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遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】

2017/02/14


【質問の要旨】

保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】

相続人兄と私のみ

遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)

死亡保険金1450万円(受取人私)あり。

家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。

何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。

少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。

2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。

その1年後父が他界。

葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)

今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。

家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)

生命保険は私が受取る。

父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す
ると。

兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。

生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。

兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。

実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?

兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。

分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。

今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)






【遺産内容について】

まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります

これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります


【保険金は遺産ではありません】

あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。


【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】

家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。

土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。

特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。

ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。

そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。

又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。

なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。


【債務の扱い】

お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。

賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。

その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。

次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。

以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
18:12 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016/05/30



【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし
た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)







【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。


【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。


【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます

お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡兄に使い込まれた私のお金を請求できないか【Q&A №463】

2015/08/31



【ご質問のまとめ】

40年ほど前に私のお金を800万円使い込んだ兄が、先日亡くなりました。

兄は1億円の財産を遺し、すべて姉が相続しました。

お金を取り返すことはできないですか?



記載内容

  相続債務 消滅時効 包括遺贈


【ご質問内容】

兄弟は8人で私は末っ子です。

去年長男の兄が亡くなり、その兄には私が若い頃40年前貯金をしていた800万円使われていましたが返してもらえないまま亡くなりました。

遺産は1億万円位あったそうです。

しかし相続人は姉になっていました。

それから兄は奥さんには先だたれてます。

子供もいませんでした。

証人は沢山いますが、借用書がないのがだめかなと諦めようと思っていても何か悔しくて何とかならないものでしょうか!?


(ノンちゃん)







【40年前の使い込みの返還請求について・・・時効で消滅している可能性が高い】

わかりやすくするために、まず、お兄さんが現在も生きておられるとして、考えてみます。

あなた自身の預貯金をお兄さんが使いこんだということですが、それがあなたに無断であったのなら、あなたとしてはお兄さんにその使い込まれた金額の返還請求が可能です。

その根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求権です。

但し、請求権には消滅時効があります。

消滅時効の期間は次のとおりです。

上記①の不法行為であれば使い込まれたことを知ってから3年間です、ずーっと、使い込みを知らなかった場合には使い込みの時点から20年間です。

②の不当利得の場合には返還請求できる日(使い込みの翌日から)10年間です。

現在まで40年間が経過しているということであればいずれにしても消滅時効にかかりますので、お兄さんが消滅時効と主張するのであれば、請求はできません。



【消滅時効にならない・・時効中断がある・・場合】

ただ、お兄さんが使い込みを認めていた(但し、あなたがその点を証明する必要があります)のであれば、その認めた時点から10年以内なら消滅時効は完成しません。

これを時効の中断といいます。

そのように請求を認めた事実がないかどうか、例えば最近10年間以内にお兄さんから使い込みを認めたような謝罪の書面を送付されていないか、あるいはそのような内容を録音したことがないかどうかを確認されるといいでしょう。

もしあれば、それで時効中断になるかどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。



【時効中断している場合はお姉さんに請求する】

以上に説明したことを前提に、本件について考えてみます。

もし、あなたの持っている請求権が時効で消滅していないのなら、お兄さんに請求できることになるはずですが、本件ではお兄さんは既に死亡されており、相続人がお姉さんということのようです。

その詳しい事実関係は明らかでありませんが、おそらくお兄さんが《すべての遺産をお姉さんに相続させる》という遺言書を作成されていたのでしょう。

もしそうであれば、お姉さんは、お兄さんの遺産全部を相続するとともに、その債務を承継します民法990条、民法896条:末尾に記載した条文をご覧ください)。

そのため、あなたとしては、お姉さんに対して債務を承継したとして請求をすることが可能です。


【兄弟には遺留分減殺請求がない】

質問者の方はご存知と思いますが、念のために遺留分がないことも記載しておきます。

ある法定相続人に遺産の全部が行くような場合、他の相続人には遺留分減殺請求が認められています。

しかし、兄弟姉妹には遺留分減殺は認められておりません。

そのため、本件では1億円の遺産がお姉さんに行ってもあなたは遺留分減殺請求ができないということになります。

(弁護士 大澤龍司)


〔参照条文〕

民 法

(包括受遺者の権利義務)
第990条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(相続の一般的効力)
第896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
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13:15 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
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大澤龍司法律事務所
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16:19 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親と同居していた相続人の金銭管理【Q&A №454】

2015/07/13



【質問のまとめ】

親(被相続人)と同居していた相続人(子)の財産管理がずさんだと思います。

何に使ったかわからないまま、親の「遺産は●●円です」と言われても納得がいきません。

どうしたらいいですか?



