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認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
09:54 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

兄の使い込みと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

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18:01 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

何かをする時期について【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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17:03 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言公正証書が偽って作成されていた【Q&A №552】

2016/12/22



【質問の要旨】

姉の公正証書遺言が知らないうちに作成されていた

記載内容 公正証書遺言 遺産相続 排除

【ご質問内容】

子供の居ない姉(84歳)が先日孤独死で亡くなりました。

主人は十三年前に亡くなっています。

姉の残した遺産についてお尋ねします。

姉弟は亡くなった姉、兄、私、妹の四人です。

姉は高齢で糖尿病も患い一人でいることを心配していました。

兄が実家を継いでおり一年半前兄嫁から姉を実家に引き取り面倒を見ることで姉と同意したので、ついては引取る為の手続きで戸籍謄本、住民票、印鑑証明が必要なので送ってほしいとの依頼があり了承し、下の妹も同様に兄嫁宛におくりました

姉は兄嫁に言われるまま預貯金先等を回って兄嫁は金額を把握したようです。

その後兄嫁から積極的に帰って来る様に姉への動きは無かった様です。

先日四十九日に皆が集まった際、兄嫁から遺言書が出て来たと言って公正遺言証書が作成(作成日は一年前)されていた。

兄嫁の兄が税理士をしておりその兄が証人もう一人は税理士仲間の方でした。

推定預貯金五千万、不動産三千万のうち兄と兄嫁、その娘二人に行くように明記されて、遺言執行者は兄の娘となっています。

私と妹はそれぞれ百万円となっていました。

お尋ねしたいのは姉を引取らずそして法に疎い姉を操り税理士の兄と結託した兄嫁が、私達姉妹を姉の遺産相続から排除する為に一年半前に兄嫁宛に送った印鑑証明等がまさかの公正遺言証書作成目的に流用されたと思われます

法的に対応できますか。

なお、兄は兄嫁に言われるままの人です。

(もっちゃん)






【公正証書遺言を作成するのはあくまでもお姉さん】

あなたとしては、お兄さんらがお姉さんを引き取ってくれると信じ、その手続きのために必要だということで戸籍謄本等を渡したのですから、それが公正証書遺言の作成に使われており、またその内容はあなたに不利なものであったとなれば、だまされたような気持ちでしょう。

しかし、お姉さんの公正証書作成にあなたの印鑑証明書はいりません

なお、遺言書にあなたが些少な財産を受け取ると記載されているので、あなたの戸籍は公証人に提出する必要がありますが、これも遺言書作成に必要だといえばお兄さん側で取り寄せが可能なものです。

そのため、あなたが印鑑証明書や戸籍を詐取されたということでは、お姉さんの遺言書は無効になることはありません

結論を言えば、遺言を作成するのはお姉さん自身ですので、お姉さんが納得して遺言を作成したのであれば、その遺言は有効だということになります。


【判断能力がない場合には遺言書は無効になるが・・】

お姉さんが兄嫁にだまされて遺言を書いただとか、遺言作成当時、お姉さんに判断能力(意思能力)がない状態だったというような場合には、公正証書遺言は無効となる場合があります

ただ、それを証明するのは、公正証書遺言が無効だと主張する側(本件ではあなた)です。

そのため、お姉さんの遺言書作成当時の判断能力を明らかにするための資料(もし、入院されておればそのカルテ、施設に入っておれば行動記録等)を取り寄せされ、当時のお姉さんの状況を確認する必要があるでしょう。

ただ、次の点は知っておかれるといいでしょう。

公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なって、公証人が遺言者であるお姉さんに判断能力があるか、遺言の内容がお姉さんの意思に沿ったものかどうかを直接お姉さんに確認した上で作成しますので、一般には公正証書が無効にされることは少ないです。

【遺留分減殺請求はできない】

兄弟姉妹の相続の場合、遺留分は認められていません

そのため遺言書が有効なら、貴方としてはその記載に従うしかありません。

あなたとしては前記しているように、お姉さんの判断能力がなかったという点でその裏付け資料をしっかりと収集されるべきでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:50 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

独身女性の相続対策【Q&A №533】

2016/09/29



【質問の要旨】

独身で子もいないが、兄には相続させたくない

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【ご質問内容】

独身女性、子供はおりません。

昔大怪我を負わされた兄(子供あり)が唯一の兄弟です。

そんな訳で兄とは疎遠、一切関わり合いたくありません。

公正証書遺言で財産を元夫Aさんに遺贈し、その後の後処理をお願いすると記しました。

1/入院の際の保証人は兄以外には認められないでしょうか。

2/万が一の際の保険金受け取りが保険会社の規定で法定相続人とされてるのですが、兄に渡さない方法はないでしょうか。

3/万が一の際は兄に連絡が行って、死亡届は身内である兄が出さないとならないでしょうか。

阻止する方法はないでしょうか。

なくなった事を教えたくありません。

4/以上の事の解決策として、将来理解者を養子か養女、あるいは理解者との結婚(Aさんも含め)も考えています。

よろしくお願いします。

(悩めるA子)







【入院保証人については病院に聞く】

入院の際の保証人を誰にするかはその病院が決めることであり、法律にはなんらの定めもありません。

そのため、入院予定の病院にお聞きになられるといいでしょう

なお、通常は、親族でなくとも、知人などでもいいと思いますが、病院に聞けば簡単に教えてもらえることですので、電話等で確認されるといいでしょう。


【保険金受取人についても保険会社に確認する】

誰が保険金の受取人にするかはあなたが指定することができます。

ただ、保険会社との契約書(正確にいうと約款)では特に指定しない限りは、保険金の受取人は法定相続人とされ、又、受取人を指定する場合も「3親等以内の親族」と限定されているのが実情です(これは、被保険者を殺害する保険金詐欺等を警戒しているためです)。

そのため、今のままの状態でお兄さん以外の方(例えば前夫の方など)を保険金の受取人とするのは難しいでしょう。

どうしてもお兄さん以外の方を受取人にしたいというのであれば、あなたのおっしゃるように、養子縁組や再婚を検討される必要があるでしょう。


【死亡届は他人でもできる】

死亡届は親族でなくとも提出できます。

同居者、家主や地主、家屋管理人から成年後見人なども手続きができます(外部リンク:法務省「死亡届」)ので、お兄さんに手続きをしていただく必要はありません。


【養子縁組をすると兄には遺産はいかない】

養子縁組をした場合、その養子が法定相続人になりますので、法律的にはお兄さんには一切、あなたの遺産は行きません。

ただ、お兄さんはあなたの遺産が来るものと思っておられることも考えると、養子とお兄さんとの間で事実上のトラブルが発生することもあり得ます。

現在、遺言書を作成されているようですが、もし、その中に遺言執行者の指定をしていないなら、弁護士を執行者に指定しておき、あなたの遺産問題についてはその弁護士にトラブル解決をしてもらうことで、養子にいやな思いをさせないという配慮が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:16 相続人 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

後妻や連れ子の相続分はどうなるか【Q&A №481】

2015/12/03

 10年前に再婚しました。

再婚時に私には前妻との子どもが2人(私と同居)、妻(再婚相手)には子どもが1人いました。

私と妻(再婚相手)との間には2人の子どもができ、私と妻と子ども達5人(7人家族)で暮らしています。

再婚前の資産をA、再婚後の資産をBとすると、私が他界した場合には、遺産分割は法的にはどうなるかお教えください。

遺産分割では、そもそも再婚前後の資産の区別はないのでしょうか。

記載内容 再婚 前妻 公正証書遺言

(やっち)





 【遺産には再婚前と再婚後の区別はない】

特別受益で持ち戻される点を別とすれば、遺産とはその死亡した人(被相続人)が死亡した時点で有していた財産であり、それが再婚前に作られたもの(A)か、それとも再婚の後に作られたもの(B)かで区別されることはありません。

配偶者との関係では、再婚前に作った財産(A)で前妻がその形成に関与していたとしても、遺産分割の場面では前妻が登場する場面はなく、後妻(死亡時の配偶者)だけが相続人になります


    【連れ子の養子縁組は重要な意味がある】

ただ、今回はあなた自身も再婚相手もそれぞれ連れ子さんがいるということです。

あなたの連れ子はあなたの実子ですので、当然に法定相続人になりますが、後妻の連れ子は養子縁組をしているかどうかで結論が異なります。

後妻の連れ子とあなたが養子縁組をしていないのなら、長年同居して生活を共にしていたとしても、後妻の連れ子はあなたの相続人とはなりません

養子縁組をしているなら、養子である後妻の連れ子は、あなたの実子と同じ割合で法定相続することになります。

なお、養子縁組ができない事情があるけれども、それでも後妻の連れ子に遺産を与えたいというのなら、遺言書で遺贈するといいでしょう(このような場合には、紛失する可能性がある自筆遺言書ではなく、公正証書遺言にするのが望ましいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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15:59 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の土地を妹の義父が借りていた【Q&A №450】

