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【Q&A №546】に関する再質問

2016/12/13

被相続人に対する求償権【Q&A №546】に関する再質問


【再質問】

ご回答のご説明わかりやすかったですが、私の説明が良くなかったようです。

相続対策として長男は祖父の養子となっていました。

質問の被相続人は父で、祖父が亡くなった際に父と長男(養子)は質問の賃貸マンションを相続しました。

長男は共有者ではありますが、父の生前に父が収入と費用、債務、税金などを支払う事を同意していたと思います。

申告していないですが現金で毎月8万~15万受け取っていました。(ただ現金手渡しなので証拠がありません)

ご回答にあるように請求が10年で債務や固定資産税を引けば相続財産がなくなるような額にはならないと思います。

残念なのは月々支払っていた現金が振り込みでないため、母の証言だけなことです。

これが実証できれば合意の証拠にもなりますし、請求金額からも差し引くことができます。

この主張はしていくつもりですが、良い方法があればご教授いただけると幸甚です。

(mujun)







前回の回答では、売買で取得したことを前提としていました。

しかし、今回の再質問では、お祖父さんの亡くなった際にお父さん(今回の被相続人)とその子(祖父の養子にでもある)が相続でマンションを共有取得したという前提ということが判明しました。

この点に関する回答は次のとおりとなります。

【金銭支払いの合意がある場合】

お父さんが賃貸収入を全部もらうこと、費用や債務、税金は父が負担すること、更に金銭をお兄さんに支払うことが合意されていたのであれば、マンションの利用に関してはその合意で解決していることになり、定められた以上の請求はできないということになります。

ただ、その合意に基づく支払いがされていないとすると、その支払いのない分がお父さんの債務になります(兄から父に対する合意に基づく金銭支払い請求権)。

なお、参考までに言えば、この請求権は5年で消滅時効にかかります。

次に、お父さんとお兄さんの合意が証明できない場合には、お兄さんからお父さんへの賃料相当の金額を返還せよという請求権(不当利得返還請求権)が成立する余地があります。

この場合の消滅時効の期間は10年間になります。


【支払いの証明はなかなかむずかしい】

支払いの証明は金融機関を介しての送金なら証明は簡単ですが、現金で手渡しということであれば、それを証明するのはなかなか困難です。

おそらく領収書もとっていなかったでしょう。

証拠としては、お母さんの証言しかありませんが決め手にはなりません。

又、8万から15万円と幅があるのも気になります。

いずれにせよ、お母さんから事情を詳しく聞き、矛盾のないように整理した上で、お兄さんの代理人に説明して、納得してもらうしかないでしょう。


【無償使用という話があったという展開は・・】

お父さんが賃料の全額を取得しているにもかかわらず、持ち分をもっているお兄さんがそれになんらの異議を唱えなかったというのであれば、それも不思議な話です。

ただ、マンションの使用に関する合意の証明ができない場合には、お兄さんとしては無償でマンションを父に貸したという主張もできるかもしれません。

しかし、この場合、お兄さんがマンションを無償でお父さんに貸与したことから、お父さんの遺産が増えたという主張(兄の特別寄与)が出てくる可能性があります。


【弁護士と相談することも考える】

いずれにせよ、本件については解決の妙策はなさそうです。

できれば相続に詳しい弁護士と相談され、具体的な事実を説明した上で、お兄さんの代理人に対する対応を決められるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:33 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人との共有マンションの家賃の扱い【Q&A №546】

2016/12/06



【質問の要旨】

マンションの共有者である長男が、被相続人に対し収益の返還請求権を持っていると主張している

記載内容 共有物 賃料 時効

【ご質問内容】

被相続人と長男が一棟建て賃貸マンションを所有していました。

分割協議が進まず調停へと進む状況です。

これまで賃貸マンションの収入は被相続人が管理し、収入も返済や税金の支払も行ってきました

長男代理人は2分の1所有の賃貸マンションからあがる収益は本来自分の物であり、返還請求権をもっていると主張しています。

この主張は認められるのでしょうか?

またこの被相続人に対する債権は何年前まで有効なのですか?