記載内容

 同居 無断 不正出金


【ご質問内容】

 相続人の1人は親と同居し金銭管理をしていました。

 管理していた年月日についても話がころころ変わります。

 「親のお金も私のお金」と言わんばかりのずさんな管理に困っています。

 「何に使ったか分からない」と言いながら「遺産は○○○円です。」では、納得できませんし遺産分割に応じられません。

 また、被相続人が死亡し、数月間の取引履歴を取り寄せた際、存命時に金融機関からの普通定期預金の引き出しが行われており、その筆跡は金銭管理の相続人、死亡後の引き出しもその相続人です。

 はっきりさせたいと思いますよろしくお願いいたします。


(さくら)







【家計収支の区分ができていない】
 同居していた相続人(特に子)の方が親の金銭管理をしている場合、家計収支を区分せず、親のお金も自分のお金もごちゃまぜにして生活費を出していたというのは、よくあるケースです。

 この場合、高額の出金かどうかで対応が異なります。

 以下、区分して回答していきます。



【高額出金の場合】

 預貯金口座からの高額の出金(その人の遺産全体の価額により異なりますが、通常、20~50万円を超すと高額となると考えていいでしょう)の場合には、親が同意をしているのかどうか、また、その使途が何かが問題になります。

 親が同意をしている場合、その使途が子のためであれば、贈与とみなすことができ、その出金額は特別受益になり、遺産に持ち戻されます

 親の同意がない場合には、子が勝手に出金したとして、親が子に対してその出金額を不当利得(あるいは不法行為)として返還請求ができることになります(口座の名義人である親の氏名を同居人である子が署名して出金しているような場合には、親の同意がない可能性が高いと考えていいでしょう)。

 このようなお父さんの持つこの返還請求権は遺産になります。

 そのため、相続人は法定相続分に応じた返還請求権を相続します。

 例えば、100万円が不正出金され、あなたの法定相続分が4分の1なら、あなたとしては出金された人に25万円を返還請求することできます。



【少額出金の場合】

 毎月、数万円程度の出金があり、それを同居者が使っていたとした場合、それは生活費の補助とされる場合も多いです。

 裁判例では10数万円でも、親から子供に対する生活費の補助だとして、特別受益が認められなかったケースがあります。



【死亡後の引き出しは遺産の出金】

 死亡した時点で、遺産は相続人に法定相続分で分割されることになります。

 金融機関が被相続人の死亡を知った場合には、その時点で口座を凍結され、出金ができなくなります。

 ただ、死亡を隠して、相続人の一人が多額の出金をした場合、他の法定相続人はその法定相続分に応じた金額の返還を請求することができます。

(弁護士 大澤龍司)
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★多額の使途不明金と葬儀費用の請求【Q&A №424】

2015/01/20



【ご質問詳細】

 去年の春に母が亡くなりました。

 年金や私達が住んでいた家を売ったお金などが入金された母名義の通帳は、母の実家である本家の親戚が管理してました。

 数千万の貯金があった筈なのですが、葬式代や病院代などを、今になって請求されています。

 手続きなど私達兄弟が行い、かかった経費は母の口座から出すという事だったのですが、年金のみでそんな貯金は無かったと言い張ります。

 すべてが口約束なので、文面で残ってません。

 亡くなる前の施設に居た3年間は、脳卒中の後遺症で意思の疎通が出来なかったので、本人が指示を出すとか、引き出したり使ったとは考え難いです。

 私達に支払いの義務はあるのでしょうか? 


