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ゆうちょ銀行は詐欺罪で告訴しますか?【Q&A №579】

2017/09/13


【質問の要旨】

母の貯金を不正に出金した兄夫婦を詐欺罪で告訴できるか?

記載内容  詐欺罪 偽造 銀行 

【ご質問内容】
 昨年5月に母が亡くなりました。
 相続人は兄と弟の私、2人です。
 母は生前、約13年前に公正遺言証書(私には内緒で、おそらく兄に誘導されて)を作成していました。
 内容は母の死後、初めて、私は知ったのですが、土地、家屋(時価6千万円ぐらい)は全て兄に、預貯金は全て私に、という内容でした。

 その行為が許せなく、弁護士を通じて、立証できた金額1900万円あまりを返却してもらいました。
 つまり、民事的には一応解決となっています。
 然しながら、未だに、兄夫婦の今までの行為が許せなく、刑事的に何か罰則を与えることは、出来ないかと思っています。

 そこで、質問なのですが、兄の妻が、平成23年12月6日に、ゆうちょ銀行の窓口で母の定額預金70万円を解約しています。
 それは、母の委任状(母の偽署名をしたもの)を作成して解約しています。
 その70万円はゆうちょ銀行の母の普通預金口座に一旦入金されていますが、1か月ぐらいで、2~3回に分けてキャッシュカードで全額引き出されています。
 その時、母は介護施設に入所していて、外出することは出来ない状態でした。
 また、介護日誌では、認知による奇怪な行動が解約日の前後に見られます。
 また、認知度の長谷川式テストでも解約の意思表示など出来る意思判断は不可能な状態でした。

 この内容で、詐欺罪は成立しますか?
 ご回答お願いします。
(ultimora)



【犯罪ではあるが処罰されない】
 まず詐欺罪が成立するかどうかですが、お母さんの署名を装ってお兄さんが委任状に無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してお母さんの預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 また、キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したという見方も可能です。
 しかし、これらの罪については、法律上は親族相盗例という制度が適用され、親子間の詐欺罪や窃盗は処罰されません(刑法251条、同244条準用)。

 親族相盗例とは、親子間や同居の親族間の窃盗や詐欺について処罰しないという規定であり、家庭内のもめ事は家族間で話し合って解決するべきであり、警察のような国家権力が介入するべきではない、という考え方から導入された制度です。
 そのため、詐欺罪や窃盗罪で刑事告訴しても、警察が捜査を開始することはまずありません

【銀行は告訴しません】
 次に、有印私文書偽造罪については親族相盗例が適用されないため、銀行などが告訴すれば警察が動き出す余地が一応残っています。
 しかし、銀行は大量の預金事務を処理しているため、告訴による警察の事情聴取の負担などで争いに巻き込まれる事による負担を回避したいでしょうから、銀行が相続人などを警察に告訴することはまずないと考えられるといいでしょう。 

【民事上の争いをするほかない】
 今回の様な不正出金は民事上で争うほかないのが実際のところです。そのため、弁護士を通じて民事上は一応の解決をしているのであれば、立証できた1900万円を返還すれば、これ以上請求できないことになっている可能性が高いと思います。
 おそらくは、民事裁判で不正出金を取り返すことができたのも長谷川式認知テストなどをきちんと踏まえられたからだと思いますし、それ自体は正しい方法と思われます。
 民事上も一応の解決を経ているのであれば、本件ではこれ以上の責任追及を行うことは諦めざるを得ないでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
10:08 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産総額を疑われています。【Q&A №576】

2017/08/23


【質問の要旨】

亡くなった母の預貯金を不正に出金したと疑われているが、どうすればいいか。

記載内容  不正出金 疑われた 犯罪

【ご質問内容】

 初めまして。よろしくお願い致します。
 
 母が亡くなりました。いわゆる孤独死になってしまい、警察が介入しました。事件も考えられるので、警察から頼まれた親戚が、私の到着前に通帳記帳をしてくれていました。
 その後私が警察で通帳や印鑑等を受け取りました。

 法事の後兄から、親戚から聞いた貯金総額と、私が提示した貯金総額に2000万近くの差がある。不明金なので、銀行に取り引き開示請求をし、それから警察に届ける、と言われました。
 通帳は、警察から受け取ったのは全てあり、兄には記帳済みの通帳も全部見せました。葬儀等の収支、現時点の残金も伝えています。通帳を見れば行方不明金などなく、親戚の見間違いとわかるのに、警察署、届け出と繰り返し言われました。
 私のことを疑う、と言う言葉こそ使いませんが(紛失という表現をします)、私は疑われていると強く感じます(通帳はあるのですから)。

 私の潔白の証明になると考えた通帳を、兄には不明金を確信したと言われました。理解に苦しみます。今は取り引き開示請求の結果待ちのようです。
 説明してもわかってもらえず、精神的に参りました。警察、届け出、と何度も書かれ、疚しいことをしていなくても、強い恐怖をかんじました。
 相続の時はこの程度疑われるのは仕方ないことなのか、兄の言葉は何かの罪に問えるのかご教示願います

(ランナー)





【お兄さんを罪に問うことは難しい】
 どうやらお兄さんは、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑っており、あなたは濡れ衣を着せられて不愉快な思い(あるいは怖い思い)をされたようです。
 しかし、今回の様な相続のケースでは基本的に警察が介入することはなく、少々の言いすぎなどがあっても名誉毀損や脅迫などで警察が動いたという話は聞いたことがありません。

【あなたも罪に問われることはありません】
 他方で、お母さんの預金をあなたが不正に出金した(着服した)と疑われている点についても、窃盗罪として警察が逮捕や起訴に踏み切ることはまずありません。
 なぜなら、法律上、親子間(直系血族)の窃盗罪は処罰されないことが明記されているからです。
この点は当ブログNo.389No.291No.466にも同様の記事が掲載されていますのでご参照下さい。
 
(参考条文 刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、・・・(中略)・・・を犯した者は、その刑を免除する。


 なお、預金の場合は引き出された銀行が被害者という理解も可能ですが、銀行がこのような事案で警察に被害届を出したという話は聞いたことがありませんし、私どもが扱う事案でも警察が動いたケースはありません。

【そもそも証拠がないのでは?】
 また、このような理屈の話を抜きにしても、そもそも不正に出金した形跡がなければ警察は動きようがありません。法治国家である以上、証拠がなければ警察も強制捜査を行うことはできないのです。

【無実の証明は難しい】
 あなたとしては、一刻も早く身の潔白を証明し、お兄さんの疑惑を解消したいというのが正直なところだと思います。
 しかし、あなたが絶対に不正出金をしていないことを立証することはほぼ不可能です(我々弁護士の世界でも、無罪の証明は「悪魔の証明」とも呼ばれるほど、非常に困難なこととされています。)。
 しかも、今回のお兄さんはもはや結論ありきで疑っているようですので、もはや何をしても聞く耳を持たずのようです。このような場合、むしろ身の潔白を証明しようと努力することが疑いを深めてしまうことすらあります。
 ただ、警察が動き出す可能性は極めて低いため、ここは耐えることに徹し、ただ身の潔白を証明する「気持ちがある」ことだけをお兄さんや周りの人に示し続けることがあなたの立場や不安を補うことにつながるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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11:22 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)

2016/10/06
親族である後見人が被後見人の財産を横領した場合には、親族であっても刑罰に問われます!
(親族相盗例が適用されません!)


