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特別受益の件!【Q&A №621】

2018/10/02


【質問の要旨】

息子の消費者金融への支払いは特別受益になるか

記載内容  消費者金融 特別受益 贈与

【ご質問内容】

大沢先生宜しくお願い申し上げます。
もう20年以上前になりますが、息子が消費者金融で問題をおこし、当時の弁護士さんに200万円以上の費用をお支払して問題を解決して頂きました。
勿論息子に私への返済はさせておりません。
したがって遺留分の計算などで、この場合特別受益として認めてもらえる可能性はありますでしょうか。
大沢先生お忙しいところ大変恐縮ですが宜しくお願い申しあげます。

621


(トラちゃん)





20年前に息子の消費者金融の支払いをしたということであれば、特別受益になる可能性があります。
このようなケースで何が問題になるかを整理してみました。

【支払った人の相続でのみ特別受益になる】
まず、息子の消費者金融の借金を支払ったということですが、そのお金を誰が支払ったのかを確認しておく必要があります。
もし、《あなたが支払った》のであれば、《あなたの遺産分割の際》に特別受益として扱われます。
しかし、あなたの配偶者の相続の場合にはなんら特別受益にはなりません。
あくまで支払った人が死亡した場合、その人の相続でのみ、特別受益になるだけですので、ご注意ください。

【特別受益は贈与の場合で、貸金なら別途の扱いとなる】
特別受益は生前に《贈与》したという場合の問題です。
そのため、息子から《返還を予定していない》ということが前提になります。
もし、返還してもらう気持ちで、何回も請求した、あるいは借用書を差し入れてもらったというのなら、それは《貸金》になります。
貸金であれば、その返還請求権は原則10年で消滅時効にかかり、消滅します。
特別受益の場合は、20年や30年前であろうと、消滅時効にはかからず、特別受益として扱われます。

【贈与を証明できる必要がある】
質問のような20年も前の特別受益の場合、一番大きな問題点は、贈与したことが、果たして証明できるのかという点です。
支払った人がまだ生きている時には、息子は《支払ってもらったことはない》とまで主張することはないでしょう。
しかし、特別受益が問題となるのは、支払った人が死亡したときです。
そのとき《支払ってもらったという事実はない。もし、あるというなら証明してくれ》と言い出す可能性が高いです。
そのため、弁護士費用としていくら支払ったのか、また、消費者金融にどれだけ送金したのかを証明する書類があれば、大事に保存しておく必要があります。
また、仮に弁護士費用の領収書などがあったとしても、それは弁護士費用などが支払いされたという事実を証明するだけで、それをあなたが出したということを証明するものではありません。
なぜなら、弁護士の領収書は依頼者は息子ですので、息子宛に出しますし、送金も息子名義で送金されている可能性が高いはずです。
そのため、将来、特別受益が問題になった際、息子は《私が弁護士費用を支払った、私が送金したのだ》という可能性が高いです。

【今、できることとしては・・】
そのため、あなたがそのお金を出したというのであれば、その事実をあなたが元気なうちにはっきりさせておく必要があります。
息子に贈与を受けましたという書面を書かせることができればいいでしょうが、今更、そういうことも難しいかもしれません。
弁護士費用や送金の領収書などがあるなら整理して、特別受益を主張しようとする人に、生前に渡しておく必要があります。
次に息子との話の中で、消費者金融の債務整理をあなたのお金で支払いされたということを認める発言をさせるように持っていき、その会話などをICレコーダーやビデオ等で残しておき、これも特別受益を主張したい人に渡しておく必要があるでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:19 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

父親の相続対策について【Q&A №618】

2018/09/11


【質問の要旨】

遺言を使用した場合の相続税対策および遺留分

記載内容  遺言 不動産 相続税

【ご質問内容】

標記内容についてですが、父は現在老人ホームに入所し、1年になります。脳梗塞が原因での入所になりましたが、最近覇気が無く、認知症も発症してきている状況です。
家族構成は、父親、母親(自宅で1人暮し)、同じ敷地内に私(長男家族)、近所に父親との共有名義で次男、三男が、その土地にそれぞれ自宅を建てています。
敷地内には、4所帯の2階建てのアパートがあります。
この様な状況での質問です。
①遺言書(自筆)を使用すべきか。
遺言書の存在は、私と母親のみ知っていますが、内容には、長男に母屋、アパート、預貯金等を相続させ、次男、三男はそれぞれの土地を相続との内容です。
ここで心配な点は、母親の取り分が記載されていない(私に高額な相続税がかかる)ことです。
仮に遺言書を使用かつ、母親にのみ相続法定分の2分1を申請させることは可能でしょうか。
この様な場合、次男、三男にも6分1づつになるのでしょうか。また、現在次男、三男の土地が遺留分を満たしているかの確認や遺産分割協議は、次男、三男が申し出ない限り、する必要はないのでしょうか。
②現在の相続税(概算)と次男、三男の遺留分の確認
②に関しては、どちらで確認できるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

618

(キンカン)




【遺言書を使用した場合、虚偽の申告になる】
遺言書とは異なる内容の申告(遺言書では財産をもらわないはずの母が相続税の申告では2分の1を取得する)というようなことが可能かという質問です。
母は配偶者ですので相続制上、優遇されており、その相続した財産が遺産の2分の1以下であれば、原則、相続税の課税はありません。
あなたとしては、不動産は遺言書のとおりにもらって、相続税の申告では母の優遇税制を使用するという形で、あなたの相続税をなしにあるいは軽減することはできないかという考えをお持ちのようです。
ただ、結論から先にいいますと、そのような手法で相続税を軽減することはできません。
なぜなら、父の不動産をあなた名義に移転登記をした場合、その登記がなされたことは法務局で国税庁に通知されます(不動産の移転登記は全て税務署に通知されることになっています)。
そのため、あなたが遺言書に基づき、不動産の移転登記をした場合、その登記については国税庁は把握していることになります。
そのため、登記とは全く異なる内容の、母が2分の1を取得したということを前提とした相続税の申告書が出てきた場合、税務署は必ず、税務調査を開始します。
結局は、あなたは真実の権利関係と異なる申告をして、虚偽の申告をしたことになり、不申告加算税や延滞税を課される可能性が極めて高いです。

【遺産分割協議をする必要はあるか?】
相続人全員の同意がある場合、遺言書と異なる内容の遺産分割協議をすることは可能です。
但し、一旦、遺言書に基づいてあなたの名義に移転登記した場合には、税務署は遺産分割は既に終了していると扱うことが多いです。
そのため、その後に法定相続人全員が同意して遺産分割協議書を作成しても、税務署としては、それは、遺産分割協議に基づくものではなく、新たな不動産の移転として譲渡税課税をしてくる可能性がありますので、ご注意ください。

【遺留分減殺請求を満たしているかどうかの確認について】
二男及び三男の取り分が、遺留分を満たしているかどうかについては、遺産全体と二男及び三男の取り分とを比較して、各遺留分である12分の1に達しているかどうかで判断します。
ただ、生前の特別受益があれば、その分が遺産に持ち戻され、遺留分算定の基礎になることがありますので、その点も注意されるといいでしょう。

【相続税対策について】
父に認知症が出てきたということですが、認知症が軽度であれば遺言書の作成が可能です。
現時点で父の判断能力を確認したうえで、能力があるというのであれば、相続税節減の方策を税の専門家である税理士に確認された後、遺言書を書き換えを考えられるといいでしょう。
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14:00 相続財産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

混同により損害賠償請求権や遺留分は消滅するのか?【Q&A №614】

2018/08/27


【質問の要旨】

不正出金の責任も遺言で消滅するのか

記載内容  不正出金 混同 損害賠償

【ご質問内容】

原告(長男)は母に遺言書を書かせ相続し、被告側(三男)が生前母の治療保険金を不正費消したと損害賠償請求を起こしました。

被告側は全て治療費など母の費用に使用した主張。

被告は原告が母の生前多額の預金を不法に取得している事を反論し、原告の不法行為が認められ各相続人が損害賠償請求権があり、被告の遺留分を侵害していて、原告の訴えは全て棄却されましたが控訴してきました。

原告は控訴理由書にて不法行為でも損害賠償請求権は各相続人は取得するが、遺言書において母は全財産を長男に渡すと書いてあり、また混同で消滅するので、母が他の相続人に贈与する事を希望していないので遺留分も無いと主張してきました。

お聞きしたい事は

1、不法行為で損害賠償請求権を各相続人は取得すると思いますが、遺言書において母は全財産を原告に渡す(他の相続人を排除する事や目録含め具体的な事は書いていない)と書いてあり、原告分は混同で消滅すると思いますが、他の相続人に相続する
事を希望していない事と同様なので、混同によって他の相続人の損害賠償請求権や遺留分も消滅すると主張していますがそのような事は考えられるのでしょうか?

2、母が長男の事業の為に渡したと生前に言っている証拠がある場合、損害賠償請求権は無くなって、生前贈与となり特別受益と考えられますか?

614

(マッチ)





【他の相続人が取得するはずの損害賠償請求権が消滅するのか】
まず、本件では相続人が長男・二男・三男の3人とし、3分の1ずつ相続する場合を想定して回答します。
まず、《混同》とは、権利を持っているものが、義務を負う場合、権利と義務が同一の人に帰属するため、権利と義務がなくなるというものです。
義務が負う者が、権利を取得する場合にも同様に《混同》により権利義務がなくなります。
さて、今回の質問は、遺言があるので少しややこしいケースです。
(1)遺言がない場合と(2)遺言がある場合に分けて、混同で権利義務が消滅するかどうか、説明していきます。

(1) 遺言がない場合の混同について
遺言がない場合に不正出金による損害賠償請求権がどう相続されるのかを述べておきます。

①長男が母の預金の不正取得をしたのなら、母は長男に対し損害賠償請求権をもつ。
長男は母に対して損害賠償支払い義務を負う。
②母の死亡により相続開始すると、母が長男に対して有していた損害賠償請求権は、全相続人がその相続割合に応じて、分割相続する。
③上記②の分割相続の結果、・長男(相続分3分の1)は、母の損害賠償請求権の3分の1を取得する。
④長男は、損害賠償請求権全額の支払義務者でもあるので、相続した請求権(3分の1)の限度で、長男の損害賠償請求権は消滅する。
⑤しかし、残りの3分の2の損害賠償義務は消滅せず、他の相続人が請求をしてきた場合、その支払いに応じなければならない。

(2) 遺言がある場合の混同
①相続財産を全て長男に相続させる」という遺言がある場合、
母の有する損害賠償請求権はすべて長男に相続されます。
②長男は損害賠償全部の支払義務がありますが、①の結果、その請求権の全部を取得しますので、権利と義務の全てを取得するので、損害賠償請求権の全部が混同で消滅します。

【遺留分減殺請求権行使した後の混同について】
ところで長男以外の人が遺留分減殺請求権を行使した場合、このケースなら二男と三男がその遺留分(各6分の1。2人合計で3分の1)の限度で、損害賠償請求権を取得します。
そのため、長男としては、遺留分減殺の対象とならない3分の2の請求権を相続し、その限度で損害賠償請求権は混同で消滅します。
しかし、二男と三男が遺留分減殺で取得した3分の1については混同はせず、二男と三男に支払いをする必要があります。

【長男に対する生前贈与の扱い】
母が生前にその意思で長男に贈与した財産があれば、原則として特別受益になります。
長男の事業のために贈与したということなら、生計の資本としての贈与であり、特別受益になります。
法定相続人に対する特別受益であれば、遺留分を計算する際の計算の基礎となる相続財産に持ち戻されます。
なお、特別受益の場合、相続開始の1年以上前であっても、遺産に持ち戻されます。
その結果、二男・三男の遺留分が増えます。
 
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12:06 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象と遺留分について【Q&A №612】

2018/07/13


【質問の要旨】

全遺産を遺贈する遺言があるが、遺留分はどうなるのか

記載内容  全遺産 遺贈 生命保険

【ご質問内容】

母が亡くなりました。父はすでに他界しているため、相続人は弟と私(姉)の二人です。

母は身体が不自由だったため、25年私が身の回りの世話をし、その後5年前に弟が母を引き取りました。(弟とは訳あって絶縁状態です)

母の死後、半年経っても相続についての連絡がないので、問い合わせると、公証役場で作成したすべての財産と権利を弟に相続させる、という内容の遺言書コピーが送られてきました。

また遺言執行者を弟に指名しているため、母の財産の一部を残し、すでに口座名義等を弟のものへ変更しておりました。

遺留分減殺請求を考えております。
下記は遺産の対象となるのでしょうか?

