"教育費"を含む記事一覧
★マークは、重要またはアクセス数の多い記事です。
★★は特に重要な記事です。

 
 | HOME | 

弟夫婦にのみ生前に孫への教育費にお金を父が渡していました【Q&A №578】

2017/09/05


【質問の要旨】

孫への教育費は特別受益になるか?

記載内容   教育費 遺産分割 考慮

【ご質問内容】
 亡くなった父の財産分割をするに辺り、兄弟二人で遺産分割をする事になりました。
 父の預貯金を調べてみたところ、弟夫婦に父が生前孫の教育費にと200万を渡していた事が判明しました。
 財産分割について、生前父から一切お金を貰っていなかった私としてはその差額分を考慮して欲しいと弟にお願いしたのですが、弟は残った財産は兄弟なのだからきっちり二分の一に別けるべきだと聞く耳を持ちません。
 父が生前に弟夫婦へ渡したお金は財産分割には含まれないのでしょうか?
(長男の嫁)



【原則は特別受益にならない】
 遺産分割のときに考慮される贈与(特別受益といいます)は、基本的に、相続人が被相続人から贈与を受けた場合のことをいいます。

 したがって、相続人の配偶者や子供(被相続人の孫)が贈与を受けた場合には、相続人以外の者ですので、原則として特別受益にならない(つまり、遺産分割時に考慮しなくてよい)ということになります。

 今回のご質問では、亡くなったお父さんが、孫への教育費として、子供である弟夫婦にお金を渡していたという事案です。
 弟さん夫婦には渡されていますが、お孫さんは未成年者ですので、親権者の弟夫婦が受け取った、現にお孫さんの教育資金として使われている(あるいは使われそうである)というような事情であれば、それは孫への贈与と考えるべきですので、弟夫婦の特別受益にはならないということになります。

【場合によっては特別受益と判断されることもあるが、限定的】
 相続人本人ではなく、配偶者に対して贈与をしたという事案で、福島家庭裁判所白川支部昭和55年5月24日(家裁月報33巻4号75頁)は、「贈与の経緯、贈与された物の価値、性質及びこれにより相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められる場合には、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であってもこれを相続人の特別受益とみて、遺産の分割をすべきである。」と判示しています。(【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)参照)

 この裁判例を見ると、経緯や額を考慮して、場合によっては特別受益と判断されることもありえると考えられます。
 特にそのお金がお孫さんの教育資金としてではなく、弟さんが使ったということであれば、特別受益になる可能性もあり得ます。

 又、あなたとしては、孫の教育費だとはいっても、お父さんが出さなければ弟夫婦が出さなければならなかったものなのだから、実質的には弟夫婦への贈与だと主張することも可能でしょう。

 ただ、孫への贈与が、その親への特別受益と認められるケースは決して多いとは言えないということだけは覚えておかれると良いでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:47 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺留分減殺対策で、家を贈与又は売買したい【Q&A №413】

2014/12/03



 母は持家のマンションで一人暮らしです。
 その母の家を私の娘に生前贈与したいと言っています。(母の財産は、そのマンションだけです。)推定相続人は私と妹の2人で、妹は母の財産の半分を貰う気 満々です。
 母から娘への名義変更なら、原則としては特別受益には該当しませんよね。(娘は19歳大学生です。)
 もし妹が遺留分減殺請求したら、この場合 持ち戻しと言うことになるのですか?
 そう判断されない様にする方法は ありますか?
 この裁判にかかる費用は いくらぐらいですか?
 妹に母の家を渡さない方法として、家を私か主人が買い取ると言うのはどうですか?
 評価額は1700万円くらいなので、その値段で買う。(現金買取でも良いですか?)そして母から娘へ教育資金贈与を1500万円して貰う。
 母は現金を持っていないので、つじつまは あっていると思うのですが、どうですか?売買なら特別受益にもならないですよね。税金がかかるとは思いますが。これ以外に妹に家を渡さなくていい方法があれば教えて下さい。宜しくお願いします。

記載内容

   贈与

(佐奈)





