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親族相盗例における相続放棄【Q&A №616】

2018/08/30


【質問の要旨】

横領した父の相続放棄

記載内容  横領 法人 損害賠償

【ご質問内容】

先日、叔父が経営する企業(株式会社)で働く父が、会社のお金を横領した後、お金を使わずにそのまま病気で亡くなりました。
生前の父の行いを考慮し、私は相続放棄をする予定です。
父は過去に離婚しており、相続人候補は叔父のみですが、その叔父も相続放棄をしようと考えている所です。
このようなケースにおいて、叔父は横領分のお金を父の銀行口座から取り戻すことができるのでしょうか。
一見すると、叔父が相続放棄を選んだ時点で、父の横領分のお金も放棄しなければならないように思いますが、
そのお金を本来受け取る権利を有するのは叔父の会社ですので、叔父にとってあまりにも酷ではないかと思い、
実際どのように考えるべきなのかをご教示頂きたく質問させて頂きました。

616

(マサムネ)





【損害賠償請求権は会社が有する権利】
まず、お話を整理しますと、あなたの父は会社(法人)のお金を横領したまま死亡されたということですので、あなたの父に対して損害賠償請求を行い、横領されたお金を取り戻す権利を有しているのは会社(法人)です。叔父(個人)ではありません。
ここは区別が難しいのですが、被害者は会社(法人)であることをまずご認識下さい。

【横領の責任は現在、叔父が引き継いでいる】
他方で、本来なら横領の損害賠償責任は相続人であるあなたが相続します。
ただ、今回はあなたが相続放棄をされるようですので、その場合、残された唯一の相続人である叔父があなたの父を相続します。
その結果、叔父(個人)が会社(法人)に対する損害賠償責任も相続する、という状態になります。
元々叔父(個人)は被害者の立場ですので少し変な状況になりますが、法律上はこのような状態になります。

【叔父は相続人として預金の払い戻しができる】
この状況下であれば、叔父(個人)はあなたの父の相続人として、銀行に対し預金の解約・払戻などの相続手続を取ることができます。もちろん、あなたの父の横領の責任として、会社(法人)にお金を返すこともできます。
元々は被害者の立場であった会社の代表者である叔父が責任を取る、というのは非常におかしな話ですが、実際上、横領されたお金を取り戻すにはこれがもっとも簡易な方法と思われます。
(厳密には、あなたの父がほかの借金をしていた可能性も考えられますので、ほかに負債がないことを確認ができるまで預金に手を付けない方がよいでしょう。)

【叔父も相続放棄した場合は相続財産管理人の選任】
他方で、この状況から叔父も相続放棄した場合、相続人は不在の状況になります。
その場合、誰もあなたの父の相続預金を解約することができないため、叔父の会社(法人)は、横領されたお金の回収ができません。
この状況であなたの父から横領のお金を返してもらうには、会社から家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てをし、選任された相続財産管理人に対する交渉や裁判を行っていく必要が出てきます。ところが、これには裁判を行う手間はもちろん、一般に90万円前後の予納金を裁判所に納めて選任申し立てをすることになるため、非常に負担が大きく、あまりお勧めできません。
そのため、(ほかの負債の有無にもよりますが)叔父が相続放棄するべきかどうかは慎重な判断が必要でしょう。

(弁護士北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
13:17 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

「来てよかった。」そう感じていただける法律事務所です。

2018/07/17

1.納得のいく回答をします。

法律相談では、依頼者から事実を正確に聞き、弁護士が解決案を考え、わかりやすく説明します。

そのため、当事務所では、法律相談には、原則として2名以上の弁護士が入ります。

又、わかりやすく説明するために、ホワイトボードや大きなディスプレイを設置しています。

何が問題点で何をしたらいいか納得して帰っていただけるよう、全力でご説明します。

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2.相続が得意な事務所です。

当事務所は相続事件が得意です。

所長の大澤は裁判所から依頼されて破産した大規模会社の財産整理を担当してきました。

その中で隠された財産を見つけ出すノウハウを獲得してきました。

そのノウハウを活かし、生前に隠匿された預金や財産の発見を得意としています。

もちろん、他の事件でも調査能力を活かして成果を上げています。

 

3.親しみやすい事務所です。

所長の大澤は大阪の住吉生まれ、庶民の出身で、大阪弁でしゃべります。

下町の良さに若干の上品さを加えた雰囲気の事務所です。

相談を終えられた依頼者の方に、《本当に来てよかった、この事務所、好きやわ!》と言っていただくのが、弁護士として本当にうれしい瞬間です。


(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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09:49 大澤龍司法律事務所の特色 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象と遺留分について【Q&A №612】

2018/07/13


【質問の要旨】

全遺産を遺贈する遺言があるが、遺留分はどうなるのか

記載内容  全遺産 遺贈 生命保険

【ご質問内容】

母が亡くなりました。父はすでに他界しているため、相続人は弟と私(姉)の二人です。

母は身体が不自由だったため、25年私が身の回りの世話をし、その後5年前に弟が母を引き取りました。(弟とは訳あって絶縁状態です)

母の死後、半年経っても相続についての連絡がないので、問い合わせると、公証役場で作成したすべての財産と権利を弟に相続させる、という内容の遺言書コピーが送られてきました。

また遺言執行者を弟に指名しているため、母の財産の一部を残し、すでに口座名義等を弟のものへ変更しておりました。

遺留分減殺請求を考えております。
下記は遺産の対象となるのでしょうか?

① 弟家族への生前贈与
  弟、妻、子、孫2(幼児)5人それぞれ×100万×5年間=2500万

② 一時払い生命保険の掛け金1000万
  契約者、被保険者、受取人すべて弟 
  弟から上記は遺産の範囲に含めないと主張されているのですが、納得できません。
  また、遺言書作成後の上記贈与の場合、遺留分侵害を分かっていた生前贈与と考えられないでしょうか。

612

(はな)




【遺留分減殺請求ができます】

今回のように遺言で、遺産が他の相続人(弟)に全部いくような場合には、遺産をもらえない相続人(あなた)は遺留分減殺請求をすることができます。
法定相続人が子2人なら、減殺請求で遺産の4分の1をもらえます。

【すべての生前贈与が遺産になるわけではない】

問題は、遺留分計算の前提となる遺産の範囲です。
法律では、すべての生前贈与が遺産になるとはされていません。
遺留分の計算上、遺産に組み入れられるのは次の2つの場合です。
①相続開始前の1年間になされた贈与
②1年を超える前の贈与であっても遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされたもの

【特別受益は1年以上前でも遺産に入る】
ただ、法律には記載されていませんが、裁判所は共同相続人の特別受益になるような生前贈与については、相続開始時から1年を超える生前贈与でも遺産に入るとしています(最高裁平成10年3月24日判決)。
その結果、母の遺産の共同相続人の立場にある弟への生前贈与は、1年を超える分でも遺産に組み入れられます。

【共同相続人以外の者に対する贈与は原則、遺産に入らないが・・】

弟の妻、その子や孫は、共同相続人という立場ではありません。
そのため、このような立場の者に対する生前贈与は相続開始の前、1年間のみに限って、遺留分の基礎財産には組み入れることができます。
ただ、特別受益に関する判例には、《実質上、相続人(弟)にしたと同視できる生前贈与は特別受益になる》としたものがあります(【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益)。

そのため、弟の妻らに対する生前贈与が実質上、弟に対してしたものと同視できるとすれば、生前贈与の時期を問わず、遺産に組み入れすることができるという結論になります。
実質上という判断は諸般の事情を考慮してなされるものであり、簡単には言えませんが、弟とその家族にのみ生前贈与をしており、各人への贈与額が贈与税の基礎控除以内の同額であるというのであれば、実質上、弟に対する500万円の生前贈与を、贈与税を免れるために分割したにすぎないと考えることも可能かもしれません。
ただ、遺留分の分野は相続でも最も難しいところであり、かつ、特別受益であるかどうかが大きな論点になるケースです。
相続に詳しい弁護士に詳しい事情を説明した上で、その見解をお聞きするのがいいと思います。

【一時払い生命保険の掛け金の扱い】
被相続人が契約した生命保険については、その受取人が共同相続人の一人であっても遺産にはなりません(Q&A №298)。
ただ、今回は、弟が契約者であり、被保険者でかつ受取人であるなら、弟は本来自分が支払うべき1000万円の掛け金を母に支払ってもらったのであり、その全額が生前贈与になり、かつ特別受益に該当すると考えられ、遺留分減殺の対象になります。
大澤龍司法律事務所
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12:00 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

「預金を使い込まれてしまった。」そんな問題に特化した弁護士がいます。

2018/07/03
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  •  
【当事務所は遺産調査・発見を得意としています】

 当事務所の弁護士大澤龍司は、裁判所から依頼されて破産管財人として多くの会社の財産整理をしてきました。

その中で破産した会社が隠した財産をどのように発見するかというノウハウを取得しました。

このノウハウを相続事件に応用して、現在、遺産調査に活用しています。

当事務所の遺産調査の特色は次のようにまとめることができます。

① 徹底した証拠集め

金融機関にどのような照会をするのか、その際、どの程度まで必要資料が出てくるのか、多くの経験と実績を積んできました。

その経験を遺産調査に活かして、取れる証拠はできるだけ取るという徹底的証拠集めをしています。

② パソコンなどを利用した詳細な分析

金融機関などから取引履歴を取り寄せしたところ、膨大なデータのため、どのように処理し、何を読み取っていくのがわからない人も多いのではないでしょうか。

当事務所では、パソコンを利用したデータ処理を行い、グラフ化して問題点を発見するなど、詳細な分析が得意です。

③ 弁護士や事務スタッフなどの多面的な検討

集められたデータから何を読み取るのか、弁護士だけで判断するのではなく、スタッフの見方も考慮に入れ、多面的な検討をして、隠された問題点の発見に努めています。


【当事務所の相続財産調査の実績】
 当事務所で扱った相続財産調査のケースで、どの程度の財産が判明・発見できたのかを一覧表にまとめてみました。
 事案がそれぞれ異なるために、新たに発見できた遺産の金額が億を超すものから、ほとんど新しい遺産が発見できず数万円であったものまであります。
 調査にかかった期間も記載しています。

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大澤龍司法律事務所
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10:29 大澤龍司法律事務所の特色 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

不正な預金引き出しと疑われたくない【Q&A №567】

2018/06/29


【質問の要旨】

頼まれた出金が不正出金と疑われないか

記載内容  不正出金 証拠

【ご質問内容】

私の祖母は介護が必要で施設でお世話になっています。

去年に祖母の娘(私の叔母)が、「息子が結婚する」と祖母のところへ報告にきたそうです。
祖母は孫に結婚祝いを渡すから10万円を自分の口座からおろして持ってきてほしいと母に頼みました。

祖母の子供は長女(叔母)と長男(私の父)ですが(祖父は他界)、叔母はアルコール依存症で私たち家族に暴言を吐くようになり仲が悪くなって祖母以外の私の家族とは音信不通です。

母は言う通りに10万円を祖母の口座からおろし普通の封筒に入れ祖母のところへ持って行き、叔母も後日その10万円を受け取りに来たそうです。

しかしその後も結婚はしていないみたいで、(その話を出すと叔母は言葉を濁すそうで)婚約破棄になったか騙しとった可能性が出てきました

祖母は足が不自由な位で病気もなく頭もハッキリしていますが、もし亡くなって相続の話になった時にこの10万円が不正出金になるのではと心配になりました。

言われた通り口座から引き出したのは私の母ですが、叔母が「そんなお金貰っていない、不正な出金だ」と言われたら証拠がありません。

これは祖母の口座を管理している私の家族の不正出金になるのでしょうか。宜しくお願い致します。

(けり)





【厳密には祖母の同意がありますが】

 今回は、お祖母さんの同意を得て出金したのですから、(外形上はともかく)厳密には不正出金ではありません。そのお金をお母さんが利得したわけでもありませんので、後日責任追及を受ける理由はありません。

 しかし、そのような話はお祖母さんが亡くなった後は誰も分かりませんので、叔母さんが「10万円が消えている。誰かが不正出金した」と騒ぐ可能性もないわけではありません。

【経過を書面化するなど記録しましょう】

 幸いなことに、お祖母さんはまだご存命で判断能力も十分なようです。それであれば、10万円の出金経過(叔母さんの息子さんの結婚祝いのため出金を依頼したこと、叔母さんを通じて息子さんに渡したこと等)を書面化しておき、お祖母さんにこれを承認する旨のサインや印鑑をもらっておけば、不正出金でないことの証拠になります

