質問する
当ブログでは、相続に関するご質問に弁護士がお答えします。ベテラン弁護士の長年にわたる経験に基づく回答です。無料・匿名でご質問いただけますのでお気軽にご利用下さい。
当事務所の特色
直接、お聞きして、的確に回答します。
今、何が問題で、どう解決すべきかをわかりやすく説明します。
最近の記事
■ 認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】 - 11/20  
■ アパートの生前贈与【Q&A №587】 - 11/10  
■ 特別受益について【Q&A №586】 - 10/27  
■ 未分割の土地を含む遺言分割指定がある時【Q&A №585】 - 10/10  
■ 相続トラブル【Q&A №584】 - 10/06  
>>全記事一覧
Q&A一覧 コラム一覧

認知症の義母から金庫の中身を渡すと言われてるが【Q&A №588】

2017/11/20


【質問の要旨】

認知症の義母からの贈与は受け取っても問題ない?

記載内容  認知症 義母 贈与 

【ご質問内容】

 金庫の中には散々娘や孫にあげた後のおもちゃのようなのが数点、寺の権利書(?)と80万くらいあると言い、私にあげると言ってききません。何時忘れるかわからない状況ですので、私は貰いたくありません。
 後で無い!盗られた!と言い出す可能性もありますし、絶対揉めないと義母は言いますが、娘さんが義母没後何も言わないとはかぎりませんし。
 言ってることが毎日変るし、以前1点だけ親戚中居る中で貰いましたが、私は預かってるつもりです。その事は言いません(忘れてるか?)なので預かるつもりで一旦受け入れておいた方がいいのかなとも思いますが正直面倒くさいです
法律的にどうなりますか?



(介護妻)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【義母に意思能力がなかったとして、贈与が無効になる可能性がある】
 まず、義母の亡くなる前に発生が予想される問題について述べます。
 他人にものを預ける、あるいは贈与する場合、贈与する人に判断(意思)能力がない場合、その行為は効力がありません。
 義母は認知症だということですが、その程度によっては意思能力がなかったということで、金庫の中身を預ける行為も、あるいは贈与する行為も、無効になりかねません。
 この場合、義母からあなたが金庫の中身を受け取ったとしても、後に義母の後見人やその相続人から贈与行為等は無効だとして返還を求められる可能性があります。

 その際、金庫にはもっと多くの財産があり、それをもらったのだろうと主張される可能性も考えておく必要があります。
 そのため、可能な限り、そのようなものを受け取ることは避けられるのが賢明でしょう。
 もし、どうしても受け取らざるを得ないのなら、第三者に立ち会ってもらって、何をもらったのか(可能であれば他にはもらっていないことも)また、贈与なのか預かるだけなのかを書面化しておくといいでしょう。
 もし、預かるというのであれば、何の目的でいつまで預かり、いつ返還するのかという点を書面で明確にし、返還期限に返還を実行することが必要です。

【後に特別受益を主張される可能性もあるが、原則特別受益にはならない】
 次に、義母の死亡後の相続の観点から考えてみます。

1)判断能力欠如による返還請求の可能性あり
 まず、義母の死亡後には、その相続人となった子が、義母には意思能力がなかったから、贈与等は無効だ、返還せよと主張してくる可能性があります。

2)配偶者の特別受益を主張されるかもしれない
 次に、あなたの配偶者もまた相続人になります。
 相続人が生前に贈与を受けた分は、特別受益として遺産分割の際に遺産に持ち戻しする必要があります。
 ただ、今回の場合、贈与を受けたのは相続人であるあなたの配偶者ではなく、相続人ではないあなたですので、原則として特別受益にはならないでしょう。
 ただ、他の相続人としては、(それが法律的に認められにくいとしても)あなたが贈与を受けたということは、《あなたと一体の立場》にあるあなたの配偶者がもらったものだとして、配偶者の特別受益を主張してくる可能性がなくはありません。
 この点については、すでに述べたように、本来、特別受益は相続人本人に対してされた贈与のことを言いますので、相続人の配偶者であるあなたが贈与を受けたものは、原則として特別受益にはならないと反論するといいでしょう。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:51 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

