽度の認知症であるが、日常会話もでき、判断能力はある」とかかれてました。

転院はしなかったのですが、このような状態の場合、遺言書はゆうこうでしょうか?

遺言状を執行した場合、姉が認知症の専門医の、26年9がつの診断書をたてに、遺言無効の訴えをおこしそうなので。

成年後見制度を利用できるような状態の場合だと、遺言は無効になるのでしょうか?
(fgfhh)







【認知症だからといって、必ずしも遺言は無効にはならない】

認知症といっても程度があります。

軽度の認知症の場合には遺言をする能力は認められます。

また、成年被後見人がついた場合でも、その方が判断能力(意思能力)を回復した場合には、医師2名以上の立ち会いをし、一定の方式を条件に遺言を有効とする制度も認められています(成年被後見人の遺言制度 民法973条)。

従って、認知症だからといって、遺言が認められないわけではありません。


【認知症の程度を判断する基準・・MMSEと長谷川式認知スケール】

判断能力を判定するものとして、長谷川式認知スケールがあります。

このテストは、30点満点で認知症の程度を示すテストであり、日本で多く採用されています。

今回、認知症専門医で検査されたMMSE(ミニメンタルステートメント検査の略称)というのは、長谷川式にはない図形検査や自発的に文書を書かせるような質問も存在しますが、検査の年月日や場所等の質問をする等、長谷川式と同じ部分も多いです。

長谷川式と同じく30点満点であることや上記のように質問内容がほとんど重なっていることなどから見て、長谷川式認知スケールとほぼ同様のものと考えていいでしょう。

これまでの裁判例を見ると、長谷川式認知スケールについては10点あたりが遺言能力の境目になりそうです。(この点については【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介および【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください。)

お母さんの検査結果がいくらなのか、質問ではわかりにくいですが、仮に17であれば遺言するに足る判断能力がないとは言えない可能性が高く、また、5であれば、よほどのことがない限り遺言能力がない可能性が高いという結論になるでしょう


【紹介状の記載から見た場合は判断能力がありそうだが・・】

お母さんの転院の際の紹介状には「軽度の認知症ではあるが、日常会話はでき、判断能力はある」との記載があるということですので、その約1年半前の遺言書作成時、お母さんは遺言をするに足る判断能力があったように思われます。

しかし、その際、どんな検査をしたのかも知りたいところですし、また、一旦、MMSEで、仮に5点だとされたのであれば、どうして判断能力が回復したのかの説明も必要でしょう。

いずれにせよ、どの時点で認知症のテストをしたのか、どのような検査結果が出たのか、また、入院しているような場合にはどのような言動をしていたのかをカルテや看護記録から探る等、事実を確認して、その結果を総合して判断をするしかないというのが回答になります。

(弁護士 大澤龍司)

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14:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

弟の嫁が養子縁組をさせようとしている【Q&A №494】

2016/02/29

【質問の要旨】

弟の養子縁組をとめたい

記載内容

養子縁組 無効 判断能力

【ご質問内容】

2人姉弟ですが、病身の弟は子供がおらず嫁がニートの実弟を私の弟の養子にしようとしています。

弟は余命わずかで判断能力はありませんが書かせれば文字は書けます。

最近両親が相次いで亡くなり、弟がなくなれば僅かな遺産はわたしが引き継ぐことになります。

しかし養子縁組が認められれば、嫁兄弟に半分渡す事になります。

病身の弟に代わり、両親の葬儀もわたしが行ない、預金も凍結中のためすべて自分で負担しました。

両親存命中もほとんど交流のなかった嫁の行動に納得できず養子縁組不受理にしたいのですが。

ちなみに嫁は当時事実婚していた自分の父親の死ぬ間際に、数十年前離婚した母親と勝手に復縁させ年金を搾取したことがあります。

父親の内縁妻は無理矢理追い出しました。

勝手に養子縁組するなどた易いことのようです。

調停を申し立てて勝ち目はありますか?

申し遅れましたが、両兄弟ともに40代です。

(はるか)







【他人の養子縁組を止める方法はありません】

養子縁組をするかどうかは弟さんが決めることです。

兄弟姉妹であっても他人ですので、弟さんの養子縁組を止める権限はなんらなく、あなたが弟さんの養子縁組を止めることはできません

いずれにせよ、あなたとしては弟さんの養子縁組に関与する立場にない以上、裁判所や役所に何を申し立てても無関係の人間であるとして聞き入れてもらえないと思います。


【判断能力がない場合、養子縁組は無効となる】

養子縁組をするには、一定の判断能力(意思能力)が必要です。

もし弟さんが判断能力を欠くような場合には、養子縁組の届け出は無効になります


【養子縁組が相続に及ぼす影響】

お父さんとお母さんが既に死亡されていますので、その遺産は法定相続人とあなたに相続されています。

しかし、弟さんが死亡した場合、その段階で養子がいなければ、弟さんの遺産(その中にはお父さん及びお母さんの遺産も含まれます)の4分の3が弟の配偶者に相続され、残りの4分の1があなたの方に来ます。

もし、弟さんの死亡時点で養子がいれば、弟さんの遺産は配偶者と養子が各2分の1で相続しますので、あなたには弟さんの遺産は来ません。

養子がいることであなたにくる弟さんの遺産についてのあなたの増減分は4分の1であることにご注意ください


【相続の関係では養子縁組の効力が問題となる】

あなたとしては、弟さんの遺産分割の段階で、

① その養子縁組は弟さんが判断能力を欠いており、無効である。

② 養子は弟さんの遺産を相続できない。

③ 従って、弟さんの遺産は、その配偶者が4分の3を取り、残りの4分の1があなたに相続される。

と主張することも可能です。



【現時点で将来の紛争に備える】

ただ、養子縁組の無効を主張し、弟さんに判断能力がなかったことを証明するのはあなたです。

そのため、現段階から弟さんの医療や判断能力に関する情報は収集されておくといいでしょう

もちろん、弟さんの医療記録などを生前にあなたが取得することはできませんが、次善の策として、弟さんの健康状態や判断能力に関する状態を現時点で可能な限り聞き取っておくとか、現在の入通院している医療機関や入所通所している介護施設を確認しておくなど、将来の問い合わせ先を把握しておくなどの努力をされるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:33 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

借名預金は遺産になるか【Q&A №483】

2015/12/16

 【ご質問の要旨】

父の死後、遺産分割協議がされたが、その後、父が貯金していたと思われる義母名義の口座が見つかった。
この口座のお金を、父の遺産として相続することができるか。


記載内容

借名預金 名義貸し 意思能力


【ご質問の内容】

父が平成24年1月に亡くなりました。

私は、外国に住んでいるので、弁護士とやりとりして、情報が金庫から見つからない状態で、父の銀行口座などを昔家で見かけた銀行や郵便局からのタオルやカレンダーを元に銀行の変遷を加味して、幾つかの口座を見つけて、其れを義母と等分しました。

義母は、介護2で気が定かでは有りません。
義母は、老人ホームに入居して、父の会社の年金と国の年金と生命保険で暮らしています。

その後、今年の春、私が日本に行き、家の掃除やごみ捨てや片付けを2ヶ月程している時に、父の思いや毎年口座のお金のバランスや判子や銀行手帳、保険手帳、金庫を開ける数字などが出てきました。 

その中に父が最後迄管理していた父の口座と義母名義の銀行口座が出て来ました。

義母は働いていません。

この口座は父のお金だと思うのですが 半分貰う権利が私にあるのでしょうか

残された家族は私と義母の2人だけです。

(yspads)





 【原則は名義を基準に判断】

今回のような家族の名義を借りた預金を一般に「名義預金」や「借名預金」などといい、一昔前はよく見られました。

このような預金であっても、外形上は名義人から判断され、特に誰も指摘をしなければ銀行は義母の預金であるとして各種手続を進めると思われます。


【預金を行った人物を実質的に判断】

ただ、中身の金銭を積み立てた実質的な預金者が別に存在することが判明した場合、話が変わってきます。

すなわち、預金の中身は、実際に預金を行ったお父さんの財産(遺産)であると判断される場合もあるということです。

この場合、あなたにも法定相続分を相続する権利があることになります。

そのため、この点が裁判で争われた場合に、生前の生活状況や収入状況などを当時の資産(たとえば給与口座の取引履歴など)から判断し、名義預金であったことが認められるケースもあります。

但し、義母のものではなく、お父さんのものであるという点の証明はあなたの方でする必要がありますから、裁判所がお父さんのものであることを十分に納得するような証拠を出す必要があります。

もしお父さんが預金したことに間違いなさそうでしたら、他の預金口座の取引履歴などと照らし合わせ、お父さんの口座からその義母の口座に積み立て(送金など)されていることなどの事情を確認されると良いでしょう。


【意思能力の問題が予想される】 

ただ、実際の手続は厄介なものになる可能性があります。

今回は(少なくとも形式上は義母名義のため)義母にもお父さんの遺産であることを認めてもらい、その旨の書類に署名押印をしてもらって銀行に提出する必要があると思われます。

しかし、義母が気が定かでない状態であれば、義母が意思能力を欠いて署名押印ができない(あるいは、署名があっても無効になる)可能性があります

この場合、義母に成年後見人を付ける申し立てが必要となるなど、面倒な手続が必要となりますので、ご注意ください。

また、成年後見が必要なケースであるとすると、以前にした遺産分割協議も無効になる可能性もあることに注意が必要です。


(弁護士 大澤龍司)
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認知症の人の遺言【Q&A №451】

2015/07/02



【質問のまとめ】

認知症の人の遺言は有効ですか?

