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★亡父との共有名義マンションの使用借権【Q&A №539】

2016/11/08


【質問の要旨】

亡父が出資して共有所有者となっているマンションに、姉が居住したり、賃貸に出したりした場合

記載内容 購入資金 持ち分 特別受益

【ご質問内容】

父親が亡くなり姉妹で財産を分けることになりました。(母はすでに亡くなっています)
姉は生前父にマンション購入資金として1200万円出してもらいました
残りのローンは姉が払いました。

しかし税金対策だったのでしょう、父が出した分を共有所有者として登記していました。
父は生前、姉に自分の持ち分を買い取ってほしいとの話もしていましたが、姉も買い取ることはできず、相続分として父の分が残りました。

姉は最初は自宅として使用し、後にマンションを賃貸に出して収入を得ています
姉から父に賃貸の代金を一部払った時期も1年ほどありましたが後に払った様子はありません。
今ではその所有分の価値も1/3程になっています。

共有の持ち分になると、特別受益が1200万円だとは言えないのでしょうか

言えないのなら、共有所有者の父がもらわなかった賃料の一部をみなし財産として算入できますか?

あるいは、使用借権を無償で得ていたことにはなりませんか
その場合の金額の算定は?

私は姉だけが住宅資金をもらっているのに、遺産が1/2づつというのはどうも納得できません。

不平等感をなくすいい方法があればご教授ください。

(tomo)





【今回の質問は《購入資金援助》と言う意味では、特別受益にならない】

通常の場合であれば、被相続人が法定相続人のマンション購入資金の一部を出した場合には、金銭の生前贈与として特別受益になります。
ただ、今回の案件では、お父さんが出した分はお父さんが自分の持ち分として共有登記されていますので、金銭の移動はありません
したがって《購入資金援助》としての贈与はなく、お姉さんの特別受益は存在しません
マンションのお父さんの持分は、お父さん自身の遺産となり、遺産分割の対象となります。


【お父さんの共有持ち分の使用は、居住用であれば特別受益にならない】

お姉さんがマンションを居住用にしていたとき、お父さんの持分を無償で使用している点では、お姉さんはお父さん持ち分につき、使用借権(無償で使用する権利)をもらったということになり、特別受益となる可能性があります
そのため、マンションの使用貸借について判断した裁判例を検索しましたが、発見できませんでした(参考までに言えば、土地の使用貸借は特別受益になるとの裁判例はあります)。
学者の意見では、建物使用貸借は遺産の前渡しという性格が薄く、又、財産権として強い権利ではないこと、更に被相続人の意思としては遺産分割の持戻し免除の意思が推定されるということから、特別受益にはならないとの見解が多いです。


【お父さんの建物持分をお姉さんが他人に賃貸している場合】

問題は、お姉さんが自ら居住するのではなく、他人に貸して賃料を得ている場合です。
これについても参考になるような裁判例も学者の意見もみつかりませんでした。
ただ、あなたの立場から言えば、使用貸借は他人に賃貸した段階で終了しており、その後にお父さんの持ち分相当の賃料分もお姉さんが得ていたのは特別受益になると主張するか、あるいはお父さんが賃貸に出すのを知らない場合には不当利得にしないと不公平だと主張されるといいでしょう。
このような主張をした場合に裁判にまでいけばどのような結論になるか、興味のあるところではありますが、お父さんの持ち分に相当する賃料分は特別受益として遺産に持ち戻される可能性もあるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:03 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★成年後見人に対する損害賠償請求【Q&A №509】

2016/06/17

※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】

後見開始前の不正出金はどうなるか

記載内容  時効 後見人 不正出金

【ご質問内容①】

認知症の母に成年後見人が付いています。(弁護士)

弟2人が、成年後見が開始される2ケ月前、母が認知症になったのを境に、母の預金、国債、年金型生命保険を2,700万ほど勝手に解約しています。

財産保全処分の審判も、成年後見申したてから1ケ月ほどで出ました。

成年後見人と面談しました弟達は、母がくれると言ったので、もらっただけだと言いました。

解約したもので300万で、それ以前にも3000万ほど預金を引き出しています。

2人は、3000万円は母から贈与されたお金だと、認めたとのちに、成年後見人からお聞きしました。

ですが、現時点でも預金が、1億以上あるため返還請求はしないという後見人の判断です。

弟達がもらったというお金は遺産相続時に特別受益として扱う物との判断です。

そこで質問なのですが、現在成年後見人が返還請求をしないと、このお金が、不当利得というものに当たる場合時効がくると、3000万+3000万のお金は遺産相続時には無効になるのでしょうか?

裁判所に申し立などした方がいいのかと思っていますが、よく判りません。教えてください。


【質問の要旨②】

自分が受取人であった保険を成年後見人が解約した

【ご質問内容②】

母に,成年後見人(弁護士)がついております。

母の財産に生命保険の、変額個人個人年金保険GFというものがあり、母自身で加入しました。

一時払い方式で500万円支払、目標額550万円年金支払い開始日 平成29年4月21日となっています。

母がもしも、平成29年4月21日までに亡くなると、死亡保険金受取人である私が550万円を受け取る事になっていました。

平成29年4月22日以降は母の年金として支払われるという保険です。

成年後見人の元に保険会社から目標金額に達したので、年金受け取り開始日を早めることができる旨連絡がありました。

このまま置いておいても1円も増額しないと思い込まれ、解約手続きされ、1年後5、503、630円振り込まれました。

3、630円増額されていました。

母から私に残す保険だからと、聞いておりました。

最近、後見人になぜ解約したのか聞きましたら、【置いていても1円も増額しないと勝手に思い込みました。】と言われました。

平成29年4月21日までにもしも母が亡くなったら、遺産相続の分に組みこまれるお金でなかったが、現在は組み込まれています。

私が遺産相続人になった時には、成年後見人にこの保険の解約の損失550万円を損害賠償できますか?

