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葬式費用の負担者と香典の取得者【Q&A №560】

2017/02/16


【質問の要旨】

父の葬儀の喪主が叔父、葬儀費用は遺産から払ったが、香典は誰が受け取る?

記載内容 香典 葬式費用 喪主

【ご質問内容】

母とは離婚、片親だった父がなくなり、葬式をあげる事になりました。

24歳の姉と21歳の私(2人姉妹)は知識も、まとまったお金も無いからと、何も費用などの相談も無いまま父の弟である叔父が喪主を務め、葬式費用も返してくれればいいからと立て替えてくれました。

後日かかった費用の領収書を受け取り、返すように言われ葬式費用は遺産から返したのですが、この場合香典は誰が受け取るべきですか

実際に喪主を務めた叔父が香典を受け取るとしたら、父の葬式なので葬式費用は私と姉で叔父に返すべきなのですか?

(麗華)





【葬儀費用は喪主が負担する】

葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません。

そのため、当然に遺産から支払われるべきものではなく、喪主が負担するものです。

したがって、今回叔父さんが喪主を務めてくれたのであれば、本来は叔父さんが費用を負担するべきだということになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

今回の事案とよく似た裁判例として、次の裁判例があります。

【相続判例散策】兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従うと、やはり叔父さんが支払った葬儀費用をあなた方に請求することはできないという結論になりそうです。


【香典は葬儀費用を負担した者が取得する】

ただ、本件では、あなた方に代わって叔父さんに喪主を務めていただき、葬儀費用を支払うことについてあなた方が納得して遺産から葬儀費用を支払ったようです。

このとき、香典は誰が受け取るべきなのかが問題になりますが、香典には葬儀費用等の出費に対して金銭面で助けるという意味もありますので、本来香典は葬儀費用を負担した者が取得するべきだといえるでしょう。

本件において、あなた方が遺産から葬儀費用を支払ったのであれば、香典収入は叔父さんに渡すのではなく、遺産に含めるべきだと考えられます。


【本件ではどうする?】

そのため、今回の質問のケースでは、本来は、あなた方は叔父さんに葬儀費用を支払う必要はありませんでした

ただ、既に葬儀費用を支払った(もらった遺産からその分を返した)というのなら、葬儀費用の返還をしてもらっても良いということになります。

しかし、現実問題としてはそのような要求を出しても、応じてくれないでしょうから、せめて、香典は引渡すように請求されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

大澤龍司法律事務所
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14:41 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】

2017/02/14


【質問の要旨】

保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】

相続人兄と私のみ

遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)

死亡保険金1450万円(受取人私)あり。

家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。

何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。

少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。

2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。

その1年後父が他界。

葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)

今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。

家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)

生命保険は私が受取る。

父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す
ると。

兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。

生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。

兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。

実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?

兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。

分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。

今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)






【遺産内容について】

まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります

これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります


【保険金は遺産ではありません】

あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。


【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】

家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。

土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。

特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。

ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。

そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。

又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。

なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。


【債務の扱い】

お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。

賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。

その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。

次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。

以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

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18:12 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★内縁の妻からの葬儀費用の請求【Q&A №547】

2016/12/07



【質問の要旨】

内縁の妻が立て替えていた葬儀費用と入院費用を回収できるか?遺族年金はどうなるか?

記載内容 葬儀代 喪主 内縁の妻

【ご質問内容】

内縁の夫がなくなり(重婚的関係)本妻が体裁もあるので喪主を努めたいと言い、本妻が喪主、施主が内縁の妻で葬儀を終えました。

葬儀費用はとりあえず施主が払いました。

葬儀費用は折半(口約束)と約束したのに払ってくれません。

そのほかに入院費もかなりの金額を内縁の妻が払いました内縁の夫の遺産から、葬儀費用、入院費用を請求する事は可能ですか?