時効はあるのでしょうか

この債務を遺産に加えると他の相続人の相続分はなくなるといっています。

(mujun)





【兄が本当に共有者であるかどうかを念のために確かめる】

お父さんと兄で共有持ち分が各2分の1であるのに、被相続人が賃料収入全部を得ていたということですが、2つの面で疑問(あるいは問題といってもいいでしょう)がありそうです。

まず、第1は、兄の持ち分2分の1というが、実質はお父さんが建築資金を出しており、名義だけを長男のものにしていたのではないか?という点です。

この疑問は①長男名義の2分の1は実質上はお父さんの遺産ではないのか?

あるいは②お父さんがお兄さんに建築資金を生前贈与(特別受益)したのではないか?

という問題に発展しますので、念のために上記の①及び②の観点から、是非、調査されるといいでしょう。

なお、ローンがあるようですので、その借入名義がお父さんだけか、兄でもあるのか、又、頭金などは誰が負担したのかを、お父さんの取引履歴等なども参考にして調査されるといいでしょう。


【兄はお父さんに賃料の返還請求はできない可能性が高い】

次に、兄としてはお父さんが賃貸に出していることぐらいは知っていたと理解するべきでしょう。

にもかかわらず、賃料の半額を請求しなかったのはなぜかという疑問があります。

この点については、賃貸を始めるときにお父さんと兄との間で、お父さんが賃料を全部取得するということで合意(暗黙を含めて)があり、管理はお父さんがし、賃料収入はお父さんがもらう、ローンの支払いや固定資産税の支払いは全てお父さんがするとの合意があったと考えるのが普通の理解でしょう。

もし、その前提が正しいとすると、お父さんが全額を取得することを、兄は了解していたのですから、兄が被相続人であるお父さんに不当利得等の請求はできないことになります。


【仮に無断で賃貸していた場合には】

しかし、万一、お父さんが兄に知らせず、勝手にマンションの賃貸をしていたのだとすると、兄からお父さんに対して不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求として賃料額のうちの兄持ち分額に相当する金額を請求することが可能になります。

この場合、お父さんが兄の分のローンの支払いをし、かつ固定資産税も立替支払いをしていたのであれば、その分は請求額から控除されますし、場合によれば管理料相当分も控除することも可能です。

なお、不法行為で請求する場合には、勝手に貸していることを知ってから3年で、不当利得返還請求をする場合なら10年で請求権が消滅時効にかかりますので、それ以前の分は時効を主張されると、兄は請求できないということになります。


【兄請求の債務を遺産に加えるどうなる?】
  
今回の質問のケースでは兄の請求が成立しない可能性があります。

仮に請求できるとしても、お父さんが賃料から兄のローンの支払いをし、かつ、兄の分の固定資産税も支払っていたというのであれば、法的に認められる返還額はそれほど多額にはならず、請求すると遺産が無くなるようなことはないと思われます。


【特別寄与について】

兄に賠償あるいは返還請求ができない場合でも、賃料全額をお父さんに取得させたということが特別寄与として認められ、兄がその額を取得できる可能性はあり得ます。

ただ、この場合でも、兄の分のローンの支払いや固定資産税の立替支払い、管理料相当額等が考慮されますので、兄の寄与分としてはそれほど多くないように思います。

(弁護士 大澤龍司)

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13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

共有物分割請求への対応【Q&A №392】

2014/07/01
 実家と田舎の土地を姉と私と2人が相続しました。2年前から姉夫婦と代償分割の方向で協議を進めていましたが姉が使い果たした父母の預金など負債の話で折り合わず、途中から姉の依頼した相続支援センターの行政書士が間に入り負債分も含めた土地の代償金を請求してきました。その後、裏で相続支援センターに相続分を譲渡し、以後、代理人弁護士から連絡があり、実家土地について1580万円の買取り請求、田舎土地については権利放棄しろと一方的な要求をしてきました。要求がのめなければ共有物分割請求の訴訟をおこすと言ってきています。
 当方の弁護士は先方からの連絡を受けてもすぐに対応してくれず、回答期限当日に初めてこちらに連絡をよこすなど、なかなか話が進みません。相手は競売になってでも早く返事をと迫ってきているそうです。
 今後、裁判になった場合、弁護士を代えた方がいいのか自分で対応するか迷っています。
 競売、買い取り、現物分割などどう進めるべきか難しいですが、弁護士に依頼しないでも法廷で自分で対応できるでしょうか?裁判にされた場合のデメリットはありますか?いずれにせよ法廷相続分1/2は変わらないし、分割される金額が減ってもこうした理不尽な事件屋の言いなりになりたくはないです。姉の債務を知っての譲渡(詐害行為)、姉の不当利益の返還請求などと併せても裁判で戦いたいのですが何かいいアドバイスがあれば教えてください。

記載内容

共有物分割 不当利得
(太郎)


【現在の弁護士を信頼して任すのが基本ですが・・】
 現在、あなたは弁護士に依頼しているのですから、基本的にはあなたの依頼した弁護士に事情を聞き、その弁護士の方針で話を進めていくのが一番です。

【問題点の整理】
 現在、次の各点が問題となります。
①遺産である土地建物の相続登記は完了したのか?
 共有物分割訴訟をするとの話が間違いなければ、相続登記は完了し、各2分の1で登記されていることになります。
 共有物分割訴訟は弁護士にとってはそれほど難しい訴訟ではありませんが、しかし、法律をよく知らない人にとっては対応が難しいでしょう。
②相続分の譲渡は詐害行為に該当するか?
 債務はお姉さんに残しながら、遺産である相続分は第三者に譲渡していますので、お姉さんに財産がまったくないというのなら、詐害行為が成立するのかという問題があります。
詐害行為訴訟が提起できるかどうかの判断も難しく、又、訴訟を提起する場合には法律の専門家でないと難しいでしょう。
③お姉さんの使い込みの扱いは?
 お姉さんがお父さんやお母さんの預貯金を使い果たしたというのなら、お父さんやお母さんがお姉さんに対して、勝手に使ったお金の返還請求権を持つことになります。
 その返還を求めるなら不当利得返還請求権または不法行為による賠償請求ということになりますが、これらの訴訟も法律の専門家である弁護士でないと対応ができないでしょう。
 もし、使い込みではなく、贈与だというのであれば、今度は特別受益の問題が発生します。
 特別受益の場合にも、その主張を裏付ける証拠の収集や、集まった証拠の評価やその使用方法、時期等の判断も難しいところでしょう。

【信頼できないなら、思い切って弁護士を替える】
 前項で述べたように、あなたの案件ではざっと見ただけでも3つの大きな問題点があります。
 そのため、あなたがこの問題を処理するのは難しく、相手方には弁護士がついているようですので、あなたとしては弁護士に委任するしかないでしょう。
 ただ、現在、依頼している弁護士がいるのですから、とりあえずは、あなたが考えている疑問点や不安点を訴え、それに対する弁護士の回答を検討するといいです。
 もし、回答に納得できないのであれば、思いきって弁護士を替えるしかないでしょう。
 次の弁護士は、あなたの住んでいる弁護士会で探されるといいですが、その際、まず、法律相談でその弁護士の意見を聞き、それが納得できた場合にのみ依頼するのがコツです。
 もし、納得できなければ、他の数人の弁護士にも法律相談をし、その複数の弁護士の中からあなたが最も誠意を感じ、相続に詳しそうだと思うひとに委任されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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10:51 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

