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★預貯金の目減りが心配【Q&A №555】

2017/01/25


【質問の要旨】

母の通帳などを妹が管理している

記載内容 不正出金 預金

【ご質問内容】

父が亡くなり四年が経ち、母・長女(私)・妹・弟(八年前他界)がおり、両親の面倒を見ていた妹夫婦が今回建物のみ母への名義変更を言ってきました。

弟存命中は、いずれ両親と同居する前提でマンション代を出してもらっており、しかし弟亡き後は、それが叶わないので妹から、父へマンション代を返すよう弟の嫁に言い、嫁は返済しました。

以前、私は、妹から両親の面倒を見てほしいと言われましたが、その当時は両親も元気で二人で生活できていたし、私の家の状況等の理由もあり、それを断った経緯があります。

その後は一切を取り仕切り、財産を聞いても教えてもらえず、生前父から何となく聞いていた預貯金額より遥かに少ないぼんやりした額をのらりくらり言うだけです。

嫁も同じことを言っています。通帳と実印は妹が全て持っていますし、母は強い妹には何も言えません。母名義にさせたマンション代他の預貯金の目減りを防ぐ手立てはないのでしょうか

また、今後どのようにして対処していけば良いのでしょうか

(piano)





【お母さんの財産の管理を決定するのはお母さんです】

お母さんの預貯金を、現在は妹さんが管理されているようですが、もし、お母さんが自分の財産の管理を妹に任せているのであれば、それはお母さんの意志に基づくものであり、何ら違法なことではありません

あなたはお母さんが死亡した場合には、その遺産を相続できる立場です。

しかし、現段階では、お母さんの財産に関与するなんらの権利も権限もありません。

そのため、もし、現在の状況を変えたいのであれば、あなたではなく、お母さんがその意志で行動する必要があります。

あなたとしてできることがあるとすれば、それは、お母さんが《預貯金通帳や印鑑を返してほしい》と決断するように働きかけることだけでしょう。

お母さんがそのような決断をするのであれば、お母さんの意向に従い、あなたがお母さんの代理人として妹さんと返還や管理について交渉するということも法的には可能ですし、又、必要に応じてお母さんが弁護士に依頼するということを考えてもいいでしょう。


【成年後見人をつけることも考える】

現時点ではお母さんの判断能力があるようですが、もし、将来、お母さんの判断能力がなくなるようなことがあれば、親族であるあなたは家庭裁判所にお母さんの成年後見申立をすることができます。

家庭裁判所で選任された成年後見人はお母さんの全財産を管理します。

今回のような将来の法定相続人の間でお母さんをめぐって紛争が生じるおそれのある場合には、家庭裁判所は、お子さんではなく、司法書士や弁護士などの第三者を成年後見人に選任しますので、選任された以降はお母さんの財産の保全を図ることが可能です。


【現時点でできることは何か?】

ただ、将来、お母さんが死亡した場合、あなたは相続人となり、遺産をもらう立場になります。

その際、妹さんがお母さんの預貯金を勝手に使っていたのであれば、貴方は相続人として法定相続分に応じてですが、返還請求ができます。

そのため、現在、どの銀行のどの支店にお母さんが預貯金を持っているかは最低限、把握しておくといいでしょう

通帳等が手にはいらなくとも、お母さんの死亡後、その金融機関に連絡すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。

履歴照会により、妹さんがお母さんの預貯金をどのように扱っていたかのかが明らかになります。

現時点であなたがするべきことはそのような手配だと思います。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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16:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

何かをする時期について【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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17:03 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言公正証書が偽って作成されていた【Q&A №552】

2016/12/22



【質問の要旨】

姉の公正証書遺言が知らないうちに作成されていた

記載内容 公正証書遺言 遺産相続 排除

【ご質問内容】

子供の居ない姉(84歳)が先日孤独死で亡くなりました。

主人は十三年前に亡くなっています。

姉の残した遺産についてお尋ねします。

姉弟は亡くなった姉、兄、私、妹の四人です。

姉は高齢で糖尿病も患い一人でいることを心配していました。

兄が実家を継いでおり一年半前兄嫁から姉を実家に引き取り面倒を見ることで姉と同意したので、ついては引取る為の手続きで戸籍謄本、住民票、印鑑証明が必要なので送ってほしいとの依頼があり了承し、下の妹も同様に兄嫁宛におくりました

姉は兄嫁に言われるまま預貯金先等を回って兄嫁は金額を把握したようです。

その後兄嫁から積極的に帰って来る様に姉への動きは無かった様です。

先日四十九日に皆が集まった際、兄嫁から遺言書が出て来たと言って公正遺言証書が作成(作成日は一年前)されていた。

兄嫁の兄が税理士をしておりその兄が証人もう一人は税理士仲間の方でした。

推定預貯金五千万、不動産三千万のうち兄と兄嫁、その娘二人に行くように明記されて、遺言執行者は兄の娘となっています。

私と妹はそれぞれ百万円となっていました。

お尋ねしたいのは姉を引取らずそして法に疎い姉を操り税理士の兄と結託した兄嫁が、私達姉妹を姉の遺産相続から排除する為に一年半前に兄嫁宛に送った印鑑証明等がまさかの公正遺言証書作成目的に流用されたと思われます

法的に対応できますか。

なお、兄は兄嫁に言われるままの人です。

(もっちゃん)






【公正証書遺言を作成するのはあくまでもお姉さん】

あなたとしては、お兄さんらがお姉さんを引き取ってくれると信じ、その手続きのために必要だということで戸籍謄本等を渡したのですから、それが公正証書遺言の作成に使われており、またその内容はあなたに不利なものであったとなれば、だまされたような気持ちでしょう。

しかし、お姉さんの公正証書作成にあなたの印鑑証明書はいりません

なお、遺言書にあなたが些少な財産を受け取ると記載されているので、あなたの戸籍は公証人に提出する必要がありますが、これも遺言書作成に必要だといえばお兄さん側で取り寄せが可能なものです。

そのため、あなたが印鑑証明書や戸籍を詐取されたということでは、お姉さんの遺言書は無効になることはありません

結論を言えば、遺言を作成するのはお姉さん自身ですので、お姉さんが納得して遺言を作成したのであれば、その遺言は有効だということになります。


【判断能力がない場合には遺言書は無効になるが・・】

お姉さんが兄嫁にだまされて遺言を書いただとか、遺言作成当時、お姉さんに判断能力(意思能力)がない状態だったというような場合には、公正証書遺言は無効となる場合があります

ただ、それを証明するのは、公正証書遺言が無効だと主張する側(本件ではあなた)です。

そのため、お姉さんの遺言書作成当時の判断能力を明らかにするための資料(もし、入院されておればそのカルテ、施設に入っておれば行動記録等)を取り寄せされ、当時のお姉さんの状況を確認する必要があるでしょう。

ただ、次の点は知っておかれるといいでしょう。

公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なって、公証人が遺言者であるお姉さんに判断能力があるか、遺言の内容がお姉さんの意思に沿ったものかどうかを直接お姉さんに確認した上で作成しますので、一般には公正証書が無効にされることは少ないです。

【遺留分減殺請求はできない】

兄弟姉妹の相続の場合、遺留分は認められていません

そのため遺言書が有効なら、貴方としてはその記載に従うしかありません。

あなたとしては前記しているように、お姉さんの判断能力がなかったという点でその裏付け資料をしっかりと収集されるべきでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:50 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★叔父の葬儀費用を請求したい【Q&A №545】

2016/12/02



【質問の要旨】

連絡がとれない相続人に葬儀費用を請求できるのか

記載内容 お葬式代  請求

【ご質問内容】

叔父のお葬式代について質問があります・・・ぜひ回答ください。
まずは必要な情報としてプロフィールを見てください。

【叔父】
離婚歴あり娘が4人で叔父は今は独身
叔父や私たちは娘さんたちとは離婚したあとに連絡先を知らずにとれない状態です
でも娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐとおもいます。

【私の父】
・叔父からみたら弟で男兄弟は父だけ。他の兄弟は叔父からみたら姉が4人います。
お葬式の喪主は父がしてお葬式代を父がだす形になるとおもいます。
ちなみに娘さんたちは探す予定です。財産分与の件もありますので。

ここから質問です。質問は3点あります。

① もし娘さんたちが見つかり、この場合は財産を引き継ぐ娘さんたちにはお葬式代は請求できないんでしょうか

② もし請求ができたら回収できる確率はどれくらいでしょうか?
(前例などあればいけるとおもっていますがこのような少し変わった事例などで裁判費用を回収できたということがあったのなら助かります)