また、葬儀費用、入院費用、をもらうことにより、遺族年金の申請をするにあたって、内縁の妻の証明に不利になりますか

(ban)






【入院費用は相続債務であり、返還請求ができるが・・】

内縁の夫の入院費は本来その夫が支払うべきものであるのが未払いになっているものですから、相続の債務であり、遺産から支払う必要があります。

そのため、相続人に立替入院費の支払いを請求できます

なお、その請求先は法定相続人全員であり、支払いは各法定相続分に応じた分です。

そのため、子がいる場合であれば、法律的に請求できるのは、配偶者である妻に対しては立替分の2分の1のみです。


【葬儀費用について】

葬儀の喪主は妻であり、施主は内妻であるあなた、費用はあなたと妻と折半するとの口頭の合意があったにもかかわらず、妻の方が折半分の支払いに応じないという前提で考えると、折半の合意が成立したことが証明できれば、あなたは妻に半額を請求することができます

ただ、口頭ですので、《言った、言わない》の議論となり、結局、合意の証明なしとして、内妻であるあなたの請求が認められない可能性も高いでしょう。


【遺族年金の請求について】

遺族年金については厚生年金保険法により、《配偶者》が第一順位の受給権を有しています(厚生年金保険法第59条の2項。末記条文を参照)。

民法における配偶者は戸籍上の妻のみですが、この厚生年金保険法における《配偶者》には、戸籍上の妻のみならず、内縁の妻も含まれます(末記の厚生年金保険法第3条を参照。なお、以下においては厚生年金保険法の配偶者の意味で使用する場合には《配偶者》と記載します)。

今回の件では、戸籍上の妻が存在し、かつ、内縁の妻も存在しますので、《配偶者》に該当する人が2名になり、どちらが《配偶者》と扱われるのかという問題があります。

仮に戸籍上の妻がいても、《事実上の離婚状態》であり、かつ、あなたが夫の収入で生計を維持しているという立場であれば、遺族年金をもらえる立場になります(平成27年10月2日大阪地裁の判決が参考になります。⇒【相続判例散策】戸籍上の妻と内縁の妻、遺族厚生年金の受給者はどっち?参照)

上記裁判例も参考にして述べれば、《事実上の離婚状態》とは、婚姻関係が実体を失って形骸化し、かつその状態が固定化して近い将来に回復される見込みがない場合をいい、具体的には次のようないろんな事項を検討した結果で判断されることになります。

①別居期間 ②別居の経緯 ③別居期間中の婚姻当事者の婚姻関係修復の努力の有無 ④別居後の経済的依存関係の有無(婚姻費用的なものを支払っているか) ⑤別居している夫婦の連絡あるいは面会状況 ⑥夫の内縁の妻との生活状況

単に別居して長期間経過しているというだけで内縁の妻が遺族年金は受けることのできる《配偶者》になるわけではありませんのでその点をご留意ください。

なお、遺族年金の支給を受ける要件として、死亡した者の収入により生計を維持していることが要件となっています。

さて、入院費や葬儀費の請求すること自体は、遺族年金の受給と直接関係しません。

ただ、もし、あなたが独自に多額の財産を有しており、それで入院費を支払い、又、葬儀費を支払ったというのであれば、《死亡した夫の収入で生計を維持したとは言えない》ということで生計維持要件を欠き、受給できなくなる可能性があります

(弁護士 大澤龍司)


厚生年金保険法

(遺族)
第五十九条  
遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(略)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
(略)
2  前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。


(用語の定義)
第三条
2  この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。


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15:47 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★叔父の葬儀費用を請求したい【Q&A №545】

2016/12/02



【質問の要旨】

連絡がとれない相続人に葬儀費用を請求できるのか

記載内容 お葬式代  請求

【ご質問内容】

叔父のお葬式代について質問があります・・・ぜひ回答ください。
まずは必要な情報としてプロフィールを見てください。

【叔父】
離婚歴あり娘が4人で叔父は今は独身
叔父や私たちは娘さんたちとは離婚したあとに連絡先を知らずにとれない状態です
でも娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐとおもいます。

【私の父】
・叔父からみたら弟で男兄弟は父だけ。他の兄弟は叔父からみたら姉が4人います。
お葬式の喪主は父がしてお葬式代を父がだす形になるとおもいます。
ちなみに娘さんたちは探す予定です。財産分与の件もありますので。