【原則は特別受益にあたらないが、断言はできない】
 推定相続人(本件ではあなたと妹さん)に対する贈与なら、特別受益として遺産に持ち戻すことになります。
 しかし、質問に記載されているような、あなたの娘さん(被相続人から見ればお孫さん)への贈与は推定相続人に対するものではないため、ご指摘のとおり、原則として特別受益の問題は発生しません。
 ただ、夫に対する贈与が、推定相続人である妻に対する贈与であるとされた裁判例が1件あります(「【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益」参照)ので、絶対に特別受益にはならないと断言することはできません。
 どのような場合に特別受益とされるかの判断基準は、裁判例が1例だけですので、必ずしも明らかではありませんが、抽象的に言えば《娘さんに対する贈与が、あなたに対する贈与と同視されるような場合》には特別受益とされる可能性があります。
 今回のようなケースでは、
①娘さん(孫)が未成年であり、自分では管理処分する意思と能力を持たない。
②なぜ推定相続人であるあなたではなく、お孫である娘さんにわざわざ贈与するのかという動機

という点などが、検討されるべき事項になるように思います。

【特別受益にはならなくとも、遺留分減殺請求は受けることになる】
 娘さんへの贈与が、推定相続人であるあなたへの特別受益と判断された場合には、特段の事情がない限りは、時期や損害を加える意思の有無を問わず、遺留分減殺の関係では遺産に持ち戻されます(相続Q&A №324およびQ&A №411参照)。
 なお、仮に娘さんへの贈与があなたの関係での特別受益にならないとしても、妹さんの立場から言えば、娘さんに対する遺留分減殺請求をすることが可能です。
 遺留分減殺で遺産に持ち戻される贈与は、相続開始前の1年間にされた贈与か、遺留分権利者に損害を加えることを知った贈与です(後記参照条文:民法1030後段)が、本件の場合、贈与の対象となる持ち家が、お母さんの唯一の財産ですので、《損害を加えることを知った贈与》とされる可能性が高いでしょう。

【買い取れば特別受益にはならない?】
 次に、あなた又はあなたのご主人が買い取る案をお考えのようですが、1700万円という買取金額が相当額であれば、その売買自体は特別受益にはなりません(なお、税務当局は親子間の売買には厳しい目を向けており、果たして本当の売買であるかどうかを調査するという可能性もあることも考慮されておくといいでしょう)。
 又、売買代金1700万円のうち、約80%に相当する1500万円を、お母さんから娘さん(孫)へ教育資金として贈与するとなれば、本来は親であるあなたが負担しなければならない教育費を、お祖母さんが負担したことになり、これによって、あなたが教育資金の負担を免れたという《特別受益》が発生する可能性もあります。
 また、売買の時期や贈与の時期が近接している、娘さんにわざわざ教育資金を出す必要性が乏しいような場合には、売買と贈与とが《仕組まれた一体の取引》であり、実質的には買取ではなく、あなたへの贈与であったと見られる可能性も想定しておく必要があります。

【遺留分減殺請求の裁判費用】
 裁判にかかる費用としては裁判所に納める申立印紙代や弁護士費用がありますが、今回最も大きな費用となるのは弁護士費用でしょう。
 弁護士費用は自由化されていますので一概には言えませんが、遺留分減殺請求事件は弁護士間では難しい事件とされています。
 このことを考えると、事件を依頼する場合に支払う着手金として、妹さんからの請求額の8~10%程度になり、事件終了時に支払う報酬として、仮に全部を勝訴した(妹さんに1円も支払いをしない)という場合には、請求額の10~16%といった金額の水準で契約する弁護士が多いように思います。

《参照条文》 民法第1030条(遺留分の算定)
 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:50 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続人の配偶者の借金返済は特別受益となるか【Q&A №403】

2014/10/10
 子(法定相続人)の配偶者が過去に起こした借金が原因で、苦しい生計を案じた親(被相続人)が孫の教育費・車購入・住居購入(配偶者名義)の一部援助、借金の肩代わり(返済不要)、そして孫に数度の生活援助をした経緯があります。
 被相続人の遺産を当該相続人が相続する際、援助を受けた金員は特別受益としてみなされるのでしょうか。それとも借金が原因であるとの見解から、当該相続人の被相続人への借金として遺産に加算し、別相続人に分配されるものなのでしょうか。

記載内容

借金の支払い 返済 特別受益 相続人以外の人への贈与
(BOO)


