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亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺留分減殺対策で、家を贈与又は売買したい【Q&A №413】

2014/12/03



 母は持家のマンションで一人暮らしです。
 その母の家を私の娘に生前贈与したいと言っています。(母の財産は、そのマンションだけです。)推定相続人は私と妹の2人で、妹は母の財産の半分を貰う気 満々です。
 母から娘への名義変更なら、原則としては特別受益には該当しませんよね。(娘は19歳大学生です。)
 もし妹が遺留分減殺請求したら、この場合 持ち戻しと言うことになるのですか?
 そう判断されない様にする方法は ありますか?
 この裁判にかかる費用は いくらぐらいですか?
 妹に母の家を渡さない方法として、家を私か主人が買い取ると言うのはどうですか?
 評価額は1700万円くらいなので、その値段で買う。(現金買取でも良いですか?)そして母から娘へ教育資金贈与を1500万円して貰う。
 母は現金を持っていないので、つじつまは あっていると思うのですが、どうですか?売買なら特別受益にもならないですよね。税金がかかるとは思いますが。これ以外に妹に家を渡さなくていい方法があれば教えて下さい。宜しくお願いします。

記載内容

   贈与

(佐奈)





【原則は特別受益にあたらないが、断言はできない】
 推定相続人(本件ではあなたと妹さん)に対する贈与なら、特別受益として遺産に持ち戻すことになります。
 しかし、質問に記載されているような、あなたの娘さん(被相続人から見ればお孫さん)への贈与は推定相続人に対するものではないため、ご指摘のとおり、原則として特別受益の問題は発生しません。
 ただ、夫に対する贈与が、推定相続人である妻に対する贈与であるとされた裁判例が1件あります(「【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益」参照)ので、絶対に特別受益にはならないと断言することはできません。
 どのような場合に特別受益とされるかの判断基準は、裁判例が1例だけですので、必ずしも明らかではありませんが、抽象的に言えば《娘さんに対する贈与が、あなたに対する贈与と同視されるような場合》には特別受益とされる可能性があります。
 今回のようなケースでは、
①娘さん(孫)が未成年であり、自分では管理処分する意思と能力を持たない。
②なぜ推定相続人であるあなたではなく、お孫である娘さんにわざわざ贈与するのかという動機

という点などが、検討されるべき事項になるように思います。

【特別受益にはならなくとも、遺留分減殺請求は受けることになる】
 娘さんへの贈与が、推定相続人であるあなたへの特別受益と判断された場合には、特段の事情がない限りは、時期や損害を加える意思の有無を問わず、遺留分減殺の関係では遺産に持ち戻されます(相続Q&A №324およびQ&A №411参照)。
 なお、仮に娘さんへの贈与があなたの関係での特別受益にならないとしても、妹さんの立場から言えば、娘さんに対する遺留分減殺請求をすることが可能です。
 遺留分減殺で遺産に持ち戻される贈与は、相続開始前の1年間にされた贈与か、遺留分権利者に損害を加えることを知った贈与です(後記参照条文:民法1030後段)が、本件の場合、贈与の対象となる持ち家が、お母さんの唯一の財産ですので、《損害を加えることを知った贈与》とされる可能性が高いでしょう。

【買い取れば特別受益にはならない?】
 次に、あなた又はあなたのご主人が買い取る案をお考えのようですが、1700万円という買取金額が相当額であれば、その売買自体は特別受益にはなりません(なお、税務当局は親子間の売買には厳しい目を向けており、果たして本当の売買であるかどうかを調査するという可能性もあることも考慮されておくといいでしょう)。
 又、売買代金1700万円のうち、約80%に相当する1500万円を、お母さんから娘さん(孫)へ教育資金として贈与するとなれば、本来は親であるあなたが負担しなければならない教育費を、お祖母さんが負担したことになり、これによって、あなたが教育資金の負担を免れたという《特別受益》が発生する可能性もあります。
 また、売買の時期や贈与の時期が近接している、娘さんにわざわざ教育資金を出す必要性が乏しいような場合には、売買と贈与とが《仕組まれた一体の取引》であり、実質的には買取ではなく、あなたへの贈与であったと見られる可能性も想定しておく必要があります。