ここから質問です。質問は3点あります。

① もし娘さんたちが見つかり、この場合は財産を引き継ぐ娘さんたちにはお葬式代は請求できないんでしょうか

② もし請求ができたら回収できる確率はどれくらいでしょうか?
(前例などあればいけるとおもっていますがこのような少し変わった事例などで裁判費用を回収できたということがあったのなら助かります)

③娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐ引き継がないなどの2つのパターンでも請求ができるできないとかなどの選択肢が変わるようなこともあるんでしょうか。

お手数掛けますがどうぞ回答の方をよろしくお願いします。

(ゆき)







【叔父さんが死亡したときの相続関係】

叔父さんが遺言書を作成せずに死亡した場合、配偶者はないため、その遺産は叔父さんの娘4人(以下、娘4人と言います)が法定相続します

あなたのお父さんは、上記娘4人が全て相続放棄をしない限り、相続人になりません


【葬儀費用の負担について】

相続債務であれば、遺産から支払いを受けることが可能です。

例えば、叔父さんの治療費などが生前に支払いされていないのであれば、相続債務として、叔父さんの相続人である娘4人が支払義務を負います。

しかし、葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません

葬儀費用は喪主が負担するものです。

お父さんが喪主になるのであれば、葬儀費用を負担することになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

葬儀費用は前記のとおり相続債務ではありませんが、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その費用の分担を他の相続人に請求可能かという点については、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらうことが実務上、多いです

この場合、遺産分割とは別に、その葬儀費用を別途支払いするというのではなく、遺産分割での取得額から分担額を減額するということが多いです。


【今回の質問のケースで葬儀代は請求できないか?】

しかし、今回のケースは喪主が法定相続人ではないため、遺産分割の中で葬儀費用を分担するという実務と同視できないでしょう。

今回のようなケースに参考になる過去の裁判例としては、次の裁判例が参考になります。
【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従えば、娘4人に葬儀費用を請求するのは法的にはむずかしいという結論になります。

ただ、前記判例では甥姪2人のうち、1人は葬儀に参加していたようですが、2人ともにつき、葬儀費用の分担をする必要はないとの判断でした。

もし、娘4人が葬儀に出席していたのであれば、法的にはむずかしい点はあるものの、請求し 、支払いを拒否されたのに納得できないのであればあきらめるというが妥当なところだと思われます。

なお、お父さんには、葬儀代は返還してもらえない可能性があることを前提に、葬儀の規模や費用を判断するようにアドバイスされるといいでしょう。


【叔父さんが生きているのなら】

ただ、叔父さんが現在も生きておられ、かつ判断(意思)能力があるのなら、現時点で叔父さんと話をし、葬儀費用を預かるといいでしょう。

この場合、葬儀費用としてお金を預かることを明確にし、もし、金銭的に過不足が出た場合にどうするかという点も書面などで明確にしておくといいでしょう。


【娘らが相続放棄をした場合】

仮に4名の娘全員が相続放棄をした場合には、お父さんらの兄弟が相続人になる可能性があります。

この場合、喪主であるお父さんから、遺産分割の際に、葬儀に出席された他の法定相続人に対して葬儀代の分担を求められるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

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★【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

2016/12/02
兄弟の葬儀費用等を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できるのか

(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

【ケース】

被相続人は離婚し、2人の子とは20年以上疎遠になっていたが、自身の兄弟とは比較的密に交流があったため、亡くなったという連絡を受けた兄弟が喪主として葬儀をし、費用を支払ったという事案において、相続人に葬儀費用や埋葬等の行為にかかる費用を請求できるかが問題になった。


