"取引履歴"に関連する記事一覧
 | HOME | 

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
18:01 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案【コラム】

2017/03/07
相続制度見直し:配偶者に対する新優遇案


【配偶者に対する新優遇案が出されました】

現在の相続制度の見直しがされており、法制審議会の相続部会で審議されています。

平成29年2月28日、法務省から新たな案が出されました。

その内容は配偶者を相続上、現在より優遇しようというものです。

具体的に言うと、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦間で

②居住用の建物や土地を

③生前贈与や遺言遺贈を受けた場合

これらの贈与や遺贈の対象の不動産を遺産の計算に含まないというものです。

贈与者あるいは遺言者としても、このような贈与等は、遺産の計算に持ち戻さない(含めない)という意思があるだろう点を根拠にする提案です。


【現在の相続制度との比較】

現在の相続制度では、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた配偶者が、これからもその家で暮らしていくために家を相続した結果、他の遺産をまったく相続できないというケースがありました。

また、自宅以外の他の財産が少ない場合には、家を相続したことによる代償金という形で、他の相続人にお金を支払う必要があるというケースもありました。

これに対して、今回の新優遇案では、自宅の贈与等を受けていても、配偶者は自宅を取得分とカウントされずに、別途、他の遺産についても自分の相続分に応じた遺産をもらえることになります。


【弁護士コメント】

残された配偶者優遇策としては法定相続分を上げるということも考えられますが、反対が多いようです。

そのため、居住用不動産に限定して配偶者を優遇しようとする考えがだされています。

たとえば、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、

①遺産分割により当該建物の帰属が確定するまでの間、その建物を無償で使用することができ、その間の使用料は遺産分割で取得すべき財産額に算入しないとする案や、

②終身又は一定期間、配偶者にその建物の使用を認め、長期居住権の財産的価値相当額を相続したものとして扱う(建物の所有権額よりは低額になる)という案もあります。

それらに比較すると、今回の新提案はこれらより一歩踏み込んで、残存配偶者が財産を多く取得できる方向での提案です。

ただ、

①結婚から20年以上過ぎた夫婦に限っていること

②被相続人から贈与や遺贈という積極的な行為が必要である

などの要件が必要とされています。

上記の要件が必要とされている点では、他の案よりもハードルが高くなっていますが、逆に、生前贈与や遺贈があれば、その額を遺産の計算に持戻すことなく、家の所有権を取得できるというのは、配偶者の優遇策として進んでいるといえるでしょう。

多数の賛成者があるようですので、今回の提案が立法化される可能性も高いかもしれません。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:20 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】

2017/01/25


【質問の要旨】

母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】

父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。

弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。

以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。

その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。

嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか

また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)





【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】

お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません

あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。

しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。

そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。

あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。

お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。


【成年後見人をつけることも考える】

現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。

家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。

今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。


【現時点でできることは何か?】

ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。

その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。

そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう

通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。

履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。

現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預けたお金は誰の遺産か【Q&A №536】

2016/10/24



【質問の要旨】

亡き妹にお金を預けたという念書は有効か?

記載内容 預ける 念書 筆跡

【ご質問内容】

 先日、伯母がなくなりました。夫は故人で、子供はいません。
伯母は生前、万が一の事を考えて、実の妹にお金を預けていました。
ところが、その妹が伯母よりも1年前に他界し、妹の息子2人が伯母が預けていたお
金を母親(妹)の遺産だと思い相続してしまったのです。
この時、伯母は既に認知症で、妹の死を理解できる状態ではありませんでした。
私の母は、伯母の弟(故人)の配偶者にあたりますが(実質的に伯母の面倒を見てい
ました)、まだ伯母が元気な時に、義姉(妹)にお金を預けた事を聞いて、万が一の
為に、義姉(妹)から「預かりました」という念書を書いてもらっていたのです。そ
こで、その義姉(妹)が亡くなった時に、2人の息子に念書を見せたところ「これは
母の字では無い」と言われ、うやむやにされてしまいました。

その1年後、伯母は他界。
遺産相続の協議をしなくてはいけません。
この念書は有効となるでしょうか?
その為には筆跡鑑定等が必要でしょうか?
ご教示、宜しくお願いいたします。

(パンパース)







【相続関係の整理】

少し人間関係が複雑ですので、伯母さんのことを「被相続人」、伯母さんの妹を「妹」、妹の息子(2人)を「甥」と言います。
被相続人の配偶者が死亡しており、被相続人のご両親なども死亡されているでしょうから、相続人は妹と亡くなったあなたのお父さん(他に被相続人の兄弟姉妹がいないことを前提としています)になります。
ただ、妹及びあなたのお父さんが被相続人より先に死亡していますので、甥及びあなた(兄弟姉妹がいればその方も)が代襲相続しますので、相続人は甥2名とあなた(兄弟姉妹がいればその方も)になります。


【お金を預けていたことの証明が必要】

被相続人が妹にお金を預けていたということを主張するなら、
①被相続人から妹さんにお金が渡った
②そのお金は贈与ではなく、預けたものである
との2点を証明する必要があります。
今回の質問の場合、妹の預かりましたとの念書が作成されているようですが、甥が争うようであれば、本当に妹が作成したものであることを証明するために筆跡鑑定が必要になる場合もあります。
ただ、念書に加えて、現実にお金が被相続人から妹に動いているということがわかれば、預り金だということがより強く証明できることになります。
被相続人の預貯金口座から妹の口座への送金があるかどうか、またそのような送金はないが、問題の時期に出金があるということであれば、お金が妹に渡ったことの証明が容易になります。
そのため、被相続人の預貯金の取引履歴を取り寄せは必要不可欠な作業と言っていいでしょう。


【弁護士に法律相談することも考える】

念書が有効かどうかは、前項に記載した事情に加えて、念書の記載内容と入出金履歴が合致するかどうか、また、妹の収入や資産状況から見て、妹自身の財産といえるかどうかなどを含む諸般の事情も考慮しての総合的な判断になりますので、質問の記載だけからでは判断しかねます。
今後、甥らと協議をしても、妹の遺産についての遺産分割が完了していること、甥らが預かり金を否定していることを考えると、甥らが被相続人の遺産とは認めないと頑張る可能性も高いでしょう。
そのため、場合によれば、訴訟も視野に入れる必要があるでしょう。
もし可能であれば、甥らと協議をする前に、相続に詳しい弁護士に予め相談され、念書や被相続人の取引履歴を見てもらった上で、訴訟になった時の勝訴の可能性を検討してもらうといいでしょう。
勝訴の可能性が少ないということであれば、適当なところで甥らと妥協するという選択肢も考えてもいいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:36 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★古い取引履歴を請求したい【Q&A №531】

2016/09/27

【質問の要旨】

古い取引履歴の開示請求をしたが、拒否された

記載内容 取引履歴 不正出金 拒否

【ご質問内容】

金融機関に相続人(本人)は、取引履歴の開示請求を、平成21年2月16日に求めたが、時効と言われ拒否された

長男夫婦共犯者の窃盗です兄弟姉の3人は、相続してません。

なお、長女は、精神障害者で生活保護にされ…母親契約で受取人は長女、また年金も38年掛けていた 

経歴(被相続人名義の経歴の開示を見れば、一目瞭然です。

被相続人死亡は昭和57年4月17日 相続手続きせず、昭和60年3月23日まで動きあり

残高、76円です と三井住友銀行が言った…平成21年1月22日の最高裁判決に矛盾を感じています。

(囲碁ばか)






【平成21年の最高裁判例の理解について】

今回の質問に記載されている平成21年1月22日の最高裁判決は、共同相続人の一人でも単独で取引履歴の開示を請求できることを認めたものであり、相続に関する極めて重要な判例です(詳細はコラム【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要参照)。

ただ、この判例は、何十年前の履歴であってもすべて開示せよと命じた判例ではなく、被相続人が無くなった直後(2ヶ月後)に開示を請求したものであり、請求した期間も死亡直前の6ヶ月程度にとどまるものです。

参考までに言えば、過去どこまで遡って照会に応じなければならないかという照会期間についての最高裁判例は当事務所の利用している判例検索で調べても見つけることができませんでした。


【一般には、履歴照会の回答は5年から10年以内の範囲である】

金融機関が履歴の照会に応じるのは、原則として申請日から5年ほどさかのぼった分であることが多く、特段の事情があるということであれば10年ほどはさかのぼるという扱いをする場合が多いです。

今回のあなたの請求では、昭和60年ころの取引履歴を平成21年になってから請求されたということであれば、すでに約25年が経過しており、金融機関としては関係資料及び取引履歴は廃棄済という対応をしています。

弁護士が、弁護士会を通じて金融機関に取引履歴の照会を出すことがありますが、その場合でも10年以上前の履歴が出ることは極めて少ないです(但し、この点は金融機関の扱いが一律ではなく、これまでの経験から言えば、三井住友銀行などは10年を超えて遡った分を提出してきたことがありました)。

あなたとしては、履歴がなければ長男の窃盗(不正出金)を暴くこともできず、納得しがたいところかもしれませんが、以上が取引履歴照会に関する実情です。


【なぜ銀行は古い取引履歴を出さないのか・・私の推測】

金融機関としては、最近はコンピューターで取引履歴を管理していますが、それとともに出金伝票などの文書を保管していますが、その情報あるいは文書の量は膨大なものになります。

そのため、一定の期間が経過した分については順次、削除あるいは廃棄している可能性があります。

金融機関がどの段階で削除しているのかは必ずしも明らかではありませんが、商法上の請求権は5年間、又、民法では10年間が消滅時効期間ですので、この長い方の10年間をめどに抹消及び廃棄している可能性があります

ただ、以下は私の推測ですが、不法行為の損害賠償請求権は最長、行為時点から20年間は消滅せず、金融機関としてはその間は請求されるリスクがあります。

そのため、金融機関は20年間は資料を保存している可能性があります(ただ、出金伝票などは電子ファイル化して保存している可能性が高いと思われます)。

ただ、10年を超える古いデータまで開示するという扱いをした場合、これに応じる金融機関の手間がかかりすぎるために、開示はあくまで10年を限度としているのではないかと思われます。

繰り返しますが、これはあくまで私の推測ですが、参考になれば幸いです。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:56 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

証券会社に対する調査方法【Q&A №528】

2016/09/07



【質問の要旨】

国債や株の取引記録を取りたい

記載内容 証券会社 取引記録 取り寄せ


【ご質問内容】 

銀行預金の取引記録は取れました。

国債と株をやっていたと聞いていましたが、口座番号がわかりません。

証券会社も定かではありません。

どのように取引記録を請求すればいいですか?
(ねこ)







【支店まで調べる必要がある】

証券会社に調査をかける場合は、少なくとも取引支店名まで判明している必要があります。

支店さえわかれば、当該支店はその支店での被相続人の取引内容をすべて教えてくれますので、顧客番号や取引の種類などはわからなくても結構です。

そのため、まず、支店名までなんとかたどりつくように努力する必要があります。


【まず、被相続人の自宅の郵便物を調べる】

被相続人が国債と株をしており、証券会社と取引をしていた可能性があるというのであれば、その証券会社から被相続人に対して取引明細書等の取引内容の通知が送られていることが多いです。

そのため、被相続人の住んでいた家に送付されてきた郵便物を確認しましょう。

取引通知書やダイレクトメールなどがあれば、その送付をしてきた証券会社の支店に照会を掛けられるといいでしょう。

なお、郵便物だけではなく、自宅にある書類も念を入れて探しておくと、意外なところから証券会社の判明のヒントが出てくる時もありますので、根気よく調査されるといいでしょう。


【預貯金の取引履歴から調べる】

預貯金の取引記録を入手されているのであれば、念のために、入金の備考や適用欄に《配当》の記載があるかないかを確認しましょう。

配当の記載があれば、株を保有しておられたのであり、証券会社と取引していた可能性が高いです。

次に入金欄を見て、ある程度多額の入金を探してみましょう。

送金で入金されている場合、金融機関にその送金を誰がしたかを照会すれば、証券会社が判明する場合があります。


【自宅や職場の近くの証券会社を探す】

郵便物や預貯金の取引記録でも証券会社が判明しないような場合には、最後の手段として被相続人の自宅及び職場周辺の証券会社を調べるしかないでしょう。

ただ、金融機関と異なり、証券会社数は限られていますので、もし、株を保有し、あるいは国債を持っていたことが間違いないというのであれば、手間はかかりますが、被相続人が行っていた可能性のある地域の証券会社の各支店を軒並み調査する必要があるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:32 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金をした兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:37 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

借名預金は遺産になるか【Q&A №483】

2015/12/16

 【ご質問の要旨】

父の死後、遺産分割協議がされたが、その後、父が貯金していたと思われる義母名義の口座が見つかった。
この口座のお金を、父の遺産として相続することができるか。


記載内容

借名預金 名義貸し 意思能力


【ご質問の内容】

父が平成24年1月に亡くなりました。

私は、外国に住んでいるので、弁護士とやりとりして、情報が金庫から見つからない状態で、父の銀行口座などを昔家で見かけた銀行や郵便局からのタオルやカレンダーを元に銀行の変遷を加味して、幾つかの口座を見つけて、其れを義母と等分しました。

義母は、介護2で気が定かでは有りません。
義母は、老人ホームに入居して、父の会社の年金と国の年金と生命保険で暮らしています。

その後、今年の春、私が日本に行き、家の掃除やごみ捨てや片付けを2ヶ月程している時に、父の思いや毎年口座のお金のバランスや判子や銀行手帳、保険手帳、金庫を開ける数字などが出てきました。 

その中に父が最後迄管理していた父の口座と義母名義の銀行口座が出て来ました。

義母は働いていません。

この口座は父のお金だと思うのですが 半分貰う権利が私にあるのでしょうか

残された家族は私と義母の2人だけです。

(yspads)





 【原則は名義を基準に判断】

今回のような家族の名義を借りた預金を一般に「名義預金」や「借名預金」などといい、一昔前はよく見られました。

このような預金であっても、外形上は名義人から判断され、特に誰も指摘をしなければ銀行は義母の預金であるとして各種手続を進めると思われます。


【預金を行った人物を実質的に判断】

ただ、中身の金銭を積み立てた実質的な預金者が別に存在することが判明した場合、話が変わってきます。

すなわち、預金の中身は、実際に預金を行ったお父さんの財産(遺産)であると判断される場合もあるということです。

この場合、あなたにも法定相続分を相続する権利があることになります。

そのため、この点が裁判で争われた場合に、生前の生活状況や収入状況などを当時の資産(たとえば給与口座の取引履歴など)から判断し、名義預金であったことが認められるケースもあります。

但し、義母のものではなく、お父さんのものであるという点の証明はあなたの方でする必要がありますから、裁判所がお父さんのものであることを十分に納得するような証拠を出す必要があります。

もしお父さんが預金したことに間違いなさそうでしたら、他の預金口座の取引履歴などと照らし合わせ、お父さんの口座からその義母の口座に積み立て(送金など)されていることなどの事情を確認されると良いでしょう。


【意思能力の問題が予想される】 

ただ、実際の手続は厄介なものになる可能性があります。

今回は(少なくとも形式上は義母名義のため)義母にもお父さんの遺産であることを認めてもらい、その旨の書類に署名押印をしてもらって銀行に提出する必要があると思われます。

しかし、義母が気が定かでない状態であれば、義母が意思能力を欠いて署名押印ができない(あるいは、署名があっても無効になる)可能性があります

この場合、義母に成年後見人を付ける申し立てが必要となるなど、面倒な手続が必要となりますので、ご注意ください。

また、成年後見が必要なケースであるとすると、以前にした遺産分割協議も無効になる可能性もあることに注意が必要です。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:14 遺産 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

過去処分した不動産の売却代金調査と特別受益【Q&A №482】

2015/12/15

 【ご質問の要旨】

1 被相続人が事実婚時代に贈与等を行った場合、婚姻後に特別受益と扱われるか
2 被相続人が過去に売却した不動産の代金についての調査

記載内容 特別受益 不動産売却 取引履歴

【ご質問の内容】

被相続人は、結婚せずに20年以上同じ異性と暮らし、二人で家を購入し(名義がどうなっていたかは不明)共働きででローンの返済をしていましたが、異性が年金受給できる年齢に達する数年前に家を売り、ローン返済後の所得を持ち、異性の故郷のある土地へ二人で引越したのを機に結婚しました。

以来二人は働いていません。

私は被相続人の兄弟で、法定相続人です。

婚姻前の不動産所得は被相続人と配偶者の共用財産ですが、被相続人の財産分もあると思います。

こういった場合、調停か審判になった時、被相続人の不動産所得分として、配偶者の特別受益と見なされますか?

不動産所得額や財産分与があったのかなど、具体的には配偶者以外、誰もしらない状況です。

宜しくお願い致します。

(もっち)





 【財産分与は相続の対象にならない】

ご質問の中に、「財産分与」という言葉が出てきます。

財産分与というのは、法律的には、離婚の際に、財産をその夫婦間で分ける手続です。

この財産分与が遺産で問題になることは少ないといえます。

なぜなら、財産分与は、離婚した妻(場合によれば夫)に対する支払いであり、その内容は婚姻後に夫婦で形成した財産の分割なので、仮に妻が財産分与を受けてもそれは実質的に自分の財産を戻してもらったということであり、その分は遺産にはならないからです。
また、そもそも離婚しているのですから、復縁しない限り、その妻が相続人となることもありません。

ご質問の被相続人は、離婚しているわけではなさそうなので、財産分与の有無を考える必要はないといえます。


【生前の財産譲渡は特別受益になる可能性がある】

今回のご質問で財産分与という趣旨は、おそらく、生前に配偶者が財産をもらっているのではないか、その分は遺産計算上、どうなるのかということでしょう。

そのように生前に財産をもらっているのであれば、それは特別受益として、遺産の分割時に遺産に含めて計算されることになります。


【今するべきことは、なによりも調査です】

被相続人の財産が、その生前、残された配偶者に移されているかどうかについては調査が必要です。

なぜなら、調停にせよ、裁判にせよ、被相続人の財産が配偶者に移されていることを認めてもらうためには、裏付となる証拠を集めなければならないからです。

そのため、早急に遺産調査を始める必要があるでしょう。

   《不動産の調査》

まず、かなり前に不動産を売ったようですが、その辺から調査を開始しましょう。

① 売却後に故郷に居を移したということですので、自宅を売却した可能性が高いと思われます。そこで、住所の移動状況を探るために、被相続人の戸籍附票を取寄せましょう。ご質問内容からは、売却した不動産は、故郷に移る前の住所地であることがうかがわれます。

② さらに、その不動産のある市町村から名寄帳を取寄せ (【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)、当該不動産の登記上の所在地や、そのほかの不動産所有の有無等を調査しましょう。

③ 不動産の所有状況が判明した場合は、法務局でその不動産の登記を調べることで、被相続人がいつ、誰に売却したのかが分かります。

   《金銭の動き・・取引履歴の調査》

前記不動産の調査によって不動産の売却時期が判明した場合には、続いて、金融機関の取引履歴を調べることが必要です。

どこの金融機関を調べるかは、支店名まで特定する必要があるので難しいところですが、不動産の登記に住宅ローンの抵当権などがついていた場合、その抵当権者である金融機関(あるいはその関連会社)から支店名を探り出し、その支店に対して取引履歴の照会を行うとよいでしょう。

そして、その取引履歴のうち、不動産売却当時の大きな入金があれば、それが売買代金の可能性が高いといえます。

その代金額が配偶者の共有持ち分と大きく異なる、あるいはその後引き出されているなどという事実があれば、その時点で財産が贈与等されていると理解して、その後の対応を考える必要があるでしょう。


【弁護士に相談してもいいでしょう】

ご質問からは、被相続人の遺産については、現在、ほとんど判明していないように見受けられます。

そこで、前記のような調査が必要不可欠となるわけですが、一方で、処分された不動産や金融機関の支店が判明するとは限りません

ただ、質問のケースに応じてどのような調査方法が最適なのか、調査の結果によりどのように対応するなかなどについて、相続に詳しいお近くの弁護士に相談することを考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★税務調査で判明した口座【Q&A №480】

2015/12/03

 税務署は被相続人の口座を教えてくれないのでしょうか。

【ご質問内容】

相続が始まると、税務署は被相続人のみならず家族名義の銀行から証券会社の口座をすべて把握するというような話を耳にしたのですが、だとするならば、せめて被相続人の口座ぐらいは相続人に知らせてくれないものでしょうか?