【遺留分減殺請求の裁判費用】
 裁判にかかる費用としては裁判所に納める申立印紙代や弁護士費用がありますが、今回最も大きな費用となるのは弁護士費用でしょう。
 弁護士費用は自由化されていますので一概には言えませんが、遺留分減殺請求事件は弁護士間では難しい事件とされています。
 このことを考えると、事件を依頼する場合に支払う着手金として、妹さんからの請求額の8~10%程度になり、事件終了時に支払う報酬として、仮に全部を勝訴した(妹さんに1円も支払いをしない)という場合には、請求額の10~16%といった金額の水準で契約する弁護士が多いように思います。

《参照条文》 民法第1030条(遺留分の算定)
 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。


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16:50 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産調査の弁護士費用【Q&A №385】

2014/06/11
 祖母がなくなりました。

 私は相続人のうちの一人なのですが、別の相続人が財産を管理していたため、遺産の額が把握できないでいます。

 かなりの額の財産があったはずなのですが、管理していた者は遺産はほとんどないと言っています。

 祖母の現時点の遺産額の把握と、口座の過去の入出金記録を調べて資産の推移を確認したいです。

 ただし、どこの金融機関と取引があったのか、私の方では分からないです。

 弁護士さんに調査していただく場合の費用を知りたいです。

 現時点では裁判は考えておらず、調査だけお願いしたいとおもっています。

 それから、調査していただいた結果は、今後裁判になった場合、証拠として採用してもらえるのでしょうか?

記載内容

弁護士費用 預金 取引履歴
(孫)





【調査に関する弁護士費用について】

 弁護士で相続調査だけを受任するケースは多くはありません。

 当事務所では、以前は遺産調査だけを受任することもありましたが、現在は、遺産調査及びその後の事件の受任をワンセットにして50万円(税別)で事件を受任しています。

 他の事務所でも調査だけを受任しているケースは少ないと思います。いずれにせよ費用は事務所により異なりますので、もし、具体的な料金を知りたいというのであれば、各事務所のホームページを調べたり、直接電話で確認されたりするといいでしょう。

 なお、参考までに申し上げれば、現在の弁護士費用の基準としてよく用いられる(旧)大阪弁護士会の報酬規程では《調査案件》については着手金や報酬を記載していませんでした。

 弁護士は調査をするのではなく、事件を解決する役割だという理解からでしょう。


【弁護士の調査はどこが違うのか】

 弁護士でなくとも、法定相続人であれば、遺産の調査は可能です。

 ただ、どのような調査をしたらいいのか、そのためにどのような手続きをするのかについては弁護士の方が詳しいでしょう。

 又、出てきたデータからどのような結論がでるのか、それを法律的にどのように請求していくのかという場面では弁護士でしかわからない点が多数あります。

 現在は裁判までお考えではないということですが、もし、相手方の法定相続人等が遺産の内容を明らかにしてくれないのであれば、そのような案件は話し合いで解決することは困難な場合が大半です。

 早期の段階で、相続に詳しいお近くの弁護士に依頼し、調査と事件の受任もしてもらうのが望ましいでしょう。


【調査結果は当然、証拠となる】

 裁判や遺産分割調停になった場合、調査した資料は証拠として提出することが可能ですし、場合によれば決定的な証拠になることもあります。

 今回の質問の場合、取引のあった金融機関(正確に言うと支店)を発見できるかどうかが重要なポイントですので、その点に重点を注がれるといいでしょう。
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11:32 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割成立後に出てきた遺言は有効か?【Q&A №290】

2013/07/02
 分割協議・遺産分割・相続税申告完了の半年後に、家裁から遺言書検認の通知が来ました。遺言書の有効性をチェックしたいので、その方法と留意点を教えてください。

