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遺産総額を疑われています。【Q&A №576】

2017/08/23


【質問の要旨】

亡くなった母の預貯金を不正に出金したと疑われているが、どうすればいいか。

記載内容  不正出金 疑われた 犯罪

【ご質問内容】

 初めまして。よろしくお願い致します。
 
 母が亡くなりました。いわゆる孤独死になってしまい、警察が介入しました。事件も考えられるので、警察から頼まれた親戚が、私の到着前に通帳記帳をしてくれていました。
 その後私が警察で通帳や印鑑等を受け取りました。

 法事の後兄から、親戚から聞いた貯金総額と、私が提示した貯金総額に2000万近くの差がある。不明金なので、銀行に取り引き開示請求をし、それから警察に届ける、と言われました。
 通帳は、警察から受け取ったのは全てあり、兄には記帳済みの通帳も全部見せました。葬儀等の収支、現時点の残金も伝えています。通帳を見れば行方不明金などなく、親戚の見間違いとわかるのに、警察署、届け出と繰り返し言われました。
 私のことを疑う、と言う言葉こそ使いませんが(紛失という表現をします)、私は疑われていると強く感じます(通帳はあるのですから)。

 私の潔白の証明になると考えた通帳を、兄には不明金を確信したと言われました。理解に苦しみます。今は取り引き開示請求の結果待ちのようです。
 説明してもわかってもらえず、精神的に参りました。警察、届け出、と何度も書かれ、疚しいことをしていなくても、強い恐怖をかんじました。
 相続の時はこの程度疑われるのは仕方ないことなのか、兄の言葉は何かの罪に問えるのかご教示願います

(ランナー)





【お兄さんを罪に問うことは難しい】
 どうやらお兄さんは、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑っており、あなたは濡れ衣を着せられて不愉快な思い(あるいは怖い思い)をされたようです。
 しかし、今回の様な相続のケースでは基本的に警察が介入することはなく、少々の言いすぎなどがあっても名誉毀損や脅迫などで警察が動いたという話は聞いたことがありません。

【あなたも罪に問われることはありません】
 他方で、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑われている点についても、窃盗罪として警察が逮捕や起訴に踏み切ることはまずありません。
 なぜなら、法律上、親子間(直系血族)の窃盗罪は処罰されないことが明記されているからです。
この点は当ブログNo.389No.291No.466にも同様の記事が掲載されていますのでご参照下さい。
 
(参考条文 刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、・・・(中略)・・・を犯した者は、その刑を免除する。


 なお、預金の場合は引き出された銀行が被害者という理解も可能ですが、銀行がこのような事案で警察に被害届を出したという話は聞いたことがありませんし、私どもが扱う事案でも警察が動いたケースはありません。

【そもそも証拠がないのでは?】
 また、このような理屈の話を抜きにしても、そもそも不正に出金した形跡がなければ警察は動きようがありません。法治国家である以上、証拠がなければ警察も強制捜査を行うことはできないのです。

【無実の証明は難しい】
 あなたとしては、一刻も早く身の潔白を証明し、お兄さんの疑惑を解消したいというのが正直なところだと思います。
 しかし、あなたが絶対に不正出金をしていないことを立証することはほぼ不可能です(我々弁護士の世界でも、無罪の証明は「悪魔の証明」とも呼ばれるほど、非常に困難なこととされています。)。
 しかも、今回のお兄さんはもはや結論ありきで疑っているようですので、もはや何をしても聞く耳を持たずのようです。このような場合、むしろ身の潔白を証明しようと努力することが疑いを深めてしまうことすらあります。
 ただ、警察が動き出す可能性は極めて低いため、ここは耐えることに徹し、ただ身の潔白を証明する「気持ちがある」ことだけをお兄さんや周りの人に示し続けることがあなたの立場や不安を補うことにつながるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:22 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正出金とされた場合【Q&A №567】

2017/05/18


【質問の要旨】

頼まれた出金が不正出金と疑われないか

記載内容  不正出金 証拠

【ご質問内容】

私の祖母は介護が必要で施設でお世話になっています。

去年に祖母の娘(私の叔母)が、「息子が結婚する」と祖母のところへ報告にきたそうです。
祖母は孫に結婚祝いを渡すから10万円を自分の口座からおろして持ってきてほしい母に頼みました。