2015/06/03



父が私の妹の義父に土地を貸与していました。

そのような土地の賃貸借が生前贈与に当たりませんか



記載内容

  義父 贈与 同一 


【質問詳細】
 
 昨年、父が亡くなりました。

 父は生前に公正証書遺言を残していました。

 その遺言には、妹に全ての財産を相続させると記載されています。

 相続人は、私と妹の二人です。

 私は遺留分減殺請求を行う予定です。


 ところが父の生前、父と妹の義父(妹の夫の父親)との間で相続対象の土地の借地権契約をしたそうです。

 妹の義父はその土地にアパートを建てて他人に賃貸をしていました。妹の義父はその後1年足らずで死去しその後、妹の夫がアパート及び借地権を相続しております。



 妹からは、私が遺留分減殺請求をしても、相続対象の土地の借地権割合が60%なので、私が請求できるのは、底地割合の40%の遺留分(4分の1)、つまり1/10しかないのだから諦めろと言われてしまいました。

 借地契約書や地代をどの程度収めていたか等は、これから相手側に問いただす予定でおり、借地権の有効性を確認する予定です。


 上の経緯は、相続発生後に私が遺留分減殺請求を行う事を前提に、私の遺留分をなるべく小さくするために、妹らが対策を考えて借地契約という形をとったのではないかと考えています。



 このような場合、借地契約を締結したのは妹ではなく、その義父ではありますが、借地契約そのものが妹への生前贈与に当たらないでしょうか?


(asw32mk)







【借地権であるかどうかの確認が必要】

 質問でも記載されていますが、お父さんとお義父さんとの間で土地使用がどのような契約をしているのかを確認する必要があります。


 契約書が作成されているかどうか、作成されているのならその内容、更に署名がお父さんの筆跡であるのかどうかも確認されるといいでしょう。


 なお、賃料が支払われているのか保証金等は差し入れられているのかも調査の対象とする必要があります。





【遺産内容の確認も必要不可欠】

 遺産は不動産だけということのようですが、やはり預貯金等の銀行関係の調査が必要でしょう(調査方法についてはブログQ&A №417をご参照ください)。


 預貯金の取引履歴を確認すれば、預貯金の不正引き出し等がわかり、遺産額が増えますが、それだけではありません。


 契約時に保証金等の支払いがあったのか毎月、賃料が入ってきているかどうかが確認できます。





【保証金や賃料の支払いが発見できない場合でも役に立つ】

 取引履歴に賃料が記載されていないとすると、土地は借地権でなく、無償使用(使用貸借)である可能性があります。


 その場合、借地権額は更地価額の60%程度、使用貸借額なら10%前後ですので、遺産の対象となる土地の価額がアップします。


 なお、念のために言えば、あなたが知らない隠された預貯金口座が存在し、そこに賃料が入金されている可能性もあります。


 この場合にはそこの多額の預貯金が存在する可能性があります。


 また、保証金等の契約時の支払い分がないかどうかも確認する必要がありますので、取引履歴の取り寄せは必要不可欠です。





【法定相続人以外の人に対する贈与】

 ほとんど保証金を取らずに、しかも定額で借地権を設定したとしても、その相手がお義父さんのような法定相続人以外の方であれば特別受益の問題は発生しません


 遺留分減殺の場合、第三者に対しても請求することができます

 ただ、借地契約の内容があまりに不当で、地主であるお父さんにとって不利な内容であり、《まるでただ同然のような条件で貸している》というのなら、贈与とみなすことも不可能ではないでしょう。


 ただ、遺留分減殺請求自体がなかなか難しい手続きですし、ましてや本件は第三者との間で賃貸借契約を装ってというような難しい案件ですので、相続に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、そのアドバイスを受けるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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10:22 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

株式の名義を勝手に変更された【Q&A №421】

2014/12/24



 私は被相続人の養子です、被相続人には子供はいません相続人は私と被相続人の妻だけです、(被相続人は平成26年9月に死亡)被相続人の妻が被相続人死亡後株は私の名義に変更したと言ってるのですが私の同意なしに株券の名義変更ができるのでしょうか、預貯金や有価証券は生前から妻が管理していました、名義変更したものは元に戻せないのでしょうか、戻せるとしたらどのようにすればよいのでしょうか
 お尋ねいたします、よろしくお願いします。


記載内容

  株式 遺言執行者 名義変更

(maakunn)


【公正証書遺言で遺言執行者が指定なら、同意なしで移転する・・上場株式の場合】
 「株式の名義が《私》に移転した」と質問に記載されています。
 この場合の《私》は妻のことを言っているのか、それとも《質問者のあなた》のことを言っているのかわかりにくので、場合を分けて回答します。
 なお、最初に上場株式について述べ、非上場株式については後に項を変えて述べます。

1)まず、妻の名義になっている場合
 あなたの知らないうちに遺産である株式が、《妻》の名義に移るということですが、結論から言えば、
①公正証書で遺言されていること
②遺言執行者が指定されていること。
という前提であれば、あなたの知らないところで妻の名義に株式譲渡がなされている可能性があります。
 参考までに言えば、自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認手続(相続Q&A №121を参照)が必要であり、その際、全法定相続人等に裁判所に出頭するようにとの通知がきます。
 今回、そのような通知が来ていないということであれば、検認手続きが不要な公正証書遺言に基づく手続きがなされたのだと思います。
 なお、遺言執行者は遺産目録を作成し、法定相続人等に交付する義務(民法1011条。末記に記載している条文を参照ください)がありますが、弁護士などの法律専門家が遺言執行者の場合は別として、目録を実行している人はあまり多くありません。

2)次に《質問者であるあなた》の名義にしたというのは可能性が低いでしょう。
 株式の名義を移転するにはあなたが証券会社に口座を持っている必要があります。
 あなたが持っている口座を妻が知っているのも考えにくく、また、口座がない場合にあなたの同意なしにあなたの口座が作ることは不可能です。
 いずれにせよ、あなたの関与なしに、あなたに株式が譲渡されている可能性はないでしょう。

【株式を取り戻すためには・・・上場株式の場合】
 実際に妻に株式の名義が変更がなされてしまった場合には法的手続きが必要になります。
 ただ、その前に、被相続人がどこの証券会社のどこの支店に株式を持っていたのかを知っておく必要があります。
 もし、被相続人の自宅にその証券会社からの手紙等が来ているのであれば、法定相続人としてその会社に照会をかけ、譲渡に関する事実を調査する必要があります。
 次に、株式の譲渡が判明した場合には、その株式の譲渡を無効や取り戻すことを考える必要があります。
 通常は、無効や取戻しになる理由としては次のものが考えられます。
①遺言書で遺産の大半が妻のものになっているのなら、遺留分減殺請求(「相続コラム:遺留分とは」参照)
)をし、本来の法定相続分の半額(遺留分)の限度で株式を取り戻す。
②被相続人が遺言書を作成した当時、判断能力(意志能力)がなかった。
 また、今後、妻が株式を譲渡したり、他の財産を処分したりすることもあり得ますので、必要に応じて株式譲渡をしないようにする仮処分申し立ても必要になる場合もあります。
 ただ、遺留分にせよ、意志能力にせよ、また、仮処分にしても、素人では対応が難しいので、相続に詳しい弁護士に早期に相談されるといいでしょう。

【上場株式ではない場合】
 前項では、上場株式を前提に記載しました。
 上場株式でない場合には、妻とあなたとの間で、遺言書や遺留分を反映させた遺産分割協議書を作成し、株式の帰属をはっきりさせるといいでしょう。
 もし、妻が遺産分割協議書の作成に応じず、《あなたの株式》にしたことが間違いないというのであれば、その旨の確認書を作成してもらうといいでしょうし、今後、その会社の株主としての権利を行使して、株主としての実績を作り、株主総会で役員に選任されて活動されるといいでしょう。
 また、《妻》の名義にしたというのであれば、遺留分減殺の手配や意思能力を見極めるため、必要に応じて弁護士と相談されるといいでしょう。

《参考条文》
民法 第1011条 (相続財産の目録の作成)

 第1項 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

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17:12 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続した株式の扱い【Q&A №418】

2014/12/11



①非上場の株を親から相続しようとしたら3人相続人がいて、話し合いがまとまりません。
 この場合、その株はどうなるのでしょうか?
②その後、遺言書がでてきて、私に株を相続させる、文面で、遺言執行人もわたしでした。
 この場合、他の相続人の同意なしで、名義変更できますか?