①遺言書有効性チェックの手順
  ・筆跡等から無効確認の可能性の見当をつけるための費用
  ・無効確認の法的手続きとその費用・所要期間
  ・その他留意事項

②遺留分確保の協議は、遺言書有効チェックに先立って進めるべきですか?遺言執行人への対抗はできますか?
 遺産は土地・建物(固定資産税評価額約90百万円)と預金数百万円で、相続人は質問者の妻・被成年後見人Aとその妹B(被相続人・亡母と同居、医師)です。
 協議に際して被相続人末弟は、Bに土地建物を継がせる遺言書を書いた筈と述べましたが、Bは見つからなかったと否定。Bは被相続人との長年の同居と孝養を理由に土地建物に取得を主張しましたが、Aは法定相続分確保は後見人責務と反論し、最終的に代償金を払って土地建物をBが取得することで決着しました。

記載内容

遺産分割協議 遺言 筆跡鑑定 錯誤 遺言執行者


(testament)


【遺言と遺産分割協議の関係】
 遺言があっても、相続人全員の合意で遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることができます。
 ただ、遺産分割協議の時点に遺言の存在を知らなかった場合には、
① 当然に遺産分割協議が無効になる
② 遺産分割協議は有効であるが、遺言が存在していることを知っていたのなら、そのような内容にしなかったということで、錯誤により無効になる可能性がある

という2つの回答が考えられます(当事務所の弁護士の協議では、②の扱いでいいのではないかという意見です)。
 遺産分割協議が有効という前提に立てば、積極的に遺言無効確認訴訟をする必要性はありません。相手方または遺言執行者が、遺産分割協議が錯誤により無効であったとして、遺産分割した財産の返還請求訴訟をしてきた段階で、それに対抗する手段として遺言無効確認訴訟を反訴として提起すればいいと思われます。

【遺言無効訴訟について】
《筆跡鑑定費用》
 遺言の無効を認定してもらう訴訟ですが、無効の原因によって訴訟の手間も期間も異なります。
 被相続人の筆跡ではないということを無効原因とするのなら、筆跡鑑定が必要となります。
 筆跡鑑定費用はケースや鑑定人などによって異なるのですが、これまでの経験では50万円~100万円の間である場合が多かったです。

《法的手続き》
 既に遺産分割協議に基づく遺産の分配が終了しているのであれば、まず、執行者から返還請求訴訟が提起され、それに対応する形で遺言無効確認を反訴で提起するということになるものと思われます。

《弁護士費用》
 裁判をする場合、裁判所等に支払う印紙や郵便切手などとは別に、弁護士費用が必要です。
 弁護士費用は各事務所により算定方法が異なるのですが、当事務所では遺言書を無効にした場合に各相続人が受ける利益(=具体的相続分-遺言が有効であった場合のあなたの相続分)を前提に弁護士費用を算定します。
 具体的には、依頼される弁護士とご相談願います。

《期間》
 期間としては、ケースにより異なりますが、筆跡が主たる争点だとすると1年半程度を見込めばいいでしょう。

《その他の留意点》
 筆跡鑑定ということになると、被相続人(遺言者)の手紙や日記等の比較対象物が必要不可欠ですので、できるだけ多く収集する必要があります。
 なお、今回の質問のケースでは、訴訟も考えられますので、法律の専門家である弁護士に早期に相談し、そのアドバイスで進めるのがいいでしょう。

【遺留分の確保】
 遺言が有効であった場合には遺留分の行使が考えられます。
 そのためには、遺留分減殺の意思表示が必要です。
 これは遺言書の内容を確認し、遺留分を侵害した相手方に対して送付する必要があります。
 遺言執行者に対抗するため、その執行者にも送付しておくといいでしょう。
 なお、「遺留分確保の協議は、遺言書有効チェックに先立って進めるべきですか」という質問がありますが、遺言書が有効であることが確認できない段階では遺留分は侵害されていませんので、遺留分についての協議はするべきではないでしょう。