(アン)






【債権は10年間の時効で消滅】

弟さんたちが引き出した多額の預金が、お母さんの意思に基づかない場合(お母さんが認知症で判断能力がない場合を含みます)、お母さんは引き出した弟さんに対して不当利得返還請求をする権利(債権)を持つことになります。

この権利は10年で時効にかかりますので、お母さんが長生きした場合、時効消滅する可能性があるというのは質問で指摘されているとおりです。


【就任前の不正出金についての成年後見人の動きは鈍い】

不正出金の被害者はお母さん自身であり、あなたとしては法的には何らの権利もなく、後見人が動かない限り、不正出金分の回収もできません。

成年後見人にはお母さんの財産を保全すると役目がありますので、お母さんの預貯金からの不正引き出しがあれば、引き出した者に対して返還を請求するべきだとも言えます。

しかし、成年後見人は将来の財産保全に動くが、過去の財産の散逸については中々動こうとはしないというのが実情です(正確に言えば、後見人次第です。私の経験でも後見人が過去の不正出金を取り戻したというケースが1件だけですが、ありました)。

なお、成年後見人は裁判所が選任するものであり、後見人が職務を果たしていないのであれば、裁判所に事情説明書的なもの(上申書という題名でよい)を提出し、その中でどんな不正出金があったのかを証拠をつけて提出するといいでしょう。

成年後見人が成年被後見人の財産を横領していたというケースですが、裁判所の後見人に対する監督が不十分であったことから後見人の監督裁判所に損害賠償を命じた判決もあります。

参考判例:広島高判平成24年2月20日
家事審判官が、成年後見人が被後見人の財産を横領していることを認識していたのに、これを防止する監督処分をしなかったことは、家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くとして裁判所の責任を認めた。


そのため、上申書が出てくれば、裁判所としても、そのまま放置するのではなく、後見人から意見を聞く可能性が高く、場合によれば後見人が不正出金分の回収に動き出すことも考えられます。


【特別受益と消滅時効】

不正出金分を返還請求する権利は10年で時効にかかりますが、特別受益には時効はなく、10年以上前の生前贈与分でも遺産に持ち戻されます。

ただ、特別受益は被相続人の意思に基づく贈与などで問題にされるものですが、質問の場合は被相続人の意思とは関係なく引き出されたものであり、特別受益ではなく、単なる不法行為等の請求権の問題にすぎないと見れば、10年間で消滅時効になるということも考えられますので、ご留意ください。


【後見人の保険解約等の行為には口は出せない】

お母さんが生きておられる以上、あなたはお母さんの財産について、法的には何らの権利権限もありません。

後見人としてお母さんの財産の維持・保全という立場で対応すればよく、あなたの保険金受け取りにまで配慮して保険を維持する義務はありません。

ただ、お母さんとしてはかなりの財産をお持ちであり、判断(意思)能力があった当時にあなたのことを思って保険に入り、あなたを受取人としていたのであれば、財産が極端には減ったような場合ではない限り、保険解約をする必要もないようにも思います。

しかし、仮に後見人が保険解約をし、それによって受取人であったあなたが損害を受けることになるかもしれないとしても、あなたが法的に損害賠償できません。

このことは、お母さんが、判断能力がある時点で保険を解約した場合に、あなたがお母さんに損害賠償をすることができないのと同じことだと思えば理解がしやすいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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14:30 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016/05/30



【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし
た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)







【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。


【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。


【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます

お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。


(弁護士 大澤龍司)
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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡母の預金を使い込んだ兄の言い分【Q&A №495】

2016/03/10

【質問の趣旨】

建築費用は貸金か贈与か?遺産を公平に分配するには?

記載内容 不正出金 親に貸付 寄与分

【ご質問内容】

家内の実父は、約30年前に他界しており、更に1年前に実母も他界しています。

法定相続人は4人です。

長男は、約35年前に実親の家の新築の折、数百万円を借用書も無しに工面したと言っています。

そのお金を今になって「返して欲しい、しかも年5.5%の35年間の複利運用」条件を提示しています。

長男が中心となって作成した父の遺産相続協議の際、そのような負債があることは明らかにしておりません
し、返済請求書もありません。

従って、あたかも親への贈与と思われてもおかしくないものです。負債なら、膨れ上がる前に手の打ちようがあったはずです。

今やその金額は、母親の預金(5千万円)でも不足すると主張する始末です。

まさかと思って、他の兄弟が、銀行(3行)に確認したところ、案の定、母親の死亡1年前からATMから引出限度額で毎日下しており、残額はゼロと判明しております。

亡き母は認知症の為、介護施設に入っており、その支払い等のため銀行カードを長男に預けていたようです。

本件は、母親の預金額に目がくらみ、総取りのシナリオを後付で描いたように思えます。

公平に遺産相続する方法をご教示頂けませんか

(yuzu)