【Q&A №98】預金の取引履歴を調べる方法を読みますと、「どこの金融機関だけでなく、支店名も調査しましょう。」とあり、口座を見つけるのも苦労する様子が伝わります。

果たして税務署は本当に全ての口座を把握しているのでしょうか?それとも知っていても教えてくれないのでしょうか

記載内容 税務署 相続税

(磯野家)





 今回は税理士業務の問題ですが・・

今回の相談は税務調査の話です。

そのため、詳しいことが知りたいのであれば、税理士にお尋ねいただく必要があります。

ただ、弁護士の理解している限度で以下の回答をします。

【税務署は調査結果を教えてくれないが、修正申告でわかる場合がある】

相続税の未納付がないか、あるいは申告された相続税の内容に誤りがないかどうか、税務署が調査することがあります。

その際、税務署は被相続人のみならず、必要に応じて家族名義の金融機関口座や証券会社などの取引内容を調査することがあります。

ただ、税務署はあくまで徴税の都合で調査するのであり、その内容は他の相続人に教えてくれません

【過去の経験からいえば・・】

私(大澤)は過去に一度、税務署に《節税された可能性がある》との情報提供をしたことがあります。

遺産総額が億を超す事件であり、相手方が被相続人の預金を取り込んだケースでした。

そのとき、税務署は調べた結果を教えてくれませんでした。

ただ、隠された財産がある場合には、通常の場合は修正申告が必要となります。

その際、共同相続(要するに相続人が複数)であれば、隠した人以外の相続人も相続税を支払う必要があり、そのために修正申告書に捺印をする必要があります。

その修正申告書に、新しく記載された財産があれば、それが税務調査で新たに判明した財産だということがわかります。

その限度では、遺産の詳細がわかることになります。

ただ、民主党政権下で国税通則法等の税務関連法が改正されましたので、取り扱いが変わっている可能性もなくはありません。

詳しくは税理士にお尋ねください。

【税務署がすべての口座を把握しているわけではない】

十数年前の話ですが、私が破産管財人に選任された破産事件について、破産者が財産隠しをしているのではないかとして、大阪の全金融機関に対し、関係口座の有無について照会を出したことがあります。

この時には、大阪管内の支店ベースで約900店舗の金融機関がありました。

合併等で現在はそれよりも少なくなっているでしょうが、いずれにしても支店数が膨大です。

税務署がその全てに調査を入れていることはまずないと思われ、被相続人や問題となる相続人の全部の口座を調査・把握している可能性は極めて少ないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:04 遺産調査 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

叔母が、私のゆうちょ口座を調べると言っている。【Q&A №477】

2015/10/28



叔母が、母の財産のことで私のゆうちょ口座の出し入れを調べると言うのですが、勝手に私の口座の確認などできるのでしょうか?


弁護士を通すとできるのでしょうか?

記載内容 家族 口座 調査

(みち)







 他人の口座は、その本人の同意がない限り調査できない
 
あなたの預貯金がどの程度か、どのような入出金をしているかはあなた個人の重要な秘密です。

金融機関はその内容を把握していますが、これをあなたにだけ明らかにするものであって、それ以外の人に明らかにすることはできません。

もし、金融機関がそのような預貯金情報を漏らした場合、あなたとしてはその金融機関に対して損害賠償をすることができます。

従って、伯母さんがあなたの同意なしに、ゆうちょ銀行のあなたの預金の残高や取引履歴を調べることはできないということになります。

また、伯母さんが弁護士に依頼したような場合でも事情は同じです。

弁護士は、弁護士法という法律で、弁護士会を通じて金融機関等の預貯金の照会をする等の手続きを取ることができます。

しかし、仮に弁護士照会を使っても、他人であるあなたの預貯金残高や取引履歴を取ることはできませんので、安心されるといいでしょう。


【遺産調査では回答してくれるが・・】

参考までに、遺産での金融機関に対する調査のケースにも言及しておきます。

遺産の場合、死亡された方(被相続人)の預貯金についての残高や取引履歴を、その相続人が知ることは可能です。(Q&A №362参照)

これは被相続人の財産は、その死亡により(法定相続分に応じて)、相続人の財産になるからです。

この場合は、被相続人の遺産が自分のものになっているのですから、結局、自分の財産内容を調査することになり、金融機関としても照会を拒む理由がなく、照会に応じて回答してきます。

もちろん、相続人ではない人が、被相続人の預貯金の照会をした場合には、金融機関は回答を拒否することになります。

なお、裁判や強制執行等の場合には上記とは異なる対応をする場合がありますが、この点は裁判等になったときにあなたの依頼した弁護士と相談されるべきことでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:11 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
>>続きを読む・・・
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:19 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★何もしていない後妻の相続【Q&A №452】

2015/07/08



何もしていない後妻にも遺産を分けるのか?



【ご質問内容】

 問題は、後妻である事、家を手に入れるべき時は、私の母親と父親の努力による物で後妻は全く関与していない事。

 他、父親が深夜に亡くなり、私が朝9時に銀行に行くと既に、現金がコンビニよりmaxの50万円引き出されていた。

 一様父親死亡にて口座凍結したが、今度は、家の売却益の半分私のだからと言って来ている事。

 相続権利者長男の私と妹と後妻のタイ人となるが、窃盗罪でタイ人後妻を追い詰められないか?

 少額では有るが金額の問題では無く1円足りとも渡したく無いのが心情です。


記載内容

  後妻 遺産分割 不正出金

(ヨシアキ)





【何もしていない後妻さんでも法定相続分はもらえる】

 入籍さえしており、戸籍上の妻であれば、相続分は2分の1です。

 別居しておろうと、夫の面倒を全く見なくとも、後妻さんであれば相続分は2分の1です。

 参考までに言えば、何十年間、内縁関係を長年継続しても、法定相続分はありません。

 そのため、後妻さんが《家の売却益の半分を自分に渡せ》というのも法的には間違いであるとは言えません。



【窃盗になるかもしれないが、警察はまず動いてくれない】

 被相続人の預金の引き出しについては、過去のブログ(【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するか )でも触れましたように、窃盗あるいは詐欺の問題が発生します。
 ただ、上記ブログでも記載したように、相続人が被相続人の死亡を隠して、お金を引き出した場合を考えれば、警察としては、《民民》間の相続問題で解決してくれという姿勢であり、刑事事件として立件することはまず、ないと考えられるといいでしょう。

 預金全体の額がどの程度であったのかが明らかではありませんが、50万円が預金全体の半分もないというのである場合には、その程度なら相続人として取得する権利もあり、警察が動くことは考えられないです。



【不動産は名義で判断される】

 相続では、原則としてその不動産が誰の名義であったかを基準にして遺産かどうかが判断されます。

 そのため、お父さんの名義であるなら、後妻さんはその不動産の半分を取得する権利があります。



【今できることは金融機関の取引履歴の確認】

 現在できることとして何があるかを考えてみます。

 お父さんの死亡後にすぐに金銭を引き出ししているのであれば、生前にも引き出すようなことがなかったのかという疑問が出てきます。

 その点を調査する必要があるでしょう。

 相続人であれば被相続人であるお父さんの金融機関の入出金の履歴が入手できます。

 是非、確かめられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:52 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

遺産の内容を調べたい【Q&A №417】

2014/12/09



 父の死後、遺言状(正式なもの)には『全財産を長男に相続する』とあり、遺産内容の記載は無く、もう決まった事と兄から一方的に言われました。私は相続人のひとりとして遺産内容を知った上で遺留分減殺請求をするかどうかを決めたいのですが、兄は強引な性格なので内容を聞いたり、請求すると兄弟関係がますます険悪な状態になるのではないかと不安です。請求をしなかったとしても親が築いてきた財産がどれだけ残っているか、また負債が何れだけあるか相続人の一人として知っておきたいのですがそれは難しいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 遺産目録

(ヨシ)


【相続人なら、他の相続人の同意がなくとも、独自に遺産調査ができます】
 平成21年以前は、相続人が遺産調査をする場合、金融機関が他の相続人の同意を得てくださいという対応をしておりました。
 今回の質問のケースであれば、長男さんの同意がないと遺産調査ができませんでした。
 しかし、平成21年1月22日に最高裁が、他の相続人の同意がなくとも遺産調査が可能になるとの裁判(「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」参照)をし、それ以降、ほとんどの金融機関がこの判例に従って、死亡時残高や取引履歴を開示しています。

【開示を求める手続きは金融機関により異なる】
 遺産で最も重要なのは金融機関の預貯金です。
 金融機関により、預貯金開示に必要な手続きは異なります。
 そのため、予め、電話等で金融機関に問い合わせをし、手続の流れや必要な書類を確認されるといいでしょう。

【金融機関で最低限必要な書類は次のとおりです】
 通常の場合、次の①ないし③は最低限必要ですので、予め、取り寄せをしておくといいでしょう。
①被相続人であるお父さんが死んだことの証明(除籍謄本)
②あなたが相続人であることの証明(あなたの戸籍謄本)
③あなたの本人証明(運転免許証、健康保険証等)
 金融機関によっては、以上の他に、更に書類を要求される場合があります。

【被相続人がどこの金融機関の支店で取引したかを確認する】
 注意しなければならないのは、被相続人であるお父さんがどこの金融機関のどの支店を利用していたかを確認する必要があることです。
 利用していた金融機関がわからないと照会もできません。
 又、金融機関がわかっても、照会は支店単位でしかできませんので、どこの支店を利用していたのかまで調査する必要があるということです(但し、ゆうちょ銀行は支店を特定する必要はなく、又、弁護士に依頼するのなら三井住友銀行も支店を特定せずに照会をすることが可能です)。
 他のご兄弟や親せきなどに協力いただき、どこの支店を利用していたかを確認しましょう。
 なお、通常はゆうちょ銀行や地元の農協などに、まず、最初に照会をかけることになるでしょう。

【金融機関の履歴から数珠つなぎに調査をしていく】
 金融機関の取引履歴を見れば、他の金融機関や証券会社との取引がわかる場合があります。
 その場合には、新しく発見された金融機関にも照会をかけ、根気よく、調査を続けるといいでしょう。

