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不当利得返還請求と遺留分【Q&A №652】

2019/07/02


【質問の要旨】

父が死亡。
相続人は後妻と相談者(二名)。
遺言書があり、後妻に遺留分減殺請求をした。
寝たきりの父には年間700万円の収入があるのにも関わらず、5年間のうちに後妻が
1500万円引き出している。
(後妻曰く、生活費1000万円と葬儀費用500万円)
この1500万円の不当利得返還請求をした場合、請求額はいくらになるか?


【ご質問内容】

公正証書遺言がある時の使途不明金は遺産分割の対象になるのでしょうか。
下記概略です。

父が他界して相続が発生しました。
相続人は後妻さんと私(先妻の子)の計2名。
公正証書遺言があり預金(500万円)は後妻さんと私(先妻の子)と折半、マンション1部屋(時価2,500万円)と「その他一切の財産・負債も含む」は後妻相続となっています。(後妻さんには遺留分減殺請求済み)

父(要介護5の寝たきり)の移動明細(銀行)から後妻さんによる5年間で1,500万円の預金引き出しが確認されたので後妻さんに説明を求めたところ1,000万円は生活費,残り500万円は葬儀費用等との回答でした。
父の年収は700万円ほどあり父の移動明細や後妻さんによる説明からは預金を引き出す必要はなかったと思われます。

仮に後妻さんにより引き出された預金(1,500万円)が、不当利得返還請求の対象になった場合、私が後妻さんに対しての請求額はどのように考えたらよいのでしょうか。

652

(フリーダム)



 ※敬称略とさせていただきます。


【不当利得返還請求権は誰のものか】
ご質問によると、後妻が5年間のうちに父の口座から、1500万円もの預金を引き出していたということです。
これが、父の意思によらずに引き出したものだということになると、おっしゃるとおり、父は後妻に対して、1500万円の不当利得返還請求権を有していたということになります。
そうすると、父の死亡により、上記返還請求権を誰が相続したのかが問題となりますが、遺言書によれば、その他一切の財産・負債は後妻が相続するとの内容になっているとのことです。
不当利得返還請求権は「債権」という財産ですので、「その他一切の財産」に含まれ、後妻がその請求権を全て相続すると判断されます。
そのため、あなたとしては、遺留分請求減殺をする必要があり、その遺留分の限度で不当利得返還請求ができるということになります。

【あなたは、1500万円も含めて遺留分減殺請求をすることになる】
前項の不当利得返還請求権という債権も被相続人の遺産だということになりますので、あなたの請求できる遺留分額もその分増えます。
《計算式》
遺留分計算の基礎となる遺産額:預金500万円+マンション2500万円+不当利得返還請求権1500万円=4500万円
あなたの遺留分額:4500万円×2分の1(法定相続分)×2分の1=1125万円
遺留分侵害額:1125万円-250万円(遺言でもらえる額)=875万円

以上の計算式で算定された875万円が、あなたが後妻に対して、遺留分減殺請求できる金額になります。

【父のための特別の使途であれば、1500万円から控除される】
ただし、後妻は、1500万円を引き出したことを認めているものの、1000万円は生活費に、500万円は葬儀費用に使ったと主張しているようです。
これに対しては、《あなたとしては父の年収が700万円もあれば、それ以外に1500万円もの引き出しをする必要はなかった》と主張されるといいでしょう。
ただ、例えば屋根の修繕費として、後妻が領収書等を示して父の特別の使途がために使ったことを立証できた場合には、その分は不当利得から控除される場合もありえます。
なお、葬儀費用は原則喪主負担ですが、分担すべき場合もありますので、念のため、領収書の提出を求めてみるといいでしょう。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
16:46 遺留分 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父の年金を弟のお嫁さんが使い込み【Q&A №646】

2019/05/21


【質問の要旨】

弟の妻が、父の年金を使い込んだ


【ご質問内容】

先月弟が膵臓癌で亡くなりました。
弟には3年前に再婚した妻がいます。
弟夫婦と父は一緒に生活していましたが、癌になった事をきっかけに介護施設に短期入所しました。
弟が亡くなり姻族関係終了届を出したと父の私物が送られて来ました。
その中に預金通帳があり確認するとほとんど預金は無く年金受給日の度に全額引き出されています。
不審に思いお嫁さんに聞いてみると施設と医療費に使ったと、また父がお嫁さんと一緒に銀行に行き年金担保に30万円の融資も受けています。
父は1円も受け取っていないそうです。
父は肢体不自由と中度の認知症が有ります。
引き出した場所を調べるとお嫁さんの勤務先近くだったり、遠く離れた市外でした。
父も年金の残高がないことに大変驚いています。
父の為に使ったお金に対し領収証の提出を求めましたが逆ギレされ応じてもらえません。
高齢の父がそれ程お金が掛かるとは考え難いと思います。
父の為に使ったお金以外返金してもらいたいのですが。
お嫁さんには再婚前から消費者金融に多額の借金が有ります。
このような件はなかなか難しいと聞いています。
でもなんとか良い解決方法教えて下さい!
お願い致します。

646

(アオちゃん)



 ※敬称略とさせていただきます。

【父の財産なので、父だけが返還請求をできる】
あなたは父が死亡した際には相続人になり、父の遺産をもらえる立場です。
そのため、父の財産がなくなったことに怒りを感じておられることと思います。
ただ、父が生きている以上、弟の妻に対してお金を返すよう請求できるのは父本人のみです。
あなたではありません。
まず、この点をご理解ください。

【弟の嫁に使い込まれた分を取り戻す方法】
父が中程度の判断能力だということなら、まだ成年後見人をつけるまでもなく、判断能力が残っているのでしょう。
その場合、父が弟嫁に使われた返還請求をすることになります。ただ、父が一人で請求するのは到底困難のようですので、弁護士に相談され、場合によれば依頼することも考えていいでしょう。
ただ、父が一人で弁護士を見つけ、相談するようなことはできないのなら、あなたが付き添って、弁護士事務所に行き、弁護士との窓口になるといいでしょう。
もし、たとえあなたが付き添って行っても、父が弁護士に相談できるような状態ではないというのなら、医師の診断書をもらって、成年後見人の選任申立をするしかないでしょう。
ただ、後見人が選任されても、過去の使い込まれた財産の取り戻しまではしない人もいるので、あなたの方からその後見人に返還請求をするように働きかけるといいでしょう。

【弟の妻は預金の使い込みを認めているのなら・・】
仮に父が弟の嫁に対して着服した金銭の返還請求を行う場合、次の点に注意をするといいでしょう。
請求するのは父であり、裁判にでもなれば、使い込んだという証明をするのは父の側です。
そのため、現在、「弟の妻が預金の取得を認めている」のなら、父のために、あなたが弟の妻が預金を使い込んだと認めている発言を録音しておくといいでしょう。
弁護士が交渉や裁判をする際、そのような録音が役に立つこともあります。

【お金が残っているかどうかも心配】
弟の妻が財産を残しているかも心配です。
多額の借財があったというのなら、弟の妻はすべて借金返済に充ててしまっているかもしれません。
その場合には、たとえ裁判に勝っても、取り戻すことは困難です。
差し押さえる財産がない人からはお金を返してもらうことができません。
なお、現時点で弟の妻がお金を貯め込んでいる預金口座をご存じであれば、その口座を仮差押するという方法もあります。
ただ、仮差押えの手続きは難しいので、弁護士と相談し、残高が相当程度ある可能性が高いのなら、早期に手続きを依頼するといいでしょう。
なお、その場合でも父が決意して弁護士に依頼することであるということはお忘れないように。
大澤龍司法律事務所
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15:53 遺産分割のトラブル | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

不正な預金引き出しと疑われたくない【Q&A №567】

2018/06/29


【質問の要旨】

頼まれた出金が不正出金と疑われないか

記載内容  不正出金 証拠

【ご質問内容】

私の祖母は介護が必要で施設でお世話になっています。

去年に祖母の娘(私の叔母)が、「息子が結婚する」と祖母のところへ報告にきたそうです。
祖母は孫に結婚祝いを渡すから10万円を自分の口座からおろして持ってきてほしいと母に頼みました。

祖母の子供は長女(叔母)と長男(私の父)ですが(祖父は他界)、叔母はアルコール依存症で私たち家族に暴言を吐くようになり仲が悪くなって祖母以外の私の家族とは音信不通です。

母は言う通りに10万円を祖母の口座からおろし普通の封筒に入れ祖母のところへ持って行き、叔母も後日その10万円を受け取りに来たそうです。

しかしその後も結婚はしていないみたいで、(その話を出すと叔母は言葉を濁すそうで)婚約破棄になったか騙しとった可能性が出てきました

祖母は足が不自由な位で病気もなく頭もハッキリしていますが、もし亡くなって相続の話になった時にこの10万円が不正出金になるのではと心配になりました。

言われた通り口座から引き出したのは私の母ですが、叔母が「そんなお金貰っていない、不正な出金だ」と言われたら証拠がありません。

これは祖母の口座を管理している私の家族の不正出金になるのでしょうか。宜しくお願い致します。

(けり)





【厳密には祖母の同意がありますが】

 今回は、お祖母さんの同意を得て出金したのですから、(外形上はともかく)厳密には不正出金ではありません。そのお金をお母さんが利得したわけでもありませんので、後日責任追及を受ける理由はありません。

 しかし、そのような話はお祖母さんが亡くなった後は誰も分かりませんので、叔母さんが「10万円が消えている。誰かが不正出金した」と騒ぐ可能性もないわけではありません。

【経過を書面化するなど記録しましょう】

 幸いなことに、お祖母さんはまだご存命で判断能力も十分なようです。それであれば、10万円の出金経過(叔母さんの息子さんの結婚祝いのため出金を依頼したこと、叔母さんを通じて息子さんに渡したこと等)を書面化しておき、お祖母さんにこれを承認する旨のサインや印鑑をもらっておけば、不正出金でないことの証拠になります

 (叔母さんが騙したかどうかは別問題として)少なくともこの書面を作成しておくことで、お母さんの不正出金だと言われることは防ぐことができるでしょう。

【出金の証拠は残るが、支払いの証拠は残らない】

 お祖母さんの指示に従い、お母さんがお祖母さん名義の口座から10万円を出金したという事案ですと、払戻伝票はお母さんが書かれていたことになります。

 また、口座名義人ではないお母さんが出金するのですから、金融機関はお祖母さんのお母さんを代理人とするという内容の委任状も取っているはずです。

 金融機関はこれらの出金関係の書類を残しています

 お祖母さんの死亡後であれば、その法定相続人がこれらの出金関係の書類の取り寄せが可能です。
要するに出金した証拠は残るということです。

 一方で、出金したお金を、お母さんが叔母さんの息子に渡したという点については、結婚祝いで渡したのですから、領収書などは出してもらえないでしょう。
 そのため、出金したお金の使途を裏付ける書類はないということになります。

【死亡後に出金分の使途が問題になると・・】

 お祖母さんがなくなり、叔母さんがこの10万円の出金を問題にすることを想定すると、その際、お母さんは困った立場になります。

 10万円をお母さんが出金したことは金融機関に残っている払戻伝票等の書類で証明できますが、その出金した10万円を叔母さんの息子に支払ったことは証明できないからです。
 叔母さんが10万円を問題にする場合、その息子が自らもらったと言うことも考えにくいでしょう。

 又、結婚祝いとして渡したと言っても、その結婚自体がなかったというのですから、ますますお母さんの立場は不利になります。

【証明方法としては書面を作る、録音をするという方法がある】

 お祖母さんが存命なら、出金の依頼《叔母さんの息子さんが結婚するという話を聞いたので、10万円を出金することをお母さんに依頼し、お祖母さん自身が叔母さんにその10万円を渡したこと》を書いてもらうといいでしょう。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
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12:10 遺産分割のトラブル | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

後妻による定期預金解約について【Q&A №600】

2018/02/19


【質問の要旨】

口座名義人の委任状があれば定期預金の中途解約はできるのか?