【まず、お金を渡したということを証明してもらう】

最初に、長男さんがお金を貸したかどうかの確認が必要になります

お金を貸したというのなら、当然お金の動きがあったはずです。

長男さんにまず、お金が動いたことの証明を求めましょう。

もし、長男さんがその点を証明できないのであれば、貸金の主張は無視して、遺産分割をすることになります


【贈与か貸金か】

もし、お金をご両親に渡していることが証明されるのであれば、次にどういう趣旨でお金を渡したのかが問題になります。

返還してもらうという前提ではなかったのであれば、長男さんから両親への贈与になりますし、返還してもらう前提なら貸金になります

建築資金ということですから、通常ならかなりの金額になります。

高額の金額にもかかわらず、借用書も作成していない、これまでの35年間返還されていない、という事実を考慮すると、貸金である可能性は極めて低いと思われます。


【複利はまずない】

長男さんは複利を主張されているようですが、そのように主張するのであれば、長男さんとしては貸金であることに加えて利息は複利であり、その利率は年5.5%で合意されていたということを証明する責任があります。

借用書も作らないようなとき、複利というような利息の合意が認められる可能性は皆無に近いと思います。


【貸金や贈与と特別寄与の関係】

仮に贈与があったとすれば、両親はもらった金銭は返還不要ですが、長男さんとしては、そのような金銭をあげたことで、長男さんが特別寄与をしたと主張することができます【コラム】寄与分とは?をご参照ください)。

もし、貸金を立証できた場合には、長男さんはご両親に返還を請求できるということになりますが、ただ35年も前の貸付であれば、特段の事由(例えば時効中断等)がない限り、時効で消滅している可能性が高いです(なお、貸金が時効で消滅していた場合でも、長男さんが特別寄与をしたと主張できる余地があります)。


【今後の取るべき対応について】

お母さんの判断能力がない段階で長男さんが預貯金を引き出していたのなら、お母さんは長男さんに不当利得の返還請求権を持つことになります

お母さんが死亡した場合、その返還請求権は各相続人がその法定相続分に応じて取得し、長男さんに請求することができます

長男さんの態度を見ていると、簡単に返還しそうな感じは受けませんので、遺産分割調停や訴訟等の法的手続きが必要だと思います。

ただ、訴訟して勝訴しても、財産がない場合には強制執行もできません

もし、長男さんの財産(例えば抵当権のついていない土地家屋など)があることが判明しているのであれば、長男さんがその財産を隠してしまう前に、財産の移動を禁止する仮差押え等の手続きを取る必要があります

この手続きはむずかしい点がありますので、弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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16:30 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡兄に使い込まれた私のお金を請求できないか【Q&A №463】

2015/08/31



【ご質問のまとめ】

40年ほど前に私のお金を800万円使い込んだ兄が、先日亡くなりました。

兄は1億円の財産を遺し、すべて姉が相続しました。

お金を取り返すことはできないですか?



記載内容

  相続債務 消滅時効 包括遺贈


【ご質問内容】

兄弟は8人で私は末っ子です。

去年長男の兄が亡くなり、その兄には私が若い頃40年前貯金をしていた800万円使われていましたが返してもらえないまま亡くなりました。

遺産は1億万円位あったそうです。

しかし相続人は姉になっていました。

それから兄は奥さんには先だたれてます。

子供もいませんでした。

証人は沢山いますが、借用書がないのがだめかなと諦めようと思っていても何か悔しくて何とかならないものでしょうか!?


(ノンちゃん)







【40年前の使い込みの返還請求について・・・時効で消滅している可能性が高い】

わかりやすくするために、まず、お兄さんが現在も生きておられるとして、考えてみます。

あなた自身の預貯金をお兄さんが使いこんだということですが、それがあなたに無断であったのなら、あなたとしてはお兄さんにその使い込まれた金額の返還請求が可能です。

その根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求権です。

但し、請求権には消滅時効があります。

消滅時効の期間は次のとおりです。

上記①の不法行為であれば使い込まれたことを知ってから3年間です、ずーっと、使い込みを知らなかった場合には使い込みの時点から20年間です。

②の不当利得の場合には返還請求できる日(使い込みの翌日から)10年間です。

現在まで40年間が経過しているということであればいずれにしても消滅時効にかかりますので、お兄さんが消滅時効と主張するのであれば、請求はできません。



【消滅時効にならない・・時効中断がある・・場合】

ただ、お兄さんが使い込みを認めていた(但し、あなたがその点を証明する必要があります)のであれば、その認めた時点から10年以内なら消滅時効は完成しません。

これを時効の中断といいます。

そのように請求を認めた事実がないかどうか、例えば最近10年間以内にお兄さんから使い込みを認めたような謝罪の書面を送付されていないか、あるいはそのような内容を録音したことがないかどうかを確認されるといいでしょう。

もしあれば、それで時効中断になるかどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。



【時効中断している場合はお姉さんに請求する】

以上に説明したことを前提に、本件について考えてみます。

もし、あなたの持っている請求権が時効で消滅していないのなら、お兄さんに請求できることになるはずですが、本件ではお兄さんは既に死亡されており、相続人がお姉さんということのようです。

その詳しい事実関係は明らかでありませんが、おそらくお兄さんが《すべての遺産をお姉さんに相続させる》という遺言書を作成されていたのでしょう。

もしそうであれば、お姉さんは、お兄さんの遺産全部を相続するとともに、その債務を承継します民法990条、民法896条:末尾に記載した条文をご覧ください)。

そのため、あなたとしては、お姉さんに対して債務を承継したとして請求をすることが可能です。


【兄弟には遺留分減殺請求がない】

質問者の方はご存知と思いますが、念のために遺留分がないことも記載しておきます。

ある法定相続人に遺産の全部が行くような場合、他の相続人には遺留分減殺請求が認められています。

しかし、兄弟姉妹には遺留分減殺は認められておりません。

そのため、本件では1億円の遺産がお姉さんに行ってもあなたは遺留分減殺請求ができないということになります。

(弁護士 大澤龍司)


〔参照条文〕

民 法

(包括受遺者の権利義務)
第990条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(相続の一般的効力)
第896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
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13:15 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
>>続きを読む・・・
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★親と同居していた相続人の金銭管理【Q&A №454】

2015/07/13



【質問のまとめ】

親(被相続人)と同居していた相続人(子)の財産管理がずさんだと思います。

何に使ったかわからないまま、親の「遺産は●●円です」と言われても納得がいきません。

どうしたらいいですか?



