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ご教示ください【Q&A №565】

2017/05/02


【質問の要旨】

相続人の一人が不動産を使用していた場合、固定資産税等はどうなるか

記載内容

 実家 同居 固定資産税

【ご質問内容】

両親が亡くなって20年以上経ちます。相続人は4名です。

長男が昨年突然調停を申し立ててきました。

両親が寝たきりになった後、死亡までの約10年間で預貯金は同居の長男夫婦で使い果たしていますが、証明が困難であることをいいことに、相続財産は残ったわずかな預貯金と不動産だけであると主張しています。

自宅不動産は土地が母、建物が父の所有でしたが、長男は父母の存命中に父名義の自宅建物の一部に座敷を増築し、その座敷部分の登記が自分名義であることは秘密にしています。

長男はすべての不動産の取得を希望し、そのことに異議はありませんが、父母死亡後に発生した固定資産税の負担を今になって他の相続人たちに求めてきました。

すべての不動産を使用収益しているのは長男一家のみ
です。

長男は、不動産を取得する代償金についても「田舎であるから現実の価格は固定資産評価額8割の値段である。固定資産税を含めた他の公租公課・葬儀費用の未精算分があるので、自分の持分の代償金の現実の支払いはしない」と勝手な主張しています。

今までどんな不当なことも我慢してきましたが、このような一方的な主張が通るものでしょうか?せめて、他の相続人たちから「父母死亡後について、座敷部分の土地の分についてだけでも残りの兄弟が無償で利用させていた代わりに固定資産税等の公租公課は負担しない」とする反論は可能でしょうか?

(デゴイチ)





【遺産分割成立までは無償使用】

まず、長男がお父さん名義の建物に座敷を増築し使用してきた、というお話ですので、おそらく両親と同居されていたものと思われます。

この場合、名義上は両親の名義(土地は母、建物は父)ですので、理屈の上ではご両親が共に死亡された時点で、遺産分割協議が成立するまでの間、長男が無償使用(使用貸借)できる状態になったものと扱われる可能性が高いと思われます。

これは平成8年12月17日の最高裁判決(参考ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52508)による解釈で、同判決によれば、被相続人と同居していた事案において、同居していた相続人と被相続人との間で使用貸借契約(無償使用の契約)があったことが推認されています。

(なお、座敷部分は長男が勝手に増築したということですが、ご両親も座敷部分の使用料を請求しなかったのであれば、座敷の無償使用も承認(黙認)されていた可能性が高く、結果的に自宅の一部として同様の扱いになる可能性が高いと思われます。)


【長男に使用の対価は請求できない】

もちろん、この判例も親と同居していたすべての事案において無償使用扱いにするという判断ではありません。そのため、実際にご相談のケースにも当てはまるかどうかは専門的な判断を要します。

ただ、あなた方が長男に対しこれまでの使用の対価を請求できる可能性は低いと考えておく方が無難でしょう。

【固定資産税はさかのぼって長男の負担】

他方で、固定資産税の扱いについてはこの判例からも明らかではありません。

この点は明確な判例などがなく、私の解釈になりますが、長男が実家を相続するのであれば相続開始時にさかのぼって長男が実家を所有していたことになります。

そのため、一般には所有者に対し課税される固定資産税の負担も、さかのぼって所有者だった(と扱われる)長男が負担するのが公平の見地からは妥当と思われますので、このような内容で遺産分割協議を行うのが一般的だろうと思います(参考までに申し上げますと、早く遺産分割協議を成立させないと、長男の無償使用が続くだけ、という見方もできます)。

【お兄さんが不動産を取得するなら、代償金の支払いを求める】

今回の質問は固定資産税を請求されていますが、上記のようにその支払いの必要はありません。

むしろ、お父さんの遺産である不動産をお兄さんが自分の物にするというのであれば、あなたとしては、その代償となる金銭をお兄さんに請求されるといいでしょう。


(弁護士 北野英彦)

大澤龍司法律事務所
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11:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人との共有マンションの家賃の扱い【Q&A №546】

2016/12/06



【質問の要旨】

マンションの共有者である長男が、被相続人に対し収益の返還請求権を持っていると主張している

記載内容 共有物 賃料 時効

【ご質問内容】

被相続人と長男が一棟建て賃貸マンションを所有していました。

分割協議が進まず調停へと進む状況です。

これまで賃貸マンションの収入は被相続人が管理し、収入も返済や税金の支払も行ってきました

長男代理人は2分の1所有の賃貸マンションからあがる収益は本来自分の物であり、返還請求権をもっていると主張しています。

この主張は認められるのでしょうか?

またこの被相続人に対する債権は何年前まで有効なのですか?

時効はあるのでしょうか

この債務を遺産に加えると他の相続人の相続分はなくなるといっています。

(mujun)





【兄が本当に共有者であるかどうかを念のために確かめる】

お父さんと兄で共有持ち分が各2分の1であるのに、被相続人が賃料収入全部を得ていたということですが、2つの面で疑問(あるいは問題といってもいいでしょう)がありそうです。

まず、第1は、兄の持ち分2分の1というが、実質はお父さんが建築資金を出しており、名義だけを長男のものにしていたのではないか?という点です。

この疑問は①長男名義の2分の1は実質上はお父さんの遺産ではないのか?

あるいは②お父さんがお兄さんに建築資金を生前贈与(特別受益)したのではないか?

という問題に発展しますので、念のために上記の①及び②の観点から、是非、調査されるといいでしょう。

なお、ローンがあるようですので、その借入名義がお父さんだけか、兄でもあるのか、又、頭金などは誰が負担したのかを、お父さんの取引履歴等なども参考にして調査されるといいでしょう。


【兄はお父さんに賃料の返還請求はできない可能性が高い】

次に、兄としてはお父さんが賃貸に出していることぐらいは知っていたと理解するべきでしょう。

にもかかわらず、賃料の半額を請求しなかったのはなぜかという疑問があります。

この点については、賃貸を始めるときにお父さんと兄との間で、お父さんが賃料を全部取得するということで合意(暗黙を含めて)があり、管理はお父さんがし、賃料収入はお父さんがもらう、ローンの支払いや固定資産税の支払いは全てお父さんがするとの合意があったと考えるのが普通の理解でしょう。

もし、その前提が正しいとすると、お父さんが全額を取得することを、兄は了解していたのですから、兄が被相続人であるお父さんに不当利得等の請求はできないことになります。