【不正出金がないかどうかを確認する】
 履歴が取れた場合、その内容を確認しましょう。
 死亡前後に不自然な動きがないかどうかが一番重要なところです。
 開示されたデータ(取引履歴)から何を読み取るのか、そこが一番肝心なところです。
 がんばりましょう。

【不動産は法務局にいって登記簿を確認する】
 不動産を調査するには、お父さんのご自宅の土地建物の登記簿謄本を法務局に出向いて閲覧、謄写されるといいでしょう。
 抵当権などが設定されている(いた)のであれば、共同抵当がないかどうかを確認し、他にお父さん所有の不動産がないかどうかも確認する必要もあります。
 市町村にお父さん名義の不動産があるかどうかの確認も必要です。

【借金の調査もできる】
 お父さんが生前に作った借金などについても、金融機関や信用情報機関に問い合わせることで、ある程度の内容は調査することができます。

【調査には限界があることも理解しておくとよい】
 ただ、調査には限界があります。
 たとえば取引支店名がわからないと照会さえできません。
 そのため、あなたのように遺留分減殺請求や負債の状況を知るための調査をする場合には、調査に限度があります。
 十分な資料が得られればいいのですが、そのような場合はめったになく、少ない資料で遺留減殺をするのか、相続放棄をするのか等の決断が必要になります。
 遺留分減殺なら、遺留分が侵害されていることを知って1年以内で、相続放棄は相続開始から原則3ケ月以内で手続きをする必要があります。
 綿密な調査は必要ですが、一方でこれらの期間を超さないよう、ご注意ください。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:48 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金による窃盗罪は成立するか【Q&A №389】

2014/06/19
 父の死亡後、長男が父名義の預金(90万円と150万円)を2ヶ所の銀行から全額引き出しました。
 2ヶ所の銀行には「相続問題は発生してない」と嘘をついて引き出したようです。長男は相続の話し合いでは上記の件を隠していましたが、私が各銀行を尋ね、取引履歴や残高確認の調査をして発見しました。長男は返還する意思は全くないようです。
 相続財産は相続者全ての共有財産で、勝手に引き出す行為は窃盗罪になり犯罪暦が付く、最高裁の判例では、勝手に相続財産を(個人的に)引き出した者は「他の相続者が受け取る財産を盗んだ」事になっている。またこのような不法行為を行った者はその財産の相続権も失うと説明したところ、「最高裁の判例を具体的に示せ」「相続権も失うと書いてある法律は何か」と質問してきました。
 この長男の質問に回答できる情報を教えて下さい。

記載内容

不正出金 窃盗罪 銀行
(ももちゃん)


【詐欺罪ないし窃盗罪の余地はあるが】
 銀行は預金者から金銭を預かって占有保管をしています。
 名義人以外の人が、名義人になりすまして預貯金を引き出す場合、銀行が占有・管理する金銭を引き出すことになります。
 窓口で引き出す場合には、窓口担当者をだましてお金をもらうのですから、銀行に対する詐欺罪が成立しますし、又、銀行のATMでの引き出す場合なら、騙すという行為がない(ATMは機械ですのでだますということにはなりません)ので窃盗罪が成立することなります。

【親族相盗例の適用はないが・・】
 刑法には親族間の窃盗などの場合には、窃盗罪は成立しても処罰はしない(親族相盗例。末尾の条文をご参照ください)と定められています。
 ただ、預金の引き出しの場合、被害者は銀行ですので、厳密にいえば親族相盗例の適用はなく、処罰することは可能です。

【相続人の場合には・・】
 相続人が被相続人の死亡を隠して、被相続人名義で金銭を引き出す場合も同様であり、名義を詐称した法定相続人については、銀行に対する詐欺罪または窃盗罪が成立しますし、処罰されるはずです。
 ただ、相続人であれば少なくとも預貯金の一部は相続で受取る権利があり、遺産分割協議においてその相続人が引き出された預金を(協議の結果によれば全部を)相続する可能性もあることなどから、警察も積極的に捜査をせず、事件として立件されることがほとんどありません。

【最高裁判例について】
 当事務所の使用している判例検索システムで調査した限りでは、最高裁判例の中で、被相続人の預貯金を引き出した場合の、相続人の詐欺や窃盗について触れたような案件は、見当たりませんでした。

【相続人資格を失うといったことは考えにくい】
 相続人資格を失うのは欠格、廃除などがあります。
 欠格は、被相続人を殺害したり強迫等により遺言を書かせたりするなどの重大な事由がある場合に相続人から除外されるのであり、預貯金の引出とは関係がありません。
 又、廃除は被相続人に対して虐待あるいは重大な侮辱その他の非行があった場合に相続資格を失うものであり、遺産を勝手に引き出したような場合に適用されることはありません。
 そのため、法的に遺産たる預金の無断引き出しがあったからと言って、直ちに当該財産について相続権を失うことにならないという結論になります。

《参考条文》
刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、第二百三十五条の二の罪(不動産侵奪罪)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

     (以下略)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:35 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★存命中の母の取引履歴を調査する方法【Q&A №370】

2014/04/30
 夫の転勤の関係からずっと母親と妹夫婦が母親の家で同居して暮らしていました。

 5年ほど前から母親が認知症になり、私も働いていたことから面倒を妹夫婦にお願いしていました。

 先日、急に妹が癌でなくなり妹の夫から母親名義のわずかな預金通帳を渡されました。

(後から聞いたのですが1年ほど前から癌の宣告受け、余命1年と医者から言われていたそうです。)

 もともと郵便局に1000万以上の預金があり、母は、借家・駐車場や年金・父の戦争の恩給などもあったことからある程度収入もあり、通っていた介護施設等も安価であったことから明らかに預金の残高が少なくなっているようです。

 母の死亡保険の受取人も勝手に自分の娘に書き換えたりしていたことから、余命が短いので母の預金や財産を自分の娘に残そうとしたようです。

 まだ認知症の母がおり私が面倒を見る必要があるので、可能であれば母の口座履歴と妹家族の口座履歴から不正引き出し等がやり取りなどがなかったかを確認 したいのですが可能でしょうか。

記載内容

生存中 被相続人 預金調査 取引履歴 代理人
(ピトニオ)





【生存中の母の口座は他人の口座なので、調査はできない】

 まず、お母さんが存命であるという前提であれば、お母さんとあなたは親子でも別人です。

 そのため、金融機関や保険会社(以下、金融機関等といいます)としては、あなたの照会に対して、別人であるお母さんの口座の内容を開示することを拒否しますので、調査はできません。

 これは、あなたが弁護士に依頼しても同様で、お母さんの口座の調査はできないという結論になります。



【通常は代理人としての調査も考えられるが、本件では・・】

 ただ、金融機関によっては、お母さんの委任状があれば、あなたをお母さんの代理人であるとして、預貯金口座の取引履歴などを回答をしてくれる場合があります(ただ、全ての金融機関等が同じ扱いとはかぎりません。又、代理人からの照会に応じるとしても、必要書類としてどのような書類がいるかも金融機関により異なるので、事前に電話等で確認する必要があります)。

 しかし、本件ではお母さんは認知症であるとすると、あなたに委任するだけの意思能力はないという結論になり、結局、委任状による照会もできないという結論になります。



【後見人として調査するということも考えられるが・・】

 お母さんの認知症であれば、後見人になり、調査をするということも可能です。

 しかし、あなたが、お母さんの後見人選任申立をしても、あなたが後見人になることは難しいでしょう。

 その理由は、あなたが後見人予定者として裁判所に申し立てをしても、他の法定相続人が同意しない限り、裁判所はあなたを後見人に選任せず、第三者(司法書士や弁護士等)を選任する可能性が極めて高いからです。

 後見人は、お母さんのための財産管理をする役割ですので、仮にお母さんの金融機関の取り引き履歴を調べても、他人であるあなたに知らせることはできないからです。



【今、するべきことは・・】

 以上に説明したように、結局、現時点では金融機関に対して、お母さんの口座を調べる方法はありません。

 ただ、お母さんではない人が、預貯金を引き出しているというのであれば、該当金融機関等に《お母さんではない他人の行為での、預貯金の出金や解約に応じないよう申し入れをする》しかないでしょう。

 参考までにいえば、このような申入れは内容証明という形で証拠を残しておかれるといいでしょう。
 
(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:17 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★預金の取引履歴を調査する方法【Q&A №362】

2014/04/03



被相続人の預金が生前に勝手に引き出された可能性があります。

預金の取引履歴を調べたいです。

解約済みの定期預金等含めて、調べることができますか?





ご質問詳細

 父方の姉が亡くなり、子供おらず旦那も先になくなっている為、父方の兄弟で相続することになりました。
 
 ただ、亡くなった姉は生前入院していたので、兄弟がお金の管理もしていたようです。

 いざ、遺産整理をするとなったのですが、管理をしていた兄弟から通帳の開示もなく、簡単に記入した紙切れ一枚に遺産の内容が書かれていただけでした。

 どうやら途中で引き出してる可能性が多々ありそうなので、正しい銀行の履歴を調べたいのです。

 特にすでに生前に解約済みのゆうちょの定期預金の取引履歴?残高を調べたいのですが、できますでしょうか。

 調べ方を教えて下さい。

 また、取引履歴とは入出金振替などすべて開示していただけるのでしょうか。

 よろしくお願いします。

 なかなか、郵便局での開示請求に手こずっております。

記載内容

不正出金 預金 取引履歴 ゆうちょ銀行 最高裁判決 全員の同意
(りき)





【調査は可能です】

 かなり以前には相続人単独での開示請求を認めない金融機関も多かったのですが、平成21年に相続人単独による開示請求が最高裁判決により認められました(最高裁判決については「【相続判例散策】履歴照会に全員の同意不要」 参照)。

 そのため、現在では、法定相続人であることを裏付ける戸籍や除籍謄本を提出することにより、被相続人名義の預貯金の取引履歴を調査することが可能です。

 《ゆうちょ銀行》についても、同様に開示をしてもらえます。

 相続人本人が請求する場合でも、又、代理人として当事務所が請求する場合でも、ゆうちょ銀行が回答をしなかったことは一度もありません。




【開示される内容は・・】

 なお、取引履歴には、入出金だけではなく、振替も記載されており貯金の動きがすべて記載されています




【手続きは・・】

 取り引き履歴の開示に必要な書類としては、法定相続人であることを証明する被相続人の除籍謄本やあなたの戸籍謄本免許証などの本人証明書類は、まずどこの金融機関でも必要でしょう。