記載内容

 同居 無断 不正出金


【ご質問内容】

 相続人の1人は親と同居し金銭管理をしていました。

 管理していた年月日についても話がころころ変わります。

 「親のお金も私のお金」と言わんばかりのずさんな管理に困っています。

 「何に使ったか分からない」と言いながら「遺産は○○○円です。」では、納得できませんし遺産分割に応じられません。

 また、被相続人が死亡し、数月間の取引履歴を取り寄せた際、存命時に金融機関からの普通定期預金の引き出しが行われており、その筆跡は金銭管理の相続人、死亡後の引き出しもその相続人です。

 はっきりさせたいと思いますよろしくお願いいたします。


(さくら)







【家計収支の区分ができていない】
 同居していた相続人(特に子)の方が親の金銭管理をしている場合、家計収支を区分せず、親のお金も自分のお金もごちゃまぜにして生活費を出していたというのは、よくあるケースです。

 この場合、高額の出金かどうかで対応が異なります。

 以下、区分して回答していきます。



【高額出金の場合】

 預貯金口座からの高額の出金(その人の遺産全体の価額により異なりますが、通常、20~50万円を超すと高額となると考えていいでしょう)の場合には、親が同意をしているのかどうか、また、その使途が何かが問題になります。

 親が同意をしている場合、その使途が子のためであれば、贈与とみなすことができ、その出金額は特別受益になり、遺産に持ち戻されます

 親の同意がない場合には、子が勝手に出金したとして、親が子に対してその出金額を不当利得(あるいは不法行為)として返還請求ができることになります(口座の名義人である親の氏名を同居人である子が署名して出金しているような場合には、親の同意がない可能性が高いと考えていいでしょう)。

 このようなお父さんの持つこの返還請求権は遺産になります。

 そのため、相続人は法定相続分に応じた返還請求権を相続します。

 例えば、100万円が不正出金され、あなたの法定相続分が4分の1なら、あなたとしては出金された人に25万円を返還請求することできます。



【少額出金の場合】

 毎月、数万円程度の出金があり、それを同居者が使っていたとした場合、それは生活費の補助とされる場合も多いです。

 裁判例では10数万円でも、親から子供に対する生活費の補助だとして、特別受益が認められなかったケースがあります。



【死亡後の引き出しは遺産の出金】

 死亡した時点で、遺産は相続人に法定相続分で分割されることになります。

 金融機関が被相続人の死亡を知った場合には、その時点で口座を凍結され、出金ができなくなります。

 ただ、死亡を隠して、相続人の一人が多額の出金をした場合、他の法定相続人はその法定相続分に応じた金額の返還を請求することができます。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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認知症の父の口座からの不正出金【Q&A №435】

2015/03/12



要介護5で全く意思疎通ができない父の預金から兄が、過去8年にわたり年に2~3回、1回の金額は100万円程度を母に頼まれたという理由で引き出していることが最近になってわかりました。

キャッシュカードはなく、すべて伝票に署名捺印で下しています。

不公平感が否めなく、生前贈与を認めさせ、私の相続分を取り戻したいと思っています。

父がまだ生存中なのでどうするのがベストなのかお聞きしたいです。

ちなみに、現在、父の成年後見制度申請中です。


記載内容

  使い込み 認知症 要介護

(てる)





【相続開始前にはあなたには法的にはなんらの権利もない】

 お父さんに意思能力がないのであれば、お父さんはその預金を引き出すことができませんし、又、お母さんやお兄さんに引き出しを依頼することもできません。

 又、その預金はお父さんの財産ですので、お母さんが同意しても、その引き出しが正当になるようなものでもありませんので、お兄さんの預金引き出し行為は無断引き出しとなります。

 そのため、お父さんはお兄さんに対して不法行為や不当利得を理由として、その引出額相当の損害賠償請求権あるいは返還請求権を持つことになります。

 これらの権利は、将来、お父さんが死亡した場合には、法定相続分に応じてあなたが相続することになりますので、相続開始後であれば、あなたからお兄さんに損害賠償あるいは返還請求ができることになります。

 ただ、現時点では、お父さんが生存しておられますので相続は開始しておりません。

 あなたは、将来、相続人となる立場(推定相続人といいます)ですが、現時点では、法律的にはあなたには何らの権利もありません。

 お父さんの財産がなくなるような事態が発生しても、又、お父さんが前記のような権利を取得していても、残念ながら、あなたとしてはなんらの法的手段も取ることはできません。



 
【成年後見人の選任とお兄さんへの返還請求について】

 現在、お父さんの成年後見人を選任する手配をされているようです。

 たしかに、現時点である財産を減少させないということでは成年後見人の選任は極めて有効な手段です。

 ただ、後見人が、既に無断で払い戻しされている金銭を取り戻すというところまで積極的に動くことはまずありません。





【現時点でとるべき手段は資料や情報の入手です】

 将来、お父さんが亡くなられた場合、あなたは法定相続人として、お父さんが有している損害賠償(不当利得)請求権を法定相続分で相続することになります。

 その時点で、あなたとしてはお兄さんにその請求権に基づき金銭の返還請求をすることが可能です。

 そのための資料として、どこの金融機関のどの支店からいくら引き出されたのかという資料や情報が必要になりますので、現時点で入手できるものは、できるだけ入手しておくといいでしょう。