【裁判所の判断】

裁判所は以下のような内容の判断をしました。

亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。
なぜならば、追悼儀式を行うか否か、同儀式を行うにしても、同儀式の規模をどの程度にし、どれだけの費用をかけるかについては、もっぱら同儀式の主宰者がその責任において決定し、実施するものであるから、同儀式を主宰する者が同費用を負担するのが相当であるからである。
他方、遺骸、遺骨の埋葬等の行為に要する費用については、亡くなった者の祭祀を主宰すべき者が負担すべきものであるが、亡くなった者には二人の子があるものの、20年以上も親子の交渉が途絶えていた状況である一方(なお、長男は葬儀にも出席しなかった。)、兄弟らとの間に比較的密な交流があった事情が認められることも考慮すると、亡くなった者の祭祀を主宰すべき者を子供らのいずれかとすることが慣習上明白であると断ずることはできない。


【弁護士のコメント】

葬儀費用は相続債務ではなく、喪主を務めた者が費用を負担すべきであると考えられています。
もっとも、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらう形で遺産分割の中で解決することが実務上、多いです。
ただ、法定相続人でない人が喪主になり、葬儀を行った上葬儀費用を支払ったという場合には遺産分割の中で解決することもできませんので、話は別になります。
この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪には請求できない》という結論になっています。
しかし、この裁判例の事案は、20年以上も親子の交渉が途絶えていた状況であり、また甥姪のうち一人は葬儀にすら出席していないという事情がありますので、この事情が違えば、別の判断がなされる可能性もあります。
大澤龍司法律事務所
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兄の葬儀代【Q&A №542】

2016/11/21



【質問の要旨】

兄の葬儀費用を払ったが、相続放棄をする前に費用を回収したい

記載内容 相続放棄 葬儀代 返してもらう

【ご質問内容】

親、妻子のいない独身の兄が先月亡くなりました

亡くなるまで体調が悪く、自宅でヘルパーさんに毎日来てもらい、財産管理は後継人の弁護士さんにお願いしていました

葬儀はやらず火葬だけで30万円程かかったので、葬儀屋さんから後継人の弁護士さんに電話で費用について話しをしてもらいました。

私が支払うとの事を言われたので支払いました

(亡くなった時点で後継人は解除され弁護士さんも通帳からお金を出せなくなったのでしょうか?)

私は相続放棄するのですが、国の物になってしまう前に葬儀代だけ返して貰う方法は何かないのでしょうか?

他に独身の兄がいるのですが、施設に入って財産は後継人の他の弁護士さんにお願いしています。

その兄が亡くなった時にも同じように葬儀代を払わなくてはいけないのでしょうか?

その兄がも今回相続放棄します。

跡継ぎもいないので先祖代々のお墓も閉めて永代供養にしたいので、他にもお金のいることが多いです。

子供に迷惑をかけないように私が生きているうちに何とかしておきたいです。

私も高齢なのでお金に余裕はありません。宜しくお願いします。

(セレナ)







【火葬費用は相続債務ではないが・・】

火葬費用は、被相続人の死亡後に発生するものであるため、厳密に言えば相続債務や費用にはならず、遺産から当然には支払われるものではありません。

火葬費用は葬儀費用として、被相続人の喪主を務める人が負担するべきものです。

しかし、人の死亡した後、必然的に火葬を伴いますので、遺産分割調停などでは、相続債務に準じるものとして扱う場合が多いです。


【後見人は火葬に関する契約をする権限がある】

成年後見人(以下、後見人と略します)は、裁判所の許可を得てですが、死亡した被相続人の死体を火葬するに必要な行為をすることができます(この点は今年(平成28年)の民法改正で第873条の2第3号として明記されました)。

そのため、後見人としては財産があれば、裁判所の許可を得て、火葬についての契約を結ぶことができるようになりましたが、遺産から火葬費用を支払うことができるかどうかは条文では明確にはされていません。