③娘さんたちが叔父の財産を引き継ぐ引き継がないなどの2つのパターンでも請求ができるできないとかなどの選択肢が変わるようなこともあるんでしょうか。

お手数掛けますがどうぞ回答の方をよろしくお願いします。

(ゆき)







【叔父さんが死亡したときの相続関係】

叔父さんが遺言書を作成せずに死亡した場合、配偶者はないため、その遺産は叔父さんの娘4人(以下、娘4人と言います)が法定相続します

あなたのお父さんは、上記娘4人が全て相続放棄をしない限り、相続人になりません


【葬儀費用の負担について】

相続債務であれば、遺産から支払いを受けることが可能です。

例えば、叔父さんの治療費などが生前に支払いされていないのであれば、相続債務として、叔父さんの相続人である娘4人が支払義務を負います。

しかし、葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するものであり、相続債務ではありません

葬儀費用は喪主が負担するものです。

お父さんが喪主になるのであれば、葬儀費用を負担することになります。


【喪主が負担した葬儀費用の請求】

葬儀費用は前記のとおり相続債務ではありませんが、法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、その費用の分担を他の相続人に請求可能かという点については、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いたうえで、他の相続人に分担してもらうことが実務上、多いです

この場合、遺産分割とは別に、その葬儀費用を別途支払いするというのではなく、遺産分割での取得額から分担額を減額するということが多いです。


【今回の質問のケースで葬儀代は請求できないか?】

しかし、今回のケースは喪主が法定相続人ではないため、遺産分割の中で葬儀費用を分担するという実務と同視できないでしょう。

今回のようなケースに参考になる過去の裁判例としては、次の裁判例が参考になります。
【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか(名古屋高等裁判所 平成24年3月29日判決)

この裁判例は、《兄弟の葬儀費用を負担した場合に、その費用を甥姪に請求できない》と判断しましたが、その理由は、《葬儀は行うか否か、どの程度の規模にするか、どこまで費用を掛けるかは喪主が決定するのだから、喪主が費用を負担するのが妥当》というものでした。

この裁判例に従えば、娘4人に葬儀費用を請求するのは法的にはむずかしいという結論になります。

ただ、前記判例では甥姪2人のうち、1人は葬儀に参加していたようですが、2人ともにつき、葬儀費用の分担をする必要はないとの判断でした。

もし、娘4人が葬儀に出席していたのであれば、法的にはむずかしい点はあるものの、請求し 、支払いを拒否されたのに納得できないのであればあきらめるというが妥当なところだと思われます。

なお、お父さんには、葬儀代は返還してもらえない可能性があることを前提に、葬儀の規模や費用を判断するようにアドバイスされるといいでしょう。


【叔父さんが生きているのなら】

ただ、叔父さんが現在も生きておられ、かつ判断(意思)能力があるのなら、現時点で叔父さんと話をし、葬儀費用を預かるといいでしょう。

この場合、葬儀費用としてお金を預かることを明確にし、もし、金銭的に過不足が出た場合にどうするかという点も書面などで明確にしておくといいでしょう。


【娘らが相続放棄をした場合】

仮に4名の娘全員が相続放棄をした場合には、お父さんらの兄弟が相続人になる可能性があります。

この場合、喪主であるお父さんから、遺産分割の際に、葬儀に出席された他の法定相続人に対して葬儀代の分担を求められるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)

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11:09 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★後見人による着服、不正出金【Q&A №534】

2016/10/07



【質問の要旨】

後見人である長男が、母の貯金をおろしていた

記載内容 不正出金 成年後見人 横領

【ご質問内容】

関係者は、最近亡くなった母(被相続人)と4人の子供です。

老人ホームで痴呆状態の母には、3,000万円の貯金資産があった筈(証拠書類あり)ですが、後見人だった長男から、「全て下ろして、貯金は残ってない」と言われ、騒動が続いてます。

過去、長男は母に無断で、キャッシュカードで何回も50万円/日限度に下ろして自分の懐(自分名義口座)に入れてました。気づいた4男が詰問したところ、その事は口頭で白状し、横領行為を認めています。

但しその録音記録はない。

明らかに後見人による業務上横領罪ですが、刑法の規定により、直血の親族、若しくは同居人には、刑罰が免除される、という事で裁判しても勝訴の見込みが立たなく、後見人を除く3人兄弟で困っております。

<質問>

1)裁判において、長男は「お袋に頼まれて、若しくは許可を得て、貯金を下ろした」とウソの弁明で押し通すと思われます。それを崩す方法は何かありますか

2)亡母の生活費、老人ホーム費用は遺族年金で十分に足りており、貯金に手をつける必要は全くない状況でした。

3)亡母の老人ホームでの健康状態、判断能力について、医学的な診断書を準備できれば、(1)の長男の真っ赤なウソを突き崩せるものでしょうか。

4)これから遺産をもらえなかった3人の兄弟が取れる抵抗手段につき、アドバイス下さい。

(庭の千草)







【親族相盗に該当しても、民事裁判で請求が可能である】

成年後見人である長男が成年被後見人である母の預貯金を使ったというケースに関する質問です。

このようなケースでは法律上は刑事と民事の問題の双方から考える必要があります。

民事の問題は、刑事上の問題とは無関係であり、親族相盗例に該当しても民事裁判で損害賠償請求や金銭の返還請求も可能です

参考までに言えば、刑事事件としても、親族が成年後見人の場合には、親族相盗例に該当する場合でも刑罰に問われます

参考判例:
家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項は準用されないと判断した判決として、最高裁平成24年10月9日決定。
コラム【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)もご参照ください。



【成年後見人の使い込みの証明は難しくない】

長男が成年後見人になった後は、母の財産は全て成年後見人の口座に移されます。

そのため、その預貯金を引き出すのは成年後見人以外にはありません

又、施設に入っているということであれば、母のために多額の出費をするということも通常は考えにくいので、成年後見人が引き出した金銭は成年後見人が使ったものと判断されることになります。


【成年後見人になる前の引き出し分について】

成年後見人になる前の引き出し分については、引出者が誰であるのか、又、被相続人のためにつかったのかどうかが問題になります。

使いこんだ長男がウソをつく事態を想定し、予め、これらの点に関する客観的資料(払戻伝票等の文書)を集め、ウソに対処できるようにしておくといいでしょう(当ブログQ&A №362Q&A №317をご参照ください)。


【成年後見人選任前の行為については、母の判断能力が問題となる】

成年後見人がつくということは、母の判断能力(意思能力)がないということです。

長男が、成年後見人がつく前に《母から贈与を受けた》と主張するのなら、その時点での母の判断能力が問題となります。

そのような場合に備えて、母の入通院していた病院や医院のカルテや看護日誌、介護施設の介護記録を取り寄せしておき、母に判断能力がないことが立証できれば、母からの贈与の存在やその効力がなかったことを証明でき、長男に対する反論ができるでしょう。


【長男以外の相続人の対抗手段】

前記のとおり長男が成年後見人になってから以降の引き出し分についての証明はそれほど困難ではありません。

又、成年後見人になる前の預貯金の引き出しに関する対応も前記のとおりです。

問題は、長男が財産を隠すということも想定しておく必要があるということです。

裁判で勝訴し、長男は他の相続人に金銭を支払えという判決が出ても、長男が財産を隠すと、1円も取れない可能性があります。
そのため、長男の銀行口座や不動産等、資産内容をできるだけ早期に確認しておく必要があります。

又、長男が資産隠しをするような気配があれば弁護士に依頼して、仮差押の手続きをしてもらう必要があるということも覚えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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11:17 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★成年後見人に対する損害賠償請求【Q&A №509】

2016/06/17

※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】

後見開始前の不正出金はどうなるか

記載内容  時効 後見人 不正出金

【ご質問内容①】

認知症の母に成年後見人が付いています。(弁護士)

弟2人が、成年後見が開始される2ケ月前、母が認知症になったのを境に、母の預金、国債、年金型生命保険を2,700万ほど勝手に解約しています。

財産保全処分の審判も、成年後見申したてから1ケ月ほどで出ました。

成年後見人と面談しました弟達は、母がくれると言ったので、もらっただけだと言いました。

解約したもので300万で、それ以前にも3000万ほど預金を引き出しています。

2人は、3000万円は母から贈与されたお金だと、認めたとのちに、成年後見人からお聞きしました。

ですが、現時点でも預金が、1億以上あるため返還請求はしないという後見人の判断です。

弟達がもらったというお金は遺産相続時に特別受益として扱う物との判断です。

そこで質問なのですが、現在成年後見人が返還請求をしないと、このお金が、不当利得というものに当たる場合時効がくると、3000万+3000万のお金は遺産相続時には無効になるのでしょうか?