 なお、将来、あなたが請求されてもお兄さんが簡単に引き出した金銭を返還するとは思われません。

 お父さんが死亡された場合には、早期の段階で弁護士と相談され、お兄さんに対する素早い対応が可能かどうかを検討されるといいでしょう。
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★多額の使途不明金と葬儀費用の請求【Q&A №424】

2015/01/20



【ご質問詳細】

 去年の春に母が亡くなりました。

 年金や私達が住んでいた家を売ったお金などが入金された母名義の通帳は、母の実家である本家の親戚が管理してました。

 数千万の貯金があった筈なのですが、葬式代や病院代などを、今になって請求されています。

 手続きなど私達兄弟が行い、かかった経費は母の口座から出すという事だったのですが、年金のみでそんな貯金は無かったと言い張ります。

 すべてが口約束なので、文面で残ってません。

 亡くなる前の施設に居た3年間は、脳卒中の後遺症で意思の疎通が出来なかったので、本人が指示を出すとか、引き出したり使ったとは考え難いです。

 私達に支払いの義務はあるのでしょうか? 


記載内容

  葬儀費用

(まもる)





【入院費用及び葬儀費用の支払い義務はある】

 お母さんの入院費用については、お母さんが負担するべきものです。

 その支払いを親戚の方がしたのであれば、お母さんはその親戚に立替費用返還義務を負います。

 お母さんが死亡された後は、相続放棄をしない限り、相続人がその法定相続分に応じて債務負担をしますので、相続人が支払い義務を負います。

 次に葬儀費用ですが、葬儀はお母さんの死後に行われる行事であり、喪主の方(通常は長男さん)が負担することになります。

 長男の方が、その葬儀で喪主になられているのであれば、喪主の方が負担すべきものです。もし親戚の方が立て替えて支払ったのであれば、喪主の方はその親戚に支払うべき義務があります。



【もし、親戚が預金を引き出していたとすると・・】

 お母さんが数千万円の預金を有していたのに、その分がないということであれば、預金口座を管理していた親戚の方が引き出した可能性があります。

 もし、親戚の方が引き出して使っているのであれば、お母さんはその親戚の方に対して、不当利得あるいは不法行為に基づいて返還請求損害賠償請求をすることが可能です。

 この請求権は相続されますので、相続人の方は、その請求権があるということで、入院費用立替金返還請求権とを相殺するとして、前項の支払い請求を拒否することができます。



【金融機関への履歴の照会・開示について】

 「銀行で調べたところ、脳卒中の後で施設に入った時期に、全額母の口座から引き出されているようですが、詳しい事は教えてもらえませんでした」と質問に記載されてあります。

 現在、金融機関が相続人に、被相続人の口座の内容を知らせないということは考えにくいです。

 もう一度、銀行に開示するように交渉されるといいでしょう。

 その際、銀行から次のような資料を求められますので、予め取り寄せておくといいでしょう。

①相続が開始したことを証明するための資料・・被相続人の除籍謄本

②あなたが相続人であるということを証明するための資料・・あなたの戸籍謄本

③あなたの身分証明書・・免許書または健康保険証



 なお、あなたが銀行に開示を求める(聞く必要がある)事項は次の事項です。

①相続開始時(お母さん死亡時点)の残高

②被相続人の口座の入出金状況(取引履歴)

③多額の金銭の引き出しがある場合には、その引き出しに際して提出された書類(払い戻し伝票等の写し)
(これは筆跡により、誰が引き出したかを確認するために必要です)。




【銀行関係の調査が終了した場合はどうするか・・】

 銀行での調査が終了した後に、出金の中に使徒不明金がないかどうかを検討しましょう。

 使途不明金がある場合にはその出金を誰がしたのかを払い戻し伝票で確認しましょう。

 その後、使徒不明金が多額に及ぶのなら、親戚の方からの支払い請求を拒否するだけではなく、その親戚の方が預金を取り込んでいるとして返還請求をすることも可能です。

 ただ、返還請求をしたいが、人間関係から見て難しいというような場合には、銀行の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼されることも検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★★不正出金の全額返還を請求できるか【Q&A №423】

2015/01/16



【ご質問詳細】

 母親の死後、残された自筆遺言書を原告(長男)、被告ら(弟・妹)立会いの下、検認したところ、原告に、預貯金全額を相続させる旨が確認されました。

 原告は、母親の預貯通帳・カードを母親の近くに住む被告らに厳重保管の覚書を交わし委託しておりましたが(母親の生活費は、年金収入で賄える範囲)、被告らは母親の生前中(預貯金が下されたこの時点では、母親は痴呆も進み寝たきりで、何ら判断能力も無い)、母親が自筆遺言書を作成していたこをを知りながら、無断で、預貯金2千万円を、共謀して、カード限度一杯で、定期的に全額を引き落としておりました(銀行入出金推移表で確認済み)。

 これから、訴訟をスタートしますが、相続分である3分の1ではなく、全額を請求できる戦略・進め方のアドバイスがございましたらご伝授ください。

 なお、原告は代理人無しで、被告らは弁護士を擁立しております。


記載内容

  不正出金 全額

(moriken)





【気持ちはわかりますが・・・】

 被相続人であるお母さんが遺産である預貯金全額を長男であるあなたに相続させる内容の自筆の遺言書を作成したのに、お母さんの生前に弟や妹が無断で出金し、使ってしまったという事案です。

