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使用貸借されている土地を生前贈与でもらった場合【Q&A №607】

2018/05/10


【質問の要旨】

土地を生前贈与すれば使用貸借はどうなるのか

記載内容  使用貸借 相続 生前贈与


【ご質問内容】

使用貸借されている土地を【相続】した場合のみ、
賃貸人の義務を相続人は、承継する。

相続でなく、【譲渡】の場合は、
第三者は、義務を承継しない。

では、大澤先生、わからないので
お手数ですがお教え頂きたいです。

【生前贈与】で、もらった場合は、
義務を承継するのでしょうか
承継しないのでしょうか。

(悩み中)



 ※敬称略とさせていただきます

今回は、土地を他人に使用させている土地の所有者(A)が、土地を第三者(B)に生前贈与した場合、BはAの義務を引き継ぐのかどうかという質問です。

【生前贈与の場合、使用貸借関係の権利義務は引き継がない】
土地の使用貸借(無償貸与)での義務といえば、土地利用者(C)に土地を使用させる義務ですので、生前贈与を受けたBがCの土地の利用を拒むことができるか、換言すればCに建物撤去を求めることができるかという問題です。
AとCとの間には、無償でCに土地を利用させるという契約が成立しています。
しかし、これはあくまでAとCとの間の契約にすぎませんので、Bが使用貸借上の義務を引き継ぐことはありません。
そのため、BとCとの間で新たな土地使用に関する契約が締結されない限り、CはBからの建物撤去要求を拒むことはできないということになります。

【損害賠償請求問題は発生する】
以上のように、Aが生前贈与したことにより、結果としてCは建物撤去せざるを得ず、多大の損害を被ります。
その点については、AがCに土地を利用させる義務があったのに、それを不履行にして損害を与えたということで、CがAに対し損害賠償請求してくる可能性もありますので、この点も考慮された上で、生前贈与あるいは撤去要求をするかどうかを判断されるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:05 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

実家に居座り続ける兄に家賃請求はできるのか?【Q&A №593】

2017/12/08


【質問の要旨】

父の死後、実家に住む兄から賃料をとることはできるか?

記載内容  賃料 無償 使用貸借 

【ご質問内容】

父が亡くなり2年になります。
母は10年前に亡くなりました。
現在遺産分割で調停中です。
兄弟は3人です。
母が亡くなった後、兄夫婦が実家で父と同居を始めました。
父は兄夫婦と賃貸契約を毎月家賃を徴収していました。
父が亡くなった後も兄は住み続けています。
兄は土地家屋、預貯金1/3を主張していますが私と弟は土地家屋も1/3を主張しています。
兄に父との賃貸契約時の1/3の金額を遺産分割終了まで求めることはできますか?
また父は生前兄夫婦には土地家屋は渡さないと言っていました。
そのため賃貸契約をして住まわせていました。
毎月の領収証も帳簿で残っています。
父は遺言を作るため、色々とメモに思いを起こしていた最中に亡くなったため遺言はありませんが自筆メモで意志が残されています。
実家はこのまま住み続ける兄のものになってしまうのでしょうか?
また土地家屋の分割はどうなるのでしょうか?


(める)



 (「兄弟3人」とのことですので、回答文中は「兄」「あなた」以外のもう一人の兄弟を「弟」と表記します。)
(敬称略で記載しています。ご了承ください。)

【死亡後の賃貸借は継続し、相続人3人が家主になる】
一般には親子間で賃料を払ったり、賃貸借契約書を締結するケースは少ないのですが、今回の質問は、父と兄が契約を締結し、賃料の支払いもされていたケースですので、親子間で法的な賃貸借契約が成立しています。
そのため、家主である父が死亡したとしても契約は終了しません。
現状では父の相続人である兄弟3人が賃貸人(家主)の地位を引き継ぎます。
法律的に言えば、《賃貸人の地位が3人に準共有される》ということになります。
その結果、あなたの兄弟がそれぞれ3分の1の賃料を請求する権利があります。
兄としては、自らも3分の1の限度で賃貸人ですので、その分の賃料の支払いは不要ですが、残りの賃料の3分の2については、あなたと弟にそれぞれ3分の1の賃料を支払う必要があります。

【兄は賃借人として居住を続けることができる】
前項で述べたように、父の死亡後も賃貸借契約は存続しますので、相続が開始しても、兄は賃借人の地位を失うことはありません。
そのため、兄の居住する不動産を兄以外が取得した場合でも、賃借権がある限り、兄は居住不動産から退去する必要はありません。

【父のメモの効力】
父は兄に土地建物を相続させないというメモ書きを残されていたようですが、法律的に言えばそのようなメモは遺言書ではなく、その内容が法的効力を持つことはありません。
ただ、父の考えがそのようなものであったとして、あなたと弟の方が不動産を取得したいと申し出することは当然、可能です。

【兄以外の者の不動産取得と退去の関係】
しかし、あなたあるいは弟が不動産の単独の所有権を取得したとしても、兄は賃借権を持っているのですから、そこに居住を続ける法的な権利があります。
所有権を取得したとしても、その取得したあなたあるいは弟としては、兄を追い出すことはできないことはご承知ください。

【土地家屋の分割について】
遺産分割調停などでは、兄が居住している場合には、調停委員はその不動産の所有権を、居住者である兄に取得させることが多いでしょう。
その場合は、その不動産を取得した分、兄の取り分が減少することになります。
もし、兄がこの不動産を取得することによって、法定相続分でもらえるはずである金額以上を取得するということであれば、兄があなたと弟に対して代償金を支払う必要があるということになります。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:04 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

母、兄家族と同居の独身女性【Q&A №574】

2017/08/01


【質問の要旨】

実家を出ていけといわれたが、どうすればいいか

記載内容  同居 相続対策

【ご質問内容】

 60年住み慣れた家を出て一人で暮らしてと兄より言われて困惑
 実家は母屋と離れの部屋もある。
 相続対策として何か出来ることは
 父の死後、家屋・土地が兄の名義になっているかも?
 家を出て生活する予定にしていなかったため蓄えもなく長年勤めた仕事も定年退職し現在パート勤務。
 10年後を考えると・・・

(十年後不安)





【不動産登記簿で家がだれの名義かを確認する】

1)登記名義がお父さんの名義のままの場合
まず、家の全部事項証明書(登記簿謄本ともいいます)を取り寄せして、所有者が誰かを確認する必要があります。
もし、家の所有権登記がお父さんの名義のままであった場合、遺産分割が終了していないと思われますので、あなたは家の所有権の4分の1を相続で取得していることになります。
そのため、「相続して、家の共有者であるはずの私がなぜ、家を出ていかないとだめなのか」という理由で弟さんに反論されるといいでしょう。
なお、下記3)項に記載した「お父さんから住むことを認められた」ということも、併せて主張することが可能です。

2)登記名義が3人の共有名義の場合
登記が法定相続人3人の名義になっている場合は前項と同じく、「共有者である私がなぜ、家を出ていく必要があるのか」という反論をされるといいでしょう。

3)登記名義が弟の単独の場合
弟さんの単独所有に登記されている場合には、共有であることを前提とする反論はできません。
しかし、その場合には《お父さんとあなたとの間で、「無償(ただ)で実家に住んでよい」という暗黙の合意ができていた》(これを法律的には「黙示の使用貸借契約が締結されていた」といいます)ということで反論されるといいでしょう。
実家の所有権がお兄さんに移っていたとしても、使用貸借契約は存続しており、お父さんの家に住まわせるという約束はお兄さんに引き継がれます。
参考までに言えば、あなたの無償で使用する権利がなくなるのは、
① 借主であるあなたが死亡する
② 使用貸借の目的が定められていたのなら、その達成されるまで

のいずれかです。
・・・例えば、《結婚するまで住んでいいよ》とお父さんが言ったのであれば、結婚で使用貸借契約は終了するということです。
以上の①又は②の事情がない限り、あなたは法律的には家を出ていく必要はありません。
そのため、あなたはお兄さんに対して、実家に住む権利を主張することができるということになります。


【相続対策としてできること】

実家不動産がお母さん単独の名義になっていた場合には、お母さんの元気なうちに実家不動産の生前贈与を受けておくか、あなたに相続させるという遺言書をお母さんに書いてもらうという方策を考えてもいいでしょう。
又、仮にお母さんの単独名義ではなくとも、お父さんの遺産分割が未了なら、お母さんに《私の遺産はすべて相談者の方に渡す》という趣旨の遺言書を作ってもらってもいいでしょう。


【お母さんを味方につける】

お父さんの遺産分割が未了であるかどうか、又、お母さんがどの程度の力をもっているのか、判断能力に問題はないか等、考慮するべき要素は多いのですが、可能ならお兄さんに対抗すると言う意味でも、又、あなたに有利な遺言書を書いていただくと言う意味でも、お母さんを味方につけるといいでしょう
なお、現実的な解決としては、母屋と離れがあるということですので、お兄さん家族とルールを決めて、母屋と離れとに住み分けるということも考えていいでしょう。
ただ、お兄さんの圧力が強い場合には、相続に強い弁護士に相談し、場合によれば依頼することも考える必要があります。
その際、弁護士に今回の居住問題だけではなく、お父さんの遺産分割がどのようになっているのかの説明をし、分割未了であれば必要に応じて、遺産分割の依頼も考えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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11:15 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

ご教示ください【Q&A №565】

2017/05/02


【質問の要旨】

相続人の一人が不動産を使用していた場合、固定資産税等はどうなるか

記載内容

 実家 同居 固定資産税

【ご質問内容】

両親が亡くなって20年以上経ちます。相続人は4名です。

長男が昨年突然調停を申し立ててきました。

両親が寝たきりになった後、死亡までの約10年間で預貯金は同居の長男夫婦で使い果たしていますが、証明が困難であることをいいことに、相続財産は残ったわずかな預貯金と不動産だけであると主張しています。

自宅不動産は土地が母、建物が父の所有でしたが、長男は父母の存命中に父名義の自宅建物の一部に座敷を増築し、その座敷部分の登記が自分名義であることは秘密にしています。

長男はすべての不動産の取得を希望し、そのことに異議はありませんが、父母死亡後に発生した固定資産税の負担を今になって他の相続人たちに求めてきました。

すべての不動産を使用収益しているのは長男一家のみ
です。

長男は、不動産を取得する代償金についても「田舎であるから現実の価格は固定資産評価額8割の値段である。固定資産税を含めた他の公租公課・葬儀費用の未精算分があるので、自分の持分の代償金の現実の支払いはしない」と勝手な主張しています。

今までどんな不当なことも我慢してきましたが、このような一方的な主張が通るものでしょうか?せめて、他の相続人たちから「父母死亡後について、座敷部分の土地の分についてだけでも残りの兄弟が無償で利用させていた代わりに固定資産税等の公租公課は負担しない」とする反論は可能でしょうか?