【相続人以外の人への贈与は原則、特別受益にならない】
 質問は被相続人の生前の財産移転行為のうち、お孫さんへの教育費・数度の生活援助、住居購入(配偶者名義)の一部援助は《お孫さん》あるいは《配偶者》という、いずれも相続人以外の人に対するものです。
 特別受益は相続人に対する贈与を対象としており、相続人以外の者への贈与は原則として特別受益に該当しません。
 ただ、裁判例の中には、配偶者への贈与であっても、贈与の経緯、目的物の価額、その贈与により受ける相続人に利益等を考慮した後、特別受益としなければ相続人間の実質的平等に反するとして、配偶者への贈与を特別受益としたものがありますが、かなり古い判例です(福島家裁白河支部審判 昭和55年5月24日)。
 本件では、相続人ではなく、借金をした配偶者の名義で購入した住居購入代金の一部を支援したということですが、(今度借金したら、差押えでその住居を押さえられるのにという疑問もでますが、その点は別として、)名義は配偶者名義だが、実質は相続人のものであるという何らかの理由や事実があれば、特別受益の可能性はあります。しかし、配偶者がローン代金を支払っているということなら、特別受益とすることはむずかしいと思います。
 お孫さんへの贈与も特別受益にならないのが原則ですが、実質的には相続人への贈与と同視できるような場合には、このお孫さんへの支援が特別受益とされる可能性もあると思われます。

【借金等の肩代わり(返済不要)はケースバイケース】
 借金の肩代わり(返済不要)ということであれば贈与になります。
 しかし、全ての生前贈与が特別受益になるわけではなく、《生計の資本》としての贈与のみが特別受益となります。
 借金も、住宅ローンのような生活費を原因とする借金なら特別受益になるでしょう。
 しかし、ギャンブル等の遊興費が原因の借金なら《生計の資本》に関係ない贈与として特別受益にならないと考えられています。
 ギャンブルの借金の立替支払いが特別受益にならないという結論には納得しがたいと言われる方も多いでしょうが、条文上、《生計の資本》としての贈与だけを特別受益としている以上、この結論はやむを得ないという考え方になります。

【当事務所の弁護士協議では・・・】
 ただ、当事務所の弁護士間で検討した結果も、参考として以下に記載しておきます。
 前項の結論は借金の原因に基づいて、特別受益かどうかを判定しています。
 上記のような考え方を前提にすると、仮にギャンブルによる借金のため、相続人が生活できず、そのため被相続人が多額の贈与をした場合は次の結論となります。
①生活費を援助した場合・・・特別受益となる。
②被借金自体を立て替えて支払った場合・・・特別受益ではない。
 ただ、このような結論は説得力が乏しいように思います。
 そのため、上記の②も結果として相続人の生活苦を救うための方策としての支払いであり、特別受益として扱われてもいいのではないかと考える余地がありそうです。

【車のローンの支払い】
 なお、相続人の車のローンの支払い、あるいは車代金の支払いは特別受益になると考えていいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:31 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

生前贈与と相続時精算課税【Q&A №264】

2013/04/02
 先日、父に援助のお願いをしました。

 姉(長女)家族にはこれまで数年に渡り、合計で700万超の援助をしている事は聞いていました。長女家族ばかりを可愛がる父と、「親が勝手にくれるんだから、ひがまないでね。」とほくそ笑み、節約とは縁のない生活をする姉家族に対して、ずっと沈黙しながら辛酸をなめてきました。

 が、私が病気になりこの先仕事を続ける事が難しくなってきました。住宅ローンや子ども達の教育費の事もあり、恐る恐るお願しました。 

 本音は、「姉がして貰った分と同じくらいは…」と思うし気持ちと、これから父の財産はいずれ食いつぶされるのではないかという心配もあります。その前に、私も一度くらい恩恵を受けてもいいのではないかという思いと我慢が、病気を引き金に一気にバケツから溢れ出た感じです。

 そこで質問です。
 父から、仮に440万の援助を受けるとした場合、私と夫と子ども達二人にそれぞれ110万ずつであれば、贈与税はかからず申告の必要もないのでしょうか。それともこの際500万程もらえるのなら、相続時精算課税制度?というのを使えば良いのでしょうか。
 もしそれを利用したら、万が一父が亡くなった時に、援助を受けた事が姉夫婦に知られてしまいますか?