 あなたとしては、預貯金の引き出しがされなければ、預貯金全額を相続できたのにという気持ちでしょうし、その気持ちはよくわかります。

 ただ、法律的に考えると以下のとおりとなります。


【まず、3分の1の主張は可能です】

 あなたもわかっておられるようですが、無断で引き出し使用された預貯金額の3分の1の返還は可能です。

 念のために確認しておきましょう。

 お母さんの預貯金を弟らが無断で引き出して使用したのであれば、お母さんは弟らに対して引き出した金を返還せよという請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権)を持つことになります。

 ただ、この請求権は預貯金そのものではありませんので、単なる請求権(債権)として相続され、あなたが相続できるのは法定相続分(3分の1のようですが)だけです。

 あなたとしては、お母さんの有する前記請求権の3分の1を相続で取得したとして、無断引き出しをした弟さんらに請求することは可能です。


【あなたに対する権利侵害として、全額の返還を求めることはできない】

 ただ、あなたとしては、弟さんらが預貯金を引き出さなければ、預貯金全額を相続できるはずであったと無念に思われており、何とか預貯金額全額の請求ができないかという気持ちがあり、それが今回の質問になったものと思います。

 一つの考え方は、無断引き出しがされない場合、あなたとしては預貯金額全額を相続できたはずであるのに、弟さんらがこれを違法に侵害したので、不法行為による損害賠償請求ができないかということがあります。

 あなたが将来、遺言により預貯金全部を相続できるのに、それを侵害したので不法行為が成立するという考え方です。

 しかし、無断引き出しをされたのはお母さんであり、お母さんが権利侵害として不法行為に基づく損害賠償請求ができるのは前記のとおりであり、それとは別に、あなたが独自の権利を有しているとは考えにくいです。

 もちろん、預貯金がそのままあれば、将来あなたが預貯金を相続できるという期待を持たれたでしょうが、それは単なる《期待》にすぎず、権利とまでいえるようなものではありませんので、不法行為が成立しないと考えられます。


【法定相続人の資格を喪失させることも考えられるが・・・】

 全額取得するための方策としては、弟さんらを相続人でなくするという方向もあります。

 民法上には相続人の欠格(末記の条文をご参照ください)という制度があり、これに該当するなら弟さんらは法定相続人の資格を失います。

 しかし、相続人資格を否定するには、被相続人を殺害した、あるいは遺言を偽造したなどの極めて違法性の高い行為が裁判所で認定される必要がありますが、それは現実問題として主張立証が困難でしょう。

 よって、本件ではやはり相続分を超えて不正出金の全額返還請求をすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。


【特別受益などを主張して相続分を増やすしかない】

 結局、あなたの立場としては、弟さんらに特別受益などがあったとして、その相続取り分の減額を主張するしかないという結論になります。

 なお、裁判ですので、あなたの期待を侵害したとして全額返還を請求を(それが認められる可能性は低いにしても)主張することは自由ですし、そのような主張をしていると裁判所が3分の1以上を出さないかと和解で被告を説得するかもしれませんので、存分に自分の気持ちを訴訟に反映させられるといいでしょう。


《参考条文》
相続法 第891条 (相続人の欠格理由)
 
次に掲げる者は、相続人となることができない。
1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は 至らせようとしたために、刑に処せられた者
2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又 は変更させた者
5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者


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★★生前の預金の使い込みは、隠した者勝ちなのか?【Q&A №395】

2014/08/12
  昨年母が亡くなりました。

 父は10年前に亡くなっており、相続人は私と弟の2人です。

 母の相続に際し、同居していた弟が母の預貯金を勝手に引出していたことが預金履歴の調査で判明しました。

 母は10年前から介護老人保健施設に通入所しており、亡くなる4年ほど前には胃瘻を施し、痴呆も進んでおりました。

 元々生活が質素だったこともあり、施設の費用を含め、生活費は年金で充分賄えていたはずですが、10年間で預金が1500万目減りしていました。

 銀行の取引履歴は全て入手しており、預金の引出しはATMではなく窓口で行われているので、銀行に照会すれば弟またはその嫁が引き出したことは明らかになります。

 調停や訴訟は不可避と考え弁護士に相談していますが、弁護士からは、「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね、、」と言われ落胆しました。

 引出伝票などで弟が預金の引出しをしたことが明らかになっても、使い込みの充分な証拠にはならないのでしょうか?

 ご教示ください。

記載内容

不正出金 使い込み 隠す
(なお)





【そんな弁護士いるんですね・・】

 相談した弁護士が「相手側は母親に頼まれただのいくらでも言い訳は言ってくるはずで、結局のところ隠した者勝ちになるのが実情なんですよね」と言われたとのこと。

 あなたががっかりと落胆する気持ち、よくわかります。

 難しい面があるのは事実ですが、そこを何とかするのが弁護士なのに・・というのが私の率直な気持ちです。



【出金伝票を確認する】

 まず、《誰が引き出したのか》という点が問題になります。

 カードではなく、窓口で引き出したようですので、金融機関に払い戻し伝票のコピーをもらうといいでしょう。

 過去10年間という長い期間にわたる預金の引き出しの場合、私が経験したケースでは、当初はお母さんが引き出していたが、途中から弟さんが代理人として、その後、弟さんがお母さんの署名を偽造して引き出していました。

 もし、伝票の筆跡が弟さんであれば、弟さんが引き出したことになり、その分を不当利得あるいは不法行為を理由として、返還請求損害賠償請求するといいでしょう(当事務所の扱った事件で返還を認めさせたケースは多数あります)。

 次に、弟さんが代理人として引き出した場合にも、お母さんに渡したことが立証できない限り、弟さんが使いこんだという前提で対応するといいでしょう。

 ただ、お母さんの筆跡であるとすると、その分は、お母さんが引き出したということになり、弟さんがお母さんから生前贈与してもらったというような証拠を探す必要があります。