(最高裁平成24年10月9日決定)

【ケース】

家庭裁判所から選任された成年後見人である成年被後見人の養父が、成年被後見人の財産を横領した事案。


【裁判所の判断】

裁判所はこのケースについて、次のような判断をしました。

「家庭裁判所から選任された成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているのであるから、成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項を準用して刑法上の処罰を免除することができないことはもとより、その量刑に当たりこの関係を酌むべき事情として考慮するのも相当ではないというべきである。」

【弁護士のコメント】

 刑法には、「親族相盗例」と呼ばれる規定があります(刑法244条)。
 この規定は、窃盗等だけではなく詐欺や横領などにも準用されており、これらの罪を親族間で起こした場合には、特例として刑を免除し、または告訴がなければ公訴を提起することができないとするものです。
 後見人が被後見人の親族であるという場合に、その後見人が被後見人の財産を横領した場合にも、この規定が適用されるように思えます。
 しかし、裁判所は、家庭裁判所の選任・監督のもとに被後見人の財産を占有・管理する後見人が、被後見人の財産を横領した場合については、その後見人が被後見人と親族関係にあったとしても、親族相盗例は適用されないと判断しました
 これはつまり、家庭裁判所に選任されて成年後見人になった以上、親族であっても、公的立場から職務を遂行する義務(判例では「成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務」と説明されています)を負っているということです。
 なお、この判決より前に、未成年後見人に選任されていた未成年被後見人の祖母が、後見の事務として業務上預かり保管中の被後見人の口座から貯金を引き出して横領した事案について、以下のような判決があります。


(最高裁平成20年2月18日決定)

【ケース】

未成年後見人に選任されていた未成年被後見人の祖母が、後見の事務として業務上預かり保管中の被後見人の口座から貯金を引き出して横領した事案。


【裁判所の判断】

「刑法255条が準用する同法244条1項は、親族間の一定の財産犯罪については、国家が刑罰権の行使を差し控え、親族間の自律にゆだねる方が望ましいという政策的な考慮に基づき、その犯人の処罰につき特例を設けたにすぎず、その犯罪の成立を否定したものではない。
 一方、家庭裁判所から選任された未成年後見人は、未成年被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について未成年被後見人を代表するが(民法859条1項)、その権限の行使に当たっては、未成年被後見人と親族関係にあるか否かを問わず、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負い(同法869条、644条)、家庭裁判所の監督を受ける(同法863条)。また、家庭裁判所は、未成年後見人に不正な行為等後見の任務に適しない事由があるときは、職権でもこれを解任することができる(同法846条)。このように、民法上、未成年後見人は、未成年被後見人と親族関係にあるか否かの区別なく、等しく未成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っていることは明らかである。
そうすると、未成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、家庭裁判所から選任された未成年後見人が、業務上占有する未成年被後見人所有の財物を横領した場合に、上記のような趣旨で定められた刑法244条1項を準用して刑法上の処罰を免れるものと解する余地はないというべきである。」


【弁護士のコメント】

 この判決は、成年後見ではなく未成年後見のケースではありますが、親族相盗例制定の背景を説明した上で、後見の事務が公的性格であることを示し、後見人が被後見人の財産を横領した場合には、親族相盗例は適用されないと判断しているものです。
 あわせてご参照ください。
大澤龍司法律事務所
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17:45 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★財産をひとりじめ【Q&A №521】

2016/07/25



【質問の要旨】

司法書士をだまして書類を作成させたが、犯罪ではないのか?

記載内容  印鑑証明 騙す 

【ご質問内容】

相続人が多数いるのに司法書士をだまして相続人全員が本人を相続人代表と同意していると偽り書類を作成させ相続人全員へ書類を送り印鑑証明を取らせ実印を押させ郵送させた

そして預貯金を自分の口座にやすやすと振り込ませ自分の物にした。

これは犯罪ではないの

(ひげ)






【犯罪とは言い切れない】

まず、警察が本件のような親族内のもめ事に立ち入ることは、よほどのことがない限り考えにくいとは思います。

ただ、本件ではそのことはさておき、本件で詐欺罪が成立するか、という観点で回答をさせていただきます。

ご質問によりますと、相続人の一人が「相続人代表者」を名乗って司法書士に依頼し、遺産分割協議書を作成してもらったようです。

たしかに、他の相続人に無断で「相続人代表」を名乗ることは決して良いことではありませんし、ご気分を害されるのもよくわかります。

しかし、実際の遺産分割手続では、遺産分割協議書を全相続人に送付しているようですので、遺産分割の内容自体は全相続人に知らされているものと思われます。

また、印鑑証明書も、偽造したわけではなく、それぞれの相続人が取り寄せたものを送っているようです。

そうしますと、全相続人が協議内容を理解した上で、それぞれの意思に基づいて押印し、印鑑証明書を渡した、という解釈も可能です。

そうすると、事案を第三者的な立場で言えば、必ずしも「騙した」とは言い切れず、詐欺罪が成立する可能性は低いように思います。


【白紙の遺産分割協議書なら無効か】

では、内容が白紙(例えば、誰が預金を相続するかが記載されていない)の遺産分割協議書を全相続人に送った場合であれば詐欺罪は成立するのでしょうか。

結論から申し上げますと、このようなケースでも詐欺罪が成立することはまずありません

それは、白紙の内容について印鑑を押すという行為自体が、分割行為を他人の自由裁量に委ねるということと同一視されるからです。

言い換えれば、他人に内容を勝手に決められるのが嫌なら印鑑を押さなければよく、白紙に印鑑を押した以上は内容に文句は言えない、という言い方もできるでしょう。

もちろん、他の相続人に対し「あなたも預金を100万円相続する分割内容にする。」と言いながら全額自分が相続してしまった場合、理屈上は詐欺になります。

ただ、これも言った言わないの世界であることが多く、その詐欺行為を立証するのはかなり難しいでしょう

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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14:53 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★認知症の母に代わり遺産分割協議書を代筆したい【Q&A No.472】

2015/10/07



父を亡くし、相続人は私と認知症の母二人です。

母に後見人を立てずに、代筆で遺産分割を行うことはできるででしょうか?



記載内容

  認知症 遺産分割協議書 偽造


【ご質問内容】

 父が亡くなりました。

 相続人は、息子の私と、認知症の母の二人です。

 私と母は、相続上、争う関係にあるので、後見人をたてなければならないといわれました。

 しかし、息子は私1人なので、母の財産もいずれは息子が引き継ぐことになるし、ましてや母に不利なことは一切する気もありません。

 できれば後見人ナシで(代筆で)1次相続、2次相続合計で最も相続税が少なくなるような相続分割をしたいと考えています。

 これは、犯罪になるのでしょうか。

 誰も、損害を受けないので、見逃されるのでしょうか。

 証券会社からの通報で、訴えられるのではないか心配です。

 母は、ただいま、病院の療養病棟にて入院中

 身体を動かすこと、意思表示はもちろん、飲み込むことも出来ず、点滴のみにて栄養を得ている状態が半年続いています。

 話を理解しているかも不明です。

 成年後見人が決まる前に、亡くなってしまう心配もあり、できれば、後見人ナシで相続を済ませたいと考えています。

(くんくん)







【成年後見人の選任が必要です】

 認知症にも程度がありますが、お母さんが意思表示できないというのであれば、お母さんは遺産分割協議することができません

 本件ご質問のような場合、代筆して作成された遺産分割協議書には、効力はありません。

 あなたとしてはお母さんの成年後見人選任の申立をし、家庭裁判所が選任した成年後見人との間で遺産分割協議をする必要があります。



【節税目的でも犯罪が成立してしまう】

 本件ご質問のような場合に、あなたがお母さんの署名捺印を代行することは認められません。

 もし、お母さんの代筆をした場合、有印私文書偽造等の犯罪末尾記載の刑法第159条、161条参照)になる場合もありえます。

 なお、節税という理由があっても犯罪が成立することに違いはありません。

 節税をはかる必要があるのなら、成年後見人の選任申立をし、その後見人との間で遺産分割協議し、その際、節税の必要性を説明して、成年後見人の了解を取りつける必要があります



【特別代理人が選任される場合】

 被後見人がお母さんの場合、息子さんが成年後見人になることもあります。

 しかし、今回のように遺産問題があり、利害対立するような場合には、裁判所は遺産とは関係のない第三者を後見人に選任することが多いです。

 もし、仮にあなたが後見人に選任された場合でも、遺産分割に関する限り、あなたはお母さんと利害が対立しますので、裁判所に特別代理人を選任申立をする必要があります

 この場合、あなたは裁判所が選任した特別代理人との間で遺産分割協議をすることになります

(弁護士 大澤龍司)

〔参照条文〕

刑法
159条1項(有印私文書偽造罪)
 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

161条1項(偽造私文書行使罪)
 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

大澤龍司法律事務所
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★亡弟の預金を母が法事の費用に使ってしまった【Q&A No.466】

2015/09/11



【ご質問内容】

 私の母のことで相談させていただきます。

 13年前に亡くなった弟の預金、約50万円を銀行で相続手続きをしないまま、弟の法事や、弟の友人の冠婚葬祭の費用に充てる為に引き出していたことが分かりました。

 約10万円を使い、残金は40万円の様です。

 このような場合、今後どのような手続きをすれば良いのか。

 また、母に対し罰則等はないのか心配しております。

 ご教示の程宜しくお願い致します。


記載内容

  不正出金 法定相続分 親族相盗例

(ななこ)