しかし、契約は締結できるが、火葬費用は支払いできないということもおかしい話なので、後見人としては火葬費用を支払うことができると考えていいでしょう。

今回の質問では、あなたが火葬費を支払ったようですが、もし《遺産があれば》後見人が遺産の中から支出することも可能だったケースです。


【相続放棄しても立替請求は可能である】

あなたはお兄さんの相続放棄をした場合、お兄さんの財産はもらえず、債務も引継ぎしません。

しかし、あなた自身がお兄さんに対して持っている債権は、あなた独自の財産ですので、相続放棄後も存続しています。


【後見人に立替火葬費用の返済を求める】

あなたが立て替えた火葬費用については、後見人が契約をしてあなたがその費用を立替えて支払ったというのであれば、後見人に支払いを求められるといいでしょう

又、仮にあなたが火葬の契約をし、かつ費用も出したということであれば、喪主たるべき人に対して請求するということになります。

もしもこの件に関して、喪主たるべき人があなただということであれば、火葬費用を請求することはできないということになります。

なお、喪主たるべき人が相続放棄をしていても、前記のとおり、相続放棄はお兄さんの財産や債務を引き継がないということであり、喪主の地位が亡くなるわけではありません。

喪主としては相続放棄をしたか否かにかかわらず火葬や葬儀を行い、又、その費用を負担するべき立場になるということになります。

また、もう一人のお兄さんが亡くなられたときにも、今回と同様に、お兄さんの喪主になられた方がその費用を負担することになります。

(弁護士 大澤龍司)

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葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】

2016/10/25



【質問の要旨】

父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】

父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?


(yamatokarateman)







【葬儀費用に関するルールは不明確】

葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。


【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】

前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】

質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
 ① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
   香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)
 ② 法事費用
   法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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11:15 相続債務 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★子のいない叔父の葬儀、墓をどうするか【Q&A №508】

2016/06/08



【質問の要旨】

遺体の引き取り手がいない、葬式費用を立て替える人もいない、入る墓もない

記載内容  後見人  

【ご質問内容】

叔父(独身、精神病院長期入院)に法定後見人(弁護士)が付いていますが、叔父の死亡時に当然ですが後見人は職務終了になると思われますが、各問題が浮上しますので、対応策をご教示頂ければ助かります。

兄弟は4名(叔父含めて他は没)姪、甥が現在5名

叔父の資産は推定数千万円。姪、甥は叔父の事で仲が悪くなった。

1、叔父の死亡時には誰も対応せず、遺体引き取りが出来ない。

2、葬式をするにも、戒名等代等 誰も立替える意思が無い。

  (立替えた費用が他の相続人の事後合意が取れなさそう)

3、本家の墓には入れそうにも無いので、墓の問題が発生。

(福田)







【相続人に遺体の引き取り義務があると定めた法律はない】

相続人に遺体の引き取り義務があると定めた法律はありません。

そのため、法定相続人である甥姪全員が遺体の引き取りを拒否した場合、最終的には死亡した場所の自治体が火葬することになります。

参照条文:墓地、埋葬等に関する法律第9条:〔市町村長の埋葬又は火葬の義務〕
「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」


ただ、成年後見人(弁護士)としては、遺体の引取りや葬儀を主宰するように甥や姪の方々に働きかけることと思いますが、これも強制ではなく、断られてしまえば自治体に連絡して、火葬することになります。


【葬式費用の立て替えについて】

葬儀費用は相続債務ではありません。

そのため、喪主となった法定相続人が立て替え支払いをして、後日、遺産分割時に返済をしてもらうようなことが多いです。

しかし、厳密にいえば、葬儀費用は相続債務ではなく、支出したからといって、必ずしも遺産から優先弁済を受ける費用とは言えないため、相続人間で遺産争いがあると、後見人も安易に喪主に葬儀費用分を返還するわけにはいきません。

そのため、あなたがもし葬儀を執り行ってあげたいというお気持ちであれば、このようなリスクを覚悟の上で行うか、あまり費用をかけずに行うか、どちらかの方法で処理するしかないでしょう。


【墓地の費用について】

最後に、入るべき墓がないという問題ですが、法定相続人が墓を建立しなければならないという法律はありません。

最終的には、喪主となるべき人が決定することでありますが、その喪主も決まりそうもなく、又、費用負担するべき人はいないというのであれば、もはやどうしようもありません。

そのため、もしあなたが墓地を建立してあげたいというお気持ちがおありでしたら、ご自身の費用で立て替え支出した上、他の相続人(ほかの甥姪)に墓地を建立するための見積書等を提示した上、遺産分割協議を行う際に一定額を控除してもらうよう要求していくほかないように思います。