 なお、お母さんが多額の金銭を必要としないような場合、その引き出した金銭は手元現金として残っているはずです。

 その点も訴訟になった場合の争点になります。

 いずれにせよ、まず、出金伝票を取り寄せ、その内容を検討することが第一の作業です。



【使途は何かを確認する】

 次に、《出金したお金を何に使ったのか》という点が問題になります。

 既に死亡しているお母さんから使途を聞くことはできませんので、何に使ったかは弟さんから聞くことになります。

 お母さんが多額の出金をして、弟さんに生前贈与されている場合も多いでしょう。

 もし、生前贈与ならその分を遺産に持ち戻して、遺産分割計算されることになります。

 ただ、同居している弟さんの生活費に使われたというのなら、親子間の扶養義務の履行として、その生活費として支出された分は生前贈与とみなされない可能性があります。




【財産が残っているのかどうかも要確認事項です】

 いずれにせよ、この種の案件は訴訟まで行くことも想定しておいた方がいいでしょう。

 なお、最初から《弱気で逃げを打つ》ようであれば、弁護士を替えることも考えるといいでしょう。

 なお、遺産がほとんどのこっておらず、また、弟さんも財産を持っていないような場合、裁判に勝っても、結局は回収できない場合もあります。

 回収の可能性があるのかどうか、この点も弁護士と相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】

2014/04/01
 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)
 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容

不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得
(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。


【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
※横領についても同様の刑の免除の条文があります。
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★あるはずの父の預金が存在しない場合【Q&A №317】

2013/09/27
 
 99歳の父が1ヶ月前に亡くなりました。10ヶ月前まで年収手取りで720万ありました。遺産放棄を前提にお墓の改葬を母、長兄に提案したところ、年金の通帳(600万)、他にはないので母の生活費に困る。またお墓はみんなで出し合おうとの返事。
 母の通帳を見せてもらったら1400万の預金書、他に700万あった普通預金が3ヶ月前に下ろされており妹の口座へ確認。父の年収と年齢からして生活費を考慮して少なくとも年4、500万残ってもおかしくありません。億の遺産があってもおかしくありません。相続人は母、子5人です。私以外、そのことを触れようとしない事と、妹の口座に一部贈与が確認されているので全員で何か隠していることが考えられます。公平な相続を求めるには、今後何から手を着けていけばいいでしょうか。訴訟も考えています。どうぞよろしくお願いします。

記載内容

不正出金 不当利得 事務管理 生活費 贈与 特別受益 遺産調査


(ありんくりん)


【まずは徹底した調査が必要です】
 ご相談のような不正出金が疑われるケースについては、最初に遺産調査が必要です。
 その際、最も重要なのは、金融機関の預貯金の取引履歴の確認です。
 そのほかにお父さんが株式の売買を行っていたのなら、証券会社に対する照会も必要ですし、この他、生命保険契約の有無及び内容の確認も必要でしょう(生命保険は遺産ではありませんが、それが多額になった場合には遺産になる可能性があります)。

【金融機関の取引履歴の照会方法】
 金融機関に取引履歴を照会する方法は過去のブログ(Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 )をご参照ください。
 なお、金融機関への調査について、注意すべき点は次のとおりです。

①ゆうちょ銀行を除いて、銀行名だけでは照会はできません。
 どの支店であるかを確認して、その支店へ照会する必要があります。
 お父さんの利用していた支店がどこかは、お母さんやお兄さんに聞けばよいのですが、教えてもらえなければ、お父さんの住んでおられた自宅付近の金融機関に、軒並み照会を出さざるを得ないことになります。
②金融機関によっては、相続人全員の同意がないと照会に応じられないとの対応をする場合がありますが、平成21年の最高裁判例で、相続人の一人の照会であっても金融機関は回答する必要があるとされています。
③履歴が判明した場合は、その入出金を突き合わせて、多額の出金があったかどうかを確認していく作業が必要です。
④多額の出金がある分については、その出金が誰によりなされたかを判断するために払戻伝票の筆跡等を確認する必要があります。


【多額あるいは不正な出金が判明した場合】
 前項の④の調査で、お父さんが出金をしていた場合には、引き出された金銭が贈与として他の共同相続人に行ったことが考えられます。この場合には特別受益として、遺産に持ち戻すことになります。
 又、お父さん以外の人が引き出した場合には、その人に対して不当利得として返還請求をすることになります。この場合、あなたが返還を要求できるのは、その不当な使い込み額のうち、あなたの相続分(10分の1)に相当する額です。

【早い段階で弁護士に相談することも考える】
 今回の質問の場合、遺産を調査する必要があるのに加えて、多額又は不正な出金があった場合には、その返還を求めたり、特別受益として扱ったりする必要があります。
 あなたが訴訟も考えているということであれば、早い段階で弁護士に依頼し、遺産調査から入ってもらうことも考えていいでしょう。


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不正をした相続人の除外【Q&A №220】

2012/12/17
亡くなった父の預貯金全て長男一人占め

 8年前に父が他界、母はもういません。痴呆症と足切断のため寝たっきりだった父の預金全てを、兄が自分名義に変えておろしていました。このことを、1か月前に調べてしりました。私と姉は、この事を、許す事ができません。刑事告訴できますか?
 又父名義の土地と一緒に、この預貯金の分割できますか.さらに、違う人の相続もあるのですが、この猫ばば行為をした兄を相続から外す事できますか。私と姉は、命をかけて戦いたいのです。
記載内容