(デゴイチ)





【遺産分割成立までは無償使用】

まず、長男がお父さん名義の建物に座敷を増築し使用してきた、というお話ですので、おそらく両親と同居されていたものと思われます。

この場合、名義上は両親の名義(土地は母、建物は父)ですので、理屈の上ではご両親が共に死亡された時点で、遺産分割協議が成立するまでの間、長男が無償使用(使用貸借)できる状態になったものと扱われる可能性が高いと思われます。

これは平成8年12月17日の最高裁判決(参考ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52508)による解釈で、同判決によれば、被相続人と同居していた事案において、同居していた相続人と被相続人との間で使用貸借契約(無償使用の契約)があったことが推認されています。

(なお、座敷部分は長男が勝手に増築したということですが、ご両親も座敷部分の使用料を請求しなかったのであれば、座敷の無償使用も承認(黙認)されていた可能性が高く、結果的に自宅の一部として同様の扱いになる可能性が高いと思われます。)


【長男に使用の対価は請求できない】

もちろん、この判例も親と同居していたすべての事案において無償使用扱いにするという判断ではありません。そのため、実際にご相談のケースにも当てはまるかどうかは専門的な判断を要します。

ただ、あなた方が長男に対しこれまでの使用の対価を請求できる可能性は低いと考えておく方が無難でしょう。

【固定資産税はさかのぼって長男の負担】

他方で、固定資産税の扱いについてはこの判例からも明らかではありません。

この点は明確な判例などがなく、私の解釈になりますが、長男が実家を相続するのであれば相続開始時にさかのぼって長男が実家を所有していたことになります。

そのため、一般には所有者に対し課税される固定資産税の負担も、さかのぼって所有者だった(と扱われる)長男が負担するのが公平の見地からは妥当と思われますので、このような内容で遺産分割協議を行うのが一般的だろうと思います(参考までに申し上げますと、早く遺産分割協議を成立させないと、長男の無償使用が続くだけ、という見方もできます)。

【お兄さんが不動産を取得するなら、代償金の支払いを求める】

今回の質問は固定資産税を請求されていますが、上記のようにその支払いの必要はありません。

むしろ、お父さんの遺産である不動産をお兄さんが自分の物にするというのであれば、あなたとしては、その代償となる金銭をお兄さんに請求されるといいでしょう。


(弁護士 北野英彦)

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11:38 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★亡父との共有名義マンションの使用借権【Q&A №539】

2016/11/08


【質問の要旨】

亡父が出資して共有所有者となっているマンションに、姉が居住したり、賃貸に出したりした場合

記載内容 購入資金 持ち分 特別受益

【ご質問内容】

父親が亡くなり姉妹で財産を分けることになりました。(母はすでに亡くなっています)
姉は生前父にマンション購入資金として1200万円出してもらいました
残りのローンは姉が払いました。

しかし税金対策だったのでしょう、父が出した分を共有所有者として登記していました。
父は生前、姉に自分の持ち分を買い取ってほしいとの話もしていましたが、姉も買い取ることはできず、相続分として父の分が残りました。

姉は最初は自宅として使用し、後にマンションを賃貸に出して収入を得ています
姉から父に賃貸の代金を一部払った時期も1年ほどありましたが後に払った様子はありません。
今ではその所有分の価値も1/3程になっています。

共有の持ち分になると、特別受益が1200万円だとは言えないのでしょうか

言えないのなら、共有所有者の父がもらわなかった賃料の一部をみなし財産として算入できますか?

あるいは、使用借権を無償で得ていたことにはなりませんか
その場合の金額の算定は?

私は姉だけが住宅資金をもらっているのに、遺産が1/2づつというのはどうも納得できません。

不平等感をなくすいい方法があればご教授ください。

(tomo)





【今回の質問は《購入資金援助》と言う意味では、特別受益にならない】

通常の場合であれば、被相続人が法定相続人のマンション購入資金の一部を出した場合には、金銭の生前贈与として特別受益になります。
ただ、今回の案件では、お父さんが出した分はお父さんが自分の持ち分として共有登記されていますので、金銭の移動はありません
したがって《購入資金援助》としての贈与はなく、お姉さんの特別受益は存在しません
マンションのお父さんの持分は、お父さん自身の遺産となり、遺産分割の対象となります。


【お父さんの共有持ち分の使用は、居住用であれば特別受益にならない】

お姉さんがマンションを居住用にしていたとき、お父さんの持分を無償で使用している点では、お姉さんはお父さん持ち分につき、使用借権(無償で使用する権利)をもらったということになり、特別受益となる可能性があります
そのため、マンションの使用貸借について判断した裁判例を検索しましたが、発見できませんでした(参考までに言えば、土地の使用貸借は特別受益になるとの裁判例はあります)。
学者の意見では、建物使用貸借は遺産の前渡しという性格が薄く、又、財産権として強い権利ではないこと、更に被相続人の意思としては遺産分割の持戻し免除の意思が推定されるということから、特別受益にはならないとの見解が多いです。


【お父さんの建物持分をお姉さんが他人に賃貸している場合】

問題は、お姉さんが自ら居住するのではなく、他人に貸して賃料を得ている場合です。
これについても参考になるような裁判例も学者の意見もみつかりませんでした。
ただ、あなたの立場から言えば、使用貸借は他人に賃貸した段階で終了しており、その後にお父さんの持ち分相当の賃料分もお姉さんが得ていたのは特別受益になると主張するか、あるいはお父さんが賃貸に出すのを知らない場合には不当利得にしないと不公平だと主張されるといいでしょう。
このような主張をした場合に裁判にまでいけばどのような結論になるか、興味のあるところではありますが、お父さんの持ち分に相当する賃料分は特別受益として遺産に持ち戻される可能性もあるでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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16:03 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】

2016/06/30



【質問の要旨】

死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】

平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました

ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております

財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)






【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】

お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。

そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう

ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。

お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。


【死因贈与と生前の使用】

 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。

仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです

そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。

ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。


【成年後見人と財産管理】

お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。

ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。

あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう

(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)
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16:16 遺産 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

使用借権の価額と特別受益【Q&A №511】

2016/06/24

※同じ方から2つに分けてご質問いただきましたが、回答は1つにまとめています。

【質問の要旨①】

使用貸借の価額と空き地について

【ご質問内容】

父親名義の土地に兄が家を建てています。両親とは同居していません。

両親への仕送りも無く、固定資産税も払っていません。

両親を訪問する事も年に数回です。

父がが亡くなりましたので、この場合使用貸借は、その土地の実勢価格のどの位が妥当でしょうか

また、兄の家の土地の横に空き地があり、実質兄が使用していたのですが、その土地も使用貸借に入れるのでしょうか(そこには特に建物は建ってはいません)


【質問の要旨②】

使用貸借とは?

【ご質問内容】

基本的な質問で申し訳ありませんが、使用貸借で計算された金額は、全体の遺産金額に含め、相続計算をするのか、使用貸借をしている相続人だけで分割するのでしょうか

遺産金額に含めて計算するのか、その他の相続人(特に配偶者)で計算するのでしょうか

遺産金額に含めた場合、使用貸借者に贈与が発生しているみたいに、思えるので

記載内容  使用貸借 無償 土地

(ブブブブ)







【土地の無償使用と特別受益について】

亡くなられたお父さん名義の土地の上にお兄さんが建物を建築し、賃料の支払いもしない場合には、お父さんとお兄さんとの間で使用貸借契約が成立したものと考えていいでしょう。

特別受益との関係で言えば、お兄さんはお父さんから使用借権を与えられたのであり、この権利の設定により受ける利益を「贈与」されたことになります


【空き地の使用について】

お兄さんはお父さんの空き地を使用していますが、これもその空き地を独占的に使用している(他の人が使えないような)状態であれば使用貸借が成立する可能性があります

お父さんがお兄さんの使用を知っていたのであれば、それは暗黙の同意があったとして、使用借権が成立したとされる場合が多いです。

この場合も、この空き地の使用借権の贈与が特別受益になります。


【使用借権の価額】

土地を、賃料を支払って利用する場合には借地権とされ、国税庁の発表している路線価図でもその価額が明らかにされています(通常は更地価額の40~60%の範囲内であり、60%とされるケースが最も多いです)

しかし、使用借権については裁判例などで更地価額の10~30%程度とされることが多いです(当ブログQ&A №321参照)。

これは使用借権が、借地権ほど強い権利ではない(土地が第三者に売却されれば、土地使用が認められないこともある)こと、又、存続期間等が契約内容や使用の実情等に応じて種々様々であり、裁判所としては、ケースバイケースで判断せざるを得ないからです。

ただ、これまでの相続案件での私の経験から言えば10%~15%程度で考える場合が多かったように思います(使用借権を更地価格の15%に相当すると判断した裁判例として、東京地判平成15年11月17日があります)。


【特別受益があるときの処理】

特別受益がある場合には、特別受益を遺産に持ち戻します。

今回の質問の場合であれば、借地権価額を遺産に加えます

その後、遺産全体を法定相続分に応じて分割することになりますが、特別受益を受けた人はその使用借権分を先にもらったことになり、その分だけ、遺産からの取り分が減少します

例えば、子が2人のケースで遺産総額が預貯金1000万円、特別受益が500万円とすれば、特別受益をもらった人は《特別受益:500万円+預貯金250万円》を、又、もう一人の子は《預貯金750万円)を取得することになります。

(弁護士 大澤龍司)
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15:27 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★使用貸借と特別受益【Q&A №484】

2015/12/17


【質問の要旨】

賃料相当額を特別受益として引かれるのか

記載内容

賃料 使用借権 持ち戻し

【ご質問内容】

裁判認知により相続人となりましたが、被相続人所有の空き家に住んでいた年数分の賃料(1000万円)を、特別受益として遺留分から差引くと言われています。

建物は、数年前に贈与の約束(契約書)があり、私(婚外子)の母が建替え、被相続人の死亡以前に母名義となっています。

土地は、私に遺贈の遺言があります。

それでも特別受益として賃料相当額を引かれなければならないのでしょうか

(カピバラ)





 【使用貸借であれば賃料の支払いは不要】

被相続人であるお父さん所有の空家をあなたが使用していたということを法律的に考えてみます。

お父さんがあなたに賃料を請求するようなことはなかったのであれば、あなたはお父さんから無償(ただ)でその家を利用することを認められたということになり、法律的には使用貸借という関係になります。

あなたの立場から言えば、無償で使用する権利(使用借権)をお父さんから与えられたということになりますので、賃料を支払う必要はないでしょう。


【使用借権が特別受益になる可能性がある】

ただ、あなたが、被相続人からただで使用する権利(使用借権)をもらったということが特別受益とされる可能性があります。

使用借権の価額については当該対象物件の5~10%程度の価値があるものだとされることが多いです(但し、裁判例の解説などを読むと10~30%ではないかという見解もあります)。

しかし、建物価額は評価証明額を前提として算定されることが多いですが、建物の評価証明額が極めて少額な場合も多く、そのため、上記の割合では使用借権価額が極めて少額になります。

一方で、被相続人であるお父さんは土地や建物の固定資産税分を負担しています。

その物件をあなたが無償使用しているのであれば、最低限、土地や建物の固定資産税分の支払い分程度は免れたという利益を受けていたことになり、その相当額が特別受益とされる可能性があります


【建物贈与の影響】

建て替える前の建物は、生前に贈与されていますが、誰に贈与されたのかがご質問では明らかではありません。

もし、あなたに贈与されたのであれば、建物価額があなたの特別受益として持ち戻されますが、その場合の特別受益額は、《建物価額-使用借権額》でいう計算式で算定されます。

贈与があったとしても、あなたが使用借権を取得した事実は消えませんので、使用借権取得が特別受益となる点は否定できません

但し、上記考え方はあくまで一つの考え方にすぎず、異なる見解もありえます。


【持ち戻し免除の可能性もあるので弁護士に法律相談を】

なお、今回のご質問から受ける印象ですが、お父さんとしては遺産への持ち戻しを免除するという意思をお持ちであった可能性もあります。

また、前項に記載したように使用借権を設定した後、その建物を取得した場合にどのような形で特別受益に反映させるかについても、弁護士により見解の相違がありえます。

いずれにせよ、今回のご質問が含む問題については、難しい点も多いので、近くの相続問題に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、相談されることをお勧めします