① 弟家族への生前贈与
  弟、妻、子、孫2(幼児)5人それぞれ×100万×5年間=2500万

② 一時払い生命保険の掛け金1000万
  契約者、被保険者、受取人すべて弟 
  弟から上記は遺産の範囲に含めないと主張されているのですが、納得できません。
  また、遺言書作成後の上記贈与の場合、遺留分侵害を分かっていた生前贈与と考えられないでしょうか。

612

(はな)




【遺留分減殺請求ができます】

今回のように遺言で、遺産が他の相続人(弟)に全部いくような場合には、遺産をもらえない相続人(あなた)は遺留分減殺請求をすることができます。
法定相続人が子2人なら、減殺請求で遺産の4分の1をもらえます。

【すべての生前贈与が遺産になるわけではない】

問題は、遺留分計算の前提となる遺産の範囲です。
法律では、すべての生前贈与が遺産になるとはされていません。
遺留分の計算上、遺産に組み入れられるのは次の2つの場合です。
①相続開始前の1年間になされた贈与
②1年を超える前の贈与であっても遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされたもの

【特別受益は1年以上前でも遺産に入る】
ただ、法律には記載されていませんが、裁判所は共同相続人の特別受益になるような生前贈与については、相続開始時から1年を超える生前贈与でも遺産に入るとしています(最高裁平成10年3月24日判決)。
その結果、母の遺産の共同相続人の立場にある弟への生前贈与は、1年を超える分でも遺産に組み入れられます。

【共同相続人以外の者に対する贈与は原則、遺産に入らないが・・】

弟の妻、その子や孫は、共同相続人という立場ではありません。
そのため、このような立場の者に対する生前贈与は相続開始の前、1年間のみに限って、遺留分の基礎財産には組み入れることができます。
ただ、特別受益に関する判例には、《実質上、相続人(弟)にしたと同視できる生前贈与は特別受益になる》としたものがあります(【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益)。

そのため、弟の妻らに対する生前贈与が実質上、弟に対してしたものと同視できるとすれば、生前贈与の時期を問わず、遺産に組み入れすることができるという結論になります。
実質上という判断は諸般の事情を考慮してなされるものであり、簡単には言えませんが、弟とその家族にのみ生前贈与をしており、各人への贈与額が贈与税の基礎控除以内の同額であるというのであれば、実質上、弟に対する500万円の生前贈与を、贈与税を免れるために分割したにすぎないと考えることも可能かもしれません。
ただ、遺留分の分野は相続でも最も難しいところであり、かつ、特別受益であるかどうかが大きな論点になるケースです。
相続に詳しい弁護士に詳しい事情を説明した上で、その見解をお聞きするのがいいと思います。

【一時払い生命保険の掛け金の扱い】
被相続人が契約した生命保険については、その受取人が共同相続人の一人であっても遺産にはなりません(Q&A №298)。
ただ、今回は、弟が契約者であり、被保険者でかつ受取人であるなら、弟は本来自分が支払うべき1000万円の掛け金を母に支払ってもらったのであり、その全額が生前贈与になり、かつ特別受益に該当すると考えられ、遺留分減殺の対象になります。
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代襲相続人謝礼金相場について【Q&A №610】

2018/06/12


【質問の要旨】

遺産を相続しない承諾料(ハンコ代)の相場

記載内容  ハンコ代 承諾料 放棄


【ご質問内容】

父方の叔父が亡くなり、叔父の書いた遺言書により叔母が家、土地、預貯金、生命保険、を相続する事になりました。
司法書士事務所より父が他界しているため遺産分割協議書が送られてきて、印鑑証明書とともに実印を押して、送り返して欲しいとの事でした。
私の方には貰える現金は無く、謝礼として、商品券5千円が同封されていました。
謝礼金の相場としては適正なのでしょうか。
ちなみに私には叔母がいくら相続するのかは知らされていません。

610

(みーちゃん)



 ※敬称略とさせていただきます

【兄弟には遺留分がないが、念のために遺言書の確認が必要】
配偶者や子のいない叔父が死亡したのであれば、叔父の兄弟である、あなたの父が相続人になります。
父が死亡しているのであれば、父の子(すなわちあなた)が代襲で相続人になり、叔父の遺産をもらうことができます。
ただ、叔父が遺言書を書いており、その内容が他の人に遺産を全部相続させるという内容であれば、あなたには遺産が来ることはありません。
これは兄弟には遺留分が認められない(民法第1028条、【コラム】遺留分とは)からです。
今回の質問の場合、遺言書に問題がないのであれば、あなたの同意や印鑑なしで登記ができるはずです。
にもかかわらず、あなたの印鑑が必要だというのはどうしてでしょうかという疑念があります。
そのため、遺言書が本当に叔父の意思に基づくものか、あるいは遺言書作成人時に叔父に意思能力があったかどうかは念のために確認しておくといいでしょう。
なお、公正証書遺言であれば、原則として遺言書としての有効性については問題がないと思われますが、その場合でも遺言書の内容を確認しておく必要があるでしょう。

【承諾料の基準はこんな事情を考慮して決定する】
承諾料というのは、不動産登記をする場合や不動産からの立ち退きをするような場合に、登記をしたい人や立ち退きをさせたい人が出す金銭のことであり、登記などのときにはハンコ代ということもあります。
ハンコ代がどの程度が妥当かは、ケースにより異なります。
例えば借地権譲渡の場合のように借地権価格の10%程度という、ある程度の基準が決まっていることもありますが、多くの場合には金額が決まっていないと言っていいでしょう。
ただ、次のような点を考慮されることが多いので、金額決定の際に参考にされるといいでしょう。
① あなたの側に何らかの権利があるのか、ないのか。
もし、権利があるのなら、その権利を金銭的に換算した金額が承諾料になるでしょう。
冒頭に遺言書が有効かどうかを確認しなさいと言ったのはこのような観点からです。
② 手続きの手間を省くための承諾料なら、その手間を省くことにより得る相手方の利益
  相手方に権利があるとしても、その権利を実現するためにはあなたの印鑑が必要なケースがあります。
 例えば、遺言書があっても自筆の場合には、金融機関によっては、相続人全員の同意が必要というところもあります。
そのような場合、相手方としては、あなたの印鑑がとれない場合、裁判をせざるをえません。
裁判すれば時間や手間もかかり、又、弁護士(費用)も必要でしょう。
その手間や費用等を省くためにどの程度を出すべきかを考えることになります。
③ 相手方との人間関係も考慮要素である。
あなたと相手方とがどのような人間関係にあるかも承諾料に影響します。
いつもお世話になっている人なら、相手方の申し出た金額に反論はむずかしいかもしれません。
反面、そのような関係にない場合には、前記①及び②も効力入れた金額を請求してもいいということになります。

【今回の商品券は妥当か】
以下は私(弁護士大澤龍司)の私見ですが、参考にされるといいでしょう。
あなたに何らの権利がないとした場合、
① 遺産総額が10万円程度なら、今回の承諾料が商品券5000円でもやむを得ないとは思います。
② 遺産総額が100万円ということなら3~5万円という程度。
③ 遺産総額が1000万円ということなら30~50万円程度。
以上はあくまで長年の経験からくるものであり、これらの金額を基準にして具体的な事情で増減していくというのが私のやり方です。
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自筆証書遺言は、絶対に遂行されるのですか【Q&A №608】

2018/05/11


【質問の要旨】

遺言があり、養育費の未払いがある場合は取り分はどうなる?

記載内容  養育費 遺言 遺留分


【ご質問内容】

父が亡くなり、遺言書が出てきました。
両親が離婚したので、私は生後3か月で母に引き取られました。
離婚の原因は、父と後妻の不倫です。
母は、慰謝料も請求した養育費も支払われず、仕方なく泣き寝入りしました。
父は、私が成人するまで一度たりとも養育費を支払わず、逃げ得したことになります。
そんな父が亡くなり、遺言書に後妻の長男に全ての遺産を譲渡すると書かれた遺言書が出てきました。
父親としての責任と義務を全く果たしてこなかったのに遺言書通りになるのでしょうか。
未払いの養育費は、5パーセントの法定遅延損害金を加算すれば、3,000万円以上になります。

608

(ミッキー)



 ※敬称略とさせていただきます

【遺留分を請求することができます】
まず、「後妻の長男に全遺産を遺贈する」という父の遺言ですが、仮に遺言が有効であるとしても、あなた自身には遺留分という権利が残されています。
遺留分とは、あなた自身が本来有していた法定相続分の2分の1の限度で、財産を遺贈された方(今回は後妻の長男)に請求することができる権利のことです。
遺留分を請求することを法律では「遺留分減殺請求」と呼びますが、具体的な遺留分の計算は、相続人が①後妻と②後妻の長男、そして③あなたの3人のケースの場合、次のように計算されます。

(父の相続人)・・・あなた、長男、後妻の3名と仮定した場合

(本来の法定相続分)・・・後妻 → 2分の1
                後妻の長男 → 4分の1
                あなた → 4分の1

このケースですと、あなたの遺留分は法定相続分(4分の1)の2分の1ですので、全体の8分の1と計算されます
このように、遺言があってもあなたは遺留分を請求し、遺産を一部受け取る権利があります。
なお、遺留分は遺留分の侵害(=遺言の内容)を知ってから1年以内に(内容証明郵便等で)請求を行わないと時効消滅してしまいます。くれぐれもこの点はご注意ください。

【取り決めた未払養育費や慰謝料は承継される】
今回は養育費や慰謝料の未払いがあるようです。
まず、なんらの約束事(書面)もしておらず、単に父から養育費をもらっていないだけ、ということであれば、そもそも養育費は請求できません。
しかし、書面等で金額や支払時期の取り決めをしていたのであれば、一般のお金の支払義務と同様に請求でき、未払いがあればお父さんの債務として、これも相続分に従って分割され、各相続人に引き継がれます。
 (なお、慰謝料は一般に母(前妻)の権利ですので、権利者はあなたではないことにご注意ください)

【養育費も一部は相続で消滅する】
上記のケースでは、未払いの養育費について、後妻が2分の1、後妻の長男が4分の1の支払義務を引き継ぎます。
しかし、4分の1の限度ではあなたも支払義務を引き継ぐことになるため、あなたが引き継いだ養育費の4分の1は権利と義務が相殺されて消滅し、請求できなくなることにご注意ください(このことを法律上は「混同」と呼びます)。

【実際には時効などハードルは高い】 
また、養育費の請求にはもう一つ大きな問題があります。
養育費もお金の貸し借りと同様、時効により消滅します。たとえば養育費の支払時期が毎月末日払いなど定期的な支払いの場合、毎月の支払日から5年で時効消滅します。そのためたとえば20歳で支払期間が終了した養育費は、あなたが25歳を超えていれば時効で全部消滅している可能性があります。
もっとも、途中で一部支払いがあったなどの事情があれば時効が中断することもありますので、ご心配でしたら遺留分の請求の見込みなども含め、お近くの専門家に一度ご相談された方がよいでしょう。

 (弁護士 北野英彦)
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後妻による定期預金解約について【Q&A №600】

2018/02/19


【質問の要旨】

口座名義人の委任状があれば定期預金の中途解約はできるのか?

記載内容  定期預金解約 解約伝票 価格賠償


【ご質問内容】

質問①

 定期預金の中途解約についてご相談いたします。
 よろしくお願い致します。概略を記します。

 昨年、父が他界し相続が発生しました。相続人は4名(後妻+先妻の子3名)です。
 父は6年間ほど要介護度5(寝返りできない、痰の吸引が2時間毎に必要)で介護は後妻さんがしていました。後妻さんは定期預金(1,500万円)の中途解約を父の了解を得て行ったと言っています。
 銀行に口座名義人確認の方法を尋ねましたらキャッシュカードと暗証番号との説明でした。
 解約伝票の署名は口座名義人(父)の筆跡のようであり、預金の使途を後妻さんに聞いたら適宜使用と答えました。

 同銀行のお客様相談センターに問い合わせたころ支店の対応に任せているとの事でした。
 同銀行他支店に定期預金の中途解約について尋ねたら、口座名義人の委任状があっても解約は認めない、口座名義人が窓口に来れない場合は、何かしら他の方法で確認をとる、又は相続人全員の了承をとるとの事でした。銀行のダブルスタンダードといえる対応に対しどのように考え行動したらよいのでしょうか。ご教示お願い致します。

質問②

 相続で話し合いの最中なのですが、相手方が遺留分対象のマンションを売却しています。
 遺産額も決まらないのに相手方弁護士は、価格賠償を主張しています。
 どのような対応を考えたらいいのでしょうか?(マンションの仮差押えは、供託金の用意ができません。)



(雪男)



 ※敬称略とさせていただきます

質問①定期預金の解約の件と質問②マンションの売却の件の2件の質問をいただいていますので、2件まとめて回答いたします。

【質問①について…当該解約時の状況を確認するべき】
 被相続人の定期預金が後妻さんによって無断で解約されたのであれば、後妻の不法行為(ないし不当利得)ということになり、あなたが父の相続人として、返還請求をすることができます。
 無断であるかどうかの判断資料としては、誰が窓口で手続きをしたのかを確認する必要があると思われます。

【引き出しを勝手にしたかどうかの判断】
 銀行は、口座名義人の委任状があっても解約は認めず、口座名義人が窓口に来られない場合はほかの方法で意思確認するという対応だったようです。
 さて、上記銀行の対応と解約伝票の筆跡からすれば、父が書いた解約伝票を後妻が窓口に持っていき、後妻がキャッシュカードを持参し、又、暗証番号も答えたことから、銀行としては本人の意思を確認できたとして解約したと理解できます。
 銀行の対応に若干、疑問があるようにも思えるものの、父が委任状の意味を理解して署名捺印したのであれば、後妻が父の意思に反して勝手に解約したとは言えませんが、反面、父が6年程、要介護5の状態(身体的な面か、意思能力にも問題があったのかが明らかではありませんが)であれば、場合によれば、委任状を記載していても父には意思能力(判断能力)がなく、解約は不法行為に該当する可能性もあります。
 いずれにせよ、預金の引き出し時点の父の状態をカルテなどで確認する必要があります。

【父の意思能力がない場合】
 もし、父に意思能力がないというのであれば、後妻が勝手に引き出したものと主張できるでしょう。
 ただ、このような場合でも、後妻が解約したお金を父の介護のために使ったことを立証すれば、その分については後妻が取得したものとはいえず、返還を求めることはできないでしょう。

【父の意思で解約していたとしても、後妻が贈与を受けていれば特別受益になる】
 仮に父の意思で解約がなされたことが明らかになったとしても、それを後妻に贈与したのであれば、今度は特別受益の問題になります。
 特別受益だとすれば、1500万円を父の遺産に持ち戻して遺産分割をすることになりますので、あなたが取得する遺産額が増えます。

【質問②について…売却される前にマンションに登記をする】
 以下は、あなたがすでに遺留分減殺請求をしているとの前提でお答えいたします。
 遺留分減殺請求をした時点で、あなたと相手方とはマンションを共有する関係になります。
 しかし、第三者から見れば、この共有関係は明らかではありません。
 そのため、第三者に対して、あなたが遺留分権者としてマンションの共有持分権を持っていることを主張するためには、あなたが遺留分で所有権を取得したことの登記が必要です。
 この登記があれば、あなたは対外的にもマンションの共有者の一人ということになり、相手方はマンション(の全部)を勝手に売却できなくなります。
 現在、まだ、あなたへの遺留分登記がなされておらず、既に買受人である第三者に対する所有権移転登記が完了しているのであれば、あなたはこの第三者に所有権取得を主張することができません。
 売買契約はしたが、買受人の移転登記前であれば、早急に買受人に登記が移転されないように《仮処分》という手続きをする必要があります。
 既に買受人が移転登記を完了しているのであれば、あなたとしては相手方に遺留分相当額の価格賠償を求めることしかできず、相手方弁護士と交渉するしかないと思われます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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14:07 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続手続き(株主名義変更手続き)に応じようとしない会社【Q&A №594】

2017/12/21


【質問の要旨】

遺言書があるのに、株主名簿変更手続きに応じてもらえない

記載内容 株主名義変更手続 非上場株式 遺言書


【ご質問内容】

非上場株式,譲渡制限株式を親が死んで相続したのですが、姉が勝手に会社に電話して、相続人兄弟3人で話し合うといったので、会社は3人相続人全員の話し合いをしてください、といいまし た。
ところが、その後、遺言書があって、私1人に全部相続させる、という遺言でした(家裁検認済み、遺言執行者も私)。
それで、それを会社に言ったら、それでも、「3人相続人全員の話し合いをしてください、」というばかりで何回請求しても相続手続き(株主名義変更手続き)の用紙も送ってこずに、完全に無視した状態です。
相続手続き(株主名義変更手続き)に応じようとしない会社に対して、遺言執行者として法的にどのように対応すべきでしょうか?