 そのほかに実印や印鑑証明書等がいるかどうかは、金融機関に異なる場合もありますので、必要書類を問合せておくとよいでしょう。
(なお、手続については(Q&A №205Q&A №98ほか参考カテゴリ:「遺産調査」に詳しく記載しているのでご参照ください)

 ただ、弁護士なら回答するが、相続人が照会する場合には相続人の全員の同意をもらってきて欲しい、という金融機関も中には存在します(Q&A №342ほか)。

 このような場合には、いかなる理由で当該金融機関が開示を拒んでいるのかといった理由を聞いた上で、相続に強い弁護士に相談し、そのアドバイスを受けて対応されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:41 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★【相続判例散策】被相続人の生前に解約された取引履歴の開示請求(東京高裁 平成23年8月3日)

2014/02/26
【被相続人の生前に解約された取引履歴は開示しなくてもよい】
(平成23年8月3日 東京高裁)

 被相続人の預金の履歴照会については、共同相続人全員の同意は不要であり、共同相続人の一人から照会でも、金融機関は開示しなければならないという最高裁判例が出ています(「【相続判例散策】平成21年1月22日 最高裁判例」)参照)。
 しかし、平成23年8月3日に東京高裁は、金融機関は《被相続人の生前に解約された》預金口座の取引履歴を開示すべき義務は負わないとする内容の判決をしました。
 同事件は、被相続人の生前に解約された口座の履歴開示を求めたものですが、
裁判所は
①被相続人の生前に解約された預金口座については、金融機関は、本来の預金者(被相続人。以下、預金者といいます)に対してであっても、いつまでも預金を開示する義務を負うわけではない。
②金融機関としては、解約後、預金者に遅滞なく、従前の取引経過及び解約の結果を報告するべき義務を負うに過ぎない。
③金融機関としては元の預金者に対しても開示義務はないのであるから、相続人に対して開示する必要はない。

と述べ、相続人の開示請求を認めませんでした。

 判決が法的な根拠とするのは、預金を預かるのは、委任契約や準委任契約と同様な面があるが、委任契約等では任務の終了した後、速やかに経過及び報告をすればよい(民法645条、656条)という規定があり、金融機関は解約時にその手配しており、なすべきことはしていたというものです。
 この理屈からいえば、共同相続人の一人どころか、全員の同意があっても、取引履歴の開示は不要という結論になります。
 この判例では金融機関の調査の手間が大変であることが強調されています。
 しかし、金融機関は預金者の多額の金銭を預かるのであり、その金銭の動きについての照会があれば、誠実に回答するべき義務があるというべきでしょう。

 又、判例は金融機関の調査の手間が大変ということをこの判決は述べていますが、預金者の全部が履歴の照会をするわけではありません。
 調査のために多額の費用がかかることも判決は述べていますが、金融機関であれば、当然、負担するべき費用だと思います。

 なお、この判例のケースでは、取引期間を特定せずに照会したものですが、現在の弁護士会照会の扱いでは原則5年間という期間限定で照会をしています。
 この東京高裁の判例は、当然のことながら、前記最高裁の判例を引用しながら議論を進めていますが、果たして、最高裁の判例の趣旨に合致するかどうか、極めて疑問だと思われます。
いずれにせよ、この東京高裁の判決については上告されていますので、今後、最高裁の判断が示されるものと思われます。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:36 相続判例散策 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★遺産分割協議後の取引履歴開示請求【Q&A №342】

2014/01/29
 12年前に父が亡くなり、兄の言葉だけを信じて遺産相続協議分割書を作成して相続は済みました。
 しかし、ここへ来て実家を手放すと言っております。

 兄は金がないと言ってますが、不動産収入もありそんな訳はないと思っています。
 そこで、父の亡くなった頃からに遡って、当時の父の預金通帳の開示を銀行に求めましたが、遺産協議分割書にサインした事で遺産相続者全員のサインがないと、開示出来ませんと言われました。
 つまり、相続が終了した段階で父の預金通帳も兄の通帳に名義義変更されたからと言う事らしいですが、そうなのでしょうか?
 仮にそうだとしても、相続前の父の預金通帳を知る権利すらないと言う事なのでしょうか?
 また、弁護士が入ればお見せする事も出来るような事も言っておりました。

 そこも道理がいかないと思いましたが、弁護士のご意見をお聞かせ下さい。

 また 実家土地は兄の名義ですが、建物は母親の名義なので勝手に処分は出来ませんが、母共々大変困っております。
 それから、税務署にて約12年前の相続税申告書を確認出来ますか?

 生命保険の受取人は被保険者によって定められていると思います。
 被保険者の死亡後では勝手に変更など出来ないと思い筈ですが、亡き父の生命保険がどうなってしまったのかと母と問題になっています。
 父の生命保険の受取人が誰だったのか?そして、母だった場合に勝手に受取人を変更する事など出来るのでしょうか?

記載内容

分割前 分割後 弁護士会照会 取引履歴の開示 生命保険の受取人変更
(仕置き人)


※同じ方から2回に分けてご質問をいただきましたが、回答は1つにまとめています。

【預金口座の取引記録(履歴)の開示に関する判例】
 《遺産相続を争っている相続人の一人が、他の相続人の同意なしに被相続人の預貯金口座の履歴(入出金記録)の開示を求めることができるか》という点については、平成21年1月に《全員の同意がなくても金融機関は開示に応じる義務がある》との最高裁の判例が出ています。
 従って、あなたが請求すれば、お父さんの取引履歴は開示されるというのが原則です。

【金融機関に開示を拒否する理由があるのか】
 本件では、既に12年前に遺産分割協議が終了しているようですが、その遺産分割で、お父さん名義の預金は誰が取得することになったのでしょうか。
 もし、お兄さんがお父さん名義の預金を取得することになった場合、お兄さんとしては
① お父さん名義からお兄さん名義に名義変更したのか
② お父さん名義の預金を解約して、お兄さんが払戻し額を取得したのか

のいずれかの方法をとるでしょう。

 もし、上記のうち、①の方法をした場合、その口座はお兄さんの名義の口座になり、お兄さんの同意がないと開示はできないと金融機関が主張するかもしれません。
 ただ、お兄さんの口座というのであれば、ご質問にあるような《相続人全員の同意》が必要なのではなく、お兄さんだけの同意でいいと思われます。
 又、お兄さんの意思とは関係なしに《弁護士なら開示する》というのもおかしいでしょう。
更に言えば、お兄さんの口座を明らかにせよというのではなく、お父さんの名義であったころの取引履歴のみを明らかにせよといっているのですから、前記判例の趣旨からいえば、相続人一人の請求でお父さん名義の口座の履歴は開示するべきでしょう。
 いずれにせよ、金融機関の対応は不当というしかありません。
 ただ、金融機関の口座管理上からいえば、お父さんの口座は現在では存在せず、お兄さん名義になっているため、お父さん名義の口座検索では該当がないという可能性はあります(しかし、それなら《弁護士の照会なら回答する》ということもおかしいでしょう)。
 ただ、参考までにいえば、前記の判例にかかわらず、一部の金融機関は相続人全員の同意が必要だと、今でも主張して、開示を拒否しています。

【お父さん名義の預金口座を解約し、払戻しを受けている場合】
 通常の場合、遺産分割では、前項の②のように、お父さん名義の預金を解約して、その払戻金を分割あるいは単独相続する場合がほとんどです。
 その場合には、お父さん名義のままで他人名義にはなっていませんので、前記判例によれば、開示をする必要があります。
 従って、この場合も、金融機関の開示拒否は不当ということになるでしょう。

【現実的な対応としては弁護士に依頼するのも一方法】
 金融機関は《弁護士であれば開示する》ということですが、弁護士照会をかけることを前提としているのでしょう。
 これは、弁護士であれば、弁護士会を経由して金融機関に照会をかけることができ、その場合、公私の団体は回答義務があります。
 この制度は一般に弁護士会照会と呼ばれ、我々弁護士が職務上様々な役所や金融機関に問い合わせて事実関係を調査するために法律上認められた権限であり、一般の方には使えない弁護士特有の調査方法です。
 この制度を使った場合には、正当な理由なく回答を拒否できないことから、金融機関の方が「弁護士が入れば」という発言をされたのではないでしょうか。
 あなたが、なぜ12年も前の遺産分割の前提であるお父さんの取り引き履歴を調査するのか、質問だけでは明らかではありませんが、もし、将来、訴訟を考えているのであれば、この際、弁護士に依頼し、弁護士照会をかけてもらうのも一方法です。
 ただ、遺産分割を争うメリットとデメリットを相談される弁護士に確認されたうえで、弁護士照会を利用するかどうかを判断されるといいでしょう。

【税務申告書の保存期間は10年】
 最後に相続税の申告書については、最近は、相続人であれば開示してもらえます。
 但し、相続税の申告書の保管期間は一般に10年と言われていますが、今回のケースでは12年前の申告であり、10年を経過しています。
 念のために保管しているのかどうか、又、開示してもらえるかどうかを実際に管轄税務署に確認されるといいでしょう。

【生命保険の受取人の変更はしないはずだが・・】
 通常、生命保険会社が被保険者の死亡後に受取人を変更することはありません。
 法的に見ても、(死亡保険金であれば)被保険者が死亡した時点で受取人(に指定されていた人物)が保険金給付請求権を取得すると考えられますので、いったん発生した権利を、後から別の誰かが勝手に変更できるということ自体が、理屈の通らないものといえるでしょう。
 もし、納得がいかないのであれば、問題となる生命保険につき、保険会社に照会をかけ、保険契約者は誰か、被保険者は誰か、受取人は誰かを確認し、特に受取人の変更があったのかどうか、あったとすればその手続き関係の書類を取り寄せするといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:26 遺産調査 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

★使い込まれた預金は取り戻せるか【Q&A №336】

2013/12/26
 母親は、高齢で、認知症で入院していて、退院の見込みはありません。
 万が一の事があった場合の事を考えています。
 数年前から、母親の年金と貯金を長男が使い込んでいます。
 これは、通帳等を確認すれば、わかると思いますが、何年前までさかのぼって調査する事が可能でしょうか?
 時効はあるのでしょうか?
 また、もし、裁判を起こしたとして、どのくらいの期間を要するのですか?
 費用は、どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