毎年遺言書を書いていて複数の遺言書がある場合、どの遺言が有効になりますか?



記載内容

  意思能力 認知症 書き換え 


【質問詳細】

 母が毎年6月に遺言書をかいているのですが、内容は「私に全財産を相続させる」という遺言書です。

①2013年6月

②2014年6月

③2015年6月

3通かいてます。

ところが、母は去年8月に認知症の診断を受けました。

この場合、遺言書は有効ですか?(③の遺言書)

認知症の診断がでる前の遺言書は有効ですか?(①②遺言書)

後で、兄弟から文句がでそうなので。

認知症の場合は遺言ができないのでしょうか?

遺言書は私が預かってます。

私としては、母が死亡したら、③の遺言書をだして、無効にされるより、①か②の遺言書を家裁へ出して、検認を受けたいとおもっているのですが、可能でしょうか?

③の遺言書が無効にされた場合、①②の遺言書を家裁へだすことは可能でしょうか?




(aso)





【認知症でも程度により遺言が有効となる場合があります】

一口に認知症といっても、現れる症状には、軽い・重いの程度の差があります。

そのため、認知症の方であっても、その症状が軽い方は遺言をすることができます

どの程度の症状が現れると遺言できなくなるか(遺言能力がなくなるか)については、認知症のテストで有名な長谷川式認知スケール(30点満点)でいえば、10点以下であれば遺言能力がないと判断される可能性が高いようです(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください)。




【無効かどうかの判断は・・】

 認知症と診断されたから遺言が無効になるわけではありません

 診断とは関係なく、認知症で意思能力がないから遺言が無効となるのです。


認知症と診断されたが、意思能力あり  遺言できる

認知症との診断はないが、意思能力なし  遺言できない



 意思能力の検査方法としては長谷川式認知スケール以外の方法もありますし、診断書以外の方法(例えば入院の際のカルテに記載された看護師とのやりとりなど)で意思能力の有無が判断されることもあります。




【複数の遺言を検認に持ち込むことも可能です】

 検認手続きとして、裁判所に複数の遺言書を持ち込むことも可能です。

 そのため、古い遺言と新しい遺言の双方を検認に出すことも可能ですし、3通あれば3通とも出すことも可能です。

 遺言は新たに書き換えれば、古い遺言は無効になります(正確に言えば、新しい遺言に矛盾する内容の古い遺言部分は無効になります)。

 そのため、私(大澤)としては、遺言書が複数あるのだったら、すべて同時に検認に出すのが良いと思います。
 
 しかし、特定の遺言書のみを先に出して、その後に他の遺言書を出すことも法的には可能です。

 ただ、後日、追加で出した場合、他の相続人から《なぜ、先に出さなかったのだ。なぜ、隠していたのだ》という不信感を持たれ、遺産分割がいたずらに紛糾することもあるというマイナス点を考慮に入れておかれるといいでしょう。
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認知症の父の口座からの不正出金【Q&A №435】

2015/03/12



要介護5で全く意思疎通ができない父の預金から兄が、過去8年にわたり年に2~3回、1回の金額は100万円程度を母に頼まれたという理由で引き出していることが最近になってわかりました。

キャッシュカードはなく、すべて伝票に署名捺印で下しています。

不公平感が否めなく、生前贈与を認めさせ、私の相続分を取り戻したいと思っています。

父がまだ生存中なのでどうするのがベストなのかお聞きしたいです。

ちなみに、現在、父の成年後見制度申請中です。


記載内容

  使い込み 認知症 要介護

(てる)





【相続開始前にはあなたには法的にはなんらの権利もない】

 お父さんに意思能力がないのであれば、お父さんはその預金を引き出すことができませんし、又、お母さんやお兄さんに引き出しを依頼することもできません。

 又、その預金はお父さんの財産ですので、お母さんが同意しても、その引き出しが正当になるようなものでもありませんので、お兄さんの預金引き出し行為は無断引き出しとなります。

 そのため、お父さんはお兄さんに対して不法行為や不当利得を理由として、その引出額相当の損害賠償請求権あるいは返還請求権を持つことになります。

 これらの権利は、将来、お父さんが死亡した場合には、法定相続分に応じてあなたが相続することになりますので、相続開始後であれば、あなたからお兄さんに損害賠償あるいは返還請求ができることになります。

 ただ、現時点では、お父さんが生存しておられますので相続は開始しておりません。

 あなたは、将来、相続人となる立場(推定相続人といいます)ですが、現時点では、法律的にはあなたには何らの権利もありません。

 お父さんの財産がなくなるような事態が発生しても、又、お父さんが前記のような権利を取得していても、残念ながら、あなたとしてはなんらの法的手段も取ることはできません。



 
【成年後見人の選任とお兄さんへの返還請求について】

 現在、お父さんの成年後見人を選任する手配をされているようです。

 たしかに、現時点である財産を減少させないということでは成年後見人の選任は極めて有効な手段です。

 ただ、後見人が、既に無断で払い戻しされている金銭を取り戻すというところまで積極的に動くことはまずありません。





【現時点でとるべき手段は資料や情報の入手です】

 将来、お父さんが亡くなられた場合、あなたは法定相続人として、お父さんが有している損害賠償(不当利得)請求権を法定相続分で相続することになります。

 その時点で、あなたとしてはお兄さんにその請求権に基づき金銭の返還請求をすることが可能です。

 そのための資料として、どこの金融機関のどの支店からいくら引き出されたのかという資料や情報が必要になりますので、現時点で入手できるものは、できるだけ入手しておくといいでしょう。

 なお、将来、あなたが請求されてもお兄さんが簡単に引き出した金銭を返還するとは思われません。

 お父さんが死亡された場合には、早期の段階で弁護士と相談され、お兄さんに対する素早い対応が可能かどうかを検討されるといいでしょう。
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大叔母から預金の引き出しを頼まれた【Q&A №427】

2015/01/26



 私の母の叔母は高齢で一人で住んでいました。

 その叔母が脳梗塞で入院しました。

 私は今叔母の面倒を見ています。

 叔母は、私に私に委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしいと言います。

 叔母の脳梗塞はさらに進んでいます。

 普通預金と定額と合わせるとかなりの額です。

 叔母に何かあった場合、相続人は高齢で意識のはっきりしていない母になります。

 私が叔母の委任状で代理人としてその貯金を受け取り、病院の支払いや、叔母の葬儀に使ってお金が残った場合、母にそのお金を返さないと税金もかかってくるでしょうし、叔母が言うように受け取るべきか迷っています。


記載内容

  代理人 財産管理 脳梗塞

(あきら)





【もらうのか、預かるのか?】

 「委任状を書いたから、代理人として叔母の普通預金と定額預金のお金を受け取って病院の支払いなどに使ってほしい」とお母さんの叔母さん(あなたからすれば大叔母)が言っておられるようですが、大叔母さんは払い戻しを受けた金銭をあなたにあげる(贈与)気持ちなのか、それとも預かって欲しいというだけなのでしょうか。