(cmpank)






【遺言書があれば、株主名義変更手続はできます】
遺言書が、あなたにすべて相続させるという内容になっていた場合、原則としてすべての遺産はあなたが相続し、遺産の中にある株式もあなた一人が相続します。
そのため、あなたが会社に株主名義変更手続をした場合、会社としてはこれを拒む理由はありません。
ただ、他の相続人が遺留分減殺請求をした場合、あなたとその遺留分減殺した人が株主になります(法律的には、株式がそれらの人の間で準共有になります)ので、会社としては遺留分権利者の同意も得てくれということで名義書き換えを拒むことができます。
遺産である株式について、複数の相続人がいる場合には、その全員の同意がない限り、名義変更もできず、又、株主として株主総会にも出席できないというのが裁判所の裁判例です。

【会社としてはトラブルに巻き込まれるのを避けようとしている可能性があります】
遺言書があり、検認も終わっているようですので、遺言執行者のあなたとしては、株主名義変更に必要と思われる書類(遺言書、被相続人の戸籍謄本、印鑑証明書、遺言執行者の印鑑証明書など)を会社に送り、遺言書どおりの株主名義変更を求めるしかないでしょう。
会社の立場から言えば、お姉さんが「相続人兄弟3人で話し合う」との連絡をしてきたために、法定相続人間で合意をしてもらってから、名義変更をしたいと考えている可能性が高いです。
(参考までに言えば、上場株式については、証券会社、信託銀行その他銀行などの金融商品取引業者等が管理をしており、名義書き換え手続を行ってくれますが、その場合であっても、証券会社所定の「相続人全員の同意書」を求められることが多いようです。)
もし、遺留分減殺請求がなされていないのに会社が名義書き換えに応じない場合には、その旨を説明して会社を説得するしかないでしょう。
それでも、会社が応じてくれなければ訴訟を提起するしかありませんが、訴訟をする前に、念のために弁護士に相談されることをお勧めします。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:19 相続と借金 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続の権利があるのか?【Q&A №590】

2017/11/30


【質問の要旨】

兄と叔父が養子縁組した場合、姪の私に相続権はあるのか?

記載内容  叔父 養子縁組 遺産相続の権利 

【ご質問内容】

 はじめまして。お世話になります。
 法律に疎くご相談させて頂ければ幸いです。
 私には60代の結婚経験の無い独身の叔父がおります。(子供なし)
 私は兄と2人兄弟でその兄と叔父が養子縁組みをすることになりそうです。
 その場合、姪である私に遺産相続の権利はあるのでしょうか?

 叔父の身寄りは私の兄とその妻、息子、私の夫と息子のみです。
 宜しくお願い致します。



(ハルミ)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【現在の叔父さんの相続人は、お兄さんとあなたです】
 はじめに、一般的に相続が発生する場合、その相続人が誰になるかについて簡単に整理しておきます。
 まず、法定相続人は2つの関係で考える必要があります。

1)配偶者関係
 被相続人に配偶者がおれば、その配偶者は常に相続人になります。

2)子や尊属、兄弟関係
 配偶者以外の者の中では、
  ①第一順位が被相続人の子
  ②第二順位が被相続人の直系尊属(父母等)
  ③第三順位が被相続人の兄弟姉妹となります。
 上の順位の者がおれば、後順位の者は相続権がありません。

【兄が養子になる前の相続関係】
 あなたの叔父については、配偶者もおらず、又、子もいないということですので、その状態で死亡した場合、前項の1)の配偶者がおらず、又、2)の①も②もいない状態であると思われますので、③の兄弟姉妹(例えば、あなたのお父さん)が相続人になります。
 ただ、兄弟が叔父より先に死亡していた場合には、その子が替わって(代襲といいます)、相続人になります。
 本件であなたの父が先に死亡されているのであれば、その子であるあなたの兄とあなたが(代襲)相続人になります。
 参考までに言えば、あなたの兄の配偶者やあなたの配偶者はいずれも(代襲)相続人にはなりません。

【養子縁組をすると、叔父さんの相続人は養子のみ】
 養子縁組をした場合、養子は実子と全く同じ扱いを受け、子としての地位を獲得します。
 そのため、叔父さんとお兄さんが養子縁組をすると、叔父さんに前記2)の第一順位の子がいることになります。
 この結果、相続人はあなたの兄のみであり、あなたには相続権はなくなります。

 お兄さんが叔父さんの養子になった場合に、あなたが叔父さんの財産を相続するためには、
  ①あなたも叔父さんと養子縁組をして、その子として叔父さんの法定相続人となる
  ②叔父さんに遺言を書いてもらう
 という2つの手段があります。

 ただ、「あなたに遺産すべてを相続させる」との遺言を書いてもらったとしても、養子であるお兄さんが遺留分減殺請求をすると、お兄さんにも遺産を渡す必要が発生することがありますので、この点、ご注意ください。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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14:36 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正出金と特別受益について【Q&A №573】

2017/07/31


【質問の要旨】

母の預金を使いこんだ弟から遺産を取り戻せるか?

記載内容  使い込み 住宅ローン 贈与

【ご質問内容】

  先日、妻の母が亡くなりました。(父は既に他界)
  妻は兄と弟の3人兄弟で、母は13年程前から弟と同居していました(住宅購入)。
 母の遺産は定期預金など(推定6000万円程)で2年ほど前から弟が通帳管理し死亡前にはすべて弟の口座に移されていました。 贈与か不正出金か不明。
 弟は遺産総額を開示もしません。
 信託で契約を結び(金額不明)、死後、弟にお金が入るようにもしていました。
 信託会社に詳細を聞いたところ、財産と遺留分対象とのこと。

 住宅資金推定5000万円(弟名義)を、母が頭金援助(推定2000万円)、去年あたり母が(推定2000万円)を出してローン完済させたようです。
 弟はギャンブル好きで他にも不正出金が多々あると推測し、まだ現金2000万円程は隠していると思われます。

 お聞きしたいのですが、住宅資金援助は母の通帳開示請求から追及できるでしょうか
 また弟のローン支払いの通帳も開示請求して照合できるのでしょうか
 遺言書はないようですので、法定相続分の3分の1で請求した場合妻の相続分はどれくらいになるのでしょうか?

 また、兄は相続争いに参加したくないとの事で、妻への譲渡証明書を書いてもらうつもりですが、その場合、不正出金の返還請求も、特別受益があった場合も兄の分と2人分の請求ができるのでしょうか
 どうぞご教授よろしくお願いいたします。

(papepon)





【住宅資金援助の追及・・まず登記簿謄本と取引履歴の双方を確認する】

弟さんが購入した住宅の資金援助とローン返済をお母さんが行ったかどうかの追及ですが、次のような方法でされるといいでしょう。
まず、弟さんの不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せし、不動産購入時期及びローン完済時期を調べます
購入時期は所有権移転登記の時期、又、ローン完済時期は抵当権抹消時期で推測(判断)できます。
次に、被相続人であるお母さんの金融機関の取引履歴を確認し、購入時期及びローン完済時期に、お母さんの口座から多額の出金があるかどうかを確認するといいでしょう。
もし、双方の時期に合致した出金があれば、それが頭金等の購入資金として、あるいはローン完済の資金として使われた可能性があるといえるでしょう。


【購入資金あるいはローンとして使われたものかのどうかの証明が必要】

前項の登記変更時期と取引履歴の出金が合致したというだけでは、あくまで可能性があるという程度の話であり、裁判で必要とされる証明としては不十分なことが多いです。
お母さんの口座からの出金が弟さんのための資金として使われたことを証明する必要があります。
ところで、お母さんの出金額がそれぞれ約2000万円ということであれば、現金で出金されていることは少なく、おそらく送金されているものと思います。
そのため、上記金銭が送金されたかどうかを通帳の備考欄などで確認し、送金されたということであれば、出金した金融機関に対して、誰の口座に送金されたかを確認されるといいでしょう。
弟さんの口座に送金されているとすれば、追及することが可能になります。
なお、お母さんの預金については相続人であれば確認できますが、弟さんの預貯金口座の確認は、兄弟でも他人ですので、弟さんの同意がない限り、金融機関はプライバシー侵害を理由に応じないでしょう。


【奥さんの相続分・・お母さんが贈与していた場合】

遺産としては、弟さんがお母さんの口座から出金した預貯金6000万円と住宅資金の関係の出金である4000万円が質問に記載されていますので、この1億円が財産であるとして説明します。
まず、住宅関係で4000万円がお母さんから弟さんに生前贈与され、6000万円は弟さんが無断で出金したという前提で考えた場合、
① 生前贈与分4000万円は特別受益として遺産に加算されます。
② 無断引き出し分の6000万円は、お母さんの弟さんに対する不法行為や不当利得に基づく賠償・返還請求権となります。
この場合、遺産総額は、(特別受益:4000万円)+(不法行為等の返還請求権:6000万円)=1億円になり、子ども3名の相続分は各3分の1の3333万円強になります。
ただ、弟さんの生前贈与による取得額が4000万円で、法定相続分の3333万円を超えています。
そのため、弟は4000万円を返還する必要はありません(特別受益制度は返還までさせる制度ではありませんQ&A №406をご参照ください。)が、残りの6000万円からは1円ももらうことはできません。
あなたの奥さんとしてはお兄さんと共に生前贈与分を除外した残額である6000万円を2人で分けて、各3000万円を相続でもらえることになります


【奥さんの相続分・・お母さんに無断で引き出していた場合】

なお、もし、住宅関係の4000万円もお母さんに無断で出金されたというのであれば、お母さんは弟さんに対して合計1億円の不法行為による損害賠償請求権を有することになります。
子供らは各3分の1ずつを相続することになりますので、あなたやお兄さんは弟さんに3333万円ずつの返還を請求することになります。


【相続分譲渡の場合は譲渡者の分を含め、請求する】

 奥さんはお兄さんから「譲渡証明書」をもらっているということですが、これが相続分の譲渡であれば、不正出金の返還請求も、特別受益の場合にも、あなたの奥さんはお兄さんの分を含めて、2人分を請求することができるようになります。


【こんな点にも注意しましょう】

注意点も付け加えておきます。
弟さんが他にも現金で2000万円ほど持っているとしても、それを発見することはなかなか困難です。「ない」と断言されれば、どうしようもないということも考えておくべきでしょう。
次に奥さん側が遺産問題で動き出したのを気づいた場合、弟さんは財産を隠す可能性があります。
もし、弟さんが不動産をもっていたり、あるいは預貯金口座にお金をもっているらしいということがわかるのであれば、その財産を動かせないようするために裁判所に仮差押等という手続きをしておく必要があります。
ただ、その手続きをするのであれば、相続に詳しい弁護士と依頼されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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14:10 遺産分割のトラブル | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

認知症の義母宛の父の遺言【Q&A №571】

2017/07/05


【質問の要旨】

再婚した父が遺言を書いていた場合の先妻の子の相続分

記載内容  再婚 義母 任せる  遺留分 先妻の子


【ご質問内容】

父と母は 再婚で、私は父の実の娘です。

幼い頃の離婚時に、実母方が弟を連れ、父が私を引き取りました。

現在は、私は結婚していて義母とは養子縁組はしてません

父は難病をかかえていますが数年前に母が認知症で、遠方の実の妹夫婦宅へ行きっぱなしで帰らず、今では 介護施設へ入居してます。

数ヶ月前に父が自宅で転び、一人暮らしが不可能となり今では療養型病院に入居してます。

もう自宅には帰れないので、私が自宅の片付け、売却を頼まれましたが片付けてたら、義母宛の銀行で作成した遺言書がでてきました。

現在、父名義の700万ほどの銀行預金通帳を私が預かり任されてます

他の預金は認知症の母がわかってるだけでも1000万円を持っていってしまいました

母の遺言書は見当たりません。

父が口頭では娘の私に全て任せると言うのですが、もしこのまま父が他界したらどうなるのでしょうか?又、義母が他界したらどうなるのでしょうか?