「残余財産を〇〇に」と書かれた遺言の意味【Q&A №354】

2014/03/12
100歳で他界した被相続人の母には元々2000万円の財産がありました。相続人は私と妹の二人です。母は認知症で3年程老健に入所していました。母には内縁配偶者がいましたが、子供はいません。
 母が入所中に内縁配偶者が死亡し、遺言により4000万円が母に相続され、母の財産は合計6000万円になりました。母が亡くなる半年前に作成した公正証書遺言が見つかり、証人は妹と懇意な間柄の税理士とその職員で、私に1500万円を、残余を妹に相続する内容でした。
 調査すると母の財産管理が内縁配偶者から妹に移ると、妹は不規則に計3000万円を遺言作成前に引き出していました。したがって遺言作成時の財産は3000万円に減っています。
 妹は更に遺言作成後1000万円を引き出していました。妹はその内の1500万円は妹の孫に学費として生前贈与されたもので遺産に入らないと主張していますが、一切証拠や納税証明等はありません。
 私としては妹が引き出した内の1000万円は母の為の経費と認め、他の2500万円を不当利得返還請求し、公正証書遺言無効訴訟を考えております。
 そこで質問ですが、公正証書遺言が有効な場合、遺言にある残余とはどの時点のものですか?不当利得として認められた場合は残余に含まれてしまいますか?また上記の訴訟を行わず調停のみで1500万円より多くの相続は不可能でしょうか?

記載内容

残余財産 その余の財産 遺産の認定時点 遺留分 意思能力 遺言書の無効
(エンダ―)


【遺言にある「残余」とはどの時点のものか】
 遺言は相続開始時に効力を発生するものであり、相続開始時点(=今回はお母さんがお亡くなりになった時点)の遺産を分けるものです。
 そのため、遺言書が有効なものであれば、お母さんが亡くなった時点で残っていた預金などの財産のうち、1500万円があなたに、残りの財産はすべて妹さんに相続されることになります。

【不当利得として認められた場合は残余に含まれるのか】
 お母さんの遺産がどのように増えようが、新たな遺産が見つかろうが、あなたの相続するのは最大で1500万円にしかなりません(逆に言えば、1500万円以下だった場合には妹さんは一円も相続できず、あなたが遺産をすべて相続するだけ、という内容です)。
 そのため、あなたが妹さんの不当利得などを発見しても、それは妹さんが相続する《残余》財産が増えるだけであり、あなたが相続する財産が増えることはありません。

【調停を有利に導くためにどんな主張をするべきか】
 調停を有利に展開するためには、まず、どういう主張をだすかという問題があります。
 遺産全体が最大限で6000万円ということですので、あなたの遺留分は最も多く考えても4分の1の1500万円です。
 遺言では1500万円をあなたにということですので、遺留分侵害の問題は生じません。
 そのため、あなたとしては、遺言書の作成時点で、お母さんには意思能力はなく、遺言は無効であると主張されるといいでしょう。

【調停では遺言書の無効かどうかを判断しない】
 次に調停はあくまで話し合いであり、証拠調べなどはなく、又、遺言書が無効かどうかの結論を出すところでもありません、
 ただ、あなたの方が、遺言書が無効であるという確実な証拠を提出できるのであれば、調停委員としても、遺言書の無効の可能性があることを配慮して、相手方に1500万円以上を出すように話しかけてくれる可能性があります。
 お母さんの介護記録や病院のカルテ等、意思能力がないことを裏付ける確実な証拠を獲得する努力をお続けになるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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16:01 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★使い込まれた預金は取り戻せるか【Q&A №336】

2013/12/26
 母親は、高齢で、認知症で入院していて、退院の見込みはありません。
 万が一の事があった場合の事を考えています。
 数年前から、母親の年金と貯金を長男が使い込んでいます。
 これは、通帳等を確認すれば、わかると思いますが、何年前までさかのぼって調査する事が可能でしょうか?
 時効はあるのでしょうか?
 また、もし、裁判を起こしたとして、どのくらいの期間を要するのですか?
 費用は、どのくらいかかるのでしょうか?