 その点に関する大叔母さんの意志をはっきりと確認しておく必要があります。

 質問からははっきりとしませんので、場合分けして回答します。




【預かる場合の対処法】

 大叔母さんとしては、あなたに財産をあげるのではなく、管理してほしいということであれば、あなたは金銭の保管者になります。

 ただ、金銭についてはトラブルがつきものです。

 大叔母さんの預貯金を全部解約して、あなたの名義で預貯金するような場合には、《大叔母をだまして財産を取り込んだ》などという影口が聞こえそうです。

 法律以前の問題ですが、もしあなたの名義の預金口座を作るにしても、必要最小限の金額を移動するだけにするのがいいでしょう。

 どうしても預貯金全額を預からなければならない必要性があるというのなら、あなた自身の口座とは別に、大叔母さんから預かった分だけの独自の口座を作り、その分からは自分の用途に使わないようにする・・大叔母さんから預かった財産とあなたの独自の財産をはっきり区別する必要があります。

 なお、大叔母さんが認知症など、意思能力が乏しくて、《金銭の管理ができないような状態》だから預からなければならないというのであれば、成年後見人の選任を考えるべきでしょう。




【預かった場合の相続との関係】

 預かっている最中に、大叔母さんが死亡した場合には相続が発生します。

 その場合には、あなたが預かった金銭の残金は大叔母さんの相続人(あなたのお母さん)に渡すことになります。

 預かっているだけであれば、預かった金銭は相続人に渡すということになるだけですので、相続税の問題は発生しません。

 ただ、あなたの名義に移したということで、贈与があったのではないかと税務署から疑われることも考えておくといいでしょう。

 そのため、預かったということをはっきりとさせるために、金銭管理の方法や解約、返還等についてきっちりとした契約書を作成するとともに、あなたの分とは異なる独自の財産であるとして管理をしておく必要があります。




【もらう場合は贈与税がかかる】

 もし、大叔母さんの意志があなたにあげるというのであれば、贈与になります。

 病院の費用を支払うという負担付の贈与となりますし、更には大叔母さんの面倒を見るという負担付の贈与も考えられますので、その点についても大叔母さんの意志をはっきりと確認する必要があるでしょう。

 贈与の場合には贈与税の申告が必要ですが、法定相続人に対して金銭を渡す必要はありません。

 但し、法定相続人から遺留分減殺請求されることもありますので、ご留意ください。

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株式の名義を勝手に変更された【Q&A №421】

2014/12/24



 私は被相続人の養子です、被相続人には子供はいません相続人は私と被相続人の妻だけです、(被相続人は平成26年9月に死亡)被相続人の妻が被相続人死亡後株は私の名義に変更したと言ってるのですが私の同意なしに株券の名義変更ができるのでしょうか、預貯金や有価証券は生前から妻が管理していました、名義変更したものは元に戻せないのでしょうか、戻せるとしたらどのようにすればよいのでしょうか
 お尋ねいたします、よろしくお願いします。


記載内容

  株式 遺言執行者 名義変更

(maakunn)


【公正証書遺言で遺言執行者が指定なら、同意なしで移転する・・上場株式の場合】
 「株式の名義が《私》に移転した」と質問に記載されています。
 この場合の《私》は妻のことを言っているのか、それとも《質問者のあなた》のことを言っているのかわかりにくので、場合を分けて回答します。
 なお、最初に上場株式について述べ、非上場株式については後に項を変えて述べます。

1)まず、妻の名義になっている場合
 あなたの知らないうちに遺産である株式が、《妻》の名義に移るということですが、結論から言えば、
①公正証書で遺言されていること
②遺言執行者が指定されていること。
という前提であれば、あなたの知らないところで妻の名義に株式譲渡がなされている可能性があります。
 参考までに言えば、自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認手続(相続Q&A №121を参照)が必要であり、その際、全法定相続人等に裁判所に出頭するようにとの通知がきます。
 今回、そのような通知が来ていないということであれば、検認手続きが不要な公正証書遺言に基づく手続きがなされたのだと思います。
 なお、遺言執行者は遺産目録を作成し、法定相続人等に交付する義務(民法1011条。末記に記載している条文を参照ください)がありますが、弁護士などの法律専門家が遺言執行者の場合は別として、目録を実行している人はあまり多くありません。

2)次に《質問者であるあなた》の名義にしたというのは可能性が低いでしょう。
 株式の名義を移転するにはあなたが証券会社に口座を持っている必要があります。
 あなたが持っている口座を妻が知っているのも考えにくく、また、口座がない場合にあなたの同意なしにあなたの口座が作ることは不可能です。
 いずれにせよ、あなたの関与なしに、あなたに株式が譲渡されている可能性はないでしょう。

【株式を取り戻すためには・・・上場株式の場合】
 実際に妻に株式の名義が変更がなされてしまった場合には法的手続きが必要になります。
 ただ、その前に、被相続人がどこの証券会社のどこの支店に株式を持っていたのかを知っておく必要があります。
 もし、被相続人の自宅にその証券会社からの手紙等が来ているのであれば、法定相続人としてその会社に照会をかけ、譲渡に関する事実を調査する必要があります。
 次に、株式の譲渡が判明した場合には、その株式の譲渡を無効や取り戻すことを考える必要があります。
 通常は、無効や取戻しになる理由としては次のものが考えられます。
①遺言書で遺産の大半が妻のものになっているのなら、遺留分減殺請求(「相続コラム:遺留分とは」参照)
)をし、本来の法定相続分の半額(遺留分)の限度で株式を取り戻す。
②被相続人が遺言書を作成した当時、判断能力(意志能力)がなかった。
 また、今後、妻が株式を譲渡したり、他の財産を処分したりすることもあり得ますので、必要に応じて株式譲渡をしないようにする仮処分申し立ても必要になる場合もあります。
 ただ、遺留分にせよ、意志能力にせよ、また、仮処分にしても、素人では対応が難しいので、相続に詳しい弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

【上場株式ではない場合】
 前項では、上場株式を前提に記載しました。
 上場株式でない場合には、妻とあなたとの間で、遺言書や遺留分を反映させた遺産分割協議書を作成し、株式の帰属をはっきりさせるといいでしょう。
 もし、妻が遺産分割協議書の作成に応じず、《あなたの株式》にしたことが間違いないというのであれば、その旨の確認書を作成してもらうといいでしょうし、今後、その会社の株主としての権利を行使して、株主としての実績を作り、株主総会で役員に選任されて活動されるといいでしょう。
 また、《妻》の名義にしたというのであれば、遺留分減殺の手配や意思能力を見極めるため、必要に応じて弁護士と相談されるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1011条 (相続財産の目録の作成)

 第1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

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生前の不正出金を防ぐ方法【Q&A №415】

2014/12/05



 私の父は、私たち子どもとは30年前から別居中で疎遠です。父は、5年程前に脳梗塞で倒れ、現在失語症と軽度の認知症を患っています。

 父が倒れて以降、父の家の近くに住む叔父と伯母が父の家を頻繁に訪れ、父に、父の預貯金、証券、財産を全部よこしてくれと迫っているようです。

 お金に対する執着心が強い父は、今は気丈に「誰が渡すか」と言って何とか断っているようですが、叔父も伯母も隙あらば奪ってやるという姿勢で、通帳や印鑑の場所を調べたり、家の鍵まで保管していて、いつ全財産を奪われるかわかりません。

 特にこれから父の認知も進んできますし、子どものときに別居している私達より、近くに住む叔父や叔母の方が事情に精通しているので心配です。

 私達は父の財産がどのくらいあるのか、どこにあるのかも一切知りません。でも、父は公務員でしたし、退職後は市会議員を20年もしていましたし、株でも大儲けもしたと聞きました。また、母と結婚してからも、家に生活費を一銭も入れたことがなく、大変お金に執着していたので、多額の財産があるはずです。この先どうしたら父の財産を叔父や叔母に奪われないようにできるでしょうか。そしてもし勝手もし勝手に預貯金や証券の名義を変えられたりした場合は、取り戻すことはできるのでしょうか


記載内容

  不正出金 無断 名義変更

(香住)


【結局、お父さんに財産管理を確実にするように説得するしかない】
 人間は誰でも、年齢とともに体力も頭脳も衰えていくものであり、あなた方が心配するのもわかります。
 しかし、お父さんの財産は、お父さんが生きている限りはお父さんのものです。
 お父さんが亡くなった場合には子供らの相続人の財産になりますが、お父さんが生きている限り、相続人(正確にいえば《推定相続人》)であるあなたたちには何らの権利もありません。
 そのため、現段階では、あなたたちがお父さんを説得し、死亡時まで財産確保されるようにお願いするしかないでしょう。
 当事務所が相談を受けたもので、お父さんに女性ができ、その女性がお父さんからお金を引き出そうとしているというケースがありましたが、現実に相続が発生していないということで、推定相続人の立場ではほとんど何も手出しができずに困った案件がありました。