アパートの生前贈与【Q&A №587】

2017/11/10


【質問の要旨】

父からアパート(建物のみ)を生前贈与した。
父の死亡後、妹から土地を含めた評価額を元に計算した金額を特別受益として請求されたが、どこまで特別受益とみなされるのか。

記載内容  アパート建物 生前贈与 評価額 



【ご質問内容】

 平成23年に父より昭和63年に木造建築されたアパート建物のみ生前贈与を受け登記し、アパート経営をしておりましたが、27年6月に父が他界しました。
 23年固定資産税評価額は、約二百万円、他界した27年は約百五十万円です。
 相続人は私と妹の2人ですが、今になって、妹よりアパートの特別受益を主張しており、その評価は、収益還元法によれば、52,950,000円と固定資産税評価額とは、かけ離れた金額を請求されています。
 その根拠は、土地も含めた価格のようで、年額収入4,236,000円、投資家期待利回り8%によるものだそうです。しかし、土地は既に遺産分割により相続登記が長男である私に完了しております。
 地元の不動産屋によれば、土地と建物を分けての評価は難しく言われております。
本来遺産分割におけるアパート建物だけの特別受益評価額は、どのようになるのでしょうか?
 お忙しいところ、恐縮ではございますが、出来るだけ早急にご回答いただければありがたいです。よろしくお願い申し上げます。



(キンメダイ)



(敬称略で記載しております。ご了解ください)

【遺産分割協議が完了しているのかどうかで結論が異なる】
 父は、生前にあなたにアパート建物を贈与したとのことですので、この生前贈与分は特別受益として遺産に持ち戻して、遺産分割をするべきものです。
 ただ、質問には《土地は遺産分割によってあなたに相続登記されている》との趣旨の記載があります。
 もし、既に父の遺産全部について遺産分割協議が終了しているのであれば、今更、妹としては特別受益分を遺産に持ち戻せという主張はできません。
 妹の立場としては、遺産分割合意は錯誤や欺罔によるものであるとして、遺産分割協議の無効を主張するしかないということになります。
 
次に、遺産のうち一部(今回でいえば、アパートの敷地)のみの遺産分割合意をし、それに基づき登記を移転しただけで、預貯金や株式等他の遺産についてはまだ遺産分割協議が終了していないという場合には、いまだ特別受益の主張は可能ということになります。

【建物の評価は固定資産評価額が原則、ただし使用借権の上乗せもありうる】
 仮に遺産分割がすべて終了していないということであれば、特別受益が問題になりえます。
 その際の建物自体の評価は、遺産分割調停などでは固定資産評価額でされることが多いです。
 もし、違う額を主張するのであれば、その証明として鑑定等が必要になります。
 問題は建物額だけではなく、土地の使用権も生前贈与されたことになり、その価額を加算する必要があるということです。
 土地の賃料などを支払っていないということなら、建物底地の使用借権の贈与があったとされることになります。
 使用借権は土地価額の10~15%の場合が多いです。
 もし、あなたが賃料を支払っていたというのであれば、借地権ということになり、底地価額の40~60%を加算する必要があります。

【評価の時点及び賃料はどうなるか】
 評価の時点は相続開始時の建物価額や底地の価額を前提として計算します。
 なお、生前贈与を受けたのちの賃料収入などは、建物および底地利用権に含まれていますので、原則として、別途請求されることはありません。


(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
14:53 生前贈与・特別受益 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

特別受益について【Q&A №586】

2017/10/27


【質問の要旨】

母の所有地の賃料を弟が受け取っていたが、母を弟の自宅に住まわせていた。
賃料は特別受益になるか?