記載内容

  葬儀費用

(まもる)





【入院費用及び葬儀費用の支払い義務はある】

 お母さんの入院費用については、お母さんが負担するべきものです。

 その支払いを親戚の方がしたのであれば、お母さんはその親戚に立替費用返還義務を負います。

 お母さんが死亡された後は、相続放棄をしない限り、相続人がその法定相続分に応じて債務負担をしますので、相続人が支払い義務を負います。

 次に葬儀費用ですが、葬儀はお母さんの死後に行われる行事であり、喪主の方(通常は長男さん)が負担することになります。

 長男の方が、その葬儀で喪主になられているのであれば、喪主の方が負担すべきものです。もし親戚の方が立て替えて支払ったのであれば、喪主の方はその親戚に支払うべき義務があります。



【もし、親戚が預金を引き出していたとすると・・】

 お母さんが数千万円の預金を有していたのに、その分がないということであれば、預金口座を管理していた親戚の方が引き出した可能性があります。

 もし、親戚の方が引き出して使っているのであれば、お母さんはその親戚の方に対して、不当利得あるいは不法行為に基づいて返還請求損害賠償請求をすることが可能です。

 この請求権は相続されますので、相続人の方は、その請求権があるということで、入院費用立替金返還請求権とを相殺するとして、前項の支払い請求を拒否することができます。



【金融機関への履歴の照会・開示について】

 「銀行で調べたところ、脳卒中の後で施設に入った時期に、全額母の口座から引き出されているようですが、詳しい事は教えてもらえませんでした」と質問に記載されてあります。

 現在、金融機関が相続人に、被相続人の口座の内容を知らせないということは考えにくいです。

 もう一度、銀行に開示するように交渉されるといいでしょう。

 その際、銀行から次のような資料を求められますので、予め取り寄せておくといいでしょう。

①相続が開始したことを証明するための資料・・被相続人の除籍謄本

②あなたが相続人であるということを証明するための資料・・あなたの戸籍謄本

③あなたの身分証明書・・免許書または健康保険証



 なお、あなたが銀行に開示を求める(聞く必要がある)事項は次の事項です。

①相続開始時(お母さん死亡時点)の残高

②被相続人の口座の入出金状況(取引履歴)

③多額の金銭の引き出しがある場合には、その引き出しに際して提出された書類(払い戻し伝票等の写し)
(これは筆跡により、誰が引き出したかを確認するために必要です)。




【銀行関係の調査が終了した場合はどうするか・・】

 銀行での調査が終了した後に、出金の中に使徒不明金がないかどうかを検討しましょう。

 使途不明金がある場合にはその出金を誰がしたのかを払い戻し伝票で確認しましょう。

 その後、使徒不明金が多額に及ぶのなら、親戚の方からの支払い請求を拒否するだけではなく、その親戚の方が預金を取り込んでいるとして返還請求をすることも可能です。

 ただ、返還請求をしたいが、人間関係から見て難しいというような場合には、銀行の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼されることも検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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12:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★生前の預金の使い込みは、隠した者勝ちなのか?【Q&A №395】

2014/08/12
  昨年母が亡くなりました。

 父は10年前に亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。

 母の相続に際し、同居していた弟が母の預貯金を勝手に引出していたことが預金履歴の調査で判明しました。

 母は10年前から介護老人保健施設に通入所しており、亡くなる4年ほど前には胃瘻を施し、痴呆も進んでおりました。

 元々生活が質素だったこともあり、施設の費用を含め、生活費は年金で充分賄えていたはずですが、10年間で預金が1500万目減りしていました。

 銀行の取引履歴は全て入手しており、預金の引出しはATMではなく窓口で行われているので、銀行に照会すれば弟またはその嫁が引き出したことは明らかになります。

 調停や訴訟は不可避と考え弁護士に相談していますが、弁護士からは、「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね、、」と言われ落胆しました。

 引出伝票などで弟が預金の引出しをしたことが明らかになっても、使い込みの充分な証拠にはならないのでしょうか?

 ご教示ください。

記載内容

不正出金 使い込み 隠す
(なお)





【そんな弁護士いるんですね・・】

 相談した弁護士が「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね」と言われたとのこと。

 あなたががっかりと落胆する気持ち、よくわかります。

 難しい面があるのは事実ですが、そこを何とかするのが弁護士なのに・・というのが私の率直な気持ちです。



【出金伝票を確認する】

 まず、《誰が引き出したのか》という点が問題になります。

 カードではなく、窓口で引き出したようですので、金融機関に払い戻し伝票のコピーをもらうといいでしょう。

 過去10年間という長い期間にわたる預金の引き出しの場合、私が経験したケースでは、当初はお母さんが引き出していたが、途中から弟さんが代理人として、その後、弟さんがお母さんの署名を偽造して引き出していました。