記載内容

期間 調停費用 裁判費用 弁護士費用 金融機関の取引履歴 特別受益 時効
(KOKO)


【履歴の調査は通常は5年ですが・・】
 まず、《通帳等は何年前までさかのぼって調査する事が可能でしょうか?》という質問にお答えします。
 金融機関は原則として10年間は帳簿を保存しています。
 ただ、取引履歴(入出金の動き)の照会については、通常は照会をした時点から5年間分を回答することが多いです。
 5年分でたりず、それ以前も調査したいというのであれば、頑張れば10年までさかのぼって照会ができるはずです。
 なお、一部の農協や信用金庫などでは、更に遡って履歴が取れる場合もありますが、これはあくまで例外的な場合だとご理解ください。

【時効はあるのか】
① 調査についての時効はありませんが、前項に記載したように、保存期間が経過することにより金融機関に保存されている取引履歴が無くなる可能性がありますのでご注意ください。(お母さんの使いこまれている金銭の返還請求の時効は、場合により異なります。)
② お母さんの同意を得ない使い込みについては不当利得返還請求が可能ですが、これは取り込み行為から原則10年間で消滅時効にかかります。
③ お母さんの同意を得て、贈与を受けているという場合には、特別受益になる可能性がありますが、その場合には時効はありませんので、全ての特別受益が遺産に繰り戻されます。

【裁判や調停を起こした場合の期間について】
 遺産分割については裁判前に調停を起す場合が多いですが、通常は5回前後(期間でいえば6~8ケ月程度)で解決することが多いように思います。
 ただ、案件により異なりますので、あくまで目安とお考えください。
 次に裁判をする場合には、これも案件により異なりますが、通常は判決まで2年間程度かかることが多いように思います。

【費用はどの程度かかるか】
 費用としては、調停を申し立てした場合には、申立費用として印紙が1200円(被相続人が1人の場合)、郵便切手を数千円程度、裁判所に納付する必要があります。
 裁判になると、仮に1000万円を請求すると、訴状に貼る印紙は5万円で、2000万円を請求する場合には8万円の印紙を貼る必要があります。これに郵便切手が数千円程度かかります(但し、相手方が多い場合には増額されます)。
 なお、弁護士に依頼すると、弁護士に依頼したときの着手金と事件が終了した場合の報酬を支払う必要があります。
 この費用は、紛争の対象となる金額及び事件の難かしさ、弁護士の経験等により異なりますので、弁護士に法律相談する際、確認されるといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
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17:28 弁護士費用 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★消えてしまった母の預金【Q&A №330】

2013/11/25
 昨年10月に母が亡くなり、現在遺産分割調停中です。姉(三女)は実家の隣に養子義兄と住み母の面倒を見てました。葬儀の後預金通帳を見せず隠したり破ったり、履歴を改ざんしたりしてました。一度は使い込んだことを認めましたが、後日弁護士をたて、母の同意のもとに引き出したといいだしました。
 平成13年、母は転倒した事がきっかけで認知症が出ていました。正常な判断はできなかったと思います。姉夫婦が使った金額は12年間で2~3000万円はあります。先日、留守中に入るとこまるからと実家のカギをつけかえたと言われました、母を参ることもできません。遺産は姉夫婦も平等に分けないといけませんか。。使ったお金を取り戻すことはできないのでしょうか。
 鍵の件は住んでるものが優先すると相手方の弁護士に言われました。残ったお金は3人(4人姉妹)で分けたいと思うのですが法的にどうなんでしょうか。

記載内容

預金 使い込み 認知症
(ひまわり)


【不正出金か?特別受益か?】
 ご相談いただいたお母さんの預金からの多額の出金が、お母さんに無断(あるいは認知症で判断能力を失っていた状況下)であった場合、お姉さんが不正出金したものとして、お姉さんに対して不当利得の返還請求ないし損害賠償請求をすることが可能と思われます。
 正常な判断ができたかどうかは、当時の事情を知る人や、転倒時に通っていた病院のカルテなどから判断する必要があると思いますので、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
 他方で、相手方弁護士が主張するとおり、お母さんの同意を得て引き出したと言うことであれば、(使途にもよりますが)お母さんからお姉さんへの生前贈与があったとされる可能性が高いように思います。その場合、いわゆる特別受益として、お姉さんが本来相続する財産を生前に前渡ししたかのような扱いがなされる可能性があります。