(mamis)





【事案の整理】

義母宛の遺言内容が明らかではないのですが、おそらくお父さんが「義母に全財産を相続させる」内容で作成したものと推測して回答いたします。

この状況でお父さんが死亡した場合、遺言に従って全遺産は義母が相続することになります(なお、あなたは遺留分の限度で権利がありますが、この点は後述します)。

【お父さんが死亡した場合・・遺言内容により異なるが、遺留分請求が必要になるかもしれない】

まず、お父さんが死亡した場合、お父さんには遺言書がありますので、その遺言書の内容で遺産を分けることになります。

ただ、その遺言書の内容が、義母に全部を相続させるという内容であれば、あなたはお父さんの遺産を相続できなくなります。

このような、遺言等で遺産が十分にもらえない場合には、法律で、遺産を多くもらう人から最低限度は返してもらえるようにする制度があります

遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)請求といい、遺言書の内容を知った日から1年以内に、遺産をくれと申し出る制度です。

あなたは被相続人であるお父さんの子ですので、減殺請求をすると法定相続分の4分の1の半分の、8分の1の遺産をもらうことができます。

なお、遺産としては義母が生前に貰った1000万円も遺産に組み入れて計算をしますので、あなたが遺留分としてお母さんに請求することができるのは次の計算式で算定される金額です。

遺留分=(義母が生前に貰った:1000万円+父名義の銀行預金+お父さんのその他の遺産)×8分の1

(なお、遺留分減殺請求については【コラム】遺留分とは参照)


【父より前に義母が亡くなった場合】

父より前に義母が亡くなったときは、あなたは義母の子ではありませんので、義母からは遺産を相続することができません

この場合、父の遺産がどうなるかですが、父の遺言書に《義母に遺産全部を相続させる》という記載があっても、既に義母が死亡しているのですから、遺言書は効力がなくなります

そのため、父が亡くなった時には、あなたと弟さんが父の遺産を2分の1ずつの割合で取得することになります。


【遺産が欲しいのなら遺言を書いてもらう】

最後に、お父さんが「口頭では娘の私に全て任せる」という発言されていますが、このような言葉は、葬儀の手配や自宅の整理、遺産分割完了までの通帳などの管理を任せるという趣旨として理解されるにすぎず、あなたに全遺産を贈与させる、あるいは相続(遺贈)させる意思を表示したものという理解をするには無理があります。

もし、あなたが父から財産をもらいたいというのであれば、新たに「全財産を相続させる」旨の遺言を作成してもらうことが必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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16:29 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
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母の建物に無償で住む妹に何か請求したい【Q&A №554】

2017/01/19


【質問の要旨】

母が亡くなるまでにできることはないか

記載内容 公正証書 実家 請求

【ご質問内容】

私は姉妹の姉です。

父の死後、話し合いもなく、父の死後公正証書が送りつけられ、数か月後税理士の方からの書類が届いた時は、母に全部渡す預貯金は妹名義になっていました

数年前に母を施設に入れ、実家に移り一人で住み始めました

こういう場合母が亡くなる迄手立てがないのでしょうか

私は過分に欲しいと思っているわけではありませんが、

妹も不動産などを両家からたくさん相続していますので、裕福ですので

私もきちんと請求したいと思っています。

(さくら)






【お父さんの相続に関しては遺留分減殺請求はできたが…】

お父さんの相続に関しては、預貯金はすべて妹さんに相続させるとの内容の公正証書遺言が作成されていたと理解しました。

このような遺言書があり、他の相続人になんらの遺産も来ないような場合でも、最低限の遺産(子であれば法定相続分の半分)を取り戻す権利があります(遺留分といいます)。

ただ、この権利は自分に遺産が来ないという遺言書があることを知ってから1年間以内に、遺言書で遺産をもらう人に請求(遺留分減殺請求といいます)する必要があり、この期間を過ぎると請求することができません(民法1042条)。

そのため、妹さんが預貯金をすべて相続したことにより、あなたやあなたのお母さんの遺留分が侵害されていた場合には、1年以内であれば、遺留分減殺請求をすることができました。

しかし、お父さんが亡くなってから既に9年経過しているということですので、お父さんの相続に関して、妹さんに何らかの請求をすることは難しいでしょう。


【実家に妹が住んでいても、あなたからは請求することはできない】

妹さんは両親も住んでいない実家に一人で住んでいるとのことで、あなたとしては妹さんに何らかの請求をしたいという気持ちでおられることと思います。

ただ、妹さんの住んでいる家の所有者はお母さんだと思われます。

そのため、妹さんに何らかの請求をするとしても、請求者はお母さんであり、今の段階では家の使用については、あなたが妹さんに対して何らかの請求をするということはできません


【お母さんが亡くなれば特別受益の問題になる可能性もあるが…】

将来的にお母さんが亡くなると相続が発生します。

その段階では、お母さんの家に妹さんが無償で使用・居住していたことにより受けた利益を、お母さんから妹さんへの特別受益だと主張できる可能性が出てきます。

ただ、建物の無償使用というのは、恩恵的要素が強く、一般的に持戻し免除の意思表示がある(お母さんが無償で使うことを認め、相続の際にもその賃料や使用料というものを考慮しなくてよいと考えている)ものと評価されることが多く、特別受益と判断されることは稀です。


【お母さんの状態によっては成年後見も検討すべき】

また、現在妹さんがお母さんの財産を管理しているのであれば、妹さんによってお母さんの預金が引き出されているという事態もありえます。

今後の遺産の目減りを少しでも防止する観点からは、お母さんが自分の財産を十分に管理できる判断能力がないというのであれば、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任し、お母さんの財産を管理してもらうことができます

ただ、この場合の財産管理は、原則として後見人選任後のみであり、又、今回のような質問のケースでは後見人は司法書士や弁護士になる可能性が高いため、その場合には、後見人の報酬として月額3万円程度の出費が必要になります。

(弁護士 岡井理紗)

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17:03 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言公正証書が偽って作成されていた【Q&A №552】

2016/12/22



【質問の要旨】

姉の公正証書遺言が知らないうちに作成されていた

記載内容 公正証書遺言 遺産相続 排除

【ご質問内容】

子供の居ない姉(84歳)が先日孤独死で亡くなりました。

主人は十三年前に亡くなっています。

姉の残した遺産についてお尋ねします。

姉弟は亡くなった姉、兄、私、妹の四人です。

姉は高齢で糖尿病も患い一人でいることを心配していました。

兄が実家を継いでおり一年半前兄嫁から姉を実家に引き取り面倒を見ることで姉と同意したので、ついては引取る為の手続きで戸籍謄本、住民票、印鑑証明が必要なので送ってほしいとの依頼があり了承し、下の妹も同様に兄嫁宛におくりました

姉は兄嫁に言われるまま預貯金先等を回って兄嫁は金額を把握したようです。

その後兄嫁から積極的に帰って来る様に姉への動きは無かった様です。

先日四十九日に皆が集まった際、兄嫁から遺言書が出て来たと言って公正遺言証書が作成(作成日は一年前)されていた。

兄嫁の兄が税理士をしておりその兄が証人もう一人は税理士仲間の方でした。

推定預貯金五千万、不動産三千万のうち兄と兄嫁、その娘二人に行くように明記されて、遺言執行者は兄の娘となっています。

私と妹はそれぞれ百万円となっていました。

お尋ねしたいのは姉を引取らずそして法に疎い姉を操り税理士の兄と結託した兄嫁が、私達姉妹を姉の遺産相続から排除する為に一年半前に兄嫁宛に送った印鑑証明等がまさかの公正遺言証書作成目的に流用されたと思われます

法的に対応できますか。

なお、兄は兄嫁に言われるままの人です。

(もっちゃん)






【公正証書遺言を作成するのはあくまでもお姉さん】

あなたとしては、お兄さんらがお姉さんを引き取ってくれると信じ、その手続きのために必要だということで戸籍謄本等を渡したのですから、それが公正証書遺言の作成に使われており、またその内容はあなたに不利なものであったとなれば、だまされたような気持ちでしょう。

しかし、お姉さんの公正証書作成にあなたの印鑑証明書はいりません

なお、遺言書にあなたが些少な財産を受け取ると記載されているので、あなたの戸籍は公証人に提出する必要がありますが、これも遺言書作成に必要だといえばお兄さん側で取り寄せが可能なものです。

そのため、あなたが印鑑証明書や戸籍を詐取されたということでは、お姉さんの遺言書は無効になることはありません

結論を言えば、遺言を作成するのはお姉さん自身ですので、お姉さんが納得して遺言を作成したのであれば、その遺言は有効だということになります。


【判断能力がない場合には遺言書は無効になるが・・】

お姉さんが兄嫁にだまされて遺言を書いただとか、遺言作成当時、お姉さんに判断能力(意思能力)がない状態だったというような場合には、公正証書遺言は無効となる場合があります

ただ、それを証明するのは、公正証書遺言が無効だと主張する側(本件ではあなた)です。

そのため、お姉さんの遺言書作成当時の判断能力を明らかにするための資料(もし、入院されておればそのカルテ、施設に入っておれば行動記録等)を取り寄せされ、当時のお姉さんの状況を確認する必要があるでしょう。

ただ、次の点は知っておかれるといいでしょう。

公正証書遺言は、自筆証書遺言とは異なって、公証人が遺言者であるお姉さんに判断能力があるか、遺言の内容がお姉さんの意思に沿ったものかどうかを直接お姉さんに確認した上で作成しますので、一般には公正証書が無効にされることは少ないです。

【遺留分減殺請求はできない】

兄弟姉妹の相続の場合、遺留分は認められていません

そのため遺言書が有効なら、貴方としてはその記載に従うしかありません。

あなたとしては前記しているように、お姉さんの判断能力がなかったという点でその裏付け資料をしっかりと収集されるべきでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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電柱敷地料の相続【Q&A №543】

2016/11/21



【質問の要旨】

登記名義が変更されていない土地にある電柱の敷地料について

記載内容 電柱 名義変更

【ご質問内容】

電柱敷地料を母が電力会社から受け取っていました

母が3月に死亡しました。4月に、結婚して遠方に住んでいる姉が勝手に電柱敷地料の承継届けを電力会社にだしました

6月に電柱敷地料が姉に支払われました

8月に母の遺言状で、すべての財産を私に相続させる、遺言執行者も私でした、との内容でした。(家裁検認済み)

それで、電力会社に電柱敷地料を私に払うよう請求したのですが、姉への支払いは停止する。しかし、電柱敷地料の土地の不動産登記名義が、私に変更されない限り、電柱敷地料の私への承継は認められない、との返事でした。

不動産登記名義は5年前、死んだ父の名義で母の名義ではありません。

しかし、父が死んでから5年間は、不動産登記名義を母に変更することなく、電柱敷地料の承継届けを出すだけで、電力会社は母に電柱敷地料を支払ってきてたのです。

1.電柱敷地料は不動産登記名義が変更されないと、支払われないのでしょうか?支払われないとすれば、父が死んでから5年間母に支払われてきたのと矛盾します。

2.母の遺言ですべての財産を私に相続させる、の中には、当然電柱敷地料も含まれると思うのですが、母に支払われた電柱敷地料は、相続で私にしはらわれなくてはならないのではないですか

私は相続人、遺言執行者として、どう法律的に対応すればいいのでしょうか?

(fhghfg)







【まず、電柱敷地料を受け取る権利(受給権)の内容を考える】

電力会社は、お父さんの所有していた土地について、お父さんとの間で電柱の敷地として使用する契約を結んでいました。

そのため、お父さんは、敷地使用契約の貸主であり、その契約の具体化として各時期に発生する使用料請求権を持っていたことになります。


【お父さんの死亡したときは相続人3人で権利を取得する】

お父さんが死亡したとき、特に遺言が無いのであれば、お父さんの敷地契約の貸主の地位は法定相続人全員が承継します。

次に使用料の支払いですが、敷地利用契約に特段の取り決めがされていない限り、各法定相続人が独自に法定相続分に応じて請求する権利を持つことになります。

今回の質問のケースではお母さんが2分の1、あなたとお姉さんが各4分の1です。

不動産の賃貸の場合、貸主が死亡したときには、その貸主の相続人がその法定相続分に応じて賃料を請求できるという最高裁の判決(参照最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)がありますが、今回の敷地使用料もこれと同じように扱っていいでしょう。


【お母さんの遺言があっても、使用料全額を取得することはできない】

今回、お母さんが死亡し、遺言書であなたが遺産をもらうことになったというのであれば(遺留分減殺請求の問題はややこしくなるのでふれないこととします)、あなたの権利関係は次のとおりとなります。

まず、貸主の地位ですが、お母さんの持っている、お父さんから相続した2分の1はあなたのものになります。

これに、元々、あなたがお父さんから相続した4分の1を加算して、あなたは貸主の地位の4分の3を持つことになります。

残りの4分の1はお姉さんが持つことになります。

次に使用料についても、お母さんの死亡後は、あなたは使用料の4分の3を電力会社に請求することができますが、残りの4分の1はお姉さんが請求できることになります。


【お姉さんとの関係は生前の分と死後の分とを分けて考える】

なお、お母さんは生前、敷地使用料全額を取得していたようですが、あなたやお姉さんがこのような受け取りに同意していないのであれば、あなたもお姉さんも各4分の1の返還をお母さんに請求することができます

ただ、お母さんが死亡したので、その返還債務がどうなるかですが、今回の遺言ですべての遺産をあなたが相続するというのであれば、このお母さんの債務はあなたが全部引き受けることになります。

そのため、お姉さんのお母さんに対する返還請求があれば、あなたが支払いをする必要があります。

次に、お母さん死亡後にお姉さんが単独で全額を取得したようですので、あなたとしてはお姉さんが無断で受け取っていた分の4分の3に相当する金銭をお姉さんに返還請求することになります。


【電力会社に対して全額支払いを請求するには】

電力会社としては法定相続人であるあなたとお姉さんとの間で、あなたが《単独で使用料を取得する権利がある》ということを明確にする必要があります。

そのためには、お姉さんがお父さんから取得するはずの4分の1の土地名義があなたが取得するような方策を考える必要があり、そのためにお父さんの遺産分割協議等でお姉さんに代償金を支払って、あなたに単独相続にして登記するのが一番望ましいですが、仮にそのような登記ができない場合にはお姉さんとの間で《あなたが単独で使用料を取得してよい》という合意をするしかないでしょう。

なお、お姉さんの同意が得られないということであれば、少なくとも、あなたの取り分である4分の3についての支払いを電力会社に請求することも考えていいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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葬儀に出なかった弟と葬儀代【Q&A №538】

2016/10/25



【質問の要旨】

父の死亡時に行方不明だった弟の消息がわかったのだが、
弟に負担してもらいたい葬儀費用を請求することができるのか?

記載内容 葬儀代 負担 行方不明

【ご質問内容】

父親が死亡時(平成24年)、相続人は私と弟の2人でした。
その相続時に弟は行方不明状態でしたので、連絡ができなくて相続もできませんでした。
地元の法律相談などで相談して、裁判所が指定した司法書士が弟の遺留分を管理保管していました。
約1か月前、千葉市にいることが分かり、過日、司法書士より遺留分が送金されています。
そういう訳なので、葬儀費用諸費を折半したいと伝えても、応じてくれません。
弟は弁護士に相談したようで遺留分には関係ないと掛け合ってくれません。
どうしたら良いでしょうか?返還請求?


(yamatokarateman)







【葬儀費用に関するルールは不明確】

葬儀費用を誰が負担するのかについて定めた法律はありません。
そのため、葬儀費用については裁判所や学者の考えが分かれています。
主流な考え方は、葬儀は喪主が主宰するものであり、その考えで規模やかける費用も異なるため、他の相続人に負担させるのは望ましくないというものであり、裁判所の考え方もほぼこれに近いです。
ただ、他の相続人が葬儀に出席しているのであれば、その費用を分担させ、遺産から葬儀費用を差し引くというのが裁判所の考え方と言っていいでしょう。
(この問題については以前のQ&Aでも数回、触れたことがあります。過去ブログQ&A №424Q&A №401Q&A №308Q&A №140などもご参照下さい)。


【出席していないのであれば、負担を求めるのは困難】

前項のような考え方から言えば、質問のように弟さんが葬儀に出席していないのであれば、弟さんに負担を求めることは難しいでしょう。

【参考までに・・香典、法事費用の扱い】

質問の回答は前項までに記載したとおりですが、参考までに次の点も付け加えておきます。
 ① 香典の扱い
葬儀費用を分担するとなると、香典分を差し引きする必要があります。
   香典は喪主が受け取りますが、もし、葬儀費用を分担するとなる、香典収入は葬儀費用から差引することになります(本ブログQ&A №474参照)
 ② 法事費用
   法事は喪主が主宰して行うものです。
そのため法事費用は全て喪主が負担します。
法事費用を遺産から出すことを認めた裁判例はありません。
念のために言えば、法定相続人全員が遺産から法事費用を負担することに同意をした場合にはその合意が有効であることはいうまでもありません。

(弁護士 大澤龍司)

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地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか【Q&A №501の再質問】

2016/05/27



扶養能力がないのに遺留分と養育費は相殺されるのか?【Q&A №501】に関する再質問

【質問の要旨】

地裁の遺留分減殺事件で養育費を決定できるのか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

子供に対して地裁で遺留分(1250万円)を求めて本人訴訟中なるも、子供(義母と同居し現在は社会人)は、大学卒業までの生活費や学費などの養育費(1600万円)との相殺を要求。

私はその当時から現在まで病気で収入がなく、また数千万円の借金があるので扶養能力はなく、子供は充分な遺産(5000万円)
があるので要扶養状態にはない。

和解交渉でこのことを主張するも、裁判官は、(法律的根拠は示さず)遺留分の権利だけを主張して扶養義務は果たさないのはおかしいとして、私が遺留分をもらえば、そこから子どもが立て替えた養育費を払うように強く要請。

私は、父子間の養育費は家裁の専権事項なので、本裁判では遺留分の決定をし、養育費については被告が調停申立をすべきと主張するも、裁判官は被告から相殺の要求が出ているので、地裁で養育費の決定ができると拒否。

そこで質問なのですが、

(1)本当に地裁で養育費を決定できるのか。

あるいは、和解を成立させんがために私へ譲歩を迫るだけであり、判決では養育費については盛り込まれない可能性が高いと思われるか。

(2)判決で養育費と相殺された場合、それを理由に控訴しても却下となる可能性が高いか。

(3)もし家裁で養育費が決定される場合は、養育費が決まった後に地裁で遺留分と相殺して支払われるのか。


または、地裁では遺留分が確定し、家裁で養育費が確定して,相殺ではなく個別解決になるのか。

(オーくん)







当相談では、原則、再度の質問には回答しないことになっています。

ただ、お困りかもしれませんので、簡単にコメントをします。

この程度でご了解ください。

【再質問】

地裁の遺留分減殺事件で(家裁の専権事項である)養育費を決定できるのか?

【回答】

養育費の決定は家裁で決定すべきことです。

そのため、地裁の判決主文中で養育費が決定されることはありません

ただ、判決理由中で、遺留分額を減少する際の事情として未払養育費額を考慮することはできないかという問題がありえます。

しかし、家裁の専権事項である以上、理由中であっても、養育費額の認定はできないというべきでしょう(この点に関する参考裁判例としては、婚姻費用についてですが、同趣旨の判例がありますので末尾に記載しておきます)。

但し、当事者が和解提案する際の事情として未払い養育費を持ち出す、あるいは裁判所が和解案を出す際に未払い養育費を考慮して解決金額を提示するという程度なら特に問題ないでしょう

その点を考慮すると、あなたに譲歩をせまる材料として裁判所は養育費問題に言及しているというところでしょうか。


【再質問】

判決で養育費が考慮された場合、それを理由に控訴することが可能か?

【回答】

本来考慮すべきではない事項を考慮しているのであれば、それは控訴理由になり、原判決の取消事由となると思われます


【再質問】

家裁の養育費と地裁の遺留分との関係

【回答】

地裁としてはいつまでも判決を延期するわけにはいきませんので、養育費は別途解決してくださいとして、遺留分のみについて判決する可能性が高いと思います。

【参考判例】
婚姻費用の分担については、専ら家裁が審判すべきものであって、地裁は抗弁に対する判断としても、婚姻費用の分担を定めることはできない(京都地判昭和32年10月17日)。


(弁護士 大澤龍司)

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10:59 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺留分と養育費の相殺【Q&A №501】

2016/05/12

 【質問の要旨】

別居中の妻が死亡したが、婚姻費用と遺留分はどうなるか

記載内容  婚姻費用 養育費 相殺

【ご質問内容】

家内と中二の子供と別居3年後に家内死亡。

審判(算定表)による婚姻費用を死亡前月(高二)まで支払。


遺言により、遺産(5千万)は全額子供が相続。

私(家内死亡前から病気で失業し借金生活)は、遺留分(1/4=1250万円)を求めて本人訴訟を起こすも、子供(義母と同居し私立大学卒業)側は、高二から大学卒業までの生活費や学費である養育費の実費(1600万円)と遺留分の相殺を要求。

(1)遺言書の内容(子供の生活費や大学進学費用に使え)は、母子の約束で扶養料を先渡しする義務(相続債務)とみなされるのか。

(2)私は無収入で数千万円の借金があり扶養能力はないが、借金より少ない遺留分をもらえば、多額の遺産のある子どもに対して養育費支払い義務があるのか。(子供の生活水準の方が高い)

(3)もし養育費の支払いが必要な場合は、

(ⅰ)月10万円の未払婚姻費用を基に、19歳までの生活費(大学費用含む?)を遺留分から控除するのか。

(ⅱ)20歳以上も、上記金額を大学卒業歳まで適用?

又は子供の主張する実費を遺留分又は遺産?から控除するのか。

十分な資産がある20歳以上の子供に、養育費の支払いが必要か。

(ⅲ)養育費が相続債務とみなされる場合は、養育費の半分が家内の債務で遺産から控除され、私の半分は扶養能力があれば遺留分から控除されるという考えか。

(ⅳ)上記に限らず、どのように考えるが正しいですか。

(オーくん)







【婚姻費用は妻の死亡により消滅する】

あなたは別居中の奥さんに対して婚姻費用を支払う義務を負っておられるようですが、この義務は奥さんが死亡した時点で消滅します

なぜなら、婚姻費用は婚姻があることを前提とするものですが、奥さんの死亡により婚姻そのものがなくなるからです

ただ、奥さんが死亡するまでに未払いの婚姻費用があれば、それは既に生前の婚姻期間中に発生した請求債権(未払い婚姻費用請求債権)として相続の対象になります。


【養育費の支払いについて】

婚姻費用の中には、実質上、未成年の子供の養育費分も含まれています。

奥さんの死亡により、死亡後の婚姻費用の支払いは不要になりますが、今度はあなたと子供さんとの養育費問題が現実化します

子供さんから請求されれば、親であるあなたに養育費の支払義務が生じる場合があります


【本件の場合の養育費支払いの要否について】

では、子供さんの言うような養育費の支払いが必要なのでしょうか。

収入及び時期と言う2つの面で支払い義務の履行を拒む理由が考えられます。

まず、収入の点からは次のように考えるといいでしょう。

養育費の支払いは支払い義務者である親に収入があることを前提にしていますが、あなたに収入がないというのであれば支払い義務は発生しないということになります。

次に時期的に言えば、養育費の支払いなどについて調停が申立される場合、支払いの開始時期はその調停申立のあった時期だとされています。

養育費の発生時期については、請求のあった時点以降であるという考えも強く、この考えに従えば請求前の過去に遡っての請求はできないということになります。

又、月毎に支払われる定期給付債権であるとして、民法169条の短期消滅時効の適用を受けるとして過去5年間の分だけの請求を認める考えもありえます。

これらの点の詳しいことを知りたければ、別途、養育費についての文献やネット検索をされるといいでしょう。

なお、子供に財産があるということだけで、養育費の支払い義務が免除されるということはないと思われますが、この点も別途調査されることをお勧めします。

又、成年に達した後の大学終了時点までの養育費の支払いの要否や学費分まで支払いの要否についても別途調査されるといいでしょう。


【遺留分減殺請求により得た利益をどう考えるか】

あなたとしては、今回遺留分減殺請求により収入を得ることになります。

しかし、あなたとしては養育費の算定の基礎となる収入は給料等の継続的な収入であり、遺留分のような一時的な収入とは言えないと主張することも可能です。

養育費算定表には給料年額あるいは自営業者の年収入額を前提として算定グラフが作られているからです。

ただ、このような主張に対しては、給料や自営での収入ではなくとも、親であるあなたが収入を得ているのであれば、給料等の収入に準じるものとして、算定される可能性もありえます。

その場合には、その収入のあった年度については、遺留分減殺請求額を前提にして計算された養育費を支払い、その翌年以降は無収入として養育費の支払いを拒むということを主張されえるといいでしょう

なお、無収入であっても《潜在的稼働能力があり、就労が困難といえないような事情がある場合には、ある程度の収入があるものとして、養育費が算定される可能性がありえますので、この点も併せご留意ください。


【遺留分と養育費の相殺との関係】

結局、前項の後段の前提(遺留分の支払いのあった年度にのみ、それを前提として養育費を支払う)というのであれば、その年度の養育費額のみが相殺の対象なり、その分が遺留分から減額されるという結論になるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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16:40 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡父より先に亡くなった後妻の遺産【Q&A №492】

2016/02/23

【質問の趣旨】

遺留分減殺請求訴訟において、後妻の財産も被相続人の財産であったとすることができるか

記載内容

後妻さん 名義貸し 本人訴訟

【ご質問内容】

私は、前妻の子で、幼少の時に養子に出されました。

後妻さんには二人の子がいます。

後妻さんは既に死亡しています。

被相続人(父)は自筆遺言を作成しています。

遺留分を侵害していますので、遺留分減殺請求訴訟(本人訴訟)をしています。

私は、被相続人家族と接触がありませんので、被相続人家族の生活実態がわかりません。

判明したことは、株を趣味とする被相続人より、後妻さんの株の所有する額が大きかったり、被相続人の預金通帳から、建て替えた建築資金が出ていない事、被相続人が不動産所得を後妻さんが死亡した年まで自分で申告しているが、その不動産の所在が不明であることなどです。

後妻さんは、基本的に被相続人の扶養者であり、所得はありません。

この遺留分減殺請求訴訟で、後妻さんの財産(出損者は被相続人なので実質的に被相続人の財産)も含めた遺留分減殺請求はできるでしょうか

後妻さんの財産は、現在のところ株式以外はわかりません。

(k-smile)







【名義で判断されるのが原則】

収入がないはずの後妻さん名義で多額の蓄財がある場合、原則として後妻さんのものとされます

金額の多さによっても異なりますが、長年にわたりご主人との生活をしていく中で、ご主人から自由に使ってよい小遣いとしてもらった金銭もあるでしょうし、何十年という期間の中で種々な形で得た金銭が多額の金額として積みあがることもあります。

もし後妻さん名義の遺産を、後妻さんのものではないと主張するなら、そのことを証明する証拠を提出し、その遺産が本当は誰にものかを証明する必要があります。


【名義借りの可能性もないではないが、それでも証明が必要】

かなり昔には、他人(例えば息子さんや娘さん、後妻さん)の名義を借りて、預金をするという借名(あるいは名義借り)の預貯金が広く普及している時代がありました。

このような名義借り預金の場合でも、そのような預貯金の元手が夫であるお父さんから出ていることや印鑑や通帳等をお父さんが保管していた等、遺産がお父さんのものであったことを証明する必要がありますが、意外とこれがむずかしいです。


【弁護士への相談や依頼も検討する】

本人訴訟をしておられるようですが、質問に書かれたような事情(建築資金を出した口座が存在しない等)を見れば、後妻さん側の預貯金の履歴を入手できれば、何らかの証明の手段が見つかるかもしれません。

ただ、後妻さんは既に死亡しているということなら、相手方は後妻さんの相続人である後妻さんの子になりますが、これらの方が後妻さんの預貯金の履歴を積極的に出すことは考えにくいケースです。

これらの事情も考えると、訴訟の進め方などを含め、相続に詳しい弁護士に相談され、場合によっては事件を依頼されることも考えられてはいかがでしょうか

後妻さんの金融機関の取引履歴を裁判所に提出させるような訴訟の流れを作り出せないか、あるいは現在ある手元の証拠でどこまで立証できるのか、他に証拠はないのか等、弁護士の知恵や力を借りることで裁判を有利に持っていくことも考えられるといいでしょう。            

(弁護士 大澤龍司)
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★使用貸借と特別受益【Q&A №484】

2015/12/17


【質問の要旨】

賃料相当額を特別受益として引かれるのか

記載内容

賃料 使用借権 持ち戻し

【ご質問内容】

裁判認知により相続人となりましたが、被相続人所有の空き家に住んでいた年数分の賃料(1000万円)を、特別受益として遺留分から差引くと言われています。

建物は、数年前に贈与の約束(契約書)があり、私(婚外子)の母が建替え、被相続人の死亡以前に母名義となっています。

土地は、私に遺贈の遺言があります。

それでも特別受益として賃料相当額を引かれなければならないのでしょうか

(カピバラ)





 【使用貸借であれば賃料の支払いは不要】

被相続人であるお父さん所有の空家をあなたが使用していたということを法律的に考えてみます。

お父さんがあなたに賃料を請求するようなことはなかったのであれば、あなたはお父さんから無償(ただ)でその家を利用することを認められたということになり、法律的には使用貸借という関係になります。

あなたの立場から言えば、無償で使用する権利(使用借権)をお父さんから与えられたということになりますので、賃料を支払う必要はないでしょう。


【使用借権が特別受益になる可能性がある】

ただ、あなたが、被相続人からただで使用する権利(使用借権)をもらったということが特別受益とされる可能性があります。

使用借権の価額については当該対象物件の5~10%程度の価値があるものだとされることが多いです(但し、裁判例の解説などを読むと10~30%ではないかという見解もあります)。

しかし、建物価額は評価証明額を前提として算定されることが多いですが、建物の評価証明額が極めて少額な場合も多く、そのため、上記の割合では使用借権価額が極めて少額になります。

一方で、被相続人であるお父さんは土地や建物の固定資産税分を負担しています。

その物件をあなたが無償使用しているのであれば、最低限、土地や建物の固定資産税分の支払い分程度は免れたという利益を受けていたことになり、その相当額が特別受益とされる可能性があります


【建物贈与の影響】

建て替える前の建物は、生前に贈与されていますが、誰に贈与されたのかがご質問では明らかではありません。

もし、あなたに贈与されたのであれば、建物価額があなたの特別受益として持ち戻されますが、その場合の特別受益額は、《建物価額-使用借権額》でいう計算式で算定されます。

贈与があったとしても、あなたが使用借権を取得した事実は消えませんので、使用借権取得が特別受益となる点は否定できません

但し、上記考え方はあくまで一つの考え方にすぎず、異なる見解もありえます。


【持ち戻し免除の可能性もあるので弁護士に法律相談を】

なお、今回のご質問から受ける印象ですが、お父さんとしては遺産への持ち戻しを免除するという意思をお持ちであった可能性もあります。

また、前項に記載したように使用借権を設定した後、その建物を取得した場合にどのような形で特別受益に反映させるかについても、弁護士により見解の相違がありえます。

いずれにせよ、今回のご質問が含む問題については、難しい点も多いので、近くの相続問題に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、相談されることをお勧めします


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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18:13 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

亡兄に使い込まれた私のお金を請求できないか【Q&A №463】

2015/08/31



【ご質問のまとめ】

40年ほど前に私のお金を800万円使い込んだ兄が、先日亡くなりました。

兄は1億円の財産を遺し、すべて姉が相続しました。

お金を取り返すことはできないですか?



記載内容

  相続債務 消滅時効 包括遺贈


【ご質問内容】

兄弟は8人で私は末っ子です。

去年長男の兄が亡くなり、その兄には私が若い頃40年前貯金をしていた800万円使われていましたが返してもらえないまま亡くなりました。

遺産は1億万円位あったそうです。

しかし相続人は姉になっていました。

それから兄は奥さんには先だたれてます。

子供もいませんでした。

証人は沢山いますが、借用書がないのがだめかなと諦めようと思っていても何か悔しくて何とかならないものでしょうか!?


(ノンちゃん)







【40年前の使い込みの返還請求について・・・時効で消滅している可能性が高い】

わかりやすくするために、まず、お兄さんが現在も生きておられるとして、考えてみます。

あなた自身の預貯金をお兄さんが使いこんだということですが、それがあなたに無断であったのなら、あなたとしてはお兄さんにその使い込まれた金額の返還請求が可能です。

その根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求権です。

但し、請求権には消滅時効があります。

消滅時効の期間は次のとおりです。

上記①の不法行為であれば使い込まれたことを知ってから3年間です、ずーっと、使い込みを知らなかった場合には使い込みの時点から20年間です。

②の不当利得の場合には返還請求できる日(使い込みの翌日から)10年間です。

現在まで40年間が経過しているということであればいずれにしても消滅時効にかかりますので、お兄さんが消滅時効と主張するのであれば、請求はできません。



【消滅時効にならない・・時効中断がある・・場合】

ただ、お兄さんが使い込みを認めていた(但し、あなたがその点を証明する必要があります)のであれば、その認めた時点から10年以内なら消滅時効は完成しません。

これを時効の中断といいます。

そのように請求を認めた事実がないかどうか、例えば最近10年間以内にお兄さんから使い込みを認めたような謝罪の書面を送付されていないか、あるいはそのような内容を録音したことがないかどうかを確認されるといいでしょう。

もしあれば、それで時効中断になるかどうか、弁護士に相談されることをお勧めします。



【時効中断している場合はお姉さんに請求する】

以上に説明したことを前提に、本件について考えてみます。

もし、あなたの持っている請求権が時効で消滅していないのなら、お兄さんに請求できることになるはずですが、本件ではお兄さんは既に死亡されており、相続人がお姉さんということのようです。

その詳しい事実関係は明らかでありませんが、おそらくお兄さんが《すべての遺産をお姉さんに相続させる》という遺言書を作成されていたのでしょう。

もしそうであれば、お姉さんは、お兄さんの遺産全部を相続するとともに、その債務を承継します民法990条、民法896条:末尾に記載した条文をご覧ください)。

そのため、あなたとしては、お姉さんに対して債務を承継したとして請求をすることが可能です。


【兄弟には遺留分減殺請求がない】

質問者の方はご存知と思いますが、念のために遺留分がないことも記載しておきます。

ある法定相続人に遺産の全部が行くような場合、他の相続人には遺留分減殺請求が認められています。

しかし、兄弟姉妹には遺留分減殺は認められておりません。

そのため、本件では1億円の遺産がお姉さんに行ってもあなたは遺留分減殺請求ができないということになります。

(弁護士 大澤龍司)


〔参照条文〕

民 法

(包括受遺者の権利義務)
第990条  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

(相続の一般的効力)
第896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
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委任状があれば預金の引き出しは許されるか 【Q&A №460】

2015/08/05



【質問のまとめ】

父は長男に全財産の現金を預けて、その管理処分について長男に委任しています。

長男が勝手に使ってしまうことが心配です。

相続が開始した後に、法定相続分を主張することができますか?



記載内容

 委任状 処分 財産管理


【ご質問内容】

 三人兄弟です。

 15年前に母は他界し、その直後に父が長男に委任状を手渡した上で、全財産の現金を預けています。

 委任状は全て父の直筆で書かれ、預けた金銭の管理と処分の一切の権限を長男に委任する旨と、委任状の効力は父の死亡を
以て終了とする旨が記載され、作成年月日と氏名、拇印と実印が押印され、印鑑証明書も添付されています。

 預けている金額は三千万円ですが、委任状の文面に金銭の「管理」のみならず「処分」まで書かれている場合、処分と題して、長男が勝手に消費してしまい、父の相続が開始された時点でその金額が目減りしていたとしても、その目減り分を長男に請求することはできないのでしょうか?

 要するに、「預けたお金はお前(長男)の自由に使って良いよ」と父が言っているような気がしてなりません。

 父に問い質しても、「長男に全て一任してあるから、口を挟むな」と言われる始末です。

 父は昔から長男を頼り、溺愛していたことから、その一切の権限を委ねたものかと想像しますが、あくまでも委任状であり、遺言書でない以上、遺留分等に縛られることなく、堂々と法定相続分を主張することはできますか?

 委任状の役割や効力の範囲がいまいちよく分からないため、処分の権限まで与えられたからと言って、兄が勝手に処分(消費)していた場合の対応が気になり心配です。

(カマちゃん)







【弁護士により回答が異なる可能性があります】

 今回の質問は弁護士により回答が異なる可能性があります。

 あくまで私(弁護士大澤)の見解ということで理解ください。

 まず、今回の質問ではお父さんが長男さんに「委任」したという前提になっています。

 ただ、委任内容が明らかではありません。

 具体的に言えば、何について委任したかが明らかではありまえん。

 例えば使途についていえば、お父さんの病院費や生活費についての出金の管理を依頼したのか、それ以外の事項も依頼したのかが明らかではありません。

 次に処分まで認めたということですが、現金の処分というのはどういうものでしょうか。

 預かり現金からの支払いを認めたというのか、それ以上に長男さんの個人的の使途に使ってもいいというのでしょうか。

 これらの点についてはより深く事情をお聞きした中で判断するべきことです。

 ただ、現在の質問で記載された限度で次項のとおり回答をします。



【委任であるという点を重視した場合の回答】

 今回は「委任」ということが前提になっていますので、その前提で考えます。

 委任であれば、長男さんとしてはお父さんのために預かり現金を利用するという制限があるので、自由勝手に処分した場合には委任の趣旨に反するということになります。

 ただ長男さんが自由勝手に処分することを認めるのなら、委任という言葉を選択することはないでしょう。

 預り金を私的に使用することを認めるのなら、それは委任ではなく、その分については「贈与」というべきものになります。

 委任という言葉にこだわる限りでは、お父さんのために必要な使途にのみ使うべきであり、それ以外に長男さんが自由勝手に使うことを認めるという趣旨ではないと理解せざるを得ません。

 なお、委任契約はお父さんの死亡した場合にはその効力を失うという内容になっています。

 法律(民法)の委任契約の条文では、委任者が死亡した場合には委任契約は終了することになっています。

 ただ、今回の委任契約では、そのような条文があるにも関わらず、わざわざ、お父さんが死亡すれば委任が終了するとされているのなら、その理由はやはり《私のために使ってほしい》とお父さんが考えたことによると推測できるのではないでしょうか。



【長男さんが勝手に使った場合の対応】

 長男さんが自分の私的目的に預金を使ったということであれば、お父さんは長男さんに対して、委任契約で指定した目的に反して金銭を支出したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求権を持つことになります。

 お父さんが死亡されたが遺言書がなかった場合、各相続人はその相続分に応じて上記請求権を相続することになります。

 あなたとしては相続したこの権利を行使し、相続分に応じた金額を長男さんに請求するといいでしょう。



【贈与の趣旨も含んでいるとした場合】

 仮に委任契約が、長男さんが私的に使うことも認めていると理解できるのであれば、贈与的な部分も含んでいるということになります。

 この場合、長男さんが私的に使った部分は贈与と同視していいでしょう。

 そのため、その長男さんの私的使用分は生前贈与になり、遺産に持ち戻して、遺産分割することになります。

 また、遺言書があり、遺留分を計算する場合には、遺留分の計算の基礎にその贈与金額を算入することもできるでしょう。


(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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14:43 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★20年以上前の不正出金【Q&A №456】

2015/07/15




【質問のまとめ】

17年前に亡くなった祖母の遺産であったはずの預貯金から、不正出金したと思われる伯父の妻からお金を取り返すことはできますか?


記載内容

  不正出金 生前贈与 時効


【ご質問内容】

 17年前に亡くなった祖母の遺産のことでご相談します。

 祖母は戦死した祖父の遺族年金受給し、亡くなる3年前に施設入所(世帯分離)。

 共同相続人の伯父は7年前に他界。

 母は現在、障害のため出廷不可。

 先日、伯母(伯父の妻)より祖母の郵貯の残高証明が送られてきました。

 残額は247円。

 手紙には、以下の主張が書かれておりました。

1.祖母の入所前に、私に通帳と印鑑を渡した。生前だから法的に問題がない(公正証書も通帳もなく、使途不明。)

2.私の父の借入書が残っていたため、それで相殺する(伯母の誤認識で完済済み。)

3.当時母と私に預金があるため、相続は不要

 3回忌の連絡すらなく、今回初めて生前贈与の話を聞きました。

 伯母は表見相続人であり、真正相続人である母の相続権を侵害しているのではないでしょうか?この内容は、相続権回復請求できるのでしょうか?

 自身が不正を働いている事実をきちんと認識して情報を開示し、分割協議に応じてもらうにはどうしたらよいでしょうか?

 祖母が入所する前に金額は1600万程度あったそうです。

 伯母は我が家の三文判を自分で購入していました。勝手に委任状を作成されたのか、農協の口座も解約されていました。

 伯母の父は出征せず、戦争で苦労していません。生涯一度も働いたことのないのに、母に祖母が亡くなったら金をとりに来ると罵ったそうです。

 お知恵を拝借したく、どなたかお願いします。


(hiro)







【相続回復請求はできない】

 相続回復請求ができないかという点にお答えします。

 法律で相続回復請求権が定められています(民法884条)が、この権利は戸籍上では相続人だが、実際は相続人でない人表見相続人といいます)が遺産を引き継いだ場合に、本当の相続人真正相続人といいます)が引き継いだ遺産を返せという権利です。
例えば、被相続人である養親の同意もなく、勝手に養子縁組届出をした養子が遺産を全部取得した場合、他の相続人(例えば被相続人の兄弟)から遺産を返せという請求をする権利です。

 今回の質問の場合、伯母さんは戸籍上の相続人ではありませんので、遺産を不正に取得していたとしても相続回復請求をすることはできません

 ただ、次にのべるような手段が考えられます。




【お祖母さんに無断出金で着服の場合は、消滅時効が問題となる】

 もし、お祖母さんの生前に、伯母さんがお祖母さんから預かった預貯金通帳から無断でお金を出金し、着服したというケースで考えてみます。

 この場合、お祖母さんには伯母さんに対する不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権が発生します。

 お祖母さんが死んだ場合には、これらの請求権は法定相続人が法定相続分で相続します。

 お祖母さんに配偶者はなく、子が叔父さんとあなたのお母さんだけだとすると、お母さんの法定相続分は2分の1であり、あなたのお母さんは伯母さんに対する返還請求権や損害賠償請求権の2分の1を相続で取得したことになります。

 ただ、お祖母さんの死亡したのが17年前のことだとすると、伯母さんの着服は更にそれ以前のことになりますので時効で消滅しているかどうかが問題となります。

 不当利得返還請求権であれば消滅時効は10年ですので、既に時効で請求できません。

 そのため、請求するとすれば不法行為に基づく損害賠償請求でしょう。

 この場合は着服という不法行為があった日から20年間で時効になりますので、着服行為から20年以内であれば請求が可能です。




【お祖母さんが生前贈与した場合】

 通常、多額の生前贈与があった場合には、遺留分減殺請求をすることができる場合が多いです。

 ただ、遺留分減殺請求権は、相続開始の時から10年を経過したときは消滅してしまいますので、本件の場合は、減殺請求はできないという結論になります。





【現在、するべき作業は何か】

 以上に述べたように、相続回復請求はできませんし、遺留分減殺請求もできません。

 そのため、法的に請求をするとなれば、不法行為に基づく損害賠償請求しかありません。

 伯母さんがいつ着服したのか(この点は時効に関連します)、また、どこの金融機関のどの支店からいくらを出金したのか、果たして伯母さんが取り込んだといえるのか(これらのの点は不法行為の証明に必要です)も確認し、その裏付資料も入手しておく必要があります。

 これらの確認のためにはお祖母さんの金融機関に問い合わせをする必要がありますが、10年以上経過した分については多くの金融機関が関係資料を処分していることも多く、その点の解明ができない可能性も高いでしょう。





【分割協議に応じてもらえるかどうか・・】

 本来ならば、伯母さんが遺産総額を明らかにし、着服した額も明らかにしてくれればいいのでしょうが、現実問題としてはそのような対応をすることは期待できないでしょう。

 結局は前項に述べたように証拠を示して、追及していくしかないということになるでしょう。

 ただ、いずれにせよ、多くの法的な問題点があり、また、資料収集の必要性もありますので、できれば相続問題に詳しい弁護士に相談し、どのような手段が取れるのかを確認されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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遺産の土地を妹の義父が借りていた【Q&A №450】

2015/06/03



父が私の妹の義父に土地を貸与していました。

そのような土地の賃貸借が生前贈与に当たりませんか



記載内容

  義父 贈与 同一 


【質問詳細】
 
 昨年、父が亡くなりました。

 父は生前に公正証書遺言を残していました。

 その遺言には、妹に全ての財産を相続させると記載されています。

 相続人は、私と妹の二人です。

 私は遺留分減殺請求を行う予定です。


 ところが父の生前、父と妹の義父(妹の夫の父親)との間で相続対象の土地の借地権契約をしたそうです。

 妹の義父はその土地にアパートを建てて他人に賃貸をしていました。妹の義父はその後1年足らずで死去しその後、妹の夫がアパート及び借地権を相続しております。



 妹からは、私が遺留分減殺請求をしても、相続対象の土地の借地権割合が60%なので、私が請求できるのは、底地割合の40%の遺留分(4分の1)、つまり1/10しかないのだから諦めろと言われてしまいました。

 借地契約書や地代をどの程度収めていたか等は、これから相手側に問いただす予定でおり、借地権の有効性を確認する予定です。


 上の経緯は、相続発生後に私が遺留分減殺請求を行う事を前提に、私の遺留分をなるべく小さくするために、妹らが対策を考えて借地契約という形をとったのではないかと考えています。



 このような場合、借地契約を締結したのは妹ではなく、その義父ではありますが、借地契約そのものが妹への生前贈与に当たらないでしょうか?


(asw32mk)







【借地権であるかどうかの確認が必要】

 質問でも記載されていますが、お父さんとお義父さんとの間で土地使用がどのような契約をしているのかを確認する必要があります。


 契約書が作成されているかどうか、作成されているのならその内容、更に署名がお父さんの筆跡であるのかどうかも確認されるといいでしょう。


 なお、賃料が支払われているのか保証金等は差し入れられているのかも調査の対象とする必要があります。





【遺産内容の確認も必要不可欠】

 遺産は不動産だけということのようですが、やはり預貯金等の銀行関係の調査が必要でしょう(調査方法についてはブログQ&A №417をご参照ください)。


 預貯金の取引履歴を確認すれば、預貯金の不正引き出し等がわかり、遺産額が増えますが、それだけではありません。


 契約時に保証金等の支払いがあったのか毎月、賃料が入ってきているかどうかが確認できます。





【保証金や賃料の支払いが発見できない場合でも役に立つ】

 取引履歴に賃料が記載されていないとすると、土地は借地権でなく、無償使用(使用貸借)である可能性があります。


 その場合、借地権額は更地価額の60%程度、使用貸借額なら10%前後ですので、遺産の対象となる土地の価額がアップします。


 なお、念のために言えば、あなたが知らない隠された預貯金口座が存在し、そこに賃料が入金されている可能性もあります。


 この場合にはそこの多額の預貯金が存在する可能性があります。


 また、保証金等の契約時の支払い分がないかどうかも確認する必要がありますので、取引履歴の取り寄せは必要不可欠です。





【法定相続人以外の人に対する贈与】

 ほとんど保証金を取らずに、しかも定額で借地権を設定したとしても、その相手がお義父さんのような法定相続人以外の方であれば特別受益の問題は発生しません


 遺留分減殺の場合、第三者に対しても請求することができます

 ただ、借地契約の内容があまりに不当で、地主であるお父さんにとって不利な内容であり、《まるでただ同然のような条件で貸している》というのなら、贈与とみなすことも不可能ではないでしょう。


 ただ、遺留分減殺請求自体がなかなか難しい手続きですし、ましてや本件は第三者との間で賃貸借契約を装ってというような難しい案件ですので、相続に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、そのアドバイスを受けるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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10:22 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続放棄と遺留分【Q&A №447】

2015/05/27
 


生前贈与を受けた人が相続放棄をした場合,特別受益はどうなりますか?

また,生前贈与を受けた人が相続放棄して,遺留分減殺請求をされた場合はどうですか?



記載内容

  生前贈与 遺留分 相続放棄 


【質問詳細】

被相続人(父)、相続人A(長女)B(次女)C(長男・末)がいます。

Aは生前に1,000万、B・Cは500万ずつ贈与を受けています。

父の遺産は現金500万、不動産1000万です。

Aは上記1,000万円の他に、父が生前の2年前にAの子二人(孫にあたる、共に成人)

に100万円ずつ生活支援のお礼としてお金を渡したこと、それ以前に色々な事象にて

お金(総額で2~300万円か)を貰っていたことを考慮し、遺産を放棄することにしました。

相続人BとCは父生前のA及び子に対する過大な贈与を受けたことが不満で、遺産1,500万円に各々の生前贈与(特別受益)を加算し、分配すべきと主張しています。

Aとして相続を放棄するのに、差額をB・Cに払う義務あるのですか?

併せてB・Cの遺留分について減殺請求権があった場合どうなりますか?



(goo)





【相続放棄すると特別受益の問題は発生しない

 Aさんが、お父さんの遺産について相続放棄をする前提で回答していきます。

 相続放棄をすると、Aさんは法定相続人ではなくなり、遺産分割の問題は発生しません。

 遺産分割はBさんとCさんとの間でするだけになります。

 特別受益は、遺産分割の際、法定相続人に生前贈与分などがある場合にその贈与分を遺産に持ち戻すという制度です。

 しかし、その生前贈与を受けた人が法定相続人でなくなれば、特別受益の問題は発生しません




【相続放棄しても遺留分の問題は発生する

 相続放棄をした場合でも、その人が多額の生前贈与を受けていたのであれば、他の法定相続人(正確に言えば遺留分権利者)から遺留分減殺請求を受ける場合もありえます


 例えば、生前に1億円の贈与を受けた人がいたため、遺産が0円であったような場合で、その贈与を受けた人が相続放棄をするケースを考えてみましょう。

 贈与を受けた人は相続放棄をしているのですから、特別受益の問題は発生しません。

 しかし、遺留分は法定相続人にある程度の遺産(法定相続分の半分程度)だけは渡るようにしようという制度ですので、生前贈与を受けた人は請求に応じて、遺留分に該当する遺産を渡さなければならないということになります。




本件のケースでは遺留分減殺請求はできない

 遺産は法定相続人AさんとBさん、Cさんに生前贈与計2000万円遺産が計1500万円その他に200万円と2~300万円の生前贈与分があるとの前提ですので、遺留分計算の基礎となる遺産額は4000万円になります。

 Bさんとしては生前贈与分500万円と今回の遺産分の半額である750万円の1250万円がお父さんの遺産から入ることになります。

 Aさんの相続放棄によって、Bさん及びCさんの遺留分は本来の法定相続分2分の1の半分(4分の1)になっています。そうするとBさんCさんのそれぞれの遺留分は1000万円となります。


 (Bさんの)得た額    (Bさんの)遺留分 


 遺留分が侵害されていませんので、Aさんが遺留分減殺請求をされることは法的にはないケースでしょう。
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14:53 相続放棄 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

父の言葉を代筆した遺言書の効力【Q&A №446】

2015/05/22




口頭で言ったことを、ほかの人が代筆して文書にして、

本人が自筆で署名押印した場合、将来の遺産分割協議で有利になりますか?



記載内容   遺留分 


【質問詳細】
 義父より自身が死んだ時のために相続人間で争い事が起きぬよう残しておきたいことがあるので、協力して欲しいと言われました。

 相続人(子)はA男・B男・C子で(私はC子夫)、C家が父を看ています(A・Bとソリが合わないことから)。

 父は今までにC家に対して自身の生活支援のお礼として事ある度に幾らかのお金を渡してきました。

 家屋購入資金(C子夫名義)、孫の入学祝いや就職祝い、孫の結婚祝い、等です。

 A家とB家にも相応にお金を渡していましたが、C家までには至らなかったようです。

 それがA・Bとして不満であり、大きな騒動になりました。

 C家は相続人であるC子が直接貰い受けていないお金もあるが、総括してA・Bより多くのお金をもらっていることから、父没後の遺産を放棄するつもりです(A・Bより色々理由つけられて遺留分を請求してくることが予想されることから)。

 これを義父に話したところ、「遺産は平等に受けろ。A・Bは今まで何も支援してくれない上に渡した金額差に文句を言っているだけ。二人が自分にしたことを明確に列記し、何で差がついたか、今まで幾ら渡したかを言うので、自身の宣言書として書き残して欲しい」とのことです(父は口は達者ですが体力が衰え書き事ができない)。

 内容はこれから考えるとの事ですが、とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面について将来の相続協議に有利となるのでしょうか?


(Noppo)





【それは遺言書ではない】
 
 質問者の方はおわかりのようですが、念のために記載しておきます。

 お父さんが考えた内容を、あなたが《とりあえず私がそれを聞き代筆し、父自筆で署名捺印した書面》は遺言書にはなりません

 遺言書は遺言者が全文を自分で記載し、日付及び署名・捺印をしたものです。

 お父さんの意思に基づいたとしても、その内容をあなたが記載したのでは遺言書にはなりません。



【お父さんの意思を書いた文書は相続協議に役に立つか】

 遺言書ではないにしても、死亡された人の意思がはっきりしている場合、それが遺産分割協議に役立つかは場合により異なります。

 法定相続人間でお父さんの意思についての共通了解があり、しかも法定相続人の間及びお父さんと法定相続人間で人間関係が円満な場合には、お父さんの意思が尊重される場合が多いでしょう。

 しかし、本件ではお父さんとあなた以外の法定相続人との関係も、法定相続人間の関係もぎくしゃくしていることを考えると、あなたが質問で記載したような書面を残しても、相続のためには役立たない可能性が極めて高いでしょう。




【相続放棄と遺留分】

 あなたは相続放棄をするということもお考えのようです。

 おそらく相続放棄をし、相続人にならないことによって、相続問題に巻き込まれないということをお考えになっていることと思います。

 あなたが相続放棄をするのであれば、あなたは相続人ではなくなりますので、法定相続分を前提とする遺産分割問題は発生しません

 しかし、あなたが生前に贈与を受けていたという事実はなくなるわけではありませんので、他の相続人としては、あなたに対して遺留分減殺請求をする可能性があります

 その場合、生前の贈与分は遺留分の算定の基礎財産に含まれることになります。

 相続放棄をしたからといって、遺産争いがなくなるわけではないということを理解しておく必要があるでしょう。




【遺留分減殺請求への対処が必要】

 本件では、遺産分割であれば他の相続人はあなたの特別受益を主張するであろうし、また、相続放棄をしても遺留分減殺をする可能性が高いです。

 そうであればあなたとしては、そのような事態に対処する方策を現時点で取っておく必要があります。

 そのような場合には、あなたとしては金銭を他の法定相続人に支払って解決することが多いです。

 その点を考えると、あなたとしてはお父さんから金融財産(預貯金等)をもらう内容の遺言書を書いてもらい、不動産等は他の法定相続人に渡すということで、将来の金銭支払いに対処するという必要があると思われます。