記載内容  リフォーム 固定資産税 

【ご質問内容】

弟が、父より家を相続し、そこに母が長年住んでいました
弟は、若くしてその家を出てしまいましたので、母は一人暮らしでした。
弟がその固定資産税を支払っていましたが、母の土地を人に貸していて、その賃貸料は母の名前の契約ですが、弟の口座に入っていました
この度、母が亡くなり、弟は、その賃貸料一千万円ほどをその家のリフォームやエアコンなどの備品の購入にあてたので、特別受益ではないと言っています。
弟も時々帰ってきて使っていて、今も自分の家なのですが、特別受益といえるのでしょうか。

追加です。

母の土地は母が固定資産税を払っていました。母は、弟が人に貸したことで、貸す前より、固定資産税や保険料、施設の利用料などが一年で100万円増えました。
不動産所得の関係です。
母が住んでいる弟の家の光熱水費、新聞代、屋根を治すなどの修繕は母が出していました。
弟の家は、父が亡くなった後、土地区画整理が入り、家が道にかかりましたので、補償金の一部で弟が立て替えたものです。



(コスモス)



※ご質問は2つに分かれていましたが、1つにまとめて回答しています。

【事案の整理】
今回のご相談は、①母の所有地から発生した賃料と、②弟が支出したリフォーム費の2つが同時に問題となっており、弟の主張をまとめると「賃料は特別受益かもしれないが、母を自宅に住ませ、リフォーム費も出したので特別受益にはならない」というもののようです。
このような場面は、まず①賃料と②リフォーム費の2つを分けて別々に整理することが理解のコツです。

【貸地の賃料は母のものであり、弟が取得した分は特別受益として遺産に持ち戻される】
1)母がその所有する土地を自分が賃貸人になって第三者に貸しているのですから、その賃料は母の収入になります。
2)母が、弟の口座に賃料が入ること及びそれを弟が使用するのを認めているのなら、毎月発生する賃料を母が弟に生前贈与したと考えていいでしょう。
生前贈与についてはその合計額が特別受益となり、遺産分割に際しては遺産に持ち戻されます

【自宅のリフォームやエアコン購入の扱い】
自宅のリフォーム費用は自宅の価値を増加させますが、自宅は弟名義ですので、弟の有する不動産の額が増加するだけです。
同様にエアコンについても、弟が購入したもののようですので、弟の財産が増えたということにすぎません。
いずれも弟の財産が増えるのであり、母の財産が増えるものではないということになります。

【弟名義の自宅を母が無償使用している点をどう考えるか】
ただ、自宅は弟名義であるのに、母に無償で使用させている点については問題がありそうです。
1)弟の特別寄与の主張
弟名義の自宅を、賃料を払わずに母が無償で使用している
⇒母としては自宅の賃料相当分の支払いを免除されている
支払いを免れた賃料相当分だけ、母は経済的利益を受けている
⇒その分、弟が特別寄与と主張して、遺産からの支払いを求める可能性もあります。
2)自宅の賃料分として、母名義の地代をもらっているとの弟の主張
また、母親が貸している土地の賃料をもらっているのは、自宅の使用分としてもらっているのだという主張をすることも考えられます。
3)こんな反論が可能
これに対しては、弟が父の遺産分割のとき、母にその自宅を無償使用させるという話があったことから多くの遺産をもらったではないか、というような反論も可能です。
また、子が母の面倒を見るのは子としての扶養義務であり、今になって、賃料を無償にしたからそれを考慮せよなどというような主張はできないという反論も用意しておくといいでしょう。

(弁護士 大澤龍司)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
16:19 生前贈与・特別受益 | コメント(1) | トラックバック(0) | 編集

未分割の土地を含む遺言分割指定がある時【Q&A №585】

2017/10/10


【質問の要旨】

被相続人が未分割の配偶者の不動産を子である相続人に譲ると遺言したが、裁判所ではどう判断されるのか?

