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■ 認知症の祖母の預貯金をその息子(長男)が独断で自身の口座に入金【Q&A №645】 - 05/17  
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認知症の祖母の預貯金をその息子(長男)が独断で自身の口座に入金【Q&A №645】

2019/05/17


【質問の要旨】

認知症の祖母の預貯金をその息子(長男)が独断で自身の口座に入金


【ご質問内容】

数年前に祖母(現88歳)が認知症になり、叔父(長男)が同居する事になったのですが、自分の口座に祖母の預貯金(数千万円)を全額移した、と同居直後に事後報告されました。
祖父は他界、子は5人です。(内1人は他界)

認知症だとわかりながら全額を叔父の口座に移すことに協力した銀行にも問題があると思うのですが、相続税対策も銀行ぐるみで行われたようで、そこはうまくしたから、と言っています。

そして、不謹慎ですが、叔父は祖母が亡くなった場合の遺産分配について話すのですが、叔父は10数年間祖母におこづかいを送り続けたからという理由で、自分は半分(4桁の金額)、生存している兄弟姉妹(3人)には100-200万は渡せるだろう、と言っています。
他界した兄弟の子にも権利はありますよね?

祖母は年金を貰っていますが、そのお金を自らの意思で使うこともできません。
毎日家でテレビを見ており、衣食住含め毎月の生活費も微々たるものです。
叔父の分配計算結果には誰も理解できません。
そして何よりも、もし叔父が先に亡くなった場合、祖母の預貯金は法的に返してもらえるのでしょうか。
叔父の子が返金を拒否した場合は諦めるしかないのでしょうか。
何か今すべき事等がありますでしょうか。
宜しくお願いします。

追記、叔父は癇癪を起こしやすい性格のため、兄弟姉妹は納得がいかないものの直接本人に意見をすることができないでいます。


645

(新じゃが)



 ※敬称略とさせていただきます。

【現在の権利関係の整理】
祖母が生きておられるようですので、現在の権利関係を整理しておきましょう。
まず叔父が無断で祖母の預貯金を引き出して、自分(叔父)の口座に預金したというのなら、祖母は叔父に不法行為による損害賠償請求や不当利得返還請求ができ、引き出された数千万円の金銭の返還を請求できます。

【現在、早急にとるべき対策はこれ!】
祖母より先に、叔父がなくなったときには、その叔父の遺産は叔父の相続人間で分割され、叔父が無断で引き出した預金はなくなります。
その後、祖母が死んだ時点では、叔父の遺産は既にどうなったのかわからず、叔父が使い込んだ証拠もなければ、肝心の叔父の預貯金はなくなっており、事実上、回収不能になってしまいます。
そのため、今の段階で早急に手を打つ必要があります。
祖母の認知症がひどく、判断能力がないという状態なら、祖母につき成年後見人の申立てをするといいでしょう。
その際、成年後見人は弁護士に就任してもらい、叔父に対する損害賠償請求権が存在することを確認してもらうといいでしょう。
可能なら、祖母の成年後見人になった弁護士より、叔父に引き出し財産の返還請求をしてもらうことができればベストです。

【叔父が小遣いを支払っていることと遺産分割の関係】
将来、祖母の相続の時点で叔父が祖母に小遣いをあげていたという主張をした場合には次のような対応をされるといいでしょう(叔父との力関係でそのような主張ができないというのであれば、弁護士に依頼をするしかないでしょう)。
① 小遣いをあげたという客観的証拠はあるのか。
② 小遣いをあげたというのは、子である叔父が親孝行であげたものであって、遺産分割とは別の問題である。

【叔父が先に亡くなった場合の返還の可能性】
祖母より先に叔父が死亡した場合、死んでいる叔父には訴訟はできず、叔父の損害賠償債務を引き継いだ叔父の相続人に対する訴訟をすることは法的には可能です。
今は、叔父は取り込みを認めているようですが、その叔父も死亡している場合、と取り込みを客観的に証明できるだけの資料が集まるか疑問です。
また、仮に裁判に勝訴しても、被告となる叔父の相続人が、叔父の遺産からもらった預貯金を使いきることも考えられ、返還すべき金銭がないということになります。
結局、冒頭に申し上げたように現段階で成年後見人などの力で、財産の移動状況を確認する証拠を残し、必要ならその返還を実現しておくのがベストということになります。

【他界した相続人の子にも相続権があるか】
被相続人より相続人が先に死亡した場合、相続人の子は代襲相続人として、死亡した相続人と同じ相続分で相続が可能です。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://osawalaw.com/
 
17:01 遺産分割のトラブル | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生前贈与 「あなたに全部あげる」という母の言葉【Q&A №644】

2019/05/14


【質問の要旨】

「あなたに全部あげる」という母の言葉は有効か

記載内容  通帳 介護 口頭での遺言

【ご質問内容】

末期がんを宣告された母から通帳とキャッシュカードと印鑑を渡され、これまで世話になった礼に私の家族に全てあげると言われました。
早くおろすように言われたのですが、毎日入院先で付き添いをしていたので、母が亡くなるまでにすべてをおろすことができませんでした。

母が亡くなった後、入院するまで数年顔も見せず、入院中も数回しか見舞いにこなかった長男が、相続財産を全て開示しろと言ってきました。

亡くなった後にまだ銀行に残っていた分は全ておろしたのですが、これは開示すべき相続財産となるのでしょうか?
この口頭での生前贈与分はどうなるのでしょうか?
家族に、ということだったので、主人名義の口座にすべて預金し、贈与税は主人名義で払おうと思っていました。

母は長男にないがしろにされていたことにずっと憤っており、とられないようにしなさいと何度も言われたのですが、私には荷が重いようです。

644
(阿倍野)



 ※敬称略とさせていただきます。

【こんなときこそ遺言書が有効に役立つのだが】
母が介護をしたあなたやその家族に財産をというのであれば、是非、遺言書を作るべきでした。
自筆でも母が遺言書を作っておれば、あなたは法律的にかなり有利な立場に立てました。
ただ、今になってはもう遅いという話になります。
以下においては、残念ながら、遺言書がなかったという前提で回答をせざるをえません。

【口頭での生前贈与は立証が難しい】
法律で言えば、口頭でも贈与は成立します。
ただし、そのような贈与発言があったという証明が必要です。
また、その発言が《一時的なもの》ではなく、母の真意に基づくものだという点も問題とされる余地があります。
もし、財産全部をあげるという話ならのなら、母は遺言書を作ったはずだという点も、長男が問題にするところでしょう。
「通帳とキャッシュカードと印鑑を渡された」ということもそれほど役には立たないように思います。
相手方としては、渡されたのではなく、勝手に持ち出したのだという主張をする可能性が強く、贈与の証拠としては決して十分なものではありません。
これらの点を考慮すると、贈与が認められるかどうか、かなり疑問がありそうです。

【死亡後に引き出した預金も相続財産である】
次に、あなたが母の死後に引き出した預金ですが、これは相続財産になりますので、遺産分割協議をしたのちに引き出すべきものです。
母が死亡していることを銀行が知ったのなら預金口座を閉鎖します。
おそらく贈与があったことを前提として、あなたとしては、死亡後にキャッシュカードで引き出されたのでしょうが、長男からいえば死亡を隠して預金を不法に引き出したと主張する可能性が高いと思われるケースです。

【開示する義務はないが・・】
被相続人である母が死亡した場合、あなたが長男などの他の相続人に遺産内容を開示することを命じる法律はありません。
そのため、長男が開示を求めても拒否されてもいいでしょう。
ただ、あなたとしては贈与を主張するのなら、《堂々とその遺産内容を開示すればよい、それをしないのはやはり取り込んでいたからだ》ということで長男の不信感をますます増大させることになります。
参考までに言えば、長男は相続人ですので、預貯金であれば、金融機関さえわかれば、独自に財産調査が可能ですし、取引履歴も取り寄せが可能だということは理解されておくといいでしょう。

【贈与が認められた場合にはどうなるか】
生前贈与が認められた場合には、あなたの生前贈与分は特別受益として遺産に持ち戻されて、遺産分割をすることになります。

【贈与が認められない場合にはどうなるか】
贈与が認められない場合、あなたが生前に払い戻しを受けた預貯金は不正出金になります。
母は、生前、あなたに引き出した金銭の返還請求権を有することになり、長男が法定相続分に応じて返還請求権を相続します。
そのため、あなたは引き出した金銭のうち、長男相続分に応じた返還義務を負うということになります。
大澤龍司法律事務所
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11:33 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

GW休業のお知らせ

2019/05/07
GW期間中(4月27日~5月6日)は休業させていただきます。

そのため、上記期間中に頂いたお電話・FAXまたはメールについては、
5月7日(火)以降に順次返信させていただきますので、
予めご了解くださいますようよろしくお願い申し上げます。

また、上記期間中は「相続実例Q&A」の回答期間が伸長しますことを、
予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
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09:30 お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

90歳母の土地資産が売買により全て兄に移転登記すみ【Q&A №643】

2019/04/08


【質問の要旨】

すでに売却された土地は遺産になるか

記載内容  土地 売買 移転登記

【ご質問内容】

私は東京在住の次男63歳。3歳上の兄との二人兄弟だが兄弟仲悪く行き来はほとんどない。
90歳の母は現在関東近県の施設在住で親族は上記3名のみ。
母は2千坪以上の土地資産を所有。
母の体調悪化してきたので先日訪れて相続はどうするつもりか訊いたところ、ずいぶん前に遺書書いてあり兄に土地は渡すが遺留分を考慮して不満のないようにするとのことだがはっきりしない。
土地の登記内容、税金なども全くノータッチだったのだが気になり、地元の不動業者に電話して地積、時価等尋ねたところ、ビックリしたことに当該土地は3年前に母の名義から、兄名義に売買により移転登記済みとのことだった。
むろん私にはまったく知らされておらず、現状ではこの2千坪の土地資産には相続権がないことになるが、いかがでしょうか。

643

(Mayのパパ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【売却により所有者が変わっていれば、原則として母の遺産ではない】
生前に母が自らの名義の土地を売却したという場合、その土地はすでに母の所有ではないということですので、原則として遺産にはなりません(したがって、土地に対する相続権はないということになります)。
これは、母が第三者に売却した場合のことを考えれば理解しやすいでしょう。
本件では、すでに兄名義に登記も完了しているということですので、母と兄との間の売買契約書が存在していることまでは確かでしょう。

【売却価額が不相当に安価な場合など、特別受益になることはありうる】
ただ、親子間の売買ですので、
① 売買といいながら実際には兄から母に代金が支払われていない場合や、
② 売買代金が、時価に比べて不相当に安価な場合もありえます。
これらの場合には、母から兄への特別受益となり、母の遺産分割時に、その特別受益分を遺産に持ち戻して計算することになります。
この時に持ち戻す金額は、上記①のように代金が支払われていない場合は土地価額全額、②のように代金は支払われているものの安価な場合には、時価との差額相当額、ということになります。

【母に確認できることは確認しておく】
このまま母が亡くなってしまうと、遺産分割協議の際に兄は、「自分はお金を払って取得したのだから、特別受益ではない」と主張してくるでしょう。
そのため、現時点で、母から売買の詳細について聞き取りをし、売買契約書や当時の通帳があるなら見せてもらって、現実に兄から母に代金が支払われているのか、その額はいくらかを確認しておくべきでしょう。
また、合わせて、不動産屋に頼んで土地の査定をしてもらい、額の妥当性を判断しておくことも必要です。
その上で、もしも現実に代金が支払われていないのならその旨を母に一筆書いてもらっておいたり、母の通帳の該当ページをコピーしておくなど、母から得られる証拠はできるだけ集めておいて、将来の遺産分割時に対処できるように準備しておくことが、今あなたにできることだと思います。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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17:10 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

生命保険金の特別受益について【Q&A №642】

2019/03/18


【質問の要旨】

生命保険が遺産に含まれる場合

記載内容  生命保険 みなし相続財産

【ご質問内容】

父が他界して相続が発生しました。
相続人は後妻さんと私(先妻の子)の2名です(養子縁組なし)。公正証書遺言があり預金500万円は後妻さんと私で折半、マンション1部屋(時価2,000万円)とその他一切の財産は、後妻さん相続となっています。
その他に生命保険金1,500万円(受取人名義は後妻さん)があります。
あと後妻さんが父の銀行口座からATMで引き出した500万円(葬儀費用等)と税金等の債務100万円ほどです。
このままですと私の相続額は遺留分600万円(後妻さんが引き出した500万円は含まない)、後妻さんは1,800万円です(後妻さんには遺留分減殺通知済み)。

生命保険金1,500万円(受取人名義は後妻さん)についての質問です。
生命保険金が遺産に占める割合が5割を超えると特別受益として持戻しの対象になる可能性があるとネットで見ました。
特別受益や債務等を含めた「みなし遺産」を遺産と考えて、生命保険金の割合を算出するのでしょうか。
それとも遺産とは父死亡時の父名義の遺産のみを遺産と考えて、生命保険金の割合を算出するのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

642


(ピエタ)



 ※敬称略とさせていただきます。

【みなし相続財産には特別受益や債務も含む】
まず、遺留分を算出する大前提となる「みなし相続財産」は次の式で計算されます。
《現存する遺産+生前贈与額-負債=みなし相続財産》
その前提で考えると、遺留分は600万円ではなく、さらに生前贈与分(生前の引出分)の4分の1の額が加算されることになります(この点は後述します)。
生命保険は相続税の計算に際して加算されますが、これは税務のことです。
原則として、相続(民法)では遺産としては扱われません。

【裁判例における生命保険の扱い】
ただ、例外的に生命保険がいわゆる特別受益と扱われる場合があります。
裁判例では、遺産総額の約6割に匹敵する生命保険金の存在を理由に、生命保険を遺産に持ち戻すことを認めた裁判例があります(名古屋高等裁判所平成18年3月7日決定)。
この裁判例では、(生命保険金を除く)遺産総額が約8423万円で、これとは別に生命保険金額が約5154万円あった事案について、裁判所は遺産総額の約61%にも占める生命保険(5154万円÷8423万円=約61%)という事情の下で生命保険は遺産に持ち戻すことを認めました。
つまり、この裁判例では遺産総額を計算する際、生命保険以外の遺産総額を算出し、この遺産総額と生命保険額とを比べて遺産に持ち戻すべきか否かを判断したことになります。
(なお、この裁判例は家事審判という手続の性質上、被相続人の債務が考慮されていないことに注意が必要です。)
もちろん、遺産総額に対する割合だけで特別受益と決定されるわけではなく、生命保険金額がそもそも多額かどうか、生命保険を受け取った相続人と被相続人との関係など他の事情も考慮して遺産への持ち戻しを判断していることには注意が必要です。
(なお、当ブログNO.298でも同様の論点を取り扱っております。参考までに)

【本件にこの裁判例を当てはめた場合】
  (遺産総額)※生命保険以外 
    不動産     2000万円
    預貯金     500万円
    生前の出金  500万円(生前贈与と仮定)
    合計       3000万円

ここから負債(今回の案件では相続税の課税がないと思われるので、おそらく生前の未払税等)を100万円差し引くと
    みなし遺産額2900万円
と計算されます。
 ※なお、葬儀費用は(争いがありますが)遺留分から控除しない見解が一般的ですので、この計算では控除しておりません。

他方で、生命保険が1500万円ですので、生命保険が総遺産額に占める割合は 
    保険(1500万円)÷遺産(2900万円)=約51%
と計算されます。

前記の裁判例の割合(61%)と比べるとやや低めの割合であり、持ち戻しを認めてもらうには少し厳しい状況といえるでしょう。
ただ、あなたの計算では遺留分は600万円のようですが、遺産2900万円として遺留分(4分の1)を計算すると725万円程度になります。
参考になれば幸いです。

(弁護士 北野英彦)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
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16:22 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集
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