【意思能力がかなり衰えた段階では後見人制度等の利用を考える】
 お父さんが認知症などになり、意思能力が衰えてきたときには、すぐさま保佐人や成年後見人の選任の申し立てをし、財産の散逸を防止する必要があります。
 成年後見人が選任された場合には、お父さんの財産は全て成年後見人が管理しますので、財産の散逸を確実に防ぐことができます。

【現時点ではできることは限られる】
 最初に言いましたように、現時点では、あなた方が法的にできることはほとんどありません。
 そのため、お父さんに主な通帳や印鑑を貸金庫などに入れて厳重に保管してもらう、 お父さんを説得して、《財産を取られないように注意してね》と注意するというようなことしかないでしょうが、長年、別居していたあなたたちが言ってもわかっていただけるかどうか、難しい問題があると思います。
 説得をするということであれば、あなた方より、プロの方が上手でしょう。
 例えば、お父さんが懇意にしていた弁護士がいるのであれば、その弁護士からお父さんを説得してもらうという方法もあります。
 弁護士との間での財産管理契約を締結して、プロに財産管理をしてもらい、その後、お父さんが認知症になった場合には、そのまま成年後見人に就任してもらうシステム(任意後見契約)を作るという方向での財産管理を考えれば、更に安心でしょう。
 もちろん、無料ではありませんが、お父さんとしては一種の保険みたいなものですので、その点を強調してお話をされればいいでしょう。

【預貯金や証券の名義を換えられてしまった場合はどうするか?】
 無断で名義を変更されてしまった場合には私文書偽造になり、警察問題になります。
 しかし、そもそも変更されたということがわからないと警察にも相談できないでしょう。
 仮に、そのような無断変更があったとしても、警察沙汰になるのは別として、お父さんが生きている限りは、あなた方のような推定相続人の立場では裁判をすることもできず、法律的にはほとんど何らの手段も講じることができません。
 ただ、お父さんが死亡した後には、法定相続人として、叔父さん等が無断で名義変更して出金したお金の返還請求をすることが可能ですが、それも叔父さん等の手元にお金が残っていなければ取り戻しようがありません。
 そうならないためにも、お早めにお父さんを説得し、なんらかの形で財産管理方法を整えられることをお勧めいたします。 

大澤龍司法律事務所
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15:26 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

脳梗塞の父から後妻が生前贈与を受けた【Q&A №398】

2014/08/25
 7年程前に重度の脳梗塞で倒れ介護生活を送っていた父が、半年前に亡くなりました。父は再婚で私には継母なのですが、その継母には娘(継母の連れ子)がいます。
 その連れ子と父が、脳梗塞で倒れた翌月に養子縁組をし、その半年後には継母と連れ子の名義で土地と家屋を購入するために、父の預金から継母と連れ子に現金を生前贈与していた、という事実を父が亡くなった数日後に初めて知りました。連れ子が嫁いでからの父の再婚だったので、連れ子は私や父と暮らした事もありません。父は重度でしたので半身麻痺、言語障害、記憶障害などがありました。連れ子は弁護士をたてて手続きをしたと言っています。そして私が7年間知らなかったという事を、自分も知らなかった事を知らなかったと、とぼけています。継母とは口をきいていません。
 土地と家屋は合わせて約5000万一括払いです。継母と連れ子でどんな割合で贈与してもったのかわかりませんが、この度の遺産分割で「遺産は預金400万で、あなたの分は100万」と言われました。あまりに不公平ですし、当時の父の状況からは考えられない疑問も多々あります。持ち戻し及びこの場合、遺留分減殺請求はでき・・・

記載内容

脳梗塞 生前贈与 意思能力
(にこりん)


【あなたの相続分は400万円である】
 本件では後に述べるように、
①お父さんの意思能力(判断能力)があったのか。
②遺留分減殺請求をするとどうなるのか。
という問題があります。
 ただ、その前にこれらの点を問題にしない場合のあなたの相続額を考えてみます。
 後妻と養子になった娘が生前に5000万円の贈与を受けていますので、その分は特別受益として遺産に持ち戻されます。
 そうするともともとの遺産額400万円にこの持ち戻しされる遺産5000万円を加算した額がみなし遺産になり、その額は5400万円になります。
 そのため、あなたと後妻の娘の計算上の相続分はこの4分の1である1350万円、後妻は2分の1の2700万円となります。
 後妻とその娘に対する生前贈与は合計で5000万円というだけで、その明細が不明です(簡単に推測する方法としては登記簿謄本で持ち分割合を確認されるといいでしょう)が、仮に後妻が2700万円の以上の贈与を受け、娘が1350万円以上の贈与を受けていた場合、いずれも計算上の相続分を取得していますので、後妻も娘も、今回の400万円から遺産をもらうことはできません。
 後妻側の主張するあなたの取り分100万円というのは間違いであり、あなたは今回の相続で400万円全額を取得することができます。

【意思能力喪失による贈与及び養子縁組の無効】
 ただ、問題は、生前贈与あるいは養子縁組した時にお父さんに意思能力があったかという点です。
 もし、意思能力がなかったらこれらの行為が無効となり、贈与分の返還を請求でき、また、養子縁組も無効となるため、後妻の娘が法定相続人でなくなります。
 お父さんは脳梗塞で言語障害や記憶障害があったというのであれば、養子縁組及び贈与当時、入院していた病院や入所していた施設のカルテ、介護記録等を取り寄せされて、お父さんの意思能力がどの程度であったかを判断されるといいでしょう。
 意思能力の有無に関する検査として有名なのは長谷川式認知スケールという検査(30点満点)です。(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)
 カルテにそのテスト結果が記載され、その点数が10点以下であれば、意思能力はなかったとされ、養子縁組や贈与が無効とされる可能性が高くなります。
 もし、贈与と養子縁組が無効になった場合にはあなたは5400万円の半分である2700万円の遺産を相続できますし、仮に贈与のみが無効となった場合でも1350万円の遺産をもらうことができます。

【遺留分減殺請求について】
 仮にお父さんに意思能力があった場合の対応としては遺留分減殺請求が可能です。
 被相続人の有していた財産のうち、ある一定限度を法定相続人(子などの直系卑属や父母等の直系尊属)にもらえることを認める制度です。
 今回の相続では被相続人に配偶者がおり、子が2名のケースですので、あなたの遺留分は全遺産(この場合の遺産も、 現在の遺産額に生前贈与分を持ち戻し加算した計5400万円になります)の8分の1の675万円ですが、あなたは今回の相続で400万円をもらえますので、残りの275万円を後妻及びその娘に遺留分返還請求することになります。

【その他の主張として、贈与の意思がなかったということも・・】
 その他の主張として、お父さんに仮に意思能力があったとしても、贈与の意思はなかったということも可能かもしれません。
 銀行の払い戻し伝票あるいは送金書類の筆跡がお父さんのものではなく、また、当時のお父さんの経済状況からみて、そのような多額の金銭を贈与できない、さらに言えば、贈与税の支払いもしていない等の事情があれば、お父さんとしては贈与を知らず、後妻らがお父さんに無断で金銭を動かしたのだという点を主張することも可能かもしれません。

【弁護士に相談を】
 今回のように、贈与等の無効を主張したり、遺留分減殺請求をするというのであれば、法的な知識と判断が必要になります。
 そのため、あらかじめ相続に詳しい弁護士と法律相談をし、詳しい事情を説明されるといいでしょう。
 適切なアドバイスをしてくれると思います。
大澤龍司法律事務所
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17:25 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

「残余財産を〇〇に」と書かれた遺言の意味【Q&A №354】

2014/03/12
100歳で他界した被相続人の母には元々2000万円の財産がありました。相続人は私と妹の二人です。母は認知症で3年程老健に入所していました。母には内縁配偶者がいましたが、子供はいません。
 母が入所中に内縁配偶者が死亡し、遺言により4000万円が母に相続され、母の財産は合計6000万円になりました。母が亡くなる半年前に作成した公正証書遺言が見つかり、証人は妹と懇意な間柄の税理士とその職員で、私に1500万円を、残余を妹に相続する内容でした。
 調査すると母の財産管理が内縁配偶者から妹に移ると、妹は不規則に計3000万円を遺言作成前に引き出していました。したがって遺言作成時の財産は3000万円に減っています。
 妹は更に遺言作成後1000万円を引き出していました。妹はその内の1500万円は妹の孫に学費として生前贈与されたもので遺産に入らないと主張していますが、一切証拠や納税証明等はありません。
 私としては妹が引き出した内の1000万円は母の為の経費と認め、他の2500万円を不当利得返還請求し、公正証書遺言無効訴訟を考えております。
 そこで質問ですが、公正証書遺言が有効な場合、遺言にある残余とはどの時点のものですか?不当利得として認められた場合は残余に含まれてしまいますか?また上記の訴訟を行わず調停のみで1500万円より多くの相続は不可能でしょうか?