【仮に無断で賃貸していた場合には】

しかし、万一、お父さんが兄に知らせず、勝手にマンションの賃貸をしていたのだとすると、兄からお父さんに対して不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求として賃料額のうちの兄持ち分額に相当する金額を請求することが可能になります。

この場合、お父さんが兄の分のローンの支払いをし、かつ固定資産税も立替支払いをしていたのであれば、その分は請求額から控除されますし、場合によれば管理料相当分も控除することも可能です。

なお、不法行為で請求する場合には、勝手に貸していることを知ってから3年で、不当利得返還請求をする場合なら10年で請求権が消滅時効にかかりますので、それ以前の分は時効を主張されると、兄は請求できないということになります。


【兄請求の債務を遺産に加えるどうなる?】
  
今回の質問のケースでは兄の請求が成立しない可能性があります。

仮に請求できるとしても、お父さんが賃料から兄のローンの支払いをし、かつ、兄の分の固定資産税も支払っていたというのであれば、法的に認められる返還額はそれほど多額にはならず、請求すると遺産が無くなるようなことはないと思われます。


【特別寄与について】

兄に賠償あるいは返還請求ができない場合でも、賃料全額をお父さんに取得させたということが特別寄与として認められ、兄がその額を取得できる可能性はあり得ます。

ただ、この場合でも、兄の分のローンの支払いや固定資産税の立替支払い、管理料相当額等が考慮されますので、兄の寄与分としてはそれほど多くないように思います。

(弁護士 大澤龍司)

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13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★建築費用の負担等と特別受益【Q&A №506】

2016/05/31



【質問の要旨】

次女夫婦が母名義の土地に家を建て、建築費用も一部負担してもらった

記載内容  同居 建築 負担

【ご質問内容】

父はすでに他界し、母と3姉妹という家族構成です。

母名義の土地に次女夫婦が新築で家を建て、母が同居することになりました

・土地名義は母のままで固定資産税も母が払い続ける

・建物は、次女夫婦の名義で、建築費用の3分の1程度を母が負担することになりそ
うです。

建築費用を援助する事が生前贈与にあたるのでしょうか?

また、同居する場合は、特別受益には該当しないのでしょうか?
(ゆずのん)






【次女夫婦名義の建物の建築資金補助は特別受益となる】

次女夫婦名義の建物を建築する際に、被相続人(お母さん)から建築資金の援助を受けたのであれば、それは「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、遺産に持ち戻す必要があります。

なお、特別受益は相続人にのみ生じる問題です。

そのため、次女ではない他人(配偶者も他人です)に贈与した場合には特別受益の問題にはなりません。

質問では、次女《夫婦》への贈与と質問に記載されています。

仮に建物が次女ではなく、その夫の単独名義になっており、その資金をお母さんが出していたらどうかという問題があります。

この場合には、実質上、夫婦は一体であるとして特別受益の主張をされるといいでしょう

【参考判例】福島家裁白河支審 昭和55年5月24日
被相続人から共同相続人の1人の配偶者に対して贈与がなされた場合において、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質、これにより受贈者の配偶者である相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には被相続人から相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときは、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であっても、これを相続人の特別受益とみて遺産分割をすべきである。
【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)もご参照ください。)

【土地の無償貸与も特別受益になる】

お母さんの土地の上に次女夫婦が建物を建てるということになると、おそらく賃料の支払いはしないでしょうから、次女夫婦は他人であるお母さんの土地を無償使用で使用できるという利益を得ることになります。

この無償使用する利益を法的には使用借権といいますが、この権利を得ることも「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、その権利の価額が遺産に持ち戻されることになります(この点については当ブログQ&A №321もご参照ください)。


【同居の場合、特別寄与や生活費援助も問題となる余地がある】

法律的に言えば、次女夫婦がお母さんと同居し、その介護に尽くしていたとしても、次女の特別受益分として遺産に持ち戻される額が減額されることはありません。

ただ、次女がお母さんを介護することにより、ヘルパー代等が助かったというような事情がある場合には、その分が《特別寄与》となって、遺産から次女に支払いされることはありえます(当ブログQ&A №254をご参照ください)。

逆に、お母さんが同居する次女夫婦の《生活費を支給》していたようであれば、この支給分が特別受益になるかどうかが問題になります(当ブログQ&A №321Q&A №505等をご参照ください)。

(弁護士 大澤龍司)

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14:47 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父から生前贈与されたマンションと後妻【Q&A №409】

2014/11/06



 五年前に生前贈与で父にマンションを貰いました。
 購入時から私の名義にしてます。
 それを機会に同居しました。
 父には後妻がおりその方は私と10歳しか違わず後妻は専業主婦です。
 私は娘で独身で働いています。
 先日父がなくなり、一年程で出て行って欲しいと言ったらマンション返せと言われました。特別受益だそうです。
 購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります。)
 生前から固定資産税もマンション管理費・水光熱費は私が支払っています。父たちは一応食費です。
 今現在も水光熱費等のお金は貰っていません。
 私の食費は自分持ちです。
 お風呂場を私のローンでリフォームしています。
 その時も援助はして貰っていません。
 裁判起こすと言われています。
 購入費用のうち、相続分の四分の一は払うとは言っています。
 後妻も生前贈与は貰っています。
 その分は計算されていなくて、父と二人で使ってしまったそうです。
 亡くなった時の財産は有りませんでした。
 それでも私は出ていかなくてはいけないのでしょうか?
 納得がいきません。
 相談よろしくお願いします。

記載内容

  マンション 生前贈与 同居
(ララ)


【贈与なら特別受益になるが、特別受益としては返還不要】
 あなたがお父さんからマンションを生前贈与されていたという前提なら、そのマンション贈与は特別受益に当たると思われます。
 しかし、特別受益制度は、贈与されたマンションを遺産の中に《計算上、持ち戻す》だけの制度であり、その結果、あなたが現存しているお父さんの遺産をもらえなくなることはあっても、マンションやその価額を返還する必要はありません。
 あなたは自分が所有者だと主張して、後妻に家を出るように主張していくことも可能です。
 ただ、後妻が遺留分を侵害されたとして、減殺請求をした場合には、その限度(後妻の遺留分は4分の1です)で返還請求を受けることがありますので、この点はご注意ください。