裁判所に申し立などした方がいいのかと思っていますが、よく判りません。教えてください。


【質問の要旨②】

自分が受取人であった保険を成年後見人が解約した

【ご質問内容②】

母に,成年後見人(弁護士)がついております。

母の財産に生命保険の、変額個人個人年金保険GFというものがあり、母自身で加入しました。

一時払い方式で500万円支払、目標額550万円年金支払い開始日 平成29年4月21日となっています。

母がもしも、平成29年4月21日までに亡くなると、死亡保険金受取人である私が550万円を受け取る事になっていました。

平成29年4月22日以降は母の年金として支払われるという保険です。

成年後見人の元に保険会社から目標金額に達したので、年金受け取り開始日を早めることができる旨連絡がありました。

このまま置いておいても1円も増額しないと思い込まれ、解約手続きされ、1年後5、503、630円振り込まれました。

3、630円増額されていました。

母から私に残す保険だからと、聞いておりました。

最近、後見人になぜ解約したのか聞きましたら、【置いていても1円も増額しないと勝手に思い込みました。】と言われました。

平成29年4月21日までにもしも母が亡くなったら、遺産相続の分に組みこまれるお金でなかったが、現在は組み込まれています。

私が遺産相続人になった時には、成年後見人にこの保険の解約の損失550万円を損害賠償できますか?

(アン)






【債権は10年間の時効で消滅】

弟さんたちが引き出した多額の預金が、お母さんの意思に基づかない場合(お母さんが認知症で判断能力がない場合を含みます)、お母さんは引き出した弟さんに対して不当利得返還請求をする権利(債権)を持つことになります。

この権利は10年で時効にかかりますので、お母さんが長生きした場合、時効消滅する可能性があるというのは質問で指摘されているとおりです。


【就任前の不正出金についての成年後見人の動きは鈍い】

不正出金の被害者はお母さん自身であり、あなたとしては法的には何らの権利もなく、後見人が動かない限り、不正出金分の回収もできません。

成年後見人にはお母さんの財産を保全すると役目がありますので、お母さんの預貯金からの不正引き出しがあれば、引き出した者に対して返還を請求するべきだとも言えます。

しかし、成年後見人は将来の財産保全に動くが、過去の財産の散逸については中々動こうとはしないというのが実情です(正確に言えば、後見人次第です。私の経験でも後見人が過去の不正出金を取り戻したというケースが1件だけですが、ありました)。

なお、成年後見人は裁判所が選任するものであり、後見人が職務を果たしていないのであれば、裁判所に事情説明書的なもの(上申書という題名でよい)を提出し、その中でどんな不正出金があったのかを証拠をつけて提出するといいでしょう。

成年後見人が成年被後見人の財産を横領していたというケースですが、裁判所の後見人に対する監督が不十分であったことから後見人の監督裁判所に損害賠償を命じた判決もあります。

参考判例:広島高判平成24年2月20日
家事審判官が、成年後見人が被後見人の財産を横領していることを認識していたのに、これを防止する監督処分をしなかったことは、家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くとして裁判所の責任を認めた。


そのため、上申書が出てくれば、裁判所としても、そのまま放置するのではなく、後見人から意見を聞く可能性が高く、場合によれば後見人が不正出金分の回収に動き出すことも考えられます。


【特別受益と消滅時効】

不正出金分を返還請求する権利は10年で時効にかかりますが、特別受益には時効はなく、10年以上前の生前贈与分でも遺産に持ち戻されます。

ただ、特別受益は被相続人の意思に基づく贈与などで問題にされるものですが、質問の場合は被相続人の意思とは関係なく引き出されたものであり、特別受益ではなく、単なる不法行為等の請求権の問題にすぎないと見れば、10年間で消滅時効になるということも考えられますので、ご留意ください。


【後見人の保険解約等の行為には口は出せない】

お母さんが生きておられる以上、あなたはお母さんの財産について、法的には何らの権利権限もありません。

後見人としてお母さんの財産の維持・保全という立場で対応すればよく、あなたの保険金受け取りにまで配慮して保険を維持する義務はありません。

ただ、お母さんとしてはかなりの財産をお持ちであり、判断(意思)能力があった当時にあなたのことを思って保険に入り、あなたを受取人としていたのであれば、財産が極端には減ったような場合ではない限り、保険解約をする必要もないようにも思います。

しかし、仮に後見人が保険解約をし、それによって受取人であったあなたが損害を受けることになるかもしれないとしても、あなたが法的に損害賠償できません。

このことは、お母さんが、判断能力がある時点で保険を解約した場合に、あなたがお母さんに損害賠償をすることができないのと同じことだと思えば理解がしやすいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016/05/30



【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし
た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)







【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。


【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。


【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます

お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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認知症の診断と遺言能力【Q&A №497】

2016/04/04

【質問の要旨】

認知症との診断書がある場合、遺言は無効か

記載内容  成年後見 意思能力 回復

【ご質問内容】

姉が、母を連れて、認知症の専門医のところに行き、26年9がつ

その診断結果が、

MMSE 29     17(母の数値)   5

1日常の意思決定を行うなめの認知能力
 見守りが必要

2 自分の意思の伝達能力
 具体的な要求に限られる トイレ食事とか

になってました。

それで、姉がそれをもとに、成年後見制度を申請しようとしたのですが、結局しませんでした。

母は、認知症でしたが、買物もでき、自分で判断できる状態で、この診断書とだいぶ、ちがってました。

そして、26年11月に「すべての財産を私に譲る」、という遺言書をかきました。

28年3月

母は、延命治療をやるかどうか聞かれたとき、やらない、といい、おおきな病院に転院しようとしたのですが、その時の紹介状には、(一般医)「軽度の認知症であるが、日常会話もでき、判断能力はある」とかかれてました。

転院はしなかったのですが、このような状態の場合、遺言書はゆうこうでしょうか?

遺言状を執行した場合、姉が認知症の専門医の、26年9がつの診断書をたてに、遺言無効の訴えをおこしそうなので。

成年後見制度を利用できるような状態の場合だと、遺言は無効になるのでしょうか?
(fgfhh)







【認知症だからといって、必ずしも遺言は無効にはならない】

認知症といっても程度があります。

軽度の認知症の場合には遺言をする能力は認められます。

また、成年被後見人がついた場合でも、その方が判断能力(意思能力)を回復した場合には、医師2名以上の立ち会いをし、一定の方式を条件に遺言を有効とする制度も認められています(成年被後見人の遺言制度 民法973条)。

従って、認知症だからといって、遺言が認められないわけではありません。


【認知症の程度を判断する基準・・MMSEと長谷川式認知スケール】

判断能力を判定するものとして、長谷川式認知スケールがあります。

このテストは、30点満点で認知症の程度を示すテストであり、日本で多く採用されています。

今回、認知症専門医で検査されたMMSE(ミニメンタルステートメント検査の略称)というのは、長谷川式にはない図形検査や自発的に文書を書かせるような質問も存在しますが、検査の年月日や場所等の質問をする等、長谷川式と同じ部分も多いです。

長谷川式と同じく30点満点であることや上記のように質問内容がほとんど重なっていることなどから見て、長谷川式認知スケールとほぼ同様のものと考えていいでしょう。

これまでの裁判例を見ると、長谷川式認知スケールについては10点あたりが遺言能力の境目になりそうです。(この点については【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介および【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】をご参照ください。)

お母さんの検査結果がいくらなのか、質問ではわかりにくいですが、仮に17であれば遺言するに足る判断能力がないとは言えない可能性が高く、また、5であれば、よほどのことがない限り遺言能力がない可能性が高いという結論になるでしょう


【紹介状の記載から見た場合は判断能力がありそうだが・・】

お母さんの転院の際の紹介状には「軽度の認知症ではあるが、日常会話はでき、判断能力はある」との記載があるということですので、その約1年半前の遺言書作成時、お母さんは遺言をするに足る判断能力があったように思われます。

しかし、その際、どんな検査をしたのかも知りたいところですし、また、一旦、MMSEで、仮に5点だとされたのであれば、どうして判断能力が回復したのかの説明も必要でしょう。

いずれにせよ、どの時点で認知症のテストをしたのか、どのような検査結果が出たのか、また、入院しているような場合にはどのような言動をしていたのかをカルテや看護記録から探る等、事実を確認して、その結果を総合して判断をするしかないというのが回答になります。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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14:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の預金を使い込んだ兄の言い分【Q&A №495】

2016/03/10

【質問の趣旨】

建築費用は貸金か贈与か?遺産を公平に分配するには?