記載内容

  株式 共有 総会に出席

(sasa)


【相続した遺産の扱いは、遺産の内容により異なる】
 被相続人が死亡した場合、遺産が各相続人にどのような形で移動するのかは、遺産の内容により異なります。
 預貯金であれば、その法定相続分に応じて直ちに分割され、各相続人が、金融機関に単独で請求することができます(但し、金融機関がすぐに支払いをするわけではありません。⇒相続Q&A №148を参照)。
 これに対して、土地の場合には、相続した土地を、法定相続人がその相続分で共有することになります。

【株式の場合には不動産のような扱い‐準共有になる】
 株式については、預貯金のような当然に分割されるのではなく、土地と同じように、全部の株式を相続人が相続分に応じて共有するという形になります。
 なお、このような共有状態を、不動産であれば共有といいますが、株式の場合には権利ですので、「準」共有(⇒民法第264条参照)と言います。

【株式の権利行使は民法の共有の規定に基づき行う】
 準共有状態にある権利である株式について、どのようにして権利行使するかという点が問題になりますが、これについては、共有の場合の権利行使の条文(民法第251条、第252条、第264条、会社法106条を末尾に記載しておりますので、ご参照ください)に基づき決定されます。
 株主総会に出席はするには多数決で出席者を決定することが必要です。
 株式を売却することは処分に該当しますので、全相続人の同意が必要です。

【遺言書が出てきた場合の扱い】
 今回の質問では、遺言書が出てきており、あなたが遺言執行者ということですので、あなたが遺言に基づき単独で権利行使ができることになります。
 なお、公正証書遺言であれば、直ちに執行可能ですが、自筆証書遺言であれば家庭裁判所に遺言検認(⇒相続Q&A №121を参照)の手続きをする必要がありますので、この点はご注意ください。


民法
第251条(共有物の変更)
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えることができない。
第252条(共有物の管理)
 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
第264条(準共有)
 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りではない。

会社法
第106条(共有者による権利の行使)
 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りではない。

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09:56 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分減殺は単独で登記できるか【Q&A №399】

2014/09/04
 実父の公正証書遺言により、第三者に遺贈されてしまった遺産のうち不動産に対し、法定相続人が遺留分減殺請求権の行使をし、その帰属範囲内の割合で共有(同?)登記し、それを継続させる事は可能ですか。

 遺言執行者には、遺言作成を依頼された弁護士が指定されており、受遺者は早急に遺産を売却し金員を手に入れようと遺言執行者の助言のもと、その土地建物に出入りし、動産の処分も行っています。

 法定相続人としては、それらの行為や目的にでき得る限り対抗しようと考えています。
 現在のところその土地建物の名義は実父のままで、建物の評価は略無いと思いますが、部屋に私の所有物を長年保管しております(使用借権としても専有面積は帰属範囲内の割合です)。
 
 審判までは一人で戦うつもりですので、法的知識や権利のある遺言執行者らの対抗にも有効な手立てをご教授ください。

記載内容

遺留分 登記 単独申請 仮差押 原則1年以内 執行者への通知
(金にならない相談者)


【遺留分権利者単独で遺留分の登記はできない】
 日本の登記制度は原則として登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が原則です。
 ただし、例外として、共同相続人のうちの一人が単独で法定相続内容通りの相続登記ができます(末記の条文をご参照ください)が、ご質問の《遺留分減殺を原因とする登記》は《相続登記》ではないため、遺留分権利者が単独ですることはできません。
 そのため、登記をするためには登記を受ける権利者(今回はあなた)と登記手続きを行う義務者(今回は遺贈を受けた第三者)との共同申請が必要であるという結論になります。

【遺留分の登記を実現するための方法】
 あなたが遺留分の登記をするためには、受遺者に対して裁判を起こして判決を得て、その判決に基づいて遺留分だけあなたが移転登記するということになります。
 ただ、判決が出るまでには(事案によって異なりますが)通常、1~2年程度かかります。
 今回のケースでは、受遺者が遺贈の対象となった不動産の売却を急いでいるようですので、判決を待っていられないでしょう。
 そのような場合には、不動産について遺留分があるので売却をしないようにという手続きとして仮差押申し立てをすることも可能です。
 手続きとしては、裁判所に書面を提出し、裁判所と面談して仮差押決定を出してもらう必要がありますので、ぜひ、相続に詳しい弁護士に相談し、仮差押えの手続きを委任されるといいでしょう。

【家への立ち入りはやむを得ない】
 次に、受遺者のお父さんの自宅への立ち入りですが、受遺者は登記を受ける前であっても当該不動産の所有権を有していますので、家への立ち入りを禁じることは難しいでしょう。
 なお、あなたの所有物が無断で処分された場合には、その分は所有権を侵害されたとして損害賠償の対象になることはあり得ます。

【現在、早急にとるべき行動について】
 ご存知だとは思いますが、遺留分減殺請求は、原則として、相続開始から1年以内にする必要があります。
 もし減殺請求をしていないのなら、早急に内容証明郵便で受遺者に対して減殺請求通知を出されるといいでしょう。
 次に、遺言執行者に対しても、遺留分減殺をした遺留分権者の立場で、受遺者に当該対象物件全部の移転をしないように申し入れておくことも考えられます。
 ただ、遺言執行者としては《とりあえずは受遺者に単独登記をするので、あとは受遺者と遺留分権利者とで争ってくれ》という対応をする場合が多く、あまり効果はないかもしれませんが、遺留分権利者としては、そのような申し入れもすることも一方法でしょう。
 いずれにせよ、遺留分にかかわる問題は難しい点が多々ありますので、早期に弁護士に相談されるといいでしょう。

《参照条文》
不動産登記法63条(判決等による登記等)

   1項 ・・・・(省略)・・・これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続きをすべきことを命じる確定判決による登記は、当該申請を共同でしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
   2項 相続又は法人の合併による権利移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
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16:43 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

夫を相続人から外す方法【Q&A №379】

2014/06/03
 初めまして。よろしくお願い致します。
 私は結婚していますが、子供がいません。
 病気の容体が良く無く、「死」を意識する様になりました。
 私の死後、保険金で葬儀を行って貰えると仮定して。
 主人用にも毎月少ないながらもお金を貯蓄しているので、私の通帳の中身は、妹の娘(姪)に譲渡したいと思います。
 その場合は、「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?

記載内容

遺留分 生前の相続放棄の合意 生前の遺留分放棄 公正証書遺言の執行 廃除
(くるみ)


【相続人である夫の立場は・・・】
 ご主人に遺産を渡したくないが、どうすればいいかという質問です。
 まず、ご主人は配偶者になりますので、妻であるあなたが死亡した場合には、本件では子供がいないということですので、直系尊属(あなたのご両親等)が存在する場合にはあなたの遺産の3分の2が、又、ご両親等の直系尊属が死亡されている場合には4分の3が、法定相続分としてご主人が相続します。

【遺言書を書く】
 まず、何よりも遺言書を作成し、ご主人以外の人に遺産全部を相続あるいは遺贈する必要があります。
 又、なぜ、ご主人に遺産を与えないかを、穏やかな表現で《付言》として記載しておくといいでしょう。
 ご主人としては、そのような遺言書であれば、やむなしとして納得する可能性があり、あえて遺留分減殺請求まではしてこない可能性もあります。

【夫を相続手続きから外す《廃除》という方法があるが・・】
 質問には《「夫の相続人手続きを外す」と聞きましたが、その様な手続きはどの様にしたら良いのですか?》とあります。
 法律上、夫から強制的に相続人である資格を奪ってしまう《廃除》という制度(民法892条。条文は末記のとおりです)があります。
 この制度は、あなたが生前に、家庭裁判所に、ご主人から暴力や虐待を受けていたことを証明し、裁判所の裁判(審判)でご主人を相続人から除外してもらうものです。
 ただ、そう簡単には認めてくれないことが多いです。

【生前の相続放棄は法的に法的には無効で意味がない】
 生前、相続を放棄するのに同意をしてもらうことも考えられますが、残念ながら、生前の相続放棄は無効です。
 そのため、あなたの死後、ご主人が約束を翻して相続放棄をしなかったとき、ご主人は法定相続分どおりの相続することになっても、誰も文句をいうことができません。

【生前の遺留分放棄を考えてみるとよい】
 生前の相続放棄はできませんが、生前の《遺留分》の放棄は可能です(民法1043条。条文は末記のとおりです)。
 あなたとご主人は互いに法定相続人という関係にあるのですから、互いが遺留分を放棄しあうということで合意されてはいかがでしょうか。
 ただ、生前の遺留分放棄については、次の点をご注意ください。
① 家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
② 遺言書がないとご主人は法定相続します。

 そのため、あなたとしては遺言書を作り、ご主人に遺産を行かないことを明らかにしておく必要があります。
 遺留分放棄の審判申立については、当ブログのQ&A №381をご参照ください。