 (叔母さんが騙したかどうかは別問題として)少なくともこの書面を作成しておくことで、お母さんの不正出金だと言われることは防ぐことができるでしょう。

【出金の証拠は残るが、支払いの証拠は残らない】

 お祖母さんの指示に従い、お母さんがお祖母さん名義の口座から10万円を出金したという事案ですと、払戻伝票はお母さんが書かれていたことになります。

 また、口座名義人ではないお母さんが出金するのですから、金融機関はお祖母さんのお母さんを代理人とするという内容の委任状も取っているはずです。

 金融機関はこれらの出金関係の書類を残しています

 お祖母さんの死亡後であれば、その法定相続人がこれらの出金関係の書類の取り寄せが可能です。
要するに出金した証拠は残るということです。

 一方で、出金したお金を、お母さんが叔母さんの息子に渡したという点については、結婚祝いで渡したのですから、領収書などは出してもらえないでしょう。
 そのため、出金したお金の使途を裏付ける書類はないということになります。

【死亡後に出金分の使途が問題になると・・】

 お祖母さんがなくなり、叔母さんがこの10万円の出金を問題にすることを想定すると、その際、お母さんは困った立場になります。

 10万円をお母さんが出金したことは金融機関に残っている払戻伝票等の書類で証明できますが、その出金した10万円を叔母さんの息子に支払ったことは証明できないからです。
 叔母さんが10万円を問題にする場合、その息子が自らもらったと言うことも考えにくいでしょう。

 又、結婚祝いとして渡したと言っても、その結婚自体がなかったというのですから、ますますお母さんの立場は不利になります。

【証明方法としては書面を作る、録音をするという方法がある】

 お祖母さんが存命なら、出金の依頼《叔母さんの息子さんが結婚するという話を聞いたので、10万円を出金することをお母さんに依頼し、お祖母さん自身が叔母さんにその10万円を渡したこと》を書いてもらうといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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12:10 遺産分割のトラブル | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

土地を相続 相手企業が地代を法務局供託【Q&A №611】

2018/06/26
【質問の要旨】

相続した土地の地代を供託されたが、供託金を受け取るには?

記載内容  地代 供託 承諾


【ご質問内容】

土地を相続したのですが、兄弟2人で話し合いがつかず、土地の相続ができません。
すると、土地を借りている相手企業が兄弟どちらに地代をしはらっていいのかわからない、といって法務局に供託しました。

1、この場合、供託金を法務局からうけとるには どうすればいいのでしょうか?
全額もらえますか?
もらうとき、兄弟の承諾書は必要ですか?
相続争いのため、兄の承諾はもらえそうにないです。
このままだと、誰も地代をもらえず、ということになるのでしょうか?

2、もらえない場合は、相続分に応じて請求できますか?
土地は父親(死亡)の名義になっていて、最近母親が死亡して、
その母親の遺言書(家裁検認済み)でわたしが全部母親の財産を相続することになったのですが、
この場合、母の法定相続分2分の1、と私の相続分4分の1、あわせて4分の3受け取れるとおもうのですが、
法務局には、母の遺言書とかも一緒にもっていかなくてはならないのでしょうか?
他に持っていく書類はありますか?

611

(オリエンタル)



 ※敬称略とさせていただきます

【賃料は遺産とは別物です】
遺産分割前の賃貸不動産で発生する賃料については、平成19年の最高裁の判決(最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁)で
①賃料は遺産とは別物である
②賃料は各法定相続人が各々の法定相続分に応じて取得する。
と判断されています。
そこで、遺産分割ができていない場合、各法定相続人がそれぞれの法定相続分に相当する賃料を取得する権利があるということになります。

【供託金を還付してもらうために必要な書類】
今回、借主が地代の支払先に困り、賃料を供託したということですが、この供託金についても、あなたの相続分に相当する額について、還付を受けることが可能です(なお、同様の事案において、供託金のうち法定相続分の還付を受けることができると判断した裁判例として、【相続判例散策】供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)参照)。

ただ、供託金を還付してもらうには、ご自身が当該土地の相続人である(つまり、当該土地の所有者の一人である)こと及びその相続分がどれだけかということがわかる資料が必要です。
あなたの場合、お父さんが先に亡くなり、次にお母さんが亡くなってお母さんについては遺言書があるというのであれば、具体的には、
①供託物払渡請求書(供託所にも置いてありますし、法務省のホームページにもあります)
②実印と印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)
③戸籍・除籍謄本、遺言書等相続人であることと相続分のわかる書類
が必要になると思われます。
ただ、念のため、法務局に行かれる前に、具体的事情を説明した上で、必要書類を確認されるとよいと思います。

【供託金の全額を還付してもらうには承諾書が必要】
前記のとおり、あなたの相続分のみを受け取るには、必要書類をもって法務局で申請すればよいです。
ただ、全額の還付にはお兄さんの承諾書が必要です。
お兄さんから承諾書がもらえそうにないのであれば、全額の還付を受けるのは難しいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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16:56 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【相続判例散策】供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)

2018/06/26
供託された株式の配当金、自分の相続分だけ受け取れるか?

名古屋高判平成23年5月27日(平成23年(行コ)11号)

【ケース】

被相続人が所有していた株式に関し発生した配当金等につき、債権者不確知(債権者が確定せず、誰に支払ってよいのかわからないこと)を理由に供託された。
この供託金について、一部の相続人が各相続分に応じて供託金の払渡請求(還付請求)をした。
その理由は、配当金債権等は分割債権であり、相続人は自己の相続分に応じてその権利を確定的に取得しているかというものである。
これに対して、法務局はこの払渡請求を却下した。
払渡請求を拒否された相続人が法務局の扱いに不服申立てし、その取消しを求めた。

【裁判所の判断の概略】

相続人が数人あるときは、遺産は、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するから、遺産である株式も共同相続人が(準)共有することになる。
しかし、相続開始後に発生した株式配当金は、遺産である株式から派生しているが、それとは別個の具体化した財産である。
この配当金請求権は、金銭債権であり、各共同相続人が、その相続分に応じて分割債権として確定的に取得する(平成16年(受)第1222号同17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁〔以下「平成17年判決」という。〕参照)ものであるから、法務局は支払い請求を認めなければならない。

【弁護士のコメント】

被相続人が所有していた株式は遺産であり、遺産分割の対象になります。
相続発生後にも、当然、株式の配当がなされます。
当該株式や不動産を誰が相続するか、遺産分割協議等によって確定していればその人に配当金を支払いすればいいのですが、相続する者が確定していない場合、配当金や賃料を支払う側としては、誰に支払えばよいのかわからない状況になり、法務局に供託するということがあります。
(同様のことは、賃貸不動産の賃料についても生じます)。
このような株式配当金について、遺産分割ができる前の段階で、各相続人がその相続分に応じた配当金を受け取れるのかどうかが問題になります。
今回、紹介した裁判例は、供託された配当金のうち、自らの相続分に相当する金額を請求したところ、法務局がこれを拒否したという事例ですが、裁判所は法務局の扱いは間違いであり、請求を認めるべきであるとの判断をしました。
なお、参考までに言えば、遺産中の賃貸不動産の賃料の扱いについても同様の問題が発生します。

※賃料に関する参考判例:
不動産自体は遺産ですが、それが賃貸されている場合に発生する賃料については同様の問題が発生します。
結論を簡単に言えば、株式配当金と同じく、賃貸不動産の賃料も独自の具体化した金銭債権であり、各相続人がその相続分に応じて請求ができるということになります(参考判例:最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決・民集59巻7号1931頁)。

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16:44 相続判例散策 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

代襲相続人謝礼金相場について【Q&A №610】

2018/06/12


【質問の要旨】

遺産を相続しない承諾料(ハンコ代)の相場

記載内容  ハンコ代 承諾料 放棄


【ご質問内容】

父方の叔父が亡くなり、叔父の書いた遺言書により叔母が家、土地、預貯金、生命保険、を相続する事になりました。
司法書士事務所より父が他界しているため遺産分割協議書が送られてきて、印鑑証明書とともに実印を押して、送り返して欲しいとの事でした。
私の方には貰える現金は無く、謝礼として、商品券5千円が同封されていました。
謝礼金の相場としては適正なのでしょうか。
ちなみに私には叔母がいくら相続するのかは知らされていません。

610

(みーちゃん)



 ※敬称略とさせていただきます

【兄弟には遺留分がないが、念のために遺言書の確認が必要】
配偶者や子のいない叔父が死亡したのであれば、叔父の兄弟である、あなたの父が相続人になります。
父が死亡しているのであれば、父の子(すなわちあなた)が代襲で相続人になり、叔父の遺産をもらうことができます。
ただ、叔父が遺言書を書いており、その内容が他の人に遺産を全部相続させるという内容であれば、あなたには遺産が来ることはありません。
これは兄弟には遺留分が認められない(民法第1028条、【コラム】遺留分とは)からです。
今回の質問の場合、遺言書に問題がないのであれば、あなたの同意や印鑑なしで登記ができるはずです。
にもかかわらず、あなたの印鑑が必要だというのはどうしてでしょうかという疑念があります。
そのため、遺言書が本当に叔父の意思に基づくものか、あるいは遺言書作成人時に叔父に意思能力があったかどうかは念のために確認しておくといいでしょう。
なお、公正証書遺言であれば、原則として遺言書としての有効性については問題がないと思われますが、その場合でも遺言書の内容を確認しておく必要があるでしょう。

【承諾料の基準はこんな事情を考慮して決定する】
承諾料というのは、不動産登記をする場合や不動産からの立ち退きをするような場合に、登記をしたい人や立ち退きをさせたい人が出す金銭のことであり、登記などのときにはハンコ代ということもあります。
ハンコ代がどの程度が妥当かは、ケースにより異なります。
例えば借地権譲渡の場合のように借地権価格の10%程度という、ある程度の基準が決まっていることもありますが、多くの場合には金額が決まっていないと言っていいでしょう。
ただ、次のような点を考慮されることが多いので、金額決定の際に参考にされるといいでしょう。
① あなたの側に何らかの権利があるのか、ないのか。
もし、権利があるのなら、その権利を金銭的に換算した金額が承諾料になるでしょう。
冒頭に遺言書が有効かどうかを確認しなさいと言ったのはこのような観点からです。
② 手続きの手間を省くための承諾料なら、その手間を省くことにより得る相手方の利益
  相手方に権利があるとしても、その権利を実現するためにはあなたの印鑑が必要なケースがあります。
 例えば、遺言書があっても自筆の場合には、金融機関によっては、相続人全員の同意が必要というところもあります。
そのような場合、相手方としては、あなたの印鑑がとれない場合、裁判をせざるをえません。
裁判すれば時間や手間もかかり、又、弁護士(費用)も必要でしょう。
その手間や費用等を省くためにどの程度を出すべきかを考えることになります。
③ 相手方との人間関係も考慮要素である。
あなたと相手方とがどのような人間関係にあるかも承諾料に影響します。
いつもお世話になっている人なら、相手方の申し出た金額に反論はむずかしいかもしれません。
反面、そのような関係にない場合には、前記①及び②も効力入れた金額を請求してもいいということになります。

【今回の商品券は妥当か】
以下は私(弁護士大澤龍司)の私見ですが、参考にされるといいでしょう。
あなたに何らの権利がないとした場合、
① 遺産総額が10万円程度なら、今回の承諾料が商品券5000円でもやむを得ないとは思います。
② 遺産総額が100万円ということなら3~5万円という程度。
③ 遺産総額が1000万円ということなら30~50万円程度。
以上はあくまで長年の経験からくるものであり、これらの金額を基準にして具体的な事情で増減していくというのが私のやり方です。
大澤龍司法律事務所
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12:06 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

自筆証書遺言は、絶対に遂行されるのですか【Q&A №608】

2018/05/11


【質問の要旨】

遺言があり、養育費の未払いがある場合は取り分はどうなる?