【贈与ではなく、実際はお父さんの遺産とされると法定相続の対象になる】
 ただ、質問を読んでいくと、《購入時は後妻が口添えして私名義にしたそうです。(父の名義にはできない事情があります)》という記載があります。
 お父さんの名義にできない事情があったため、実際はお父さんの所有なのに、あなたの名義だけを借りたということなら、そのマンションはお父さんの遺産となります。
 この場合には、法定相続人間で遺産分割協議をしなければならず、その結果によっては、後妻があなた達に代償金を支払って、マンションを取得するということも考えられます。

【贈与か?遺産か?の結論は簡単には出せない】
 これまでに述べたように、マンションがあなたに贈与されたのか、それともお父さんの遺産であるのかによって、あなたの立場が大きく変わってきます。
 あなたが固定資産税や管理費用も支払っていた、お風呂場をあなたのローンでリフォームしていたという点、更に固定資産税もマンション管理費も支払っていたというのは、あなたに贈与があったことの裏付けとなる事情ですが、必ずしも決定的なものではありません。(なお、水光熱費や食費の支払い関係は、所有権が誰にあるかという問題には直接は関係しません。)
 あなたとしては、お父さんの書いた日記や手紙、書類などを探して、マンションが贈与されたことの証拠になるような記載があるかどうか確認されるといいでしょう。
 また、後妻が、あなたがマンションの所有者であることを前提として発言をしていたようなことはないのか、又、あなたが所有者であることをお父さんが親戚に言っていた等の事情などはないかどうか、がんばって贈与を裏付ける事情を探されるといいでしょう。

【弁護士に相談する必要があるようです】
 当事務所の扱った案件でも、後妻と先妻の子との間の相続争いは簡単に解決することは少なく、調停や裁判まで行くケースが多いです。
 後妻は裁判を起こすと言っているようですが、あなたとしても、相続に詳しい弁護士に相談し、どのような対応をするのか、また、将来の裁判に備えて、どんな有利な事情があるかを判断してもらう必要があるように思います。


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13:19 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言で遺贈を受けた場合に必要な費用【Q&A №366】

2014/04/22
 遺産相続で法定相続人以外の遺贈で、マンションを頂いた場合費用はどのくらいかかるのでしょうか?中古マンション価格は3500万円位です。余り金額が掛かるならお断りしようと思っています。余り蓄えがないので、よろしくお願いいたします。

記載内容

遺贈 相続税 マンション
(東郷平八郎)


【考えられる税金や諸経費について】
 遺言でマンションなどの不動産を遺贈された場合に必要となってくる税金や費用は、

① 相続税
② 不動産取得税
③ 登記費用

です。
 これに、登記名義を移転した後には、当然のことですが、毎年、固定資産税や都市計画税を支払う必要があり、又、建物の管理費なども考慮しておく必要があるでしょう。

【相続税について】
 相続税は、遺産総額が《5000万円+法定相続人1人×1000万円》を超えた場合に課税されます。
 そのため、法定相続人が2人の場合には、相続が7000万円までは相続税の申告は不要です(但し、平成27年から、《3000万円+法定相続人1人×600万円》を超えた場合に課税されることになります)。
 今回の質問では、遺産総額も法定相続人もわからないので、相続税が課税されるかどうかはわかりませんが、遺産総額が5000万円以下なら、相続税は課税されません。
 そのため、遺贈を受けるあなたにも相続税は課税されません。
 ただ、遺産総額が多く、相続税が課税される場合には、あなたは通常の法定相続人が支払う税金より20%アップされた税金を支払う必要があります。
 なお、相続税の計算においては居住用資産の遺産算入価額の軽減等、様々な軽減措置がありますので、詳しくは不動産登記簿謄本その他の資料を入手され、税金の専門家である税理士に相談されるといいでしょう。

【不動産取得税について】
 マンションなどの不動産を取得する場合、不動産取得税が課税されます。
 この税金は平成27年3月31日までであれば、次の税額になります。
   土地:固定資産評価額×2分の1×3%
   家屋(住宅):固定資産評価額×3%(なお、住宅でない場合には掛け率は4%になります)

【登記費用について】
 あなたが遺贈された不動産の所有権移転登記する場合には、登録免許税の支払が必要です。
 通常の法定相続人の相続登記は、固定資産評価証明額の1000分の4ですが、法定相続人に対する遺贈の場合には1000分の20の登録免許税が必要になります。
 なお、移転登記を司法書士に依頼する場合の司法書士さんに支払う費用は、ネットなどでお調べ頂くか、お近くの司法書士に見積書を出していただくとよいでしょう。

【取得後も継続的な費用が必要】
 不動産を取得した後も固定資産税、都市計画税を毎年支払う必要がありますし、又、建物の管理費も考えておく必要があります。
 遺贈の対象となっているマンションが、収益をあげることのできるマンションかどうかを十分に調査した上で、遺贈受けるかどうかを検討されるといいでしょう。
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13:10 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

印鑑を無断盗用した遺産分割協議書【Q&A №340】

2014/01/15
 ①遺産相続協議書の見せられたのは母親死亡後の相続の件時で訪問した平成22年6月29日に初めて知った。弟Aは(平成21年7月死亡)は昭和51年5月1日に遺産相続協議書を作成して所有権移転登記は昭和51年5月30日完了していた。 勝手に弟の配偶者(B)に署名させて印鑑を押印後に印鑑登録を要請、印鑑署名書は代理人申請で取得していた 印鑑登録は昭和51年5月15日です。署名の事実もなく正本も渡されていない。 母親(平成22年5月11日死亡)と父親(昭和37年7月30日死亡)の相続調停で相手方4名は弟Aの相続人配偶者とその子3人 申立人2名は私Cと妹は弁護士に相談して立川裁判所に調停を平成22年7月申請した。調停で父親の相続は訴訟で争うとの回答書に対して申立人弁護士は「父親の相続は経費が掛かる、時効が成立しているから・・
 経費対成果を考えると母親の調停で進めましょう」との事で母親の所有権のある建物の20分の9を相手側が支払うことで調停平成23年5月27日に成立しました。
②配偶者(B)とその子Dは敷地内に弟Aが不正な方法で土地所有権を得た敷地364,52㎡の一部を121,58㎡土地文筆登記平成14年6月14日して家を新築した。 当時弟Aに確認したら借地代として税金分は貰っていると話をしていたのである。調停前平成22年6月17日に配偶者とその子D.E2人持ち分242,94㎡を3/1づつ移転登記され、且配偶者(B)はその子Fは文筆登記された121,58㎡土地移転登記していた。

記載内容

実印 印鑑登録 偽造
(知世子)