【遺産は遺産、葬儀や墓は別問題】

叔父さんの遺体を引き取りもしないような状況の中で、遺産分割について争いを続けるということが果たしていいのかどうか、法律問題ではありませんが、検討される必要があるように思います。

遺産問題全体の解決がすぐにはできなとしても、被相続人の遺体の引取りや葬儀の手配については法定相続人間で協議され、何らかの合意をすることはできないのでしょうか。

経費の最低限にしてでも必要な手配を行われることをお勧めします。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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17:24 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人不在の葬儀代や香典の扱い【Q&A No.470】

2015/10/05



相続人のいない従兄弟の葬儀を執り行いました。

従兄弟の財産は、国に没収されてしまいました。

葬儀代だけは戻りましたが、香典分を差し引かれてしまいました。

その後の法要などで、出費がかさみ納得できません。



記載内容

  相続人不在 香典 葬儀費用


【ご質問内容詳細】

 身内が一人もいない従兄弟が急になくなり財産が国に没収されることになりましたが葬儀代だけは戻りました。

 しかしその時に頂いた100万円近い香典を申告したところその分を全部差し引かれてしまいました。

 この差し引かれた分の香典代はそのまま国に持って行かれることは理解できません

 その後永代供養や墓の撤去費用や三回忌など費用がマイナス100万近くかかりました

 裁判所の葬儀時の拠出金等清算完了してもう半年以上たちましたが取り戻せることはできますか。



(マロン)








【葬儀費用は相続債務ではないが・・】

 葬儀費用は相続債務ではありませんので遺産からの支払いはできないというのが原則です(なお、相続税の申告では葬儀費用は費用と控除対象として扱われますが、それは税務の扱いであり、民法上は遺産にかかわる債務とはされておりません)。

 この理由は、遺産から支払われるべき債務は生前に発生したものに限られるのに、葬儀費用は死後に発生するものだからです。

 そのため葬儀費用は原則として喪主が負担することになります。

 ただ、葬儀は①社会生活上で死亡に伴うものであること及び②その額がそこそこ高額であることから、喪主以外の他の相続人も葬儀に参加していたような場合には、公平の観点から法定相続人に負担させることも実務上、よく行われています

 そのため、財産管理人(国)としては、本来は遺産から支出するべきものではないけれども、葬儀費用程度は支出しても差支えないと判断し、あなたに支払いをしたのだと思います。



【香典の扱い】

 葬儀費用は本来、相続債務ではないのですが、公平の観点から遺産からの支出を認めたとすれば、同じく公平の観点から言えば、収入である香典は遺産に入れるべきだという見解になります。

 本来的には喪主が負担すべきとされる葬儀に関する支出である葬儀費用は相続財産から出してもらうが、喪主が受け取る葬儀に関する収入である香典は返さなくて良いというのはやはり公平に反するという結論になりますので、財産管理人があなたから香典分を回収したのはやむをえない処置だったというべきでしょう。

 次の図のような考え方です。

葬儀費用  本来喪主負担  しかし、財産管理人が支出

 香 典   本来喪主の物  しかし、財産管理人の収入



 元々、葬儀費用も当然遺産から出すべきものではなかったのだという前提にたてば、香典で回収を図るという財産管理人の判断もやむを得ないものと思われます。

 経済的あるいは金銭的には損をするような場合もありますが、葬儀に関連する事項は単に経済的に考えるのではなく、社会生活の上でやむを得ずする点もあります。



【法事費用の扱い】


 死亡直後の葬儀費用も原則は相続費用ではありませんので、その後の初七日や四十九日、一回忌等の法事費用についてはなおさら相続費用には当たらず、遺産から支出することは認められません。

 法事費用については、祭祀の承継者が負担するということになります。

 相続人ではないあなたが法事を行うのであれば、その点は予め承知されておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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後妻の、祭祀の義務について【Q&A №448】

2015/05/28



【質問まとめ】

祭祀の承継について質問です。

妻と実弟である養子が相続人です。

その養子が祭祀について費用負担等一切を拒否しています。

祭祀の執り行いと費用負担は、妻が行わなければならないのでしょうか?

お骨や位牌は、①父、②父の先妻、③父の先妻との間の子、④父の親のものです。



記載内容

  祭祀 後妻 


【質問詳細】
 
 数年前に母が再婚。

 再婚相手の男性を父と呼びます。

 父も再婚で先妻とは死別、実子も病死。

 先妻が存命中に、父は祭祀を血縁で引き継いでもらうために実弟(既婚、子息あり)と養子縁組してます。

 母と再婚の際、私とは養子縁組してません。

 先日父が亡くなり、最近母と実弟とで遺産分配の目処がつき、祭祀について話合に入りました。

 実弟は祭祀について費用負担も含め一切を拒否、仏壇や墓の処分を要求してます。

 ちなみにお墓のお骨や仏壇の位牌は、父及び実弟の両親と兄弟と、父の先妻と実子のものです。

 祭祀全ての執り行いと費用負担は、母が全て行わなければならないのでしょうか。


(goo)





【祭祀の承継とは】

 祭祀とは祖先を祭る等の宗教的な儀式を行うことであり、それを中心となって執り行うのが主催者です。

 例えば、葬儀の喪主というのをイメージするとわかりやすいでしょう。

 死亡された方の一切の財産は相続人にいくのが原則ですが、このような祭祀に関係する物や権利(例えば仏壇や墓の権利)などは例外として、祭祀を主催する者が受け継ぐことになります。






【指定が無ければ慣習、慣習もなければ裁判所】

 祭祀の承継については民法(末記条文を参照ください)で定められています。

 まず、被相続人の指定があればその人が祭祀の承継者になり、そのような指定がない場合には慣習で決定されます。

 ただ、慣習というものがどのようなものかは必ずしも明らかではありません。

 民法では、慣習が明らかではない場合には家庭裁判所で決めるとされています。


指定  慣習 家裁







【現実問題としては】

 慣習といえるかどうかは明らかではありませんが、普通なら子供(複数おれば長男)か、配偶者が祭祀の主催者となるケースがほとんどでしょうが、現実問題としては、残された遺族間で、他の親族との関係も考慮して決定されるようです。

 さて、本件の質問の回答ですが、《法的には》お義父さんの指定がないのであれば、慣習に従って決定され、それが明らかではないというのであれば家庭裁判所で決定してもらうというのが回答になります。

 ただ、養子であるお義父さんの弟が祭祀の主催者となることを拒否しているのであれば、お母さんが祭祀の主催者にならざるを得ないでしょう。

 なお、祭祀の主催者になったからといっても、法事などしなければならないという義務はありませんので、出すべき費用がないというのであれば49日や一周忌などの法事をしないという選択肢もありえます。





【仏壇や墓の処分について】

 なお、養子であるお義父さんの弟さんは、仏壇や墓の処分を要求しているとのことですが、これらの物や権利は祭祀の承継者が単独で取得します。

 そのため、お母さんが祭祀の承継者となるのであれば、これらの物や権利の維持管理や処分については、養子の意思とは無関係にお母さんが独自に決定されるといいでしょう




<参考条文・祭祀の承継について>

  第896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の

         権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に專属したものは、

         この限りでない。

  第897条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣

         習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続

         人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者

         が承継する。

         前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権

         利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

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★香典は誰のものか【Q&A №420】

2014/12/12



 香典は遺産ですか?贈与ですか?
 香典はだれのものですか?
 葬式の時、喪主は私だったのですが、兄弟が勝手にもっていった 香典が贈与なら、所有権は私にあるので、窃盗、横領になるのではないのでしょうか?