記載内容

残余財産 その余の財産 遺産の認定時点 遺留分 意思能力 遺言書の無効
(エンダ―)


【遺言にある「残余」とはどの時点のものか】
 遺言は相続開始時に効力を発生するものであり、相続開始時点(=今回はお母さんがお亡くなりになった時点)の遺産を分けるものです。
 そのため、遺言書が有効なものであれば、お母さんが亡くなった時点で残っていた預金などの財産のうち、1500万円があなたに、残りの財産はすべて妹さんに相続されることになります。

【不当利得として認められた場合は残余に含まれるのか】
 お母さんの遺産がどのように増えようが、新たな遺産が見つかろうが、あなたの相続するのは最大で1500万円にしかなりません(逆に言えば、1500万円以下だった場合には妹さんは一円も相続できず、あなたが遺産をすべて相続するだけ、という内容です)。
 そのため、あなたが妹さんの不当利得などを発見しても、それは妹さんが相続する《残余》財産が増えるだけであり、あなたが相続する財産が増えることはありません。

【調停を有利に導くためにどんな主張をするべきか】
 調停を有利に展開するためには、まず、どういう主張をだすかという問題があります。
 遺産全体が最大限で6000万円ということですので、あなたの遺留分は最も多く考えても4分の1の1500万円です。
 遺言では1500万円をあなたにということですので、遺留分侵害の問題は生じません。
 そのため、あなたとしては、遺言書の作成時点で、お母さんには意思能力はなく、遺言は無効であると主張されるといいでしょう。

【調停では遺言書の無効かどうかを判断しない】
 次に調停はあくまで話し合いであり、証拠調べなどはなく、又、遺言書が無効かどうかの結論を出すところでもありません、
 ただ、あなたの方が、遺言書が無効であるという確実な証拠を提出できるのであれば、調停委員としても、遺言書の無効の可能性があることを配慮して、相手方に1500万円以上を出すように話しかけてくれる可能性があります。
 お母さんの介護記録や病院のカルテ等、意思能力がないことを裏付ける確実な証拠を獲得する努力をお続けになるといいでしょう。
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16:01 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

孫への贈与と遺留分減殺請求【Q&A №353】

2014/03/06
 姉が一人おり姉には成人した子供が一人。私は現在海外に住んでいて父の死後、母と姉家族が同居。以前母から手書きで不動産の1~2(同居している家等)を姉に、3,4を私に、5の土地を孫(姉の子)にと書かれたメモを受け取り母の意思ならば従う気持ちでおりました。今回姉の話で私に相続させると書かれてた土地の1つを母の弟がお金が必要で自分の土地と母の土地を合わせないと売れない事を理由に要求して来た結果、印鑑を捺して売った。姉夫婦が面倒な対応を引き受けたと聞き初めて知らない間に売られていた事を知りました。孫の大学の学費は母が全て出したと母がしっかりしている時に母から聞いており、今回ご相談したい気持ちになりました理由は今回の訪問時『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙を私に見えるように貼ってあるのを見たからです。このような状況から全ての不動産を姉や姉の子供の名義に私の知らぬ間に(母の捺印済みで)変更されていた場合、私への遺産相続のはどうなるのか?そうなっていた場合私が母の意思であった一部でも相続できる為の手段と裁判になった際の費用等をご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
 母や姉に直接この話を問うことは姉の性格上、そして母が老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております為、不可能だと考えております。

記載内容

 贈与 遺言書の有効要件 遺留分減殺請求 自筆のメモ 貼り紙 意思能力
(涙)


【メモは遺言書にはならない】
 遺言書が有効であるためには最低限、①日付があり、②氏名が自書され、③印鑑が押されていることが必要です。
 お母さんが不動産を、法定相続人であるあなたやお姉さん、お孫さんに分けるとの手書きのメモを書いていたようですが、単なるメモでは遺言書にはなりません。
(又、仮に遺言書であっても、該当不動産が売却されているのであれば、遺言書のうちのあなたに不動産を相続させるという部分は効力を持ちません。)

【貼り紙も遺言書にならない】
 《『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙》が貼られていたとしても、冒頭に記載した遺言書の有効要件を充たしていない限り、それは単なる《貼り紙》であり、遺言書ではありません。
 そのため、お母さんが死んだ後、お姉さんがこの《貼り紙》を根拠にして、お孫さん(お姉さんの子)に不動産を相続(遺贈)させることはできません。
 あなたとしては、遺言書ではないのだから、そんな貼り紙はなんらの効力がないということで対応されるといいでしょう。

【遺言書が存在する可能性もあるが・・・】
 ただ、お姉さんの動きを見ていると、遺産である不動産を全部、取り込みたいようです。
 このような状勢からいえば、既に要件を充たした自筆の遺言書あるいは公正証書遺言が作成されている可能性も否定できません。
 お母さんの死後、遺言書が出てきて、そこには、遺産の全部をお姉さん側に相続させる(遺贈する)というような内容だった場合でも、あなたには《遺留分減殺請求権》があります。
 この権利は、本来の法定相続分(本件では相続人はお姉さんとあなたの2人なので2分の1)の半分(4分の1)の限度で、遺産をもらえるという制度です(「相続コラム:遺留分とは」参照)。
 ただ、遺留分減殺請求ということになると、専門家である弁護士の助力が必要であると思われますで、遺言書がある事が判明し、その内容があなたに不利ということなら、早めに相談し、必要に応じて委任をされるといいでしょう。
 なお、弁護士費用は、弁護士により異なり、又、あなたが受け取る金額によっても違いますが、総額でいえば、あなたが受け取る金額の10~20%の程度のことが多いでしょう。

【遺言書を無効にする証拠を集める】
 判断能力がないときに書かれた遺言書は無効です。
 現状では、お母さんが《老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております》ということのようですが、もし、可能であれば、お母さんの判断能力を調べるテスト(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)を受けて頂くことも考えておくといいでしょう。
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16:28 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★保険金受取人を無断変更できるか【Q&A №347】

2014/02/24
 長年認知症を患っていた父が亡くなり、父から預かっていた保険証券を持って、死
亡保険金受け取り手続きに行きました。その際、窓口の方より、受取人が私でないと
いうことを伝えられました。この保険証券は、生前父が自分から受ったもので、受取
人は私の名前になっています。兄弟に確認したところ、兄が兄弟の断りもなく、受取
人変更手続きをしたようです。この変更の、無効請求は可能ですか?