【時効制度について損害賠償請求にも時効がある】
 ご相談内容に質問部分が記載されておりませんでしたので、当方で問題点を推測し、回答します。
 まず、お父さんの遺産分割について、あなた(さらには妹さんの)印鑑が勝手に印鑑登録され、その実印が使用されて、遺産分割協議書が作成されたとすれば、それはあなた方の意思に基づかない違法かつ無効な遺産分割協議であり、その協議書を使ってお父さんの遺産である土地等の不動産登記もされたのであれば、その登記も効力がありません。
 ただ、法律では、無効な権利関係といえども、権利者としての外形が長く続くのであれば、その外形を権利として認めようということで、取得時効という制度を設けています。
 又、権利を長く行使しないのであれば、その権利の行使を認めなくする消滅時効という制度も認めています。

【弟さんの行為については不法行為基づく損害賠償請求が可能だったが・・】
 弟さんのした行為はあなた方の遺産を取得することを妨害したもので、あなた方としては不法行為による損害賠償請求ができることになります。
 しかし、不法行為はその行為を知ったときは、知ってから3年間、知らない場合にも不法行為時から20年で時効に消滅します。
 今回のケースでは、その行為があった昭和51年から約40年近くが経過しています。
 あなたの委任された弁護士が時効というのは、その消滅時効のことを言っているのでしょう。
 また、仮に本件が私文書偽造罪などにあたるとしても、やはり公訴時効という制度があり、警察が捜査し裁判にかけることができる期間も制限されています。

【登記の無効を争うことは可能かもしれないが・・】
 ただ、弟さんのした相続登記が無効というのなら、現在もその点を指摘して、登記無効の訴訟を提起することも可能です。
 しかし、この裁判ではあなた方が、弟さんが不法行為を行ったことを証明する必要があり、それができなければ敗訴することになります。
 あなた方の依頼された弁護士としては、あまりにも過去のことであるので、その点の立証も難しいと考え、お母さんの相続だけに限定したものと思います。
 又、弟さんが登記してから約40年間、弟さん及びその家族はその不動産を自分の名義で使用し、かつ、固定資産税等の税金を支払っており、所有者としての外形を維持してきましたので、取得時効が完成している可能性が極めて高いです。
その判断が正しかったのかどうかは、詳しい事情を知らないためなんとも判断できませんが、約40年近く前の事実を証明するのはかなり困難なことであると思います。
又、取得時効も完成しているものと思われるので、あなた側の弁護士の判断もやむをえないものではないでしょうか。
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17:08 遺産分割 | コメント(3) | トラックバック(0) | 編集

農地を宅地に転用した場合の扱い【Q&A №331】

2013/11/26
 今年、9月に父がなくなりました。相続人は母、兄弟3人です。
 私は次男で、10年前にとなりの畑を農地転用し家を立てました。名義はまだ父のままです。
 農地転用などにかかる費用はすべて私が払いました。土地の固定資産税も父に払っておりました。
 遺産分割の際は農地としての評価ですか、宅地としての評価になるのでしょうか?
 父は他に農地とアパート3棟所有しております。

 遺産分割の際の知識とさせて下さい。
 ご教示お願いたします。

記載内容

農地 転用 貢献度 固定資産税の支払い 寄与
(ゲンキ)


【基本は相続時の状態で評価】
 相続は、被相続人が死亡した時点でその財産が相続人に引き継がれる制度です。
 そのため、相続開始時(=お父さんの死亡時)に宅地であった場合には、その土地は宅地として扱われ、それを前提にした遺産分割がなされます。
 これを貫くと宅地にして価格をかなり向上させたあなたとしては、「自分が価値を上げた功労も考慮して欲しい」という考えを持たれることと思います。

【寄与分という制度により評価】
 ただ、あなたとしては、農地から宅地にする際に、盛り土をする等の作業を業者に依頼して、その費用を支払ったという場合には、その寄与を認めて、遺産分割に反映させようという制度《特別寄与》があります。
 本件の場合、あなたがその土地の上に(あなた名義の)家を建築されたようですので、他の相続人からは《自分のためにしたのではないか》という苦情も出そうですが、土地が  お父さんの名義であり、その価値が農地より高額になったというのであれば、特別寄与として認められる可能性もあるでしょう。
 特別寄与になる場合には、遺産の分割前にその寄与分相当額が遺産から差し引かれ、寄与分を差し引いた残りの遺産を法定相続人でその相続分に応じて分割することになります。

【固定資産税の支払いについて】
 あなたは土地の固定資産税をお父さんに支払っていたということですが、この分の返還は可能かが問題になります。
 あなたがお父さんに土地の固定資産税分を貸し付けたというような証拠(借用書)でもない限り、あなたが、その土地上にあなた名義の家を建築されているようですので、その固定資産税相当額のお礼としての支払いと考えることになる可能性が高いでしょう。
 そのため、その固定資産税の返還を求めることは難しいでしょう。

【特別受益の主張が他の相続人から出る可能性がある】
 あなたがお父さんの土地上に建物を建築しているのであれば、あなたにはお父さんの土地を使用する権利が発生します。
 賃料を支払っていないのであれば、それは使用借権という権利です。
 お父さんからこの権利をもらったことが、生前贈与的なものとして、他の相続人が特別受益を主張してくる可能性があります。
 使用借権の価額は土地価額の10~30%程度といわれていますが、ともかく法定相続人からそのような主張がでてくることも予め考慮しておく必要があるでしょう。
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借地上にあった父の家の使用料【Q&A №285】

2013/06/19
 30年前に父が亡くなりましたが、兄妹の間で遺産(家、借地権)分割の手続きをせずに放置してきました。
 約10年前に地主の希望で家を壊し、その場所にマンションを建て、借地権と交換に1フロアを与えられました。
 そのマンションはどういう理由か兄の名義になっていて、兄夫婦は10年間住み続けています。
 私は別居で何の利益も得ていません。
 近々、遺産分割の協議を予定していますが、仮にそのマンションを兄妹で50%ずつ共有名義に変更できた場合、過去にさかのぼって、兄夫婦から、過去10年間住み続けた費用に相当する金額をもらう権利があるでしょうか。
 よろしくお願い申し上げます。

記載内容

借地 使用貸借


(nob)


【自分の家に住んでいるので、賃料相当分の請求はむずかしい】
 お兄さんの住んでいるマンションの1フロアは、遺産そのものではありません。
 お兄さんが、家主からマンションの1フロアをもらって、自分の単独所有名義にしているのですから、お兄さんとしては自分の家に居住していることになり、そこに居住することでは、なんらあなたの権利を侵害しているわけではありません。
 従って、お兄さんがマンションの1フロアをもらった後の過去10年間の賃料に相当する分をお兄さんに請求することはむずかしいでしょう。

【借地権を消滅させられたことの損害請求は可能】
 問題は、お兄さんがマンションの1フロアをもらうときに、あなたの借地権を消滅させたことです。
 お父さんが死亡した時点では借地権とその上の家はあったのですから、あなたも法定相続分に応じて、その借地権及びその上の家を相続しています。
 それなのに、お兄さんは、地主の希望で家を壊して借地権を消滅させました。
 この借地権等を消滅させることについては、共同相続人であるあなたの了解が必要です。
 あなたの意向を聞き、借地権についてのあなたの相続分を尊重するべきでした。
 それをせずに、借地権を消滅させ、マンションの1フロアをもらったという点で、お兄さんの行動はあなたの権利(相続分に応じた借地権及び家の持分)を侵害しており、権利侵害行為ということができます。
 あなたとしては、お兄さんに対して、あなたが相続した限度での借地権等を侵害されたとして、その損害(金銭請求)を主張することができます。

【金銭賠償が原則だが、交渉であるので・・】
 マンションの1フロアの半分をもらうことをお考えのようです。
 あなたの相続した借地権等を消滅させられたことによる損害は、本来は金銭で賠償されるべきものです。
 ただ交渉ごとですので、あなたとしては、その金銭賠償の価額がマンションのワンフロアの2分の1に相当すると理解して、1フロアの2分の1の所有権移転を請求することも可能ですし、もちろん、損害賠償請求として金銭で請求することも可能です。
 相手方の出方に応じて、どちらかの方法を選択するといいでしょう。

 あとはお兄さんとの人間関係にもよるでしょうが、前記のような話をお兄さんと交渉しつつ、本来ならお父さんの家(とそれに代わるマンション)の利用権について交渉されるのがよいでしょう。
 また、ご質問からは明らかではありませんが、マンションのフロアを地主さんからもらうまで、お父さんの建物は誰が住んでいたのでしょうか?
 もし、お父さんの生前からお兄さんが住んでいて、その流れのままお兄さんが住み続けていたということであれば、お父さんとお兄さんの間には、無料で住み続けることができることの合意(=使用貸借契約と言います)が成立していた可能性があります。
 このような使用貸借契約が成立していた場合には、お父さんが亡くなった後も、遺産分割協議が成立するまではお兄さんが引き続き無償で使用することができるというのが裁判所の扱いです。
 あとは、お兄さんのほうから、「使用利益を請求するなら固定資産税も半分負担するように」との反論が返ってくるでしょうが、使用利益に比べればそれほど高いものではないでしょう。


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11:58 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

特別受益の価格をどう評価するか。【Q&A №276】

2013/05/10
 被相続人の土地を、被相続人が口頭で贈与すると言ったが、所有権移転手続きは行われていない状況で贈与したとみなされるのでしょうか?

 それとも所有権移転が終えた時点で贈与とみなされるのでしょうか?

 実は受贈者より、贈与を受けたときの地目は畑だったが、受贈者の行為によって宅地に変更されたので、民法904条の「贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。」と規定しているので、「畑」としてその相場を評価する、と言われました。

 所有権移転が終えた時点で贈与であれば、そのときの地目が宅地であれば民法904条の規定には当てはまらないと思うのですがどうなんでしょうか?

 どうかアドバイスよろしくお願いいたします。

記載内容

 宅地 評価 基準時 

(nack)


【口頭でも贈与は可能ですが、証明ができるかどうか・・】
 贈与は口頭での契約で成立します。
 そのため、贈与に関する書面がなくとも、又、登記が移転していなくとも、贈与が成立します。
 問題となるのは、その贈与があったことをどのように証明するか、ということです。
 不動産は重要な資産ですから、通常は、登記という権利の移転を証明するような方策をとるのが普通でしょう。
 もし、口頭での贈与を主張したいのであれば、口頭での贈与を裏付ける事実を証明する必要があるでしょう。
 まず、贈与について、親戚や関係者、近隣に告げていた等の事実があれば、口頭での贈与の存在を裏付ける事実として役立つでしょう。
 又、贈与に伴い、当該不動産の使用者が贈与者から受贈者に替わったという事実があったり、固定資産税の支払いも受贈者がするようになったというような事実があれば、それらも贈与を裏付ける事実になるでしょう。

【農地であるとすれば・・】
 なお、本件では地目が畑という農地であり、農地法の適用を受けます。
 農地の場合、土地の所有権を移転するためには、農地法により農業委員会の許可が必要となります。
 その許可を得ていない場合には、当事者間での贈与の合意が証明できても、それだけでは所有権移転の効力が生じないということになります。

【特別受益は畑として評価されるのか?】
 生前贈与が特別受益であるとされた場合、その財産は遺産に加えられます(持ち戻しという制度です)。
 その財産の評価は、相続開始時点で、特別受益である≪贈与があった時点の原状≫での評価となります。
 そのため、贈与の効力が発生した場合に農地であったのか、宅地であったのかでは評価額が大きく異なってきます。
 もし、農業委員会の(贈与に対する)許可があった時点で贈与があったということであれば、贈与が効力を発した時点(=許可時)時点では対象地は農地であったことになり、相続時の評価も農地で評価されることになります。
 しかし、贈与が効力を生じた時点(=許可時)で、その土地がすでに宅地化していたのであれば、相続時の評価は宅地ということで扱われることになります。

【受贈者の行為での宅地化という点は・・】
 本件の質問では、受贈者の行為により≪宅地化≫されたと記載されています。
 通常、農地の宅地化には農業委員会の転用許可が必要です。
 その場合の申請人名義は誰だったのでしょうか。
 もし、被相続人が申請人であったのなら、その時点では贈与が成立しておらず、贈与はそれ以降になされたとしか言えないことになります。
 あるいは、転用許可が必要ではない形で宅地化したのでしょうか。
 メールの質問では、その点が明確ではないので、はっきりした回答ができません。
 さらなる回答が必要なら、法律の専門家である弁護士に相談されるといいでしょう。


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15:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

土地の所有権は放棄できない【Q&A №273】

2013/05/01
死んだ父は山の一部を買いそこを畑に使用する等していたようです。現在荒れ放題です。借りたのではなく買ったようです。
 隣の区画は登記簿によると神奈川の人のようです
 この畑に使用していた土地を放棄する訳にはいかないでしょうか