記載内容

  香典 喪主 贈与 葬儀費用

(fdfff)


【葬儀費用に関する基本的な知識】
 相続税の申告をする場合、葬儀費用を経費として控除することは可能です。
 しかし、民法上は、葬儀費用は相続費用とは認められず、遺産から債務として控除することは認められません。
 なぜなら、葬儀費用は、被相続人の死後、相続開始後に発生するものであり、喪主が一人で負担されるものとされているからです。
 したがって、葬儀費用については税務の扱いと法律の扱いが異なるということになります。
 ただ、調停などで葬儀費用が問題になる場合には、葬儀費用が相当であり、かつ他の相続人も出席していたのであれば、法定相続分に応じて負担するという解決をすることが多いです。
 次に香典ですが、これは喪主が取得します。
 香典は、死者への弔意、遺族への慰めの意味も持ちますが、喪主が負担する経済的負担を軽減するとの役割も果たしており、喪主に対する贈与と理解されています。

【香典を勝手にもっていかれた場合は・・】
 香典は喪主への贈与ですので、喪主の了解なく、他の人が無断で持ち去ったとすれば、刑法の窃盗あるいは横領に該当します。
 ただ、持ち去ったのがあなたの兄弟という親族間での話ですので、刑法上は、《親族相当例》(刑法第244条:後記条文参照)の適用を受け、告訴がなければ警察は捜査を行わないでしょうし、仮に告訴を行ったとしても、警察としては《親族間で解決される方が・・》というような対応をする可能性が高いと思われます。
 そのため、警察には過度な期待はせず、ご自身で返還請求に向けた積極的に動きを取られるといいでしょ。

《参考条文》
刑法 第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1. 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条(窃盗)の罪、第235条の2(不動産侵奪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2. 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3. 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
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11:04 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生命保険金から葬儀費用を捻出してよいか。【Q&A №308】

2013/08/27

 母が亡くなり、母の生命保険金300万円の受取人が私を含め兄弟3人に、それぞれ100万円ずつという内容です。
 葬儀は兄弟の話し合いによって兄弟3人が喪主を務めることで無事終わったのですが、葬儀費用は一旦私が全額を負担しました。
 3人の共同で喪主を務めたという経緯もあることから、葬儀費用については3人で等分して負担すべきと考え、2人の兄に対して葬儀費用のそれぞれ3分の1ずつを請求しようと思います。
 ここで、3人がそれぞれ受取人となっている生命保険金から葬儀費用を出してもらいたいと考えているのですが、事前にその旨の承諾は必要になりますでしょうか?
 ちなみに、生命保険金は現在、全額を私が管理しております。さらに、相続財産の中で現金については、母の預金として他に300万円ほどあり、これも私が管理しております。

記載内容

生命保険 葬儀費用


(みきお)


【葬儀費用は相続債務ではないが・・・】
 葬儀費用は相続開始後に生じた債務ですので、相続債務ではありません。
 葬儀費用は原則として祭祀の主催者が負担するべきものであり、相続財産に関する費用ともいえないとされており、祭祀の主催者が単独で負担するべきものです。
 ただ、裁判例などを見ると、葬儀費用が妥当な額であり、かつ他の相続人も葬儀に参加しているのであれば、相続人間で分担するべきであるとしたものもあります。
 この場合、香典などは祭祀の主催者が取得しますので、葬儀費用を分担するとした場合には、香典分を差し引いて計算することになるでしょう。
 今回の質問では、3人が共同で喪主を務めたとのことですので、このような場合には3人で分担するというのが公平に合致した結論になるでしょう。

【生命保険は受取人が単独で取得する】
 生命保険による死亡保険金は遺産ではなく、受取人個人が単独で取得するべき財産です《これについては過去の回答(当ブログ、Q&A №298Q&A №299ほか)を参照ください》。
 質問の場合には、相続人3人がそれぞれ受取人である生命保険金なので、あなたが管理している保険金はその受取人に支払う必要があります。

【トラブル防止のため、予め、控除の同意を得ておく】
 今回の質問では、その保険金を他の相続人に支払う際に控除していいかどうかの問題ですが、法的にはあなたの他の相続人に対する支払債務とあなたの請求するべき葬儀費用分担請求権と相殺ができ、控除が可能だと思われます。
 ただ、一方的に葬儀費用分担分を控除して支払うというのではなく、予め控除の同意を取り付けておくのが、将来の紛争を避ける大人の智恵ということになるでしょう。


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11:36 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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