記載内容 不正出金 親に貸付 寄与分

【ご質問内容】

家内の実父は、約30年前に他界しており、更に1年前に実母も他界しています。

法定相続人は4人です。

長男は、約35年前に実親の家の新築の折、数百万円を借用書も無しに工面したと言っています。

そのお金を今になって「返して欲しい、しかも年5.5%の35年間の複利運用」条件を提示しています。

長男が中心となって作成した父の遺産相続協議の際、そのような負債があることは明らかにしておりません
し、返済請求書もありません。

従って、あたかも親への贈与と思われてもおかしくないものです。負債なら、膨れ上がる前に手の打ちようがあったはずです。

今やその金額は、母親の預金(5千万円)でも不足すると主張する始末です。

まさかと思って、他の兄弟が、銀行(3行)に確認したところ、案の定、母親の死亡1年前からATMから引出限度額で毎日下しており、残額はゼロと判明しております。

亡き母は認知症の為、介護施設に入っており、その支払い等のため銀行カードを長男に預けていたようです。

本件は、母親の預金額に目がくらみ、総取りのシナリオを後付で描いたように思えます。

公平に遺産相続する方法をご教示頂けませんか

(yuzu)







【まず、お金を渡したということを証明してもらう】

最初に、長男さんがお金を貸したかどうかの確認が必要になります

お金を貸したというのなら、当然お金の動きがあったはずです。

長男さんにまず、お金が動いたことの証明を求めましょう。

もし、長男さんがその点を証明できないのであれば、貸金の主張は無視して、遺産分割をすることになります


【贈与か貸金か】

もし、お金をご両親に渡していることが証明されるのであれば、次にどういう趣旨でお金を渡したのかが問題になります。

返還してもらうという前提ではなかったのであれば、長男さんから両親への贈与になりますし、返還してもらう前提なら貸金になります

建築資金ということですから、通常ならかなりの金額になります。

高額の金額にもかかわらず、借用書も作成していない、これまでの35年間返還されていない、という事実を考慮すると、貸金である可能性は極めて低いと思われます。


【複利はまずない】

長男さんは複利を主張されているようですが、そのように主張するのであれば、長男さんとしては貸金であることに加えて利息は複利であり、その利率は年5.5%で合意されていたということを証明する責任があります。

借用書も作らないようなとき、複利というような利息の合意が認められる可能性は皆無に近いと思います。


【貸金や贈与と特別寄与の関係】

仮に贈与があったとすれば、両親はもらった金銭は返還不要ですが、長男さんとしては、そのような金銭をあげたことで、長男さんが特別寄与をしたと主張することができます【コラム】寄与分とは?をご参照ください)。

もし、貸金を立証できた場合には、長男さんはご両親に返還を請求できるということになりますが、ただ35年も前の貸付であれば、特段の事由(例えば時効中断等)がない限り、時効で消滅している可能性が高いです(なお、貸金が時効で消滅していた場合でも、長男さんが特別寄与をしたと主張できる余地があります)。


【今後の取るべき対応について】

お母さんの判断能力がない段階で長男さんが預貯金を引き出していたのなら、お母さんは長男さんに不当利得の返還請求権を持つことになります

お母さんが死亡した場合、その返還請求権は各相続人がその法定相続分に応じて取得し、長男さんに請求することができます

長男さんの態度を見ていると、簡単に返還しそうな感じは受けませんので、遺産分割調停や訴訟等の法的手続きが必要だと思います。

ただ、訴訟して勝訴しても、財産がない場合には強制執行もできません

もし、長男さんの財産(例えば抵当権のついていない土地家屋など)があることが判明しているのであれば、長男さんがその財産を隠してしまう前に、財産の移動を禁止する仮差押え等の手続きを取る必要があります

この手続きはむずかしい点がありますので、弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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16:30 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

内妻が受けた贈与の立証【Q&A No.468】

2015/09/16



 長いあいだ一緒に暮らした彼が亡くなる直前に私に現金を渡してくれました。

 彼の遠い親戚で相続人に当たる人がでてきて、お金の話ばかりします。

 そんな人に法的に権利があって、彼の遺志が踏みにじられるのが悔しいです。



記載内容

  内縁の妻 生前贈与 預金引き出し


【ご質問の詳細】

 肺ガンの余命宣告された彼が、亡くなる前に現金を渡してくれました。

 長い間一緒に暮らし、信頼し合える良きパートナーで、生活費や税金支払い等もその都度頼まれて私がカードで降ろしていました。

 彼の母親の介護も私が引き受けていましたが、後を追う様に数日後、亡くなりました。

 贈与なる最後の預金引出しも私が行い、手渡しで彼から現金を頂きました。

 二人の火葬を行い、火葬費や治療費もその中から支払っています。

 やがて遠い親戚の相続人(50年以上も会っていない従兄弟)が現れ、預金の流れや資産の事ばかり気にしています。

 病床で話合い、互いに納得して頂いた現金ですが、正当な贈与だと確信を持って良いでしょうか?

 私宛のメール(エンディングノートのような内容)に同様の記載があります。

 自分が居なくなった後の生活を心配してくれる感謝の気持が大きく、彼の手で現金の重みを感じ取ってもらってから受け取りたかった事が真実です。

 生前に司法書士に依頼するように言われましたが、在宅緩和ケアで付きっきりの看病の中、法的な手続きする事など考えにも及びませんでした。

 何より相続人となる従兄弟が、故人を偲ぶより、資産の事ばかり気にしている事が腹立たしく、そんな人が法的には権利があり、彼の遺志まで踏みにじられてしまうのは無念でなりません。

 今後どう対処すれば良いでしょうか?

 どうか宜しくお願い致します。

(ラベル)







【内縁の妻は相続では保護されない】

 質問から見ると、あなたは《内縁の妻》という立場になります。

 内縁の妻には相続分はありません。

 もし、内縁関係にあるのなら、彼に遺言書を作成してもらう、あるいは贈与契約書を作成すべきでした。

 あなたとしては相続という主張はできず、生前にあなたに対する贈与があったのかどうかが証明できるかどうかが焦点になります。





【残っている彼の物は相続人に引き渡す必要があります】

 これまで彼に全く見向きも付き合いもなかった親戚が急にお金のことにこだわってくると、今まで介護に苦労されていたあなたが腹立たしく思われる気持ちはよくわかります。 

 しかし、相手方のいとこが相続人(正確には、彼の相続人であるお母さんの相続人)であれば、彼が残した遺産は衣類や家具から預金通帳まで、すべて相続人であるそのいとこに権利が帰属します。

 そのため、法的には相続人から「彼の遺品である預金通帳などを渡せ」と言われれば拒否するのはむずかしいでしょう。





【贈与を裏付ける証拠がどれほどあるかの勝負です】

 あなたが彼の死亡直前に受けた生前贈与ですが、引き出し当時のカルテなどから彼がまだ正常な判断能力を有していたのであれば、贈与として認められる余地があります。

 問題は、彼があなたに贈与したという点をどのように証明するかということです。

 彼からのメールに贈与する理由や動機などが記載されていればそれも証拠となり得ると思われます。

 現時点で彼は死んでいるのですから、残された証拠で反論するしかありません。

 もし、相手方が弁護士を立てて本格的な返還請求を行う可能性が高いのであれば、あなたも早めに弁護士に相談し、どのような手段で贈与を立証できるのか対策を立てておかれるといいでしょう

(弁護士 大澤龍司)
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13:23 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

株式の名義を勝手に変更された【Q&A №421】

2014/12/24



 私は被相続人の養子です、被相続人には子供はいません相続人は私と被相続人の妻だけです、(被相続人は平成26年9月に死亡)被相続人の妻が被相続人死亡後株は私の名義に変更したと言ってるのですが私の同意なしに株券の名義変更ができるのでしょうか、預貯金や有価証券は生前から妻が管理していました、名義変更したものは元に戻せないのでしょうか、戻せるとしたらどのようにすればよいのでしょうか
 お尋ねいたします、よろしくお願いします。


記載内容

  株式 遺言執行者 名義変更

(maakunn)


【公正証書遺言で遺言執行者が指定なら、同意なしで移転する・・上場株式の場合】
 「株式の名義が《私》に移転した」と質問に記載されています。
 この場合の《私》は妻のことを言っているのか、それとも《質問者のあなた》のことを言っているのかわかりにくので、場合を分けて回答します。
 なお、最初に上場株式について述べ、非上場株式については後に項を変えて述べます。