 もし、伝票の筆跡が弟さんであれば、弟さんが引き出したことになり、その分を不当利得あるいは不法行為を理由として、返還請求損害賠償請求するといいでしょう(当事務所の扱った事件で返還を認めさせたケースは多数あります)。

 次に、弟さんが代理人として引き出した場合にも、お母さんに渡したことが立証できない限り、弟さんが使いこんだという前提で対応するといいでしょう。

 ただ、お母さんの筆跡であるとすると、その分は、お母さんが引き出したということになり、弟さんがお母さんから生前贈与してもらったというような証拠を探す必要があります。

 なお、お母さんが多額の金銭を必要としないような場合、その引き出した金銭は手元現金として残っているはずです。

 その点も訴訟になった場合の争点になります。

 いずれにせよ、まず、出金伝票を取り寄せ、その内容を検討することが第一の作業です。



【使途は何かを確認する】

 次に、《出金したお金を何に使ったのか》という点が問題になります。

 既に死亡しているお母さんから使途を聞くことはできませんので、何に使ったかは弟さんから聞くことになります。

 お母さんが多額の出金をして、弟さんに生前贈与されている場合も多いでしょう。

 もし、生前贈与ならその分を遺産に持ち戻して、遺産分割計算されることになります。

 ただ、同居している弟さんの生活費に使われたというのなら、親子間の扶養義務の履行として、その生活費として支出された分は生前贈与とみなされない可能性があります。




【財産が残っているのかどうかも要確認事項です】

 いずれにせよ、この種の案件は訴訟まで行くことも想定しておいた方がいいでしょう。

 なお、最初から《弱気で逃げを打つ》ようであれば、弁護士を替えることも考えるといいでしょう。

 なお、遺産がほとんどのこっておらず、また、弟さんも財産を持っていないような場合、裁判に勝っても、結局は回収できない場合もあります。

 回収の可能性があるのかどうか、この点も弁護士と相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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息子名義の借名預金という言いがかりと名誉毀損【Q&A №388】

2014/06/17
 おじいちゃんが亡くなり、面倒を見ていた父が遺産相続をすることになったのですが、父の弟が、きっちり半額相続するだけでなく、父名義の口座も、実はおじいちゃんの口座で借名口座だから、その口座のお金も半額払えと言っています。
 もちろんそれは叔父の妄想?お金が欲しいだけ?の言いがかりです。
 叔父は裁判を起こすと言っています。
 父は何も後ろめたい事はないのですが、法律系のテレビ番組で弁護士の意見がわれることがあるので、もし、裁判で負けてしまったらこれから老後の蓄えが減ってしまうと心配しています。
 私は父が一生懸命働いて貯めたお金を、叔父の嘘で取られてしまうのはかわいそうすぎてなんとかしてあげたいです。
 裁判でどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
 また、言いがかりに対しての労力や経費を、名誉毀損で叔父を訴えて、取り返すことはできるのでしょうか?

記載内容

借名預金の立証方法 名誉毀損 元手
(かっぱ)


【預金原資を誰が出したのかが最重要】
 このブログでも何度か取り上げておりますが(Q&A №358Q&A №300Q&A №274ほか参照)、以前には家族など他人の名義で預金を作る《借名預金》または《借名口座》が多数存在した時期がありました。
 その結果、預金口座を実際に動かしていた人物と名義人との間にずれが生じ、裁判で争われたケースは少なくありません。
① このような裁判で一番重視されるのは、「誰がその預金の元手となる金銭を出したのか」という点です。
 当時の被相続人(お祖父さん)と口座名義人であるお父さんの収入状況を確認し、その預金がお父さんが出したものであるという証拠を集めておく必要があるでしょう。
② 次に、預貯金通帳とその取引印を誰が保管していたのかも重要な点になります。
 もし、あなたのお父さんがその預金の原資を出しており、かつ、預貯金通帳と印鑑も持っておられたというのなら、お父さんの口座と認定され、訴訟を起こされても負けることはないでしょう。

【裁判は証明責任を負う方が証明する必要がある】
 裁判には証明責任というものがあります。
 証明責任を負う者が証明できない場合、その人の主張は認められません。
 言い換えれば、証明責任を負う者がその主張する事実を証明できない場合、その人が敗訴するということになります。
 今回の質問の場合、口座名義人がお父さんですので、それが被相続人であるお祖父さんのものであることを主張するなら、叔父さん(お父さんの弟)が、前項の①の預貯金の元手を出したのはお祖父さんであることや、②の通帳や印鑑の管理などはお祖父さんがしていたことなどを証明する必要があり、それができなければ、叔父さんが訴訟を起こしても敗訴することになります。

【名誉棄損の損害賠償は難しい】
 名誉棄損で叔父さんに損害賠償をしたいということですが、難しいです。
 預金が誰の財産であるかについて、法定相続人である叔父さんがその見解を主張することはなんら違法行為ではありません。
 結果として裁判で叔父さんの主張が通らなかったとしても、その主張を展開したことが不法行為であるとして損害賠償義務を負うことは考えにくいです。
 その理由は、まったく関係のない第三者の名義ならともかく、前述の通り以前は借名預金が多数存在しましたので、そのような借名預金の一つではないか、と疑ってかかることも(たとえ結果的にはなんら根拠のない主張であったとしても)違法行為とまでは言えず、損害賠償の請求をすることは困難であるからです。
 参考まで言えば、名誉毀損行為とは、「あの男は父親の財産を横取りした犯罪者だ」などと町中に張り紙をしたり、新聞や雑誌で報道したりするなど(現代ならインターネットで書き立てることもこれに該当するケースがあるでしょう)、お父さんに対する社会的評価(世間の評価)を低下させる発言を(基本的には第三者に対して)行うことであり、今回の相続の当事者間で遺産に対する評価を主張し合うこと自体は、なんら名誉毀損とは言えないでしょう。
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★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】

2014/04/01
 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)
 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容

不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得
(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。


【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
※横領についても同様の刑の免除の条文があります。
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14:29 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

印鑑を無断盗用した遺産分割協議書【Q&A №340】

2014/01/15
 ①遺産相続協議書の見せられたのは母親死亡後の相続の件時で訪問した平成22年6月29日に初めて知った。弟Aは(平成21年7月死亡)は昭和51年5月1日に遺産相続協議書を作成して所有権移転登記は昭和51年5月30日完了していた。 勝手に弟の配偶者(B)に署名させて印鑑を押印後に印鑑登録を要請、印鑑署名書は代理人申請で取得していた 印鑑登録は昭和51年5月15日です。署名の事実もなく正本も渡されていない。 母親(平成22年5月11日死亡)と父親(昭和37年7月30日死亡)の相続調停で相手方4名は弟Aの相続人配偶者とその子3人 申立人2名は私Cと妹は弁護士に相談して立川裁判所に調停を平成22年7月申請した。調停で父親の相続は訴訟で争うとの回答書に対して申立人弁護士は「父親の相続は経費が掛かる、時効が成立しているから・・
 経費対成果を考えると母親の調停で進めましょう」との事で母親の所有権のある建物の20分の9を相手側が支払うことで調停平成23年5月27日に成立しました。
②配偶者(B)とその子Dは敷地内に弟Aが不正な方法で土地所有権を得た敷地364,52㎡の一部を121,58㎡土地文筆登記平成14年6月14日して家を新築した。 当時弟Aに確認したら借地代として税金分は貰っていると話をしていたのである。調停前平成22年6月17日に配偶者とその子D.E2人持ち分242,94㎡を3/1づつ移転登記され、且配偶者(B)はその子Fは文筆登記された121,58㎡土地移転登記していた。

記載内容

実印 印鑑登録 偽造
(知世子)


【時効制度について損害賠償請求にも時効がある】
 ご相談内容に質問部分が記載されておりませんでしたので、当方で問題点を推測し、回答します。
 まず、お父さんの遺産分割について、あなた(さらには妹さんの)印鑑が勝手に印鑑登録され、その実印が使用されて、遺産分割協議書が作成されたとすれば、それはあなた方の意思に基づかない違法かつ無効な遺産分割協議であり、その協議書を使ってお父さんの遺産である土地等の不動産登記もされたのであれば、その登記も効力がありません。
 ただ、法律では、無効な権利関係といえども、権利者としての外形が長く続くのであれば、その外形を権利として認めようということで、取得時効という制度を設けています。
 又、権利を長く行使しないのであれば、その権利の行使を認めなくする消滅時効という制度も認めています。