記載内容  養育費 遺言 遺留分


【ご質問内容】

父が亡くなり、遺言書が出てきました。
両親が離婚したので、私は生後3か月で母に引き取られました。
離婚の原因は、父と後妻の不倫です。
母は、慰謝料も請求した養育費も支払われず、仕方なく泣き寝入りしました。
父は、私が成人するまで一度たりとも養育費を支払わず、逃げ得したことになります。
そんな父が亡くなり、遺言書に後妻の長男に全ての遺産を譲渡すると書かれた遺言書が出てきました。
父親としての責任と義務を全く果たしてこなかったのに遺言書通りになるのでしょうか。
未払いの養育費は、5パーセントの法定遅延損害金を加算すれば、3,000万円以上になります。

608

(ミッキー)



 ※敬称略とさせていただきます

【遺留分を請求することができます】
まず、「後妻の長男に全遺産を遺贈する」という父の遺言ですが、仮に遺言が有効であるとしても、あなた自身には遺留分という権利が残されています。
遺留分とは、あなた自身が本来有していた法定相続分の2分の1の限度で、財産を遺贈された方(今回は後妻の長男)に請求することができる権利のことです。
遺留分を請求することを法律では「遺留分減殺請求」と呼びますが、具体的な遺留分の計算は、相続人が①後妻と②後妻の長男、そして③あなたの3人のケースの場合、次のように計算されます。

(父の相続人)・・・あなた、長男、後妻の3名と仮定した場合

(本来の法定相続分)・・・後妻 → 2分の1
                後妻の長男 → 4分の1
                あなた → 4分の1

このケースですと、あなたの遺留分は法定相続分(4分の1)の2分の1ですので、全体の8分の1と計算されます
このように、遺言があってもあなたは遺留分を請求し、遺産を一部受け取る権利があります。
なお、遺留分は遺留分の侵害(=遺言の内容)を知ってから1年以内に(内容証明郵便等で)請求を行わないと時効消滅してしまいます。くれぐれもこの点はご注意ください。

【取り決めた未払養育費や慰謝料は承継される】
今回は養育費や慰謝料の未払いがあるようです。
まず、なんらの約束事(書面)もしておらず、単に父から養育費をもらっていないだけ、ということであれば、そもそも養育費は請求できません。
しかし、書面等で金額や支払時期の取り決めをしていたのであれば、一般のお金の支払義務と同様に請求でき、未払いがあればお父さんの債務として、これも相続分に従って分割され、各相続人に引き継がれます。
 (なお、慰謝料は一般に母(前妻)の権利ですので、権利者はあなたではないことにご注意ください)

【養育費も一部は相続で消滅する】
上記のケースでは、未払いの養育費について、後妻が2分の1、後妻の長男が4分の1の支払義務を引き継ぎます。
しかし、4分の1の限度ではあなたも支払義務を引き継ぐことになるため、あなたが引き継いだ養育費の4分の1は権利と義務が相殺されて消滅し、請求できなくなることにご注意ください(このことを法律上は「混同」と呼びます)。

【実際には時効などハードルは高い】 
また、養育費の請求にはもう一つ大きな問題があります。
養育費もお金の貸し借りと同様、時効により消滅します。たとえば養育費の支払時期が毎月末日払いなど定期的な支払いの場合、毎月の支払日から5年で時効消滅します。そのためたとえば20歳で支払期間が終了した養育費は、あなたが25歳を超えていれば時効で全部消滅している可能性があります。
もっとも、途中で一部支払いがあったなどの事情があれば時効が中断することもありますので、ご心配でしたら遺留分の請求の見込みなども含め、お近くの専門家に一度ご相談された方がよいでしょう。

 (弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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遺産相続における話合いのでの合意の破棄【Q&A №606】

2018/04/20


【質問の要旨】

死亡後の不動産賃料の扱いはどうなるのか

記載内容  家賃 死亡後 承継


【ご質問内容】

2年前に父が他界し、兄と妹の兄弟3人で相続の手続き中です。
3人の話合いの際、実家の2世帯住宅に家賃を払って住んでいた兄夫婦を当座の実家の管理者として住み続けてもらうことに一旦合意したものの、その後話し合いがこじれ、現在、家裁での家事調停中です。
そこで、当初の合意を破棄し、亡くなった父と兄との賃貸契約が継続しているとみなし、父の死後の家賃を遺産分割に反映させたいと考えているのですが、可能でしょうか。
また実家の隣の父が所有していた空地を兄の妻の会社の駐車場として父と賃貸契約を結んでいたのですか、そちらも父の死後も契約が継続しているとみなし、遺産分割に反映させることはできますでしょうか。

484

(John)



 ※敬称略とさせていただきます

【遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃料は相続分で分割する】
今回の質問では、遺産の中には、亡父が、①兄に賃貸していた物件と②兄の妻の会社に賃貸していた物件の2つがあります。
遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃貸物件から上がる収益(賃料)を誰が取得するのかについては最高裁の裁判例(リンク:最一判平成17年9月8日)があります。
同裁判例は、賃料をもらう権利は遺産分割とは別であること、遺産分割が完了するまでは、賃料は法定相続人がその法定相続分に応じて取得すると判断し、その後、裁判は全て、この判例に従って判断をしています。
そのため、あなたは今回の上記①及び②の賃料の3分の1をもらう権利がありました(この点は本ブログQ&A №593をご参照下さい)。
なお、念のために言えば、この賃料をもらう権利は、あなたが相続人になったことにより、亡父の賃貸人としての地位をあなたも3分の1の限度で引き継いだということから発生するものであり、他の相続人(例えば兄)の同意はなくとも、当然に請求ができます。

【兄に対する請求について】
まず、兄が居住している①の物件ですが、既に賃料は請求しないという《合意》が成立したのであれば、その合意は有効です。
したがって、今更、その合意を撤回することはできません。
ただ、合意の内容やその合意した時の状況に応じて、合意が無効だといえる場合があるかもしれませんが、質問にはそのようなことは記載されていません。
もし、そのような状況があるのであれば、一度、お近くの弁護士と法的対処が可能かどうかを相談されるといいでしょう。
ただ、兄のする管理の手間と賃料とを比較して、賃料の方が多額でバランスが取れないということであれば、あなたとしては《賃料の免除》という大幅な譲歩をしているので、その点を考慮して、兄は遺産分割の取り分を少なくするべきだと主張するしかないでしょう。

【駐車場の賃料は、遺産分割合意までは請求できる】
前記②の駐車場の賃料については、父死亡後の賃料の3分の1を請求されるといいでしょう。
この請求は遺産分割とは全く別ですので、分割の合意ができなくとも請求可能です。
なお、念のために言えば、遺産分割の合意ができ、その駐車場を相続する人が決定した段階から、その人が単独で賃料を取得することになります。
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17:12 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前の貸金を返済したが相続に影響する?【Q&A №604】

2018/03/22


【質問の要旨】

車の修理代を援助してもらい、返したが、特別受益になるのか

記載内容  返済 ローン 自動車


【ご質問内容】

 亡くなった母から生前一時的に援助を受けました。
 経緯は10年前交通事故に合い車を修理しなくてはならず急きょ修理代を借りることになりました。
 しかしローンを組み中古車を購入することになり借りた一時金は母に返しました。
 借りていた期間は2~3カ月です。
 現在調停中で他の相続人の弁護士から特別受益との指摘を受けております。
 返金した証明、購入した中古車の登録証、ローン返済の書類証明の提出を要求されておりますがその中古車は既に手放しました。
 書類等はありません。
 以上の要求について証明、書類提出できなければ特別受益に値するといわれました。
 どのように対応したら宜しいのでしょうか?

604

(パキラ)



 ※敬称略とさせていただきます

【借りたお金の性格は貸金であるので、特別受益にはならない】
 まず、あなたがお母さんから借りたお金の性格が問題になります。
 あなたが母から贈与を受けたのなら特別受益になります。
 しかし、あなたが主張されているように母からの借り入れというなら、母はあなたに対して貸金債権を有することになります。

【貸金での問題点】
 貸金だとした場合には、あなたが母に返済をしたかが問題になります。
 もし、貸金の返済を証明できなければ、貸金債権として母の遺産になります。
 結局、貸金の場合には特別受益にはなりませんが、返済が証明できなければ、母のあなたに対する貸金債権は存続し、母の死亡時には「貸金返還請求権」という債権として遺産になります。
 贈与や借り入れのどちらにせよ、あなたが貸金の返済を証明できなければ、いずれの場合においても母の遺産として計算されることになります。

【返済の証明はどうするのか?】
 問題は返済を証明できるかどうかです。
 あなたが、返済時に、母から領収書をもらっていたなら、それを証拠に出せば返済を証明できます。
 領収書がないのなら、次のような方策を考えるといいでしょう。
 もし、あなたがお母さんの口座に送金して返済しているのなら、お母さんの預貯金口座の取引履歴を確認して返金を証明できる可能性があります。
 もし、手渡しで返金したというのなら、受け取った母が、返金分を自分の手元にはおかず、預貯金口座に入金した可能性がないかどうか、母の取引履歴で確認するといいでしょう。
 その場合、あなたの預貯金口座から引き出して返済したのだというのなら、あなたの預貯金口座の履歴も取り寄せするといいでしょう。
 あなたの口座から返金分が払い戻しされ、その一方で近接した時期に母の口座に返金額に相当する金銭が入金されているのであれば、返金が立証できる可能性が高いです。
 ただ、取引履歴は10年間程度しか取り寄せできません。
 貸金が約10年前のようですので、迅速に取引履歴の入手の手配をされるといいでしょう。

【返済が証明できない場合】
 貸金の返済を証明する責任はあなた側にあります。
 もし、あなたが返済を証明できないのであれば、借金は返済されていないということなり、母のあなたに対する貸金請求権が遺産になります。
 この場合、あなたは他の相続人に対して、その相続分に応じた返金をする必要があります。

【中古車を買ったことは返済の証明にはならない】
 あなたとしては、修理をせず、中古車の買入をされたとのことです。
 しかし、修理をしなかった、あるいは中古車を買入れたことは、借金の返済の証明としては極めて弱いです。
 修理をしなかったということが借金に返済とつながるというのも、更に中古車を買ったから借金を返済したということも、それだけでは、返済の証明にはならないでしょう。
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14:15 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産相続をしたのは私なのに【Q&A №603】

2018/03/08


【質問の要旨】

祖母の遺産を相続人ではない母が勝手に受け取れるのか

記載内容  弁護士 依頼者 連絡窓口


【ご質問内容】

 三年前に父方の祖母が亡くなり、父は六年前に亡くなっていたので、父の弟、弟の娘、私の姉、私で遺産相続(四分の一づつ)遺産相続しました。
 母親は扶養になっておらず、遺産相続していません。
 父の弟達と揉めて母が弁護士に依頼して、遺産相続の書類やサインと捺印は私に請求しますが、母が私に来た手紙を私に渡さず自分で取引して、私の相続分はどうなったの?と聞くと「私が苦労したからら私の物だとか私がお金を払ってる。お前には関係無い私が法律だ」とかんしゃくを起こしてわめき散らしとても恐ろしいです。
 税金500万円取られた、お金がまだ振り込まれて無いなど言っていますが、姉は弁護士に自分の通帳番号を伝えているが、私は伝えておらず、多分、母が私の名前で勝手に口座を作り、そこに振り込ませている?
 私は障害者手帳を持っていて、障害者控除もなります。母親が勝手に私の遺産相続を取れるのですか?

603

(らむね)



 ※敬称略とさせていただきます

【相続関係の整理】
 祖母が亡くなり、その相続という案件です。
 まず、相続人ですが、祖母の配偶者(祖父)は既に死亡しているようですので、法定相続人は祖母の子(父の兄弟)になります。
 なお、質問には相続人として《父》の他に、⦅弟》、《弟の娘》とありますが、この2ケ所に記載された《弟》が同一人である場合には、その娘が祖母の養子になっていない限りは《弟の娘》は相続人にはなりませんのでご注意ください。

【弁護士に依頼しているのはあなたです】
 あなたは父の代襲相続人であり、法定相続人です。
 そのため、弁護士に相続事件を委任するのはあなた自身です。
 母は、父の祖母の相続について、相続権は全くありません。
 その弁護士を探してきたのは母であり、着手金を支払ったのは母であるとしてもあくまで依頼者は相続人であるあなたです。

【なぜ、弁護士は母と連絡をとるのか】
 相続事件を受任する際に、多数の相続人のみなさんの中で代表者を決めてもらい、弁護士との連絡窓口をその代表者に一本化することがあります。
 また、直接の当事者でなくとも近親者の方に連絡窓口をしてもらうこともあります。
 そのような場合は、弁護士は母と連絡を取り合っている場合がありえます。

【弁護士に連絡を取るべきです】
 しかし、連絡窓口を母にしようと、弁護士に依頼するのは、相続人であるあなたです。
 そのような場合でも、あなたが依頼者ですので、弁護士に連絡して、今後の連絡は私にしてほしいと申し出をされるといいでしょう。
 この場合、メールかファックスなどで行い、後に証拠が残るようにしておきましょう。
 特に遺産が入金されるような場合には、あなたの口座に送金するように申し入れすることは必要不可欠です。

【もしもの時には別の弁護士も】
 いずれにせよ、今回のケースではあなたの気持ちや利益がきちんと遺産分割に反映できるように弁護士と打ち合わせをするなど、あなたの意向を弁護士に伝える必要があります。 もし、申し入れをしているにもかかわらず、弁護士からあなたに連絡がない場合には、その弁護士としては懲戒にも処せられるべき案件になります。
 そのような場合であれば、その弁護士とは別の弁護士に依頼するも是非、検討される必要があるでしょう。


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15:09 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

預金口座の取引履歴を開示したい【Q&A №602】

2018/02/20


【質問の要旨】

祖母が開設した娘名義の口座の取引内容を確認することはできるか?