1)まず、妻の名義になっている場合
 あなたの知らないうちに遺産である株式が、《妻》の名義に移るということですが、結論から言えば、
①公正証書で遺言されていること
②遺言執行者が指定されていること。
という前提であれば、あなたの知らないところで妻の名義に株式譲渡がなされている可能性があります。
 参考までに言えば、自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認手続(相続Q&A №121を参照)が必要であり、その際、全法定相続人等に裁判所に出頭するようにとの通知がきます。
 今回、そのような通知が来ていないということであれば、検認手続きが不要な公正証書遺言に基づく手続きがなされたのだと思います。
 なお、遺言執行者は遺産目録を作成し、法定相続人等に交付する義務(民法1011条。末記に記載している条文を参照ください)がありますが、弁護士などの法律専門家が遺言執行者の場合は別として、目録を実行している人はあまり多くありません。

2)次に《質問者であるあなた》の名義にしたというのは可能性が低いでしょう。
 株式の名義を移転するにはあなたが証券会社に口座を持っている必要があります。
 あなたが持っている口座を妻が知っているのも考えにくく、また、口座がない場合にあなたの同意なしにあなたの口座が作ることは不可能です。
 いずれにせよ、あなたの関与なしに、あなたに株式が譲渡されている可能性はないでしょう。

【株式を取り戻すためには・・・上場株式の場合】
 実際に妻に株式の名義が変更がなされてしまった場合には法的手続きが必要になります。
 ただ、その前に、被相続人がどこの証券会社のどこの支店に株式を持っていたのかを知っておく必要があります。
 もし、被相続人の自宅にその証券会社からの手紙等が来ているのであれば、法定相続人としてその会社に照会をかけ、譲渡に関する事実を調査する必要があります。
 次に、株式の譲渡が判明した場合には、その株式の譲渡を無効や取り戻すことを考える必要があります。
 通常は、無効や取戻しになる理由としては次のものが考えられます。
①遺言書で遺産の大半が妻のものになっているのなら、遺留分減殺請求(「相続コラム:遺留分とは」参照)
)をし、本来の法定相続分の半額(遺留分)の限度で株式を取り戻す。
②被相続人が遺言書を作成した当時、判断能力(意志能力)がなかった。
 また、今後、妻が株式を譲渡したり、他の財産を処分したりすることもあり得ますので、必要に応じて株式譲渡をしないようにする仮処分申し立ても必要になる場合もあります。
 ただ、遺留分にせよ、意志能力にせよ、また、仮処分にしても、素人では対応が難しいので、相続に詳しい弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

【上場株式ではない場合】
 前項では、上場株式を前提に記載しました。
 上場株式でない場合には、妻とあなたとの間で、遺言書や遺留分を反映させた遺産分割協議書を作成し、株式の帰属をはっきりさせるといいでしょう。
 もし、妻が遺産分割協議書の作成に応じず、《あなたの株式》にしたことが間違いないというのであれば、その旨の確認書を作成してもらうといいでしょうし、今後、その会社の株主としての権利を行使して、株主としての実績を作り、株主総会で役員に選任されて活動されるといいでしょう。
 また、《妻》の名義にしたというのであれば、遺留分減殺の手配や意思能力を見極めるため、必要に応じて弁護士と相談されるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1011条 (相続財産の目録の作成)

 第1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

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17:12 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

脳梗塞の父から後妻が生前贈与を受けた【Q&A №398】

2014/08/25
 7年程前に重度の脳梗塞で倒れ介護生活を送っていた父が、半年前に亡くなりました。父は再婚で私には継母なのですが、その継母には娘(継母の連れ子)がいます。
 その連れ子と父が、脳梗塞で倒れた翌月に養子縁組をし、その半年後には継母と連れ子の名義で土地と家屋を購入するために、父の預金から継母と連れ子に現金を生前贈与していた、という事実を父が亡くなった数日後に初めて知りました。連れ子が嫁いでからの父の再婚だったので、連れ子は私や父と暮らした事もありません。父は重度でしたので半身麻痺、言語障害、記憶障害などがありました。連れ子は弁護士をたてて手続きをしたと言っています。そして私が7年間知らなかったという事を、自分も知らなかった事を知らなかったと、とぼけています。継母とは口をきいていません。
 土地と家屋は合わせて約5000万一括払いです。継母と連れ子でどんな割合で贈与してもったのかわかりませんが、この度の遺産分割で「遺産は預金400万で、あなたの分は100万」と言われました。あまりに不公平ですし、当時の父の状況からは考えられない疑問も多々あります。持ち戻し及びこの場合、遺留分減殺請求はでき・・・

記載内容

脳梗塞 生前贈与 意思能力
(にこりん)


【あなたの相続分は400万円である】
 本件では後に述べるように、
①お父さんの意思能力(判断能力)があったのか。
②遺留分減殺請求をするとどうなるのか。
という問題があります。
 ただ、その前にこれらの点を問題にしない場合のあなたの相続額を考えてみます。
 後妻と養子になった娘が生前に5000万円の贈与を受けていますので、その分は特別受益として遺産に持ち戻されます。
 そうするともともとの遺産額400万円にこの持ち戻しされる遺産5000万円を加算した額がみなし遺産になり、その額は5400万円になります。
 そのため、あなたと後妻の娘の計算上の相続分はこの4分の1である1350万円、後妻は2分の1の2700万円となります。
 後妻とその娘に対する生前贈与は合計で5000万円というだけで、その明細が不明です(簡単に推測する方法としては登記簿謄本で持ち分割合を確認されるといいでしょう)が、仮に後妻が2700万円の以上の贈与を受け、娘が1350万円以上の贈与を受けていた場合、いずれも計算上の相続分を取得していますので、後妻も娘も、今回の400万円から遺産をもらうことはできません。
 後妻側の主張するあなたの取り分100万円というのは間違いであり、あなたは今回の相続で400万円全額を取得することができます。

【意思能力喪失による贈与及び養子縁組の無効】
 ただ、問題は、生前贈与あるいは養子縁組した時にお父さんに意思能力があったかという点です。
 もし、意思能力がなかったらこれらの行為が無効となり、贈与分の返還を請求でき、また、養子縁組も無効となるため、後妻の娘が法定相続人でなくなります。
 お父さんは脳梗塞で言語障害や記憶障害があったというのであれば、養子縁組及び贈与当時、入院していた病院や入所していた施設のカルテ、介護記録等を取り寄せされて、お父さんの意思能力がどの程度であったかを判断されるといいでしょう。
 意思能力の有無に関する検査として有名なのは長谷川式認知スケールという検査(30点満点)です。(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)
 カルテにそのテスト結果が記載され、その点数が10点以下であれば、意思能力はなかったとされ、養子縁組や贈与が無効とされる可能性が高くなります。
 もし、贈与と養子縁組が無効になった場合にはあなたは5400万円の半分である2700万円の遺産を相続できますし、仮に贈与のみが無効となった場合でも1350万円の遺産をもらうことができます。

【遺留分減殺請求について】
 仮にお父さんに意思能力があった場合の対応としては遺留分減殺請求が可能です。
 被相続人の有していた財産のうち、ある一定限度を法定相続人(子などの直系卑属や父母等の直系尊属)にもらえることを認める制度です。
 今回の相続では被相続人に配偶者がおり、子が2名のケースですので、あなたの遺留分は全遺産(この場合の遺産も、 現在の遺産額に生前贈与分を持ち戻し加算した計5400万円になります)の8分の1の675万円ですが、あなたは今回の相続で400万円をもらえますので、残りの275万円を後妻及びその娘に遺留分返還請求することになります。

【その他の主張として、贈与の意思がなかったということも・・】
 その他の主張として、お父さんに仮に意思能力があったとしても、贈与の意思はなかったということも可能かもしれません。
 銀行の払い戻し伝票あるいは送金書類の筆跡がお父さんのものではなく、また、当時のお父さんの経済状況からみて、そのような多額の金銭を贈与できない、さらに言えば、贈与税の支払いもしていない等の事情があれば、お父さんとしては贈与を知らず、後妻らがお父さんに無断で金銭を動かしたのだという点を主張することも可能かもしれません。

【弁護士に相談を】
 今回のように、贈与等の無効を主張したり、遺留分減殺請求をするというのであれば、法的な知識と判断が必要になります。
 そのため、あらかじめ相続に詳しい弁護士と法律相談をし、詳しい事情を説明されるといいでしょう。
 適切なアドバイスをしてくれると思います。
大澤龍司法律事務所
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17:25 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