期間 調停費用 裁判費用 弁護士費用 金融機関の取引履歴 特別受益 時効
(KOKO)


【履歴の調査は通常は5年ですが・・】
 まず、《通帳等は何年前までさかのぼって調査する事が可能でしょうか?》という質問にお答えします。
 金融機関は原則として10年間は帳簿を保存しています。
 ただ、取引履歴(入出金の動き)の照会については、通常は照会をした時点から5年間分を回答することが多いです。
 5年分でたりず、それ以前も調査したいというのであれば、頑張れば10年までさかのぼって照会ができるはずです。
 なお、一部の農協や信用金庫などでは、更に遡って履歴が取れる場合もありますが、これはあくまで例外的な場合だとご理解ください。

【時効はあるのか】
① 調査についての時効はありませんが、前項に記載したように、保存期間が経過することにより金融機関に保存されている取引履歴が無くなる可能性がありますのでご注意ください。(お母さんの使いこまれている金銭の返還請求の時効は、場合により異なります。)
② お母さんの同意を得ない使い込みについては不当利得返還請求が可能ですが、これは取り込み行為から原則10年間で消滅時効にかかります。
③ お母さんの同意を得て、贈与を受けているという場合には、特別受益になる可能性がありますが、その場合には時効はありませんので、全ての特別受益が遺産に繰り戻されます。

【裁判や調停を起こした場合の期間について】
 遺産分割については裁判前に調停を起す場合が多いですが、通常は5回前後(期間でいえば6~8ケ月程度)で解決することが多いように思います。
 ただ、案件により異なりますので、あくまで目安とお考えください。
 次に裁判をする場合には、これも案件により異なりますが、通常は判決まで2年間程度かかることが多いように思います。

【費用はどの程度かかるか】
 費用としては、調停を申し立てした場合には、申立費用として印紙が1200円(被相続人が1人の場合)、郵便切手を数千円程度、裁判所に納付する必要があります。
 裁判になると、仮に1000万円を請求すると、訴状に貼る印紙は5万円で、2000万円を請求する場合には8万円の印紙を貼る必要があります。これに郵便切手が数千円程度かかります(但し、相手方が多い場合には増額されます)。
 なお、弁護士に依頼すると、弁護士に依頼したときの着手金と事件が終了した場合の報酬を支払う必要があります。
 この費用は、紛争の対象となる金額及び事件の難かしさ、弁護士の経験等により異なりますので、弁護士に法律相談する際、確認されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:28 弁護士費用 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

内縁の夫が遺産を渡してくれない【Q&A №333】

2013/12/05
 母の叔母の死後に生じた事柄についてお尋ねします。
 大叔母は先夫が戦死した後、長年内縁関係のパートナーと仲良く暮らしておりましたが、先日90歳余で死去しました。籍は入れておらず、子どもはいません。遺言もなかったようです。
 姪である母によると、パートナーは認知症で入院しており、葬儀などは母やいとこの叔母が取り仕切り、相手側のきょうだいは「内縁関係だから」といった冷淡な態度で文字通り、何もしてくれなかったそうです。お墓に関しても取り付く島がないらしく、お骨は母が預かっています。

 問題なのが、大叔母の生前から財産(遺族年金など)はパートナーが管理しており、現在はあちらのきょうだいが「そんなものはない」「叔母さんの入院代に使った」などと言い、叔母固有の財産のことが全く分からないことです。

 母やいとこの叔母としてはせめて、「お墓を建てたり、供養をしたりするお金を渡してほしい」と考えています。
 私は遠方に住んでおり、話を聞いているだけですが、相手側は、おっしゃるところの内縁関係ゆえにパートナーであっても相続できない遺産を、相続の権利のある母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです。いかがですか。
 大叔母の遺産を調べるには、どのような手立てを取れば良いのでしょうか。大叔父の遺族年金など、少なからず大叔母固有の財産はあると確信しています。

記載内容

内縁 介護費用 不正出金
(きなっしー)


【窃盗にはならないが・・】
 質問には《母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです》とありますので、この点を先に回答します。
 まず、大叔母さんの財産は生前、内縁の夫が管理しておられたようですので、内縁の夫が預かり続けても、大叔母の意思に基づくものであり、窃盗にはなりません。
 次に、現在、預かり品を内縁の夫の親族が所持している場合ですが、内縁の夫から保管を依頼されているのなら、権限ある占有者から預かったということで窃盗にはならないでしょう。
 ただ、内縁の夫の親族の方が預金を使いこんだようなことがあれば、窃盗ではなく、横領罪等の犯罪が成立する余地があります。
 注意するべきことは、仮に横領が成立するような場合であっても、警察に被害届を提出し、又は告訴状を提出しても、警察がすぐに動くことはまずないということも知っておく必要があるでしょう。

【相続人のみが遺産調査をできる】
 相続人であれば、遺産の調査が可能です。
 そのため、相続人が誰であるかが問題となります。
 被相続人である大叔母さんに子供がなく、大叔母さんのご両親も死亡されている場合には、大叔母さんの姉妹であるあなたのお祖母さんが相続人になりますので、お祖母さんが相続調査をすることができます。
 又、もしお祖母さんのほうが大叔母より先になくなっているのであれば、お祖母さんの子であるあなたのお母さんが代襲相続人として相続人となりますので、お母さんが相続調査ができることになります。

【相続調査の方法】
 あなたのお母さんが相続人だとした場合、あなたのお母さんは遺産を調査することができます。
 相続調査については、金融機関及び支店名を特定して預貯金の調査をするのが基本です。
 もし大叔母の取り引きしていた金融機関がわからない場合には、遺族年金を支給していた機関(大叔父は戦死されているようですので、軍人恩給の場合には総務省恩給局などの可能性もあります)に問い合わせをするというのも一つの手段でしょう。
 金融機関及び支店名がわかれば、その金融機関に「照会の手続きをしたいがどのような書類がいるか」と確認された上で、必要な書類を提出して、取引履歴を開示してもらうとよいでしょう。(詳しくは、Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 を参照ください)。
 次に大叔母さんが不動産を所有していなかったかどうかも確認する必要がありますが、この点は市町村に問い合わせをするといいでしょう(相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:16 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★あるはずの父の預金が存在しない場合【Q&A №317】

2013/09/27
 
 99歳の父が1ヶ月前に亡くなりました。10ヶ月前まで年収手取りで720万ありました。遺産放棄を前提にお墓の改葬を母、長兄に提案したところ、年金の通帳(600万)、他にはないので母の生活費に困る。またお墓はみんなで出し合おうとの返事。
 母の通帳を見せてもらったら1400万の預金書、他に700万あった普通預金が3ヶ月前に下ろされており妹の口座へ確認。父の年収と年齢からして生活費を考慮して少なくとも年4、500万残ってもおかしくありません。億の遺産があってもおかしくありません。相続人は母、子5人です。私以外、そのことを触れようとしない事と、妹の口座に一部贈与が確認されているので全員で何か隠していることが考えられます。公平な相続を求めるには、今後何から手を着けていけばいいでしょうか。訴訟も考えています。どうぞよろしくお願いします。

記載内容

不正出金 不当利得 事務管理 生活費 贈与 特別受益 遺産調査


(ありんくりん)


【まずは徹底した調査が必要です】
 ご相談のような不正出金が疑われるケースについては、最初に遺産調査が必要です。
 その際、最も重要なのは、金融機関の預貯金の取引履歴の確認です。
 そのほかにお父さんが株式の売買を行っていたのなら、証券会社に対する照会も必要ですし、この他、生命保険契約の有無及び内容の確認も必要でしょう(生命保険は遺産ではありませんが、それが多額になった場合には遺産になる可能性があります)。

【金融機関の取引履歴の照会方法】
 金融機関に取引履歴を照会する方法は過去のブログ(Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください。
 なお、金融機関への調査について、注意すべき点は次のとおりです。

①ゆうちょ銀行を除いて、銀行名だけでは照会はできません。
 どの支店であるかを確認して、その支店へ照会する必要があります。
 お父さんの利用していた支店がどこかは、お母さんやお兄さんに聞けばよいのですが、教えてもらえなければ、お父さんの住んでおられた自宅付近の金融機関に、軒並み照会を出さざるを得ないことになります。
②金融機関によっては、相続人全員の同意がないと照会に応じられないとの対応をする場合がありますが、平成21年の最高裁判例で、相続人の一人の照会であっても金融機関は回答する必要があるとされています。
③履歴が判明した場合は、その入出金を突き合わせて、多額の出金があったかどうかを確認していく作業が必要です。
④多額の出金がある分については、その出金が誰によりなされたかを判断するために払戻伝票の筆跡等を確認する必要があります。


【多額あるいは不正な出金が判明した場合】
 前項の④の調査で、お父さんが出金をしていた場合には、引き出された金銭が贈与として他の共同相続人に行ったことが考えられます。この場合には特別受益として、遺産に持ち戻すことになります。
 又、お父さん以外の人が引き出した場合には、その人に対して不当利得として返還請求をすることになります。この場合、あなたが返還を要求できるのは、その不当な使い込み額のうち、あなたの相続分(10分の1)に相当する額です。

【早い段階で弁護士に相談することも考える】
 今回の質問の場合、遺産を調査する必要があるのに加えて、多額又は不正な出金があった場合には、その返還を求めたり、特別受益として扱ったりする必要があります。
 あなたが訴訟も考えているということであれば、早い段階で弁護士に依頼し、遺産調査から入ってもらうことも考えていいでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:16 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の遺産であることの証明【Q&A №260】

2013/03/18
 母が亡くなり、父と、兄弟3人が相続人です。
 母はパートで9時から18時まで働いていました。
 死亡した年齢は満59歳です。

 父は、母の凍結された銀行口座があるとのことで、署名捺印を押すように言います。
 あまりにしつこいので、私はいくつかの銀行の中で1つはサインしましたが、その他はしていません。残り2、3の銀行口座があると思われます。
 最近も、いくらの預貯金があるのか、遺産はどのくらいあるのかと尋ねましたが、「母さんの預貯金はいくらもない」「親の金を当てにするなんて」などと言われ知らせません。私は法定相続分は欲しいと伝えましたが、その意志はないようです。
 ほかに、父の名義ですが、母も住宅ローンを一緒に支払っていました。この件については、母の遺産であることの証明は難しいのでしょうか。
 母の遺産の手がかりになるものは全て父が持っていて、見せてくれませんし、住宅ローンに関する書類も私は持っていません。