【特別受益を考慮した遺産分割を】
 仮にお姉さんの出金が特別受益にあたるとされた場合、相続分に関しては、現存する遺産を平等に分けるのではなく、お姉さんの相続分はすでに前渡しされているかのように扱い、遺産分割をすることになります。現時点でどの程度の預金が残っているのかは定かではありませんが、もし生前贈与の額が遺産の大半に及ぶ場合であれば、現時点でのお姉さんの相続分は残っておらず、結果として現存する遺産を他の3人の姉妹で分割することになることもありうるでしょう。

【それでもお姉さんの合意が必要】
 ただ、仮にお姉さんの相続分が残っていないとした場合でも、お姉さんが相続人であることに変わりはありません。そのため、他の3人の姉妹で遺産を分けるとした場合でも、お姉さんから遺産分割内容について同意してもらう必要があることにはご注意下さい。
 なお、実家の鍵については、基本的に居住者であるお姉さんが立ち入りを認めなければ、たとえ親子(さらには兄弟)であっても、お参りという理由があっても立ち入りはできません。そのため、鍵を変更されたとしても違法ではありません。
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14:38 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

後妻が遺産を開示しない【Q&A №328】

2013/11/15
 10月末に父が亡くなり、相続人は息子である私と、父の後妻の二人です。後妻は財産がもうあまり残っていないと言って開示せず、預金を取り込んでいる可能性があります。話合いも無いので調停にもちこむ予定です。
 後妻の預貯金は、名義預金として相続財産に含まれますでしょうか?もしそうでしたら、調停あるいは審判で裁判所が後妻の預貯金を調査してもらえるのでしょうか。あるいは税務署に連絡して、相続税の申告をしたら良いのでしょうか。この点が良く分からず困っております。何卒よろしくお願い致します。

記載内容

被相続人以外の預金の調査 裁判所の調査嘱託 後妻 不当利得 特別受益
(bineko)


【後妻名義の預金は、原則として遺産には含まれない】
 遺産に含まれるのは、原則として被相続人であるあなたのお父さん名義の預金です。
 そのため、後妻さん名義の預金はお父さんの遺産にはあたらないとされます。
 ただ、その後妻さん名義の預金が、お父さんの口座からの振込による入金である、あるいはお父さんの口座から現金で引き出した分を預金したものである、ということも考えられます。
 このような場合、お父さんが自分の意思で後妻さんに贈与するという趣旨であったとすると、それは特別受益の問題になります。
 又、後妻さんがお父さんの知らないところで勝手に預金を引き出したというのであれば、それは不当利得となり、お父さんは後妻さんに対して、引き出した金額の返還請求権を持つということになり、その請求権が遺産になります(この場合は、お父さんが後妻さんに対して有する不当利得返還請求権を、相続人が法定相続分の割合で取得するので、その返還請求権に基づき後妻さんに請求するということになります)。
 なお、お父さんが病気や認知症で意思表示ができない時期に、預金が送金されたり、あるいは払戻しされたりしていれば、お父さんの意思に基づかない預金の取得であり、上記の不当利得返還請求をすることになります。

【裁判所は調査をしない】
 被相続人の預金口座の動きは、相続人であれば照会が可能です。
 しかし、後妻さんの口座の照会には、本人である後妻さんの同意が必要です。
 通常、後妻さんがそのような同意をすることは少なく、金融機関が照会に応じることはないでしょう。
 裁判所はあくまで、各当事者が持ち込んだ証拠に基づいて調停をまとめたり判決を下したりするにとどまり、裁判所が後妻さんの取り引き履歴などの資料を自ら調査するということはありません。
 あくまで、各当事者がそれぞれ調べてきた資料を提出して、それを前提にどれだけ遺産があるのか、その遺産の取り分をどうするのか、といった解決をするのが裁判所であるとご理解ください。
 ただ、訴訟を起こした後に、その手続きの中で、裁判所に対して後妻さんの口座の取り引きのある金融機関に、後妻さん名義の口座の有無及び内容の照会を求める申立(調査嘱託の申立といいます)をすることはできます。
 裁判所が、後妻さんの口座を調べる必要があると判断した場合には、裁判所がその金融機関に回答するように書類を送付してくれ、その結果、後妻さんの口座の動きが判明する場合があります。