孫への贈与と遺留分減殺請求【Q&A №353】

2014/03/06
 姉が一人おり姉には成人した子供が一人。私は現在海外に住んでいて父の死後、母と姉家族が同居。以前母から手書きで不動産の1~2(同居している家等)を姉に、3,4を私に、5の土地を孫(姉の子)にと書かれたメモを受け取り母の意思ならば従う気持ちでおりました。今回姉の話で私に相続させると書かれてた土地の1つを母の弟がお金が必要で自分の土地と母の土地を合わせないと売れない事を理由に要求して来た結果、印鑑を捺して売った。姉夫婦が面倒な対応を引き受けたと聞き初めて知らない間に売られていた事を知りました。孫の大学の学費は母が全て出したと母がしっかりしている時に母から聞いており、今回ご相談したい気持ちになりました理由は今回の訪問時『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙を私に見えるように貼ってあるのを見たからです。このような状況から全ての不動産を姉や姉の子供の名義に私の知らぬ間に(母の捺印済みで)変更されていた場合、私への遺産相続のはどうなるのか?そうなっていた場合私が母の意思であった一部でも相続できる為の手段と裁判になった際の費用等をご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
 母や姉に直接この話を問うことは姉の性格上、そして母が老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております為、不可能だと考えております。

記載内容

 贈与 遺言書の有効要件 遺留分減殺請求 自筆のメモ 貼り紙 意思能力
(涙)


【メモは遺言書にはならない】
 遺言書が有効であるためには最低限、①日付があり、②氏名が自書され、③印鑑が押されていることが必要です。
 お母さんが不動産を、法定相続人であるあなたやお姉さん、お孫さんに分けるとの手書きのメモを書いていたようですが、単なるメモでは遺言書にはなりません。
(又、仮に遺言書であっても、該当不動産が売却されているのであれば、遺言書のうちのあなたに不動産を相続させるという部分は効力を持ちません。)

【貼り紙も遺言書にならない】
 《『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙》が貼られていたとしても、冒頭に記載した遺言書の有効要件を充たしていない限り、それは単なる《貼り紙》であり、遺言書ではありません。
 そのため、お母さんが死んだ後、お姉さんがこの《貼り紙》を根拠にして、お孫さん(お姉さんの子)に不動産を相続(遺贈)させることはできません。
 あなたとしては、遺言書ではないのだから、そんな貼り紙はなんらの効力がないということで対応されるといいでしょう。

【遺言書が存在する可能性もあるが・・・】
 ただ、お姉さんの動きを見ていると、遺産である不動産を全部、取り込みたいようです。
 このような状勢からいえば、既に要件を充たした自筆の遺言書あるいは公正証書遺言が作成されている可能性も否定できません。
 お母さんの死後、遺言書が出てきて、そこには、遺産の全部をお姉さん側に相続させる(遺贈する)というような内容だった場合でも、あなたには《遺留分減殺請求権》があります。
 この権利は、本来の法定相続分(本件では相続人はお姉さんとあなたの2人なので2分の1)の半分(4分の1)の限度で、遺産をもらえるという制度です(「相続コラム:遺留分とは」参照)。
 ただ、遺留分減殺請求ということになると、専門家である弁護士の助力が必要であると思われますで、遺言書がある事が判明し、その内容があなたに不利ということなら、早めに相談し、必要に応じて委任をされるといいでしょう。
 なお、弁護士費用は、弁護士により異なり、又、あなたが受け取る金額によっても違いますが、総額でいえば、あなたが受け取る金額の10~20%の程度のことが多いでしょう。

【遺言書を無効にする証拠を集める】
 判断能力がないときに書かれた遺言書は無効です。
 現状では、お母さんが《老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております》ということのようですが、もし、可能であれば、お母さんの判断能力を調べるテスト(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)を受けて頂くことも考えておくといいでしょう。
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16:28 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★消えてしまった母の預金【Q&A №330】

2013/11/25
 昨年10月に母が亡くなり、現在遺産分割調停中です。姉(三女)は実家の隣に養子義兄と住み母の面倒を見てました。葬儀の後預金通帳を見せず隠したり破ったり、履歴を改ざんしたりしてました。一度は使い込んだことを認めましたが、後日弁護士をたて、母の同意のもとに引き出したといいだしました。
 平成13年、母は転倒した事がきっかけで認知症が出ていました。正常な判断はできなかったと思います。姉夫婦が使った金額は12年間で2~3000万円はあります。先日、留守中に入るとこまるからと実家のカギをつけかえたと言われました、母を参ることもできません。遺産は姉夫婦も平等に分けないといけませんか。。使ったお金を取り戻すことはできないのでしょうか。
 鍵の件は住んでるものが優先すると相手方の弁護士に言われました。残ったお金は3人(4人姉妹)で分けたいと思うのですが法的にどうなんでしょうか。

記載内容

預金 使い込み 認知症
(ひまわり)


【不正出金か?特別受益か?】
 ご相談いただいたお母さんの預金からの多額の出金が、お母さんに無断(あるいは認知症で判断能力を失っていた状況下)であった場合、お姉さんが不正出金したものとして、お姉さんに対して不当利得の返還請求ないし損害賠償請求をすることが可能と思われます。
 正常な判断ができたかどうかは、当時の事情を知る人や、転倒時に通っていた病院のカルテなどから判断する必要があると思いますので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
 他方で、相手方弁護士が主張するとおり、お母さんの同意を得て引き出したと言うことであれば、(使途にもよりますが)お母さんからお姉さんへの生前贈与があったとされる可能性が高いように思います。その場合、いわゆる特別受益として、お姉さんが本来相続する財産を生前に前渡ししたかのような扱いがなされる可能性があります。

【特別受益を考慮した遺産分割を】
 仮にお姉さんの出金が特別受益にあたるとされた場合、相続分に関しては、現存する遺産を平等に分けるのではなく、お姉さんの相続分はすでに前渡しされているかのように扱い、遺産分割をすることになります。現時点でどの程度の預金が残っているのかは定かではありませんが、もし生前贈与の額が遺産の大半に及ぶ場合であれば、現時点でのお姉さんの相続分は残っておらず、結果として現存する遺産を他の3人の姉妹で分割することになることもありうるでしょう。

【それでもお姉さんの合意が必要】
 ただ、仮にお姉さんの相続分が残っていないとした場合でも、お姉さんが相続人であることに変わりはありません。そのため、他の3人の姉妹で遺産を分けるとした場合でも、お姉さんから遺産分割内容について同意してもらう必要があることにはご注意下さい。
 なお、実家の鍵については、基本的に居住者であるお姉さんが立ち入りを認めなければ、たとえ親子(さらには兄弟)であっても、お参りという理由があっても立ち入りはできません。そのため、鍵を変更されたとしても違法ではありません。
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14:38 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母と夫の共有地の相続【Q&A №303】

2013/07/24
 母所有の土地に、母と夫が1/2の所有の持ち家です。
 母は認知症ですが、15年ほど前にこういう状態になった(認知症や兄弟間の揉め事)場合の話し合いが母と夫の間で出来ていて今、登記証は夫がその時から預かっています。そして、この土地と建物は夫が相続するということは、兄も承知しています。
 老朽化で家の建替えを検討した結果、ローンのことや老後の生活も考えサブリースのマンションにすることを決めました。
 不測の事態でローン返済が母に及ぶのを防ぐため、母名義の部分を夫名義に書き換えたいのですが、兄が法律違反だということで拒否されています。契約金はすでに支払っているので解約はしたくありません。兄は後見人ではありません。先日、改めて母には許可をもらっていますが、兄が印鑑を隠しています。困りました。

記載内容

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(たまこ)


【認知症はどの程度なのか】
 認知症には程度があります。
 現時点で、判断能力(意思能力)が全くない状態なのか、それともそうではないのかを確認する必要があります。
 意思能力の有無により回答が異なります。
 なお、意思能力の判断方法としては当ブログの「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」をご参照ください。

【意思能力がある場合】
 お母さんの意思能力があれば、お母さんの同意を得て、不動産の名義変更等をすればよく、また、お兄さんにはお母さんから印鑑(実印)の返還を求めることで問題は解決するでしょう。
 それでも、お兄さんが渡さないというのであれば、実印を紛失したとして、新たに印鑑登録の手続きをするといいでしょう。