祖母の子供は長女(叔母)と長男(私の父)ですが(祖父は他界)、叔母はアルコール依存症で私たち家族に暴言を吐くようになり仲が悪くなって祖母以外の私の家族とは音信不通です。

母は言う通りに10万円を祖母の口座からおろし普通の封筒に入れ祖母のところへ持って行き、叔母も後日その10万円を受け取りに来たそうです。

しかしその後も結婚はしていないみたいで、(その話を出すと叔母は言葉を濁すそうで)婚約破棄になったか騙しとった可能性が出てきました

祖母は足が不自由な位で病気もなく頭もハッキリしていますが、もし亡くなって相続の話になった時にこの10万円が不正出金になるのではと心配になりました。

言われた通り口座から引き出したのは私の母ですが、叔母が「そんなお金貰っていない、不正な出金だ」と言われたら証拠がありません。

これは祖母の口座を管理している私の家族の不正出金になるのでしょうか。宜しくお願い致します。

(けり)





【厳密には祖母の同意がありますが】

 今回は、お祖母さんの同意を得て出金したのですから、(外形上はともかく)厳密には不正出金ではありません。そのお金をお母さんが利得したわけでもありませんので、後日責任追及を受ける理由はありません。

 しかし、そのような話はお祖母さんが亡くなった後は誰も分かりませんので、叔母さんが「10万円が消えている。誰かが不正出金した」と騒ぐ可能性もないわけではありません。

【経過を書面化するなど記録しましょう】

 幸いなことに、お祖母さんはまだご存命で判断能力も十分なようです。それであれば、10万円の出金経過(叔母さんの息子さんの結婚祝いのため出金を依頼したこと、叔母さんを通じて息子さんに渡したこと等)を書面化しておき、お祖母さんにこれを承認する旨のサインや印鑑をもらっておけば、不正出金でないことの証拠になります

 (叔母さんが騙したかどうかは別問題として)少なくともこの書面を作成しておくことで、お母さんの不正出金だと言われることは防ぐことができるでしょう。

【出金の証拠は残るが、支払いの証拠は残らない】

 お祖母さんの指示に従い、お母さんがお祖母さん名義の口座から10万円を出金したという事案ですと、払戻伝票はお母さんが書かれていたことになります。

 また、口座名義人ではないお母さんが出金するのですから、金融機関はお祖母さんのお母さんを代理人とするという内容の委任状も取っているはずです。

 金融機関はこれらの出金関係の書類を残しています

 お祖母さんの死亡後であれば、その法定相続人がこれらの出金関係の書類の取り寄せが可能です。
要するに出金した証拠は残るということです。

 一方で、出金したお金を、お母さんが叔母さんの息子に渡したという点については、結婚祝いで渡したのですから、領収書などは出してもらえないでしょう。
 そのため、出金したお金の使途を裏付ける書類はないということになります。

【死亡後に出金分の使途が問題になると・・】

 お祖母さんがなくなり、叔母さんがこの10万円の出金を問題にすることを想定すると、その際、お母さんは困った立場になります。

 10万円をお母さんが出金したことは金融機関に残っている払戻伝票等の書類で証明できますが、その出金した10万円を叔母さんの息子に支払ったことは証明できないからです。
 叔母さんが10万円を問題にする場合、その息子が自らもらったと言うことも考えにくいでしょう。

 又、結婚祝いとして渡したと言っても、その結婚自体がなかったというのですから、ますますお母さんの立場は不利になります。

【証明方法としては書面を作る、録音をするという方法がある】

 お祖母さんが存命なら、出金の依頼《叔母さんの息子さんが結婚するという話を聞いたので、10万円を出金することをお母さんに依頼し、お祖母さん自身が叔母さんにその10万円を渡したこと》を書いてもらうといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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13:36 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

損害賠償請求権の相続【Q&A №512】

2016/06/27



【質問の要旨】

回収できない損害賠償も相続財産となるか

記載内容  損害賠償 盗難 相続税

【ご質問内容】

父の預金通帳が盗難により不正出金され、警察の捜査の結果、犯人は逮捕されました。

裁判の結果、初犯のため執行猶予付の有罪判決が下されましたが、高齢の犯人に財産はなく、ギャンブル等で費消したため被害弁償の支払い能力は全くありません。

判決を前に父は亡くなりましたが、この場合、犯人に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が発生し、それが相続財産になると聞きました。

犯人から全く弁償の見込みがないにも関わらず、請求権が相続財産になるのでしょうか。(被害額は数千万円になります)

また、相続財産となる場合、この請求権のみを放棄することは可能でしょうか

(鈴木)






【賠償請求権は相続財産になる】

お父さんの預金通帳が盗難にあったが、その犯人に弁済能力がないというケースでも、法律上はその損害賠償請求権は遺産になります

相続人としては、その債権を相続で取得しているのですから、その法定相続分に応じて、(実益はありませんが)犯人に対して損害賠償を請求することができますし、訴訟をすることもできます。


【一部の遺産だけを相続放棄することはできない】

法律上は相続放棄という制度があり、一定期間内に家庭裁判所に申述書を提出することで、相続財産を相続しない(正確には、相続人にならない)ことができます。

しかし、相続放棄はあくまで《全遺産を相続するか》、又は《全部を放棄するか》の二者一択であり、他の財産(預金や不動産)を相続しながら、賠償請求権だけを相続放棄するというようなことはできません


【相続税の課税対象は別問題】

ただし、上記の回答はあくまで法律の面からのものです。

法律上は相続財産でも、相続税上は相続財産にならないものがありますし、又、逆の場合もあります

例えば、生命保険金は原則として法律上は相続財産になりませんが、相続税の関係では相続財産として申告が必要です。

ところで、損害賠償請求権については、交通事故についてですが、末記のとおり、「被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償請求金は相続税の対象になりません」とする通達があります

税務上の問題として、この通達が本件のような《生前の盗難》という損害賠償にも適用されるのかということが問題になります。


【上記通達に対する弁護士コメント】

税務の問題であるので、最終的には税理士さんに相談されて結論を出されるといいでしょうが、参考として弁護士としてのコメントを付するとすると次のとおりとなります。

相続は、被相続人が《生前に取得した権利》を、相続人に移転させるものです。

これに対して、前記交通事故の場合の損害賠償請求権は、被害者である被相続人が《死亡後》に発生するものであり、生前に取得するものではありません。

そのため、《生前に発生した》盗難による損害賠償請求権については、《死亡後に発生した》前記交通事故の通達は適用されず、盗難の損害賠償請求権は相続財産になるものと考えられます。

ただ、この盗難の債権を全額遺産に入れるかどうかは別の問題です。

相続財産であるが、回収不可能で、実質的に価値がゼロであるとして申告する、そのような申告をどのように税務署に認めさせるのか、税理士の力の試されるところでしょう。

以上の記載はあくまで弁護士の見解です。

法律と税務とは異なりますし、税務署が私と同様な見解をもつかどうかもわかりませんので、より正確な意見を聞きたいのであれば相続に詳しい税理士に相談されるといいでしょう

【参考通達 タックスアンサーNo.4111 交通事故の損害賠償金

(弁護士 大澤龍司)
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10:34 遺産 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★不正出金をした兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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17:37 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★亡弟の預金を母が法事の費用に使ってしまった【Q&A No.466】

2015/09/11



【ご質問内容】

 私の母のことで相談させていただきます。

 13年前に亡くなった弟の預金、約50万円を銀行で相続手続きをしないまま、弟の法事や、弟の友人の冠婚葬祭の費用に充てる為に引き出していたことが分かりました。

 約10万円を使い、残金は40万円の様です。

 このような場合、今後どのような手続きをすれば良いのか。

 また、母に対し罰則等はないのか心配しております。

 ご教示の程宜しくお願い致します。


記載内容

  不正出金 法定相続分 親族相盗例

(ななこ)







【息子の死後にその預金を引き出した母は処罰されない】

 被相続人である息子(弟さん)の死亡した後に、そのお母さんが遺産である預貯金を引き出した場合、窃盗等の犯罪が成立しますが、刑法で親族間の窃盗は処罰しないと定められていますので、お母さんが処罰されることはないでしょう(この点については過去のブログ【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するかに詳しく記載していますのでご確認下さい)。