(弁護士 大澤龍司)
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18:13 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父が支払っていた共有建物の光熱費【Q&A №478】

2015/11/25

【共有建物の住居部分の家賃光熱費について】

賃貸店舗のある物件で、二分の一持ち分三〇年前、建築したときから、保存登記もされています。
父親と共有で、共同経営していました。

私の住まいとして、父親がその物件で住めばいい、家賃光熱費いらないからと三〇年家族ですんでいます。

父親が亡くなり、父親の持ち分が相続で姉になり、過去一五年分家賃光熱費請求してきました

土地全部父親の名義でしたが相続で姉の名義です。ちなみに地代も請求してきました

私は、建物全体経費電気水道局他支払いしている。相続後姉は、父親の名義のテナントから、家賃光熱費受け取っている。

わたしの持ち分所有権保存登記されています。相続の時生前贈与扱いです。
姉の請求納得いかない

経費二分の一も支払いしてくれない。

よろしくお願いします。

記載内容 光熱費 共有 賃料

(りく)







【考えるポイント】

相続人は、被相続人(本件ではお父さん)の持っている権利や義務を受け継ぎます。

そのため、地代、家賃や光熱費の支払いの要否については、お父さんとあなたとの権利や義務がどうなっていたかを確認する必要があります。

以下においてはそのような観点から検討していきます。

【地代について】

まず、お姉さんから請求のあった地代について検討します。

土地はお父さんの単独所有、建物はお父さんとあなたとで各2分の1の共有ですので、あなたはお父さんの土地の2分の1を使用していることになります。

土地利用につき、あなたがお父さんに賃料を支払っていたというのであれば、あなたとお父さんのとの間に賃貸借契約が成立しており、お父さんから土地を相続(ということは賃貸人の地位も相続)したお姉さんに対し、賃料を支払う義務があります。

ただ、あなたが賃料を支払わず、お父さんも請求しないことについて(暗黙でも)合意があったということであれば、お父さんとあなたとの間には、土地を無償で使用させる使用貸借契約が成立しており、相続でお父さんの土地を取得したお姉さんは、お父さんと同様にあなたに土地を無償で使用させる義務があり、賃料請求はできません

ただ、あなたは使用借権という無償で土地を使う権利をお父さんからもらったのですから、その使用借権が特別受益とされる可能性があります。

しかし、質問では少なくとも不動産については遺産分割協議が終了しているようですし、他の遺産についても遺産分割協議が終了しているようであれば、特別受益の問題は既に解決済みとして扱うといいでしょう。

【家賃について】

建物は、賃貸店舗に出されていた分と、あなたの居住用にされていた分があるようですので、分けて記載します。

賃貸店舗に出されていた分については、誰が賃料を取得していたのかによって異なりますが、あなたが賃貸人として賃料全部を取得していた場合、その賃料の中には本来はお父さんが取るべき分もあったはずです。

お父さんが、あなたから自分の建物持ち分に相当する賃料相当額を請求しなかったのであれば、その分も使用貸借同様の関係になり、その使用貸借権がお父さんからあなたへの生前贈与として特別受益になります。

次に、あなたが建物の一部を住居として使用していたことについてですが、お父さんとしては家賃はいらないということですので、その無償使用分も使用借権になり、その権利の価額が特別受益になります(なお、遺産分割協議が終了していれば特別受益問題は解決済みであることは上記「地代について」の末尾に記載したとおりです)。

いずれにせよ、あなたが建物を無償で使用するということをお父さんが認めていたのであれば、建物の持ち分をお父さんから引き継いだお姉さんとしても、お父さんと同じようにあなたに無償で貸与すべき義務があり、家賃を請求することはできないという結論になります。

【光熱費、経費について】

お父さんの死亡までは、建物全体経費電気水道局他の支払いをあなたが負担し、光熱費はお父さんが負担いたということですので、そのような内容の分担の合意が成立していたと考えてよく、お父さんの時代の精算は不要と考えていいでしょう

ただ、相続開始後は、お姉さんが底地全部や建物の持ち分を相続したということですので、費用関係については、お姉さんとの間で協議をされ、新たな合意をされるといいでしょう。

【弁護士と相談されることも考える】

以上、原則的な考え方を記載しました。

ただ、お姉さんの態度から見ると、調停や訴訟に発展する可能性もありそうです。

また、事案の内容によっては、より詳しく聞くと回答が変わってくる場合もあります。

相続に詳しい弁護士と法律相談をされることも考えられるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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15:28 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★相続した共有持分に応じた賃料をもらえないか【Q&A No.475】

2015/10/16




マンション1棟につき3分の1の持分を有しています。

マンションの賃貸をしています。

賃貸借契約の名義は母(持分3分の2)、管理は私(持分3分の1)です。

持分の分の家賃を母に請求できないでしょうか?



【ご質問内容詳細】

 「Q&A №265 夫が受け取っていた賃料の相続」(2013/4/8)の回答のについて質問です。

【お義母さんが単独で貸家契約をしていた場合、賃借人に請求できない】
 もっとも、家屋が共有であったとしても、賃貸人名義は共有者のうちの1名になる場合が多く、本件の場合も、賃料の支払いをお義母さんが受けているようですので、お義母さん単独で賃貸している可能性が高いと思われます。
 この場合、賃借人に対して賃料を請求できるのも受け取ることができるのも、お義母さん一人です。」


と回答されていますが、

 私の場合、 賃貸マンション一棟の建物と土地が父と母の共有名義で、17年前父が無くなり、土地とマンション建物の30%ぐらい私(長男)名義になりましたが、 賃貸契約書は全て母名義ですが不動産のやり取りは私がおこなっていました。

 マンションの管理作業も私がしています。

 私の持分の割合にで確定申告しておりますので、持分の税金等は私がはらっております。

 このマンションの家賃の持分を母に請求でいないのでしょうか(過去17年間と今後の家賃)。 

 建物の建築費は、私は負担しておりません。

 父と母が建てました。


記載内容 共有と賃料 使用貸借 共有持分の相続

(まさ)







【遺産不動産が賃貸中の場合の賃料の扱い】

 遺産の中に不動産があり、それが賃貸に出されている場合、賃料がをだれがどのように取得するのか問題になります。

 №265はこのような場合の質問です。

 まず、この場合に、最初に賃貸人は誰かということを考える必要があります。

 今回の質問では賃貸人はお母さんだということですので、賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人であるお母さんしかありません。

 賃貸人ではない他の人が賃料を賃借人に請求できる余地はありません




【法律的には共有者が賃料を請求できないのか?】

 賃料を賃借人に請求できるのは賃貸人のみです。

 しかし、その不動産が共有なら、賃貸人はもらった賃料を他の共有者に分配する必要はないのかというのが今回の質問の趣旨のようです。

 この点を回答するには、お母さんと他の共有者であったお父さんとの間にどのような合意があったかを確認する必要があります。

 共有者であるお父さんが共有持ち分を無償使用することをお母さんに認めていた場合には、使用貸借の合意があったとして、お父さんからの賃料請求はできません。

 あなたは現在、30%の持ち分をお持ちのようですが、その持ち分がお父さんからの相続であるとすると、お父さんのしていた使用貸借上の権利義務を引き継ぎますので、お母さんはあなたに対して使用借権を主張することが可能であり、賃料を支払う必要はありません

 また、あなたはに不動産の管理をしているということですが、それは法律的に見れば、管理をしているに過ぎないものの、その管理費をお母さんが死亡した時の遺産分割の際に特別寄与として請求できる可能性はありますし、現時点でも管理費としてお母さんに請求することも考えてもいいかもしれません。

 次に、あなたは賃料総額のうち、持ち分の限度で税金の申告もしているようですが、これはあくまで税務の問題であり、申告したからといって、賃料の分配が認められるわけではありません。




【あなたのとるべき態度としては・・】

 以上に述べたことはあくまで法律的な判断です。

 あなたとしては、お母さんと話をされ、自分が共有持ち分30%を持っているのだから、その分に相当する賃料分配額を払ってもらえないかと相談されるといいでしょう

 その際、税金でも30%相当額を支払っているということも告げ、かつ管理もしているではないかということも併せお母さんに説明し、説得材料に使われるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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14:14 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産の土地を妹の義父が借りていた【Q&A №450】

2015/06/03



父が私の妹の義父に土地を貸与していました。

そのような土地の賃貸借が生前贈与に当たりませんか



記載内容

  義父 贈与 同一 


【質問詳細】
 
 昨年、父が亡くなりました。

 父は生前に公正証書遺言を残していました。

 その遺言には、妹に全ての財産を相続させると記載されています。

 相続人は、私と妹の二人です。

 私は遺留分減殺請求を行う予定です。


 ところが父の生前、父と妹の義父(妹の夫の父親)との間で相続対象の土地の借地権契約をしたそうです。

 妹の義父はその土地にアパートを建てて他人に賃貸をしていました。妹の義父はその後1年足らずで死去しその後、妹の夫がアパート及び借地権を相続しております。



 妹からは、私が遺留分減殺請求をしても、相続対象の土地の借地権割合が60%なので、私が請求できるのは、底地割合の40%の遺留分(4分の1)、つまり1/10しかないのだから諦めろと言われてしまいました。

 借地契約書や地代をどの程度収めていたか等は、これから相手側に問いただす予定でおり、借地権の有効性を確認する予定です。


 上の経緯は、相続発生後に私が遺留分減殺請求を行う事を前提に、私の遺留分をなるべく小さくするために、妹らが対策を考えて借地契約という形をとったのではないかと考えています。



 このような場合、借地契約を締結したのは妹ではなく、その義父ではありますが、借地契約そのものが妹への生前贈与に当たらないでしょうか?