【弟さんの行為については不法行為基づく損害賠償請求が可能だったが・・】
 弟さんのした行為はあなた方の遺産を取得することを妨害したもので、あなた方としては不法行為による損害賠償請求ができることになります。
 しかし、不法行為はその行為を知ったときは、知ってから3年間、知らない場合にも不法行為時から20年で時効に消滅します。
 今回のケースでは、その行為があった昭和51年から約40年近くが経過しています。
 あなたの委任された弁護士が時効というのは、その消滅時効のことを言っているのでしょう。
 また、仮に本件が私文書偽造罪などにあたるとしても、やはり公訴時効という制度があり、警察が捜査し裁判にかけることができる期間も制限されています。

【登記の無効を争うことは可能かもしれないが・・】
 ただ、弟さんのした相続登記が無効というのなら、現在もその点を指摘して、登記無効の訴訟を提起することも可能です。
 しかし、この裁判ではあなた方が、弟さんが不法行為を行ったことを証明する必要があり、それができなければ敗訴することになります。
 あなた方の依頼された弁護士としては、あまりにも過去のことであるので、その点の立証も難しいと考え、お母さんの相続だけに限定したものと思います。
 又、弟さんが登記してから約40年間、弟さん及びその家族はその不動産を自分の名義で使用し、かつ、固定資産税等の税金を支払っており、所有者としての外形を維持してきましたので、取得時効が完成している可能性が極めて高いです。
その判断が正しかったのかどうかは、詳しい事情を知らないためなんとも判断できませんが、約40年近く前の事実を証明するのはかなり困難なことであると思います。
又、取得時効も完成しているものと思われるので、あなた側の弁護士の判断もやむをえないものではないでしょうか。
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不正をした相続人の除外【Q&A №220】

2012/12/17
亡くなった父の預貯金全て長男一人占め

 8年前に父が他界、母はもういません。痴呆症と足切断のため寝たっきりだった父の預金全てを、兄が自分名義に変えておろしていました。このことを、1か月前に調べてしりました。私と姉は、この事を、許す事ができません。刑事告訴できますか?
 又父名義の土地と一緒に、この預貯金の分割できますか.さらに、違う人の相続もあるのですが、この猫ばば行為をした兄を相続から外す事できますか。私と姉は、命をかけて戦いたいのです。
記載内容

預金の無断引出し 刑事告訴 不当利得返還請求 不法行為損害賠償  
(のろまのカメ)


【警察の動きはにぶい】
 お父さんの生前に、その預金が全部、お兄さんよって引き出されたというケースです。
 お父さんが同意していないのなら、お兄さんの行為は有印私文書偽造、同行使などの刑法上の犯罪に該当する可能性があります。
 又、お父さんが《同意していても》、認知症の程度がひどく、意思能力を欠くという場合にも同様な犯罪に該当します。
 ただ、犯罪に該当するからと言って、警察がその犯罪を取り上げてすぐに捜査をするわけではありません。
 警察は、殺人や強盗というような犯罪は優先的に捜査しますが、親子間の問題については動きが極めて鈍いと考えておく必要があるでしょう。

【不当利得として返還請求が可能】
 生前に、お父さんの預金を全額引き出していたのであれば、お父さんはお兄さんに対して不当利得あるいは不法行為により、返還請求ができます。
 お父さんが死亡した後は、その返還請求権は相続人に相続されますので、あなたは法定相続分だけ、お兄さんに対して返還請求権を持つことになります。
 お父さん名義の不動産もあるようですので、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、その中でこの返還請求分を請求することも考えていいでしょう。
 ただ、お兄さんがその返還に応じないというのであれば、通常の場合にはお兄さんを被告として、引出した分のうち、あなたの相続分の返還請求をするといいでしょう。
 ただ、お兄さんが引き出した預金全部を使い切っている場合も考えられます。
 その場合、遺産分割調停を先にしていいのか、あるいは訴訟を先にしたほうがいいのか、難しい法律判断があります。
 この点については、相続に詳しい弁護士に相談され、そのアドバイスに従うといいでしょう。