【息子の死後にその預金を引き出した母は処罰されない】

 被相続人である息子(弟さん)の死亡した後に、そのお母さんが遺産である預貯金を引き出した場合、窃盗等の犯罪が成立しますが、刑法で親族間の窃盗は処罰しないと定められていますので、お母さんが処罰されることはないでしょう(この点については過去のブログ【Q&A №389】不正出金による窃盗罪は成立するかに詳しく記載していますのでご確認下さい)。



【今後、遺産分割協議をする】

 今回の質問では、相続関係が不明です。

 お弟さんに配偶者(妻)がいるのかどうか、また、子がいるのかどうかが明らかではありません。

 もし配偶者や子がおれば法定相続人になりますので、その人らの間で遺産分割協議をすることになります。

 法事の費用は相続費用ではありませんので、お母さんが相続人でないとした場合、他の相続人はお母さんが引き出した50万円の返還を求めることができます。

 ただ、そのうち、10万円は弟さんの法事費用ということであれば、その分を除外して残額を返還してもらうという解決もあり得ますが、この点も含め、法定相続人間で遺産分割協議で解決するべき事項でしょう。

 お母さんが法事費用に支出したということのようですので、弟さんには配偶者も子もいないということかもしれません。

 その場合には、お母さんが直系尊属として法定相続人になりますし、お父さんが生きておられるのであれば、お母さんとお父さんの間で遺産分割の協議をすることになります。


(弁護士 大澤龍司)
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18:00 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親の財産使い込みは罪になるか? 【コラム】

2015/08/17
後見人になった子による親の財産使い込みは罪になるか


記載内容

  使い込み 意思能力 横領


【子の使い込み】

 相続事件では、認知症の親の介護をしていた子が、親の生前に親の財産を使い込んでしまっていたという事例が数多くあります。

 このような使い込みをした子が罪に問われることはあるのでしょうか。




【同居親族の財産犯は刑が免除されるという原則】

 お父さんが認知症になったことから、子(例えば長男)がお父さんの財産を管理しているケースを考えてみましょう。

 後見人である長男が、被後見人であるお父さんの財産を使いこんだ場合、業務上横領罪が成立します。

 しかし、刑法は直系血族及び同居の親族らとの間で窃盗・詐欺・横領に当たる犯罪が行われたとしても刑は免除すると定めています(244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。

 刑法は「法は家庭に入らず」ということで、家庭内の問題は家庭内での解決しなさいという趣旨で定められています。

 そのため、このような関係にある場合には、警察に訴えても捜査が開始されることはないのが普通です。



【後見人は例外になる】

 しかし、最近、後見人になった親族の使い込みについては業務上横領罪の成立を認めて刑は免除しないという裁判が相次いでいます(最判平成20年2月18日、最判平成24年10月9日、東京高判平成25年10月18日など)。

 2つの最高裁の判例はいずれも、成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって、成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているから、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族 関係があっても、刑法上の処罰を免除もできないと明言しています。

 つまり、後見人という公的な責任を負った以上、その責任の方が優先され、親族だからといって刑が免除されることはないということです。

 現在のところ、業務上横領についての裁判例のみですが、同様の考えをすれば、後見人が被後見人の財産を窃盗したり、詐取した場合にも適用されそうです。

 最近、後見人の財産取込が問題となっています。

 遠からず、後見人が窃盗をし、あるいは詐欺を行うという具体的なケースが起訴されることになり、親族であっても刑罰に処せられるという裁判例が積み重なっていくことになると思われます。

(弁護士 大澤龍司)
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騙して遺言を書かせると罪になるのか 【Q&A №458】

2015/07/27



【質問のまとめ】

認知症で遺言作成能力がなくなっていた母の遺言書が出てきました。

 三女が下書きをして、認知症の母を騙して書かせたものです。

 そんなものを書かせることは犯罪ではないですか? 



記載内容

  意思能力 詐欺 警察


【ご質問内容】

 母は当時認知症で遺言作成能力はありませんでした。

 診療記録や介護記録や認知症の検査結果があります。

 私長女は母から「三女に下書きをして来たから遺言書書けと言われて書いた」と聞いていましたが、検認時に初めて見ました。

 次女の息子(たった一人の男の孫)に「墓を守って貰いたい為、不動産をその孫の名前にした」と聞いていました。

 その言葉から「孫に遺贈する」内容だと思いました。

 しかし検認された遺言書は遺贈の件も墓の話も一切なく、重い病気にかかっている次女に不動産(仏壇のある古い家)を押し付け、長女と三女に貯金を二分の一ずつ相続させるとの内容です。

 三女は「お母さんの希望を尊重して下書きしてきた」と母に渡したとメールに書いてます。

 要介護5の母は三女の下書き通りに書けば自分の希望通りになると必死で書いたと思われます。

 意思ではないので遺言書を無効にするのは当然ですが、認知症の母に騙して書かせた三女に罪は問えないものでしょうか?

 三女は親のキャッシュカード7枚作成し出金し返していません。

 金融機関の取引履歴でわかっています。

 この使途不明金を有耶無耶にする為にこのような遺言書を書かせたものと思います。



(azurea)








【詐欺になっても、処罰されることはない】

 騙して遺言書を作成させたというのであれば詐欺になる可能性が考えられます。

 ただ、仮に詐欺罪にあたる行為がなされたとしても、親子(法律的に言えば直系血族)間での詐欺は処罰の対象になりません(刑法 251条、244条。末尾に条文を記載しておりますのでご参照ください)。




【対応策は遺言無効と生前の取込分の返還を求める方法で】

 刑法で処罰されないとなると、民事上の対応として次の2つの方策が考えられます。

 ①遺言書の無効を主張する。

 お母さんについて認知症の検査がされているのであれば、その結果によっては遺言が無効とされる可能性があります。

 その検査が長谷川式認知スケールなら30点が満点ですので、10点以下であれば意思(遺言)能力なしとして無効になる可能性が高いでしょう(【コラム】意思能力と長谷川式認知スケールに関する判例の紹介参照)。


 次に、仮に生前に取込(無断出金)された分があるのなら、生前なら、お母さんがその出金者に対して不当利得返還請求あるいは不法行為による損賠賠償請求ができます。

 お母さんが死亡された場合、これらの権利は相続分に応じて相続人が取得しますので、上記遺言の無効とともに、取込財産の相続分に応じた分の返還を求めるといいでしょう。




【弁護士との相談も考える】

 いずれにせよ、認知症の程度の判断、カードでの出金をしたのが三女であるのかどうかなど証明も必要ですし、また、三女の行動から見て、話し合いで簡単に決着がつくようには思われません。

 もし、可能であれば、相続に詳しい弁護士に事情を説明され、とるべき方策を協議されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)



刑法

(親族間の犯罪に関する特例)
第244条
 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(準用)
第251条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪(詐欺罪等)について準用する。
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★香典は誰のものか【Q&A №420】

2014/12/12



 香典は遺産ですか?贈与ですか?
 香典はだれのものですか?
 葬式の時、喪主は私だったのですが、兄弟が勝手にもっていった 香典が贈与なら、所有権は私にあるので、窃盗、横領になるのではないのでしょうか?


記載内容

  香典 喪主 贈与 葬儀費用

(fdfff)


【葬儀費用に関する基本的な知識】
 相続税の申告をする場合、葬儀費用を経費として控除することは可能です。
 しかし、民法上は、葬儀費用は相続費用とは認められず、遺産から債務として控除することは認められません。
 なぜなら、葬儀費用は、被相続人の死後、相続開始後に発生するものであり、喪主が一人で負担されるものとされているからです。
 したがって、葬儀費用については税務の扱いと法律の扱いが異なるということになります。
 ただ、調停などで葬儀費用が問題になる場合には、葬儀費用が相当であり、かつ他の相続人も出席していたのであれば、法定相続分に応じて負担するという解決をすることが多いです。
 次に香典ですが、これは喪主が取得します。
 香典は、死者への弔意、遺族への慰めの意味も持ちますが、喪主が負担する経済的負担を軽減するとの役割も果たしており、喪主に対する贈与と理解されています。

【香典を勝手にもっていかれた場合は・・】
 香典は喪主への贈与ですので、喪主の了解なく、他の人が無断で持ち去ったとすれば、刑法の窃盗あるいは横領に該当します。
 ただ、持ち去ったのがあなたの兄弟という親族間での話ですので、刑法上は、《親族相当例》(刑法第244条:後記条文参照)の適用を受け、告訴がなければ警察は捜査を行わないでしょうし、仮に告訴を行ったとしても、警察としては《親族間で解決される方が・・》というような対応をする可能性が高いと思われます。
 そのため、警察には過度な期待はせず、ご自身で返還請求に向けた積極的に動きを取られるといいでしょ。