(asw32mk)







【借地権であるかどうかの確認が必要】

 質問でも記載されていますが、お父さんとお義父さんとの間で土地使用がどのような契約をしているのかを確認する必要があります。


 契約書が作成されているかどうか、作成されているのならその内容、更に署名がお父さんの筆跡であるのかどうかも確認されるといいでしょう。


 なお、賃料が支払われているのか保証金等は差し入れられているのかも調査の対象とする必要があります。





【遺産内容の確認も必要不可欠】

 遺産は不動産だけということのようですが、やはり預貯金等の銀行関係の調査が必要でしょう(調査方法についてはブログQ&A №417をご参照ください)。


 預貯金の取引履歴を確認すれば、預貯金の不正引き出し等がわかり、遺産額が増えますが、それだけではありません。


 契約時に保証金等の支払いがあったのか毎月、賃料が入ってきているかどうかが確認できます。





【保証金や賃料の支払いが発見できない場合でも役に立つ】

 取引履歴に賃料が記載されていないとすると、土地は借地権でなく、無償使用(使用貸借)である可能性があります。


 その場合、借地権額は更地価額の60%程度、使用貸借額なら10%前後ですので、遺産の対象となる土地の価額がアップします。


 なお、念のために言えば、あなたが知らない隠された預貯金口座が存在し、そこに賃料が入金されている可能性もあります。


 この場合にはそこの多額の預貯金が存在する可能性があります。


 また、保証金等の契約時の支払い分がないかどうかも確認する必要がありますので、取引履歴の取り寄せは必要不可欠です。





【法定相続人以外の人に対する贈与】

 ほとんど保証金を取らずに、しかも定額で借地権を設定したとしても、その相手がお義父さんのような法定相続人以外の方であれば特別受益の問題は発生しません


 遺留分減殺の場合、第三者に対しても請求することができます

 ただ、借地契約の内容があまりに不当で、地主であるお父さんにとって不利な内容であり、《まるでただ同然のような条件で貸している》というのなら、贈与とみなすことも不可能ではないでしょう。


 ただ、遺留分減殺請求自体がなかなか難しい手続きですし、ましてや本件は第三者との間で賃貸借契約を装ってというような難しい案件ですので、相続に詳しい弁護士に事情を詳しく説明され、そのアドバイスを受けるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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10:22 遺留分  | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★親の土地に家を建てて住んでいた長男【Q&A №396】

2014/08/12
 かなり前に現金を父からマンション購入の頭金として贈与を受けました。勉強不足で税金免除があるの知らず贈与税を支払ってしまい悔んでいます。
 兄弟全員、父が亡くなり遺産の中にそれを入れて計算せよと言っています。が、それを強く言う一人は40年近く親の土地に無償で家をたてさせてもらい、しかも新築資金も入手しています。
 この場合の私の贈与金額と比較できるような計算方法があったら教えてください。又その居住年数は関係ないのでしょうか。
 宜しくお願いします。

記載内容

特別受益 使用貸借
(yashian)


【マンションの購入資金や建築資金をもらえば特別受益になる】
 あなたがお父さんからもらったマンション購入の頭金は、その該当金銭が生前贈与として特別受益になり、遺産の計算の際、遺産に持ち戻すことになります。
 なお、税金を控除した額ではなく、もらった金銭全額が持ち戻しの対象になります。
 また、兄弟のうちの一人が、《40年近く親の土地に無償で家を建てさせてもらい、しかも新築資金も入手している》とのことですが、このうち、新築資金が生前贈与になり、遺産に持ち戻すことになります。

【親の土地を無償で使用している場合は特別受益になるか】
 次に、親の土地を、自分の敷地として無償で使用している点については、使用貸借権という権利を設定してもらったことが特別受益になる可能性があります。
 ただ、お父さんの意思として、このような遺産への持ち戻しを前提にしていない場合(いわゆる《持ち戻し免除》の意思表示がある場合)には、持ち戻しは認められません。

【持ち戻しされる価額】
 特別受益としては、使用借権の価額が遺産に持ち戻されます。
 使用借権の価額としてはその底地の更地価額の10~30%という程度で評価されることが多いですが、木造家屋の場合には約10%前後になることが多いです。
 ただ、特別受益として持ち戻しが認められる場合でも、遺産分割で、その使用借権者が底地を取得する場合には、使用借権額の持ち戻しをせずに、底地を更地価額で評価して取得させるという処理を行っている裁判所もあります。

【使用借権と無償利用の利益との関係】
 無償で使用した期間分の賃料相当額を特別受益にするべきではないかという見解もありえます。
 しかし、裁判などでは使用借権の設定したことを経済的に評価し、遺産への持ち戻しをしている以上、使用借権者は使用借権の効果として無償使用することができるのであって、それ以上に使用料を支払う必要がないという見解です。
 この前提に立てば、使用期間にかかわらず、使用借権者は使用料を一切支払う必要はないということになるでしょう。
大澤龍司法律事務所
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15:48 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

同居すれば自宅を相続できるという兄の主張【Q&A №391】

2014/06/23
 数ヶ月前に父が亡くなり、その遺産相続で兄と揉めております。
 母は既に無く、兄弟は兄と私の2人です。

 兄は結婚しておらず、亡父と同居していました。私は既婚で独立しています。家と土地は父の名義、定期預金、普通預金があります。

兄と次のように主張しています。
1)自分には使用借権があるのだから、土地家屋の3分の1は自分の物である
2)15年ほど前に、父に500万円貸したので、遺産から、差し引いて欲しい
3)1と2を差し引いた残りを、2分の1ずつ分ける


 調停、裁判などになった場合、兄の主張は通るのでしょうか?
 実際は父に依存していた生活も、父の面倒を見ていたと主張すると思いますし、家の恥を宣伝することもないので、世間では、親孝行な息子で通っています。
 父は急死したので、病床の面倒は2人ともみていません。

 兄は一種のギャンブル依存症で、働いてはいますが、給料ののうちのほんの一部を家にいれるだけで、実際は、父の年金で生活していたようなものです。が、証明はできません。
 ですから、父の預金はないと言っても良い金額で、葬式費用と同額程度です。

記載内容

使用貸借 同居
(困っている妹)


【使用借権と所有権とは無関係】
 お兄さんが無償でお父さん名義の不動産を使用していても、お兄さんがその不動産の所有権を取得するわけではありません。
 無償で使用する権利である「使用借権」を取得するだけです。
 又、今回のケースは、お父さん名義の家を無償で使用しているだけですので、正確な表現をすると「お兄さんはお父さんから、家を無償で使用する権利(使用借権という債権)を与えられていた」ということになります。
 「土地家屋の3分の1は自分の物」というお兄さんの主張は間違いです。

【使用借権の価額】
 家が使用貸借の対象となっている場合、その家の価額が減価されます。
 家の使用借権の場合、ケースによって異なるでしょうが、底地の更地価額の10%程度の減価はやむをえないでしょう。

【使用借権は特別受益である】
 お兄さんは、お父さんから無償で、家に居住する権利をもらいました。
 そうすると、その使用借権は生前贈与になる可能性が高いです。
 結局、お兄さんとしては使用借権を主張して、それが認められても、その反面、その使用借権が特別受益とされ、プラスとマイナスの面があるということになります。

【貸金の返還について】
 お兄さんがお父さんに対して500万円を貸していたという点が証明できるのであれば、その債務は相続債務であり、あなたは法定相続分の2分の1ですので、金250万円の返還義務を負います。
 しかし、15年も前の債務というのであれば、消滅時効にかかり、返還が不要だという反論もできます。

【特別寄与にはならないか】
 なお、ややこしいことを言いますが、仮に消滅時効としても、その分特別寄与をしているのだというお兄さん側の反論も出てきそうです。
 消滅時効になった場合、その分を特別寄与という形で請求できるか、議論のあるところですが、そのような問題点が持ち上がる可能性も考えておくといいでしょう。

【今後の対策について】
 とりあえずは、今回の回答を参考にお兄さんと協議されるといいでしょう。
 なお、円満な協議ができないのであれば、家庭裁判所で遺産分割の調停をし、第三者である調停委員の意見を参考に解決の道を探るといいでしょう。
 なお、協議がまとまらないのであれば、早期に相続に詳しいお近くの弁護士に相談され、場合により事件を依頼することも考えていいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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14:22 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

息子が買った父名義の自動車は遺産か【Q&A №384】

2014/06/09
 15年以上前に購入した車ですが、購入時に私が印鑑登録をしていなかったため、父の名義で購入しました。購入費用、税金、維持費、自動車保険等は私が払っています。このたび父が亡くなり、車が相続の対象となりました。当初は「いらない」と言っていた弟が、相続すると言い出しました。そして相続するまで「乗るな」と言ってきました。このような請求ができるのでしょうか。以下、相手からのメールです

『なんの根拠も示さないままに「あれは私の車です。」と主張してるのがおかしい。
相続対象が3人であるということを認められないままで、自由気ままに乗車するのを
認められないということを言っている。』

相続の対象であることは伝えていますし、名義こそ父であるが全費用負担しているのは私であることも伝えており、相手も認めています。また、家族間では私の車として周知されていました。

よろしくお願いします。

記載内容

自動車 名義 購入費用
(サムライブルー)


【本来はお父さんの遺産ではないが・・】
 まず、問題の車が誰の物(所有)であるかが問題になります。
 特段の事情がない限り、その車の代金をあなたが全額支払っているのであれば、それはお父さんの遺産ではなく、あなた自身の財産だと主張することが可能です。
 問題はあなたが支払ったということの証明方法ですが、もし、あなたの口座から購入代金(ローン代金)が支払われているのなら、名義はお父さんではあるが、実際はあなたの車両である(ので、遺産にはならない)と主張されることも不可能ではありません。
 ただ、これまでの経過で、あなたが、その車をお父さんの遺産として認めたというのなら、とりあえずは、その前提で話を続けざるを得ないでしょう。
 なお、交渉で話が解決せず、調停などをする場合には、《実は、あの車は私が代金を支払ったのであり、その裏付けとしてこのような証拠がある》という形で新たに主張を展開することも考えていいでしょう。

【継続使用を主張できる理由を考えると・・】
 仮に自動車がお父さんの遺産であるとした場合、次は、お父さんとあなたとの間で、車の使用についてどのような契約があったかが問題になります。
 あなたとしてはお父さんから車の使用を認められていたと主張するといいでしょう。
 その使用関係は法的にいえば、無償使用(使用貸借契約)ということになります。
 あなたは、車の保険料や自動車税、維持費等を負担しているようですが、これは車を使用するものが負担するものであって、この支払いをもって使用料(賃料)を支払っていたとは言えません(難しい言葉では《対価関係がない》ということになります)。
 使用貸借は、賃料を支払っている賃貸借契約よりも借主の立場が弱いのですが、それでもお父さんから合意で使用を認められているのであり、この関係は、貸主であるお父さんの死亡によっては終了しませんので、お父さんとの契約で今後も使用を続けることができるはずだと主張されるといいでしょう。
 なお、車の使用については、口頭での約束で成立し、必ずしも書面で契約していなくともよいということも記憶しておくといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
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★家賃が特別受益になるか。【Q&A №321】

2013/10/22
  
妹(次女)家族(母子家庭二人共就業している。娘は正社員)が、母名義の家に約10年間住んでいます。家賃は月5万円で母の預金口座に入れていました。以前、生活が苦しいということで、毎年50万円を5年間で250万円と敷金の30万円、それに子供の私立大の学費300万円(これは父から)を母から貰っています。
 この度父が亡くなり、その家賃のことをうるさく言う人がいなくなったり、生活が苦しいと言うので、家賃を母や主人(養子縁組をして法定相続人)と私が相談して免除しようということになりました。母は施設に入っており介護などの負担は3人ともありません。母の口座管理や身元引受人は私(長女)が引き受けています。今後、妹は母の家に母が生きている間、住み続けたいと言っており、その家賃が特別受益になるのかどうか?また、亡くなった後、スムーズに立ち退いてくれるかどうか、何か取り決めをしておいたほうが(書類にして)よいのかどうか。
 それと以前もらった250万+30万円は特別受益となるのかどうか。あと、妹が母の家に入る前に私たち家族がその母の家に入っていました。その入る際に、家をリフォームしてくれました。約300万円掛かったそうです。
 そこに私たち家族は9年ほど住まわせてもらいました。もちろん家賃も支払っていました。
 その後、一般の人が約10年住み、その後に妹家族が入りました。
 その時のリフォーム代は、生前贈与だと妹は申していますが、どうなのでしょうか?