【意思能力がない場合】
 お母さんに意思能力がない場合には、お母さんの所有する建物持分や土地所有権をあなたのご主人に移転することはできません。
 お母さんの所有しているこの土地及び建物持分については、あなたのご主人が相続することになっており、それをお兄さんも承諾しているということであっても、現時点では、お母さんは生きておられ、相続は開始していませんので、お母さんが権利者です。
 そのため、権利移転はお母さんの意思を無視してはできませんし、お母さんの意思能力がない場合には権利移転は不可能です。
 お兄さんの法律違反というのは、このような点を指摘しているのでしょう。

【成年後見人の選任しかないが・・】
 家庭裁判所にお母さんに成年後見人をつけるように申立てをすることも考えられます。
 しかし、後見人はお母さんの現在の財産を維持保全するのが目的です。
 新たなサブリースマンションを建築するために、お母さんの権利をあなたのご主人に移転するというのであれば、後見人としては監督する家庭裁判所にお伺いを立てることになりますが、そのようなお母さんの財産が減少するような行為を裁判所が認めるとは思われません。
 結局、お母さんの意思能力がない場合には、権利移転をすることは難しいというのが結論になります。


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13:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

贈与を装って母の家を売却【Q&A №287】

2013/06/19
 50代主婦。二人姉妹の妹が母が施設に入所する際、生前贈与を母から受けたとして、家、土地を名義変更し売買していた事がわかりました。母は売られたことは知りません。また、母が加入していた入院給付つきの保険も解約されていました。母は再
婚し義理の父が亡くなったあと1人で暮らしており私たちは養子縁組をしていなかったので後継人制度を申し込む事になり、私は署名捺印し郵送しましたが申し込みはされていませんでした。
 施設入所も実家のかたずけも一切知らされず、こんな事は許されるのでしょうか?保険の解約は母が具合が悪くなり病院に搬送された時わかりました。実家は遠方で私たちは東京在住です。

記載内容

生前贈与 意思能力 情報提供 保険解約


(ママつる)


【お母さんに判断能力はあったのかが問題】
 お母さんの不動産が妹さん名義になったということですが、その名義変更をした時点で、
① お母さんが本当に贈与をする意思があったのか。
② また、お母さんに正常な判断能力(法的には意思能力といいます)があったかどうか
が問題となります。 
 このうち、①については、お母さんが死亡していれば、《贈与する意思がなかった》という点の証明が困難です。
 そのため、②の意思能力のなかったことを証明して、生前贈与が無効であるという主張をするといいでしょう。
 意思能力の有無については、介護施設に入所された当時の記録を施設や病院から取り寄せて、判断することになります。
 もし、お母さんに意思能力がなかったのであれば、お母さんから妹さんへの名義移転は無効であり、また、第三者への売買も無効になり、その不動産が遺産として戻ってくる可能性があります。
 ただ、この意思能力の判断や資料の取り寄せは難しいので、できれば法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

【保険解約について】
 保険解約についても、もしお母さんの意思に基づかないか、あるいはお母さんに意思能力がなければ、解約は本来、無効です。
 ただ、現実に保険が解約されているのであれば、妹さんが受け取った返戻金があればその半分の返還請求をすることが可能です。
 不当利得返還請求あるいは不法行為の返還請求というものですが、弁護士に相談される場合には、この点も相談されるといいでしょう。

【法的な情報提供義務はない】
 妹さんとしては、お母さんを施設入所させ、実家の片付けをしたようですが、常識的に、姉であるあなたにこのような事実は知らせるべきことです。
 ただ、法的な義務があるかといえば、そこまでの義務はありません。
 お母さんが自宅を処分する際に、妹さんに贈与するということを知らせる義務があるかといえば、やはりそのような義務までは法的にはありません。


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16:30 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正出金を止める手段【Q&A №280】

2013/05/27
義理の父は痴呆で名前がかけないはずです
なのに義理の母とその家の嫁が今かなりの貯金をおろしています
家の嫁は家を継ぐように委託されています
どのような場合そういう権限があるのですか
この場合違法ではないのでしょうか

もし違法なら父の死去時何をすべきか

あと母の貯金も毎月かなりの額減らしています
たぶん遺産分けの時にはほぼ空っぽです
生活費以上は説明責任があると聞きましたが本当ですか
母の死去時はどうすればいいですか

義理の兄が7年前なくなり保険が1.3億入ったようです
二人兄弟で主人も印を押しました
こちらも父がかけたお金は遺産として考えられないでしょうか
知り合いが言うには義理の父の医師の証明が決めてだそうです
グレーゾーンのようで ただ黙ってみているのがつらいです

まるで死ぬのを待っているようです

記載内容

不正出金 成年後見人 認知症 生命保険 保険料 


(そらすら)


【どの程度の認知症かを検査する】
 義理のお父さんが認知症であり、その程度が高度(ひどい)場合には、判断能力(意思能力)がないということで、義理のお父さんの行為は無効になります。
 義理のお母さんが、義理のお父さん名義の預金を引き出すには委任状が必要ですが、お父さんの判断能力のない場合には委任状が無効になります。
 そのため、まず、義理のお父さんの認知症の程度を調べる必要があります。
 可能であれば、お医者さんに検査をしてもらってください。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストをしてくれるはずです。

【ひどい認知症であった場合は成年後見の申し立てを考える】
 長谷川式認知スケールは30点満点ですが、10点以下である場合には意思能力なしとして扱われる可能性が高いです。
 認知症が原因で、名前も書けないという程度なら10点以下の可能性が高いでしょう。
 その場合には家庭裁判所に成年後見申立の手続きをしましょう。
 裁判所は義理のお父さんの財産を管理する成年後見人を選びます。
 成年後見人は、義理のお父さんの財産(たとえば預金や保険など)を全部確保し、後見人の名義にして管理しますので不正出金ができなくなります。

【家を継ぐように委託されても、預金引き出しの権限はない】
 「家の嫁」は家を継ぐように委託されているということですが、誰から委託されているのでしょうか。
 もし、ひどい認知症である義理のお父さんからであれば、意思能力なしとして、そのような委託は無効になります。
 委託が有効であったとしても、「家を継ぐように」ということだけであれば、預金の引き出しまではできず、「家の嫁」は権限外の違法行為をしていることになります。
 義理のお母さんと「家の嫁」が違法な出金をしている場合、義理のお父さんが死亡後にその出金額を調査し、損害賠償を請求することになります。
 法的に言えば、「不当利得返還請求」あるいは「不法行為による損害賠償請求」をすることになります。その場合、請求できるのは、不正出金額のうち、請求者の相続分に相当する金額です。

【お母さんの預金引き出しについて】
 お母さんの預金の引き出しがされているようですが、お母さんが正常な判断能力があれば、これは違法にはなりません。
 自分の財産をどのように使おうと誰も文句はいえないからです。
 なお、お母さんが死亡したときに預金が全部出されていたという点ですが、お母さんの意思に基づいて誰かに贈与されていたということであれば、相続人には遺留分が認められていますので、相続人が子であれば、法定相続分の半分の返還を求めることができます(遺留分減殺請求といいます)し、他方、お母さんの意思に基づかない引出であれば、義理のお父さんの場合と同様に不当利得返還請求や損害賠償請求ができます。
 「生活費以上は説明責任があるという言い方も聞きました」ということですが、このような説明責任はありません。
 むしろ、遺留分や不当利得等の請求をする側が、生活費以上の金銭を引き出したという点を立証する必要があります。

【保険金は遺産の対象外である】
 義理のお兄さんが亡くなり、その死亡保険金が入ってきたということですが、死亡保険金は原則として遺産にはなりませんし、義理のお父さんがそれまでに支払った保険料も特別受益になることはありません。
 保険金と遺産の関係でいえば「義理のお父さんの医師の意見が決め手」ということはありません。



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11:31 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★先妻の子が預金を取り込んだ【Q&A №209】