記載内容

山林 放棄 
(kitty)


【土地の所有権は放棄できない】
 所有権は一般に使用するも処分するも自由であり、この点は動産であっても、本件のような不動産(山林)であっても同様です。
 ただ、ここでいう処分とは、売却や贈与等の、次の権利者が明らかになっている場合の話です。
 これに対して不動産の放棄は簡単ではありません。不動産の放棄の意思表示を一体誰に対してするのかを定めた条文はありませんし、又、不動産の放棄をした場合にその旨の登記をどのようにするのかの条文もありません。
 結局、不動産の放棄はできないと考えられた方がいいでしょう。

【遺産分割協議で取得者を決定するしかない】
 あなたが相続するべき遺産の中に、価値がなく相続したくない財産がある場合には、他の相続人にその財産を取得してもらうしかないでしょう。
 遺産分割協議の中で、問題の土地を他の相続人が取得するという方向で話をつけることができないのなら、相続人全員で法定相続分に応じて取得することになります。

【ある特定の財産の相続放棄はできない】
 遺産の相続をしたくない場合には、家庭裁判所に対して、相続放棄の手続きをすることができます。
 しかし、この場合は相続するかしないかのどちらかを選択するだけで、特定の財産だけを相続放棄するということはできません。

【土地を所有することのデメリット】
 土地を所有することの一番大きなデメリットは、固定資産税の支払いと現地の管理責任を負うことです。問題の土地は、お父さんが購入されたということですので、購入当時は価値があったのでしょう。
 もし、現在も価値がある土地であれば、隣接地の土地所有者がわかっているのですから、相続で取得した後に、その隣接所有者に売却する、あるいは贈与するということも考えていいでしょう。
 値打ちのない土地であれば、固定資産税が非課税になる場合が多いので、相続をし、そのまま持ち続けるしかないでしょう。
 現地の管理について、隣接所有者や地域の自治会から《雑草を刈って欲しい》というような要求がされることも多いですが、逆にいえばそのような苦情が出るような地域であれば、近くに住宅地があり、価値のある土地という可能性がありますので、売却・贈与等の処分を検討されるといいでしょう。


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10:40 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義で購入した不動産と特別受益【Q&A №263】

2013/04/02
 先日祖母が亡くなり、現在父と叔父(父の弟)の間で遺産分割について協議中です。

 30数年前に祖母がアパートを建てたのですが、その際建物の名義は祖母、土地の名義は父にしていました。長男に家を継がせるという考えが強く、先々のことを考えてのことだったようです。
 アパートの家賃収入などは全て祖母で、父はこのアパートに関する事には一切ノータッチでした。固定資産税はずっと父が払ってきました。

 叔父の主張は、この土地は生前贈与に当たるから法律上それも遺産に加えた上できっちり半分ずつにするのが当然だというものです。

特別受益に当たるのでしょうか?

記載内容

名義 生前贈与 遺産 固定資産税
(おタル)


【特別受益にあたる可能性もありますが・・】
 土地がお父さん名義ということですが、どのような原因でお父さん名義になったのでしょうか。
 登記原因により、特別受益の問題になったり、名義貸しの問題になったりしますので、場合分けをして回答します。

①まず、問題の土地が元々はお祖母さん名義であったのを、お父さん名義にしたというのであれば、登記の原因としては贈与になる可能性が高く、この場合には土地の価額が特別受益なります。
②次に、第三者(他人)から土地を購入した際に、お父さん名義にしたというのであれば、その購入代金が誰の名義で支払いされたかが問題となります。
 お祖母さんが土地代金を出したが、登記名義はお父さんにしたというのであれば、 その土地の実質的な所有者はお祖母さんという主張が出てくる可能性があります。
 この場合には、特別受益の問題は発生せず、土地の名義上はお父さんであっても、  実質的にはお祖母さんのものであり、その遺産であるという扱いになります。
③お父さんが土地代金を出したが、その代金はお祖母さんからもらったものであるとすると、お祖母さんからもらった土地代金相当額が贈与になり、この代金額が特別受益の内容になります。

 このように、お父さん名義の土地でも、登記に至る事情により回答が異なってきますので、登記簿謄本を確認して登記原因を調査し、かつ、購入した土地ということであれば売買の実情を調査する必要があるでしょう。
 
【固定資産税の支払いは考慮される可能性がある】
《土地が実質上、お父さんのものである場合》
 お父さんがアパート(土地及び建物)の固定資産税を支払ってきたということですが、土地がお父さんの所有物とされる場合(前項①③の場合)には、当然お父さんが土地の固定資産税の支払いをする必要があり、この分をお祖母さんの遺産分割で返還を求めることはできません。
 但し、お父さんとしては、自分の土地の上にお祖母さんの建物があり、土地を無償使用されていることになります。お祖母さんとしては、土地の賃料の支払いを免れているわけですから、過去の賃料相当額を特別寄与として、遺産分割の際に請求することも考えていいでしょう。
 あるいは、無償使用させたこと自体(使用借権)により、お祖母さんが利益を受けているのですから、その無償使用できた利益自体を特別寄与として請求することも可能です。

《お父さんの土地所有権が認められず、お祖母さんの遺産になる場合》
 前項の②の場合であれば、土地はお祖母さんの遺産になります。
 その時には、お父さんは、本来の土地所有者であるお祖母さんの固定資産税を支払ってきたわけですから、お祖母さんの遺産が減少することを防いだとして、固定資産税の支払い分をお祖母さんの遺産に対する特別寄与として請求することが可能でしょう。


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12:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺産土地は時効取得されることがあるのか。【Q&A №231】

2013/01/28
 相続・遺産分割と時効
 母の土地を姉妹弟五人で相続しました。母の遺言で、土地は姉妹弟五人で等分に分け合うことになりました。
 土地には、現在弟が家族とともに住み、土地全体の固定資産税を払っており、他の四人に持ち分の放棄を迫りました。私と上の姉は婚家の他県に住んでいることもあり、放棄に応じてもいいですが、その場合は持ち分相当額の金銭と引き替えであることが条件で、これは姉も一緒です。そして、そのことを弟に伝えましたが、いっこうに応じません。
 母が亡くなったのが平成6年です。遺産分割の場合も、弟が私たちの持ち分の土地の上に住み続けていれば、私たちの持ち分も弟が時効取得することはあるでしょうか。先ずは、このままなにもしないでいることで、私たちの持ち分が無くなってしまわないか、それが心配です。
 また金額の話し合いに応じない弟に対してどのような意思表示をすればいいでしょうか。内容証明等を送って、金銭の支払いを求めればいいのでしょうか。恐れ入りますが、ご回答を願います。

記載内容

時効取得 固定資産税 代償金 


(かずひろ)


【時効取得の可能性もあります】
 弟さんが土地を占有使用し、固定資産税も一手に支払っていたのであれば、弟さんが時効取得を主張する可能性があります。この場合の時効期間は、自分のために全部の土地の占有を開始してから、20年になります。
 ただ、今回の質問の場合、遺産土地は遺言で他のご兄弟の持ち分が認められていますので、その旨の相続登記がなされておれば、時効取得はよほどのことがないと認められないでしょう。

【あなたが所有者であることをはっきりとさせておく必要がある】
 あなたたちが権利をもっているのに、弟さんが単独で使用し、かつ固定資産税を支払っているという状態が続けば、弟さんが自分の所有物として使用しているような状態が継続して続いている状態になり、裁判所としては、時効取得を認めやすくなります。
 そのため、このような状態を破るためには、弟さんとの権利関係をはっきりさせる必要があります。
 具体的に言えば、弟さんとの関係で、問題の土地の使用に関する合意書を作成し、その中であなたの権利(共有持ち分)があることを明記するといいでしょう。
 持ち分相当の賃料を請求するのが望ましいでしょうが、たとえ無償使用を続けるとしてもあなたが権利者であるということを認めさせることで、時効期間の進行をリセットすることができます。
 もし、合意に応じないようであれば、調停等の手続きを利用することも考えてもいいでしょう。


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17:07 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人の遺産の範囲の調査【Q&A №208】

2012/10/30
 特別受益に該当しますか。
 前提:弟が死亡し、相続が発生しました。弟には妻(入籍したのは約5年前)はい
ますが、子供はおりません。相続人は、弟の妻、私たち兄弟の計3名です。
弟は生前、退職金で妻の弟の借金(何百万円単位)を肩代わりしたり、土地を購入し
妻名義で土地の登記をしています。これらは、相続財産に該当しますか。
また、それを証明するため、銀行口座の取引履歴を入手したいと考えています。その際、弟と兄弟の関係を示す戸籍謄本が必要とのことですが、具体的にはどの戸籍謄本を入手すればよろしいのでしょうか。
(父母:死亡、弟:この度死亡、兄弟、それぞれ違う県に本籍があります。)
記載内容

借金 肩代わり 取引履歴 他人名義の不動産 相続証明
(わたる)


【返済資金提供は贈与?貸金?】
 奥さんの弟さん(以下、義理の弟さんといいます)の借金返済について、弟さんが資金を提供した場合には、その資金を贈与したのか、貸しただけなのかということが、まず問題になります。
 資金提供の際にどのような話や事情があったのかを調査しましょう。
 借用証書が作成されたのかどうか、弟さんが返還請求した事実があるかどうか、少額でもあれ義理の弟さんによる返済の事実がないのかどうかなどを確認して、贈与か貸金かを判断しましょう。
 貸したのであれば、貸金債権として遺産に含まれ、相続人は返還請求ができます。
 しかし、贈与なら、原則として遺産に含まれません。

【妻名義での土地の購入】
 奥さん名義の土地についても、その資金を誰が出したのかが問題となります。
 もし、弟さんがその資金を全部出したというのであれば実質的には弟さんのものであり、名義だけを奥さんから借りたにすぎないとして、弟さんの遺産と主張することも可能になります。
 当事務所が担当している事件には、そのような主張をする場合もよくあります。
 資金以外にも、固定資産税の支払いや弟さん夫婦間の収入の比較などの調査をし、弟さんの遺産であることを証明する資料を収集する必要があるでしょう。
 又、支払い資金の動きを確認するためにも、弟さんの銀行口座の取引履歴を取寄せることも必要不可欠です。

【兄弟が相続人であることの証明するための戸籍は・・】
 金融機関としては、あなたが相続人であれば、取引履歴の照会に回答します。
 兄弟が相続人になるためには、被相続人である弟さんに子供や孫がいないこと、お父さんお母さんがおらず、お祖父さんやお祖母さんもいないことが前提になります。
 そのため、弟さんとあなたが兄弟であることを証明する戸籍や除籍謄本だけではなく、被相続人である弟さんの出生からの戸籍等も必要ですし、両親もすでに死亡していることを証明する戸籍も必要になります。
 なお、本籍地が他府県に分かれているとのことですが、郵送でも取寄せが可能のはず(弁護士の場合には郵送で取寄せします)ですが、念のためにその本籍地の役所に問い合わせされるといいでしょう。

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10:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★認知症の父の家を処分するには【Q&A №186】

2012/08/17
 父がアルツハイマーになってしまいました。

 父名義の遺産はどのようにして、母、私を含む子供3人でわけることが出来るのでしょうか?
 父と母、兄が今一緒に暮らしてます。
 母も高齢ですし、兄も独身で障害年金をもらってます。
 今暮らしている父名義の家と土地が広すぎて管理も難しく、出来れば早いうちに次女の私の所に土地と家を売却し、一緒にこれから暮らしたいと思ってます。
 (父以外は皆望んでます。)妹にはもちろん財産分与をして。
 いわゆる生前贈与でしょうか?

 生前贈与等まったく知識がなくすみませんが、宜しくお願いします。

記載内容

アルツハイマー 後見人 相続対策 

(むちこちゃん)


【重度の認知症では売却はできない】
 質問では、お父さんのアルツハイマーの程度がはっきりとはわかりませんが、もし、重度で、自分で意思決定できないような場合には、お父さんは自宅の土地建物の売却や贈与はできませんし、遺言を作成してあなたに相続させることもできません。

【売買契約をするためには成年後見人の選任が必要】
 重度の認知症のお父さんが自宅を売却するには、家庭裁判所に成年後見人選任を申し立て、就任した後見人に売却してもらうしかありません。
 たとえば、特に使用せず、固定資産税など経費が多額になる不動産であれば、お父さんの財産減少防止のため売却するケースもあるでしょう。
 ただし、裁判所が親族以外の第三者を後見人に選任する可能性もあり、後見人が必ずしも売却に応じるかどうかはわかりません。また、成年後見人はお父さんの財産を守る立場ですので、生前贈与をすることはまず考えられません。