 私の二人の兄弟は、サインしているようです。

 弁護士の先生にお願いしたいところですが、母子家庭でお願いするだけのゆとりが無いのが現状です。

記載内容

住宅ローン 銀行 共有

(雅子)


【原則は名義で決定される】
 まず、住宅ローンを支払っていた自宅があるとのことですが、その名義がお父さんであれば通常はお父さんの遺産とされることになるでしょう。
 ただ、全てが名義だけで決まるわけではなく、息子名義だが住宅ローンは父親が全額支払っていたため、息子名義でも父の遺産であるとされたケースもあります。

【預貯金の履歴で調査する】
 そこで、住宅ローンをお母さんが支払っていたというのであれば、お母さん名義の預貯金口座から住宅ローンが引き落とされていなかったかを調べることが必要です。
 まずは、お父さんがサインを求めてきた、お母さんの銀行口座や、現在判明しているお母さんの預貯金口座の取引履歴を取寄せすることをお勧めします。
 その取引履歴の中で、お母さんが住宅ローンを出していることが判明すれば、お父さん名義でも、実質はお母さんの所有であると主張することになるでしょう。
 もし、お母さんが支払っていたのは、住宅ローンの全部ではなく一部の支払いというだけであれば、その分、共有であるという主張をすることになるでしょう。

【預貯金の履歴は相続人であれば入手が可能】
 相続人であるあなたの立場であれば、たとえお父さんが反対しても資料を銀行からもらうことができます(当ブログ Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」  の記事をご参照ください)。

【履歴から何を読み取るのか】
 取引履歴から何を読み取るのかが重要で、住宅ローンの支払いだけなのか、あるいは株式や証券の存在も判明することもあるでしょう。
 又、新たな金融機関口座が判明すれば、そこから相続人として住宅ローン借入先銀行に問い合わせることができるかもしれません。
 その意味でも、預貯金口座の履歴照会は必要不可欠ですので、是非、ご手配ください。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:33 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産を浪費した兄【Q&A №255】

2013/03/12
 私の兄弟は4人で、H11年に父、H14年に二女、H25.2.6に母が亡くなりました。
 父の遺産は兄が自分が管理すると言って、遺産の預金の引き落とし同意書を全員に書かせ管理していて、遺産金額の全額を皆に知らせず、私が遺産の事で文句を言った所、H22年に400万を相続人の私と長女に分けてくれました。
 本人はのらりくらりとして総額を明かしません。
 兄が遺産を遊興費やマンション購入と女につぎ込んだ事は最近に成って分かって来たことですが詳細は不明です。
 先日母が亡くなり、ある金融機関に死亡届に行った所死亡17日後に預金の1千万近くの殆どが兄によってCDで引き出されていました。
 葬式の時の話しあいでは、兄は預金は殆ど無いと言っており葬祭費用も折半で出す話に成っていました。
 もしこのまま、のらりくらりと私達相続人の追及をかわし続けています、とにかく信じ切っていただけに、恨み骨髄に達する思いです。
 調停に持ち込んでも恐らく進展は見られない様な気がします。
 血族の犯罪は免責される様にも書いて有りますので、結局後の相続人がバカを見る事に成るのでしょうか。
 母は姉の遺産も引き継いでいると思われますので。
 母は認知症で10年程施設に入り他界しました。
 金銭の感覚は全くできず、子供も認知できない状態でしたた。
 兄が二度とお天道様の下を歩けなくするにはどの様にすれば良いでしょうか。

記載内容

遺産総額 親族相盗例 遺産調査
(A-POM)


【金融機関に落ち度はなく、同意書は有効である】
 お兄さんが預金の管理することを了解して、預金の引き落とし同意書を作成し、お兄さんに交付した以上、このような同意書があれば、金融機関としては、お兄さんが遺産である預金から出金することを拒否する権限も、義務もありません。

【親族間の横領は刑事問題にならない】
 遺産を勝手に使い込んだことは刑法上、横領の罪になる可能性があります。
 しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
 これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領などは処罰されない(正確には《刑を免除する》)という条文があることから、警察も捜査をしないからです。

【可能な遺産調査・調停による開示要求も】
 相続人であれば、他の相続人の同意なく、単独で遺産の調査が可能です。
 しかし、今回のようにお父さんが亡くなってから10年以上経過したケースでは、期間が経過しすぎて、金融機関としても取引履歴を破棄しているケースも多く、遺産調査も難しいでしょう。
 結局、お父さんの遺産については、現段階では打つ手がないということになります。

【お母さんに財産がある可能性があれば・・】
 最近、お母さんが死亡されたようですが、お母さんに遺産があるのなら、まず、お母さんの預貯金のある金融機関にお母さんの死亡したことを通知して、預貯金の引出を止めましょう。
 次に、お母さんの預貯金口座や不動産を調査して、それから遺産分割調停などの手続きを利用して、遺産分割することが必要です。
 なお、遺産である預貯金の調査については Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 の記事をご参照ください。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人の遺産の範囲の調査【Q&A №208】

2012/10/30
 特別受益に該当しますか。
 前提:弟が死亡し、相続が発生しました。弟には妻(入籍したのは約5年前)はい
ますが、子供はおりません。相続人は、弟の妻、私たち兄弟の計3名です。
弟は生前、退職金で妻の弟の借金(何百万円単位)を肩代わりしたり、土地を購入し
妻名義で土地の登記をしています。これらは、相続財産に該当しますか。
また、それを証明するため、銀行口座の取引履歴を入手したいと考えています。その際、弟と兄弟の関係を示す戸籍謄本が必要とのことですが、具体的にはどの戸籍謄本を入手すればよろしいのでしょうか。
(父母:死亡、弟:この度死亡、兄弟、それぞれ違う県に本籍があります。)
記載内容

借金 肩代わり 取引履歴 他人名義の不動産 相続証明
(わたる)


【返済資金提供は贈与?貸金?】
 奥さんの弟さん(以下、義理の弟さんといいます)の借金返済について、弟さんが資金を提供した場合には、その資金を贈与したのか、貸しただけなのかということが、まず問題になります。
 資金提供の際にどのような話や事情があったのかを調査しましょう。
 借用証書が作成されたのかどうか、弟さんが返還請求した事実があるかどうか、少額でもあれ義理の弟さんによる返済の事実がないのかどうかなどを確認して、贈与か貸金かを判断しましょう。
 貸したのであれば、貸金債権として遺産に含まれ、相続人は返還請求ができます。
 しかし、贈与なら、原則として遺産に含まれません。

【妻名義での土地の購入】
 奥さん名義の土地についても、その資金を誰が出したのかが問題となります。
 もし、弟さんがその資金を全部出したというのであれば実質的には弟さんのものであり、名義だけを奥さんから借りたにすぎないとして、弟さんの遺産と主張することも可能になります。
 当事務所が担当している事件には、そのような主張をする場合もよくあります。
 資金以外にも、固定資産税の支払いや弟さん夫婦間の収入の比較などの調査をし、弟さんの遺産であることを証明する資料を収集する必要があるでしょう。
 又、支払い資金の動きを確認するためにも、弟さんの銀行口座の取引履歴を取寄せることも必要不可欠です。

【兄弟が相続人であることの証明するための戸籍は・・】
 金融機関としては、あなたが相続人であれば、取引履歴の照会に回答します。
 兄弟が相続人になるためには、被相続人である弟さんに子供や孫がいないこと、お父さんお母さんがおらず、お祖父さんやお祖母さんもいないことが前提になります。
 そのため、弟さんとあなたが兄弟であることを証明する戸籍や除籍謄本だけではなく、被相続人である弟さんの出生からの戸籍等も必要ですし、両親もすでに死亡していることを証明する戸籍も必要になります。
 なお、本籍地が他府県に分かれているとのことですが、郵送でも取寄せが可能のはず(弁護士の場合には郵送で取寄せします)ですが、念のためにその本籍地の役所に問い合わせされるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★月100万円の生活費は特別受益では?【Q&A №198】

2012/09/19
 姉が母の預貯金を使い果たした。

 父が亡くなり1年半ほどして母が亡くなりました。父が亡くなったときに1500万円ほど有った預貯金が残高35万円になってました。
 母は姉と同居でしたが高齢の割に元気で亡くなる直前まで介護と言うほどの手間は掛かってませんでした。
 姉に通帳の出金の理由を尋ねると「おばあちゃんが自由に使って良いと言った、おばあちゃんの生活費がほとんどだ」との事でした。
 一年半で1500万円とは月100万円ほどの生活費なので到底納得できません。
 月30万円の生活費としても半分以上特別受益と判断できますでしょうか?