記載内容

保険金契約 受取人変更 意思能力 認知症 長谷川式認知スケール
(りく)


【受取人変更は契約者のみ可能】
 保険契約者であるお父さんに《無断》で、お兄さんが保険金の受取人を変更した場合、その受取人の変更は無効です。
 無断の変更で受取人が変更されたのであれば、変更前の受取人が保険を受け取る権利があります。
 ただ、本当に無断でしたのか、お父さんの同意がなかったのかという点を明らかにする必要があります。

【問題点は、無断であるのか、意思能力があったのかという点】
 あなたが変更前の受取人であるとした場合、あなたとしては次の点の少なくともいずれかを明らかにする必要があるでしょう。
① その受取人変更がお父さんに無断であったこと。
② 仮にお父さんの署名・捺印があったとしても、その時点ではお父さんは意思能力がなかったこと。

 このうち、①については、お兄さんが無断でしたということを認めればいいのですが、もし、否認されるのであれば、保険会社から受取人変更の手続き書類を取り寄せし、筆跡等を確認されるといいでしょう。
 ただ、保険会社としては、変更の際に本人の意思確認をするのが原則であり、お父さんの署名・捺印をした書面を保存している可能性があります。

【認知症にも程度がある・・お父さんに意思能力はあったのか】
 保険会社から取り寄せした書類を見ると、お父さんの筆跡で署名されていた場合には、前項の②の点が問題になります。
 お父さんは認知症であったようですが、認知症にも程度があります。
 程度が重い場合には、意思能力がない(受取人変更という意味もわからずにしたもの)として、その受取人変更の効力は認められません。
 認知症がどれ程度のものかは、長谷川式認知スケール等の意思能力を確認するテスト(参考:Q&A №292Q&A №315、「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)である程度判明します。
 お父さんが入院等されていたのであれば、是非、カルテを取り寄せし、その内容を確認されるといいでしょう。
 カルテにこのようなテストの記載がない場合には、カルテの中の医師や看護師の記載を見て判断することになるでしょう。

【問題を感じるようなら専門家に】
 このような資料を集めていただき、やはりお兄さんの受取人変更手続きに問題があると感じられるようであれば、一度、相続に詳しいお近くの弁護士にその資料を持ち込み、本格的な法律相談を受けられるべきでしょう。
 今のままに放置すると、保険会社がお兄さんに支払いをする可能性もありますので、早急に相談をされるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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16:05 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人でない人物が遺産を受け取る場合【Q&A №318】

2013/10/02
  
父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。おばも何かと私に頼ってます。
 つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
 叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
 叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑
 叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
 スムーズに終わらせる方法ってありますか?
 もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
 どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

遺留分減殺請求 相続税 贈与税


(のん)


【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
 叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
 質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
 普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
 しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。

【遺言書作成の際に注意すべき点】
 質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
 しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
 そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
 費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。

【相続と贈与との税額の相違】
 遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
 相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
 (但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)
 一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
 このように、贈与より相続の方が節税になります。
 但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。

【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
 お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
 そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
 そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。


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司法書士が遺産分割協議書を無効と判断する権限【Q&A №315】

2013/09/20
  
遺産分割協議書を作成した司法書士が、それに署名した父の自筆の署名の有効性につき疑問視してます。司法書士は書類作成・手続きの業務を代行するだけで、署名の有効性を判断する法的権限はあるのですか? 父は今老人施設に入居してますが、署名するのに問題はありません。
 当該法務局はちゃんと本人が署名されたのであれば問題ないとの見解です。司法書士一個人の主観的な判断で無効だとかいう判断する法的根拠はあるのでしょうか?

記載内容

司法書士 意思能力 確認義務 署名の有効無効


(Valenzuela)


【法的な判断権限は裁判所にある】
 ある遺産分割協議書が有効か、さらにはある相続人の署名押印が有効か否かを判断する権限は、最終的には裁判所が判決で判断するものです。
 司法書士や弁護士が「お父さんの署名押印は無効だ」と判断したとしても、それで法的に無効と決定されるわけではありません。

【司法書士の確認義務】
 司法書士としては、登記手続の依頼を受けた場合には、その依頼者が確かに本人であるのか、またその人に意思能力があるのかどうかを確認する責任があります。
 遺産分割協議に基づく登記の場合には、遺産分割協議書が有効に作成されたものであるかどうかを確認し、その署名押印する人の意思能力に問題があると判断した場合、途中で登記手続をやめ、辞任することもあります。
 これは、司法書士が登記をしたが、後日、その依頼者に意思能力がないと判明した場合、司法書士が確認を怠ったとして損害賠償を請求されることがあるからです(当事務所も、このような案件に巻き込まれた司法書士から相談を受けることがあります)。

【検査の上で、その検査結果を示して手続きを進める】
 今回、依頼された司法書士も、おそらくお父さんの意思能力になんらかの疑問を感じているのでしょう。
 万が一、後日遺産分割協議が無効とされるような事態があっては、司法書士自身の責任問題にも発展しかねないので、手続きをこのまま進めることを躊躇しておられるものと思われます。
 もし、このまま遺産分割協議を進めたいというのであれば、お父さんの意思能力に関する検査(たとえば長谷川式認知スケールテスト:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)を行い、意思能力には問題ないとの検査結果を司法書士に示して、手続きを進めてもらうといいでしょう。


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母と夫の共有地の相続【Q&A №303】

2013/07/24
 母所有の土地に、母と夫が1/2の所有の持ち家です。
 母は認知症ですが、15年ほど前にこういう状態になった(認知症や兄弟間の揉め事)場合の話し合いが母と夫の間で出来ていて今、登記証は夫がその時から預かっています。そして、この土地と建物は夫が相続するということは、兄も承知しています。
 老朽化で家の建替えを検討した結果、ローンのことや老後の生活も考えサブリースのマンションにすることを決めました。
 不測の事態でローン返済が母に及ぶのを防ぐため、母名義の部分を夫名義に書き換えたいのですが、兄が法律違反だということで拒否されています。契約金はすでに支払っているので解約はしたくありません。兄は後見人ではありません。先日、改めて母には許可をもらっていますが、兄が印鑑を隠しています。困りました。

記載内容

共有

(たまこ)


【認知症はどの程度なのか】
 認知症には程度があります。
 現時点で、判断能力(意思能力)が全くない状態なのか、それともそうではないのかを確認する必要があります。
 意思能力の有無により回答が異なります。
 なお、意思能力の判断方法としては当ブログの「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」をご参照ください。

【意思能力がある場合】
 お母さんの意思能力があれば、お母さんの同意を得て、不動産の名義変更等をすればよく、また、お兄さんにはお母さんから印鑑(実印)の返還を求めることで問題は解決するでしょう。
 それでも、お兄さんが渡さないというのであれば、実印を紛失したとして、新たに印鑑登録の手続きをするといいでしょう。

【意思能力がない場合】
 お母さんに意思能力がない場合には、お母さんの所有する建物持分や土地所有権をあなたのご主人に移転することはできません。
 お母さんの所有しているこの土地及び建物持分については、あなたのご主人が相続することになっており、それをお兄さんも承諾しているということであっても、現時点では、お母さんは生きておられ、相続は開始していませんので、お母さんが権利者です。
 そのため、権利移転はお母さんの意思を無視してはできませんし、お母さんの意思能力がない場合には権利移転は不可能です。
 お兄さんの法律違反というのは、このような点を指摘しているのでしょう。

【成年後見人の選任しかないが・・】
 家庭裁判所にお母さんに成年後見人をつけるように申立てをすることも考えられます。
 しかし、後見人はお母さんの現在の財産を維持保全するのが目的です。
 新たなサブリースマンションを建築するために、お母さんの権利をあなたのご主人に移転するというのであれば、後見人としては監督する家庭裁判所にお伺いを立てることになりますが、そのようなお母さんの財産が減少するような行為を裁判所が認めるとは思われません。
 結局、お母さんの意思能力がない場合には、権利移転をすることは難しいというのが結論になります。


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13:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

愛人に貢ぐ父も母の財産を相続するのか【Q&A №302】

2013/07/23
母は認知症で父と二人暮らしをしていましたが、母が認知症になる数年前から父は愛人を作り、母が認知症になってから勝手に母の通帳から年金や貯金を引き出し、愛人に貢いでいたことがわかり、母親を施設に移し、まだ残っていた母親の財産を父の手に届かないところに移しました。父は家族に発覚してからも愛人との関係は続けており、このような父に母親の財産を相続させたくないのですが、いい方法はございませんでしょうか。

記載内容

愛人 相続権 認知症

(TAT)


【認知症でも意思能力がある場合には遺言書を作成する】
 今回はお母さんが認知症ということですが、認知症の程度が軽く、意思能力がある(成年後見人をつける必要がない)というのであれば、遺言書を作成し、配偶者である夫以外の人に遺産を相続させると記載するといいでしょう。
 ただ、この場合でも、お父さんは配偶者ですので、遺留分減殺請求をすると、遺産の4分の1はお父さんが取得することになります。

【意思能力がない場合には父が遺産の2分の1を相続する】
 認知症の程度が重く、意思能力がないという場合には、遺言書を作成できません。 
 お父さんが認知症のお母さんのことを顧みず愛人に貢いでいるという話ですが、それでも離婚せず、戸籍上で夫となっている限り、お父さんはお母さんの相続人になります。
 そのため、お母さんが死亡すれば、お父さんがお母さんの遺産の2分の1を相続します。