《参考条文》
刑法 第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1. 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条(窃盗)の罪、第235条の2(不動産侵奪)の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2. 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3. 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
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★不正出金による窃盗罪は成立するか【Q&A №389】

2014/06/19
 父の死亡後、長男が父名義の預金(90万円と150万円)を2ヶ所の銀行から全額引き出しました。
 2ヶ所の銀行には「相続問題は発生してない」と嘘をついて引き出したようです。長男は相続の話し合いでは上記の件を隠していましたが、私が各銀行を尋ね、取引履歴や残高確認の調査をして発見しました。長男は返還する意思は全くないようです。
 相続財産は相続者全ての共有財産で、勝手に引き出す行為は窃盗罪になり犯罪暦が付く、最高裁の判例では、勝手に相続財産を(個人的に)引き出した者は「他の相続者が受け取る財産を盗んだ」事になっている。またこのような不法行為を行った者はその財産の相続権も失うと説明したところ、「最高裁の判例を具体的に示せ」「相続権も失うと書いてある法律は何か」と質問してきました。
 この長男の質問に回答できる情報を教えて下さい。

記載内容

不正出金 窃盗罪 銀行
(ももちゃん)


【詐欺罪ないし窃盗罪の余地はあるが】
 銀行は預金者から金銭を預かって占有保管をしています。
 名義人以外の人が、名義人になりすまして預貯金を引き出す場合、銀行が占有・管理する金銭を引き出すことになります。
 窓口で引き出す場合には、窓口担当者をだましてお金をもらうのですから、銀行に対する詐欺罪が成立しますし、又、銀行のATMでの引き出す場合なら、騙すという行為がない(ATMは機械ですのでだますということにはなりません)ので窃盗罪が成立することなります。

【親族相盗例の適用はないが・・】
 刑法には親族間の窃盗などの場合には、窃盗罪は成立しても処罰はしない(親族相盗例。末尾の条文をご参照ください)と定められています。
 ただ、預金の引き出しの場合、被害者は銀行ですので、厳密にいえば親族相盗例の適用はなく、処罰することは可能です。

【相続人の場合には・・】
 相続人が被相続人の死亡を隠して、被相続人名義で金銭を引き出す場合も同様であり、名義を詐称した法定相続人については、銀行に対する詐欺罪または窃盗罪が成立しますし、処罰されるはずです。
 ただ、相続人であれば少なくとも預貯金の一部は相続で受取る権利があり、遺産分割協議においてその相続人が引き出された預金を(協議の結果によれば全部を)相続する可能性もあることなどから、警察も積極的に捜査をせず、事件として立件されることがほとんどありません。

【最高裁判例について】
 当事務所の使用している判例検索システムで調査した限りでは、最高裁判例の中で、被相続人の預貯金を引き出した場合の、相続人の詐欺や窃盗について触れたような案件は、見当たりませんでした。

【相続人資格を失うといったことは考えにくい】
 相続人資格を失うのは欠格、廃除などがあります。
 欠格は、被相続人を殺害したり強迫等により遺言を書かせたりするなどの重大な事由がある場合に相続人から除外されるのであり、預貯金の引出とは関係がありません。
 又、廃除は被相続人に対して虐待あるいは重大な侮辱その他の非行があった場合に相続資格を失うものであり、遺産を勝手に引き出したような場合に適用されることはありません。
 そのため、法的に遺産たる預金の無断引き出しがあったからと言って、直ちに当該財産について相続権を失うことにならないという結論になります。

《参考条文》
刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪、第二百三十五条の二の罪(不動産侵奪罪)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

     (以下略)
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10:35 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義の借名預金という言いがかりと名誉毀損【Q&A №388】

2014/06/17
 おじいちゃんが亡くなり、面倒を見ていた父が遺産相続をすることになったのですが、父の弟が、きっちり半額相続するだけでなく、父名義の口座も、実はおじいちゃんの口座で借名口座だから、その口座のお金も半額払えと言っています。
 もちろんそれは叔父の妄想?お金が欲しいだけ?の言いがかりです。
 叔父は裁判を起こすと言っています。
 父は何も後ろめたい事はないのですが、法律系のテレビ番組で弁護士の意見がわれることがあるので、もし、裁判で負けてしまったらこれから老後の蓄えが減ってしまうと心配しています。
 私は父が一生懸命働いて貯めたお金を、叔父の嘘で取られてしまうのはかわいそうすぎてなんとかしてあげたいです。
 裁判でどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
 また、言いがかりに対しての労力や経費を、名誉毀損で叔父を訴えて、取り返すことはできるのでしょうか?

記載内容

借名預金の立証方法 名誉毀損 元手
(かっぱ)


【預金原資を誰が出したのかが最重要】
 このブログでも何度か取り上げておりますが(Q&A №358Q&A №300Q&A №274ほか参照)、以前には家族など他人の名義で預金を作る《借名預金》または《借名口座》が多数存在した時期がありました。
 その結果、預金口座を実際に動かしていた人物と名義人との間にずれが生じ、裁判で争われたケースは少なくありません。
① このような裁判で一番重視されるのは、「誰がその預金の元手となる金銭を出したのか」という点です。
 当時の被相続人(お祖父さん)と口座名義人であるお父さんの収入状況を確認し、その預金がお父さんが出したものであるという証拠を集めておく必要があるでしょう。
② 次に、預貯金通帳とその取引印を誰が保管していたのかも重要な点になります。
 もし、あなたのお父さんがその預金の原資を出しており、かつ、預貯金通帳と印鑑も持っておられたというのなら、お父さんの口座と認定され、訴訟を起こされても負けることはないでしょう。

【裁判は証明責任を負う方が証明する必要がある】
 裁判には証明責任というものがあります。
 証明責任を負う者が証明できない場合、その人の主張は認められません。
 言い換えれば、証明責任を負う者がその主張する事実を証明できない場合、その人が敗訴するということになります。
 今回の質問の場合、口座名義人がお父さんですので、それが被相続人であるお祖父さんのものであることを主張するなら、叔父さん(お父さんの弟)が、前項の①の預貯金の元手を出したのはお祖父さんであることや、②の通帳や印鑑の管理などはお祖父さんがしていたことなどを証明する必要があり、それができなければ、叔父さんが訴訟を起こしても敗訴することになります。

【名誉棄損の損害賠償は難しい】
 名誉棄損で叔父さんに損害賠償をしたいということですが、難しいです。
 預金が誰の財産であるかについて、法定相続人である叔父さんがその見解を主張することはなんら違法行為ではありません。
 結果として裁判で叔父さんの主張が通らなかったとしても、その主張を展開したことが不法行為であるとして損害賠償義務を負うことは考えにくいです。
 その理由は、まったく関係のない第三者の名義ならともかく、前述の通り以前は借名預金が多数存在しましたので、そのような借名預金の一つではないか、と疑ってかかることも(たとえ結果的にはなんら根拠のない主張であったとしても)違法行為とまでは言えず、損害賠償の請求をすることは困難であるからです。
 参考まで言えば、名誉毀損行為とは、「あの男は父親の財産を横取りした犯罪者だ」などと町中に張り紙をしたり、新聞や雑誌で報道したりするなど(現代ならインターネットで書き立てることもこれに該当するケースがあるでしょう)、お父さんに対する社会的評価(世間の評価)を低下させる発言を(基本的には第三者に対して)行うことであり、今回の相続の当事者間で遺産に対する評価を主張し合うこと自体は、なんら名誉毀損とは言えないでしょう。
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12:01 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★★認知症の母の預金引き出しは違法か【Q&A №383】

2014/06/05
  認知症の母の預金を「本人からの依頼」と言って払い戻しをするのは違法でしょうか?