【生前贈与をしなくとも・・】
 又、生前贈与については高額の贈与税が課税されます。
 例えば、1000万円を超す生前贈与には、贈与された財産額の50%に相当する税金が課される可能性があります。
 又、自宅などの不動産を売却したことは税務署に通知されますので、税務署が売買代金の行き先を調査する可能性が高いです。
 このようなことを考えると、生前贈与は得策でもありません。

【結局は相続で財産分けをするしかない】
 どうしても自宅を売却する必要があるときには、成年後見人に自宅を売却してもらえることもあるでしょうが、その代金は後見人の管理に任せることになり、子どもたちで分けることはできません。
 その結果、お父さんが死亡した後に、売買代金を含む遺産を相続人で分けることしかできなくなります。
 結局、相続までは財産を分ける方策はないことになります。
 なお、相続の場合には、(現在の税制では)お母さんと子ども3人の場合、遺産総額9000万円までは、全く課税されませんので、節税のためにも相続を待つことが得策と言えるでしょう。


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★不動産の評価方法と家財道具の処理について【Q&A №139】

2012/04/16

 母が亡くなり姉と私の二人で遺産相続することになりました。
 築35年の家・土地と預貯金があり不動産は私が相続することになっています。
 50年近く母が住んだ家ですので、せめて七回忌まで位はそのままにしておきたいと思っているのですがいずれは売る予定です。その不動産の評価で姉と話し合いがつきません。
 姉は固定資産税の評価額に倍率を掛けた額を主張していますが固定資産税評価額の三分の一は家屋の評価で、実際に売った場合その額で売れるとは思えません。そのうえ譲渡所得税を考えると私としては納得できません。姉は「売った時の税金まで私がみる必要はない。」と言います。不動産の評価額はどのように考えればいいのでしょうか。
 また、姉は家財道具も分けるように要求しています。テレビやエアコン冷蔵庫やタンスといった普通のものしかありませんが、姉はそれも分けるべきだと言います。私も姉が欲しい物があるなら持って行っても構わないのですが、祖父の代からの家で農家ですので古いタンスや布団、農機具など廃棄処分しなければならないものも沢山あります。そのことについて姉がまったく考慮してくれないことに不満が募ります。どのように対処すればいいでしょうか。

記載内容

不動産の評価 路線価 固定資産税評価額 公示価格
(ももたろう)


【土地の評価基準】
 遺産の中に不動産がある場合には、ほとんどの場合、その評価が問題になります。
 土地の価額には、
 ①公示価格(国土交通省が公示している標準的な価格・・・国土交通省 土地総合情報ライブラリーへ)、
②固定資産税評価額(市町村が評価するもので、公示価格の70%程度)、
③路線価格(国税庁が評価・公表するもので、公示価格の80%程度・・・国税庁 路線価図へ)
があります。
 家庭裁判所の遺産分割調停などでは、土地の価額については、路線価格で算定する場合が多いです。
 路線価格は、国税庁が相続税等の算定の基準として、日本全国の土地について定めており、しかもインターネットで検索もできますので、大変使用しやすいです。
 また、公示地価の80%に設定されているというのも、譲渡益課税(譲渡益の約20%)や売却の手間・費用を考えれば、公示地価から20%程度の減額が相当だからです。

【家屋の評価基準】
 家屋については、調停などの場合には、固定資産税評価額を基準にして、その価額にするか、ある程度の倍率をかけて算定する場合が多いです(その価額にするのか、何倍かにするかは当事者の合意で決定する場合が多く、絶対という基準はありません)。

【不動産でとるか、現金でとるか】
 不動産は現金と異なり、売却しないと現金化できません。
 売却についてはご指摘のとおり、譲渡益があれば、その20%の税金がかかりますし、また、売り急げば売値は下がってきますし、仲介手数料も必要です。
 そのため、時価よりも低額で評価されるべきものでしょう。
 問題は、お姉さんを納得させる方法ですが、このような説明をしても、納得なさる可能性は少ないと思われます。

【お姉さんを説得するには・・】
 家庭裁判所に遺産分割調停の申立をされると、調停委員がお姉さんを説得してくれる可能性があります。
 また、調停に際して、あなたが弁護士に依頼すると、相手方も弁護士に依頼することが多く、その場合にはお姉さん方の弁護士が、お姉さんを説得する可能性もありますので、ご検討ください。

【家財道具について】
 家財道具などの動産は不動産とは別に考えるべきです。
 ただ、通常は貴金属や骨董品などの価値ある動産だけを相続人間で分割し、その他の家財道具などの価値のない動産は不動産を相続する人が取得する場合が多いです。
 家財道具の中に不要のものがあるのであれば、処分費用の見積もりを取り、その分をお姉さんに負担してもらう(それが嫌なら物件を引き取ってもらう)という対応も可能でしょう。
 ただ、動産についても意見が分かれているのであれば、やはり調停申立が望ましいと思われます。



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亡くなった叔父名義の土地家屋は叔母のものか【Q&A №97】

2011/11/04

 死亡した叔母の土地家屋がすでに死亡している叔父の所有のままで叔母は納税管理人として固定資産税等を払い続けてきた場合、この土地家屋は叔母の財産として相続できるか?


記載内容

  登記名義 相続分 相続人
(かずお)


【叔父さんと叔母さんは夫婦?】
 あなたの叔父さんと叔母さんとが戸籍上、正式な夫婦であることを前提として回答します。

【叔母さんが単独で全部を取得するのはごくまれです】
 死亡した叔父さん名義の不動産はその相続人が相続し、所有権を取得します。
 登記名義が叔父さんのままでも、相続により所有権は相続人に移転します。
 妻であった叔母さんは常に相続人になりますが、原則として他の相続人と共有で相続します。
 共有の割合は、子供がおれば、叔母さんは2分の1です。
 子供がおらず、叔父さんの両親のいずれかでも生きているなら、叔母さんは3分の2を取得します。
 子供も両親もいないが、叔父さんの兄弟がいるという場合なら、相続分は4分の3です。
 なお、子供も両親も、兄弟もいない場合には、叔母さんが全部を取得します。

【固定資産税を支払っても、相続分が増えるわけではない】
 叔母さんが固定資産税全部を支払ってきたとしても、叔母さんの相続分が増えるわけではありません。
 他の相続人がいる場合に、何年たっても、既に述べた割合で不動産を相続するだけですので、叔母さんが死亡した場合には、質問の不動産については、その割合でしか叔母さんの遺産がないということになります。
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