【欠格事由も見当たらない】
 離婚以外にお父さんが相続権を失う方法としては、欠格という制度があります。
 しかし、これはお母さんを殺したり詐欺や脅迫により遺言をさせたりしたなど、かなり重大な事由がない限り簡単には認められません。
 お母さんの介護を全くしなかったとしても、欠格事由には該当しません。

【廃除の可能性があるかもしれない】
 そのほか、お母さんに対して虐待を繰り返し、あるいは重大な侮辱を加えた、または著しい非行があった場合、お母さんとしては、お父さんの相続人の地位を喪失させる廃除の申し立てを家庭裁判所にすることができます。
 愛人に貢いでいるというのが著しい非行になるかどうかですが、推定相続人廃除の申立てを認容した次のような裁判例があります(本件の場合、引用した判例ほどひどいケースかどうかは明らかではありませんが、参考にはなるでしょう)。
《参考判例:賭博行為を繰り返して作出した多額の借財をすべて申立人(被相続人)に支払わせ,かつ,妻子を顧みず,愛人と同棲して同女との間に男児をもうけ,愛人との生活を清算する意思もない推定相続人の行為は、「著しい非行」に該当する》

 なお、この廃除の申立は被相続人の専属権(被相続人本人だけができ、それ以外の人は申立できない)である可能性も高く、もし、この前提が正しいとすると、お母さんが認知症で意思表示ができないとなれば、この申立も難しいでしょう。


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14:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前贈与を無効と主張するためには【Q&A №301】

2013/07/18
 実の父が3年前に亡くなりました。義理の母が父の意思とは反して生前分与をしました。
 実父は2年入院してその間に書かせたものと思われます。
 法律では全て財産を受け取ることを禁止していると聞いたのですが私の財産を主張することは出来ますか?

 もし生前分与の字が父のものでなければそれは無効に出来ますか?

記載内容

生前贈与 遺留分 自筆

(情けない儀母)


【生前贈与が無効となる可能性があります】
 お父さんの意思に反して、預金の引き出し・不動産の登記名義移転等の生前贈与行為を義理のお母さんが勝手に行なっていた場合、そのような行為は無効です。

【問題はお父さんの意思に反していたという証明ができるかどうか】
 ただ、問題はその証明ができるかどうかという点です。
 生前贈与の形をとっている場合、これを無効と主張するには次の方法があります。

① 意思能力がない場合
 お父さんが、生前贈与当時、たとえば医師の指示を全く理解できない、見舞いに来た家族が誰かわからないなどの症状があり、認識・判断能力を有しなかった場合には、意思能力がなく、その行為は無効です。
 この点の証明としては、病院のカルテ等が役に立つでしょう。
(なお、質問の中に《法律では全て財産を受け取ることを禁止している》との記載がありますが、これは意思能力がない場合には、財産の贈与等の行為をすることができないという意味でしょう。)

② 意思能力があった場合
 質問にも「書かせた」と記載されているように、贈与の際に書面が作られていれば、その筆跡を調べる必要があります。
 また、たとえば預金の引き出しされている場合には、その払い戻し請求書の筆跡を確認し、お父さんの筆跡ではないという証明をする必要があるでしょう。
 裁判所としては、筆跡だけではなく、贈与があった当時の諸般の事情を検討しますが、筆跡が違うということは贈与無効を証明するためのきわめて重要な証拠になるでしょう。

【生前贈与が有効な場合には遺留分請求ができるが・・】
 お父さんの意思に反するとまでは言えず、贈与が無効とは判断できない場合もあるでしょう。
 なお、参考までにいうと、そのような場合には、相続人である子には、父親の遺産に対しては遺留分という最低限度の持分が残されており、贈与された財産の中から遺留分を侵害された限度で遺産を取り戻す権利を有します(遺留分減殺請求権と言います)。
 遺留分減殺をすると、子の場合には法定相続分の2分の1が返還請求できます(なお、計算例としては当ブログQ&A №177Q&A №272などもご参照ください)。
 ただ、この減殺請求は生前贈与があったこと(正確にいうと遺留分を侵害されたこと)を知って、1年以内にする必要があります。
 本件では3年前にお父さんが死亡されているので、減殺請求ができる時期を過ぎている可能性もあります。
 生前贈与の無効を主張するとともに、万一に備え、遺留分減殺請求ができるかどうか、早急に弁護士と相談されるといいでしょう。


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16:54 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言無効判決に必要な証拠【Q&A №292】

2013/07/02
 現在私は、公正証書遺言を無効とする判決を得たく努力しています。その公正証書遺言は以下のような手順で作成されたようです。90歳を越えたひとり暮らしの母に長男夫婦が自分たちに極めて有利な遺言を書かせるために母を公証役場に連れて行きました。証人2名は母の甥夫婦で安心させ予め権利書で主たる財産である母の土地建物を自分たちに相続させる内容となっています。
 さて本件公正証書遺言の母は要介護3に認定されたばかりで前記夫婦の力をかりなければ立ち上がることも歩くことも出来ない状だったと思います。このような状況で本当に自分の自由意思を以って遺言書を書いたかどうか非常に疑問に思っています。介護3の認定記録の他にどのような物的証拠があれば遺言無効の判決が得られるか教えてください。よろしくお願い致します。

記載内容

長谷川式認知スケール カルテ 看護記録 認知症 介護施設

(キータン)


【要介護3でも遺言できる】
 要介護3の人でも、それが身体的な理由であれば、遺言をすることが可能です。
 遺言で問題となるのは物事を認知し理解して判断を下す能力(意思能力といいます)であり、足腰が弱っていたこととは全く別物だからです。
 例えて言えば、車いすのお年寄りの方でも意識の明確な方は多数いらっしゃるということです。

【カルテの取り寄せを検討する】
 遺言を無効にするには、次の2つのうちのどちらかである場合が多いです。
① 遺言の偽造など、遺言が本人の意思に基づいていない。
② 遺言者に意思能力がなかった。

 今回の質問では公正証書遺言ということですので、②の問題となります。
 この意思能力の判断では、カルテなどが参考になります。
 お母さんが入院していたのなら、そのカルテを取り寄せして、その記載内容を確認しましょう。
 また、通院していたのなら、念のためにそのカルテを取り寄せしましょう。
 カルテにはお医者さんの所見や看護師の病状記録などがあり、当時のやりとりや健康状態を詳しく記載しており、当時の意思能力を知る上で大変重要な資料として裁判所も重視します。

【認知症の検査結果が重要です】
 最大の決め手となるのが認知症の検査結果です。
 この検査にはいくつかの方式があるようですが、著名なところでは長谷川式認知スケールという検査方法(参照:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)があり、この検査を当時行っていればその検査結果が重要な証拠として扱われるでしょう。
 この検査結果は、病院で行われ、カルテなどとともに保存されていることがあります。このほか、介護施設によっては、長谷川式認知スケールを定期的に行っているところもありますし、介護施設への入所の際の参考記録として実施しているところもあります。
 そのため、当時お母さんが入院・通院をしていた医療機関や介護施設などに問い合わせてそのような記録がないか調査してみることをお勧めいたします。



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13:10 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

贈与を装って母の家を売却【Q&A №287】

2013/06/19
 50代主婦。二人姉妹の妹が母が施設に入所する際、生前贈与を母から受けたとして、家、土地を名義変更し売買していた事がわかりました。母は売られたことは知りません。また、母が加入していた入院給付つきの保険も解約されていました。母は再
婚し義理の父が亡くなったあと1人で暮らしており私たちは養子縁組をしていなかったので後継人制度を申し込む事になり、私は署名捺印し郵送しましたが申し込みはされていませんでした。
 施設入所も実家のかたずけも一切知らされず、こんな事は許されるのでしょうか?保険の解約は母が具合が悪くなり病院に搬送された時わかりました。実家は遠方で私たちは東京在住です。

記載内容

生前贈与 意思能力 情報提供 保険解約


(ママつる)


【お母さんに判断能力はあったのかが問題】
 お母さんの不動産が妹さん名義になったということですが、その名義変更をした時点で、
① お母さんが本当に贈与をする意思があったのか。
② また、お母さんに正常な判断能力(法的には意思能力といいます)があったかどうか
が問題となります。 
 このうち、①については、お母さんが死亡していれば、《贈与する意思がなかった》という点の証明が困難です。
 そのため、②の意思能力のなかったことを証明して、生前贈与が無効であるという主張をするといいでしょう。
 意思能力の有無については、介護施設に入所された当時の記録を施設や病院から取り寄せて、判断することになります。
 もし、お母さんに意思能力がなかったのであれば、お母さんから妹さんへの名義移転は無効であり、また、第三者への売買も無効になり、その不動産が遺産として戻ってくる可能性があります。
 ただ、この意思能力の判断や資料の取り寄せは難しいので、できれば法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