2012/10/30
 叔母の遺産を相続人でない人が譲り受けたと主張しています
 最近亡くなった叔母の遺産についてです。叔母は若い頃に結婚しましたが子どもはいませんでした。ご主人は数年前に亡くなり、その方には以前の結婚でのお子さんが一人いましたが、お子さんが小さいときにも一緒に暮らすことは一度もなく、養子縁組もしていなかったことが分かっています。ですが、叔母は夫のお墓に入るわけですから、そのお子さんが葬儀と納骨までを執り行いました。叔母の遺産はたくさんあったことを親族は皆知っています。時々出入りするそのお子さんに対して叔母は好ましく思っておらず、以前に入院したときにはその方が通帳を見つけないようにと預かったことのある兄弟もいます。今回、最後の入院ではそのような話にはなっていませんでしたが、入院中のある日、その前妻とのお子さんが、頼まれて全額引き出し譲り受けたと主張しています。金額は言いません。そもそも叔母が持っていた多額のお金は、亡くなったご主人とは関係がなく、正しく叔母の兄弟みんなの共同のお金でした。文書で取り交わしたものはありませんが、いろいろと証明する証拠は国に請求すれば得られるはずのものです。生前に叔母がその人に譲るいわれも全くないお金ですが、亡くなった人は証言できません。お尋ねしたいのは、このような相手の主張が通るのかと言うことです。今現在は叔母名義の解約済みの口座迄を含めて過去に遡って調べてもらっているところです。

(hahahan21)



記載内容

先妻の子 財産隠し 預金の取り込み 仮差押
【贈与を裏付ける証拠はあるのかがポイント】
 今回の質問では、預金を全額引き出したことははっきりとしていますので、引き出した先妻の子の方で、贈与でもらったのだ、ということを証明する必要があります。
 質問内容を前提にすると、叔母さんが先妻の子供さんに贈与をするような状況ではなさそうです。
 贈与の時期、贈与するに至った動機、贈与の遺産全体に占める割合なども考慮して判断されることですが、先妻の子供さん側としては贈与するという手紙とか贈与証書とかを出してこない限り、叔母さんから贈与を受けたということの証明は難しいでしょう。
 なお、叔母さんの死亡直前の贈与ということであれば、叔母さんの判断能力が十分であったのか、という点も確認する必要があるでしょう。

【取り返すには法的手段が必要となるでしょう】
 贈与を証明できない限り、預金の引き出し分は、叔母さんの意思に反した不当な引出であり、叔母さんには返還請求権がありました。
 ただ、叔母さんは亡くなっておりますので、本件では相続人が返還請求することが可能です。
 問題は、先妻の子がその引き出したお金を使ったり、隠したりしないかということです。
 そのような恐れがあるのであれば、訴訟などをする前に、先妻の子の預金口座などの財産を処分させないよう凍結させておく必要があります(このような手続きを仮差押えといいます)。
 もし贈与でないとしても、相手方はそう簡単にはお金を返還しないでしょうから、早期に弁護士と相談し、訴訟などの法的手続きを依頼するとともに、その前に仮差押えで財産がなくならないようにする必要があります。
 いずれにせよ、本件のような場合には、話し合いよりも前に仮差押え、というのが鉄則であるということは覚えておいていいでしょう。

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10:50 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★法定相続人でない親戚が介入・・解決法は?【Q&A №108】

2012/01/16

 義父が亡くなりました。残されたのは義母、長男(私の夫)、長女です。
 義母は重度の精神病で、そして長男も精神病になった事があります(今では普通に仕事もし、なんの問題もありせん)。長女は国際結婚をして日本やアメリカを行き来しています。
 義父が亡くなった際に、何故か、義母の兄夫婦が先頭をきって、しなければならない手続きや色々な名義変更などをしています。
 義母が病気の為出来ないのは分かりますが、長男(夫)がやりたい、知りたいといっても教えてくれません。遺産がどれだけあるのか聞いても、まったく教えてくれないのです。知る権利はあると思いますが・・
 そして、最近義母が口をすべらせ、「遺産のこと弁護士に頼んだ。」といいました。
 夫が伯父に何を頼んだのか聞いても、 教えてくれないのです。
 私は嫌な予感がしたので調べてみたら、後見人制度というものがありました。伯父は後見人になろうとしているのかもしれません。
 この場合、私たちには なんの相談や許可なく勝手にできるものなのでしょうか? 通知などが来る事はないのでしょうか?
 また、今回義母がいいなりになった伯父が、私たちに何の相談や許可もなく弁護士を雇いました。それなのに報酬を払うことになるのでしょうか?
 さらに、遺産がどれだけあるのか知る権利や、方法はないのでしょうか?
 なお、遺言はありませんでした。
 よろしくお願いします。


記載内容

  意思能力 相続人 遺産調査
 
(nami)


【ご主人に遺産を調査する権利があります】
 ご主人は義父の相続人ですので、義父の遺産を調査することができます。
 預貯金などについては、古くは相続人全員の同意がないと調査できなかったのですが、最近は、ご主人が単独で調査が可能ですので、ぜひ銀行などに死亡時の残高や生前の取引履歴などを確認するとよいでしょう。

【出金等の手続には相続人全員の同意が必要です】
 本件では遺言がないということですので、銀行は相続人全員の署名及び実印の押印された同意書がなければ名義変更にも、また、払い戻しにも応じません。たとえ弁護士に依頼したとしても、義母からの依頼だけでは預貯金を引き出すことはできません。
 また、遺産に不動産があった場合でも、ご主人と長女の同意なしに義母の単独名義に登記することはできません。
 義母の兄夫婦(以下、伯父夫婦といいます)がなんらか手続きをしているとすれば、義母の代理人として遺産の内容の確認と、次に述べる成年後見の手配だと思われます(なお、死亡届などの市町村への届け出の可能性もありますが)。

【義母の判断能力を検討する必要があります】
 義母が強度の精神病ということですので、伯父夫婦としては成年後見選任申立の手配をしている可能性があります。
 伯父夫婦は、義母の「四親等内の親族」ですので、成年後見の申立をすることができますので、同夫婦が弁護士に依頼している可能性が高いです。
 なお、成年後見人の決定については、家庭裁判所はかならずあなたのご主人や長女に連絡し、成年後見申立があったこと及び成年後見の候補者として指定される者についての意見を求めます。
 その際に、「後見人は弁護士や司法書士などの第三者にすべきだ」などの意見を示されるとよいでしょう。
 なお、この申立や弁護士費用は、伯父夫婦が依頼するのですから、同夫婦が独自に負担するべきものであり、ご主人が負担する必要はありません。
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18:16 遺産分割 | コメント(2) | トラックバック(0) | 編集

帰化前の姓で書かれた遺言の効力【Q&A №56】

2011/01/21

 亡父の公正証書遺言があります。
 私は在日で10年以上前に帰化しています。帰化手続き後、父にそのことは報告済みですがどうしたことか遺言書には私の結婚後の姓と帰化前の名前が私の姓名として書かれて帰化後の戸籍上の名前とは異なっています。
 この公正証書遺言は有効でしょうか。
 遺言作成時の判断能力にも疑義を持っています。
 相続税の申告書には遺言書に記載の名前を書くのでしょうか。その場合遺言書を認めたことになるでしょうか。


記載内容

  人物の特定 遺言能力 相続税申告 
(雪うさぎ)


【正式な戸籍上の氏名と遺言書の記載が異なる場合】
 受遺者(遺産をもらう人)の氏名が正式な戸籍上の氏名と違っていても、遺言書全体から見て受遺者が誰かを特定できるような場合、遺言書の受遺者についての記載部分は有効です。
 例えば、氏名の記載が違っていても、生年月日や続柄(「長女」など遺言者との関係)も考慮した場合、その遺言書に記載された氏名の人を特定できる場合には、遺言書のその記載部分は有効です。
 相談のケースでは《私の結婚後の姓と帰化前の名前が私の姓名として書かれ、帰化後の戸籍上の名前とは異なっています》ということですが、この程度ならその人物があなたであると特定できることになるでしょう。
(もっとも、公正証書遺言では専門家である公証人が関与し、住民票などを確認しますので、誤記だとは考えにくいのですが)。

【遺言作成時の判断能力に疑問がある場合は・・】
 遺言作成時に遺言者に判断能力がなければ、遺言書は無効です。
 遺言者の判断能力に疑問を感じておられるのであれば、お父さんがかかっておられた病院のカルテや看護記録を取り寄せることをお勧めします。
 相続人であれば取り寄せができますが、カルテの判読や判断能力があるか否かの判断、その後の交渉等を考えれば、早い段階で弁護士に頼むことも考えていいでしょう。

【相続税申告書の記名押印と遺産分割の同意】
 相続税の申告書には現在の氏名を記載します。
 相続税の申告書には相続人の記名及び押印欄がありますが、これは税務署に対する相続税の申告をしたということであるにすぎず、それだけでは、直ちに申告書の分割内容の遺産分割を承認したことにはなりません。
 ただ、誤解を招くことを避けるため、相続税申告の前(それができないやむを得ない理由がある場合には申告後、ただち)に、他の相続人等に対して、税務申告内容で分割を了承したものではないという意思表示をしておくことをお勧めします。
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