 いずれにせよ、具体的な金銭勘定がわかりませんが、この点については相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

 なお、お父さんが遺言書をご自分で書けないというのであれば、公正証書遺言を公証人に作成してもらうという方法もありますので、この点も併せて弁護士と相談されるといいでしょう。

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11:43 相続と借金 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

名義を換えた母の家は誰のものか【Q&A №442】

2015/04/27
 


 母は一人暮らしで一軒家です。
 
 すぐ隣に次女夫婦の一軒家があります。

 長女の私は遠方です。

 母はまだ元気ですが、なにかと近くにいる次女を頼りにする気持ちがあり、これから面倒かけるのは次女だからと言われました。
 しかし金融財産はほとんどなく、あるのは8000万円で建てた築15年の家が母の唯一の財産です。

 母が亡くなったら次女と二人で家を売り、結果的に面倒をみた方に多い割合でお金をゆずろうとは思っていました。

 名義変更は私に相談もありませんでした。

 このままだと私には相続の権利はないのでしょうか。


記載内容

  特別受益 名義貸し 名義

(ノースポール)





【まず、お母さんが登記に関与しているのかを確かめる】

 質問ではお母さんから妹さんへ登記が移転されたことが前提となっています。

 その前提で回答していきます。

 まず、お母さんがこの登記の移転に関与しているかを確認しましょう。

 お母さんが知らないところで登記移転がなされているのなら、その登記は無効ですので、登記を返還するようにお母さんから妹さんに申し入れてもらう必要があります。

 次に、お母さんが登記をしたかどうかわからないような状態 ― 例えば認知症で判断能力がないような場合にもその登記の移転は無効です。

 ただ、この場合にはお母さんの判断能力がありませんので、成年後見人の選任の申立をし、その成年後見人が取戻しの手続きをすることになるでしょう(ただ、現実問題として成年後見人がそのような手続きをするところまではしない可能性がありますが)。

 もし、お母さんが関与して登記を移転されたというのであれば、それは生前贈与ということになり、不動産は妹さんのものになります。

 現段階ではあなたとしては何もできません。




【お母さんが死亡した場合に遺留分減殺請求の意思表示をする】

 お母さんが死亡された場合、登記移転された不動産以外にお母さんの遺産がない場合には、あなたとしては《遺留分減殺請求》ができます。

 あなたの法定相続分が2分の1だとすると、あなたには死亡時の遺産に生前贈与分を加算した額の4分の1をもらえる制度 ―遺留分減殺制度((相続ブログQ&A №430ご参照)― があります。

 今回のケースではお母さんが死亡した日から1年以内に、妹さんに対して遺留分減殺の意思表示をし、不動産の4分の1を返還してもらうことができます。

 ただ、この手続きはむずかしい点もありますので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

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10:46 相続財産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母の預金は夫婦の共有か【Q&A №441】

2015/04/10
  


 家族は父、母、兄弟3人です。

 母の面倒を父と三男で行っていましたが、 母の余命が分かった時に長男が母が父との老後のために貯蓄していた母名義の定期などを解約、また年金の一部を引出し全て持っていきました。

  一部は持っていかれる前に母から三男に贈与されていて手元にあります。

 ただし口頭での贈与です。

 お金までならともかく、面倒をみていた父と三男の嘘を言って母を不安にさせ、支配し父のもとから連れ去ってしまい、一ヶ月後に亡くなりました。

 その後遺言書がでてきて、全財産は長男に渡すとの内容でした。

 長男が書かせたものだと思います。

 母は生前全く仕事をしたことが無く、父の給与で生活をしていました。

 年金以外の収入はありません。

 もちろん父は母が貯金をしていたことはわかっていましたが、任せていたという気持ちもあり、正確な金額は分かっていなかったようです。

 母の貯めていたお金は、父との共有財産なのではないですか?

 とりあえず遺留分の意思を伝えたら、遺言書を元に三男が押さえていたお金の返却を求めて長男から提訴されています。

 なぜか父と次男もいっしょに提訴されています。

 逆に父がそのお金は相続以前に共有財産で遺産ではないのだから、返却を求める裁判を起こすことはおかしい事でしょうか?

 またこちらから提訴して、今訴えられている裁判の差止めを行うことはできますか?


記載内容

  夫婦 共有財産 遺留分減殺請求 持ち分 


(りんりんちん)





【遺産の範囲について】

 被相続人名義の遺産は原則、被相続人の遺産になります。

 したがって、被相続人であるお母さん名義の預金があれば、それはお母さんの遺産になります。

 今回の質問では、お母さんは専業主婦だったので、そのような預金をする金額を持っていたはずがないということですが、そのような主張をするのなら、お母さんの名義であるが、お父さんのものであるという点の証明が必要になります。

 過去に経験したケースでは、お母さんが専業主婦であったが、お父さんの会社の役員になっており、会社から役員報酬が出ていたケースがありました。

 このようなケースがあったことも考えると、お父さんの口座からお母さんの口座に金銭が移ったというような、お父さんの財産が移動したことの裏付け資料が必要になることも考慮に入れておくべきでしょう。






【夫婦の共有財産ではない】

 お母さん名義の預金を夫婦の共有財産と考えて、半分はお父さんのものであるということができないかという質問ですが、答えはノーです。

 離婚する場合には、夫婦のいずれかの名義であっても、婚姻期間中に夫婦が共同で作ったものとして、夫婦それぞれの名義の全財産を折半することになります。

 しかし、今回は離婚ではなく、相続ですので、折半という考え方はできません。
(もし、そのような考え方をするなら、お父さん名義の財産の半分はお母さんの遺産となるという結論になり、遺産の範囲が不明確になり、収拾がつかなくなります)




【生前のお母さん名義の預金の解約について】

 長男が、お母さんの生前に無断で預金の引き出しをしたというのであれば、お母さんは長男に対して不法行為による損害賠償あるいは不当利得返還請求をすることができます。

 しかし、すべてを長男にという内容のお母さんの遺言書が存在しているのなら、お母さんの請求権もすべて長男のものになりますので、他の法定相続人が返還請求をすることはできません。




【他の法定相続人がとるべき手段は・・】

 他の法定相続人がとるべき手段としては、まず、お母さんの遺言書の効力を争うという方法があります。

 お母さんが遺言書を書いた当時、十分な判断能力があったのかどうかを検討されるといいでしょう(相続ブログQ&A №423Q&A №301【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介》をご参照ください)

 次に、仮に遺言書が有効だとしても、他の法定相続人としては遺留分減殺請求をすることも考えていいでしょう。

 現在、長男は三男に対して生前贈与分の返還訴訟を提起したということですので、三男も弁護士に依頼することになるでしょう。

 他の相続人の方としても、相続に詳しい弁護士と相談され、遺言の有効性を争うメリットがあるのか、また、遺留分減殺請求をするのがいいのかを相談されることをお勧めします。

 なお、弁護士には長男との関係だけではなく、生前贈与を受けた金額次第では三男に対する法的処置の可能性もお聞きになるといいでしょう。

 最後に、あなたが長男に訴訟を起こしても、長男の訴訟が差し止めされることはありません。

 ただ、あなたが提訴したことによる裁判所の関与により、全体としての遺産問題が和解で終了することはよくありますし、事案によれば、そのような解決が一番望ましいこともありうることも申し添えておきます。
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父、母が相次いで亡くなった場合の相続分計算【Q&A №432】

2015/02/26
 


 私の父が死んで、5年経つのですが、家と土地があって相続がもめています。

 母、長女、次女、長男の私4人でした。

 この場合、法定相続分はそれぞれ、2分の1、6分の1、6分の1、6分の1だとおもうのですが、相続がもめているうちに、まだ、話し合いがつかないうちに、(父の登記のまま)母が死んで、その後遺言書が見つかり、母の財産は すべて私に相続させる、ということでした。

 この場合、父の財産の私の相続分は、母の2分の1、プラス私の6分の1の合計6分の4になるのでしょうか?


記載内容

  数次相続 相次ぐ 計算

(桜餅)





【あなたの相続分は6分の4】

 現在、お父さん及びお母さんの遺産に関するあなたの相続分は6分の4であり、あなたのご指摘のとおりで正しいです。

 念のために記載すると次のとおりです。




【お父さんの法定相続分】

 子供がいるケースですので、配偶者は2分の1、子供は2分の1を平等の割合で遺産相続しますので、

・お母さん(配偶者)・・・2分の1

・あなた(子:長男)・・・6分の1

・長女(子)・・・・・・・6分の1

・次女(子)・・・・・・6分の1




【お母さんの遺産の相続】

 本来なら、お母さんの遺産は、あなたを含む3人の子供が平等で相続するはずですが、遺言書であなたが全部相続するということですので、お母さんの遺産の相続は次の通りになります。

・お父さんの遺産については、あなたがもともと持っている6分の1の法定相続分に加えて、遺言書によりお母さんの法定相続分である2分の1があなたにきますので、これを合計した6分の4があなたの相続分です。

・但し、お母さんの独自の遺産がある場合には、その分は全部、あなたが相続することになります。




【遺留分請求があるかもしれない】

 なお、お母さんの全遺産をあなたが相続するという遺言書がありますが、他の相続人としては、自分も遺産が欲しいといえば、法定相続分の半分の限度で遺産を請求できる制度―遺留分制度―があります。

 長女や次女が、この遺留分を請求してくることもあり、その場合にはお母さんの遺産の内の一部を渡す必要がありますので、その点は頭に入れておかれるといいでしょう。

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遺言書の検認を受けてからするべきこと【Q&A №430】

2015/02/18
 


 昨年母親が亡くなりました。

 父親は十数年前にすでに他界しております。

 私には姉が一人おります。

 姉は現在社会人、大学生2人の娘と夫の5人家族で私のほうは小学6年生の息子と主人の3人家族です。

 母の病院の付き添いなどの面倒は主に姉が行ってきました。

 私の方は育児期が重なり主に週末など行ける時に息子の顔を見せに行くという形で関わってきました。

 母が亡くなってから姉より、実は数年前に母から遺言状をもらっていたと聞かされました。

 もらう際、「財産は全部あなたに」といった内容の遺言状であると聞かされながらもらったそうです。

 そうはいっても、ということで一度は財産は等分にしようということになったのですが、実家の片付けをする過程で意見の不一致などが重なってきたところで「やっぱり検認するから」といわれ手続きにかかっているそうです。

 姉はそれまでにも母より子供の学費や生活費の援助を相当額うけていましたし、もっと遡れば子供の幼少期には母は定期を買って足しげく姉のところに通い面倒をみておりました。

 つまり、過去からずっと持ちつ持たれつの関係でした。

 私の方は子供の頃から冷遇、姉は母の愛情を一身に受けておりました。

 悔しくてなりません。

 遺言状の存在を知りながら教えてもらえなかったこと、姉が生前に受けてきた恩恵。

 最後にとどめの一発、どう考えたらよいのでしょうか。

 自分の尊厳を守りぬく方法を教えてください。


記載内容

  秘密 自筆遺言書 検認 遺留分 特別受益

(みなしごはっち)





【まずするべきことは遺言書の確認です】

 質問では、お姉さんは遺言書があると言っておられ、検認の手続きをされる方向のようです。

 公証役場で作った公正証書遺言の場合には検認が不要ですので、遺言書は自筆でかかれた自筆証書遺言だと思われます。

 あなたとしては次の点を確認する必要があります。

①まず、本当に遺言書が存在するのかを確認する。

遺言書の内容がどのようなものかを確認する。

遺言書が有効かどうかを確認する。


 自筆証書遺言の場合、法律に定められた書式に合致しない場合には、遺言書は無効になります。

 たとえば、ワープロで作成したものは効力を持ちませんし、日付が抜けている場合も効力がありません。



【遺言書を入手して、有効性を確認する】

 自筆証書遺言の場合、お姉さんが家庭裁判所に検認の申立をします。

 裁判所は遺言書を開封し、その内容を他の法定相続人等に見せます。

 この裁判所の検認は遺言書が出てきたことを他の法定相続人に見せるというだけの手続きであり、裁判所がその遺言書が有効であるかどうかの判断はしません。

 あなたとしては遺言書の検認に際して裁判所が作成する検認調書(遺言書のコピーが付けられています)をもらい、有効な遺言書かどうかを判断されるといいでしょう。

 なお、その判断ができないというのであれば、相続に詳しい弁護士に法律相談され、遺言書が有効かどうかについての見解を聞かれるといいでしょう。




【遺言書が有効な場合の対処法】

 仮に遺言書が有効なものであり、その内容がお姉さんに遺産全部を相続させるというものであっても、あなたには、本来の法定相続分の半分(相続人があなたとお姉さんだけだとすると4分の1)の限度で遺産をもらえる遺留分減殺請求という制度があります。

 遺言書の内容を見て、あなたが全く遺産をもらえないような内容である、あるいはもらえるけれども遺産の4分の1に届かないというのであれば、遺言書を見たときから1年以内に、遺留分減殺請求通知を出されるといいでしょう。

 なお、お姉さんが、お母さんの生前にかなりの財産をもらっているような場合には、その生前にもらった分を特別受益として遺産に持ち戻すという制度があります(このような持ち戻しが認められると、あなたが遺産からもらう遺留分が増加します)。

 この遺留分や特別受益については、この相続ブログの他のQ&Aに詳しく書いておりますので参照されるといいでしょう。(相続Q&A №243Q&A №393ご参照)

 ただ、遺留分や特別受益については、法律的に難しい分野ですし、最終的には訴訟等の法的手続きが必要になる可能性も高いことから、早期に弁護士に相談、依頼することも視野に入れるといいでしょう。
 

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
15:45 相続と借金 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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