【保険解約について】
 保険解約についても、もしお母さんの意思に基づかないか、あるいはお母さんに意思能力がなければ、解約は本来、無効です。
 ただ、現実に保険が解約されているのであれば、妹さんが受け取った返戻金があればその半分の返還請求をすることが可能です。
 不当利得返還請求あるいは不法行為の返還請求というものですが、弁護士に相談される場合には、この点も相談されるといいでしょう。

【法的な情報提供義務はない】
 妹さんとしては、お母さんを施設入所させ、実家の片付けをしたようですが、常識的に、姉であるあなたにこのような事実は知らせるべきことです。
 ただ、法的な義務があるかといえば、そこまでの義務はありません。
 お母さんが自宅を処分する際に、妹さんに贈与するということを知らせる義務があるかといえば、やはりそのような義務までは法的にはありません。


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16:30 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正出金を止める手段【Q&A №280】

2013/05/27
義理の父は痴呆で名前がかけないはずです
なのに義理の母とその家の嫁が今かなりの貯金をおろしています
家の嫁は家を継ぐように委託されています
どのような場合そういう権限があるのですか
この場合違法ではないのでしょうか

もし違法なら父の死去時何をすべきか

あと母の貯金も毎月かなりの額減らしています
たぶん遺産分けの時にはほぼ空っぽです
生活費以上は説明責任があると聞きましたが本当ですか
母の死去時はどうすればいいですか

義理の兄が7年前なくなり保険が1.3億入ったようです
二人兄弟で主人も印を押しました
こちらも父がかけたお金は遺産として考えられないでしょうか
知り合いが言うには義理の父の医師の証明が決めてだそうです
グレーゾーンのようで ただ黙ってみているのがつらいです

まるで死ぬのを待っているようです

記載内容

不正出金 成年後見人 認知症 生命保険 保険料 


(そらすら)


【どの程度の認知症かを検査する】
 義理のお父さんが認知症であり、その程度が高度(ひどい)場合には、判断能力(意思能力)がないということで、義理のお父さんの行為は無効になります。
 義理のお母さんが、義理のお父さん名義の預金を引き出すには委任状が必要ですが、お父さんの判断能力のない場合には委任状が無効になります。
 そのため、まず、義理のお父さんの認知症の程度を調べる必要があります。
 可能であれば、お医者さんに検査をしてもらってください。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストをしてくれるはずです。

【ひどい認知症であった場合は成年後見の申し立てを考える】
 長谷川式認知スケールは30点満点ですが、10点以下である場合には意思能力なしとして扱われる可能性が高いです。
 認知症が原因で、名前も書けないという程度なら10点以下の可能性が高いでしょう。
 その場合には家庭裁判所に成年後見申立の手続きをしましょう。
 裁判所は義理のお父さんの財産を管理する成年後見人を選びます。
 成年後見人は、義理のお父さんの財産(たとえば預金や保険など)を全部確保し、後見人の名義にして管理しますので不正出金ができなくなります。

【家を継ぐように委託されても、預金引き出しの権限はない】
 「家の嫁」は家を継ぐように委託されているということですが、誰から委託されているのでしょうか。
 もし、ひどい認知症である義理のお父さんからであれば、意思能力なしとして、そのような委託は無効になります。
 委託が有効であったとしても、「家を継ぐように」ということだけであれば、預金の引き出しまではできず、「家の嫁」は権限外の違法行為をしていることになります。
 義理のお母さんと「家の嫁」が違法な出金をしている場合、義理のお父さんが死亡後にその出金額を調査し、損害賠償を請求することになります。
 法的に言えば、「不当利得返還請求」あるいは「不法行為による損害賠償請求」をすることになります。その場合、請求できるのは、不正出金額のうち、請求者の相続分に相当する金額です。

【お母さんの預金引き出しについて】
 お母さんの預金の引き出しがされているようですが、お母さんが正常な判断能力があれば、これは違法にはなりません。
 自分の財産をどのように使おうと誰も文句はいえないからです。
 なお、お母さんが死亡したときに預金が全部出されていたという点ですが、お母さんの意思に基づいて誰かに贈与されていたということであれば、相続人には遺留分が認められていますので、相続人が子であれば、法定相続分の半分の返還を求めることができます(遺留分減殺請求といいます)し、他方、お母さんの意思に基づかない引出であれば、義理のお父さんの場合と同様に不当利得返還請求や損害賠償請求ができます。
 「生活費以上は説明責任があるという言い方も聞きました」ということですが、このような説明責任はありません。
 むしろ、遺留分や不当利得等の請求をする側が、生活費以上の金銭を引き出したという点を立証する必要があります。

【保険金は遺産の対象外である】
 義理のお兄さんが亡くなり、その死亡保険金が入ってきたということですが、死亡保険金は原則として遺産にはなりませんし、義理のお父さんがそれまでに支払った保険料も特別受益になることはありません。
 保険金と遺産の関係でいえば「義理のお父さんの医師の意見が決め手」ということはありません。



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不正をした相続人の除外【Q&A №220】

2012/12/17
亡くなった父の預貯金全て長男一人占め

 8年前に父が他界、母はもういません。痴呆症と足切断のため寝たっきりだった父の預金全てを、兄が自分名義に変えておろしていました。このことを、1か月前に調べてしりました。私と姉は、この事を、許す事ができません。刑事告訴できますか?
 又父名義の土地と一緒に、この預貯金の分割できますか.さらに、違う人の相続もあるのですが、この猫ばば行為をした兄を相続から外す事できますか。私と姉は、命をかけて戦いたいのです。
記載内容

預金の無断引出し 刑事告訴 不当利得返還請求 不法行為損害賠償  
(のろまのカメ)


【警察の動きはにぶい】
 お父さんの生前に、その預金が全部、お兄さんよって引き出されたというケースです。
 お父さんが同意していないのなら、お兄さんの行為は有印私文書偽造、同行使などの刑法上の犯罪に該当する可能性があります。
 又、お父さんが《同意していても》、認知症の程度がひどく、意思能力を欠くという場合にも同様な犯罪に該当します。
 ただ、犯罪に該当するからと言って、警察がその犯罪を取り上げてすぐに捜査をするわけではありません。
 警察は、殺人や強盗というような犯罪は優先的に捜査しますが、親子間の問題については動きが極めて鈍いと考えておく必要があるでしょう。

【不当利得として返還請求が可能】
 生前に、お父さんの預金を全額引き出していたのであれば、お父さんはお兄さんに対して不当利得あるいは不法行為により、返還請求ができます。
 お父さんが死亡した後は、その返還請求権は相続人に相続されますので、あなたは法定相続分だけ、お兄さんに対して返還請求権を持つことになります。
 お父さん名義の不動産もあるようですので、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、その中でこの返還請求分を請求することも考えていいでしょう。
 ただ、お兄さんがその返還に応じないというのであれば、通常の場合にはお兄さんを被告として、引出した分のうち、あなたの相続分の返還請求をするといいでしょう。
 ただ、お兄さんが引き出した預金全部を使い切っている場合も考えられます。
 その場合、遺産分割調停を先にしていいのか、あるいは訴訟を先にしたほうがいいのか、難しい法律判断があります。
 この点については、相続に詳しい弁護士に相談され、そのアドバイスに従うといいでしょう。

【相続人からの除外】
 お兄さんを、相続人から除外する方法としては、法律上、《欠格》と《廃除》という2つの制度があります。
 《欠格》は、お父さんを殺害した場合や詐欺強迫により遺言を書かせた場合などであり、《廃除》というのは、被相続人(今回はお父さん)自身が遺言や裁判所への申し立てなどをしてお兄さんの相続人の地位を否定する制度です。
 しかし、今回はおそらく遺言もないでしょうし、どちらの制度も使うことができないと思われます。

【別人の相続は別の問題】
 しかし、別の人の相続については、その被相続人についての関係で《欠格》や《廃除》があるかどうかが問題になりますので、今回のお父さんに対する非行等の行動は問題とはならず、お兄さんを相続人から外すことは現段階では不可能です。


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16:45 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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