記載内容

家賃 免除 使用貸借と特別受益 家賃の猶予 立ち退き


(まるさん)


【家賃の免除と特別受益の関係】
 妹さんが、これまで払っていた家賃を今後は払わずにお母さんの家に住むことを、家の所有者であるお母さんが認めるとした場合には、これまでの賃料を支払う賃貸借契約から、賃料を支払わない使用貸借契約に契約が変更されたことになります。
 この無償で使用する権利(使用借権)が特別受益になります。
 特別受益としてどの程度の価額かになるかについては争いがあります。
 支払いしなくてよかった賃料額を特別受益とするという見解がないわけではありませんが、賃料額を合計するとかなり多額になりすぎるということから、賃料額の総計を特別受益とはしないという見解が多いです。
 賃料を免除ではなく、支払いを猶予し、被相続人であるお母さんの死亡時(相続発生時)に清算するということにすることも一つの方法です。
 しかし、この場合には(使用貸借ではなく)賃貸借が継続しますので、次項の明け渡し請求が難しくなります。

【亡くなった後のスムーズな立ち退き】
 使用貸借契約の場合でも、賃貸人が死亡しても使用貸借は終了せず、当然には立退きを請求することはできません。
 そのため、使用貸借が終了し、使用貸人であるお母さんが死亡した場合には、建物を明け渡すという合意書を作成しておくといいでしょう。
 使用借権には、借地借家法が適用されませんので、明け渡すという合意書が無効となることはありません。
 ただ、裁判所のこれまでの判例を見ると、既に居住している者の立ち退きを認めることについては、かなり慎重であることも頭の隅に入れておく必要があるでしょう。

【使用貸借と特別受益との関係】
 仮に賃料なしとする場合、前記のように使用借権の設定の利益が特別受益となるものと思われます。
 ただ、土地の使用貸借の場合には、土地価額の1~3割程度の価額と評価できるのですが、家の使用貸借の場合には、その価額がかなり低くなります。
 特に、本件では最初は賃貸借であったのに、使用貸借としたのですから、居住者の権利は、賃借権という強い権利から使用借権という弱い権利になっています。
 そのため、使用借権の設定といっても、無償で使用できるようにはなったが、その反面、権利性を犠牲にしていることになり、それなりの設定の対価を支払っていることになります。
 このことを考えると、使用借権の価額はかなり少ないものになる可能性があります。

【結局は・・】
 賃料を確保するという方向で行けば賃貸借になり、明け渡しが困難になります。
 しかし、賃料をもらわないという方向で行けば使用貸借になり、(賃貸借に比べると)明け渡しがしやすいが、賃料分を損し、しかも絶対に明け渡しが確実なものでもありません。
 どちらを選ぶかは経営判断というべきものです。
 賃料の支払いを猶予して(ということは相続時の明渡は求めない方向になる)、相続に清算するというのが、妥当ではないかと思いますが、この点はあなた方でご検討ください。

【リフォームは贈与ではありません】
 家はお母さん名義ですので、そのリフォームはあくまでお母さんの家の価値が上がっただけであり、その利益を受けるのはお母さんです。
 あなた方はなんらの金銭的な贈与を受けていません。
 そのため、お母さんがリフォームをした家に最初に住んだというだけでは特別受益には該当しないでしょう。

【毎年50万円と敷金30万円は特別受益か】
 妹さんは生活が苦しく、毎年50万円を5年間もらっていたということです。
 月額にすると約4万円と少額であり、生活費の援助として扶養義務の範囲内とされる可能性が高く、又、お母さんとしては相続分の前渡しというような意図からしたものではないと思われますので、特別受益にはならないと思われます。
 なお、敷金の30万円というのは、妹さんがお母さん名義の家屋を賃貸するときに支払うべき30万円を免除されたという趣旨で理解すると、この分も生活費の援助的な側面が強く、特別受益にはならない可能性があります。


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15:31 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産土地に住み続けるには【Q&A №297】

2013/07/12
 母が亡くなり、1年が経過しようとしています。
 その間、遺産分割協議を月に一度のペースで開催しているのですが、折り合いがつきそうにありません。私は母と同居しており、亡くなる前の数年間は母は入院状態でした。
 その間に母の名義の土地に家を建てたのですが、分割協議がまとまらずこの土地からの立ち退きを迫られております。1年以内にどかなければ、暴力団に金を払ってでも住めなくしてやると言われました。どの様に対処したらよいでしょうか?お知恵をお借りしたく分割協議の際、毎回ここに住めなくなるぞ的な発言を先方がされます。

記載内容

暴力団 脅迫 使用貸借

(たし)


【お母さんの同意があったかどうかで結論が分かれる】
 遺産である土地上に建物を建築することについて、お母さんの了解を得ていたのかどうかが問題になります。
 お母さんの了解を得ていたのであれば、お母さんはあなたにその土地を使用させる義務があり、相続人はその義務を引き継ぎますので、あなたが建物を撤去する必要はないでしょう。
 しかし、もしお母さんの同意がない場合には、無断で建築をしたことになり、お母さんとしてはあなたに対して、家屋を撤去して土地を明け渡せという権利があります。
 相続人はその権利を引き継ぎますので、あなたは建物を撤去せざるを得ないでしょう(なお参考までにいえば、この場合の明け渡しは、相続人の一人でも請求ができます)。
 あなたとしては、建物を建築することについて、お母さんが同意をしていたのだという証拠を集めておくといいでしょう。

【脅迫に対する対処】
 相手の方は暴力団に依頼して追い出すということを話しているようですが、これは立派な脅迫行為に当たりうる言動です。
 このことは、たとえあなたが法的に立ち退きを迫られる立場であったとしても変わりません。
 とはいえ、警察に相談しても、親族間の遺産に関するもめ事ではそう簡単には動いてくれません。
 一度お近くの弁護士に相談し、必要に応じて交渉を依頼することをお勧めします。


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13:57 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

借地上にあった父の家の使用料【Q&A №285】

2013/06/19
 30年前に父が亡くなりましたが、兄妹の間で遺産(家、借地権)分割の手続きをせずに放置してきました。
 約10年前に地主の希望で家を壊し、その場所にマンションを建て、借地権と交換に1フロアを与えられました。
 そのマンションはどういう理由か兄の名義になっていて、兄夫婦は10年間住み続けています。
 私は別居で何の利益も得ていません。
 近々、遺産分割の協議を予定していますが、仮にそのマンションを兄妹で50%ずつ共有名義に変更できた場合、過去にさかのぼって、兄夫婦から、過去10年間住み続けた費用に相当する金額をもらう権利があるでしょうか。
 よろしくお願い申し上げます。

記載内容

借地 使用貸借


(nob)


【自分の家に住んでいるので、賃料相当分の請求はむずかしい】
 お兄さんの住んでいるマンションの1フロアは、遺産そのものではありません。
 お兄さんが、家主からマンションの1フロアをもらって、自分の単独所有名義にしているのですから、お兄さんとしては自分の家に居住していることになり、そこに居住することでは、なんらあなたの権利を侵害しているわけではありません。
 従って、お兄さんがマンションの1フロアをもらった後の過去10年間の賃料に相当する分をお兄さんに請求することはむずかしいでしょう。

【借地権を消滅させられたことの損害請求は可能】
 問題は、お兄さんがマンションの1フロアをもらうときに、あなたの借地権を消滅させたことです。
 お父さんが死亡した時点では借地権とその上の家はあったのですから、あなたも法定相続分に応じて、その借地権及びその上の家を相続しています。
 それなのに、お兄さんは、地主の希望で家を壊して借地権を消滅させました。
 この借地権等を消滅させることについては、共同相続人であるあなたの了解が必要です。
 あなたの意向を聞き、借地権についてのあなたの相続分を尊重するべきでした。
 それをせずに、借地権を消滅させ、マンションの1フロアをもらったという点で、お兄さんの行動はあなたの権利(相続分に応じた借地権及び家の持分)を侵害しており、権利侵害行為ということができます。
 あなたとしては、お兄さんに対して、あなたが相続した限度での借地権等を侵害されたとして、その損害(金銭請求)を主張することができます。

【金銭賠償が原則だが、交渉であるので・・】
 マンションの1フロアの半分をもらうことをお考えのようです。
 あなたの相続した借地権等を消滅させられたことによる損害は、本来は金銭で賠償されるべきものです。
 ただ交渉ごとですので、あなたとしては、その金銭賠償の価額がマンションのワンフロアの2分の1に相当すると理解して、1フロアの2分の1の所有権移転を請求することも可能ですし、もちろん、損害賠償請求として金銭で請求することも可能です。
 相手方の出方に応じて、どちらかの方法を選択するといいでしょう。

 あとはお兄さんとの人間関係にもよるでしょうが、前記のような話をお兄さんと交渉しつつ、本来ならお父さんの家(とそれに代わるマンション)の利用権について交渉されるのがよいでしょう。
 また、ご質問からは明らかではありませんが、マンションのフロアを地主さんからもらうまで、お父さんの建物は誰が住んでいたのでしょうか?
 もし、お父さんの生前からお兄さんが住んでいて、その流れのままお兄さんが住み続けていたということであれば、お父さんとお兄さんの間には、無料で住み続けることができることの合意(=使用貸借契約と言います)が成立していた可能性があります。
 このような使用貸借契約が成立していた場合には、お父さんが亡くなった後も、遺産分割協議が成立するまではお兄さんが引き続き無償で使用することができるというのが裁判所の扱いです。
 あとは、お兄さんのほうから、「使用利益を請求するなら固定資産税も半分負担するように」との反論が返ってくるでしょうが、使用利益に比べればそれほど高いものではないでしょう。


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親の土地に家を建てた息子の特別受益【Q&A №278】

2013/05/16
 父の土地に使用貸借で子が家を建て住んでました。
 父が死亡し、母がその土地を相続しました。
 子はそのまま使用貸借として引き続き住んでました。
 使用貸借は相続するとして認めてます。
 母が死亡しました。
 母が生存中の使用貸借は特別受益と当方は主張してます。
 先方は負担付使用貸借であるから特別受益に該当しないとしてます。
 どんなもんでしょうか。宜しくお願いします。

記載内容

使用貸借 賃料 介護 特別受益 


(房総)


【特別受益はお父さんとの関係で問題となる】
 お父さんの土地に子供が家を建築し、居住した(使用貸借)というケースです。
 お父さんの相続の関係では、使用貸借契約をしたという点が子供の特別利益になります。通常、使用貸借は更地価額の1~3割を目途に特別受益額を算定するといいでしょう。

【お母さんの関係では特別受益の問題は発生しない】
 既にお父さんの遺産分割の段階で特別受益が発生しています。
 お母さんはそれを相続しただけです。
 お母さんが子供に使用貸借を新しく設定してはいませんので、お母さんの遺産分けの場面では特別受益の問題は発生しません。

【無償使用しているのは特別受益ではないのか?】
お母さんの遺産である土地を無償で使用している点は特別受益にならないのかという問題点があります。
この点については、使用貸借を特別受益とした段階でその後の無償使用分は既に評価されており、無償使用分は特別受益にあたらないというのが実務の扱いです。

【負担付使用貸借とは・・】
 負担付という意味がわかりにくいのですが、たとえばお父さんやお母さんと同居し、その介護をすることが条件で使用貸借を設定したのであれば、その同居介護と使用貸借が対価関係になり、特別受益はなかったものとする、という意味であると理解できます。
先方の主張はこのような趣旨だと思いますが、その言い分はそれなりに成り立つ余地があると思われます。