記載内容  定期預金解約 解約伝票 価格賠償


【ご質問内容】

質問①

 定期預金の中途解約についてご相談いたします。
 よろしくお願い致します。概略を記します。

 昨年、父が他界し相続が発生しました。相続人は4名(後妻+先妻の子3名)です。
 父は6年間ほど要介護度5(寝返りできない、痰の吸引が2時間毎に必要)で介護は後妻さんがしていました。後妻さんは定期預金(1,500万円)の中途解約を父の了解を得て行ったと言っています。
 銀行に口座名義人確認の方法を尋ねましたらキャッシュカードと暗証番号との説明でした。
 解約伝票の署名は口座名義人(父)の筆跡のようであり、預金の使途を後妻さんに聞いたら適宜使用と答えました。

 同銀行のお客様相談センターに問い合わせたころ支店の対応に任せているとの事でした。
 同銀行他支店に定期預金の中途解約について尋ねたら、口座名義人の委任状があっても解約は認めない、口座名義人が窓口に来れない場合は、何かしら他の方法で確認をとる、又は相続人全員の了承をとるとの事でした。銀行のダブルスタンダードといえる対応に対しどのように考え行動したらよいのでしょうか。ご教示お願い致します。

質問②

 相続で話し合いの最中なのですが、相手方が遺留分対象のマンションを売却しています。
 遺産額も決まらないのに相手方弁護士は、価格賠償を主張しています。
 どのような対応を考えたらいいのでしょうか?(マンションの仮差押えは、供託金の用意ができません。)



(雪男)



 ※敬称略とさせていただきます

質問①定期預金の解約の件と質問②マンションの売却の件の2件の質問をいただいていますので、2件まとめて回答いたします。

【質問①について…当該解約時の状況を確認するべき】
 被相続人の定期預金が後妻さんによって無断で解約されたのであれば、後妻の不法行為(ないし不当利得)ということになり、あなたが父の相続人として、返還請求をすることができます。
 無断であるかどうかの判断資料としては、誰が窓口で手続きをしたのかを確認する必要があると思われます。

【引き出しを勝手にしたかどうかの判断】
 銀行は、口座名義人の委任状があっても解約は認めず、口座名義人が窓口に来られない場合はほかの方法で意思確認するという対応だったようです。
 さて、上記銀行の対応と解約伝票の筆跡からすれば、父が書いた解約伝票を後妻が窓口に持っていき、後妻がキャッシュカードを持参し、又、暗証番号も答えたことから、銀行としては本人の意思を確認できたとして解約したと理解できます。
 銀行の対応に若干、疑問があるようにも思えるものの、父が委任状の意味を理解して署名捺印したのであれば、後妻が父の意思に反して勝手に解約したとは言えませんが、反面、父が6年程、要介護5の状態(身体的な面か、意思能力にも問題があったのかが明らかではありませんが)であれば、場合によれば、委任状を記載していても父には意思能力(判断能力)がなく、解約は不法行為に該当する可能性もあります。
 いずれにせよ、預金の引き出し時点の父の状態をカルテなどで確認する必要があります。

【父の意思能力がない場合】
 もし、父に意思能力がないというのであれば、後妻が勝手に引き出したものと主張できるでしょう。
 ただ、このような場合でも、後妻が解約したお金を父の介護のために使ったことを立証すれば、その分については後妻が取得したものとはいえず、返還を求めることはできないでしょう。

【父の意思で解約していたとしても、後妻が贈与を受けていれば特別受益になる】
 仮に父の意思で解約がなされたことが明らかになったとしても、それを後妻に贈与したのであれば、今度は特別受益の問題になります。
 特別受益だとすれば、1500万円を父の遺産に持ち戻して遺産分割をすることになりますので、あなたが取得する遺産額が増えます。

【質問②について…売却される前にマンションに登記をする】
 以下は、あなたがすでに遺留分減殺請求をしているとの前提でお答えいたします。
 遺留分減殺請求をした時点で、あなたと相手方とはマンションを共有する関係になります。
 しかし、第三者から見れば、この共有関係は明らかではありません。
 そのため、第三者に対して、あなたが遺留分権者としてマンションの共有持分権を持っていることを主張するためには、あなたが遺留分で所有権を取得したことの登記が必要です。
 この登記があれば、あなたは対外的にもマンションの共有者の一人ということになり、相手方はマンション(の全部)を勝手に売却できなくなります。
 現在、まだ、あなたへの遺留分登記がなされておらず、既に買受人である第三者に対する所有権移転登記が完了しているのであれば、あなたはこの第三者に所有権取得を主張することができません。
 売買契約はしたが、買受人の移転登記前であれば、早急に買受人に登記が移転されないように《仮処分》という手続きをする必要があります。
 既に買受人が移転登記を完了しているのであれば、あなたとしては相手方に遺留分相当額の価格賠償を求めることしかできず、相手方弁護士と交渉するしかないと思われます。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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14:07 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生命保険 故人 父親が他界【Q&A №598】

2018/02/07


【質問の要旨】

母が受取人となっている父の生命保険を貰う権利はあるのか?

記載内容  生命保険 受取人 財産分与

【ご質問内容】

  父親が他界しました。生命保険 受け取り人 母親ですが、 これは、財産分与 
私にも 貰える権利ありませんか?


(e.gaku)



 ※敬称略とさせていただきます

【原則として、生命保険金は遺産分割の対象ではない】
 保険金受取人として特定の相続人を指定した場合、生命保険金は遺産分割の対象の財産にならないとするのが裁判所の判例です(Q&A №298参照)。
 その理由は、生命保険金の支払いは、生命保険契約に基づいて支払われるものであり、被保険者の死亡と同時に指定された相続人の財産になるという性格を持っており、そのため、相続財産にはならないと考えられているからです。
 したがって、生命保険金の受取人が母になっていた場合には、保険金は母が単独で取得し、あなたがもらう権利はないですし、又、相続財産の中にも入らず、遺産分割の対象になりません。

【但し、著しい不公平な事情があれば、相続財産として扱われることもある】
 ただ、遺産総額と対比した場合、保険金を受け取る相続人と他の相続人間で著しく不公平となるような場合があります。
そのような場合には、特段の事情があるとして、例外的に生命保険を遺産の中に入れて遺産分割をすることになります。
この特段の事情としては、
① 保険金額と遺産総額とを比較して、生命保険金の金額があまりに多額である。
② 保険金の受取人が多額の保険金を受けるべき理由(同居していたか、介護等の貢献をしたかなど)がない。
というようなことが考えられます。
このような事情がある場合には、特段の事情として、生命保険金を遺産に持戻すということが認められる場合があります。

【著しく不公平かどうかの基準】
 過去の裁判例では、生命保険金の額が・・・万円であるのに、その他の相続財産が     万円であったケースで、生命保険金額が約59%(計算式:生命保険金額÷⦅生命保険金額+その他の相続財産額)を占めていたということで、生命保険金を相続財産にいれたものがあります。
 なお、単なる生命保険の割合だけで特段の事情の有無が判断されるのではなく、婚姻期間や同居の有無、介護等の貢献をしたかという事情も考慮して判断されますので、この点も注意が必要です。

【今回の質問の場合】
 本件では、生命保険金の受取人は母(被相続人の妻)ということですので、遺産総額と比較して生命保険額があまりに多額であり、かつ、父母の婚姻期間が短いとか、あなたが父と同居して介護をしてきたというような特段の事情があれば、生命保険金を相続財産にいれることもありえます。
それらの点を考慮して、判断されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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10:34 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】

2017/11/20


【質問の要旨】

認知症の義母からの贈与は受け取っても問題ない?

記載内容  認知症 義母 贈与 

【ご質問内容】

 金庫の中には散々娘や孫にあげた後のおもちゃのようなのが数点、寺の権利書(?)と80万くらいあると言い、私にあげると言ってききません。何時忘れるかわからない状況ですので、私は貰いたくありません。
 後で無い!盗られた!と言い出す可能性もありますし、絶対揉めないと義母は言いますが、娘さんが義母没後何も言わないとはかぎりませんし。
 言ってることが毎日変るし、以前1点だけ親戚中居る中で貰いましたが、私は預かってるつもりです。その事は言いません(忘れてるか?)なので預かるつもりで一旦受け入れておいた方がいいのかなとも思いますが正直面倒くさいです
法律的にどうなりますか?



(介護妻)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【義母に意思能力がなかったとして、贈与が無効になる可能性がある】
 まず、義母の亡くなる前に発生が予想される問題について述べます。
 他人にものを預ける、あるいは贈与する場合、贈与する人に判断(意思)能力がない場合、その行為は効力がありません。
 義母は認知症だということですが、その程度によっては意思能力がなかったということで、金庫の中身を預ける行為も、あるいは贈与する行為も、無効になりかねません。
 この場合、義母からあなたが金庫の中身を受け取ったとしても、後に義母の後見人やその相続人から贈与行為等は無効だとして返還を求められる可能性があります。

 その際、金庫にはもっと多くの財産があり、それをもらったのだろうと主張される可能性も考えておく必要があります。
 そのため、可能な限り、そのようなものを受け取ることは避けられるのが賢明でしょう。
 もし、どうしても受け取らざるを得ないのなら、第三者に立ち会ってもらって、何をもらったのか(可能であれば他にはもらっていないことも)また、贈与なのか預かるだけなのかを書面化しておくといいでしょう。
 もし、預かるというのであれば、何の目的でいつまで預かり、いつ返還するのかという点を書面で明確にし、返還期限に返還を実行することが必要です。

【後に特別受益を主張される可能性もあるが、原則特別受益にはならない】
 次に、義母の死亡後の相続の観点から考えてみます。

1)判断能力欠如による返還請求の可能性あり
 まず、義母の死亡後には、その相続人となった子が、義母には意思能力がなかったから、贈与等は無効だ、返還せよと主張してくる可能性があります。

2)配偶者の特別受益を主張されるかもしれない
 次に、あなたの配偶者もまた相続人になります。
 相続人が生前に贈与を受けた分は、特別受益として遺産分割の際に遺産に持ち戻しする必要があります。
 ただ、今回の場合、贈与を受けたのは相続人であるあなたの配偶者ではなく、相続人ではないあなたですので、原則として特別受益にはならないでしょう。
 ただ、他の相続人としては、(それが法律的に認められにくいとしても)あなたが贈与を受けたということは、《あなたと一体の立場》にあるあなたの配偶者がもらったものだとして、配偶者の特別受益を主張してくる可能性がなくはありません。
 この点については、すでに述べたように、本来、特別受益は相続人本人に対してされた贈与のことを言いますので、相続人の配偶者であるあなたが贈与を受けたものは、原則として特別受益にはならないと反論するといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
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11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

ゆうちょ銀行は詐欺罪で告訴しますか?【Q&A №579】

2017/09/13


【質問の要旨】

母の貯金を不正に出金した兄夫婦を詐欺罪で告訴できるか?

記載内容  詐欺罪 偽造 銀行 

【ご質問内容】
 昨年5月に母が亡くなりました。
 相続人は兄と弟の私、2人です。
 母は生前、約13年前に公正遺言証書(私には内緒で、おそらく兄に誘導されて)を作成していました。
 内容は母の死後、初めて、私は知ったのですが、土地、家屋(時価6千万円ぐらい)は全て兄に、預貯金は全て私に、という内容でした。

 その行為が許せなく、弁護士を通じて、立証できた金額1900万円あまりを返却してもらいました。
 つまり、民事的には一応解決となっています。
 然しながら、未だに、兄夫婦の今までの行為が許せなく、刑事的に何か罰則を与えることは、出来ないかと思っています。

 そこで、質問なのですが、兄の妻が、平成23年12月6日に、ゆうちょ銀行の窓口で母の定額預金70万円を解約しています。
 それは、母の委任状(母の偽署名をしたもの)を作成して解約しています。
 その70万円はゆうちょ銀行の母の普通預金口座に一旦入金されていますが、1か月ぐらいで、2~3回に分けてキャッシュカードで全額引き出されています。
 その時、母は介護施設に入所していて、外出することは出来ない状態でした。
 また、介護日誌では、認知による奇怪な行動が解約日の前後に見られます。
 また、認知度の長谷川式テストでも解約の意思表示など出来る意思判断は不可能な状態でした。

 この内容で、詐欺罪は成立しますか?
 ご回答お願いします。
(ultimora)



【犯罪ではあるが処罰されない】
 まず詐欺罪が成立するかどうかですが、お母さんの署名を装ってお兄さんが委任状に無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してお母さんの預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 また、キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したという見方も可能です。
 しかし、これらの罪については、法律上は親族相盗例という制度が適用され、親子間の詐欺罪や窃盗は処罰されません(刑法251条、同244条準用)。

 親族相盗例とは、親子間や同居の親族間の窃盗や詐欺について処罰しないという規定であり、家庭内のもめ事は家族間で話し合って解決するべきであり、警察のような国家権力が介入するべきではない、という考え方から導入された制度です。
 そのため、詐欺罪や窃盗罪で刑事告訴しても、警察が捜査を開始することはまずありません

【銀行は告訴しません】
 次に、有印私文書偽造罪については親族相盗例が適用されないため、銀行などが告訴すれば警察が動き出す余地が一応残っています。
 しかし、銀行は大量の預金事務を処理しているため、告訴による警察の事情聴取の負担などで争いに巻き込まれる事による負担を回避したいでしょうから、銀行が相続人などを警察に告訴することはまずないと考えられるといいでしょう。 

【民事上の争いをするほかない】
 今回の様な不正出金は民事上で争うほかないのが実際のところです。そのため、弁護士を通じて民事上は一応の解決をしているのであれば、立証できた1900万円を返還すれば、これ以上請求できないことになっている可能性が高いと思います。
 おそらくは、民事裁判で不正出金を取り返すことができたのも長谷川式認知テストなどをきちんと踏まえられたからだと思いますし、それ自体は正しい方法と思われます。
 民事上も一応の解決を経ているのであれば、本件ではこれ以上の責任追及を行うことは諦めざるを得ないでしょう。
大澤龍司法律事務所
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10:08 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

【非相続案件】後見人の弁護士による被後見人の普通預金の取引履歴調査について

2017/08/02
当ブログは、相続問題に関する質問のみを受け付けております。
今回、《お母さんの成年後見に関するご質問》であり、特に相続に関する法律問題を含んでいないご質問をいただきましたが、相続以外のご質問に関しては回答は控えさせていただいております。
何卒、ご了解ください。
 ただ、せっかくのご質問ですので、以下に簡単に弁護士のコメントを付し、回答に代えさせていただきます。

 また、ご質問いただきましたフアクト様宛にメールを送信いたしましたが、エラーで返ってきてしまったため、こちらに掲載させていただきます。



 認知症の母に、今年から法定後見人に裁判所が選任した弁護士が担当することになりました。
 最近になって、この弁護士が、後見人開始前の被後見人の普通預金の履歴調査をしていますが、これは、裁判所から行うように言われているのですか、教えてください。
 2年前までは、母も多少の物忘れは、あったものの認知症はなくて自分で預金管理をしていました。
 介護を実際にしている家族としては、疑われているようで、あまり良い気持ちは、しません。先方の後見人の弁護士から問い合わせがあれば、以前の管理は、母本人が行っていたと回答します。
(フアクト)


【弁護士コメント】
成年後見人の業務は、原則、就任した以降の財産の管理をします。
過去の履歴を取り寄せるというのは、就任前の使い込みの事実を疑っているからである可能性があります。
当事務所が扱った案件で、成年後見人が過去の分まで調査したケースがありましたが、その場合は1000万円近くの多額の引き出しが問題とされ、家庭裁判所と協議をした上での後見人の動きでした。
もし、口座からの多額の金銭の出金があるのなら、後見人に使途を説明して、わかってもらうようにするといいでしょう。
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認知症の義母宛の父の遺言【Q&A №571】

2017/07/05


【質問の要旨】

再婚した父が遺言を書いていた場合の先妻の子の相続分

記載内容  再婚 義母 任せる  遺留分 先妻の子


【ご質問内容】

父と母は 再婚で、私は父の実の娘です。

幼い頃の離婚時に、実母方が弟を連れ、父が私を引き取りました。

現在は、私は結婚していて義母とは養子縁組はしてません

父は難病をかかえていますが数年前に母が認知症で、遠方の実の妹夫婦宅へ行きっぱなしで帰らず、今では 介護施設へ入居してます。

数ヶ月前に父が自宅で転び、一人暮らしが不可能となり今では療養型病院に入居してます。

もう自宅には帰れないので、私が自宅の片付け、売却を頼まれましたが片付けてたら、義母宛の銀行で作成した遺言書がでてきました。

現在、父名義の700万ほどの銀行預金通帳を私が預かり任されてます

他の預金は認知症の母がわかってるだけでも1000万円を持っていってしまいました

母の遺言書は見当たりません。

父が口頭では娘の私に全て任せると言うのですが、もしこのまま父が他界したらどうなるのでしょうか?又、義母が他界したらどうなるのでしょうか?

(mamis)





【事案の整理】

義母宛の遺言内容が明らかではないのですが、おそらくお父さんが「義母に全財産を相続させる」内容で作成したものと推測して回答いたします。

この状況でお父さんが死亡した場合、遺言に従って全遺産は義母が相続することになります(なお、あなたは遺留分の限度で権利がありますが、この点は後述します)。

【お父さんが死亡した場合・・遺言内容により異なるが、遺留分請求が必要になるかもしれない】

まず、お父さんが死亡した場合、お父さんには遺言書がありますので、その遺言書の内容で遺産を分けることになります。

ただ、その遺言書の内容が、義母に全部を相続させるという内容であれば、あなたはお父さんの遺産を相続できなくなります。

このような、遺言等で遺産が十分にもらえない場合には、法律で、遺産を多くもらう人から最低限度は返してもらえるようにする制度があります

遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)請求といい、遺言書の内容を知った日から1年以内に、遺産をくれと申し出る制度です。

あなたは被相続人であるお父さんの子ですので、減殺請求をすると法定相続分の4分の1の半分の、8分の1の遺産をもらうことができます。

なお、遺産としては義母が生前に貰った1000万円も遺産に組み入れて計算をしますので、あなたが遺留分としてお母さんに請求することができるのは次の計算式で算定される金額です。

遺留分=(義母が生前に貰った:1000万円+父名義の銀行預金+お父さんのその他の遺産)×8分の1

(なお、遺留分減殺請求については【コラム】遺留分とは参照)


【父より前に義母が亡くなった場合】

父より前に義母が亡くなったときは、あなたは義母の子ではありませんので、義母からは遺産を相続することができません

この場合、父の遺産がどうなるかですが、父の遺言書に《義母に遺産全部を相続させる》という記載があっても、既に義母が死亡しているのですから、遺言書は効力がなくなります

そのため、父が亡くなった時には、あなたと弟さんが父の遺産を2分の1ずつの割合で取得することになります。


【遺産が欲しいのなら遺言を書いてもらう】

最後に、お父さんが「口頭では娘の私に全て任せる」という発言されていますが、このような言葉は、葬儀の手配や自宅の整理、遺産分割完了までの通帳などの管理を任せるという趣旨として理解されるにすぎず、あなたに全遺産を贈与させる、あるいは相続(遺贈)させる意思を表示したものという理解をするには無理があります。

もし、あなたが父から財産をもらいたいというのであれば、新たに「全財産を相続させる」旨の遺言を作成してもらうことが必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
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16:29 相続人 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

遺産分割協議をやり直したい【Q&A №566】

2017/05/16


【質問の要旨】

姉に言われるがまま印鑑を押して遺産分割をしたが、やり直せるか

記載内容  遺産相続 印鑑

【ご質問内容】

初めまして。インターネット検索をしていましたら、こちらのサイトにたどり着きました。
遺産相続の件で質問です。

両親の事なのですが、両親がネットができないので、代わりに私が質問致します。宜しくお願い致します。

父の母親が去年亡くなり、今年に入り遺産相続の件で、父の姉に呼ばれ 父と母で行ったそうです。

兄弟が4人居たので、揉めたそうです。
父の姉が全てをしきり、通帳も何も見せず いくら位あるとも言わず、個々で兄弟を呼びつけ、それぞれにお金を渡したそうです。

父は、他の兄弟がいくらもらったかは知らないらしく、家はそのお姉さんが貰うと言ったそうです。

父は、200万と言われて、それも、5年の分割払いにされてしまったそうです。
40万円×5年です。

父は穏やかな性格なので、何も言えずに、1回目の40万円だけ貰い帰ってきてしまい、母は嫁の立場で何も言えず、両親はやはり納得がいかない様子で、なんせ父の姉が、とても気が強くて、何も言い返せないそうです。

父は、家を出てしまったのですが、勝手に家を出て、文句を言うなら、10年家に居なかった分、亡くなった祖母にかかったもの全てを払え!と言ってきたそうです。

何だか両親が、可哀想で、こちらに相談させて頂きました。
印鑑は押してしまったようなんです。どうにもならないでしょうか。

アドバイス宜しくお願い致します。

(カルラ)





【遺産分割協議書を作成したのかどうかが問題】

遺産分割協議をする場合には、書面でしなければならないとか、全員で一堂に会さなければならないというようなルールがあるわけではありません。

ただ、通常は、それぞれの相続人が何を相続するかという分割内容を記載した書面を作成し、相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添付するという方法をとります。

そのような方法をとらなければ、銀行手続や不動産登記手続をすることができないからです。

本件では、お父さんは印鑑を押してしまったとのことですが、印鑑を押したという書類はどのような書類でしょうか。

また、実印を押して印鑑証明書も交付してしまったのでしょうか。

もしも遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を交付してしまっていたとすると、お姉さんから話を聞いた上で判を押した以上、内容も理解して納得していたはずだとみなされ、遺産分割をやり直すのは難しいといえます。

ただ、そうでなければ、きちんとした遺産分割協議をやり直し、その中で正当な相続分を主張すればよいでしょう。

【亡くなったお母さんにかかった費用請求には応じなくてもよい】

お姉さんは、「文句を言うならお母さんにかかった費用をすべて支払え」と主張しているようですが、このような主張は法的に無理があります。

「被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした場合」には「寄与分」が認められることがありますが、これには通常期待される程度を超える貢献が必要とされています。

親子間には扶養義務があり、なんらかの寄与があるのが通常であると考えられていますので、高額の医療費を負担したとか、ヘルパーを頼まなくていいくらい介護をしたとかいう特別な寄与をしていない限り、お姉さんの主張は通りません。

仮に寄与分が認められても、それはあなたのお父さんが返還するようなものではなく、遺産から寄与分と認定された額をもらえるにすぎません。

これらのことを考えると、あなたのお父さんが、かかった費用の、しかもその全てを支払う必要はないでしょう。

【まだ協議書を作成していないのなら、調査をして自己の相続分を主張すべき】

以上のとおりですので、もしもまだ遺産分割協議書を作成していないのであれば、お母さんの遺産の全容を明らかにし、相続分通りに分配するよう求めるべきでしょう。

その際、お母さんの遺産については、あなたもお母さんの相続人である以上、調査をすることは可能ですので、お姉さん任せにせずにあなたのほうできちんと調査し(調査の仕方についてはQ&A №98Q&A №362等を参照)、遺産の全容をつかんだうえで交渉する方が良いと思います。

なお、遺産の調査が難しい場合やお姉さんが強硬な態度をとられた場合には、相続に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
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認知症の母の現金を姉弟に横領された件【Q&A №563】

2017/04/04


【質問の要旨】

他の相続人による不正出金を取り戻せるか

記載内容 不正出金 意思能力

【ご質問内容】

母が2月に亡くなりました

母は不動産収入があり、毎月必ず47万ほどの収入が郵便局の口座に振り込まれています。

母は、2013年10月に脳梗塞で倒れて、その後は認知症のため判断能力がなくなり、弟と姉が郵便局の現金口座を管理していました

老人施設に入ったために、毎月20万から22万くらいの費用がかかりました。

その分以外は、母は認知症で使いようがないので、そのまま残っているはずで、毎月毎月、47万から税金分を引いて、32万円。

そこから22万円かかっても、毎月10万円ずつ、2013年11月から2017年1月まで38ヶ月間で、380万円。

プラス年間でで80万円が不動産の管理会社より入金がありますから240万円プラス。

合計で620万ほどは、どう考えても残っていないとおかしい母自体が施設で寝たきりの生活でもちろん現金を使うことはできないのでおかしいはずなのです。

しかし、母が亡くなった後の現金が100万円にも満たないのです。

2013年10月の脳梗塞を起こす前を含めるとプラスで500万ほどは残っているはずで合計で約1000万円の相続になるはずなのです。

以上の件から、明らかに、姉と弟による不正な出金が明らかなことだと思います。

母の状態が脳梗塞で判断能力がなく、ほぼ寝たきりで介護施設での生活でした。

その上で後見人制度も利用せずに3年間いましたから。

今、母の口座のある郵便局に記録を申請していますが、この場合は、この本来あるべきはずの金額は取り戻していくことは可能なのでしょうか?

どういう手順で行うことがベストなのか
知りたいと思い、メールさせていただきました。

よろしくお願い致します。

(ジュン)





【お母さんの意思能力と出金との関係】

質問にあるように、お母さんに判断能力がない場合に預貯金が引き出されているのなら、その預金はお母さんの意思に基づかないものであるということはできます。

にお母さんに判断能力があっても、お母さんの意思とは関係なく出金されたのであれば、その出金は違法なものだといえます。

しかし、仮にそれらのような出金があったとしても、出金された金銭がお母さんのために使用されていたのなら、お母さんに損害はなく、不法行為にも、不当利得にもならず、その出金を返還せよという話にはなりません


【使途不明金があるかないかを確認する】

そのため、まず、お母さんのためではなく、その他の目的でなされた出金があるかどうかを調査する必要があります。

]これを知るためには、お母さんの口座について、どのようなものがあり、どのように入出金されていたかを金融機関に照会することになります。

現在、お母さんの口座のあるゆうちょ銀行に取引履歴の照会をされているようですが、それ以外に利用されていた金融機関があればその履歴の確認も必要でしょう。

入出金履歴の取り寄せができたなら、その内容を詳細に検討する必要があります。

個別に出金を点検して、お母さんのためとは思われない出金があるかどうかを確認していくことが必要です。

《本来あるべきはずの金額》とは、そのような検討の結果で判明するものです。


【使途不明金を誰が引き出し、何の目的で使ったかも確認する】

使途不明金(正確に言えば、お母さんのため以外に使用された金銭)があるのなら、その使途不明金を誰が引き出したかを確認するのが次の作業になります。

お母さんの預貯金通帳や取引印、キャッシュカードを誰が保管していたのか、カードなら出金したATMがどこに設置されたものであるかにより誰が出金したのかを推測できるでしょう。


【損害賠償請求権は相続される】

出金されたお金があり、そのお金がお母さんのために使われていないということなら、お母さんはその引出者に対して不法行為による損害賠償を請求することができます。

お母さんが亡くなった後は、この権利は相続人に相続されます

今回の件で相続人が子供3人であるとすると、あなたはお母さんの持っていた損害賠償請求権の3分の1を相続しますので、出金者に請求をし、話し合いをされるといいでしょう。


【話し合いがつかない場合には調停を考える】

ただ、今回の問題のような不正出金については、円満な話し合いで解決するのはむずかしいことが多いです。

その場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を起こすことを考えるといいでしょう。

家裁の遺産分割調停は費用もそれほどかからず、又、調停委員も関与しますので問題が解決することも多々あります。

しかし、あなたの請求どおりになることは少なく、お互いが譲歩を迫られることも多いということも知っておかれるといいでしょう。

どうしても、あなたの考える請求額を全額もらいたいというのであれば、その場合には相続分に応じた不法行為に基づく損害賠償
請求訴訟
を起こすしかありません。

この訴訟は素人の方には難しいので、相続に詳しい弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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17:57 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

認知症の母と公正証書遺言【Q&A №562】

2017/03/27


【質問の要旨】

複雑な内容の遺言書と、長谷川式認知スケールの点数

記載内容 認知症 公正証書遺言 無効


【ご質問内容】

去年4月に認知症と診断された母がおります。不動産と預貯金があり、診断される以前から、家をついだ長女にたくさんのこすと、次女にも口頭では伝えておりました。

が、次女の配偶者がいろいろと言ってきたため、12月に公正証書遺言を専門家と相談して作成しました

内容は、不動産はそれぞれこれは長女に、あれは次女にと記載されており、預貯金は、割合で書かれてあるとのことです。

不動産は、かなりの数があり、1つずつ指定しているので、細かい内容になっていると思われます。

認知症の場合、細かい遺言書は無効になりやすいともきき、不安です

なお妹の遺留分はちゃんとみたしております。

長谷川式での数値は11月で17でした

この遺言書の無効の裁判を妹におこされると仮定して、いま現在対処方法はあるのでしょうか?

また裁判をおこされた場合、勝てる可能性は、どのぐらいなのでしょうか?

(プリン)





【公正証書遺言は有効とされる可能性が高い】

お母さんは、公正証書遺言を作成されているようですが、公正証書遺言を作成する際には、裁判官や検察官を何十年もした経験のある公証人が関与します。

遺言書作成時には、公証人が遺言者であるお母さんに直接会い、遺言書が遺言者の意思どおりであるかを確認するとともに、遺言者に判断能力があるかどうかも確認します。

もし遺言者に判断(意思)能力がないというのであれば、公証人は遺言書を作成しません。

そのため、公正証書遺言が作成されているというのであれば、その公証人が意思能力ありと判断したということであり、それが無効とされる可能性は少ないと考えていいでしょう。


【長谷川認知スケールの点数が17点なら有効の可能性が高い】

お母さんは、遺言を作成する1か月前にした長谷川式認知スケール(満点30点)で17点だったとのことです。

これまでの裁判例から見れば、意思能力があったと判断される可能性が高いといえます(【長谷川式認知スケールと意思能力についての裁判例一覧表】参照)。

ただ、意思能力は長谷川式の点数だけで判断されるわけではありません。

たとえば、遺言書の内容が、例えば《全遺産は長男に相続させる》という簡単なものであれば点数が低くとも有効になる可能性が高くなり、逆に複雑な相続を定めていれば、それがわかる意思能力が必要とされるために、点数が高いことが要求されるということになります。

また、次項に記載して事項をも含めての総合判断ということになります。


【意思能力についての他の判断資料について】

なお、意思能力の判断資料としては、上記の長谷川式認知スケールだけではなく、病院に入院し、あるいは施設に入所などされていた場合には、その病院でのカルテ、施設の介護日誌などでお母さんの言動が記録されていることも多く、それも意思能力の有無の判断資料になることを憶えておかれるといいでしょう。

また、現在、お母さんに判断能力があるのなら、その元気な姿をビデオで撮影する等して将来の訴訟等に備えるといいでしょう。


【勝訴の可能性について】

意思能力の有無は長谷川式のテストやカルテ等の内容も含めての総合判断ですし、又、相手方の妹さんの主張や提出する証拠を見て、裁判所が最終的に判断するべきことですので、現段階で勝訴の可能性を聞かれたとしても、回答できません。

一般的に言えば、意思能力に関する裁判はなかなか難しいことが多く、当事務所で意思能力を争った訴訟でも、裁判官が迷いに迷ったことが判決内容から窺えるものすら存在するほどのものだ、ということも付言しておきます。

(弁護士 岡井理紗)
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預金の引き出しと居直りへの対応【Q&A №561】

2017/03/07


【質問の要旨】

不正出金を取り戻せるか

記載内容 凍結 預金 不正出金

【ご質問内容】

父親が昨年秋に死去しました。

私の兄は、管理していた父親名義の預金通帳からの使い込みが判りました

現在兄は遺産分割協議に協力しないばかりで困っています。

父は預貯金や株を所有していました。

父が10年前に脳梗塞発症後、半身不随になった後、24時間完全介護の老人ホームへ入所しました。入所時から、兄が、父親の全財産の管理を兄が預かっておりました

当時から兄はATMで現金を引き出しており、毎回限度額上限いっぱいの50万円や100万円の金額で、ホームの兵庫から遠く離れた東京の兄自宅近くのATM引き出してました

その金額が、10年間6000万円を超。父の同意が、有ったのか分からない一括保険金払い3000万円一括保険金払年金型生命保険にも入っています。

この保険からの年金の入金は、父の口座入金でしたが、保険金払い受取人が兄。

この年金の振り込み口座からも、兄は引き出しておりました。

父親の死後になって、心当たりの銀行証券会社に問い合わせたところ、わかりました。

兄は、死亡届を金融機関に未提出

父の死後の翌日や翌々日もATMから50万円や100万円単位で引き出していたのが判明しています。

私が金融機関に、死亡届を取引明細取り寄せと同時にしたことにより、父親の預貯金口座から、現金の引き出しが出来なくなった兄は激怒してます。

兄からは連日の暴言メールで、私は仕事も手につきません。

夜も眠れません。

兄は「お前はいらぬ事はせんでいい。お前の下らん策で迷惑きわまりない。」と、激しく私をなじる一方です。

遺言状も存在しないようです。

私はどうすればよいでしょう。

父の遺産を私が一部でも引き継ぐ事は諦めて、凍結した銀行口座を解除して兄に任せるべきなのでしょうか?

せめて、今ある預貯金のみの50%の分割で我慢すべきなんでしょうか?

(はなこ)






【あなたはお兄さんと同じ割合の遺産をもらう権利があります】

遺言書がないケースでは、あなたはお兄さんと同じ割合でお父さんの遺産をもらうことができます。

又、生前にお兄さんがお父さんの口座から無断で出金していたのであれば、お父さんはお兄さんに損害賠償請求ができることになりますが、その損害賠償請求する権利はあなたにも相続されますので、生前の引き出し分についてもあなたはお兄さんに請求することが可能です。


【わかっているすべての金融機関にも連絡をしておく】

お兄さんが、お父さんの死亡後もお父さんの遺産を引き出しているようであれば、わかっている金融機関の全てにお父さんが死亡したとの通知を出す必要があります

死亡の連絡があれば、金融機関は口座を閉鎖しますので、ATMでの出金を停止します。

利用しているかどうかわからなくても、その可能性があれば、死亡通知をし、遺産からの出金を停止させる必要があります。


【生前の引き出し分の調査】

前記のとおり、お兄さんの生前引出分は損害賠償請求権として遺産になります。

ただ、いつ、どの程度の額の金銭を引き出されたのか、その引出をお兄さんがしたのかをあなたの方で証明する必要があります

そのため、金融機関に対して入出金の取引履歴の調査をするとともに、大口の出金については誰がその手続きをしたのかを確認するために預貯金の払戻票などを取り寄せし、お兄さんが引き出したということをはっきりさせておくといいでしょう。

ATMの場合には、筆跡などは残りませんが、取引履歴を見るとどこで出金したのかがわかりますので、その取引履歴を証拠として準備しておくとよいでしょう。


【カルテの取り寄せも考える】

お父さんは脳梗塞であったということですが、もし、判断能力がないような状態であれば、お兄さんが出金した金銭の返還請求がしやすくなりますので、入通院された病院のカルテを取り寄せしておくといいでしょう

カルテにはお父さんの判断能力がわかる資料が多数、記載されていることが多いです。

お兄さんはお父さんの依頼で出金したという反論をすることもありえますので、そのような場合に備えて準備をしておくといいでしょう。


【保険契約及びその一括払い金の出金の調査も必要】

保険金の契約書にはお父さんの署名があるはずですので、保険会社から契約書の写しをもらって本当にお父さんの筆跡かどうかを確認するといいでしょう。

又、保険金の支払いが併せて一括支払いだとすると、預貯金から引き出して支払っていると考えられますので、預貯金を確認するとともに、その払戻票の筆跡を確認し、お父さんに無断でお兄さんが手続きをしたという証拠を集めておくといいでしょう。


【急いで手続きする必要があるのなら、弁護士に早期に相談を】

お父さんの遺産をお兄さんが勝手に動かしているように思われます。

お兄さんが預貯金から引き出した金銭をどのように使っているか、あるいは保管しているのかは明らかではありませんが、既にかなりの部分が消費されている可能性がありそうですし、出金分を隠している可能性もありそうです。

裁判に勝ってもお兄さんがお金を持っていないとお金を回収できません。

そのため、できるだけ早く、弁護士と相談され、お兄さんの財産を押さえる手続き(例えば仮差押手続き)などを考えられるといいでしょう

お兄さんの金融機関の口座がわかっているとすれば、それを差し押さえる方法はないのかどうか、また、これからの遺産分割協議を円滑に進めていくためにも、弁護士に相談され、必要に応じて早期に依頼をして、対処方策を講じることをお勧めします。

(弁護士 大澤龍司)

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遺産の相続に時効はあるか【Q&A №558】

2017/02/06


【質問の要旨】

面倒をみなかった相続人が今になって権利を主張してきたが、相続権に時効はないのか?

記載内容 介護 相続権 時効

【ご質問内容】

私の祖父(昭和42年4月に死亡)の件で叔母(9人キョウダイの末っ子、唯一、生存している祖父の子供)が調停を申し立て、現在、審判

父は長男ではありませんが、親と同居し、祖母(昭和62年2月死亡)の介護を母と二人で全面的に担って来ました

祖母が生きている間、叔母たち父のキョウダイは、常に「親を、ちゃんと見い。よう任さん(父に相続させようとしない)」と言い続け、父にすると、隣近所や姉妹の嫁

ところが、父のキョウダイたちは、叔母が死んでから、「田圃を売って分けろ」と主張し出して、父は「話が違う」と、田圃の1筆でも売って分けるという案を受け入れようとせず、平成8年4月に死亡してしまいました。

私も、調停が始まって以来の相続人の態度を見ていると、権利ばかり主張してと色んな意味で怒りが出ます。

もし、祖母が生きている間に「田圃を売ってまで分けろ」と叔母たちが主張していたら、祖母の介護を当然に引き受ける事になったでしょう。そういう負担を一切したくなかったから、「分けろ」とは、一言も主張しなかったのです。

 「よう任さん」と言いながら、母親の介護を一人のキョウダイに任せ切りにした揚げ句、延々50年も粘り続けて

私が、先生にお尋ねしたい事は、「相続権に時効は無いのですか?」という事です。

(コバヤシ)






【相続分を主張する権利に時効はなく、介護をしていなかったとしても相続権はある】
祖母の介護が必要な間は相続分の主張をせずに、介護をすべてあなたのお父さんらに任せておきながら、祖母が亡くなり、介護の必要がなくなった後になって、祖父の相続分を主張されたという事案であり、あなたとしてはとても腹立たしいことでしょう。

しかし、祖父の子である叔母さんは祖父の相続人ですので、相続の発生(祖父の死亡)とともに、叔母さんは相続分に応じた権利を取得します

遺産分割協議をしなかったからと言って、この取得した権利が時効で消滅することはありません

また、介護を一切しなかったからといって、それで叔母さんの相続権がなくなるというものでもありません

そのため、たとえ相続開始から50年もの長期間が経過していても、祖父の相続人である叔母さんには自らの法定相続分に従った相続権を主張できるということになります。


【今後「寄与分を定める処分の申立て」をする】

祖父が亡くなった当時に遺産分割協議書を作成していなければ、あなたが「父が祖母の介護をする代わりに他の兄弟は相続分を主張しないという暗黙の合意があったはずだ」と主張したとしても、叔母さんには「そんな約束はしていない」と言われてしまうでしょう。

あなたのお話では調停から審判に移行しているようなので、これまでに遺産分割協議はしておらず、今、遺産分割の審判をしているのだと思われます。

その場合には、遺産分割とは別に、遺産分割の審判をしている裁判所に対して「寄与分を定める処分の申立て」をするという方法が考えられます。

そうすると、寄与分についても遺産分割の審判の中で一緒に判断することになりますので、その中で、お父さんが祖母の介護を全面的に引き受けていたことをお父さんの《特別の寄与》として主張し、お父さんの相続分を増やすことにより、叔母さんに支払う額を減らすということです。

ただ、寄与分とは、単に被相続人のために貢献したというだけではなく、財産の維持または増加のために《特別の寄与》をしたことが必要であるとされています。

介護したことにより、入院費やヘルパー代が助かったというような点を証明する必要があり、証明できた分だけが特別寄与として認められますので中々ハードルが高く、主張すれば簡単に認めてもらえるというものではありません。

お父さんが祖母の介護を全面的に引き受け、その結果、遺産が減少するのを防止できたということがわかる資料を用意され、寄与分の審判に出されるといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)

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亡父の同居女性からの葬儀費用、保険金の請求【Q&A №549】

2016/12/14



【質問の要旨】

亡父の同居女性から立替金と死亡保険金を請求された

記載内容 立替金 死亡保険金 遺言書

【ご質問内容】

離婚し、音信不通だった父が病死したとの連絡がありました。

同居している彼女から生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金120万円と死亡保険金200万円の請求が弁護士を通じてきました。

保険金については、死ぬ前日の日付で遺贈するとの遺言書があるが、捺印はなしです。

父の預金通帳が見つかりましたが、100万円ほどの預金は亡くなるまでにほぼ全額引き出されており、使途は不明です。

彼女は預金のことは知らないと言っています。

この請求は妥当なもので、請求に応じなければならないのでしょうか?

あちらは訴訟の手続きを進めているようですので、こちらも弁護士に依頼することになると思いますが、その際にかかる費用と勝率はどれ位になりますか?

また、和解するならこちらは幾らくらい支払うのが妥当でしょうか?

(みち)





【生前の治療費・介護費は相続債務である】

お父さんの彼女から、生前の治療費、介護費、葬儀代等の立替金と死亡保険金を請求されているとのことですが、それぞれ法的な扱いが異なりますので、分けて説明いたします。

まず、生前の治療費、介護費は、被相続人自身の債務ですのでお父さんの相続人がその債務をそれぞれの相続分に応じて相続しますので、支払いをする必要があります

ただ、本当にそのような債務があったのか、又、その債務の支払いを彼女がしているのか(お父さんの財産から支払いされているのではないか)を確認する必要があります。

もし、そのような裏付証拠があるのなら、立替金を返還する必要があるでしょう。


【葬儀費用は相続債務ではない】

これに対し、葬儀費用は、被相続人の死亡後に発生するものですので、相続債務にはならず、原則として被相続人の葬儀の喪主を務めた人が支払うべき費用と考えられています

ただ、調停での解決では、実務では法定相続人の一人が喪主になり、葬儀費用を支払った場合、他の法定相続人が葬儀に出席している場合には、その葬儀費用が適正であり、かつもらった香典額を差し引いた上で出席した他の相続人に分担してもらうことで解決する場合が多いです。

ただ、今回のケースは喪主である彼女は法定相続人ではありません。

このような法定相続人以外が喪主になったケースについては、過去の裁判例の中に、葬儀費用を相続人(2人のうち1人は葬儀にも参列しなかった)に請求できないと判断したものがあります(過去の相続ブログQ&A №545及び【相続判例散策】葬儀費用を甥姪に請求できるのか)ので、この判例を参照の上、対応を考えられるといいでしょう。


【押印のない遺言書は無効である】

さらに、保険金については、亡くなる前日の日付で遺贈するとの遺言書があるようです。

遺言書は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定められています(民法968条1項)ので、押印のない遺言書は無効 です。

ただ、押印がなくても、遺言書を入れた封筒の封じ目に押印があれば、封筒と内容の遺言書本体とは一体と考えられ、捺印があったことになり、有効な遺言書になります(最判平成6年6月24日・家月47巻3号60頁)。

本当に封筒の方にも押印がなかったのかどうかの確認が必要でしょう。


【100万円の引き出しについて、証明はあなたがしなければならない】

さらに、お父さんの口座にあった100万円ほどの預金は、亡くなるまでにほぼ全額が引き出されていたとのことですが、お父さんの彼女が引き出したと主張する場合、その証明はあなたがする必要があります。

そのためには、あなたとしては預貯金の払戻書のコピーを取り寄せし、署名欄に記載された筆跡を検討し、彼女が引き出したことを確認する必要があります(この点について詳しくは、過去の相続ブログ【Q&A №502】をご参照ください)。


【弁護士費用と勝率、和解について】

弁護士費用については、以前は弁護士会の報酬規程がありましたが、現在は弁護士によって異なりますので、依頼する弁護士に直接確認する必要があります。

次に勝率、和解については、具体的な事案によって大きく異なりますので一概には言い切れません。

一度弁護士に相談に行き、具体的な事情やお持ちの資料等を説明した上でお聞きになるとよいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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15:44 相続債務 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

父親の介護と遺産に関する約束【Q&A №535】

2016/10/11


【質問の要旨】

父親の施設の入所代、病院代などについては半分が長男、亡くなったら全額長男と言われて困っている

記載内容 介護 扶養 約束

【ご質問内容】

静岡に住んでいる主人の父親(81)の話ですが、私達は結婚してから横浜住まいです。

夏に子どもを連れて遊びに行くぐらいでした。

主人は長男なのですが、母親の連れ子で姉2人父親の連れ子で、主人と妹(音信不通)今の両親で一男一女(一男は死亡)の家族構成なのです。

今まで両親は2人でアパートに住んでいましたが、何年か前だと思いますが、2人共介護が必要になったみたいです。

2人の仲も悪くなったようで、父親は年金で施設、母親は姉の家に連れていきました。

今になって父親とは他人なので、通帳も印鑑も渡すので、こちらで面倒をみろというのです。

私達も近くて、金銭的な余裕があれば見てあげたいですが、とても見てあげられない状況です。

施設の入所代、病院代、などは半分が長男。

何かあって父親が亡くなったら、全額長男。

父親は退職金も入っていたと思うし、わが家も経済的に無理だし、いままでの生活がまるでわからないので、どうしたらいいかわかりません


助けて下さい。

(なな)







【相続については相続放棄も考えておく】

本件で相続に関するのは《施設の入所代、病院代、などは半分が長男。何かあって父親が亡くなったら、全額長男。》とある点です。

お父さんの死亡時点で施設費の未払料金や借金等の債務等が存在する場合、遺産と債務を比較し、債務が多いようであれば、相続放棄ができます。

相続放棄すると、遺産を受け取ることはできませんが、債務の支払いもする必要が無くなります。

相続放棄はお父さんが亡くなり、相続が開始したことを知った日から3ケ月以内に家庭裁判所に申立する必要があります(詳しくは当ブログQ&A №455などをご参照ください)。


【今、するべきことについて・・ご主人には扶養義務がある】

それ以外の質問に書かれていることは相続問題ではありません。

ただ、お困りのようですので、簡単にコメントを付しておきます。

まず、ご主人はお父さんの子であるので、お父さんを扶養する義務があります。

ただ、ご主人が経済的なゆとりがないというのであれば、如何ともしがたいので、義務を尽くすことができないと回答するしかないでしょう。

もし、私が今回の相談を受ければ次のようなアドバイスをするでしょう。

①《お父さん》の心身の状態を確認する。

最初に《お父さん》が自分で物事を判断できるような状態なのかどうか、身体的にどのような状態なのかという、心身の状態を確認する必要があります。

判断能力がないのであれば、成年後見人を選任するということも考える必要があります。

この点は、施設に入っているということですので、施設に事情を説明して、教えてもらうことができると思います。

②《お父さん》の財産を確認する。

次に、《お父さん》の財産を次の3つの面から確認する必要があります。

・現在の月々の年金分などの入金分と施設の使用料との出金分の収支の内容、差額を確認する。

・次に《お父さん》の財産(不動産や預貯金、借金)として何があるかを確認する。

・更に過去にどれだけの金銭が動いているのか(退職金がどうなったのか、預貯金からの引き出しはどうなっているのか)を確認する。

これらの確認は、これまで財産を管理していた人に対して教えてもらうことになります。

③判断をする。

以上の確認をした上で、ご主人が扶養義務を尽くすことができるのか、できるとしてどのような形でしていくのかを判断する。


上記①~③の調査をしていけば、どうしてもお父さんの面倒を見るという方向になってしまいますが、その時でもできないことはできないとはっきりと述べる勇気が必要でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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13:53 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★後見人による横領、預金の引き出し【Q&A №534】

2016/10/07



【質問の要旨】

後見人である長男が、母の貯金をおろしていた

記載内容 不正出金 成年後見人 横領

【ご質問内容】

関係者は、最近亡くなった母(被相続人)と4人の子供です。

老人ホームで痴呆状態の母には、3,000万円の貯金資産があった筈(証拠書類あり)ですが、後見人だった長男から、「全て下ろして、貯金は残ってない」と言われ、騒動が続いてます。

過去、長男は母に無断で、キャッシュカードで何回も50万円/日限度に下ろして自分の懐(自分名義口座)に入れてました。気づいた4男が詰問したところ、その事は口頭で白状し、横領行為を認めています。

但しその録音記録はない。

明らかに後見人による業務上横領罪ですが、刑法の規定により、直血の親族、若しくは同居人には、刑罰が免除される、という事で裁判しても勝訴の見込みが立たなく、後見人を除く3人兄弟で困っております。

<質問>

1)裁判において、長男は「お袋に頼まれて、若しくは許可を得て、貯金を下ろした」とウソの弁明で押し通すと思われます。それを崩す方法は何かありますか

2)亡母の生活費、老人ホーム費用は遺族年金で十分に足りており、貯金に手をつける必要は全くない状況でした。

3)亡母の老人ホームでの健康状態、判断能力について、医学的な診断書を準備できれば、(1)の長男の真っ赤なウソを突き崩せるものでしょうか。

4)これから遺産をもらえなかった3人の兄弟が取れる抵抗手段につき、アドバイス下さい。

(庭の千草)







【親族相盗に該当しても、民事裁判で請求が可能である】

成年後見人である長男が成年被後見人である母の預貯金を使ったというケースに関する質問です。

このようなケースでは法律上は刑事と民事の問題の双方から考える必要があります。

民事の問題は、刑事上の問題とは無関係であり、親族相盗例に該当しても民事裁判で損害賠償請求や金銭の返還請求も可能です

参考までに言えば、刑事事件としても、親族が成年後見人の場合には、親族相盗例に該当する場合でも刑罰に問われます

参考判例:
家庭裁判所から選任された成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合、成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても、同条項は準用されないと判断した判決として、最高裁平成24年10月9日決定。
コラム【相続判例散策】親族相盗例が適用されないケース(最高裁平成24年10月9日決定)もご参照ください。



【成年後見人の使い込みの証明は難しくない】

長男が成年後見人になった後は、母の財産は全て成年後見人の口座に移されます。

そのため、その預貯金を引き出すのは成年後見人以外にはありません

又、施設に入っているということであれば、母のために多額の出費をするということも通常は考えにくいので、成年後見人が引き出した金銭は成年後見人が使ったものと判断されることになります。


【成年後見人になる前の引き出し分について】

成年後見人になる前の引き出し分については、引出者が誰であるのか、又、被相続人のためにつかったのかどうかが問題になります。

使いこんだ長男がウソをつく事態を想定し、予め、これらの点に関する客観的資料(払戻伝票等の文書)を集め、ウソに対処できるようにしておくといいでしょう(当ブログQ&A №362Q&A №317をご参照ください)。


【成年後見人選任前の行為については、母の判断能力が問題となる】

成年後見人がつくということは、母の判断能力(意思能力)がないということです。

長男が、成年後見人がつく前に《母から贈与を受けた》と主張するのなら、その時点での母の判断能力が問題となります。

そのような場合に備えて、母の入通院していた病院や医院のカルテや看護日誌、介護施設の介護記録を取り寄せしておき、母に判断能力がないことが立証できれば、母からの贈与の存在やその効力がなかったことを証明でき、長男に対する反論ができるでしょう。


【長男以外の相続人の対抗手段】

前記のとおり長男が成年後見人になってから以降の引き出し分についての証明はそれほど困難ではありません。

又、成年後見人になる前の預貯金の引き出しに関する対応も前記のとおりです。

問題は、長男が財産を隠すということも想定しておく必要があるということです。

裁判で勝訴し、長男は他の相続人に金銭を支払えという判決が出ても、長男が財産を隠すと、1円も取れない可能性があります。
そのため、長男の銀行口座や不動産等、資産内容をできるだけ早期に確認しておく必要があります。

又、長男が資産隠しをするような気配があれば弁護士に依頼して、仮差押の手続きをしてもらう必要があるということも覚えておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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11:17 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

第三者の寄与と遺言【Q&A №532】

2016/09/29



【質問の要旨①】

相続人の配偶者が費用負担すると寄与分になるか


【ご質問内容①】

被相続人(父)の介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部、不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用などを相続人である子(女)の配偶者(夫)が負担した場合、将来被相続人が逝去時、相続される過程の中で寄与分として認められますか?

(相続人は専業主婦により収入はなく、かかった費用は夫に委ねざるをえない状況による理由から。)

(九州女児)



【質問の要旨②】

特別受益の持ち戻しを遺言書に記載した場合、有効か

【ご質問内容②】

被相続人より住宅資金の援助として生前贈与を受けたという証明を取り付けるのが困難である場合、遺言書に「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。

相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」と記載した際、遺言書として認められますか?

記載内容 介護費用 援助

(博多っ子)




※同一人物と思われる方から2つに分けてご質問いただいていますが、回答は一つにまとめています。ご了解ください。

【寄与分の問題ではなく、相続債務の問題ではないのか?】

被相続人のお父さんの介護費用(老人ホーム入居関係費用、医療費など)の一部を負担したことについては、被相続人の支払うべき分の立替支払いをしたとして理解することが可能です。

その前提に立てば、寄与分という以前に、被相続人は立替支払いをした人に対して返還債務を負い、この分は相続債務として法定相続人に承継されます。

同様に《不要となった父所有の家屋の固定資産税や解体費用、家財道具の撤去費用など》についても被相続人が立替費用返還債務を負い、これが相続人債務になると理解することが可能ですし、その方が実態に見合うでしょう。


【寄与分としてみた場合の問題点】

もし、上記費用の返還を求めないという前提で出したということであれば、寄与分の問題となります。

寄与分は認められることが少ないですが、例えば、付添看護をしたというような場合には、付添等をした分、ヘルパーの料金の支払いを免れた分程度しか、寄与分は認められません。

ただ、今回の質問のケースは、上記各支払いにより、被相続人の遺産が減少を免れたことが明らかですので、寄与分として認められる可能性はあると思われます。

問題は、寄与分は法定相続人間で認められる制度だという点です。

今回の質問は、法定相続人ではなく、その配偶者(夫)が寄与したという点にあります。

夫婦であり、一体と見て、夫の寄与分も妻の寄与と同視するという考え方が多いようですが、これらの問題点があることを考えれ
ば、やはり前項で記載した立替金返還請求債務として処理するのが妥当だと思います。


【特別受益に関する記載の効力】

遺言の効力を考える場合、

① その記載をして、遺言書全体が無効になるのかどうか?

② 遺言書全体としては無効にならないとしても、その記載が有効なのか?

という2つの方向からの検討が必要になります。

まず、最初の①の観点から言えば、「遺言者は相続人Aが家屋を購入するに際し、相続人Aに住宅資金として200万円を援助した。相続人Aはこれを特別受益として持ち戻すこと」という内容は遺言書本体ではなく、遺言者の希望を書いた《付言事項》というものにすぎず、そのため、遺言書全体が無効になるということはありません

次に、上記②の付言事項として効力があるかという点ですが、仮に上記のような記載をしても、住宅資金を援助した事実があることの決定的な証拠にはならず、又、特別受益になるものでもありません。

前者はそのような事実があるかどうかの問題であり、後者はそのような事実があった場合にどのように法的評価するかの問題であり、いずれも遺言者が決定するべき事項ではなく、最終的に裁判所が判断するべき事項です。

もし、200万円を特別受益したから、その分、その受益者の取り分を減らしたいのであれば、その受益者の相続額を減額した配分の内容の遺言書を作成するといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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相続割合を教えてほしい【Q&A №530】

2016/09/21

【質問の要旨】

既婚(子あり)の兄がいる場合の相続分

記載内容 結婚 

【ご質問内容】

私は、埼玉県○○市に住む○○歳の男性です。

初めに私は障害者です。5年ほど前に『脳梗塞を患い』

○○市で介護保険の申請をし『要支援2』の認定を受けました。

・私は一人で住んでいます。

・私は字が書けません。

・言葉がやや不自由ぎみです。

・足が不自由で50mぐらいしか歩けません。

・今は殆ど歩け無いです。

【私はうまく喋る事が出来ないので】

【電話ではなくてメールで連絡を御願い致します。m(_ _)m】

それで相談なのですが

私には82歳に成る母親がいます。

なにぶん高齢なので、いつも『死んだら宜しくね。』と、言っております。

気になるのは遺産相続で、私以外には兄が一人おります。

兄は結婚してて義姉とその孫に成る息子が20代二人おります。

それと私には離婚した妻と23歳になる息子がいます。

こんな家族関係ですが、私の遺産相続は幾らに成るのでしょう?

※当事務所の判断により、一部伏字にしています。

(ほほほ)







【相続人はあなたとお兄さん】

まず結論から申し上げますと、このままお母さんが亡くなった場合、お母さんの相続人は、あなたとお兄さんのお二人です。

お二人はお母さんの「子」であり、相続人たる地位を有するからです。

このことは、たとえあなた方ご兄弟に子ども(お母さんから言えば孫)がいたとしてもなんら変わりません。また、あなたの障害や離婚もこの結論には影響しません。

そして、兄弟姉妹の相続分は頭数で平等に分けられますので、あなたもお兄さんも、相続分は2分の1ずつです。戦前の法律とは違い、特に長男の相続分が多いというような事はありません。

以上は、お父さんが既に亡くなっているものとして回答しています。

もし、お父さんが生きておられ、お母さんと婚姻しているのであれば、配偶者としてお父さんが遺産の2分の1を、又、お兄さんとあなたはそれぞれ4分の1の割合で遺産をもらえることになります。


【考えられるその他の可能性】

なお、お兄さんがもし不慮の事故などでお母さんより先に亡くなった場合、その後に発生したお母さんの相続は、あなたと、あなたのお兄さんの子が相続人になります(このような場合を代襲相続と言います)。

この代襲相続の場合でも、あなたの相続分が2分の1であることは変わりがありません。

また、仮にお義姉さんがお母さんと養子縁組をすれば、子は3人になりますので、相続分はそれぞれ3分の1ずつになります。

養子縁組をしているかどうかはお母さんの戸籍謄本を見ればわかりますので、もしご心配であればお調べになっても良いと思います。

(弁護士 北野英彦)

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★認知症の父の売買契約書が偽造された【Q&A №522】

2016/08/01



【質問の要旨】

認知症の父の土地売買契約書を偽造

記載内容  認知症 告訴 偽造

【ご質問内容】

私は、父の相続人です。

父が生前土地を売る契約をしていました。

父は当時認知症で、土地の売買契約書は父の妹が偽造して作成していました。

この契約を解除できないかのご相談です。

その土地は、現状地目とも田で、買い主がマンションを建てる目的で購入しました。

契約当時認知機能検査MMSEは10でした。

又、父の妹を有印私文書偽造罪で告発は出来ないでしょうか。

よろしくお願い致します。

(choco)







【無効を主張できる可能性があります】

ご指摘の通り、妹さんがお父さんの署名押印(さらには印鑑証明書も無断取得している)を偽造したのであれば、その契約は無効です。

実際の立証は簡単ではありませんが、もし偽造やお父さんが意思能力を欠いていたことを立証することができれば契約が無効であることを主張できるでしょう.



【立証のポイント】

今回の契約無効を立証するに当たっては、お父さんの意思能力の程度が重要となってきます。

具体的には、お父さんの認知症の進行程度や判断能力の状況を病院や介護施設から取り寄せた記録(カルテや看護記録)で分析し、売買契約当時、お父さんが契約の意味を理解したり、印鑑証明書を自身の判断で取り寄せたり(あるいは妹さんに依頼したり)することができたかどうかを確認していくことになります。

そのほか、おそらく司法書士の先生が登記手続に関与しておられるでしょうから、本人確認や契約立ち会い時のお父さんの状況、さらには当時お父さんが署名押印した(とされる)書類の筆跡なども確認し、お父さんがこの契約にどのような関与をしたのかを確認していくことが必要と思われます。

 
【告訴と代金の返還について】

本件では有印私文書偽造罪のほか、買主の方に対する詐欺罪が成立する可能性もあります。

ただ、警察はこういった親族間での問題になかなか立ち入らず、実際に立件する可能性は極めて低いのが現状であることはご理解ください(買主の方が詐欺だとして告訴すれば話は違ってきますが。)。

他方で、契約無効を主張した場合、土地は相続財産として戻ってきますので、その後に遺産分割を行うことは可能です。

ただ、契約が無効であれば(当然ですが)お父さん(あるいは妹さん)が受け取った売買代金を買主の方に返還しなければなりません。

この点にはご注意ください。

(弁護士 北野英彦)

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★母の預貯金を成年後見人に取り戻してほしい【Q&A №519】

2016/07/11



【質問の要旨】

母名義の預金を成年後見人は取り戻してくれるのか

記載内容  成年後見人 不正出金 取り戻す

【ご質問内容】

アルツハイマーの母は実家で一人暮らしをしております

子供は私と姉の二人姉妹です

父(認知症)は5年前に他界いたしました

姉とはこの亡父の遺産(家屋・土地・融資産を姉が相続するという公正証書あり)のことで 私から家裁に申し立てをする関係となり 一応和解はいたしました 

現在母の介護に関することは母とは別居の姉が施設通所の手配等をやっています

ご相談したいのは 介護が始まってから 姉が母の金融資産すべてを自宅に持ち帰り管理し始めました

これまでそれらの開示を求めましたがそれには応じませんでした

姉は母から預かるように頼まれたと言います

実は 亡父の時も 公正証書を作成し 生前中に父名義の預貯金を全額おろしそれを自分名義の口座に移しておりました

恐らく 母にも同様のことをしている可能性が高いです

母に成年後見人を申し立てることを考えましたが 述べたように母名義の預貯金は前述のようになっているなら管理するものはもう0、ないという事態も十分考えられます

また、アルツハイマーの母は自分で判断は出来ません。相手の言いなりに行動します。

父の時と同様 母に姉はすべてを自分に預けることを一筆書かせているでしょう

このような状況でも母の預金を母名義に成年後見人で戻すことは可能ですか

アドバイスをよろしくお願いいたします

(林檎)







【預金の取り返しは難しい】

成年後見人は本人(お母さん)の権限のほぼすべてを代理する権限を持っていますので、理屈上はお母さん名義の預金をお姉さんから取り返す権限もあります。

たとえば借用書も整った相手から貸し金を返してもらう場合や、交通事故の加害者に対して損害賠償請求を行う、というように相手方の責任がはっきりしている場合であれば、後見人が積極的に権利を行使してお金の支払を請求するケースは確かにあります。

しかし、成年後見人があえて親族内での紛争を起こしてまで不正出金の取り返しに動き出すことはごく例外的なことであり、そうそう見ないケースです。 

というのは、お母さんが自分の意思で(意思能力を失う前に)お姉さんに預金を預けたのか、それとも無断で不正出金をしているのかは外形的にはわかりにくく、明らかな証拠をつかむのが難しいからです。


【お父さんの話は別問題】

ただ、今回はお姉さんがお父さんの相続について周到な対策を整えて遺産を独り占めした経緯があるようですので、お母さんの預金についても同様の不正出金をしている可能性が高いようです。

しかし、法律上はそれだけで不正出金があると断定できるわけではありません。あくまでお父さんの話とお母さんの問題は別物だ、ということです。

もしお姉さんの不正出金を明らかにしたいのであれば、お姉さんの預金引き出しがお母さんの意思に基づかないものであったことを確証づける証拠が必要です。

ただし、確証があっても、後見人は家庭裁判所の監督の下に動きを取るため、家庭裁判所がどのような判断をするかにより後見人の動きが変わってくる可能性があることはご理解ください。

(弁護士 北野英彦)
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★亡母の賃貸物件の地代の入金口座を探したい【Q&A №515】

2016/07/01



【質問の要旨】

地代の受取口座を調べることはできるか

記載内容  使い込み 不正出金 相続人の口座

【ご質問内容】

母の口座を探しても地代の受取口座が見当たらない

どうやら預金管理の姉がほかにプールしている口座があるらしい。

弁護士にお願いすれば、疑わしい姉名義か同族会社名義の口座(3つぐらい銀行支店名推定)を調査いただけるか

口座の有無、死亡日の残高や過去10年の取引履歴など。

参考ー土地母所有50坪。上物貸ビル7F建(同族会社所有運営)母の地代 年3百万円、H14~計45百万円

H14 父の死と母のひとり暮らし

H17 母要介護中度

H20 脳梗塞入院 意思疎通困難

H28 母死亡89歳

(神原哲)







【他人の口座は確認できない】

金融機関は他人の名義の口座を開示してくれません

兄弟姉妹であってもお姉さんは他人です。

そのため、他人であるお姉さんの口座をあなたが確認することはできません。

(参考までに言えば、相続の場合には被相続人の口座を相続人が調べることができます。これは相続人は、法律上は被相続人と同一人とされているからです。)

調停や裁判になって、相手方に弁護士がついたような場合、弁護士間の交渉で相手方から同意を取り付けて預貯金の履歴を取り寄せしたり、あるいは裁判所から相手方を説得してもらい、相手方が取り寄せした預貯金の履歴を裁判で出させるという方法も考えられます

しかし、これらはあくまで相手方が任意ですることであり、こちらから請求しても相手方や裁判所がそのとおりするとは限らず、むしろ取り寄せに協力しないことの方が多いです。


【私ならこんなやり方でする】

いま、問題となっているのが、賃料が誰の口座に入っているのかという点であれば、私なら次のようなやり方をするでしょう。

① まず、お母さんの持っていた不動産を調査します。

これは市町村に問い合わせをすると回答してくれます(当ブログQ&A №482及び【コラム】名寄帳の取り寄せ参照)。

② 判明した不動産を現地調査し、建物の場合には居住者を、又、土地の場合には土地の賃借人を探し出します。

③ その後、その建物や土地の賃借人に賃借条件や支払方法、口座等を確認します。


【その後の手続きは・・・】

賃料の振込先がお姉さんの口座であると判明した場合、次にどのような手続きを取るかですが、この点については、専門家である相続に詳しい弁護士と相談し、仮差押え等の法的手続きを先行するのかどうかを含めて検討されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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死因贈与予定の土地を今から勝手に使って良いか【Q&A №514】

2016/06/30



【質問の要旨】

死因贈与の土地を使用している

記載内容  認知症 成年後見 死因贈与

【ご質問内容】

平成25年8月母は認知症で意思能力がないということで、家裁の調停により、畑は妹に贈与する契約をしました

ところが、妹は、その土地を仮登記をして、農業振興地域の畑30ヘクタールの真ん中をコンクリート4メートルと倉庫を改修して我が物顔で、使用しております

財産管理は、成年後見人が行っていますが、事前に私に相談があった時には、保全管理をお互いにしようということだったのですが、こうしたことは、許されるのですか。

(タック)






【贈与がないことが証明できれば、調停も贈与も無効】

お母さんに意思能力がないのであれば調停ができませんし、調停が成立したとしても有効な調停ではなく、効力がありません。

そのため、調停調書に贈与(あるいは死因贈与)するような内容が記載されていても、意思能力がなかったのだとして、贈与(死因贈与)の無効を主張すればいいでしょう

ただ、意思能力がなかったということは証明する必要があります。

お母さんのカルテや介護記録を取り寄せして、証明手段とするといいでしょう。


【死因贈与と生前の使用】

 《死因贈与契約した土地を相続人は自分のものとして使用できるか》という質問ですが、前項と関係なくお答えします。

仮に死因贈与があったとしても、その効力は死亡したときから発生するものです

そのため、死因贈与があるからといって、生前に使用することはできません。

ただ、生前に使用している場合には、お母さんとの間に賃貸借や使用貸借契約が締結されている場合が多く、相手方がこれらを使用する法的根拠として主張してくる場合が多いです。


【成年後見人と財産管理】

お母さんに成年後見人がついた場合、成年後見人はお母さんの財産を誠実に管理する義務を負います。

ただ、それはあくまでお母さんに対してであり、あなたに対してではありません。

あなたと成年後見人との間に《財産保全》についての話があり、現在、後見人が財産管理を十分にしていないということであれば、裁判所にこのような事情を説明する書面を提出し、成年後見人がきっちりと財産管理をしてもらうことを求めていくといいでしょう

(法的にはあなたにはそのような申し出をする権利や権限はありませんが、財産管理が不十分だという報告書が出てくれば、裁判所としては後見人から事情を聴取する程度のことはすると思います。)

(弁護士 大澤龍司)
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在宅介護費用と特別寄与【Q&A №507】

2016/05/31



【質問の要旨】

看護を負担した相続人が他の相続人に費用請求できるか

記載内容  介護 扶養 不公平

【ご質問内容】

私が、仕事を休んで、平成22年7月から平成25年1月まで自宅で看護(導尿行為、バイタルチェック、塩分1日8グラムの食事作り)を行ってきました。

相手(姉2人)は近所に住んでいながら、一切協力せずに遊びまわり、扶養義務調停にも出廷せず、扶養義務調停が終わる前に父親は亡くなりました。

一番上の姉は生前贈与(住宅購入資金の一部として現金300万円)を昭和48年頃に貰い、高校と短大も我儘を言って私立に通っていました。

私と下の姉は公立高校で終わっております。

短大卒業後すぐに結婚しましたので嫁入り道具と、結婚資金等は、両親が出しています。

なお、私は平成22年2月に腰に金属を入れる手術を行っておりその後絶対安静時に看護が始まり現在は酷い後遺症が出ております。

財産は私たちが住んでいる土地建物しかありません。

土地は路線化で2800万円位(約82坪)建物の名義は13分の11は、私の名義になっております。父親名義の分の建物の評価は53万円程です。

(くま)






【介護費用は請求できないが、特別寄与の可能性がある】

親子間では互いに扶養義務があります。

そのため、子であるあなたが約2年半もの間、自宅でお父さんの介護をしたとしても、これは扶養義務を履行しただけであり、これをしなかった他の扶養義務者(今回は2人のお姉さん)に請求することはできません。

親子間に扶養義務が定められている以上、子として介護等をするのは当然のことであり、他の扶養義務者に介護のための労力等の費用を請求することはできないというのが、今の法律です。

しかし、あなたが介護をしたことにより、ヘルパー代や看護師料、老人ホーム入居費用等が減り、その分、遺産の減少が食い止められたというような事情があれば、その減額分を《特別寄与》として請求すれば、遺産から支払ってもらえる可能性があります。

(なお、介護の努力がどのように遺産分割に反映されるかという点は、当ブログQ&A №386Q&A №254などにも同様の話が出ておりますのでご参照下さい。)


【住宅購入資金の生前贈与は特別受益になる】

一番上のお姉さんが住宅購入資金の一部として金300万円をお父さんからもらったというのであれば、特別受益になりますので、遺産に持ち戻した上で遺産分割をすることになります。


【短大への進学に関する費用は原則として特別受益にならない】

一番上のお姉さんが短大に行かせてもらった点ですが、教育については子の能力の問題もあり、又、親の子に対する扶養の問題であり、遺産の前渡しという意味は持たないという判例もあることから、原則として特別受益にならない可能性が高いです。

ただ、私の担当した案件ですが、私立の医大に行った場合には、その授業料額が莫大であることや医師という社会的に重要な資格を取得することから、特別受益として対応したことがあります(なお、当ブログQ&A №375を参照ください)。


【参考判例】
大阪高裁決定平成19年12月6日
「被相続人の子供らが、大学や師範学校等、当時としては高等教育と評価できる教育を受けていく中で、子供の個人差その他の事情により、公立・私立等が分かれ、その費用に差が生じることがあるとしても、通常、親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」



【結婚資金について裁判例は分かれるが・・】

結婚資金については、裁判例がわかれていますが、私は挙式費用などは、特別受益には当たらないと考えています。

その理由は、挙式費用は、結婚式という一過性の支出であり、後に残るものではないことや、結婚式が結婚する当事者のみならず、その両親や親戚のためにするという側面を有すること、更に親としても相続分の前渡しとして挙式費用を出すのだという意識はなく、持ち戻し免除が推測されること、更に通常の場合、すべての子が多かれ少なかれ親の援助で結婚式をしていると思われることなどからです。

なお、嫁入り道具や持参金などは金額が高額であれば特別受益に該当するでしょう。

【参考判例】
① 名古屋地裁平成16年11月5日
「嫁入り道具や持参金等がこれ(弁護士注:特別受益)にあたることはいうまでもない。しかしながら、結婚式や結納の式典そのものに生じた費用については、婚姻する者のみならずその両親ないし親戚一同にとって重要な儀式であることに鑑みると、両親が子の結婚式や結納の式典に生じた費用を支出したとしても、それを両親から子に対する「婚姻のため」の贈与と評価すべきではなく、特別受益にあたらない。」

② 仙台地裁平成5年9月7日
「右程度の援助(弁護士注:結婚披露宴費用のうち祝儀代を引いた残額二〇万円の援助)は、本来通常必要なものであるが、他の妹弟が結婚に伴う援助を受けていないことを考えると、特別受益に該当するものといわざるを得ない。」

③ 盛岡家裁昭和42年4月12日
「相続人が婚姻に際し、被相続人より挙式費用等を負担してもらっているが、その金額も高額でないので、いずれも民法903条にいう贈与として相続分の算定につき斟酌すべきではな」く、特別受益に該当しない。」



【その他の問題点・・土地使用借権が特別受益の可能性あり】


あなたがお父さん名義の土地の上に建物の持ち分を有しておられるのであれば、その土地をあなたの建物のために無償使用している(使用借権)の贈与と主張される可能性もあり、あなたの方でも特別受益が問題になりかねませんので、その点はご留意ください。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:43 寄与・生前贈与 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

★建築費用の負担等と特別受益【Q&A №506】

2016/05/31



【質問の要旨】

次女夫婦が母名義の土地に家を建て、建築費用も一部負担してもらった

記載内容  同居 建築 負担

【ご質問内容】

父はすでに他界し、母と3姉妹という家族構成です。

母名義の土地に次女夫婦が新築で家を建て、母が同居することになりました

・土地名義は母のままで固定資産税も母が払い続ける

・建物は、次女夫婦の名義で、建築費用の3分の1程度を母が負担することになりそ
うです。

建築費用を援助する事が生前贈与にあたるのでしょうか?

また、同居する場合は、特別受益には該当しないのでしょうか?
(ゆずのん)






【次女夫婦名義の建物の建築資金補助は特別受益となる】

次女夫婦名義の建物を建築する際に、被相続人(お母さん)から建築資金の援助を受けたのであれば、それは「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、遺産に持ち戻す必要があります。

なお、特別受益は相続人にのみ生じる問題です。

そのため、次女ではない他人(配偶者も他人です)に贈与した場合には特別受益の問題にはなりません。

質問では、次女《夫婦》への贈与と質問に記載されています。

仮に建物が次女ではなく、その夫の単独名義になっており、その資金をお母さんが出していたらどうかという問題があります。

この場合には、実質上、夫婦は一体であるとして特別受益の主張をされるといいでしょう

【参考判例】福島家裁白河支審 昭和55年5月24日
被相続人から共同相続人の1人の配偶者に対して贈与がなされた場合において、贈与の経緯、贈与された物の価値、性質、これにより受贈者の配偶者である相続人の受けている利益などを考慮し、実質的には被相続人から相続人に直接贈与されたのと異ならないと認められるときは、たとえ相続人の配偶者に対してなされた贈与であっても、これを相続人の特別受益とみて遺産分割をすべきである。
【相続判例散策】相続人以外の者に対する特別受益(福島家庭裁判所白河支部 昭和55年5月24日)もご参照ください。)

【土地の無償貸与も特別受益になる】

お母さんの土地の上に次女夫婦が建物を建てるということになると、おそらく賃料の支払いはしないでしょうから、次女夫婦は他人であるお母さんの土地を無償使用で使用できるという利益を得ることになります。

この無償使用する利益を法的には使用借権といいますが、この権利を得ることも「生計の資本としての贈与」として特別受益になり、その権利の価額が遺産に持ち戻されることになります(この点については当ブログQ&A №321もご参照ください)。


【同居の場合、特別寄与や生活費援助も問題となる余地がある】

法律的に言えば、次女夫婦がお母さんと同居し、その介護に尽くしていたとしても、次女の特別受益分として遺産に持ち戻される額が減額されることはありません。

ただ、次女がお母さんを介護することにより、ヘルパー代等が助かったというような事情がある場合には、その分が《特別寄与》となって、遺産から次女に支払いされることはありえます(当ブログQ&A №254をご参照ください)。

逆に、お母さんが同居する次女夫婦の《生活費を支給》していたようであれば、この支給分が特別受益になるかどうかが問題になります(当ブログQ&A №321Q&A №505等をご参照ください)。

(弁護士 大澤龍司)

大澤龍司法律事務所
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14:47 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

姉が母の年金を使い込んだ【Q&A №505】

2016/05/30



【質問の要旨】

姉が母の年金のほとんどを使っていた

記載内容  不正出金 年金 介護費用

【ご質問内容】

要介護1の母が姉のところに同居するにあたり、兄弟間の約束で、毎月8万円世話代として、母の年金から受け取って良いことになっていましたが、あとで収支表をみせてもらうと、年金月19万円のうち、ほとんどを使ってしまっていました

姉の所で世話になっていたのは、5年間です。

月8万円×5年間で約500万円弱は、姉の取り分のはずですが、1200万余りの母の年金総額がほとんどなくなっていまし
た。

差額700万円は姉の相続分から、差し引く事はできますか

世話代の他の経費として考えられるのは、デイサービス代、、入院費等で150万円程です。

母は足の骨を折って入院したあとは、寝たきりに近い状態になったので、介護老人ホームに入所しました。

(クロちゃん)







【お母さんのお金の使途はお母さんが決めることです】

姉妹間でお母さんの年金の使途を決めたということですが、《法律的に言えば》お母さんの財産をどうするかはお母さんが決めることであり、姉妹間で決めることではありません

お母さんは要介護1ということですが、身体的な理由なのか、あるいは認知症等の精神的な理由によるものであるかは質問には記載されていません。

仮に認知症によるものである場合でも、要介護1であれば通常は判断能力があると思われます。

ただ、もし、長谷川式認知スケール等で判断能力がないというのであれば、成年後見人を選任して、その人がお母さんの財産の使途を決めるということになります。


【お母さんとお姉さんとの間でどのような話があったのか】

お姉さんがお母さんの面倒を見ていた5年間で約1200万円の年金収入があったようですが、このうち、約150万円はデイサービスや入院費という必要経費ですので、差額の1050万円の使用をどう考えていくのかが問題になります

ただ、お母さんのための生活費(水道やガス、光熱費、固定資産税、食費等)も当然必要ですので、その分を差し引きする必要があり、これを差し引いた残額がお姉さんの使った分と考えられます。

わかりやすくするために、具体的な数字で計算していきましょう。

仮に生活費を月8万円として考えると5年間で480万円が必要となり、これを差し引くと残額は570万円となります

参考までに言えば、姉妹間で8万円と言う金額を合意したというのは、おそらくこの生活費として認める額を姉妹間で8万円だという合意と理解すべきだろうと思われます。


【570万円の扱い】

この残額570万円については次の3通りの対応が考えられます

お姉さんが勝手に使った場合

お母さんの了解なく、勝手に使ったのだとすると、その分は、お母さんに返還する必要があります(法律的に言えば、お母さんがお姉さんに不法行為あるいは不当利得に基づく返還請求権という債権を持つということになります)。

お母さんが死亡した場合には、あなたの法定相続分は2分の1ですので、上記債権のうちの2分の1にあたる285万円があなたに相続され、あなたがお姉さんにその額を返還請求するということになります。

お母さんが生前贈与した場合

もし、お母さんがお姉さんに生前贈与したというのであれば、その分は特別受益で遺産に持ち戻されます。

お母さんがお姉さんの生活費として金銭援助した場合

お姉さんが生活に困っておられるような状況があり、お母さんが生活費として援助していたような場合、親子間の援助として扱われ、特別受益にならない場合があります。

今回の場合、5年間に均等に援助したとすれば月額にすれば9万5000円の援助額になります。

もし、お姉さんが本当に生活に困っておられた、かつ遺産が多額の場合、生活資金の援助にすぎず、特別受益にならないとされる可能性もありますが、被相続人の遺産総額や収入状況により特別受益になるかどうかの結論が異なります。

この点につき、参考となる判例を末記に掲載しておりますのでご参照ください。

【参考判例】
東京家裁:平成21年1月30日審判
被相続人の遺産総額や収入状況により判断は異なりますが、上記判例は遺産総額が約2憶8000万円のケースで、被相続人から相続人の1人に対する継続的な送金のうち月10万円に満たない部分は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計の資本としての贈与とは認められないが、月10万円を超える部分について生計の資本としての贈与とし、特別受益としています。


(弁護士 大澤龍司)
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★不正に預金を引き出した兄に返還を求めたい【Q&A №502】

2016/05/18

【質問の要旨】

母の預金を兄が引き出した疑い

記載内容  不正出金 伝票 キャッシュカード

【ご質問内容】

10年前、兄が母親の面倒を亡くなるまで見るということで、預金を管理していました。私は今後の大変さを考えて、一切を兄に任しました。

1年後、兄が面倒を見切れないということで、母親の面倒を放棄し、私が引き取りました。そのとき、お金はこれしか残っていないということで、300万程の預金を受け取りました。しかし、あることから母親の預金等の金額が、元々4500万程であったことが分かりました。

母親の銀行取引履歴を取り寄せ、調べてみると、兄が母親と行動を共にしだした15年ほど前から預金が次々解約され、母親名義の預金が一切なくなっていました。

私が受け取った300万は母親の介護等の費用で底をつき、仕方なく母親は生活保護をうけざるをおえなくなりました。このことを母親に伝えると返還してほしいと言っております。

預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)を返還を請求することは可能でしょうか?

母親は引き取った当時は老人性うつ病で廃人のようでしたが、現在は元気になり、軽い認知はありますが、受け答えはしっかりしています。

ご教示ください。

(NEKO)







【不正出金を追及する時に調査すべき事項】

遺産からの預貯金口座からの不正出金を追及するときに当方の確認すべきポイントは次の3点です。

① まず、預貯金口座から多額の出金があること

② その多額の出金の使途が不明であること

③ その使途不明の出金をした人が誰かがわかっていること


次にそれぞれの調査方法を述べていきます。


【まず、預貯金口座から多額の出金があるかどうかを確認する】

出金状況については金融機関に問い合わせをするとわかります。

今回は生きているお母さんの口座の照会ですので、お母さん自身が過去の取引履歴を照会するといいでしょう。

ただ、生きている限り、多少の生活費等は当然必要です。

そのため、毎月10数万円が出金されているということでは不正出金とは言えないことが多いです。

ある程度の多額の金銭がまとまって出金されているか確認する必要があります。

私の場合には遺産の規模や被相続人の生活状況によって異なるのですが、低いときには30万円以上の、通常は50万円から100万円以上の出金を重点的に調査します。


【次に出金した金はどこに行ったのかを確認する】

多額の出金があったとしても、それが同一名義人の他の口座に送金あるいは預け替えされていたりすることがあります

又、自宅修繕費等の費用に充てられていることがありますので、このような出金分は使途不明金から除外します


【最後に、その使途不明を誰が取得したのかも確認する】

一番難しいのはこの点でしょう。

この点については、使途不明だと思われる出金伝票のコピーを金融機関から取り寄せするといいでしょう。

その際、その伝票の署名は誰がしたのか、代理人が出金していないか、更に金融機関の方で特記している事項は存在しないか、確認しましょう。

問題となるのは、ATM(現金自動預払機)からの出金です。

このような場合には、キャッシュカードを誰が持っていたのかを確認し、出金手続きをした人を特定していくことになります。

なお、出金時に被相続人(本件の場合にはお母さん)が入院しているとか、意思能力が欠けており出金できるような状態でなかった場合には、その時点で預金通帳やカードを管理していた人が手続きをしていたのではないかという推測も可能でしょう。


【預金および面倒を見るということで使った家のリフォーム代・車の購入費用(約1000万円)の返還を請求することは可能?】

前記のような点について、どれだけ確実な証拠を集めるかで決まります。

十分な証拠が集まれば、訴訟で返還を求めることも可能でしょう。

まずはしっかりと証拠を集め、その証拠を突き詰めて返還を求めるのが一番よい方法であり、それでも返還しないのであれば、弁護士に依頼して訴訟する方策も考えるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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認知症の母が亡姉の相続人となった【Q&A №500】

2016/05/11

 【質問の要旨】

認知症の母の姉の相続問題

記載内容  認知症 後見人 判断能力

【ご質問内容】

母が認知症で施設にいます。

姉がなくなり相続が発生しました


姉の上にも長女がいて母と長女の相続になります。

長女と姉の周りには不動産関係の友人がリフォムや介護や高額定期の更新とかまでを管理していたので、法定後見の申し立てて財産を取り戻しました。

しかし今回は母に成年後見人の必要性が考えられて、弁護士に相続のみの依頼も考えましたけど、社会福祉協議会は家庭裁判所への相談を進められて当然に家庭裁判所も成年後見人の申し立てを、念頭に認知症の診断を主治医に作成することを勧められました。

後見申し立ては姉のものを自力でやりましたので手続きには問題がありませんけど、母は相続のお金で在宅介護を希望しています。

成年後見人を選任しないで息子である私が弁護士に依頼しても依頼する弁護士が正しく選定できるか成年後見が優先するかは判断ができません。

社会福祉協議会の話では第三者的な立場で成年後見を家裁に申し立てることを進められています。

弁護士を使い相続ができても将来は私の兄弟と争う結果になりかねません。

成年後見が妥当でしょうか?

(noumihaisou)







【あなたが弁護士に依頼することはできない】

お母さんに成年後見の申立をするのか、あるいはあなたが弁護士に依頼するのかどうかを悩んでおられるようですが、現在のあなたの立場では、お母さんの財産の管理を弁護士に依頼することはできません

お母さんの財産の管理を依頼することができるのは、その財産の持ち主であるお母さんだけです

※注:参考ケース
私(弁護士大澤)が経験したもので、相続人である母親ではなく、その息子が母親の相続問題を弁護士に依頼したというケースがありました。
母親は植物状態で寝たきりであるということを聞いておりましたので、不審に思って相手方の弁護士に「先生は誰から委任を受けたのですか」と尋ねましたところ、「息子さんが事務所に来られた」ということでした。
さらに聞いてみますと、弁護士は母親とは全く会っていなかったことが判明しました。
このような案件では相手方弁護士は依頼者である母親からは委任を受けていないことになり、それにもかかわらず代理人として行動したことについては弁護士会で懲戒の対象とされるものです。
そのため、私が相手方弁護士に対して、母親の代理人を辞任すること及び早期に母親の後見申立をすることをアドバイスして、相手方弁護士がそれに従われたことから、結局、成年後見人が選任され、結局、遺産分割問題も早期に解決することができました。



【成年後見人選任の申立をするのが望ましい】

あなたとしては、お母さんの成年後見人選任の申立をするか、申立をしないでそのまま放置しておく(ということは遺産分割ができないということになります)かのいずれかの選択肢しかありません

現在、3人姉妹(①お母さん②そのすぐ上のお姉さん③更にその上の長女)のうち、(上記②の)お姉さんが死亡されたことにより、既にその(上記②の)お姉さんの遺産分割問題が発生しています。

長女さんの周りに問題のある不動産業者がいるというのであれば、その人物がいつ、相続問題に介入して遺産の取込や横領等の不審な動きをするかもしれません。

その点を考えると、早期に成年後見人の申立を家裁にして、あなたが成年後見人になられることをお勧めします

もし、あなたが後見人に選任されない場合でも、弁護士等の専門家が成年後見人に選任され、その人が相続問題を解決してくれるはずです。


【成年後見人になってすぐ遺産分割解決の手配をする】

あなたが成年後見人になれば、あなた自身の意思で、弁護士に上記②のお姉さんの遺産問題の解決を依頼することもできます

その(上記②の)お姉さんの遺産分割を早期に解決し、お母さんが希望する《相続のお金での在宅介護》を実現されるのが、息子さんとしてのあなたとして、今、早急にとるべき方策でしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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★亡母の預金を使い込んだ兄の言い分【Q&A №495】

2016/03/10

【質問の趣旨】

建築費用は貸金か贈与か?遺産を公平に分配するには?

記載内容 不正出金 親に貸付 寄与分

【ご質問内容】

家内の実父は、約30年前に他界しており、更に1年前に実母も他界しています。

法定相続人は4人です。

長男は、約35年前に実親の家の新築の折、数百万円を借用書も無しに工面したと言っています。

そのお金を今になって「返して欲しい、しかも年5.5%の35年間の複利運用」条件を提示しています。

長男が中心となって作成した父の遺産相続協議の際、そのような負債があることは明らかにしておりません
し、返済請求書もありません。

従って、あたかも親への贈与と思われてもおかしくないものです。負債なら、膨れ上がる前に手の打ちようがあったはずです。

今やその金額は、母親の預金(5千万円)でも不足すると主張する始末です。

まさかと思って、他の兄弟が、銀行(3行)に確認したところ、案の定、母親の死亡1年前からATMから引出限度額で毎日下しており、残額はゼロと判明しております。

亡き母は認知症の為、介護施設に入っており、その支払い等のため銀行カードを長男に預けていたようです。

本件は、母親の預金額に目がくらみ、総取りのシナリオを後付で描いたように思えます。

公平に遺産相続する方法をご教示頂けませんか

(yuzu)







【まず、お金を渡したということを証明してもらう】

最初に、長男さんがお金を貸したかどうかの確認が必要になります

お金を貸したというのなら、当然お金の動きがあったはずです。

長男さんにまず、お金が動いたことの証明を求めましょう。

もし、長男さんがその点を証明できないのであれば、貸金の主張は無視して、遺産分割をすることになります


【贈与か貸金か】

もし、お金をご両親に渡していることが証明されるのであれば、次にどういう趣旨でお金を渡したのかが問題になります。

返還してもらうという前提ではなかったのであれば、長男さんから両親への贈与になりますし、返還してもらう前提なら貸金になります

建築資金ということですから、通常ならかなりの金額になります。

高額の金額にもかかわらず、借用書も作成していない、これまでの35年間返還されていない、という事実を考慮すると、貸金である可能性は極めて低いと思われます。


【複利はまずない】

長男さんは複利を主張されているようですが、そのように主張するのであれば、長男さんとしては貸金であることに加えて利息は複利であり、その利率は年5.5%で合意されていたということを証明する責任があります。

借用書も作らないようなとき、複利というような利息の合意が認められる可能性は皆無に近いと思います。


【貸金や贈与と特別寄与の関係】

仮に贈与があったとすれば、両親はもらった金銭は返還不要ですが、長男さんとしては、そのような金銭をあげたことで、長男さんが特別寄与をしたと主張することができます【コラム】寄与分とは?をご参照ください)。

もし、貸金を立証できた場合には、長男さんはご両親に返還を請求できるということになりますが、ただ35年も前の貸付であれば、特段の事由(例えば時効中断等)がない限り、時効で消滅している可能性が高いです(なお、貸金が時効で消滅していた場合でも、長男さんが特別寄与をしたと主張できる余地があります)。


【今後の取るべき対応について】

お母さんの判断能力がない段階で長男さんが預貯金を引き出していたのなら、お母さんは長男さんに不当利得の返還請求権を持つことになります

お母さんが死亡した場合、その返還請求権は各相続人がその法定相続分に応じて取得し、長男さんに請求することができます

長男さんの態度を見ていると、簡単に返還しそうな感じは受けませんので、遺産分割調停や訴訟等の法的手続きが必要だと思います。

ただ、訴訟して勝訴しても、財産がない場合には強制執行もできません

もし、長男さんの財産(例えば抵当権のついていない土地家屋など)があることが判明しているのであれば、長男さんがその財産を隠してしまう前に、財産の移動を禁止する仮差押え等の手続きを取る必要があります

この手続きはむずかしい点がありますので、弁護士に相談されるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
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弟の嫁が養子縁組をさせようとしている【Q&A №494】

2016/02/29

【質問の要旨】

弟の養子縁組をとめたい

記載内容

養子縁組 無効 判断能力

【ご質問内容】

2人姉弟ですが、病身の弟は子供がおらず嫁がニートの実弟を私の弟の養子にしようとしています。

弟は余命わずかで判断能力はありませんが書かせれば文字は書けます。

最近両親が相次いで亡くなり、弟がなくなれば僅かな遺産はわたしが引き継ぐことになります。

しかし養子縁組が認められれば、嫁兄弟に半分渡す事になります。

病身の弟に代わり、両親の葬儀もわたしが行ない、預金も凍結中のためすべて自分で負担しました。

両親存命中もほとんど交流のなかった嫁の行動に納得できず養子縁組不受理にしたいのですが。

ちなみに嫁は当時事実婚していた自分の父親の死ぬ間際に、数十年前離婚した母親と勝手に復縁させ年金を搾取したことがあります。

父親の内縁妻は無理矢理追い出しました。

勝手に養子縁組するなどた易いことのようです。

調停を申し立てて勝ち目はありますか?

申し遅れましたが、両兄弟ともに40代です。

(はるか)







【他人の養子縁組を止める方法はありません】

養子縁組をするかどうかは弟さんが決めることです。

兄弟姉妹であっても他人ですので、弟さんの養子縁組を止める権限はなんらなく、あなたが弟さんの養子縁組を止めることはできません

いずれにせよ、あなたとしては弟さんの養子縁組に関与する立場にない以上、裁判所や役所に何を申し立てても無関係の人間であるとして聞き入れてもらえないと思います。


【判断能力がない場合、養子縁組は無効となる】

養子縁組をするには、一定の判断能力(意思能力)が必要です。

もし弟さんが判断能力を欠くような場合には、養子縁組の届け出は無効になります


【養子縁組が相続に及ぼす影響】

お父さんとお母さんが既に死亡されていますので、その遺産は法定相続人とあなたに相続されています。

しかし、弟さんが死亡した場合、その段階で養子がいなければ、弟さんの遺産(その中にはお父さん及びお母さんの遺産も含まれます)の4分の3が弟の配偶者に相続され、残りの4分の1があなたの方に来ます。

もし、弟さんの死亡時点で養子がいれば、弟さんの遺産は配偶者と養子が各2分の1で相続しますので、あなたには弟さんの遺産は来ません。

養子がいることであなたにくる弟さんの遺産についてのあなたの増減分は4分の1であることにご注意ください


【相続の関係では養子縁組の効力が問題となる】

あなたとしては、弟さんの遺産分割の段階で、

① その養子縁組は弟さんが判断能力を欠いており、無効である。

② 養子は弟さんの遺産を相続できない。

③ 従って、弟さんの遺産は、その配偶者が4分の3を取り、残りの4分の1があなたに相続される。

と主張することも可能です。



【現時点で将来の紛争に備える】

ただ、養子縁組の無効を主張し、弟さんに判断能力がなかったことを証明するのはあなたです。

そのため、現段階から弟さんの医療や判断能力に関する情報は収集されておくといいでしょう

もちろん、弟さんの医療記録などを生前にあなたが取得することはできませんが、次善の策として、弟さんの健康状態や判断能力に関する状態を現時点で可能な限り聞き取っておくとか、現在の入通院している医療機関や入所通所している介護施設を確認しておくなど、将来の問い合わせ先を把握しておくなどの努力をされるといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)

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