 母は現在入院中の要介護3で認知が進んできております(ここ一年)。

 特に「認知症」の診断は医師から受けておりません(診断を拒否するため)。

 息子である私は遠方のため、近くにいる母の兄弟が世話をしてくれておりました。特に一番下の妹夫婦が頻繁に顔を見せておりました。

 入院費や生活費は母が管理のもと叔父、叔母たちがやってくれておりました。

 最近、一番下の妹夫婦がかなりまとまったお金を口座からおろしていたことが発覚しました(1,000万円近く)。

 問いただしても「姉さん(母)に頼まれたから」の一点張り張りです。

 母はその時々で言うことが違います。

 ただ、入院中の母は使い道がありません。

 依頼認知症の、診断書かなければ窃盗?横領?とかの罪に問うことは出来ませんか。

 開き直っており「やることはまたまだあるからな」と妹の旦那に捨てせりふのように言われました。

 腹も立ちますが、それ以上のことをしてないか(妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる)とても心配です。

 成年後見人の申請をするつもりですが、認定をもらうまでの間は手のつけようがないのでしょうか?

記載内容

認知症 成年後見人 預金
(るる)





【窃盗や横領に問うことはできるか】

 お母さんの一番下の妹さん夫婦がお母さんの預金を、お母さんの同意なしに勝手に引き出したということであれば、窃盗や横領罪が成立します。

 この犯罪の成立と、お母さんの認知症との関係ですが、お母さんが認知症であり、意思能力がない場合には、窃盗や横領が成立する可能性が高くなります。

 しかし、お母さんが認知症でない場合には、お母さんの同意があった可能性もあり、窃盗や横領の成立の可能性は少なくなります。

 ただ、いずれにせよ、お母さんとその妹さんの関係は、別居した親族(2親等)になりますので、刑法の規定(末記参照条文:刑法第244条2項)により、お母さんの告訴がない限り、これらの罪で処罰されることはありません。

 参考までにいえば、仮に妹さんがお母さんに無断で出したというのであれば、払戻し請求書のお母さんの署名欄は、妹さんが偽造したものということになり、有印私文書偽造及び同行使の罪にも該当します。

 しかし、いずれにせよ、警察としてはすぐに捜査を開始するようなことは、通常は考えにくいです。


【養子縁組や遺言書の作成への対処】

 《妹の旦那を養子にする、遺言書を勝手に書かせる》ことを心配されているようですが、その可能性はありえます。

 そのため、お母さんの認知症の程度がひどく、物事の判断がつかないような状態であれば、早期に成年後見の申立をし、後見人に財産管理をしてもらう必要がありそうです。

 現在は要介護3ということですが、身体障害であるのか、認知症のような精神的なものであるのかはっきりしませんが、仮に認知症により要介護3であったとしても、ただちに成年後見を付することができるかどうか疑問です。

 ただ、成年後見は財産管理がまったくできない場合ですが、それより認知症の程度が軽い(しかし、完全な財産管理ができない)場合には、裁判所に保佐人の選任申立をすることができます。

 保佐人が選任された場合には、お母さんとしては多額の預金を引き出すような場合には保佐人の同意が必要になります(保佐人の同意を得なかった行為は取り消すことができます)。

 裁判所により保佐人が選任されたということなら、妹さん夫婦にとっては強いけん制になり、勝手な行為が収まるかもしれませんので、検討されるといいでしょう。

 なお、金融機関に、お母さん以外の人には支払いしないように内容証明で申入れすることも考えられますが、このような申入れをしても、妹さん夫婦がお母さんに同行し、預金払戻書を銀行員の前で記載させれば、銀行として払戻しを拒否はできず、結局、有効は手段にはならないでしょう。

(弁護士 大澤龍司)


参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。



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★不正出金を疑われた場合の対処【Q&A №360】

2014/04/01
 拙い文章ですが、お知恵をお貸しください。
 遺産整理をしていた兄から連絡があり以下の様な事象が発生しました。
「お前が面倒を見たときから母の預金が2年で500万円減っている。横領などで弁護士を立て訴えるぞと。」
 母親が死ぬ2年程前から私が母の面倒を見ていました。(私の家で私の家族と一緒に生活していました。)
 面倒を見ている間は母の預金通帳を預かり、正確な金額は覚えていませんが預金を利用したのは間違いありません。
(了承を得て私の家族および母の生活費や母の治療費、私の車の頭金。私の子供にお小遣いなど。)
 ここで質問です。
①私が問われる罪は何に該当するのでしょうか。
②了承を得ていたとはいえ、大きい買い物などの領収書などしか保管しておらず、生活費や一部の母親の治療費の領収書はすでにありません。使途不明金として生活費などを不当利得請求された場合、請求されたとおりに支払わなければいけないのでしょうか。
③500万円という金は特別受益に該当するのでしょうか。不当出金に該当するのでしょうか。
④支払いの意志がまったくないわけではなく、私の家族は「面倒をみて了承を得て使っていた金を面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」と怒っています。
⑤来るべき日のためにできることをお教えください。

記載内容

不正出金 横領 両親の面倒 介護費用 特別受益 特別寄与 不当利得
(する)


【刑法上の犯罪としては窃盗あるいは横領罪、私文書偽造等ですが・・】
 他人の預金を無断で引き出した場合には、横領罪又は窃盗罪が成立する可能性があります。
 又、引出に際してお母さんの署名・捺印をしなければならないので、有印私文書偽造・同行使罪も成立する可能性があります。
 ただ、これらの罪はあくまでお母さんに無断でした場合ですので、質問のように《お母さんの承諾があった》ということが証明できれば犯罪は成立しません。
 又、お母さんとあなたは直系血族関係ですので、万一、お母さんに無断でした場合であっても、刑法では親族間の犯罪の特例という規定があり、窃盗罪や横領罪については刑が免除されます(末記条文をご参照ください)。
 従って、警察沙汰にはならない可能性が高いと思われます。

【領収書がない点について】
 多額の金銭は別として、通常の場合、月額で10数万円程度の生活費などは領収書がなくとも認められる場合が多く、不当利得にはならないでしょう。
 なお、病院等の医療機関や介護施設の領収書などが多額になる場合の領収書がない場合には、再発行してもらうか、あるいは支払い額がわかるもの(たとえば医療機関なら診療報酬明細書)等をもらっておかれるといいでしょう。
 ただ、何百万円単位の多額の金銭が引き出されている場合に、その使途がお母さんのために使ったのでない場合には、次項に記載する区別にしたがって処理されることになるでしょう。

【不当利得か特別受益か】
 2年間で500万円が減っているということですが、この金銭のうち、生活費やお母さんのために使ったのではない金銭については
① お母さんから贈与を受けたものである場合には特別受益の問題になります。
② お母さんに無断で引き出した場合には不当利得又は不法行為で返還する必要があります。


【家族の言い分について・・・親の面倒を見たことと遺産分割の関係】
 「親の面倒をみていたのに・・・面倒を見てない人から請求されるのはおかしい。」という主張は、感情としてはよくわかります。
 しかし、法律的にいえば、子は親の扶養義務を負っており、法的には親の面倒を見ることはむしろ当然とされています。
 法律では、相続というのは決して親の面倒を見た報酬やご褒美ではありません、というふうに考えます。
 ただ、相続人である子が親の面倒を見たことで親の財産の支出を食い止め(ヘルパー代や施設代を出さなくてもよかった)、親の財産形成に特別の寄与があった(家業に無償で従事した)といえる場合には、寄与分を主張をし、遺産を余分にもらうことができます。

【参考条文:刑法第244条(親族間の犯罪に関する特例)】
  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条(窃盗)の罪(・・中略・・)又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
※横領についても同様の刑の免除の条文があります。
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内縁の夫が遺産を渡してくれない【Q&A №333】

2013/12/05
 母の叔母の死後に生じた事柄についてお尋ねします。
 大叔母は先夫が戦死した後、長年内縁関係のパートナーと仲良く暮らしておりましたが、先日90歳余で死去しました。籍は入れておらず、子どもはいません。遺言もなかったようです。
 姪である母によると、パートナーは認知症で入院しており、葬儀などは母やいとこの叔母が取り仕切り、相手側のきょうだいは「内縁関係だから」といった冷淡な態度で文字通り、何もしてくれなかったそうです。お墓に関しても取り付く島がないらしく、お骨は母が預かっています。

 問題なのが、大叔母の生前から財産(遺族年金など)はパートナーが管理しており、現在はあちらのきょうだいが「そんなものはない」「叔母さんの入院代に使った」などと言い、叔母固有の財産のことが全く分からないことです。

 母やいとこの叔母としてはせめて、「お墓を建てたり、供養をしたりするお金を渡してほしい」と考えています。
 私は遠方に住んでおり、話を聞いているだけですが、相手側は、おっしゃるところの内縁関係ゆえにパートナーであっても相続できない遺産を、相続の権利のある母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです。いかがですか。
 大叔母の遺産を調べるには、どのような手立てを取れば良いのでしょうか。大叔父の遺族年金など、少なからず大叔母固有の財産はあると確信しています。