【今後、遺産分割協議をする】

 今回の質問では、相続関係が不明です。

 お弟さんに配偶者(妻)がいるのかどうか、また、子がいるのかどうかが明らかではありません。

 もし配偶者や子がおれば法定相続人になりますので、その人らの間で遺産分割協議をすることになります。

 法事の費用は相続費用ではありませんので、お母さんが相続人でないとした場合、他の相続人はお母さんが引き出した50万円の返還を求めることができます。

 ただ、そのうち、10万円は弟さんの法事費用ということであれば、その分を除外して残額を返還してもらうという解決もあり得ますが、この点も含め、法定相続人間で遺産分割協議で解決するべき事項でしょう。

 お母さんが法事費用に支出したということのようですので、弟さんには配偶者も子もいないということかもしれません。

 その場合には、お母さんが直系尊属として法定相続人になりますし、お父さんが生きておられるのであれば、お母さんとお父さんの間で遺産分割の協議をすることになります。


(弁護士 大澤龍司)
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18:00 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前の不正出金を防ぐ方法【Q&A №415】

2014/12/05



 私の父は、私たち子どもとは30年前から別居中で疎遠です。父は、5年程前に脳梗塞で倒れ、現在失語症と軽度の認知症を患っています。

 父が倒れて以降、父の家の近くに住む叔父と伯母が父の家を頻繁に訪れ、父に、父の預貯金、証券、財産を全部よこしてくれと迫っているようです。

 お金に対する執着心が強い父は、今は気丈に「誰が渡すか」と言って何とか断っているようですが、叔父も伯母も隙あらば奪ってやるという姿勢で、通帳や印鑑の場所を調べたり、家の鍵まで保管していて、いつ全財産を奪われるかわかりません。

 特にこれから父の認知も進んできますし、子どものときに別居している私達より、近くに住む叔父や叔母の方が事情に精通しているので心配です。

 私達は父の財産がどのくらいあるのか、どこにあるのかも一切知りません。でも、父は公務員でしたし、退職後は市会議員を20年もしていましたし、株でも大儲けもしたと聞きました。また、母と結婚してからも、家に生活費を一銭も入れたことがなく、大変お金に執着していたので、多額の財産があるはずです。この先どうしたら父の財産を叔父や叔母に奪われないようにできるでしょうか。そしてもし勝手もし勝手に預貯金や証券の名義を変えられたりした場合は、取り戻すことはできるのでしょうか


記載内容

  不正出金 無断 名義変更

(香住)


【結局、お父さんに財産管理を確実にするように説得するしかない】
 人間は誰でも、年齢とともに体力も頭脳も衰えていくものであり、あなた方が心配するのもわかります。
 しかし、お父さんの財産は、お父さんが生きている限りはお父さんのものです。
 お父さんが亡くなった場合には子供らの相続人の財産になりますが、お父さんが生きている限り、相続人(正確にいえば《推定相続人》)であるあなたたちには何らの権利もありません。
 そのため、現段階では、あなたたちがお父さんを説得し、死亡時まで財産確保されるようにお願いするしかないでしょう。
 当事務所が相談を受けたもので、お父さんに女性ができ、その女性がお父さんからお金を引き出そうとしているというケースがありましたが、現実に相続が発生していないということで、推定相続人の立場ではほとんど何も手出しができずに困った案件がありました。

【意思能力がかなり衰えた段階では後見人制度等の利用を考える】
 お父さんが認知症などになり、意思能力が衰えてきたときには、すぐさま保佐人や成年後見人の選任の申し立てをし、財産の散逸を防止する必要があります。
 成年後見人が選任された場合には、お父さんの財産は全て成年後見人が管理しますので、財産の散逸を確実に防ぐことができます。

【現時点ではできることは限られる】
 最初に言いましたように、現時点では、あなた方が法的にできることはほとんどありません。
 そのため、お父さんに主な通帳や印鑑を貸金庫などに入れて厳重に保管してもらう、 お父さんを説得して、《財産を取られないように注意してね》と注意するというようなことしかないでしょうが、長年、別居していたあなたたちが言ってもわかっていただけるかどうか、難しい問題があると思います。
 説得をするということであれば、あなた方より、プロの方が上手でしょう。
 例えば、お父さんが懇意にしていた弁護士がいるのであれば、その弁護士からお父さんを説得してもらうという方法もあります。
 弁護士との間での財産管理契約を締結して、プロに財産管理をしてもらい、その後、お父さんが認知症になった場合には、そのまま成年後見人に就任してもらうシステム(任意後見契約)を作るという方向での財産管理を考えれば、更に安心でしょう。
 もちろん、無料ではありませんが、お父さんとしては一種の保険みたいなものですので、その点を強調してお話をされればいいでしょう。