【公正証書遺言で遺言執行者を定め、秘密裏に執行すると・・】
 過去に扱った案件ですが、他の相続人に全く知らせることなく、遺言が執行されていたことがありました。
 公正証書遺言で遺言執行者が隠密裏に執行したのです。
 自筆遺言証書であれば、その実行をするために家庭裁判所の検認という手続きが必要であり、その手続きの通知が裁判所から全相続人に行きます。
 しかし、公正証書遺言の場合、検認の手続きが不要で、即時に執行できます。
 このような場合、他の相続人の知らない間に遺産が分配され、特定の法定相続人が相続から事実上、排除されるということになります。
 但し、遺言執行者としては相続の開始や遺言の存在を知らせ、遺産目録を作成して法定相続人にも交付する義務があります。
 前記のようなケースは、これらの義務を履行しなかったために遺留分減殺の機会を奪ったものだとして、他の相続人(たとえばご主人から)損害賠償請求をされるというリスクが発生しますので、お勧めできる方法にはなりません。

・参照条文①:民法第892条(推定相続人の廃除)
 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

・参照条文②:民法第1043条(遺留分の放棄)
 1.相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

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10:18 遺言 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

「残余財産を〇〇に」と書かれた遺言の意味【Q&A №354】

2014/03/12
100歳で他界した被相続人の母には元々2000万円の財産がありました。相続人は私と妹の二人です。母は認知症で3年程老健に入所していました。母には内縁配偶者がいましたが、子供はいません。
 母が入所中に内縁配偶者が死亡し、遺言により4000万円が母に相続され、母の財産は合計6000万円になりました。母が亡くなる半年前に作成した公正証書遺言が見つかり、証人は妹と懇意な間柄の税理士とその職員で、私に1500万円を、残余を妹に相続する内容でした。
 調査すると母の財産管理が内縁配偶者から妹に移ると、妹は不規則に計3000万円を遺言作成前に引き出していました。したがって遺言作成時の財産は3000万円に減っています。
 妹は更に遺言作成後1000万円を引き出していました。妹はその内の1500万円は妹の孫に学費として生前贈与されたもので遺産に入らないと主張していますが、一切証拠や納税証明等はありません。
 私としては妹が引き出した内の1000万円は母の為の経費と認め、他の2500万円を不当利得返還請求し、公正証書遺言無効訴訟を考えております。
 そこで質問ですが、公正証書遺言が有効な場合、遺言にある残余とはどの時点のものですか?不当利得として認められた場合は残余に含まれてしまいますか?また上記の訴訟を行わず調停のみで1500万円より多くの相続は不可能でしょうか?

記載内容

残余財産 その余の財産 遺産の認定時点 遺留分 意思能力 遺言書の無効
(エンダ―)


【遺言にある「残余」とはどの時点のものか】
 遺言は相続開始時に効力を発生するものであり、相続開始時点(=今回はお母さんがお亡くなりになった時点)の遺産を分けるものです。
 そのため、遺言書が有効なものであれば、お母さんが亡くなった時点で残っていた預金などの財産のうち、1500万円があなたに、残りの財産はすべて妹さんに相続されることになります。

【不当利得として認められた場合は残余に含まれるのか】
 お母さんの遺産がどのように増えようが、新たな遺産が見つかろうが、あなたの相続するのは最大で1500万円にしかなりません(逆に言えば、1500万円以下だった場合には妹さんは一円も相続できず、あなたが遺産をすべて相続するだけ、という内容です)。
 そのため、あなたが妹さんの不当利得などを発見しても、それは妹さんが相続する《残余》財産が増えるだけであり、あなたが相続する財産が増えることはありません。

【調停を有利に導くためにどんな主張をするべきか】
 調停を有利に展開するためには、まず、どういう主張をだすかという問題があります。
 遺産全体が最大限で6000万円ということですので、あなたの遺留分は最も多く考えても4分の1の1500万円です。
 遺言では1500万円をあなたにということですので、遺留分侵害の問題は生じません。
 そのため、あなたとしては、遺言書の作成時点で、お母さんには意思能力はなく、遺言は無効であると主張されるといいでしょう。

【調停では遺言書の無効かどうかを判断しない】
 次に調停はあくまで話し合いであり、証拠調べなどはなく、又、遺言書が無効かどうかの結論を出すところでもありません、
 ただ、あなたの方が、遺言書が無効であるという確実な証拠を提出できるのであれば、調停委員としても、遺言書の無効の可能性があることを配慮して、相手方に1500万円以上を出すように話しかけてくれる可能性があります。
 お母さんの介護記録や病院のカルテ等、意思能力がないことを裏付ける確実な証拠を獲得する努力をお続けになるといいでしょう。
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16:01 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

孫への贈与と遺留分減殺請求【Q&A №353】

2014/03/06
 姉が一人おり姉には成人した子供が一人。私は現在海外に住んでいて父の死後、母と姉家族が同居。以前母から手書きで不動産の1~2(同居している家等)を姉に、3,4を私に、5の土地を孫(姉の子)にと書かれたメモを受け取り母の意思ならば従う気持ちでおりました。今回姉の話で私に相続させると書かれてた土地の1つを母の弟がお金が必要で自分の土地と母の土地を合わせないと売れない事を理由に要求して来た結果、印鑑を捺して売った。姉夫婦が面倒な対応を引き受けたと聞き初めて知らない間に売られていた事を知りました。孫の大学の学費は母が全て出したと母がしっかりしている時に母から聞いており、今回ご相談したい気持ちになりました理由は今回の訪問時『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙を私に見えるように貼ってあるのを見たからです。このような状況から全ての不動産を姉や姉の子供の名義に私の知らぬ間に(母の捺印済みで)変更されていた場合、私への遺産相続のはどうなるのか?そうなっていた場合私が母の意思であった一部でも相続できる為の手段と裁判になった際の費用等をご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
 母や姉に直接この話を問うことは姉の性格上、そして母が老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております為、不可能だと考えております。

記載内容

 贈与 遺言書の有効要件 遺留分減殺請求 自筆のメモ 貼り紙 意思能力
(涙)


【メモは遺言書にはならない】
 遺言書が有効であるためには最低限、①日付があり、②氏名が自書され、③印鑑が押されていることが必要です。
 お母さんが不動産を、法定相続人であるあなたやお姉さん、お孫さんに分けるとの手書きのメモを書いていたようですが、単なるメモでは遺言書にはなりません。
(又、仮に遺言書であっても、該当不動産が売却されているのであれば、遺言書のうちのあなたに不動産を相続させるという部分は効力を持ちません。)

【貼り紙も遺言書にならない】
 《『孫に不動産の全てを譲る。』と母の直筆で書かれた紙》が貼られていたとしても、冒頭に記載した遺言書の有効要件を充たしていない限り、それは単なる《貼り紙》であり、遺言書ではありません。
 そのため、お母さんが死んだ後、お姉さんがこの《貼り紙》を根拠にして、お孫さん(お姉さんの子)に不動産を相続(遺贈)させることはできません。
 あなたとしては、遺言書ではないのだから、そんな貼り紙はなんらの効力がないということで対応されるといいでしょう。

【遺言書が存在する可能性もあるが・・・】
 ただ、お姉さんの動きを見ていると、遺産である不動産を全部、取り込みたいようです。
 このような状勢からいえば、既に要件を充たした自筆の遺言書あるいは公正証書遺言が作成されている可能性も否定できません。
 お母さんの死後、遺言書が出てきて、そこには、遺産の全部をお姉さん側に相続させる(遺贈する)というような内容だった場合でも、あなたには《遺留分減殺請求権》があります。
 この権利は、本来の法定相続分(本件では相続人はお姉さんとあなたの2人なので2分の1)の半分(4分の1)の限度で、遺産をもらえるという制度です(「相続コラム:遺留分とは」参照)。
 ただ、遺留分減殺請求ということになると、専門家である弁護士の助力が必要であると思われますで、遺言書がある事が判明し、その内容があなたに不利ということなら、早めに相談し、必要に応じて委任をされるといいでしょう。
 なお、弁護士費用は、弁護士により異なり、又、あなたが受け取る金額によっても違いますが、総額でいえば、あなたが受け取る金額の10~20%の程度のことが多いでしょう。

【遺言書を無効にする証拠を集める】
 判断能力がないときに書かれた遺言書は無効です。
 現状では、お母さんが《老人特有の物忘れもありますので、100%理路整然と話をできない状態にもなって来ております》ということのようですが、もし、可能であれば、お母さんの判断能力を調べるテスト(「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」参照)を受けて頂くことも考えておくといいでしょう。
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16:28 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

詐欺・脅迫による遺言の無効【Q&A №322】

2013/10/30
  
公正証書遺言の遺言執行者とその代理人弁護士との間で遺留分減殺請求の交渉をしていますが共同相続人の一人である遺言執行者Aが強気の為、交渉が難航しています。
 この公正証書遺言を無効に出来れば一機に遺産分割の進展が望めると思い相談いたします。民法891条(相続人の欠格事由)では、遺言を無効とする5項目を定めておりますが4項の脅迫や詐欺により遺言が無効とされた判決事例を教えて下さい。

記載内容

詐欺 脅迫 欠格事由 受遺者 公正証書の取り消し

(キギ)


【当事務所の使用している判例検索システムでは参考判例は見当たらない】
 民法891条は「相続人となることができない」者(相続欠格者)を列挙していますが、その4号に、「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」が記載されています。
 ご相談の内容は、詐欺・脅迫によって遺言がなされた場合、その詐欺・脅迫をした者を相続欠格者として遺言の効力を否定するような案件が問題となった判例はないかというものです。
 結論から申し上げれば、当事務所が使っている第一法規の判例検索システムで検索しても、詐欺・脅迫と相続欠格が問題となった判例は出てきませんでした。
 また、当事務所でも同種の争点が問題となる案件を扱ったことはありません。

【参考までに】
 今回の質問では《公正証書を無効》にする手段として、相続の欠格事由が使えるかどうかを検討されています。
 しかし、相続の欠格とは、ある相続人の相続資格を否定するだけであり、公正証書遺言自体を無効にするものではありません。
 もし、公正証書自体を無効にしたいのであれば、相続人として(被相続人が有していた)詐欺・強迫による取消権を相続で取得したとして、その取消権を行使するという方法も検討の余地があります。
 参考までに付言しておきます。

※本件には直接関連しませんが、相続欠格については昭和63年の仙台地裁の判決がありましたので、「【判例散策】昭和63年5月31日 仙台地裁判決」で解説しています。



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13:39 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人でない人物が遺産を受け取る場合【Q&A №318】

2013/10/02
  
父の妹(叔母、生涯独身)が現在施設に入所しておるのですが、何かと世話をしてるのが甥である私です。おばも何かと私に頼ってます。
 つい先日叔父夫婦から叔母の事で話をされました。
 叔母とは同じ敷地内で暮らしてましたが別世帯。土地・家の名義は叔母の母親、つまり私の祖母(他界)です。
その土地、家の名義を叔母の面倒で一番世話をかけてる私にする。叔母の財産である預貯金数千万を私に譲る。と言われました。
 叔母には親父と叔父以外に2人の姉がいて曲者です!笑
 叔母にも話し一筆書かせてそれから他の叔母たちを説得してくれてるとは言え簡単には終わりそうにありません。
 スムーズに終わらせる方法ってありますか?
 もし譲り受けた場合、税がかかると聞きました。
 どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

遺留分減殺請求 相続税 贈与税


(のん)


【叔母さんに遺言書を書いてもらうのがベスト】
 叔母さんが施設に入っておられるようですが、意思能力があれば、遺言書を書いてもらうのが一番よい方法です。
 質問から見ると、叔母さんのお母さん(あなたから見ればお祖母さん)が死亡されており、もし、叔母さんのお父さん(あなたから見ればお祖父さん)も死亡されているのであれば、その叔母さんの推定相続人は、叔母さんの兄弟姉妹の計4名(あなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん2名)になります。
 普通、遺言書の内容が相続人にとって不利な場合(遺留分を侵害する場合)には、遺言書の内容をその相続人に有利なように変更する権利(遺留分減殺請求権)があります。
 しかし、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分がありませんので、遺言書の内容がどのようなものであっても、叔母さんの兄弟姉妹は遺留分減殺請求をすることができません。

【遺言書作成の際に注意すべき点】
 質問では、叔母さんに「一筆書かせて」とあります。
 しかし、遺言書には有効になるための要件が決まっていますので、その要件を踏まえてきっちりしたものを作成しておく必要があります。
 そのためには次の点にご注意ください。
① 遺言者本人が遺言書を作成したこと及び遺言書が有効である要件を備えていることをはっきりさせるために、公証人の作成する公正証書遺言をお勧めします。
 費用が少しかかりますが、将来の紛争予防のために、ぜひ公正証書遺言をされるといいでしょう。
② 次に、遺言書作成当時に、叔母さんに意思能力があったのかどうかを確認するために、検査をしておくといいでしょう。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストがありますので、遺言書作成前に近くの病院などでそのテストしておき、遺言書を作成する能力があったことをはっきりとさせるといいでしょう。

【相続と贈与との税額の相違】
 遺言書ではなく、生前贈与ということで叔母さんから財産をもらうことも考えられますが、一般的には贈与税の税額のほうが多額になります。
 相続税の場合ですが、仮に、叔母さんの遺産総額が8000万円とした場合、本件のように相続人が4人もあるケースでは9000万円までが非課税です《相続税の基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の数》。
 (但し、税制の改正により平成27年1月1日以降は5400万円までが非課税と変更されます《相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数》。)
 一方、贈与税の場合ですが、8000万円を一括で生前贈与した場合には、現在の税制では贈与税は3720万円となります《贈与税額の計算式=(8000万円-110万円)×50%-225万円》。
 このように、贈与より相続の方が節税になります。
 但し、毎年少額の贈与をする方法や、相続時精算課税という方法もありますので、詳しくは税の専門家である税理士と相談されるといいでしょう。

【未分割のお祖母さん名義の不動産については遺産分割協議が必要】
 お祖母さん名義の不動産(土地、家)があるようですが、この不動産については、お祖母さんの相続人は、子供であるあなたのお父さん、叔父さん及び叔母さん(3名)の計5名になります。
 そのため、現在施設に入居している叔母さんの遺産をあなたが全部取得する場合でも、あなたが取得するのは、その叔母さんの共同相続分だけになります。
 そのため、お祖母さんの名義の未分割の不動産については、調停等の遺産分割の手続きが必要になりますので、ご注意ください。


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11:34 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分の請求期限はいつまで。【Q&A №316】

2013/09/24
  
7年前に 祖父が亡くなり 公正証書により 父と叔母が相続しました。その後 金額
に納得出来ない叔母が、遺留分を請求するしないで父と揉めてしまい 大げんかにな
り それきりになっていました。そして 今年 父が亡くなり 父の財産は ほぼ私が相
続しました。祖父の相続の遺留分請求期限である10年までは あと3年あるわけですが
叔母が 私に遺留分請求をする事は可能ですか?

記載内容

時効 除斥期間 1年 遺留分減殺の意思表示期間


(らふ)


【原則1年で請求できなくなる】
 まず、遺留分減殺請求は請求者(今回は叔母さん)が遺留分の侵害されたことを知ったときから1年以内に請求しなければなりません。
 又、仮に相続の開始や遺留分の侵害を知らなくとも、被相続人の死亡から10年が経過すれば遺留分減殺請求はできなくなります。

【叔母は遺留分減殺請求をしたのか】
 質問では、公正証書遺言があり、叔母さんがその内容に納得できないということですので、叔母さんとしては遺留分の侵害されたことを知っていることでしょう。
 そのため、叔母さんとしては、その遺留分の侵害を知って1年以内に遺留分減殺の意思表示をする必要があります。
 もし、その意思表示をしていないのであれば、10年を待つまでもなく、遺留分減殺請求はできなくなります。
 質問では「遺留分を請求するしないで父と揉めてしまい」とありますが、請求したのかどうかをはっきりと確認する必要があります。

【父の地位をあなたが引き継ぐ】
 お父さんの地位を相続人であるあなたが引き継ぐことになります。
 そのため、叔母さんが遺留分減殺を請求していた場合、あなたは叔母さんと遺留分減殺の交渉をする必要があります。
 念のために言えば、叔母さんが遺留分減殺請求をしていなかった場合には、あなたが叔母さんと遺留分について話し合う必要はありません。


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借金を残して失踪した父の遺産調査【Q&A №305】

2013/08/12
 ・相続財産の有無の確認・請求・回収方法
 ・療養中に名義変更された財産が相続財産の対象になるか

<経緯>
 昨年実父が他界(住所は滋賀県)
 私(東京在住)と弟(6年前他界)と妹(東京都在住)は、両親離婚後母の籍に入っている。
 離婚時、父には多額の借金があり、連帯保証人に母がなっていた。離婚成立後、父が失踪、借金は母と私が返済した。
 弟の葬儀に父が出席。借金は返済し終えたことと、弟の遺産放棄手続きのため携帯電話に住所・電話番号を登録。
 父は離婚後、再婚しており、再婚相手の籍にはいった。
 昨年危篤の連絡と、亡くなった旨を電話で現妻から受けたが後、連絡なし。
 今年6月にこちらから配達証明郵便で
「相続財産目録もしくは、財産の明細が判る書類を写しでよいので書面にて送ってほしい」旨を郵送。
 配達記録にて受け取ったことは確認できたが連絡がない。住所しかわからず、電話などの連絡先不明。
 父名義の財産について入院中に名義変更された可能性あり。

<希望>
 母が入院費用捻出の為、相続財産を明らかにしてもらい、相続分があるなら相続したい。
 借金がありマイナスになるなら放棄したい。
 わかっているのは、父の再婚相手の現住所のみ。
 現妻は、父の電話を使って危篤の連絡をしてきているので、こちらの連絡先しっている。

 調査は不可能または、無駄でしょうか。

記載内容

簡単な遺産調査法 借金返済 名寄帳 公正証書遺言 相続放棄期間の伸長


(母子家庭の長女)


【質問を見た感じでは・・・】
 質問では、
①離婚成立当時、お父さんには多額の借金があった。
②お父さんは再婚相手の籍に入った(要するにお父さんは苗字を変えた)。
と記載されています。
 それだけ見ると、お父さんは借金も自ら返済する能力がなかった、債権者から追及を逃れるために苗字を変えた、という可能性も考えられ、多額の遺産がある見込みは少なく、借金がかなりあるのではないか、という可能性があります。
 債務超過の場合には相続放棄の手配をする必要があります。

【簡単な遺産調査方法】
 ただ、上記①及び②だけでは、まだ、お父さんの遺産がないとは確定できません。
 簡単で費用もそれほどかからない方法としては次のようなものがあります。

①お父さんの住んでいた家屋が自己所有か賃借かを確認します。
 この点は建物の登記簿謄本(全部事項証明書)を見て判断するといいでしょう。
 自己所有であれば、遺産がある可能性があります。
 ただ、その建物に抵当権登記が多数付けられていたり、税金その他の差押えの登記があったりすれば、結局かなりの借金がある、あるいは税金も支払えない状況だということになります。

②居住家屋が賃借の場合には、賃料が高そうな物件かどうかを現地調査やネットを利用して調査するといいでしょう。
 高そうな物件であれば、その賃料を払うだけの資力がある⇒遺産がある可能性が高くなります。

③ お父さんが公正証書遺言をしているかどうかを調べるのも一方法です。
 これは相続人であれば調べることが可能です(調査方法は相続コラム「公正証書遺言の検索及び確認について」 参照)。
 もし、公正証書遺言をしているのであれば、そのような遺言をする必要のある財産を持っている可能性が高くなります。

【本格的な遺産調査をするときは、相続放棄期間の延長を申請する】
 本格的な遺産調査には時間がかかります。
 相続放棄の期間は相続開始を知って3ケ月以内という短期間ですので、家庭裁判所に相続放棄期間の伸長願いを出しておく必要があります(この点は、相続コラム「相続放棄期間の伸長」 参照)。

【本格的な遺産調査の方法】
 一般的に、遺産の中心は不動産と預貯金や有価証券です。
 不動産の調査は名寄帳の取り寄せが必要です(この点の詳細は、相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。
 また、被相続人であるお父さんの利用していた金融機関(支店名まで必要)がわかれば、取引履歴を取り寄せ、遺産額を確認するとともに、不正出金がないかどうかを確認するといいでしょう(この点の詳細は、Q&A №98参照)。

【信用情報の調査も必要】
 借金の有無や額の調査も必要です。
 この点については信用情報機関(JICC・CIC・全銀協など)に問い合わせて確認するとよいでしょう。
 このように結局、遺産のうち、資産部分と借金の双方を確認して、相続放棄をするかどうかを判断されるといいでしょう。


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【コラム】公正証書遺言の検索及び確認について

2013/08/12
1.第1段階・・公正証書遺言が作成されたかどうかの確認方法
1)調査方法
 これまでにどのような公正証書遺言が作成されたかについては、平成元年以降に作成されているものであれば、全国各地のどこの公証人役場で公正証書遺言が作成されているかどうかの調査が可能です(但し、この手続きでは、いつ、どこの公証人役場で作成されたのかが判明するだけで、遺言の内容まではわかりません)。
 この調査は、相続人等の利害関係人であれば調査することができます。

2)検索方法
 次の書類をご用意頂き、最寄りの公証人役場にご提示頂きましたら、検索は可能です。
① 除籍謄本等(遺言者本人が死亡したことを証明する書類)
② 戸籍謄本等(遺言者との利害関係を証明する書類)
③ 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど官公庁発行の顔写真付き身分証明書等)
④ 認め印(シャチハタ以外のもの)

2.第2段階・・遺言書の内容の確認
 上記検索にて、公正証書遺言が作成されていたことが判明した場合には、相続人であれば、その作成された公証人役場に行けば、その遺言書のコピー(謄本)をもらえます。
 この場合に必要な書類は、前記の①~④に記載された書類です。

3.遺贈者の場合
 遺贈者でも公正証書遺言書の確認が可能です。
 但し、遺贈を受けた人であれば、遺贈を受けたことを証する資料が必要です(ただ、正確に言うと、コピーをもらう遺言書自体がこれに該当するわけですが)。
 この証明をする資料がない場合には、遺贈者から請求があった時点で、公証人が遺贈を受けているかどうかを(当該遺言書で)確認し、その確認ができたら公正証書遺言のコピー(謄本)をもらえることになります。
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11:35 相続コラム | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

長男が相続した不動産の賃料を母は受け取ることができるか?【Q&A №296】

2013/07/11
定年退職後に同居を始めた兄夫婦に頼まれて、父が「土地 建物(テナント併設)不動産を全て長男に相続させ、現金預金を妻と長女(私)に残す」という、公正証書遺言書を作成してしまいました。妻のことが心配になり、その後 自分で 「○○年○月に作成した遺言書にそって、財産を相続させます。ただし、妻の老後のために家賃収入は全て妻に相続させることにします」という自筆遺言書を作成したから、死後に出してほしいと長女の私に預けました。この後からの自筆遺言書で、不動産が長男名義になった後に、法定果実の賃料を、母はどうしたら 受け取ることができますか?
よろしくお願いします。

記載内容

賃料 遺言 管理費用 検認

(なつ)


【相続が開始すればまず、検認を】
 先に公正証書遺言があっても、その後に自筆遺言があった場合、後の自筆遺言が優先します。
 ただ、自筆遺言の場合、家庭裁判所の検認という手続をする必要がありますので、相続が開始した場合には早急に遺言検認の手配をしましょう。

【履行しなければ、負担付遺贈の取り消しを請求する】
 検認が終了したら、賃料はお母さんに渡すようにお兄さんに申し入れる必要があります。
 それでも、お兄さんが賃料をくれない場合には、相当期間を定めてお兄さんに履行を催告する書面を送付する必要があります。
 それでもなお、お兄さんが履行しない場合には、家庭裁判所にお兄さんへの負担付遺贈の遺言を取り消してもらう手続きをすることができます。

【調停などにもつれ込む可能性が高い】
 お父さんの遺言によりますと、長男の方は賃料は受け取れないにもかかわらず、テナントの賃貸に要する管理費用や固定資産税の支払いなど、賃貸人や不動産所有者として負担を余儀なくされそうです。
 長男としては納得できないと言い出す可能性が高いと思われます。
 これらの点を考慮すると、長男の方が簡単に賃料をお母さんに支払わない可能性もあります。
 本件については、遺言の検認手続きから始まり、現実の支払いまでに様々な動きがあるように思いますので、できれば早期に法律の専門家である弁護士に相談し、場合によれば委任することをお勧めします。


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13:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言無効判決に必要な証拠【Q&A №292】

2013/07/02
 現在私は、公正証書遺言を無効とする判決を得たく努力しています。その公正証書遺言は以下のような手順で作成されたようです。90歳を越えたひとり暮らしの母に長男夫婦が自分たちに極めて有利な遺言を書かせるために母を公証役場に連れて行きました。証人2名は母の甥夫婦で安心させ予め権利書で主たる財産である母の土地建物を自分たちに相続させる内容となっています。
 さて本件公正証書遺言の母は要介護3に認定されたばかりで前記夫婦の力をかりなければ立ち上がることも歩くことも出来ない状だったと思います。このような状況で本当に自分の自由意思を以って遺言書を書いたかどうか非常に疑問に思っています。介護3の認定記録の他にどのような物的証拠があれば遺言無効の判決が得られるか教えてください。よろしくお願い致します。

記載内容

長谷川式認知スケール カルテ 看護記録 認知症 介護施設

(キータン)


【要介護3でも遺言できる】
 要介護3の人でも、それが身体的な理由であれば、遺言をすることが可能です。
 遺言で問題となるのは物事を認知し理解して判断を下す能力(意思能力といいます)であり、足腰が弱っていたこととは全く別物だからです。
 例えて言えば、車いすのお年寄りの方でも意識の明確な方は多数いらっしゃるということです。

【カルテの取り寄せを検討する】
 遺言を無効にするには、次の2つのうちのどちらかである場合が多いです。
① 遺言の偽造など、遺言が本人の意思に基づいていない。
② 遺言者に意思能力がなかった。

 今回の質問では公正証書遺言ということですので、②の問題となります。
 この意思能力の判断では、カルテなどが参考になります。
 お母さんが入院していたのなら、そのカルテを取り寄せして、その記載内容を確認しましょう。
 また、通院していたのなら、念のためにそのカルテを取り寄せしましょう。
 カルテにはお医者さんの所見や看護師の病状記録などがあり、当時のやりとりや健康状態を詳しく記載しており、当時の意思能力を知る上で大変重要な資料として裁判所も重視します。

【認知症の検査結果が重要です】
 最大の決め手となるのが認知症の検査結果です。
 この検査にはいくつかの方式があるようですが、著名なところでは長谷川式認知スケールという検査方法(参照:「相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介」)があり、この検査を当時行っていればその検査結果が重要な証拠として扱われるでしょう。
 この検査結果は、病院で行われ、カルテなどとともに保存されていることがあります。このほか、介護施設によっては、長谷川式認知スケールを定期的に行っているところもありますし、介護施設への入所の際の参考記録として実施しているところもあります。
 そのため、当時お母さんが入院・通院をしていた医療機関や介護施設などに問い合わせてそのような記録がないか調査してみることをお勧めいたします。



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13:10 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

長年別居の妻の相続権【Q&A №284】

2013/06/19
 相続

 妻が別居6年家裁で家族調停が決まり夕食を作る家族の平和を守るの決定が出た。
 無視して家出以後交流なしでしたが夫が癌で余命1年と宣告されたら突然夜買のごとく家に入り1週間目です。夫の名義預金2000万と死亡保険金が目当てです 妻の住所が6年住民票付表を取るまでわからなかったが籍が入っているから預金は妻のものでしょうか?
 夫は少し判断力がないが後見制度は難しいかもしれない位考えは支離滅裂ですが長い時間一緒でないと医者は判断できないと思います。あくどい財産狙いどうしたら宜しいでしょうか?
 私は夫の家族です

記載内容

別居 保険金 遺言

(犬)


【別居していても、戸籍上の妻が相続人になる】
 たとえ長期にわたり別居していたとしても、結果として離婚をしていないのであれば、妻は第1位の相続人であり、預金の相続権を有します。
 妻が家に戻る方向での調停が成立していたにも関わらず、これを無視して同居せず家出をしていた点をみれば、感情的には許しがたいという気持ちもわかります。
 しかし、相続は戸籍を基準にして相続人を判断するので、離婚していない以上、戸籍に記載された妻が相続分2分の1を取得するのはやむをえないという結論になります。

【保険金は受取人の指定による】
 死亡保険金は、原則として遺産ではありません。
 そのため、相続とは関係なく、保険契約で指定された受取人が保険金を取得します。

【遺言書を作ってもいいかもしれない】
 お父さんは《少し判断力がないが後見制度は難しいかもしれない位》とあります。
 長谷川式認知スケールなどで検査をし、その点数が15点前後であれば、遺言をする能力があったと判断される可能性もありますので、思い切って遺言書を作成するといいでしょう(長谷川式認知スケールと意思能力関係については、当事務所作成の相続コラム:意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介を参照ください)。
 なお、遺言書を作成する場合には、遺言書をできるだけ簡単な内容にしておく必要があります。
 将来、妻側が遺言書の効力を争った場合、遺言書の内容が簡単なら、お父さんでも理解できた(遺言能力があった)とされる可能性が高くなるからです。
 また、遺言書については、公証人が関与する公正証書遺言をお勧めしますが、そのような時間がないなら自筆の遺言書でも残しておくといいでしょう。




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11:36 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

死亡通知人は遺言内容も通知する義務を負うか【Q&A №271】

2013/04/22
遺言執行者が第三者で、死亡通知人が相続人の場合、死亡通知人の公正証書作成時(遺言執行前)の義務と権利について教えていただきたい。例えば、相続人が複数いる時、死亡通知人が他の相続人に公正証書の内容を明かしてはいけないんでしょうか(秘密にする義務があるのでしょうか)。

記載内容

死亡通知人 公証役場 

(renpapa)


【法律上、《死亡通知人》という制度はない】
 被相続人が生前、自分が死亡した場合、その死亡の事実及び遺言書の存在及び内容を相続人に知らせて欲しいという場合が考えられます。
 その指定された人を《死亡通知人》と呼ばれているのだと思います。
 しかし、死亡通知人というのは民法(遺言や相続について定める法律)などの法律で定めた役職ではありませんので、法律上、当然に権利義務が発生することはありません。

【《死亡通知人》のなすべき事項は】
 本件では公正証書遺言が作成されるようですが、その中で《死亡通知人》を遺言者が一方的に指定しても、その指定された《死亡通知人》に何らかの権利が発生し、あるいは義務を負うということはありません。
 ただ、《死亡通知人》が遺言者との間で、別途、何らかの合意をしている場合には、その合意の内容に従って、権利義務が発生します。
 質問ではそのような合意の有無や内容が記載されていませんが、仮に《死亡通知人》が指定されており、その指定された人が《死亡通知人》となることを了解したのなら、次のような行為をする必要があるでしょう。

①相続人に対して、被相続人が死亡した事実を通知する。
②被相続人が公正証書遺言をしたことも併せて通知する。


 各相続人としては、最低限、この①及び②の事実を通知してもらえれば、公証役場に遺言書の有無及び内容を確認することができますので、死亡通知人としてはなすべきことを果たしたということになるでしょう。

【公正証書遺言の内容を明かすことの当否】
 公正証書遺言の内容を明かすことの当否は、遺言者との間でどのような合意があったかによって決定されます。
 生前、遺言の内容を明らかにしてほしいとの合意が遺言者との間であったのであれば、当然に公開していいことになります。
 公開について何らの合意もない場合には、遺言の内容まで明かにしないのが無難でしょう。
 遺言の内容を明らかにしたことによって、遺言執行に支障が出てきた等のクレームが出る可能性があるからです。
 ただ、通知を受けた相続人から遺言の内容を聞かれることも考えられますが、その場合には公証役場で遺言書を確認することができるという説明をする程度に留めておくといいでしょう。


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遺言で遺産全部を取得する者がいる場合の遺産分割協議の当事者は誰か【Q&A №270】

2013/04/16
妻Aが平成20年死亡し、相続手続きをしないまま、夫Bが平成23年死亡しました。AB夫婦には子供がいないため、Bは公正証書遺言で、姪っ子X(だいしゅう相続人)に自分の財産のすべてを相続させる旨の遺言を残していました。

 Aの法定相続人は、亡Bと兄弟2名がいます。この場合、Aに関する遺産分割協議には、兄弟2名のほか、亡Bが全てを相続させるとしたXの3名で良いのでしょうか?
 それとも、亡Bの法定相続人十数名が亡Bの相続人としてBの遺産分割協議に出席しなければならないのでしょうか?
教えてください。

記載内容

数次相続 公正証書遺言 
(りょうちゃん)


【Aの遺産分割は、その相続人全員でする必要がある】
 妻Aの死亡により、夫BとAの兄弟2名の計3名が相続人となります。
 ところが、Aの相続人である夫Bが死亡し、その遺産分割協議をするというのであれば、Bの相続人全員(代襲相続人であるXも、もちろん参加する)が参加する必要があります。
 なぜなら、遺産分割協議は相続人全員でするものだからです。
 姪のXは、遺言でBの遺産全部を相続するのですが、Bの遺産について《遺産分割協議をする》ということになると、どうしても相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。

【遺産分割協議が成立しない場合】
 遺言で姪のXにBの遺産全部を相続させるということになったのですから、Bの遺産の中にある《Aの配偶者として相続する権利義務》は全てXが引き継ぎます。
 そのため、姪のXが遺産分割手続への参加を拒否するか、分割協議が成立しない場合には、Bの遺産は全部、遺言により姪Xが相続することになります(なお、Bの他の相続人については、Xに対して遺留分減殺請求をすることができる場合があります)。


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11:52 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言執行者の事務【Q&A №99】

2011/11/11

 本人の相続人は兄弟4人のみ。
 遺産を全て従兄に遺贈する内容の公正証書遺言があります。遺言執行者として兄弟の住所を戸籍附票から調べて、遺産目録を書留で送付したところ、うち1人分が「あて所に尋ねあたりません」で戻ってきてしまいました。
 この場合、通知したことになるのでしょうか。ならなければどうすればよいのでしょうか。


記載内容

  遺言執行者 相続財産目録 
(ジェシー)