【相続人からの除外】
 お兄さんを、相続人から除外する方法としては、法律上、《欠格》と《廃除》という2つの制度があります。
 《欠格》は、お父さんを殺害した場合や詐欺強迫により遺言を書かせた場合などであり、《廃除》というのは、被相続人(今回はお父さん)自身が遺言や裁判所への申し立てなどをしてお兄さんの相続人の地位を否定する制度です。
 しかし、今回はおそらく遺言もないでしょうし、どちらの制度も使うことができないと思われます。

【別人の相続は別の問題】
 しかし、別の人の相続については、その被相続人についての関係で《欠格》や《廃除》があるかどうかが問題になりますので、今回のお父さんに対する非行等の行動は問題とはならず、お兄さんを相続人から外すことは現段階では不可能です。


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16:45 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★兄弟に内緒で作られた母の公正証書遺言【Q&A №76】

2011/06/16

 32年前に父が亡くなり、その時相続した土地がありました。
 2年前「息子が家を建てることになり私の土地が必要なので、母の名義にして欲しい」と兄が言ってきました。他の土地と交換ならと言うことで承諾しました。
 その後何も連絡無いまま突然書類が送られてきました。土地交換のための書類でした。書類は譲渡になっていました。何もわからず印を押し、手続きは完了しました。(22年6月完了)
 半年後の23年1月に母が亡くなりました。兄が公証役場で作られた遺言書を出してきました。兄弟3人誰も知りませんでした。交換された土地は、私に相続させるとされた土地の一部だったのです。
*相続させる土地243㎡  交換された土地143㎡ 残124㎡

 兄は知っててこうしたのです。返せ、違う土地でも返せ、と詰め寄っても母に言われた、知らない、のことばしか返ってきません。取られてしまいました。交換時の書類の母の署名は兄の字でした。無効にならないか2人の弁護士さんに相談しましたが、書類上は完璧です、と言われました。

 どうしても納得できません。土地が無理ならせめて損害賠償請求を裁判所にしたいのです。遺言書により兄は全部の土地の70%を相続しました。
宜しくお願い致します。


記載内容

  公正証書遺言 意思能力 遺留分減殺請求 
(ラブパピ)


【本当にひどい仕打ちです】
 質問から見ると、大変、ひどい仕打ちです。
 交換がなければ、あなたはお父さんから相続した土地を所有し、お母さんから土地を相続でき、双方の土地を所有できたはずだったはずだったのですから。

【損害賠償はむずかしいかも】
 お兄さんに対する損害賠償を考えておられますが、お兄さんとしては「お母さんが自分の意思で交換をした」ということを言うでしょう。
 不法行為の証明はあなたがしなければなりません。
 亡くなっているお母さんに証言してもらうこともできませんので、不法行為の証明は困難なことが多いです。

【他に考えられる対抗策はないのか】
 お兄さんに対する対抗策として考えられるのは次の3つです。

①交換契約の無効は主張できないか。
 お母さんの署名がなく、しかも手続後、半年でお母さんがなくなったのですから、ひょっとすると、交換した時点では、お母さんに意思能力がなかったという可能性はないでしょうか?
 もし、そうであれば、交換はお母さんの意思に基づかないとして、無効を主張することも可能かもしれません。
 お母さんが入院されていたのであれば、是非、カルテや看護日誌を取り寄せし、その内容を確認されることをお勧めします。

②遺言の無効は主張できないか。
 遺言がいつ、作成されたのかは不明ですが、もしかすると、その作成時点でお母さんの意思(遺言)能力がなかったという可能性はありませんか?
 公証人が遺言書作成時にお母さんの意思能力を(ある程度は)確認しますので、可能性は低いかもしれませんが、念のためにカルテ等の確認が必要です。

③遺留分減殺請求はできないか?
 念のため、遺留分減殺請求も検討されるとよいでしょう。
 おそらく他の弁護士からも助言があったとは思いますが、遺産の土地の70%をお兄さんが取得したというのなら、あなたの遺留分が侵害されている可能性もあります。ただし、ほかのご兄弟がいらっしゃることや、土地以外の遺産分配の仕方などにより、結果として遺留分侵害がなかったと判断される可能性もあります。念のため、ご検討下さい。
大澤龍司法律事務所
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