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★息子を相続人でなくす方法【Q&A №258】

2013/03/18
 30年近く父名義の土地建物に同居する弟(夫婦)からの虐待が原因で平成22年5月父が列車に飛び込んでなくなり、父なき後ますますエスカレートする虐待のため母も家を出て老人施設で暮らしていましたが度重なる心労から癌を発症し昨年の12月に亡くなりました。母が家を出てからの2年間弟からは母の安否を尋ねる連絡は一度もなく危篤の知らせにも葬儀にも顔を出さずじまいでした。倒れた7月から亡くなる12月まで私が横浜から母の住む富山に移って一人で看病をし葬儀も行いました。
 父母は生前から弟に家から出て行ってほしいと言っていましたが暴言・暴力・無視を続け今も父母の家に住み続けこのままでは弟の占有権(?)が強くなるのではないか心配です。分割協議が整うまでの退去の要求とか家賃の請求など、早急にやっておくべきことがあれば教えてください。
 母は、全財産を私に相続させ遺言執行人に指名する旨の遺言書と、弟の廃除の遺言書を残しました。母は生前市役所・警察署・法務局人権相談窓口で虐待について相談しています。母の廃除の意思・私の執行人の立場から考え、母の相談内容の開示をお願いしたのですができないとの返答でした。法務省の審査基準を見る限りでは個人を特定できる部分をマスキングすれば開示可能なのではないかと思うのですがどうなのでしょうか。父母の最晩年の苦しみと悲しさを思うとやり切れません。

記載内容

賃料 代償金 無償使用 占有 廃除
(みみょう)


【まず、廃除の手続きをする必要がある】
 被相続人が廃除の遺言書を残しているようですので、あなたとしては《早急に》家庭裁判所に廃除の手続きをする必要があります。
 この手続きにより、弟さんを相続人から廃除することができます。
 ただ、廃除は被相続人に対する虐待があることが要件ですので、廃除を記載した遺言書の他に虐待を証明する証拠を裁判所に提出する必要があります。
 ただ、資料が整わないのであれば、とりあえず、家庭裁判所に廃除の申立をし、裏付け資料を追加して提出する必要があります。

【情報開示について】
 警察は、虐待があったとの通報があった場合には、刑事的な観点から捜査を開始することになります。
 ただ、特に刑事事件として立件されていないようですので、警察としては《捜査情報》ということで、一切、開示はしないでしょう。
 お母さんが、市役所や法務局人権相談窓口で相談されていたのであれば、あなたが相続人であることや、虐待を記載した遺言書があることを明らかにしたうえで、早期にそれらの役所に開示請求をされるといいでしょう。
 残念ながら、当事務所では廃除請求をした経験がありませんので、請求の結果、マスキングして開示されるのか、全く開示されないのか、全面開示されるかどうか、お知らせすることができません。
 ただ、お母さんが虐待の相談に行き、その件で相続人が開示請求するのですから、開示される可能性もあると思います。
 悩んでいても始まりませんので、ともかく開示請求を行い、行政と開示に関する交渉を行うことであり、その中で行政側を説得していく必要があります。
 なお、身体的な虐待(傷害等)があった場合には、病院のカルテが有効な資料になります。この場合には相続人であることを証明すれば、カルテは開示されます。

【遺産分割協議までの対処】
 あなたがお母さんの全遺産をもらうという遺言書があるようですので、家はあなたが全部相続したことになります。
 そのため、あなたとしては、弟さんに家からの退去を求める権利があります。
 ただ、弟さんとしては無償使用権(使用貸借権)を主張され、退去に応じない可能性があります。
 退去に応じないのなら、賃料をもらいたいという考えもあるでしょうが、弟さんは家賃を支払わずに居住していたのでしょうから、賃料の支払い請求も困難です。
 話し合いで解決できれば一番望ましいでしょうが、事案から見てそのような解決は困難なように思われます。
 結局、退去や家賃の支払いを求めるのであれば、明渡訴訟等の訴訟手続きをする必要があり、その中で

①退去を求めないが、今後は家賃を支払わせる約束(和解)をするか、
②判決で勝って、明渡の強制執行をする


のどちらかになるでしょう。


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10:06 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★農地の評価【Q&A №246】

2013/02/19
父の了承のもと使用貸借という形で父の畑を宅地化し、アパートを建てて経営をはじめました。ほどなくして父が死亡したためその土地を相続をしようと思いましたが、なんと宅地化で評価が200倍以上に跳ね上がり、私は現金の相続が一切できないとのこと。土地の評価は相続発生時だということは十分承知しております。しかし、宅地化にあたり、整地その他で1000万円近くかけました。隣の土地を相続する妹は、畑のままなので評価が低いため、土地プラス現金です。これはあまりにも不公平だと思います。最寄りの弁護士にも相談しましたが、土地の評価増の寄与分の主張可能、ほぼ無理など意見が分かれ、ネット上で検索しても意見が分かれています。もっとも評価増の原因は、私の貢献ということではなく、実際は現況を宅地にした手続きによるものだと思います。
 私のようなケースでも、調停、審判となった場合、固定資産評価をもとに機械的に判定されてしまうのでしょうか。
※他の相続人にとっては、私の不利益は自分たちの利益になるので話し合いには一切応じません。税金上の問題はありません。私が相続する土地と妹が相続する土地は、隣り合っており極めて似通った土地です。唯一の違いは現況が畑か宅地かです。

記載内容

農地 宅地 整地 転用
(HO)


【農地の評価の問題】
 土地の評価で、相続対象が農地の場合、難しい問題があります。
 特に宅地に隣接しており、将来宅地になる可能性がある土地については、どのように評価するべきかという問題があります。
 結論から言えば、そのような土地は評価証明や路線価ではなく、宅地に相当する土地として、宅地並みの金額を主張することは可能でしょう。
 ただ、その際に主張する不動産価額をいくらにするかは不動産鑑定士さんに依頼して評価してもらうしかないでしょう。
 今回のように近隣地が宅地化されており、法律上宅地への変更が可能ということであれば、宅地並みの財産として評価すべきという判断をした裁判例もあります。

【特別寄与の問題】
 お父さんの農地を宅地化した際に、1000万円かかったということのようですが、その金銭はだれが出したのでしょうか。
 お父さんが出したのであれば、特別寄与の問題は出てきませんが、あなたが出したというのであれば、特別寄与を主張されるといいでしょう。
 なお、相続対象の農地について言えば、仮に宅地並みに評価するとしても、その造成費が土地価額評価の減価要素となることを念のために申し添えます。


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14:03 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★遺産分割の無効確認請求【Q&A №199】

2012/09/19
 遺産を隠しておこなわれた遺産分割無効確認の請求

 H9/1/14に亡くなった父親の遺産分割は同月22日に終了したが平成18年に父親の財産だった預金のおよそ半分の1000万を隠匿一部解約しての遺産分割だったことがわ
かったがその証拠は兄が申立てた調停で受取った郵便局通帳写で証明できる。
 また父が残した預金は1200万円と兄が言っている録音テープもある。この時の相続で母親名義にしていた実家もいつの間にか5年かけて生前贈与されていたが司法書士が不正な贈与登記申請だったことを認めた。
 悪質なので遺産分割無効の裁判をしたいと思うが母親は平成19年4月に死亡。この場合無効確認請求で勝訴すると平成19年から実家に住んでいる兄に対して、不法占拠期間の損害を請求できるか。またこの裁判は弁護士以外の者が裁判を起こせるか。例えば相続譲受人など。

記載内容

遺産隠し 遺産分割協議 無効確認 不法占拠 無償使用 使用貸借 本人訴訟

(オリーブ)


【遺産分割協議も取り消したり、無効の主張ができる】
 遺産分割協議は相続人間の合意ですので、詐欺的な方法や重大な事実を隠匿していたような場合には、協議の取り消しや無効の主張が可能です。
 ただ、1000万円が隠匿されていたというだけなら、協議の全部を無効にすることなく、その1000万円を新たに分割の対象にするという解決も可能でしょう。

【生前贈与(不動産)分が発覚した場合】
 生前贈与となると、特別受益の額が遺産分割に影響してきます。
 特に不動産が問題となる場合には、その価額が多額な場合が多いので、その点を隠匿していた場合、遺産分割に重大な影響を与えるので分割合意書は無効という主張も可能です。

【賃料相当額の請求について】
 お兄さんの自宅無償使用を生前のお父さんが認めていたのであれば、お父さんが死後も賃料なく自宅に居住できるとして、賃料相当額の請求が否定されるケースもあります。
 ただ、今回の質問ではお父さんの死亡後に使用を開始したようですので、賃料相当額を請求できる可能性はあると思われます。

【訴訟は本人でもできるが・・】
 訴訟は弁護士でなくとも申し立てができます。
 しかし、遺産分割協議が無効であるというような訴訟は、かなり難しい手続きになりますので、できれば法律の専門家である弁護士に相談し、依頼されることをお勧めします。

   http://www.yokoben.or.jp/">横浜弁護士会会 (URL:http://www.yokoben.or.jp/)


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10:49 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益か否か【Q&A №157】

2012/05/31
 ① 昭和51年3月に店舗付き住宅(土地78.09㎡)を父が3/5、私が2/5を共有所有し購入しました。
  また、隣の中古店舗付き住宅(土地78.38㎡)が売りに出て、② 昭和62年7月に父が1/2、私が1/2を共有所有し購入しました。
 その後、平成2年12月に①の所有権3/5を移転してもらいましたが、②については、父の1/2の所有はそのままです。

 兄弟の言い分として、
 当然②の1/2は父の相続財産であり、①の3/5は特別授与に当たる。
 また、父の所有していた部分について無償で使っていたのだから、土地と建物の使用料が特別受益に当たると言われ困っています。
 ①の無償使用期間が昭和51年3月から平成2年12月の179ヶ月間(108ヵ月分)
 ②の無償試用期間が昭和62年7月から平成24年1月の294ヶ月間(147ヵ月分)
 ①と②の賃貸分として特別受益に当たると言われています。

 仮に特別授与になるのでしたら、毎月の使用料はいくらぐらいが妥当でしょうか?

記載内容

特別受益 共有持分 使用貸借 


(すえっこ)


【贈与であれば特別受益】
 まず、①の店舗付き住宅の5分の3の所有権移転が贈与であれば、特別受益に該当すると考えられます。
 民法の条文では、「生計の資本としての贈与」を特別受益としていますが、実務では相続人に対して多額の財産を移転すると、特別受益とされると考えていいでしょう。

【無償使用の権利は特別受益になります】
 あなたが②の店舗付き住宅のお父さんの持分2分の1を無償で使っているのは、共有者間の合意に基づくものであり、使用借権のようなものです。
 この無償で使用する権利は、死亡後も続くものと考えられますので、使用借権と同様に特別受益に該当すると思われます。
 したがって、その無償使用を設定してもらったことで発生した権利は特別受益として扱われ、相続発生時点でその権利の価額が遺産に算入されます。

【死亡までの無償使用分は特別受益に該当しない】
 前項で記載したように、お父さんの土地建物の持分の無償使用権は特別受益に該当し、遺産に算入されます。
 しかし、特別受益は、受益の原因となる行為の効力を奪うものではありません。
 相続人間の公平を考慮して、特別受益として権利の価額を遺産に組み入れようとするものです。
 合意後の無償使用分は、前項で記載した権利の内容を実現するものです。
 その権利自体が特別受益として遺産に算入されている以上、この権利内容を実現する現実の無償使用は特別受益にはなりません。
 なお、この点については、判例をQ&A №109に記載しているので、その部分を再掲します。
 「使用期間中の使用による利益は、使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当で」あり、使用料を加算することには疑問がある。

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16:42 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

共有不動産と固定資産税の負担について【Q&A №153】

2012/05/24
 使用貸借なし 固定資産税半分負担?

兄弟で親の土地を共有相続しました。

一人がその土地に住んでいます。
土地の利用に関して使用貸借はしていません。
持分の固定資産税の支払いを要求されています。

使用土地代をもらっていないので、代わりに全額固定資産税を使用者(住んでいるもの)が払うのが当然とおもいますが・・・どうでしょうか?

記載内容

固定資産税 使用貸借 共有 

 
(cosmos)


【土地の無償使用は使用貸借です】
 被相続人の親名義の土地に住んでいるということは、相続人の一人がその土地上の建物を所有しているという事案だと思われます。
 「土地の利用に関して使用貸借はしていません」ということですが、その土地上に建物を所有しているのなら、親はその相続人が建物を建てて住むことを了承していたはずです。
 契約書を作っておらず、また、口頭でも使用貸借というような話をしていなくとも、使用土地代(賃料)を支払わず使用しているなら、法律上は《使用貸借》になります。

【固定資産税は誰が支払うのか?】
 遺言がない場合には、遺産である土地は法定相続分の割合で共有することになります。
 固定資産税は所有者に課税されますので、各相続人がその相続分に応じて固定資産税を支払う必要があります。

【使用者に固定資産税の負担を求めてもいいでしょう】
 今回の質問では相続人の一人が賃料の負担なく使用しているのなら、固定資産税を全額負担するのが当然という気持ちは理解できます。
 相続人間の公平性を考えれば、その使用者が全額を負担するべきだと提案されてもいいでしょう。
 ただし、使用貸借は無償で利用できる権利ですので、固定資産税の負担を拒否されるかもしれません。
 そのような場合には、遺産分割調停の申立をして、その土地は使用者である相続人に所有権全部を取得してもらって、あなたの相続分に該当する金銭(代償金)の支払いを求めていくという方法もあります。
 そのようなことも頭に入れて交渉されるといいでしょう。

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16:50 その他 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

現在住んでいる土地の相続【Q&A №149】

2012/05/14
 昨年一緒に暮らしていた主人の母が亡くなり、その後土地の名義変更についてもめています。
 主人には姉二人と妹一人の4人兄弟です。
 20年前に両親と私達家族と家を建て直し同居しましたが、父も亡くなり、昨年母が亡くなった後、2番目の姉だけが、今住んでいる土地の四分の一は相続する権利があるんだから、お金を払えと言ってきました。他の姉妹は両親の面倒を見てくれたと言う事で、気持ち数十万でいいからと言う事になりました。
 母の預金は葬式代だけで保険金も預金もありません。葬式に母のお金プラス足りない分を私達が払ったので、母には現金は無く、母の名義の115坪の土地だけです。私達もお金が無いので借金しなければ姉に払えません。
 やはり弁護士さんに頼んだほうが良いのでしょうか?市役所の路線価で調べると、ざっと一人あたり800万円位の相続金でした。相続路線価ではないからこの金額も変わってくるとは思いますが・・・・。現在は長女が間に入って2番目の姉と金額の交渉をしてくれてはいますが、どうしたらよいのでしょうか?

記載内容

特別受益 土地の評価 使用借権 
(もも)


【親の面倒をみても、相続分は増えない】
 両親と同居して、その面倒を見てきたのなら、その分を評価して「気持ち数十万でいい」というのは、《人情として》よくわかります。
 しかし、親の面倒を見たということだけでは、法定相続分が増えるわけではありません。
 面倒を見たことによって、遺産が増えた(あるいは減る分が少なくなった)ときに寄与分として遺産からもらえる額が増える場合があります。
 というわけで、2番目のお姉さんが「今住んでいる土地の4分の1は相続する権利がある」ということは《法律的には正しい》です。
 「現在は長女が間に入って2番目の姉と金額の交渉をしてくれてはいます」とのことですが、法律で解決するのではなく、他の兄弟から人情を絡めて説得してもらうという、現在のやり方が妥当でしょう。
 
【支払い額はどの程度になるか】
 調停の場合は、国税庁が発表している路線価(公示地価の80%程度に設定されている)を、不動産評価の基準にすることがよくあります。
 なお、相談者がいわれる「市役所の路線価」というのが《固定資産評価額》だとすると、路線価よりさらに1割程度低い金額になります。
 また、土地の使用権があるので、土地の価額が低くなるのではないかということも考えられます。
 賃料を支払っていれば借地権、支払っていなければ使用貸借権があり、この権利の分だけ土地の評価が下がります。
 しかし、これらの土地使用権が、お母さんから与えられたものであるなら、《生計の資本としての贈与》として特別受益になり、その分を遺産に算入し、土地価額から繰り戻しますので、結局は、不動産は更地価格で評価することになります。
 ただ、この土地が元々はお父さんの所有であり、お母さんが相続したものなら、お父さんからの特別受益ではあっても、お母さんの関係では特別受益にならないとも考えられます。
 弁護士に相談する際には、このような点も是非、お聞きになるといいでしょう。

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借地権付建物の譲渡代金は遺産か【Q&A №145】

2012/04/27

 先日被相続人が死亡。
 相続人は長男A長女B次女C次男Dの4人。
 Bが包括受遺者となる公正証書が発見されました。
 Aは生前「跡取りとして会社倒産時尽力をつくしてくれたので、全てやる」と言われていました(ちなみに私はAの子供)。Aは遺留分を計算して公正証書を作成しておきましたが、その後Bが書き直したようです。
 被相続人の配偶者他界後、被相続人が他界するまで数年はBが世話をしていて他者の入る隙は全くありませんでした。
 ここで質問です。
 Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義です。つまり使用貸借です。
 Aが住んでいる一帯は、以前は借地であり、前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。40年前で300万です。
 今現在、私の手元にその書類がありませんが、Aが借地権を支払ったという契約書類はAの手元にあります。これらの立替金額をBに請求することは可能でしょうか?
 内容をきちんと確認しなければいけませんが、借地権買取の領収書なら立替(貸付)と認めてもらえますか?借地権の買取の契約書類、だとその後使用貸借になっている以上、時効で権利は消失でしょうか?
 相続で我家名義の土地になると約束を信じていたので、こんなことになるとは思っていませんでしたが・・・。
 キーワードなどを教えていただけると幸いです。


記載内容

  相続債務 借地権 使用借権 
(面倒)


【300万円は何のために支払われたお金か?】
 被相続人は土地を貸しており、借地人がその上に建物を建築していたことを前提として回答します。
 その「前借地人が退去する際、借地権をAが立替えて支払っています。40年前で300万です」とありますが、この300万円がどういう性質のお金であるのかが問題になります。
 被相続人のためにした立替支払したというな被相続人に対する貸金であれば、被相続人に返還を求めることができ、その債務が相続により包括受遺者に相続される可能性があり、Bに支払いを請求できることになる可能性があります(但し、40年前の話ですので、時効で消滅していると反論される可能性が高いですが)。

【借地権付建物の譲渡代金の可能性が高い】
 質問に記載された内容を前提に、事実関係を整理しながら話を進めていきます。
 前の借地人が退去した、「Aが住んでいる土地は被相続人名義で建物はA名義」、「借地権の買取の契約書類」などという記載からみて、Aさんは前借地人の所有する借地権付建物を300万円で買い取ったとみるべきでしょう。
 そうすると、300万円は被相続人に対する立替金でも、貸金でもなく、前借地人に対して支払った売買代金であり、Aさんは被相続人になんらの請求権もないということになります。
 そのため、包括受遺者であるBさんに対して、相続債務を承継したので返還せよというような請求はできないという結論になります。
 なお、この結論が正しいかどうかは、300万円を支払った時の契約書を見れば確認できますので、探されるいいでしょう。
 もし、契約書がなくとも建物の登記簿の登記原因が売買となっていれば、借地権付建物の譲渡の可能性が高いということになります。

【使用貸借ならいつまで土地を使用できるか?】
 Aさんは借地権付建物を買い取ったのですから、賃料を支払っていれば、借地権(賃借権)を主張できました。
 ただ、その後、賃料を支払っていなかったようですので、Aさんの権利は「借地権」ではなく、被相続人とAさんとの間で土地の使用貸借契約に基づく「使用借権」に変わったと考えるべきでしょう。
 包括受遺者のBさんとしては、借地権が存在しないことから、Aさんに建物収去、土地明渡を請求する可能性があります。
 Aさんはその土地の使用借権を有していますが、問題はその権利がいつ終了するかです。
 被相続人としては、Aさんの建物が存続する限りは、Aさんにその底地使用をさせるという気持ちがあったので、建物が朽ち果てるまでは使用貸借契約は消滅しないと主張されてみてはいかがでしょうか。

【キーワードは・・】
 ネットなどで検索する場合には、相続と使用貸借をキーワードにされるといいでしょう。



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16:37 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益と使用貸借【Q&A №109】

2012/01/17

①-1相続人(5人)の1人が30年前に親の土地に家を建て土地を無償にて使用しています。4年前に親が亡くなりました。特別受益になるのでしょうか?特別受益は 更地価格の1割~3割だけでよいのでしょうか?使用年数も乗じるのでしょうか?具体的な金額を教えて頂けますでしょうか? 更地価格(路線価)が1000万の場合は特別受益は100万~300万で宜しいのでしょうか?
①-2 別の相続人1人は、親が亡くなる1年前から親と同居し亡くなってから現在まで 親の土地の上にある建物に居住している
 この場合は 特別受益になるのでしょうか?特別受益に該当する場合は 建物の価格(固定資産税評価額?)の1割~3割になるのでしょうか? 具体的な金額を教えて頂けますでしょうか?


記載内容

  特別受益 使用貸借 使用借権

(気分快晴)


【使用貸借も特別受益になる】
 親の土地の上に子供が家を建築している場合、その土地の賃料を支払っている場合には借地権が設定されていることになり、この借地権の設定は特別受益に該当します。
 今回のご質問の場合は、建物を建築したが、被相続人に対して土地の賃料を支払っていないということですので、その相続人には使用借権が発生しています。
 このような場合、その相続人は被相続人から使用借権の贈与を受けたものとして、これが特別受益になります。
 その評価は、ご指摘通り、更地価格の1~3割程度のことが多いです。

【使用借権の価額とは別に使用による利益を加算できるか】
 特別受益としての使用借権の評価額は相続開始時点の価額です。
 なお、特別受益としては使用借権の価額が問題となるだけであり、それまでどれだけ長期間、無償使用したかは問題とされませんので、無償使用の利益相当額に相続までの無償使用の年数が乗じられるようなことはありません(この点については、「使用期間中の使用による利益は、使用貸借権の価格の中に織り込まれていると見るのが相当で」であり、使用料を加算することには疑問があるという裁判例もあります)。

【親と同居することは特別受益にはならない】
 単に親と同居していたというだけでだけでは、その相続人には特別な権利は発生しません。
 もし特別受益が問題になるとすれば、《部屋代に相当する賃料分の利益》を受けたという点でしょう。
 しかし、質問では相続開始時まで1年間のことであり、期間も少なく、額も小さいと思われることから、特別受益とまではいえません。
 なお、相続開始後の建物使用についても、特別受益の問題ではないことにもご注意ください。
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使用借権の評価【Q&A №103】

2011/11/25
 

 土地の相続問題です。相続人が甲と乙2名であり、乙は被相続人と23年前に被相続人の土地にその住居を取り壊し、新築して同居していました。
 相続協議において、乙は使用借権をかざして、地価額の2割は使用貸借権がある土地として評価額の低減を要求しています。
 甲は弁護士に相談し、第三者への売買目的でなく、自らが相続する土地に関し、その評価額を使用借権による低減するなどは無いと確認し、すすめもあって、家裁調停に持ち込みました。
 そこで、地価の公平なる算出に、土地鑑定士による評価を行おうと進めていましたが、調停員は、「裁判官の意見を聞いたところ、使用借権は有る程度認められ、土地の鑑定結果は使用借権相当額を引いたものになる」と言うのです。
 また、その使用借権に係わる評価減額率はどの様になるかを問うと、ハッキリ言いません。
 調停で言うこと、先に弁護士に聞いたこと、何故、食い違いが有るのでしょうか。もし、本当に使用借権が一定率認められるのであれば、それは、使用貸借権を無償で設定してもらっており、この権利に相当する額が特別受益といえると判断出来ませんか又、その場合特別受益の持ち戻し請求は出来ませんか。


記載内容

  使用貸借 路線価 特別受益
(仁)


【土地の使用借権の評価について】
 相続人の一人(乙)が、遺産の土地上に建物を建て、土地を無償で使用しているので、その土地には乙の使用借権が設定されています。そのため、その使用借権の分だけ、土地が低く評価されます。
 賃料を支払っている借地権などがある場合、その土地の価額は借地権価額を引いた金額になります。
 借地権価額は路線価図に記載されている借地権割合を参考にして算定する場合が多いですが、使用借権については、路線価図にはなんらの記載もありません。ただ、1~3割程度と評価される場合が多く、その分、遺産である土地の価額が低く評価されます。

【弁護士と裁判所の見解の相違について】
 相談した弁護士からは、減価されないと説明を受けたようですが、現に、乙の建物が存在し、使用借権が認められることを前提にすれば、その分、土地の評価が下がるという裁判所の見解が正しいと思われます。

【使用借権による減価の回復】
 甲の立場で、調停で主張できそうな点を考えてみましょう。
① まず、ご指摘のとおり、乙建物の底地を無償で利用させたこと、すなわち使用借権を設定したことが、生計の資本としての贈与であり、特別受益にあたると主張することも可能です。その場合には、その受益分は遺産に組み入れ(もち戻し)されることになります。
② 乙が、23年前に建物を建築した際、被相続人が建築費を出したということであれば、その点からも特別受益の問題が出てくる可能性があります。
 さらに全額を被相続人が出し、しかも固定資産税も支払っているというような場合には、この乙名義の建物は実質的に被相続人の遺産だということも可能かもしれません。

【調停の話と、先に弁護士に聞いたこと、何故、食い違いが有るのでしょうか】
 遺産については民法に定められていますが、その条文はわずかに160条程度です。
 多くの事案で、条文に書いていないことが問題となります。
 また、関連する条文があっても、立場が違えば、違う解釈をするでしょう。
 さらに言えば、弁護士がすべてを知っているわけでもありません(相続に詳しくないのなら、正しい答えを出すことができないケースもあるでしょう)。
 これらのいずれか、あるいは複数があいまって、調停や裁判の結果と弁護士の見解が相違することがまま発生します。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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親の土地に家を建てた兄弟との遺産分割【Q&A №75】

2011/06/14

 金銭の相続は分かりますが、土地の相続で疑問点が・・・

 親の土地に相続人(4人)の一人が家を建てて住んでいる状態の時に相続が発生しましたら、どのように考えるのでしょうかぁ?
 金銭に換算する方法以外に考えられる事が有りましたら教えていただけますでしょうかぁ?


記載内容

  遺産分割 代償分割 使用貸借 
(ママ)


【建物、土地利用権はどうなるか】
 親(以下、被相続人といいます)の土地の上に相続人の一人(以下、Aさんといいます)が建物が建て、居住している場合です。
 相続の対象となる土地の上に立っているAさんの建物を撤去しなければならないのか、土地利用権は何か、土地価額がどうなるか、が問題になります。
 Aさんが被相続人に賃料を支払っていたのであれば、借地権となります。この場合には、Aさんが自分の土地の底地を引き続き使用することができ、遺産としては借地権付の土地が相続の対象となります。
 賃料を支払わずにAさんが使用していた場合には、被相続人とAさんとの間で使用貸借契約が成立していたことになります。
 この使用貸借は、法律では賃貸人が死亡した場合には消滅するとされており、被相続人が死亡した場合にはAさんは建物を撤去しなければならないのが原則ですが、現実には建物の存続を前提として解決することが多いです。
 本件のようにAさんが居住している場合には、被相続人としても、自分が死後にもその建物を使用させるという前提で建築を認めたと思われますので、最終的には、建物を存続させた上での解決をさぐるということになります。

【適切な遺産の分割方法は】
 遺言があればそれに従いますが、ない場合には遺産分割の協議をすることになります。
 本件では、土地をAさんに取得してもらい、他の相続人は、土地に対する相続分に見合う金銭(代償金)をもらうというのが一番良い解決方法でしょう。
 その場合、借地権であれば、土地の値段は更地価格から60%程度減少して評価されることになります。(ただ、この減価分はAさんの特別受益ではないかという問題もあります。)
 使用貸借であれば、その土地の使用分に見合う金額を減価しての遺産分割をすることになります(が、特別受益の問題が生じる可能性があるのは借地権と同じです)。
 Aさんが代償金を支払うお金がない場合には、他の相続財産があれば、その分をAさん以外の相続人で取得するという方法もあります。
 ただ、遺産が土地だけで、Aさんにお金がないというのであれば、土地は相続人の共有にして、Aさんから土地の賃料を払ってもらうこともできます。
 相続人間で、話がまとまらないときは、土地を売却して、その代金を分割するという方法も考えられますが、本件のような他人の建物がある土地については、購入する人も少なく、売却金額も著しく低額になるため、この方法はできるだけ避け、互譲の精神で円満な解決を目指されることをお勧めします。
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14:03 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

息子名義の土地上にある父名義の自宅建物【Q&A №47】

2010/12/01
 
 私が相続した土地に父名義の家が建っており現在その家には母が1人で住んでおります。家の相続人は私を含めて3人です。兄弟がこの家について話し合いできる様な関係にあれば私が買い取る事も可能ですがそれも出来ません。
母が亡くなった時にこの家は私の土地に建っているから取り壊すように命令出来ますか?
そのような命令はどの様にすればだせますか?
もしそれでも無視されたらどうしたらよいでしょうか?


記載内容

  遺産分割調停 使用貸借 撤去費用 
(yuu)


【あなたの土地と家の関係】
 あなたの土地上の家はお父さん名義ということですので、あなたは地代を受け取っておられないと思います。
 地代を受取っている場合には、土地上の建物所有者が借地権という強い権利を持ちますし、その借地権は相続されます。
 しかし、地代を受取っていない場合は使用貸借という関係になり、原則として、いつでも建物の撤去を求めることができます。
 なお、借地権を消滅させるのには正当な理由を備えなければならず、さらに、借地権の価値として土地の約60%の金額の支払いを要する場合もあります。
 これに対して、消費貸借の消滅の場合には、借地権のような価値はないため、原則としてそのような金銭の支払いをする必要はありません。
 なお、家の撤去費用は、家の所有者が負担しなければならないので、本件において、あなたを含む相続人全員が負担するのが原則です。

【もしお母さん亡くなった場合の建物撤去の方法】
 お母さんが、現在、お父さん名義の家に住んでおられますが、もしお母さんが亡くなった場合、あなたは家の撤去を求めることができます。
 撤去を求める方法としては、本件のような相続がからむ問題の場合には、まずは家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをして、その調停手続きの中で建物撤去の話をするのがいいでしょう。
 経験豊かな調停委員が、ご兄弟を説得して、建物撤去も含めた遺産にかかわる問題を解決してくれるでしょう。
 それでもご兄弟が建物撤去に応じないというのであれば、地方裁判所で建物撤去の訴訟を提起することになります。
 その場合には弁護士に相談されるのがいいでしょう。
 なお、遺産分割調停がまとまった場合や、建物の撤去を認める裁判が確定した後、御兄弟が従わなくとも、強制執行を申し立てし、裁判所の手続きで建物撤去が可能となります。
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10:41 その他 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★父の後妻と母の相続【Q&A №46】

2010/11/01

 7月に母が亡くなりました。先日、父より電話があり、1週間前に紹介された中国人の方(私より10歳年上)と再婚したと伝えられました。

父の薄情さに腹が立つとともに、母が残してくれた財産を、名前も知らない後妻には一切渡したくありません。特に以下のことを心配しています。

1)父が住んでいる土地・建物は遺産相続時に私の名義に変更。しかし、私はそこには住んでおらず、父と後妻が住むことになる
→後妻には父の死後もそこに住むことができる権利がありますか?

2)父名義の生命保険は受取人を母から私の名前に変更
→受け取りの場合、後妻と半分にしなければいけないのでしょうか?

3)母の貴金属・着物→遺産分割の時には触れていませんが、暗黙の了解で私が引き継ぐ(女物なので)ことになると思っていましたが、法律上は父の持ち物となってしまうのでしょうか?

分割協議書では土地建物は私に、預貯金は父に、それ以外に母名義の財産が出てきたら私に引き継がせるということになっています。


記載内容

  使用貸借 生命保険 形見 
(ゆみ)


 お母さんの所有していた土地・建物(以下、「不動産」といいます)については、分割協議であなたの単独所有になり、登記も完了したという前提でお答えします。

《後妻が不動産に居住し続ける権利は、原則としてありません》
 あなたは、お父さんから賃料などは受取っていないでしょうから、法律的には、お父さんは使用貸借で不動産を使用しているということになります。
 この使用貸借の借受人であるお父さんが死亡した場合、使用貸借契約は終了しますので、後妻は不動産を引き続き使用することはできないということなります。

 ただ、表題でわざわざ「原則として」と記載したのは、裁判所が後妻の立場に同情するような場合もあるということです。

 例えば、子(養子)が父(養父)の死後、父の内縁の妻に対し、父名義の建物を明け渡すよう請求した事案がありましたが、裁判所は内縁の妻に対する明渡請求を、権利の濫用だとして認めませんでした(最高裁判所昭和39年10月13日判決)。
 もちろんこのケースでは父と養子とが不仲で離縁直前であったなど、ご相談のケースと違う事情が多々ありますが、明け渡しが認められる場合ばかりではありませんので、ご注意下さい。

《受取人の指定された保険はその受取人が全額を取得します》
 受取人が指定されている生命保険(死亡給付金)は、相続財産ではありませんので、他の相続人に遺産分割する必要なく、あなたが全部を取得できます。
 但し、保険の契約者はお父さんでしょうから、将来、お父さんが保険金の受取人を後妻に変更する事はできます。この点はご注意ください。

《遺産分割協議書に記載されていないものは、単独所有ができません》
 「分割協議書では土地建物は私に、預貯金は父に、それ以外に母名義の財産が出てきたら私に引き継がせる」という記載があるということですので、お母さんの貴金属や着物などは、「それ以外の財産」としてあなたが取得すると理解していいでしょう。

 いずれにせよ、貴金属や宝石等の小物については一刻も早くお父さんと話をして渡してもらい、自分のもの(単独所有)にしておくのがいいでしょう。
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18:09 遺産分割 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集
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