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11:47 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★兄が依頼した弁護士の報酬【Q&A №229】

2013/01/18
遺産分割と弁護士法
 私の母は、一人っ子ですでに他界しています。その後すぐに、祖母(母の母)が亡くなり、その祖母の遺産相続権が私たち兄弟三人に発生しました。私は三人兄弟です。祖母は2年前に亡くなり、私が祖母の死の知らせを聞いたのは、亡くなって3カ月後でした。(祖母と母はあまり行き来がなかったので)
 預貯金や現金などは兄がもっています。税金も兄が支払っているようです。兄は弁護士を雇い、私に連絡してきましたが、預貯金のコピーを見せてほしいと申し出てもみせてくれません。また、祖母の土地と建物を売却しようとしたが、買い手が見つからなかったと記されており、さらには、弁護士費用は40万かかるので、3人で折半して支払うよう弁護士から請求がきました。
 弁護士からは最初に兄の代理人であるので、兄とは接触なくようという手紙をもらいました。また私は祖母の土地建物の売却には賛成していません(それも手紙に記して送っていました)勝手にそのようなことを行う兄と弁護士に不信感を募らせています。この弁護士は弁護士法に違反しているのではないでしょうか。私は弁護士費用は支払っていません。

記載内容

弁護士費用 弁護士法 



(コーン)


【事件を依頼していない人は、弁護士報酬を支払う必要はない】
 弁護士に対する報酬は、弁護士に事件を依頼した人が支払うものです。
 お兄さんが頼んだのであればお兄さんが支払うべきものです。
 事件を依頼していないあなたが、お兄さんの弁護士に報酬を支払う必要はありません。

【利害対立する双方から弁護士費用をもらうと問題になる・・】
 今回の質問では、お兄さんが依頼した弁護士が、事件の相手方であり利害の対立するあなたに報酬等の弁護士費用を請求するのは、弁護士として次の問題点が発生します。
① 依頼を受けていない人に弁護士費用を請求することは法律的な根拠がなく、違法である。
② 相続人として利害が互いに対立するお兄さんとあなたの双方の代理人となるのは、違法である。
(なお、お兄さんとあなたの双方から、《利害対立しているのはわかっているが、それでも代理人になって欲しい》と頼まれたというのなら、問題はありません)

【弁護士はあくまで一方当事者の味方】
 弁護士が今回のような遺産分割事件でお兄さんの代理人として登場してきたとすれば、それはあくまでお兄さんの利益を図る、お兄さんの側の弁護士として行動する必要があります。
 相手方であるあなたの代理人を兼ねた場合には、弁護士としては、利害対立する双方の利益を図ることは不可能です。
 そのため、弁護士に適用される法律(弁護士法)では、《双方代理》の禁止という原則を定めており、これに違反すると弁護士会から処罰(懲戒処分)されることもあります。
 お兄さんの弁護士が報酬の支払いを請求してきても、あなたとしては支払う必要はありませんし、あまりしつこく請求してくるのであれば、一度、地元の弁護士会に相談されるといいでしょう。

【預金通帳を見せない場合の対応策】
 預金通帳のコピーを請求しても、相手方の弁護士が見せてくれないということですが、お兄さん側としては預金通帳を見せる義務はありません。
 遺産である預金の通帳も見せる義務もなければ、ましてやお兄さん独自の預金通帳を見せる義務も全くありません。
 通帳の開示に応じない場合には、遺産である預金をお兄さんが使い込んでいるようなケースが極めて多いので、是非、あなた側で独自に調査することをお勧めします(調査方法については当ブログの、Q&A №98 をはじめとするカテゴリ( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください)。

【お祖母さん名義の土地の売却はできない】
 なお、被相続人であるお祖母さん名義の土地については、相続人であるあなたの同意なしに勝手に売却することはできません。
 あなたとしては、お兄さん側の用意した書面に実印を押したり、印鑑証明書を手渡すようなことでもしない限り、登記の移転もできませんので、この点は安心されて結構です。


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16:06 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産調査・限定承認の費用は?【Q&A №77】

2011/06/17
 平成23年5月23日に死亡した姉の遺産相続についてお訊ねします。

 姉には配偶者も子供も直系尊属もいませんので、法定相続人は姉妹3人と、先に死亡している姉妹3人の子供で代襲相続人となる5人の合計8人です。
 遺言の有無は分かりませんし、今分かっている遺産としては1700万円の預貯金だけです。他には先に死亡した姉妹が受取人となっている100万円の死亡保険金があります。負債の有無も不明です。
 葬儀費用、死亡までの入院費用、故人のアパートの整理等にかかる交通費一切の諸経費は私が立て替えています。
 姉は一度結婚後離婚し、後は死亡まで独身でしたが、本籍地が遠いため出生から死亡までの戸籍謄本を集めるのも大変です。

質問
1、遺言の有無(法定相続人以外の受遺者がいないか等)の調査はしなければならないか。
2、負債の調査にかかる弁護士費用はどれくらいか。
3、マイナス遺産の有無が不明なので、限定承認したい。
 限定承認手続きの依頼をする際の、弁護士費用(実費を除く)の目安はどれくらいか。
4、同居もせず、同一生計でもなかった姉の場合でも、葬儀費用は先取特権に基づいて、遺贈や負債に優先して遺産から回収できるか。
5、限定承認に必要な戸籍全部の収集を依頼したら手数料はどれくらいか。


記載内容

  葬儀費用 限定承認 弁護士費用
(紫陽花)


【遺言の調査はした方がよいでしょう】
 遺言を調査しなければならないという法的な義務はありません。
 しかし、遺言があれば、それはお姉さんが残した財産をどのようにして欲しいのかという意志ですので、その意思を尊重するべきでしょう。
 後に遺言が発見された場合、一旦行った遺産分割をやり直すことにもなり、相続人や受遺者との間で無用な紛争を生じる可能性が高いです。
 そのため、お姉さんの住んでおられた自宅を探し、友人に確認し、公証役場にも問い合わせするなど、可能な限り遺言書を探すことが必要です。

【弁護士費用の一般的な基準はありません】
 弁護士費用については、かつては弁護士会で報酬規定が定められていましたが、現在では、この報酬規定は廃止されました。
 ただ、多くの事務所で、現在も過去の報酬規定に準拠した形で弁護士費用を決定していることが多いですが、報酬規定にとらわれずに弁護士費用を決定する事務所もあり、一概に弁護士費用がいくらかとはいえないのが実情です。

【遺産の調査費用について】
 当事務所の法律関係の調査については、過去の報酬規定では実費とは別に5万円から20万円という範囲でしたが、複雑な調査案件は弁護士との協議により決定されることとなっていました。
 一般に相続に関する調査は相続関係や遺産全体の調査、取引履歴の調査等、極めて複雑なことが多く、これも一概には言えないです。
 負債だけの調査ということですが、借入先がわかっているケース、わかっていないために主だった金融機関や保険会社等に連絡をして確認するケース等、いろんな場合があり、弁護士費用も一概に申し上げられないというのが実情です。

【限定承認の弁護士費用】
 限定承認自体はあまり使われない制度ということもあり、過去の報酬規定でも、限定承認の報酬についての定めはありませんでした。
 本件では、遺産全体の規模や負債の想定額や債権者数、相続人の数等を判断して、どれだけ手間がかかるのか、あなたがどれくらいの利益を受けるのかを総合考慮して具体的な弁護士費用を決めることになると思いますが、総遺産額の10%程度の費用というのが目安になるかもしれません。

【戸籍の取寄費用について】
 戸籍については、弁護士が戸籍を収集するだけの依頼を受けることは少なく、遺産の調査やその後の手続も含めた作業の一環で戸籍を取寄せする場合が多いです。
 なお、相続のために必要ということであれば、弁護士でなくとも、相続人であれば相続に必要な戸籍謄本、除籍謄本はもらえます。
 現地にいかなくとも、郵送で取り寄せできるはずですので、どのようにすればいいのかを戸籍のある市町村等に電話等で確認されるといいでしょう。

【葬儀費用について】
 葬儀費用は、死後に生じた費用であって、遺産ではないという理解が一般的ですので、遺産そのものから控除することは困難です。
 ただ、葬儀に相続人全員が出席していたような場合であれば、共同の経費として相続人で分担すべきだとされることが多く、結局、遺産の分配時に清算される場合が多いです。
 なお、先取特権は、葬儀会社の有する債権についての優先権を付与したものであって、葬儀費用を出した者が他の相続人に対して請求する立替金(あるいは分配金)請求の場合には適用されません。
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弁護士報酬が高いと思ったら・・・【Q&A №21】

2010/01/25

 伯母の遺産相続の事でおたずねします。
 伯母は結婚もしておらず子供もいない為、亡くなった時は、長男であるうちの父に、そして長年お世話をした母にすべてを託すと遺言をのこしてなくなりました。
 ただ伯母がなくなる前に父のほうが数ヶ月早くなくなってしまったことで、遺言の効果が亡くなってしまったたのです。
 母の遺留分の請求したく弁護士を紹介していただきました。この弁護士(と名乗る」は、遺産相続人の特定を間違え、そのため相続人ではないと特定された、父の姉妹が怒り出し、話し合いが立ち行かなくなってしまいました。さらに相手に有利にすすんでしまいました。なのに手付金30万。報酬は16%を請求されています。このまま支払わなければならないんでしょうか。
 いくらくらいが弁護士の報酬金の平均なんでしょうか。遺産分割の段階で、この弁護士が勝手に報酬金を、引き落としてから私たちに分配なんて事にはなってしまわないでしょうか?
ご回答よろしくお願いいたします。


記載内容

  弁護士費用 報酬基準 紛議調停 
(さつき)



今回は実関係がわからない点がありますので、法律的なコメントは差し控えます。
さて、問題は弁護士費用が高いかどうかですが、回答は次のとおりです。
【弁護士費用の基準はあるか?】
 昔は日本弁護士会や各地の弁護士会が、弁護士費用の基準を出していましたが、現在では、このような基準はありません。
 しかし、多くの弁護士が、従来定められていた弁護士会の値段を参考にして、弁護士費用を請求しているのが実情です。

【あなたの場合の弁護士費用について】
 今回のご質問では、財産総額や事件の難しさなどはわかりませんので、着手金の30万円が相当であるかどうかは判断できません。報酬について言えば、昔の弁護士会の基準では、裁判や訴訟上の和解で終了したような場合には、獲得した利益が300万円以下であれば報酬はその16%と規定されていました。
 しかし、遺産であることがはっきりしており、かつ争いなく支払がされるような場合には16%というのは高すぎるでしょうし、裁判まで行かずに調停などで解決した場合にも減額をしてもらえることがあります。
 また、事件の難しい中で弁護士がよく頑張ったケースであるとすれば、16%でも安いということになるかもしれません。

【どうしても報酬に納得できない場合は・・】
 どうしても報酬額に納得できない場合は弁護士会に相談するという手もあります。
この場合は、紛議調停 http://www.nichibenren.or.jp/ja/trouble/で報酬が相当かを話し合うことになります。

【弁護士が一方的に報酬をとることについて】
 法的に言えば、弁護士が事件の相手方から得てあなたに渡すべき金銭と、報酬を相殺(差し引き)することは可能でしょう。ただ、報酬額について合意がない場合に一方的に相殺することについては問題があります。
 もしそのようなおそれがある場合には、弁護士に一方的な相殺をしないように書面で申入れをしておくことをお勧めします。