【相続税の申告と後妻の財産調査の関係】
 相続税の申告をしたからといって、税務署が後妻さんの財産を調べてくれるわけではありません。
 税務署に、後妻さんが遺産を取り込んでいると申し立てをすることも可能ですが、その額が多額であれば税務署も積極的に動くでしょうが、少額であると税務署は動かない場合も多いです。
 当事務所でも税務署に《遺産がもっとある、相手方が隠している》という申し入れをしたことがありますが、結局、そのケースでは大した財産が出てきませんでした。
 また、遺産額が増加すれば、その内容を税務署から聞くことは可能(正確にいえば相続税の修正申告に漏れていた財産が記載される)ですが、税務署がした相手方の口座の調査結果までは教えてもらえませんでした。

【自力でどこまでの調査ができるかがポイント】 
 遺産調査は自力でどれだけの情報を集められるかがポイントになります。
 どのような手段を尽くして遺産を調査するのか、調査により得た情報からどのような仮説を立て、相手方にどう迫っていくのかが重要になります。
 この点は慣れないとなかなか難しいところですので、紛争を調停や訴訟に持ち込まれる前に、調停・訴訟での方針も含めて一度お近くの弁護士など専門家に相談されるとよいでしょう。
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10:37 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の預金が生前に引出された場合【Q&A №306】

2013/08/19
 母が亡くなり、遺産がほとんど残っていないのをおかしいと思い、母の銀行口座を調査しました。2年間で主にATMから2000万円がおろされていました。しかし、母と同居していた兄がしらをきっています。母の入院中も引き落とされており、通帳も兄が管理していたので兄がおろしたことに間違いないと思っています。遺産相続の対象にしたいと思っていますが、難しいでしょうか?
よろしくお願いします。


記載内容

生前贈与 預金からの引出 不正出金 入院 同居 不当利得返還請求 特別受益

(jinjing)


【お母さんが同意していない場合は不当利得返還請求ができる】
 お母さんの生前の預金引き出しについては、お母さんがその出金を了解していたのかどうかが問題になります。
 お母さんが入院しており、かつ、お兄さんがお母さんと同居し、預金も管理していたというのであれば、お兄さんが独断で出金をした可能性が高いと思われます。
 その場合には、お母さんとしてはお兄さんに出金分の返還請求をすることができます(不当利得返還請求権また不法行為による損害賠償請求権)。
 お母さんが死亡すると、この返還請求権は遺産の内容になりますので、各相続人に相続されます。
 そのため、各相続人がその法定相続分に応じて、お兄さんに対して引き出した金銭の返還請求が可能です。

【もし、お母さんの同意があれば、特別受益の問題となる】
 もし、お母さんの同意で預金からお金を引き出していたというのであれば、お母さんが生前にお兄さんに贈与したという可能性があります。
 この場合、金額が多額ですので、お兄さんは生計の資本としてお母さんから特別受益を受けたということになり、その贈与額を遺産に持ち戻して、遺産分割することになります。

【専門家に相談を】
 お兄さんがしらを切っているということであれば、調停や訴訟等の手続きが必要です。
 不当利得返還請求や特別受益がからむ案件は当事者間ではなかなか解決が困難です。
 できれば、早期に弁護士に相談され、必要に応じて事件を委任されるといいでしょう。


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11:27 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

贈与を装って母の家を売却【Q&A №287】

2013/06/19
 50代主婦。二人姉妹の妹が母が施設に入所する際、生前贈与を母から受けたとして、家、土地を名義変更し売買していた事がわかりました。母は売られたことは知りません。また、母が加入していた入院給付つきの保険も解約されていました。母は再
婚し義理の父が亡くなったあと1人で暮らしており私たちは養子縁組をしていなかったので後継人制度を申し込む事になり、私は署名捺印し郵送しましたが申し込みはされていませんでした。
 施設入所も実家のかたずけも一切知らされず、こんな事は許されるのでしょうか?保険の解約は母が具合が悪くなり病院に搬送された時わかりました。実家は遠方で私たちは東京在住です。

記載内容

生前贈与 意思能力 情報提供 保険解約


(ママつる)