【預貯金や証券の名義を換えられてしまった場合はどうするか?】
 無断で名義を変更されてしまった場合には私文書偽造になり、警察問題になります。
 しかし、そもそも変更されたということがわからないと警察にも相談できないでしょう。
 仮に、そのような無断変更があったとしても、警察沙汰になるのは別として、お父さんが生きている限りは、あなた方のような推定相続人の立場では裁判をすることもできず、法律的にはほとんど何らの手段も講じることができません。
 ただ、お父さんが死亡した後には、法定相続人として、叔父さん等が無断で名義変更して出金したお金の返還請求をすることが可能ですが、それも叔父さん等の手元にお金が残っていなければ取り戻しようがありません。
 そうならないためにも、お早めにお父さんを説得し、なんらかの形で財産管理方法を整えられることをお勧めいたします。 

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★あるはずの父の預金が存在しない場合【Q&A №317】

2013/09/27
 
 99歳の父が1ヶ月前に亡くなりました。10ヶ月前まで年収手取りで720万ありました。遺産放棄を前提にお墓の改葬を母、長兄に提案したところ、年金の通帳(600万)、他にはないので母の生活費に困る。またお墓はみんなで出し合おうとの返事。
 母の通帳を見せてもらったら1400万の預金書、他に700万あった普通預金が3ヶ月前に下ろされており妹の口座へ確認。父の年収と年齢からして生活費を考慮して少なくとも年4、500万残ってもおかしくありません。億の遺産があってもおかしくありません。相続人は母、子5人です。私以外、そのことを触れようとしない事と、妹の口座に一部贈与が確認されているので全員で何か隠していることが考えられます。公平な相続を求めるには、今後何から手を着けていけばいいでしょうか。訴訟も考えています。どうぞよろしくお願いします。

記載内容

不正出金 不当利得 事務管理 生活費 贈与 特別受益 遺産調査


(ありんくりん)


【まずは徹底した調査が必要です】
 ご相談のような不正出金が疑われるケースについては、最初に遺産調査が必要です。
 その際、最も重要なのは、金融機関の預貯金の取引履歴の確認です。
 そのほかにお父さんが株式の売買を行っていたのなら、証券会社に対する照会も必要ですし、この他、生命保険契約の有無及び内容の確認も必要でしょう(生命保険は遺産ではありませんが、それが多額になった場合には遺産になる可能性があります)。

【金融機関の取引履歴の照会方法】
 金融機関に取引履歴を照会する方法は過去のブログ(Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください。
 なお、金融機関への調査について、注意すべき点は次のとおりです。

①ゆうちょ銀行を除いて、銀行名だけでは照会はできません。
 どの支店であるかを確認して、その支店へ照会する必要があります。
 お父さんの利用していた支店がどこかは、お母さんやお兄さんに聞けばよいのですが、教えてもらえなければ、お父さんの住んでおられた自宅付近の金融機関に、軒並み照会を出さざるを得ないことになります。
②金融機関によっては、相続人全員の同意がないと照会に応じられないとの対応をする場合がありますが、平成21年の最高裁判例で、相続人の一人の照会であっても金融機関は回答する必要があるとされています。
③履歴が判明した場合は、その入出金を突き合わせて、多額の出金があったかどうかを確認していく作業が必要です。
④多額の出金がある分については、その出金が誰によりなされたかを判断するために払戻伝票の筆跡等を確認する必要があります。


【多額あるいは不正な出金が判明した場合】
 前項の④の調査で、お父さんが出金をしていた場合には、引き出された金銭が贈与として他の共同相続人に行ったことが考えられます。この場合には特別受益として、遺産に持ち戻すことになります。
 又、お父さん以外の人が引き出した場合には、その人に対して不当利得として返還請求をすることになります。この場合、あなたが返還を要求できるのは、その不当な使い込み額のうち、あなたの相続分(10分の1)に相当する額です。

【早い段階で弁護士に相談することも考える】
 今回の質問の場合、遺産を調査する必要があるのに加えて、多額又は不正な出金があった場合には、その返還を求めたり、特別受益として扱ったりする必要があります。
 あなたが訴訟も考えているということであれば、早い段階で弁護士に依頼し、遺産調査から入ってもらうことも考えていいでしょう。