記載内容  数次相続 共有 未分割 

【ご質問内容】
 被相続人の遺言に、先に死亡したその配偶者との未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲るとあり、法務局ではまず、配偶者の持ち分9分の6を法定分割した後、被相続人の持ち分9分の6をAに登記すると云う事でしたが、自宅が住所不銘記で却下、家裁では遺言分割の承諾が他の相続人B.Cから得られず、審判できないと云われ、取り下げさせられました、最終日全員の前に、裁判官が表れ(陪審員の要請があったと思わせる)ちらりと遺言に目を通し、配偶者の未分割分は直接3人の相続人に譲られると断定しました。
 法務局の説明では、全員の承諾のもとでは可能である、つまり遺言分割ではなく協議書による分割と解釈したので、家裁の裁判官の云う事には釈然としません、今後地方裁判も視野にこの点をはっきりさせて置きたいので宜しくお願いします。


(fumimasa)



【事案の整理・・父が死亡した後、その相続登記前に母が死亡したケースと理解】
 まず、事案の内容を整理します。
(以下の要約は、質問からは直接は読み取れないものの、弁護士3名がほぼこのような事実関係を前提にしての質問であろうと考えた内容を記載しております)

① 先にお父さん(配偶者)の方が死亡し、遺産である不動産の相続登記をしないうちにお母さん(被相続人)が亡くなった。
② そのお母さんは「未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲る」と遺言した
③ Aは、法務局で遺言に基づいて登記をしてもらおうとしたが、遺言書には自宅不動産の所在地等の記載がなかったため、このままでは物件が特定しておらず、登記はできないと言われた。
④ そのため、家裁に調停を申し立てたが、他の相続人B、Cの承諾が得られず、取り下げという結果になった。


と仮定して、説明をしていきます。
  なお、今回の質問には登記に関する部分が含まれています。
 わかる限度で説明はしていきますが、念のために登記の専門家である司法書士さんにも確認されるといいでしょう。

【相次いで相続が発生した場合のそれぞれの相続分】
 前項で記載したとおりの事実関係であると仮定すると、相続の経過は以下のとおりとなります。

① まず、お父さんが亡くなったことにより、自宅のうちお父さんの持分であった9分の6が、各相続人に相続されます。
 遺言書がなく、遺産分割協議もなされていないのだとすれば、法定相続分に従い、お母さんが9分の3、A~Cが各9分の1を相続します。
② 次にお母さんが亡くなり、「未分割状態の共有の自宅を、3相続人(子供)中のAに引き続き住めるよう譲る」との遺言があったとのことですので、お母さんの持分はAにすべて遺贈されたのであれば、お母さんの自宅持分(もともと有していた9分の3と、お父さんから相続した9分の3の合計である9分の6)をAが相続します。


 結局、自宅はAが9分の7、B及びCが9分の1という共有状態になるということになります。

【自宅が特定していない点についての法務局の見解について】
 ただ、遺言では前記のとおり、自宅不動産の所在地が明記されていないことから、法務局はこの遺言では不動産が特定されていないので、このままでは登記はできないと言われたのだと思われます。
その上で、もし登記をしたいのなら、法務局としては

① 遺言に記載された自宅とは被相続人が共有持分を有している自宅であることを判決で確定してもらうか、
② 相続人全員が遺言書の自宅とは、被相続人が共有持ち分を有している自宅であることを前提で遺産分割協議する。


のどちらかの方策を取れば、遺言の不動産が特定しないという点が解決し、登記が可能になるとの見解だったろうと思われます。

【遺言ではAが自宅全部を相続することはできない】
 お母さんの遺言の内容がはっきりはしませんが、仮にその内容が《Aの居住している自宅すべてをAに相続させる》というような内容であったとしても、そもそもお母さんの持分は9分の6でしかなく、未分割のまま放置されていたからといって、お母さんの自宅の持分が増えるわけではありませんので、Aが自宅全部を取得することできません。
 ただ、遺産をどのように分けるかについて、法定相続人全員が分割協議で合意をすれば、遺言と異なる内容でも、分割合意が優先します。
 そのため、Aが自宅を単独相続(全部をAの所有に)したければ、他のB及びCの同意を得て、《自宅名義はAの単独名義にするが、その代わりに代償金等を他の兄弟に支払う》等の合意をすれば、その合意の効力として自宅をAの単独名義にすることが可能です。

【裁判所が遺産分割の審判をしなかった理由】
 次に、裁判官が、「配偶者の未分割分(お父さんの持ち分)は直接3人の相続人に譲られると断定した」という点を考えてみましょう。
 Aとしては、お母さんの遺言には自宅全部をAに相続させると記載されているため、父の遺産の自宅全部の相続を主張したのに対して、《Aさんが全部取得するようなことはない。お父さんの持分が、法定相続分に従って子供らに9分の1ずつ相続されることについては、全員の同意がない以上、法的に動かしようがない》ということを言いたかったものと推測されます。
 B及びCから、自宅を全てAに譲るという内容で同意が得られず、遺産分割協議がまとまらなければ、遺言書の内容を実行するしかありません。
 しかし、家裁の審判では、遺言書の内容を実行せよという命令を出すことはできず、地裁で裁判をする必要があります。
 そのため、家庭裁判所は「審判できない」との判断をし、調停を取り下げさせたものと思われます。
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
13:04 遺言 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

相続トラブル【Q&A №584】

2017/10/06


【質問の要旨】

不正出金をした兄弟の告訴は可能か?

記載内容  預金 使い込み 告訴 

【ご質問内容】
 パチンコ依存症兄弟が、亡き母の預金勝手におろし800万円あったのが、わずかしか残ってない!
 今度は、認知症4の父の大金使い込み!後見人弁護士調査中ですが、ずるい兄弟を告訴して処罰して必ずしてもらうには、どうすればいいのでしょうか?お願いします。疲れ果てております。


(和無)



【(犯罪は成立するが・・)告訴をしても警察は捜査をしない】
 兄弟の方が、無断でお母さん、お父さんの預金を引き出したというのであれば、詐欺罪や有印私文書偽造、同行使等の犯罪に該当する可能性があります
 どのような方法で使い込みをしたのかは明らかではありませんが、ご両親がするべき委任状の署名欄に兄弟の方が無断でサインをすれば、それは有印私文書偽造罪に当たる行為です。
 また、その委任状を銀行に提示してご両親の預金を引き出せば、銀行に対する詐欺罪が成立しうる行為です。
 キャッシュカードでの引き出しについては預金を窃盗したということで、窃盗罪になり得ます。

【告訴をしても警察は捜査をしない】
 以上のように刑法に規定された各種の犯罪が成立しますが、刑法には《親族相盗例》という条文があります。
 その内容は、親族間で上記のような詐欺や窃盗があっても、処罰はしないというものです(刑法251条、同244条準用)。
 このような規定が定められたのは、親族間で窃盗などは警察などの公権力は立ち入らない、そのような問題は親族間で解決しなさいという考え方があるからです。
 そのため、詐欺や窃盗で刑事告訴しても、処罰をすることができないので、警察が捜査を開始することはほぼないと考えた方がよいでしょう。

【民事上の争いで解決するしかない】
 刑事告訴をして処罰されることはないので、使い込んだ人の責任追及をするためには、民事上で解決するしかありません。

①お父さんの口座からの出金は後見人が返還請求
 お父さんには、成年後見人がついており、現在、調査をしているとのことですので、取り込んでいることがわかれば、家庭裁判所と協議の上で、後見人が返還を求めることもありえます。
 ただ、後見人によっては、選任された以降の財産管理をしっかりとするものの、選任前の預貯金の引き出しには積極的に動かない方もおられるようです。
 なお、お父さんが生きておられる段階ではあなたとしては、たとえお父さんの口座から不正出金があったとしても、なんらの請求もできないことも記憶されておくといいでしょう。

②お母さんの口座からの不正出金の返還請求
 お母さんの生前に、無断で預貯金を引き出し、使用した人がいるのであれば、お母さんはその人に対して返還請求をする権利があります。
 お母さんの死亡により、相続人であるあなたは法定相続分の限度で、使い込んだ人に返還請求をすることが可能です。
 ただ、無断出金された方がパチンコ等でお金を使い果たてしまえば、返済の資力がないということで、返還を受けられない可能性があります。
 いずれにせよ、民事上の請求をするのであれば、不正出金の調査も含めて、相続に詳しい弁護士に依頼することをお勧めします。

(弁護士 岡井理紗)
大澤龍司法律事務所
電話番号    06-6361-6017
ホームページ  http://www.osawalaw.com/
 
11:36 遺産分割 | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集
 | HOME | Prev »