記載内容

内縁 介護費用 不正出金
(きなっしー)


【窃盗にはならないが・・】
 質問には《母やいとこの叔母に返還しておらず(開示さえもしておらず)、窃盗に当たると思うのです》とありますので、この点を先に回答します。
 まず、大叔母さんの財産は生前、内縁の夫が管理しておられたようですので、内縁の夫が預かり続けても、大叔母の意思に基づくものであり、窃盗にはなりません。
 次に、現在、預かり品を内縁の夫の親族が所持している場合ですが、内縁の夫から保管を依頼されているのなら、権限ある占有者から預かったということで窃盗にはならないでしょう。
 ただ、内縁の夫の親族の方が預金を使いこんだようなことがあれば、窃盗ではなく、横領罪等の犯罪が成立する余地があります。
 注意するべきことは、仮に横領が成立するような場合であっても、警察に被害届を提出し、又は告訴状を提出しても、警察がすぐに動くことはまずないということも知っておく必要があるでしょう。

【相続人のみが遺産調査をできる】
 相続人であれば、遺産の調査が可能です。
 そのため、相続人が誰であるかが問題となります。
 被相続人である大叔母さんに子供がなく、大叔母さんのご両親も死亡されている場合には、大叔母さんの姉妹であるあなたのお祖母さんが相続人になりますので、お祖母さんが相続調査をすることができます。
 又、もしお祖母さんのほうが大叔母より先になくなっているのであれば、お祖母さんの子であるあなたのお母さんが代襲相続人として相続人となりますので、お母さんが相続調査ができることになります。

【相続調査の方法】
 あなたのお母さんが相続人だとした場合、あなたのお母さんは遺産を調査することができます。
 相続調査については、金融機関及び支店名を特定して預貯金の調査をするのが基本です。
 もし大叔母の取り引きしていた金融機関がわからない場合には、遺族年金を支給していた機関(大叔父は戦死されているようですので、軍人恩給の場合には総務省恩給局などの可能性もあります)に問い合わせをするというのも一つの手段でしょう。
 金融機関及び支店名がわかれば、その金融機関に「照会の手続きをしたいがどのような書類がいるか」と確認された上で、必要な書類を提出して、取引履歴を開示してもらうとよいでしょう。(詳しくは、Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 を参照ください)。
 次に大叔母さんが不動産を所有していなかったかどうかも確認する必要がありますが、この点は市町村に問い合わせをするといいでしょう(相続コラム「名寄帳の取り寄せ」 参照)。
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生前の遺産隠しが行われている場合【Q&A №294】

2013/07/08
 父型の遺産の話の後、私を犯罪者としてでっち上げようとしたり、精神病院へ入れようとします。どうかそちらの経験から割り当てられるケースのパターンなどをお教え下さいませんか?

記載内容

遺産隠し 預貯金 不動産 生命保険

(ヒアイ)


【質問の趣旨の整理】
 質問の趣旨がわかりにくいのですが、《お父さんの遺産分割の話が進んでいる最中に、他の相続人の方が、相続人であるあなたを排除しようとしている、それは遺産隠しのためではないか》という質問だと理解して回答します。

【預貯金を引き出させないための方策】
 お父さんが死亡した場合、本来は、その預貯金は遺産であり、相続人の全員の同意がないと引き出しできません。
 ただ、金融機関がお父さんの死亡を知らない場合、お父さんの代理人やお父さんになりすました人に預金を払い戻す可能性があります。
 これに対処するには、お父さんの預貯金のある金融機関に、お父さんが死亡した事実を通知しておくといいでしょう。
 なお、この通知には、お父さんが死亡したことがわかる戸籍謄本(正確には除籍謄本)を同封しておく必要があります。
 このような通知をした場合、金融機関としては、相続人全員の同意がない限り、預貯金の引き出しを認めませんので、他の相続人としては勝手に引き出すといったような遺産隠しができないことになります。

【不動産はまず大丈夫でしょう】
 遺産である不動産については、現在の登記を動かすには、登記手続のために相続人全員の委任状や印鑑証明書等が必要ですので、あなたが印鑑証明書を他の相続人に渡すような行動をしない限り、勝手に登記移転される可能性は少ないでしょう。

【生命保険について】
 生命保険については、保険契約により受取人が指定されていることが多く、保険会社はその受取人に保険金を支払うだけですので、特に遺産隠しが問題になることはありません。
 ただ、まれに受取人が指定されていない場合もありますが、この場合には、保険会社は法定相続人全員の同意がないと保険金を支払いませんので、遺産隠しの心配はないでしょう。


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★親の預金を無断で出金することは窃盗か【Q&A №291】

2013/07/02
 父の死後二年経過した時点で、相続行為がなされぬまま、父の名義で株のネット証券に口座を開設し、父の預金を移して株の運用をしていました。その後、遺産相続のため、そのお金を(損出はありませんでした)元の父の口座に戻したあと、自分の口座に全額振り込みました。一部は委任状を自分で作成、残りはATMで処理しました。
 以上は他の相続人の了解はもらっていません。これからそのお金を相続人と分ける予定ですが、私文書偽造、同行使、詐欺罪、窃盗罪に問われるでしょうか?親族相盗で許されますでしょうか?教えてください。

記載内容

不正出金 窃盗罪 親族相盗例 横領

(富士山)


【刑事問題になりにくい】
 遺産は各相続人の共有財産ですので、厳密に言えば勝手に自分のために浪費したり自分の預金口座に移し替えたりすれば刑法上、窃盗や横領などの罪に該当します。
 しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
 これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領、詐欺などは処罰されない(正確には《刑を免除する》という条文がある)ことから、警察も捜査をしないからです。
 警察としては、家族内の問題なので、よく話し合って解決するようにという立場をとるのでしょう。

【銀行に対する関係では犯罪が成立するが・・】
 そのほか、委任状を無断で作成したという点について、有印私文書偽造、同行使罪の成立の余地はありますし、これには親族相盗例というものはありません。
 ただ、問題の実質は結局のところ家庭内の遺産分割問題ということに変わりはありません。
 特に本件では、最終的にお金を持ち逃げしたわけではなく、遺産分割協議に応じるということであれば、他にかなり悪質な事情や銀行からの被害申告でもない限り、警察が動くことも考えにくいと思われます。


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父の遺産を使い込んだ姉【Q&A №269】

2013/04/16
 父、母、私名義1/3づづの土地が有りました。父が死亡して遺産相続手続きはしていませんでした。5年後母が悪徳不動産に借金をしその後、母は破産し、返済できない分を競売にかけられた、土地の母の所有分1/3を悪徳不動産とられ(共有財産となり)、残りの父の所有分1/3を、唯一の姉妹である、姉が、私の同意もなく、法廷相続分の権利申告をし、自分の物としていました。姉1千万円ほどと母はその他全て、父の遺産現金部分ををすでに自分たちの生活の処理(姉は離婚裁判費用など、母は自分の借金くめんなど)に使い果たしていました。
 このような行為は法的に許されるのでしょうか?私が弁護士などを通して訴えれば、父の最後の遺産を私が全て処分する権利は得られるのでしょうか?
 因に、土地の権利書は姉が勝手に隠し持っていて、自分の弁護士に渡して処理をお願いしているからと返してくれません。私にはなにもするてだてはないのでしょうか?