記載内容

相続時精算課税 生前贈与 援助 基礎控除

(辛酸なめ美)


【110万円までなら申告義務はありません】
 1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下の場合には贈与税は課税されません(基礎控除)し、その場合には申告義務もありません。
 今回の贈与の場合、あなたとあなたのご主人、子供2人にそれぞれ110万円ずつの贈与をするというのであれば、4人についていずれも贈与の基礎控除の範囲内ですので、贈与税の課税はありませんし、申告も不要です。

【相続時精算課税も考えられるが・・】
 お父様の年齢が65歳以上であるなど相続時精算課税の要件を満たすケースであれば、相続時精算課税も可能でしょう。
 この制度を利用すると、2500万円までは、贈与時に贈与税の支払いが不要です。
 ただ、前項のように4人に110万円ずつを贈与する場合には、そもそも贈与税が非課税ですので、相続時精算課税にする必要は全くありません。
 あなたが、440万円の全額を一人でもらう場合には、相続時精算課税を検討してもよいでしょう。
 但し、相続時精算課税は、贈与時点で税務署への申告が必要ですので、その分、手続きが面倒になります。
 また、将来、お父さんが死亡した場合、その遺産が多額であった場合(現状の税制ですと、総遺産額が≪5000万円+相続人数×1000万円≫を超える場合)には、お父さんの死亡時に相続税の申告が必要になりますが、その際、あなたが相続時精算課税の適用を受けたという事実が明らかになります。
 今後、相続税の基礎控除額が減少する可能性もあることも考えると、相続時精算課税ではなく、贈与税の基礎控除枠を活かして、贈与を受けるのが無難でしょう。
 なお、金額が多額になるのであれば、数年にわたって贈与税の基礎控除の枠内で贈与を受けるという選択肢も考えるといいでしょう。


大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:06 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

大学費用は特別受益になるのか?【Q&A №137】

2012/04/12
 

 母親は弁護士執行の遺言書を作成しており、葬儀が終わり、ほっとした3日後に届きました。内容にはほんと驚きでした。
 全ての財産は妹にとの事…。理由は長男には多額の贈与をしていると。確かに妹は大学には行っていませんが…。自分は長男で妹が1人おり、父親は30年前に他界しました。
 大学卒業した数ヶ月後に亡くなっています。となると父親の生計の基に大学費用は捻出されています。
 それなのに遺言状に書かれている事、納得できません
 この費用が特別受益の相当となれば遺留分請求も諦めるしかありません。
 教えてください。 (尚 大学は私立で30年前の卒業です)

記載内容

特別受益 遺留分減殺請求 大学費用 
 (こつこつ)


【大学の学費等の教育費は特別受益か?】
 現在であれば大学進学率が上がり、大学に行く教育費を親にだしてもらったからといってもそれを特別受益といわないという考え方もあるでしょう。
 しかし、30年前で、国公立の大学よりも学費の高い私立大学に行っていたというのであれば、特別受益になる可能性があります。
 
【学費は誰が出したのか?】
現在、問題となっているのはお母さんの相続です。
もし、学費をお父さんが出したというのであれば、その特別受益はお父さんの遺産分割のときに考慮されるべきものです。
現在は、お母さんの遺産分割ですので、お母さんがそのあなたの大学に行く学資を出したというのでない限り、お母さんの遺産の特別受益として持ち戻しはできないことになります。
遺言書に特別受益と記載されていたからといって、特別受益になるものではありません。

【妹さんにどう対応するのか?】
妹さんに対しては、その大学の学資をお母さんが出したことを証明するよう言いましょう。
お母さんがあなたの大学の学資を出せるだけの収入があったと言えないのなら、お母さんの遺産分割で特別受益として主張することはできません。
この点を争点にして、頑張るといいでしょう。

【遺留分減殺請求はしましょう】
遺留分減殺請求は、原則として相続発生から1年間以内にする必要があります。
特別受益になるかどうかははっきりしない場合でも、遺留分減殺請求はきちんとしておきましょう。
減殺請求は内容証明郵便で通知をするだけでできます。
その後に、妹さんと交渉するなり、あるいは必要に応じて弁護士に相談するといいでしょう。

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:31 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME | 

FC2 Management