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不正出金を止める手段【Q&A №280】

2013/05/27
義理の父は痴呆で名前がかけないはずです
なのに義理の母とその家の嫁が今かなりの貯金をおろしています
家の嫁は家を継ぐように委託されています
どのような場合そういう権限があるのですか
この場合違法ではないのでしょうか

もし違法なら父の死去時何をすべきか

あと母の貯金も毎月かなりの額減らしています
たぶん遺産分けの時にはほぼ空っぽです
生活費以上は説明責任があると聞きましたが本当ですか
母の死去時はどうすればいいですか

義理の兄が7年前なくなり保険が1.3億入ったようです
二人兄弟で主人も印を押しました
こちらも父がかけたお金は遺産として考えられないでしょうか
知り合いが言うには義理の父の医師の証明が決めてだそうです
グレーゾーンのようで ただ黙ってみているのがつらいです

まるで死ぬのを待っているようです

記載内容

不正出金 成年後見人 認知症 生命保険 保険料 


(そらすら)


【どの程度の認知症かを検査する】
 義理のお父さんが認知症であり、その程度が高度(ひどい)場合には、判断能力(意思能力)がないということで、義理のお父さんの行為は無効になります。
 義理のお母さんが、義理のお父さん名義の預金を引き出すには委任状が必要ですが、お父さんの判断能力のない場合には委任状が無効になります。
 そのため、まず、義理のお父さんの認知症の程度を調べる必要があります。
 可能であれば、お医者さんに検査をしてもらってください。
 長谷川式認知スケールという簡単なテストをしてくれるはずです。

【ひどい認知症であった場合は成年後見の申し立てを考える】
 長谷川式認知スケールは30点満点ですが、10点以下である場合には意思能力なしとして扱われる可能性が高いです。
 認知症が原因で、名前も書けないという程度なら10点以下の可能性が高いでしょう。
 その場合には家庭裁判所に成年後見申立の手続きをしましょう。
 裁判所は義理のお父さんの財産を管理する成年後見人を選びます。
 成年後見人は、義理のお父さんの財産(たとえば預金や保険など)を全部確保し、後見人の名義にして管理しますので不正出金ができなくなります。

【家を継ぐように委託されても、預金引き出しの権限はない】
 「家の嫁」は家を継ぐように委託されているということですが、誰から委託されているのでしょうか。
 もし、ひどい認知症である義理のお父さんからであれば、意思能力なしとして、そのような委託は無効になります。
 委託が有効であったとしても、「家を継ぐように」ということだけであれば、預金の引き出しまではできず、「家の嫁」は権限外の違法行為をしていることになります。
 義理のお母さんと「家の嫁」が違法な出金をしている場合、義理のお父さんが死亡後にその出金額を調査し、損害賠償を請求することになります。
 法的に言えば、「不当利得返還請求」あるいは「不法行為による損害賠償請求」をすることになります。その場合、請求できるのは、不正出金額のうち、請求者の相続分に相当する金額です。

【お母さんの預金引き出しについて】
 お母さんの預金の引き出しがされているようですが、お母さんが正常な判断能力があれば、これは違法にはなりません。
 自分の財産をどのように使おうと誰も文句はいえないからです。
 なお、お母さんが死亡したときに預金が全部出されていたという点ですが、お母さんの意思に基づいて誰かに贈与されていたということであれば、相続人には遺留分が認められていますので、相続人が子であれば、法定相続分の半分の返還を求めることができます(遺留分減殺請求といいます)し、他方、お母さんの意思に基づかない引出であれば、義理のお父さんの場合と同様に不当利得返還請求や損害賠償請求ができます。
 「生活費以上は説明責任があるという言い方も聞きました」ということですが、このような説明責任はありません。
 むしろ、遺留分や不当利得等の請求をする側が、生活費以上の金銭を引き出したという点を立証する必要があります。

【保険金は遺産の対象外である】
 義理のお兄さんが亡くなり、その死亡保険金が入ってきたということですが、死亡保険金は原則として遺産にはなりませんし、義理のお父さんがそれまでに支払った保険料も特別受益になることはありません。
 保険金と遺産の関係でいえば「義理のお父さんの医師の意見が決め手」ということはありません。



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11:31 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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