【お母さんに判断能力はあったのかが問題】
 お母さんの不動産が妹さん名義になったということですが、その名義変更をした時点で、
① お母さんが本当に贈与をする意思があったのか。
② また、お母さんに正常な判断能力(法的には意思能力といいます)があったかどうか
が問題となります。 
 このうち、①については、お母さんが死亡していれば、《贈与する意思がなかった》という点の証明が困難です。
 そのため、②の意思能力のなかったことを証明して、生前贈与が無効であるという主張をするといいでしょう。
 意思能力の有無については、介護施設に入所された当時の記録を施設や病院から取り寄せて、判断することになります。
 もし、お母さんに意思能力がなかったのであれば、お母さんから妹さんへの名義移転は無効であり、また、第三者への売買も無効になり、その不動産が遺産として戻ってくる可能性があります。
 ただ、この意思能力の判断や資料の取り寄せは難しいので、できれば法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

【保険解約について】
 保険解約についても、もしお母さんの意思に基づかないか、あるいはお母さんに意思能力がなければ、解約は本来、無効です。
 ただ、現実に保険が解約されているのであれば、妹さんが受け取った返戻金があればその半分の返還請求をすることが可能です。
 不当利得返還請求あるいは不法行為の返還請求というものですが、弁護士に相談される場合には、この点も相談されるといいでしょう。

【法的な情報提供義務はない】
 妹さんとしては、お母さんを施設入所させ、実家の片付けをしたようですが、常識的に、姉であるあなたにこのような事実は知らせるべきことです。
 ただ、法的な義務があるかといえば、そこまでの義務はありません。
 お母さんが自宅を処分する際に、妹さんに贈与するということを知らせる義務があるかといえば、やはりそのような義務までは法的にはありません。


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★母の預金を横領した長男の責任【Q&A №275】

2013/05/02
 急死した母の生前、長く母と同居していた長男が、数年前、自力歩行が困難になった母から2000万円ほどあった預金通帳を託されたのですが、認知症の兆候が出はじめたときに、全額を引き出したうえ、自分と妻の口座に入れたことが判明しました。
 長男は「母がそうしろといったからだ」と主張し、自分と妻の預金通帳は見せる必要がないといいます。

①母に対する(業務上)横領罪が成立しているのではないでしょうか。(親族相盗例の準用の点などはさておき)
②長男夫婦の行為は他の共同相続人に対する(業務上)横領罪も成立するとは言えないでしょうか。
③不当利得返還請求はできますでしょうか。

記載内容

認知症 横領罪 親族相盗例 

(bluegrass)


【横領罪の成否について】
 お母さんが長男さんに預金通帳を託した趣旨がどのようなものであるかによって、横領の成否が異なってきます。
 お母さんとしては、そのままの形で預かって欲しいという趣旨であれば、長男夫婦の払い戻し及び自己の口座への入金は横領罪を構成します(但し、業務上横領ではなく、単純な横領です)。
 但し、ご質問にも記載されているように親族相盗例(親族間の窃盗などについて刑の免除など責任を減軽する法律)があるため、処罰はされません。

【他の共同相続人に対する横領罪の成否】
 お金を預けたのはお母さんですので、お母さんに対しては横領になります。
 質問の場合、横領の時点では相続が開始しておらず、他の共同相続人としては、お母さんの預金についてはなんらの権利も有していませんので、他の共同相続人に対する横領ということは考えられません。

【不当利得返還請求について】
 前記したように、お母さんの意思に反して、お兄さんが預金を自分のものにしたのであれば、当然、不当利得が発生します。
 正確に言いますと、着服時点で、お母さんがお兄さん夫婦に対して不当利得返還請求権を持つことになります。
 この請求権は相続されますので、お母さんの死亡後は、その法定相続人がその法定持分の割合に応じて返還請求権を相続することになり、その相続分に応じた請求をすることが可能になります。
 なお、念のために言えば、親族相当例は刑法上の処罰の問題であり、民事上の不当利得請求を制限するものではありませんので、各相続人が請求可能です。


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