☆ワンポイントアドバイス☆
報酬については書面で合意する
 弁護士費用は、紛争の対象となる財産総額や獲得した財産的利益、事件がむずかしいかどうか等で変わってきます。そのため、弁護士は事件の内容を聞いた後、報酬の見積もりを出し、支払う内容を明らかにした書面を作成します。
 そのあたりをはっきりさせない弁護士には、事件を依頼しないほうがいいでしょう。
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★長年放置した遺産の分割【Q&A №3】

2009/07/23

母の父が数十年前に亡くなっているのですが何箇所かの土地が未だに相続されないまま祖父名義のままになっています。
母の兄弟も何名かすでに亡くなっており残り母を含め2人となってしまいました。母も高齢になってきているので何とか今のうちにきちんと相続をしておきたいと思います。
ですが祖父名義の借家には母の兄嫁が勝手に数十年にわたり家賃をとっていたり、また、別の家には相続がなされないまま数十年兄嫁親子が住んでいたりしています。
その中でもうちの母は自宅近くにある祖父名義の土地を長年管理してきましたのでそこだけでも分割相続をしたいと思っております。祖父名義の土地の一部だけを母が相続する事は可能でしょうか?
又もし全体を分割相続しなければならないとしたら自分が相続しない所までも最初に言い出した母が弁護士費用、その他の相続費用を支払わなくてはいけないのでしょうか?
高齢で貯蓄もないのできちんとしたいものの費用面もとても不安でなかなか次に進めない状態ですのでアドバイスお願い致します。


記載内容

  遺産分割協議 相続費用 弁護士費用 
(ひまわり)



【まず遺産分割協議を】
お祖父さんの遺産のうち、お母さんが希望する土地を相続することは可能です。
ただ、そのためにはお祖父さんの相続人全員で遺産の分け方を話し合う(「遺産分割協議」)必要があります。
 なお、この協議には亡くなられた兄弟(=祖父の子)の相続人が参加する必要があります。
お母さんの希望する土地の相続について全員の同意が得られれば、そのことを記載した遺産分割協議書を作ります。そうすると登記名義をお母さんに移転することができます。
 しかし、もしお母さんの相続する土地の値打ちが外の相続人が受け取る遺産と比べて高すぎるというのであれば、他の相続人にお金(代償金)を支払って土地をもらうということもあります。

【協議がまとまらないときは】
 相続人の間で分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをし、これでもまとまらないときは家庭裁判所の審判(判決のようなもので、裁判所が判断します)で遺産の分割をすることになります。
 この場合にも、裁判所は長年あなたのお母さんが管理してきた土地という点を考慮するでしょうから、その土地をお母さんが相続する可能性が高いと思われます。
 ただ、審判では相続人間の公平を考え、法律で定められた相続分を基準に判断しますので、お母さんが代償金等の支払いを命じられる場合もあるかもしれません。

【費用等の負担者は】
 遺産分割に必要な費用は最初に言い出した方が全ての費用を負担するわけではありません。相続費用(例えば相続登記の費用)については、相続された方がそれぞれ負担することになります。
弁護士に依頼した場合、その費用は依頼した方が負担し、他の相続人に負担を求めることはできません。弁護士は依頼者である方の立場を守るために行動するからです。

☆ワンポイントアドバイス☆
 質問の中に、お母さんの兄嫁が勝手に、祖父名義の借家の家賃をとっていたということが記載されています。
 遺産分割が完了していない間の家賃は、相続分に応じて、相続人全員がもらう権利がありますので、過去に遡って家賃を兄嫁に請求することが可能です。
(ただし、時効ということもあるので、一部しか請求できない場合もあります。)
 もし、家賃を貰うことができれば、相続費用の負担が軽減されるでしょうし、弁護士を頼む際の費用に充てることも可能です。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
18:19 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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