"司法書士"に関連する記事一覧
 | HOME | 

葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】

2016/10/25



【質問の要旨】

父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】

父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?


(yamatokarateman)







【葬儀費用に関するルールは不明確】

葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。


【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】

前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】

質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
 ① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
   香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)
 ② 法事費用
   法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:15 相続債務 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★財産をひとりじめ【Q&A №521】

2016/07/25



【質問の要旨】

司法書士をだまして書類を作成させたが、犯罪ではないのか?

記載内容  印鑑証明 騙す 

【ご質問内容】

相続人が多数いるのに司法書士をだまして相続人全員が本人を相続人代表と同意していると偽り書類を作成させ相続人全員へ書類を送り印鑑証明を取らせ実印を押させ郵送させた

そして預貯金を自分の口座にやすやすと振り込ませ自分の物にした。

これは犯罪ではないの

(ひげ)






【犯罪とは言い切れない】

まず、警察が本件のような親族内のもめ事に立ち入ることは、よほどのことがない限り考えにくいとは思います。

ただ、本件ではそのことはさておき、本件で詐欺罪が成立するか、という観点で回答をさせていただきます。

ご質問によりますと、相続人の一人が「相続人代表者」を名乗って司法書士に依頼し、遺産分割協議書を作成してもらったようです。

たしかに、他の相続人に無断で「相続人代表」を名乗ることは決して良いことではありませんし、ご気分を害されるのもよくわかります。

しかし、実際の遺産分割手続では、遺産分割協議書を全相続人に送付しているようですので、遺産分割の内容自体は全相続人に知らされているものと思われます。

また、印鑑証明書も、偽造したわけではなく、それぞれの相続人が取り寄せたものを送っているようです。

そうしますと、全相続人が協議内容を理解した上で、それぞれの意思に基づいて押印し、印鑑証明書を渡した、という解釈も可能です。

そうすると、事案を第三者的な立場で言えば、必ずしも「騙した」とは言い切れず、詐欺罪が成立する可能性は低いように思います。


【白紙の遺産分割協議書なら無効か】

では、内容が白紙(例えば、誰が預金を相続するかが記載されていない)の遺産分割協議書を全相続人に送った場合であれば詐欺罪は成立するのでしょうか。

結論から申し上げますと、このようなケースでも詐欺罪が成立することはまずありません

それは、白紙の内容について印鑑を押すという行為自体が、分割行為を他人の自由裁量に委ねるということと同一視されるからです。

言い換えれば、他人に内容を勝手に決められるのが嫌なら印鑑を押さなければよく、白紙に印鑑を押した以上は内容に文句は言えない、という言い方もできるでしょう。

もちろん、他の相続人に対し「あなたも預金を100万円相続する分割内容にする。」と言いながら全額自分が相続してしまった場合、理屈上は詐欺になります。

ただ、これも言った言わないの世界であることが多く、その詐欺行為を立証するのはかなり難しいでしょう

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:53 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★持ち戻し免除を受けたい【Q&A №503】

2016/05/19

【質問の要旨】

特別受益の持ち戻し免除について

記載内容  特別受益 免除 相続対策

【ご質問内容】

司法書士のもとで生前贈与の手続き、および遺言書作成をしましたが、現在、他の相続人から遺産分割申立書が来ました。

生前贈与手続き、遺言書作成を、司法書士に確認し、これなら生前贈与を受けたものは守られると聞いていたのですが、今になって、みなし相続財産として組み込まれることが分かりました

また、特別受益の免除を証明をしておけば、生前贈与を受けたものは持ち戻ししなくてよいという説明は一切ありませんでした

この場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか

宜しくお願い致します。

(あずき)






【税金の問題と相続の問題は別個である】

相続税対策として、被相続人の生前に金銭を贈与することがありますが、このような対策は節税にはなるものの、遺産分割については特別受益になります。

税務と相続(民法)の違いの例としては、死亡保険金は税務上は遺産として扱われるのに、民法上は遺産としては扱われない等、多々あります。


【相続分割(民法)では生前贈与は遺産の先渡しと考える】

生前に法定相続人の一部の人が財産の贈与を受けている場合には、相続に関する法律である民法では、《特別受益》として遺産に持ち戻します

これは相続人間での公平を図る目的で定められたものであり、生前贈与は遺産の先渡しと考えるということです。

具体的なケースで言うと、死亡時の遺産額が4000万円だが、あなたが生前に暦年贈与で合計1000万円を被相続人からもらっていたというケースであれば、その生前贈与金額を遺産に加算した遺産総額(5000万円)を前提に、これを法定相続分で分割することになります。

相続人が2人であるとすると、あなたの相続分は2500万円ですが、既に生前に特別受益があります。

そのため、あなたとしては2500万円から生前受益分を差し引いた1500万円しか相続できないということになります。


【持ち戻し免除について】

ただ、被相続人が、明示でも黙示でもよいので、遺産に持ち戻ししなくてもよいという意思表示をしていたことが証明できれば、特別受益であっても遺産に持ち戻す必要はありません

そして、黙示の持戻し免除の意思表示があったか否かについては、贈与の内容及び価額、贈与の動機、被相続人との生活関係、相続人及び被相続人の職業、経済状態及び健康状態、他の相続人が受けた贈与の内容・価額及びこれについての持戻し免除の意思表示の有無など諸般の事情を考慮して判断することになります

具体的には、

①家業承継のため、特定の相続人に対して相続分以外に農地などの財産を相続させた

②被相続人が生前贈与の見返りに利益を受けている(被相続人との同居のための居宅建設における土地使用の権限付与など)