記載内容  離婚 借金 取り引き内容


【ご質問内容】

 離婚をして10年以上経ちます。娘が1人います。
 昨年、娘の父親が亡くなりました。元夫は母親と会社を経営してました。
 元夫の母からは借金しかなく娘には何も渡すものは無いと言われました。
 今まで父親からは養育費として少しは頂いてたので祖母は19歳まで生活費を渡すと言ってます。
 先日、祖母が生活費とは別に少しづつ貯金をしてあげるからと娘の銀行口座の開設に行きました。通帳と印鑑は祖母が持ってます。しかし周りからはその口座に遺産関係が入るからだと言われました。もしそうだとしたらどうなるのでしょうか?
 通帳、印鑑が無くても娘は口座の取り引き内容は閲覧できるのでしょうか?
 私は全く関わりたく無いのですが娘が大学に行きたいと言ってるので学費だけでもと思っています。


(aloha)



 ※敬称略とさせていただきます

【元夫の相続人は娘】
① 元夫の相続人は、元夫があなたとの離婚後に再婚しておれば、現在の配偶者と元夫の子(あなたの娘。もし、他に子がいればその子も相続人になります)。
② 結婚してもおらず、他に子供がいないのであれば、娘のみが相続人になります。
なお、上記①及び②のいずれの場合でも、元夫の母親やあなた自身は相続人ではありません。

【相続するということは借金も引き継ぐということ】
 相続するということは、元夫の財産も借金などの負債もすべて引き継ぐということです。
 なお、相続人である娘が未成年であれば、親権者であるあなたが娘の代理人として相続手続をすることになります。

【元夫の遺産や借金については調査をすべき】
 元夫の母親の話では、元夫には借金しかなく、娘に渡すものはないとのことです。
 もし、元夫の母親の話が正しいとすれば、娘は元夫の借金を相続してしまうことになります。
 又、ひょっとすると財産があるかもしれません。
 今後の娘の行動を考えるには、元夫に借金があるのかどうか、又、財産があるのかどうかを調査する必要があります。
 調査の結果、借金が多ければ相続放棄の手続きをし。借金もあるが財産もあるというのであれば、双方を比較して財産が多いと判断すれば相続人として財産を取得する手続きをすることになります。
 いずれにせよ、亡夫の財産調査は必要不可欠です。

【相続放棄するなら3ケ月以内に】
 相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てする必要があり、3か月の期限内に調査が終わりそうにないなら、放棄をする期間を延長(これを熟慮期間の伸長といいます)する必要があります。

【印鑑を預けてはいけない】
 祖母に娘の口座を作ってもらうために印鑑を預けたということですが、もし実印を預け、印鑑証明書を渡したというのであれば、それは極めて危険な行為です。
 娘の実印と印鑑証明書があれば、遺産分割協議書が勝手に作成されたり、亡夫の遺産である預貯金が勝手に解約されるかもしれません。
 娘さんが未成年のようなので、親権者であり、法定代理人であるあなたが娘さんの口座を作ることができます。
 もし娘の口座を作るので、あればあなたがその手続きをし、口座を祖母に連絡すればよく、印鑑まで預ける必要はありません。

【遺産が入るかも??】
 遺産を渡す気があるのなら、当然、祖母は、亡夫の遺産は借金だけというような話もしないはずです。
 もし、あなたが渡した印鑑が実印であり、かつ印鑑証明書なども渡したのであれば、祖母としては銀行等で亡夫の預貯金を解約取得する手続きができる場合があります(法定相続人である娘のもらうべき遺産を元夫の母が勝手に引き出すという最悪のケースも想定されます)。
 あなたとしては、そちらを心配するべきでしょう。
 もう、遅いかもしれませんが、預けている娘の印鑑などもすぐに取り返した方がいいでしょう。

【まず、するべきことは遺産調査と印鑑の回収】
 あなたが娘の学費をなんとかしたいというのであれば、亡夫の預貯金など、遺産の調査をするべきです。
 娘さんは相続人ですので、元夫の預貯金の取引履歴を取り寄せすることは可能です
 亡夫の預貯金などは、娘が亡夫の子であることを証明する戸籍や実印などがあれば、過去の取引内容を含めて、調査が可能です。

(調査方法についてはリンク参照)
《過去の参考ブログ:相続放棄 借金の調べ方 預貯金等、遺産の調査


(弁護士 岡井理紗)
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14:48 遺産の調査・発見 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人の記帳本を交換 私はコピー相手方は原本でした。【Q&A №601】

2018/02/20


【質問の要旨】

被相続人の記帳本の原本を相手方に渡さなければならないか?

記載内容  証拠 交換 原本


【ご質問内容】

 証拠になりうる記帳本を、相続人が半分ずつ交換しました。こちらはコピー、相手は原本をもってきて交換したのですが、最初からお互い確認していなかったので、双方が原本、双方がコピーの交換とはいきませんでした。
 もし、こちらが原本を渡してしまえば、すでにコピーを渡してしまっているので、手元に何もなくなります。実は、相手にすごく不信感を抱いております。
 調停委員の方も、そこまでは確認してくださっていなかったので、慌てて相手方の代理人に聞いて下さったところ、「後日いついつまでに原本の日記を送って下さい」、と言われました。
 次回からは、遠いため電話の調停になる予定です。

 何もかもが初めてなので、宜しくお願いいたします。

(マロン)



 ※敬称略とさせていただきます

【本来は原本を交換する必要はない】
 調停で当事者双方が証拠を出し合うことはよくあります。
 その際、コピーを提出するのが原則であり、原本を交換しあうというのは(少なくとも弁護士がついている場合では)まれなケースです。
 もちろん、コピーが正しいかどうか疑問がある、あるいはコピーが不鮮明な場合などは、原本を提示(見せてもらう)ことでコピーに問題があるかどうかを確認します。

【今回の質問では原本を見せなければいけないか?】
 今回のケースでは、あなたは相手方から原本を預かったが、あなたの方はコピーを渡したということのようです。
 調停であれば調停委員がついているはずであり、コピーの交付をし、原本は確認するだけでよかったのではないかと思います。
 ただ、原本の分量が多量であり、その場では時間的に確認できないということで原本を渡すということになったのかもしれません。
 このように原本を交付する方法には疑問がありますが、この点はこれ以上深く触れないこととしましょう。
 さて、次回からは電話で調停ということになれば、相手方の弁護士としては、あなたからはコピーをもらっただけで原本を確認できなかったわけですので、原本確認の方法としてその送付を求めることはやむをえないことでしょう。
 あなたとしては自分は原本の交付を受けながら、自分の持っている分については、相手方に原本の確認をする機会を与えないということは不公平でしょう。
 そのため、あなたは、相手方代理人に原本を見せる必要があります。

【返還に不安があるのなら】
 もし、返還について不安があるのなら、遠方であってもあなたが相手方弁護士の事務所に行き、その弁護士が原本を確認できる機会を与える必要があります。
 もし、遠隔地でそのような訪問もできないというのなら、相手方弁護士に原本を送付するのはやむを得ないでしょう。
返還してくれるかどうか不安なら、相手方弁護士から原本を返還するという文書(返還期限も記載してもらうことも考えましょう)を取り付けることです。
 又、原本を送ればコピーがないということであれば、原本を送る前にコピーを取る手配をされるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
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後妻による定期預金解約について【Q&A №600】

2018/02/19


【質問の要旨】

口座名義人の委任状があれば定期預金の中途解約はできるのか?

記載内容  定期預金解約 解約伝票 価格賠償


【ご質問内容】

質問①

 定期預金の中途解約についてご相談いたします。
 よろしくお願い致します。概略を記します。

 昨年、父が他界し相続が発生しました。相続人は4名(後妻+先妻の子3名)です。
 父は6年間ほど要介護度5(寝返りできない、痰の吸引が2時間毎に必要)で介護は後妻さんがしていました。後妻さんは定期預金(1,500万円)の中途解約を父の了解を得て行ったと言っています。
 銀行に口座名義人確認の方法を尋ねましたらキャッシュカードと暗証番号との説明でした。
 解約伝票の署名は口座名義人(父)の筆跡のようであり、預金の使途を後妻さんに聞いたら適宜使用と答えました。

 同銀行のお客様相談センターに問い合わせたころ支店の対応に任せているとの事でした。
 同銀行他支店に定期預金の中途解約について尋ねたら、口座名義人の委任状があっても解約は認めない、口座名義人が窓口に来れない場合は、何かしら他の方法で確認をとる、又は相続人全員の了承をとるとの事でした。銀行のダブルスタンダードといえる対応に対しどのように考え行動したらよいのでしょうか。ご教示お願い致します。

質問②

 相続で話し合いの最中なのですが、相手方が遺留分対象のマンションを売却しています。
 遺産額も決まらないのに相手方弁護士は、価格賠償を主張しています。
 どのような対応を考えたらいいのでしょうか?(マンションの仮差押えは、供託金の用意ができません。)



(雪男)



 ※敬称略とさせていただきます

質問①定期預金の解約の件と質問②マンションの売却の件の2件の質問をいただいていますので、2件まとめて回答いたします。

【質問①について…当該解約時の状況を確認するべき】
 被相続人の定期預金が後妻さんによって無断で解約されたのであれば、後妻の不法行為(ないし不当利得)ということになり、あなたが父の相続人として、返還請求をすることができます。
 無断であるかどうかの判断資料としては、誰が窓口で手続きをしたのかを確認する必要があると思われます。

【引き出しを勝手にしたかどうかの判断】
 銀行は、口座名義人の委任状があっても解約は認めず、口座名義人が窓口に来られない場合はほかの方法で意思確認するという対応だったようです。
 さて、上記銀行の対応と解約伝票の筆跡からすれば、父が書いた解約伝票を後妻が窓口に持っていき、後妻がキャッシュカードを持参し、又、暗証番号も答えたことから、銀行としては本人の意思を確認できたとして解約したと理解できます。
 銀行の対応に若干、疑問があるようにも思えるものの、父が委任状の意味を理解して署名捺印したのであれば、後妻が父の意思に反して勝手に解約したとは言えませんが、反面、父が6年程、要介護5の状態(身体的な面か、意思能力にも問題があったのかが明らかではありませんが)であれば、場合によれば、委任状を記載していても父には意思能力(判断能力)がなく、解約は不法行為に該当する可能性もあります。
 いずれにせよ、預金の引き出し時点の父の状態をカルテなどで確認する必要があります。

【父の意思能力がない場合】
 もし、父に意思能力がないというのであれば、後妻が勝手に引き出したものと主張できるでしょう。
 ただ、このような場合でも、後妻が解約したお金を父の介護のために使ったことを立証すれば、その分については後妻が取得したものとはいえず、返還を求めることはできないでしょう。

【父の意思で解約していたとしても、後妻が贈与を受けていれば特別受益になる】
 仮に父の意思で解約がなされたことが明らかになったとしても、それを後妻に贈与したのであれば、今度は特別受益の問題になります。
 特別受益だとすれば、1500万円を父の遺産に持ち戻して遺産分割をすることになりますので、あなたが取得する遺産額が増えます。

【質問②について…売却される前にマンションに登記をする】
 以下は、あなたがすでに遺留分減殺請求をしているとの前提でお答えいたします。
 遺留分減殺請求をした時点で、あなたと相手方とはマンションを共有する関係になります。
 しかし、第三者から見れば、この共有関係は明らかではありません。
 そのため、第三者に対して、あなたが遺留分権者としてマンションの共有持分権を持っていることを主張するためには、あなたが遺留分で所有権を取得したことの登記が必要です。
 この登記があれば、あなたは対外的にもマンションの共有者の一人ということになり、相手方はマンション(の全部)を勝手に売却できなくなります。
 現在、まだ、あなたへの遺留分登記がなされておらず、既に買受人である第三者に対する所有権移転登記が完了しているのであれば、あなたはこの第三者に所有権取得を主張することができません。
 売買契約はしたが、買受人の移転登記前であれば、早急に買受人に登記が移転されないように《仮処分》という手続きをする必要があります。
 既に買受人が移転登記を完了しているのであれば、あなたとしては相手方に遺留分相当額の価格賠償を求めることしかできず、相手方弁護士と交渉するしかないと思われます。

(弁護士 岡井理紗)
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父からの生前贈与は母を相続するとき影響するか【Q&A №599】

2018/02/08


【質問の要旨】

祖父からの生前贈与を母の遺産分割時に証明する必要があるのか?

記載内容  祖父から 生前贈与

【ご質問内容】

 昨年母が亡くなり相続が開始致しました。
 父は既に他界しております。
 私は25年前父方の祖父から1200万円の生前贈与を受けました。両親も承知のことです。
 その後一人息子だった父が祖父から相続を受け他界、母がまた全てを相続し昨年他界致しました。
 現在兄姉私の3人が相続人です。遺産分割の話し合いの際弁護士をつけた姉は1200万円は特別受益だと主張、違うのであれば祖父から受けた生前贈与を証明せよと言われておりますが25年前のことですので証明できずにおります。
 調停員からは裁判になる可能性が高いといわれました。
 途方に暮れております。


(ゆり)



 ※敬称略とさせていただきます

【一般に祖父からの贈与は無関係】
 今回の遺産分割は母の遺産です。
 そのため、特別受益で検討すべきなのはあくまで「母からの生前贈与の有無」に限定されます。
 もし父や祖父からの生前贈与があったとしても特別受益にはあたりません。あなたとしては「祖父からの贈与の有無は本件に関係ない。」と回答すればされで済みます。

【例外的に特別受益とされる場合がある】
 ただ、事情によっては例外的に祖父からの贈与が実質的には母の贈与と同視できる場合があります。
 たとえば、親が娘の子(孫)に学費を贈与した場合、直接贈与を受けたのは孫(祖父から孫の口座に直接振り込み)であっても、本来は娘が負担するべき学費であることを考慮し、実質的には娘に対する贈与だと扱われることがあります。
 ご相談ではそのような例外的事情はなさそうですが、参考までに紹介しておきます。

【姉の側で立証する必要がある】
 他方で、あなたは姉の側から「祖父からの生前贈与を証明せよ」と言われているようですが、そのような照明をする必要はありません。
 母からの贈与であり、母の遺産の特別受益というのであれば、その証明は姉の側でするべきことであり、あなたが祖父からもらった証拠など示す必要はありません。
 
【調停は互譲で解決を図るもの】
 以上のとおり、あなたとしては、特別受益の証明は姉側でするべきであると述べるといいでしょう。
調停はあくまで話し合いですので、あなたがどれだけ正しい主張を述べても、姉が解決案を了解しなければ裁判になってしまうことはやむをえません。
 もし、あなたが裁判を望まないというあれば、どこかで妥協点を見つけるしかありません。
 その場合でも、あなたとしては、まず正しい言い分をしっかりと主張した上で、妥協できる点を探るという立場で対応されるといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
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生命保険 故人 父親が他界【Q&A №598】

2018/02/07


【質問の要旨】

母が受取人となっている父の生命保険を貰う権利はあるのか?

記載内容  生命保険 受取人 財産分与

【ご質問内容】

  父親が他界しました。生命保険 受け取り人 母親ですが、 これは、財産分与 
私にも 貰える権利ありませんか?


(e.gaku)



 ※敬称略とさせていただきます

【原則として、生命保険金は遺産分割の対象ではない】
 保険金受取人として特定の相続人を指定した場合、生命保険金は遺産分割の対象の財産にならないとするのが裁判所の判例です(Q&A №298参照)。
 その理由は、生命保険金の支払いは、生命保険契約に基づいて支払われるものであり、被保険者の死亡と同時に指定された相続人の財産になるという性格を持っており、そのため、相続財産にはならないと考えられているからです。
 したがって、生命保険金の受取人が母になっていた場合には、保険金は母が単独で取得し、あなたがもらう権利はないですし、又、相続財産の中にも入らず、遺産分割の対象になりません。

【但し、著しい不公平な事情があれば、相続財産として扱われることもある】
 ただ、遺産総額と対比した場合、保険金を受け取る相続人と他の相続人間で著しく不公平となるような場合があります。
そのような場合には、特段の事情があるとして、例外的に生命保険を遺産の中に入れて遺産分割をすることになります。
この特段の事情としては、
① 保険金額と遺産総額とを比較して、生命保険金の金額があまりに多額である。
② 保険金の受取人が多額の保険金を受けるべき理由(同居していたか、介護等の貢献をしたかなど)がない。
というようなことが考えられます。
このような事情がある場合には、特段の事情として、生命保険金を遺産に持戻すということが認められる場合があります。

【著しく不公平かどうかの基準】
 過去の裁判例では、生命保険金の額が・・・万円であるのに、その他の相続財産が     万円であったケースで、生命保険金額が約59%(計算式:生命保険金額÷⦅生命保険金額+その他の相続財産額)を占めていたということで、生命保険金を相続財産にいれたものがあります。
 なお、単なる生命保険の割合だけで特段の事情の有無が判断されるのではなく、婚姻期間や同居の有無、介護等の貢献をしたかという事情も考慮して判断されますので、この点も注意が必要です。

【今回の質問の場合】
 本件では、生命保険金の受取人は母(被相続人の妻)ということですので、遺産総額と比較して生命保険額があまりに多額であり、かつ、父母の婚姻期間が短いとか、あなたが父と同居して介護をしてきたというような特段の事情があれば、生命保険金を相続財産にいれることもありえます。
それらの点を考慮して、判断されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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10:34 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続 調停から審判【Q&A №596】

2018/01/15


【質問の要旨】

姉名義だが、父と姉が債務を負っている住宅の残ローンの半分は相続しなければならないのか。

記載内容  住宅ローン 光熱費

【ご質問内容】

 審判をするか悩んでおります。現在調停をしており先日担当裁判官と直接話をしましたが納得が行くものではありません。
 弁護士を入れて進めていますが、同じ結果になったとしても調停と審判では違うと審判を勧められています。
 ※特別受益と住宅ローン:家は姉名義で住宅ローンは二人で払っていたのでそれは特別受益ではないかと主張した。

 ボーナス払年二回11万ずつ現金で渡し、月々支払は光熱費と相殺していた。
 2世帯住宅だがメーターはひとつで父の口座から引落しで支払をしていた。
 裁判官の見解:ボーナス払いの現金を渡してたと言う証拠がない、光熱費が父の口座から引落としされてるのは明確だが姉が現金を渡してたかも知れないし相殺してたとは認められない従って特別受益は認められない。
 住宅ローンの債務についても半分の300万を負担する事、相続の分配に含んで行う。
 ※定期預金引出:生前父から電話があり、障害を持つ弟が入所している施設に寄付しないと居られなくなると言われ定期を渡した。

 姉に確認したら父に対して制裁だと話し返すよう話したが弟の保険に入ったと嘘を言い返済しなかった。
 裁判官の見解:定期解約をしたのは金融機関の書類で姉なのは事実だが、その後どうなったかは明白でない為、戻せとは言えず本件とは別に返還請求を別途するようにと。


(なつ)



 ※敬称略とさせていただきます

【父の支払を示す証拠が大前提】
 まず、今回は姉の単独名義で取得した自宅の住宅ローンについて、そのローン代金について父と姉がそれぞれ別個に、分割して借り入れをしたケースです。
 ところで質問では、ローンの返済は姉の口座から引き落されていたということであれば、父が姉の口座にお金を入れていなければ父は実質的に1円も負担していないことになります。そうすると、父が支払った証拠がない本件では、調停や審判の場ではなによりも証拠が重視されるため、特別受益とは認められないものと思われます。

【親子間では光熱費の無償使用もありうる(ローンとの相殺)】
 次に、あなたは、父と姉との間に「父が姉に渡す(父名義部分の)ローンの支払資金と姉が父に支払うべき光熱費を相殺する」という約束があったことを主張されているようです。
 しかし、今回は父が姉にお金を渡した証拠がないため、第三者の立場から見れば「父は姉の家に無償で住ませてもらっていた」という状況に見えてしまいます。そのため、父はそもそも姉に光熱費を請求するつもりがなかったと裁判所は考えるしかない状況かもしれません。
 ここはあなたの側で父と姉との間に相殺の約束があったことを立証する必要があるでしょう。
 要するに、結局のところポイントは「父が姉にお金を渡していた証拠をいかに見つけ出すか」という点にあります。
 この証拠が見つけられないためにあなたの主張が通らないという事態が生じているのです。

【父名義のローン残債務は分担】
 父名義の住宅ローン残債務については、父の金融機関に対する債務ですので、相続人であるあなたと姉が相続分に応じて分割された債務を支払いする義務があることは間違いなく、対金融機関の関係で返済せざるを得ないでしょう。

【姉の家は遺産分割の対象にならない】
 そうすると、父の遺産分割の結果、姉はローンを分割してあなたに半分負担させることができるが、姉は自宅を丸ごと自分のものにできるという利益を受けることになります。これはたしかに不公平感があることでしょう。
 この点の解決方法としては、父の債務である住宅ローンで融資された金銭はその全額が、売買代金の決済の時点で姉の代金の支払いに充てられているはずであり、この分は贈与として特別受益に該当する可能性があります。
 裁判所はその点の立証ができていないといっているのであれば、その点を立証するよう全力を尽くされるといいでしょう。
 現在、弁護士に依頼されているようですので、その立証方法としてどのようなものがあるかどうか、その弁護士と協議されるといいでしょう。

【不正な預金解約は調停・審判で判断しにくい】
 最後に別途訴訟提起が必要と言われている点ですが、調停や審判は遺産であることが明らかな(ほぼ争いのない)遺産だけを取り扱う手続です。そのため、不正な預金解約(損害賠償請求)のように事実関係に大きな争いがあるものは調停で判断ができないのが通常です。その場合、別途訴訟を提起して遺産であることを確認することが必要であり、この点は裁判所の見解が一般的といえるでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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14:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続した不動産売却時の負担【Q&A №597】

2018/01/12


【質問の要旨】

相続放棄をすると相続財産売却時の費用は負担しなくていいのか?

記載内容  相続放棄 解体 費用 

【ご質問内容】

 父没後、父の資産は預金300万円、父が住んでいた家・土地があります。
 相続人は姉・私(弟)の2人です。姉は結婚時に花嫁道具とか家屋取得などで父より援助を受けたこともあり、相続放棄しました。
 私が父の遺産を相続するに、家(木造、築50年)が古く売却が難しいと思い、解体を業者に相談したところ、解体費の他に建築法
による市道拡張工事(現状1.5m幅、2m以上幅が必要)や不明確な境界であるため確定する費用などで600万円かかると言われました。
 私にそんな費用を捻出する金銭がないので、姉に相談したところ、「自分は遺産を放棄したのだから負担する義務はな
い。所有者になるあなたが負担すべき」と言われました。
 私が負担すべきものなんでしょうか?


(困りねこ)



 ※敬称略とさせていただきます

【相続放棄をすると、最初から相続人にならなかったものと扱われる】
 お姉さんは、お父さんの相続について、相続放棄をしたとのことです。
 相続放棄をすると、その効果として、放棄する相続人は、その相続に関しては最初から相続人にならなかったものと扱われます。
 つまり、お姉さんは初めからお父さんの相続人ではなかったということになりますので、「自分は遺産を放棄したのだから負担する義務はない。所有者になるあなたが負担すべき」というお姉さんの主張は正しいです。
 そのため、お姉さんは相続債務を負うことはありません。

【加えて、今回の費用は相続債務でもない】
 お姉さんが相続放棄をしておらず、その建物が共有ということであれば、今回の建物の解体費や工事費、境界確定のために必要な費用を分担してもらうことも可能です。
 しかし、前述のとおり、お姉さんは放棄したことによって、相続とは全く関係のないことになりました。
 加えて、建物の解体費用は相続債務ではありません。
 あなたが相続人としてその建物を取得することが相続であり、建物解体費用などは相続が終わった後に、その建物を売却するための費用であって、この点からもお姉さんに負担を求めるのは困難でしょう。
 現在、お手元に上記費用を支払う余裕がないのであれば、解体せずそのままの状態で売却するしかないというのが結論になります。

(弁護士 岡井理紗)
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13:45 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

香典と葬儀費用の相殺、事務管理【Q&A №595】

2017/12/21


【質問の要旨】

喪主と葬儀費用支払者が違う場合、香典は誰がもらうのか

記載内容 葬儀費用 香典 喪主

【ご質問内容】 

母が死んで、葬式が終わり、私が喪主だったのですが、当然、香典は喪主である私がもらうと思うのですが、姉が香典は私がもらう、と発言をしました。
そして、香典をあずかっていた受付の人から、家の部屋で「代表者に渡します」といったにもかかわらず、私が喪主なのに、同席した姉が横から手を伸ばして、香典180万円を奪い取ってしまいました。
そこで、姉に対し、不法行為で180万円の損害賠償を請求しようとおもうのですが、請求できますか?
1 仮に、姉が葬儀費用を支払ったので、相殺する、と主張した場合不法行為の場合、加害者のほうから相殺できないと思うのですが。
2 仮に、姉が事務管理を主張した場合、私は姉に葬儀費用を支払ってくれ、とかいってないし、本人の意思・利益に適合しなければ事務管理は成立しない(通説。700条但書)と思うので、事務管理を主張できないと思うのですが。
3 香典が喪主に対する贈与であれば、贈与された金を何に使おうと、喪主の勝手であり、必ずしも葬儀費用に使う必要はないのでしょうか?

(outon510)





【香典と葬儀費用の法的な扱い】
今回は香典と葬儀費用の負担に関するご質問ですので、まず前提となる法律上の扱いから回答させていただきます。
まず、香典や葬儀費用について定めた法律はありません。
そのため、これらの金銭の扱いについては裁判所の判断や法律学者の見解が分かれているため、明確に「損害賠償を請求できる」とまでは断定できません。
ただ、その中でも次のような考え方が一般的です。
① 葬儀は喪主が主宰するものであり、相当と思われる規模や費用も喪主が決定する。
② 葬儀費用は被相続人の死亡後に発生するので、相続債務ではない。
③ 葬儀は喪主が主催するので、その費用は喪主が負担し、香典も喪主に対する贈与と扱い、喪主が全部を取得するのが原則である。
④ ただ、家庭裁判所での扱いでは、他の相続人が葬儀に出席している場合であれば、葬儀費用はその出席した相続人全員で分担することを求めることができ、遺産から葬儀費用を差し引いて遺産分割を行うようにすることも多い。
このようにした費用分担する場合には、香典は葬儀費用の控除科目として組み込まれることになり、その分、葬儀費用が減少する。
(詳しくは、当ブログNo.538、424、401、308、140などをご参照下さい。)
以上の見解からすると、今回のご相談は次のように整理できると思われます。

【質問1 葬儀費用を支払った姉の行為は不法行為になるか】
喪主があなたであるにも関わらず、葬儀費用を負担したのはお姉さんのときにどのように考えるかというのが最初の質問です。
この点については、相続人のみなさんが出席した葬儀ではあったようですので、法的には③の考え方に基づいて相続全員で葬儀費用を負担し、香典も全員で分割するという処理が妥当と思われ、この見解ではあなたも香典を請求できます。但し、あなたの相続分(兄弟が2名なら180万円の2分の1で90万円程度)の限度にとどまります。
(ただ、この点については、事務所の弁護士間でも意見が分かれており、香典の性質とは親族や近隣住民が葬儀費用の一部に充てるという趣旨で支払うものである理解すると、今回のように喪主が葬儀費用を出さず、他の者(姉)者が費用を出した場合、香典は葬儀費用を出した者が取得することになる。したがって、今回の質問のようなケースでは喪主は香典をもらえない。その結果、お姉さんが香典を持ち去ったのはなんら不法行為にならないという結論になります。)
また、不法行為の加害者であるお姉さんから相殺ができないというのはご指摘の通りですが、裁判所は葬儀費用から香典を控除した額を相続人で分割する考え方を採用しているため、相殺されたに近い和解案で解決が図られる可能性が高いように思います。

【質問2 事務管理の主張について】
このケースで事務管理の主張というのはあまり考えにくいと思いますが、ご指摘の通り、事務管理は本人の意思と利益に適合する必要があります(民法700条ただし書き)。ただ、いくらあなたが「姉に葬儀費用を支払ってくれと頼んだ憶えはない」と主張しても、あなたも葬儀に出席している以上、あなたの意思や利益に反していたとは認められないでしょう。

【香典はまず葬儀費用に充当されるのが一般】
 最後に香典が喪主に対する贈与とされた場合の扱いについても回答しておきます。
 ご指摘の通り、贈与されたお金であればその使途は問われません。葬儀費用は別の資金から用立てしても構いません。
 ただし、遺産分割協議や裁判所の調停での話し合いをするときには、葬儀費用と香典をワンセットで差し引きして利害調整を行うことが一般的であり、その意味では香典はまず葬儀費用に充当されるのが一般、といえるでしょう。
大澤龍司法律事務所
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17:32 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続手続き(株主名義変更手続き)に応じようとしない会社【Q&A №594】

2017/12/21


【質問の要旨】

遺言書があるのに、株主名簿変更手続きに応じてもらえない

記載内容 株主名義変更手続 非上場株式 遺言書


【ご質問内容】

非上場株式,譲渡制限株式を親が死んで相続したのですが、姉が勝手に会社に電話して、相続人兄弟3人で話し合うといったので、会社は3人相続人全員の話し合いをしてください、といいまし た。
ところが、その後、遺言書があって、私1人に全部相続させる、という遺言でした(家裁検認済み、遺言執行者も私)。
それで、それを会社に言ったら、それでも、「3人相続人全員の話し合いをしてください、」というばかりで何回請求しても相続手続き(株主名義変更手続き)の用紙も送ってこずに、完全に無視した状態です。
相続手続き(株主名義変更手続き)に応じようとしない会社に対して、遺言執行者として法的にどのように対応すべきでしょうか?

(cmpank)






【遺言書があれば、株主名義変更手続はできます】
遺言書が、あなたにすべて相続させるという内容になっていた場合、原則としてすべての遺産はあなたが相続し、遺産の中にある株式もあなた一人が相続します。
そのため、あなたが会社に株主名義変更手続をした場合、会社としてはこれを拒む理由はありません。
ただ、他の相続人が遺留分減殺請求をした場合、あなたとその遺留分減殺した人が株主になります(法律的には、株式がそれらの人の間で準共有になります)ので、会社としては遺留分権利者の同意も得てくれということで名義書き換えを拒むことができます。
遺産である株式について、複数の相続人がいる場合には、その全員の同意がない限り、名義変更もできず、又、株主として株主総会にも出席できないというのが裁判所の裁判例です。

【会社としてはトラブルに巻き込まれるのを避けようとしている可能性があります】
遺言書があり、検認も終わっているようですので、遺言執行者のあなたとしては、株主名義変更に必要と思われる書類(遺言書、被相続人の戸籍謄本、印鑑証明書、遺言執行者の印鑑証明書など)を会社に送り、遺言書どおりの株主名義変更を求めるしかないでしょう。
会社の立場から言えば、お姉さんが「相続人兄弟3人で話し合う」との連絡をしてきたために、法定相続人間で合意をしてもらってから、名義変更をしたいと考えている可能性が高いです。
(参考までに言えば、上場株式については、証券会社、信託銀行その他銀行などの金融商品取引業者等が管理をしており、名義書き換え手続を行ってくれますが、その場合であっても、証券会社所定の「相続人全員の同意書」を求められることが多いようです。)
もし、遺留分減殺請求がなされていないのに会社が名義書き換えに応じない場合には、その旨を説明して会社を説得するしかないでしょう。
それでも、会社が応じてくれなければ訴訟を提起するしかありませんが、訴訟をする前に、念のために弁護士に相談されることをお勧めします。
大澤龍司法律事務所
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16:19 相続と借金 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

実家に居座り続ける兄に家賃請求はできるのか?【Q&A №593】

2017/12/08


【質問の要旨】

父の死後、実家に住む兄から賃料をとることはできるか?

記載内容  賃料 無償 使用貸借 

【ご質問内容】

父が亡くなり2年になります。
母は10年前に亡くなりました。
現在遺産分割で調停中です。
兄弟は3人です。
母が亡くなった後、兄夫婦が実家で父と同居を始めました。
父は兄夫婦と賃貸契約を毎月家賃を徴収していました。
父が亡くなった後も兄は住み続けています。
兄は土地家屋、預貯金1/3を主張していますが私と弟は土地家屋も1/3を主張しています。
兄に父との賃貸契約時の1/3の金額を遺産分割終了まで求めることはできますか?
また父は生前兄夫婦には土地家屋は渡さないと言っていました。
そのため賃貸契約をして住まわせていました。
毎月の領収証も帳簿で残っています。
父は遺言を作るため、色々とメモに思いを起こしていた最中に亡くなったため遺言はありませんが自筆メモで意志が残されています。
実家はこのまま住み続ける兄のものになってしまうのでしょうか?
また土地家屋の分割はどうなるのでしょうか?


(める)



 (「兄弟3人」とのことですので、回答文中は「兄」「あなた」以外のもう一人の兄弟を「弟」と表記します。)
(敬称略で記載しています。ご了承ください。)

【死亡後の賃貸借は継続し、相続人3人が家主になる】
一般には親子間で賃料を払ったり、賃貸借契約書を締結するケースは少ないのですが、今回の質問は、父と兄が契約を締結し、賃料の支払いもされていたケースですので、親子間で法的な賃貸借契約が成立しています。
そのため、家主である父が死亡したとしても契約は終了しません。
現状では父の相続人である兄弟3人が賃貸人(家主)の地位を引き継ぎます。
法律的に言えば、《賃貸人の地位が3人に準共有される》ということになります。
その結果、あなたの兄弟がそれぞれ3分の1の賃料を請求する権利があります。
兄としては、自らも3分の1の限度で賃貸人ですので、その分の賃料の支払いは不要ですが、残りの賃料の3分の2については、あなたと弟にそれぞれ3分の1の賃料を支払う必要があります。

【兄は賃借人として居住を続けることができる】
前項で述べたように、父の死亡後も賃貸借契約は存続しますので、相続が開始しても、兄は賃借人の地位を失うことはありません。
そのため、兄の居住する不動産を兄以外が取得した場合でも、賃借権がある限り、兄は居住不動産から退去する必要はありません。

【父のメモの効力】
父は兄に土地建物を相続させないというメモ書きを残されていたようですが、法律的に言えばそのようなメモは遺言書ではなく、その内容が法的効力を持つことはありません。
ただ、父の考えがそのようなものであったとして、あなたと弟の方が不動産を取得したいと申し出することは当然、可能です。

【兄以外の者の不動産取得と退去の関係】
しかし、あなたあるいは弟が不動産の単独の所有権を取得したとしても、兄は賃借権を持っているのですから、そこに居住を続ける法的な権利があります。
所有権を取得したとしても、その取得したあなたあるいは弟としては、兄を追い出すことはできないことはご承知ください。

【土地家屋の分割について】
遺産分割調停などでは、兄が居住している場合には、調停委員はその不動産の所有権を、居住者である兄に取得させることが多いでしょう。
その場合は、その不動産を取得した分、兄の取り分が減少することになります。
もし、兄がこの不動産を取得することによって、法定相続分でもらえるはずである金額以上を取得するということであれば、兄があなたと弟に対して代償金を支払う必要があるということになります。

(弁護士 大澤龍司)
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16:04 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人が、生前中建更の受取人を相続人の一人にした場合は?【Q&A №592】

2017/12/08


【質問の要旨】

相続人の一人が建更の受取人になっていたが、不公平ではないか?

記載内容  建更 積立式 受取人 

【ご質問内容】

JAの建更と一般に言われている「火災保険」の事です。
積立式の年払いです。

他の相続人である私には、高額に思えるのですが、この場合は全て受取人のものになるのでしょうか?

残っている金融資産はあまりなく、もの凄く不平等感をおぼえます。
どうか、お力を貸してください。


(ユリ)



 ※回答文中では、質問者を「あなた」、亡くなられた方を「被相続人」、相続人の一人を「Aさん」と表記します。

【建更の制度についての整理】
建物更生共済とは、火災だけでなく、地震や台風、豪雨等の自然災害も広く保障し、満期を迎えた際には満期共済金が支払われる損害保険のことです。
建物更生共済では、
①契約者
②被共済者
③満期共済金受取人
の3つの点を考える必要があります。
①契約者は、掛け金を支払う人で、建物所有者又はその親族が契約者となります。
②被共済者は、建物の所有者です。
③満期共済金受取人は、契約者又は被共済者のどちらかを指定することになります。
ご質問によると、被相続人が建物更生共済の受取人をAさんにしていたとのことです。
上記の整理を前提とすると、おそらく、
①契約者(掛金を支払う人)…被相続人
②被共済者(建物の所有者)…Aさん
③満期共済金受取人…Aさん
ということだと思われます。
以下はこの前提で回答します。

【建物更生共済は相続財産として遺産分割の対象になる】
生命保険金は遺産には入りませんが、建物更生共済は「相続財産」として、遺産分割の対象になります。
この共済では、相続発生によりAさんが共済金を受け取る権利を得るというものではありません。
また、契約者(被相続人)が死亡した場合には、共済契約は、相続人全員に承継されます。
そのため、相続時点での解約返戻金額が相続財産となり、遺産分割の対象になります。
ただ、Aさんとしては、今後も建更を継続させたいと考えるはずですので、あなたとしては、Aさんから、解約返戻金のうちあなたの相続分に該当する額を支払ってもらった上で、建更の契約者としての地位をAさんにすることを認めるとよいでしょう。

【被相続人が支払った掛金の一部が特別受益になる可能性がある】
なお、被相続人の生前、Aさんは、自分の建物についての保険の掛金を被相続人に支払ってもらっていたということになります。
被相続人が支払った掛金総額のうち、相続発生日までの年数に相当する分は、Aさんだけが利益を得ていたことになりますので、特別受益になる可能性があります。
あなたとしては、掛金の一部が特別受益ではないかという主張もした上で、できる限りあなたの相続額が増額できるよう交渉するとよいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
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子供がない夫婦、夫の死後ゆうちょ銀行の手続き【Q&A №591】

2017/12/01


【質問の要旨】

亡き夫の姉妹の居場所が分からない場合、相続手続はどうすればいいか?

記載内容  連絡先 戸籍の付票 行方不明 

【ご質問内容】

 相続の手続きが必要とのこと。

 亡き夫の生家とは、50年近く勘当同然の状態。
 両親は、亡くなっていますが姉3人、妹1人おりますが連絡先もわかりません。
 原戸籍は、取り寄せましたが現在の住所等を知る術がありません。
 会ったとしても普通に会話できそうにありません。

 正直、弁護士さんや司法書士さんへお願いする金銭的余裕もありませんので約5年そのままの状態です。
 この先、どうしたら良いのか不安で仕方ありません。
 具体的に手続きの術を教えてください。よろしくお願い致します。



(ゆた)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【父が亡くなり、その後に夫がなくなったと理解】
 夫の父が先に死亡し、その後に夫が死亡したケースの場合に限り、あなたが夫の父の遺産を相続できます。
 今回の回答はその前提で記載しています。
 なお、あなたの夫が先に亡くなり、夫の父がその後に亡くなったケースでは、夫との間に子がいないため、あなたは夫の父の遺産を相続できません。

【戸籍の付票を取り寄せする】
 今回のご相談は、遺産分割をしようにも、他の相続人の居所も連絡先もわからないため、話し合いすらできないということのようです。
 ただ、相続関係を明らかにするために必要な戸籍は取り寄せておられるのであれば、「戸籍の付票」を取り寄せするといいでしょう。
 戸籍の付票とは、簡単に言えば戸籍に添付された住所の移り変わりの記録のことであり、出生時から現在までの住所の移り変わりが記載されており、他の相続人などの現在の住所地を把握することができます。
 戸籍の付票は戸籍に添付されているため、取り寄せ先は他の相続人のそれぞれの本籍地がある市区町村の役所ということになります。
 たとえば戸籍謄本を見て大阪市北区に本籍地があるなら、大阪市の北区役所に戸籍の付票を交付申請することになります。

【取り寄せ手続もそれほど難しくありません】
 戸籍付票は住所というプライバシー性の強い情報が記載されているため、本来は直系親族(たとえば申請者の祖父母、父母、子、孫など)を除けば、正当な理由がない限り役所は交付申請に応じません。
 ただ、今回の場合、あなたが相続人になることを裏付けとなる戸籍を提出し、その手続きのために必要であると申し出れば、付票を交付してもらえます。
 この申請手続は、専門家を要するような難しい手続ではありません。
 ただ、戸籍付票でわかるのは住民票がどこにあるのかということであり、そこに住んでいるかどうかまではわかりません。
 そのため、まず、手紙等の郵便物を付票上の住所に送付して、連絡をとることになります。
 なお、郵便物が返送されてくるような場合には、付票上の住所には住んでいない可能性も高いので、その現地に行かれ、付近の人から居住状況や転居先を聞かれるといいでしょう。


【法テラスなどの利用も検討する】
 連絡先が分かればあとはお手紙などで話し合いで遺産分割の話を始めることになります。
 普段からおつきあいのない親族との話合いに苦労されるケースも珍しくありませんが、専門家にご依頼されないのであれば自力で行うほかありません。
 なお、専門家に依頼する費用がないという場合であれば、弁護士費用を一時的に立て替えてもらい、後日分割で返済する制度(日本司法支援センター 通称「法テラス」)などもあります。
 預貯金や収入が一定額以下であることなど申込には条件がありますが、一度ご検討されてはいかがでしょうか。


(弁護士 北野英彦)
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相続の権利があるのか?【Q&A №590】

2017/11/30


【質問の要旨】

兄と叔父が養子縁組した場合、姪の私に相続権はあるのか?

記載内容  叔父 養子縁組 遺産相続の権利 

【ご質問内容】

 はじめまして。お世話になります。
 法律に疎くご相談させて頂ければ幸いです。
 私には60代の結婚経験の無い独身の叔父がおります。(子供なし)
 私は兄と2人兄弟でその兄と叔父が養子縁組みをすることになりそうです。
 その場合、姪である私に遺産相続の権利はあるのでしょうか?

 叔父の身寄りは私の兄とその妻、息子、私の夫と息子のみです。
 宜しくお願い致します。



(ハルミ)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【現在の叔父さんの相続人は、お兄さんとあなたです】
 はじめに、一般的に相続が発生する場合、その相続人が誰になるかについて簡単に整理しておきます。
 まず、法定相続人は2つの関係で考える必要があります。

1)配偶者関係
 被相続人に配偶者がおれば、その配偶者は常に相続人になります。

2)子や尊属、兄弟関係
 配偶者以外の者の中では、
  ①第一順位が被相続人の子
  ②第二順位が被相続人の直系尊属(父母等)
  ③第三順位が被相続人の兄弟姉妹となります。
 上の順位の者がおれば、後順位の者は相続権がありません。

【兄が養子になる前の相続関係】
 あなたの叔父については、配偶者もおらず、又、子もいないということですので、その状態で死亡した場合、前項の1)の配偶者がおらず、又、2)の①も②もいない状態であると思われますので、③の兄弟姉妹(例えば、あなたのお父さん)が相続人になります。
 ただ、兄弟が叔父より先に死亡していた場合には、その子が替わって(代襲といいます)、相続人になります。
 本件であなたの父が先に死亡されているのであれば、その子であるあなたの兄とあなたが(代襲)相続人になります。
 参考までに言えば、あなたの兄の配偶者やあなたの配偶者はいずれも(代襲)相続人にはなりません。

【養子縁組をすると、叔父さんの相続人は養子のみ】
 養子縁組をした場合、養子は実子と全く同じ扱いを受け、子としての地位を獲得します。
 そのため、叔父さんとお兄さんが養子縁組をすると、叔父さんに前記2)の第一順位の子がいることになります。
 この結果、相続人はあなたの兄のみであり、あなたには相続権はなくなります。

 お兄さんが叔父さんの養子になった場合に、あなたが叔父さんの財産を相続するためには、
  ①あなたも叔父さんと養子縁組をして、その子として叔父さんの法定相続人となる
  ②叔父さんに遺言を書いてもらう
 という2つの手段があります。

 ただ、「あなたに遺産すべてを相続させる」との遺言を書いてもらったとしても、養子であるお兄さんが遺留分減殺請求をすると、お兄さんにも遺産を渡す必要が発生することがありますので、この点、ご注意ください。

(弁護士 岡井理紗)
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結婚時の親の援助と奨学金について【Q&A №589】

2017/11/28


【質問の要旨】

奨学金(学費)は4割増しで遺産から引かれるのか?

記載内容  奨学金 結婚費用 学費 

【ご質問内容】

 相続人は私と妹と妹の3男(養子縁組)の3人です。
 父の日記より、私の結婚時、両親が買ってくれた着物の代金と私が既にローンで買っていた毛皮等の残金を払ってくれていました。(40年前)その他に持参金を数十万頂いております。

 妹の奨学金ですが、親の遺産から4割増しで引くとあります。
 法律は全くの門外漢で分からないのですが、奨学金が4割増しで親の遺産から引かれるものでしょうか?

 母は、20年ほど前に亡くなり、一人息子である父だけでした。何とかH11年からの5年もの日記を3冊持ち帰りましたが、葬儀の翌日妹家族が全て処分してしまいました。
 几帳面な父の遺品と遺言書はありません。
 H11年以前の5冊25年分は妹が持っています。


(ルミ)



【前提となる事実関係】
 今回は「妹さんの奨学金」の借入経過について少し抽象的な部分があるため、次のようなご相談と理解し、回答させていただきます。

① 妹さんは奨学金(学費)をかつて自力で借入、返済をした。
② 他方で、お姉さん(相談者)は結婚の際に着物や持参金をお父さんからもらっている。
③ お父さんの日記には、「妹の奨学金は4割増しで遺産から引く」という記述がある。(=お父さんとしては、妹は自費で奨学金を借入、返済させたので、遺産分けの時は妹に奨学金の分だけ多めに4割増しで渡して欲しい、という心情で日記を書いた。)
④ ③のような扱いは法律上正しいのか。奨学金が4割増しになるような理由があるのかを相談したい。


【日記は遺言としての法的効力を持ちません】
 まず前提として、日記は遺言としての効力を持ちません。
 そのため、日記のとおり遺産分けをする必要はありません。
 日記にあるお父さんのお気持ちを尊重して遺産分けをすること自体は珍しくありませんが、法的に従う義務がないことはご理解下さい。
 以上の前提でいえば、妹さんの奨学金を考慮して、遺産を妹さんに多めに渡さなければならない理由はありませんし、4割増しにする理由もありません。
  
【結婚費用・持参金は特別受益にならない可能性も高い】
 まず、お姉さんのいわゆる嫁入り道具や持参金は特別受益にあたる可能性があり、嫁入り道具として購入してもらった着物の代金や持参金数十万円などは、特別受益とされることと考えられます。
 (この点は当ブログQ&A №507に同様の質問がありますのでご参照下さい)
 ただ、家庭裁判所の調停では、妹さんや弟さん(養子)の結婚に際してもそれなりの資金提供をされているケースが多く、嫁入り道具や持参金額が格別に高い価額ではないような場合以外は、特別受益はお互い様として帳消しにしてはどうかという対応を調停委員が言われることが多いです。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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12:52 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】

2017/11/20


【質問の要旨】

認知症の義母からの贈与は受け取っても問題ない?

記載内容  認知症 義母 贈与 

【ご質問内容】

 金庫の中には散々娘や孫にあげた後のおもちゃのようなのが数点、寺の権利書(?)と80万くらいあると言い、私にあげると言ってききません。何時忘れるかわからない状況ですので、私は貰いたくありません。
 後で無い!盗られた!と言い出す可能性もありますし、絶対揉めないと義母は言いますが、娘さんが義母没後何も言わないとはかぎりませんし。
 言ってることが毎日変るし、以前1点だけ親戚中居る中で貰いましたが、私は預かってるつもりです。その事は言いません(忘れてるか?)なので預かるつもりで一旦受け入れておいた方がいいのかなとも思いますが正直面倒くさいです
法律的にどうなりますか?



(介護妻)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【義母に意思能力がなかったとして、贈与が無効になる可能性がある】
 まず、義母の亡くなる前に発生が予想される問題について述べます。
 他人にものを預ける、あるいは贈与する場合、贈与する人に判断(意思)能力がない場合、その行為は効力がありません。
 義母は認知症だということですが、その程度によっては意思能力がなかったということで、金庫の中身を預ける行為も、あるいは贈与する行為も、無効になりかねません。
 この場合、義母からあなたが金庫の中身を受け取ったとしても、後に義母の後見人やその相続人から贈与行為等は無効だとして返還を求められる可能性があります。

 その際、金庫にはもっと多くの財産があり、それをもらったのだろうと主張される可能性も考えておく必要があります。
 そのため、可能な限り、そのようなものを受け取ることは避けられるのが賢明でしょう。
 もし、どうしても受け取らざるを得ないのなら、第三者に立ち会ってもらって、何をもらったのか(可能であれば他にはもらっていないことも)また、贈与なのか預かるだけなのかを書面化しておくといいでしょう。
 もし、預かるというのであれば、何の目的でいつまで預かり、いつ返還するのかという点を書面で明確にし、返還期限に返還を実行することが必要です。

【後に特別受益を主張される可能性もあるが、原則特別受益にはならない】
 次に、義母の死亡後の相続の観点から考えてみます。

1)判断能力欠如による返還請求の可能性あり
 まず、義母の死亡後には、その相続人となった子が、義母には意思能力がなかったから、贈与等は無効だ、返還せよと主張してくる可能性があります。

2)配偶者の特別受益を主張されるかもしれない
 次に、あなたの配偶者もまた相続人になります。
 相続人が生前に贈与を受けた分は、特別受益として遺産分割の際に遺産に持ち戻しする必要があります。
 ただ、今回の場合、贈与を受けたのは相続人であるあなたの配偶者ではなく、相続人ではないあなたですので、原則として特別受益にはならないでしょう。
 ただ、他の相続人としては、(それが法律的に認められにくいとしても)あなたが贈与を受けたということは、《あなたと一体の立場》にあるあなたの配偶者がもらったものだとして、配偶者の特別受益を主張してくる可能性がなくはありません。
 この点については、すでに述べたように、本来、特別受益は相続人本人に対してされた贈与のことを言いますので、相続人の配偶者であるあなたが贈与を受けたものは、原則として特別受益にはならないと反論するといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

アパートの生前贈与【Q&A №587】

2017/11/10


【質問の要旨】

父からアパート(建物のみ)を生前贈与した。
父の死亡後、妹から土地を含めた評価額を元に計算した金額を特別受益として請求されたが、どこまで特別受益とみなされるのか。

記載内容  アパート建物 生前贈与 評価額 



【ご質問内容】

 平成23年に父より昭和63年に木造建築されたアパート建物のみ生前贈与を受け登記し、アパート経営をしておりましたが、27年6月に父が他界しました。
 23年固定資産税評価額は、約二百万円、他界した27年は約百五十万円です。
 相続人は私と妹の2人ですが、今になって、妹よりアパートの特別受益を主張しており、その評価は、収益還元法によれば、52,950,000円と固定資産税評価額とは、かけ離れた金額を請求されています。
 その根拠は、土地も含めた価格のようで、年額収入4,236,000円、投資家期待利回り8%によるものだそうです。しかし、土地は既に遺産分割により相続登記が長男である私に完了しております。
 地元の不動産屋によれば、土地と建物を分けての評価は難しく言われております。
本来遺産分割におけるアパート建物だけの特別受益評価額は、どのようになるのでしょうか?
 お忙しいところ、恐縮ではございますが、出来るだけ早急にご回答いただければありがたいです。よろしくお願い申し上げます。



(キンメダイ)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【遺産分割協議が完了しているのかどうかで結論が異なる】
 父は、生前にあなたにアパート建物を贈与したとのことですので、この生前贈与分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。
 ただ、質問には《土地は遺産分割によってあなたに相続登記されている》との趣旨の記載があります。
 もし、既に父の遺産全部について遺産分割協議が終了しているのであれば、今更、妹としては特別受益分を遺産に持ち戻せという主張はできません。
 妹の立場としては、遺産分割合意は錯誤や欺罔によるものであるとして、遺産分割協議の無効を主張するしかないということになります。
 
次に、遺産のうち一部(今回でいえば、アパートの敷地)のみの遺産分割合意をし、それに基づき登記を移転しただけで、預貯金や株式等他の遺産についてはまだ遺産分割協議が終了していないという場合には、いまだ特別受益の主張は可能ということになります。

【建物の評価は固定資産評価額が原則、ただし使用借権の上乗せもありうる】
 仮に遺産分割がすべて終了していないということであれば、特別受益が問題になりえます。
 その際の建物自体の評価は、遺産分割調停などでは固定資産評価額でされることが多いです。
 もし、違う額を主張するのであれば、その証明として鑑定等が必要になります。
 問題は建物額だけではなく、土地の使用権も生前贈与されたことになり、その価額を加算する必要があるということです。
 土地の賃料などを支払っていないということなら、建物底地の使用借権の贈与があったとされることになります。
 使用借権は土地価額の10~15%の場合が多いです。
 もし、あなたが賃料を支払っていたというのであれば、借地権ということになり、底地価額の40~60%を加算する必要があります。

【評価の時点及び賃料はどうなるか】
 評価の時点は相続開始時の建物価額や底地の価額を前提として計算します。
 なお、生前贈与を受けたのちの賃料収入などは、建物および底地利用権に含まれていますので、原則として、別途請求されることはありません。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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14:53 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益について【Q&A №586】

2017/10/27


【質問の要旨】

母の所有地の賃料を弟が受け取っていたが、母を弟の自宅に住まわせていた。
賃料は特別受益になるか?

記載内容  リフォーム 固定資産税 

【ご質問内容】

弟が、父より家を相続し、そこに母が長年住んでいました
弟は、若くしてその家を出てしまいましたので、母は一人暮らしでした。
弟がその固定資産税を支払っていましたが、母の土地を人に貸していて、その賃貸料は母の名前の契約ですが、弟の口座に入っていました
この度、母が亡くなり、弟は、その賃貸料一千万円ほどをその家のリフォームやエアコンなどの備品の購入にあてたので、特別受益ではないと言っています。
弟も時々帰ってきて使っていて、今も自分の家なのですが、特別受益といえるのでしょうか。

追加です。

母の土地は母が固定資産税を払っていました。母は、弟が人に貸したことで、貸す前より、固定資産税や保険料、施設の利用料などが一年で100万円増えました。
不動産所得の関係です。
母が住んでいる弟の家の光熱水費、新聞代、屋根を治すなどの修繕は母が出していました。
弟の家は、父が亡くなった後、土地区画整理が入り、家が道にかかりましたので、補償金の一部で弟が立て替えたものです。



(コスモス)



※ご質問は2つに分かれていましたが、1つにまとめて回答しています。

【事案の整理】
今回のご相談は、①母の所有地から発生した賃料と、②弟が支出したリフォーム費の2つが同時に問題となっており、弟の主張をまとめると「賃料は特別受益かもしれないが、母を自宅に住ませ、リフォーム費も出したので特別受益にはならない」というもののようです。
このような場面は、まず①賃料と②リフォーム費の2つを分けて別々に整理することが理解のコツです。

【貸地の賃料は母のものであり、弟が取得した分は特別受益として遺産に持ち戻される】
1)母がその所有する土地を自分が賃貸人になって第三者に貸しているのですから、その賃料は母の収入になります。
2)母が、弟の口座に賃料が入ること及びそれを弟が使用するのを認めているのなら、毎月発生する賃料を母が弟に生前贈与したと考えていいでしょう。
生前贈与についてはその合計額が特別受益となり、遺産分割に際しては遺産に持ち戻されます

【自宅のリフォームやエアコン購入の扱い】
自宅のリフォーム費用は自宅の価値を増加させますが、自宅は弟名義ですので、弟の有する不動産の額が増加するだけです。
同様にエアコンについても、弟が購入したもののようですので、弟の財産が増えたということにすぎません。
いずれも弟の財産が増えるのであり、母の財産が増えるものではないということになります。

【弟名義の自宅を母が無償使用している点をどう考えるか】
ただ、自宅は弟名義であるのに、母に無償で使用させている点については問題がありそうです。
1)弟の特別寄与の主張
弟名義の自宅を、賃料を払わずに母が無償で使用している
⇒母としては自宅の賃料相当分の支払いを免除されている
支払いを免れた賃料相当分だけ、母は経済的利益を受けている
⇒その分、弟が特別寄与と主張して、遺産からの支払いを求める可能性もあります。
2)自宅の賃料分として、母名義の地代をもらっているとの弟の主張
また、母親が貸している土地の賃料をもらっているのは、自宅の使用分としてもらっているのだという主張をすることも考えられます。
3)こんな反論が可能
これに対しては、弟が父の遺産分割のとき、母にその自宅を無償使用させるという話があったことから多くの遺産をもらったではないか、というような反論も可能です。
また、子が母の面倒を見るのは子としての扶養義務であり、今になって、賃料を無償にしたからそれを考慮せよなどというような主張はできないという反論も用意しておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:19 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

未分割の土地を含む遺言分割指定がある時【Q&A №585】

2017/10/10


【質問の要旨】

被相続人が未分割の配偶者の不動産を子である相続人に譲ると遺言したが、裁判所ではどう判断されるのか?

記載内容  数次相続 共有 未分割 

【ご質問内容】
 被相続人の遺言に、先に死亡したその配偶者との未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲るとあり、法務局ではまず、配偶者の持ち分9分の6を法定分割した後、被相続人の持ち分9分の6をAに登記すると云う事でしたが、自宅が住所不銘記で却下、家裁では遺言分割の承諾が他の相続人B.Cから得られず、審判できないと云われ、取り下げさせられました、最終日全員の前に、裁判官が表れ(陪審員の要請があったと思わせる)ちらりと遺言に目を通し、配偶者の未分割分は直接3人の相続人に譲られると断定しました。
 法務局の説明では、全員の承諾のもとでは可能である、つまり遺言分割ではなく協議書による分割と解釈したので、家裁の裁判官の云う事には釈然としません、今後地方裁判も視野にこの点をはっきりさせて置きたいので宜しくお願いします。


(fumimasa)



【事案の整理・・父が死亡した後、その相続登記前に母が死亡したケースと理解】
 まず、事案の内容を整理します。
(以下の要約は、質問からは直接は読み取れないものの、弁護士3名がほぼこのような事実関係を前提にしての質問であろうと考えた内容を記載しております)

① 先にお父さん(配偶者)の方が死亡し、遺産である不動産の相続登記をしないうちにお母さん(被相続人)が亡くなった。
② そのお母さんは「未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲る」と遺言した
③ Aは、法務局で遺言に基づいて登記をしてもらおうとしたが、遺言書には自宅不動産の所在地等の記載がなかったため、このままでは物件が特定しておらず、登記はできないと言われた。
④ そのため、家裁に調停を申し立てたが、他の相続人B、Cの承諾が得られず、取り下げという結果になった。


と仮定して、説明をしていきます。
  なお、今回の質問には登記に関する部分が含まれています。
 わかる限度で説明はしていきますが、念のために登記の専門家である司法書士さんにも確認されるといいでしょう。

【相次いで相続が発生した場合のそれぞれの相続分】
 前項で記載したとおりの事実関係であると仮定すると、相続の経過は以下のとおりとなります。

① まず、お父さんが亡くなったことにより、自宅のうちお父さんの持分であった9分の6が、各相続人に相続されます。
 遺言書がなく、遺産分割協議もなされていないのだとすれば、法定相続分に従い、お母さんが9分の3、A~Cが各9分の1を相続します。
② 次にお母さんが亡くなり、「未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲る」との遺言があったとのことですので、お母さんの持分はAにすべて遺贈されたのであれば、お母さんの自宅持分(もともと有していた9分の3と、お父さんから相続した9分の3の合計である9分の6)をAが相続します。


 結局、自宅はAが9分の7、B及びCが9分の1という共有状態になるということになります。

【自宅が特定していない点についての法務局の見解について】
 ただ、遺言では前記のとおり、自宅不動産の所在地が明記されていないことから、法務局はこの遺言では不動産が特定されていないので、このままでは登記はできないと言われたのだと思われます。
その上で、もし登記をしたいのなら、法務局としては

① 遺言に記載された自宅とは被相続人が共有持分を有している自宅であることを判決で確定してもらうか、
② 相続人全員が遺言書の自宅とは、被相続人が共有持ち分を有している自宅であることを前提で遺産分割協議する。


のどちらかの方策を取れば、遺言の不動産が特定しないという点が解決し、登記が可能になるとの見解だったろうと思われます。

【遺言ではAが自宅全部を相続することはできない】
 お母さんの遺言の内容がはっきりはしませんが、仮にその内容が《Aの居住している自宅すべてをAに相続させる》というような内容であったとしても、そもそもお母さんの持分は9分の6でしかなく、未分割のまま放置されていたからといって、お母さんの自宅の持分が増えるわけではありませんので、Aが自宅全部を取得することできません。
 ただ、遺産をどのように分けるかについて、法定相続人全員が分割協議で合意をすれば、遺言と異なる内容でも、分割合意が優先します。
 そのため、Aが自宅を単独相続(全部をAの所有に)したければ、他のB及びCの同意を得て、《自宅名義はAの単独名義にするが、その代わりに代償金等を他の兄弟に支払う》等の合意をすれば、その合意の効力として自宅をAの単独名義にすることが可能です。

【裁判所が遺産分割の審判をしなかった理由】
 次に、裁判官が、「配偶者の未分割分(お父さんの持ち分)は直接3人の相続人に譲られると断定した」という点を考えてみましょう。
 Aとしては、お母さんの遺言には自宅全部をAに相続させると記載されているため、父の遺産の自宅全部の相続を主張したのに対して、《Aさんが全部取得するようなことはない。お父さんの持分が、法定相続分に従って子供らに9分の1ずつ相続されることについては、全員の同意がない以上、法的に動かしようがない》ということを言いたかったものと推測されます。
 B及びCから、自宅を全てAに譲るという内容で同意が得られず、遺産分割協議がまとまらなければ、遺言書の内容を実行するしかありません。
 しかし、家裁の審判では、遺言書の内容を実行せよという命令を出すことはできず、地裁で裁判をする必要があります。
 そのため、家庭裁判所は「審判できない」との判断をし、調停を取り下げさせたものと思われます。
大澤龍司法律事務所
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13:04 相続と借金 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
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