記載内容

不正出金 使い込み 偽造
(こもも)


【相続分の確認】
 お父さんの共有持ち分3分の1は、遺言などがなければ、お母さんの法定相続分が2分の1ですので、お父さんの持分3分の1の半分である6分の1を、お母さんが相続することになります。
 お姉さんとあなたは法定相続分がそれぞれ4分の1ですので、お父さんの持分3分の1の4分の1である12分の1を、それぞれ相続することになります。

【あなたの相続分をなぜ取得できたのか】
 今回の質問では「父の所有分1/3を、唯一の姉妹である、姉が、私の同意もなく、法廷相続分の権利申告をし、自分の物としていました」と記載されています。
 しかし、なぜお姉さんはあなたの相続分(12分の1)を取得できたのでしょうか。
 お姉さんが、お父さんの持分を全部相続する遺言があったのであればともかく、そうでなければ、あなた及びお母さんの同意(さらには印鑑登録証明書も)が必要です。
 あなた達がもし、お姉さんに騙されて印鑑証明書を渡したというのであれば、詐欺などが成立する可能性があります。
 また、お姉さんがこれらの書類をあなたの知らないうちに偽造したということであれば、有印公文書偽造(さらには私文書偽造)等の刑法上の犯罪に該当しますし、相続登記が無効であるとして移転登記の抹消請求をすることができます。

【現金について】
 お父さんの遺産のうち、現金部分についても、前記のとおり、お母さんが2分の1、お姉さんとあなたがそれぞれ4分の1を相続で取得することになります。
 従って、あなたとしては、お姉さんやお母さんに対して、あなたの相続分に相当する現金の引き渡しを求めることができます。
 遺産である現金をお姉さんやお母さんが勝手に使ってしまったとしても、残念ながら親族間の問題として処罰されることはありません。
 返還請求をすることは法的には可能ですが、お母さんが借金を重ねた結果破産したというのであれば、お母さんに返還請求しても返金されることはないでしょう。
 結局、お姉さんに対して、あなたの相続分に相当する金額の返還を求めるしかないでしょうが、お姉さんが返金してくれる可能性も質問を見る限り少なそうです。

【遺産からの返還が現実的である】
 お父さんの遺産として預金などが残っているのであれば、そこから返還を受けるのが最も現実的な解決です。
 ただ、注意するべきことは、あなたが弁護士に依頼しても、お父さんの残された財産が、当然に全てあなたのものになるわけではありません。
 遺産分割調停や訴訟をして、使った分に相当する預金分などを引き渡せという手続きをした場合、その解決方法として、預金など、残された遺産があなたに相続されるようになることをお姉さんなどが認めることがあるというだけです。

【登記の移転を防ぐためには仮処分をする】
 お姉さんが、お父さんの持分3分の1を勝手に自分名義にしたということですので、お姉さんがその持分を第三者に譲渡する可能性がないわけではありません。
 それを防止するためには、弁護士に依頼して《不動産持分の移転を禁止する仮処分の手続》をしてもらうといいでしょう。
 この手続きで、お姉さん名義になったあなたの相続分(お父さんの共有持分の4分の1)について、売却処分などの権利移転を防止することができます。
 質問の事実関係でわかりにくい点もありますし、法律的に整理をする必要もありますので、いずれにせよ、早めにお近くの弁護士に相談されることをお勧めいたします。


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遺産を浪費した兄【Q&A №255】

2013/03/12
 私の兄弟は4人で、H11年に父、H14年に二女、H25.2.6に母が亡くなりました。
 父の遺産は兄が自分が管理すると言って、遺産の預金の引き落とし同意書を全員に書かせ管理していて、遺産金額の全額を皆に知らせず、私が遺産の事で文句を言った所、H22年に400万を相続人の私と長女に分けてくれました。
 本人はのらりくらりとして総額を明かしません。
 兄が遺産を遊興費やマンション購入と女につぎ込んだ事は最近に成って分かって来たことですが詳細は不明です。
 先日母が亡くなり、ある金融機関に死亡届に行った所死亡17日後に預金の1千万近くの殆どが兄によってCDで引き出されていました。
 葬式の時の話しあいでは、兄は預金は殆ど無いと言っており葬祭費用も折半で出す話に成っていました。
 もしこのまま、のらりくらりと私達相続人の追及をかわし続けています、とにかく信じ切っていただけに、恨み骨髄に達する思いです。
 調停に持ち込んでも恐らく進展は見られない様な気がします。
 血族の犯罪は免責される様にも書いて有りますので、結局後の相続人がバカを見る事に成るのでしょうか。
 母は姉の遺産も引き継いでいると思われますので。
 母は認知症で10年程施設に入り他界しました。
 金銭の感覚は全くできず、子供も認知できない状態でしたた。
 兄が二度とお天道様の下を歩けなくするにはどの様にすれば良いでしょうか。

記載内容

遺産総額 親族相盗例 遺産調査
(A-POM)


【金融機関に落ち度はなく、同意書は有効である】
 お兄さんが預金の管理することを了解して、預金の引き落とし同意書を作成し、お兄さんに交付した以上、このような同意書があれば、金融機関としては、お兄さんが遺産である預金から出金することを拒否する権限も、義務もありません。

【親族間の横領は刑事問題にならない】
 遺産を勝手に使い込んだことは刑法上、横領の罪になる可能性があります。
 しかし、質問でもご指摘されているように刑事事件になりにくいのが現状です。
 これは、刑法には、親族相盗例という規定があり、親族間の窃盗や横領などは処罰されない(正確には《刑を免除する》)という条文があることから、警察も捜査をしないからです。

【可能な遺産調査・調停による開示要求も】
 相続人であれば、他の相続人の同意なく、単独で遺産の調査が可能です。
 しかし、今回のようにお父さんが亡くなってから10年以上経過したケースでは、期間が経過しすぎて、金融機関としても取引履歴を破棄しているケースも多く、遺産調査も難しいでしょう。
 結局、お父さんの遺産については、現段階では打つ手がないということになります。

【お母さんに財産がある可能性があれば・・】
 最近、お母さんが死亡されたようですが、お母さんに遺産があるのなら、まず、お母さんの預貯金のある金融機関にお母さんの死亡したことを通知して、預貯金の引出を止めましょう。
 次に、お母さんの預貯金口座や不動産を調査して、それから遺産分割調停などの手続きを利用して、遺産分割することが必要です。
 なお、遺産である預貯金の調査については Q&A №98 参考カテゴリ:「遺産調査」 の記事をご参照ください。


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13:25 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正をした相続人の除外【Q&A №220】

2012/12/17
亡くなった父の預貯金全て長男一人占め

 8年前に父が他界、母はもういません。痴呆症と足切断のため寝たっきりだった父の預金全てを、兄が自分名義に変えておろしていました。このことを、1か月前に調べてしりました。私と姉は、この事を、許す事ができません。刑事告訴できますか?
 又父名義の土地と一緒に、この預貯金の分割できますか.さらに、違う人の相続もあるのですが、この猫ばば行為をした兄を相続から外す事できますか。私と姉は、命をかけて戦いたいのです。
記載内容

預金の無断引出し 刑事告訴 不当利得返還請求 不法行為損害賠償  
(のろまのカメ)


【警察の動きはにぶい】
 お父さんの生前に、その預金が全部、お兄さんよって引き出されたというケースです。
 お父さんが同意していないのなら、お兄さんの行為は有印私文書偽造、同行使などの刑法上の犯罪に該当する可能性があります。
 又、お父さんが《同意していても》、認知症の程度がひどく、意思能力を欠くという場合にも同様な犯罪に該当します。
 ただ、犯罪に該当するからと言って、警察がその犯罪を取り上げてすぐに捜査をするわけではありません。
 警察は、殺人や強盗というような犯罪は優先的に捜査しますが、親子間の問題については動きが極めて鈍いと考えておく必要があるでしょう。

【不当利得として返還請求が可能】
 生前に、お父さんの預金を全額引き出していたのであれば、お父さんはお兄さんに対して不当利得あるいは不法行為により、返還請求ができます。
 お父さんが死亡した後は、その返還請求権は相続人に相続されますので、あなたは法定相続分だけ、お兄さんに対して返還請求権を持つことになります。
 お父さん名義の不動産もあるようですので、家庭裁判所に遺産分割調停を起こして、その中でこの返還請求分を請求することも考えていいでしょう。
 ただ、お兄さんがその返還に応じないというのであれば、通常の場合にはお兄さんを被告として、引出した分のうち、あなたの相続分の返還請求をするといいでしょう。
 ただ、お兄さんが引き出した預金全部を使い切っている場合も考えられます。
 その場合、遺産分割調停を先にしていいのか、あるいは訴訟を先にしたほうがいいのか、難しい法律判断があります。
 この点については、相続に詳しい弁護士に相談され、そのアドバイスに従うといいでしょう。

【相続人からの除外】
 お兄さんを、相続人から除外する方法としては、法律上、《欠格》と《廃除》という2つの制度があります。
 《欠格》は、お父さんを殺害した場合や詐欺強迫により遺言を書かせた場合などであり、《廃除》というのは、被相続人(今回はお父さん)自身が遺言や裁判所への申し立てなどをしてお兄さんの相続人の地位を否定する制度です。
 しかし、今回はおそらく遺言もないでしょうし、どちらの制度も使うことができないと思われます。