記載内容

生活費 贈与 不正出金

(カネゴン)


【そのような意思表示はなかったのでは・・】
 お母さん(おばあちゃん)がお姉さんに預金を「自由に使って良い」と言っていたということですが、通常の場合、そのような事実は認めがたいものです。
 もし、そのような発言があったとすると、今度は、お母さんの意思能力があったのかが問題となります。

【無断出金ではないか】
 当事務所に扱った事件のうち、短期間で多額の金銭が出金されている場合は、そのほとんどが被相続人(質問の場合にはお母さん)に無断で出金されたものでした。
 お姉さんが、お母さんから「自由に使って良い」と言われた、と言いながら、その使途がお母さんの「生活費がほとんどだ」というのも極めて不自然です。
 もし、無断出金の場合、お母さんはお姉さんに対して不当利得返還及び損害賠償の請求ができます。
 ただ、お母さんが亡くなっていますので、(相続人があなたとお姉さんだけなら)、あなたはこの請求権の半額分を相続しますので、お姉さんに返還請求ができるということになります。

【無断出金かどうかの判断は取引履歴でする】
 無断出金かどうかの確認のためには、お母さんの預貯金の取引履歴を金融機関から取寄せすればいいでしょう。
 一度に数十万円を超すような預金の払い戻しが度々あれば、ほぼ無断出金とみて間違いないでしょう。
 預貯金の履歴の調べ方は、過去の回答( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )を参照ください。

【特別受益について】
 なお、もし、お姉さんの生活費として使われている分があった場合で、しかもそれがお母さんの了解を得ていた場合、その生活費分が特別受益になる可能性があります。
 ご質問では30万円を超えてお姉さんが消費した金額が特別受益ではないかということですが、仮にお姉さんが生活費として消費した(支援を受けた)金額が毎月10万円程度なら、特別受益とは言えないという審判例もあります。
 しかし、それ以上となれば特別受益となる可能性も高いと思います(この点は、Q&A №164をご参照ください)

【弁護士に相談を】
 今回のケースは預金額が多額であり、しかもお姉さんがすんなりと返還する可能性は少ないと思われますので、できれば相続に詳しい弁護士に相談され、調査を依頼し、その結果によっては事件を依頼されるといいでしょう。

   http://www.saiben.or.jp/">埼玉県弁護士会 (URL:http://www.saiben.or.jp/)


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:23 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★他の相続人の預金開示【Q&A №180】

2012/07/26
 遺産分割調停申し立てにあたり

 父が死んで後、母が全く遺産の分割に応じる様子がないので遺産分割調停を申し込もうと考えています。そこで色々調べていくうちに金融機関で被相続人の預金残高や入出金履歴を調べた方がいいと書いてありました。しかし、私の母はすでに父親名義の口座からお金を自分名義の口座に移し替えているはずですし、今まで父の給料なども全て母親名義の口座に振り込まれるようにしていた可能性があり、父の口座の開示だけでは遺産がどれだけあるのか分からない可能性が高いです。私が母親名義の口座の開示を金融機関に求められる可能性はありますでしょうか。

記載内容

他人の預金調査 調停を利用しての遺産調査

(りんご)


【親子でも他人であって、預金開示は困難】
 被相続人の遺産が生前に誰かによって引き出された、というようなケースはよくあります。
 被相続人の預金残高や取引履歴は、相続人であれば調査が可能です。
 でも、そこでわかるのは被相続人口座の入出金のみです。
 被相続人の口座からの出金はあの人がしたのでは・・と思うことも多いと思います。
 しかし、被相続人以外の預金口座はたとえ母親のものでも、息子のものでも、《他人の財産》であり、金融機関に照会しても回答してくれません。
 預金の内容は金銭にかかわる非常に重要なプライバシーだからです。

【調停委員を通じて問い質すという方法は・・】
 お母さんが遺産を取り込んだ可能性があるのなら、お母さん相手に遺産分割調停を申立し、調停委員を通じてお母さんに預金口座の開示の同意をしてもらうということも考えられますが、残念ながら、大概の場合、まともな開示はしてもらえません。

【証明すべき事項は?】
 当事務所では遺産調査が多いのですが、被相続人の取引履歴を取寄せして、不審な出金があった場合に行うべき調査事項のうち、いくつかをお教えしましょう。

≪カードで出金している場合≫
そのカードを誰が保管していたのか?
そのカードによって引き出したのはどこの金融機関で、誰がその金融機関に行ける可能性があるのか?

≪払戻手続で引出≫
払戻伝票の署名は誰の筆跡か?

【裁判手続きの中で調査する】
 調停が不調となり、裁判になれば、裁判所を通じて調査の申し出をすることができます。
取り込んだという人の金融機関(支店名まで必要です)がはっきりしているのなら、裁判所からその人の取引履歴などを調査してもらうことも可能です。
 ただ、調査をするべき銀行名や支店名などをどう探すのか、また、裁判所がそのような調査をする必要があると思ってくれるような裏付資料が必要です。

【調停の前に専門家に相談を】
 質問のケースでは、予め、綿密な遺産調査が必要です。
 取引履歴からどれだけのことが判明するのか、どのような調査をするのがよいのか等、相続に詳しい弁護士に相談し、調査を依頼される必要があると思います。

http://www.hyogoben.or.jp/">兵庫県弁護士会 http://www.hyogoben.or.jp/

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:53 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡き母の預金を独り占めする姉【Q&A №61】

2011/03/04
 
 母が死亡し、3年経過しました。相続人は、娘3姉妹です。
 同居していた長女が賃貸を管理し、確定申告もしているようです。準確定申告の際も内容を見せず勝手にいままで思うようにしています。
 賃貸借契約書も見せてくれないので、毎月の家賃も正確には分かりませんが、1度母に聞いたら、年金が厚生と企業年金で毎月30万円で家賃が20万円との事でした。
 でも姉は、現在は母の預金は0円と言い張り、通帳も見せてくれません。再三の請求をすると、確定申告書の第1表の3年分を見せたのですが、内容がさっぱり分かりません、
 これから正当に請求をしたいのですが、預貯金については取引開示請求ができるとの事ですが、3年分を取得すれば足りるのでしょうか?
 母は年間500万円ほど所得があったようです。よろしくお願い申し上げます。


記載内容

  遺産調査 取引履歴 確定申告 
(taka)


【何よりもまず遺産の調査を!】
 まず、遺産がどの程度あるのかを確認するのがもっとも重要なことです。
 あなたは、亡くなったお母さんの子供であり、相続人という立場ですから、この立場を利用して遺産の調査をする必要があります。

【遺産調査の方法・・まず準確定申告を調査する】
 まず、被相続人に収入がある場合には、死亡から4ケ月以内に税務署に準確定申告をする必要があります。
 この準確定申告は長女の方がされたようですが、もし、長女単独で申立したのなら、その内容を見ることはできませんが、もし、あなたも署名捺印したのであれば、税務署に行き、申告内容の開示請求が可能です。
 開示された場合に、どのような収入があるのかが明らかになります。

【金融機関の口座も調査する】
 次に金融機関の口座の調査も必要です。とりあえず、わかっている金融機関に取引履歴の照会をしましょう。
 相続人であることを証明すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。取り寄せた履歴を見て、使途が分からない出金があるかどうかを確認する必要があります。取寄せる取引履歴の期間はできるだけ長い方がよく、最低でも5年程度遡る必要があるでしょう。
 なお、取引履歴を確認すると新たな金融機関や証券会社を発見できることがあります。
 その場合には、更にそれらの金融機関や証券会社についても取引履歴を調査する必要があるでしょう。

【不動産の調査も必要です】
 なお、念のためにお母さんの所有していた不動産の調査も必要です。
 これはお母さんの不動産があると思われる市町村に名寄帳の取り寄せを申請すればいいでしょう。

【弁護士などの専門家に依頼するのがいいでしょう】
 遺産の全容を把握するためには専門的知識が必要ですし、長女の方の対応を見ていると、遺産の全容を把握できた場合でも、その分割の交渉のためにも専門家の力が必要なケースです。
 お母さんの年収が500万円程度あったのであれば、遺産も相当額あった可能性があります。そうであれば、遺産分割で財産を取得できますし、又、死亡後の賃料も取得できます。
 是非、相続に詳しい弁護士などに調査を依頼することをお勧めします(なお、滋賀県弁護士会の電話番号は、077-522-3238です。)。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
17:28 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★隠された遺産を見つけることはできるか【Q&A №6】

2009/08/18
 
現在財産分割協議中なのですが、喪主側が提示した相続財産総額について、本当にそれで全てなのかを調べる方法はあるのでしょうか?

預貯金の場合は提示された資料に載っている分に関しては銀行名と口座名の記載がありますから、問い合わせれば確認が取れますが、もし別の金融機関に隠し財産があった場合、確認するには全ての金融機関に対して調査しなければいけないと思うのですが・・
弁護士さんなどにお願いすれば可能なのでしょうか?

それと、判明している金融機関であっても、被相続人が死亡した時点での残高証明は取れると思いますが、過去に喪主側が財産を勝手に引き出していなかったのかを調べる為に、
過去に遡って数年前~数十年前のある時点での残高証明も取れるのでしょうか?

また、今後家庭裁判所への調停をお願いするような事態になった場合、個人的に前述のような調査をしなくても、家裁の方で自動的に?財産調査をしていただけるのでしょうか?


記載内容

  遺産調査 弁護士の調査 裁判所の調査 
(争族したくないけれど・・)


【提示された遺産が、それで全部なのかを調べる方法はあるのか?】
隠された遺産を一挙に探す方法はありません。
個別に可能性のあるところを根気よく調べる以外に方法はありません。

【別の金融機関に隠し口座があるかどうかの調査について】
 同じ銀行でも各支店毎に照会に応じますので、ご指摘のとおり全金融機関の全支店に照会を出す以外に方法はありません。

【弁護士に確認すれば全ての金融機関の調査が可能ではないか?】
弁護士の調査でも、各金融機関の支店毎に照会を出しますので、その点では個人でする場合と相違はありません。
ただ、今までの経験と勘、それまでに出ている資料に基づき、どこの支店にありそうなのかを弁護士が判断していきますので、該当する支店や預貯金口座を見つけ出す確率が高いという違いがあります。

【過去の取引履歴について】
質問では「過去の残高証明」の取寄せということですが、喪主が財産を勝手にひきだしたかどうかを確認するなら「取引履歴」(入出金の動き)を取り寄せするほうがいいでしょう。
取寄せできるのは、郵便貯金は保存期間の関係で過去5年分のみです。他の金融機関でも通常は過去5年間ですが、特段の事情がある場合には過去10年くらいまでは遡って照会することが可能です。
なお、金融機関の合併等があったために、過去の履歴を探すのに時間がかかるという回答をする金融機関も多いことや、照会文書の回答のコピーということで多額の費用を要求する金融機関もありますのでご注意下さい。

【遺産分割調停での調査について】
遺産分割調停をした場合、家裁の方で自動的に財産調査してくれるのではないかという質問ですが、そのようなことはありません。表面に出ている以外の遺産があるというなら、そのことを主張する人が自分で探し出してくださいというのが、家裁の基本的な対応の仕方です。

☆ワンポイントアドバイス☆
全部の預貯金口座がでているかを判断するためには、ライフライン関係(水道光熱費の引き落し口座があるか)、また重要な財産(例えば不動産等)の売却金が口座に入金されているかどうかを取引履歴で確認すればいいでしょう。
これらを記載した口座がないのであれば、全部の預貯金口座が提示されていない可能性が高いと判断していいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:42 遺産調査 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME |