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遺産相続における話合いのでの合意の破棄【Q&A №606】

2018/04/20


【質問の要旨】

死亡後の不動産賃料の扱いはどうなるのか

記載内容  家賃 死亡後 承継


【ご質問内容】

2年前に父が他界し、兄と妹の兄弟3人で相続の手続き中です。
3人の話合いの際、実家の2世帯住宅に家賃を払って住んでいた兄夫婦を当座の実家の管理者として住み続けてもらうことに一旦合意したものの、その後話し合いがこじれ、現在、家裁での家事調停中です。
そこで、当初の合意を破棄し、亡くなった父と兄との賃貸契約が継続しているとみなし、父の死後の家賃を遺産分割に反映させたいと考えているのですが、可能でしょうか。
また実家の隣の父が所有していた空地を兄の妻の会社の駐車場として父と賃貸契約を結んでいたのですか、そちらも父の死後も契約が継続しているとみなし、遺産分割に反映させることはできますでしょうか。

484

(John)



 ※敬称略とさせていただきます

【遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃料は相続分で分割する】
今回の質問では、遺産の中には、亡父が、①兄に賃貸していた物件と②兄の妻の会社に賃貸していた物件の2つがあります。
遺産の中に賃貸物件がある場合、その賃貸物件から上がる収益(賃料)を誰が取得するのかについては最高裁の裁判例(リンク:最一判平成17年9月8日)があります。
同裁判例は、賃料をもらう権利は遺産分割とは別であること、遺産分割が完了するまでは、賃料は法定相続人がその法定相続分に応じて取得すると判断し、その後、裁判は全て、この判例に従って判断をしています。
そのため、あなたは今回の上記①及び②の賃料の3分の1をもらう権利がありました(この点は本ブログQ&A №593をご参照下さい)。
なお、念のために言えば、この賃料をもらう権利は、あなたが相続人になったことにより、亡父の賃貸人としての地位をあなたも3分の1の限度で引き継いだということから発生するものであり、他の相続人(例えば兄)の同意はなくとも、当然に請求ができます。

【兄に対する請求について】
まず、兄が居住している①の物件ですが、既に賃料は請求しないという《合意》が成立したのであれば、その合意は有効です。
したがって、今更、その合意を撤回することはできません。
ただ、合意の内容やその合意した時の状況に応じて、合意が無効だといえる場合があるかもしれませんが、質問にはそのようなことは記載されていません。
もし、そのような状況があるのであれば、一度、お近くの弁護士と法的対処が可能かどうかを相談されるといいでしょう。
ただ、兄のする管理の手間と賃料とを比較して、賃料の方が多額でバランスが取れないということであれば、あなたとしては《賃料の免除》という大幅な譲歩をしているので、その点を考慮して、兄は遺産分割の取り分を少なくするべきだと主張するしかないでしょう。

【駐車場の賃料は、遺産分割合意までは請求できる】
前記②の駐車場の賃料については、父死亡後の賃料の3分の1を請求されるといいでしょう。
この請求は遺産分割とは全く別ですので、分割の合意ができなくとも請求可能です。
なお、念のために言えば、遺産分割の合意ができ、その駐車場を相続する人が決定した段階から、その人が単独で賃料を取得することになります。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:12 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

実家に居座り続ける兄に家賃請求はできるのか?【Q&A №593】

2017/12/08


【質問の要旨】

父の死後、実家に住む兄から賃料をとることはできるか?

記載内容  賃料 無償 使用貸借 

【ご質問内容】

父が亡くなり2年になります。
母は10年前に亡くなりました。
現在遺産分割で調停中です。
兄弟は3人です。
母が亡くなった後、兄夫婦が実家で父と同居を始めました。
父は兄夫婦と賃貸契約を毎月家賃を徴収していました。
父が亡くなった後も兄は住み続けています。
兄は土地家屋、預貯金1/3を主張していますが私と弟は土地家屋も1/3を主張しています。
兄に父との賃貸契約時の1/3の金額を遺産分割終了まで求めることはできますか?
また父は生前兄夫婦には土地家屋は渡さないと言っていました。
そのため賃貸契約をして住まわせていました。
毎月の領収証も帳簿で残っています。
父は遺言を作るため、色々とメモに思いを起こしていた最中に亡くなったため遺言はありませんが自筆メモで意志が残されています。
実家はこのまま住み続ける兄のものになってしまうのでしょうか?
また土地家屋の分割はどうなるのでしょうか?


(める)



 (「兄弟3人」とのことですので、回答文中は「兄」「あなた」以外のもう一人の兄弟を「弟」と表記します。)
(敬称略で記載しています。ご了承ください。)

【死亡後の賃貸借は継続し、相続人3人が家主になる】
一般には親子間で賃料を払ったり、賃貸借契約書を締結するケースは少ないのですが、今回の質問は、父と兄が契約を締結し、賃料の支払いもされていたケースですので、親子間で法的な賃貸借契約が成立しています。
そのため、家主である父が死亡したとしても契約は終了しません。
現状では父の相続人である兄弟3人が賃貸人(家主)の地位を引き継ぎます。
法律的に言えば、《賃貸人の地位が3人に準共有される》ということになります。
その結果、あなたの兄弟がそれぞれ3分の1の賃料を請求する権利があります。
兄としては、自らも3分の1の限度で賃貸人ですので、その分の賃料の支払いは不要ですが、残りの賃料の3分の2については、あなたと弟にそれぞれ3分の1の賃料を支払う必要があります。

【兄は賃借人として居住を続けることができる】
前項で述べたように、父の死亡後も賃貸借契約は存続しますので、相続が開始しても、兄は賃借人の地位を失うことはありません。
そのため、兄の居住する不動産を兄以外が取得した場合でも、賃借権がある限り、兄は居住不動産から退去する必要はありません。

【父のメモの効力】
父は兄に土地建物を相続させないというメモ書きを残されていたようですが、法律的に言えばそのようなメモは遺言書ではなく、その内容が法的効力を持つことはありません。
ただ、父の考えがそのようなものであったとして、あなたと弟の方が不動産を取得したいと申し出することは当然、可能です。

【兄以外の者の不動産取得と退去の関係】
しかし、あなたあるいは弟が不動産の単独の所有権を取得したとしても、兄は賃借権を持っているのですから、そこに居住を続ける法的な権利があります。
所有権を取得したとしても、その取得したあなたあるいは弟としては、兄を追い出すことはできないことはご承知ください。

【土地家屋の分割について】
遺産分割調停などでは、兄が居住している場合には、調停委員はその不動産の所有権を、居住者である兄に取得させることが多いでしょう。
その場合は、その不動産を取得した分、兄の取り分が減少することになります。
もし、兄がこの不動産を取得することによって、法定相続分でもらえるはずである金額以上を取得するということであれば、兄があなたと弟に対して代償金を支払う必要があるということになります。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の対象財産と計算方法【Q&A №559】

2017/02/14


【質問の要旨】

保険金や共有の不動産などを考慮すると、遺産分割はどうなるか

記載内容 共有 賃貸 保険金

【ご質問内容】

相続人兄と私のみ

遺産は共有名義の家(持分兄6:父4)

死亡保険金1450万円(受取人私)あり。

家は同居を前提に父が1450万円出したが、喧嘩により同居を断られ一度もその家には住まず、アパートを借り生活。

何度もお金をかえしてくれと頼んだが、聞いてもらえず。

少額の個人年金の受取と兄と私の援助で生活。

2年前父とのトラブルで兄家族は隣の市へ引越。

その1年後父が他界。

葬儀の際、家は父が亡くなる半年ほど前から人に貸していることを聞く。(父は知らない。)

今回、家を売りたいから、早くサインをしてと連絡が来る。

家は兄が相続。(2680万円で売却予定。)

生命保険は私が受取る。

父の葬儀代?円、アパートのリフォーム代192万円、他に亡くなった後かかった費用は兄と私の折半という遺産分割書を作成す
ると。

兄は1060万円しかもらえず、私は生命保険を全部受取るんだから文句ないよなという感じです。

生前父に兄は400万円程度、私は家賃など約350万お金を援助しています。

兄は共有なのに10年間自分たちだけで住み続け、その後無断で人に貸し収入(10万円程度/月)も独り占めにしていた。

実際のところ父の遺産はいくらと考えられますか?

兄は12年ほど前に土地(100万程度の価値)を譲り受けています。

分割の内容は後で決めるとして、取り急ぎ売ることの同意を早くしろとも言われています。

今同意するのは何か私の不利益となりますか?

(たいよう)






【遺産内容について】

まず共有名義の家(以下、家といいます)は、お父さんの持ち分が40%ですので、その40%の持ち分が遺産の中にはいります

これにお父さん名義のその他の財産(預貯金や株式等の有価証券、動産など)が遺産になります


【保険金は遺産ではありません】

あなたが受取人として受け取った死亡保険金は、遺産分割では、原則として遺産とは扱われません(相続税の申告では遺産の中に含まれますが、それは税金の問題です。法律的には、遺産分割の関係では原則としては遺産でないとの判例があります(当ブログQ&A №298)。


【お父さんの家を使っていた点は特別受益になるか】

家 は被相続人であるお父さんとお兄さんの共有ですので、もし、お兄さんが自ら居住していた場合には、その共有持ち分については無料で使用しているのですから、その無料使用分(使用借権)が特別受益になるのか、遺産に持ち戻されるかどうかが問題になります。

土地の無料使用については特別受益になると思われますが、家屋の無償使用については、権利性が低いとされ、特別受益になることは少ないです(当ブログQ&A №457)。

特に本件では家全部ではなく、共用持ち分ですので、お兄さんが使用しているのなら特別受益ではないということになるでしょう。

ただ、今回の質問ではお兄さんが他人に貸し、賃料という経済的な利益を得ています。

そのため、もし、お父さんがその賃貸を了承しているのであれば、その賃料のうちのお父さん持ち分相当分である40%分は特別受益という主張をしてもいいだろうと思います(この問題も当ブログQ&A №539に同様の記載があります)。

又、お父さんに無断で貸したというのであれば、不法行為に基づく賠償請求権という債権(賃料の40%相当分が損害額 ということになります)が成立する可能性があり、遺産に含まれるという主張も可能でしょう(ただ、従来、お兄さんが無償で使用するのを認めていたので、賃貸にしても損害はないはずという反論もあり得ます)。

なお、お父さん死亡後の賃料についていえば、相続人がその持ち分に応じて遺産とは別に請求できるという判例があります(当ブログQ&A №240)。


【債務の扱い】

お父さんの賃借しているアパートの リフォーム代とあります。

賃借物件を賃借人であるお父さんがリフォームし、その価額が192万円という高額であるというのは考えにくいので、賃借物件の立退きに際しての原状回復費用の可能性があります。

その前提で考えれば原状回復費用はお父さんの生前の賃借に関する費用ですので、お父さんの生前債務と同様に扱っていいでしょう。

次の葬儀代については相続債務ではありませんが、あなたが葬儀に出席されていたのなら、相続債務扱いで負担をするような解決例が多いです(当ブログQ&A №545)。

以上に記載したように、生命保険は除外して、《家の持ち分+他の預貯金+有価証券+動産+賃料の持ち分相当額 》が遺産になり、《家のリフォーム代と葬儀代》が相続債務になるものと思われます。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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18:12 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

被相続人との共有マンションの家賃の扱い【Q&A №546】

2016/12/06



【質問の要旨】

マンションの共有者である長男が、被相続人に対し収益の返還請求権を持っていると主張している

記載内容 共有物 賃料 時効

【ご質問内容】

被相続人と長男が一棟建て賃貸マンションを所有していました。

分割協議が進まず調停へと進む状況です。

これまで賃貸マンションの収入は被相続人が管理し、収入も返済や税金の支払も行ってきました

長男代理人は2分の1所有の賃貸マンションからあがる収益は本来自分の物であり、返還請求権をもっていると主張しています。

この主張は認められるのでしょうか?

またこの被相続人に対する債権は何年前まで有効なのですか?

時効はあるのでしょうか

この債務を遺産に加えると他の相続人の相続分はなくなるといっています。

(mujun)





【兄が本当に共有者であるかどうかを念のために確かめる】

お父さんと兄で共有持ち分が各2分の1であるのに、被相続人が賃料収入全部を得ていたということですが、2つの面で疑問(あるいは問題といってもいいでしょう)がありそうです。

まず、第1は、兄の持ち分2分の1というが、実質はお父さんが建築資金を出しており、名義だけを長男のものにしていたのではないか?という点です。

この疑問は①長男名義の2分の1は実質上はお父さんの遺産ではないのか?

あるいは②お父さんがお兄さんに建築資金を生前贈与(特別受益)したのではないか?

という問題に発展しますので、念のために上記の①及び②の観点から、是非、調査されるといいでしょう。

なお、ローンがあるようですので、その借入名義がお父さんだけか、兄でもあるのか、又、頭金などは誰が負担したのかを、お父さんの取引履歴等なども参考にして調査されるといいでしょう。


【兄はお父さんに賃料の返還請求はできない可能性が高い】

次に、兄としてはお父さんが賃貸に出していることぐらいは知っていたと理解するべきでしょう。

にもかかわらず、賃料の半額を請求しなかったのはなぜかという疑問があります。

この点については、賃貸を始めるときにお父さんと兄との間で、お父さんが賃料を全部取得するということで合意(暗黙を含めて)があり、管理はお父さんがし、賃料収入はお父さんがもらう、ローンの支払いや固定資産税の支払いは全てお父さんがするとの合意があったと考えるのが普通の理解でしょう。

もし、その前提が正しいとすると、お父さんが全額を取得することを、兄は了解していたのですから、兄が被相続人であるお父さんに不当利得等の請求はできないことになります。


【仮に無断で賃貸していた場合には】

しかし、万一、お父さんが兄に知らせず、勝手にマンションの賃貸をしていたのだとすると、兄からお父さんに対して不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求として賃料額のうちの兄持ち分額に相当する金額を請求することが可能になります。

この場合、お父さんが兄の分のローンの支払いをし、かつ固定資産税も立替支払いをしていたのであれば、その分は請求額から控除されますし、場合によれば管理料相当分も控除することも可能です。

なお、不法行為で請求する場合には、勝手に貸していることを知ってから3年で、不当利得返還請求をする場合なら10年で請求権が消滅時効にかかりますので、それ以前の分は時効を主張されると、兄は請求できないということになります。


【兄請求の債務を遺産に加えるどうなる?】
  
今回の質問のケースでは兄の請求が成立しない可能性があります。

仮に請求できるとしても、お父さんが賃料から兄のローンの支払いをし、かつ、兄の分の固定資産税も支払っていたというのであれば、法的に認められる返還額はそれほど多額にはならず、請求すると遺産が無くなるようなことはないと思われます。


【特別寄与について】

兄に賠償あるいは返還請求ができない場合でも、賃料全額をお父さんに取得させたということが特別寄与として認められ、兄がその額を取得できる可能性はあり得ます。

ただ、この場合でも、兄の分のローンの支払いや固定資産税の立替支払い、管理料相当額等が考慮されますので、兄の寄与分としてはそれほど多くないように思います。

(弁護士 大澤龍司)

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13:23 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続した保証債務の裁判と主債務者の責任【Q&A №517】

2016/07/07



【質問の要旨】

相続債務と会社の責任

記載内容  会社 借金 保証

【ご質問内容】

債務超過相続、相続人4名に対する、主債務、連帯保証に対して訴訟提訴を債権者より受けている

全て抵当権付きのオーバーローン。

相続人の間は養女、私と、妹と従兄弟である相続人の法人仮代表取締役は、相続財産の2分1の未納固定資産税を私達持分支払わないで役所から給与の差押えを私は受けている。

父親は自分の会社に全不動産を担保提供し又貸していた。

その為家賃はこちら側には入金されずあちら側の好き放題に5年近くあちら側は貯めたと推測される。

相続不動産は競売の準備の登記はされたが裁判所からでない。

待っていても競売は無いと思われる。

妹弁護士は法廷で債権者の代弁かのように和解なら1000万円は必要。

馬鹿にしています。

会社も個人も全て売却するのが筋です。

会社を残し騙しながら現金を貯める卑怯者退治、和解案が何かありましたら享受の程宜しくお願い致します。

(きー)







【事実関係の整理】

質問の事情が複雑ですので、当方の理解の限度で次のとおり事実関係の整理をし、その前提で回答します。

① まず被相続人であるお父さんが会社の借金の連帯保証人になり、かつ、所有する不動産を担保に差し出した。

② その不動産はお父さんが会社に貸し、更に会社が第三者に賃貸しているが、お父さんには賃料は入っていない。

③ その不動産には「競売の準備の登記はされた」とあるので、おそらく仮差押登記が付されたが、オーバーローンのため、競売はできない。

④ 以上のような状況の中で、あなたを含む相続人4名に対して債権者から、被相続人の連帯保証債務を相続したという理由で訴訟が提起され、妹さんの弁護士の話では合計1000万円の支払いでなら和解ができる


という話であるとします。


【訴訟を提起されたことについて】

相続人が相続放棄しない限り、被相続人の負う連帯保証債務があれば、それぞれの法定相続人が法定相続分に分割して、その債務を履行する義務があります

今回の訴訟はその前提で提起されています。


【会社の財産を探す】

まず、本来は会社が主債務者ですので、会社に財産があればそれからの支払いをしてもらえば、それだけ保証債務が減ります。

そのため、あなた方としては会社に財産がないかどうかをあらゆる手段を使って確認される必要があるでしょう。

もし、発見できれば、訴訟の原告にその情報を流して、会社財産から回収してもらえば、その分だけでも連帯保証債務は減少します。


【賃料はどこに行ったのか】

お父さんの差し入れた担保不動産を会社が賃貸していたようです。

そうするとその賃料はどこにいったのでしょうか。

賃借人に確認すれば支払い先の会社の口座が判明します

その口座に残高があれば、それを債権者に差押えしてもらって、保証請求額を減額するということも考えてもいいでしょう。


【不動産を競売しても裁判の請求額は減らない】

次に、被相続人であるお父さんが担保に入れた不動産があります。

通常の場合、まず担保になっている不動産を売却し、その不足額を連帯保証人に請求することが多いです。

ただ、今回の場合には、仮に競売がなされた場合、オーバーローンということですので、競売代金は抵当権者等の担保権者にいくだけであり、その他の一般債権者にはいきません。

仮差押登記をつけた債権者であっても、それは一般債権でしかなく、抵当権の方が優先して支払いを受けることになります。

そのため、一般債権者としては不動産から配当される可能性はなく、各法定相続人に訴訟を提起して請求するしかなかったのでしょう。

このような経緯で訴訟が起こされたということであれば、法定相続人としても、被相続人が債務を負っていることが明らかであれば、法的にはその支払い義務は免れないでしょう


【和解で注意するべき点について】

相続債務の場合、仮に被相続人に1000万円の債務があり、子供4人が相続人であったとすると、各人は4分の1ずつ、金額で言えば250万円の限度で債務を負うことになります。

弁護士によると1000万円の支払いが必要だという言うことのようですが、次の点は注意をする必要があります。

①今回1000万円の話が出ているようですが、これは個別の額なのか、4人の合計の総額なのか確認する必要があります。

②次に総債務額が1000万円だとした場合、各法定相続人が1000万円の支払い義務を負う連帯債務なのか、それとも各人が250万円だけの支払責任を負うにすぎないかという点も確認される必要があります。

③和解をするというのは必ずしも望まないところかもしれませんが、訴訟で判決になると今回の1000万円より多額になる場合も多く、又、年5%程度の利息もつきます。

不本意でも和解の方が得策だということもあり得ます。

和解の条件と判決が出たときのどちらが有利であるかを弁護士の意見も参考にされ、判断されるといいでしょう。


(弁護士 大澤龍司)

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17:19 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が支払っていた共有建物の光熱費【Q&A №478】

2015/11/25

【共有建物の住居部分の家賃光熱費について】

賃貸店舗のある物件で、二分の一持ち分三〇年前、建築したときから、保存登記もされています。
父親と共有で、共同経営していました。

私の住まいとして、父親がその物件で住めばいい、家賃光熱費いらないからと三〇年家族ですんでいます。

父親が亡くなり、父親の持ち分が相続で姉になり、過去一五年分家賃光熱費請求してきました

土地全部父親の名義でしたが相続で姉の名義です。ちなみに地代も請求してきました

私は、建物全体経費電気水道局他支払いしている。相続後姉は、父親の名義のテナントから、家賃光熱費受け取っている。

わたしの持ち分所有権保存登記されています。相続の時生前贈与扱いです。
姉の請求納得いかない

経費二分の一も支払いしてくれない。

よろしくお願いします。

記載内容 光熱費 共有 賃料

(りく)







【考えるポイント】

相続人は、被相続人(本件ではお父さん)の持っている権利や義務を受け継ぎます。

そのため、地代、家賃や光熱費の支払いの要否については、お父さんとあなたとの権利や義務がどうなっていたかを確認する必要があります。

以下においてはそのような観点から検討していきます。

【地代について】

まず、お姉さんから請求のあった地代について検討します。

土地はお父さんの単独所有、建物はお父さんとあなたとで各2分の1の共有ですので、あなたはお父さんの土地の2分の1を使用していることになります。

土地利用につき、あなたがお父さんに賃料を支払っていたというのであれば、あなたとお父さんのとの間に賃貸借契約が成立しており、お父さんから土地を相続(ということは賃貸人の地位も相続)したお姉さんに対し、賃料を支払う義務があります。

ただ、あなたが賃料を支払わず、お父さんも請求しないことについて(暗黙でも)合意があったということであれば、お父さんとあなたとの間には、土地を無償で使用させる使用貸借契約が成立しており、相続でお父さんの土地を取得したお姉さんは、お父さんと同様にあなたに土地を無償で使用させる義務があり、賃料請求はできません

ただ、あなたは使用借権という無償で土地を使う権利をお父さんからもらったのですから、その使用借権が特別受益とされる可能性があります。

しかし、質問では少なくとも不動産については遺産分割協議が終了しているようですし、他の遺産についても遺産分割協議が終了しているようであれば、特別受益の問題は既に解決済みとして扱うといいでしょう。

【家賃について】

建物は、賃貸店舗に出されていた分と、あなたの居住用にされていた分があるようですので、分けて記載します。

賃貸店舗に出されていた分については、誰が賃料を取得していたのかによって異なりますが、あなたが賃貸人として賃料全部を取得していた場合、その賃料の中には本来はお父さんが取るべき分もあったはずです。

お父さんが、あなたから自分の建物持ち分に相当する賃料相当額を請求しなかったのであれば、その分も使用貸借同様の関係になり、その使用貸借権がお父さんからあなたへの生前贈与として特別受益になります。

次に、あなたが建物の一部を住居として使用していたことについてですが、お父さんとしては家賃はいらないということですので、その無償使用分も使用借権になり、その権利の価額が特別受益になります(なお、遺産分割協議が終了していれば特別受益問題は解決済みであることは上記「地代について」の末尾に記載したとおりです)。

いずれにせよ、あなたが建物を無償で使用するということをお父さんが認めていたのであれば、建物の持ち分をお父さんから引き継いだお姉さんとしても、お父さんと同じようにあなたに無償で貸与すべき義務があり、家賃を請求することはできないという結論になります。

【光熱費、経費について】

お父さんの死亡までは、建物全体経費電気水道局他の支払いをあなたが負担し、光熱費はお父さんが負担いたということですので、そのような内容の分担の合意が成立していたと考えてよく、お父さんの時代の精算は不要と考えていいでしょう

ただ、相続開始後は、お姉さんが底地全部や建物の持ち分を相続したということですので、費用関係については、お姉さんとの間で協議をされ、新たな合意をされるといいでしょう。

【弁護士と相談されることも考える】

以上、原則的な考え方を記載しました。

ただ、お姉さんの態度から見ると、調停や訴訟に発展する可能性もありそうです。

また、事案の内容によっては、より詳しく聞くと回答が変わってくる場合もあります。

相続に詳しい弁護士と法律相談をされることも考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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★相続した共有持分に応じた賃料をもらえないか【Q&A No.475】

2015/10/16




マンション1棟につき3分の1の持分を有しています。

マンションの賃貸をしています。

賃貸借契約の名義は母(持分3分の2)、管理は私(持分3分の1)です。

持分の分の家賃を母に請求できないでしょうか?



【ご質問内容詳細】

 「Q&A №265 夫が受け取っていた賃料の相続」(2013/4/8)の回答のについて質問です。

【お義母さんが単独で貸家契約をしていた場合、賃借人に請求できない】
 もっとも、家屋が共有であったとしても、賃貸人名義は共有者のうちの1名になる場合が多く、本件の場合も、賃料の支払いをお義母さんが受けているようですので、お義母さん単独で賃貸している可能性が高いと思われます。
 この場合、賃借人に対して賃料を請求できるのも受け取ることができるのも、お義母さん一人です。」


と回答されていますが、

 私の場合、 賃貸マンション一棟の建物と土地が父と母の共有名義で、17年前父が無くなり、土地とマンション建物の30%ぐらい私(長男)名義になりましたが、 賃貸契約書は全て母名義ですが不動産のやり取りは私がおこなっていました。

 マンションの管理作業も私がしています。

 私の持分の割合にで確定申告しておりますので、持分の税金等は私がはらっております。

 このマンションの家賃の持分を母に請求でいないのでしょうか(過去17年間と今後の家賃)。 

 建物の建築費は、私は負担しておりません。

 父と母が建てました。


記載内容 共有と賃料 使用貸借 共有持分の相続

(まさ)







【遺産不動産が賃貸中の場合の賃料の扱い】

 遺産の中に不動産があり、それが賃貸に出されている場合、賃料がをだれがどのように取得するのか問題になります。

 №265はこのような場合の質問です。

 まず、この場合に、最初に賃貸人は誰かということを考える必要があります。

 今回の質問では賃貸人はお母さんだということですので、賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人であるお母さんしかありません。

 賃貸人ではない他の人が賃料を賃借人に請求できる余地はありません




【法律的には共有者が賃料を請求できないのか?】

 賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人のみです。

 しかし、その不動産が共有なら、賃貸人はもらった賃料を他の共有者に分配する必要はないのかというのが今回の質問の趣旨のようです。

 この点を回答するには、お母さんと他の共有者であったお父さんとの間にどのような合意があったかを確認する必要があります。

 共有者であるお父さんが共有持ち分を無償使用することをお母さんに認めていた場合には、使用貸借の合意があったとして、お父さんからの賃料請求はできません。

 あなたは現在、30%の持ち分をお持ちのようですが、その持ち分がお父さんからの相続であるとすると、お父さんのしていた使用貸借上の権利義務を引き継ぎますので、お母さんはあなたに対して使用借権を主張することが可能であり、賃料を支払う必要はありません

 また、あなたはに不動産の管理をしているということですが、それは法律的に見れば、管理をしているに過ぎないものの、その管理費をお母さんが死亡した時の遺産分割の際に特別寄与として請求できる可能性はありますし、現時点でも管理費としてお母さんに請求することも考えてもいいかもしれません。

 次に、あなたは賃料総額のうち、持ち分の限度で税金の申告もしているようですが、これはあくまで税務の問題であり、申告したからといって、賃料の分配が認められるわけではありません。




【あなたのとるべき態度としては・・】

 以上に述べたことはあくまで法律的な判断です。

 あなたとしては、お母さんと話をされ、自分が共有持ち分30%を持っているのだから、その分に相当する賃料分配額を払ってもらえないかと相談されるといいでしょう

 その際、税金でも30%相当額を支払っているということも告げ、かつ管理もしているではないかということも併せお母さんに説明し、説得材料に使われるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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亡父と私が購入した兄名義のマンションは遺産か【Q&A No.467】

2015/09/15



① 父が主な出資者、兄名義のマンションがあります。

  父がなくなり、次いで母もなくなりました。

  マンションの残債の一部に私の預金600万円が当てられています。

  この600万円は寄与分ですか?兄に返還請求できますか?


② 母が私名義で貯金していました。

  この貯金は生前贈与ですか?遺産ですか?



記載内容

  特別受益 家賃 生前贈与


【ご質問内容①】
 亡父に預けていた預金(約600万:裏付け資料なし)を兄名義だが父が出資のマンションのローンの残債に充当する。
 私が無償で居住OK(兄は黙認)。
 亡き父が”いずれお前のものに!”(亡父)
 母も同じ発言。
 母が亡くなった今も、名義変更されておりません。
 この現状の中、亡母の相続協議では¥600万は”寄与”それとも、兄に”返還請求”?
 また、無償の家賃は”特別受益”それとも兄へ返還すべきものでしょうか?

【ご質問内容②】
 亡くなった母親から”お前名義で貯金しているからね。”と言われていました。
 この度の相続にあたって、資産管理を任されていた兄に、存在の確認と引き渡しを申し出たところ、”預かっているから引き渡すよ。”の返事がありました。
 この様な場合、この貯金は贈与=特別受益として扱うのか、手渡しが終わってないから親の遺産だとして扱うのかが判りません。
 どのように判定すべきかをご教授願います。



(泉南のくま)







①について

【マンションは誰のものか?】

 まず、マンションは誰のものかという点を確認しておく必要があります。

 お金を出したのがお父さんであっても、名義がお兄さんだということであれば、原則、お兄さんの所有とみていいでしょう。

 この場合、お父さんが出資した金額がお兄さんの生前贈与となり、特別受益として遺産に持ち戻されることになります。





【あなたがお父さんに預けていた600万円の扱い】

 あなたがお父さんに600万円を預けていたようですが、その証明はできないということであれば、あなたがその600万円についてお兄さんに返還を求めることはむずかしいでしょう。

 また、マンションがお父さんのものではないという前提であれば、あなたの寄与分にはなる余地はありません

 ただ、その600万円についてもお父さんからお兄さんにわたった(お父さんが出資した金額だ)という点が証明できるのであれば、その分もお父さんからお兄さんへの生前贈与(=特別受益)として考え、その600万円も遺産に持ち戻すことになります。





【マンションの所有権をもらうことはできないか?】

 お父さんがマンションを《いずれお前のものに!》と言われたようですが、マンションがお父さんの遺産であれば、お父さんから生前贈与でもらったと主張できる可能性がなくはありません。

 しかし、最初に述べたようにマンションはお兄さんのものという前提に立てば、お父さんが何を言ったかにかかわらず、あなたがそのマンションの所有権を取得することはできないということになります。





【無償利用は特別受益になるか】

 あなたが利用しているのはお兄さんのマンションであり、お父さんの遺産ではありません。

 そのため、その無償使用はお兄さんとの関係で問題になるとしても、お父さんの遺産で問題になることはなく、家賃相当分が特別受益になることはありません。





【弁護士に相談が必要なケース】

 今回はお兄さん名義であることから、マンションはお兄さん所有として考えていきました。

 しかし、お父さんがマンションを《いずれお前のものに!》と言ったということは、お父さんとしては自分の所有物であることを前提にしていたと考えることも可能です。

 前提となる事実関係が異なれば結論も異なります。

 本件については、具体的な事実を説明したうえで、相続に詳しい弁護士に相談され、マンションがお父さんの所有となる余地はないかどうか検討してもらうこと、また、その場合にどのような寄与分特別寄与や特別受益がどのようになるのか、回答を得られることをお勧めします。





②について

【お母さんがあなた名義でしていた預金について】

 お母さんがあなた名義でしていた預金については、あなたがその通帳や証書、取引印をもらっていない限り、原則、お母さんの遺産になります。

 ただ、お兄さんがお前に渡すよということを言っており、全相続人がそれに異議がないのなら、その預金分はお母さんの遺産ではなく、あなたがお母さんから生前贈与(=特別受益)されたものとして扱うことになるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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10:38 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★居住の利益と特別受益【Q&A №457】

2015/07/22



【質問のまとめ】

① 被相続人と相続人の一人が建築費用を折半して建てた家があります。

  被相続人の生前、その家には、相続人が一人で住んでいました。

  相続人に特別受益がありますか?


② 被相続人の家に相続人の一人が同居して、

  相続人の生活費の多くを被相続人が負担していました。

  相続人に特別受益がありますか?




記載内容

  居住利益 特別受益 建築費用


【ご質問内容】

遺産に不動産が含まれています。

土地は被相続人名義、家屋は建築費を被相続人と相続人Aが半分づつ負担し共同名義で相続人Aが居住しています。

被相続人は相続人Bと同居しており、Bは生活費として月に3万程度負担していました。

上記の場合、相続人A・Bともに特別受益になりますか?

また共同名義の家屋の現在の価値の半分が遺産の対象として含まれるのでしょうか?

特別受益と遺産との場合では相続分に価値的な違いが出てくるのでしょうか?




(迷える羊)







【Aの特別受益は居住利益】

 わかりやすくするために、被相続人がお父さん、AとBはその息子という前提で話をしていきます。

 お父さんとAとがそれぞれ建築費用を出して建築し、共有である家を、Aがお父さんから(半分)借りて住んでいたというケースです。

 Aの特別受益は、その家屋が共有である(つまり、家屋の半分はお父さんのものである)にもかかわらず、家屋の全部を使用している利益(正確に言うと、お父さんの持ち分を利用している点についての利益)と思われます。

 具体的には、その家の家賃相当額の半額(正確には土地利用料も考えられるが)を免除されたものとして、これを特別受益だと主張することになるでしょう。



【同居者の生活費の部分は特別受益が減殺される】

 Bについては、特に記載されてはいませんが、お父さんの家に無償で同居していたとすれば、家賃相当額が特別受益であるとの考えもあり得そうです。

 しかし、親と同居の場合には、扶養義務のある親子関係の同居であること、Aのような独自の居住状況ではないことや、親の面倒や介護をしていた等の理由からか、家賃相当額が特別受益になると主張されることは少ないようです。

 むしろ、このBのようなケースでは、親の介護をした等とかを根拠として、特別寄与等の主張が出てくる可能性さえあります。

 次に、Bは生活費を3万円出しているとのことですが、現実の生活費よりかなり低額であっても、被相続人と相続人が親子の関係であればお互いに扶養義務を負っていますので、特別受益とならない場合も多いです(この点は当ブログ【Q&A №254】母の生活費負担と特別受益・寄与分もご参照ください)。

 参考までに言えば、過去の裁判例では月十数万円程度の生活費提供でも特別受益にならないとしたものがあります。



【建物評価額の半額は遺産に組み込み】

 最後に、お父さんの有する共有持ち分は被相続人の遺産になります。

 おそらく本件のような場合には、Aが居住している家(正確にいうと被相続人の土地とその土地上の建物の共有持ち分)を相続で取得し、Bは被相続人と同居している家を相続で取得するということになりますが、それぞれの価額に差があれば、他の預貯金の相続で調整するか、代償金の支払いで調整することになるでしょう。

 評価基準時ですが、遺産の場合には遺産分割時点となります。

 特別受益の場合の評価時点は不動産等については、特別受益のあったときではなく、相続開始時とするというのが裁判例です。

(弁護士 大澤龍司)
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09:46 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

亡父の預金引き出しと相続放棄【Q&A №431】

2015/02/24



 音信不通だった父が亡くなり、預金をおろしにいくつもりです。

 古く状態は良くないものの、父名義のマンションに住んでいたため、家賃こそありませんが、荒んだ暮らしだったようで、管理費や、公共料金の滞納があります。

 相続人として預金をおろした場合、それらの支払い義務、またサラ金に借金があった場合の返済義務は生じますか?

 マンションの資産価値は現金に換算して、相続税がかかるのでしょうか?


記載内容

  借金 滞納 預貯金の引き出し 相続期間の延長 遺産調査事項

(桜餅)





【預金を下ろすと相続の承認となるか?】

 お父さん名義の預金は遺産です。

 そのため、お父さんの預金を引き出すと相続の承認をしたとされ(末記条文参照)、相続放棄ができなくなるというのが原則です。

 相続放棄ができないと、お父さんの借金等の債務は、法定相続人であるあなたに引き継がれ、あなたが債務の支払い義務を負います。

 ただ、過去の裁判例を見ると、遺産を墓代や葬式代に使用したり、死亡した人の荷物の引き取りのために使用したような場合には単純承認にはならず、相続分の放棄が可能(平成14年7月3日の大阪高等裁判所決定等)というものもあります。

 私的利用ではなく、被相続人の死亡に伴う支出で、社会的に非難されないようなものに出費した分は処分にあたらず、相続放棄を認めようというのが裁判所の考え方といっていいでしょう。

 なお、一旦は預金を引き出したものの、それを使用しておらず、その後に預金に戻した場合や手元に持っていただけの場合にも、相続財産を処分したとはみなされず、相続放棄が可能と考えていいでしょう。



【まず、遺産調査を確認しましょう】

 預貯金を引き出す前に、まず遺産調査をし、相続放棄をするべきかどうかを決断する必要があります。

 お父さんの遺産(財産)と債務の調査し、遺産の方が多い場合には相続放棄をせず、相続を承認するという決断をしてから後に、預貯金を引き出すという手順になります。



【遺産調査で確認すべき事項は次のとおりです】

1.遺産関係

① 預貯金額の確認・・金融機関で確認しますが、その際、預貯金とは別に借金等の債務がないか、又、保証人になっていないかどうかも確認するといいでしょう。

② 不動産の確認・・不動産があるのかどうか、あればどの程度の価額かを確認する必要があります。

 これらの点は市町村に確認するといいでしょう。

 もし、不動産があるのであれば、ついでに固定資産税の未納付がないかどうかも確認しましょう。

③ 株式等の確認・・預金通帳で配当などがある場合には、証券会社に株式の有無を確認する必要があります。


2.債務関係

① マンションの管理費や公共料金
 催告書の有無の確認やマンション管理組合への問い合わせをして滞納があるかどうか、滞納がある場合にはその金額を確認しましょう。

② 固定資産税の滞納

 この確認も必要不可欠ですので、市町村の固定資産税係に確認する必要があります。

③ 金融機関やサラ金などからの借り入れ

 お父さんのご自宅に届いている借入金や返済状況のお知らせといった郵便物により把握できるものもありますが、サラ金などからの借り入れの可能性があれば、お近くの信用情報機関などに問い合わせれば概ね把握できるでしょう。



【調査のために時間がかかる場合には延長願いを出す】

 相続放棄は原則として、相続開始を知った時点から3ケ月以内という短期間に家庭裁判所申し出する必要があります。

 しかし、調査のために時間がかかる場合もあります。

 その場合には、予め、裁判所に相続放棄の期間延長願い(専門用語では「相続放棄の熟慮期間伸長願い」と言います)を出すといいでしょう(【コラム】相続放棄期間の伸長参照)。

 遺産調査が難航しており、時間がかかるということを記載するだけで裁判所は簡単に3ケ月間の延長を認めてくれます。



【相続税について】

 平成26年内に相続が開始した場合には、基礎控除5000万円+法定相続人1人当たり1000万円の基礎控除が認められていました。

 そのため、法定相続人があなただけであれば、6000万円の基礎控除がありました。

 遺産(財産)から負債を控除して、6000万円以内であれば、相続税の申告は不要です。

 平成27年1月1日以降に死亡された場合には、基礎控除3000万円+法定相続人600万円の基礎控除ということに制度が改められましたので、法定相続人があなた一人だけであれば、3600万円の基礎控除になります。

 遺産(財産)から負債を控除して、3600万円以内であれば、相続税の申告は不要です。

 ただ、差額が3600万円以上あった場合でも、相続税特有の不動産価額の計算方法もあり、相続税の申告が不要となる場合もあります。

 詳しくは税の専門家である税理士さんに相談されるといいでしょう。



《参照条文:民法第921条 法定単純承認》

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二  相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

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16:44 相続放棄 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺品の処分と古い自宅の解体費用【Q&A №367】

2014/04/23
 遺品処理の費用について、誰が持つのか教えていただきたいと思います。

 父が亡くなり、母も施設に入り、実家の2階建て全9室の部屋の遺品、不用品を、遠方に居るため約1年半かけて整理してきましたが、価値のあるものは無く、あと箪笥など大物家具が12個ほど残っています。
 この実家は、私が相続することになっていますが、まだ名義変更には至っていません。今相続手続き中です。

 実家裏に住んでいる妹は、成人した娘と2人で住んでいて、フルタイムで働いていることと、母子家庭を理由に1度も手を貸してくれませんし、もちろんお金も出してくれません。
 私が相続するのだし、いつか取り壊すのだからほっておけばよいと言っています。

 施設にいる母と処理費用の相談をしようかと思いますが、母にも少し助けてもらうことはできないのでしょうか。
 また、妹達は、片づけることや処理費用を出す義務は、まったくないのでしょうか。

 妹は、父が生前に多くの援助をしてもらっており、相続でも相当の遺産を取得しています。
 母からも家賃免除や遺言を残してもらっています。

記載内容

遺品 処理 取り壊し
(ぶんさん)


【建物とその内部にある動産とは別個の物である】
 あなたが、不動産である実家の建物を相続する場合、その中にある動産の処理費用はどうなるかという質問です。
あなたが相続するのは実家の建物ですので、その建物を取り壊す費用が必要な場合には、その費用はあなたの財産になります。
 しかし、建物内の家具などの動産は、建物とは別個のものです。
 従って、自宅を取得した相続人が、その内部にある動産をすべて取得するというものではありません。
 例えば、自宅内に絵画や磁器、陶器などの骨董がある場合、それらの動産については別途、遺産分割協議書に分割方法を記載することが必要になります。

【自宅内の動産の帰属について特に定めをしなかった場合】
 自宅内の動産については、遺産分割協議で別途協議されていないのであれば、2つの解釈があるでしょう。
 まず、不動産である自宅と動産である家具などとは別個であるので、動産については別途遺産分割協議をしなければならない、という解釈です。
 この考えなら、現在未分割の動産についての処分費用は、法定相続人が全員で負担することになりますし、又、処分するかどうかの判断も全員で決定する必要があるという結論になります。
 ただ、本件質問と同じように、動産に価値がない場合には、遺産分割協議に動産についてなんら記載しない場合も多いです。
 そのような場合には、法定相続人の意向としては、自宅と同じ処分でよい、言い換えれば自宅を取得した者がその処分費用を負担するというのが暗黙の前提となっていると考えるといいでしょう。
 現在、あなた自身が自宅内の家具等の動産を処分されているようですが、もし、あなたが家具等の動産を相続で所有しないというのなら、なぜその動産を処分することができるのか、ということにもなります。
 不服かもしれませんが、自宅と共にその中にある動産も取得したと考えて、処分費用もあなたが負担するしかないでしょう。
 なお、この前提に立つと、仮に価値のあるものが出てきたとしても、それはあなたが相続していることになります。
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16:20 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★家賃が特別受益になるか。【Q&A №321】

2013/10/22
  
妹(次女)家族(母子家庭二人共就業している。娘は正社員)が、母名義の家に約10年間住んでいます。家賃は月5万円で母の預金口座に入れていました。以前、生活が苦しいということで、毎年50万円を5年間で250万円と敷金の30万円、それに子供の私立大の学費300万円(これは父から)を母から貰っています。
 この度父が亡くなり、その家賃のことをうるさく言う人がいなくなったり、生活が苦しいと言うので、家賃を母や主人(養子縁組をして法定相続人)と私が相談して免除しようということになりました。母は施設に入っており介護などの負担は3人ともありません。母の口座管理や身元引受人は私(長女)が引き受けています。今後、妹は母の家に母が生きている間、住み続けたいと言っており、その家賃が特別受益になるのかどうか?また、亡くなった後、スムーズに立ち退いてくれるかどうか、何か取り決めをしておいたほうが(書類にして)よいのかどうか。
 それと以前もらった250万+30万円は特別受益となるのかどうか。あと、妹が母の家に入る前に私たち家族がその母の家に入っていました。その入る際に、家をリフォームしてくれました。約300万円掛かったそうです。
 そこに私たち家族は9年ほど住まわせてもらいました。もちろん家賃も支払っていました。
 その後、一般の人が約10年住み、その後に妹家族が入りました。
 その時のリフォーム代は、生前贈与だと妹は申していますが、どうなのでしょうか?

記載内容

家賃 免除 使用貸借と特別受益 家賃の猶予 立ち退き


(まるさん)


【家賃の免除と特別受益の関係】
 妹さんが、これまで払っていた家賃を今後は払わずにお母さんの家に住むことを、家の所有者であるお母さんが認めるとした場合には、これまでの賃料を支払う賃貸借契約から、賃料を支払わない使用貸借契約に契約が変更されたことになります。
 この無償で使用する権利(使用借権)が特別受益になります。
 特別受益としてどの程度の価額かになるかについては争いがあります。
 支払いしなくてよかった賃料額を特別受益とするという見解がないわけではありませんが、賃料額を合計するとかなり多額になりすぎるということから、賃料額の総計を特別受益とはしないという見解が多いです。
 賃料を免除ではなく、支払いを猶予し、被相続人であるお母さんの死亡時(相続発生時)に清算するということにすることも一つの方法です。
 しかし、この場合には(使用貸借ではなく)賃貸借が継続しますので、次項の明け渡し請求が難しくなります。

【亡くなった後のスムーズな立ち退き】
 使用貸借契約の場合でも、賃貸人が死亡しても使用貸借は終了せず、当然には立退きを請求することはできません。
 そのため、使用貸借が終了し、使用貸人であるお母さんが死亡した場合には、建物を明け渡すという合意書を作成しておくといいでしょう。
 使用借権には、借地借家法が適用されませんので、明け渡すという合意書が無効となることはありません。
 ただ、裁判所のこれまでの判例を見ると、既に居住している者の立ち退きを認めることについては、かなり慎重であることも頭の隅に入れておく必要があるでしょう。

【使用貸借と特別受益との関係】
 仮に賃料なしとする場合、前記のように使用借権の設定の利益が特別受益となるものと思われます。
 ただ、土地の使用貸借の場合には、土地価額の1~3割程度の価額と評価できるのですが、家の使用貸借の場合には、その価額がかなり低くなります。
 特に、本件では最初は賃貸借であったのに、使用貸借としたのですから、居住者の権利は、賃借権という強い権利から使用借権という弱い権利になっています。
 そのため、使用借権の設定といっても、無償で使用できるようにはなったが、その反面、権利性を犠牲にしていることになり、それなりの設定の対価を支払っていることになります。
 このことを考えると、使用借権の価額はかなり少ないものになる可能性があります。

【結局は・・】
 賃料を確保するという方向で行けば賃貸借になり、明け渡しが困難になります。
 しかし、賃料をもらわないという方向で行けば使用貸借になり、(賃貸借に比べると)明け渡しがしやすいが、賃料分を損し、しかも絶対に明け渡しが確実なものでもありません。
 どちらを選ぶかは経営判断というべきものです。
 賃料の支払いを猶予して(ということは相続時の明渡は求めない方向になる)、相続に清算するというのが、妥当ではないかと思いますが、この点はあなた方でご検討ください。

【リフォームは贈与ではありません】
 家はお母さん名義ですので、そのリフォームはあくまでお母さんの家の価値が上がっただけであり、その利益を受けるのはお母さんです。
 あなた方はなんらの金銭的な贈与を受けていません。
 そのため、お母さんがリフォームをした家に最初に住んだというだけでは特別受益には該当しないでしょう。

【毎年50万円と敷金30万円は特別受益か】
 妹さんは生活が苦しく、毎年50万円を5年間もらっていたということです。
 月額にすると約4万円と少額であり、生活費の援助として扶養義務の範囲内とされる可能性が高く、又、お母さんとしては相続分の前渡しというような意図からしたものではないと思われますので、特別受益にはならないと思われます。
 なお、敷金の30万円というのは、妹さんがお母さん名義の家屋を賃貸するときに支払うべき30万円を免除されたという趣旨で理解すると、この分も生活費の援助的な側面が強く、特別受益にはならない可能性があります。


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15:31 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

長男が相続した不動産の賃料を母は受け取ることができるか?【Q&A №296】

2013/07/11
定年退職後に同居を始めた兄夫婦に頼まれて、父が「土地 建物(テナント併設)不動産を全て長男に相続させ、現金預金を妻と長女(私)に残す」という、公正証書遺言書を作成してしまいました。妻のことが心配になり、その後 自分で 「○○年○月に作成した遺言書にそって、財産を相続させます。ただし、妻の老後のために家賃収入は全て妻に相続させることにします」という自筆遺言書を作成したから、死後に出してほしいと長女の私に預けました。この後からの自筆遺言書で、不動産が長男名義になった後に、法定果実の賃料を、母はどうしたら 受け取ることができますか?
よろしくお願いします。

記載内容

賃料 遺言 管理費用 検認

(なつ)


【相続が開始すればまず、検認を】
 先に公正証書遺言があっても、その後に自筆遺言があった場合、後の自筆遺言が優先します。
 ただ、自筆遺言の場合、家庭裁判所の検認という手続をする必要がありますので、相続が開始した場合には早急に遺言検認の手配をしましょう。

【履行しなければ、負担付遺贈の取り消しを請求する】
 検認が終了したら、賃料はお母さんに渡すようにお兄さんに申し入れる必要があります。
 それでも、お兄さんが賃料をくれない場合には、相当期間を定めてお兄さんに履行を催告する書面を送付する必要があります。
 それでもなお、お兄さんが履行しない場合には、家庭裁判所にお兄さんへの負担付遺贈の遺言を取り消してもらう手続きをすることができます。

【調停などにもつれ込む可能性が高い】
 お父さんの遺言によりますと、長男の方は賃料は受け取れないにもかかわらず、テナントの賃貸に要する管理費用や固定資産税の支払いなど、賃貸人や不動産所有者として負担を余儀なくされそうです。
 長男としては納得できないと言い出す可能性が高いと思われます。
 これらの点を考慮すると、長男の方が簡単に賃料をお母さんに支払わない可能性もあります。
 本件については、遺言の検認手続きから始まり、現実の支払いまでに様々な動きがあるように思いますので、できれば早期に法律の専門家である弁護士に相談し、場合によれば委任することをお勧めします。


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13:23 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

夫が受け取っていた賃料の相続【Q&A №265】

2013/04/08
 自営業で、主人の母(お義母さん)が家計を管理していました。主人の死後は別会計で生活しています。
 お義母さんと主人の共同名義(割合は2分の1)となっている借家の家賃を、主人の死後もお義母さんが独り占めしていて、話し合いにも応じません。主人の相続人は私と未成年の子供ひとりです。借家の土地はお義母さん名義で借家管理はお義母さんがしています。
 どのような手続きをしていけば受け取ることができますか。

記載内容

賃料 連名 調停

(HANA)


【ご主人とお義母さんが連名で貸家契約をしていた場合】
 まず、借家人との間の賃貸借契約が、お義母さんとご主人の連名で行われていた場合には、賃料の取り分も基本的には2分の1ずつになります。
 その場合、賃貸人である地位のうち2分の1を、ご主人の相続人であるあなたが(お子さんと共同して)相続します。
 その結果、あなたはご主人の死亡後に発生する家賃の2分の1を渡すようお義母さんに請求できます。
お義母さんが支払ってくれない場合には、賃借人に対して、賃料の2分の1の支払いを請求することも考えていいでしょう。

【お義母さんが単独で貸家契約をしていた場合、賃借人に請求できない】
 もっとも、家屋が共有であったとしても、賃貸人名義は共有者のうちの1名になる場合が多く、本件の場合も、賃料の支払いをお義母さんが受けているようですので、お義母さん単独で賃貸している可能性が高いと思われます。
 この場合、賃借人に対して賃料を請求できるのも受け取ることができるのも、お義母さん一人です。

【お義母さんに請求はできないか・・】
 ご主人が生きている場合、賃料の扱いはどうなっていたのでしょうか。
 ご主人が賃料の半分をお義母さんからもらっていたのであれば、ご主人はお義母さんに対して賃料の半分の請求する権利を有していたことになり、相続人であるあなたがお義母さんに賃料を請求することも可能です。
 しかし、ご主人がお義母さんから賃料を全くもらっていなかったのであれば、親子のよしみでお義母さんに無償で建物を貸していたということになり、ご主人には賃料をもらう権利がなく、相続人であるあなたとしても、お義母さんに請求できる権利はないということになります。
 ただ、今回の質問では、ご主人とお義母さんが家計を共通にしていたようですので、ご主人の生前、家賃がお義母さんとご主人との共同の家計に組み込まれていたという可能性が高いと思われます。
 そうであれば、実質的にはそれぞれの家賃相当額2分の1ずつを双方が分割して取得していたという理解もできるでしょう。
 このような場合であれば、あなたはお義母さんに対して家賃を2分の1、渡すよう請求できる可能性があります。

【お義母さんが支払ってくれない場合には・・】
 いずれにせよ、お義母さんに賃料の半分を支払ってほしいという請求をする必要があります。
 ただ、お義母さんが支払ってくれない可能性もありまので、そのような場合には、お義母さんを相手方にして、賃料の支払いを求める調停を申立することも考えてもいいでしょう。
 調停の手続きについては、賃料のみの支払いを考えているのであれば、相続を扱う家庭裁判所ではなく、簡易裁判所で手続きをすることになると思われます。
 調停は裁判とは異なり、専門家ではない一般の方でも十分に対応できますので、裁判所で手続き等をお聞きになるといいでしょう。


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16:03 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義で購入した不動産と特別受益【Q&A №263】

2013/04/02
 先日祖母が亡くなり、現在父と叔父(父の弟)の間で遺産分割について協議中です。

 30数年前に祖母がアパートを建てたのですが、その際建物の名義は祖母、土地の名義は父にしていました。長男に家を継がせるという考えが強く、先々のことを考えてのことだったようです。
 アパートの家賃収入などは全て祖母で、父はこのアパートに関する事には一切ノータッチでした。固定資産税はずっと父が払ってきました。

 叔父の主張は、この土地は生前贈与に当たるから法律上それも遺産に加えた上できっちり半分ずつにするのが当然だというものです。

特別受益に当たるのでしょうか?

記載内容

名義 生前贈与 遺産 固定資産税
(おタル)


【特別受益にあたる可能性もありますが・・】
 土地がお父さん名義ということですが、どのような原因でお父さん名義になったのでしょうか。
 登記原因により、特別受益の問題になったり、名義貸しの問題になったりしますので、場合分けをして回答します。

①まず、問題の土地が元々はお祖母さん名義であったのを、お父さん名義にしたというのであれば、登記の原因としては贈与になる可能性が高く、この場合には土地の価額が特別受益なります。
②次に、第三者(他人)から土地を購入した際に、お父さん名義にしたというのであれば、その購入代金が誰の名義で支払いされたかが問題となります。
 お祖母さんが土地代金を出したが、登記名義はお父さんにしたというのであれば、 その土地の実質的な所有者はお祖母さんという主張が出てくる可能性があります。
 この場合には、特別受益の問題は発生せず、土地の名義上はお父さんであっても、  実質的にはお祖母さんのものであり、その遺産であるという扱いになります。
③お父さんが土地代金を出したが、その代金はお祖母さんからもらったものであるとすると、お祖母さんからもらった土地代金相当額が贈与になり、この代金額が特別受益の内容になります。

 このように、お父さん名義の土地でも、登記に至る事情により回答が異なってきますので、登記簿謄本を確認して登記原因を調査し、かつ、購入した土地ということであれば売買の実情を調査する必要があるでしょう。
 
【固定資産税の支払いは考慮される可能性がある】
《土地が実質上、お父さんのものである場合》
 お父さんがアパート(土地及び建物)の固定資産税を支払ってきたということですが、土地がお父さんの所有物とされる場合(前項①③の場合)には、当然お父さんが土地の固定資産税の支払いをする必要があり、この分をお祖母さんの遺産分割で返還を求めることはできません。
 但し、お父さんとしては、自分の土地の上にお祖母さんの建物があり、土地を無償使用されていることになります。お祖母さんとしては、土地の賃料の支払いを免れているわけですから、過去の賃料相当額を特別寄与として、遺産分割の際に請求することも考えていいでしょう。
 あるいは、無償使用させたこと自体(使用借権)により、お祖母さんが利益を受けているのですから、その無償使用できた利益自体を特別寄与として請求することも可能です。

《お父さんの土地所有権が認められず、お祖母さんの遺産になる場合》
 前項の②の場合であれば、土地はお祖母さんの遺産になります。
 その時には、お父さんは、本来の土地所有者であるお祖母さんの固定資産税を支払ってきたわけですから、お祖母さんの遺産が減少することを防いだとして、固定資産税の支払い分をお祖母さんの遺産に対する特別寄与として請求することが可能でしょう。


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12:01 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★息子を相続人でなくす方法【Q&A №258】

2013/03/18
 30年近く父名義の土地建物に同居する弟(夫婦)からの虐待が原因で平成22年5月父が列車に飛び込んでなくなり、父なき後ますますエスカレートする虐待のため母も家を出て老人施設で暮らしていましたが度重なる心労から癌を発症し昨年の12月に亡くなりました。母が家を出てからの2年間弟からは母の安否を尋ねる連絡は一度もなく危篤の知らせにも葬儀にも顔を出さずじまいでした。倒れた7月から亡くなる12月まで私が横浜から母の住む富山に移って一人で看病をし葬儀も行いました。
 父母は生前から弟に家から出て行ってほしいと言っていましたが暴言・暴力・無視を続け今も父母の家に住み続けこのままでは弟の占有権(?)が強くなるのではないか心配です。分割協議が整うまでの退去の要求とか家賃の請求など、早急にやっておくべきことがあれば教えてください。
 母は、全財産を私に相続させ遺言執行人に指名する旨の遺言書と、弟の廃除の遺言書を残しました。母は生前市役所・警察署・法務局人権相談窓口で虐待について相談しています。母の廃除の意思・私の執行人の立場から考え、母の相談内容の開示をお願いしたのですができないとの返答でした。法務省の審査基準を見る限りでは個人を特定できる部分をマスキングすれば開示可能なのではないかと思うのですがどうなのでしょうか。父母の最晩年の苦しみと悲しさを思うとやり切れません。

記載内容

賃料 代償金 無償使用 占有 廃除
(みみょう)


【まず、廃除の手続きをする必要がある】
 被相続人が廃除の遺言書を残しているようですので、あなたとしては《早急に》家庭裁判所に廃除の手続きをする必要があります。
 この手続きにより、弟さんを相続人から廃除することができます。
 ただ、廃除は被相続人に対する虐待があることが要件ですので、廃除を記載した遺言書の他に虐待を証明する証拠を裁判所に提出する必要があります。
 ただ、資料が整わないのであれば、とりあえず、家庭裁判所に廃除の申立をし、裏付け資料を追加して提出する必要があります。

【情報開示について】
 警察は、虐待があったとの通報があった場合には、刑事的な観点から捜査を開始することになります。
 ただ、特に刑事事件として立件されていないようですので、警察としては《捜査情報》ということで、一切、開示はしないでしょう。
 お母さんが、市役所や法務局人権相談窓口で相談されていたのであれば、あなたが相続人であることや、虐待を記載した遺言書があることを明らかにしたうえで、早期にそれらの役所に開示請求をされるといいでしょう。
 残念ながら、当事務所では廃除請求をした経験がありませんので、請求の結果、マスキングして開示されるのか、全く開示されないのか、全面開示されるかどうか、お知らせすることができません。
 ただ、お母さんが虐待の相談に行き、その件で相続人が開示請求するのですから、開示される可能性もあると思います。
 悩んでいても始まりませんので、ともかく開示請求を行い、行政と開示に関する交渉を行うことであり、その中で行政側を説得していく必要があります。
 なお、身体的な虐待(傷害等)があった場合には、病院のカルテが有効な資料になります。この場合には相続人であることを証明すれば、カルテは開示されます。

【遺産分割協議までの対処】
 あなたがお母さんの全遺産をもらうという遺言書があるようですので、家はあなたが全部相続したことになります。
 そのため、あなたとしては、弟さんに家からの退去を求める権利があります。
 ただ、弟さんとしては無償使用権(使用貸借権)を主張され、退去に応じない可能性があります。
 退去に応じないのなら、賃料をもらいたいという考えもあるでしょうが、弟さんは家賃を支払わずに居住していたのでしょうから、賃料の支払い請求も困難です。
 話し合いで解決できれば一番望ましいでしょうが、事案から見てそのような解決は困難なように思われます。
 結局、退去や家賃の支払いを求めるのであれば、明渡訴訟等の訴訟手続きをする必要があり、その中で

①退去を求めないが、今後は家賃を支払わせる約束(和解)をするか、
②判決で勝って、明渡の強制執行をする


のどちらかになるでしょう。


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10:06 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【Q&A №211】遺産分割のやり直し

2012/11/05
 遺産分割

 遺産分割のやり直しは可能でしょうか?今から27年前に母、26年前に父が亡くなり親が所有していた土地は2分割になるはずですしたが、この機会に兄が家が老朽化しているので、土地を担保に家を新築しよう。その時に土地が分割してあると借りにくいし面倒なので自分の名義にしたいと言ってました。それか毎年固定資産税が発生するしお前は払えるか?と聞かれ、その時に固定資産税など払えなかったし、兄が家を建てるならいいし、住むには困らないので、遺産分割協議書に印を押しました。その後、新築した家に住んでます。最近親の生命保険300万があることを知りました。コレに関しては分割請求できますか?
 また、本来は相続した土地の半分はもらう権利があったと思うので今から請求できますか?時価相当分のお金をほしいと兄にいったら、遺産分割協議書作るときに固定資産税払えるか?と聞いたら払えないというので、放棄と確認したから俺が相続して登記して家も建ててる。正規の手続きはしてあるから今更言うな。イヤならお前がタダで住んでいた家賃分と駐車場代も請求と今まで払った固定資産税、親の治療費、葬儀代を請求するといわれてしまいました。やっぱり年数もたっているので、請求は難しいでしょうか?相続時の説明が足りなかったことにはなりませんか?

記載内容

やり直し 時価相当額 生命保険 
(inpressa1)


【生命保険は遺産ではありません】
 よく誤解されやすいのですが、生命保険は受取人に指定された人物の固有財産であり、遺産ではありません。
 相続税の申告では、遺産に含んで課税されますが、これは税金のことであり、遺産分割においては、保険金は遺産に含まれないというのが裁判所の見解です。
 ごくまれに、保険金以外に遺産がないような場合には遺産扱いされることがありますが、本件では保険金の他に土地もあることから、原則通り遺産ではないとされる可能性が高いでしょう。
 従って、今回発見された保険金を、受取人に対して分割請求することはできないでしょう。

【やり直しには無効事由が必要です】
 あなたにも、遺産である土地の2分の1の相続をする権利がありました。
 しかし、あなたが遺産分割協議書でお兄さんの名義にすることを認めていますので、対外的には、お兄さんが単独で相続することを認めたことを意味します。
 その当時、時価の2分の1相当額の金銭支払いを約束していれば、もちろんその支払い請求ができますが、当時そういった約束をしていなければ、今からお兄さんがその請求に応じることは考えにくいでしょう。
 また、相続時の説明が足りなかったという点はあるでしょうが、お兄さんとの話し合いの中で、虚偽の事実を積極的に述べたなどの事情がない限り、遺産分割の無効を主張することは難しいでしょう。


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14:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

家賃収入は遺産か?【Q&A №130】

2012/03/12



 父が他界し遺言書により家賃収入がある賃貸不動産を姉(私)と弟(A)で相続しました。他の相続人は母ともう一人の弟です。
 すでに分割協議も確定していますがこの件に関しては特に明記はありません。相続開始から分割協議確定迄の家賃収入はどの様になるのでしょうか。
 Aはその間の家賃収入は法定相続人で分配するもの。(最高裁判決平成17年)と申しております。
 法律に従いたいと思いますのでご回答よろしくお願いいたします。


記載内容

  賃料 不動産 最高裁判決

(オリーブ)


【相続開始後の賃料は法定相続分に応じて相続人が取得する】
 相続開始後に発生する賃料収入は、遺産分割協議でその不動産を誰が取得したかとは関係なく、各相続人がその法定相続分に応じて取得します。
 以前は、遺産分割協議で賃貸不動産を取得した者が相続開始後の賃料も取得したのですが、平成17年9月8日の最高裁判決(裁判所ウェブサイト 裁判例情報)で、原則として、法定相続分に応じて分割されることになりました。
 弟さんが主張されているとおりです。
 もちろん、相続人間でこの判決と異なる合意をすることも可能ですが、そのような合意をしていないのであれば、この最高裁判決に従うことになります。
 したがって、もし死亡後から遺産分割協議までの間の賃料を取得しておられる人がおれば、他の相続人は、その取得者に対し、相続分に見合う賃料を返還請求することが可能です。
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11:18 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★家賃収入は遺産か?【Q&A №128】

2012/03/09



 私は亡くなった父方(次男)の祖父母と私の子供3人と暮らしています。祖父の(子)長男さんは結婚されていますが子供さんはいないし、祖父母の面倒を見ないので私が一緒に暮らしています(一緒に暮らしていることを長男は良く思っていません)。長男さんは都会にマンションも買っているので祖父母は私か、私の子供たちに今住んでいる家の登記簿の名義を変えたいといいます。
 しかし、私の父親は亡くなっていますし、長男さんが健在なので今名義をかえると、もめる元だと思います。祖父は今変えないと、亡くなってからではややこしくなると心配しています。祖父は軽度のアルツハイマーですが今は薬を飲んでいるのであまりボケもありません。
 名義も変え遺言状も書きたいと言っています。どうゆう手順で何をしたらいいですか?


記載内容

  公正証書 自筆証書 生前贈与

(3人の母)


【生前贈与は避けた方がよい】
 生前贈与にするのか遺言書にするかを判断するときには《紛争防止》と《税金対策》の2点を中心に考えるといいでしょう。
 ご指摘のように、生前贈与をした場合には、伯父さん(祖父の長男さん)が「あなたが遺産を取り込もうとしている」と強く反発する可能性が高いです。お祖父さんの生前から、伯父さんとの間で遺産を巡る激しい対立が生じるおそれがありますが、年長の伯父さんにあなたが対抗するのもなかなか難しいと思います。
 また、税金面でも贈与より相続の方がはるかに有利です。この他、贈与を受けると固定資産税も家の補修費も贈与を受けた人が支払うことになり、この負担の重さも考えると生前贈与は避けた方がよいでしょう。

【公正証書遺言を作成してもらうのがいいでしょう】
 お祖父さんの遺産をもらうには、遺言書を作成するといいでしょう。
 ただ、お祖父さんのアルツハイマー病がすすむと、意思能力がないと判断され、遺言の効力が認められません。
 現在は軽くても、アルツハイマー病が進むことを考え、できるだけ早く、お祖父さんに遺言書を書いてもらいましょう。
 なお、遺言書は自筆で作成することも可能ですが、確実なのは公証役場で作成する「公正証書遺言」です。費用はかかりますが、公証人という第三者が関与する分、後から無効を主張されるリスクも少なく、遺言書が紛失するリスクを避けることができます。
 ぜひ、公正証書で遺言されることをお勧めします。

【認知症のテストを受けておく必要があります】
 現在、お祖父さんは軽いアルツハイマー病ということですが、将来、伯父さんが遺言書の効力を争うときには《遺言書を作成した当時にはお祖父さんはアルツハイマー病で意思能力がなかった》ということを必ず主張します。
 そのため、遺言書作成の前に《長谷川式認知スケール》等の認知症の程度を調べるテストを受けておくといいでしょう(インターネットで検索すれば、どこの病院でしてもらえるかがわかります)。
 将来、裁判等になった場合、《長谷川式認知スケール》がお祖父さんの意思能力を示す重要な証拠として役立ちます。
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13:58 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺言と寄与分はどちらが優先されるのか【Q&A №125】

2012/03/05



 先日父が他界。父には子供がABCD(母は他界)と4人。
 10年前に「Bにすべてやる」という公正証書をBが作成。20年前にAと父で遺留分等を検討した公正証書がありましたがそれは無効という記述までありました。
 Bは父を取込、数年前から施設に預け(父の家賃収入で賄える範囲=Bは金銭的・体力的に世話はしていない)、「Aを信用するな!」等と言う張り紙を部屋に貼っていました。
 今回父が他界し、Dが「亡き母が自分名義の通帳があると言っていた」と思い出し、銀行に口座の確認をした所、昨年、全額預金引き出しされていました。
 また、父の家の玄関の鍵を勝手に交換し、Aだけが番号を知っており鍵も持っていた金庫をガスバーナーでこじ開けています。
 これらの行為は「全てBに」という公正証書があればやっても良いのでしょうか?何か法的に訴えることは可能ですか?
 というのは、寄与分(父の投機失敗により多額の借金を清算するためA名義の土地を売った)の証明がその金庫に入っていたはずなのですが、Bがこじ開けているため、証明不可能になってしまい、Aが40年以上住んでいる土地をBが相続すると言っているのです。困り果てています。ちなみにAは生活に困窮・Bはかなり裕福です。


記載内容

二つの遺言書 遺留分 寄与分

(絶望)


 「10年前に『Bにすべてやる』という公正証書をBが作成。」とありますが、これはお父様の公正証書遺言のことだと思いますので、その前提で回答します。

【お母さんの預金について】
《誰の財産か?》
 まず、お母さんが作成したDさん名義の預金通帳があったようですが、もし、お母様が自分の財産で蓄えていたのなら、その預金はDさんのものではなく、お母さんのものです。
《生前に引き出されたのか?それとも死後か?》
 お母さんの財産である場合には、お母さんの生前に引きだされたものか、それとも死後に引き出されたものかが問題となります。
《生前の引出なら》
 預金がお母さんに生前に引き出されたものであれば、その引出を誰がしたのか、お母さんがしたのならその引き出した金はどこに行ったのか?もし、お母さんの意志で特定の人に渡したのであれば特別受益の問題がでてきます。
《死後の引出なら》
 おそらく質問では、死後の引出を問題としているのでしょう。
 この場合には、お母さんの遺言書がないなら、各相続人が法定相続分に応じて取得しますので、仮にBさんが勝手に引き出したというのなら、他の相続人はBさんに対し、それぞれの相続分に該当する金額の返還を要求できます。

【2通の遺言書がある場合】
2通の遺言書がある場合、後に作成された分が有効になります。
なお、お父さんは遺言作成するときに、Bさんからいろいろ言われていた可能性が高いでしょうが、最終的にお父様が自分の意思で、『Bにすべてやる』と決めたのであれば、遺言は有効です。
また、Bさんが金庫などを壊したということですが、自分が取得した財産の処分は自由ですので、その点についていえばBさんに違法な点はありません。

【遺贈は寄与分に優先する】
 遺言(遺贈)は寄与分に優先します。
 遺言で『Bにすべてやる』というのが有効であれば、寄与分の問題は発生せず、遺産はすべてBさんに行きます。

【寄与分か貸付か?】
 ただ、Aさんがした行為が贈与《寄与分》ではなく、《貸付》であった場合には、Aさんはお父さんに対して返還請求ができます。本件ではお父さんが死亡していますが、その遺産を取得したBさんに対して、その貸金債権を請求することができます。

【遺留分減殺請求ができる】
 Bさんが遺言書でお父さんのすべての遺産を取得する場合には、他の相続人は8分の1の限度で遺留分減殺請求ができます。
 但し、その請求できる期間は、原則としてお父様が亡くなられてから1年間ですので、早期に弁護士と相談し、しかるべき手を打つべきでしょう。

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相続債務の負担について【Q&A №101】

2011/11/16


 先月私の父がアパート経営借入金負債のままで亡くなりました。アパート経営は 築何年もたっており 返済はできているもののかなり厳しい状態です。
 父名義の土地他、財産もちょうど正、負の債務と同額くらいかと思います。(現在、相続相開図を作成中)
 そこでご質問ですが アパートには債務者亡き父 連帯保証人には弟、長男となって いるわけですが公正証書遺言書通り記名の土地を私が相続した場合 たとえば来年度 アパート家賃返済の困難 アパート修繕なで多額の費用が発生した場合 私にも負の 債務が生じてくるのでしょうか。限定承認という手続きもありますが、相続したせいで、私が今後の借金返済の債務を背負うことになるのでしたらやむなく放棄を考えています。そうでなければ父の意志通り相続していきたいと思っています。
 相続後の債務、遺産放棄について良きアドバイスをお願いします。


記載内容
  
  遺言書 相続債務 
(ままの本)



【あなたにも相続債務がきます】
 相続では、預金や不動産等の資産をもらえるだけではなく、借金や債務も引き継がれます。あなたは法定相続分の割合(相続人が3人の子のみであれば、3分の1の限度で)債務を引き継ぐことになります。
 アパートの建築のためにお父さんが多額のローンを残して死亡されたというのであれば、あなたは相続分で分割された借金を支払う責任があります。
 そのアパートを誰が取得するかに関係なく(あなたがアパートをもらわなくとも)、あなたはその債務を引き継がなければならないのが原則です。

【相続人間でアパートを相続した人に債務全部を引き受けてもらう合意をした場合】
 アパートを相続する人(たとえば長男)に、ローン債務全部を支払ってもらうという合意をすることは可能ですし、遺産分割協議でこのような合意をする場合があります。
 ただ、注意しなければならないのは、このような合意は相続人間でのみ有効で、債権者に主張するためには、債権者の同意が必要です。
 たとえば長男が全部払うことに遺産分割協議が出来ていると言っても、債権者はこれを無視してあなたに債務の履行を請求することができます。

【金融機関に債務免除してもらうことも考えられるが・・】
 債権者があなたに対して債務免除すれば債務は負担しなくてもすみます。
 長男さんとしては、ローンに連帯保証しているのですから、相続放棄しても債務の履行が必要です。
 長男さんにはアパートを取得してもらい、金融機関との間で、債務の支払いは長男がすること、言い換えればあなたの債務を免除するように交渉してもらう方法もあります。
 通常、金融機関は債務者を単独にすることには応じないですが、長男に資産があるとか、あるいは金融機関に信頼されているというような場合には、応じる例がたまにあります。
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18:28 遺産 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

★亡き母の預金を独り占めする姉【Q&A №61】

2011/03/04
 
 母が死亡し、3年経過しました。相続人は、娘3姉妹です。
 同居していた長女が賃貸を管理し、確定申告もしているようです。準確定申告の際も内容を見せず勝手にいままで思うようにしています。
 賃貸借契約書も見せてくれないので、毎月の家賃も正確には分かりませんが、1度母に聞いたら、年金が厚生と企業年金で毎月30万円で家賃が20万円との事でした。
 でも姉は、現在は母の預金は0円と言い張り、通帳も見せてくれません。再三の請求をすると、確定申告書の第1表の3年分を見せたのですが、内容がさっぱり分かりません、
 これから正当に請求をしたいのですが、預貯金については取引開示請求ができるとの事ですが、3年分を取得すれば足りるのでしょうか?
 母は年間500万円ほど所得があったようです。よろしくお願い申し上げます。


記載内容

  遺産調査 取引履歴 確定申告 
(taka)


【何よりもまず遺産の調査を!】
 まず、遺産がどの程度あるのかを確認するのがもっとも重要なことです。
 あなたは、亡くなったお母さんの子供であり、相続人という立場ですから、この立場を利用して遺産の調査をする必要があります。

【遺産調査の方法・・まず準確定申告を調査する】
 まず、被相続人に収入がある場合には、死亡から4ケ月以内に税務署に準確定申告をする必要があります。
 この準確定申告は長女の方がされたようですが、もし、長女単独で申立したのなら、その内容を見ることはできませんが、もし、あなたも署名捺印したのであれば、税務署に行き、申告内容の開示請求が可能です。
 開示された場合に、どのような収入があるのかが明らかになります。

【金融機関の口座も調査する】
 次に金融機関の口座の調査も必要です。とりあえず、わかっている金融機関に取引履歴の照会をしましょう。
 相続人であることを証明すれば、取引履歴の取り寄せが可能です。取り寄せた履歴を見て、使途が分からない出金があるかどうかを確認する必要があります。取寄せる取引履歴の期間はできるだけ長い方がよく、最低でも5年程度遡る必要があるでしょう。
 なお、取引履歴を確認すると新たな金融機関や証券会社を発見できることがあります。
 その場合には、更にそれらの金融機関や証券会社についても取引履歴を調査する必要があるでしょう。

【不動産の調査も必要です】
 なお、念のためにお母さんの所有していた不動産の調査も必要です。
 これはお母さんの不動産があると思われる市町村に名寄帳の取り寄せを申請すればいいでしょう。

【弁護士などの専門家に依頼するのがいいでしょう】
 遺産の全容を把握するためには専門的知識が必要ですし、長女の方の対応を見ていると、遺産の全容を把握できた場合でも、その分割の交渉のためにも専門家の力が必要なケースです。
 お母さんの年収が500万円程度あったのであれば、遺産も相当額あった可能性があります。そうであれば、遺産分割で財産を取得できますし、又、死亡後の賃料も取得できます。
 是非、相続に詳しい弁護士などに調査を依頼することをお勧めします(なお、滋賀県弁護士会の電話番号は、077-522-3238です。)。
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だまされて遺産分割協議書にサインしたら【Q&A №57】

2011/02/03
 
 2年ほど前に両親が亡くなり遺産分割協議書を作成し、提出しました。
 土地は姉妹で等分に分けましたが、建物には銀行のローンが残っていた為、姉からローンは単独で引き継いだ方が良いと銀行から言われ、建物は姉の単独相続なりました。
 遺産分割協議書作成の時には「名義上私だが、実質は姉妹全員の所有。内容を変更してほしければいつでも協議書を作り直す。」と言われました。
 しかしリフォームのせいで赤字だと言って収入は独り占めしています。(土地の使用代として家賃収入は平等に分けるとの約束でした。これも口約束ですが。)ローンも知らない間に完済していました。
 騙されたのではと思い、遺産分割協議をやり直して欲しいと言いましたが断られました。騙されたのです。弁護士に相談したところ遺産分割協議書を提出後なので例え騙されていたとしても実際に裁判で勝てる見込みはないとのこと。他の姉妹は事情があり味方についてくれません。
 諦めずにおりましたら、第三者である行政書士の方が、そのようなやりとり(実際は全員の所有などの発言)を書き取ったメモもあり証言も可能と言って下さいました。
 普通にいったら絶対負けると言われた裁判ですが、このような第三者の証言があった場合勝てる見込みはかなり変わるでしょうか?
 それともやはり難しいのでしょうか?


記載内容

  遺産分割協議 詐欺
(こころ)


【2つの方向が考えられます】
 遺産分割協議を無効にすること、遺産分割協議のときにお姉さんの言ったことを実現してもらうこと、の2つの方向が考えられます。
 まず、遺産分割協議も合意ですから、家賃収入を平等に分けるつもりがないのに、あなたをだまして、建物の単独名義を取得したのであれば、詐欺を理由に取り消すことも考えられなくはありません。
 次に、家賃収入を渡さないという点から言えば、この(家賃を平等に渡すという)債務を実現するように、お姉さんに要求することできます(お姉さんは拒否しているようですが)。

【双方の主張と証拠】
 いずれにしても、「家賃収入を平等に分けるという」話があったというだけではなく、その「合意」があったことを証明する必要があります。
 あなたの方は、行政書士のメモなどもあり、証人にも出てもらえるようですので、それらが有力な証拠となる場合もあるでしょう。
 しかし、お姉さんの方としても「遺産分割の途中でそのような話もあったが、結局、合意に至らなかった」、「家賃の平等分配というような重要な合意があったなら、合意書などで書面にしているはずだが、そんなものはない!」と主張しそうですし、他の兄弟の方たちも「お姉さんのいうとおりだ」と言い出す可能性もあるでしょう。

【勝てる見込みが変わるかどうか】
 この質問の回答は、その行政書士のメモがどの程度正確なものか、又、その証言がどれほど裁判所に信用してもらえるかにより異なります。
 そのため、非常に申し訳ないですが、「勝てる見込みが変わる」かどうかは、はっきりとは言い切れないというのが正直なところでしょう。

【もう一度、相談をしてもいいかも・・】
 既に弁護士と相談されたようですが、行政書士という新たな証拠が出てきたのであれば、再度、法律相談されることも考えてもいいでしょう。
 その際には、そのメモも持参し、可能であれば、その行政書士さんにも同行してもらって、「証拠」としてどれだけ役立つのかを確認してもらうことを考えてもいいでしょう。
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★長年放置した遺産の分割【Q&A №3】

2009/07/23

母の父が数十年前に亡くなっているのですが何箇所かの土地が未だに相続されないまま祖父名義のままになっています。
母の兄弟も何名かすでに亡くなっており残り母を含め2人となってしまいました。母も高齢になってきているので何とか今のうちにきちんと相続をしておきたいと思います。
ですが祖父名義の借家には母の兄嫁が勝手に数十年にわたり家賃をとっていたり、また、別の家には相続がなされないまま数十年兄嫁親子が住んでいたりしています。
その中でもうちの母は自宅近くにある祖父名義の土地を長年管理してきましたのでそこだけでも分割相続をしたいと思っております。祖父名義の土地の一部だけを母が相続する事は可能でしょうか?
又もし全体を分割相続しなければならないとしたら自分が相続しない所までも最初に言い出した母が弁護士費用、その他の相続費用を支払わなくてはいけないのでしょうか?
高齢で貯蓄もないのできちんとしたいものの費用面もとても不安でなかなか次に進めない状態ですのでアドバイスお願い致します。


記載内容

  遺産分割協議 相続費用 弁護士費用 
(ひまわり)



【まず遺産分割協議を】
お祖父さんの遺産のうち、お母さんが希望する土地を相続することは可能です。
ただ、そのためにはお祖父さんの相続人全員で遺産の分け方を話し合う(「遺産分割協議」)必要があります。
 なお、この協議には亡くなられた兄弟(=祖父の子)の相続人が参加する必要があります。
お母さんの希望する土地の相続について全員の同意が得られれば、そのことを記載した遺産分割協議書を作ります。そうすると登記名義をお母さんに移転することができます。
 しかし、もしお母さんの相続する土地の値打ちが外の相続人が受け取る遺産と比べて高すぎるというのであれば、他の相続人にお金(代償金)を支払って土地をもらうということもあります。

【協議がまとまらないときは】
 相続人の間で分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをし、これでもまとまらないときは家庭裁判所の審判(判決のようなもので、裁判所が判断します)で遺産の分割をすることになります。
 この場合にも、裁判所は長年あなたのお母さんが管理してきた土地という点を考慮するでしょうから、その土地をお母さんが相続する可能性が高いと思われます。
 ただ、審判では相続人間の公平を考え、法律で定められた相続分を基準に判断しますので、お母さんが代償金等の支払いを命じられる場合もあるかもしれません。

【費用等の負担者は】
 遺産分割に必要な費用は最初に言い出した方が全ての費用を負担するわけではありません。相続費用(例えば相続登記の費用)については、相続された方がそれぞれ負担することになります。
弁護士に依頼した場合、その費用は依頼した方が負担し、他の相続人に負担を求めることはできません。弁護士は依頼者である方の立場を守るために行動するからです。

☆ワンポイントアドバイス☆
 質問の中に、お母さんの兄嫁が勝手に、祖父名義の借家の家賃をとっていたということが記載されています。
 遺産分割が完了していない間の家賃は、相続分に応じて、相続人全員がもらう権利がありますので、過去に遡って家賃を兄嫁に請求することが可能です。
(ただし、時効ということもあるので、一部しか請求できない場合もあります。)
 もし、家賃を貰うことができれば、相続費用の負担が軽減されるでしょうし、弁護士を頼む際の費用に充てることも可能です。
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