【別人の相続は別の問題】
 しかし、別の人の相続については、その被相続人についての関係で《欠格》や《廃除》があるかどうかが問題になりますので、今回のお父さんに対する非行等の行動は問題とはならず、お兄さんを相続人から外すことは現段階では不可能です。


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16:45 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★死亡前後の他人による預金引出しに責任追及は可能か【Q&A №189】

2012/08/22
相続権の無い叔父

 困っていますので、質問させて頂きます。先日私の父が亡くなったのですが、私が葬儀の段取りなどで、バタバタしているときに叔父(父の弟)が父の預金から300万円を引き出していました。私達、相続人に一言も言わず黙っていて3日後に判明、委任状も無しに引き出させる銀行に対して、叔父に対して法的手段は有るでしょうか?300万は私達が窓口に来たため、慌てて叔父から返金して、口座凍結されました。特に叔父に対して立腹しています。父の愛車(軽トラ)は自分が乗るので、貰うと、勝手に言い張って、車検証、鍵も私に渡しません。どうかアドバイスをお願いします。

記載内容

預金 口座凍結 無断引出 責任追及 

(HIRO)


【責任追及は刑事と民事とがある】
 責任追及には、刑事と民事の2つの方法があります。
 警察に被害届をだしたり、告訴したりと、警察や検察庁の捜査が始まり、裁判で懲役や罰金等の処罰があるのが刑事の責任追及です。
 これに対して、受けた損害の賠償を求めて裁判をするのが、民事の責任追及です。

【銀行に対しての責任追及は難しい】
 まず、銀行の刑事責任について考えましょう。
 刑事責任を追及するには、その前提として処罰する法律(殺人なら、刑法の殺人罪の条文)が存在することが必要です(これを法律用語で《罪刑法定主義》といいます)。
 しかし、少なくとも刑法には、過失で財産的損害を与えたときに、その加害者を処罰する条文はありません(ただ、銀行法等、金融関係の分野でも様々な法律があり、その中で罰則が定められていますが、《私の知る限り》では過失で払い戻しをした場合に刑事責任があるとした条文は知りません)。
 なお、銀行が引き出す者(本件では叔父さん)に何ら権限がないということを知っており、故意があったというなら詐欺罪等の幇助犯の可能性はあります。
 次に民事責任では、引き出された300万円が返還されているのですから、損害自体がないということになり、損害賠償は難しいでしょう。

【叔父さんに対する刑事責任追及はできなくはないが・・】
 叔父さんが、無断でお父さんの預金を引き出したというのであれば、刑事での詐欺罪や有印私文書偽造、同行使等の犯罪に該当する可能性があります。
 引き出した金銭は返還されていますが、既にお金が引き出されていますので、犯罪としては既遂になります。
 返還したからといって、成立した犯罪がなくなることはありません。
 ただ、被害届や告訴をしても、既に被害が回復されていることから、警察がすぐに動くことは少ないと考えておいた方がいいでしょう。
 民事では、現行の場合と同様に、引き出された預金分が返還されているので、損害がなく、賠償請求は困難です。

【車検証や鍵の返還問題】
 車検証や鍵はお父さんのものなのに叔父さんが返還しないということであれば、法的手続きを取らざるを得ないことになります。
 この場合には、民事で車検証や鍵の返還を請求するとともに、使用できなかったことの不利益を金銭に換算して損害賠償請求をすることになります。
 なお、裁判で請求する方法もありますが、素人でも簡単に申し立てができる民事調停という制度がありますので、お近くの簡易裁判所に行き、裁判所の調停担当の方と申立の方法などを相談されるといいでしょう。

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13:41 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続人の預金を調べることはできるのか【Q&A №93】

2011/10/04


 調停が始まりました。最初に、申立人側の者の預金額について、本人のものか、間違いないか?質問がありました。
相手側からの質問です。生存している人間でしかも申立人の預金の内容を違法な手段で入手することは、調停の時点で、影響はありませんか? 弁護士に聞くと、絶対に相続では生きている人間の口座は調べられないとの事ですが・・・・。何か訴えることはできますか?


記載内容

  遺産調査 偽造 預金 
(キャッシー)


 遺産分割調停で相手方から「申立人側の相続人名義の預金口座が、その名義人のものに間違いないか?」という質問があったという前提で回答します。

【質問をすることは何の問題もない】
 遺産分割調停で、相手方から、このような質問がよく出されます。
 被相続人が、相続人である子の名義で預金することがあるからです。
 したがって、このような質問をすることについてはなんら問題もなく、違法とかプライバシーの侵害にはなりません。

【口座の開示を求められた場合の対応】
 口座の開示を求められた場合には、開示するかどうかはその口座の名義人が独自に判断することです。
 口座を開示することが調停手続を円満に解決し、かつ、口座名義人に不利益がないということであれば開示に応じてもいいでしょう(但し、無制限に応じるのではなく、口座を限定し、それ以上はしないとの前提で開示する必要があります)。
 逆にプライバシーだから応じられないという対応もありますし、相手方の預金口座を開示するなら、当方も開示するという反論の仕方もあります。

【強制的に開示を命じられる場合があるか】
 現在の金融機関の扱いでは、弁護士会の通じての照会でも、名義人の同意なしに口座の内容を開示することは、原則としてありません。
 又、調停でも、あなたの同意なしに、強制的に口座の内容の開示を命じられることはないでしょう。
 但し、遺産の範囲が明確でないとして、調停が不調になり、訴訟にでもなれば、裁判所の決定により強制的に開示を命じられる場合があります。

【違法な入手の確認について】
 相手方が口座の内容を入手していると思われるなら、口座のある銀行に確認し、違法なことが行われていないか、確認をするといいでしょう。
 あなたの名をかたり、署名捺印を偽造した場合には、私文書偽造等の刑法上の犯罪になりますので、告訴することも可能です。
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10:09 遺産調査 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が持っていた叔父名義の預金は遺産か【Q&A №41】

2010/09/17


 父が亡くなり、父が管理していた預金の1つに、叔父名義の定期預金の証書と印鑑(父名義の預金の印鑑とは別)がありました。

 銀行に残高を確認したところ、父が亡くなってから1ヶ月少し経って解約されていました。
 その際に銀行で証書に「無効」の判を押されました。

 叔父の主張は、父が叔父の退職金として貯めていた預金で、自分で管理すると使ってしまうので父が管理していたと言っています。そんな話は誰もが初耳でしたが…。
 父は会社を経営しておりまして、叔父は従業員として働いていました。父が亡くなる3年程前に兄が継いで、叔父はまだ働いています。
 叔父の言い分が本当かどうかはわかりませんが、父が個人的に積み立てていたので、会社の帳簿にも載っていないと思いますし、贈与しますといった書類もありません。
 それに、そんな正当な理由がある預金なら、堂々と証書と印鑑を取りに来たら良いのに、知らない間に解約されていた事自体おかしいと思います。

このような場合、叔父には何の責任も問えないのでしょうか?


記載内容

  預金の名義 遺産 不当利得 
(りゅうこう)


【この預金は誰のものか】
 まず、この預金は一体、誰のものかというのが問題になります。
 お父さんが個人的に積み立てていたのであれば、お父さんのものだという可能性が強いのですが、疑問もあります。
 例えば、お父さんが自分(あるいは奥さんや子供)の名義にせずに、わざわざ叔父さんの名義で、しかも自分の使用している印鑑とは別の印鑑を使用しているのはなぜでしょうか。
 又、どうして叔父さんはその預金の存在を知ったのでしょうか(叔父さんの住所に銀行から通知が来たというなら、そのように叔父さんに通知が来るような預金を、どうしてお父さんがしたのかという問題に返っていきます)。
会社には退職金の規定があったのか、叔父さんの給料から何らかの金が天引きされていたのではないか、叔父さんが自分では管理できないどんな事情があったのか、お父さんと叔父さんとの間でどんな話があったのか・・・と聞きたいことが次々と浮かんできます。

 従って、質問に記載された内容だけでは、申し訳ありませんが、誰の預金かを回答することはできません。

【叔父さんに対する責任について】
 お父さんの預金を無断で払い戻ししたのであれば、刑法上の犯罪に問われる可能性がないわけではありませんが、このような事案で警察が喜んで動くとは考えにくいです。
 叔父さんと話し合って円満な話をすることをお勧めしますが、それができないようであれば、弁護士に依頼して、叔父さんに対して払い戻した金銭の返還を請求する手続きをするしかないでしょう。
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