③相続人に相続分以上の財産を必要とする特別な事情がある場合(病気などにより独立した生計を営むことが困難な相続人に対して生活保障を目的としてなされた贈与、妻の老後の生活を支えるための贈与など)

などの場合には持ち戻し免除を主張するといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:55 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被後見人の届出住所を私の自宅とすることの問題点【Q&A №479】

2015/11/25

【被後見人の住居の移転】

叔母に法定後見人(司法書士)がついていますが、叔母は重度の精神疾患で居住地には、ほぼ戻れる可能性は低く、誰も居住していない、未相続分(故 祖父の母屋)の住所に住所を置いてます。

後見人(家庭裁判所含む)及び相続人は、該当土地を売却する事で合意出来ていますが、後見人より、私の住所に別世帯で
叔母の住所を移したいと打診がありました(病院を住所にする事は病院に断られた様です)。

①将来私が、私の居住場所を売却等で移転する事が発生した時に家庭裁判所の許可が必要になるのでしょうか?

②一般的に、相談内容と同様の事態が発生した時にはどの様に解決されているのでしょうか?

③叔母の住所を私の住所に移した時のなんらかのリスクは有るのでしょうか?

記載内容

成年被後見人 家庭裁判所 住居 許可

(きーみん)







【被後見人の所有物件でなくても、売却に裁判所の同意が必要な場合がある】

相続人である叔母さんが共同相続した不動産の売却につき、他の相続人も、後見人も裁判所も同意しているというのですから、その売却についてはなんらの問題ありません。

そのため、今回のご質問は、相続について問題になる点はありません

ただ、折角、質問されているのですから、簡単に回答しておきます。

問題は、あなたの自宅に叔母さんの住所を置いた場合、あなたの自宅を売却する際に裁判所の同意が必要となる等、何らかの不利益があるかという点です。

成年後見については、被後見人が《居住の用に供する不動産》を処分(売却等)するには裁判所の許可が必要です(民法859条の3参照)。

この条文は、被後見人の所有を前提としていませんので、被後見人が所有していない物件(あなたの所有物件)でも、例えば叔母さんが《居住の用に供して》いるのなら、この規定の適用で裁判所の許可が必要になると思われます。

【元の住所に戻る場合でないので、結局、許可は必要がない】

《居住の用に供する》という意味についてはいろんな見解があります。

その中には《被相続人が現に居住しておらず、かつ居住の用に供する具体的な予定もあるわけではないが、将来においてなお生活の本拠として居住の用に供する可能性がある不動産》も含むというものまであります。

ただ、この条文は、被後見人をその生活環境から切り離すのは慎重にするべきだ(なぜなら、これまでの生活環境から切り離すのは酷だ、認知症が進む場合もある等)という観点から定められたものといわれています。

そうであれば、(あなたの自宅という)それまで住んだことのない場所に住所を移すというだけでは、《居住の用に供する》ことにはなりませんので、あなたが自宅売却の際、裁判所の許可は不要という結論になります

ただ、念のために、予め、何らかの形でその点を裁判所に確認されるといいでしょう

【住所移転に伴い発生する事態】

叔母さんの住所をあなたの自宅に移転した場合、叔母さん宛の郵便物があなたの自宅に届く、あるいは叔母さんの知人友人や叔母さんが債務を負っておれば、その債権者があなたの家を目指してくるというような事態もありうることも考慮に入れておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:08 未分類 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

司法書士が遺産分割協議書を無効と判断する権限【Q&A №315】

2013/09/20
  
遺産分割協議書を作成した司法書士が、それに署名した父の自筆の署名の有効性につき疑問視してます。司法書士は書類作成・手続きの業務を代行するだけで、署名の有効性を判断する法的権限はあるのですか? 父は今老人施設に入居してますが、署名するのに問題はありません。
 当該法務局はちゃんと本人が署名されたのであれば問題ないとの見解です。司法書士一個人の主観的な判断で無効だとかいう判断する法的根拠はあるのでしょうか?

記載内容

司法書士 意思能力 確認義務 署名の有効無効


(Valenzuela)


【法的な判断権限は裁判所にある】
 ある遺産分割協議書が有効か、さらにはある相続人の署名押印が有効か否かを判断する権限は、最終的には裁判所が判決で判断するものです。
 司法書士や弁護士が「お父さんの署名押印は無効だ」と判断したとしても、それで法的に無効と決定されるわけではありません。

【司法書士の確認義務】
 司法書士としては、登記手続の依頼を受けた場合には、その依頼者が確かに本人であるのか、またその人に意思能力があるのかどうかを確認する責任があります。
 遺産分割協議に基づく登記の場合には、遺産分割協議書が有効に作成されたものであるかどうかを確認し、その署名押印する人の意思能力に問題があると判断した場合、途中で登記手続をやめ、辞任することもあります。
 これは、司法書士が登記をしたが、後日、その依頼者に意思能力がないと判明した場合、司法書士が確認を怠ったとして損害賠償を請求されることがあるからです(当事務所も、このような案件に巻き込まれた司法書士から相談を受けることがあります)。

【検査の上で、その検査結果を示して手続きを進める】
 今回、依頼された司法書士も、おそらくお父さんの意思能力になんらかの疑問を感じているのでしょう。
 万が一、後日遺産分割協議が無効とされるような事態があっては、司法書士自身の責任問題にも発展しかねないので、手続きをこのまま進めることを躊躇しておられるものと思われます。
 もし、このまま遺産分割協議を進めたいというのであれば、お父さんの意思能力に関する検査(たとえば長谷川式認知スケールテスト:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)を行い、意思能力には問題ないとの検査結果を司法書士に示して、手続きを進めてもらうといいでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:55 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME |