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亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続で取得した共有の不動産を単独取得したい場合【Q&A №106】

2012/01/16

 父が亡くなり、家を兄弟で相続しました。今は長男の私が自分の家族と実母とその家に同居しています。家を売りたくないので、弟に相続分として現金を払うべきかと悩んでいます。こういった場合、家を査定してもらって現金を支払うならどの程度払えばよいのでしょうか。こちらは親の面倒を見ているので(あまりそういう意識は弟にも母にもないようですが)、査定額の半分を渡すのには抵抗があります。どうすればよいでしょうか。またお金は全額一括でないといけませんか?


記載内容

  代償分割 介護費用 価格査定
(ハプキンス)


 【遺産分割協議は終わっているのか?】
 家を弟さんと2人で相続したとありますが、遺産分割協議書を作成するなど、既に相続の手続きは終わっているのでしょうか。
 もし終わっているなら、相続の問題ではなく、相続で共有となった家を単独にするための手続き―共有物分割請求―の問題であり、相続の問題ではありません。
 ただ、今後、兄弟で相続するのだというのであれば相続の問題です。

【解決の方向は2つです】
 もし、遺産分割が終わっていないのなら、問題の解決の方向としては、①あなたが家を単独で相続するというのと、②家は共有にするが、使用についてはお母さんの面倒を見ているので、あなたが相続するという合意をするという、2つの方向があります。
 ただ、②の方向は、いつか将来、弟さんの取得した持分を買い取るということになりますので、現時点で可能な①の方向を検討するといいでしょう。

【まず、お母さんを味方につける】
 まず、相続人は、お母さん《法定相続分2分の1》とあなた《法定相続分4分の1》と弟《法定相続分4分の1》です。
 そのため、まずお母さんを説得して、味方につけ、家をあなたの名義にするのに協力してもらいましょう。
 そうすると、あなたが家を自分の単独名義にする場合、弟さんに支払うべき金額は、弟さんの相続分である4分の1の金額で済みます。

【代償金を低くするためのテクニック】
 相続で家を単独取得する場合、弟さんに見返りとしてお金(代償金)を支払う必要があります。
 この場合、弟さんが相続で代償金を取得しますが、第三者に不動産を譲渡し、売却代金を分割した場合に課税される譲渡益課税(通常、代金額の約20%)の支払いの必要はありませんし、売却を仲介した業者に支払う手数料(代金の約3%)も不要です。
 このように、弟さんにとっては、売却代金の分割より代償金の方が有利になりますので、その点を説明し、査定額から20%程度、減額してもらうように交渉するといいでしょう。

【一括払いかどうかは弟さんとの話し合い次第です】
 代償金の支払い方法は決まっていません。
 しかし、通常は一括支払いをし、その時に同時に登記を移転してもらうことになります。
 ただ、あなたがお母さんの面倒を見るということで、弟さんに分割払いにしてもらうようお願いしてもいいでしょう(但し、了解するかどうかは弟さんの意向次第ですが)。

【お母さんの介護は、今回の相続とは別の問題です】
 お母さんの介護費用や手間の問題があるとしても、それはお父さんの遺産分割とは別個の話です。
 ただ、母親の介護をする義務(扶養義務と言います)は、兄弟全員に平等にありますので、代償金支払いの交渉の際、あなたが介護をする(ということはお弟さんは扶養義務を免れるという利益がある)ということを減額のための説得理由とすることも、交渉テクニックとして考えていいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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15:44 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★介護をしなかった弟の相続分【Q&A №94】

2011/10/20

 遺産相続についてお尋ねします。
私の母が亡くなりました。父はもう他界しています。
私には弟が一人いて、兄弟は2人です。
母の遺産は土地だけです(約500万円)
母は、私の家族が面倒を見てきました。(要介護5級)認知症が酷い状態でした。5年間ほぼ寝たきりでした。
遺産分割で弟は土地の半分の250万円を欲しいと言っていますが、母の面倒は見ていません。
こういう場合法律では50:50で分けるべきなのでしょうか?
家では、母がいるため妻は働けずに収入もありませんでした。
母の面倒の費用は母の年金でほぼ賄えました。
面倒を見ていない弟に半分というのは、私は納得いきません。
よろしくお願いします。


記載内容

  遺産分割 寄与分 介護 
(フォトちゃん)


【介護は特別寄与分として主張する】
 親の面倒を見るのは子供の当然の義務であって、それだけで遺産の取り分が増えるわけではない、というのが現在の裁判所の考え方です。したがって、親の介護をした相続人も、他の相続人も同様の割合で遺産分割されるのが原則です。
 ただ、自力でお母さんの介護をしたことによって、お母さんの介護費用(たとえばヘルパー代等)が少なくなったというのであれば、お母さんの財産の減少を食い止めたということで、その減少額に相当する金額を遺産からもらうことを主張されるといいでしょう(このように遺産の減少を少なくし、あるいは遺産を増加させることに役立った分を請求するのを特別寄与分の主張といいます)。

【奥さんの介護もあなたと一心同体と主張するといいでしょう】
 お母さんの介護は主としてあなたの奥さんがされたということですが、その場合は夫婦が一心同体であるとして、あなたが特別寄与したのと同様に扱うように主張されるといいでしょう。
 なお、介護のために奥さんが働けなかった分を請求したいという気持ちがおありかもしれませんが、残念ながら、現在の扱いでは、遺産の減少を食い止めた額、あるいは増加させた額でしか評価されません。

【調停委員への働きかけは、感情的にならずに事実を述べる】
 実は、当事務所の弁護士間でも、介護をしても遺産のもらい分が増えないという点を議論したことがありますが、このような扱いはおかしいという結論でした。
 もし遺産分割調停をするなら、お母さんの介護がいかに大変であったかを調停委員に訴えるといいでしょう。私たちと同じ考え方の調停委員も当然おられるでしょうから、介護を評価して弟さんに譲歩するように話してくれる可能性があります。
 なお、弟さんを感情的に攻めるとかえって逆効果になる場合がありますので、事実で説明することを心がけるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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14:27 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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