預金の無断引出し 刑事告訴 不当利得返還請求 不法行為損害賠償  
(のろまのカメ)


【警察の動きはにぶい】
 お父さんの生前に、その預金が全部、お兄さんよって引き出されたというケースです。
 お父さんが同意していないのなら、お兄さんの行為は有印私文書偽造、同行使などの刑法上の犯罪に該当する可能性があります。
 又、お父さんが《同意していても》、認知症の程度がひどく、意思能力を欠くという場合にも同様な犯罪に該当します。
 ただ、犯罪に該当するからと言って、警察がその犯罪を取り上げてすぐに捜査をするわけではありません。
 警察は、殺人や強盗というような犯罪は優先的に捜査しますが、親子間の問題については動きが極めて鈍いと考えておく必要があるでしょう。

【不当利得として返還請求が可能】
 生前に、お父さんの預金を全額引き出していたのであれば、お父さんはお兄さんに対して不当利得あるいは不法行為により、返還請求ができます。
 お父さんが死亡した後は、その返還請求権は相続人に相続されますので、あなたは法定相続分だけ、お兄さんに対して返還請求権を持つことになります。
 お父さん名義の不動産もあるようですので、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、その中でこの返還請求分を請求することも考えていいでしょう。
 ただ、お兄さんがその返還に応じないというのであれば、通常の場合にはお兄さんを被告として、引出した分のうち、あなたの相続分の返還請求をするといいでしょう。
 ただ、お兄さんが引き出した預金全部を使い切っている場合も考えられます。
 その場合、遺産分割調停を先にしていいのか、あるいは訴訟を先にしたほうがいいのか、難しい法律判断があります。
 この点については、相続に詳しい弁護士に相談され、そのアドバイスに従うといいでしょう。

【相続人からの除外】
 お兄さんを、相続人から除外する方法としては、法律上、《欠格》と《廃除》という2つの制度があります。
 《欠格》は、お父さんを殺害した場合や詐欺強迫により遺言を書かせた場合などであり、《廃除》というのは、被相続人(今回はお父さん)自身が遺言や裁判所への申し立てなどをしてお兄さんの相続人の地位を否定する制度です。
 しかし、今回はおそらく遺言もないでしょうし、どちらの制度も使うことができないと思われます。

【別人の相続は別の問題】
 しかし、別の人の相続については、その被相続人についての関係で《欠格》や《廃除》があるかどうかが問題になりますので、今回のお父さんに対する非行等の行動は問題とはならず、お兄さんを相続人から外すことは現段階では不可能です。


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16:45 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★月100万円の生活費は特別受益では?【Q&A №198】

2012/09/19
 姉が母の預貯金を使い果たした。

 父が亡くなり1年半ほどして母が亡くなりました。父が亡くなったときに1500万円ほど有った預貯金が残高35万円になってました。
 母は姉と同居でしたが高齢の割に元気で亡くなる直前まで介護と言うほどの手間は掛かってませんでした。
 姉に通帳の出金の理由を尋ねると「おばあちゃんが自由に使って良いと言った、おばあちゃんの生活費がほとんどだ」との事でした。
 一年半で1500万円とは月100万円ほどの生活費なので到底納得できません。
 月30万円の生活費としても半分以上特別受益と判断できますでしょうか?

記載内容

生活費 贈与 不正出金

(カネゴン)


【そのような意思表示はなかったのでは・・】
 お母さん(おばあちゃん)がお姉さんに預金を「自由に使って良い」と言っていたということですが、通常の場合、そのような事実は認めがたいものです。
 もし、そのような発言があったとすると、今度は、お母さんの意思能力があったのかが問題となります。

【無断出金ではないか】
 当事務所に扱った事件のうち、短期間で多額の金銭が出金されている場合は、そのほとんどが被相続人(質問の場合にはお母さん)に無断で出金されたものでした。
 お姉さんが、お母さんから「自由に使って良い」と言われた、と言いながら、その使途がお母さんの「生活費がほとんどだ」というのも極めて不自然です。
 もし、無断出金の場合、お母さんはお姉さんに対して不当利得返還及び損害賠償の請求ができます。
 ただ、お母さんが亡くなっていますので、(相続人があなたとお姉さんだけなら)、あなたはこの請求権の半額分を相続しますので、お姉さんに返還請求ができるということになります。

【無断出金かどうかの判断は取引履歴でする】
 無断出金かどうかの確認のためには、お母さんの預貯金の取引履歴を金融機関から取寄せすればいいでしょう。
 一度に数十万円を超すような預金の払い戻しが度々あれば、ほぼ無断出金とみて間違いないでしょう。
 預貯金の履歴の調べ方は、過去の回答( 参考カテゴリ:「遺産調査」 )を参照ください。

【特別受益について】
 なお、もし、お姉さんの生活費として使われている分があった場合で、しかもそれがお母さんの了解を得ていた場合、その生活費分が特別受益になる可能性があります。
 ご質問では30万円を超えてお姉さんが消費した金額が特別受益ではないかということですが、仮にお姉さんが生活費として消費した(支援を受けた)金額が毎月10万円程度なら、特別受益とは言えないという審判例もあります。
 しかし、それ以上となれば特別受益となる可能性も高いと思います(この点は、Q&A №164をご参照ください)

【弁護士に相談を】
 今回のケースは預金額が多額であり、しかもお姉さんがすんなりと返還する可能性は少ないと思われますので、できれば相続に詳しい弁護士に相談され、調査を依頼し、その結果によっては事件を依頼されるといいでしょう。

   http://www.saiben.or.jp/">埼玉県弁護士会 (URL:http://www.saiben.or.jp/)


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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10:23 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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