【遺言執行者のするべき作業】
 遺言執行者になった者は、相続財産の目録を遅滞なく作成して、相続人に交付しなければならないと法律で定められています。
 そのため、遺言執行者の立場にあるあなたとしては、遺言者が死亡したこと、遺言があったことを相続人に通知するとともに、財産目録を作成して交付する必要があります。
 質問のケースでは、従弟が遺言で全財産を取得するので、兄弟は法定相続人であっても、相続財産をもらえず、又、兄弟だから遺留分請求もできませんので、通知や財産目録の交付が不要ではないかという方がいるかもしれません。
 しかし、公正証書遺言があってもそれが必ずしも有効とは限りません。
 法定相続人である兄弟は遺言が無効を主張して、相続を求める場合もありますし、又、遺産が自分は自分のものだという方もいるかもしれません。
 そのため、質問のようなケースでも遺言者の死亡、遺言の存在、財産目録の交付は必要であり、それをしなかったということで執行者が損害賠償を命じられた裁判例もあります。

【質問のケースでは通知したことにはならない】
 参考までに言えば、受取を拒否したということであれば、受け取れる状況だったことから通知したとされる可能性がありますが、「あて所に尋ねあたりません」で戻ってきたのであれば、通知したことにはなりません(戸籍附票で調べた住所に、しかも書留で送付した場合でも結論は同じです)。

【執行者はどこまで相続人の所在調査をするべきか?】
 執行者がどこまでするべきかについては、法律にはなにも定められていません。
 これまでの裁判例もそれぞれのケースに応じた判断をしており、はっきりとした基準がああるわけでもありません。
 遺言執行者にどの程度の報酬が支払いされるのか、又、執行者の職業が法律関係であるのかにより、調査の程度も異なってくる可能性があります。
 質問のケースに即して言うなら、最低限、届かなかった人の居所を知っているかどうかを他の兄弟に確認し、最後の住所地が近くの都道府県であれば、その地の近所の人たちに聞き込みにいく等の調査作業をしておくのが無難でしょう。
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★兄弟に内緒で作られた母の公正証書遺言【Q&A №76】

2011/06/16

 32年前に父が亡くなり、その時相続した土地がありました。
 2年前「息子が家を建てることになり私の土地が必要なので、母の名義にして欲しい」と兄が言ってきました。他の土地と交換ならと言うことで承諾しました。
 その後何も連絡無いまま突然書類が送られてきました。土地交換のための書類でした。書類は譲渡になっていました。何もわからず印を押し、手続きは完了しました。(22年6月完了)
 半年後の23年1月に母が亡くなりました。兄が公証役場で作られた遺言書を出してきました。兄弟3人誰も知りませんでした。交換された土地は、私に相続させるとされた土地の一部だったのです。
*相続させる土地243㎡  交換された土地143㎡ 残124㎡

 兄は知っててこうしたのです。返せ、違う土地でも返せ、と詰め寄っても母に言われた、知らない、のことばしか返ってきません。取られてしまいました。交換時の書類の母の署名は兄の字でした。無効にならないか2人の弁護士さんに相談しましたが、書類上は完璧です、と言われました。

 どうしても納得できません。土地が無理ならせめて損害賠償請求を裁判所にしたいのです。遺言書により兄は全部の土地の70%を相続しました。
宜しくお願い致します。


記載内容

  公正証書遺言 意思能力 遺留分減殺請求 
(ラブパピ)


【本当にひどい仕打ちです】
 質問から見ると、大変、ひどい仕打ちです。
 交換がなければ、あなたはお父さんから相続した土地を所有し、お母さんから土地を相続でき、双方の土地を所有できたはずだったはずだったのですから。

【損害賠償はむずかしいかも】
 お兄さんに対する損害賠償を考えておられますが、お兄さんとしては「お母さんが自分の意思で交換をした」ということを言うでしょう。
 不法行為の証明はあなたがしなければなりません。
 亡くなっているお母さんに証言してもらうこともできませんので、不法行為の証明は困難なことが多いです。

【他に考えられる対抗策はないのか】
 お兄さんに対する対抗策として考えられるのは次の3つです。

①交換契約の無効は主張できないか。
 お母さんの署名がなく、しかも手続後、半年でお母さんがなくなったのですから、ひょっとすると、交換した時点では、お母さんに意思能力がなかったという可能性はないでしょうか?
 もし、そうであれば、交換はお母さんの意思に基づかないとして、無効を主張することも可能かもしれません。
 お母さんが入院されていたのであれば、是非、カルテや看護日誌を取り寄せし、その内容を確認されることをお勧めします。

②遺言の無効は主張できないか。
 遺言がいつ、作成されたのかは不明ですが、もしかすると、その作成時点でお母さんの意思(遺言)能力がなかったという可能性はありませんか?
 公証人が遺言書作成時にお母さんの意思能力を(ある程度は)確認しますので、可能性は低いかもしれませんが、念のためにカルテ等の確認が必要です。

③遺留分減殺請求はできないか?
 念のため、遺留分減殺請求も検討されるとよいでしょう。
 おそらく他の弁護士からも助言があったとは思いますが、遺産の土地の70%をお兄さんが取得したというのなら、あなたの遺留分が侵害されている可能性もあります。ただし、ほかのご兄弟がいらっしゃることや、土地以外の遺産分配の仕方などにより、結果として遺留分侵害がなかったと判断される可能性もあります。念のため、ご検討下さい。
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★遺言と兄弟姉妹の遺留分【Q&A №40】

2010/09/09


私の亡き父の姉が亡くなり、土地の相続をすることになりました。
 叔母は生前私のみに相続させるむねの公正証書を作成しておりました。叔母は結婚しておらず、もちろん子供もおりません。叔母の姉妹(私の父の兄弟姉妹)がいるだけです。
 このような場合、遺産はどのように分けられるのか、また兄弟姉妹には慰留分はないと聞きますがこの場合はどうなのか教えていただけないでしょうか。


記載内容

  公正証書遺言 遺留分 遺留分権者 
(ひろ)


《遺産はどのように分けられるのか?》
 公正証書遺言にあなたのみに相続させると記載していますので、遺産はすべてあなたが単独で相続することになります。
 遺産の中に土地があるようですが、この土地をあなたの名義にするには、司法書士さんに登記手続きを依頼されるといいでしょう。
 なお、自筆の遺言書であれば、家庭裁判所で検認という手続きをする必要がありますが、公正証書遺言の場合にはそのような手続きなしで、登記をあなた名義に移転することができます。

 預金についても、あなたが相続して取得することになりますが、銀行の手続きが必要です。
 公正証書遺言があれば、全部、あなたが払い戻しできるはずですが、銀行としては、公正証書遺言があっても、すぐに払い戻しに応じない場合が多いです。
 銀行から他の相続人になんらかの連絡をしてから、払い戻しに応じるような場合が多いです(他の相続人からクレームが出れば、訴訟をしてくれと言われる可能性があります)。
 いずれにせよ、事前に銀行に連絡し、公正証書遺言があるので手続きをしたいがどのような手続きになるのかを確 認し、払い戻しができないようなら弁護士に相談されるといいでしょう。

《遺留分について》
 兄弟姉妹には遺留分はなく、本件の場合も叔母さんの兄弟姉妹から遺留分減殺請求はできません。
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★【コラム】公正証書遺言とはどういうものか

2009/07/10
今回は、公正証書遺言とはどういうものか、説明します。

 公正証書遺言とは、公証人という資格を有する人が遺言者から遺言の内容を聞き取って作る遺言書です。
この公証人になれるのは、裁判官や検察官を何十年もした、法律をとてもよく知った人がなります。
このように法律に詳しい公証人が関与しますので、内容に誤りがあるとか、遺言書として効力がないというようなことはほとんどなく、その点で自筆証書遺言とは大きく異なります。

公正証書遺言の短所は次の点です。
公証人に関与して頂くのですから、手続き費用がある程度必要となりますし、また、作成する場合には証人2名(このような証人がいない場合には、若干費用がかかりますが、公証人に方で証人を用意してくれます)が必要です。

しかし、公正証書には、短所を上回る長所が数多くあります。
 第一に、自筆遺言書のように偽造されるおそれはありません。
 第二に、自筆遺言書であれば、発見した人がその内容を見て、自分に都合が悪いと思えば、破棄するというようなことも考えられます。さらに、火事などで遺言書が焼失してしまうこともあるかもしれません。
しかし、公正証書遺言では公証人が遺言書を厳重に保管してくれるため、紛失するということがありません。
 第三に、公正証書遺言であれば、裁判所で遺言書を確認するという検認手続きが不要ですので、遺言者が死亡した場合、すぐに登記などができます。

なお、公正証書遺言は原則として公証役場というところで作成しますが、そこまで出向けない場合には、若干費用がかかりますが、公証人が遺言者のいる場所まで出張してくれます。病床にある方などでも利用が可能です。

確実に遺言書を残し、それを実行して欲しいという場合には、是非、この公正証書遺言を作成されることをお勧めします。
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